(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】サスペンション装置及び車両
(51)【国際特許分類】
B60G 7/04 20060101AFI20231213BHJP
B60G 5/04 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B60G7/04
B60G5/04
(21)【出願番号】P 2020004434
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】松村 研作
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-069731(JP,A)
【文献】実開昭60-037408(JP,U)
【文献】実開昭59-060009(JP,U)
【文献】特開平08-108718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0039611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 7/04
B60G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の幅方向と平行な第1軸周りに回転可能となるように前記車両のフレームに接続されたイコライザビームと、
前記幅方向と平行な第2軸周りに回転可能となるように前記イコライザビームに接続されたシャックルと、
前記幅方向と平行な第3軸周りに回転可能となるように前記シャックルに接続された前側リーフスプリングと、
前記イコライザビームに接続された後側リーフスプリングと、を備え、
前記シャックルは、
前記第3軸が前記第2軸よりも鉛直上側に位置する状態から、前記第3軸が前記第1軸から遠ざかるように前記第2軸周りに回転した場合に、前記幅方向から見て、前記第1軸及び前記第2軸を通る直線上に前記第3軸が至る前に、前記イコライザビームに当接する、サスペンション装置。
【請求項2】
前記シャックルは、前記幅方向と垂直に延在する第1支持部及び第2支持部と、前記幅方向と平行に延在し、前記第1支持部と前記第2支持部とを互いに連結する連結部と、を有し、
前記連結部は、前記シャックルが
、前記第3軸が前記第2軸よりも鉛直上側に位置する状態から、前記第3軸が前記第1軸から遠ざかるように前記第2軸周りに回転した場合に、前記幅方向から見て、前記第1軸及び前記第2軸を通る直線上に前記第3軸が至る前に、前記イコライザビームに当接する、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記第2軸よりも外側において前記第1支持部と前記第2支持部とを互いに連結している、請求項2に記載のサスペンション装置。
【請求項4】
前記シャックルは、前記幅方向と垂直に延在する第1支持部及び第2支持部と、前記幅方向と平行に延在し、前記第1支持部の端部と前記第2支持部の端部とを互いに連結する連結部と、を有し、
前記第1支持部の端面、前記第2支持部の端面及び前記連結部は、前記シャックルが
、前記第3軸が前記第2軸よりも鉛直上側に位置する状態から、前記第3軸が前記第1軸に近づくように前記第2軸周りに回転した場合に、前記フレームに固定されたストッパ部に当接する、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項5】
前記第1支持部には、前記幅方向と平行に延在するピンが挿通された第1挿通孔が形成されており、
前記第2支持部には、前記ピンが挿通された第2挿通孔が形成されており、
前記第1支持部には、前記端面から前記第1挿通孔に至るように延在し、前記第1支持部の前記端部を第1部分と第2部分とに分断するスリットが形成されており、
前記第1部分は、前記スリットと連続するように前記連結部に形成された切欠きにより、前記連結部から分離されており、前記第2部分は、前記連結部に連続している、請求項4に記載のサスペンション装置。
【請求項6】
前記シャックルは、前記幅方向と垂直に延在する第1支持部及び第2支持部と、前記幅方向と平行に延在し、前記第1支持部と前記第2支持部とを互いに連結する連結部と、を有し、
前記シャックルは、前記シャックルの中心を通り且つ前記第1支持部の延在方向と垂直な平面に関して対称な形状を有している、請求項1~5のいずれか一項に記載のサスペンション装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のサスペンション装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
