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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】塗料供給用シリンジポンプ
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/00 20180101AFI20231213BHJP
   B05B 12/10 20060101ALI20231213BHJP
   F04B 9/02 20060101ALI20231213BHJP
   F04B 53/14 20060101ALI20231213BHJP
   F04B 15/02 20060101ALI20231213BHJP
   F04B 53/22 20060101ALI20231213BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B05B15/00
B05B12/10
F04B9/02 C
F04B53/14 Z
F04B15/02 Z
F04B53/22
F04B53/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019229064
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021094545
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】593081224
【氏名又は名称】タクボエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小島 光
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-149937(JP,A)
【文献】特開2009-131747(JP,A)
【文献】特開2002-361124(JP,A)
【文献】特開2005-345215(JP,A)
【文献】特表2003-509170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00- 3/18,
7/00- 9/08,
12/00-16/80
B05C 5/00-21/00
F04B 9/00-15/08,
53/00-53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側が閉鎖された円筒状であるとともに、閉鎖した先端側に塗料放出口(3)を備えたシリンジ本体(2)と、
該シリンジ本体(2)内に進退移動自在に挿設されたピストン(4)と、
該ピストン(4)に連結されたピストンロッド(5)と、
塗料充填ホースが連結される塗料充填口(6)と、を具備した塗料供給用シリンジポンプにおいて、
前記ピストン(4)におけるシリンジ本体(2)の内部に露出された面であって、充填した塗料と接する面に圧力センサー(8)を具備したことを特徴とする塗料供給用シリンジポンプ。
【請求項2】
前記ピストン(4)に塗料充填口(6)を形成し、該塗料充填口(6)に連通するとともに塗料充填ホースが連結される塗料充填路(7)を前記ピストンロッド(5)内に形成した、ことを特徴とする請求項1に記載の塗料供給用シリンジポンプ。
【請求項3】
前記シリンジ本体(2)に、塗料充填ホースが連結される塗料充填口(6)を形成したことを特徴する請求項1に記載の塗料供給用シリンジポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装の際にスプレーガンに塗料を供給するための塗料供給用シリンジポンプに係り、より詳しくは、塗料の初期吐出の変動を防止可能にした塗料供給用シリンジポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークの塗装に際しては、定量の塗料を安定的にスプレーガンに供給する方法として、シリンジポンプが用いられている。
【0003】
そして、このシリンジポンプは、先端側が閉鎖されるとともに、この閉鎖された先端側に塗料放出口を備えた円筒状のシリンジ本体内に、ロッドを備えたピストンが進退自在に挿入されており、使用に際して、塗料放出口には塗料供給ホースが連結され、塗料供給ホースはスプレーガンに連結されることとしている。
【0004】
また、シリンジポンプは、シリンジ本体内に塗料を充填するための塗料充填口を有しており、この塗料充填口には、任意の個所に開閉バルブが備えられた塗料充填ホースの先端側が連結され、塗料充填ホースの他端は塗料タンクに連結されている。
【0005】
一方、スプレーガンは、前記塗料供給ホースに連結された塗料供給路を内部に有しており、この塗料供給路の先端はスプレーガンの先端で開口して塗料吐出口としており、この塗料吐出口はニードルによって開閉自在とされている。従ってこれにより、シリンジ本体内、塗料供給ホース内、及びスプレーガンの塗料供給路によって塗料供給経路が構成されている。
