(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】判定システム及び判定装置
(51)【国際特許分類】
G01S 19/42 20100101AFI20231213BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20231213BHJP
G01S 19/16 20100101ALI20231213BHJP
【FI】
G01S19/42
G08B25/04 K
G01S19/16
(21)【出願番号】P 2020049702
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 竜之輔
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聡
(72)【発明者】
【氏名】所 和仁
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505481(JP,A)
【文献】特表2015-503137(JP,A)
【文献】国際公開第2010/103584(WO,A1)
【文献】特表2017-522552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G08B 23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の端末装置の位置を測定する測位部と、
前記位置の測定における誤差範囲を算出する算出部と、
前記誤差範囲に応じて、当該誤差範囲と大きさが異なる判定領域を設定する
第1設定部と、
所定領域と前記判定領域との重複関係によって、前記所定領域に対する進入又は退出を判定する判定部と
、
前記進入と判定された場合の誤判定の少なさを示す確度を設定する第2設定部と、
を備え
、
前記判定領域は、前記誤差範囲より小さい第1判定領域であり、
前記判定部は、前記第1判定領域を用いて前記所定領域への進入を判定し、
前記設定された確度が高いほど、前記誤差範囲の大きさに対する前記第1判定領域の大きさの比率を小さくする
判定システム。
【請求項2】
前記
第1設定部は、前記誤差範囲の大きさが閾値未満の場合には、前記誤差範囲を前記第1判定領域として設定する
請求項
1に記載の判定システム。
【請求項3】
前記誤差範囲の大きさに対する前記第1判定領域の大きさの比率は、前記誤差範囲の大きさによって異なる
請求項
1に記載の判定システム。
【請求項4】
対象者の端末装置の位置を測定する測位部と、
前記位置の測定における誤差範囲を算出する算出部と、
前記誤差範囲に応じて、当該誤差範囲と大きさが異なる判定領域を設定する第1設定部と、
所定領域と前記判定領域との重複関係によって、前記所定領域に対する進入又は退出を判定する判定部と、
前記退出の判定における判定漏れの少なさを示す網羅度を設定する第2設定部と、
を備え、
前記判定領域は、前記誤差範囲より大きい第2判定領域であり、
前記判定部は、前記第2判定領域を用いて前記所定領域からの退出を判定
し、
前記設定された網羅度が高いほど、前記誤差範囲の大きさに対する前記第2判定領域の大きさの比率を小さくする
判定システム。
【請求項5】
前記
第1設定部は、前記誤差範囲の大きさが閾値より大きい場合には、前記誤差範囲を前記第2判定領域として設定する
請求項
4に記載の判定システム。
【請求項6】
前記誤差範囲の大きさに対する前記第2判定領域の大きさの比率は、前記誤差範囲の大きさによって異なる
請求項
4に記載の判定システム。
【請求項7】
対象者の端末装置の位置を示す位置情報と前記位置の測定における誤差範囲を示す誤差情報とを取得する取得部と、
前記誤差情報が示す前記誤差範囲に応じて、当該誤差範囲と大きさが異なる判定領域を設定する
第1設定部と、
所定領域と前記判定領域との重複関係によって、前記所定領域に対する進入又は退出を判定する判定部と
、
前記進入と判定された場合の誤判定の少なさを示す確度を設定する第2設定部と、
を備え
、
前記判定領域は、前記誤差範囲より小さい第1判定領域であり、
前記判定部は、前記第1判定領域を用いて前記所定領域への進入を判定し、
前記設定された確度が高いほど、前記誤差範囲の大きさに対する前記第1判定領域の大きさの比率を小さくする
判定装置。
【請求項8】
対象者の端末装置の位置を示す位置情報と前記位置の測定における誤差範囲を示す誤差情報とを取得する取得部と、
前記誤差情報が示す前記誤差範囲に応じて、当該誤差範囲と大きさが異なる判定領域を設定する第1設定部と、
所定領域と前記判定領域との重複関係によって、前記所定領域に対する進入又は退出を判定する判定部と、
前記退出の判定における判定漏れの少なさを示す網羅度を設定する第2設定部と、
を備え、
前記判定領域は、前記誤差範囲より大きい第2判定領域であり、
前記判定部は、前記第2判定領域を用いて前記所定領域からの退出を判定し、
前記設定された網羅度が高いほど、前記誤差範囲の大きさに対する前記第2判定領域の大きさの比率を小さくする
判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定領域に対する対象者の進入又は退出を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
お年寄りや子供等の対象者が所定領域に対して進入又は退出すると、関係者に通知する見守りシステムが知られている。例えば特許文献1には、検知対象端末の位置情報と検知エリアを比較して検知エリアに対する検知対象端末の入出を判定し、検知対象端末が検知エリアに対して入出したとき、所定の選択条件に適合する通知先端末に入出通知を送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端末装置の位置は、例えばGPS(Global Positioning System)を利用して測定されるが、この位置の測定には誤差がある。例えば端末装置の位置の誤差範囲を用いて所定領域に対する進入又は退出の判定を行うと、実際には所定領域に対する進入又は退出が行われていないのにも関わらず、所定領域に対する進入又は退出が行われたと誤判定される場合がある。
