(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】鉄筋結束ロボット
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20231213BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20231213BHJP
B21F 27/08 20060101ALI20231213BHJP
B21F 33/00 20060101ALI20231213BHJP
B65B 27/10 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B25J5/00 B
B21F27/08
B21F33/00
B65B27/10
(21)【出願番号】P 2020022789
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松野 匡輔
(72)【発明者】
【氏名】小口 和紀
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-039174(JP,A)
【文献】特許第6633720(JP,B1)
【文献】特開2019-039170(JP,A)
【文献】特許第5542092(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第110118017(CN,A)
【文献】特開2018-109298(JP,A)
【文献】特開2018-109296(JP,A)
【文献】特開2019-038088(JP,A)
【文献】特開2004-255569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F27/08
33/00
B25J5/00
B65B27/10
E04G21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する箇所を結束する鉄筋結束ロボットであって、
鉄筋結束ユニットと、
前記鉄筋結束ユニットを搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの動作を制御する制御ユニットを備えており、
前記搬送ユニットが、前記複数の第1鉄筋および前記複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備えており、
前記搬送ユニットが、サイドステッパをさらに備えており、
前記サイドステッパが、
ステップバーと、
前記ステップバーを所定のサイドステップ軌道に沿って駆動するステッパモータを備えており、
前記ステップバーが前記サイドステップ軌道に沿って移動する際に、前記ステップバーの下端が前記クローラの下端よりも下方に移動し、その後に前記ステップバーの下端が左右方向に移動し、その後に前記ステップバーの下端が前記クローラの下端よりも上方に移動し、
前記ステップバーが、前後方向に伸びている、鉄筋結束ロボット。
【請求項2】
前記ステップバーが、第1ステップバーと、前記第1ステップバーの側方に配置された第2ステップバーを備えており、
前記第1ステップバーと前記第2ステップバーが、互いに連結している、
請求項1の鉄筋結束ロボット。
【請求項3】
複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する箇所を結束する鉄筋結束ロボットであって、
鉄筋結束ユニットと、
前記鉄筋結束ユニットを搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの動作を制御する制御ユニットを備えており、
前記搬送ユニットが、前記複数の第1鉄筋および前記複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備えており、
前記搬送ユニットが、サイドステッパをさらに備えており、
前記サイドステッパが、
ステップバーと、
前記ステップバーを所定のサイドステップ軌道に沿って駆動するステッパモータを備えており、
前記ステップバーが前記サイドステップ軌道に沿って移動する際に、前記ステップバーの下端が前記クローラの下端よりも下方に移動し、その後に前記ステップバーの下端が左右方向に移動し、その後に前記ステップバーの下端が前記クローラの下端よりも上方に移動し、
前記サイドステップ軌道が、左右方向に延びる上辺および下辺と、上下方向に延びる右辺および左辺を有する、鉄筋結束ロボット。
【請求項4】
複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する箇所を結束する鉄筋結束ロボットであって、
鉄筋結束ユニットと、
前記鉄筋結束ユニットを搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの動作を制御する制御ユニットを備えており、
前記搬送ユニットが、前記複数の第1鉄筋および前記複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備えており、
前記搬送ユニットが、サイドステッパをさらに備えており、
前記サイドステッパが、
ステップバーと、
前記ステップバーを所定のサイドステップ軌道に沿って駆動するステッパモータを備えており、
前記ステップバーが前記サイドステップ軌道に沿って移動する際に、前記ステップバーの下端が前記クローラの下端よりも下方に移動し、その後に前記ステップバーの下端が左右方向に移動し、その後に前記ステップバーの下端が前記クローラの下端よりも上方に移動し、
前記鉄筋結束ロボットが、前記搬送ユニットに電力を供給するバッテリをさらに備えており、
前記バッテリおよび前記ステッパモータの一方が前記鉄筋結束ロボットの前方の部分に配置されており、前記バッテリおよび前記ステッパモータの他方が前記鉄筋結束ロボットの後方の部分に配置されている、鉄筋結束ロボット。
【請求項5】
前記バッテリからの電力が、前記鉄筋結束ユニットにも供給される、
請求項4の鉄筋結束ロボット。
【請求項6】
複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する箇所を結束する鉄筋結束ロボットであって、
鉄筋結束ユニットと、
前記鉄筋結束ユニットを搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの動作を制御する制御ユニットを備えており、
前記搬送ユニットが、前記複数の第1鉄筋および前記複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備えており、
前記クローラが、右側クローラと、前記右側クローラとは別個に動作する左側クローラを備えており、
前記鉄筋結束ロボットが、前記複数の第1鉄筋のうち結束作業の対象とする第1鉄筋の左右方向の位置を検出する位置検出センサをさらに備えており、
前記制御ユニットは、前記位置検出センサで検出される前記第1鉄筋の左右方向の位置が基準位置に近付くように、前記右側クローラと前記左側クローラに速度差を与え、
前記制御ユニットは、前記右側クローラと前記左側クローラに前記速度差を与える際に、前記右側クローラおよび前記左側クローラの一方を、通常の速度で動作させ、前記右側クローラおよび前記左側クローラの他方を、前記通常の速度よりも減速した速度で動作させる、鉄筋結束ロボット。
【請求項7】
複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する箇所を結束する鉄筋結束ロボットであって、
鉄筋結束ユニットと、
前記鉄筋結束ユニットを搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの動作を制御する制御ユニットを備えており、
前記搬送ユニットが、前記複数の第1鉄筋および前記複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備えており、
前記クローラが、右側クローラと、前記右側クローラとは別個に動作する左側クローラを備えており、
前記鉄筋結束ロボットが、前記複数の第1鉄筋のうち結束作業の対象とする第1鉄筋の角度を検出する角度検出センサをさらに備えており、
前記制御ユニットは、前記角度検出センサで検出される前記第1鉄筋の角度が基準角度に近付くように、前記右側クローラと前記左側クローラに速度差を与え、
前記制御ユニットは、前記右側クローラと前記左側クローラに前記速度差を与える際に、前記右側クローラおよび前記左側クローラの一方を、通常の速度で動作させ、前記右側クローラおよび前記左側クローラの他方を、前記通常の速度よりも減速した速度で動作させる、鉄筋結束ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、鉄筋結束ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する箇所を結束する鉄筋結束ロボットが開示されている。前記鉄筋結束ロボットは、鉄筋結束ユニットと、前記鉄筋結束ユニットを搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットの動作を制御する制御ユニットを備えている。前記搬送ユニットは、前記複数の第1鉄筋または前記複数の第2鉄筋の一部をレールとして走行する車輪を備えている。特許文献2にも、同様の構成を備える鉄筋結束ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-39174号公報
【文献】特許第6633720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、複数の第1鉄筋または複数の第2鉄筋の一部をレールとして走行する車輪を備える構成では、鉄筋結束ロボットの重量が増大すると、走行性能が低下してしまう。本明細書では、鉄筋結束ロボットの重量が増大した場合でも、走行性能がそれほど低下しない技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する箇所を結束する鉄筋結束ロボットを開示する。前記鉄筋結束ロボットは、鉄筋結束ユニットと、前記鉄筋結束ユニットを搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットの動作を制御する制御ユニットを備えていてもよい。前記搬送ユニットが、前記複数の第1鉄筋および前記複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備えていてもよい。
【0006】
上記のように、複数の第1鉄筋および複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備える構成によれば、鉄筋結束ロボットの重量が増大した場合でも、走行性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例に係る鉄筋結束ロボット100の前方左方上方から見た斜視図である。
【
図2】実施例に係る鉄筋結束ロボット100で使用される鉄筋結束機2を後方左方上方から見た斜視図である。
【
図3】実施例に係る鉄筋結束ロボット100で使用される鉄筋結束機2の本体部4の内部構造を後方右方上方から見た斜視図である。
【
図4】実施例に係る鉄筋結束ロボット100で使用される鉄筋結束機2の本体部4の前方部分の断面図である。
【
図5】実施例に係る鉄筋結束ロボット100で使用される鉄筋結束機2の本体部4および把持部6の上部の内部構造を前方左方上方から見た斜視図である。
【
図6】実施例に係る鉄筋結束ロボット100の電源ユニット102について、カバー112が開いた状態を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図7】実施例に係る鉄筋結束ロボット100において、操作ユニット104に鉄筋結束機2が取り付けられた状態を、後方右方上方から見た斜視図である。
【
図8】実施例に係る鉄筋結束ロボット100において、把持機構132に鉄筋結束機2が取り付けられた状態を、後方右方下方から見た斜視図である。
【
図9】実施例に係る鉄筋結束ロボット100において、鉄筋結束機2が上昇した状態における、操作ユニット104と鉄筋結束機2を側方から見た側面図である。
【
図10】実施例に係る鉄筋結束ロボット100において、鉄筋結束機2が下降した状態における、操作ユニット104と鉄筋結束機2を側方から見た側面図である。
【
図11】実施例に係る鉄筋結束ロボット100を前方右方下方から見た斜視図である。
【
図12】実施例に係る鉄筋結束ロボット100のテンショナプーリ224の近傍を前方左方上方から見た斜視断面図である。
【
図13】実施例に係る鉄筋結束ロボット100のサイドステッパ196を後方右方下方から見た斜視図である。
【
図14】実施例に係る鉄筋結束ロボット100のサイドステッパ196の前方の部分を後方右方上方から見た斜視図である。
【
図15】実施例に係る鉄筋結束ロボット100の前側クランク機構276を後方から見た断面図である。
【
図16】実施例に係る鉄筋結束ロボット100のサイドステッパ196の後方の部分を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図17】実施例に係る鉄筋結束ロボット100において、ステップバー272,274が上昇した状態を前方から見た正面図である。
