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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】薄膜デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231213BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231213BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20231213BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20231213BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20231213BHJP
   H01L 31/0747 20120101ALI20231213BHJP
【FI】
H01L29/78 627C
H01L21/30 572B
H01L21/308 D
H01L31/04 400
H01L31/06 455
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020025849
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021132083
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】入江 暢
(72)【発明者】
【氏名】吉河 訓太
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-79916(JP,A)
【文献】特開平7-42000(JP,A)
【文献】特開2009-21324(JP,A)
【文献】特表2014-519203(JP,A)
【文献】特開2001-250773(JP,A)
【文献】国際公開第2018/20837(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/207、21/308、21/336、
27/00、29/00、
31/0747、31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に、パターン化された薄膜を有する薄膜デバイスの製造方法であって、
前記基板の上に、前記薄膜の材料膜を形成する薄膜材料膜形成工程と、
前記薄膜の材料膜の上に、パターン化されたレジストを形成するレジスト形成工程と、
前記レジストを用いて前記薄膜の材料膜をエッチングすることにより、パターン化された前記薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記レジストを剥離するレジスト剥離工程と、
を含み、
前記レジストの材料はワックスを含み、
前記レジスト剥離工程は、
前記基板の上の前記レジストを、前記レジストの融点よりも低い温度の温水に浸漬する温水浸漬工程と、
前記温水浸漬工程の後に、前記基板の上の前記レジストを冷却する冷却工程と、
前記冷却工程の後に、前記基板の上の前記レジストに洗浄水シャワーを照射するシャワー工程と、
を含む、
薄膜デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記レジスト剥離工程では、前記温水浸漬工程、前記冷却工程および前記シャワー工程のサイクルを1サイクル以上繰り返し行う、請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記温水浸漬工程では、前記基板の上の前記レジストを前記温水に3秒以上浸漬する、請求項1または2に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記冷却工程では、前記基板の上の前記レジストを1秒以上冷却する、請求項1~3のいずれか1項に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記シャワー工程では、前記洗浄水シャワーは、前記基板の主面に沿う方向または前記基板の主面に交差する方向に広がる扇形状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記温水浸漬工程では、前記温水に界面活性剤が添加されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記レジスト剥離工程は、前記基板の上の前記レジストを、BDG溶液に浸漬するBDG浸漬工程を含み、
前記BDG浸漬工程では、前記BDG溶液に対して前記基板を相対的に揺動する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記レジスト形成工程では、平均膜厚が50μm以上となるように、前記レジストを形成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記レジスト剥離工程は、剥離された前記レジストを回収する回収工程を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記回収工程では、回収されたレジストを乾燥させる、請求項9に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記薄膜デバイスは、結晶シリコン系太陽電池であり、