前側に2つの車軸が設けられた車両において、2つの車軸にかかる荷重を均等化させるイコライズ式のサスペンション装置が知られている(例えば特許文献1,2参照)。このようなサスペンション装置は、車両のフレームに回転可能に接続されたイコライザビームと、イコライザビームにシャックルを介して接続された前側リーフスプリングと、イコライザビームに接続された後側リーフスプリングと、を備えている。前側リーフスプリングは前側の車軸に接続され、後側リーフスプリングは後側の車軸に接続されている。これにより、一方の車軸にかかる荷重がイコライザビームを介して他方の車軸に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-69731号公報
【文献】特開平8-108718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなサスペンション装置では、シャックルが大きく回転した場合、シャックルが反転してしまう。そのため、イコライザビームにシャックルを組み付けた後に前側リーフスプリングをシャックルに組み付ける際に、シャックルが反転していることで、前側リーフスプリングのシャックルへの組み付けが難しくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、リーフスプリングの組付作業性を向上することができるサスペンション装置及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサスペンション装置は、車両の幅方向と平行な第1軸周りに回転可能となるように車両のフレームに接続されたイコライザビームと、幅方向と平行な第2軸周りに回転可能となるようにイコライザビームに接続されたシャックルと、幅方向と平行な第3軸周りに回転可能となるようにシャックルに接続された前側リーフスプリングと、イコライザビームに接続された後側リーフスプリングと、を備え、シャックルは、第2軸周りに回転した場合に、幅方向から見て、第1軸及び第2軸を通る直線上に第3軸が至る前に、イコライザビームに当接する。
【0007】
このサスペンション装置では、シャックルが第2軸周りに回転した場合に、幅方向から見て、第1軸及び第2軸を通る直線上に第3軸が至る前に(すなわち、シャックルが反転する前に)、シャックルがイコライザビームに当接する。これにより、シャックルが第2軸周りに大きく回転した場合でも、シャックルが反転するのを防止することができる。したがって、イコライザビームにシャックルを組み付けた後に前側リーフスプリングをシャックルに組み付ける際に、シャックルが反転していることがない。よって、このサスペンション装置によれば、リーフスプリングの組付作業性を向上することができる。
【0008】
本発明のサスペンション装置では、シャックルは、幅方向と垂直に延在する第1支持部及び第2支持部と、幅方向と平行に延在し、第1支持部と第2支持部とを互いに連結する連結部と、を有し、連結部は、シャックルが第2軸周りに回転した場合に、幅方向から見て、第1軸及び第2軸を通る直線上に第3軸が至る前に、イコライザビームに当接してもよい。この場合、第1支持部と第2支持部とを互いに連結する連結部によってシャックルの反転を防止することができる。
【0009】
本発明のサスペンション装置では、連結部は、第2軸よりも外側において第1支持部と第2支持部とを互いに連結していてもよい。この場合、第2軸よりも外側において第1支持部と第2支持部とを互いに連結する連結部によってシャックルの反転を防止することができる。
【0010】
本発明のサスペンション装置では、シャックルは、幅方向と垂直に延在する第1支持部及び第2支持部と、幅方向と平行に延在し、第1支持部の端部と第2支持部の端部とを互いに連結する連結部と、を有し、第1支持部の端面、第2支持部の端面及び連結部は、シャックルが第2軸周りに回転した場合に、フレームに固定されたストッパ部に当接してもよい。この場合、シャックルが第2軸周りに過大に回転するのを防止することができる。また、第1支持部及び第2支持部の端面だけでなく連結部もストッパ部に当接するため、例えば第1支持部及び第2支持部の端面のみがストッパ部に当接する場合と比べて、ストッパ部との接触面積を増加させることができ、耐久性を向上することができる。
【0011】
本発明のサスペンション装置では、第1支持部には、幅方向と平行に延在するピンが挿通された第1挿通孔が形成されており、第2支持部には、ピンが挿通された第2挿通孔が形成されており、第1支持部には、端面から第1挿通孔に至るように延在し、第1支持部の端部を第1部分と第2部分とに分断するスリットが形成されており、第1部分は、スリットと連続するように連結部に形成された切欠きにより、連結部から分離されており、第2部分は、連結部に連続していてもよい。この場合、例えばスリットを第1支持部の端部と第2支持部の端部との間にわたって形成する場合と比べて、加工作業を容易化することができる。
【0012】