【0005】
本発明は、対象者の所定領域に対する進入又は退出の判定確度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対象者の端末装置の位置を測定する測位部と、前記位置の測定における誤差範囲を算出する算出部と、前記誤差範囲に応じて、当該誤差範囲と大きさが異なる判定領域を設定する設定部と、所定領域と前記判定領域との重複関係によって、前記所定領域に対する進入又は退出を判定する判定部とを備える判定システムを提供する。
【0007】
前記判定領域は、前記誤差範囲より小さい第1判定領域であり、前記判定部は、前記第1判定領域を用いて前記所定領域への進入を判定してもよい。
【0008】
前記設定部は、前記誤差範囲の大きさが閾値未満の場合には、前記誤差範囲を前記第1判定領域として設定してもよい。
【0009】
前記誤差範囲の大きさに対する前記第1判定領域の大きさの比率は、前記誤差範囲の大きさによって異なってもよい。
【0010】
前記誤差範囲の大きさに対する前記第1判定領域の大きさの比率は、前記進入の判定に対して要求される確度又は網羅度によって異なってもよい。
【0011】
前記判定領域は、前記誤差範囲より大きい第2判定領域であり、前記判定部は、前記第2判定領域を用いて前記所定領域からの退出を判定してもよい。
【0012】
前記設定部は、前記誤差範囲の大きさが閾値より大きい場合には、前記誤差範囲を前記第2判定領域として設定してもよい。
【0013】
前記誤差範囲の大きさに対する前記第2判定領域の大きさの比率は、前記誤差範囲の大きさによって異なってもよい。
【0014】
前記誤差範囲の大きさに対する前記第2判定領域の大きさの比率は、前記退出の判定に対して要求される確度又は網羅度によって異なってもよい。
【0015】
また、本発明は、対象者の端末装置の位置を示す位置情報と前記位置の測定における誤差範囲を示す誤差情報とを取得する取得部と、前記誤差情報が示す前記誤差範囲に応じて、当該誤差範囲と大きさが異なる判定領域を設定する設定部と、所定領域と前記判定領域との重複関係によって、前記所定領域に対する進入又は退出を判定する判定部とを備える判定装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対象者の所定領域に対する進入又は退出の判定確度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る判定システム100の構成の一例を示す図である。
【
図2】位置情報端末110の構成の一例を示す図である。
【
図3】利用者端末120の構成の一例を示す図である。
【
図4】センター装置130の構成の一例を示す図である。
【
図6】誤差範囲181より小さい入判定領域182を用いた場合に誤判定が少なくなる原理を説明する図である。
【
図7】誤差範囲191より大きい出判定領域192を用いた場合に誤判定が少なくなる原理を説明する図である。
【
図8】判定システム100の動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.構成
図1は、実施形態に係る判定システム100の構成の一例を示す図である。判定システム100は、高齢者や子供等の対象者が自宅や学校等の予め設定された監視領域に出入りしたことを家族や保護者等の利用者に通知する見守りサービスを提供する。この見守りサービスは、荷物、貴重品、車等の移動体の盗難対策としても利用される。例えば警備会社や弁護士が貴重品や機密情報のある資料の運搬を行う際に、見守りサービスにより指定ルートからの逸脱や遅れが管理者に通知されてもよい。判定システム100は、位置情報端末110(本発明に係る「端末装置」の一例)と、利用者端末120と、センター装置130(本発明に係る「判定装置」の一例)とを備える。これらの装置は、通信回線140を介して接続されている。通信回線140には、例えばインターネットと移動体通信網とが含まれる。
【0019】
図2は、位置情報端末110の構成の一例を示す図である。位置情報端末110は、対象者により持ち運ばれる。位置情報端末110は、対象者の位置を測定してセンター装置130に通知する機能を有する。位置情報端末110は、制御部111と、通信部112と、測位部113とを備える。これらの部位は、バスを介して接続されている。
【0020】
制御部111は、位置情報端末110の各部を制御して位置情報端末110の機能を実現する処理を行う。制御部111は、プロセッサと、メモリとを備える。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを実行する。プロセッサには、例えばCPU(Central Processing Unit)が用いられる。メモリは、位置情報端末110の機能を実現するためのプログラムを記憶している。メモリには、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)が含まれる。通信部112は、通信回線140に接続される通信インターフェースである。通信部112は、通信回線140を介してセンター装置130とデータ通信を行う。測位部113は、位置情報端末110の現在位置を測定し、現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報端末110は対象者により持ち運ばれているため、位置情報端末110の位置は対象者の位置とみなすことができる。