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特許7402091マルチアクティブ軸の非外骨格リハビリテーション装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】マルチアクティブ軸の非外骨格リハビリテーション装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20231213BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A61H1/02 K
B25J11/00 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020051149
(22)【出願日】2020-03-23
(62)【分割の表示】P 2016545268の分割
【原出願日】2014-09-29
(65)【公開番号】P2020163135
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-04-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】61/883,367
(32)【優先日】2013-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516091499
【氏名又は名称】バレット・テクノロジー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【弁理士】
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】タウンセンド,ウィリアム・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンソン,デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェンコ,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】リーランド,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】アナンタナラヤナン,アルヴィンド
(72)【発明者】
【氏名】パットン,ジェームズ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】栗山 卓也
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-73133(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0060171(US,A1)
【文献】特表2011-529760(JP,A)
【文献】特表平3-505067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H1/02
B25J17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と付属肢とを備えるユーザの身体と関連して動作を行うためのロボット装置(5)であって、
ユーザの当該付属肢が、エンドポイントと、付属肢セグメントと、当該エンドポイントを当該付属肢セグメントに可動的に接続する第1関節(J1)当該付属肢セグメントをユーザの胴体に可動的に接続する第2関節(J2)と、を有し、
少なくとも一つのモータを備え、且つ、固定された構成を有し、ユーザの胴体の背後及び脇に配置されるように構成されたベース(100)と、
第1の軸(J1)周りに回転するように前記ベースに可動的に取り付けられ、それにより第1の自由度を提供する第1のセグメント(145)と、
第2の軸(J2)周りに回転するように前記第1のセグメントに可動的に取り付けられ、それにより第2の自由度を提供する第2のセグメント(105)と、
前記第2のセグメントに取り付けられた第3のセグメントと、
第3の軸(J3)周りに回転するように前記第3のセグメントに可動的に取り付けられ、それにより第3の自由度を提供する第4のセグメント(110)であって、ユーザの前記付属肢に取り付けるように構成されたエンドポイントを有する、第4のセグメントと、
を備え、
前記第1の軸は実質的に水平に配置され、前記第2の軸は当該第1の軸に直交して配置され、前記第3の軸は当該第2の軸に平行に配置され、
前記第1の軸周りの回転がピッチを提供し、前記第2及び第3の軸周りの回転がヨーを提供する、ロボット装置。
【請求項2】
前記ロボット装置の前記第1及び第2の自由度は、ケーブル付き差動装置を介して連携される、請求項1に記載のロボット装置。
【請求項3】
前記ケーブル付き差動装置は、入力軸と出力軸とを備え、
前記第3のセグメントは、前記ケーブル付き差動装置に結合され、
前記第3のセグメントは、軸に沿って延在し、
前記ケーブル付き差動装置の前記入力軸と前記出力軸の両方は、前記第3のセグメントの前記軸に対して垂直である、請求項2に記載のロボット装置。
【請求項4】
記ロボット装置の前記ベースは、グランド系を備え、
前記ロボット装置は、各自由度で運動系を備え、
前記モータは、前記グランド系を超えた運動系上に配置される請求項1に記載のロボット装置。
【請求項5】
前記ロボット装置は、使用中にユーザの正中矢状面に対して平行な平面に関して対称となるように構成されている、請求項1に記載のロボット装置。
【請求項6】
前記第3及び第4のセグメントは、下向きに重ねられる、請求項1に記載のロボット装置。
【請求項7】
前記第3及び第4のセグメントは、上向きに重ねられる、請求項1に記載のロボット装置。
【請求項8】
前記ロボット装置の前記エンドポイントは、異なる機能性を提供する別のエンドポイントによって置き換え可能である、請求項1に記載のロボット装置。
【請求項9】
3つの前記自由度は、ピッチ・ヨー・ヨー構成に配置され、
前記ロボット装置の前記第1及び第2のセグメントは、ケーブル付き差動装置を介して連携され、
前記第4のセグメントのアクチュエータは、前記第1の軸に沿って配置され、
前記ロボット装置の前記第4のセグメントは、右手使用と左手使用の間の切り替えを容易にするように構成されている、請求項1に記載のロボット装置。
【請求項10】
前記第2のセグメントは、前記第1のセグメントに対して垂直に配置されている、請求項1に記載のロボット装置。
【請求項11】
ユーザの身体が胴体と2つの付属肢とを備え、
ユーザの身体の第1の付属肢と関連して動作を行うための第1のロボット装置と、
ユーザの身体の第2の付属肢と関連して動作を行うための第2のロボット装置と、
を備える、ロボットシステムであって、
ユーザの前記第1の付属肢が、第1のエンドポイントと、第1の付属肢セグメントと、当該第1のエンドポイントを当該第1の付属肢セグメントに可動的に接続する第1関節と、当該第1の付属肢セグメントをユーザの胴体に可動的に接続する第2関節と、を有し、
ユーザの前記第2の付属肢が、第2のエンドポイントと、第2の付属肢セグメントと、当該第2のエンドポイントを当該第2の付属肢セグメントに可動的に接続する第3関節と、当該第2の付属肢セグメントをユーザの胴体に可動的に接続する第4関節と、を有し、
前記第1及び第2のロボット装置の各々が、少なくとも一つのモータを備え、且つ、固定された構成を有し、ユーザの胴体の背後及び脇に配置されるように構成されたベースと、第1の軸周りに回転するように当該ベースに可動的に取り付けられ、それにより第1の自由度を提供する第1のセグメントと、第2の軸周りに回転するように当該第1のセグメントに可動的に取り付けられ、それにより第2の自由度を提供する第2のセグメントと、当該第2のセグメントに取り付けられた第3のセグメントと、第3の軸周りに回転するように当該第3のセグメントに可動的に取り付けられ、それにより第3の自由度を提供し、且つ、エンドポイントを有する第4のセグメントと、を備える、ロボットシステムにおいて、
前記第1のロボット装置の前記第4のセグメントの前記エンドポイントは、ユーザの前記第1の付属肢の前記第1のエンドポイントに取り付けるように構成され、当該第1のロボット装置の当該第4のセグメントは、ユーザの前記第1の付属肢セグメントへの取り付けから解放されるように構成され、
前記第2のロボット装置の前記第4のセグメントの前記エンドポイントは、ユーザの前記第2の付属肢の前記第2のエンドポイントに取り付けるように構成され、当該第2のロボット装置の当該第4のセグメントは、ユーザの前記第2の付属肢セグメントへの取り付けから解放されるように構成され、
前記第1のロボット装置及び前記第2のロボット装置は対になっており、当該第1のロボット装置及び第2のロボット装置は互いに連動して動作し、
前記第1のロボット装置の前記第1の軸及び前記第2のロボット装置の前記第1の軸は、実質的に水平に配置され、
前記第1のロボット装置の前記第2の軸及び前記第2のロボット装置の前記第2の軸は、それぞれ、当該第1のロボット装置の前記第1の軸及び当該第2のロボット装置の前記第1の軸に対して直交して配置され、
前記第1のロボット装置の前記第3の軸及び前記第2のロボット装置の前記第3の軸は、それぞれ、当該第1のロボット装置の前記第2の軸及び当該第2のロボット装置の前記第2の軸に対して平行に配置され、
前記第1の軸周りの回転がピッチを提供し、前記第2及び第3の軸周りの回転がヨーを提供する、ロボットシステム。
【請求項12】
胴体と体肢とを有し、体肢が関節によって接続された複数のセグメントを備える、ユーザと関連して動作を行うためのロボット装置であって、
少なくとも一つのモータを備えるベースと、
前記ベースに接続された第1の端部と、エンドポイントで終端する第2の端部とを備え、当該ベースがユーザの胴体の背後及び脇に配置されるように構成され、当該エンドポイントがユーザの体肢のセグメントに取り付けられるように構成される、ロボットアームと、
を備える、ロボット装置において、
前記ロボットアームは、動力付きの関節によって接続された複数のセグメントを備え、
前記ロボットアームの前記エンドポイントがユーザの体肢のセグメントに取り付けられるとき、前記動力付きの関節は、ユーザの体肢の動作中に動作し、
前記ロボットアームは、3個を超えない数の動力付きの関節を備え、
