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特許7402042連結商用車における回避操縦の実行方法、ならびに緊急回避システムおよび連結商用車
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  • 特許-連結商用車における回避操縦の実行方法、ならびに緊急回避システムおよび連結商用車 図1
  • 特許-連結商用車における回避操縦の実行方法、ならびに緊急回避システムおよび連結商用車 図2a-2c
  • 特許-連結商用車における回避操縦の実行方法、ならびに緊急回避システムおよび連結商用車 図3
  • 特許-連結商用車における回避操縦の実行方法、ならびに緊急回避システムおよび連結商用車 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】連結商用車における回避操縦の実行方法、ならびに緊急回避システムおよび連結商用車
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20231213BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20231213BHJP
   B60W 10/20 20060101ALI20231213BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20231213BHJP
   B60W 10/184 20120101ALI20231213BHJP
   B60W 30/02 20120101ALI20231213BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20231213BHJP
   B62D 13/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B60W30/09
B60T7/12 C
B60T7/12 Z
B60W10/00 132
B60W10/184
B60W10/20
B60W30/02
B62D6/00
B62D13/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019515533
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2017000995
(87)【国際公開番号】W WO2018054517
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2019-05-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】102016011282.4
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】315014327
【氏名又は名称】ヴァブコ・ヨーロッパ・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】バート・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ディークマン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カレンバッハ・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】リュルフィング・ラルフ-カルステン
(72)【発明者】
【氏名】プレーン・クラウス
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-262837(JP,A)
【文献】特開2007-210594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0152236(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
B62D 6/00 - 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結商用車(100)における回避操縦(AWM)を実行する方法であって、少なくとも以下のステップ:
-衝突物体(200)が連結商用車(100)から回避距離(DA)だけ離れている走行状況であって、連結商用車(100)と衝突物体(200)との衝突(K)が切迫している走行状況が認識されたかどうかを求めるステップ(St1);
-衝突物体(200)との衝突(K)が切迫している走行状況が認識された場合は、連結商用車(100)が走行時に衝突物体(200)に接触せずに衝突物体(200)を回避するための回避軌道(AT_i,i=0,…,N)を求めるステップ(St3);
-回避軌道(AT_i)を用いて目標操舵角(LSoll)を求め、及び、求められた目標操舵角(LSoll)に依存して連結商用車(100)のアクティブ操舵システム(30)をコントロールして、回避操縦(AWM)の実行のために連結商用車(100)を回避軌道(AT_i)に沿って出発車線(300a)から目的車線(300b)に移動させるステップ(St5);
-回避操縦(AWM)の実行中、連結商用車(100)を制動するために車両目標減速度(zSoll)を求め、及び、この車両目標減速度(zSoll)に依存して連結商用車(100)の電子的ブレーキシステム(60)をコントロールするステップ(St5)、を有する、連結商用車(100)における回避操縦(AWM)を実行する方法において、
回避操縦(AWM)の実行中に連結商用車(100)の横加速度(aLat)が求められ(St5.3)、その際、
-横加速度(aLat)が最大横加速度(aLatMax)に達した場合、又はこれを超えた場合に、連結商用車(100)の転倒を防止するために目標操舵角(LSoll)が制限される(St5.4)こと、及び、
-連結商用車(100)の総加速度(aTot)が最大総加速度(aTotMax)に達した場合、又はこれを超えた場合に、方向安定性の損失又はコース逸脱を防止するために、車両目標減速度(zSoll)が最大車両目標減速度(zSollmax)に制限される(St5.7)こと、
回避操縦(AWM)の始めに最初の回避軌道(AT_0)が求められ(St3)、その際、最初の回避軌道(AT_0)は、衝突物体(200)から回避距離(DA)だけ離れている出発車線(300a)上の始点(P1)と、当該始点(P1)から連結商用車(100)の走行方向に回避距離(DA)だけ離れ且つ連結商用車(100)と衝突物体(200)との間の回避後の間隔を表す横オフセット(Q)だけ走行方向に垂直な横方向に衝突物体(200)から離れた目的車線(300b)上の終点(P2)との間に決定されること、
目標操舵角(LSoll)が制限されることにより生じる、最初の回避軌道(AT_0)からの、連結商用車(100)の実際の回避軌道(ATreal)の偏差を補償するための更新回避軌道(AT_i、i>0)の始点となる中間点(Zi)の、連結商用車(100)の走行方向における位置が、予め所定の個数だけ定められ、
回避操縦(AWM)の実行中、連結商用車(100)が、一つの中間点(Zi)の走行方向における位置に到達したら、当該中間点(Zi)の横方向の位置が求められ、
それぞれの中間点(Zi)において、更新回避軌道(AT_i、i>0)が求められ(St3)、それに基づいて、次の中間点に到達するまでの回避操縦のさらなる制御がそれぞれ行われていくこと、
を特徴とする、連結商用車(100)における回避操縦(AWM)を実行する方法。
【請求項2】
連結商用車(100)が、連結後面(102)を前記始点(P1)から走行方向に回避距離(DA)だけ離れた位置又は走行方向に回避距離(DA)を超えた位置に位置付けて止まる(ST5.2)ように、回避操縦(AWM)中の車両目標減速度(zSoll)が選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
