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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/423 20060101AFI20231213BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20231213BHJP
   A62C 37/40 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H04L12/423
G08B17/00 G
A62C37/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020191830
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080640
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 隆文
(72)【発明者】
【氏名】藤田 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 正喜
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-132776(JP,A)
【文献】特開2000-093541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/423
G08B 17/00
A62C 37/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末機器と、当該複数の端末機器を制御するための中央制御盤とが第1のループ状配線を介して通信可能に接続されており、
前記複数の端末機器と、当該複数の端末機器を制御するための現地制御盤とが第2のループ状配線を介して通信可能に接続されている防災システム。
【請求項2】
前記複数の端末機器は、それぞれ火災感知器と放水部を備えるノズルユニットであ
とを特徴とする、請求項1に記載の防災システム。
【請求項3】
前記中央制御盤又は前記現地制御盤は、前記複数の端末機器とポーリング方式で通信を行い、ポーリングごとに送信モードを切り替え、
前記送信モードには、前記中央制御盤又は前記現地制御盤が前記第1のループ状配線又は前記第2のループ状配線の第1方向に信号を送信する一方で、前記複数の端末機器が前記第1方向とは逆方向である第2方向に信号を送信する第1送信モードと、前記中央制御盤又は前記現地制御盤が前記第2方向に信号を送信する一方で、前記複数の端末機器が前記第1方向に信号を送信する第2送信モードが含まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アトリウムや展示場などの高天井部分に設置されるスプリンクラ設備として、放水型ヘッド等スプリンクラ設備が知られている。例えば、特許文献1には、防護区画に設置される複数の可動式ヘッドと、火災信号に連動して可動式ヘッドを起動して、火源探査や放水を指示する中央操作盤と、可動式ヘッドを手動で遠隔操作するための現地操作盤とを備える放水型ヘッド等スプリンクラ設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-230409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放水型ヘッド等スプリンクラ設備では、中央操作盤と現地操作盤に対して可動式ヘッドが個別に接続されていた。そのため、可動式ヘッドの数が増えるにつれて、中央操作盤と現地操作盤に接続される配線数が多くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、端末機器から制御盤に接続される配線数を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る防災システムは、複数の端末機器と、当該複数の端末機器を制御するための制御盤とが第1のループ状配線を介して通信可能に接続されている。
【0007】
好ましい態様において、前記複数の端末機器は、それぞれ火災感知部と放水部を備えるノズルユニットであり、前記制御盤は、中央制御盤と現地制御盤のうちの一方である。
【0008】
さらに好ましい態様において、前記複数の端末機器は、前記中央制御盤と前記現地制御盤のうちの他方とも第2のループ状配線を介して通信可能に接続されている。
【0009】
さらに好ましい態様において、前記制御盤は、前記複数の端末機器とポーリング方式で通信を行い、ポーリングごとに送信モードを切り替え、前記送信モードには、前記制御盤が前記第1のループ状配線の第1方向に信号を送信する一方で、前記複数の端末機器が前記第1方向とは逆方向である第2方向に信号を送信する第1送信モードと、前記制御盤が前記第2方向に信号を送信する一方で、前記複数の端末機器が前記第1方向に信号を送信する第2送信モードが含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、端末機器から制御盤に接続される配線数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】消火システム1の構成を示すブロック図
図2】ノズルユニット4の火災発生時の動作を示す図
図3】第1送信モードを示す図