測位部113は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機であり、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて測位演算を実行して位置情報を算出する。この位置情報は、緯度及び経度により表される。また、測位部113は、算出部115を有する。算出部115は、位置の測位における誤差範囲を算出する。例えば算出部115は、誤差範囲の大きさを示す測位誤差(本発明に係る「誤差情報」の一例)を算出する。測位誤差の算出方法としては、例えばGPS衛星の幾何学的配置によって定まる指標値である精度劣化度(DOP:dilution of precision)に基づいて推定する方法がある。測位誤差は、例えば位置情報端末110が建物の傍や傾斜地に居ると大きくなる。また、GPSの測位誤差の算出においては、DOPに基づく算出に限らず、CEP(Circular Error Probability)やRMS(Root Mean Square)等の手法を採用してもよい。
【0021】
制御部111は、送信部114として機能する。この機能は、メモリに記憶されたプログラムと、このプログラムを実行するプロセッサとの協働により、プロセッサが演算を行い又は他のハードウェア要素の動作を制御することにより実現される。送信部114は、測位部113が取得した位置情報及び算出部115が算出した測位誤差をセンター装置130に送信する。
【0022】
図3は、利用者端末120の構成の一例を示す図である。利用者端末120は、利用者により使用される。利用者端末120には、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータが用いられる。利用者端末120は、センター装置130からの通知を利用者に提示する機能を有する。利用者端末120は、制御部121と、通信部122と、入力部123と、表示部124とを備える。これらの部位は、バスを介して接続されている。
【0023】
制御部121は、利用者端末120の各部を制御して利用者端末120の機能を実現する処理を行う。制御部121は、プロセッサと、メモリとを備える。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを実行する。プロセッサには、例えばCPUが用いられる。メモリは、利用者端末120の機能を実現するためのプログラムを記憶している。メモリには、例えばROM及びRAMが含まれる。通信部122は、通信回線140に接続される通信インターフェースである。通信部122は、通信回線140を介してセンター装置130とデータ通信を行う。入力部123は、利用者端末120への情報の入力に用いられる。利用者は、入力部123を用いて利用者端末120を操作する。入力部123には、例えばタッチパネルとボタンとが用いられる。表示部124は、センター装置130からの通知に応じた画像を表示する。表示部124には、例えば液晶ディスプレイが用いられる。
【0024】
制御部121は、表示制御部125として機能する。この機能は、メモリに記憶されたプログラムと、このプログラムを実行するプロセッサとの協働により、プロセッサが演算を行い又は他のハードウェア要素の動作を制御することにより実現される。表示制御部125は、センター装置130からの通知に応じた画像を表示部124に表示させる。
【0025】
図4は、センター装置130の構成の一例を示す図である。センター装置130は、見守りサービスを提供する機能を有する。センター装置130は、制御部131と、通信部132と、記憶部133とを備える。これらの部位は、バスを介して接続されている。
【0026】
制御部131は、センター装置130の各部を制御してセンター装置130の機能を実現する処理を行う。制御部131は、プロセッサと、メモリとを備える。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを実行する。プロセッサには、例えばCPUが用いられる。メモリは、センター装置130の機能を実現するためのプログラムを記憶している。メモリには、例えばROM及びRAMが含まれる。通信部132は、通信回線140に接続される通信インターフェースである。通信部132は、通信回線140を介して位置情報端末110又は利用者端末120とデータ通信を行う。記憶部133は、設定テーブル331を記憶している。記憶部133には、例えばハードディスク又はSSD(Solid State Drive)が用いられる。
【0027】
制御部131は、取得部311と、設定部312と、判定部313と、通知部314として機能する。これらの機能は、メモリに記憶されたプログラムと、このプログラムを実行するプロセッサとの協働により、プロセッサが演算を行い又は他のハードウェア要素の動作を制御することにより実現される。
【0028】
取得部311は、位置情報端末110の位置を示す位置情報と、この位置の測位誤差とを取得する。位置情報と測位誤差とは、例えば位置情報端末110から送信される。設定部312は、位置情報端末110の位置の誤差範囲に応じた判定領域を設定する。誤差範囲は、所定の確率(以下、「誤差範囲の精度」という。)で測定対象が存在する範囲を示す。例えば誤差範囲の精度が70%である場合、誤差範囲は、70%の確率で測位対象が存在する範囲を示す。誤差範囲は、例えば位置情報により示される測位点(緯度、経度)を中心とし、取得部311が取得した測位誤差を半径とした円形の範囲である。判定領域には、所定の監視領域への進入判定に用いられる入判定領域(本発明に係る「第1判定領域」の一例)と、所定の監視領域からの退出判定に用いられる出判定領域(本発明に係る「第2判定領域」の一例)とが含まれる。入判定領域及び出判定領域はいずれも、例えば測位点を中心とした円形の領域である。入判定領域及び出判定領域は、例えば記憶部133に記憶された設定テーブル331を参照して設定される。