車両目標減速度(zSoll)を制限するために、横加速度(aLat)と車両目標減速度(zSoll)とから総加速度(aTot)が求められ、総加速度(aTot)が最大総加速度(aTotMax)に達した場合、又はこれを超えた場合は、車両目標減速度(zSoll)が最大車両目標減速度(zSollmax)に制限される(St5.6)ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
連結商用車(100)の総加速度(aTot)が最大総加速度(aTotMax)に達した場合、又はこれを超えた場合かどうかが、車両目標減速度(zSoll)が最大車両目標減速度(zSollmax)に達したかどうか、又はこれを超えたかどうかが検証されることによって検証され、このとき最大車両目標減速度(zSollmax)は最大総加速度(aTotMax)に依存していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
現在要求されている目標操舵角(LSoll)の結果として得られた横加速度(aLat)により総加速度がまだ最大総加速度(aTotMax)に到達していない、又はこれを超えていない場合にのみ、車両目標減速度(zSoll)が要求できるよう、最大車両目標減速度(zSollmax)が決定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
最大総加速度(aTotMax)が、摩擦係数(mue)に依存し、最大総加速度(aTotMax)は、該摩擦係数(mue)が0.5であるとして計算されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
それぞれの中間点(Zi)には、その中間点(Zi)との走行方向における間隔が前記回避距離(DA)に相当するように、最初の回避軌道(AT_0)の終点(P2)から連結商用車(100)の走行方向に向かってずらされた位置にそれぞれ設けられた回避点(Ai)が割り当てられ、連結商用車(100)がそれぞれの更新回避軌道(AT_i、i>0)を走る際に衝突物体(200)に接触することなく衝突物体(200)を回避するように、更新回避軌道(AT_i,i>0)が、始点としての中間点(Zi)と、終点としての回避点(Ai)との間に決定され、及び、
更新回避軌道(AT_i、i>0)が最初の回避軌道(AT_0)上にあるか、又は、衝突物体(200)から離れて目的車線(300b)に向かう方向において前記横オフセット(Q)から許容値(T)以上にずれないように、更新回避軌道(AT_i、i>0)が決定されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
連結商用車(100)がそれぞれの中間点(Zi)の走行方向における位置に到達するたびに、連結商用車(100)の現在の車両x位置(xa)及び現在の車両y位置(ya)に基づいて、中間点(Zi)の横方向において、中間点の位置が現在の車両y位置(ya)にずらされ、その際、現在の車両x位置(xa)及び現在の車両y位置(ya)がオドメーター測定により、ある時間間隔(dt)の前に有効であった以前の車両x位置(xb)もしくは以前の車両y位置(yb)、現在のヨー角(YawAng_a)及び現在の車両速度(vFzg)から求められることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
現在のヨー角(YawAng_a)が積分により、時間間隔(dt)の前に有効であった以前のヨー角(YawAng_b)及び現在のヨーレート(YawRate)から推論されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
現在の車両x位置(xa)を決めるために、安定性コントロールシステム(50)の情報(vFzg、YawRate)を用いることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
現在の横加速度(aLat)が最大横加速度(aLatMax)を超えていない場合は、目標操舵角(LSoll)が、回避軌道(AT_i,i=0,…,N)を用いて求められることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
回避操縦(AWM)の実行に際しては、中間点(Zi)の、連結商用車(100)の走行方向における3から20個の位置が選ばれ、それら中間点において更新回避軌道(AT_i、i>0)がそれぞれ求められることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
連結商用車(100)が回避距離(DA)に到達した後、さらなる回避軌道(AT_i)が求められ、その際、連結商用車(100)を目的車線(300b)に対して平行にするために、回避距離(DA)に到達した後は回避点(Ai)が固定されることを特徴とする、請求項7を直接的または間接的に引用する請求項8から12のいずれか一項または請求項7に記載の方法。
【請求項14】
最大横加速度(aLatMax)が転倒限界(KG)から推論され、その際転倒限界(KG)は転倒防止装置(52)により与えられ、3m/sで一定であるか、又は、転倒防止装置(52)により車両に依存して求められることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
横加速度(aLat)が、それぞれ直前に計算された回避軌道(AT_i,i=0,…,N)の関数(f)の現在の車両x位置(xa)における第2導関数(f2)に依存して求められることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を実行する緊急回避システム(80)であって、少なくとも、アクティブ操舵システム(30)、緊急ブレーキシステム(40)、転倒防止装置(52)を備える安定性コントロールシステム(50)、ならびに電子的ブレーキシステム(60)を有し、安定性コントロールシステム(50)は、安定性コントロールシステム(50)の制御装置(51)を介して連結商用車(100)の走行ダイナミクスのコントロールを行なう、緊急回避システム(80)。
【請求項17】
牽引車(10)とトレーラー(20)とから成り、請求項16に記載の緊急回避システム(80)を有する、連結商用車(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結商用車における回避操縦の実行方法ならびに緊急回避システムに関する。
【背景技術】
【0002】
連結商用車における緊急ブレーキシステム(AEBS)は、衝突物体との衝突が差し迫っていることが認識されると、相応に選択された車両目標減速度で連結車両のブレーキかけを開始するものである。それにより連結車両は衝突物体に到達する前に止まるため、人身傷害の確率が低く抑えられる。その際連結車両の制動は、とりわけさらなる衝突を避けるように行われる。
【0003】
そのような緊急ブレーキシステムは、緊急ブレーキかけを高い摩擦係数で、つまり乾いた車道上で実行することが想定されている。摩擦係数が低い場合は衝突物体を追加的に回避し、それにより追突事故を避けるために追加的な操舵が必要になる可能性がある。
【0004】
特許文献1には切迫した衝突が認識されると、とりわけ制御信号を用いてブレーキシステムをコントロールすることにより衝突を避ける衝突回避方法が記述されている。衝突がブレーキかけではもはや避けられない場合は、操舵に能動的に介入することにより自動化された回避操縦を実施することもできる。
【0005】
ここで短所として、自動化された回避操縦を実施する際に連結車両の安定性が考慮されないことが挙げられる。
【0006】
特許文献2による商用車用の安定性制御では、追加的なヨーレートセンサーの使用を避けるために、転倒防止のために使用される実際揺動挙動は測定された横加速度から、目標揺動挙動は現在の操舵角から求められる。
