(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】複合シートの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20231213BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A61F13/15 340
A61F13/15 329
A61F13/15 350
A61F13/15 355A
B29C63/02
(21)【出願番号】P 2020028842
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢司
(72)【発明者】
【氏名】木崎 康泰
(72)【発明者】
【氏名】千葉 祥悟
(72)【発明者】
【氏名】趙 健仰
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-283086(JP,A)
【文献】特開2005-059579(JP,A)
【文献】特開昭55-032581(JP,A)
【文献】特表2014-516300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
B29C 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の長尺シート及び第2の長尺シートを同方向に連続搬送しつつ、両長尺シートの間に材料を供給し、
両長尺シートを重ね合わせた後に挟圧する工程を含む、複合シートの製造方法であって、
重ね合わされた両長尺シートの挟圧を、ニップロールとアンビル部材との間に両長尺シートを通過させることで行い、
前記材料の供給幅を材料幅と定義したとき、前記ニップロールとして、その幅が、該材料幅と同等又はそれよりも狭いものを用いる、複合シートの製造方法。
【請求項2】
前記アンビル部材として、その幅が、前記供給幅よりも広いものを用いる、請求項1に記載の複合シートの製造方法。
【請求項3】
前記ニップロールの全幅が同一の表面硬度を有する、請求項2に記載の複合シートの製造方法。
【請求項4】
前記ニップロールの全幅の表面層が一つの材料で構成されている、請求項2又は3に記載の複合シートの製造方法。
【請求項5】
前記アンビル部材が駆動源に接続されているフィードロールであり、
前記ニップロールの表面硬度が、前記フィードロールの表面硬度以上である、請求項2ないし4のいずれか一項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項6】
前記アンビル部材が駆動源に接続されているフィードロールであり、
前記ニップロールが、該フィードロールに対して連れ回り可能になっている従動ロールである、請求項1
ないし4のいずれか一項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項7】
前記アンビル部材及び前記ニップロールは、それぞれ表面硬度が50以上90以下である、請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項8】
複数の前記ニップロールを用いて前記挟圧を複数回行う、請求項1ないし
7のいずれか一項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項9】
一つの前記アンビル部材に対して複数の前記ニップロールを用いて前記両長尺シートを挟圧する、請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項10】
複数の前記ニップロールとして、その幅が、前記材料幅よりも狭いものを用い、
前記材料の幅方向供給範囲内の任意の位置で前記長尺シートの搬送方向に沿って見たとき、該搬送方向のいずれかの位置に少なくとも一つの前記ニップロールが存在するように、複数の該ニップロールが配されている、請求項
9に記載の複合シートの製造方法。
【請求項11】
複数の前記ニップロールが千鳥格子状に配置されている、請求項
10に記載の複合シートの製造方法。
【請求項12】
複数の前記ニップロールが前記長尺シートの搬送方向に沿って配置されている、請求項
10に記載の複合シートの製造方法。
【請求項13】
前記ニップロールを一本用いて前記挟圧を行う、請求項1ないし
7のいずれか一項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項14】
前記材料が、接着剤及び粉体又は粉粒体であり、
第1の長尺シート及び第2の長尺シートを同方向に連続搬送しつつ、少なくとも第1の長尺シートにおける第2の長尺シートとの対向面に前記接着剤を塗布するとともに、両長尺シートの間に前記粉体
又は前記粉粒体を供給し、
両長尺シートを重ね合わせた後に挟圧する、請求項1ないし
13のいずれか一項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項15】
前記接着剤を、隙間なく塗工するか、又は非塗工部が存在するように間欠的に塗布する、請求項
14に記載の複合シートの製造方法。
【請求項16】
第1の長尺シート及び第2の長尺シートを同方向に連続搬送する搬送部と、
両長尺シートの間に材料を供給する供給部と、
両長尺シートを重ね合わせる重合部と、
重ね合わされた両長尺シートを挟圧する挟圧部と、を備えた複合シートの製造装置であって、
前記挟圧部は、ニップロールとアンビル部材とを有し、
前記材料の供給幅を材料幅と定義したとき、前記ニップロールは、その幅が、該材料幅と同等か又はそれよりも狭いものである、複合シートの製造装置。
【請求項17】
前記アンビル部材は、その幅が、前記供給幅よりも広いものであり、
前記ニップロールの全幅が同一の表面硬度を有する、請求項16に記載の製造装置。
【請求項18】
前記アンビル部材は、その幅が、前記供給幅よりも広いものであり、
前記ニップロールの全幅の表面層が一つの材料で構成されている、請求項16又は17に記載の製造装置。
【請求項19】
前記アンビル部材は、その幅が、前記供給幅よりも広いものであり、
前記アンビル部材が駆動源に接続されているフィードロールであり、
前記ニップロールの表面硬度が、前記フィードロールの表面硬度以上である、請求項16ないし18のいずれか一項に記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のシート間に各種材料が挟持された構造を有する複合シートの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや生理用ナプキンを始めとする各種の吸収性物品は一般に、液の吸収保持が可能な吸収体を具備する。吸収体は、一般にパルプ等の親水性繊維及び吸水性ポリマーの粒子を含んでいる。これらの材料からなる吸収体の製造には一般に吸水性ポリマーの粒子の散布工程が伴う。例えば特許文献1においては、2枚のシート材の間に接着剤が塗工された状態下に吸水性ポリマーの粒子を間欠散布した後に該シートどうしを挟圧してシート状の吸収体を製造する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/104115号パンフレット
【発明の概要】
【0004】