【0029】
図5は、設定テーブル331の一例を示す図である。設定テーブル331は、誤差範囲の大きさ毎に、対応する入判定領域の大きさ及び出判定領域の大きさを示す。入判定領域及び出判定領域は、それぞれ誤差範囲の大きさによって異なる大きさを有する。設定テーブル331は、誤差半径と、入判定領域の半径と、出判定領域の半径とを含む。誤差半径は、誤差範囲の半径を示す。すなわち、誤差半径は、誤差範囲の大きさを示す。例えば設定テーブル331では、誤差半径「48m」と、入判定領域の半径「37m」とが対応付けられている。したがって、誤差範囲の半径が48mである場合、測位点を中心とした、半径37mの入判定領域が設定される。また、設定テーブル331では、誤差半径「48m」と、出判定領域の半径「56m」とが対応付けられている。したがって、誤差範囲の半径が48mである場合、測位点を中心とした、半径56mの出判定領域が設定される。このように、
図5に示す例では、入判定領域は誤差範囲より小さく、出判定領域は誤差範囲より大きい。また、同一の誤差半径に対応する入判定領域の半径と出判定領域の半径とは互いに異なり、所定の長さ以上の差を有する。
【0030】
さらに、
図5に示す例では、誤差半径に対する入判定領域の半径の比率及び誤差半径に対する出判定領域の半径の比率は、それぞれ誤差半径によって異なる。例えば誤差半径が大きくなると、誤差半径に対する入判定領域の比率(以下、「縮小率」という。)は小さくなる。例えば誤差半径が48mの場合、入判定領域の半径は37mになるため、縮小率は、37÷48×100=約77%となる。一方、誤差半径が1024mの場合、入判定領域の半径は532mになるため、縮小率は、532÷1024×100=約52%となる。また、誤差半径が小さくなると、誤差半径に対する出判定領域の半径の比率(以下、「拡大率」という。)は大きくなる。例えば誤差半径が1024mの場合、出判定領域の半径は1034mになるため、拡大率は、1034÷1024×100=約101%となる。一方、誤差半径が48mの場合、出判定領域の半径は56mになるため、拡大率は、56÷48×100=約117%となる。
【0031】
ただし、誤差範囲の大きさが第1閾値未満の場合には、誤差範囲が入判定領域として設定される。すなわち、誤差範囲の大きさが第1閾値以上の場合に限り、誤差範囲より小さい入判定領域が設定される。これは、誤差範囲が小さいということは、測位精度(位置精度)が高いことを意味するため、誤差範囲が小さい場合には、誤差範囲をそのまま入判定領域として用いても、或る程度の進入の判定確度が確保されると考えられるためである。また、誤差範囲の大きさが第2閾値より大きい場合、誤差範囲が出判定領域として設定される。すなわち、誤差範囲の大きさが第2閾値以下である場合に限り、誤差範囲より大きい出判定領域が設定される。これは、誤差範囲が既に十分に大きい状態のときに、出判定領域を誤差範囲より大きくすると、出判定領域が大きくなり過ぎ、対象者が実際に監視領域から退出してから監視領域から退出したと判定されるまでの時間差が大きくなり過ぎる虞があるためである。
【0032】
判定部313は、監視領域(本発明に係る「所定領域」の一例)と判定領域との重複関係によって、対象者の監視領域に対する進入及び退出を判定する。監視領域に対する進入判定と退出判定とは、互いに異なる判定領域を用いて行われる。監視領域への進入判定は、入判定領域を用いて行われる。例えば入判定領域が監視領域に重なると、対象者が監視領域に進入したと判定される。すなわち入判定領域と監視領域とが重ならない状態から重なった状態に変化すると、対象者が監視領域に進入したと判定される。一方、監視領域からの退出判定は、出判定領域を用いて行われる。例えば対象者が監視領域に進入した後、出判定領域が監視領域に重ならなくなると、対象者が監視領域から退出したと判定される。すなわち、入判定領域と監視領域とが重なった状態になった後、出判定領域と監視領域とが重ならない状態に変化すると、対象者が監視領域から退出したと判定される。
【0033】
監視領域は、例えば利用者の操作に応じて予め設定されている。監視領域の数は、一つであってもよいし、複数であってもよい。監視領域の大きさや形状は、利用者の操作に応じて設定されてもよい。例えば対象者が移動する場合、出発地、経由地、到着地が監視領域として予め設定される。また、監視領域は、利用者の操作を介さずに設定されてもよい。例えば見守りサービスを移動体の盗難対策に利用する場合、移動体が所定時間以上停止したことが検知されると、その停止位置を基準とする監視領域が自動的に設定されてもよい。
【0034】
通知部314は、対象者の監視領域に対する進入又は退出が判定されると、対象者が監視領域に対する進入又は退出を行ったことを利用者に通知する。この通知は、例えばメッセージ又は電子メールを利用者端末120に送信することにより行われてもよい。この通知により利用者は、対象者が監視領域に対する進入又は退出を行ったことが分かる。この場合、利用者の要請により、対象者が居る場所へ対処員が駆け付けて対処を行ってもよい。なお、複数の監視領域が設定されている場合、通知部314は、利用者の移動経路がこれらの監視領域を通る所定の経路から逸脱している場合に、対象者が所定の経路を逸脱したことを利用者に通知してもよい。
【0035】
図6は、監視領域180への進入判定に誤差範囲181より小さい入判定領域182を用いた場合に、この進入判定に誤差範囲181を用いた場合に比べて誤判定(進入していないにもかかわらず進入と判定されること)が少なくなる原理を説明する図である。ここでは、対象者が移動経路183に沿って移動するものとする。監視領域180への進入判定に誤差範囲181を用いた場合には、
図6(a)に示されるように時刻t2において誤差範囲181が監視領域180に重なるため、対象者が監視領域180を通っていないにも関わらず、監視領域180に進入したと誤判定される。一方、監視領域180への進入判定に誤差範囲181より小さい入判定領域182を用いた場合には、