【
図18】実施例に係る鉄筋結束ロボット100において、ステップバー272,274が下降した状態を前方から見た正面図である。
【
図19】実施例に係る鉄筋結束ロボット100において、制御ユニット126が行う処理を示すフローチャートである。
【
図20】実施例に係る鉄筋結束ロボット100の動作の例を示す上面図である。
【
図21】実施例に係る鉄筋結束ロボット100の別の動作の例を示す上面図である。
【
図22】実施例に係る鉄筋結束ロボット100のさらに別の動作の例を示す上面図である。
【
図23】実施例に係る鉄筋結束ロボット100と、第1鉄筋R1’との相対的な位置関係の例を示す上面図である。
【
図24】実施例に係る鉄筋結束ロボット100の、鉄筋トレース制御における軌道の例を示すグラフである。
【
図25】実施例に係る鉄筋結束ロボット100の、鉄筋トレース制御の有無による軌道の相違の例を示すグラフである。
【
図26】実施例に係る鉄筋結束ロボット100の、各種の鉄筋トレース制御における軌道の相違の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された鉄筋結束ロボットを提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束ロボットは、複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する箇所を結束してもよい。前記鉄筋結束ロボットは、鉄筋結束ユニットと、前記鉄筋結束ユニットを搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットの動作を制御する制御ユニットを備えていてもよい。前記搬送ユニットが、前記複数の第1鉄筋および前記複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備えていてもよい。
【0012】
上記のように、複数の第1鉄筋および複数の第2鉄筋の上を走行するクローラを備える構成によれば、鉄筋結束ロボットの重量が増大した場合でも、走行性能の低下を抑制することができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記搬送ユニットは、サイドステッパをさらに備えていてもよい。前記サイドステッパは、ステップバーと、前記ステップバーを所定のサイドステップ軌道に沿って駆動するステッパモータを備えていてもよい。前記ステップバーが前記サイドステップ軌道に沿って移動する際に、前記ステップバーの下端が前記クローラの下端よりも下方に移動してもよく、その後に前記ステップバーの下端が左右方向に移動してもよく、その後に前記ステップバーの下端が前記クローラの下端よりも上方に移動してもよい。
【0014】
上記の構成によれば、複数の第1鉄筋および複数の第2鉄筋の上で、クローラによる前後方向への移動が可能であるとともに、サイドステッパによる左右方向への移動も可能である。鉄筋結束ロボットの移動性能をより向上することができる。
【0015】
1またはそれ以上の実施形態において、前記ステップバーは、前後方向に伸びていてもよい。
【0016】
例えば、複数の第1鉄筋の上方に複数の第2鉄筋が配置されている場合、通常は、クローラが複数の第2鉄筋に跨るように、鉄筋結束ロボットは複数の第2鉄筋に交差する方向を前後方向として移動する。上記の構成によれば、サイドステッパによる左右方向への移動に用いるステップバーが前後方向に伸びているので、ステップバーを下降させた時に、ステップバーを複数の第2鉄筋に跨って配置することができる。このような構成とすることによって、サイドステッパによる左右方向への移動の際の安定性をより向上することができる。
【0017】
1またはそれ以上の実施形態において、前記ステップバーは、第1ステップバーと、前記第1ステップバーの側方に配置された第2ステップバーを備えていてもよい。前記第1ステップバーと前記第2ステップバーは、互いに連結していてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、サイドステッパによる左右方向への移動の際に、複数のステップバーを用いるので、安定性をより向上することができる。また、上記の構成によれば、第1ステップバーと第2ステップバーが互いに連結されているので、それぞれの動作を機械的に同期させることができ、サイドステッパによる左右方向への移動の際の安定性をより向上することができる。
【0019】
1またはそれ以上の実施形態において、前記サイドステップ軌道は、左右方向に延びる上辺および下辺と、上下方向に延びる右辺および左辺を有していてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、サイドステッパによる左右方向への移動の際のステップ幅を一定とすることができる。
【0021】
1またはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束ロボットは、前記搬送ユニットに電力を供給するバッテリをさらに備えていてもよい。前記バッテリおよび前記ステッパモータの一方は、前記鉄筋結束ロボットの前方の部分に配置されていてもよい。前記バッテリおよび前記ステッパモータの他方は、前記鉄筋結束ロボットの後方の部分に配置されていてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、鉄筋結束ロボットの重心が前方または後方に偏ってしまうことを抑制することができる。
【0023】
1またはそれ以上の実施形態において、前記バッテリからの電力は、前記鉄筋結束ユニットにも供給されてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、共通のバッテリを利用して、搬送ユニットと鉄筋結束ユニットの両方に電力を供給することができる。
【0025】
1またはそれ以上の実施形態において、前記クローラは、右側クローラと、前記右側クローラとは別個に動作する左側クローラを備えていてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、クローラによって、前後方向への移動だけでなく、種々の態様での移動を行うことができる。鉄筋結束ロボットの移動性能をより向上することができる。
【0027】
1またはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束ロボットは、前記複数の第1鉄筋のうち結束作業の対象とする第1鉄筋の左右方向の位置を検出する位置検出センサをさらに備えていてもよい。前記制御ユニットは、前記位置検出センサで検出される前記第1鉄筋の左右方向の位置が基準位置に近付くように、前記右側クローラと前記左側クローラに速度差を与えてもよい。
【0028】
第1鉄筋の左右方向の位置が基準位置から外れていると、鉄筋結束ユニットによる結束作業が困難となる場合がある。上記の構成によれば、第1鉄筋の左右方向の位置が基準位置に近付くように、鉄筋結束ロボットを移動させることができる。
【0029】
1またはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束ロボットは、前記複数の第1鉄筋のうち結束作業の対象とする第1鉄筋の角度を検出する角度検出センサをさらに備えていてもよい。前記制御ユニットは、前記角度検出センサで検出される前記第1鉄筋の角度が基準角度に近付くように、前記右側クローラと前記左側クローラに速度差を与えてもよい。
【0030】
第1鉄筋の角度が基準角度から外れていると、鉄筋結束ユニットによる結束作業が困難となる場合がある。上記の構成によれば、第1鉄筋の角度が基準角度に近付くように、鉄筋結束ロボットを移動させることができる。
【0031】
1またはそれ以上の実施形態において、前記制御ユニットは、前記右側クローラと前記左側クローラに前記速度差を与える際に、前記右側クローラおよび前記左側クローラの一方を、通常の速度で動作させてもよく、前記右側クローラおよび前記左側クローラの他方を、前記通常の速度よりも減速した速度で動作させてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、右側クローラと左側クローラの両方を、通常の速度よりも増速させることなく、右側クローラと左側クローラに速度差を与えることができる。これによって、右側クローラや左側クローラの駆動源の大型化や重量増加を招くことなく、右側クローラと左側クローラに速度差を与えることができる。なお、このように右側クローラと左側クローラを動作させた場合、右側クローラと左側クローラの他方(通常の速度よりも減速した速度とする方)は、鉄筋結束ロボットの進行方向とは逆方向の速度で動作する場合もある。
【0033】
1またはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束ユニットは、前記鉄筋結束ロボットに対して着脱可能に取り付けられた鉄筋結束機を備えていてもよい。前記鉄筋結束機は、ユーザが把持可能な把持部と、前記把持部の一端側に配置された本体部と、前記把持部の他端側に配置されており、バッテリパックを着脱可能なバッテリ取付部を備えていてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、一般的に使用されている市販の鉄筋結束機を、鉄筋結束ユニットとして鉄筋結束ロボットに取り付けて使用することができる。
【0035】
1またはそれ以上の実施形態において、前記鉄筋結束ロボットは、前記バッテリパックの代わりに前記バッテリ取付部に着脱可能なアダプタを備えていてもよい。
【0036】
通常、鉄筋結束機に着脱可能なバッテリパックは、小型で容量が小さく、長時間の作業を行うことが困難である。上記の構成によれば、鉄筋結束ロボットからアダプタを介して鉄筋結束機に電力を供給することができるので、鉄筋結束機にバッテリパックを取り付ける場合に比べて、長時間の作業を行うことができる。
【0037】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の鉄筋結束ロボット100は、鉄筋結束機2と、電源ユニット102と、操作ユニット104と、搬送ユニット106を備えている。鉄筋結束ロボット100は、水平方向に沿って互いに平行に配筋された複数の第1鉄筋R1と、水平方向に沿って互いに平行に配筋された第2鉄筋R2の上を移動しながら、第1鉄筋R1と第2鉄筋R2が交差する箇所を、鉄筋結束機2を使用して結束するロボットである。第1鉄筋R1と第2鉄筋R2を上方から見た時に、第2鉄筋R2が延びる方向は第1鉄筋R1が延びる方向に対して直交している。また、第2鉄筋R2は第1鉄筋R1の上方に配置されている。第1鉄筋R1は、例えば、100mm-300mmの間隔で配筋されており、第2鉄筋R2は、例えば、100mm-300mmの間隔で配筋されている。鉄筋結束ロボット100は、前後方向の寸法が、例えば、900mm程度であり、左右方向の寸法が、例えば、600mm程度である。
【0038】
(鉄筋結束機2の構成)
以下では、
図2から
図5を参照して、鉄筋結束機2の構成について説明する。なお、
図2から
図5の説明における前後方向、左右方向および上下方向は、鉄筋結束ロボット100を基準とした前後方向、左右方向および上下方向ではなく、鉄筋結束機2を基準とした前後方向、左右方向および上下方向を意味することに留意されたい。
【0039】
図2に示すように、鉄筋結束機2は、互いに交差する鉄筋R(例えば第1鉄筋R1と第2鉄筋R2)を、ワイヤWによって結束するための電動工具である。鉄筋結束機2は、鉄筋結束ロボット100から取り外してユーザが手に持って使用することもできるし、鉄筋結束ロボット100に取り付けて使用することもできる。鉄筋結束機2は、ハウジング3を備えている。ハウジング3は、本体部4と、本体部4の下部に設けられた把持部6と、把持部6の下部に設けられたバッテリ取付部8を備えている。バッテリ取付部8の下部には、
図2に示すように、バッテリパックBを取り付けることもできるし、
図1に示すように、バッテリアダプタ108を取り付けることもできる。バッテリパックBは、例えばリチウムイオン電池セル等の二次電池セル(図示せず)を内蔵しており、充電器(図示せず)によって充電可能である。本体部4と、把持部6と、バッテリ取付部8は、一体的に形成されている。
【0040】
図3に示すように、本体部4の後方上部には、ワイヤWが巻回されたリール10が着脱可能に収容されている。
図2に示すように、ハウジング3は、リール10の上方を覆う形状のリールカバー5を備えている。リールカバー5は、本体部4の後方左部および後方右部に設けられたカバー保持部7に、回動可能に保持されている。リールカバー5は、本体部4に対して回動することで開閉する。
【0041】
図3-
図5に示すように、鉄筋結束機2は、送り機構12と、案内機構14と、ブレーキ機構16と、切断機構18と、捩り機構20と、制御装置80を備えている。
【0042】
図3に示すように、送り機構12は、リール10から供給されるワイヤWを、本体部4の前方の案内機構14へと送り出す。送り機構12は、送りモータ22と、主動ローラ24と、従動ローラ26を備えている。主動ローラ24と従動ローラ26の間に、ワイヤWが挟持される。送りモータ22は、例えば直流ブラシ付きモータである。送りモータ22の動作は、制御装置80によって制御される。送りモータ22は、主動ローラ24を回転させる。送りモータ22が主動ローラ24を回転させると、従動ローラ26が逆方向に回転するとともに、主動ローラ24と従動ローラ26により挟持されたワイヤWが案内機構14へと送り出され、リール10からワイヤWが引き出される。
