(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】流体噴管及び送風作業機
(51)【国際特許分類】
E01H 1/08 20060101AFI20231213BHJP
F04D 29/46 20060101ALI20231213BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20231213BHJP
B05B 1/30 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
E01H1/08 B
F04D29/46 H
F04D29/60 F
B05B1/30
(21)【出願番号】P 2020091023
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】西原 章太
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宏高
(72)【発明者】
【氏名】白井 健
(72)【発明者】
【氏名】山岡 智博
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-098320(JP,A)
【文献】特開2020-045678(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3564535(EP,A1)
【文献】特開2000-184844(JP,A)
【文献】特開2010-175140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 1/08
F04D 29/46
F04D 29/60
B05B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に流体出口を有する噴管本体と、前記流体出口に配設される絞り部材と、該絞り部材を制御するための操作部と、を備え、前記絞り部材は、流体噴管の前方へのみ開口する出口開口であって、前記操作部が駆動されることにより同心的に面積が変化する出口開口を有する、流体噴管。
【請求項2】
前記絞り部材の前記出口開口は、前記流体出口の中心軸線を中心とする同心円状又は同心正多角形状に開口面積が調整自在である、請求項1に記載の流体噴管。
【請求項3】
前記絞り部材は、前記噴管本体に固定される筒状本体と、該筒状本体に配設される複数の絞り羽根と、を備え、前記操作部の駆動によって前記複数の絞り羽根の重なり具合が規則的に変化することで前記出口開口の面積を変化させる構成である、請求項1又は2に記載の流体噴管。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載の流体噴管と、該流体噴管に送風する送風機と、該送風機を駆動する原動機と、前記送風機と前記原動機とを支持すると共に作業者によって保持される機体枠と、前記操作部を遠隔的に駆動させるための遠隔操作部と、を備え、前記機体枠を保持した状態で作業者の手が届く位置に前記遠隔操作部が配設される、送風作業機。
【請求項5】
前記遠隔操作部と前記操作部とを互いに連結する二本の操作力伝達部材を備え、該二本の操作力伝達部材によって互いに逆方向の駆動力が同時に伝達される、請求項4に記載の送風作業機。
【請求項6】
前記遠隔操作部に含まれる操作部材が、選択された任意の操作位置に停留可能な構成である、請求項4又は5に記載の送風作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴管に関し、特に、落ち葉等の、吹き飛ばし作業や吹き寄せ作業等に用いて好適な流体噴管に関する。本発明はまた、流体噴管を有する送風作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の
図1に示されているように、パワーブロワと呼ばれる携帯式の送風作業機が知られている。この送風作業機は、落ち葉等の、吹き飛ばし作業や吹き寄せ作業等に用いて好適なものである。
【0003】
この種の送風作業機においては、使用条件や使用場所に応じて、比較的大きい風量の吐出噴流を必要とするときと、比較的高い風速をもった勢いの強い吐出噴流を必要とするときとがある。例えば、ゴルフ場で落ち葉の除去作業に送風作業機を使用する場合、フェアウエイ、グリーン、ラフ、ブッシュ、バンカ等、下地の状況(芝の背丈や剛性、芝か砂か等)に応じて、落ち葉等の対象物の、吹き飛ばし易さが異なる。このため、噴管から吐出される噴流の風量と風速を作業中に適宜に調整できると便利である。
【0004】