図6(b)に示されるように時刻t2において入判定領域182が監視領域180と重ならないため、対象者が監視領域180に進入したと誤判定されない。このように、入判定領域182を誤差範囲181より小さくすることにより、監視領域180に進入したと判定されにくくなり、誤判定が少なくなる。
【0036】
図7は、監視領域190からの退出判定に誤差範囲191より大きい出判定領域192を用いた場合に、この退出判定に誤差範囲191を用いた場合に比べて誤判定(退出していないにもかかわらず退出と判定されること)が少なくなる原理を説明する図である。ここでは、対象者が移動経路193に沿って移動するものとする。誤差範囲191の精度が70%である場合、誤差範囲191内に対象者が居る確率は70%である。すなわち、30%の確率で対象者は誤差範囲191外に居ることになる。ここで、時刻12に対象者は誤差範囲191内に居らず、監視領域190内に居るものとする。監視領域190への退出判定に誤差範囲191を用いた場合には、
図7(a)に示されるように時刻t12において誤差範囲191が監視領域190と重ならなくなるため、対象者が監視領域190を退出していないにも関わらず、時刻t12において対象者が監視領域190から退出したと誤判定される。一方、監視領域190からの退出判定に誤差範囲191より大きい出判定領域192を用いた場合には、
図7(b)に示されるように時刻t12において出判定領域192が監視領域190と重なっているため、対象者が監視領域190から退出したと誤判定されない。このように、出判定領域192を誤差範囲191より大きくすることにより、監視領域190から退出したと判定されにくくなり、誤判定が少なくなる。
【0037】
2.動作
図8は、判定システム100の動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作は、30秒等の所定の時間間隔で開始される。
図9は、監視領域の一例を示す図である。ここでは、登下校時の子供の見守りにおいて、子供が学校を出発して家に向かう場合を想定する。この場合、子供が対象者となり、位置情報端末110を持ち運ぶ。また、保護者が利用者となり、利用者端末120を使用する。また、
図9に示されるように、学校を含む監視領域151と、学校と家との間の通学路上の第1経由地を含む監視領域152と、通学路上の第2経由地を含む監視領域153と、家を含む監視領域154とが予め設定される。
【0038】
ステップS11において、位置情報端末110の測位部113は、位置情報端末110の現在位置を測定し、現在位置を示す位置情報を取得する。例えば
図9に示されるように、時刻T2において対象者が位置161に居る場合、位置161を示す位置情報が取得される。
【0039】
ステップS12において、位置情報端末110の算出部115は、ステップS11において測定した位置の測位誤差を算出する。ここでは、誤差範囲の精度が70%であるものとする。この場合、例えば
図9に示される位置161から半径48mの範囲内に70%の確率で対象者が存在するときは、測位誤差として48mが算出される。
【0040】
ステップS13において、位置情報端末110の送信部114は、センター装置130に位置情報及び測位誤差を送信する。例えば
図9に示す位置161を示す位置情報と、48mという測位誤差とが送信される。センター装置130の取得部311は、位置情報端末110から位置情報及び測位誤差を受信する。
【0041】
ステップS14において、設定部312は、前回の判定時に対象者が監視領域内に居るか否かを判定する。この判定は、例えば記憶部133に記憶されたステータス情報に基づいて行われる。例えば前回の判定以前に監視領域に進入したと判定され、その後に監視領域から退出したと判定されていない場合、進入状態を示すステータス情報が記憶部133には記憶されている。この場合、このステータス情報に基づいて、前回の判定時に対象者が監視領域内に居ると判定される。一方、前回の判定より前に監視領域に進入したと判定され、その後に監視領域から退出したと判定されている場合、又は前回以前に監視領域に進入したと判定されていない場合には、非進入状態を示すステータス情報が記憶部133には記憶されている。この場合、このステータス情報に基づいて対象者が監視領域内に居ないと判定される。
図9に示す例では、時刻T1において監視領域151に進入したと判定され、その後監視領域151から退出したと判定されていないため、記憶部133には進入状態を示すステータス情報が記憶されている。したがって、前回の判定時に対象者が監視領域内に居ると判定される。
【0042】
ステップS15において、設定部312は、ステップS14の判定結果に応じて、入判定領域又は出判定領域を設定する。ステップS14において前回の判定時に対象者が監視領域内に居ると判定された場合には、以降の処理では、監視領域からの退出判定が行われるため、出判定領域が設定される。一方、ステップS14において前回の判定時に対象者が監視領域内に居ないと判定された場合には、以降の処理では、監視領域への進入判定が行われるため、入判定領域が設定される。
図9に示す例では、時刻T1の判定時に対象者が監視領域151内に居ると判定されるため、出判定領域が設定される。このとき、設定部312は、まず測位誤差が第2閾値以下であるか否かを判定する。この測位誤差は、誤差範囲の誤差半径となるため、誤差範囲の大きさを示す。ここでは、第2閾値が1050mであるものとする。例えば測位誤差が1100mである場合には、測位誤差が第2閾値より大きくなる。この場合、誤差範囲が出判定領域として設定される。すなわち、
図9に示す位置161を中心とする半径1100mの誤差範囲が出判定領域として設定される。一方、例えば測位誤差が48mである場合、測位誤差が第2閾値以下となる。この場合、