特許文献1に記載の技術において2枚のシートを、ニップロールを含む複数のロールで挟圧した場合、吸水性ポリマーの粒子は比較的硬質であることから、長時間にわたる運転によって各ロールが摩耗するおそれがある。各ロールの摩耗はロール間のクリアランスの変動の一因となり、延いてはシート間に挟持されている吸水性ポリマーの粒子が確実に保持されなくなる一因となる。吸水性ポリマーの粒子がシート間に確実に保持されない場合、吸収性シートの吸収特性が不均一化したり低下したりするおそれがある。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、2枚のシート間に各種材料が挟持された構造を有する複合シートの製造において、シートの挟圧に用いられる複数のロールが摩耗しても、該材料をシート間に確実に保持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の長尺シート及び第2の長尺シートを同方向に連続搬送しつつ、両長尺シートの間に材料を供給し、両長尺シートを重ね合わせた後に挟圧する工程を含む、複合シートの製造方法であって、重ね合わされた両長尺シートの挟圧を、ニップロールとアンビル部材との間に両長尺シートを通過させることで行い、前記材料の供給幅を材料幅と定義したとき、前記ニップロールとして、その幅が、該材料幅と同等又はそれよりも狭いものを用いる、複合シートの製造方法を提供するものである。
【0007】
また本発明は、前記の方法を実施するための好適な装置として、第1の長尺シート及び第2の長尺シートを同方向に連続搬送する搬送部と、両長尺シートの間に材料を供給する供給部と、両長尺シートを重ね合わせる重合部と、重ね合わされた両長尺シートを挟圧する挟圧部と、を備えた複合シートの製造装置であって、前記挟圧部は、ニップロールとアンビル部材とを有し、前記材料の供給幅を材料幅と定義したとき、前記ニップロールは、その幅が、該材料幅と同等か又はそれよりも狭いものである、複合シートの製造装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2枚のシート間に各種材料が挟持された構造を有する複合シートの製造において、シートの挟圧に用いられる複数のロールが摩耗しつつも、シート間における該材料の保持を維持するので、該材料をシート間に確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の製造方法によって製造される吸収体の一例の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のI-I線断面を模式的に示す横断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の製造方法の実施に使用可能な製造装置の全体概略図である。
【
図4】
図4は、コアラップシートにおける接着剤の塗布パターンの一例を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、第2コア製造部において、散布手段の下方で2枚の基材シートどうしが重ね合わされる直前の様子を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、第2コア製造部で間欠的に吸水性ポリマーを基材シートに散布した散布パターンの一例を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、両長尺シートの挟圧するニップロールとアンビル部材を有する挟圧部の構成を模式的に示す拡大斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、従来構成のフィードロールとニップロールを用いて製造した試験用の第2吸収コアにおける吸水性ポリマーの吸水後の付着状態を示す模式図、
図8(b)は、本実施形態のフィードロールとニップロールの構成を用いて製造した試験用の第2吸収コアにおける吸水性ポリマーの吸水後の付着状態を示す模式図である。
【
図9】
図9は、挟圧部をシートの搬送方向に複数配置した構成を説明する拡大斜視図である。
【
図10】
図10は、別な構成の挟圧部を備えた製造装置の全体概略図である。
【
図12】
図12(a)、(b)は、1つのアンビル部材に複数のニップロールを千鳥状に配置した形態をニップロール側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0011】
図1及び
図2には、本発明の製造方法の製造目的物である吸収体の一例である吸収体1が示されている。
図3には、本発明の製造方法の一例である吸収体1の製造方法と、製造方法の実施に使用可能な製造装置の一実施形態である製造装置10の概略が示されている。吸収体1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する吸収性物品(図示せず)において、尿、便、経血、汗等の体液を吸収保持するのに用いられるものである。吸収体1は、吸水性材料を含有する吸収性コア2と、該吸収性コア2の外面を被覆する液透過性のコアラップシート5とを有する。
【0012】
吸収体1及びこれを構成する吸収性コア2は、
図1に示すように、縦方向Xに長い形状をなし、両者の長手方向は縦方向Xに一致し、両者の幅方向(長手方向と直交する方向)は横方向Yに一致している。また縦方向Xは、吸収体1の製造時における搬送方向(以下、「MD」ともいう。Machine Directionの略である。)に一致し、横方向Yは、MDと直交する搬送直交方向(以下、「CD」ともいう。Cross Machine Directionの略である。)に一致する。
【0013】
吸収性コア2は、少なくとも吸水性ポリマーと繊維材料を形成材料とする第1吸収コア3と、該第1吸収コア3の肌対向面3a又は非肌対向面3bに接触し、該第1吸収コア3よりも厚みが薄い第2吸収コア4とを有する。本明細書において、「肌対向面」は、吸収体又はその構成部材(例えば第1吸収コア3、第2吸収コア4)における、使用時(吸収体が組み込まれた吸収性物品の着用時)に使用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に使用者の肌から近い側であり、「非肌対向面」は、吸収体又はその構成部材における、使用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち相対的に使用者の肌から遠い側である。
【0014】
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第2吸収コア4は、第1吸収コア3の非肌対向面3bに接触している。本実施形態では、第1吸収コア3の方が第2吸収コア4よりも使用者の肌に近い側に配されており、したがって、第1吸収コア3の方が第2吸収コア4よりも先に、吸収体1が吸収すべき体液と接触する。
【0015】
本実施形態では、コアラップシート5は1枚のシートである。コアラップシート5は、吸収性コア2の肌対向面(第1吸収コア3の肌対向面3a、第2吸収コア4の肌対向面4a)の全域を被覆し、且つ吸収性コア2の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア2の非肌対向面側に巻きかけられて、吸収性コア2の非肌対向面(第2吸収コア4の非肌対向面4b)の全域を被覆している。
図2に示すように、吸収性コア2の非肌対向面の横方向Yの中央部には、コアラップシート5の縦方向Xに沿う両側縁部(前記延出部の先端部)どうしが重なった重複部が形成されている。コアラップシート5としては、液透過性のシートを用いることができ、例えば、紙、不織布等が挙げられる。コアラップシート5と第2吸収コア4とは、第1吸収コア3を介在させずに直接、接合部6によって接合されている。
【0016】
第1吸収コア3は、コアラップシート5と第2吸収コア4との間に介在配置されている。第1吸収コア3は、第2吸収コア4に比べて、縦方向Xの長さ及び横方向Yの長さのうちの少なくとも一方が短く、第2吸収コア4における第1吸収コア3の配置面(図示の形態では肌対向面4a)の周縁部には、第1吸収コア3が配置されずに第2吸収コア4が露出している部分が存在している。本実施形態では、