【0007】
特許文献3には連結商用車用の安定性制御装置が示されており、その安定性制御装置により、揺動運動により起こる連結車両の振り子運動が求められ、振り子運動が認められた場合はブレーキ制御が実施され、ならびにエンジントルクが制限される。
【0008】
特許文献4には、回避操縦においてドライバーを支援する方法が記載されており、そのために、回避操縦のために車両がたどって移動すべき回避軌道が求められる。車両がこの回避軌道からはずれた場合は、例えば独立ブレーキによりこの偏差を緩和させるヨーモーメントをホイールにおいて生成させて、車両を再び回避軌道の方向に移動させ、この回避軌道を走らせることができる。
【0009】
特許文献5によると、連結車両の揺動運動が起きた場合に、ドライバーから独立した操舵介入が実行され、ならびに、実際ヨーレートが目標ヨーレートからはずれていれば連結車両の駆動トルクを低減し、連結車両の安定化が行われる。
【0010】
特許文献6にも連結車両を安定化させるシステムが記載されている。そこでは、危急なトレーラー振動が認識されると、自動で操舵に介入が行われる。
【0011】
特許文献7にも、連結車両を安定化させる方法が記載されており、そこでは、揺動運動が認識され、揺動運動を特徴づける揺動の大きさが第1の閾値を超えた場合に、ドライバーから独立した操舵介入が行われる。また、第1の閾値より高い第2の閾値を超えた場合も、ブレーキ介入が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許公報2240354号明細書
【文献】欧州特許公報2268515号明細書
【文献】欧州特許公報2644464号明細書
【文献】独国特許公報102005018486号明細書
【文献】独国特許出願公開10342865号明細書
【文献】独国特許公報102005028787号明細書
【文献】独国特許公報10201222862号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、連結商用車における回避操縦実行方法を記述することであり、この方法により、摩擦係数が低い場合でも、切迫した衝突を着実にまた確実に避けることができ、それと同時に、連結商用車の車両安定性を維持することにより二次的な事故結果を防ぐことができる。本発明の課題はまた、緊急回避システムおよび連結商用車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は請求項1に記載の方法ならびに請求項16に記載の緊急回避システムおよび請求項17に記載の連結商用車により解決される。望ましい発展形は、従属請求項に記載されている。
【0015】
本発明によると、連結商用車と衝突物体との衝突が切迫していることが認識された後、及び、回避操縦において衝突物体を回避するために連結商用車が自動化された移動によりたどる回避軌道が求められた後、連結商用車の現在の横加速度が求められ、現在の横加速度が最大の横加速度を超えた場合、及び/又は、車両目標減速度が、望ましくは最大横加速度に依存する最大の車両目標減速度を超えた場合に、現在の横加速度に依存して目標操舵角が、及び/又は、必要であれば車両目標減速度も制限される。
【0016】
ここで連結車両が自動化された移動により回避軌道をたどるとは、求められた回避軌道をたどるために、目標操舵角及び車両目標減速度が自動化されて与えられることにより、操舵及びブレーキかけに能動的に介入することと理解される。それにより連結車両は、連結商用車が回避操縦以前にいた出発車線から、連結商用車を停止させるための車線として与えられた目的車線へと移動する。
【0017】
それによりすでに好適に、追加的に安定性要件を考慮して回避操縦を実行することができ、それにより、回避操縦中に、大きすぎる目標操舵角により連結車両が傾き出したり、又は、車両目標減速度が高すぎることにより摩擦結合限界を超えた時に方向安定性の損失が起こり、それにより、牽引車のアンダーステア又はオーバーステアによるコース逸脱、又は、トレーラーのコース逸脱もしくはジャックナイフ現象が起こることを防止できる。
【0018】
このようにして、衝突が認識された後、一次的に切迫した追突事故だけでなく、その結果として起こる二次的な事故結果も好適に防止できる。
【0019】
ここで、まず回避操縦の始めにおいて回避軌道として最初の回避軌道が求められ、回避操縦中には周期的に、連結車両が予め定義された中間点に到達したときに、更新回避軌道が求められる。好適には、とりわけ目標操舵角の制限により生じた、最初の回避軌道からの偏差は、ここで更新回避軌道により補償される。
【0020】
回避軌道は望ましくはそれぞれ5次多項式を用いて、境界条件に依存して求められ、その際この境界条件は、連結商用車が、回避距離にわたってそれぞれの回避軌道を走る際に衝突物体に接触せずに衝突物体を回避するように、つまり、回避距離の後、連結商用車が目的車線にあるときに衝突物体の隣には少なくとも横オフセットが保持されているように、決定される。
【0021】
ここで回避距離は、回避操縦が作動されてから、つまり、緊急ブレーキシステム(AEBS)から切迫した衝突についての警告が出力された時点からの、衝突物体と連結商用車との間の間隔を表している。横オフセットは回避距離に対して垂直になるようにされている。ここでカルテシアン座標系を用いることができ、そこでは回避距離は、例えば出発車線又は目的車線に対して平行であるx方向もしくはx軸上にあり、また、横オフセットはy方向もしくはy軸上にある。するとこのカルテシアン座標系において車両x位置はx座標により、また、車両y位置はy座標により表される。
【0022】
それにより、衝突を着実に避けることができ、その際、追加的な操舵により例えばμ<=0.5という低い摩擦係数においても、つまり、とりわけ濡れた車道であっても追突事故を防止することができる。
【0023】
自動化された操舵指示のための目標操舵角は時間間隔ごとに常時求められており、望ましくは現在の車両x位置においてそれぞれ最後に求められた回避軌道の関数の第2導関数から推論され、つまり、横加速度が最大横加速度を超えていなければ、それぞれの回避軌道の曲率から推論される。しかしながら最大横加速度を超えた場合は、目標操舵角が制限され、目標操舵角はそのために最大横加速度に比例して、及び/又は、その逆に現在の車両速度に比例して、選択される。
【0024】
また、望ましくは現在の横加速度も、現在の車両x位置におけるそれぞれの回避軌道の関数の第2導関数から求められる。
【0025】
現在の車両x位置は、目標操舵角及び横加速度を決定するために、望ましくはオドメーター測定により決められ、つまり、ある時間間隔の前に有効であった以前の車両x位置を用いて、連結車両の運動を基に、連結車両が、現在の時点にどの車両x位置にあるかが見積もられる。そのためにとりわけ、重心における連結車両の現在のヨーレートを求める安定性コントロールシステム(ESC)の情報が用いられる。そこから、積分により現在のヨー角を求めることができる。現在のヨー角及び現在の車両速度から、連結車両が以前の車両x位置からどの方向に、及びどれだけ運動したかが推論される。そこから現在の車両x位置が推論される。
【0026】
それにより好適に、例えば衛星ナビゲーションシステム、とりわけGPSといった、追加的な位置センサーなしで、連結車両においていずれにせよ測定される情報から現在の車両x位置を求めることができる。それに加えて、現在のヨーレート及び現在の車両速度を高精度で及び素早く求めることができ、位置決定は、例えばGPSにおけるトンネル通過など、連結車両の周囲状況により影響されない。しかし利用できるのであれば、あくまで補足的に、納得性のために衛星ナビゲーションシステムのデータを用いることもできる。
【0027】