【0006】
そして、スプレーガンから塗料を吐出する場合には、塗料供給経路に塗料を充填した状態で、ニードルを操作してスプレーガンの塗料吐出口を解放するとともに、シリンジポンプのピストンをシリンジ本体の先端側に押していく。そうすると、ピストンの圧力でシリンジ本体内の塗料が塗料放出口から押し出されるとともに、それにより、塗料供給経路内全体の塗料が押され、スプレーガンの塗料吐出口から塗料を吐出することが可能となる。従って、シリンジポンプを用いた場合には、圧送式のポンプを用いた場合と比較すると定量の塗料を安定して吐出することができるという利点がある。
【0007】
ところで、スプレーガンを用いてワークの塗装を行う場合は、ワークに塗着させた塗料の塗膜を均等にするため、塗料の吐出圧力を均一にする必要がある。そして、前述のシリンジポンプを用いた場合には、圧送式のポンプを用いた場合と比較すると、塗料の定量供給が可能であるとともに、塗料を均一の圧力で吐出することが可能である。
【0008】
しかし、シリンジポンプを用いてスプレーガンに塗料を供給する方法においては、塗料を連続吐出している際は塗料の吐出圧力を均一にすることが可能であるが、吐出初期においては、塗料を連続吐出している際の圧力に比較すると変動がある。そしてそのために、スプレーガンから吐出される塗料の吐出量に安定性を欠き、吐出の初期に吐出量の不均一が生じる問題点が指摘されていた。
【0009】
即ち、シリンジポンプにおいてシリンジ本体内へ塗料を充填する場合には、ニードルを操作してスプレーガンの塗料吐出口を閉鎖しておき、その状態で、塗料充填ホースの開閉バルブを解放するとともに、ピストンを反塗料放出口側に引いていく。そうすると、シリンジ本体内が負圧になり、それにより、塗料充填ホースを介して塗料タンク内の塗料がシリンジ本体内に引き込まれ、本体内に塗料を充填することが可能となる。そして、ピストンを所定距離だけ引いてシリンジ本体内への塗料の充填が完了した時点で、ピストンの動きを止めるとともに、塗料充填ホースの開閉バルブを閉鎖する。
【0010】
しかしこのとき、塗料の粘度によって、塗料供給経経路内の圧力が変わってしまい、それによって、吐出初期における塗料圧力が、塗料を連続吐出している際の圧力と異なってしまい、それにより、スプレーガンから吐出される塗料の吐出量に安定性を欠いてしまっていた。
【0011】
即ち、塗料の粘度が高いときには、塗料をシリンジ本体内に充填する際の塗料の充填速度が遅いため、ピストンの動きを止めて塗料充填ホースの開閉バルブを閉鎖したときに、シリンジ本体内に十分な塗料が充填されず、そのために、シリンジ本体内の圧力が低くなってしまう。
【0012】
そうすると、塗装のためにスプレーガンの塗料吐出口を解放した吐出初期においては、シリンジ本体内の圧力が低いために、スプレーガンの塗料吐出口側から塗料供給経路内に大気が入り込むため、塗料供給経路内の塗料が一瞬逆流してしまい、塗料が連続吐出されるまでにわずかな遅れが生じてしまう。
【0013】
一方、塗料の粘土が低いときには、シリンジ本体内に充填されていく速度が速いために、ピストンの動きを止めて塗料充填ホースの開閉バルブを閉鎖したときには、シリンジ本体内に必要以上の塗料が充填され、それにより、シリンジ本体内の圧力が高くなってしまう。
【0014】
そうすると、塗装のためにスプレーガンの塗料吐出口を解放した吐出初期においては、シリンジ本体内の圧力が高いために、スプレーガンの塗料吐出口から吐出される塗料の量が、塗料が連続吐出されている際の量に比較して多くなってしまい、安定して塗料が連続吐出されるまで、同じようにわずかな遅れが生じてしまう。
【0015】
そのために、従来、シリンジポンプを用いた塗装においては、塗料の吐出初期における塗料圧力の変動を防止するために、シリンジポンプの吐出側に圧力センサーを設けて、その圧力センサーの検出圧力に応じてピストンを微動させて、シリンジポンプ内の圧力を連続吐出時の圧力に近づける方法が提案されている。
【0016】
即ち、図5がこの圧力センサーを備えた塗料供給用シリンジポンプ51を説明するための図であり、図において52はシリンジ本体である。そして、このシリンジ本体52は、先端側が閉鎖されるとともにこの閉鎖された部分に塗料放出口53を備えた円筒状としており、塗料放出口53には塗料供給ホース58が連結され、この塗料供給ホース58がスプレーガン59に連結される。
【0017】
また、シリンジ本体52内には、ピストンロッド55を備えたピストン54が進退自在に挿入されている。そして、ピストン54には、塗料充填口56が形成され、ピストンロッド55の内部には、塗料充填口56に連通するとともに塗料充填ホースが連結される塗料充填路57が形成されている。
【0018】