図1に示すように、第1吸収コア3は、第2吸収コア4に比べて、縦方向Xの長さ及び横方向Yの長さの双方が短く、第1吸収コア3の周縁(輪郭線)の全体が、第2吸収コア4の周縁(輪郭線)よりも内方に位置している。したがって、第2吸収コア4の肌対向面4a(第1吸収コア3の配置面)の周縁部(第1吸収コア3の非配置部)は、コアラップシート5で被覆され、コアラップシート5と接触し得る状態にある。
【0017】
第1吸収コア3は、
図1に示すように、横方向Yの長さ(幅)が縦方向Xの全長にわたって一定ではなく、縦方向Xの一端側が他端側に比べて横方向Yの長さが長く幅広である。吸収体1は通常、吸収性物品において、第1吸収コア3の縦方向Xの両端部のうち、この相対的に幅広の縦方向端部が、吸収性物品の着用者の腹側(前側)に位置するように配される。
第1吸収コア3は、
図2に示すように、吸水性ポリマーと繊維材料3Fとを含有する。繊維材料3Fとしては吸水性繊維が好ましい。吸水性繊維としては、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ(以上、セルロース系繊維);親水性合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。第1吸収コア3は、典型的には、繊維材料3Fとしてセルロース系繊維を含有する。第1吸収コア3は、吸水性ポリマーの粒子である第1吸水性ポリマー3Pを含有する。
【0018】
本実施形態において、第1吸収コア3が含有する第1吸水性ポリマー3Pとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の第1吸水性ポリマー3Pの形状は特に限定されず、例えば、球状、塊状、俵状、不定形状であり得る。第1吸水性ポリマー3Pは、典型的には、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を主体とする。
【0019】
第1吸収コア3は、
図1及び
図2に示すように、該第1吸収コア3の厚み方向の全域にわたって該第1吸収コア3のコア形成材料が存在しない形成材料非存在部3Nを有している。図示の形態では、形成材料非存在部3Nは、第1吸収コア3(吸収体1)を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる仮想直線(図示せず)を基準として対称に形成され、該仮想直線の両側に一対形成されている。この一対の形成材料非存在部3Nは、それぞれ、平面視において縦方向Xに長い形状(具体的には長方形形状)をなしている。形成材料非存在部3Nは、吸収体1の吸収対象である体液の流路として機能し、体液の面方向における拡散を促進し、吸収体1の吸収性能の有効活用に寄与し得るものである。また、形成材料非存在部3Nは、第1吸収コア3が体圧等の外力を受けて屈曲するなどして変形する際の変形誘導部(可撓軸)としても機能し、吸収体1を具備する吸収性物品の着用時の違和感を低減して、着用感及びフィット性を向上し得るものである。
形成材料非存在部3Nはこのような役割を担うものであることから、第1吸収コア3において体液が集中しやすく(最初に体液を受けやすく)且つ体圧等の外力を受けやすい部位に配置されることが好ましい。このよう観点から、形成材料非存在部3Nは、吸収体1が組み込まれる吸収性物品の着用時に着用者の股間部に対応する部位、具体的には、少なくとも第1吸収コア3の縦方向Xの中央部に配置されることが好ましい。
【0020】
形成材料非存在部3Nは、第1吸収コア3の製造時における、繊維材料3F及び第1吸水性ポリマー3Pを含むコア形成材料の積繊工程において、該コア形成材料の積繊を意図的に阻害して形成された部位である。
本実施形態では、
図2に示すように、形成材料非存在部3Nにおいて、コアラップシート5と第2吸収コア4(より具体的には後述する基材シート4S)とが接合されている。斯かる構成により、第1吸収コア3の保形性が向上し、体液の吸収前後で第1吸収コア3の形状が崩れ難いため、吸収体1の吸収性能の一層の向上が図られる。
【0021】
第2吸収コア4は、
図2に示すように、相対向する2枚の基材シート4Sと、該2枚の基材シート4S間に介在配置された材料の一例であり粉体又は粉粒体でもある吸水性ポリマーの粒子(以下「第2吸水性ポリマーと記す)4Pとを含み、該2枚の基材シート4Sどうしは接着剤によって互いに接合されている。第2吸収コア4に使用される接着剤は、後述するように、2枚の基材シート4Sそれぞれの相対向する面(第2吸水性ポリマー4Pの配置面)に所定のパターンで塗布されている。第2吸収コア4に使用される接着剤としては、吸収性物品における構成部材どうしの接合に使用されているものを特に制限無く用いることができ、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。
【0022】
基材シート4Sとしては、第2吸水性ポリマー4Pを固定可能なシート状物であればよく、液透過性でも液不透過性でもよい。基材シート4Sとしては、例えば、不織布、織布、編物、紙等の繊維構造体の他、樹脂フィルム、発泡体、ネットなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を積層して用いることができる。基材シート4Sは、典型的には、不織布を含んで構成される。基材シート4Sを構成する不織布としては、各種製法によるものを特に制限なく用いることができ、例えば、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)不織布が挙げられる。これらの不織布は、親水化処理が施された繊維からなる親水性不織布であってもよい。
また、2枚の基材シート4Sどうしは、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。後者の場合、例えば、2枚の基材シート4Sのうち、相対的に吸収性物品の着用者の肌から近い(本実施形態では第1吸収コア3に近い)ものが液透過性を有し、着用者の肌(第1吸収コア3)から遠いものが液不透過性を有するという形態を採用できる。
第1吸収コア3及び第2吸収コア4において、第1吸水性ポリマー3P及び第2吸水性ポリマー4Pの分布形態は特に制限されず、当該コアの全体に均一に分布してもよく、当該コアの一部に偏在してもよいが、液吸収性、柔軟性等の諸性能の向上の観点から、前者が好ましい。
【0023】
吸収体1は吸収性物品の吸収体として使用される。ここでいう「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。吸収性物品は、典型的には、吸収体と、該吸収体よりも着用者の肌から近い側に配される液透過性の表面シートと、該吸収体よりも着用者の肌から遠い側に配される液難透過性ないし不透過性の裏面シートとを含んで構成されている。
【0024】
次に、本発明の吸収体の製造方法について、前述した吸収体1の製造方法を例にとり図面を参照しながら説明する。
図3は、粉体含有物品としての吸収体1の製造方法の実施に使用可能な製造装置の一実施形態である製造装置10の全体概略図である。製造装置10は、第1吸収コア3を製造する第1吸収コアの製造部(以下「第1コア製造部」と記す)20と、第1コア製造部20で製造された第1吸収コア3を受け取って搬送する第1搬送部30と、第2吸収コア4を製造する第2吸収コアの製造部(以下「第2コア製造部」と記す)40と、第2コア製造部40で製造された第2吸収コア4を受け取って搬送する第2搬送部50とを含んで構成されている。なお、以下では、コアラップシート5(吸収体1)の搬送方向(流れ方向)をMD1、基材シート4S(4S1,4S2)の搬送方向(流れ方向)をMD2,MD3、第2吸収コア4の搬送方向(流れ方向)をMD4ともいう。
【0025】