最大横加速度超過の際、必然的に最初の回避軌道を離れることにつながる目標操舵角の制限を補償するために、回避操縦の実行中に中間点において、更新回避軌道が上述のように計算される。すると中間点以後は、目標操舵角ならびに横加速度が、現在の車両x位置における更新回避軌道もしくはその第2導関数を用いて求められる。
【0028】
それにより好適に、回避操縦中に中間点以後、再び、目標操舵角及び現在の横加速度の正確な計算が行えるようになる。回避操縦の信頼性と確実性が高まる。
【0029】
境界条件として、更新回避軌道のために、オドメーター測定により座標が求められる中間点、及び、この中間点に割り当てられた回避点が決定され、また、これらの点における車両の向きが考慮される。そのために回避点をx方向において例えば中間点に対して、連結商用車の走行方向において後ろに向かってずらし、それにより中間点と回避点との間の間隔が回避距離に相当するようにすることができる。
【0030】
更新回避軌道の計算のために回避点をずらすことにより好適に、連結車両がそれぞれの回避点の領域に到達した際に数値的に大きなステアリングダイナミクスが起こらないようにすることができる。これが起こり得るのは例えば、連結車両が回避距離に到達し、かつ連結車両がこの点において予め決定された終点にいない場合である。この場合、それでもその終点に到達するために、計算された目標操舵角は数値的に高くなる。これを避けるために、連結商用車の走行方向において後ろにずらされた回避点が選ばれる。
【0031】
また、一つの回避点もしくは複数の回避点をずらす際には、それぞれの中間点及び回避点から推論された更新回避軌道の、最初の回避軌道からの偏差が許容値より小さくなるよう、また、更新回避軌道が、最初の回避軌道から出発してy方向においてのみ、衝突物体から離れて目的車線の方向に偏差するよう、ずらしを選択することができる。
【0032】
それにより、新しい計算により連結車両が、通過の直前又は通過の際に衝突物体に近づきすぎることを好適に避けることができる。またそれにより、連結車両が衝突物体を通過した後、より素早くまっすぐな姿勢、つまり、目的車線に対して平行になるようにすることができる。
【0033】
回避操縦の実行中、個数として3から20の中間点もしくは新しい計算を選ぶことができる。それにより目標操舵角及び現在の横加速度を非常に正確に決定することができる。
【0034】
衝突物体に到達した後、つまり、回避距離を走り終わって目的車線に到達した後、さらなる更新回避軌道を求めることもでき、その際は回避距離に到達した後の回避点は固定され、x方向においてもはやずらされることはない。この新しい計算により、さらなる操舵運動により、連結車両が目的車線に平行になるようにされる。
【0035】
望ましくは、目標操舵角を制限するための最大横加速度は転倒限界から求められ、転倒限界は、連結商用車内にある、安定性コントロールシステムの一部である転倒防止装置により与えられる。転倒限界は例えば一定、例えば3m/sとすることができ、又は、転倒防止装置により車両に依存して求めることができ、その際例えば連結車両の載荷及び車両速度を考慮することができる。
【0036】
望ましくは、連結車両の連結後面が、回避距離で又は走行方向に回避距離の後で止まるように、連結商用車を制動するための回避操縦中の車両目標減速度が選ばれる。それにより好適に、連結商用車が出発車線内に後続の交通のために場所をあけ、衝突物体の後ろに突き出しておらず、及び/又は、その際複数の車線にまたがらないようにされる。このとき、連結商用車の電子的ブレーキシステムを制御することにより、連結商用車が止まるのは、回避操縦の開始以後、早くとも回避距離に連結長さを加えた距離の後になるようにされる。
【0037】
このとき、電子的ブレーキシステムに与えられた車両目標減速度は、長手方向加速つまり車両目標減速度と横加速度とから成るベクトルの和から推論される連結車両の総加速度が最大総加速度を超えないように制限される。これは例えば総加速度を測定し、最大総加速度と比較することにより行われる。最大総加速度に到達又はこれを超えた場合、要求された車両目標減速度は最大車両目標減速度に制限される。ここで望ましくは、最大車両目標減速度は、望ましくは摩擦係数、とりわけμ<=0.5、つまり、濡れた車道の摩擦係数に依存する最大総加速度に依存して、及び現在の横加速度に依存して決定される。
【0038】
代替的に、要求された車両目標減速度は直接的に監視することもでき、これは、最大総加速度に依存する最大車両目標減速度より小さいか又はこれと同じである車両目標減速度のみを、電子的ブレーキシステムに要求できるようにすることにより行われる。これにより、それより高い車両目標減速度が要求されることが予め阻止される。
【0039】
それにより好適に、電子的ブレーキシステムから車両目標減速度を要求できるのは、最大総加速度が、目標操舵角で要求された操舵によりもたらされた横加速度にまだ達していないか、又はこれを超えていない場合のみとすることができる。それにより、要求可能な車両目標減速度の高さは、操舵要求による連結車両の総加速度がすでにどのくらいの高さであるかに基づくものとなる。
【0040】
好適にはそのために、操舵にはブレーキかけより高い優先度が与えられている。つまり、とりわけ連結商用車が複数の車線をまたぐことがなく、またそれによりとりわけ出発車線における後続の交通を邪魔しないことを保証するために、回避操縦は、衝突物体の回避が一次的であり、停止に至るのは二次的であるべきであるという条件の下で行われる。
【0041】
以下に、付属の図面を用いて本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】緊急回避システムを備える連結商用車の図式的な図である。
図2a】回避操縦例を表した図である。
図2b】回避操縦例を表した図である。
図2c】回避操縦例を表した図である。
図3】本発明の方法を実行するための流れ図である。
図4】本発明の方法を実行するための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1には牽引車10としてのトラクター及びトレーラー20としてのセミトレーラーを持つ連結商用車100が図示されている。連結商用車100は代替的に、ドローバートレーラーを持つトラックで実施することもできる。連結商用車100の牽引車10内には、連結商用車100を自動で操舵するよう構成されているアクティブ操舵システム30、自身の連結商用車100の前方にある衝突物体200との切迫した衝突Kを例えばカメラ41及び/又はレーダー42を用いて認識するよう構成されている緊急ブレーキシステム40(AEBS)、ならびに、ESC(安定性コントロールシステム)制御装置51を介して連結商用車100の走行ダイナミクスのコントロール及び調整を行う安定性コントロールシステム50(ESC)、が配置されている。ESC制御装置51にはとりわけ転倒防止装置52(RSC)が設けられており、これは、駆動及びブレーキシステム60への介入により連結商用車100の転倒確率を低減することができる。
【0044】
連結商用車100はまた、電子的ブレーキシステム60(EBS)を有しており、これを用いて、決められた車両目標減速度zSollが要求された場合に、EBS制御装置61より制御されて、連結商用車100の自動化された制動を行うことができる。本発明の実施例によると車両目標減速度zSollは、とりわけ緊急回避制御装置70から要求され、これは、衝突物体200との切迫した衝突Kが認識された場合に、アクティブ操舵システム30を介して目標操舵角LSollが要求され、同時に車両目標減速度zSollが与えられることにより、衝突物体200を回避するように構成されている。
【0045】
つまりアクティブ操舵システム30、緊急ブレーキシステム40、安定性コントロールシステム50、及び電子的ブレーキシステム60は、緊急回避システム80を構成しており、これは緊急回避制御装置70から制御され、切迫した衝突Kにおいては操舵及びブレーキかけを組み合わせて要求することにより、事故結果を低減させることができる。
【0046】