そして、シリンジポンプの吐出側、詳しく塗料供給ホース58に圧力センサー60を設けており、これにより、シリンジ本体52の内部の圧力を検出可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】特開2009-131747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、図5に示す前述の従来のシリンジポンプでは、シリンジポンプの吐出側に圧力センサーを設けるためには、センサーをシステムに組み込む必要があり、構成によっては取り付けが困難な場合がある。
【0021】
そこで、本発明は、シリンジポンプ全体及び塗料供給ホースを交換することなく、容易に圧力センサーを取り付けることができ、それにより、シリンジ内の圧力を容易に検出可能とした塗料供給用シリンジポンプを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の塗料供給用シリンジポンプは、
先端側が閉鎖された円筒状であるとともに、閉鎖した先端側に塗料放出口を備えたシリンジ本体と、
シリンジ本体内に進退移動自在に挿設されたピストンと、
ピストンに連結されたピストンロッドと、
塗料充填ホースが連結される塗料充填口と、を備えた塗料供給用シリンジポンプにおいて、
ピストンにおけるシリンジ本体内に露出された面であって、充填した塗料と接する面に圧力センサーを具備したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明の塗料供給用シリンジポンプは、シリンジ本体と、このシリンジ本体内に進退移動自在に挿設されたピストンと、このピストンに連結されたピストンロッドと、塗料充填ホースが連結される塗料充填口と、を備えた塗料供給用シリンジポンプにおいて、ピストンにおけるシリンジ本体内に露出された面であって、充填した塗料と接する面に圧力センサーを具備している。
【0024】
そのために、本発明の塗料供給用シリンジポンプでは、塗料充填時の圧力を容易に検出することができ、塗料充填後にピストンを微動することで塗料供給経路内の圧力を塗料の連続吐出時の圧力と同じにすることができ、吐出初期における変動を防止することができる。
【0025】
また、本発明の塗料供給用シリンジポンプでは、ピストンにおけるシリンジ本体内に露出された面であって、充填した塗料と接する面に圧力センサーを具備しているため、ピストンを交換するのみで、既存のシリンジポンプに圧力センサーを備えることができ、図5に示すシリンジポンプのような塗料供給ホースに圧力センサーを設ける場合と異なり、システムに組み込むことなく、圧力センサーを備えることができるので、設置作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の塗料供給用シリンジポンプの実施例を説明するための図である。
図2】本発明の塗料供給用シリンジポンプの実施例の取り付け例を説明するための図である。
図3】本発明の塗料供給用シリンジポンプの他の実施例を説明するための図である。
図4】本発明の塗料供給用シリンジポンプの他の実施例を説明するための図である。
図5】従来の塗料供給用シリンジポンプを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の塗料供給用シリンジポンプは、シリンジ本体を有しており、このシリンジ本体は、先端側が閉鎖された円筒状であるとともに、閉鎖された先端側には、塗料供給ホースが連結される塗料放出口を備えている。
【0028】
また、シリンジ本体内には、進退移動自在にしてピストンが挿設されており、このピストンの反塗料放出口側には、ピストンロッドが連結されている。
【0029】
更に、本発明のシリンジポンプでは、シリンジ本体内に塗料を充填するための塗料充填口が備えられており、この塗料充填口には、塗料充填ホースが連結されることとしている。
【0030】
そして、ピストンにおけるシリンジ本体内に露出された面であって、充填した塗料と接する面には、圧力センサーが備えられており、これによって、シリンジ本体内の塗料の圧力を検出可能としている。
【0031】
ここで、塗料充填口は、シリンジ本体内に塗料を充填することが可能な配置であればいずれの箇所に備えてもよいが、塗料充填口をピストンに形成するとともに、塗料充填口に連通する塗料充填路をピストンロッドの内部に形成して、この塗料充填路に塗料充填ホースを連結すると良く、これによれば、ピストンを反塗料放出口側に引くのみでシリンジ本体内に塗料を充填することができるので、シリンジ本体内への塗料の充填が容易となる。
【0032】
またその他、シリンジ本体に、塗料充填ホースが連結される塗料充填口を形成してもよく、これによっても、ピストンを反塗料放出口側に引くのみでシリンジ本体内に塗料を充填することができるので、シリンジ本体内への塗料の充填が容易となる。
【実施例1】
【0033】
本発明の塗料供給用シリンジポンプ(以下単に「シリンジポンプ」と言う。)の実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例のシリンジポンプの構成を説明するための図であり、図において1が本実施例のシリンジポンプである。