前記基板は、結晶質シリコン基板であり、
前記薄膜は、非晶質シリコン層または電極層である、
請求項1に記載の薄膜デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に薄膜を有する薄膜デバイスにおける薄膜のパターニング方法として、レジストを用いたエッチング法がある。パターニング後のレジストの剥離方法としては、主に以下の方法がある(例えば、特許文献1または2を参照)。
・プラズマまたは酸化による分解
・有機溶媒またはアルカリによる溶解
・水蒸気等による膨潤
【0003】
これらの中でも、資源および環境の負荷低減の観点で、水を用いる水蒸気等による膨潤が有望である。水による膨潤剥離は、結晶シリコン系太陽電池における半導体層または電極層のパターニングにおいて、結晶質シリコン基板または非晶質シリコン層等へのダメージ低減の観点でも有望である。
【0004】
ところで、特許文献3には、レジストとして、加熱、冷却により溶融、凝固を安定的に繰り返すワックスを用いることにより、エッチング処理後のレジストを回収して、再びレジストとして使用する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-257189号公報
【文献】特開2012-39155号公報
【文献】特開平7-42000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薄膜のパターニングのためのレジストを、容易にかつ再利用可能な状態で剥離することができる薄膜デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薄膜デバイスの製造方法は、基板の上に、パターン化された薄膜を有する薄膜デバイスの製造方法であって、前記基板の上に、前記薄膜の材料膜を形成する薄膜材料膜形成工程と、前記薄膜の材料膜の上に、パターン化されたレジストを形成するレジスト形成工程と、前記レジストを用いて前記薄膜の材料膜をエッチングすることにより、パターン化された前記薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記レジストを剥離するレジスト剥離工程と、を含む。前記レジストの材料はワックスを含む。前記レジスト剥離工程は、前記基板の上の前記レジストを、前記レジストの融点よりも低い温度の温水に浸漬する温水浸漬工程と、前記温水浸漬工程の後に、前記基板の上の前記レジストを冷却する冷却工程と、前記冷却工程の後に、前記基板の上の前記レジストに洗浄水シャワーを照射するシャワー工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、薄膜のパターニングのためのレジストを、容易にかつ再利用可能な状態で剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)を裏面側からみた図である。
図2図1の太陽電池(薄膜デバイス)におけるII-II線断面図である。
図3A】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における第1半導体層材料膜形成工程(薄膜材料膜形成工程)を示す図である。
図3B】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図である。
図3C】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における第1半導体層形成工程(薄膜形成工程)を示す図である。
図3D】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法におけるレジスト剥離工程を示す図である。
図3E】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における第2半導体層材料膜形成工程(薄膜材料膜形成工程)を示す図である。
図3F】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における第2半導体層形成工程(薄膜形成工程)(レジスト形成工程およびレジスト剥離工程を省略)を示す図である。
図3G】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における透明電極層材料膜形成工程(薄膜材料膜形成工程)を示す図である。
図3H】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における透明電極層形成工程(薄膜形成工程)(レジスト形成工程およびレジスト剥離工程を省略)を示す図である。
図3I】本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における金属電極層形成工程を示す図である。
図4A】レジスト剥離工程における温水浸漬工程を説明するための図である。
図4B】レジスト剥離工程における温水浸漬工程を説明するための図である。
図5】レジスト剥離工程における冷却工程を説明するための図である。
図6】レジスト剥離工程におけるシャワー工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0011】