図4】第2送信モードを示す図
図5】自動消火モードを示すシーケンス図
図6】手動消火モードを示すシーケンス図
図7】手動消火モードを示す別のシーケンス図
図8】放水停止・復旧動作を示すシーケンス図
図9】放水停止・復旧動作を示す別のシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
1-1.構成
本発明の一実施形態に係る消火システム1について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る消火システム1は、建物Bの高天井部分に設置される放水型ヘッド等スプリンクラ設備である。図1は、この消火システム1の構成を示すブロック図である。同図に示す消火システム1は、自動火災報知設備2、中央操作盤3、複数のノズルユニット4、現地制御盤5および現地操作ユニット6を備える。以下、各構成要素について説明する。
【0013】
自動火災報知設備2は、建物Bの高天井部分に設置される複数の感知器と、建物Bの防災センタに設置されるR型の火災受信機を備える(いずれも図示略)。このうち感知器は、例えば煙感知器や炎感知器であり、測定した物理量を示すアナログ値を火災受信機に送信する。火災受信機は、感知器により測定された物理量が所定の閾値を超え、かつ、その継続時間が所定時間を超えると、感知器発報信号を中央操作盤3に送信する。この感知器発報信号には、発報した感知器のアドレスが含まれる。
【0014】
中央操作盤3は、建物Bの防災センタに設置され、信号線L1を介して火災受信機と接続される制御盤である。この中央操作盤3は、火災受信機から送信される感知器発報信号に応じて、またはセンタ要員による操作に応じて、ノズルユニット4を制御する。加えて、センタ要員による操作を支援するために、各ノズルユニット4の情報を管理する。ここで言うノズルユニット4の情報とは、ノズルユニット4の状態情報と操作権情報である。
【0015】
ノズルユニット4は、建物Bの高天井部分に設置される端末機器であり、具体的には可動式ヘッドである。このノズルユニット4は、図1に示すように、ループ状の配線L2を介して中央操作盤3と通信可能に接続されている。また、このノズルユニット4は、ループ状の配線L3を介して現地制御盤5と通信可能に接続されている。すなわち、このノズルユニット4は、中央操作盤3と現地制御盤5に対して個別に接続されていない。そのため、個別に接続する場合と比較して、中央操作盤3と現地制御盤5に接続される配線数が削減される。
【0016】
このノズルユニット4は、放水部41、感知部42、制御部43および信号中継部44を備える(これらのうち、放水部41と感知部42については、図2参照。制御部43と信号中継部44については、図示略)。
【0017】
放水部41は、遠投、中投、近投の3種類のヘッドを一体構造とした組合せノズルである。
【0018】
感知部42は、赤外線リニアセンサ421と炎検知器422を備える。このうち赤外線リニアセンサ421は、警戒区域内の高温点を探査し、その方向を検出する。一方、炎検知器422は、赤外線3波長式炎検知器であり、赤外線リニアセンサ421で検出された方向の火源を検出する。
【0019】
制御部43は、中央操作盤3および現地制御盤5から信号を受信し、受信した信号に応じて放水部41および感知部42を制御する。加えて、受信した信号に応じて当該ノズルユニット4の状態情報と操作権情報を管理する。
【0020】
信号中継部44は、他のノズルユニット4と中央操作盤3または現地制御盤5の間でやり取りされる信号を中継する。
【0021】
図2は、このノズルユニット4の火災発生時の動作を示す図である。
ノズルユニット4は、平常時、壁面に埋め込まれた状態で格納されている(図2(a))。この状態において、中央操作盤3から探査開始信号が入力されると、ノズルユニット4は起動して、放水部41と感知部42が一体となって旋回を開始する(図2(b))。旋回の開始後、赤外線リニアセンサ421は、警戒区域内の高温点を探査し、その方向を検出する(図2(c))。高温点の方向が検出されると、その検出された方向に炎検知器422の正面が向けられ、炎検知器422は当該方向の火源Fを検出する(図2(d))。火源Fが検出されると、制御部43は、旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する。火災位置信号の送信後、放水部41のノズル口が、その検出された火源Fに向けられ、その状態でノズルユニット4は待機状態となる(図2(e))。その後、中央操作盤3からこのノズルユニット4に対して放水開始信号が送信されると、放水部41から火源Fに対して放水が行われる。
【0022】
次に、現地制御盤5について説明する。
現地制御盤5は、ノズルユニット4が設置されている防護区画内に設置される制御盤である。この現地制御盤5は、現地操作ユニット6を介してセンタ要員により入力される操作に応じてノズルユニット4を制御する。加えて、センタ要員による操作を支援するために、各ノズルユニット4の情報を管理する。ここで言うノズルユニット4の情報とは、ノズルユニット4の状態情報と操作権情報である。
【0023】
現地操作ユニット6は、現地制御盤5を操作するために使用される可搬型の情報処理装置である。この現地操作ユニット6は、現地制御盤5を介したノズルユニット4の操作を可能とするために、ディスプレイとタッチパネルを備える(いずれも図示略)。また、この現地操作ユニット6は、現地制御盤5および中央操作盤3とケーブルを介して接続するための端子を備える。この現地操作ユニット6は、平常時は、中央操作盤3に接続されており、利用時は、中央操作盤3から取り外されて現地に持参され、現地制御盤5に接続される。