操舵とブレーキかけとを組み合わせて実施するために、切迫した衝突Kが認識された後、緊急回避制御装置70により、まず最初の回避軌道AT_0が計算され、連結商用車100はこの最初の回避軌道AT_0に沿って出発車線300aから目的車線300bに導かれて、回避操縦AWMにおいて衝突物体200を回避する。最初の回避軌道AT_0の例は図2aにおいて細かい破線で示されている。
【0047】
そのためには出発車線300a上で始点P1が選ばれ、これは、現在の時点における自身の連結商用車100の連結前面101の位置を表す。始点P1は例えば、x及びy座標を持つカルテシアン座標系の原点に置かれ、このときx軸は車線300a、300bに関して長手方向を、y軸は横方向を表す。
【0048】
また、例えば緊急ブレーキシステム40により始点P1から衝突物体200までの回避距離DAが求められ、ここで回避距離DAは、緊急ブレーキシステム40がある走行状況を危急であると分類する、つまり、切迫した衝突Kを認識して回避操縦AWMを開始するのがいつからであるかを表しており、操舵及びブレーキかけにより確実な回避を可能にするために、この回避距離DAは30mから40mの間にある。
【0049】
また、横オフセットQが求められ、これは、回避後の、自身の連結商用車100と衝突物体200との間の所望の間隔を表すものである。回避距離DA及び横オフセットQにより目的車線300b上の終点P2が決定され、これを用いて、回避操縦AWMの始めに最初の回避軌道AT_0が計算される。
【0050】
最初の回避軌道AT_0を計算するために5次多項式が用いられ、つまり、第1導関数 f1(x)及び第2導関数f2(x)を持つ関数f(x):
【数1】
が用いられ、このときf(x)はy座標を、xはx座標を、ciは5次多項式の係数を表しており、これらにより、最初の回避軌道AT_0の、とりわけ始点P1と終点P2との間の正確な推移が決定される。
【0051】
係数ciを求めるために、所与の境界条件が使用され、つまり、P1のためにf(0)=0が、P2のためにf(DA)=Qが使用される。また、連結商用車100は始点P1及び終点P2においてまっすぐに走行する、つまり、P1についてはf1(0)=0、P2についてはf1(DA)=0であると仮定される。また、始点P1及び終点P2における最初の回避軌道AT_0の曲率(Kruemmung)も同様にナルである、つまり、P1についてはf2(0)=0、P2についてはf2(DA)=0であると仮定される。
【0052】
この境界条件において係数ciは線形方程式系を解くことにより一意的に決めることができ、それにより、始点P1と終点P2との間の最初の回避軌道AT_0が決定される。
【0053】
最初の回避軌道AT_0の計算後、最初の回避軌道AT_0をたどるために、各時間間隔dt後にどの目標操舵角LSollをアクティブ操舵システム30に送るべきかを求める必要がある。これは、回避操縦AWMの始めにおいては最初の回避軌道AT_0を用いて行われ、その回避軌道AT_0のために目標操舵角LSollは以下の式:
【数2】
から得られ、ここでvFzgは重心SPの現在の車両速度を、f2(xa)は連結商用車100の現在の車両x位置xaにおける最初の回避軌道AT_0の第2導関数、つまり、点xaにおける最初の回避軌道AT_0の曲率を、LRatioは連結商用車100のオーバーオールステアリング比を、及び、fStatは連結商用車100の揺動挙動の静的伝達関数を表しており、これは、車軸間距離R、現在の車両速度vFzgならびにセルフステアリング勾配LGradから求められる。
【0054】
このとき現在の車両x位置xaは、ある時間間隔dtの前に有効であった、以前の車両x位置xb、自身の連結商用車100の現在のヨー角YawAng_a及び現在の車両速度vFzgから、オドメーター測定により求められる。
【数3】
【0055】
現在のヨー角YawAng_aは、例えば安定性コントロールシステム50により測定された現在のヨーレートYawRateから推論され、
【数4】
ここでYawAng_bは、その時間間隔dtの前に有効であった、以前のヨー角を表している。
【0056】
つまり、現在の車両x位置xaを決めるために位置決め用のさらなるセンサーが使用されるのではなく、例えば安定性コントロールシステム50によりすでに決められ、緊急回避システム80の緊急回避制御装置70に提供された値のみが用いられる。しかしもっともらしさのために衛星ナビゲーションシステム90、例えばGPSのデータを用いて現在の車両x位置xaを決めることもできる。
【0057】
図2cにおいて二点三短鎖線で示されているのは、回避操縦AWMの始めに最初の回避軌道ATstartを用いて求められ、連結商用車100の対応するx位置における目標操舵角LSollを表す操舵角推移LStartの例である。この操舵角推移LStartは回避操縦AWMの始めに仮定される。
【0058】
回避操縦AWMの進行中に、回避操縦AWMにより他の事故が引き起こされないようにするため、操舵角推移LStartによる目標操舵角LSollの最初の計算は、回避操縦AWM中に継続して修正され、車両目標減速度zSollもさらに決定され、この車両目標減速度zSollは同時に、回避操縦AWM中に連結商用車100の制動のためにも用いられる。
【0059】
このようにして、一次的に切迫した追突事故だけでなく、連結商用車100の転倒又は不安定もしくはジャックナイフ現象といった二次的な事故も防止される。
【0060】
このとき目標操舵角LSollの修正は、連結商用車100の現在の横加速度aLat、つまり、重心SPの運動方向に対して垂直に作用する加速に依存して行われる。
【0061】
これは、現在の車両x位置xaにおける第2導関数f2(xa)から求められる。
【数5】
【0062】
つまり、現在の横加速度aLatを決める際にも、例えば安定性コントロールシステム50によりすでに決められ、緊急回避システム80の緊急回避制御装置70に提供できる値が用いられる。
【0063】
横加速度aLatを制限することにより、例えば3m/sという、決定された転倒限界KGが保持され、この値は、その値以上においては、高い重心SPを持つ連結商用車100において連結商用車100の転倒につながり得るものである。この転倒限界KGはすでに転倒防止装置52において考慮されており、自身の連結商用車100に関する転倒限界KGを用いてESC制御装置51により、車両に依存した、及び、速度に依存した最大横加速度aLatMaxが出力され、転倒限界KGはそれについて保持される。
【0064】
ここで前提となっていることは、転倒防止装置52により求められた、自身の連結商用車100の目下の走行挙動のための最大横加速度aLatMaxが信頼できる値であることであり、そのため、最大横加速度aLatMaxのこの値が、回避操縦AWMのためのその後の計算においても基礎とされる。しかし、実行されたダイナミックな回避操縦AWMにおいて横加速度aLatがそれほど素早く形成されず、目標操舵角LSollを不必要に切り下げるべきではないことを考慮するために、最大横加速度aLatMaxは代替的に適合を行うこともできる。
【0065】
回避操縦AWM中に転倒限界KGを超えないようにするため、上記の求められた現在の横加速度aLatが最大横加速度aLatMaxを超えると直ちに、目標操舵角LSollが以下のように制限される。
【数6】
【0066】
目標操舵角LSollを制限すると必然的に、連結商用車100がもはや回避軌道AT_0の通りには進まなくなる(図2a参照)。連結商用車100はむしろ、回避操縦AWM全体にわたって、実際の操舵角推移Lrealにより引き起こされた実際の回避軌道ATrealをたどる(図2c参照)。
【0067】
この事情を考慮するために、決められた中間点Zi(i=1,…,N)において回避操縦AWMのために回避軌道の新しい計算が行われる、つまり、周期的に更新回避軌道AT_i(i=1,…,N)が求められ、その際はそれぞれ最後に計算された回避軌道AT_iが、目標操舵角LSoll及び現在の横加速度aLatを計算するための計算基礎となる。