前記ロボットアームの前記複数のセグメントは、各々、前記第1の端部から前記第2の端部へと第1の軸、第2の軸、第3の軸周りに回転し、前記第1の軸周りの回転がピッチを提供し、前記第2及び第3の軸周りの回転がヨーを提供する、ロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、DARPAにより与えられた第HR0011-12-9-0012号の契約に基づく政府支援で行われたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
係属中の先行特許出願に対する参照
本特許出願は、THREE-ACTIVE-AXIS REHABILITATION DEVICEに関する、Barrett Technology,Inc.およびWilliam T.Townsend他による2013年9月27日に出願された先行する係属中の米国特許仮出願第61/883,367号(整理番号BARRETT-5PROV)の利益を主張するものであり、この特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、障害を有する、またはその他の形で機能が損なわれた解剖学的四肢のリハビリテーションのための装置に関する。
【背景技術】
【0004】
理学療法および作業療法の新しく、興味深い一部門は、コンピュータで指示されるロボットアームまたは装置(いくつかの実施形態では、それに関与することのできる人間の腕とは区別するために「マニピュレータ」とも呼ばれる)により支援された療法である。一連の反復運動を介して患者の体肢を動かすことを典型的には含む、脳卒中後のリハビリ療法などの作業に対してマニピュレータシステムを使用することの潜在的な利益は非常に大きい。簡単には人間の療法士により有効に実施できないエラー増強(error-augmentation)療法など、いくつかのタイプの療法が存在する。さらには、コンピュータで指示される療法は、患者をゲームに参加させることができ、それにより、その体験をより楽しくし、かつより長く、より熱心な療法セッションを促進することができ、それは患者に利益のあることが知られている。最後に、セッションが、療法士の肉体的な持久力によりもはや制約されないので、療法士は、より多くの患者と作業することができ、また患者に、より多くの療法持続期間を提供することができる。
【0005】
ロボット・リハビリテーション・システムを分類するための有用な方法は、それらが有する自由度、すなわちDOFの数によるものである。市販されているロボット・リハビリテーション・システムの大部分は、2つの広いカテゴリー、すなわち、患者の前面に位置する低DOF(典型的には1つから3つのDOF)システム、および典型的には、腕または脚である患者の体肢の周りに巻かれる高DOF(典型的には6つ以上のDOF)外骨格システムのうちの一方に含まれる。両方のカテゴリーに対する現在の手法は、大きな欠点を示しており、それはロボットリハビリ療法の可能性の実現を限定する一因となっている。
【0006】
低DOFシステムは、通常、高DOFシステムよりも安価であるが、それらはまた、典型的には、より小さい運動範囲を有する。Watertown、Massachusetts、USAのInteractive Motion TechnologiesのInMotion ARM(商標)Therapy System、またはKingston、Ontario、CanadaのBKIN TechnologiesのKINARM End-Point Robot(商標)systemなど、いくつかのものは、平面運動だけに限定されており、それらが使用され得るリハビリテーション作業の数を大幅に低減する。典型的には、平面運動に限定されない低DOFシステムは、Rehovot IsraelのBioXtremeのDeXtreme(商標)systemのように、患者の視線を妨げること、Mount Laurel、New Jersey、USAのMotorika Medical LtdのReoGO(登録商標)systemなどを用いて極めて限定された運動範囲を提供すること、および患者の体肢を不十分に支持することを回避するなどの問題に取り組む必要がある。これらのシステムの大部分は、患者の前面の空間を占め、患者の作業空間に影響を与え、単一のリハビリテーション「ステーション」に必要な全体の設置面積を増加させ、かつリハビリテーション診療所内の貴重なスペースを消費する。
【0007】
一方、Volketswil、SwitzerlandのHocoma AGのArmeo(登録商標)Power system、Volketswil、SwitzerlandのHocoma AGのArmeo(登録商標)Spring system、および米国特許第8,317,730号で開示された8+2DOF外骨格リハビリテーションシステムなど、高DOF外骨格システムは、比較可能な低DOFシステムよりもはるかに複雑であり、したがって、一般に、より高価である。このような高DOF外骨格システムは、通常、低DOFシステムよりも大きな運動範囲を提供するが、それらの機械的な複雑さはまた、それらをかさ張るものにし、典型的には、患者の体肢に巻き付いて、患者にとってシステムを恐ろしく、不快に感じさせる。さらには、ヒトの関節は、ロボットがそうであるように、リンクにより分離された軸に一致しておらず、あらゆるヒトの解剖学的構造は異なっており、様々な骨の長さ、および様々な関節の幾何形状を有する。高DOFシステムに存在する多数の軸を用いる場合であっても、患者のものに一致する外骨格システムの関節位置およびリンク長さを微調整することはかなりの時間を必要とし、またはその場合であっても、システムは、高い頻度でヒトの体肢を過度に拘束し、利益よりも有害になるおそれがある。
【0008】
最後に、上で列挙した2つのカテゴリー、例えば、高DOF非外骨格装置、または低DOF外骨格装置のいずれにも適合しない少数の現在利用可能な装置がある。これまでに、これらの装置は、いずれかの強みを利用することなく、一般に、両方のカテゴリーの弱点に苦しんできた。特に注目すべき例は、Kingston、Ontario、 CanadaのBKIN TechnologiesのKINARM Exoskeleton Robot(商標)であり、それは、ヒトおよび非ヒト霊長類における両手および片手の上肢リハビリテーションおよび実験のために設計された外骨格リハビリテーション装置である。Kingston、Ontario、CanadaのBKIN TechnologiesのKINARM End-Point Robot(商標)のように、KINARM Exoskeletal Robot(商標)systemは、各体肢に対して2つの自由度だけを提供し、それが実行できるリハビリ運動の範囲を制限する。一方、外骨格設計を実施することにより、KINARM Exoskeletal Robot(商標)deviceは、いくつかのさらなるサポートを患者の体肢に提供することができるが、装置のサイズ、コスト、複雑さ、およびセットアップ時間が大幅に増加するという代償と引き替えになる。
【0009】
ロボット支援の理学療法および作業療法は、多くのグループの患者にすばらしい見込みを提供するが、従来技術はまだその見込みに適合していない。前の例が示しているように、現在の療法装置は、簡単でかつ限定され過ぎており、最も基本的な運動だけが可能であって、その過程において患者を妨げる頻度が高いか、あるいは複雑かつ扱いが面倒過ぎて、装置を高価にし、患者を威嚇し、療法士が使用するのを困難にするかのいずれかである。したがって、比較的低価格で、簡単で妨害的ではなく、快適な形状因子の、洗練された2Dおよび3Dリハビリ運動を実施する能力を患者および療法士に提供できる新規の装置ならびに方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第8,317,730号公報
【文献】米国特許第4,903,536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、低DOFと高DOFリハビリテーション装置のカテゴリーにまたがるものであり、低DOFシステムの有用性、機械的な簡単さ、および対応する値ごろ感、ならびに高DOFシステムの低減された設置面積、運動範囲、および改良されたサポート能力を提供する。本発明は、比較的少ない数のアクティブな(動力を備えた)DOFを備えており(好ましい実施形態では、3つのアクティブなDOFであるが、本発明の新規な特徴は、他の数のDOFを有するシステムで実施され得る)、それは、装置のコストおよび複雑さを高DOFの外骨格システムのものよりも十分低く抑える。しかしながら、以下でさらに説明するように、これまでの非外骨格システム中でも独特な、患者に対するシステムの革新的な位置および方向的関係のために、本発明の装置は、より最適なトルク/位置関係、患者との良好な作業空間の重なり、およびより大きな運動範囲など、以前には、高DOF外骨格システムに限定されていた利点を受ける。加えて、ケーブル付き差動装置(装置の遠位のリンクに対して、差動装置の入力はピッチ軸として使用され、また差動装置の出力は、ヨー軸として使用される)の新規な実施形態は、駆動装置(例えば、モータ)の質量および大きさを患者の作業空間および視界から離れた、システムのベースに移動させることができることが見出された。これらの2つの主要な革新の組合せ、すなわち、患者に対する装置の方向および位置と、特別な運動学を備えるケーブル付き差動装置の実装との組合せ、ならびに他の革新により、本発明は、リハビリテーション市場における必要性を満たし、かつ様々なリハビリテーション作業を行うことのできる独特のリハビリテーション装置を提供する。重要なことは、本発明は、両手のリハビリテーションに対する新しい方法を可能にし、それは、通常は腕である複数の体肢に同時にリハビリが行われる新しいクラスのリハビリ療法であるが、ここで、リハビリ運動は、患者の2つの異なる体肢に対して、同時に、かつ協調させて、2つの同様な装置を使用することにより3次元で行われ得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の好ましい一形態では、わずか2つのアクティブな自由度を有する非外骨格リハビリテーション装置が提供され、装置は、その基準系が患者の基準系と概して同様に方向付けられるように、および患者のエンドポイントの運動が装置のエンドポイントの運動によって模倣されるように、方向付けられ位置決めされる。