図5に示す設定テーブル331において誤差半径「48m」に対応する出判定領域の半径「56m」に基づいて、
図9に示す位置161を中心とする半径56mの出判定領域171が設定される。
【0043】
ステップS16において、判定部313は、ステップS15において設定された入判定領域又は出判定領域を用いて、対象者が監視領域に進入したか又は監視領域から退出したかを判定する。ステップS15において入判定領域が設定された場合には、この入判定領域を用いて対象者が監視領域に進入したか否かが判定される。一方、ステップS15において出判定領域が設定された場合には、この出判定領域を用いて対象者が監視領域から退出したか否かが判定される。
図9に示す例では、出判定領域171が設定されるため、出判定領域171を用いて対象者が監視領域151から退出したか否かが判定される。出判定領域171と監視領域151とが重なっている場合には、対象者が監視領域151から退出していないと判定される(ステップS16の判定がNO)。この場合、処理は終了する。一方、
図9に示されるように、出判定領域171と監視領域151とが重ならない場合には、対象者が監視領域151から退出したと判定される(ステップS16の判定がYES)。この場合、ステップS17の処理に進む。また、この場合には、記憶部133に記憶されているステータス情報が非進入状態を示すステータス情報に変更される。
【0044】
ステップS17において、通知部314は、対象者が監視領域に進入し又は監視領域から退出したことを示す通知を利用者端末120に送信する。
図9に示す例では、対象者が監視領域151から退出したことを示す通知が送信される。
【0045】
ステップS18において、利用者端末120の表示制御部125は、センター装置130から受信した通知に応じた通知画面250を表示部124に表示させる。
図10は、通知画面250の一例を示す図である。通知画面250には、対象者が監視領域151から退出したことを示すメッセージ251が含まれる。また、通知画面250には、監視領域151~154を示す地
図252が含まれる。さらに、地
図252上には、対象者の位置161の誤差範囲176が表示される。例えば誤差半径が48mの場合、誤差範囲176は、位置161を中心とする半径48mの円形の範囲となる。
【0046】
図11は、対象者の移動の一例を示す図である。時刻T2の後、時刻T3において対象者が位置162に移動すると、上述したステップS11では位置162を示す位置情報が取得される。上述したステップS12では位置162の測位誤差が算出される。上述したステップS14では時刻T2において監視領域151から退出しているため、前回の判定時に対象者が監視領域内に居ないと判定される。上述したステップS15では、入判定領域が設定される。このとき、まず位置162の測位誤差が第1閾値以上であるか否かが判定される。ここでは、第1閾値が40mであるものとする。例えば位置162の測位誤差が10mである場合には、測位誤差が第1閾値より小さくなる。この場合、誤差範囲が入判定領域として設定される。すなわち、
図11に示す位置162を中心とする半径10mの誤差範囲が入判定領域として設定される。一方、例えば位置162の測位誤差が64mである場合には、測位誤差が第1閾値以上となる。この場合、
図5に示す設定テーブル331において誤差半径「64m」に対応する入判定領域の半径「50m」に基づいて、位置162を中心とする半径50mの入判定領域172が設定される。上述したステップS16では、入判定領域172が監視領域152と重なるため、対象者が監視領域152に進入したと判定される。上述したステップS17では、対象者が監視領域152に進入したことを示す通知が送信される。
【0047】
時刻T3の後、時刻T4において対象者が位置163に移動すると、上述した監視領域151からの退出判定処理と同様に、対象者が監視領域152から退出したと判定され、その旨を示す通知が送信される。
【0048】
ここで、時刻T4の後、時刻T5において対象者が監視領域153の近くを通った後、監視領域153を通らずに通学路から外れた位置165に移動した場合を想定する。また、時刻T5において測定された位置164の測位誤差が第1閾値以上であるものとする。仮に、この場合に、位置164の誤差範囲175を用いて監視領域153への進入判定を行ったとすると、時刻T5において誤差範囲175が監視領域153と重なるため、対象者が監視領域153を通っていないにも関わらず、対象者が監視領域153に進入したと判定され、その旨を示す通知が送信される。一方、本実施形態では、誤差範囲175より小さい入判定領域174を用いて監視領域153への進入判定が行われる。この場合、時刻T5において入判定領域174は監視領域153と重ならないため、対象者が監視領域153に進入したと判定されない。利用者は、対象者が監視領域153に進入したことを示す通知が来ないため、対象者が監視領域153を通っていないことが分かる。
【0049】
本実施形態によれば、測位の誤差範囲より小さい入判定領域を用いて監視領域への進入判定が行われるため、誤差範囲を用いて進入判定を行う場合に比べて、進入の誤判定が少なくなり、判定確度が向上する。また、測位の誤差範囲より大きい出判定領域を用いて監視領域からの退出判定が行われるため、誤差範囲を用いて退出判定を行う場合に比べて、退出の誤判定が少なくなり、判定確度が向上する。また、誤差範囲の大きさによって入判定領域の縮小率及び出判定領域の拡大率が異なるため、誤差範囲の大きさによって誤判定が増えるのを防ぐことができる。例えば上述した実施形態では、誤差範囲が大きくなると入判定領域の縮小率は小さくなる。仮に誤差範囲の大きさによらず縮小率が一定である場合には、誤差範囲が大きくなるほど入判定領域が大きくなり、進入の誤判定が増える虞がある。上述した実施形態によれば、このような誤判定の増加を防ぐことができる。さらに、上述した実施形態では、誤差範囲が小さくなると出判定領域の拡大率は大きくなる。仮に誤差範囲の大きさによらず拡大率が一定である場合には、誤差範囲が小さくなるほど出判定領域が小さくなり、退出の誤判定が増える虞がある。上述した実施形態によれば、このような誤判定の増加を防ぐことができる。