【0024】
1-2.動作
消火システム1の動作について説明する。具体的には、通信動作、消火動作および放水停止・復旧動作について説明する。
【0025】
1-2-1.通信動作
中央操作盤3と現地制御盤5は、各ノズルユニット4とポーリング方式で通信を行う。ここで言うポーリング方式とは、マスタ機器が複数のスレーブ機器に対してデータの送信要求の有無を定期的に問い合わせる通信方式のことである。中央操作盤3と現地制御盤5は、このポーリング方式で通信を行うにあたって、ポーリングごとに第1送信モードと第2送信モードを交互に切り替える。図3は、第1送信モードを示す図であり、図4は、第2送信モードを示す図である。両図において制御盤7は、中央操作盤3と現地制御盤5を示している。
【0026】
図3に示す第1送信モードでは、制御盤7は、時計回りのルートで信号を送信する(矢印A1参照)。これに対して各ノズルユニット4は、反時計回りのルートで信号を返送する(矢印A2参照)。一方、図4に示す第2送信モードでは、制御盤7は、反時計回りのルートで信号を送信する(矢印A3参照)。これに対して各ノズルユニット4は、時計回りのルートで信号を返送する(矢印A4参照)。このように、ポーリングごとに信号の送信ルートを変更することで、ネットワークの一部に通信障害が発生したとしても、制御盤7と各ノズルユニット4間の通信が可能となる。例えば、制御盤7とノズルユニット4aの間の配線が断線した場合、制御盤7は第1送信モードでは各ノズルユニット4と通信を行うことができないが、第2送信モードでは各ノズルユニット4と通信を行うことができる。
【0027】
制御盤7は、探査開始命令や放水命令などのイベントが発生すると、発生したイベントをイベントリストに記憶する。そして、イベントリストにイベントが存在する場合には、通常ポーリングサイクルの2回に1回の割合で割り込んで、イベントに関するポーリングを実施する。一方、イベントリストにイベントが存在しない場合には、各ノズルユニット4に対して状態確認のためのポーリングを実施する。このポーリングでは、各ノズルユニット4の状態と操作権の所在が確認される。
【0028】
1-2-2.消火動作
次に、消火動作について説明する。具体的には、自動消火モードと手動消火モードについて説明する。ここで、自動消火モードとは、火災の感知から放水までの一連の動作を自動で行う消火モードである。これに対して、手動消火モードとは、火災の感知から放水に最適なノズルユニット4の選択までを自動で行い、放水については中央操作盤3または現地操作ユニット6の操作に応じて開始する消火モードである。これら2つの消火モードは、中央操作盤3の盤面操作にて切り替え可能となっている。
【0029】
1-2-2-1.自動消火モード
図5は、自動消火モードを示すシーケンス図である。
中央操作盤3は、火災受信機から感知器発報信号を受信すると(ステップSa1)、発報した感知器の警戒区域内に設置されているノズルユニット4を特定する(ステップSa2)。そして、特定したノズルユニット4に対して探査開始信号を送信する(ステップSa3)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、次回のポーリングサイクル以降も継続する。
【0030】
ノズルユニット4は、探査開始信号を受信すると、火源探査を開始する(ステップSa4)。加えて、自機の状態情報を「格納」から「探査」に更新する。そして、火源探査の結果、火源を検出すると(ステップSa5)、火源検出時の旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する(ステップSa6)。加えて、自機の状態情報を「探査」から「確定」に更新する。
【0031】
中央操作盤3は、火災区画のすべてのノズルユニット4から火源位置信号を受信するか、または火源位置信号の第1報を受信してから所定の時間が経過すると、受信した火源位置信号に基づいて放水に最適なノズルユニット4を選択する(ステップSa7)。その際のノズルユニット4の選択方法については、例えば、特開2000-093540号公報を参照のこと。中央操作盤3は、放水に最適なノズルユニット4を選択すると、図示せぬ消火ポンプを起動させる(ステップSa8)。加えて、選択したノズルユニット4に対して放水開始信号を送信する(ステップSa9)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、次回のポーリングサイクル以降も継続する。
【0032】
ノズルユニット4は、放水開始信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSa10)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁(図示略)を開放する(ステップSa11)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0033】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチ(図示略)からオン信号を受信すると(ステップSa12)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSa13)。ノズルユニット4は、この放水を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSa14)。
