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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】レーダ表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/12 20060101AFI20231213BHJP
   G01S 7/22 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G01S7/12
G01S7/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020030526
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021135136
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳
(72)【発明者】
【氏名】中牧 貴則
(72)【発明者】
【氏名】西岡 大介
(72)【発明者】
【氏名】平井 正光
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-239420(JP,A)
【文献】特開平10-239419(JP,A)
【文献】特開平08-105954(JP,A)
【文献】特公昭49-037315(JP,B1)
【文献】特開平10-160823(JP,A)
【文献】特開平06-174827(JP,A)
【文献】特開昭60-157700(JP,A)
【文献】米国特許第4208657(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置の表示位置がPPI(Plan Position Indicator)画像の中心と一致しており、レーダ反射の受信強度がPPI画像の外部に表示されない通常表示モードにおける、PPI画像の最大表示レンジを入力する表示レンジ入力部と、
前記通常表示モードと、レーダ装置の表示位置がPPI画像の中心と一致しないオフセンター表示モードと、レーダ反射の受信強度がPPI画像の外部に表示される全画面表示モードと、のうちのいずれかの表示モードを入力する表示モード入力部と、
前記オフセンター表示モード又は前記全画面表示モードが入力されたときに、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるように、PPI画像にレンジリングを表示するレンジリング表示部と、
を備えることを特徴とするレーダ表示装置。
【請求項2】
前記レンジリング表示部は、前記通常表示モードが入力された状態から、前記オフセンター表示モード又は前記全画面表示モードが入力される状態へと切り替わったときに、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と同一の状態から、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なる状態へと切り替える
ことを特徴とする、請求項1に記載のレーダ表示装置。
【請求項3】
前記レンジリング表示部は、前記オフセンター表示モード又は前記全画面表示モードが入力されたときに、目標距離測定のための可変レンジリングを前記最大表示レンジに対応するレンジリングに一致させることなく、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるようにする
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のレーダ表示装置。
【請求項4】
前記レンジリング表示部は、前記オフセンター表示モード又は前記全画面表示モードが入力されたときに、目標距離測定のための可変レンジリングを前記最大表示レンジに対応するレンジリングに自動的に一致させて、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるようにする
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のレーダ表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、PPI(Plan Position Indicator)画像を用いるレーダ表示装置において、表示モードを切り替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
PPI画像を用いるレーダ表示装置が、特許文献1~5等に開示されている。特許文献1、4では、前方目標表示のために、通常表示モードからオフセンター表示モードへと切り替える。特許文献2~4では、目標距離測定のために、可変レンジリングVRM(Variable Range Marker)を用いる。特許文献5では、レーダから近距離/遠距離でリング間隔が広い/狭い固定レンジリングを用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-105954号公報
【文献】特表2003-533405号公報
【文献】特開2011-202988号公報
【文献】特開2017-078610号公報
【文献】特許第6150418号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のオフセンター表示モードへのモード切替処理を図1に示す。図1の左欄では、通常表示モードからのモード切替前のレーダ表示画面Dを示す。ここで、オフセンター表示欄OCには、「オフ(白地)」と入力され、最大表示レンジ欄MRには、「6NM」と入力され、可変レンジリング欄VRには、「オフ」と入力される。そこで、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PC(方位目盛表示SSの中心位置)と一致し、レーダ反射の受信強度(図1の左欄に不図示)は、方位目盛表示SSの外部には表示されず、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、方位目盛表示SSに沿って細い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、1NMのリング間隔で細い実線で表示される。よって、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができ、目標距離を直感的に目測することができる。
