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特許7402158抗PD-L1抗体及びPD-L1を検出するためにそれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】抗PD-L1抗体及びPD-L1を検出するためにそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20231213BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20231213BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231213BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20231213BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20231213BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20231213BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231213BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20231213BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231213BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20231213BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/21
C12N1/19
C12N5/10
C12P21/08
G01N33/53 D
G01N33/574 A
G01N33/483 C
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020528372
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 US2018062999
(87)【国際公開番号】W WO2019108755
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】62/593,125
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ドリス
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, テレンス
(72)【発明者】
【氏名】チュンサラパイ, アナン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, シェリー ルイーズ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/161976(WO,A1)
【文献】特表2014-509187(JP,A)
【文献】特表2012-511329(JP,A)
【文献】Hyun Tae Lee et al.,Scientific Reports,2017年07月17日,7: 5532,p. 1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
G01N
UniProt/GeneSeq
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と
を含む、単離された抗PD-L1抗体、またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項1に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項3】
ヒトPD-L1への結合に関して参照用抗体と競合せず、前記参照用抗体が、
(a) 以下を含む重鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列GFTFSDSWIH(配列番号11)を含むHVR-H1;
(ii)アミノ酸配列AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号12)を含むHVR-H2;及び
(iii)アミノ酸配列RHWPGGFDY(配列番号13)を含むHVR-H3;ならびに
(b) 以下を含む軽鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号14)を含むHVR-L1;
(ii)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号15)を含むHVR-L2;及び
(iii)アミノ酸配列QQYLYHPAT(配列番号16)を含むHVR-L3
を含む、請求項1または2に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項4】
前記参照用抗体が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項5】
前記参照用抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項6】
ある部分に連結された、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項7】
前記部分が検出可能な部分である、請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項8】
前記検出可能な部分が、ビオチン、ストレプトアビジン、発光剤、酵素、フルオロフォア、染料、放射性標識、発色団、金属イオン、金粒子、銀粒子、磁性粒子、ポリペプチド、またはオリゴヌクレオチドである、請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項9】
前記検出可能な部分がフルオロフォアである、請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項10】
前記フルオロフォアが、R-フィコエリトリン(PE)、PE-Cy7、Alexa Fluor 488、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)、BV421、BV510、APC-H7、Alexa Fluor 647、またはアロフィコシアニン(APC)である、請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片をコードする、単離された核酸。
【請求項12】
請求項11に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項13】
発現ベクターである、請求項12に記載のベクター。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項15】
抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、請求項14に記載の宿主細胞を、前記抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片の産生に適した条件下で培養することを含む、前記方法。
【請求項16】
前記宿主細胞によって産生された抗PD-L1抗体、またはその抗原結合断片を回収することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
対象から得られた生体試料中のPD-L1を検出するための方法であって、
(a)前記生体試料を、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片に接触させること;及び
(b)前記生体試料中のPD-L1への前記抗体または抗原結合断片の結合を検出し、それによって前記生体試料中のPD-L1を検出すること
を含む、前記方法。
【請求項18】
前記抗体または抗原結合断片が、フローサイトメトリーを使用して検出される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生体試料が、血液試料である、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記生体試料が、骨髄試料である、請求項17または18に記載の方法。
【請求項21】