【0050】
3.変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されず、以下の例のように変形して実施されてもよい。このとき、以下の2以上の変形例が組み合わせて用いられてもよい。
【0051】
上述した実施形態において、入判定領域及び出判定領域の設定方法は、設定テーブル331を用いた方法に限定されない。例えば縮小率が予め決められており、この縮小率に従って誤差半径から入判定領域の半径が算出されてもよい。同様に、拡大率が予め決められており、この拡大率に従って誤差半径から出判定領域の半径が算出されてもよい。
【0052】
上述した実施形態において、見守りサービスの用途によって、進入や退出の誤判定を減らしたい場合と判定漏れ(進入/退出したにもかかわらず進入/退出と判定されないこと)を減らしたい場合とがある。例えば見守りサービスを老人ホームにおいて老人の徘徊を防止するために利用する場合には、対象者である老人が監視領域に設定された老人ホームの外に出たことを見逃さないようにするために、進入については誤判定を減らし、退出については判定漏れを減らしたいという要求がある。見守りサービスを営業員の位置管理に利用する場合には、対象者である営業員が監視領域に設定された所定の領域で勤務していることを把握するために、進入については判定漏れを減らし、退出については誤判定を減らしたいという要求がある。見守りサービスを警備員の対処記録に利用する場合には、対象者である警備員が監視領域に設定された所定の物件で対応していることを把握するために、進入及び退出の両方について誤判定を減らしたいという要求がある。そこで、進入又は退出の判定に対して要求される確度又は網羅度によって入判定領域の縮小率又は出判定領域の拡大率を異ならせてもよい。この場合、例えば利用者の操作により進入及び退出判定に対して要求する確度又は網羅度が設定される。例えば誤判定を減らしたい場合には、判定に対して要求する確度が高く設定される。この確度は、例えば判定の総数に対する正しい判定の比率により示される。一方、判定漏れを減らしたい場合には、判定に対して要求する網羅度が高く設定される。この網羅度は、例えば実際に進入又は退出した対象の総数に対する進入又は退出したと判定された数の比率により示される。そして、進入判定に対して要求される確度が高い場合には縮小率を小さくし、この縮小率に従って入判定領域が設定される。一方、進入判定に対して要求される網羅度が高い場合には縮小率を大きくし、この縮小率に従って入判定領域が設定される。例えば進入判定に対して要求される確度が高い場合には縮小率を50%とし、進入判定に対して要求される網羅度が高い場合には縮小率を80%としてもよい。また、退出判定に対して要求される確度が高い場合には、拡大率を大きくし、この拡大率に従って出判定領域が設定される。一方、退出判定に対して要求される網羅度が高い場合には、拡大率を小さくし、この拡大率に従って出判定領域が設定される。例えば退出判定に対して要求される確度が高い場合には、拡大率を110%とし、退出判定に対して要求される網羅度が高い場合には、拡大率を101%としてもよい。
【0053】
上述した実施形態において、監視領域の大きさによって入判定領域又は出判定領域の大きさを異ならせてもよい。例えば監視領域が大きくなる程、縮小率を小さくし、この縮小率に従って入判定領域が設定されてもよい。また、監視領域が小さくなる程、拡大率を大きくし、この拡大率に従って出判定領域が設定されてもよい。これにより、監視領域の大きさに関わらず、対象者が監視領域の中心から一定の距離だけ離れた位置に移動したときに、監視領域に対する進入又は退出を判定することができる。
【0054】
上述した実施形態において、監視領域によって入判定領域又は出判定領域の大きさを異ならせてもよい。例えば到着地を含む監視領域に対する進入の判定に用いられる入判定領域については、縮小率を小さくし、この縮小率に従って設定されてもよい。一方、経由地を含む監視領域に対する進入の判定に用いられる入判定領域については、縮小率を大きくし、この縮小率に従って設定されてもよい。例えば
図11に示す監視領域154に対応する入判定領域については縮小率を50%とし、
図11に示す監視領域152に対応する入判定領域については縮小率を80%としてもよい。
【0055】
上述した実施形態において、誤差範囲の精度によって入判定領域又は出判定領域の大きさを異ならせてもよい。例えば誤差範囲の精度が低くなると拡大率を大きくし、この拡大率に従って出判定領域が設定されてもよい。例えば誤差範囲の精度が50%である場合には拡大率を110%とし、誤差範囲の精度が95%である場合には、拡大率を101%としてもよい。また、出判定領域は、常に誤差範囲の精度が100%となる領域に設定されてもよい。
【0056】
上述した実施形態において、測位誤差が第1閾値未満の場合に、必ずしも誤差範囲が入判定領域に設定されなくてもよい。測位誤差が第1閾値未満の場合にも、誤差範囲より小さい入判定領域が設定されてもよい。同様に測位誤差が第2閾値より大きい場合に、必ずしも誤差範囲が出判定領域に設定されなくてもよい。測位誤差が第2閾値より大きい場合にも、誤差範囲より大きい出判定領域が設定されてもよい。また、第1閾値や第2閾値を設けずに
図5の表に従って、入判定領域や出判定領域が設定されてもよい。
【0057】