【0013】
本発明の別の好ましい形態では、わずか2つのアクティブな自由度を有する非外骨格リハビリテーション装置が提供され、その2つの自由度は、ケーブル付き差動装置を介して連携される。
【0014】
本発明の別の好ましい形態では、3つ以上の自由度における運動を誘起することができ、右手使用と左手使用をともに可能にするように容易に再構成可能であり、かつ2つの装置が、互いに干渉することなく同時に使用され得るように患者に対して配置されるように設計されたリハビリテーション装置が、第2の同様の装置と双方向に対になり、両手リハビリテーションに使用される、方法が提供される。
【0015】
本発明の別の好ましい形態では、エンドポイントを有するユーザの付属肢と関連して動作を行うためのロボット装置が提供され、ロボット装置は、
ベースと、
ベースに取り付けられ、エンドポイントを有するロボットアームとを備え、ロボットアームは、ベースに対して少なくとも2つのアクティブな自由度を有し、かつロボットアームは、ベースがユーザに対して適切に位置決めされたとき、ロボット装置の基準系がユーザの基準系と概して同様に方向付けられるように、およびユーザの付属肢のエンドポイントの運動がロボットアームのエンドポイントの運動によって模倣されるように構成されている。
【0016】
本発明の別の好ましい形態では、エンドポイントを有するユーザの付属肢と関連してロボット装置を動作させる方法が提供され、方法は、
ベース、および
ベースに取り付けられ、エンドポイントを有するロボットアームであって、ロボットアームは、ベースに対して少なくとも2つのアクティブな自由度を有し、かつロボットアームは、ベースがユーザに対して適切に位置決めされたとき、ロボット装置の基準系がユーザの基準系と概して同様に方向付けられるように、およびユーザの付属肢のエンドポイントの運動がロボットアームのエンドポイントの運動によって模倣されるように構成されている、ロボットアーム
を備えるロボット装置を提供するステップと、
ロボット装置の基準系がユーザの基準系と概して同様に方向付けられるようにベースをユーザに対して位置決めし、ユーザの付属肢をロボットアームに取り付けるステップと、
ユーザの付属肢のエンドポイントおよびロボットアームのエンドポイントのうちの少なくとも一方を動かすステップと
を含む。
【0017】
本発明のこれらのおよび他の目的ならびに特徴は、添付図面と共に検討される本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明により十分に開示され、すなわち明白に示される。図中、同様の番号は同様の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に従って形成されたロボット装置の1つの好ましい形態を示す概略的な正面斜視図である。
図2】本発明に従って形成されたロボット装置の1つの好ましい形態を示す概略的な正面斜視図である。
図3図1および図2のロボット装置を示す概略的な上面図である。
図4図1および図2のロボット装置を示す概略的な上面図である。
図5A図1および図2のロボット装置が、どのようにして「下向きに重ねる」構成を使用できるかを示す概略的な正面斜視図である。
図5B図1および図2のロボット装置が、どのようにして「平坦に重ねる」構成を使用できるかを示す概略的な正面斜視図である。
図5C図1および図2のロボット装置が、どのようにして「上向きに重ねる」構成を使用できるかを示す概略的な正面斜視図である。
図6図1および図2のロボット装置の選択された部分の細部を示す概略図である。
図7図1および図2のロボット装置の選択された部分の細部を示す概略図である。
図8A】従来技術の装置のロール・ピッチおよびピッチ・ロール構成と比較した、図1および図2のロボット装置のピッチ・ヨー構成を示す概略図である。
図8B】従来技術の装置のロール・ピッチ構成を示す概略図である。
図8C】従来技術の装置のピッチ・ロール構成を示す概略図である。
図9】本発明のロボット装置が、どのようにして右手使用から左手使用に切替え可能かを示す概略的な上面図である。
図10】両手のリハビリテーションに使用される2つのロボット装置を示す概略図である。
図11】ロボット装置が、どのようにして外部コントローラと通信できるかを示す概略図である。
図12】1対のロボット装置が、装置間の通信を容易に行う外部コントローラとどのようにして通信できるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず図1を参照すると、様々なロボット支援療法および他の用途に適した新規なマルチアクティブ軸の非外骨格ロボット装置5が示されている。ロボット装置5は、概して、ベース100と、内側リンク105と、外側リンク110と、外側リンク110を患者に、一般には患者の体肢(例えば、図1で示すように患者の腕120)に結合するための結合要素115とを備える。
【0020】
図1で示された好ましい実施形態は、3つの自由度を有しているが、当業者であれば、本発明は、より少ない、またはより多くの数の自由度を含み得ることが理解されよう。3つの自由度は、理論的には、関節制限、リンク長さ、および伝達範囲など、装置の運動学的制限を受ける直交座標空間のすべての位置にアクセスする能力を提供する。これらの3つの自由度を生成するために、ロボット装置5は、図1で示すように3つの回転関節を備え、関節J1は、軸125周りのピッチを提供し、関節J2は、軸130周りのヨーを提供し、関節J3は、軸135周りのヨーを提供する。好ましい実施形態では、これらの関節は、以下のように実施される。関節J1は、ピッチ関節であり、概してU字形のフレーム140の内側で回転するセグメント138からなる。関節J2は、ヨー関節であり、セグメント138に直角に取り付けられた第2のセグメント145からなる。このセグメント145は、セグメント145の内側で回転する第3のセグメント150を含む。好ましい実施形態では、これらの2つの関節(すなわち、関節J1および関節J2)は、以下で論ずるように、ケーブル付き差動装置を介して連携される。関節J3はまた、ヨー関節であり、内側リンク105により関節J2とは分離される。以下で論ずるように、ケーブル伝達装置は、関節J3を作動させる(かつ以下で論ずるように、関節J2の軸130に対して同軸に位置する)モータを、関節J3の出力に接続するが、このケーブル伝達装置は、内側リンク105の中を通る。この特定の実施形態が、好ましいものであることは分かっており、本発明がまた、これだけに限らないが、 - 例えば、ヨー・ピッチ・ヨー構成の3つの関節など、代替の運動学を備える装置、
- 直動関節など、他のタイプの関節を用いる装置、および
- 歯車動力伝達装置、ベルト、液体駆動装置など、他の駆動技術を実施する装置
を含む代替の実施形態で実施できることに留意されたい。
【0021】
さらなる自由度を提供するために、結合要素115の位置に様々なエンドポイント取付け具を設けて、患者の体肢の方向付けに対して様々な程度の制御を可能にする、またはさらなる治療モダリティを提供できるようにする。これだけに限らないが、例として、様々なエンドポイント取付け具は、直線的なリハビリ運動を実施するための単一のDOFエンドポイント取付け具、または患者の体肢の方向付けに対する制御を可能にすることにより、より複雑な運動を可能にする3DOFのエンドポイント取付け具、またはアクティブに制御されるマルチDOFのエンドポイント取付け具を含むことができる。好ましい実施形態(すなわち、図1で示すロボット装置5)において、ロボット装置のコアの自由度の数を3に低減することにより、3次元のリハビリ療法を含む広範囲のリハビリサービスを提供する装置の能力を維持しながら、ロボット装置の設計が非常に簡単化され、コストが低減される。
【0022】
次に図1および図6を参照すると、本発明の好ましい実施形態の構成のさらなる細部が示されている。ロボット装置の好ましい実施形態は、以下の4つの運動系からなる:
1)装置が使用されているとき、概して静的であるすべての構成要素からなるグランド運動系、
2)関節J1の軸125周りだけで回転するすべての非伝達構成要素からなる関節J1運動系、
3)関節J1の軸125、および関節J2の軸130周りだけで回転できるすべての非伝達構成要素からなる関節J2運動系、
4)関節J1の軸125、関節J2の軸130、および関節J3の軸135周りで回転できるすべての非伝達構成要素からなる関節J3運動系。
運動系のこの定義では、伝達構成要素は、定義を簡単化するために除外される。伝達装置内のプーリは、所与の関節から離れて位置するが、その関節と共に回転することができる。同様に、システム内のいくつかのプーリは、例えば、それらが、本発明の好ましい形態で使用されるなど、ケーブル付き差動装置の一部であるとき、複数の軸の運動により回転させることができる。
【0023】
好ましい実施形態では、関節J1およびJ2は、米国特許第4,903,536号で開示されたものと同様に設計された、ケーブル付き差動伝達装置を使用することにより実施され、その特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
米国特許第4,903,536号で述べられるように、ケーブル付き差動装置は、差動伝達装置の新規な実施形態であり、回転の共通軸を備える2つの入力プーリ(例えば、図6で示されるロボット装置5のプーリ505)が、スパイダ(spider)またはキャリア(例えば、図1および図6で示されるロボット装置5のキャリア541など)に固定される第3の共通の出力プーリ(例えば、図1および図6で示されるロボット装置5のプーリ540など)に結合される。このキャリアは、これらのプーリとは独立に、2つの入力プーリの回転の共通軸周りで回転することができる。一方で、出力プーリは、回転の共通軸に対して直角をなし、それに一致する軸周りで回転することができる。2つの入力プーリは、出力プーリに結合されて、差動関係が3つの間で確立され、出力プーリ(例えば、ロボット装置5のプーリ540)の回転は、2つの入力プーリ(例えば、ロボット装置5のプーリ505)回転の合計に比例し、またキャリア(例えば、ロボット装置5のキャリア541)の回転は、2つの入力プーリの回転の差に比例する。ロボットシステムでは、差動装置のキャリアの回転は、回転の1つの軸周りで(好ましい実施形態では、関節J1の軸125周りで)システムの運動を生成するために使用され、差動伝達装置の出力の回転(すなわち、出力プーリ540の回転)は、回転の第2の軸周り(好ましい実施形態では、関節J2の軸130周り)でシステムの運動を生成するために使用される。ケーブル付き差動装置を使用することは、これらの2つの運動を、下側の運動系に(好ましい実施形態の場合、グランド運動系に)に固定されたモータにより生成できるようにする。こうすることは、装置の移動質量を劇的に減少させ、それにより装置の動的性能および感触が改善される。好ましい実施形態では、この伝達装置は、以下で論ずるように2つのモータ500、入力プーリ505、出力プーリ540などから構成される。