製造装置10を用いた製造方法では、第1吸水性ポリマー3Pを含む第1吸収コアの製造工程が第1コア製造部20で行われ、第2吸水性ポリマー4Pを含む第2吸収コアの製造工程が第2コア製造部40で行われる。本実施形態における製造方法では、第1吸収コアの製造工程と第2吸収コアの製造工程は並行して行い、それによって得られた第1吸収コア3と第2吸収コア4とを積層する。
【0026】
第1コア製造部20は、外周面21Sに複数の集積用凹部(図示せず)が所定の間隔で形成された積繊ドラム21と、コア形成材料(本実施形態では繊維材料3F及び第1吸水性ポリマー3P)を、空気流に随伴させて、積繊ドラム21の外周面に連続供給するダクト22とを備えている。ダクト22は、その内部を流れる空気流の図示しない上流側端が導入装置(図示せず)に接続され、下流側端が積繊ドラム21の外周面21Sの一部を覆っている。導入装置は、繊維材料3Fを主体とする原料シートを解繊し、ダクト22内に繊維材料3Fを供給する繊維供給部と、ダクト22の内部に第1吸水性ポリマー3Pを連続供給する工程を実施する第1吸水性ポリマー供給部とを備えている。
【0027】
積繊ドラム21は、金属製の剛体からなる円筒状のドラム本体210と、該ドラム本体210の外周部に重ねて配され、積繊ドラム21の外周面21Sを形成する外周部材211とを含んで構成されている。外周部材211は、モータ等の原動機からの動力を受けて、水平な回転軸を回転中心として、
図3中の矢印R1方向に回転駆動されるようになされているが、ドラム本体210は、固定されていて回転しない。ドラム本体210の内部は、その周方向に複数の空間A,B,Cに仕切られている。また、ドラム本体210には、その内部を減圧する減圧機構(図示せず)が接続されており、該減圧機構の駆動により、空間AないしCを負圧に維持可能になされている。
【0028】
積繊ドラム21は、外周部がダクト22で覆われている空間Aが、内部側からの吸引によってコア形成材料の積繊が可能な積繊ゾーンとなされている。空間Aを負圧に維持した状態で、外周部材211を矢印R1方向に回転させると、外周部材211に形成された集積用凹部(図示せず)が空間A上を通過している間、該集積用凹部の底部に空間A内の負圧が作用し、該底部に形成された多数の吸引孔を通じた空気の吸引が行われる。この吸引孔を通じた吸引により、ダクト22内を搬送されてきたコア形成材料が、該集積用凹部へと導かれてその底部上に積繊し、その積繊物である第1吸収コア3が形成される。
一方、通常、積繊ドラム21の空間Bは、空間Aよりも弱い負圧又は圧力ゼロ(大気圧)に設定され、また、空間Cは、該集積用凹部内の積繊物の転写位置及びその前後を含む領域であるので、圧力ゼロ又は陽圧に設定される。前記集積用凹部は、製造する第1吸収コア3に付与すべき形状に対応した形状を有している。本実施形態では前述したように、第1コア製造部20の製造目的物である第1吸収コア3が形成材料非存在部3Nを有しているので、前記集積用凹部の底部における形成材料非存在部3Nに対応する部位は、周辺部に比して積繊ドラム21の径方向外方に突出しており、これにより、該部位にコア形成材料が積繊することが阻害される。
【0029】
前記集積用凹部に形成された第1吸収コア3は、外周部材211の回転により積繊ドラム21の下部へ搬送され、エアー吐出装置23からのエアーの吐出によって、該集積用凹部から離型されて第1搬送部30へと移行する。
【0030】
第1搬送部30は、搬送面上の被搬送物を吸引しつつ搬送可能な搬送手段31を備え、該搬送手段31は、
図3中の矢印R2方向に周回する無端状のコンベアベルト32と、該コンベアベルト32の周回軌道内に設置された吸引手段としてのサクションボックス33とを含んで構成されている。コンベアベルト32は被搬送物の搬送面を形成するもので、通気性を有している。コンベアベルト32は例えば、多数の吸引孔(図示せず)を有するメッシュベルトからなる。サクションボックス33は、コンベアベルト32を挟んで、エアー吐出装置23と対向する位置に設置されており、エアー吐出装置23から吹き出された空気を吸引できるようになっている。コンベアベルト32上には、第1吸収コア3が前記集積用凹部から離型されてコンベアベルト32上に配置される前に予めコアラップシート5が供給されている。前記集積用凹部から離型された第1吸収コア3は、コアラップシート5上に配置された状態で、第2搬送部50へと搬送される。また第1搬送部30は、コアラップシート5上に配置された第1吸収コア3をコアラップシート5側に押圧する押圧ロール36を備えている。第1吸収コア3は、第2搬送部50に供給される前(第2吸収コア4が重ねられる前)に、押圧ロール36によって厚み方向に圧縮される。
【0031】
製造装置10では、長尺のコアラップシート5がロール状に巻回された原反5Rからコアラップシート5を連続的に巻き出し、第1搬送部30のコンベアベルト32上に供給するところ、そのコンベアベルト32への供給途中で、コアラップシート5におけるコンベアベルト32上にて第1吸収コア3が配置される面(上面)に、塗布手段34,35により接着剤34A,35Aを塗布する(接着剤塗布工程)。前記接着剤塗布工程は、一方向に搬送されるコアラップシート5上に第1吸収コア3を配置する前(第1コア配置工程の実施前)に、コアラップシート5における第1吸収コア3の配置面(上面)に接着剤34A,35Aを塗布する工程である。具体的には前記接着剤塗布工程では、
図3に示すように、コアラップシート5の一方の面(コンベアベルト32上での上面)におけるCDの両側部5B,5Bに、塗布手段34により接着剤34Aを連続的に塗布し、また、該一方の面におけるCDの中央部5Aに、塗布手段35により接着剤35Aを連続的に塗布する。本実施形態では、塗布手段34が塗布手段35よりもMD1の上流側に配置されており、したがって、接着剤34Aが接着剤35Aよりも先にコアラップシート5に塗布される。コアラップシート5のCDの中央部5Aは、第1コア製造部20で製造された第1吸収コア3が配置される部分であり、両側部5B,5Bは、それぞれ、第1吸収コア3側に折り返されて第1吸収コア3に重ねられる部分である(図参照)。
【0032】
本実施形態の前記接着剤塗布工程では、コアラップシート5の第1吸収コア3の配置面(上面)におけるCDの中央部5Aと両側部5B,5Bとで、接着剤34A,35Aの塗布パターンを異ならせている。具体的には
図4に示すように、接着剤34Aは、両側部5B,5Bにおいて平面視でMD1(コアラップシート5の長手方向)に延びる連続線状に塗布され、接着剤35Aは、中央部5Aにおいて平面視でMD1に延びるスパイラル状に塗布される。接着剤34A,35Aが塗布された後のコアラップシート5の一方の面において、両側部5B,5Bそれぞれには、平面視連続線状の接着剤34Aの塗布部がCDに複数(
図4では4本)並べて配置され、中央部5Aには、平面視スパイラル状の接着剤35Aの塗布部がCDに複数(図では5本)並べて配置される。コアラップシート5における接着剤34Aが連続線状に塗布された部分は、接着剤34Aがいわゆる「べた塗り」された部分であり、該部分の全域に接着剤34Aが付着している。一方、コアラップシート5における接着剤35Aがスパイラル状に塗布された部分は、接着剤35Aがスパイラルを描くようにMD1に延在しており、接着剤35Aの付着部と非付着部とがCDに交互に存在している。なお、接着剤34A,35Aの塗布パターンは図示のものに制限されず、任意に設定し得る。
【0033】
第2コア製造部40は、
図3に示すように、複数の長尺シートである基材シート4S(4S1、4S2)を同方向に個別に連続搬送する搬送部4A,4Bと、両長尺シートの間に材料である第2吸水性ポリマー4Pを供給する供給部となる散布手段43と、両長尺シートを重ね合わせる重合部P2と、重ね合わされた両長尺シートを挟圧する挟圧部49とを備えている。