【0005】
図1の右欄では、オフセンター表示モードへのモード切替後のレーダ表示画面Dを示す。ここで、オフセンター表示欄OCには、「オン(黒地)」と入力され、最大表示レンジ欄MRには、「6NM」と入力され、可変レンジリング欄VRには、「オフ」と入力される。そこで、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PC(方位目盛表示SSの中心位置)と一致せず、レーダ反射の受信強度(図1の右欄に不図示)は、方位目盛表示SSの外部には表示されず、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、方位目盛表示SSからずれて細い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、1NMのリング間隔で細い実線で表示される。よって、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができず、目標距離を直感的に目測することができず、可変レンジリングを用いざるを得ない。
【0006】
従来技術のオフセンター表示モードでのVRM調整処理を図2に示す。図2の左欄では、オフセンター表示モードでのVRM調整中のレーダ表示画面Dを示す。ここで、可変レンジリング欄VRには、「3NM」と入力される。そこで、目標距離測定のための可変レンジリングRVは、非最大表示レンジ(3NM)に対応するレンジリングROと一致し、太い実線で表示される。図2の右欄では、オフセンター表示モードでのVRM調整後のレーダ表示画面Dを示す。ここで、可変レンジリング欄VRには、「6NM」と入力される。そこで、目標距離測定のための可変レンジリングRVは、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMと一致し、太い実線で表示される。つまり、可変レンジリングを用いなければ、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができず、目標距離を直感的に目測することができない。
【0007】
従来技術の全画面表示モードへのモード切替処理を図3に示す。図3の左欄では、通常表示モードからのモード切替前のレーダ表示画面Dを示す。ここで、オフセンター表示欄OCには、「オフ(白地)」と入力され、最大表示レンジ欄MRには、「6NM」と入力され、可変レンジリング欄VRには、「オフ」と入力される。そこで、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PC(方位目盛表示SSの中心位置)と一致し、レーダ反射の受信強度(図3の左欄に不図示)は、方位目盛表示SSの外部には表示されず、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、方位目盛表示SSに沿って細い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、1NMのリング間隔で細い実線で表示される。よって、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができ、目標距離を直感的に目測することができる。
【0008】
図3の右欄では、全画面表示モードへのモード切替後のレーダ表示画面Dを示す。ここで、オフセンター表示欄OCには、「オフ(白地)」と入力され、最大表示レンジ欄MRには、「6NM」と入力され、可変レンジリング欄VRには、「オフ」と入力される。そこで、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PC(方位目盛表示SSの中心位置)と一致し、レーダ反射の受信強度(図3の右欄に不図示)は、方位目盛表示SS(薄い文字で表示)の外部にも表示され、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、方位目盛表示SSに沿って細い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、1NMのリング間隔で細い実線で表示される。よって、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができず、目標距離を直感的に目測することができず、可変レンジリングを用いざるを得ない。
【0009】
従来技術の全画面表示モードでのVRM調整処理を図4に示す。図4の左欄では、全画面表示モードでのVRM調整中のレーダ表示画面Dを示す。ここで、可変レンジリング欄VRには、「3NM」と入力される。そこで、目標距離測定のための可変レンジリングRVは、非最大表示レンジ(3NM)に対応するレンジリングROと一致し、太い実線で表示される。図4の右欄では、全画面表示モードでのVRM調整後のレーダ表示画面Dを示す。ここで、可変レンジリング欄VRには、「6NM」と入力される。そこで、目標距離測定のための可変レンジリングRVは、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMと一致し、太い実線で表示される。つまり、可変レンジリングを用いなければ、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができず、目標距離を直感的に目測することができない。