【0043】
図4に示すように、案内機構14は、送り機構12から送られたワイヤWを、鉄筋Rの周囲に円環状に案内する。案内機構14は、案内パイプ28と、上側カールガイド30と、下側カールガイド32を備えている。案内パイプ28の後方側の端部は、主動ローラ24と従動ローラ26の間の空間に向けて開口している。送り機構12から送られたワイヤWは、案内パイプ28の内部へと送り込まれる。案内パイプ28の前方側の端部は、上側カールガイド30の内部に向けて開口している。上側カールガイド30には、案内パイプ28から送られるワイヤWを案内するための第1案内通路34と、下側カールガイド32から送られるワイヤWを案内するための第2案内通路(図示せず)が設けられている。
【0044】
図4に示すように、第1案内通路34には、ワイヤWに下向きの巻きぐせをつけるようにワイヤWを案内する複数の案内ピン38と、後述する切断機構18の一部を構成するカッタ40が設けられている。案内パイプ28から送られたワイヤWは、第1案内通路34において案内ピン38で案内され、カッタ40を通過して、上側カールガイド30の前端から下側カールガイド32に向けて送り出される。
【0045】
図5に示すように、下側カールガイド32には、送り返し板42が設けられている。送り返し板42は、上側カールガイド30の前端から送られたワイヤWを案内して、上側カールガイド30の第2案内通路の後端に向けて送り返す。
【0046】
上側カールガイド30の第2案内通路は、第1案内通路34に隣接して配置されている。第2案内通路は、下側カールガイド32から送られたワイヤWを案内して、上側カールガイド30の前端から下側カールガイド32に向けて送り出す。
【0047】
上側カールガイド30と下側カールガイド32によって、送り機構12から送られたワイヤWは、鉄筋Rの周囲に円環状に巻回される。鉄筋Rの周囲でのワイヤWの巻き数は、ユーザが予め設定しておくことができる。送り機構12は、設定された巻き数に対応する送り量のワイヤWを送り出すと、送りモータ22を停止してワイヤWの送り出しを停止する。
【0048】
図3に示すブレーキ機構16は、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止するのと連動して、リール10の回転を停止する。ブレーキ機構16は、ソレノイド46と、リンク48と、ブレーキアーム50を備えている。ソレノイド46の動作は、制御装置80によって制御される。リール10には、ブレーキアーム50が係合する係合部10aが、径方向に所定の角度間隔で形成されている。ソレノイド46への通電がされていない状態では、ブレーキアーム50がリール10の係合部10aから離反している。ソレノイド46への通電がされた状態では、リンク48を介してブレーキアーム50が駆動されて、ブレーキアーム50がリール10の係合部10aに係合する。制御装置80は、送り機構12がワイヤWの送り出しを行なう際には、ソレノイド46へ通電せずに、ブレーキアーム50をリール10の係合部10aから離反させている。これにより、リール10は自由に回転することができ、送り機構12はリール10からワイヤWを引き出すことができる。また、制御装置80は、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止すると、ソレノイド46へ通電して、ブレーキアーム50をリール10の係合部10aに係合させる。これにより、リール10の回転が禁止される。これによって、送り機構12がワイヤWの送り出しを停止した後も、リール10が慣性により回転し続け、リール10と送り機構12の間でワイヤWが弛んでしまうことを防ぐことができる。
【0049】
図4、
図5に示す切断機構18は、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に巻回した状態で、ワイヤWを切断する。切断機構18は、カッタ40と、リンク52を備えている。リンク52は、後述する捩り機構20と連動して、カッタ40を回転させる。カッタ40が回転することによって、カッタ40の内部を通過するワイヤWが切断される。
【0050】
図5に示す捩り機構20は、鉄筋Rの周囲に巻回されたワイヤWを捩ることで、鉄筋RをワイヤWで結束する。捩り機構20は、捩りモータ54と、減速機構56と、スクリューシャフト58(
図4参照)と、スリーブ60と、プッシュプレート61と、一対のフック62を備えている。
【0051】
捩りモータ54は、例えば直流ブラシレスモータである。捩りモータ54の動作は、制御装置80によって制御される。捩りモータ54の回転は、減速機構56を介して、スクリューシャフト58に伝達される。捩りモータ54は、順方向および逆方向に回転可能であり、それに応じて、スクリューシャフト58も、順方向および逆方向に回転可能である。スリーブ60はスクリューシャフト58の周囲を覆うように配置されている。スリーブ60の回転が禁止されている状態では、スクリューシャフト58が順方向に回転すると、スリーブ60が前方に向けて移動し、スクリューシャフト58が逆方向に回転すると、スリーブ60が後方に向けて移動する。プッシュプレート61は、スリーブ60の前後方向の移動に応じて、スリーブ60と一体的に前後方向に移動する。また、スリーブ60の回転が許容されている状態で、スクリューシャフト58が回転すると、スリーブ60はスクリューシャフト58と共に回転する。
【0052】
スリーブ60が初期位置から所定の位置まで前進すると、プッシュプレート61が切断機構18のリンク52を駆動して、カッタ40を回転させる。一対のフック62はスリーブ60の前端に設けられており、スリーブ60の前後方向の位置に応じて開閉する。スリーブ60が前方に移動すると、一対のフック62が閉じて、ワイヤWを把持する。その後、スリーブ60が後方に移動すると、一対のフック62が開いて、ワイヤWを解放する。
【0053】
制御装置80は、鉄筋Rの周囲にワイヤWが巻回された状態で、捩りモータ54を回転させる。この際、スリーブ60の回転は禁止されており、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が前進するとともにプッシュプレート61と一対のフック62が前進し、一対のフック62が閉じてワイヤWを把持する。そして、スリーブ60の回転が許容されると、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が回転するとともに一対のフック62が回転する。これによって、ワイヤWが捩られて、鉄筋Rが結束される。
【0054】
制御装置80は、ワイヤWの捩りが終了すると、捩りモータ54を逆方向に回転させる。この際、スリーブ60の回転は禁止されており、一対のフック62が開いてワイヤWが解放された後、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60が後退するとともにプッシュプレート61と一対のフック62が後退する。スリーブ60が後退することによって、プッシュプレート61が切断機構18のリンク52を駆動して、カッタ40を初期姿勢に復帰させる。その後、スリーブ60が初期位置まで後退すると、スリーブ60の回転が許容されて、スクリューシャフト58の回転によってスリーブ60と一対のフック62が回転して、初期角度に復帰する。
【0055】
図2に示すように、本体部4の上部には、第1操作部64が設けられている。第1操作部64には、主電源のオン/オフを切り換えるメインスイッチ74、主電源のオン/オフの状態を表示する主電源LED76等が設けられている。第1操作部64は、制御装置80に接続されている。
【0056】
バッテリ取付部8の前方上面には、第2操作部90が設けられている。ユーザは、第2操作部90を介して、鉄筋RへのワイヤWの巻き数や、ワイヤWを捩る際のトルクしきい値等を設定することができる。第2操作部90には、鉄筋RへのワイヤWの巻き数や、ワイヤWを捩る際のトルクしきい値を設定する設定スイッチ98、現在の設定内容を表示する表示用LED96等が設けられている。第2操作部90は、制御装置80に接続されている。
【0057】
図2-
図5に示すように、鉄筋結束機2が鉄筋結束ロボット100から取り外された状態では、ユーザは、把持部6を把持した状態で鉄筋結束機2を使用する。把持部6の前方上部には、ユーザが引き操作可能なトリガ84が設けられている。
図5に示すように、把持部6の内部には、トリガ84のオン/オフを検出するトリガスイッチ86が設けられている。トリガスイッチ86は、制御装置80に接続されている。ユーザがトリガ84を引き操作して、トリガスイッチ86がオンとなると、鉄筋結束機2は、送り機構12、案内機構14およびブレーキ機構16によって、ワイヤWを鉄筋Rの周囲に巻回するとともに、切断機構18および捩り機構20によって、ワイヤWを切断して、鉄筋Rに巻回されたワイヤWを捩る、一連の動作を実行する。
【0058】
(電源ユニット102の構成)
図1に示すように、電源ユニット102は、搬送ユニット106に保持されている。電源ユニット102は、ハウジング110と、カバー112を備えている。ハウジング110には、制御ユニット126が収容されている。制御ユニット126は、電源ユニット102、操作ユニット104および搬送ユニット106の動作を制御する。
【0059】
図6に示すように、ハウジング110には、バッテリ収容室110aが形成されている。バッテリ収容室110aには、複数のバッテリ取付部114が設けられている。複数のバッテリ取付部114のそれぞれには、複数のバッテリパックBのそれぞれが着脱可能である。カバー112は、バッテリ収容室110aの上端近傍においてハウジング110の後部に設けられたヒンジ115を介してハウジング110に取り付けられている。カバー112は、ハウジング110に対して左右方向に延びる回動軸周りに回動可能である。
図6に示すように、カバー112をハウジング110に対して開いた状態では、複数のバッテリパックBのそれぞれは、上下方向にスライドさせることで、複数のバッテリ取付部114に対して着脱可能である。
図1に示すように、カバー112をハウジング110に対して閉じた状態とした場合、複数のバッテリ取付部114に取り付けられた複数のバッテリパックBは、ハウジング110とカバー112によって周囲を覆われる。この状態では、電源ユニット102に水がかかった場合であっても、バッテリ収容室110aの内部の複数のバッテリパックBに水がかかることを抑制することができる。
【0060】
カバー112は、図示しない捩りバネによって、ハウジング110に対して閉じる方向に付勢されている。カバー112には、ユーザが操作可能なラッチ部材116が設けられている。
図6に示すように、ハウジング110には、ラッチ部材116に対応して、ラッチ受け110bが形成されている。ユーザが、カバー112を閉じた状態として、ラッチ部材116を回動させると、ラッチ部材116がラッチ受け110bに係合することで、カバー112はハウジング110に対して閉じた状態で維持される。この状態から、ユーザがラッチ部材116を逆方向に回動させると、ラッチ部材116とラッチ受け110bの係合が解除されて、ユーザはカバー112をハウジング110に対して開くことができる。
【0061】
バッテリ収容室110aよりも前方のハウジング110の上面には、複数の残量表示インジケータ118と、残量表示ボタン120と、動作実行ボタン122が設けられている。複数の残量表示インジケータ118のそれぞれは、複数のバッテリ取付部114のそれぞれに対応して配置されており、対応するバッテリ取付部114に取り付けられたバッテリパックBの電池残量を表示する。残量表示ボタン120は、複数の残量表示インジケータ118による電池残量の表示のオン/オフをユーザが切替操作するためのボタンである。動作実行ボタン122は、鉄筋結束ロボット100の動作の実行および停止をユーザが切替操作するためのボタンである。
【0062】
バッテリ収容室110aよりも前方のハウジング110の上面には、給電ケーブル124が接続されている。給電ケーブル124には、バッテリアダプタ108が接続されている。鉄筋結束機2にバッテリアダプタ108が取り付けられた状態では、複数のバッテリパックBからの電力が鉄筋結束機2に供給される。
【0063】
バッテリ収容室110aには、キー117を着脱可能なキー取付部119が設けられている。キー117はキー取付部119に対して抜き差しすることで着脱可能である。キー117がキー取付部119から取り外された状態では、複数のバッテリパックBから鉄筋結束機2、操作ユニット104、搬送ユニット106への電力の供給が遮断される。キー117がキー取付部119に取り付けられた状態では、複数のバッテリパックBから鉄筋結束機2、操作ユニット104、搬送ユニット106への電力の供給が許容される。
【0064】
(操作ユニット104の構成)
図7、
図8に示すように、操作ユニット104は、昇降機構130と、把持機構132を備えている。
【0065】