【0025】
言い方を変えると、米国特許第4,903,536号で述べるように、ケーブル付き差動装置は、差動伝達装置の新規な実施形態であり、ここでは、共通の回転軸を備える2つの入力プーリ(例えば、ロボット装置5のプーリ505)が、第3の共通出力プーリ(例えば、ロボット装置5のプーリ540)に結合され、共通出力プーリは、入力プーリ軸に直角な軸周りで回転し、かつ入力プーリ軸周りで回転するキャリア(例えば、ロボット装置5のキャリア541)に固定される。2つの入力プーリは、出力プーリに結合されて、差動関係が、3つの間で確立され、その場合、出力プーリの回転は、2つの入力プーリの回転の合計に比例し、かつキャリアの回転は、2つの入力プーリの回転の差に比例する。この機構は、2つの軸(例えば、関節J1の軸125および関節J2の軸130)周りの回転を生成するが、これらの運動を生成するモータを下側の運動系に固定できるようにし、それにより、装置の運動質量が減少し、かつ動的性能および感触が改善される。好ましい実施形態では、この伝達装置は、以下で論ずるように2つのモータ500、入力プーリ505、出力プーリ540などから構成される。
【0026】
言い換えると、米国特許第4,903,536号で述べるように、ケーブル付き伝達装置は、差動伝達装置の新規な実施形態であり、この場合、2つの入力プーリ(例えば、プーリ505)が第3の共通出力プーリ(例えば、プーリ540)に接続されて、出力プーリの回転は、2つの入力プーリの回転の合計に比例し、かつ差動キャリア(例えば、キャリア541)の回転は、2つの入力プーリの回転の差に比例する。好ましい実施形態では、この伝達装置は、以下で論ずるように2つのモータ500、入力プーリ505、出力プーリ540などから構成される。
【0027】
図6で分かるように、ケーブル付き伝達装置は、好ましくは、一般にワイヤロープであるが代替的に、自然の繊維、合成繊維、またはケーブルの形態として一般に認識される何らかの他の構成である、ケーブル571および572の長さにより、グランド運動系(例えば、ベース502)に固定され、入力プーリ505に結合された2つのモータ500を備えており、ケーブル571および572は、モータ500のピニオン510に取り付けられ、反対方向ではあるが、ピニオン510に関して同じキラリティ(chirality)を有して巻き付けられ、かつ入力プーリ505の外径515上で終了する、これらの入力プーリ505は、関節J1の軸125の周りで回転するが、それらの回転は、ケーブルの差動装置の特性により、関節J1の軸125周りで、関節J2の軸130周りで、または両方の軸周りで同時に装置の回転を生成することができる。さらにこれらの入力プーリ505は、前述の関節J1運動系、または前述の関節J2運動系のいずれにも固定されない。米国特許第4,903,536号のように、これらの入力プーリ505は、ともに大きな外形515、ならびに一連の実質的により小さい段付きの外形520、525、530、および535を含む。これらの小さい段付きの外形520、525、530、および535は、ケーブルのさらなる長さにより出力プーリ540に結合され、それは、一連の段付き外形545、550、555、および560を備え、それらは、出力プーリ505上に結合された段520、525、530、および535よりも実質的に大きい。この出力プーリ540は、関節J2の軸130周りで回転し、関節J2運動系に固定される。関節J2の運動範囲を、関節J2と一致する、関節J1に直角な平面に関して対称にすることは有用であることが分かってきているが、それは、以下で述べるように装置のキラリティの切替えを容易にするからである。
【0028】
一連のプーリ(すなわち、入力プーリ505および出力プーリ540)におけるこの1組の直径関係を実施することにより、ケーブル付き伝達装置を介して段階的に、高い伝達比が達成される。好ましい実施形態では、8.51の伝達比が、モータピニオン510と入力プーリ505との間で実施され、また1.79の伝達比が入力プーリ505と出力プーリ540との間で実施され、モータピニオン510と出力プーリ540との間で15.26の最大伝達比を生成する。このケーブル付き伝達装置全体を通して、かつ本発明のすべてのケーブル付き伝達装置を通して、所与のケーブルの直径と、それが曲がる最小径との間の比は、確実に1:15もしくはそれ未満に保たれるように注意されたい。ケーブルがより小さな直径で曲げられたときに生ずるより大きな比は、ケーブルの疲れ寿命を大幅に低下させることが知られている。
【0029】
図6をさらに参照すると、出力プーリ540の遠位に、そのモータピニオン570からケーブル576、577を介して、中間プーリ575へと結合されたモータ565を備える他のケーブル伝達装置があり、中間プーリ575は、次いで、ケーブル578、579を介して出力プーリ580に結合される。これらの伝達ケーブルは、前述の間接J2の運動系に固定される内側リンク105の内部に含まれる。このさらなる伝達装置では、差動要素は実装されていない。米国特許第4,903,536号で教示されたケーブル伝達装置設計に準じて、モータピニオン570と中間プーリ575との間のケーブル伝達装置の第1段は、より大きな距離を移動する高速で、低張力の伝達段であるように設計されているが、中間プーリ575と出力プーリ580との間のケーブル伝達装置の第2段は、非常に短い距離を移動する低速で、高張力の伝達段であるように設計されている。この伝達装置では、中間プーリ575、出力プーリ580、および関節J3の関節軸135は、モータ565に対して実質的に遠位にあり、モータピニオン570と中間プーリ575との間を走る長いケーブルを実装することにより達成される設計である。
【0030】
米国特許第4,903,536号で述べるように、この設計は、モータ565の質量をロボット装置のベースの方向に移動させて、システムの慣性を低減する利益を有する。好ましい実施形態では、モータの質量は、関節J2の軸130と同軸に、かつ関節J1の軸125に可能な限り近く位置決めされ、それにより両方の軸周りの慣性を低減する。モータ565の質量は、関節J2の軸130と関節J1の軸125の両方の近くに移動され、それにより両軸周りの慣性が低減されるので、この設計は、示された好ましい実施形態において特に価値がある。1.89の伝達比が、モータピニオン570と中間プーリ575との間で実施されることが好ましく、また5.06の伝達比が、中間プーリ575と出力プーリ580との間で実施されることが好ましく、モータピニオン575と出力プーリ580との間で9.55の最大伝達比が得られる。
【0031】
ここで列挙したすべての伝達比は、
- 装置のリンク長さ、
- 軸周りの装置構成要素の慣性およびモーメント、
- 患者に対する装置の意図された位置、
- モータの瞬時ピークおよび持続トルク限界、
- モータコントローラの出力電流容量、およびモータの電流容量、
- 患者を圧倒する/患者により圧倒される装置の望ましい能力、ならびに
- 患者の予想されるピーク出力
を含む、ある範囲の因子に基づいて最適化されている。この最適化プロセスは、広範囲であり、少なくとも部分的に定性的なものである。プロセスおよびその結果の両方は、上記の因子が変化すると大幅に変化するので、ここで再現しないものとする。いくつかのソースおよび内部的な実験から収集されたデータに基づいて、これらの力は、次のように推定される:
- 患者の体から離れるように/患者の体に向けて押す/引っ張る:45N
- 患者の前で上下させる:15N
- 患者の前で横方向へと左右に動かす:17N
これらの推定には、十分な安全率が適用されていることに留意されたい。
【0032】
関節J3の出力プーリ580を越えて、外側リンク110の位置を関節J3の出力プーリ580に対して調整できるようにする機構590により、関節J3の出力プーリ580(図6および図7)に接続された、概して外側リンク110(図1図6、および図7)がある。好ましい実施形態では、関節J3の出力プーリ580に対して関節J3の軸135周りで数度(より好ましい実施形態では、172.5度)、外側リンク110の位置を移動させることができるこの機構590を実施することは(図7で示されているが、図6では十分に示されていない)、ロボット装置のキラリティを逆にすることを容易にするが、その重要性および方法が本明細書で述べられる。好ましい実施形態では、この機構590は、トグルロック593(例えば、一般に自転車のフォークで見出されるものなど)により、中心ハブ592(破断図で図7に示される)に対して2つのタブ591をクランプすることにより実行される。タブ591と中心ハブ592の接触面は、図7で示すようにテーパが付けられており、ともに部材を、力が加えられる方向を横断する方向に配置させ、かつクランプされた部材が抗することのできるトルク量を増加させる。システムが動かなくならないように、テーパ(タブ591と中心ハブ592の接触面で)は、確実に非ロックタイプであることが重要であることが分かってきた。この機構590は、外側リンク110を、関節J3の軸135の周りを回転するのではなく、関節J3の軸135に一致する平面を横断して反転させることができる。このことは、最初は小さな差異のように見えるが、いくつかのタイプのエンドポイント取付け具を用いて実施したとき、回転するのではなく、反転する機構を用いることは、ロボット装置のキラリティを逆にするのに必要な時間を大幅に低減することができる。機構590がその望ましい位置に達し、機構の位置が動作中に移動しないことを保証するために使用される、ここで示されていないロボットアームの技術分野で知られている種類の他の構成要素がさらにある。限定するものではないが、例として、これらの構成要素は、ロボットアームの当業者にはよく知られた種類のリミットスイッチ、磁石、ラッチなどを含むことができる。様々なタイプのエンドポイント取付け具間での切替えを容易にする、機構590から外側リンク110を取り外すことが可能な別個の機構がさらにある。図7で示された好ましい構成では、これは、ラッチ594により実施されており、それは、タブ591にしっかりと取り付けられた管状部材595の内側に、外側リンク110をしっかりとクランプする。このラッチ594は、ロボット装置の使用時に係合されるが、外側リンク110を取外しできるように解放され得る。