(太陽電池:薄膜デバイス)
図1は、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)を裏面側からみた図である。図1に示す太陽電池(薄膜デバイス)1は、裏面電極型(バックコンタクト型、裏面接合型ともいう。)の太陽電池である。太陽電池1は、2つの主面を備える半導体基板11を備え、半導体基板11の主面において第1領域7と第2領域8とを有する。
【0012】
第1領域7は、いわゆる櫛型の形状をなし、櫛歯に相当する複数のフィンガー部7fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部7bとを有する。バスバー部7bは、半導体基板11の一方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部7fは、バスバー部7bから、第1方向に交差する第2方向(Y方向)に延在する。
【0013】
同様に、第2領域8は、いわゆる櫛型の形状であり、櫛歯に相当する複数のフィンガー部8fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部8bとを有する。バスバー部8bは、半導体基板11の一方の辺部に対向する他方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部8fは、バスバー部8bから、第2方向(Y方向)に延在する。
【0014】
フィンガー部7fとフィンガー部8fとは、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に設けられている。なお、第1領域7および第2領域8は、ストライプ状に形成されてもよい。
【0015】
図2は、図1の太陽電池(薄膜デバイス)におけるII-II線断面図である。図2に示すように、太陽電池(薄膜デバイス)1は、半導体基板11の主面のうちの受光する側の主面(一方主面)である受光面側に積層された光学調整層15を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の主面のうちの受光面の反対側の主面(他方主面)である裏面側の一部(主に、第1領域7)に順に積層された第1導電型半導体層(薄膜)25および第1電極層(薄膜)27を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の裏面側の他の一部(主に、第2領域8)に順に積層された第2導電型半導体層(薄膜)35および第2電極層(薄膜)37を備える。
【0016】
半導体基板11は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。なお、半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にp型ドーパントがドープされたp型の半導体基板であってもよい。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられる。半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子および正孔)を生成する光電変換基板として機能する。
【0017】
光学調整層15は、半導体基板11の受光面側に形成されている。光学調整層15は、入射光の反射を防止する反射防止層として機能するとともに、半導体基板11の受光面側を保護する保護層として機能する。光学調整層15は、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、または酸窒化珪素(SiON)のようなそれらの複合物等の絶縁体材料で形成される。
【0018】
第1導電型半導体層(薄膜)25は、半導体基板11の裏面側の第1領域7に形成されている。第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料にp型ドーパント(例えば、上述したホウ素(B))がドープされたp型の半導体層である。
【0019】
第2導電型半導体層(薄膜)35は、半導体基板11の裏面側の第2領域8に形成されている。第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料にn型ドーパント(例えば、上述したリン(P))がドープされたn型の半導体層である。
なお、第1導電型半導体層25がn型の半導体層であり、第2導電型半導体層35がp型の半導体層であってもよい。
【0020】
第1導電型半導体層25と、第2導電型半導体層35とは、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。第2導電型半導体層35の一部は、隣接する第1導電型半導体層25の一部の上に重なっていてもよい(図示省略)。
【0021】
半導体基板11と光学調整層15との間には、パッシベーション層が形成されていてもよい。また、半導体基板11と第1導電型半導体層25との間、および、半導体基板11と第2導電型半導体層35との間には、パッシベーション層が形成されていてもよい。パッシベーション層は、例えば真性(i型)アモルファスシリコン材料で形成される。パッシベーション層は、半導体基板11で生成されたキャリアの再結合を抑制し、キャリアの回収効率を高める。