図7に示すように、昇降機構130は、下側ベース部材134と、上側ベース部材136と、支持パイプ138,140と、昇降台142と、スクリューシャフト144と、モータ連結部146と、昇降モータ148と、センサ支持部材150と、上限検知センサ152と、下限検知センサ154を備えている。下側ベース部材134は、搬送ユニット106に保持されている。支持パイプ138、140の下端は、下側ベース部材134に固定されている。支持パイプ138,140の上端は、上側ベース部材136に固定されている。支持パイプ138,140は、互いに平行に配置されている。支持パイプ138,140は、鉄筋結束ロボット100の上下方向に対して、前後方向および左右方向に傾斜して配置されている。以下では、支持パイプ138,140が延びる方向を、昇降方向ともいう。昇降台142には、支持パイプ138,140が貫通する貫通孔142a,142bが形成されている。貫通孔142a,142bには、支持パイプ138,140を摺動可能に保持する保持部材156,158が固定されている。保持部材156,158は、例えば、固体潤滑材が埋め込まれたリニアブッシュであってもよいし、リニアボールベアリングであってもよいし、オイルレスベアリングであってもよい。昇降台142は、支持パイプ138,140のそれぞれが対応する保持部材156,158の内部を摺動可能に貫通した状態で、下側ベース部材134と上側ベース部材136の間に配置されている。スクリューシャフト144は、支持パイプ138,140の間に配置されている。スクリューシャフト144の下端は、下側ベース部材134に回転可能に保持されている。スクリューシャフト144の上端近傍は、上側ベース部材136に回転可能に保持されている。スクリューシャフト144は、支持パイプ138,140に対して平行に配置されている。スクリューシャフト144の下側ベース部材134と上側ベース部材136の間の箇所の外面には、雄ネジが形成されている。昇降台142には、スクリューシャフト144が貫通する貫通孔142cが形成されている。貫通孔142cには、ナット160が固定されている。ナット160には、スクリューシャフト144の雄ネジに対応する雌ネジが形成されている。スクリューシャフト144は、雄ネジがナット160の雌ネジに螺合した状態で、昇降台142を貫通している。スクリューシャフト144の上端は、モータ連結部146を介して、昇降モータ148に連結している。昇降モータ148は、例えば直流ブラシ付きモータである。昇降モータ148が順方向に回転すると、スクリューシャフト144の回転により昇降台142が上側ベース部材136から下側ベース部材134へ向けて下降する。逆に、昇降モータ148が逆方向に回転すると、スクリューシャフト144の回転により昇降台142が下側ベース部材134から上側ベース部材136に向けて上昇する。センサ支持部材150は、下端が下側ベース部材134に固定されており、上端が上側ベース部材136に固定されている。上限検知センサ152と下限検知センサ154は、それぞれ、センサ支持部材150に固定されている。上限検知センサ152は、通常時はオフであり、昇降台142が上限位置まで上昇した時に、昇降台142に当接してオンとなる。下限検知センサ154は、通常時はオフであり、昇降台142が下限位置まで下降した時に、昇降台142に当接してオンとなる。鉄筋結束ロボット100の制御ユニット126は、鉄筋結束機2を下降させる際には、昇降モータ148を順方向に回転させ、下限検知センサ154がオンとなると、昇降モータ148を停止する。なお、制御ユニット126は、鉄筋結束機2を下降させる際に、鉄筋結束機2が第1鉄筋R1、第2鉄筋R2またはその他の障害物に衝突して、昇降モータ148の負荷が急激に増加した場合にも、昇降モータ148を停止する。昇降モータ148の負荷は、例えば昇降モータ148の電流値から特定することができる。また、制御ユニット126は、鉄筋結束機2を上昇させる際には、昇降モータ148を逆方向に回転させ、上限検知センサ152がオンとなると、昇降モータ148を停止する。
【0066】
図9、
図10に示すように、本実施例の鉄筋結束ロボット100では、鉄筋結束機2を下降させる際に、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2が、上側カールガイド30の側ではなく、下側カールガイド32の側から鉄筋結束機2に近づく。このため、鉄筋結束機2を下降させる際に、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2が上側カールガイド30に衝突してしまうことを抑制することができる。また、本実施例の鉄筋結束ロボット100では、鉄筋結束機2を上昇させる際に、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2が、上側カールガイド30の側ではなく、下側カールガイド32の側に遠ざかっていく。このため、鉄筋結束機2を上昇させる際に、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2が上側カールガイド30に引っ掛かってしまうことを抑制することができる。
【0067】
図8に示すように、把持機構132は、第1支持プレート162と、第2支持プレート164と、連結シャフト166,168と、回動ピン170と、捩りバネ172と、支持ピン174と、リンク176と、プランジャ178と、アクチュエータ180と、捩りバネ182を備えている。第1支持プレート162は、鉄筋結束機2の把持部6の一方の外面(例えば、鉄筋結束機2から見て右側の外面)に対向して配置されている。第2支持プレート164は、鉄筋結束機2の把持部6の他方の外面(例えば、鉄筋結束機2から見て左側の外面)に対向して配置されている。第1支持プレート162と第2支持プレート164は、鉄筋結束機2の把持部6を挟持した状態で、連結シャフト166,168を介して互いに固定されている。第1支持プレート162の把持部6に対向する面と、第2支持プレート164の把持部6に対向する面には、それぞれ、鉄筋結束機2の把持部6の外面に形成された複数の凹部6a(
図2参照)に嵌合する複数の突出部(図示せず)が形成されている。このため、鉄筋結束機2の把持部6は、第1支持プレート162と第2支持プレート164に対して、位置が固定される。
【0068】
第1支持プレート162は、回動ピン170を介して昇降機構130の昇降台142に連結している。回動ピン170の一端は、昇降台142に固定されている。回動ピン170の他端は、第1支持プレート162に回動可能に保持されている。このため、第1支持プレート162および第2支持プレート164によって保持された鉄筋結束機2は、昇降台142の昇降に応じて昇降するとともに、昇降台142に対して回動ピン170周りに回動可能である。支持ピン174は、昇降台142に固定されており、昇降台142から第1支持プレート162に向けて延びている。第1支持プレート162には、支持ピン174が挿入される長孔162aと、昇降台142に向けて突出する突出部162bが形成されている。長孔162aは、鉄筋結束機2が回動ピン170周りに回動する際の回動範囲を規定する。捩りバネ172は、回動ピン170の外側に配置されており、突出部162bが支持ピン174から離れる方向に、突出部162bを支持ピン174に対して付勢する(すなわち、第1支持プレート162を昇降台142に対して付勢する)。仮に、鉄筋結束機2が昇降台142に対して回動不能な構成とすると、鉄筋結束機2に障害物が衝突した場合に、操作ユニット104に大きな衝撃が作用する。上記のように、鉄筋結束機2を昇降台142に対して回動可能な構成とすることで、鉄筋結束機2が障害物に衝突した場合であっても、操作ユニット104に大きな衝撃が作用することを抑制することができる。
【0069】
リンク176は、第2支持プレート164に保持されている。リンク176は、第2支持プレート164に対して左右方向に沿った回動軸周りに回動可能である。リンク176は、押圧部176aと、操作部176bを備えている。押圧部176aは、鉄筋結束機2のトリガ84に対向して配置されている。操作部176bは、プランジャ178を介してアクチュエータ180に連結されている。アクチュエータ180は、例えばソレノイドである。アクチュエータ180の動作は、鉄筋結束ロボット100の制御ユニット126によって制御される。捩りバネ182は、押圧部176aがトリガ84から離れる方向に、リンク176を第2支持プレート164に対して付勢する。アクチュエータ180がオフの場合には、捩りバネ182の付勢力によって、押圧部176aはトリガ84から離反している。アクチュエータ180がオンになると、操作部176bがアクチュエータ180に近づく方向にリンク176が回動することで、押圧部176aがトリガ84を押圧する。これによって、鉄筋結束機2のトリガ84に対する引き操作が行われる。
【0070】
(搬送ユニット106の構成)
図11に示すように、搬送ユニット106は、車台190と、右側クローラ192と、左側クローラ194と、サイドステッパ196と、鉄筋検出センサ198,200,202を備えている。
【0071】
車台190は、ベースプレート204と、右側フレーム206と、左側フレーム208と、右側プレート210と、左側プレート212と、前側フレーム214と、後側フレーム216を備えている。ベースプレート204は、前後方向および左右方向に沿って配置されている。
図1に示すように、電源ユニット102は、ハウジング110をベースプレート204の上面に固定することで、搬送ユニット106に保持されている。ベースプレート204には、貫通孔204aが形成されている。
図11に示すように、操作ユニット104は、貫通孔204aの縁に下側ベース部材134を固定することで、搬送ユニット106に保持されている。操作ユニット104が鉄筋結束機2を昇降させる際には、鉄筋結束機2は貫通孔204aを通過する。
【0072】
右側フレーム206と左側フレーム208は、ベースプレート204の下面に固定されている。右側フレーム206は、ベースプレート204の右端において、前後方向に延びている。左側フレーム208は、ベースプレート204の左端において、前後方向に伸びている。前後方向に関して、右側フレーム206の前端と、左側フレーム208の前端は、ベースプレート204の前端と同じ位置にあり、右側フレーム206の後端と、左側フレーム208の後端は、ベースプレート204の後端と同じ位置にある。右側プレート210は、右側フレーム206の右面に固定されている。右側プレート210は、前後方向および上下方向に沿って配置されている。左側プレート212は、左側フレーム208の左面に固定されている。左側プレート212は、前後方向および上下方向に沿って配置されている。上下方向に関して、右側プレート210の上端と、左側プレート212の上端は、ベースプレート204の上面と同じ位置にある。前後方向に関して、右側プレート210の前端と、左側プレート212の前端は、ベースプレート204の前端よりも前方に突出しており、右側プレート210の後端と、左側プレート212の後端は、ベースプレート204の後端よりも後方に突出している。前側フレーム214は、ベースプレート204の前端よりも前方で、右側プレート210の前端近傍と左側プレート212の前端近傍を連結している。後側フレーム216は、ベースプレート204の後端よりも後方で、右側プレート210の後端近傍と左側プレート212の後端近傍を連結している。前側フレーム214と後側フレーム216は、左右方向に延びている。上下方向に関して、前側フレーム214と後側フレーム216は、右側フレーム206と左側フレーム208よりも下方に配置されている。
【0073】
右側クローラ192は、前側プーリ218と、後側プーリ220と、複数の補助プーリ222と、テンショナプーリ224と、ゴムベルト226と、右側クローラモータ228と、ギヤボックス230を備えている。前側プーリ218の外面と、後側プーリ220の外面と、複数の補助プーリ222の外面には、それぞれ、ゴムベルト226と噛み合う歯形が形成されている。ゴムベルト226は、前側プーリ218と、後側プーリ220と、複数の補助プーリ222と、テンショナプーリ224に掛け渡されている。前側プーリ218は、右側プレート210の前端近傍において、ベアリング232を介して右側プレート210に回転可能に支持されている。後側プーリ220は、右側プレート210の後端近傍において、ベアリング234を介して右側プレート210に回転可能に支持されている。複数の補助プーリ222は、前側プーリ218と後側プーリ220の間で、対応するベアリング236を介して右側プレート210に回転可能に支持されている。複数の補助プーリ222は、前後方向に並んで配置されている。前側プーリ218の外径と後側プーリ220の外径は略同じであり、複数の補助プーリ222の外径は、前側プーリ218および後側プーリ220の外径よりも小さい。上下方向に関して、前側プーリ218の下端と、後側プーリ220の下端と、複数の補助プーリ222の下端は、略同じ位置にある。
【0074】