第2コア製造部40で実施される第2吸収コアの製造工程は、同方向に搬送部4A,4Bによって搬送される基材シート4Sの一方の面に接着剤を付与した後、散布工程において散布手段43より連続落下する第2吸水性ポリマー4Pを基材シート4Sに連続供給される。第2吸収コアの製造工程は、両長尺シートを重合部P2で重ね合わせて挟圧部49で挟圧することで複合シートである第2吸収コア4を得ている。
【0034】
更に説明すると、第2コア製造部40では、第2吸収コア4を構成する2枚の基材シート4Sそれぞれに塗布手段41,42により接着剤41A,42Aを塗布した後、両シートのうちの少なくとも一方の接着剤塗布面に、散布手段43により第2吸水性ポリマー4Pを散布して供給し、しかる後、両シート4Sどうしをそれぞれの接着剤塗布面を内側にして重ね合わせた後に挟圧部49で挟圧する工程を含み、第2吸収コア4を製造する。なお、
図3では、2枚の基材シート4Sのうちの一方(第1吸収コア3と接触する基材シート)を4S1、他方を4S2としている。本実施形態において、基材シート4S1は第1の長尺シートであり、基材シート4S2は、第2の基材シートである。
【0035】
より具体的には第2コア製造部40では、基材シート4S1がロール状に巻回された原反4R1から基材シート4S1を搬送部4Aで連続的に巻き出し、基材シート4S1の一方の面(他方の基材シート4S2との対向面)に塗布手段41により接着剤41Aを塗布する。また、これと並行して、長尺の基材シート4S2がロール状に巻回された原反4R2から基材シート4S2を搬送部4Bで連続的に巻き出し、基材シート4S2の一方の面(他方の基材シート4S1との対向面)に塗布手段42により接着剤42Aを塗布する。
搬送部4Aは、複数の搬送ロールを備え、該複数の搬送ロールに基材シート4S1を巻き掛け、何れかの搬送ロールを駆動モータ(図示せず)によって回転駆動することで、原反4R1から基材シート4S1を連続的に巻き出するものである。搬送部4Bは、複数の搬送ロールを備え、該複数の搬送ロールに基材シート4S2を巻き掛け、何れかの搬送ロールを駆動モータ(図示せず)によって回転駆動することで、原反4R2から基材シート4S2を連続的に巻き出するものである。
【0036】
本実施形態では、
図5に示すように、第1吸収コア3と接触する基材シート4S1に塗布される接着剤41Aは、平面視で基材シート4S1の搬送方向(長手方向)MD2に延びる非塗工部を有するようにスパイラル状に塗布され、第2吸水性ポリマー4Pが直接散布される基材シート4S2に塗布される接着剤42Aは、基材シート4S2の一方の面のほぼ全域に隙間なく塗工(いわゆるべた塗り)される。接着剤41Aが塗布された後の基材シート4S1の一方の面には、平面視スパイラル状の接着剤41Aの塗布部がCDに複数(
図5では8本)並べて配置され、該一方の面の略全域に接着剤41Aがスパイラル状に塗布される。なお、接着剤41A,42Aの塗布パターンは図示のものに制限されず、任意に設定し得る。
【0037】
散布手段43は、第2吸水性ポリマー4Pの散布対象(基材シート4S)から上方に所定距離離間した位置に配置されている。散布手段43から散布された第2吸水性ポリマー4Pは、自重により落下して、散布手段43の下方の散布領域Sを搬送中の基材シート4S(4S2)の一方の面に付着する。なお、本実施形態では、両シート4S1,4S2のうちの一方に第2吸水性ポリマー4Pを散布しているが、本発明では、両方に第2吸水性ポリマー4Pを散布してもよい。散布手段43は、搬送中の基材シート4Sの所定位置に所定量の第2吸水性ポリマー4Pの粒子を精度よく散布し得るものであればよく、その構成は特に制限されない。本実施形態では、散布手段43として、「内部に粉粒体を貯蔵可能であり且つ該粉粒体の排出口を有するホッパーと、該ホッパーの下方に位置し且つ該排出口から排出された該粉粒体を散布位置まで搬送して散布する搬送手段とを備え、該搬送手段が、該排出口から排出された該粉粒体を受け取る受取手段と、該受取手段を振動させる振動発生手段とを有し、該振動発生手段により該受取手段を振動させることによって、該受取手段上の該粉粒体を該散布位置まで搬送可能になされている、粉粒体散布装置」を採用している。ここでいう「粉粒体」は、第2吸水性ポリマー4Pに言い換えることができる。斯かる粉粒体散布装置としては、例えば、特開2017-70944号公報及び特開2019-43735号公報に記載の粉粒体散布装置や特表2013-512047号公報に記載の粒子状材料を移送するための装置を用いることができる。
【0038】
第2コア製造部40では、
図3に示すように、散布手段43による第2吸水性ポリマー4Pの散布工程を経た複数の基材シート4Sを、重合部P2で重ね合わせ。重合部P2は、搬送部4A,4Bによって散布手段43から落下して第2吸水性ポリマー4Pが搬送される散布領域Sに搬送される基材シート4S1と基材シート4S2を重ね合わせる部位である。本実施形態では、散布領域Sに搬送される基材シート4S1と基材シート4S2が、散布領域Sよりも下方に配された1つのロール48に向かって搬送され、ロール周面に沿って搬送されることで1つに重ね合わせる。このため、ロール48が重合部材として機能し、ロール48が配置された部位が重合部P2として機能する。
【0039】
第2吸水性ポリマー4Pが散布された状態で、重合部P2で重ね合わせた基材シート4S(4S1,4S2)は、アンビル部材であるフィードロール44及びニップロール45とを有する挟圧部49で、フィードロール44とニップロール45間に導入それて厚み方向に圧縮されて第2吸収コア4とされる。圧縮後、第2吸収コア4は、一方の面(第1吸収コア3との対向面)に、塗布手段46により接着剤を塗布される。本実施形態では、接着剤は、平面視で第2吸収コア4の搬送方向(長手方向)MD4に延びるスパイラル状に塗布される。接着剤が塗布された後の第2吸収コア4の一方の面には、平面視スパイラル状の接着剤の塗布部がCDに複数並べて配置される。なお、接着剤の塗布パターンは前記のものに制限されず、任意に設定し得る。こうして一方の面に接着剤が塗布された長尺の第2吸収コア4は、第2搬送部50へ搬送され、第1吸収コア3に重ね合わされる。
【0040】
本実施形態では、第2コア製造部40で行われる吸水性ポリマーの散布工程において、
図6に示すように、基材シート4S2の一方の面に第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4Nが該基材シート4S2の搬送方向MD3に間欠配置されるように、落下する第2吸水性ポリマー4Pを、除去手段47を用いて周期的に阻止して間欠的に散布可能としている。斯かる第2吸水性ポリマー4Pの間欠散布により、基材シート4S2の一方の面には、第2吸水性ポリマー4Pの付着領域4Mと非付着領域4Nとが搬送方向MD3(基材シート4S2の長手方向)に交互に配置される。
このように、基材シート4S(4S2)に第2吸水性ポリマー4Pを間欠的に散布する理由は、この散布工程後に実施される第2吸収コア4(吸収体1)の切断をスムーズに行うためである。すなわち、長尺の第2吸収コア4を得た後の工程としては、1)長尺の第2吸収コア4をそのまま第2搬送部50へ搬送し、後述する折り返し手段56によるコアラップシート5の折り返し工程を経て長尺の吸収体1を得、該長尺の吸収体1を所定の製品単位長さに切断する工程、又は2)第2コア製造部40において、長尺の第2吸収コア4がニップロール45,45間を通過した後で且つ接着剤46Aを塗布した後に、該長尺の第2吸収コア4を所定の製品単位長さに切断して枚葉の第2吸収コア4を得、該枚葉の第2吸収コア4を第2搬送部50へ搬送する工程があり得るところ、一般に吸水性ポリマーは非常に硬いため、前記1)又は2)における第2吸収コア4(吸収体1)の切断位置に第2吸水性ポリマー4Pが存在すると切断不良が起こり得る。
【0041】