そこで、特許文献2,3により、次の流体噴管が提案されている。すなわち、全開方向へと常時付勢される可変出口嘴部材を噴管の出口端部に配設し、送風作業機を携行している作業者が操作レバーを操作することにより、噴管の出口開口を全開状態から絞り込み自在とした流体噴管である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-45678号公報
【文献】特公平7-45019号公報
【文献】実用新案登録第2500555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2,3の流体噴管においては、嘴部材が全開の状態では、噴管の出口開口の左右の側面が二等辺三角形状に開放された状態となる。このため、吐出噴流が左右に漏れてしまい、噴流に損失が生ずるという問題がある。この問題は、嘴部材が完全に閉じるまでの間は継続する。
【0007】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたもので、吐出噴流の損失を生じることなく吐出噴流の風量及び風速を調整し得る、流体噴管及び送風作業機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る流体噴管は、前端に流体出口を有する噴管本体と、前記流体出口に配設される絞り部材と、該絞り部材を制御するための操作部と、を備え、前記絞り部材は、流体噴管の前方へのみ開口する出口開口であって、前記操作部が駆動されることにより同心的に面積が変化する出口開口を有することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
本発明の流体噴管によれば、絞り部材の出口開口が流体噴管の前方へのみ開口する。このため、特許文献2,3の従来の流体噴管とは異なり、吐出噴流の損失が生じない。操作部が駆動されると、絞り部材の出口開口の面積が同心的に変化する。このため、噴流の吐出方向が流体噴管の前方へ向けて一定のままで、噴流の風量及び風速が調整される。
【0010】
好適な実施の一形態として、前記絞り部材の前記出口開口は、前記流体出口の中心軸線を中心とする同心円状又は同心正多角形状に開口面積が調整自在である構成としてもよい(請求項2)。このようにすれば、吐出される噴流の風量及び風速を調整するに当たり、噴流の形状がほぼ一定に維持される。
【0011】
好適な実施の一形態として、前記絞り部材は、前記噴管本体に固定される筒状本体と、該筒状本体に配設される複数の絞り羽根と、を備え、前記操作部の駆動によって前記複数の絞り羽根の重なり具合が規則的に変化することで前記出口開口の面積を変化させる構成としてもよい(請求項3)。
【0012】
本発明に係る送風作業機は、前記流体噴管と、該流体噴管に送風する送風機と、該送風機を駆動する原動機と、前記送風機と前記原動機とを支持すると共に作業者によって保持される機体枠と、前記操作部を遠隔的に駆動させるための遠隔操作部と、を備え、前記機体枠を保持した状態で作業者の手が届く位置に前記遠隔操作部が配設されることを特徴とする(請求項4)。
【0013】
本発明の送風作業機によれば、作業者が、送風作業を行いながら遠隔操作部を操作することで、絞り部材の出口開口の面積を変化させることができる。このため、送風作業中に、流体噴管から吐出される噴流の風量及び風速を適宜に調整することができ、作業性が向上する。
【0014】
好適な実施の一形態として、前記遠隔操作部と前記操作部とを互いに連結する二本の操作力伝達部材を備え、該二本の操作力伝達部材によって互いに逆方向の駆動力が同時に伝達される構成としてもよい(請求項5)。このようにすれば、遠隔操作部による正逆両方向の駆動が操作部へと確実に伝達される。
【0015】
好適な実施の一形態として、前記遠隔操作部に含まれる操作部材を、選択された任意の操作位置に停留可能な構成としてもよい(請求項6)。このようにすれば、作業者が操作部材を解放しても選択された操作位置に操作部材が留まるので、作業者が他の操作に集中でき、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る送風作業機の概略斜視図である。
【
図2】
図1中の流体噴管の先端部(前端部)の縦断概略側面図である。
【
図3】絞り部材の具体的な構成を例示する正面図である。
【
図4】手元側操作部と操作力伝達部材と先側操作部との連動連結関係の一例を示す説明図であり、絞り部材が全開の状態を示している。
【
図5】
図4において、手元側操作部の回動操作により先側操作部が駆動されて、絞り部材が閉じた状態の説明図である。
【
図6】絞り部材の絞り具合を変化させたときの風量と風速との関係を示すグラフである。
【
図7】手元側操作部の配設位置の別例を示す送風作業機の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