図12に示すように、テンショナプーリ224は、可動ベアリング237に回転可能に支持されている。可動ベアリング237は、上下方向に移動可能に、右側プレート210に支持されている。なお、可動ベアリング237の近傍においては、可動ベアリング237と干渉しないように、ベースプレート204と右側フレーム206は切り欠かれている。可動ベアリング237の下方には、調節ボルト238と、ナット240と、ボルト支持部材242が設けられている。ボルト支持部材242は、右側プレート210に固定されている。ボルト支持部材242には、調節ボルト238の軸部238aが貫通する貫通孔242aが形成されている。貫通孔242aの内面には、軸部238aの雄ネジに対応する雌ネジが形成されている。ナット240は、ボルト支持部材242の下方に配置されている。調節ボルト238の頭部238bは、ナット240よりも下方に配置されており、調節ボルト238の軸部238aは、ナット240に螺合するとともに、ボルト支持部材242の貫通孔242aに螺合している。このため、いわゆるダブルナットの要領で、調節ボルト238の上下方向の位置が固定される。調節ボルト238の軸部238aの上端は、可動ベアリング237の下面に当接している。ゴムベルト226がテンショナプーリ224に掛け渡されている状態で、調節ボルト238の上下方向の位置を調整することで、可動ベアリング237の右側プレート210に対する上下方向の位置を調整することができる。これによって、ゴムベルト226の張り具合いを調整することができる。
【0075】
図11に示すように、右側クローラモータ228は、ベアリング232と、ギヤボックス230を介して、右側プレート210に支持されている。右側クローラモータ228は、例えば直流ブラシレスモータである。右側クローラモータ228は、ギヤボックス230に内蔵された減速ギヤ(図示せず)を介して、前側プーリ218に連結されている。右側クローラモータ228が順方向または逆方向に回転すると、前側プーリ218が順方向または逆方向に回転し、それによってゴムベルト226が前側プーリ218と、後側プーリ220と、複数の補助プーリ222と、テンショナプーリ224の外側で順方向または逆方向に回転する。
【0076】
左側クローラ194は、前側プーリ244と、後側プーリ246と、複数の補助プーリ248と、テンショナプーリ250と、ゴムベルト252と、左側クローラモータ254と、ギヤボックス256を備えている。前側プーリ244の外面と、後側プーリ246の外面と、複数の補助プーリ248の外面には、それぞれ、ゴムベルト252と噛み合う歯形が形成されている。ゴムベルト252は、前側プーリ244と、後側プーリ246と、複数の補助プーリ248と、テンショナプーリ250に掛け渡されている。前側プーリ244は、左側プレート212の前端近傍において、ベアリング258を介して左側プレート212に回転可能に支持されている。後側プーリ246は、左側プレート212の後端近傍において、ベアリング260を介して左側プレート212に回転可能に支持されている。複数の補助プーリ248は、前側プーリ244と後側プーリ246の間で、対応するベアリング262を介して左側プレート212に回転可能に支持されている。複数の補助プーリ248は、前後方向に並んで配置されている。前側プーリ244の外径と後側プーリ246の外径は略同じであり、複数の補助プーリ248の外径は、前側プーリ244および後側プーリ246の外径よりも小さい。上下方向に関して、前側プーリ244の下端と、後側プーリ246の下端と、複数の補助プーリ248の下端は、略同じ位置にある。
【0077】
図12に示すように、テンショナプーリ250は、可動ベアリング264に回転可能に支持されている。可動ベアリング264は、上下方向に移動可能に、左側プレート212に支持されている。なお、可動ベアリング264の近傍においては、可動ベアリング264と干渉しないように、ベースプレート204と左側フレーム208は切り欠かれている。可動ベアリング264の下方には、調節ボルト266と、ナット268と、ボルト支持部材270が設けられている。ボルト支持部材270は、左側プレート212に固定されている。ボルト支持部材270には、調節ボルト266の軸部266aが貫通する貫通孔270aが形成されている。貫通孔270aの内面には、軸部266aの雄ネジに対応する雌ネジが形成されている。ナット268は、ボルト支持部材270の下方に配置されている。調節ボルト266の頭部266bは、ナット268よりも下方に配置されており、調節ボルト266の軸部266aは、ナット268に螺合するとともに、ボルト支持部材270の貫通孔270aに螺合している。このため、いわゆるダブルナットの要領で、調節ボルト266の上下方向の位置が固定される。調節ボルト266の軸部266aの上端は、可動ベアリング264の下面に当接している。ゴムベルト252がテンショナプーリ250に掛け渡されている状態で、調節ボルト266の上下方向の位置を調整することで、可動ベアリング264の左側プレート212に対する上下方向の位置を調整することができる。これによって、ゴムベルト252の張り具合いを調整することができる。
【0078】
図11に示すように、左側クローラモータ254は、ベアリング258と、ギヤボックス256を介して、左側プレート212に支持されている。左側クローラモータ254は、例えば直流ブラシレスモータである。左側クローラモータ254は、ギヤボックス256に内蔵された減速ギヤ(図示せず)を介して、前側プーリ244に連結されている。左側クローラモータ254が順方向または逆方向に回転すると、前側プーリ244が順方向または逆方向に回転し、それによってゴムベルト252が前側プーリ244と、後側プーリ246と、複数の補助プーリ248と、テンショナプーリ250の外側で順方向または逆方向に回転する。
【0079】
図13に示すように、サイドステッパ196は、ステップバー272,274と、前側クランク機構276と、後側クランク機構277と、ステッパモータ279と、ギヤボックス281と、ウォームギヤケース283と、回転伝達シャフト285を備えている。ステップバー272,274は、断面が略矩形の棒状部材であって、前後方向に延びている。
図11に示すように、左右方向に関して、ステップバー272はベースプレート204の中央と右端の間に配置されており、ステップバー274はベースプレート204の中央と左端の間に配置されている。
【0080】
図13,
図14に示すように、前側クランク機構276は、支持プレート278と、プーリ280,282と、ベルト284と、クランクアーム286,288と、クランクピン290,292(
図15参照)と、クランクプレート294と、ローラ296,298と、ガイドプレート300を備えている。支持プレート278は、ベースプレート204の前端近傍で、ベースプレート204の下面に固定されている。支持プレート278は、左右方向および上下方向に沿って配置されている。プーリ280は、支持プレート278の右端近傍で、支持プレート278よりも後方に配置されている。プーリ282は、支持プレート278の左端近傍で、支持プレート278よりも後方に配置されている。プーリ280,282は、それぞれ、支持プレート278に回転可能に支持されている。プーリ280の径は、プーリ282の径と略同じである。ベルト284は、プーリ280,282に掛け渡されている。このため、プーリ280,282は、一方が順方向または逆方向に回転した時に、他方も順方向または逆方向に略同じ回転数で回転する。
【0081】
クランクアーム286,288と、クランクピン290,292と、クランクプレート294と、ローラ296,298と、ガイドプレート300は、支持プレート278よりも前方に配置されている。
図15に示すように、クランクアーム286,288は、プーリ280,282の軸280a,282aが嵌め込まれる嵌合孔286a,288aと、クランクアーム286,288の長手方向に延びる長孔286b,288bを備えている。クランクアーム286,288は、プーリ280,282が回転する時に、軸280a,282aを中心としてプーリ280,282と一体となって回転する。長孔286b,288bには、クランクピン290,292が摺動可能に挿入されている。クランクピン290,292は、クランクプレート294を貫通した状態で、クランクプレート294に固定されている。クランクプレート294は、クランクアーム286,288よりも前方側に配置されている。クランクプレート294は、左右方向および上下方向に沿って延びている。ローラ296,298(
図14参照)は、クランクプレート294よりも前方側で、クランクピン290,292に取り付けられている。
図14に示すように、ローラ296,298は、ガイドプレート300の後面に形成されたガイド溝302,304に入り込んでいる。ガイドプレート300は、クランクプレート294よりも前方で、ベースプレート204の下面に固定されている。ガイドプレート300は、左右方向および上下方向に沿って延びている。
図15に示すように、ガイドプレート300のガイド溝302,304は、角部が丸められた略矩形の形状に形成されている。ガイド溝302,304は、
図15に破線で示すサイドステップ軌道Sを規定している。サイドステップ軌道Sは、角部が丸められた略矩形の形状を有しており、左右方向に沿った上辺および下辺と、上下方向に沿った右辺および左辺を有する。
【0082】
前側クランク機構276において、プーリ280,282が回転すると、クランクアーム286,288の回転によって、クランクピン290,292がクランクアーム286,288の回転方向に移動する。この際に、ローラ296,298がガイド溝302,304に入り込んでいるため、クランクピン290,292は、長孔286b,288bの内部を摺動しつつ、ガイド溝302,304によって規定されるサイドステップ軌道Sに沿って移動する。これによって、クランクピン290,292が固定されたクランクプレート294も、ガイド溝302,304によって規定されるサイドステップ軌道Sに沿って移動する。
【0083】
図16に示すように、後側クランク機構277は、支持プレート306と、プーリ308,310と、ベルト312と、クランクアーム314,316と、クランクピン318,320(
図15参照)と、クランクプレート322と、ローラ324,326と、ガイドプレート328を備えている。支持プレート306は、ベースプレート204の後端近傍で、ベースプレート204の下面に固定されている。支持プレート306は、左右方向および上下方向に沿って配置されている。プーリ308は、支持プレート306の右端近傍で、支持プレート306よりも前方に配置されている。プーリ310は、支持プレート306の左端近傍で、支持プレート306よりも前方に配置されている。プーリ308,310は、それぞれ、支持プレート306に回転可能に支持されている。プーリ308の径は、プーリ310の径と略同じであり、前側クランク機構276のプーリ280,282の径と略同じである。ベルト312は、プーリ308,310に掛け渡されている。このため、プーリ308,310は、一方が順方向または逆方向に回転した時に、他方も順方向または逆方向に略同じ回転数で回転する。
【0084】
クランクアーム314,316と、クランクピン318,320と、クランクプレート322と、ローラ324,326と、ガイドプレート328は、支持プレート306よりも後方に配置されている。
図15に示すように、クランクアーム314,316は、プーリ308,310の軸308a,310aが嵌め込まれる嵌合孔314a,316aと、クランクアーム314,316の長手方向に延びる長孔314b,316bを備えている。クランクアーム314,316は、プーリ308,310が回転する時に、軸308a,310aを中心としてプーリ308,310と一体となって回転する。長孔314b,316bには、クランクピン318,320が摺動可能に挿入されている。クランクピン318,320は、クランクプレート322を貫通した状態で、クランクプレート322に固定されている。クランクプレート322は、クランクアーム314,316よりも後方側に配置されている。クランクプレート322は、左右方向および上下方向に沿って延びている。ローラ324,326(
図16参照)は、クランクプレート322よりも後方側で、クランクピン318,320に取り付けられている。
図16に示すように、ローラ324,326は、ガイドプレート328の前面に形成されたガイド溝330,332に入り込んでいる。ガイドプレート328は、クランクプレート322よりも後方で、ベースプレート204の下面に固定されている。ガイドプレート328は、左右方向および上下方向に沿って延びている。
図15に示すように、ガイドプレート328のガイド溝330,332は、角部が丸められた略矩形の形状に形成されている。ガイド溝330,332は、
図15に破線で示すサイドステップ軌道Sを規定している。サイドステップ軌道Sは、角部が丸められた略矩形の形状を有しており、左右方向に沿った上辺および下辺と、上下方向に沿った右辺および左辺を有する。ガイド溝330,332によって規定されるサイドステップ軌道Sは、ガイド溝302,304によって規定されるサイドステップ軌道Sと同一である。
【0085】
後側クランク機構277において、プーリ308,310が回転すると、クランクアーム314,316の回転によって、クランクピン318,320がクランクアーム314,316の回転方向に移動する。この際に、ローラ324,326がガイド溝330,332に入り込んでいるため、クランクピン318,320は、長孔314b,316bの内部を摺動しつつ、ガイド溝330,332によって規定されるサイドステップ軌道Sに沿って移動する。これによって、クランクピン318,320が固定されたクランクプレート322も、ガイド溝330,332によって規定されるサイドステップ軌道Sに沿って移動する。
【0086】