【0068】
それぞれの更新回避軌道AT_iを決めるには、最初の回避軌道AT_0を決める場合と同様に行われるが、回避操縦AWMの始めのときからは変更された境界条件を用いて計算される。それにより、境界条件としてもはや始点P1ではなく、それぞれの中間点Ziにおける走行状況が考慮される。そのために現在の車両x位置xa及び現在の車両y位置yaが以下の式より計算される。
【数7】
ここでybは、時間間隔dt以前に有効であった、以前の車両y位置を表し、ヨー角YawAng_aは、先述の通り、ヨーレートYawRateから積分により計算される。
【0069】
連結商用車100がその向きを変えたため、それぞれの中間点Ziについて、f(xa)=ya及びf1(xa)=tan(YawAng_a)に関して更新回避軌道AT_iの新しい始点Ziのための境界条件が得られ、また、連続した曲率移行を確実に行うために、f2(xa)は以前の回避軌道AT_(i-1)のf2(xb)となる。
【0070】
衝突物体200の領域での当初の終点P2における数値的に大きなステアリングダイナミクスを避けるために、当初の終点P2は新しい計算のためにx方向において後方に回避点Aiへとずらされる。この実施形態においてはそのために、衝突物体200に対する横オフセットQが維持される、つまり、回避点Aiのために終点P2のy座標が引き継がれ、当初の終点P2のx座標は連結商用車100の走行方向の後ろに向かってずらされ、その際にはそれぞれの中間点Ziと今の回避点Aiとの間に回避距離DAが保たれるようにされる。図2aには例として最初の2つの回避点A1、A2が図示されている。すると、これら回避点Aiのための5次多項式、つまり、更新回避軌道AT_iの関数f(x)を定義するための境界条件として変化するのはx座標のみである。代替的に、それぞれの回避点Aiのx座標も、別の量(anderen Betrag)だけ後方にずらすことができ、例えば、回避距離DAの決められた因子fだけ、つまり、回避距離DAの分数又は倍数だけ、それぞれずらすことができる。
【0071】
図2aの実施形態によると典型的には衝突物体200に達するまでに3つの新しい計算が行われ、つまり、i=1、2、3であり、つまり、3つの中間点Z1、Z2、Z3が存在し、これらの中間点以後それぞれ新しい更新回避軌道AT_1、AT_2、AT_3が、目標操舵角LSollならびに現在の横加速度aLatを計算するために使用される。しかしながら、目標操舵角LSollが低減された場合であっても衝突物体200を確実に迂回するために、さらに多くの新しい計算を行うこともできる。
【0072】
連結商用車100が当初の終点P2に到達すると、連結商用車100をまっすぐにするため、つまり、衝突物体200もしくは目的車線300bに対して平行にするために、さらなる新しい計算を実行することができる。この新しい計算においては、それぞれの中間点Ziが連結商用車100の現在の位置にずらされるのみである。それぞれの回避点Aiは、終点P2に到達後に固定される。
【0073】
望ましくは、更新回避軌道AT_iの新しい計算において回避点Aiを選ぶ際には、一方では、更新回避軌道AT_iが、回避距離DAより大きなx値については、目的車線300bを離れないように当初要求された横オフセットQから許容値T以上に偏差することがないよう、また、もう一方では、衝突物体200の隣で数値的に大きな目標操舵角LSollが発生しないようにようにされる。
【0074】
また、更新回避軌道AT_iは、回避距離DAより大きなx値については、最初の回避軌道AT_0から出発して衝突物体200に向かう方向ではない方向において最初の回避軌道AT_0から偏差するように定められており、それにより、連結商用車100が回避距離DA後に目的車線300bにあるときには、連結商用車100はいずれにせよ横オフセットQを維持する。したがって図2aにおいて許容値Tは、上に向かってのみ、つまり、より高いy値に向かってのみ図示されている。
【0075】
また、連結商用車100が回避操縦AWM後に後続の交通を邪魔しないように、緊急回避制御装置70から車両目標減速度zSollが与えられ、それにより連結商用車100は最初の回避軌道AT_0もしくは更新回避軌道AT_iに沿って制動され、その際、連結商用車100の連結後面102が、回避距離DAの後で又は終点P2以降は目的車線300b上で止まるようにされる。
【0076】
そのため、当初の終点P2に到達後の更新回避軌道AT_iの決定ともあいまって、連結商用車100が目的車線300bに対しておおよそ平行に止まり、その際、連結後面102も含めたx値は回避距離DAより小さい値にはならないため、後続の交通のために場所をあけることができ、また、連結商用車100が複数の車線300a、300bにまたがって止まることもない。このとき車両速度vFzgによっては、連結商用車100をまっすぐにして停止させるために、終点P2から小規模な操舵を行うことができる。
【0077】
これを達成するには、まず緊急回避制御装置70から車両目標減速度zSollを電子的ブレーキシステム60に要求し、それに基づいて連結商用車100は現在の車両x位置xaから、停止距離DSの後にナルとなる車両速度vFzgに到達する。ここで以下の式
【数8】
においてBは連結商用車100の連結長さを表し、xaは、上述の通り、例えばオドメーター測定により回避操縦AWM中に求められる。連結長さBは、連結商用車100もしくは緊急回避制御装置70に応じて与えることができる。図2aには連結商用車100の現在の車両x位置xaについての停止距離DSが図示されている。
【0078】
そこから、要求される車両目標減速度zSollは以下の式
【数9】
から得られ、車両目標減速度zSollは停止距離DSに応じて、常に現在の車両x位置xa及び現在の車両速度vFzgに適合される。
【0079】
要求される車両目標減速度zSollにより、例えば、摩擦結合限界を超えた場合に方向安定性を失い、それにより牽引車10のアンダーステア又はオーバーステアによるコース逸脱、又は、連結商用車100のトレーラー20のコース逸脱及びジャックナイフ現象(Einknicken)など、連結商用車100がさらに不安定になることがないよう、連結商用車100の重心SPの総加速度aTotは最大総加速度aTotMaxに制限される。
【0080】
この最大総加速度aTotMaxは、摩擦係数に依存する限界値を表しており、これは、aTotMax=mue*gから得られ、このときgは重力定数、つまり、9.81m/sであり、このときmueは摩擦係数を表しており、これは、濡れた車道とするとおよそ0.5であり、又は、摩擦係数に依存する限界値は本連結商用車100について他の方正函数により計算されて緊急回避制御装置70に伝達され、最大総加速度aTotMaxが計算される。
【0081】
上の式からこの最大総加速度aTotMaxを用いて最大の車両目標減速度zSollmaxが得られる。
【数10】
ここで横加速度aLatは上述のように以下の式から得られる。
【数11】
【0082】
図2a及び図2bから分かるように、総加速度aTotが最大総加速度aTotMaxを超えると直ちに、車両目標減速度zSollが最大の車両目標減速度zSollmaxに制限され、この時点において横加速度aLatも少し変化するため、この場合最大車両目標減速度は少し上昇する。そのため総加速度aTotがさらに上昇することはない。
【0083】
つまり、方向安定性の損失を避けるために、回避操縦AWM中は連結商用車100は、ステアリングの際に部分的に制動が少し弱められる。それにより必要であれば、現在要求されている操舵角LSollの結果として得られた横加速度aLatがすでに最大総加速度aTotMaxに相当しているという理由で、車両目標減速度がナルまで低減される可能性もある。
【0084】
そのため回避操縦AWMにおいては、車両目標減速度zSollは、長手方向加速と横加速度aLatとのベクトル和が最大総加速度aTotMaxを超えないような高さのみが選ばれる。