以上が、自動消火モードについての説明である。
【0034】
1-2-2-2.手動消火モード
図6は、手動消火モードを示すシーケンス図である。同図に示す手動消火モードでは、中央操作盤3の操作に応じて放水を開始する場合を想定している。
【0035】
中央操作盤3は、上述した放水に最適なノズルユニット4の選択後(ステップSa7)、センタ要員により操作権取得操作が行われると(ステップSb1)、操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb2)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「中央操作盤」に更新する(ステップSb3)。この操作権情報の更新は、状態確認を通じて、中央操作盤3に記憶される操作権情報にも反映される。その結果、中央操作盤3では、放水準備操作が可能になる。
【0036】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により放水準備操作が行われると(ステップSb4)、放水準備信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb5)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水準備信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「準備」に更新する(ステップSb6)。この状態情報の更新は、状態確認を通じて、中央操作盤3に記憶される状態情報にも反映される。その結果、中央操作盤3では、旋回操作と放水操作が可能になる。
【0037】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により旋回操作が行われると(ステップSb7)、旋回信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb8)。ノズルユニット4は、この旋回信号を受信すると、当該信号が示す方向へ放水部41を旋回させる(ステップSb9)。
【0038】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により放水操作が行われると(ステップSb10)、消火ポンプを起動させる(ステップSb11)。加えて、ノズルユニット4に対して放水開始信号を送信する(ステップSb12)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。
【0039】
ノズルユニット4は、放水開始信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSb13)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を開放する(ステップSb14)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0040】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオン信号を受信すると(ステップSb15)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSb16)。ノズルユニット4は、この放水信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSb17)。
以上が、手動消火モードについての説明である。
【0041】
次に、図7は、手動消火モードを示す別のシーケンス図である。同図に示す手動消火モードでは、現地制御盤5に接続された現地操作ユニット6の操作に応じて放水を開始する場合を想定している。
【0042】
中央操作盤3において放水に最適なノズルユニット4の選択された後(ステップSa7)、センタ要員により現地操作ユニット6に対して操作権取得操作が行われると(ステップSc1)、現地制御盤5は操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc2)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「現地制御盤」に更新する(ステップSc3)。この操作権情報の更新は、状態確認を通じて、現地制御盤5に記憶される操作権情報にも反映される。その結果、現地操作ユニット6では、放水準備操作が可能になる。
【0043】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水準備操作が行われると(ステップSc4)、現地制御盤5は放水準備信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc5)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水準備信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「準備」に更新する(ステップSc6)。この状態情報の更新は、状態確認を通じて、現地制御盤5に記憶される状態情報にも反映される。その結果、現地操作ユニット6では、旋回操作と放水操作が可能になる。