本実施形態では、第2吸収コア4(吸収体1)の切断不良を未然に防止するために、長尺の第2吸収コア4における切断予定位置には第2吸水性ポリマー4Pを散布しないようにしている。つまり、前記1)又は2)において長尺の第2吸収コア4を切断する際には、第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4Nにて切断する。なお、本実施形態では、
図3に示すように、長尺の第2吸収コア4を切断せずにそのまま第2搬送部50へ搬送しており、前記1)を採用している。
【0042】
基材シート4Sに対して第2吸水性ポリマー4Pを間欠的に散布する方法は、散布手段43からの第2吸水性ポリマー4Pの散布自体は連続的なものとし、散布手段43から基材シート4Sに向かう第2吸水性ポリマー4Pの流れを適宜遮断する方法とし、当該方法を除去手段47で行うようにしている。
【0043】
第2搬送部50は、搬送面上の被搬送物を吸引しつつ搬送可能な搬送手段51を備えている。第2搬送部50の搬送手段51は、所定の周回軌道を
図3中の矢印R3方向に移動する通気性のコンベアベルト52と、該周回軌道内に設置された吸引手段としてのサクションボックス53,54とを含んで構成されている。コンベアベルト52は被搬送物の搬送面を形成し、コンベアベルト52の上面に被搬送物(コアラップシート5、第1吸収コア3及び第2吸収コア4の積層物)が載置される。コンベアベルト52は例えば、多数の吸引孔(図示せず)を有するメッシュベルトからなる。サクションボックス53,54を作動させると、コンベアベルト52(搬送面)上の被搬送物が吸引孔(図示せず)を介して吸引されるようになされている。
【0044】
また第2搬送部50は、
図3に示すように、第2コア製造部40で製造された第2吸収コア4が第1吸収コア3上に供給された後に、第1吸収コア3と第2吸収コア4の積層物を第2吸収コア4側(上面側)から押圧する押圧ロール55を備えている。押圧ロール55は、コアラップシート5の搬送路における第2吸収コア4の合流地点又はその近傍において、搬送中のコアラップシート5(第1吸収コア3)を挟んでサクションボックス53とは反対側に配置されている。
【0045】
また第2搬送部50は、
図3に示すように、押圧ロール55よりもMDの下流側に、コアラップシート5の折り返し手段56を備えている。折り返し手段56は、コンベアベルト52の周回軌道の一部に設置され、サクションボックス54の設置箇所に対応して配置されている。折り返し手段56は、搬送中のコアラップシート5の両側部5B,5B、すなわちコアラップシート5上に載置された吸収性コア2(第1吸収コア3と第2吸収コア4との積層物)のMDに沿う両側縁からの延出部を、該吸収性コア2側に折り返すための公知の折り返し機構を備えている。
【0046】
第1コア製造部20で製造された複数の第1吸収コア3は、第1搬送部30によって一方向(符号MD1で示す方向)に搬送中の長尺のコアラップシート5の上面の中央部5Aに、MD1に間欠的に配置される。コアラップシート5の上面の略全域には、塗布手段34,35によって接着剤34A,35Aが予め塗布されており、配置された第1吸収コア3は、コアラップシート5の上面に接着される。
第1吸収コア3が接着されたコアラップシート5は、第1搬送部30が備える押圧ロール36によってコアラップシート5側に押圧されることで、第1吸収コア3が厚み方向に圧縮されて第2搬送部50へ搬送される。
第2搬送部50へ搬送された第1吸収コア3を備えたコアラップシート5は、塗布手段46によって接着剤46Aが予め塗布された第2吸収コア4と、合流位置P1において重ね合わされ、コアラップシート5と第2吸収コア4とが接合されて一体化される。
【0047】
第2搬送部50では、こうして長尺のコアラップシート5のCDの中央部5Aに配置された第1吸収コア3上に長尺の第2吸収コア4を接合した後、折り返し手段56によってコアラップシート5のCDの両側部5B,5Bを、第2吸収コア4に巻きかける(巻き上げる)ように、中央部5A側(第2吸収コア4側)に折り返すことで、長尺の吸収体1を得る。
以上のようにして得られた長尺の吸収体1は、その後、図示しない切断手段により所定の製品単位長さに切断され、
図1に示す如き吸収体1が製造される。前述したように、長尺の吸収体1における切断予定位置には、第2吸収コア4を構成する第2吸水性ポリマー4Pの間欠散布により、第2吸水性ポリマー4Pの非付着領域4Nが存在しており、該非付着領域4Nにて長尺の吸収体1を切断することで、切断不良が生じ難く、製品単位長さに切断する作業をスムーズに行うことができる。
【0048】
ところで、基材シートを挟圧する複数のロールを構成するフィードロールとニップロールは、吸水性ポリマーを散布されて重ね合わされた2枚の基材シートを挟圧する際に、適切な圧で挟圧すべく、ロール間寸法が調整されている。しかし、吸水性ポリマーの粒子は比較的硬質であることから、長時間にわたる運転によってロールが吸水性ポリマーの供給幅で摩耗して段差が発生するおそれがある。ロールの摩耗は、ロール間のクリアランスの変動の一因となり、延いてはシート間に挟持されている吸水性ポリマーの粒子が確実に保持されなくなる一因となる。吸水性ポリマーの粒子がシート間に確実に保持されない場合、吸収性シートの吸収特性が不均一化したり低下したりするおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態の製造方法では、
図7に示すように、第2吸水性ポリマー4Pの、CDへの供給幅を材料幅L1と定義したとき、ニップロール45のロール軸芯方向(CD)への幅L2が、該材料幅L1と同等又はそれよりも狭いものを用いる。また、アンビル部材であるフィードロール44のロール軸芯方向(CD)への幅L3が、材料幅L1よりも広いものを用いる。本実施形態において、フィードロール44は、駆動源である駆動モータ60に駆動伝達機構61を介して接続されている。ニップロール45は、フィードロール44に対して連れ回り可能になっている従動ロールである。また、ニップロール45は、図示しない押圧手段によってフィードロール44の外周面に圧接されている。
【0050】
フィードロール44及びニップロール45の表面硬度は、例えばJIS-A規格のデュロメータ(ゴム硬度計)の押針をロール表面に押し付けて測定した。フィードロール44及びニップロール45の表面硬度は、前記規格のデュロメータで50ポイント以上、好ましくは55ポイント以上、より好ましくは60ポイントとされ、さらに、それぞれ表面硬度が90ポイント以下、好ましくは85ポイント以下、より好ましくは80ポイント以下、60ポイント以上80ポイント以下、より好ましくは65ポイント以上75ポイント以下である。
本実施形態において、フィードロール44及びニップロール45は、ともにシリコーンで、少なくともその表面層がそれぞれ形成されている。
図3に示した製造装置10は、ニップロール45を一本用いて挟圧を行うタイプのものである。
【0051】
このように、本実施形態の製造方法と製造装置10によれば、ニップロール45として、その幅L2が材料幅L1と同等又はそれよりも狭いもの用い、フィードロール44として、その幅L3を材料幅(供給幅)L1よりも広いものを用いたので、ニップロール45が摩耗した場合でも、その摩耗はニップロール45のロール軸芯方向の全域で発生する。このため、フィードロール44に対して段差が形成されることはなく、基材シート4S1と基材シート4S2の間に介在している第2吸水性ポリマー4Pに対して良好な圧力を付与でき、接着状態を安定させることができる。
このため、2枚の長尺シートである基材シート4S1と基材シート4S2の間に材料である第2吸水性ポリマー4Pが挟持された構造を有する第2吸収コア4の製造において、シートの挟圧に用いられるフィードロール44とニップロール45が摩耗しつつも、シート間における第2吸水性ポリマー4Pの保持性が維持することができる。このことにより、該材料をシート間に確実に第2吸水性ポリマー4Pを保持することができる。