上述した実施形態において、出判定領域は必ずしも誤差範囲より大きくなくてもよい。誤差範囲の大きさによって、出判定領域が誤差範囲より小さくなってもよい。例えば設定テーブル331において384mより大きい誤差半径に対応する出判定領域の半径は、誤差半径より小さくてもよい。例えば、見守りサービスを老人ホームにおいて老人の徘徊を防止するために利用する場合には、対象者である老人が監視領域に設定された老人ホームの外に出たことを見逃さないようにするために、出判定領域を誤差範囲より小さくしてもよい。同様に、入判定領域は必ずしも誤差範囲より小さくなくてもよい。例えば見守りサービスの用途によっては、入判定領域が誤差範囲より大きくてもよい。
【0058】
上述した実施形態において、一の監視領域への進入が判定された直後においては、この監視領域の退出判定に用いられる出判定領域がこの監視領域の進入判定に用いられる入判定領域より大きくなるように、出判定領域の大きさが補正されてもよい。これは、同一の監視領域に対応する入判定領域が出判定領域以上であると、例えば対象者が監視領域に進入する前に監視領域への進入が判定された後、対象者が監視領域に進入する前に監視領域からの退出が判定される場合があるため、このような誤判定を防ぐためである。例えば対象者による監視領域への進入が判定されると、一定期間、出判定領域が入判定領域より大きくなるように、出判定領域の大きさが補正される。この場合、記憶部133には入判定領域の半径が記憶される。そして、出判定領域の半径が決定されると、この出判定領域の半径と記憶部133に記憶された入判定領域の半径とが比較され、出判定領域の半径が入判定領域の半径以下の場合には、出判定領域の半径が入判定領域の半径より大きくなるように出判定領域の半径が補正され、補正後の半径に応じて出判定領域が設定される。また、一の監視領域からの退出が判定された直後においては、次の監視領域の進入判定に用いられる入判定領域がこの監視領域の退出判定に用いられる出判定領域より小さくなるように、入判定領域の大きさが補正されてもよい。これは、対象者が監視領域から退出した直後に、入判定領域が出判定領域以上であると、例えば対象者が監視領域からの退出が判定された後、次の監視領域に進入する前に既に退出した監視領域への進入が判定される場合があるため、このような誤判定を防ぐためである。例えば対象者による監視領域からの退出が判定されると、一定期間、入判定領域が出判定領域より小さくなるように、入判定領域の大きさが補正される。具体的な方法については、出判定領域の大きさの補正と同様である。
【0059】
上述した実施形態において、監視領域に対する進入又は退出判定の方法は、監視領域と入判定領域又は出判定領域との重なりの有無による方法に限定されない。例えば監視領域への進入判定において、入判定領域と監視領域との重複比率が所定の比率以上になった場合には、監視領域に進入したと判定されてもよい。この所定の比率は、例えば70%であってもよい。或いは、入判定領域と監視領域とが継続して重なった時間又は重なったと連続して判定された回数が所定の時間又は回数以上になった場合には、監視領域に進入したと判定されてもよい。また監視領域からの退出判定において、出判定領域と監視領域との重複比率が所定の比率以下になった場合には、監視領域から退出したと判定されてもよい。この所定の比率は、例えば20%であってもよい。或いは、出判定領域と監視領域とが継続して重ならない時間又は重ならないと連続して判定された回数が所定の時間又は回数以上になった場合には、監視領域から退出したと判定されてもよい。
【0060】
上述した実施形態において、監視領域に対する進入と退出は必ずしも両方とも判定されなくてもよい。例えば見守りサービスを老人ホームにおいて老人の徘徊を防止するために利用する場合には、老人ホームを含む監視領域からの退出だけが判定され、監視領域への進入は判定されなくてもよい。また、見守りサービスを登下校時の子供の見守りに利用する場合には、到着地を含む監視領域への進入だけが判定され、監視領域からの退出は判定されなくてもよい。
【0061】
上述した実施形態において、必ずしも利用者端末120への通知は行われなくてもよい。例えば、見守りサービスを営業員の位置管理に利用する場合には、監視領域に対する進入又は退出の履歴が記憶部133に記憶され、監視領域に対する進入又は退出の通知は行われなくてもよい。この場合、利用者端末120からの要求に応じて、監視領域に対する進入又は退出の履歴が利用者端末120に送信され表示されてもよい。
【0062】
上述した実施形態において、位置情報端末110の位置を測定する方法は、GPSを利用した方法に限定されない。位置情報端末110の位置を測定する方法は、どのような方法であってもよい。例えば基地局の情報を利用して位置情報端末110の位置が測定されてもよい。
【0063】
上述した実施形態において、判定システム100の機能の主体は例示であり、この例に限定されない。例えばセンター装置130の少なくとも一部の機能を位置情報端末110が有していてもよい。位置情報端末110が
図4に示されるセンター装置130の機能を全て有する場合、センター装置130は設けられなくてもよい。また、判定システム100の処理の順序は例示であり、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。
【0064】
本発明は、位置情報端末110、利用者端末120、センター装置130のそれぞれにおいて実行されるプログラムとして提供されてもよい。このプログラムは、インターネットなどの通信回線を介してダウンロードされてもよいし、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
100:判定システム、110:位置情報端末、111:制御部、112:通信部、113:測位部、114:送信部、115:算出部、120:利用者端末、121:制御部、122:通信部、123:入力部、124:表示部、125:表示制御部、130:センター装置、131:制御部、132:通信部、133:記憶部、311:取得部、312:設定部、313:判定部、314:通知部