本発明に係る流体噴管は、携帯式又は可搬式の送風作業機に適用すると好適なものである。具体的には、背負式の送風作業機や手持式の送風作業機が挙げられる。ここでは、背負式の送風作業機を例示して説明する。
【0019】
図1に示す本発明の実施の一形態に係る送風作業機1は、作業者が機体2を背負って移動しながら、落ち葉等の、吹き飛ばし作業や吹き寄せ作業等を行うのに適する作業機である。
【0020】
図1の送風作業機1は、背負式の機体枠(背負架台)3を備え、この機体枠3には、機体2を構成する送風機4と原動機5等が搭載される。原動機5は、送風機4の駆動源であり、一例として小型空冷二サイクル等の内燃エンジン5aである。機体枠3上には、内燃エンジン5aに燃料を供給するための燃料タンク6も搭載される。内燃エンジン5aに代えて、電動モータを原動機5として採用してもよい。この場合には、燃料タンク6に代えて、モータ駆動電源としてのバッテリが機体枠3に搭載される。
【0021】
送風機4は、吹き出し口7aを有するファンケース7を備える。吹き出し口7aには、L字状に屈曲したエルボパイプ8が接続され、このエルボパイプ8には、可撓性を有するベローズホース9と、回り接手パイプ10とを介して、本発明の本実施の一形態に係る流体噴管11が接続される。これにより、送風機4によって創出される気流が、流体噴管11の先端(前端)から吐出される。
【0022】
流体噴管11上にはハンドル12が固定される。機体枠3を背負った状態の作業者は、片手(右手)でハンドル12を把持して、流体噴管11の向きや位置を制御しながら送風作業を行う。ハンドル12の先端(上端)には、原動機5の出力を制御するためのトリガ式等の出力操作部材13が配設される。作業者は、ハンドル12を把持した状態で、出力操作部材13を指で駆動することで、原動機の出力を制御する。
【0023】
図2に示すように、流体噴管11は、先端(前端)に流体出口14aを有する噴管本体14と、流体出口14aに配設される絞り部材15と、絞り部材15を制御するための先側操作部16と、を備える。絞り部材15は、開口面積が調整自在な出口開口17を有する。この出口開口17は、流体噴管11の前方へのみ開口している。出口開口17の面積は、先側操作部16が駆動されることで、噴管本体14の流体出口14aの中心軸線Xを中心として同心的に変化する。
【0024】
前記流体噴管11においては、絞り部材15の出口開口17が流体噴管11の前方へのみ開口する。このため、前述した特許文献2,3の流体噴管とは異なり、吐出噴流の損失が生じない。先側操作部16が駆動されると、絞り部材15の出口開口17の面積が同心的に変化する。このため、噴流の吐出方向が流体噴管11の前方へ向けて一定のままで、噴流の風量及び風速が調整される。出口開口17の面積は同心的に変化するので、出口開口17の面積が変化しても、噴流の吐出バランスが常に一定に保たれる。このため、出口開口17の面積の変化によって流体噴管11の先端側(前端側)が上下や左右に振られる現象が回避でき、流体噴管11の良好な操作性が維持される。
【0025】
絞り部材15は、噴管本体14に固定される筒状本体18と、この筒状本体18に配設される複数の絞り羽根(
図3参照)19,19・・・と、を備える。そして、先側操作部16が駆動されると、複数の絞り羽根19,19・・・の重なり具合が規則的に変化することで、出口開口17の面積が変化する。絞り部材15の具体的な構成と動作は、例えば、カメラや光学顕微鏡等の光学機器に採用されている公知の絞り機構と同様のものとすることができる。複数の絞り羽根19,19・・・は、筒状本体19に形成されるフランジ28の内部に収容されている。
【0026】
一例として
図3に示すように、絞り部材15を構成する各絞り羽根19は、揺動の支点となる丸孔20と、絞り羽根19を駆動するためのカム溝(長孔)21と、を有する。各絞り羽根19は、丸孔20に挿通される固定ピン23によって、筒状本体18に対して揺動自在に連結される。各絞り羽根19の揺動先端部19aは、各絞り羽根19が有する柔軟性により、隣接する絞り羽根19の下側に入り込んでいる。各カム溝21には駆動ピン22が係合している。各駆動ピン22は、絞り機構の中心軸線(噴管本体14の中心軸線)Xを中心として回動自在な単一のピン駆動リング24(
図2参照)に固着されている。先側操作部16が駆動されると、ピン駆動リング24が絞り機構の中心軸線Xを中心として回転駆動される。これにより、各駆動ピン22によって各絞り羽根が同時に揺動駆動され、出口開口17の面積が同心的に変化する。
【0027】
図3の例では、絞り羽根19の枚数が6枚とされているが、これは一例に過ぎず、2枚以上であればよい。また、