【0033】
ロボット装置5はまた、ロボット装置5の動作を制御するために、オンボード・コントローラおよび/または外部コントローラ(本開示に関して当業者には明らかな種類のもの)を備える。これだけに限らないが、例として、図11は、外部コントローラ578が、どのようにして、ロボット装置5の動作を制御するために、かつ/またはロボット装置5からのフィードバックを受け取るために使用され得るかを示す(ロボット装置5は、オンボード・コントローラを有することも、有しないこともあり得る)。
【0034】
ロボット装置の技術分野でよく知られているが、本発明の主題の明確さを保持するために本明細書で示されていない、または正確に描写されていないロボット装置に含まれる他の構成要素がさらに存在する可能性があり、それは、これだけに限らないが、ロボット装置のモータ(例えば、モータ500および565)を作動させるための電気システム、ロボット装置の動作を制御するための他のコンピュータまたは他の制御ハードウェア、ロボット装置のためのさらなる支持構造(例えば、取付けプラットフォーム)、ロボット装置のカバーおよび他の安全もしくは美的構成要素、ならびに患者に対する構造、インターフェース、および/または他の装置(例えば、ロボット装置に対して患者を位置決めするための装置、ロボット装置と対話しながら患者が見るためのビデオ画面、これだけに限らないが、ロボット装置を使用する間に患者が座るための車いすなどの患者サポート)を含む。
【0035】
本発明のいくつかの特有の革新的な態様が、以下でさらに詳細に論じられる。
【0036】
非外骨格装置
上記で論じたように、ロボット装置5は、非外骨格リハビリテーション装置である。外骨格リハビリテーション装置は、以下の特性のいくつか、またはすべてを有するものとして概括的に理解される:
・患者の体肢の関節軸を貫通する/関節軸と同軸である関節軸、典型的には、各患者関節は、少なくとも1つの装置関節に一致する、および
・リハビリが施されている患者の体肢のそれぞれを捕捉する装置の構成要素、典型的には、各体肢セグメントを装置の部材にしっかりと拘束する。
【0037】
図1では、患者の肩の関節軸の簡単化した表現が示されている、すなわち、外転および内転軸600、屈曲および伸展軸605、ならびに内側および外側回転軸610である。図1にはさらに、患者の肘関節の軸615が示されている。図1が示すように、ロボット装置5の関節軸J1、J2、およびJ3は、意図的に、患者の関節軸600、605、610、および615と非同軸である。さらに好ましい実施形態では、患者の体肢120は、結合要素115でロボット装置5に接続される、または捕捉されるだけである。本発明の他の実施形態では、患者の体肢を部分的に、または完全に囲むことのできる、患者とロボット装置との間に複数の結合点があり得るが、本発明のロボット装置の構造の大部分は、患者の体肢を捕捉していない。
【0038】
これらの2つの条件が満たされるため(すなわち、ロボット装置の関節軸J1、J2、およびJ3が、患者の関節軸600、605、610、および615と同軸であるように意図されていないこと、および患者の体肢は、ロボット装置5の主要な構成要素により囲まれていないため)、本発明のロボット装置は、外骨格リハビリテーション装置ではない。現在、多くの非外骨格リハビリテーション装置が存在するが、本装置の非外骨格設計は、従来技術とは区別する重要な特性があり、それは、装置が外骨格設計に固有のコストおよび複雑さを回避しながら、外骨格装置の有益な特性の多くを組み込んでいるからである。
【0039】
ロボット装置と患者の運動学的関係
さらに図2および図3は、患者に対する座標基準系160(上向き軸161、前向き軸162、および右向き軸163から構成される)、ならびにロボット装置5に対する座標基準系170(上向き軸171、前向き軸172、および右向き軸173から構成される)を示す。これらの基準系160、170の位置および方向は、(i)ロボット装置5とそのリンク105、110との間、(ii)患者とその体肢との間の運動学的関係を定義する。ロボット装置5は、その運動が患者の運動を模倣するように設計され、患者の基準系160における患者のエンドポイントの所与の運動が、ロボット装置5の基準系170における装置のエンドポイントの概して同様の運動により対応される。この関係は、以下で示すように、装置の革新的諸態様の多くを定義するために重要である。
【0040】
この概念をさらに説明する前に、いくつかの専門用語を提供することは役に立つ。「患者の基準系」(またはPRF)160、および「装置の基準系」(またはDRF)170は、本明細書で使用される場合、患者および装置の一定の物理的特性により配置され、方向付けられる。図2および図3で示されるように、PRF160の原点は、ロボット装置に結合される患者の体肢の基部で定義され、かつ空間で固定されていると見なされる。右手座標系で「Z」ベクトルとして扱われる「上向き」ベクトル161は、一般に認められている(重力方向に対して)「上向き」方向を、この原点から指すように定義される。「前向き」ベクトル162は同様に、患者の前である、一般に認められている「前向き」方向で定義される。より正確には、それは、右手座標系で「Y」ベクトルとして扱われており、原点から、「上向き」ベクトルに対して直角な体肢の作業空間の中心を指すベクトルの成分として定義される。最後に、「右向き」ベクトル163は、患者の右を指す。厳密に定義すると、それは、右手座標系における「X」ベクトルとして扱われ、したがって、他の2つのベクトルにより定義される。したがって、完全に一定の物理的特性および機能によって配置され、方向付けられる基準系160が患者に対して定義される。この座標系の定義は、患者の腕に対して図2および図3で行われているが、この定義方法は、脚など、他の体肢に対しても容易に拡張され得る。
【0041】
同様の基準系が、ロボット装置に対して定義される。原点は、ロボット装置5のベースの図心(centroid)に配置され、それはまた空間中で固定される必要がある。「前向き」ベクトル172は、原点から装置の作業空間の幾何学的な図心を指すベクトルの成分として定義される。「上向き」ベクトル171、および「右向き」ベクトル173は、それらが次の条件を満たす限り、任意の方向で定義され得る:
1)それらは相互に直角であること、
2)それらはともに「前向き」ベクトル172に対して直角であること、
3)それらは右手座標系の定義を満たしていること、ここで、「上向き」ベクトル171はZベクトルとして扱われ、「右向き」ベクトル173はXベクトルとして扱われ、「前向き」ベクトル172はYベクトルとして扱われる、かつ
4)必ずしも必要ではないが、「上向き」ベクトル171は、一般に認められている(重力方向とは反対の)「上向き」方向へと可能な限り近く方向付けられることが好ましい。
【0042】
Mount Laurel、New Jersey、USAのMotorika Medical Ltd.のReoGO(登録商標)arm rehabilitation systemを用いるなど、いくつかの事例では、前述の条件「4)」を満たすことができないが、それは、装置の「前向き」ベクトルがすでに、一般に認められている「上向き」方向を指しているからである。したがって、「上向き」ベクトルは、3つの前の条件に従って任意に定義され得る。この事例は、以下でさらに詳細に説明する。
【0043】
既存のリハビリテーション装置が、上記の記述のように外骨格装置と非外骨格装置へと分けられる場合、これらの2つのグループ間のさらなる区別が、基準系のこの定義に基づいて明らかになる。外骨格装置では、ロボット装置および患者は、概して同様に方向付けられたその(上記で定義された)基準系を用いて動作する。「上向き」、「右向き」、および「前向き」は、患者とロボット装置でともに概して同方向に対応しており、PRFとDRFにおける方向の任意の対の間の位置合せ不良はそれぞれ、60度を超えない(すなわち、DRFにおける「前向き」方向は、PRFにおける「前向き」方向から60度を超えてずれることはない)ことが好ましく、45度を超えないことが好ましい。一方、ロボット装置および患者の基準系がこのように概して同様に方向付けられた非外骨格装置は、今までに作製されていない。今日利用可能な装置は、以下のものを含むいくつかの異なる方法で患者に対して方向付けられている、すなわち、
- DRFは、装置が患者の方向を「向く」ように、PRFに対して「上向き」軸の周りで180°回転され得る、または装置が患者に対して直角を「向く」ように、90°回転され得る、例えば、Watertown、 Massachusetts、USAのInteractive Motion TechnologiesのInMotion ARM(商標)system、East Aurora、New York、USAのMoog IncorporatedのHapticMaster haptic system、Rehovot、 IsraelのBioXtremeのDeXtreme(商標)arm、またはKingston、Ontario、CanadaのBKIN TechnologiesのKINARM End-Point Robot(商標)などである。例えば、DeXtreme(商標)armの場合、装置は、患者の前に位置しながら使用されるように設計されている。装置のベースから放射状に延びる、概して直円柱の鋭角なセグメント状の形をしているその作業空間は、同様に患者の方向を向いている。座標基準系が上記で概説したように装置の作業空間に対して生成されたとき、装置のベースの図心から装置の作業空間の図心を指す「前向き」方向は、患者方向を指すことが分かる。したがって、装置の基準系は、患者の基準系と同様に方向付けられていない。