【0022】
第1電極層27は、第1導電型半導体層25に対応して、具体的には半導体基板11の裏面側の第1領域7における第1導電型半導体層25の上に形成されている。第2電極層37は、第2導電型半導体層35に対応して、具体的には半導体基板11の裏面側の第2領域8における第2導電型半導体層35の上に形成されている。第1電極層27は、第1導電型半導体層25上に順に積層された第1透明電極層(薄膜)28と第1金属電極層29とを有する。第2電極層37は、第2導電型半導体層35上に順に積層された第2透明電極層(薄膜)38と第2金属電極層39とを有する。
【0023】
第1透明電極層28および第2透明電極層38は、透明な導電性材料で形成される。透明導電性材料としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムおよび酸化スズの複合酸化物)等が挙げられる。
【0024】
第1金属電極層29および第2金属電極層39は、銀等の金属粉末を含有する導電性ペースト材料で形成される。
【0025】
第1電極層27および第2電極層37、すなわち第1透明電極層28,第2透明電極層38,第1金属電極層29および第2金属電極層39は、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。第1透明電極層28と第2透明電極層38とは互いに分離されており、第1金属電極層29と第2金属電極層39とも互いに分離されている。
【0026】
(太陽電池の製造方法:薄膜デバイスの製造方法)
次に、図3A図3Iを参照して、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法について説明する。図3Aは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における第1半導体層材料膜形成工程(薄膜材料膜形成工程)を示す図であり、図3Bは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図である。また、図3Cは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における第1半導体層形成工程(薄膜形成工程)を示す図であり、図3Dは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法におけるレジスト剥離工程を示す図である。また、図3Eは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における第2半導体層材料膜形成工程(薄膜材料膜形成工程)を示す図であり、図3Fは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における第2半導体層形成工程(薄膜形成工程)(レジスト形成工程およびレジスト剥離工程を省略)を示す図である。また、図3Gは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における透明電極層材料膜形成工程(薄膜材料膜形成工程)を示す図であり、図3Hは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における透明電極層形成工程(薄膜形成工程)(レジスト形成工程およびレジスト剥離工程を省略)を示す図である。また、図3Iは、本実施形態に係る太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法における金属電極層形成工程を示す図である。図3A図3Iでは、半導体基板11の裏面側を示し、半導体基板11の表面側を省略する。
【0027】
まず、図3Aに示すように、例えばCVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全面に、第1導電型半導体層材料膜(薄膜材料膜)25Zを積層(製膜)する(第1半導体層材料膜形成工程:薄膜材料膜形成工程)。
【0028】
次に、図3B図3Dに示すように、半導体基板11の裏面側において、第2領域8における第1導電型半導体層材料膜25Zを除去することにより、第1領域7に、パターン化された第1導電型半導体層25を形成する。
【0029】
具体的には、図3Bに示すように、半導体基板11の裏面側において、第1領域7における第1導電型半導体層材料膜(薄膜材料膜)25Z上に、パターン化されたレジスト90を形成する(レジスト形成工程)。レジスト形成工程の詳細は後述する。
このとき、半導体基板11の受光面側の全面にも、レジスト90を形成してもよい。
【0030】
その後、図3Cに示すように、レジスト90を用いて、第2領域8における第1導電型半導体層材料膜(薄膜材料膜)25Zをエッチングすることにより、第1領域7に、パターン化された第1導電型半導体層(薄膜)25を形成する(第1半導体層形成工程:薄膜形成工程)。p型半導体膜に対するエッチング溶液としては、例えばオゾンをフッ酸に溶解させた混合液、またはフッ酸と硝酸との混合液等の酸性溶液が挙げられ、n型半導体膜に対するエッチング溶液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性溶液が挙げられる。
【0031】
その後、図3Dに示すように、レジスト90を剥離する(レジスト剥離工程)。レジスト剥離工程の詳細は後述する。