【0034】
そして、本実施例のシリンジポンプ1はシリンジ本体を有しており、このシリンジ本体内に塗料を充填することとしている。即ち、図において2がシリンジ本体であり、シリンジ本体2は、円筒状としているとともに、先端側は閉鎖されており、この閉鎖された部分には、塗料放出口3が形成されている。そして、この塗料出口3には、一端がスプレーガンの塗料供給路に連結される塗料ホースの基端部が連結されることとしており、これにより、シリンジ本体2の内部の塗料をスプレーガンに供給可能としている。
【0035】
次に、図において4はピストンである。即ち、前記シリンジ本体2内にはピストン4が、進退移動自在にして挿設されており、このピストン4における反塗料放出口側には、ピストンロッド5が連結されている。
【0036】
また、前記ピストン4には、進退方向に貫通した塗料充填口6が形成されており、一方、ピストンロッド5の内部には、ピストンロッド5を軸心方向に貫通するとともに、ピストン4に形成された塗料充填口6に連続した塗料充填路7が形成されている。そして、塗料充填路7には塗料充填ホースの一端が連結されることとしており、塗料充填ホースは、基端が塗料タンクに連結され、経路の途中には開閉バルブが配置されている。なお図において10はOリングである。
【0037】
次に、図において8は、圧力センサーである。即ち、本実施例のシリンジポンプ1では、ピストン4におけるシリンジ本体2の内部に露出された面に圧力センサー8を配置し、この圧力センサー8のリード線21は、前記ピストンロッド5の内部を通して、ピストン5を進退移動するための制御装置に接続している。そしてこれにより、シリンジ本体2の内部に塗料を充填する際に、シリンジ本体2に充填された塗料の圧力を検出可能としている。
【0038】
そのため、本実施例のシリンジポンプ1では、シリンジ本体2の内部へ塗料を充填するときに、塗料の圧力を容易に検出することができ、塗料充填後にピストン4を微動することで、シリンジ本体2の内部の塗料の圧力を、塗料の連続吐出時の圧力と同じにすることができるので、吐出初期における変動を防止することができる。
【0039】
また、本実施例のシリンジポンプ1では、ピストン4におけるシリンジ本体2の内に露出された面に圧力センサー8を具備しているため、ピストンを交換するのみで、既存のシリンジポンプに圧力センサーを備えることができ、前述の従来のシリンジポンプと異なり、システムに組み込むことなく、圧力センサーを備えることができ、設置作業が容易であるとともに、設置に係るコストを抑えることも可能である。
【0040】
次に、図2を参照して本実施例のシリンジポンプ1の作用を説明すると、図2は本実施例のシリンジポンプ1を塗装システムに組み込んだイメージを示した図であり、図において11はスプレーガン、12はスプレーガンの塗料供給路に連結されてスプレーガンに塗料を供給するための塗料供給ホース、13は塗料供給ホース12に設けた塗料供給側バルブである。
【0041】
そして、シリンジポンプ1を塗装システムに組み込む場合には、前記シリンジ本体2の塗料放出口3に、一端がスプレーガン11の塗料供給路に連結された塗料供給ホース12の基端を連結するとともに、塗料供給ホース12の任意の箇所に塗料供給側バルブ13を設置する。
【0042】
一方、図において14は塗料充填ホースであり、この塗料充填ホース14は、一端が、ピストンロッド5の内部に形成された塗料充填路7に連結され、基端は塗料タンク16に連結されており、更に、経路の途中に塗料充填側バルブ15が設置されている。
【0043】
なおここで、ピストン4を進退移動させるための機構について説明すると、図2において、本実施例においては、ピストンロッド5に作動板17が取り付けられており、作動板17は、ボールネジ18に螺合しており、このボールネジ18は、駆動手段としてのモーター19の軸に連結されている。そして、この構成により、モーター19を駆動し、ボールネジ18を回動することで、ボールネジ18に沿って作動板17を定速で往復移動し、それにより、ピストンロッド5を介して、ピストン4をシリンジ本体2の内部で進退自在としている。
【0044】
次に、図2において20はコンピューター等で構成される制御装置であり、この制御装置20には、前記モーター19、塗料供給側バルブ13、塗料充填側バルブ15が接続されており、更に、図示は省略するが、スプレーガン11にエアーを供給するためのエアー供給手段が連結されている。また、前記圧力センサー8のリード線は、前記ピストンロッド5の内部を通り外部に延出した後に制御装置20に接続されている。そしてこれにより、制御装置20は、圧力センサー20検出結果に基づき、モーター20の駆動を制御してピストン4を進退方向に微動させ、シリンジ本体2の内部の塗料の圧力塗料の連続吐出時の圧力と同じにすることができ、吐出初期における変動を防止することができる。即ち、シリンジ本体内の圧力が低い場合は塗料放出口側に微動させ、一方、シリンジ本体内の圧力が高い場合は反塗料放出口側に微動させることで、シリンジ本体2の内部の塗料の圧力塗料の連続吐出時の圧力と同じにし、吐出初期における変動を防止することができる。なお、図において21で示した部分は、モーター19、塗料供給側バルブ13、塗料充填側バルブ15、及び圧力センサー8と制御装置20を接続する電線類である。