本発明のサスペンション装置では、シャックルは、幅方向と垂直に延在する第1支持部及び第2支持部と、幅方向と平行に延在し、第1支持部と第2支持部とを互いに連結する連結部と、を有し、シャックルは、シャックルの中心を通り且つ第1支持部の延在方向と垂直な平面に関して対称な形状を有していてもよい。この場合、シャックルの向きを誤って組み付けてしまう誤組付の発生を抑制することができる。
【0013】
本発明の車両は、上記サスペンション装置を備える。この車両によれば、上述した理由により、リーフスプリングの組付作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リーフスプリングの組付作業性を向上することができるサスペンション装置及び車両を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図7】シャックルがイコライザビームに当接した状態を示す図である。
【
図8】シャックルがストッパ部に当接した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[サスペンション装置の構成]
【0017】
図1に示されるように、サスペンション装置1は、車両100に備えられている。車両100は、例えばトラック、バス等の商用車である。車両100は、特に限定されず、例えば大型車両、中型車両、普通乗用車、小型車両又は軽車両等のいずれであってもよい。車両100は、車両前後方向に延在し、車両幅方向において互いに向かい合う一対のサイドフレームFを備えている。車両100は、一対のサスペンション装置1を備えており、各サイドフレームFにサスペンション装置1が設けられている。
【0018】
サスペンション装置1は、イコライザビーム2と、シャックル3と、前側リーフスプリング4と、後側リーフスプリング5と、ショックアブソーバ6と、を備えている。イコライザビーム2は、車両幅方向と平行な第1軸X1周りに回転可能となるように、ブラケット11を介してサイドフレームFに接続されている。第1軸X1周りに回転可能となるようにイコライザビーム2をブラケット11に接続する手段としては、例えば、ピンを用いた接続、又はボルト及びナットを用いた接続が挙げられるが、特に限定されず、他の手段が用いられてもよい。この点は、後述する他の回転可能な接続についても同様である。
【0019】
シャックル3は、車両幅方向と平行な第2軸X2周りに回転可能となるように、イコライザビーム2に接続されている。前側リーフスプリング4は、車両前後方向に沿って延在している。前側リーフスプリング4の前端4aは、車両幅方向と平行な軸周りに回転可能となるように、ブラケット12を介してサイドフレームFに接続されている。前側リーフスプリング4の後端4bは、車両幅方向と平行な第3軸X3周りに回転可能となるように、シャックル3に接続されている。
【0020】
後側リーフスプリング5は、車両前後方向に沿って延在している。後側リーフスプリング5は、前側リーフスプリング4よりも車両前後方向の後側に配置されている。後側リーフスプリング5の前端5aは、車両幅方向と平行な第4軸X4周りに回転可能となるように、イコライザビーム2に接続されている。後側リーフスプリング5の後端5bは、車両幅方向と平行な軸周りに回転可能となるように、ブラケット13及び接続部材14を介してサイドフレームFに接続されている。
【0021】
ショックアブソーバ6は、例えば棒状の衝撃吸収装置である。ショックアブソーバ6の一端は、第2軸X2周りに回転可能となるように、後述するピン15を介してイコライザビーム2に接続されている。ショックアブソーバ6の他端は、車両幅方向と平行な軸周りに回転可能となるように、ブラケット11に接続されている。
【0022】
前側リーフスプリング4の中央部には、前側の車軸が接続されており、後側リーフスプリング5の中央部には、後側の車軸が接続されている。各車軸には車輪が接続されている。それらの2つの車軸は、例えば、車両前後方向における車両100の前側に配置されている。すなわち、車両100は、いわゆる前二軸車として構成されている。なお、サスペンション装置1は、他の車両に適用されてもよく、例えば、車両前後方向における車両100の後側に2つの車軸が配置された後二軸車に適用されてもよい。
【0023】
サスペンション装置1では、一方の車軸にかかる荷重が、イコライザビーム2を介して他方の車軸に伝達される。したがって、2つの車軸にかかる荷重の割合を調整することができ、一方の車軸に過大な荷重がかかるのを抑制することができる。すなわち、サスペンション装置1は、2つの車軸にかかる荷重を均等化させるイコライズ式のサスペンション装置として構成されている。また、ショックアブソーバ6がイコライザビーム2に減衰力を作用させることにより、イコライザビーム2の振動が抑制される。これにより、過剰なイコライズ動作を抑制して乗り心地を向上することができる。