【0032】
次に、図3Eに示すように、例えばCVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全面に、第2導電型半導体層材料膜(薄膜材料膜)35Zを積層(製膜)する(第2半導体層材料膜形成工程:薄膜材料膜形成工程)。
【0033】
次に、図3Fに示すように、半導体基板11の裏面側において、第1領域7における第2導電型半導体層材料膜35Zを除去することにより、第2領域8に、パターン化された第2導電型半導体層35を形成する。
【0034】
例えば、上述同様に、半導体基板11の裏面側において、第2領域8における第2導電型半導体層材料膜(薄膜材料膜)35Z上に、パターン化されたレジスト90を形成する(レジスト形成工程)。
【0035】
その後、上述同様に、レジスト90を用いて、第1領域7における第2導電型半導体層材料膜(薄膜材料膜)35Zをエッチングすることにより、第2領域8に、パターン化された第2導電型半導体層(薄膜)35を形成する(第2半導体層形成工程:薄膜形成工程)。
【0036】
その後、上述同様に、レジスト90を剥離する(レジスト剥離工程)。
【0037】
なお、上述した第1半導体層材料膜形成工程または第2半導体層材料膜形成工程において、半導体基板11の受光面側の全面に、光学調整層15を形成してもよい(図示省略)。
【0038】
次に、図3Gに示すように、例えばCVD法またはPVD法を用いて、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上にこれらに跨って透明電極層材料膜(薄膜材料膜)28Zを形成する(透明電極層材料膜形成工程:薄膜材料膜形成工程)。
【0039】
次に、図3Hに示すように、半導体基板11の裏面側において、第1領域7と第2領域8との境界における透明電極層材料膜(薄膜材料膜)28Zを除去することにより、第1領域7にパターン化された第1透明電極層28を形成し、第2領域8にパターン化された第2透明電極層38を形成する。
【0040】
例えば、上述同様に、半導体基板11の裏面側において、第1領域7における透明電極層材料膜(薄膜材料膜)28Z上、および第2領域8における透明電極層材料膜(薄膜材料膜)28Z上に、パターン化されたレジスト90を形成する(レジスト形成工程)。
【0041】
その後、上述同様に、レジスト90を用いて、第1領域7と第2領域8との境界における透明電極層材料膜(薄膜材料膜)28Zをエッチングすることにより、第1領域7にパターン化された第1透明電極層(薄膜)28を形成し、第2領域8にパターン化された第2透明電極層(薄膜)38を形成する(透明電極層形成工程:薄膜形成工程)。透明電極層材料膜に対するエッチング溶液としては、塩酸(HCl)等の酸性溶液が挙げられる。
【0042】
その後、上述同様に、レジスト90を剥離する(レジスト剥離工程)。
【0043】
次に、図3Iに示すように、半導体基板11の裏面側において、第1透明電極層28上に第1金属電極層29を形成し、第2透明電極層38上に第2金属電極層39を形成する(金属電極層形成工程)。第1金属電極層29および第2金属電極層39の形成方法としては、印刷法または塗布法等が用いられる。
以上の工程により、本実施形態の裏面電極型の太陽電池1が完成する。
【0044】
次に、上述した第1導電型半導体層(薄膜)25のパターニングにおけるレジスト形成工程について説明する。なお、上述した第2導電型半導体層(薄膜)35のパターニングにおけるレジスト形成工程、および、上述した第1透明電極層(薄膜)28および第2透明電極層(薄膜)38のパターニングにおけるレジスト形成工程も同様である。
【0045】
上述したように(図3B)、パターン化されたレジスト90を形成する。レジスト90の平均膜厚は、50μm以上であると好ましい。レジストの材料としては、ワックスが挙げられる。レジスト90の形成方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、グラビアコーティング法、またはディスペンサー法等の印刷法または塗布法が挙げられる。
【0046】
次に、上述した第1導電型半導体層(薄膜)25のパターニングにおけるレジスト剥離工程について説明する。なお、上述した第2導電型半導体層(薄膜)35のパターニングにおけるレジスト剥離工程、および、上述した第1透明電極層(薄膜)28および第2透明電極層(薄膜)38のパターニングにおけるレジスト剥離工程も同様である。レジスト剥離工程は、温水浸漬工程と、冷却工程と、シャワー工程とを含む。
【0047】
まず、半導体基板11上のレジスト90を、温水70に浸漬する(温水浸漬工程)。例えば、図4Aに示すように、半導体基板11自体を温水70に浸漬してもよいし、半導体基板11の裏面および受光面のみを温水70に浸漬してもよい。温水の温度は、レジスト90の融点よりも低い温度であり、好ましくは(融点-5度)以上融点未満である。浸漬時間は3秒以上であると好ましい。
【0048】
ここで、温水70の温度がレジスト90の融点以上であると、レジスト90が温水70に融解してしまい、レジスト90の再利用が困難である。なお、油水分離槽等を使用すればレジストの回収、再利用が可能であるが、回収コストの増加を招く。
【0049】