【0044】
- 代替的に、DRFは、装置の「前向き」軸が患者の「上向き」軸と平行になるように、PRFに対して「右向き」軸周りで90°回転させることができる、または他の組合せも可能である。一例は、Mount Laurel、New Jersey、USAのMotorika Medical LtdのReoGO(登録商標)arm rehabilitation systemであり、装置のベースが、リハビリテーションを受ける患者の腕の下に存在し、その主リンクが、患者の腕まで上向きに延びる。その作業空間は、概して円錐形であり、円錐の先端は、装置のベースの図心に位置する。座標の基準系が、上記で概説したように装置に対して生成されたとき、装置の「前向き」ベクトルは、患者の基準系における「上向き」ベクトルと同じ方向を有することが見出されよう。したがって、装置の基準系は、患者の基準系と同様に方向付けられていない。
【0045】
- 最後に、Donostia-San Sebastian、SpainのTecnalia(登録商標)のArmAssist deviceなどの装置は、定義可能なDRFを有することができないはずである。ArmAssist deviceは、患者の前の卓上に載置されるように設計された小さな移動可能なプラットフォームである。患者の腕が装置に取り付けられ、装置は、次いで、卓上を移動してリハビリ療法を提供する。ArmAssist deviceは、完全に可動性であるため、上記で概説した方法のように固定された原点を装置用に定義することはできず、この論議には無関係である。
【0046】
本発明のロボット装置は、患者の基準系160と概して同様に方向付けられたその基準系170を用いて動作するように設計された最初の非外骨格装置である。この革新は、普通であれば外骨格装置に限定されていた、以下のものを含む利点をロボット装置が利用できるようにする、すなわち、
・ロボット装置は患者の前/患者の横に載置される必要がないので、患者の視線または体との干渉が低減されること。
【0047】
・装置および患者のエンドポイントとそれらの関節との間のモーメントアームが、他の装置のように、互いに反比例するのではなく、直接互いに比例するので、患者と装置との間でより最適な位置-トルク関係があること。例えば、装置のリンクが延ばされたとき、リハビリテーションを受けている患者の体肢も、概して同様に延ばされることになる。エンドポイントが装置の関節に近づいたとき、装置は、そのエンドポイントで、装置が可能な大きさの力を加えることができないが、患者の力の出力能力も同様に低減される。同様に、患者の体肢が収縮されて、力の出力が最大化されたとき、装置のエンドポイントは、その関節により近くなり、またそのエンドポイントの出力能力は最大化されることになる。
【0048】
・装置のリンクは、患者の体肢が体から延びるのと概略的に同じ方向にそのベースから延びるので、患者と装置との間で良好な作業空間の重複があること。
【0049】
外骨格装置と同様に、ロボット装置5は、概して、患者の体肢の動きを模倣しており、装置のエンドポイントが、患者の体肢を追跡し、かつ患者の基準系160における所与の運動は、装置の基準系において、概して同様の方向の運動を生成する。例えば、患者が、自分の体肢を患者の基準系160で右に動かした場合、装置のリンクは、図4で示すように、概して、装置の基準系170で右に動かすことになる。しかしながら、外骨格装置とは異なり、ロボット装置の個々のリンクおよび関節は、ロボット装置のエンドポイントが患者のエンドポイントを追跡しているにもかかわらず、必ずしも、患者の体肢の個々の部分または関節の運動を模倣する必要はない。図4で示すように、好ましい実施形態では、患者の前における運動は、患者の体肢と、ロボット装置5のリンク105、110をともに延長させるが、それとは対称的に、図4では、患者の右端への運動は、患者の体肢を真っ直ぐにさせるが、ロボット装置5のリンク105、110は曲がる。この制約なしに動作させること(すなわち、ロボット装置の個々のリンクおよび関節が患者の体肢の個々の部分または関節の運動を必ずしも模倣しないこと)により、ロボット装置5は、特に体肢の運動を直接再現することに関連する大きさ、複雑さ、コスト、およびセットアップ時間など、外骨格装置に固有の弱点の多くを回避する。
【0050】
本発明のロボット装置と外骨格装置との間のこの差異に対する必要性のため(すなわち、患者の体肢とロボット装置のリンクとの間の関係が容易に定義できないこと)、ロボット装置と患者との間の関係を、ロボット装置および患者の基部、エンドポイント、および方向の関数として定義することが必要である。このように装置と患者の基準系を定義することにより、「ロボット装置5は、その運動が患者の運動を模倣するように設計され、患者の基準系160における患者のエンドポイントの所与の運動は、ロボット装置5の基準系170における装置のエンドポイントの概して同様の運動により対応される」という前の記述は、ロボット装置5が患者に対して本明細書で述べるように方向付けられたときに限って満たされる。
【0051】
装置が、上記で概説した基準を満たすかどうかを判定するのを支援するために、一連の簡単な論理テストが開発されている。これらのテストのために、装置は、患者に対してその典型的な動作位置および構成にあるものと仮定し、PRFは、上記で述べたように、リハビリテーションを受けている患者の体肢に対して定義される。
【0052】
1)装置は、前に定義された外骨格リハビリテーション装置か。
a.はい:装置は基準を満たしていない、基準は非外骨格装置に対してのみ適用可能である。
b.いいえ:続ける。
【0053】
2)ワールド基準系に対して固定され、かつ装置のベースの図心に位置する原点を定義できるか。
a.はい:続ける。
b.いいえ:装置は基準を満たしていない、基準は移動装置に対して適用可能ではない。
【0054】
3)装置の作業空間を検討し、その作業空間の幾何学的図心を見出すこと。装置の作業空間の幾何学的図心と、装置の原点との間で、「前向き」ベクトルもしくはYベクトルを定義できるか。
a.はい:続ける。
b.いいえ:装置は基準を満たしていない。
【0055】
4)「上向き」/Zベクトルおよび「右向き」/Xベクトルを、上記で概説したように前向きベクトルに対して定義できるか。
a.はい:続ける。
b.いいえ:装置は基準を満たしていない、それは、本明細書で開示された装置とは大幅に異なるリハビリテーション例に対して設計された可能性が高い。
【0056】
5)装置および患者の作業空間は、概して同じように方向付けられているか、すなわち、両方の座標基準系の「右向き」/X、「前向き」/Y、および「上向き」/Zベクトルが、概して同方向であり、任意の対のベクトル間において、選択された数の度未満のずれであるか(好ましい実施形態では、これは60度未満であることが好ましく、より好ましくは45度未満である)。
a.はい:続ける。
b.いいえ:装置は、概説した基準を満たしていない、それは、本明細書で概説した装置とは異なるように患者に対して位置決めされている。
【0057】
6)患者のエンドポイントの運動が、装置のエンドポイントの同様な運動で模倣される、または追跡されているか。
a.はい:装置は、概説した基準を満たしている。
b.いいえ:装置は、概説した基準を満たしていない。
この一連のテストに成功裡に合格した、本明細書で述べたシステム以外の2を超える自由度を有する装置は、今まで見出されていない。
【0058】
言い換えると、患者と装置との間の概して同様の方向付けは、ユーザと装置の両方に対する「前向き」方向を識別することにより調べることができる。患者の場合、「前向き」方向は、装置の使用中に最も一般にアクセスされる位置にあるとき、リハビリテーションを受けている患者の腕の基部から、患者の体肢に沿って患者のエンドポイントに向けた概略的な方向として定義され得る。装置の場合、「前向き」方向は、装置の使用中に最も一般的にアクセスされる位置にあるとき、装置の基部から、装置のリンクに沿って装置のエンドポイントの方向への概略的な方向として定義され得る。装置の「前向き」方向、および患者の「前向き」方向が概して(例えば、好ましくは60度未満のずれで、より好ましくは45度未満のずれで)平行である場合、装置およびユーザは、概して同様に方向付けられていると言うことができる。
【0059】
システムの概括的な位置
本発明の好ましい一実施形態が図3および図4で示されており、ロボット装置5が、患者の横に、かつわずかに後方に位置決めされている(この場合、関節J1の軸125は、患者の前額面の後方に、またはそれに一致している)。この実施形態では、ロボット装置5の基準系170および患者の基準系160は、上記で述べられたように、概して同様に方向付けられている。ロボット装置5は、患者の作業空間および視線外に置かれ、装置が物理的にも視覚的にも邪魔にならないようにする。ロボット装置と患者の作業空間は、高い割合で重複する。この位置決めによって可能にされる運動範囲は、図4で示すようになお非常に大きく、かつ高DOFの外骨格システムにより可能なものに近づく、またはそれを超える。
【0060】
この構成(すなわち、ロボット装置5が患者の横に、かつわずかに後方に位置決めされた状態)は、いくつかのリハビリ療法に対して好ましいことが分かってきたが、ロボット装置5が、患者に対して異なって位置決めされる他の実施形態が存在し、それは、触覚入力/制御装置、または他のリハビリ活動としての使用など、他の用途によく適する可能性のあることに留意されたい。例えば、進行した段階の腕リハビリテーションの場合に、患者が装置に手を伸ばし、かつ手を離す状況では、ロボット装置を患者のわずかに前に置くことが最適であることを示す可能性がある。
【0061】
リンクの重なり順序