図3の例では、各絞り羽根19にカム溝21が配設され、ピン駆動リング24に各駆動ピン22が配設されているが、これとは逆に、各絞り羽根19に駆動ピンが配設され、ピン駆動リング24にカム溝が配設される構成でもよい。
【0028】
絞り部材15の出口開口17の形状は、絞り羽根19の枚数と各絞り羽根19の形状とによって定まる。限定はされないが、出口開口17の面積が流体出口14aの中心軸線Xを中心とする同心円状又は同心正多角形状に変化するように、絞り羽根19の枚数と各絞り羽根19の形状とを設定するのが好ましい。このようにすれば、吐出される噴流の風量及び風速を調整するに当たり、噴流の形状がほぼ一定(相似形)に維持される。
【0029】
図1に示すように、流体噴管11の先端部に配設される先側操作部16は、作業者の手元側に配設される遠隔操作部としての手元側操作部25によって遠隔操作可能とされる。手元側操作部25と先側操作部16は、操作力伝達部材としてのボーデンケーブル26で互いに連結される。作業者によって手元側操作部25が駆動されると、ボーデンケーブル26を介して先側操作部16が駆動され、絞り部材15の出口開口17の面積が同心的に変化する。
【0030】
図4に示すように、先側操作部16は先側回転体27を備える。この先側回転体27は、絞り部材15を構成する筒状本体18のフランジ28上に配設される。フランジ28に支軸29が固定され、この支軸29上に先側回転体27が正逆回転自在に配設される。先側回転体27の支軸29の中心軸線は、絞り機構の中心軸線Xと平行である。先側回転体27の外周には、周方向のワイヤ溝30と、二つのワイヤエンド受入部31,31が形成される。各ワイヤエンド受入部31,31には、ボーデンケーブル26を構成するインナーワイヤ33の先側ワイヤエンド32が嵌め込まれ、各インナーワイヤ33は、ワイヤ溝30に受け入れられる。
【0031】
フランジ28上には、アウターチューブ固定具34が固着される。アウターチューブ固定具34には、各インナーワイヤ33と共にボーデンケーブル26を構成するアウターチューブ35の先側端部36が固定される。
【0032】
フランジ38上には揺動体37が配設される。揺動体37は、絞り機構の中心軸線Xを中心とする円弧に沿って、所定の角度範囲内を揺動可能である。揺動体37は、先側回転体27の回転によって揺動駆動されるように、先側回転体27に対して作動上連結されている。具体的には、例えば、先側回転体27にピニオン(図示省略)が同軸に固着され、このピニオンと噛み合う円弧状のラック38が揺動体37に固着される。揺動体37は、絞り部材15を構成するピン駆動リング24に連結される(
図2参照)。したがって、先側回転体27が正逆方向に回転駆動されることで、揺動体37が
図4上で左右に揺動駆動され、これによってピン駆動リング24が回転駆動され、絞り部材15の出口開口17の面積が同心的に変化する。
【0033】
手元側操作部25も、先側操作部16とほぼ同様の構成である。すなわち、
図4に示すように、手元側操作部25は取付フレーム40を備え、この取付フレーム40上に手元側回転体41を備える。取付フレーム40上には支軸42が固着され、この支軸42に手元側回転体41が正逆回転自在に配設される。手元側回転体41の外周には、周方向のワイヤ溝43と、二つのワイヤエンド受入部44,44が形成される。各ワイヤエンド受入部44には、インナーワイヤ33の手元側ワイヤエンド45が嵌め込まれ、各インナーワイヤ33は、ワイヤ溝43に受け入れられる。手元側回転体41には、操作部材としての操作レバー46が固着される。
【0034】
取付フレーム40には、アウターチューブ固定具47が配設される。アウターチューブ固定具47には、各アウターチューブ35の手元側端部48が固定される。
【0035】
図4において、作業者が手元側操作部25の操作レバー46を反時計回り方向へ回動操作することで、二本のボーデンケーブル26,26が互いに逆方向(引き方向と押し方向)の駆動力を伝達し、先側回転体27が反時計回り方向へ回転駆動される。これにより、
図5に示すように、揺動体37が右方へと揺動駆動される。その結果、ピン駆動リング24(
図2参照)が回転駆動され、絞り部材15の出口開口17の面積が同心的に縮小する。
図5の状態から
図4の状態への変化は、前記と逆方向の動きとなる。
【0036】
図4及び
図5の例で二本のボーデンケーブル26,26を使用しているのは、二本のボーデンケーブル26,26によって互いに逆方向の駆動力を同時に伝達させることで、手元側回転体41の正逆両方向の操作により、先側回転体27の正逆両方向の回転駆動が確実に行われるようにするためである。但し、これには限定されず、使用するボーデンケーブルを引き操作用の一本とすることもできる。この場合には、先側回転体27を、絞り部材15の全開状態に対応する原角度位置(