図13に示すように、ステップバー272,274は、それぞれ、前端が前側クランク機構276のクランクプレート294に固定されており、後端が後側クランク機構277のクランクプレート322に固定されている。また、前側クランク機構276のプーリ280と、後側クランク機構277のプーリ308は、回転伝達シャフト285によって連結されている。このため、前側クランク機構276のプーリ280,282と後側クランク機構277のプーリ308,310は、互いに同期して回転するとともに、前側クランク機構276のクランクプレート294と後側クランク機構277のクランクプレート322は、互いに同期して動作する。なお、前側クランク機構276および後側クランク機構277の一方(例えば前側クランク機構276)には、ゼロ点検知センサ(図示せず)が設けられている。ゼロ点検知センサは、例えば、クランクプレート294に固定された永久磁石(図示せず)と、ガイドプレート300に固定されたホール素子(図示せず)を備えている。ゼロ点検知センサは、サイドステップ軌道Sの上辺の左右方向の中央をゼロ点位置として、クランクプレート294,322がゼロ点位置にあるか否かを検出することができる。
【0087】
図13に示すように、ウォームギヤケース283は、前側クランク機構276のプーリ282よりも後方に配置されている。ウォームギヤケース283は、前側クランク機構276の支持プレート278に固定されている。ギヤボックス281は、ウォームギヤケース283よりも右側に配置されており、ウォームギヤケース283に固定されている。ステッパモータ279は、ギヤボックス281よりも右側に配置されており、ギヤボックス281に保持されている。ステッパモータ279は、例えば直流ブラシ付きモータである。ステッパモータ279は、ギヤボックス281に内蔵された減速ギヤ(図示せず)と、ウォームギヤケース283に内蔵されたウォームギヤ(図示せず)を介して、プーリ282に連結されている。ステッパモータ279が順方向または逆方向に回転すると、プーリ280,282,308,310が順方向または逆方向に回転し、それによってクランクプレート294,322がサイドステップ軌道Sに沿って右回りまたは左回りに移動し、ステップバー272,274もサイドステップ軌道Sに沿って右回りまたは左回りに移動する。なお、
図1に示すように、ベースプレート204には、ステッパモータ279、ギヤボックス281、ウォームギヤケース283との干渉を回避するための貫通孔204bが形成されている。
【0088】
図17に示すように、クランクプレート294,322がサイドステップ軌道S(
図15参照)の上辺にあり、ステップバー272,274が上方に移動している状態では、クランクプレート294,322やステップバー272,274は、第1鉄筋R1や第2鉄筋R2から離反している。この状態では、右側クローラ192と左側クローラ194が、第1鉄筋R1や第2鉄筋R2に当接しているので、鉄筋結束ロボット100は、右側クローラ192と左側クローラ194を駆動して、前後方向への移動を行うことができる。
【0089】
図17に示す状態から、ステッパモータ279を回転させると、クランクプレート294,322がサイドステップ軌道S(
図15参照)に沿って移動し、それに伴ってステップバー272,274が下方に移動することで、クランクプレート294,322とステップバー272,274が第2鉄筋R2に当接する。この状態からさらにステッパモータ279を回転させると、クランクプレート294,322とステップバー272,274がさらに下方に移動することで、
図18に示すように、右側クローラ192と左側クローラ194は第2鉄筋R2から離反する。そのままステッパモータ279を回転させることで、サイドステップ軌道Sの左右方向の幅に相当するステップ幅だけ、鉄筋結束ロボット100が右方向または左方向に移動した後、クランクプレート294,322とステップバー272,274が上方に向けて移動し、右側クローラ192と左側クローラ194が再び第1鉄筋R1や第2鉄筋R2に当接するとともに、クランクプレート294,322とステップバー272,274が第2鉄筋R2から離反する。クランクプレート294,322がゼロ点位置まで移動したことがゼロ点検知センサによって検知されると、ステッパモータ279の回転が停止する。上記のように、サイドステッパ196を駆動することによって、鉄筋結束ロボット100は、右方向または左方向に、所定のステップ幅だけ移動することができる。
【0090】
なお、ガイド溝302,304,330,332によって規定されるサイドステップ軌道Sは、上記のような略矩形の形状に限らず、種々の形状とすることができる。サイドステップ軌道Sは、ステップバー272,274がサイドステップ軌道Sに沿って移動する際に、ステップバー272,274の下端が右側クローラ192および左側クローラ194の下端よりも下方に移動し、その後にステップバー272,274の下端が左右方向に移動し、その後にステップバー272,274の下端が右側クローラ192および左側クローラ194の下端よりも上方に移動するものであれば、どのような形状であってもよい。例えば、サイドステップ軌道Sは、円形状としてもよいし、楕円形状としてもよいし、下方に底辺を有する三角形状としてもよいし、五角形以上の多角形状としてもよい。
【0091】
図11に示すように、鉄筋検出センサ198は、前側フレーム214の左右方向の中央近傍で、前側フレーム214の前面に設けられている。鉄筋検出センサ200は、後側フレーム216の左右方向の中央近傍で、後側フレーム216の後面に設けられている。鉄筋検出センサ202は、ベースプレート204の左端の前後方向の中央近傍で、ベースプレート204の下面に設けられている。鉄筋検出センサ198,200,202は、それぞれ、下向きに配置されている。鉄筋検出センサ198,200,202は、例えば被写体までの距離を画素毎に計測した距離画像データを取得可能なTOF(Time-of Flight)センサである。鉄筋結束ロボット100の制御ユニット126は、鉄筋検出センサ198,200,202で取得される距離画像データに基づいて、鉄筋検出センサ198,200,202のそれぞれに対する、第1鉄筋R1や第2鉄筋R2の相対的な配置を特定することができる。
【0092】
(鉄筋結束ロボット100の動作)
ユーザが動作実行ボタン122を操作して、鉄筋結束ロボット100の動作の実行が指示されると、制御ユニット126は、
図19に示す処理を実行する。
【0093】
S2では、制御ユニット126は、複数の第1鉄筋R1のうち、結束作業の対象とする第1鉄筋R1’について、鉄筋検出センサ198で検出される左右方向の位置が、基準位置から第1所定位置範囲内にあるか否かを判断する。ここでいう基準位置とは、操作ユニット104が鉄筋結束機2を下降させて結束作業を行う際に、第1鉄筋R1と第2鉄筋R2の交差箇所が存在すべき位置のことをいう。例えば、基準位置は、前後方向および左右方向に関して、ベースプレート204の前後方向および左右方向の中央に位置する。また、ここでいう第1所定位置範囲とは、第1鉄筋R1’の左右方向の位置がその範囲から外れている場合には、サイドステッパ196による左右方向の移動が必要と判断される範囲である。第1鉄筋R1’の左右方向の位置が、基準位置から第1所定位置範囲内にない場合(NOの場合)、処理はS4へ進む。
【0094】
S4では、制御ユニット126は、サイドステッパ196を駆動して、鉄筋結束ロボット100を右方向または左方向に移動させる。S4の後、処理はS2へ戻る。
【0095】
S2で、第1鉄筋R1’の左右方向の位置が、基準位置から第1所定位置範囲内にある場合(YESの場合)、処理はS6へ進む。S6では、制御ユニット126は、第1鉄筋R1’の左右方向の位置が、基準位置から第2所定位置範囲内にあるか否かを判断する。第2所定位置範囲は、第1所定位置範囲よりも小さい範囲であり、第1鉄筋R1’の位置がその範囲内にあれば、鉄筋結束機2による結束作業を実行可能な範囲である。第1鉄筋R1’の左右方向の位置が、第2所定位置範囲内にない場合(NOの場合)、処理はS10へ進む。第1鉄筋R1’の左右方向の位置が、第2所定位置範囲にある場合(YESの場合)、処理はS8へ進む。
【0096】
S8では、制御ユニット126は、鉄筋検出センサ198で検出される第1鉄筋R1の角度が、基準角度から所定角度範囲内にあるか否かを判断する。ここでいう基準角度とは、操作ユニット104が鉄筋結束機2を下降させて結束作業を行う際に、第1鉄筋R1と第2鉄筋R2の交差箇所において第1鉄筋R1’が取るべき角度のことをいう。例えば、基準角度は、ゼロ度である。また、ここでいう所定角度範囲は、第1鉄筋R1’の角度がその範囲内にあれば、鉄筋結束機2による結束作業を実行可能な範囲である。第1鉄筋R1’の角度が、所定角度範囲内にない場合(NOの場合)、処理はS10へ進む。第1鉄筋R1の角度が所定角度範囲内にある場合(YESの場合)、処理はS20へ進む。
【0097】
S10では、制御ユニット126は、鉄筋トレース制御を開始する。鉄筋トレース制御では、制御ユニット126は、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与えた状態で鉄筋結束ロボット100を前進または後退させて、第1鉄筋R1’の左右方向の位置および角度を、基準位置および基準角度に近付けていく。鉄筋トレース制御の詳細については、後述する。
【0098】
S12では、制御ユニット126は、第1鉄筋R1の左右方向の位置が、基準位置から第2所定位置範囲内にあるか否かを判断する。第1鉄筋R1の左右方向の位置が、第2所定位置範囲内にない場合(NOの場合)、処理はS10へ戻る。第1鉄筋R1の左右方向の位置が、第2所定範囲にある場合(YESの場合)、処理はS14へ進む。
【0099】
S14では、制御ユニット126は、鉄筋検出センサ198で検出される第1鉄筋R1の角度が、基準角度から所定角度範囲内にあるか否かを判断する。第1鉄筋R1の角度が、所定角度範囲内にない場合(NOの場合)、処理はS10へ戻る。第1鉄筋R1の角度が所定角度範囲内にある場合(YESの場合)、処理はS16へ進む。
【0100】
S16では、制御ユニット126は、鉄筋トレース制御を終了する。S10からS16までの処理を行うことによって、
図20に示すように、第1鉄筋R1’の左右方向の位置と角度が、基準位置と基準角度に一致するように、鉄筋結束ロボット100が移動する。なお、
図20-
図23においては、鉄筋結束ロボット100の基準位置と基準角度を、十字カーソルCで表している。
【0101】
図19に示すように、S18では、制御ユニット126は、復帰処理を行う。復帰処理では、制御ユニット126は、直前のS10で鉄筋結束ロボット100が進行した方向とは逆の方向に、鉄筋結束ロボット100を進行させる。この際に、制御ユニット126は、直前のS10からS16までの処理で第2所定位置範囲内および所定角度範囲内に収まった第1鉄筋R1’の左右方向の位置および角度が、第2所定位置範囲および所定角度範囲から外れないように、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与えながら、鉄筋結束ロボット100を進行させる。制御ユニット126は、S10で鉄筋トレース制御を開始してからS16で鉄筋トレース制御を終了するまでの、鉄筋結束ロボット100の前方または後方への移動距離を計測しておいて、S18の復帰処理で、同じ移動距離だけ鉄筋結束ロボット100を逆方向に進行させる。S18の復帰処理を行うことによって、
図21に示すように、第1鉄筋R1’の左右方向の位置と角度を基準位置と基準角度に一致させた状態のまま、鉄筋結束ロボット100が逆方向に進行する。
図19に示すように、S18の後、処理はS20へ進む。
【0102】
S20では、制御ユニット126は、S10と同様に、鉄筋トレース制御を開始する。これによって、鉄筋結束ロボット100が、第1鉄筋R1’に沿った前進または後退を開始する。
【0103】
S22では、制御ユニット126は、鉄筋検出センサ202で検出される第2鉄筋R2の前後方向の位置が、基準位置から所定位置範囲内にあるか否かを判断する。ここでいう所定位置範囲は、第2鉄筋R2の位置がその範囲内であれば、鉄筋結束機2による結束作業が実行可能な範囲である。第2鉄筋R2の前後方向の位置が、所定位置範囲内にない場合(NOの場合)、処理はS22へ戻る。第2鉄筋R2の前後方向の位置が、所定位置範囲内にある場合(YESの場合)、処理はS24へ進む。
【0104】
S24では、制御ユニット126は、鉄筋トレース制御を終了する。
【0105】
S26では、制御ユニット126は、鉄筋結束処理を行う。鉄筋結束処理では、制御ユニット126は、昇降機構130を駆動して鉄筋結束機2を下降させて、第1鉄筋R1’と第2鉄筋R2の交差箇所に鉄筋結束機2をセットし、把持機構132を駆動して鉄筋結束機2による第1鉄筋R1’と第2鉄筋R2の結束作業を行う。その後、制御ユニット126は、昇降機構130を駆動して鉄筋結束機2を上昇させる。S26の後、処理はS28へ進む。
【0106】
S28では、制御ユニット126は、S26で行った結束作業が正常に完了したか否かを判断する。結束作業が正常に完了していないと判断される場合(NOの場合)、処理はS26へ戻る。結束作業が正常に完了したと判断される場合(YESの場合)、処理はS30へ進む。
【0107】