【0010】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、PPI画像を用いるレーダ表示装置において、通常表示モードのみならずオフセンター表示モード又は全画面表示モードであっても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、オフセンター表示モード又は全画面表示モードにおいては、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるように、PPI画像にレンジリングを表示する。
【0012】
具体的には、本開示は、レーダ装置の表示位置がPPI画像の中心と一致しており、レーダ反射の受信強度がPPI画像の外部に表示されない通常表示モードにおける、PPI画像の最大表示レンジを入力する表示レンジ入力部と、前記通常表示モードと、レーダ装置の表示位置がPPI画像の中心と一致しないオフセンター表示モードと、レーダ反射の受信強度がPPI画像の外部に表示される全画面表示モードと、のうちのいずれかの表示モードを入力する表示モード入力部と、前記オフセンター表示モード又は前記全画面表示モードが入力されたときに、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるように、PPI画像にレンジリングを表示するレンジリング表示部と、を備えることを特徴とするレーダ表示装置である。
【0013】
この構成によれば、通常表示モードのみならずオフセンター表示モード又は全画面表示モードであっても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができる。
【0014】
また、本開示は、前記レンジリング表示部は、前記通常表示モードが入力された状態から、前記オフセンター表示モード又は前記全画面表示モードが入力される状態へと切り替わったときに、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と同一の状態から、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なる状態へと切り替えることを特徴とするレーダ表示装置である。
【0015】
この構成によれば、通常表示モードからオフセンター表示モード又は全画面表示モードへと切り替わっても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができる。
【0016】
また、本開示は、前記レンジリング表示部は、前記オフセンター表示モード又は前記全画面表示モードが入力されたときに、目標距離測定のための可変レンジリングを前記最大表示レンジに対応するレンジリングに一致させることなく、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるようにすることを特徴とするレーダ表示装置である。
【0017】
この構成によれば、目標距離測定のための可変レンジリングを最大表示レンジに対応するレンジリングに一致させなくても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができる。
【0018】
また、本開示は、前記レンジリング表示部は、前記オフセンター表示モード又は前記全画面表示モードが入力されたときに、目標距離測定のための可変レンジリングを前記最大表示レンジに対応するレンジリングに自動的に一致させて、前記最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるようにすることを特徴とするレーダ表示装置である。
【0019】
この構成によれば、目標距離測定のための可変レンジリングを最大表示レンジに対応するレンジリングに自動的に一致させて、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように、本開示は、PPI画像を用いるレーダ表示装置において、通常表示モードのみならずオフセンター表示モード又は全画面表示モードであっても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術のオフセンター表示モードへのモード切替処理を示す図である。
図2】従来技術のオフセンター表示モードでのVRM調整処理を示す図である。
図3】従来技術の全画面表示モードへのモード切替処理を示す図である。
図4】従来技術の全画面表示モードでのVRM調整処理を示す図である。
図5】本開示のレーダシステムの装置構成を示す図である。
図6】本開示のレンジリングの表示手順を示す図である。
図7】本開示のオフセンター表示モードへのモード切替処理を示す図である。
図8】本開示の全画面表示モードへのモード切替処理を示す図である。
図9】本開示の通常表示モードでのレーダ表示画面を示す図である。
図10】本開示のオフセンター表示モードでのレーダ表示画面を示す図である。
図11】本開示の全画面表示モードでのレーダ表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0023】
本開示のレーダシステムの装置構成を図5に示す。本開示のレンジリングの表示手順を図6に示す。レーダシステムRは、レーダ送受信装置1及びレーダ表示装置2を備える。レーダ表示装置2は、レーダ表示画面21、表示レンジ入力部22、表示モード入力部23及びレンジリング表示部24を備える。表示レンジ入力部22、表示モード入力部23及びレンジリング表示部24は、図6に示したレンジリング表示プログラムをレーダ表示装置2にインストールすることにより実現することができる。
【0024】
表示レンジ入力部22は、レーダ表示装置2のダイヤル等のユーザ操作を受けて、レーダ装置の表示位置がPPI画像の中心と一致しており、レーダ反射の受信強度がPPI画像の外部に表示されない通常表示モードにおける、PPI画像の最大表示レンジを入力する(ステップS1)。表示モード入力部23は、レーダ表示装置2のスイッチ等のユーザ操作を受けて、通常表示モードと、レーダ装置の表示位置がPPI画像の中心と一致しないオフセンター表示モードと、レーダ反射の受信強度がPPI画像の外部に表示される全画面表示モードと、のうちのいずれかの表示モードを入力する(ステップS2)。