前記生体試料が、細胞または組織である、請求項17または18に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞または組織が、がん細胞またはがん組織である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記生体試料が、生細胞を含む、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、がんを有する、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記がんが、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、及び急性骨髄性白血病からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記生体試料が、治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片を投与された対象から得られ、前記治療用抗体またはその抗原結合断片が、
(a) 以下を含む重鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列GFTFSDSWIH(配列番号11)を含むHVR-H1;
(ii)アミノ酸配列AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号12)を含むHVR-H2;及び
(iii)アミノ酸配列RHWPGGFDY(配列番号13)を含むHVR-H3;ならびに
(b) 以下を含む軽鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号14)を含むHVR-L1;
(ii)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号15)を含むHVR-L2;及び
(iii)アミノ酸配列QQYLYHPAT(配列番号16)を含むHVR-L3
を含む、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記治療用抗体またはその抗原結合断片が、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記治療用抗体またはその抗原結合断片が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を含む組成物。
【請求項30】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体または請求項29に記載の組成物を含む、生体試料中のPD-L1を検出するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年11月30日に出願された米国特許出願第62/593,125号に対する優先権を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの次の提出物の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている:コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:146392040140SEQLIST.TXT、記録日:2018年11月9日、サイズ:20KB)。
【0003】
発明の分野
本発明は、抗PD-L1抗体及びPD-L1を検出するためにそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
T細胞機能障害またはアネルギーが、阻害性受容体であるプログラム死1ポリペプチド(PD-1)の発現の誘導及び持続と同時に生じることが発見された。結果として、PD-1、ならびにPD-1との相互作用を介してシグナル伝達する他の分子、例えばプログラム死リガンド1(PDーL1)及びプログラム死リガンド2(PDーL2)を標的とする治療法は、極めて興味深い分野である。PD-L1シグナル伝達の阻害は、がんの治療のためにT細胞免疫を増強する手段として実証されている(例えば、腫瘍免疫)。抗PD-1または抗PD-L1抗体を使用する療法が、様々なタイプのがんを治療するために開発され、使用されている。例えば、米国特許第8,217,149号を参照されたい。
【0005】
当技術分野では、治療用抗PD-L1抗体で治療された対象からの生体試料中のPD-L1を検出することが必要とされている。本発明は、PD-L1への結合に関して治療用抗PD-L1抗体と競合することなく、特異的にPD-L1を検出する抗PD-L1抗体を提供する。これらの抗体は、例えば、治療用抗PD-L1抗体で治療された対象におけるがん治療の監視に有用である。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本発明は、
(a)以下を含む重鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列TSWMN(配列番号1)を含むHVR-H1;
(ii)アミノ酸配列RIYPRDGDTYYNGKFKD(配列番号2)を含むHVR-H2;及び
(iii)アミノ酸配列NPGGYYFDY(配列番号3)を含むHVR-H3;ならびに
(b)以下を含む軽鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列RASQDIHTYLN(配列番号4)を含むHVR-L1;
(ii)アミノ酸配列YTSRLHS(配列番号5)を含むHVR-L2;及び
(iii)アミノ酸配列QQVSSLPPWT(配列番号6)を含むHVR-L3
を含む単離された抗PD-L1抗体、またはその抗原結合断片を提供する。
一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0007】
本明細書の実施形態のいずれかの一部では、抗体または抗原結合断片は、ヒトPD-L1への結合に関して参照用抗体と競合せず、該参照用抗体は、
(a) 以下を含む重鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列GFTFSDSWIH(配列番号11)を含むHVR-H1;
(ii)アミノ酸配列AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号12)を含むHVR-H2;及び
(iii)アミノ酸配列RHWPGGFDY(配列番号13)を含むHVR-H3;ならびに
(b) 以下を含む軽鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号14)を含むHVR-L1;
(ii)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号15)を含むHVR-L2;及び
(iii)アミノ酸配列QQYLYHPAT(配列番号16)を含むHVR-L3
を含む。
一部の実施形態では、参照用抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、参照用抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0008】
本明細書のいずれかの実施形態の一部では、抗体または抗原結合断片は、ある部分に連結される。一部の実施形態では、その部分は検出可能な部分である。一部の実施形態では、検出可能な部分は、ビオチン、ストレプトアビジン、発光剤、酵素、フルオロフォア、染料、放射性標識、発色団、金属イオン、金粒子、銀粒子、磁性粒子、ポリペプチド、またはオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、検出可能な部分はフルオロフォアである。一部の実施形態では、フルオロフォアは、R-フィコエリトリン(PE)、PE-Cy7、Alexa Fluor 488、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)、BV421、BV510、APC-H7、Alexa Fluor 647、またはアロフィコシアニン(APC)である。
【0009】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片をコードする単離された核酸を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される核酸を含むベクターを提供する。一部の実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。