また、図4Bに示すように、溶解したレジスト90が半導体基板11の表面に再付着してしまう。例えば、溶解したレジスト90が、n型半導体層またはSiN(光学調整層)等の疎水部に再付着してしまう(矢印A)。或いは、溶解したレジスト90が、水面に広がり(矢印B)、半導体基板11の引き上げ時に再付着してしまう。半導体基板11の引き上げ後、再付着したレジスト90が固まってしまうと(矢印C)、有機溶剤等を用いた長時間の剥離が必要となる。
【0050】
これに対して、本実施形態によれば、温水70の温度がレジスト90の融点よりも低いので、レジスト90を固体の状態で剥離することができる。そのため、供述するように、例えばフィルタ等を用いてレジスト90を回収し、乾燥させることにより、再利用可能となる。
【0051】
なお、温水70には、界面活性剤が添加されてもよい。界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。これにより、レジスト90の剥離速度が促進される。
【0052】
次に、半導体基板11上のレジスト90を冷却する。例えば、空冷法を用いて、半導体基板11の裏面および受光面を冷却する(冷却工程)。冷却時間は、1秒以上であると好ましい。
【0053】
このようにレジスト90を冷却することにより、レジスト90と第1導電型半導体層25(接着側部材)との線膨張係数の差異により、レジスト90を剥離し易い状態にすることができる。例えば、図5に示すように、レジスト90の接着界面に隙間が形成されたり、レジスト90の端部が捲れ上がったりすることが考えられる。これにより、その後のシャワーにより、レジスト90を容易に剥離することができる。
【0054】
次に、図6に示すように、半導体基板11上のレジスト90に洗浄水シャワー80を照射する。例えば、半導体基板11の裏面および受光面に純水シャワー80を照射する(シャワー工程)。純水シャワー80の照射時間は、20秒以上であると好ましい。純水シャワー80は、例えばフラットノズルから噴射され、半導体基板11の裏面および受光面に沿う方向に広がる扇形状であってもよい。
【0055】
例えば、基板カセットを用いて複数の半導体基板が同時に処理される場合、基板カセットの上方から純水シャワー80が照射される。この場合、純水シャワー80は、例えばフラットノズルから噴射され、半導体基板11の裏面および受光面に沿う方向に対して垂直方向に広がる扇状であってもよい。また、純水シャワー80は、基板カセットの一方の辺から他方の辺まで連続して照射されてもよい。純水シャワー80の照射時間は、20秒以上であると好ましい。
【0056】
レジスト剥離工程では、上述した温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルを1サイクル以上繰り返し行う。
【0057】
レジスト剥離工程は、BDG浸漬工程を含んでもよい。BDG浸漬工程では、半導体基板11上のレジスト90を、BDG(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)溶液に浸漬する。例えば、半導体基板11をBDG溶液に浸漬する。このとき、BDG溶液に対して半導体基板11を相対的に揺動してもよい。例えば、半導体基板11を揺動してもよいし、BDG溶液側を揺動してもよい。
【0058】
レジスト剥離工程は、回収工程を含んでもよい。回収工程では、レジスト剥離工程において剥離された固体の状態のレジストを、例えばフィルタ等を用いて回収する。また、回収工程では、回収したレジストを乾燥させる。これにより、再利用可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法によれば、第1導電型半導体層(薄膜)25のパターニングにおけるレジスト剥離工程が、半導体基板11上のレジスト90を、レジスト90の融点よりも低い温度の温水に浸漬する温水浸漬工程と、半導体基板11上のレジスト90を冷却する冷却工程と、半導体基板11上のレジスト90に洗浄水シャワーを照射するシャワー工程とを含む。これにより、レジスト90を固体の状態で剥離することができる。そのため、例えばフィルタ等を用いてレジスト90を回収し、乾燥させることにより、再利用可能となる。このように、レジスト90を容易にかつ再利用可能な状態で剥離することができる。
【0060】
また、本実施形態の太陽電池(薄膜デバイス)の製造方法によれば、レジスト剥離工程において温水浸漬による膨潤剥離を行うので、結晶シリコン系太陽電池における半導体層または電極層のパターニングにおいて、結晶質シリコン基板または非晶質シリコン層等へのダメージを低減することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、図2に示すようにヘテロ接合型の太陽電池の製造方法を例示したが、本発明の特徴は、ヘテロ接合型の太陽電池に限らず、ホモ接合型の太陽電池等の種々の太陽電池の製造方法にも適用可能である。
【0062】
また、上述した実施形態では、結晶シリコン基板を有する太陽電池の製造方法を例示したが、本発明の特徴はこれに限定されず、例えばガリウムヒ素(GaAs)基板を有する太陽電池の製造方法にも適用可能である。
【0063】
更に、上述した実施形態では、太陽電池の製造方法について例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、パターン化された半導体層または電極層等の薄膜を備える種々の薄膜デバイスの製造方法に適用可能である。