【0052】
図8は、フィードロール44とニップロール45の構成の互いによる、第2吸水性ポリマー4Pの付着状態の違いを示す図である。
図8(a)は、フィードロール44とニップロール45のロール軸芯方向への幅が、双方同じ寸法であり、かつ材料幅L1よりも広い従来構成のものを用いて製造した試験用の第2吸収コア4の第2吸水性ポリマー4Pの付着状態を示す。
図8(b)は、上述した本実施形態にかかる構成のフィードロール44とニップロール45の構成を用いて製造した試験用の第2吸収コア4の第2吸水性ポリマー4Pの付着状態を示す。
図8(a),
図8(b)において、これらロール以外は、シート搬送速度、挟圧力、使用する第2吸水性ポリマー4Pの粒径や散布量は同一としている。
【0053】
このような条件で製造した第2吸収コア4に、液体を一定量それぞれ吸収させた後、つるしたところ、従来のロール構成で製造した
図8(a)に示す第2吸収コア4では、液体吸収後において液体を吸収した部位が、ロール軸芯方向(CD)の中央領域を中心に長手方向にわたった広範囲に脱落した。図中、符号Y1は脱落範囲を示し、Y2は残った部位を示す。これは液体を吸収する前の第2吸水性ポリマー4Pが特に中央領域において接着剤に対し良好に接着されておらず、液体吸収後の質量に耐え切れずにシートから脱落したものと推察される。
これに対し、本実施形態のロールを用いて製造した
図8(b)に示す第2吸収コア4では、液体吸収後であっても従来構成に比べて第2吸水性ポリマー4Pの脱落範囲Y1は少量であった。これは液体を吸収する前の第2吸水性ポリマー4Pが接着剤に対し良好に接着されていて、液体吸収後の質量に耐えることができ、脱落範囲Y1が狭くなったものと推察される。
【0054】
また、フィードロール44は、第2吸水性ポリマー4Pの材料幅(供給幅)L1よりも広く、ニップロール45の幅L2よりも広い幅L3を有する駆動ロールとして構成されるので、自身の回転駆動力を確実にニップロール45に伝達できるとともに、ニップロール45からの押圧力を受け止めることができる。このため、シート間における第2吸水性ポリマー4Pの保持性をより高めることができる。
【0055】
図7に示した挟圧部49は、1本のフィードロール44と1本のニップロール45とを互いに対向させて所定のニップ圧を得るべく当触、好ましくは圧接して配した。このためフィードロール44とニップロール45との間に形成されるニップ位置(挟圧位置)は1か所であり、第2吸水性ポリマー4Pを挟んだ2枚の基材シート4S1と基材シート4S2は、この一箇所のニップ位置(挟圧位置)を通過する際に厚み方向から圧力を受けることで、第2吸水性ポリマー4Pが接着剤41A,42Aに接着される。これに対し、
図9に示す例では、1本のフィードロール44と1本のニップロール45で形成されるロール対が搬送経路上に複数存在するように配している。
図9に示す例では、ロール対を搬送方向MD4に間隔をあけて2つ配している。
【0056】
このように一本のフィードロール44とニップロール45からなるロール対を搬送方向MD4に複数形成すると、当該ロール対で形成されるニップ位置が搬送方向に複数形成される。このため、第2吸水性ポリマー4Pを挟んだ2枚の基材シート4S1と基材シート4S2は、
図9の場合、2つのニップ位置で挟圧されるので、第2吸水性ポリマー4Pが接着剤41A,42Aとより安定して接着される。この結果、シート間における第2吸水性ポリマー4Pの保持性をより高めることができる。
【0057】
図10は、第2コア製造部40に、1本のフィードロール44と、該フィードロール44に対して複数のニップロール45を搬送方向MD4に複数配置した形態を備えた製造装置10Aである。
図3に示した製造装置10と
図10に示した製造装置10Aとは、ニップロール45の数以外は同一の構成である。ニップロール45は、
図3,
図7で説明したものと同一の構成のものである。搬送方向上流側に配された一方のニップロール45(A)と搬送方向下流側に配した他方のニップロール45(B)とは、
図11に示すように、搬送方向に間隔を空けて配されている。ニップロール45(A)とニップロール45(B)は、フィードロール44の外周面に、それぞれの外周面を接触、好ましくは圧接するように配されている。このため、
図11に示す形態では、1本のフィードロール44に対して2本のニップロール45(A),45(B)によって2つのニップ位置(挟圧位置)が形成されている。無論、ニップロール45(A),45(B)の幅L2は、材料幅L1と同等かそれよりも狭く形成され、フィードロール44の幅L3は、材料幅L1よりも広く形成されている。
【0058】
このような構成の製造装置10A及び製造方法では、
図9に示した1本のフィードロール44とニップロール45で構成された一対のロール対を搬送方向に並べてと配置するよりも、フィードロール44の数を少なくして同数のニップ位置を形成することができる。この結果、設置スペースの増大を抑えつつも、第2吸水性ポリマー4Pが接着剤41A,42Aとより安定して接着される。この結果、シート間における第2吸水性ポリマー4Pの保持性をより高めることができる。
【0059】
フィードロールに対するニップロールの配置と個数について
図12(a),
図12(b)を用いて説明する。
図12(a)に示す形態は、搬送方向上流側に1つのニップロール45(A)を配置し、搬送方向下流側に、同一軸芯を持つ2つのニップロール45(B),45(B)を配したものである。これら複数のニップロール45(A),45(B)は、第2吸水性ポリマー4PのCDにおける供給範囲L1a内の任意の位置で、吸収性コア2の搬送方向MD4に沿って見たとき、搬送方向MD4のいずれかの位置に少なくとも一つのニップロールが存在するように配されている。本実施形態において、ニップロール45(A)とニップロール45(B)とは、供給範囲L1aよりも、その幅L2は狭く、かつ、材料幅(供給幅)L1内のロール軸芯方向(CD)に2つのニップロール45(B)が並んで配置可能な幅とされている。また、ニップロール45(A)と2つのニップロール45(B)、(B)のロール軸芯方向(CD)における合計の幅は、材料幅L1よりも大きくなっている。本実施形態において、ニップロール45(A)は、CDの略中央に配置され、ニップロール45(B)は、ニップロール45(A)に対してCDにそれぞれオフセットされて配されている。供給範囲L1aとは、第2吸水性ポリマー4Pが散布される範囲であり、材料幅L1とは、散布後に形成された第2吸水性ポリマー4Pの幅である。供給範囲L1aは材料幅L1よりも広い概念として本実施形態ではとらえている。
【0060】
図12(b)に示す形態では、搬送方向上流側と搬送方向下流側とに、それぞれ1つのニップロール45(A)、45(B)を配置したものである。本実施形態において、ニップロール45(A)とニップロール45(B)とは、材料幅(供給幅)L1よりも、その幅L2は狭いが、材料幅(供給幅)L1内のロール軸芯方向(CD)に2つのニップロール45(B)が並んで配置はできない幅とされている。ニップロール45(A)は、CDの搬送方向に延びる一方の側縁部CD1寄りに配され、ニップロール45(B)は、CDの搬送方向に延びる他方の側縁部CD2寄りに配されている。つまり、
図12に示す構成では、これらニップロール45(A)と2つのニップロール45(B)が、第2吸水性ポリマー4PのCDにおける供給範囲L1a内の任意の位置で、吸収性コア2の搬送方向MD4に沿って見たとき、搬送方向MD4のいずれかの位置に少なくとも一つのニップロールが存在するように配されている。すなわち、
図12(a)においては、複数のニップロール45が千鳥格子状に配置されているとともに、搬送方向MD4に沿って配置されている。
【0061】