図4に示す角度位置)に復帰させるように常時付勢するばねを配設すればよい。
【0037】
限定はされないが、手元側操作部25は、支軸42と手元側回転体41との間にフリクション機構を介装する等して、操作レバー46を、選択された任意の操作位置に停留可能な構成とするのが好ましい。このようにすれば、作業者が操作レバー46を解放しても、選択された操作位置に操作レバー46が留まるので、作業者が他の操作に集中でき、作業性が向上する。
【0038】
また、手元側操作部25は、クリックストップ機構を採用する等して、段階的に操作可能な構成としてもよいが、無段階に操作可能な構成とするのが好ましい。このようにすれば、絞り部材15の出口開口17の面積が無段階に調整可能となるので、吐出噴流の風量と風速の組み合わせを微細に調整できる。
【0039】
図6は、
図1の送風作業機において、流体噴管11の出口開口17の面積を同心的に変化させたときに得られる風量(CFM:cubic feet per minute:立方フィート毎分)と風速(mph:miles per hour:マイル毎時)との関係を示したグラフである。
【0040】
図6中、点Aは、絞り部材15による絞りがゼロ(出口開口17が全開)のときの吐出噴流の風量及び風速の組み合わせを示している。一例として、点Aにおける出口開口17の直径は93mmである。点Aの状態から絞り部材15を作動させて出口開口17を徐々に絞ると、点B~Gのデータが得られた。各点における出口開口17の直径は、Bが91mm、Cが86mm、Dが82mm、Eが76mm、Fが70mm、Gが62mmである。
【0041】
図6の点A~Gの分布から、出口開口17の径を無段階に変化させたときの吐出噴流の風量と風速の関係は、近似的に直線Lで示される。
図6の数値は、ある条件の下での一例である。しかし、全開時の出口開口17の径、原動機5の出力、送風機4の性能等がどのような場合であっても、出口開口17の面積を同心的に変化させたときの吐出噴流の風量と風速の関係は、
図6に示されるように近似的に直線で表すことができるものと推測できる。よって、絞り部材15を作動させて出口開口17の径を変化させることで、直線上の風量と風速の組み合わせを容易に実現できると考えられる。
【0042】
手元側操作部25は、機体枠3を背負った状態で作業者の手が届く位置に配設される。このため、作業者は、送風作業を行いながら手元側操作部25を操作することで、絞り部材15の出口開口17の面積を変化させることができる。送風作業中に、作業現場の状況に応じて、吐出噴流の風量及び風圧を適宜に調整することができ、作業性が向上する。
【0043】
図1の例では、ハンドル12の元部近傍に手元側操作部25が配設されている。この場合、作業者は、ハンドル12を右手で持ち、原動機5の出力操作部材13を操作しながらでも、空いている左手で手元側操作部25を操作することができる。
【0044】
手元側操作部25の配設位置の別例として、
図1の機体枠3の前部の下部の左側の位置(エルボパイプ8とは反対側の位置)を挙げることもできる。この場合、作業者は、ハンドル12を持って流体噴管11を右手で操作しながら、空いている左手を腰の後ろに回して手元側操作部25を操作することができる。
【0045】
手元側操作部25の配設位置のさらに他の例として、
図7に示すものを挙げることもできる。
図7において、
図1と同一の構成要素には
図1と同一の符号を付してある。
図7の例においても、流体噴管11には、作業者によって把持されるハンドル12が配設され、このハンドル12に、原動機5の出力を制御するための出力操作部材13が配設される。
【0046】
図7の送風作業機50においては、例えば特開平10-299503号公報に掲載されているように、機体枠3の前部の下部の左側に、上下揺動可能なアーム51が配設される。そして、アーム51の先端側のグリップ部52の近傍に手元側操作部25が配設される。作業者は、グリップ部52を把持する左手の指で、手元側操作部25を操作することができる。
【0047】
なお、
図7において、ハンドル12上の出力操作部材13を、手元側操作部25と同様に、アーム51上に配設することもできる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
3 機体枠
4 送風機
5 原動機
14 噴管本体
14a 流体出口
15 絞り部材
16 操作部(先側操作部)
17 出口開口
18 筒状本体
19 絞り羽根
25 遠隔操作部(手元側操作部)
26 操作力伝達部材(ボーデンケーブル)
46 操作部材(操作レバー)
X 中心軸線