【実施例
【0064】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
本実施形態の太陽電池の製造方法を用いて第1導電型半導体層のパターニングを行った。実施例1の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は以下および表1の通りである。
<レジスト形成工程>
平均膜厚50μmのレジスト(ワックス:融点64度)を形成した。
<レジスト剥離工程>
以下の温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルを繰り返した。
<<温水浸漬工程>>
半導体基板を温水に浸漬した。
温水温度:63度
浸漬時間:3秒/1サイクル
<<冷却工程>>
半導体基板を空冷法を用いて冷却した。
冷却時間:1秒/1サイクル
<<シャワー工程>>
半導体基板に純水シャワーを照射した。
純水シャワー:半導体基板の主面に沿う方向に広がる扇形状
純水シャワー温度:25℃
照射時間:20秒/サイクル
【0066】
(実施例2)
実施例2は、温水浸漬工程において、温水温度の点と、温水に界面活性剤を添加した点とにおいて、実施例1と異なる。実施例2の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
<<温水浸漬工程>>
温水温度:60度
界面活性剤:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
【0067】
(実施例3)
実施例3は、温水浸漬工程における温水温度の点と、温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程の繰り返しサイクル後にBDG浸漬工程(BDG浸漬後、純水リンスを行う)を行った点とにおいて、実施例1と異なる。実施例3の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
<<温水浸漬工程>>
温水温度:60度
<<BDG浸漬工程>>
半導体基板をBDG溶液に浸漬し、揺動した。
浸漬時間:1分
その後、BDG溶液から取り出した半導体基板に対して、純水を1分間照射した。
【0068】
(実施例4)
実施例4は、剥離/回収した再利用レジストを使用した点において、実施例1と異なる。実施例4の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト形成工程>
再利用レジストを使用した。
【0069】
(実施例5)
実施例5は、温水浸漬工程における温水温度の点において、実施例1と異なる。実施例5の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
<<温水浸漬工程>>
温水温度:50度
【0070】
(実施例6)
実施例6は、温水浸漬工程における浸漬時間の点において、実施例1と異なる。実施例6の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
<<温水浸漬工程>>
浸漬時間:1秒/1サイクル
【0071】
(実施例7)
実施例7は、温水浸漬工程における温水温度および浸漬時間の点において、実施例1と異なる。実施例7の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
<<温水浸漬工程>>
温水温度:60度
浸漬時間:5秒/1サイクル
【0072】
(実施例8)
実施例8は、温水浸漬工程における温水温度の点と、冷却工程における冷却時間の点とにおいて、実施例1と異なる。実施例8の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
<<温水浸漬工程>>
温水温度:60度
<<冷却工程>>
冷却時間:5秒/1サイクル
【0073】
(実施例9)
実施例9は、レジスト形成工程におけるレジストの平均膜厚の点と、温水浸漬工程における温水温度の点とにおいて、実施例1と異なる。実施例9の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト形成工程>
平均膜厚30μm
<レジスト剥離工程>
<<温水浸漬工程>>
温水温度:60度
【0074】
(比較例1)
比較例1は、冷却工程およびシャワー工程を行わず、温水浸漬(揺動あり)を継続した点において、実施例1と異なる。比較例1の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
繰り返しなし
<<温水浸漬工程>>
半導体基板を温水に浸漬し、揺動し続けた。
温水温度:63度
<<冷却工程>>
なし
<<シャワー工程>>
なし
【0075】
(比較例2)
比較例2は、シャワー工程を行わず、温水浸漬工程および冷却工程を繰り返した点において、実施例1と異なる。比較例2の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
温水浸漬工程および冷却工程のサイクルを繰り返した。
【0076】
(比較例3)
比較例3は、温水浸漬工程における温水温度の点において、実施例1と異なる。比較例3の第1導電型半導体層のパターニングの主な工程は表1の通りであり、実施例1との相違点は以下の通りである。