【0025】
レンジリング表示部24は、通常モードが入力されたときに(ステップS3において、「通常」)、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と同一となるように、PPI画像にレンジリングを表示する(ステップS4)。レンジリング表示部24は、オフセンター表示モード又は全画面表示モードが入力されたときに(ステップS3において、「オフセンター又は全画面」)、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるように、PPI画像にレンジリングを表示する(ステップS5)。
【0026】
このように、通常表示モードのみならずオフセンター表示モード又は全画面表示モードであっても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができる。
【0027】
本開示のオフセンター表示モードへのモード切替処理を図7に示す。図7では、通常表示モードが入力された状態から、オフセンター表示モードが入力される状態へと切り替わる(ステップS3において、「通常」から「オフセンター」へと切替)。そこで、レンジリング表示部24は、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と同一の状態から(ステップS4)、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なる状態へと切り替える(ステップS5)。そして、レンジリング表示部24は、目標距離測定のための可変レンジリングを最大表示レンジに対応するレンジリングに一致させることなく(従来技術の図2の右欄と相違)、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるようにする(ステップS5)。
【0028】
図7の左欄では、通常表示モードからのモード切替前のレーダ表示画面Dを示す。ここで、オフセンター表示欄OCには、「オフ(白地)」と入力され、最大表示レンジ欄MRには、「6NM」と入力され、可変レンジリング欄VRには、「オフ」と入力される。そこで、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PC(方位目盛表示SSの中心位置)と一致し、レーダ反射の受信強度(図7の左欄に不図示)は、方位目盛表示SSの外部には表示されず、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、方位目盛表示SSに沿って細い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、1NMのリング間隔で細い実線で表示される。よって、本開示の図7の左欄では、従来技術の図1の左欄と同様に、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができ、目標距離を直感的に目測することができる。
【0029】
図7の右欄では、オフセンター表示モードへのモード切替後のレーダ表示画面Dを示す。ここで、オフセンター表示欄OCには、「オン(黒地)」と入力され、最大表示レンジ欄MRには、「6NM」と入力され、可変レンジリング欄VRには、「オフ」と入力される。そこで、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PC(方位目盛表示SSの中心位置)と一致せず、レーダ反射の受信強度(図7の右欄に不図示)は、方位目盛表示SSの外部には表示されず、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、方位目盛表示SSからずれるが太い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、1NMのリング間隔で細い実線で表示される。つまり、これらのレンジリングRM、ROは、異なる形態で表示される。よって、本開示の図7の右欄では、従来技術の図1の右欄と異なり、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができ、目標距離を直感的に目測することができる。
【0030】
このように、通常表示モードからオフセンター表示モードへと切り替わっても、そして、目標距離測定のための可変レンジリングを最大表示レンジに対応するレンジリングに一致させなくても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができる。
【0031】
なお、図7の左欄に示した通常表示モードでのレーダ表示画面Dについて、符号を除去して拡大した図を図9に示す。また、図7の右欄に示したオフセンター表示モードでのレーダ表示画面Dについて、符号を除去して拡大した図を図10に示す。
【0032】
本開示の全画面表示モードへのモード切替処理を図8に示す。図8では、通常表示モードが入力された状態から、全画面表示モードが入力される状態へと切り替わる(ステップS3において、「通常」から「全画面」へと切替)。そこで、レンジリング表示部24は、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と同一の状態から(ステップS4)、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なる状態へと切り替える(ステップS5)。そして、レンジリング表示部24は、目標距離測定のための可変レンジリングを最大表示レンジに対応するレンジリングに一致させることなく(従来技術の図4の右欄と相違)、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるようにする(ステップS5)。
【0033】