S30では、制御ユニット126は、第1鉄筋R1’についての結束作業が全て終了したか否かを判断する。まだ終了していないと判断される場合(NOの場合)、処理はS20へ戻る。S20からS30までの処理を繰り返し行うことによって、
図21に示すように、鉄筋結束ロボット100は、第1鉄筋R1’に沿って移動しながら、第1鉄筋R1’と第2鉄筋R2の交差箇所の結束作業を繰り返し実行する。
【0108】
図19に示すように、S30で、第1鉄筋R1’についての結束作業が全て終了したと判断されると(YESとなると)、処理はS32へ進む。
【0109】
S32では、制御ユニット126は、全ての第1鉄筋R1について結束作業が終了したか否かを判断する。まだ終了していないと判断される場合(NOの場合)、処理はS34へ進む。
【0110】
S34では、制御ユニット126は、結束作業の対象とする第1鉄筋R1’を、未だ結束作業が終了していない別の第1鉄筋R1に変更する。S34の後、処理はS2へ戻る。
【0111】
S32で、全ての第1鉄筋R1について結束作業が終了したと判断される場合(YESの場合)、
図19の処理は終了する。
【0112】
なお、
図19の処理において、鉄筋結束ロボット100が、第1鉄筋R1’と第2鉄筋R2の交差箇所の結束作業を繰り返し実行する際に、第1鉄筋R1’と第2鉄筋R2の交差箇所を1つとばしに結束してもよい。この場合、最終的に、隣接する交差箇所のうち少なくとも一方が結束されるように、鉄筋結束ロボット100が結束作業の対象とする交差箇所を選択してもよい。
【0113】
(鉄筋結束ロボット100の鉄筋トレース制御)
鉄筋結束ロボット100を移動させる際には、制御ユニット126は、右側クローラ192の進行速度vR(t)と、左側クローラ194の進行速度vL(t)をそれぞれ決定し、右側クローラ192の進行速度vR(t)に応じた回転速度で右側クローラモータ228を回転させるとともに、左側クローラ194の進行速度vL(t)に応じた回転速度で左側クローラモータ254を回転させる。
図23に示すように、この場合に実現される、鉄筋結束ロボット100の前方への移動速度v(t)と、上下方向周りの回転の角速度ω(t)は、それぞれ以下の式で与えられる。
v(t)=(vR(t)+vL(t))/2 (1)
ω(t)=(vR(t)-vL(t))/2l (2)
ここで、2lは右側クローラ192と左側クローラ194の間の距離である。
【0114】
図19の処理で行っている鉄筋トレース制御では、鉄筋結束ロボット100の基準位置と基準角度が、第1鉄筋R1’の左右方向の位置と角度に近づいていくように、制御ユニット126は、vR(t)とvL(t)を決定する。具体的には、制御ユニット126は、vR(t)とvL(t)を、それぞれ以下の式で算出する。
vR(t)=vconst+Δv(t) (3)
vL(t)=vconst-Δv(t) (4)
ここで、vconstは一定値であり、Δv(t)は、鉄筋結束ロボット100の基準位置と基準角度を、第1鉄筋R1’の左右方向の位置と角度に近づけていくための補正量である。
【0115】
上記の式(3)、(4)によってvR(t)とvL(t)を与えた場合、鉄筋結束ロボット100が実現する速度v(t)と角速度ω(t)は以下の式となる。
v(t)=vconst (5)
ω(t)=Δv(t)/l (6)
【0116】
図23に示すように、鉄筋結束ロボット100の前部に配置された鉄筋検出センサ198で検出される第1鉄筋R1の左右方向の位置(基準位置からのずれ量)をe(t)とし、第1鉄筋R1の角度(基準角度からのずれ量)をθ(t)とした場合、制御ユニット126は、補正量Δv(t)を次式によって算出する。
Δv(t)=k1×e(t)+k2×e’(t)+k3×θ(t)+k4×θ’(t) (7)
ここで、e’(t)は、e(t)の時間微分値であり、θ’(t)はθ(t)の時間微分値であり、k1,k2,k3,k4は、いずれも正の定数である。
【0117】
図23からも明らかなように、鉄筋結束ロボット100が速度vで前進する際に、角速度ω(t)(=Δv(t)/l)が与えられていると、鉄筋結束ロボット100の前進に伴って、e(t)、θ(t)はいずれもゼロに近づいていく。このため、上記の式(7)のように補正量Δv(t)を与えることによって、鉄筋結束ロボット100の基準位置と基準角度を、第1鉄筋R1’の左右方向の位置と角度に近付けていくことができる。
【0118】
図24は、例として、鉄筋結束ロボット100の基準位置と第1鉄筋R1’の左右方向の位置の間に所定のずれ量が存在する場合の、鉄筋トレース制御によって鉄筋結束ロボット100が前方へ移動する際の軌道を示している。なお、
図24-
図26においては、x[mm]は第1鉄筋R1’に沿った方向の位置を示しており、y[mm]は第1鉄筋R1’に沿った方向に直交する方向の位置を示している。
図24に示すように、鉄筋トレース制御を行うことによって、鉄筋結束ロボット100の基準位置と第1鉄筋R1’の左右方向の位置との間のずれ量が解消されて、鉄筋結束ロボット100は第1鉄筋R1’に沿って移動することができる。
【0119】
図25は、別の例として、右側クローラ192が正常に動作し、左側クローラ194が滑りを生じる場合の、鉄筋結束ロボット100が前方へ移動する際の軌道を示している。左側クローラ194が滑りを生じる場合、左側クローラ194の実際の進行速度が遅くなるため、
図25に示すように、鉄筋トレース制御を行わない場合には、鉄筋結束ロボット100は前方への移動に伴って第1鉄筋R1’から徐々に左側に逸れて行ってしまう。これとは異なり、鉄筋トレース制御を行う場合には、左側クローラ194が滑りを生じる場合であっても、鉄筋結束ロボット100の基準位置と基準角度を、第1鉄筋R1’の左右方向の位置と角度に近付けるように補正量Δv(t)が与えられるので、鉄筋結束ロボット100は第1鉄筋R1’から離れていくことがなく、第1鉄筋R1’に沿って前方へ移動することができる。
【0120】
なお、上記の式(3)、(4)でvR(t)、vL(t)を与える場合、vR(t)、vL(t)はvconstを超える値となることがある。このため、右側クローラモータ228や左側クローラモータ254として、高回転数での動作が可能なものを用意する必要があり、右側クローラモータ228や左側クローラモータ254のサイズや重量の増大を招くおそれがある。
【0121】
そこで、上記の式(3)、(4)の代わりに、以下のようにしてvR(t)、vL(t)を与えてもよい。すなわち、上記の式(7)によってΔvを算出した後、Δv≧0の場合には、
vR(t)=vconst (8)
vL(t)=vconst-2Δv(t) (9)
とし、Δv<0の場合には、
vR(t)=vconst+2Δv(t) (10)
vL(t)=vconst (11)
としてもよい。
【0122】
上記の式(8)、(9)、(10)、(11)によってvR(t)、vL(t)を与える場合、vR(t)、vL(t)がvconstを超えることは無いので、右側クローラモータ228や左側クローラモータ254として、vconstでの回転が可能なものを用意すればよく、右側クローラモータ228や左側クローラモータ254のサイズや重量が増大することを抑制することができる。
【0123】
上記の式(8)、(9)、(10)、(11)でvR(t)とvL(t)を与えた場合、鉄筋結束ロボット100が実現する速度v(t)と角速度ω(t)は、次の式となる。
v(t)=vconst-|Δv| (12)
ω(t)=Δv(t)/l (13)
【0124】
すなわち、上記の式(8)、(9)、(10)、(11)でvR(t)とvL(t)を決定する場合、鉄筋結束ロボット100の前方への移動速度v(t)は、vconstよりも|Δv|だけ減少する。このため、仮に|Δv|がvconstよりも大きくなると、鉄筋結束ロボット100は前進せず、後退してしまう。
【0125】
そこで、本実施例では、Δv(t)に次式のように上下限を設定する。
|Δv(t)|<k×vconst (14)
ここで、0<k≦1である。
【0126】
図26に、式(3)、(4)でvR(t)、vL(t)を与える場合(
図26では、増速+減速と表記)と、式(8)、(9)、(10)、(11)、(14)でvR(t)とvL(t)を与える場合(
図26では、減速のみと表記)の、鉄筋結束ロボット100の軌道を示している。
図26に示すように、式(8)、(9)、(10)、(11)、(14)でvR(t)とvL(t)を与える場合、式(14)のkの値を大きくするほど、鉄筋結束ロボット100の軌道は第1鉄筋R1’に速やかに近付いていく。しかしながら、kの値が大きくなり過ぎると、オーバーシュートが生じて、鉄筋結束ロボット100の軌道の収束が遅くなってしまう。このため、式(8)、(9)、(10)、(11)、(14)でvR(t)とvL(t)を与える場合には、例えば、k=0.8程度に設定することで、鉄筋結束ロボット100の軌道を第1鉄筋R1’に速やかに近づけることができる。
【0127】
なお、上記の実施例では、鉄筋結束ロボット100が、前端に配置された鉄筋検出センサ198による計測を利用して,第1鉄筋R1’に沿って前方へ移動しながら、第1鉄筋R1’と第2鉄筋R2の交差する箇所を結束していく構成について説明した。これとは異なり、鉄筋結束ロボット100が、後端に配置された鉄筋検出センサ200による計測を利用して、第1鉄筋R1’に沿って後方へ移動しながら、第1鉄筋R1’と第2鉄筋R2の交差する箇所を結束していく構成としてもよい。あるいは、鉄筋結束ロボット100が、前端に配置された鉄筋検出センサ198、後端に配置された鉄筋検出センサ200、および前後方向の中央近傍に配置された鉄筋検出センサ202のうち2つ以上による計測を利用して、第1鉄筋R1’に沿って前方または後方へ移動しながら、第1鉄筋R1’と第2鉄筋R2の交差する箇所を結束していく構成としてもよい。
【0128】
上記の実施例では、鉄筋結束機2にリール10が取り付けられており、鉄筋結束機2がリール10から供給されるワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する構成について説明した。これとは異なり、大型のリール(図示せず)を備えるワイヤ供給ユニット(図示せず)を鉄筋結束ロボット100の搬送ユニット106に搭載して、鉄筋結束機2がワイヤ供給ユニットから供給されるワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する構成としてもよい。
【0129】
上記の実施例では、鉄筋結束ロボット100に、市販の鉄筋結束機2(例えば、株式会社マキタが販売しているTR180D)が着脱可能に取り付けられる場合について説明した。これとは異なり、鉄筋結束ロボット100は、専用の鉄筋結束ユニット(図示せず)が着脱不能に取り付けられた構成としてもよい。この場合、鉄筋結束ユニットは、操作ユニット104と一体的に構成されていてもよい。
【0130】
上記の実施例において、鉄筋結束ロボット100に(例えば、電源ユニット102のハウジング110に)、鉄筋結束ロボット100の動作をユーザが緊急停止させるための緊急停止ボタン(図示せず)を設けてもよい。この場合、緊急停止ボタンがユーザによって押されると、制御ユニット126は、右側クローラモータ228、左側クローラモータ254、ステッパモータ279、昇降モータ148を停止し、アクチュエータ180をオフにする。ユーザが、危険を取り除いた後に、再び動作実行ボタン122を押すと、制御ユニット126は、まずステッパモータ279を駆動して前側クランク機構276と後側クランク機構277をゼロ点位置まで戻し、かつ昇降モータ148を駆動して昇降機構130を上限位置まで戻す。その後、制御ユニット126は、通常通りの制御を行って、鉄筋結束ロボット100を動作させる。なお、緊急停止ボタンは、緊急時にユーザが押しやすいように、鉄筋結束ロボット100の外周近傍、例えば前後方向や左右方向の端部近傍に設けてもよい。また、緊急停止ボタンは、複数個設けてもよい。
【0131】
上記の実施例において、鉄筋結束ロボット100に(例えば、電源ユニット102のハウジング110に)、鉄筋結束ロボット100の動作状態を表示する動作表示インジケータ(図示せず)を設けてもよい。この場合、動作表示インジケータは、鉄筋結束ロボット100が行う結束作業の状態をユーザに表示してもよい。結束作業の状態は、例えば、第1鉄筋R1と第2鉄筋R2の交差箇所を全て結束する状態や、第1鉄筋R1と第2鉄筋R2の交差箇所を1つとばしに結束する状態を含んでいてもよい。あるいは、動作表示インジケータは、鉄筋結束ロボット100が異常停止した状態をユーザに表示してもよい。動作表示インジケータは、例えば1またはそれ以上の発光部の発光色、点滅のパターン、またはこれらの組み合わせによって、鉄筋結束ロボット100の動作状態を表示してもよい。なお、動作表示インジケータをハウジング110に設ける場合、遠くからでも見やすいように、動作表示インジケータを高い位置に配置してもよい。
【0132】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束ロボット100は、複数の第1鉄筋R1と、複数の第1鉄筋R1と交差する複数の第2鉄筋R2について、複数の第1鉄筋R1と複数の第2鉄筋R2が交差する箇所を結束する。鉄筋結束ロボット100は、鉄筋結束機2(鉄筋結束ユニットの例)と、鉄筋結束機2を搬送する搬送ユニット106と、搬送ユニット106の動作を制御する制御ユニット126を備えている。搬送ユニット106は、複数の第1鉄筋R1および複数の第2鉄筋R2の上を走行する右側クローラ192および左側クローラ194(クローラの例)を備えている。