【0085】
すると図2aに図示された回避操縦AWMにおいて、総加速度aTotMaxに到達すると、まず車両目標減速度zSollの適合が行われ、目標操舵角LSollの制限による操舵への介入が行われるのは、操舵指示により最大横加速度aLatMaxを超えた場合のみである。それにより、連結商用車100の減速より回避の方の優先度が高くなる。
【0086】
図3によると、本発明の方法は例えば以下のように実行することができる。
【0087】
始めのステップSt0において例えば連結商用車100の始動により緊急回避システム80が初期化される(initialisiert)。
【0088】
次に第1ステップSt1において、緊急ブレーキシステム40より、前方にある衝突物体200との衝突Kが切迫しているか、つまり、カメラ41及び/又はレーダー42のデータの評価を用いて高い確率で衝突Kにつながる走行状況が認識されたかどうかが求められる。もしそうである場合は、次に、緊急回避システム80の緊急回避制御装置70により回避操縦AWMが開始され、実行される。
【0089】
次のステップSt2からSt6は、停止に到るまで、各時間間隔dtについて次々に実施される。
【0090】
第2ステップSt2において、回避軌道A_iの計算が必要かどうかを決定するために、現在の時間間隔dtについて現在の車両x位置xaが読み出される。
【0091】
現在の時間間隔dtにおいて回避操縦AWMが始動されたため、又は、中間点Ziに到達したために、計算が必要である場合、第3ステップSt3において回避軌道AT_iが上述のように求められ、このとき回避操縦AWMの始めに最初の回避軌道AT_0が、そして中間点Ziにおいて、i>0である更新回避軌道AT_iが求められる。
【0092】
第3ステップSt3において回避軌道AT_iが求められると、ステップSt4において新しい計算のためのインデックスiが1だけ増加し、予定された新しい計算の個数を用いて、どの車両x位置xaから次の新しい計算を行うべきか、もしくは、どの車両x位置において次の中間点Z.iに到達するかが求められる。
【0093】
第3ステップSt3において新しい回避軌道AT_iが求められない場合、本方法においては直接第5ステップSt5に進み、第5ステップにおいては、ステップSt3においてそれぞれ最後に求められた回避軌道AT_i(i=0,…,N)もしくはその第2導関数f2(xa)を用いて、回避操縦AWMの枠内でそれぞれの回避軌道AT_iをたどるためにアクティブ操舵システム30をコントロールするための目標操舵角LSoll、ならびに、車両目標減速度zSollが決定される。
【0094】
そのために図4の第1中間ステップSt5.1において、現在の時間間隔dtについて車両x位置xaが上述のようにオドメーター測定により求められる。
【0095】
第2中間ステップSt5.2においては、第1中間ステップSt5.1において求められた、現在の時間間隔dtについての車両x位置xaでの第2導関数f2(xa)を用いて、目標操舵角LSollが求められる。さらに、連結商用車100が停止距離DS後に止まるように現在の時間間隔dtについて車両目標減速度zSollが決定され、それにより、連結商用車100の連結後面102が、回避距離DAを完全に後にし、つまり、連結後面102も衝突物体200の隣に止まり、それにより衝突物体200の後方において出発車線300aは完全に後続の交通のために空けられる。
【0096】
第3中間ステップSt5.3においては、現在の時間間隔dtについて、第2中間ステップSt5.2において求められた操舵角LSollのために連結商用車100が転倒しそうであるかが点検され、横加速度aLat(f2(xa))がこの目標操舵角LSollについての最大横加速度aLatMaxを超えていれば、目標操舵角LSollが上述のように第4中間ステップSt5.4において制限される。
【0097】
回避操縦AWMの実行において、要求された車両目標減速度zSollのために方向安定性が失われること、つまり、連結商用車100のコース逸脱を防止するために、現在の時間間隔dtについて第5中間ステップSt5.5において、第2中間ステップSt5.2で求められた車両目標減速度zSollによりもたらされた総加速度aTotが求められ、第6中間ステップSt5.6においては総加速度aTotが最大総加速度aTotMaxに到達したか、又は、これを超えたかどうかが点検される。もしそうである場合は、第7中間ステップSt5.7において車両目標減速度zSollは最大車両目標減速度zSollmaxに制限される。総加速度aTotも目標操舵角LSollに依存するため、これによりブレーキかけは操舵より優先度が低くなる。
【0098】
第8中間ステップSt5.8において、場合によっては制限されている目標操舵角LSollがアクティブ操舵システム30に、また、場合によっては制限されている車両目標減速度zSollが電子的ブレーキシステム60に出力される。
【0099】
図3の第6ステップSt6において、車両速度vFzgが、この時間間隔dtにおいて停止に到達したかどうか、又は、ほとんど停止に相当する車両速度vFzgに到達したかどうかが点検される。もしそうである場合は、連結商用車100は、第7ステップSt7において止まり、その際は、回避軌道AT_0、AT_iならびに車両目標減速度zSollの計算により、目的車線300bに対しておおよそ平行になっており、また、衝突物体200から後方に向かって飛び出していないため、後続の交通のために場所が空けられてい
【0100】
この時間間隔dtについて第6ステップSt6において停止に到らなかった場合は、ステップSt2に戻り、次の時間間隔dtについてそこから再びこの方法が実行される。
ここで、本願の第1発明は、
連結商用車(100)における回避操縦(AWM)実行方法であって、少なくとも以下のステップ:
-連結商用車(100)と、連結商用車(100)から回避距離(DA)だけ離れている衝突物体(200)との衝突(K)が切迫しているかどうかを補足するステップ(St1);
-衝突(K)が認識された場合は、連結商用車(100)が衝突物体(200)に接触せずに衝突物体(200)を回避して回避軌道(AT_i)を走るように回避軌道(AT_i,i=0,…,N)を求めるステップ(St3);
-回避軌道(AT_i)を用いて目標操舵角(LSoll)を求め、及び、求められた目標操舵角(LSoll)に依存して連結商用車(100)のアクティブ操舵システム(30)をコントロールして、回避操縦(AWM)実行のために連結商用車(100)を回避軌道(AT_i)に沿って出発車線(300a)から目的車線(300b)に移動させるステップ(St5);
-回避操縦(AWM)実行中、連結商用車(100)を制動するために車両目標減速度(zSoll)を求め、及び、この車両目標減速度(zSoll)に依存して連結商用車(100)の電子的ブレーキシステム(60)をコントロールするステップ(St5)、
を有する、連結商用車(100)における回避操縦実行方法(AWM)において、
回避操縦(AWM)実行中に連結商用車(100)の横加速度(aLat)が求められ(St5.3)、その際、
-横加速度(aLat)が最大横加速度(aLatMax)に達した場合、又はこれを超えた場合に、連結車両(100)の転倒を防止するために目標操舵角(LSoll)が制限される(St5.4)こと、及び/又は、
-連結商用車(100)の総加速度(aTot)が最大総加速度(aTotMax)に達した場合、又はこれを超えた場合に、方向安定性の損失又はコース逸脱を防止するために、車両目標減速度(zSoll)が最大車両目標減速度(zSollmax)に制限される(St5.7)こと、
を特徴とする、連結商用車(100)における回避操縦実行方法(AWM)である。
また、本願の第2発明は、
連結車両(100)の連結後面(102)が、回避距離(DA)で又は走行方向に回避距離(DA)の後で止まる(ST5.2)ように、回避操縦(AWM)中の車両目標減速度(zSoll)が選ばれることを特徴とする、第1発明の方法である。