図8の左欄では、通常表示モードからのモード切替前のレーダ表示画面Dを示す。ここで、オフセンター表示欄OCには、「オフ(白地)」と入力され、最大表示レンジ欄MRには、「6NM」と入力され、可変レンジリング欄VRには、「オフ」と入力される。そこで、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PC(方位目盛表示SSの中心位置)と一致し、レーダ反射の受信強度(図8の左欄に不図示)は、方位目盛表示SSの外部には表示されず、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、方位目盛表示SSに沿って細い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、1NMのリング間隔で細い実線で表示される。よって、本開示の図8の左欄では、従来技術の図3の左欄と同様に、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができ、目標距離を直感的に目測することができる。
【0034】
図8の右欄では、全画面表示モードへのモード切替後のレーダ表示画面Dを示す。ここで、オフセンター表示欄OCには、「オフ(白地)」と入力され、最大表示レンジ欄MRには、「6NM」と入力され、可変レンジリング欄VRには、「オフ」と入力される。そこで、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PC(方位目盛表示SSの中心位置)と一致し、レーダ反射の受信強度(図8の右欄に不図示)は、方位目盛表示SS(薄い文字で表示)の外部にも表示され、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、方位目盛表示SSに沿って太い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、1NMのリング間隔で細い実線で表示される。つまり、これらのレンジリングRM、ROは、異なる形態で表示される。よって、本開示の図8の右欄では、従来技術の図3の右欄と異なり、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMの表示位置を直感的に視認することができ、目標距離を直感的に目測することができる。
【0035】
このように、通常表示モードから全画面表示モードへと切り替わっても、そして、目標距離測定のための可変レンジリングを最大表示レンジに対応するレンジリングに一致させなくても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができる。
【0036】
なお、図8の左欄に示した通常表示モードでのレーダ表示画面Dについて、符号を除去して拡大した図を図9に示す。また、図8の右欄に示した全画面表示モードでのレーダ表示画面Dについて、符号を除去して拡大した図を図11に示す。
【0037】
図7及び図8の右欄の変形例として、レンジリング表示部24は、目標距離測定のための可変レンジリングを最大表示レンジに対応するレンジリングに自動的に一致させて(従来技術の図2及び図4の右欄と相違)、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示形態が他のレンジに対応するレンジリングの表示形態と異なるようにしてもよい。
【0038】
図7及び図8の右欄の変形例では、可変レンジリング欄VRには、レーダ表示装置2のダイヤル等のユーザ操作を受けるまでもなく、自動的に「6NM」と入力される。そこで、最大表示レンジ(6NM)に対応するレンジリングRMは、太い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、細い実線で表示される。
【0039】
図7及び図8の右欄の変形例では、通常表示モードから表示モードが切り替わっても、目標距離測定のための可変レンジリングを最大表示レンジに対応するレンジリングに自動的に一致させて、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができる。
【0040】
図7の右欄では、オフセンター表示モードとして、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PCと一致せず、レーダ反射の受信強度は、方位目盛表示SSの外部には表示されない。変形例として、オフセンター表示モードとして、図7の右欄と同様に、レーダ装置表示位置RDは、PPI画像中心位置PCと一致せず、図7の右欄と異なり、レーダ反射の受信強度は、方位目盛表示SSの外部にも表示されるようにしてもよい。
【0041】
図7及び図8の右欄では、最大表示レンジに対応するレンジリングRMは、太い実線で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、細い実線で表示される。変形例として、最大表示レンジに対応するレンジリングRMは、図7及び図8の右欄と異なり、太い/細い破線、太い/細い一点鎖線、太い/細い二点鎖線、変更した色彩又は点滅する表示等で表示され、他のレンジに対応するレンジリングROは、図7及び図8の右欄と同様に、細い実線で表示されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
このように、本開示のレーダ表示装置は、PPI画像を用いるにあたって、通常表示モードのみならずオフセンター表示モード又は全画面表示モードであっても、最大表示レンジに対応するレンジリングの表示位置を直感的に視認することができるとともに、目標距離を直感的に目測することができるようにすることができる。
【符号の説明】
【0043】
R:レーダシステム
1:レーダ送受信装置
2:レーダ表示装置
21:レーダ表示画面
22:表示レンジ入力部
23:表示モード入力部
24:レンジリング表示部
D:レーダ表示画面
MR:最大表示レンジ欄
OC:オフセンター表示欄
VR:可変レンジリング欄
SS:方位目盛表示
RD:レーダ装置表示位置
PC:PPI画像中心位置
RM:レンジリング
RO:レンジリング
RV:可変レンジリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11