【0011】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される核酸を含む宿主細胞を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片を産生する方法であって、本明細書に記載の宿主細胞を抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片の産生に適した条件下で培養することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、該方法は、宿主細胞によって産生された抗PD-L1抗体、またはその抗原結合断片を回収することをさらに含む。
【0013】
別の態様では、本発明は、対象から得られた生体試料中のPD-L1を検出するための方法であって、(a)生体試料を本明細書に記載の抗体または抗原結合断片に接触させること;及び(b)生体試料中のPD-L1への抗体または抗原結合断片の結合を検出し、それによって生体試料中のPD-L1を検出することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、フローサイトメトリーを使用して検出される。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、生体試料は血液試料である。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、生体試料は骨髄試料である。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、生体試料は細胞または組織である。一部の実施形態では、細胞または組織は、がん細胞またはがん組織である。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、生体試料は生細胞を含む。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、対象はがんを有する。一部の実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、及び急性骨髄性白血病からなる群から選択される。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、生体試料は、治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片を投与された対象から得られ、該治療用抗体またはその抗原結合断片は、
(a) 以下を含む重鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列GFTFSDSWIH(配列番号11)を含むHVR-H1;
(ii)アミノ酸配列AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号12)を含むHVR-H2;及び
(iii)アミノ酸配列RHWPGGFDY(配列番号13)を含むHVR-H3;ならびに
(b) 以下を含む軽鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号14)を含むHVR-L1;
(ii)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号15)を含むHVR-L2;及び
(iii)アミノ酸配列QQYLYHPAT(配列番号16)を含むHVR-L3
を含む。
一部の実施形態では、治療用抗体またはその抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、治療用抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、対象はヒトである。
【0014】
別の態様では、本発明は、(a)第1の生体試料を、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片に接触させること;(b)第1の生体試料中のPD-L1への抗体または抗原結合断片の結合を検出すること;(c)第1の生体試料中に存在するPD-L1の量を決定すること;(d)治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片での治療後に得られる第2の生体試料を、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片に接触させること;(e)第2の生体試料中のPD-L1への抗体または抗原結合断片の結合を検出すること;(f)第2の生体試料中に存在するPD-L1の量を決定すること;(g)第1の生体試料中に存在するPD-L1の量を第2の生体試料中に存在するPD-L1の量と比較することを含む、対象におけるがん治療を監視する方法を提供する。一部の実施形態では、第2の生体試料中に存在するPD-L1の量が、第1の生体試料と比較して増加していれば、患者が治療用抗PD-L1抗体での治療に応答していないことが示される。一部の実施形態では、第2の生体試料中に存在するPD-L1の量が、第1の生体試料と比較して減少していれば、患者が治療用抗PD-L1抗体での治療に応答していることが示される。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、第1の生体試料は、対象から治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片での治療前に得られる。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、第1の生体試料は、対象から治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片での治療後に得られる。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、第1及び第2の生体試料は血液試料である。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、第1及び第2の生体試料は骨髄試料である。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、第1及び第2の生体試料は細胞または組織である。一部の実施形態では、細胞または組織は、がん細胞またはがん組織である。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、第1及び第2の生体試料は生細胞を含む。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、対象は、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、及び急性骨髄性白血病からなる群から選択されるがんを有する。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、治療用抗体またはその抗原結合断片は、
(a) 以下を含む重鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列GFTFSDSWIH(配列番号11)を含むHVR-H1;
(ii)アミノ酸配列AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号12)を含むHVR-H2;及び
(iii)アミノ酸配列RHWPGGFDY(配列番号13)を含むHVR-H3;ならびに
(b) 以下を含む軽鎖可変領域:
(i)アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号14)を含むHVR-L1;
(ii)アミノ酸配列SASFLYS(配列番号15)を含むHVR-L2;及び
(iii)アミノ酸配列QQYLYHPAT(配列番号16)を含むHVR-L3
を含む。
一部の実施形態では、治療用抗体またはその抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、治療用抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、抗PD-L1抗体または抗原結合断片は、フローサイトメトリーを使用して検出される。本明細書の実施形態のいずれかの一部では、対象はヒトである。