<レジスト剥離工程>
<<温水浸漬工程>>
温水温度:64度(レジストの融点64度と同一)
【0077】
表1に、実施例1~9および比較例1~3において、レジストの剥離が完了したときのレジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)を示す。
【表1】
【0078】
表1によれば、実施例1では、温水浸漬工程における温水温度をレジストの融点64度よりも1度低い63度にすると、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)は、8回(192秒)であった。
【0079】
実施例2では、温水浸漬工程における温水温度を60度と低くしたが、界面活性剤の効果により、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)は、4回(96秒)と、実施例1と比較して減少した。
【0080】
実施例3では、温水浸漬工程における温水温度を60度と低くしたが、BDG溶液に浸漬して揺動した効果により、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)は、8回(312秒)と、実施例1と比較してBDG浸漬時間、およびBDG浸漬後のリンス時間の分だけ増加した。一方、引き続き図1および図2に示す太陽電池を作製して半導体基板におけるキャリアのライフタイムを測定したところ、このライフタイムが実施例1のそれと比較して1.2倍に向上した。
【0081】
実施例4では、再利用レジストを使用しても、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)は、8回(192秒)と、実施例1と比較して同程度であった。
【0082】
実施例5では、温水浸漬工程における温水温度を50度まで低くしたところ、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)は、16回(384秒)と、実施例1と比較して増加した。これにより、温水浸漬工程における温水温度は、レジストの融点以下の範囲において、できるだけ高い方がよいことがわかる。
【0083】
実施例6では、温水浸漬工程における浸漬時間を1秒と短くしたところ、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)は、14回(308秒)と、実施例1と比較して増加した。これにより、温水浸漬工程における浸漬時間は、3秒以上であると好ましいことがわかる。
【0084】
実施例7では、温水浸漬工程における温水温度を60度と低くし、浸漬時間を5秒と長くしたが、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)は、8回(208秒)と、実施例1と比較してやや増加した。これにより、温水浸漬工程における浸漬時間は、5秒以下で問題無いことがわかる。
【0085】
実施例8では、温水浸漬工程における温水温度を60度と低くしたが、冷却工程における冷却時間を5秒と長くしたところ、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルの繰り返し回数(トータル時間)は、8回(224秒)と、実施例1と比較してやや増加した。これにより、冷却工程における浸漬時間は、5秒以下で問題無いことがわかる。
【0086】
実施例9では、レジストの平均膜厚が30μmであると、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルを繰り返し回数(トータル時間)は、50回(1200秒)と、実施例1と比較して増加した。これにより、レジストの平均膜厚は50μm以上であることが好ましいことがわかる。
【0087】
比較例1では、冷却工程およびシャワー工程を行わず、温水浸漬(揺動あり)を継続したところ、60分経過してもレジストの剥離が完了せず、レジストの剥離処理を中止した。
【0088】
比較例2では、シャワー工程を行わず、温水浸漬工程および冷却工程を繰り返したところ、レジスト剥離工程における温水浸漬工程、冷却工程およびシャワー工程のサイクルを繰り返し回数(トータル時間)が、245回(980秒)と、実施例1と比較して増加した。
【0089】
比較例3では、温水浸漬工程における温水温度をレジストの融点64度まで高くしたところ、レジストが溶解してしまった。また、半導体基板を温水から取り出す際に、溶解したレジストが半導体基板の疎水部に付着し、その後剥離が困難となった。
【符号の説明】
【0090】
1 太陽電池(薄膜デバイス)
7 第1領域
7b,8b バスバー部
7f,8f フィンガー部
8 第2領域
11 半導体基板(基板)
15 光学調整層
25 第1導電型半導体層(薄膜)
25Z 第1導電型半導体層材料膜(薄膜材料膜)
27 第1電極層
28 第1透明電極層(薄膜)
28Z 透明電極層材料膜(薄膜材料膜)
29 第1金属電極層
35 第2導電型半導体層(薄膜)
35Z 第2導電型半導体層材料膜(薄膜材料膜)
37 第2電極層
38 第2透明電極層(薄膜)
39 第2金属電極層
70 温水
80 シャワー
90 レジスト
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4A
図4B
図5
図6