[シャックルの構成]
【0024】
図2~
図6に示されるように、シャックル3は、第1支持部31と、第2支持部32と、第1連結部33と、第2連結部34と、を有している。第1支持部31及び第2支持部32は、棒状に形成され、互いに向かい合うように延在している。第1連結部33及び第2連結部34は、棒状に形成され、互いに向かい合うように延在している。第1連結部33は、第1支持部31の端部31aと第2支持部32の端部32aとを互いに連結している。第2連結部34は、第1支持部31の端部31bと第2支持部32の端部32bとを互いに連結している。
【0025】
シャックル3がイコライザビーム2に接続された状態において、第1支持部31及び第2支持部32は、車両幅方向と垂直に延在し、第1連結部33及び第2連結部34は、車両幅方向と平行に延在する。以下、第1連結部33及び第2連結部34の延在方向と平行な方向をX方向とし、第1支持部31及び第2支持部32の延在方向と平行な方向をZ方向とし、X方向及びZ方向の双方と垂直な方向をY方向として説明する。シャックル3は、シャックル3の中心Cを通り且つZ方向と垂直な平面に関して対称(Z方向に関して対称)な形状を有している。
【0026】
第1支持部31には、第1支持部31をX方向に沿って貫通する一対の挿通孔(第1挿通孔)31c,31dが形成されている。第2支持部32には、第2支持部32をX方向に沿って貫通する一対の挿通孔(第2挿通孔)32c,32dが形成されている。X方向から見た場合に、挿通孔32cは挿通孔31cと重なっており、挿通孔32dは挿通孔31dと重なっている。
【0027】
第1支持部31における挿通孔31c,31dの間の部分は、他の部分(端部31a,31b)よりもY方向の幅が狭くなっている。また、当該部分は、外側に向かうにつれてY方向の幅が狭くなっている。同様に、第2支持部32における挿通孔32c,32dの間の部分は、他の部分(端部32a,32b)よりもY方向の幅が狭くなっている。また、当該部分は、外側に向かうにつれてY方向の幅が狭くなっている。
【0028】
第1支持部31には、第1支持部31をY方向に沿って貫通する一対の締結孔31e,31fが形成されている。
図4に示されるように、X方向から見た場合に、一方の締結孔31eは挿通孔31cの一部と重なっており、他方の締結孔31fは挿通孔31dの一部と重なっている。すなわち、締結孔31eは挿通孔31cに連通されており、締結孔31fは挿通孔32dに連通されている。
【0029】
挿通孔31c,32cには、車両幅方向と平行に延在するピン15(
図7,8参照)が挿通される。ピン15は、締結孔31eに挿通及び締結されたボルト16(
図7,8参照)(カンザシボルト)によりシャックル3に固定される。ピン15により、シャックル3がイコライザビーム2に回転可能に接続される。より具体的には、第1支持部31と第2支持部32との間にイコライザビーム2の一部が配置された状態で、挿通孔31c,32cにピン15が挿通され、第1支持部31、第2支持部32及びイコライザビーム2をピン15が貫通する。この状態において、ピン15がボルト16によって固定される。例えば、ピン15にはボルト16に対応した形状の凹部が形成されており、当該凹部にボルト16が配置されることにより、ピン15が固定される。これにより、第2軸X2周りに回転可能となるようにシャックル3がイコライザビーム2に接続される。すなわち、ピン15(挿通孔31c,32c)の軸線は第2軸X2と一致する。
【0030】
挿通孔31d,32dには、車両幅方向と平行に延在するピン17(
図7,8参照)が挿通される。ピン17は、締結孔31eに挿通及び締結されたボルト18(
図7,8参照)(カンザシボルト)によりシャックル3に固定される。ピン17により、前側リーフスプリング4がシャックル3に回転可能に接続される。より具体的には、第1支持部31と第2支持部32との間に前側リーフスプリング4の後端4bが配置された状態で、挿通孔31d,32dにピン17が挿通され、第1支持部31、第2支持部32、及び前側リーフスプリング4の後端4bをピン17が貫通する。この状態において、ピン17がボルト18によって固定される。例えば、ピン17にはボルト18に対応した形状の凹部が形成されており、当該凹部にボルト18が配置されることにより、ピン17が固定される。これにより、第3軸X3周りに回転可能となるように前側リーフスプリング4がシャックル3に接続される。すなわち、ピン17(挿通孔31d,32d)の軸線は第3軸X3と一致する。
【0031】
第1支持部31及び第2支持部32において、挿通孔31c,32cは、第1連結部33との接続位置よりも内側に配置されている。そのため、ピン15(第2軸X2)は、第1連結部33よりも内側に配置される。換言すれば、第1連結部33は、第2軸X2よりも外側(シャックル3の中心Cから遠い側)において、第1支持部31と第2支持部32とを互いに連結している。