また、本願の第3発明は、
車両目標減速度(zSoll)を制限するために、横加速度(aLat)と車両目標減速度(zSoll)とから総加速度(aTot)が求められ、総加速度(aTot)が最大総加速度(aTotMax)に達した場合、又はこれを超えた場合は、車両目標減速度(zSoll)が最大車両目標減速度(zSollmax)に制限される(St5.6)ことを特徴とする、第1又は第2発明の方法である。
また、本願の第4発明は、
車両目標減速度(zSoll)を制限するために、車両目標減速度(zSoll)が最大車両目標減速度(zSollmax)に達したかどうか、又はこれを超えたかどうかが検証され、このとき最大車両目標減速度(zSollmax)は最大総加速度(aTotMax)に依存していることを特徴とする、第1又は第2発明の方法である。
また、本願の第5発明は、
現在要求されている目標操舵角(LSoll)の結果として得られた横加速度(aLat)によりまだ最大総加速度(aTotMax)に到達していない、又はこれを超えていない場合にのみ、車両目標減速度(zSoll)が要求できるよう、最大車両目標減速度(zSollmax)が決定されることを特徴とする、第1から第4発明のいずれかの方法である。
また、本願の第6発明は、
最大総加速度(aTotMax)が、例えば0.5である摩擦係数(mue)に依存することを特徴とする、第1から第5発明のいずれかの方法である。
また、本願の第7発明は、
回避操縦(AWM)の始めに最初の回避軌道(AT_0)が求められ(St3)、その際、最初の回避軌道(AT_0)は出発車線(300a)上の始点(P1)及び目的車線(300b)上の終点(P2)に依存して決定されることを特徴とする、第1から第6発明のいずれかの方法である。
また、本願の第8発明は、
回避操縦(AWM)の実行中、定義された中間点(Zi)において、更新回避軌道(AT_i、i>0)が周期的に求められ、その際、更新回避軌道(AT_i、i>0)により連結車両(100)の、最初の回避軌道(AT_0)からの実際の回避軌道(ATreal)の偏差が補償される(St3)ことを特徴とする、第7発明の方法である。
また、本願の第9発明は、
連結商用車(100)がそれぞれの更新回避軌道(AT_i、i>0)を走る際に衝突物体(200)に接触することなく衝突物体(200)を回避するように、更新回避軌道(AT_i,i>0)が中間点(Zi)に依存して、及び、それぞれの中間点(Zi)に割り当てられた回避点(Ai)に依存して求められ、及び、
更新回避軌道(AT_i、i>0)が最初の回避軌道(AT_0)上にあるか、又は、最初の回避軌道(AT_0)から出発して、衝突物体(200)から離れて目的車線(300b)に向かう方向における偏差が、最大でも許容値(T)だけであるように、更新回避軌道(AT_i、i>0)が決定されることを特徴とする、第8発明の方法である。
また、本願の第10発明は、
それぞれの中間点(Zi)が、現在の車両x位置(xa)及び現在の車両y位置(ya)に依存して求められ、その際、現在の車両x位置(xa)及び現在の車両y位置(ya)がオドメーター測定により、ある時間間隔(dt)の前に有効であった以前の車両x位置(xb)もしくは以前の車両y位置(yb)、現在のヨー角(YawAng_a)及び現在の車両速度(vFzg)から推論されることを特徴とする、第8又は第9発明の方法である。
また、本願の第11発明は、
現在のヨー角(YawAng_a)が積分により、時間間隔(dt)の前に有効であった以前のヨー角(YawAng_b)及び現在のヨーレート(YawRate)から推論されることを特徴とする、第10発明の方法である。
また、本願の第12発明は、
現在の車両x位置(xa)を決めるために、安定性コントロールシステム(50)の情報(vFzg、YawRate)を用いることを特徴とする、第10又は第11発明の方法である。
また本願の第13発明は、
現在の横加速度(aLat)が最大横加速度(aLatMax)を超えていない場合は、目標操舵角(LSoll)が、それぞれ最後に計算された最初の、又は現在の車両x位置(xa)における更新回避軌道(AT_i,i=0,…,N)の関数(f)の第2導関数(f2)に依存して求められることを特徴とする、第10から第12発明のいずれかの方法である。
また、本願の第14発明は、
回避操縦(AWM)の実行に際しては、3から20の中間点(Zi)が選ばれ、それら中間点において更新回避軌道(AT_i、i>0)がそれぞれ求められることを特徴とする、第8から第13発明のいずれかの方法である。
また、本願の第15発明は、
連結商用車(100)が回避距離(DA)に到達した後、さらなる回避軌道(AT_i)が求められ、その際、連結車両(100)を目的車線(300b)に対して平行にするために、回避距離(DA)に到達した後は回避点(Ai)が固定されることを特徴とする、第8から第14発明のいずれかの方法である。
また、本願の第16発明は、
最大横加速度(aLatMax)が転倒限界(KG)から推論され、その際転倒限界(KG)は転倒防止装置(52)により与えられ、例えば3m/s で一定であるか、又は、転倒防止装置(52)により車両に依存して求められることを特徴とする、第1から第15発明のいずれかの方法である。
また、本願の第17発明は、
横加速度(aLat)が、それぞれ最後に計算された最初の、又は、現在の車両x位置(xa)における更新回避軌道(AT_i,i=0,…,N)の関数(f)の第2導関数(f2)に依存して求められることを特徴とする、第1から第16発明のいずれかの方法である。
また、本願の第18発明は、
第1から第17発明のいずれかの方法を実行するために適した緊急回避システム(80)であって、少なくとも、アクティブ操舵システム(30)、緊急ブレーキシステム(40)、転倒防止装置(52)を備える安定性コントロールシステム(50)、ならびに電子的ブレーキシステム(60)を有している、緊急回避システム(80)である。
また、本願の第19発明は、
牽引車(10)とトレーラー(20)とから成り、第18発明の緊急回避システム(80)を有する、連結商用車(200)である。
【符号の説明】
【0101】
10 牽引車
20 トレーラー
30 アクティブ操舵システム
40 緊急ブレーキシステム(AEBS)
41 カメラ
42 レーダー
50 安定性コントロールシステム(ESC)
51 ESC制御装置
52 転倒防止装置
60 電子的ブレーキシステム(EBS)
61 EBS制御装置
70 緊急回避制御装置
80 緊急回避システム
90 衛星ナビゲーションシステム
100 連結商用車
101 連結前面
102 連結後面
200 衝突物体
300a 出発車線
300b 目的車線
Ai 回避点
aLat 横加速度
aLatMax 最大横加速度
AT_0 最初の回避軌道
AT_i,i>0 更新回避軌道
aTot 総加速度
aTotMax 最大総加速度
ATreal 実際の回避軌道
AWM 回避操縦
B 連結長さ
ci 関数f(x)の係数
DA 回避距離
DS 停止距離
dt 時間間隔
f 因数
f(x) 関数
f1(x) 関数f(x)の第1導関数
f2(x) 関数f(x)の第2導関数
fStat 揺動挙動の静的伝達関数
g 重力定数
K 衝突
KG 転倒限界
LGrad セルフステアリング勾配
LRatio オーバーオールステアリング比
Lreal 実際の操舵角推移
LSoll 目標操舵角
LStart 操舵角推移
mue 摩擦係数
P1 始点
P2 終点
Q 横オフセット
R 車軸間距離
SP 連結商用車100の重心
T 許容値
vFzg 車両速度
xa 現在の車両x位置
xb 以前の車両x位置
YawAng_a 現在のヨー角
YawAng_b 以前のヨー角
YawRate ヨーレート
ya 現在の車両y位置
yb 以前の車両y位置
Zi 中間点
zSoll 車両目標減速度
zSollmax 最大の車両目標減速度
図1
図2a-2c】
図3
図4