【0133】
上記のように、複数の第1鉄筋R1および複数の第2鉄筋R2の上を走行する右側クローラ192および左側クローラ194を備える構成によれば、鉄筋結束ロボット100の重量が増大した場合でも、走行性能の低下を抑制することができる。
【0134】
1つまたはそれ以上の実施形態において、搬送ユニット106は、サイドステッパ196をさらに備えている。サイドステッパ196は、ステップバー272,274と、ステップバー272,274を所定のサイドステップ軌道Sに沿って駆動するステッパモータ279を備えている。ステップバー272,274がサイドステップ軌道Sに沿って移動する際に、ステップバー272,274の下端が右側クローラ192および左側クローラ194の下端よりも下方に移動し、その後にステップバー272,274の下端が左右方向に移動し、その後にステップバー272,274の下端が右側クローラ192および左側クローラ194の下端よりも上方に移動する。
【0135】
上記の構成によれば、複数の第1鉄筋R1および複数の第2鉄筋R2の上で、右側クローラ192および左側クローラ194による前後方向への移動が可能であるとともに、サイドステッパ196による左右方向への移動も可能である。鉄筋結束ロボット100の移動性能をより向上することができる。
【0136】
1またはそれ以上の実施形態において、ステップバー272,274は、前後方向に伸びている。
【0137】
上記の実施例のように、複数の第1鉄筋R1の上方に複数の第2鉄筋R2が配置されている場合、通常は、右側クローラ192および左側クローラ194が複数の第2鉄筋R2に跨るように、鉄筋結束ロボット100は複数の第2鉄筋R2に交差する方向を前後方向として移動する。上記の構成によれば、サイドステッパ196による左右方向への移動に用いるステップバー272,274が前後方向に伸びているので、ステップバー272,274を下降させた時に、ステップバー272,274を複数の第2鉄筋R2に跨って配置することができる。このような構成とすることによって、サイドステッパ196による左右方向への移動の際の安定性をより向上することができる。
【0138】
1またはそれ以上の実施形態において、ステップバー272,274は、ステップバー272(第1ステップバーの例)と、ステップバー272の側方に配置されたステップバー274(第2ステップバーの例)を備えている。ステップバー272とステップバー274は、互いに連結している。
【0139】
上記の構成によれば、サイドステッパ196による左右方向への移動の際に、複数のステップバー272,274を用いるので、安定性をより向上することができる。また、上記の構成によれば、ステップバー272とステップバー274が互いに連結されているので、それぞれの動作を機械的に同期させることができ、サイドステッパ196による左右方向への移動の際の安定性をより向上することができる。
【0140】
1またはそれ以上の実施形態において、サイドステップ軌道Sは、左右方向に延びる上辺および下辺と、上下方向に延びる右辺および左辺を有していてもよい。
【0141】
上記の構成によれば、サイドステッパ196による左右方向への移動の際のステップ幅を一定とすることができる。
【0142】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束ロボット100は、搬送ユニット106に電力を供給する電源ユニット102(バッテリの例)をさらに備えている。ステッパモータ279は、鉄筋結束ロボット100の前方の部分に配置されている。電源ユニット102は、鉄筋結束ロボット100の後方の部分に配置されている。
【0143】
上記の構成によれば、鉄筋結束ロボット100の重心が前方または後方に偏ってしまうことを抑制することができる
【0144】
1またはそれ以上の実施形態において、電源ユニット102からの電力は、鉄筋結束機2にも供給される。
【0145】
上記の構成によれば、共通の電源ユニット102を利用して、搬送ユニット106と鉄筋結束機2の両方に電力を供給することができる。
【0146】
1またはそれ以上の実施形態において、右側クローラ192と、左側クローラ194は、別個に動作する。
【0147】
上記の構成によれば、右側クローラ192と、左側クローラ194によって、前後方向への移動だけでなく、種々の態様での移動を行うことができる。鉄筋結束ロボット100の移動性能をより向上することができる。
【0148】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束ロボット100は、複数の第1鉄筋R1のうち結束作業の対象とする第1鉄筋R1’の左右方向の位置を検出する鉄筋検出センサ198(位置検出センサの例)をさらに備えている。制御ユニット126は、鉄筋検出センサ198で検出される第1鉄筋R1’の左右方向の位置が基準位置に近付くように、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与える。
【0149】
第1鉄筋R1’の左右方向の位置が基準位置から外れていると、鉄筋結束機2による結束作業が困難となる場合がある。上記の構成によれば、第1鉄筋R1’の左右方向の位置が基準位置に近付くように、鉄筋結束ロボット100を移動させることができる。
【0150】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束ロボット100は、複数の第1鉄筋R1のうち結束作業の対象とする第1鉄筋R1’の角度を検出する鉄筋検出センサ198(角度検出センサの例)をさらに備えている。制御ユニット126は、鉄筋検出センサ198で検出される第1鉄筋R1’の角度が基準角度に近付くように、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与える。
【0151】
第1鉄筋R1’の角度が基準角度から外れていると、鉄筋結束機2による結束作業が困難となる場合がある。上記の構成によれば、第1鉄筋R1’の角度が基準角度に近付くように、鉄筋結束ロボット100を移動させることができる。
【0152】
1またはそれ以上の実施形態において、制御ユニット126は、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与える際に、右側クローラ192および左側クローラ194の一方を、通常の速度で動作させ、右側クローラ192および左側クローラ194の他方を、通常の速度よりも減速した速度で動作させる。
【0153】
上記の構成によれば、右側クローラ192と左側クローラ194の両方を、通常の速度よりも増速させることなく、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与えることができる。これによって、右側クローラ192や左側クローラ194を駆動する右側クローラモータ228や左側クローラモータ254の大型化や重量増加を招くことなく、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与えることができる。
【0154】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機2は、鉄筋結束ロボット100に対して着脱可能に取り付けられている。鉄筋結束機2は、ユーザが把持可能な把持部6と、把持部6の一端側に配置された本体部4と、把持部6の他端側に配置されており、バッテリパックBを着脱可能なバッテリ取付部8を備えている。
【0155】
上記の構成によれば、一般的に使用されている市販の鉄筋結束機2を、鉄筋結束ユニットとして鉄筋結束ロボット100に取り付けて使用することができる。
【0156】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束ロボット100は、バッテリパックBの代わりにバッテリ取付部8に着脱可能なバッテリアダプタ108(アダプタの例)を備えている。
【0157】
通常、鉄筋結束機2に着脱可能なバッテリパックBは、小型で容量が小さく、長時間の作業を行うことが困難である。上記の構成によれば、鉄筋結束ロボット100からバッテリアダプタ108を介して鉄筋結束機2に電力を供給することができるので、鉄筋結束機2にバッテリパックBを取り付ける場合に比べて、長時間の作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0158】
2 :鉄筋結束機
3 :ハウジング
4 :本体部
5 :リールカバー
6 :把持部
6a :凹部
7 :カバー保持部
8 :バッテリ取付部
10 :リール
10a :係合部
12 :送り機構
14 :案内機構
16 :ブレーキ機構
18 :切断機構
20 :捩り機構
22 :送りモータ
24 :主動ローラ
26 :従動ローラ
28 :案内パイプ
30 :上側カールガイド
32 :下側カールガイド
34 :第1案内通路
38 :案内ピン
40 :カッタ
42 :送り返し板
46 :ソレノイド
48 :リンク
50 :ブレーキアーム
52 :リンク
54 :捩りモータ
56 :減速機構
58 :スクリューシャフト
60 :スリーブ
61 :プッシュプレート
62 :フック
64 :第1操作部
74 :メインスイッチ
76 :主電源LED
80 :制御装置
84 :トリガ
86 :トリガスイッチ
90 :第2操作部
96 :表示用LED
98 :設定スイッチ
100 :鉄筋結束ロボット
102 :電源ユニット
104 :操作ユニット
106 :搬送ユニット
108 :バッテリアダプタ
110 :ハウジング
110a :バッテリ収容室
110b :ラッチ受け
112 :カバー
114 :バッテリ取付部
115 :ヒンジ
116 :ラッチ部材
117 :キー
118 :残量表示インジケータ
119 :キー取付部
120 :残量表示ボタン
122 :動作実行ボタン
124 :給電ケーブル
126 :制御ユニット
130 :昇降機構
132 :把持機構
134 :下側ベース部材
136 :上側ベース部材
138 :支持パイプ
140 :支持パイプ
142 :昇降台
142a :貫通孔
142b :貫通孔
142c :貫通孔
144 :スクリューシャフト
146 :モータ連結部
148 :昇降モータ
150 :センサ支持部材
152 :上限検知センサ
154 :下限検知センサ
156 :保持部材
158 :保持部材
160 :ナット
162 :第1支持プレート
162a :長孔
162b :突出部
164 :第2支持プレート
166 :連結シャフト
168 :連結シャフト
170 :回動ピン
172 :捩りバネ
174 :支持ピン
176 :リンク
176a :押圧部
176b :操作部
178 :プランジャ
180 :アクチュエータ
182 :捩りバネ
190 :車台
192 :右側クローラ
194 :左側クローラ
196 :サイドステッパ
198 :鉄筋検出センサ
200 :鉄筋検出センサ
202 :鉄筋検出センサ
204 :ベースプレート
204a :貫通孔
204b :貫通孔
206 :右側フレーム
208 :左側フレーム
210 :右側プレート
212 :左側プレート
214 :前側フレーム
216 :後側フレーム
218 :前側プーリ
220 :後側プーリ
222 :補助プーリ
224 :テンショナプーリ
226 :ゴムベルト
228 :右側クローラモータ
230 :ギヤボックス
232 :ベアリング
234 :ベアリング
236 :ベアリング
237 :可動ベアリング
238 :調節ボルト
238a :軸部
238b :頭部
240 :ナット
242 :ボルト支持部材
242a :貫通孔
244 :前側プーリ
246 :後側プーリ
248 :補助プーリ
250 :テンショナプーリ
252 :ゴムベルト
254 :左側クローラモータ
256 :ギヤボックス
258 :ベアリング
260 :ベアリング
262 :ベアリング
264 :可動ベアリング
266 :調節ボルト
266a :軸部
266b :頭部
268 :ナット
270 :ボルト支持部材
270a :貫通孔
272 :ステップバー
274 :ステップバー
276 :前側クランク機構
277 :後側クランク機構
278 :支持プレート
279 :ステッパモータ
280 :プーリ
280a :軸
281 :ギヤボックス
282 :プーリ
282a :軸
283 :ウォームギヤケース
284 :ベルト
285 :回転伝達シャフト
286 :クランクアーム
286a :嵌合孔
286b :長孔
288 :クランクアーム
288a :嵌合孔
288b :長孔
290 :クランクピン
292 :クランクピン
294 :クランクプレート
296 :ローラ
298 :ローラ
300 :ガイドプレート
302 :ガイド溝
304 :ガイド溝
306 :支持プレート
308 :プーリ
308a :軸
310 :プーリ
310a :軸
312 :ベルト
314 :クランクアーム
314a :嵌合孔
314b :長孔
316 :クランクアーム
316a :嵌合孔
316b :長孔
318 :クランクピン
320 :クランクピン
322 :クランクプレート
324 :ローラ
326 :ローラ
328 :ガイドプレート
330 :ガイド溝
332 :ガイド溝