【0044】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して旋回操作が行われると(ステップSc7)、現地制御盤5は旋回信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc8)。ノズルユニット4は、この旋回信号を受信すると、当該信号が示す方向へ放水部41を旋回させる(ステップSc9)。
【0045】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水操作が行われると(ステップSc10)、現地制御盤5は放水要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc11)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。
【0046】
ノズルユニット4は、放水要求信号を受信すると、当該信号を中央操作盤3に転送する(ステップSc12)。中央操作盤3は、この放水要求信号を受信すると、消火ポンプを起動させる(ステップSc13)。加えて、放水開始信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc14)。ノズルユニット4は、この放水開始信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSc15)。現地制御盤5は、この放水開始信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を開放する(ステップSc16)。その結果、ノズルユニット4から火源に対して放水が行われる。
【0047】
起動弁の解放後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオン信号を受信すると(ステップSc17)、放水が開始されたことを示す放水信号をノズルユニット4に送信する(ステップSc18)。ノズルユニット4は、この放水信号を受信すると、自機の状態情報を「確定」から「放水」に更新する(ステップSc19)。
以上が、手動消火モードについての説明である。
【0048】
1-2-3.放水停止・復旧動作
次に、放水停止・復旧動作について説明する。図8は、放水停止・復旧動作を示すシーケンス図である。同図に示す動作では、中央操作盤3の操作に応じて放水停止および復旧を行う場合を想定している。
【0049】
中央操作盤3は、センタ要員により放水停止操作が行われると(ステップSd1)、放水停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd2)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水停止信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSd3)。現地制御盤5は、この放水停止信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を閉止する(ステップSd4)。その結果、ノズルユニット4からの放水が停止する。
【0050】
起動弁の閉止後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオフ信号を受信すると(ステップSd5)、放水が停止したことを示す停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd6)。ノズルユニット4は、この停止信号を受信すると、自機の状態情報を「放水」から「確定」に更新する(ステップSd7)。
【0051】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により全復旧操作が行われると(ステップSd8)、操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSd9)。その際、中央操作盤3は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「開放」に更新する(ステップSd10)。ここで言う「開放」とは、操作権が中央操作盤3と現地制御盤5のいずれにも存在しないことを意味する。加えて、ノズルユニット4は、復旧動作を実行し(ステップSd11)、復旧動作を完了すると、自機の状態情報を「確定」から「格納」に更新する。
【0052】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により、図示せぬ消火ポンプ盤のポンプ停止操作が行われると、消火ポンプ運転の表示をOFFする(ステップSd12)。
以上が、放水停止・復旧動作についての説明である。
【0053】
次に、図9は、放水停止・復旧動作を示す別のシーケンス図である。同図に示す動作では、現地制御盤5に接続された現地操作ユニット6の操作に応じて放水停止および復旧を行う場合を想定している。
【0054】