このような構成であっても、ニップ位置を複数箇所形成することができるので、フィードロール44とニップロール45が摩耗しつつも、第2吸水性ポリマー4Pが接着剤41A,42Aとより安定して接着されるため、シート間における第2吸水性ポリマー4Pの保持性をより高めることができる。
また、
図12(a)の場合、上流側に配したニップロール45(A)がCDのほほ中央部に配され、下流側のニップロール45(B)は、ニップロール45(A)よりも幅方向外側に配されているので、基材シート4S1と基材シート4S2との間に空気が存在している場合、各ニップロールによる押圧により幅方向内側から幅方向外側へと空気が案内されてシート間から空気を排出することにつながるので好ましい。
【0062】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
前記実施形態では、2枚の基材シート4S(4S1,4S2)に供給する材料として吸水性ポリマーの粒子を例示して説明したが、2枚の基材シート4S(4S1,4S2)間に供給する材料としては、第2吸収コアに要求される性能や機能、特性に応じて適宜選択可能である。例えば、発熱体を形成するのに必要な塩化ナトリウム粒子などが挙げられる。
前記実施形態では、アンビル部材としてロール形状の回転体となるフィードロール44を例示したが、アンビル部材としては、ロール形状やロール部材に限定されるものではなく、例えば板状部材で構成されたアンビル部材に対してニップロール45の外周面を接触、好ましくは押圧させてニップを形成する形態であってもよい。また、アンビル部材としては、回転はしないが円弧形状に形成されたアンビル部材を用いてもよい。ただ、二つの基材シート4S1,4S2を皺なく搬送する観点からは、ロール形状のものが好ましい。
第1吸収コア3は、形成材料非存在部3Nを有していなくてもよく、また、第1吸収コア3が形成材料非存在部3Nを有している場合でも、その数は実施形態の数に限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
フィードロール44とニップロール45の表面硬度と個数の組み合わせを変えた実施例を表1に示す。
表1には、実施例1-5が記載されている。実施例1-5のうち、実施例1-4は、
図3に示す形態と同様、1つのニップロールと1つのフィードロールを組み合わせたものであり、実施例5は、
図9に示す形態と同様、1つのフィードロールに対し2つのニップロールを組み合わせたものである。実施例1-5において、ニップロール及びフィードロールに用いた材質はすべて同一のシリコーンであり、各ロールの直径も同一径である。実施例1-5において、各ニップロールの表面硬度は、デュロメータ計測で70ポイントに統一し、フィードロールの表面硬度は実施例毎に異なる設定としている。具体的には、フィードロールの表面硬度は、実施例1では60ポイント、実施例2では70ポイント、実施例3では80ポイント、実施例4では90ポイントとした。
【0064】
このような構成のニップロール及びフィードロールを接触させてニップを形成し、同一構成の試料をニップ間に通した時の剥離強度を実施例毎に測定した。試料はCDへの長さ(幅)を25mmとし、МD4への長さを100mmとした短冊状とした。ニップロール及びフィードロールの幅は、試料の幅よりも長くした。
各実施例において、剥離強度は保持力の指数として用いている。これは剥離強度が大きいほど2枚のシートが剥がれず、シート間の各種材料(吸水性ポリマー)の保持力が高いことを示すためである。
測定結果によると、ニップロール及びフィードロールの表面硬度が共に70ポイントの実施例2の剥離強度を基準とした時、ニップロールに対してフィードロールの表面硬度が大小すると、剥離強度が小さくなる傾向となった。また、ニップロールに対してフィードロールの表面硬度が大きくなる実施例3、4の場合よりも、ニップロールの表面硬度(70ポイント)に対してフィードロールの表面硬度が小さくなる(60ポイント)実施例1の場合の方が、剥離強度が大きく、かつ実施例2の場合と大差ない結果であった。
実施例1-4においては、フィードロール及びニップロールの表面硬度が、実施例2に示すように、それぞれ70ポイントのときが剥離強度0.20と最も高く、シート間における材料となる第2吸水性ポリマー4Pの保持性を高めることができるといえる。また、同等の剥離強度となる実施例1のように、フィードロールの硬度がニップロールの硬度よりも低い場合においてもシート間における第2吸水性ポリマー4Pの保持性を高めることができるといえる。
【0065】
実施例5は、硬度70ポイントの1つのフィードロールと硬度60ポイントの2つのニップロールを組み合わせたものである。このような構成において、前記試料をフィードロールと2つのニップロールの間を通過させたときの剥離強度は、実施例1の2倍であった。これは、試料を挟圧する部位が2か所あるため、実施例1と同様の硬度設定であっても、試料に対する挟圧回数が多くなるので剥離強度が大きくなったものと推察される。このため、フィードロールとニップロールの配置や個数については、1つのニップロールとフィードロールを用いて1度の挟圧を行う場合よりも、複数のニップロールを用いて挟圧する方が、挟圧回数を複数回行うことができるので好ましい。
【0066】
表2は、フィードロールとニップロールの表面硬度の有効性の範囲を検討した結果を示す。表2において、比較例1ではニップロールの材質に金属である鉄を用いた。鉄製のニップロールの表面硬度は、前記同様、デュロメータによる計測で100ポイントであった。フィードロールの材質はシリコーンで、その表面硬度は前記同様の70ポイントとした。
そして、実施例2と比較例1の構成を用いて、
図8で説明した第2吸水性ポリマー4Pの付着状態の違いを計測した。表2に記載の欠け面積とは、実施例2と比較例1の構成を用いて製造した第2吸収コア4に、液体を一定量それぞれ吸収させた後、つるした際に脱落した面積を示す。この脱落した面積は、例えば、つるした状態の第2吸収コア4をカメラで撮像し、パソコンなどの画像処理装置に取り込んで、脱落範囲Y1と、残った部位Y2とを白黒画像等の二値化処理し、残った部位Y2の画像面積と、第2吸収コア全体の画像面積との差から求めたものである。これらの処理は、実施例2と比較例1について行った。
【0067】
その結果、実施例2における欠け面積は2cm2であったが、比較例1における欠け面積は136cm2であった。このことからシート間における第2吸水性ポリマー4Pの保持性を高める観点から、ニップロールの表面硬度の上限値は、100ポイントよりも低い値が好ましいといえる。また、表1で説明した実施例1-4の剥離強度は、フィードロールの表面硬度が60-90ポイントにおいては概ね0.14~0.2Nの範囲にある。また、フィードロールの剥離強度の低下率は、フィードロールの表面硬度が高くなる場合鈍よりも低くなる場合の方が、鈍化することが実施例1-3を対比してみると明らかである。この傾向から、フィードロールの表面硬度が50ポイントの場合であっても、実施例3の場合よりも剥離強度が高いものと推察される。
このような観点から、フィードロール44とニップロール45のそれぞれの表面硬度の下限値は50ポイントとし、上限値を90ポイントとすることで、表面硬度が50以上90ポイント以下の範囲においては、シート間における第2吸水性ポリマー4Pの保持性を高めることができるので好ましいといえる。
【0068】
【0069】
【符号の説明】
【0070】
4 複合シート(第2吸収コア)
4P 材料(吸水性ポリマーの粒子)
4S1 第1の長尺シート
4S2 第2の長尺シート
4A,4B 搬送部
10,10A 製造装置
41A,42A 接着剤
43 供給部
44 アンビル部材(フィードロール)
45 ニップロール(従動ロール)
49 挟圧部
60 駆動源
L1 材料の材料幅
L1a 供給範囲
L2 ニップロールの幅
L3 アンビル部材の幅
MD4 長尺シートの搬送方向
P2 重合部