図5A図5B、および図5Cを次に参照すると、システムのいくつかの新規な実施形態が示されており、装置のリンク105、110が、様々な活動を容易にするために異なる方向に順序付けられている。これだけに限らないが、例として、図5Aは、「下向きに重ねる」構成と呼ばれる構成を示しており、その場合、ロボット装置5の外側リンク110が、ロボット装置5の内側リンク105の下側に取り付けられて、装置が、患者の上から下方向に患者の体肢(結合要素115により取り付けられる)へと達することができる。図5Cは、「上向きに重ねる」と呼ばれる構成を示しており、その場合、ロボット装置5の外側リンク110がロボット装置5の内側リンク105の上側に取り付けられて、装置が、患者の下から上向き向に患者の体肢(結合要素115により取り付けられる)へと達することができる。両方の実施形態は、様々な状況で最適であることを示す可能性がある。「下向きに重ねる」変形形態は、その位置が患者の作業空間の上であるため、リハビリテーション活動中に、患者の腕と干渉する可能性が低く、また拡大された作業空間を必要とする高機能リハビリテーション患者に対してより有益であることを示すことができる。それとは反対に、「上向きに重ねる」変形形態は、患者の腕をよく支持することができ、また患者の視覚的な作業空間を干渉する可能性が低く、低機能患者によく適している。図5Bは、「平坦に重ねる」構成と呼ばれる構成を示しており、その場合、ロボット装置5の外側リンク110が、ロボット装置5の内側リンク105の底側に取り付けられ、また結合要素115が外側リンク110の上側に取り付けられて、装置は、患者の前腕が内側リンク105とほぼ平坦になるように、患者に達することができる。
【0062】
代替構成を用いたケーブル付き差動装置
図6は、本発明の重要な態様を、すなわち、リハビリテーション装置におけるケーブル付き差動装置(例えば、米国特許第4,903,536号を参照のこと)の使用を示す。ロボット装置5の好ましい実施形態は、図6で示すように、最初の2つの関節(すなわち、J1およびJ2)がケーブル付き差動装置において連携されたピッチ・ヨー・ヨー構成で実施される(図1)3つの回転関節J1、J2、およびJ3を備える。図6で示すように、ケーブル付き差動装置を使用することは、普通であれば、高レベルの運動系に取り付けられるはずのモータを、低レベルの系へと移動させることができる。例えば、図6で示す好ましい実施形態では、関節J1および関節J2の周りで回転させるモータ500は、前述の関節J1運動系(関節J1の軸125周りで回転する)から、前述のグランド運動系(グランド系:図1のベース100と共に位置する)へと下に移動する。これは、モータ500が動くために必要な慣性を大幅に低減し、ロボット装置の性能を改善し、かつより小さなモータ500の使用を可能にすることにより、そのコストを低減する。これは、好ましい実施形態では、ロボット装置のベースで実装されるが、この設計の背後にある原理は、装置の運動学的連鎖に沿ったどこでも有効である。これは、装置の商業的成功を確実にするために、低く保つ必要のある装置のコストを低減するその能力のため、リハビリテーション装置に関する特に重要な革新である。この構成はまた、回転関節(直動関節ではなく)の排他的使用を可能にし、装置の設計を非常に簡単化する。より低い慣性はさらに、装置の運動量を低下させることにより、装置の安全性を高める。最後に、この革新はまた、装置の視覚的な大きさを患者の視線からそらせて装置のベースの方向に移動できることにより、有用性を最大化する。この概念は、好ましい実施形態では3つの自由度を有するリハビリテーション装置の一部として実行されるが、わずか2つの自由度を有する他のリハビリテーション装置にも明らかに適用可能である。
【0063】
さらに図1および図6で示す好ましい実施形態では、遠位のリンク軸(すなわち、内側リンク105に沿った軸)にともに直角である入力および出力軸(すなわち、入力プーリ505および出力プーリ540の軸)を有するケーブル付き差動装置を実施することは、この装置をリハビリテーション用途に非常によく適するようにする独特のピッチ・ヨー運動構成を可能にしながらケーブル差動装置の利益を提供する。ケーブル付き差動装置の以前の実施形態は、図8Cの700で示された、Newton、MAのBarrett Technology、Inc.のBarrett WAM productにおけるなどのピッチ・ロール構成で、または図8Bの720で示された、Barrett WAM wrist productにおけるなどのロール・ピッチ構成で構成されてきた。これらの両方の実施形態(すなわち、図8Cのピッチ・ロール構成700、および図8Bのロール・ピッチ構成720)において、遠位のリンク(すなわち、運動学的連鎖における差動装置を越えるリンク)、または近位のリンク(すなわち、運動学的連鎖における差動装置の前のリンク)は、2つの差動回転軸の一方と恒久的に同軸である。図8Cのピッチ・ロール構成700の場合、外側リンク710は、常に差動装置の出力軸705と同軸であり、図8Bのロール・ピッチ構成720では、内側リンク725は、常に差動装置の入力軸730と同軸である。
【0064】
しかしながら、今までケーブル付き差動装置は、差動装置の軸のいずれもリンクの1つと同軸ではない構成で使用されていない。本発明の好ましい実施形態では、図6(装置105の内側リンクに対する関節J1およびJ2のピッチ・ヨー構成を参照のこと)と、新規のピッチ・ヨー構成740が示されている図8Aとの両方で見られるように、この構成は、成功裡に実施されている。ケーブル差動装置のこの新しい実施形態は、本発明で使用されるものと同様の革新的な運動学的構成を可能にする。
【0065】
両手の多次元リハビリ運動および装置設計
図9は、右手使用から左手使用に切り替えるために、ロボット装置5の好ましい実施形態がいかに最適であるかを示す。ロボット装置5は、患者の正中矢状面に対して平行であり、かつ関節J2の軸130と一致する平面に対して基本的に対称である。関節J2の範囲が、前に述べた平面に関して対称であることを単に保証することにより、かつその運動範囲が、いずれの位置においても前に述べた平面に関して対称であるように、外側リンク110を、関節J3の軸135に関して逆にできるようにすることにより、装置のキラリティを容易に逆にすることができ、図9で分かるように、装置を患者の体の右側または左側で使用できるようになる。
【0066】
最後に、図10は、ロボット装置5に固有の対称性、および可逆のキラリティが、どのようにして、その独特の作業位置/方向、および小さいサイズと組み合わせて、ロボット装置の2つのユニットを3次元の両手リハビリテーションに同時に使用できるようにするかを示している。両手のリハビリテーションでは、対象物を持ち上げるために両方の体肢を使用するなどの協動作業、および健康な体肢が、障害のある体肢を「駆動する」教育的な作業を含むリハビリテーション活動において、障害のある体肢は、障害のない体肢と対になる。両手リハビリテーション(特に、体の反対側にある体肢間での協調された動きなどの神経学的に複雑な作業の実行を非常に困難にするおそれのある、脳卒中などの神経筋損傷からのリハビリテーションに関して)の価値は、1951年ほどの早期に理論化されており、過去20年にわたり大幅なけん引力を得てきた。「Bimanual Training After Stroke:Are Two Hands Better Than One?」、Rose、 Dorian K.およびWinstein、Carolee J.、Topics in Stroke Rehabilitation;2004年秋;11(4):20~30を参照のこと。ロボット・リハビリテーション装置は、患者の体肢の運動を正確に制御し、かつ他のリハビリテーション装置と協動するためのその能力により、このタイプの療法に極めてよく適している。図10で示す例示的な実施形態では、第1のロボット装置5が患者の障害のある右腕に接続されるが、第2のロボット装置5は、より機能的な左腕に接続される。ロボット装置は、リハビリテーション療法を協調させるいくつかのタイプの共通のコントローラ(例えば、図12で見られるもの、すなわち、2つの装置間の通信を容易にしながら、両方のロボット装置5のオンボード・コントローラと通信する外部コントローラ578)を介して互いに連携される。この例は、ロボット装置の好ましい実施形態の画像を用いて示されているが、両手リハビリテーションの本質的な概念は、それらの装置が異なる場合であっても、任意の様々な装置を用いて実施され得ることが理解できよう。しかしながら、両手リハビリテーションに2つの同様のロボット装置5を使用することは大幅な利点があり、それを以下で開示し、両手リハビリテーションに対する新規の方法へ導く。
【0067】
本明細書で述べるロボット装置5は、3次元両手システムで同時に使用されるこのタイプのデュアル装置としての目的に合うように設計された最初の非平面リハビリテーション装置である。前に述べたように、ロボット装置の固有の対称性により、そのキラリティを容易に逆にすることができ、同じロボット装置設計を、右と左の両方の体肢のリハビリテーションに使用できるようにする。さらに装置の小さな接地面積は、図10で示すように、2つのシステムの同時使用を容易にする。Volketswil、SwitzerlandのHocoma AGのArmeo(商標)Power systemなど、他の装置は、同様に可逆性があるが、2つのシステムのベースが干渉するはずなので、これらのシステムのサイズ、および患者に対するそれらの位置が、両手リハビリテーションシステムでそれらの使用を妨げる。Kingston、Ontario、CanadaのBKIN TechnologiesのKINARM Exoskeleton(商標)およびEnd-Point(商標)robotsなど、両手リハビリテーション用に意図的に設計されているいくつかの装置もある。しかしながら、上記で述べたように、これらの装置は、平面的(2次元)なリハビリ療法に意図的に限定されており、患者に対するその有用性に大きな影響を与えている。
【0068】
片手の作動だけを用いて、限定された3次元両手リハビリテーション療法を名目上実施できる知られたシステムの一例が、すなわち、1999年に退役軍人省とスタンフォード大学との間の共同プロジェクトとして開発された第3世代ミラー・イメージ・モーション・イネーブラー(MIME:Mirror-Image Motion Enabler)リハビリテーション・ロボットが存在する。「Development of robots for Rehabilitation therapy:The Palo Alto VA/Stanford experience」、Burgar他、Journal of Rehabilitation Research and Development、Vol.37No.6、Nov/Dec2000、663~673ページを参照のこと。第3世代MIMEロボットは、患者の障害のある体肢に固定されたPUMA-560産業ロボットと、患者の健康な体肢に結合される添え木に取り付けられるパッシブ式6軸のMicroScribeデジタイザとから構成される。システムの両手モードでは、健康な体肢の運動が、デジタイザによって検出され、ロボットアームへと渡され、ロボットアームは、障害のある体肢を、その運動が健康な体肢の運動を反映するように動かす。このシステムは、限られた1組の両手リハビリテーション療法を実行できるが、基本的に、システム内の情報の一方向流れにより限定される。情報は、健康な体肢から障害のある体肢へと渡すことができるが、デジタイザは受動的であり、患者の健康な体肢に対して力を加えるためのモータまたは他の機構を有していないので、障害のある体肢から健康な体肢へと戻すことはできない。