センタ要員により現地操作ユニット6に対して放水停止操作が行われると(ステップSe1)、現地制御盤5は放水停止要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe2)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その放水停止要求信号を受信すると、当該信号を中央操作盤3に転送する(ステップSe3)。中央操作盤3は、この放水停止要求信号を受信すると、放水停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe4)。ノズルユニット4は、この放水停止信号を受信すると、当該信号を現地制御盤5に転送する(ステップSe5)。現地制御盤5は、この放水停止信号を受信すると、ノズルユニット4に対応する起動弁を閉止する(ステップSe6)。その結果、ノズルユニット4からの放水が停止する。
【0055】
起動弁の閉止後、現地制御盤5は、当該起動弁の2次側に設置された圧力スイッチからオフ信号を受信すると(ステップSe7)、放水が停止したことを示す停止信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe8)。ノズルユニット4は、この停止信号を受信すると、自機の状態情報を「放水」から「確定」に更新する(ステップSe9)。
【0056】
その後、センタ要員により現地操作ユニット6に対して復旧操作が行われると(ステップSe10)、現地制御盤5は操作要求信号をノズルユニット4に送信する(ステップSe11)。その際、現地制御盤5は、そのノズルユニット4からのACKが確認できない場合、リトライを実施する。リトライ後も確認できない場合には、動作を終了する。ノズルユニット4は、その操作要求信号を受信すると、自機の操作権情報を「開放」に更新する(ステップSe12)。加えて、復旧動作を実行し(ステップSe13)、復旧動作を完了すると、自機の状態情報を「確定」から「格納」に更新する。
【0057】
その後、中央操作盤3は、センタ要員により消火ポンプ盤のポンプ停止操作が行われると、消火ポンプ運転の表示をOFFする(ステップSe14)。
以上が、放水停止・復旧動作についての説明である。
【0058】
なお、上記の放水停止・復旧動作では中央操作盤3が放水停止信号を出力しているが、中央操作盤3の代わりにノズルユニット4が放水停止信号を出力してもよい。その場合、ノズルユニット4は、現地制御盤5から送信される放水停止要求信号を受けて、その現地制御盤5に対して放水停止信号を送信する。
【0059】
2.変形例
上記の実施形態は以下のように変形してもよい。なお、以下の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0060】
2-1.変形例1
ノズルユニット4の感知部42は、上記の通り、赤外線リニアセンサ421と炎検知器422により構成されている。しかし、この構成はあくまで一例である。火源の探査と検出が可能であれば、別のセンサにより構成されてもよい。
【0061】
2-2.変形例2
消火システム1に補助センサを含めてもよい。ここで言う補助センサとは、ノズルユニット4が備える感知部42、制御部43および信号中継部44を備える端末機器のことである。言い換えると、放水部41を備えないノズルユニット4のことである。この補助センサは、建物Bの高天井部分に設置される。
【0062】
補助センサは、ノズルユニット4と同様に、ループ状の配線L2を介して中央操作盤3と通信可能に接続される。加えて、ループ状の配線L3を介して現地制御盤5と通信可能に接続される。
【0063】
この補助センサは、上記の自動消火モードにおいて以下のように動作する。
まず、中央操作盤3は、火災受信機から感知器発報信号を受信すると、発報した感知器の警戒区域内に設置されているノズルユニット4と補助センサを特定する。そして、特定したノズルユニット4と補助センサに対して探査開始信号を送信する。
【0064】
補助センサは、この探査開始信号を受信すると、火源探査を開始する。そして、火源探査の結果、火源を検出すると、火源検出時の旋回角を示す火源位置信号を中央操作盤3に送信する。
【0065】
中央操作盤3は、火災区画のすべてのノズルユニット4と補助センサから火源位置信号を受信するか、または火源位置信号の第1報を受信してから所定の時間が経過すると、受信した火源位置信号に基づいて放水に最適なノズルユニット4を選択する。このように、補助センサから送信される火源位置信号は、放水に最適なノズルユニット4を選択するために参照される。
【0066】
2-3.変形例3
上記の実施形態では、消火システム1にループ状の配線接続が採用されている。しかし、このループ状の配線接続は、他の防災システムに採用されてもよい。例えば、自動火災報知設備2において、複数の端末機器と、当該複数の端末機器を制御するための制御盤をループ状の配線で通信可能に接続してもよい。具体的には、複数の地区音響装置と火災受信機をループ状の配線で通信可能に接続してもよい。
【0067】
2-4.変形例4
自動火災報知設備2の感知器はアナログ式に限られず、感度固定の感知器であってもよい。また、火災受信機はR型に限られず、P型であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…消火システム、2…自動火災報知設備、3…中央操作盤、4…ノズルユニット、5…現地制御盤、6…現地操作ユニット、7…制御盤、41…放水部、42…感知部、43…制御部、44…信号中継部、421…赤外線リニアセンサ、422…炎検知器
図1
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図9