【0045】
そして、このように構成される塗装システムにおいてシリンジ本体2の内部に塗料を充填するときは、塗料供給側バルブ13を閉止した状態で、塗料充填側バルブ15を解放するとともに、モーター20を駆動してピストン4を反塗料放出口側に引いていく。そうすると、シリンジ本体2の内部が負圧になるため、塗料タンク16内の塗料が、塗料充填ホース14、塗料充填路7及び塗料充填口6を通ってシリンジ本体2の内部に充填されていく。
【0046】
そして、所定距離だけピストン4を引いた時点で、ピストン4を引くことを止めるとともに、塗料充填側バルブ15を閉止する。そうすると、シリンジ本体2の内部に必要量の塗料を充填することが可能となる。
【0047】
一方、前述したように、シリンジ本体2の内部に塗料を充填した直後は、シリンジ本体2の内部に充填した塗料の圧力は、塗料の粘土によって異なり、それにより、スプレーガンの塗料吐出口を解放した吐出初期には、塗料圧力の変動を生じてしまう。
【0048】
そのため、本実施例のシリンジポンプ1では、シリンジ本体2の内部の塗料圧力を圧力センサー8で検出しておき、シリンジ本体2の内部に必要量の塗料を充填した後に、シリンジポンプ内の圧力を連続吐出時の圧力に近づけるため、制御装置20が圧力センサー8の検出結果に基づき、ピストン4を前進又は後退方向に微動させることとしている。
【0049】
従って、本実施例のシリンジポンプ1によれば、塗料を充填した後の塗料の圧力を連続吐出時の圧力と同じにすることができ、吐出初期における変動を防止することができる。
【0050】
また、本実施例の塗料供給用シリンジポンプ1では、ピストン4におけるシリンジ本体2の内部に露出された面に圧力センサー8を具備しているため、圧力センサーをシステムに組み込む必要が無く、ピストン4のみの交換で圧力センサーを備えることができるので、設置作業が容易である。
【0051】
このように、本実施例のシリンジポンプ1では、吐出初期における変動を防止することができるとともに、ピストン4のみの交換で圧力センサーを備えることができるので、設置作業が容易である。
【0052】
なお、前述の説明では、ピストン4に塗料充填口6を形成するとともに、ピストンロッド5の内部に、ピストン4に形成された塗料充填口6に連続した塗料充填路7を形成し、ピストンロッド側からシリンジン本体2の内部に塗料を充填する構成を説明したが、本発明のシリンジポンプにおいて塗料充填口6を形成する箇所は特に限定されない。例えば、図3は他の構成のシリンジポンプ1bの構成を示す図であり、このシリンジポンプ1bでは、シリンジ本体2の先端側にマニホールド9を備えており、このマニホールド9に、シリンジ本体2の内部に連続した塗料放出口3及び塗料充填口6を形成している。
【0053】
また、図4は、更に他の構成のシリンジポンプ1cの構成を示す図であり、このシリンジポン1cでは、図1に示すシリンジポンプ1と同様に、ピストン4に塗料充填口6を形成し、この塗料充填口6に連続した塗料充填路7をピストンロッド5に形成する構成としているが、図1に示すピストン4と異なり、塗料充填口6はピストンを進退方向に貫通した構成ではない。即ち、図4に示すピストン4では、ピストン4の上方部分の径を他の部分よりも小さくし、塗料充填口6の開口を、この小径にした部分の側面の複数個所に配置し、ピストン4の側方からシリンジ本体2の内部に塗料を充填する構成としている。そして、図4、5において21で示した部分は、圧力センサー8と制御装置20を接続するリード線であり、図4、5に示したシリンジポンプにおいても、圧力センサー8のリード線21は、ピストンロッド5の内部を通して制御装置に接続している。但し、圧力センサーと制御装置20を接続する線は、必ずしもピストンロッド5の内部を通す必要は無く、いずれの箇所に設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の塗料供給用シリンジポンプは、シリンジ本体内に塗料を充填した後に、シリンジ本体内の塗料圧力を検出して調整することが可能であるため、シリンジポンプの全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1、1b、1c シリンジポンプ
2 シリンジ本体
3 塗料放出口
4 ピストン
5 ピストンロッド
6 塗料充填口
7 塗料充填路
8 圧力センサー
9 マニホールド
10 Oリング
11 スプレーガン
12 塗料供給ホース
13 塗料供給側バルブ
14 塗料充填ホース
15 塗料充填側バルブ
16 塗料タンク
17 作動板
18 ボールネジ
19 モーター
20 制御装置
21 電線類
図1
図2
図3
図4
図5