【0069】
本明細書で述べた実施形態において、2つの同様のアクティブなロボット装置5、すなわち、好ましい実施形態では、同様の運動学、関節範囲、力の出力限度、ならびに静的かつ動的性能特性を有するロボット装置5を使用することは、双方向の情報流れ(すなわち、両方の装置が、もう一方の装置との間で情報を送受信し、もう一方の装置からの情報に応答する双方向の情報流れ)を可能にして、障害のある体肢と健康な体肢の位置をともに監視し、患者の障害のある体肢を3次元で動かし、潜在的にその動作を同時に制御し、かつ任意選択で、同時の力のフィードバック、サポート、または他の力の入力を健康な体肢に提供することのできる両手リハビリテーションシステムを作成する。例えば、患者の健康な体肢に接続されたロボット装置は、患者の障害のある体肢に接続されたロボット装置を「駆動」するために使用することができるが、同時に、健康な体肢が疲労しないようにサポートし、療法により必要とされる力のフィードバックを健康な体肢に提供する。この点において、本発明の好ましい実施形態で使用されるケーブル駆動は、ケーブル駆動伝達の高い機械的な帯域幅のため、このタイプの用途に特によく適していることが見出された。しかしながら、代替の実施形態は、代替の機械的な駆動システムを用いて実施され得る。特定の実施形態とは関係なく、この双方向の情報流れは、本明細書で述べられた役に立つ特性を有する2つの同様の装置間で実行されたとき、装置を、従来技術のシステムよりもはるかに広い範囲の3次元両手リハビリ療法で使用できるようにし、本明細書で開示される方法を可能にする。
【0070】
本発明に対するさらなる用途
前の記述において、本発明は、リハビリテーション装置のその用途に関して論じられている。しかしながら、本発明は、高忠実度の力フィードバックを必要とする用途など、他の用途で使用され得ることが理解されよう。これだけに限らないが、例として、これらの用途は、電子ゲームのための入力/触覚フィードバック装置として、産業用ロボットアームもしくは建設機械などの他の機械的な装置に対するコントローラとして、または位置を感知するための装置として、すなわち、デジタイザもしくは座標測定装置として使用することを含むことができる。
【0071】
好ましい実施形態の変更
本発明の性質を説明するために本明細書で述べられ、かつ示されてきた細部、材料、ステップ、および部品の構成における多くのさらなる変更は、本発明の原理および範囲内になお含まれた状態で、当業者により行うことが可能であることを理解されたい。
〔態様1〕
わずか2つのアクティブな自由度を有する非外骨格リハビリテーション装置であって、前記装置の基準系が患者の基準系と概して同様に方向付けられるように、および患者のエンドポイントの運動が当該装置のエンドポイントの運動によって模倣されるように、方向付けられ位置決めされる、非外骨格リハビリテーション装置。
〔態様2〕
概して患者の横に、かつわずかに後方に位置する、態様1に記載の装置。
〔態様3〕
当該装置の自由度の2つは、ケーブル付き差動装置を介して連携される、態様1に記載の装置。
〔態様4〕
前記ケーブル付き差動装置は、入力軸と出力軸がともに、前記ケーブル付き差動装置に対して遠位のリンクの軸に対して直角であるように構成されている、態様3に記載の装置。
〔態様5〕
グラウンド系を越える運動系に位置するモータは、当該装置の慣性に対する前記モータの影響を最小化するために、より低い系の関節軸に沿って位置決めされる、またはその他の形で位置する、態様1に記載の装置。
〔態様6〕
標準的な使用の間、患者の正中矢状面に平行な平面に関して対称であるように、かつ大幅に再構成することなく、右手使用と左手使用をともに可能にするように設計されている、態様1に記載の装置。
〔態様7〕
前記装置の遠位のリンクは、特有の利益を提供するように特定の方法で順序付けられる、態様1に記載の装置。
〔態様8〕
前記装置の遠位のリンクは、運動範囲を最大化し、患者との衝突を回避するように、下向きに重ねられる、態様7に記載の装置。
〔態様9〕
前記装置の遠位のリンクは、患者に対して視覚的に邪魔にならないようにするために、且つより大きなアーム支持を提供するために、上向きに重ねられる、態様7に記載の装置。
〔態様10〕
回転関節だけを備え、直動関節を備えていない、態様1に記載の装置。
〔態様11〕
様々なタイプのリハビリテーション活動を可能にするために、代替のエンドポイント取付け具が当該装置に取り付けられ得る、態様1に記載の装置。
〔態様12〕
前記装置は、ピッチ・ヨー・ヨー構成において、モータで駆動される3つの回転自由度を有し、
第1の2つの関節は、ケーブル付き差動装置を介して連携され、
第3の関節に対する作動器は、当該装置の全体の慣性に対する前記作動器の影響を低減するために、前記第1の関節の軸に沿って配置され、
前記装置は、当該装置のキラリティを逆にすることを容易にするように設計されている、態様1に記載の装置。
〔態様13〕
第2の同様な装置と対になり、両手リハビリテーションに使用される、態様1に記載の装置。
〔態様14〕
わずか2のアクティブな自由度を有する非外骨格リハビリテーション装置であって、前記2つの自由度は、ケーブル付き差動装置を介して連携される、非外骨格リハビリテーション装置。
〔態様15〕
前記ケーブル付き差動装置は、入力軸と出力軸がともに遠位のリンク軸に対して直角であるように構成されている、態様14に記載の装置。
〔態様16〕
概して、患者の横に、かつわずかに後方に位置する、態様14に記載の装置。
〔態様17〕
グラウンド系を越える運動系に位置するモータは、より低い系の関節軸に沿って位置決めされるか、又は当該装置の慣性に対する前記モータの影響を最小化するようにその他の形で配置される、態様14に記載の装置。
〔態様18〕
標準的な使用の間、患者の正中矢状面に平行な平面に関して対称であるように、および大幅に再構成することなく右手使用と左手使用をともに可能にするように設計されている、態様14に記載の装置。
〔態様19〕
前記装置の遠位のリンクは、特有の利益を提供するように特定の方法で順序付けられる、態様14に記載の装置。
〔態様20〕
前記装置の遠位のリンクは、運動範囲を最大化し、患者との衝突を回避するように、下向きに重ねられる、態様19に記載の装置。
〔態様21〕
前記装置の遠位のリンクは、患者に対して視覚的に邪魔にならないようにするために、且つより大きなアーム支持を提供するために、上向きに重ねられる、態様19に記載の装置。
〔態様22〕
回転関節だけを備え、直動関節は備えていない、態様14に記載の装置。
〔態様23〕
様々なタイプのリハビリテーション活動を可能にするために、代替のエンドポイント取付け具が当該装置に取り付けられ得る、態様14に記載の装置。
〔態様24〕
前記装置は、ピッチ・ヨー・ヨー構成において、モータで駆動される3つの回転自由度を有し、
第1の2つの関節は、ケーブル付き差動装置を介して連携され、
第3の関節に対する作動器は、当該装置の全体の慣性に対する前記作動器の影響を低減するために、前記第1の関節の軸に沿って配置され、
前記第3の関節が、右手使用と左手使用との間の切替えを容易にするように、拡大された運動範囲を有する、態様14に記載の装置。
〔態様25〕
第2の同様な装置と対になり、両手リハビリテーションに使用される、態様14に記載の装置。
〔態様26〕
3つ以上の自由度における運動を誘起することができ、右手使用と左手使用をともに可能にするように容易に再構成可能であり、かつ2つの装置が、互いに干渉することなく同時に使用され得るように患者に対して配置されるように設計されたリハビリテーション装置が、
第2の同様の装置と双方向に対になり、両手リハビリテーションに使用される、
方法。
〔態様27〕
エンドポイントを有するユーザの付属肢と関連して動作を行うためのロボット装置であって、
ベースと、
前記ベースに取り付けられ、エンドポイントを有するロボットアームと、を備え、前記ロボットアームは、前記ベースに対して少なくとも2つのアクティブな自由度を有し、かつ前記ロボットアームは、前記ベースがユーザに対して適切に位置決めされたとき、当該ロボット装置の基準系が前記ユーザの基準系と概して同様に方向付けられるように、および前記ユーザの前記付属肢の前記エンドポイントの運動が前記ロボットアームの前記エンドポイントの運動によって模倣されるように構成されている、
ロボット装置。
〔態様28〕
エンドポイントを有するユーザの付属肢と関連してロボット装置を動作させるための方法であって、
ベース、および
前記ベースに取り付けられ、エンドポイントを有するロボットアームであって、前記ロボットアームは、前記ベースに対して少なくとも2つのアクティブな自由度を有し、かつ前記ロボットアームは、前記ベースがユーザに対して適切に位置決めされたとき、前記ロボット装置の基準系が前記ユーザの基準系と概して同様に方向付けられるように、および前記ユーザの前記付属肢の前記エンドポイントの運動が前記ロボットアームの前記エンドポイントの運動によって模倣されるように構成されている、ロボットアーム
を備えるロボット装置を提供するステップと、
前記ロボット装置の基準系が前記ユーザの基準系と概して同様に方向付けられるように前記ベースを前記ユーザに対して位置決めし、前記ユーザの前記付属肢を前記ロボットアームに取り付けるステップと、
前記ユーザの前記付属肢の前記エンドポイントおよび前記ロボットアームの前記エンドポイントのうちの少なくとも一方を動かすステップと
を含む方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12