【0032】
第1支持部31及び第2支持部32において、挿通孔31d,32dは、第2連結部34との接続位置よりも内側に配置されている。そのため、ピン17(第3軸X3)は、第2連結部34よりも内側に配置される。換言すれば、第2連結部34は、第3軸X3よりも外側(シャックル3の中心Cから遠い側)において、第1支持部31と第2支持部32とを互いに連結している。
【0033】
第1支持部31の端部31aの端面31asには、スリット41が形成されている。スリット41は、端面31asから挿通孔31cに至るように延在し、端部31aを第1部分P1と第2部分P2とに分断している。スリット41は、例えば、Y方向と垂直に平面状に延在している。ボルト16によるピン15の固定時には、第1部分P1と第2部分P2とが互いに近づくようにボルト16の締結力が端部31aに加えられ、第1部分P1及び第2部分P2によってピン15が挟み込まれる。そのため、締結孔31e及びボルト16は、端部31aに(挿通孔31c及びピン15よりも外側に)配置されている。
【0034】
第1部分P1は、スリット41と連続するように第1連結部33に形成された切欠き42により、第1連結部33から分離されている(独立している)。切欠き42は、例えば略直方体状に形成されている。切欠き42は、Z方向においては第1連結部33を貫通しており、Y方向においては第1連結部33の側面33aに至っている。切欠き42が形成されていることにより、第1支持部31の端部31aと第1連結部33との間には、隙間Gが形成されている。一方、第2部分P2は、第1連結部33に連続している。
【0035】
第1支持部31の端部31bの端面31bsには、スリット43が形成されている。スリット43は、端面31bsから挿通孔31dに至るように延在し、端部31aを第1部分P3と第2部分P4とに分断している。スリット43は、例えば、Y方向と垂直に平面状に延在している。ボルト18によるピン17の固定時には、第1部分P3と第2部分P4とが互いに近づくようにボルト18の締結力が端部31bに加えられ、第1部分P3及び第2部分P4によってピン17が挟み込まれる。そのため、締結孔31f及びボルト18は、端部31bに(挿通孔31d及びピン17よりも外側に)配置されている。
【0036】
第1部分P1と同様に、第1部分P3は、スリット43と連続するように第2連結部34に形成された切欠き44により、第2連結部34から分離されている(独立している)。切欠き44は、例えば略直方体状に形成されている。切欠き44は、Z方向においては第2連結部34を貫通しており、Y方向においては第2連結部34の側面34aに至っている。切欠き44が形成されていることにより、第1支持部31の端部31bと第2連結部34との間には、隙間Gが形成されている。一方、第2部分P4は、第2連結部34に連続している。
【0037】
図7は、シャックル3がイコライザビーム2に当接した状態を示す図である。
図1に示されるように、2つの車軸にかかる荷重が等しく、イコライズが行われていない状態においては、シャックル3は、例えば、第1支持部31及び第2支持部32が鉛直方向と平行に延在した姿勢をとる。なお、
図7及び
図8では、前側リーフスプリング4、後側リーフスプリング5及びショックアブソーバ6の図示が省略されている。
【0038】
図1に示される状態から、イコライザビーム2が第1軸X1周りに回転し、且つシャックル3が第2軸X2周りに回転し、且つ前側リーフスプリング4が第3軸X3周りに回転し、且つ後側リーフスプリング5が第4軸X4周りに回転することにより、シャックル3は、
図7に示される位置まで回転し得る。このとき、シャックル3は、第3軸X3が第1軸X1から遠ざかるように、第2軸X2周りに回転する。
【0039】
図7に示される状態では、シャックル3がイコライザビーム2に当接している。より具体的には、シャックル3の第1連結部33が、イコライザビーム2に当接している。すなわち、
図1に示される状態からシャックル3が第2軸X2周りに回転した場合、第1連結部33は、車両幅方向から見て、第1軸X1及び第2軸X2を通る直線L上に第3軸X3が至る前に(すなわち、シャックル3が反転する前に)、イコライザビーム2に当接する。このように、サスペンション装置1では、シャックル3の反転が防止されている。この例では、
図1に示される状態及び
図7に示される状態のいずれにおいても、第3軸X3が第2軸X2よりも鉛直上側に位置している。
【0040】
図8は、シャックル3がストッパ部50に当接した状態を示す図である。
図1に示される状態から、イコライザビーム2が第1軸X1周りに回転し、且つシャックル3が第2軸X2周りに回転し、且つ前側リーフスプリング4が第3軸X3周りに回転し、且つ後側リーフスプリング5が第4軸X4周りに回転することにより、シャックル3は、
図8に示される位置まで回転し得る。このとき、シャックル3は、第3軸X3が第1軸X1に近づくように、第2軸X2周りに回転する。
【0041】
ストッパ部50は、例えば、ゴム製の板状部材である。この例では、ストッパ部50は、ブラケット11上に配置されており、ブラケット11を介してサイドフレームFに固定されている。
図8に示される状態では、第1支持部31の端部31bの端面31bs、第2支持部32の端部32bの端面32bs、及び第2連結部34が、ストッパ部50に当接している。このように、サスペンション装置1では、シャックル3がストッパ部50に当接するように構成されることにより、シャックル3の過大な回転が防止されている。
[作用及び効果]
【0042】
サスペンション装置1では、シャックル3が第2軸X2周りに回転した場合に、車両幅方向から見て、第1軸X1及び第2軸X2を通る直線L上に第3軸X3が至る前に(すなわち、シャックル3が反転する前に)、シャックル3がイコライザビーム2に当接する。これにより、シャックル3が第2軸X2周りに大きく回転した場合でも、シャックル3が反転するのを防止することができる。したがって、イコライザビーム2にシャックル3を組み付けた後に前側リーフスプリング4をシャックル3に組み付ける際に、シャックル3が反転していることがない。よって、サスペンション装置1によれば、リーフスプリングの組付作業性を向上することができる。また、シャックル3が反転することがないため、整備作業の作業性を向上することもできる。更に、車両100の走行中にシャックル3が反転してしまうのを抑制することもできる。
【0043】
具体的には、第2軸X2よりも外側において第1支持部31と第2支持部32とを互いに連結する第1連結部33がイコライザビーム2に当接することにより、シャックル3の反転を防止することができる。
【0044】
シャックル3が第2軸X2周りに回転した場合に、第1支持部31の端面31bs、第2支持部32の端面32bs、及び第2連結部34がストッパ部50に当接する。これにより、シャックル3が第2軸X2周りに過大に回転するのを防止することができる。また、端面31bs,32bsだけでなく第2連結部34もストッパ部50に当接するため、例えば端面31bs,32bsのみがストッパ部50に当接する場合と比べて、ストッパ部50との接触面積(ストッパ部50の受圧面積)を増加させることができ、耐久性を向上することができる。
【0045】
第1支持部31には、端面31bsから挿通孔31dに至るように延在し、第1支持部31の端部31bを第1部分P3と第2部分P4とに分断するスリット43が形成されている。第1部分P3が、スリット43と連続するように第2連結部34に形成された切欠き44により、第2連結部34から分離されている一方、第2部分P4は、第2連結部34に連続している。これにより、例えばスリット43を第1支持部31の端部31bと第2支持部32の端部32bとの間にわたって形成する場合と比べて、加工作業を容易化することができる。
【0046】
シャックル3が、シャックル3の中心を通り且つZ方向と垂直な平面に関して対称な形状を有している。これにより、シャックル3の向きを誤って組み付けてしまう誤組付の発生を抑制することができる。また、シャックル3の形状を単純化することができ、シャックル3の製造を容易化することができる。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。上記実施形態では第1連結部33がイコライザビーム2に当接したが、シャックル3における第1連結部33以外の部分がイコライザビーム2に当接することによってシャックル3の反転が防止されてもよい。シャックル3の一部と当接するための当接部がイコライザビーム2に設けられてもよい。例えば、イコライザビーム2の一部を厚肉に形成することにより当該当接部が設けられてもよい。
【0048】
切欠き42,44は設けられなくてもよい。この場合、スリット41が、第1支持部31の端部31aと第2支持部32の端部32aとの間にわたって形成されると共に、スリット43が、第1支持部31の端部31bと第2支持部32の端部32bとの間にわたって形成されてもよい。シャックル3は、Z方向に関して非対称に形成されてもよい。ストッパ部50は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…サスペンション装置、2…イコライザビーム、3…シャックル、4…前側リーフスプリング、5…後側リーフスプリング、17…ピン、31…第1支持部、31b…端部、31bs…端面、31d…挿通孔(第1挿通孔)、32…第2支持部、32b…端部、32bs…端面、32d…挿通孔(第2挿通孔)、43…スリット、44…切欠き、50…ストッパ部、100…車両、P3…第1部分、P4…第2部分、X1…第1軸、X2…第2軸、X3…第3軸。