【0015】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を含む組成物を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体もしくは抗原結合断片または本明細書に記載の組成物を含む、生体試料中のPD-L1を検出するためのキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】最も近く一致するマウス生殖系列(配列番号21)に対する14D3抗PD-L1の重鎖可変領域(配列番号7)の配列アラインメントの図である。
図1B】最も近く一致するマウス生殖系列(配列番号22)に対する14D3抗PD-L1の軽鎖可変領域(配列番号8)の配列アラインメントの図である。
図2】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD4+T細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いた(fluorescence minus one)ネガティブゲーティングコントロールを示す。
図3】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD4+T細胞の百分率(%)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図4】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD8+T細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図5】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD8+T細胞の百分率(%)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図6】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD19B細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図7】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 PE 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD19B細胞の百分率(%)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図8】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 APC 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 AF647 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD4+T細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図9】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 APC 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 AF647 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD4+T細胞の百分率(%)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図10】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 APC 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 AF647 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD8+T細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図11】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 APC 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 AF647 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD8+T細胞の百分率(%)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図12】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 APC 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 AF647 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD19B細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図13】A及びBは、A)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 APC 29E.23で染色された;またはB)CytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)での刺激後に、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)もしくはアテゾリズマブの存在下(+薬物)で抗PD-L1 AF647 14.D3で染色された、健常なヒトドナーから得られた血液中のPD-L1+CD19B細胞の百分率(%)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。
図14】A~Cは、健常なドナーから得られた、刺激されていない及び刺激された両血液中の、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)またはアテゾリズマブ(+薬物)の存在下で抗PD-L1 PE 14.D3抗体で染色された、A)CD4+T細胞、B)CD8+T細胞、及びC)CD19B細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。Cytostimは、CytoStim(登録商標)刺激剤を示す。刺激なしFMO:抗PD-L1 PE 14.D3抗体存在せず;刺激なし-薬物:抗PD-L1 PE 14.D3抗体が存在した;刺激なし+薬物:抗PD-L1 PE 14.D3抗体及びアテゾリズマブが存在した;Cytostim FMO:抗PD-L1 PE 14.D3抗体存在せず;Cytostim-薬物:抗PD-L1 PE 14.D3抗体が存在した;ならびにCytostim+薬物:抗PD-L1 PE 14.D3抗体及びアテゾリズマブが存在した。
図15】A~Cは、健常なドナーから得られた、刺激されていない及び刺激された両血液中の、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)またはアテゾリズマブ(+薬物)の存在下で抗PD-L1 AF647 14.D3抗体で染色された、A)CD4+T細胞、B)CD8+T細胞、及びC)CD19B細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。Cytostimは、CytoStim(登録商標)刺激剤を示す。刺激なしFMO:抗-PD-L1 AF647 14.D3抗体存在せず;刺激なし-薬物:抗PD-L1 AF647 14.D3抗体が存在した;刺激なし+薬物:抗PD-L1 AF647 14.D3抗体及びアテゾリズマブが存在した;Cytostim FMO:抗PD-L1 AF647 14.D3抗体存在せず;Cytostim-薬物:抗PD-L1 AF647 14.D3抗体が存在した;ならびにCytostim+薬物:抗PD-L1 AF647 14.D3抗体及びアテゾリズマブが存在した。
図16】A~Cは、健常なドナーから得られた、刺激されていない及び刺激された両血液中の、アテゾリズマブの非存在下(-薬物)またはアテゾリズマブ(+薬物)の存在下で抗PD-L1 APC 29E.23抗体で染色された、A)CD4+T細胞、B)CD8+T細胞、及びC)CD19B細胞の蛍光強度の中央値(MFI)を示すグラフである。アテゾリズマブの非存在下(-薬物)またはアテゾリズマブ(+薬物)の存在下でのD3抗体。FMOは、蛍光染料を一種除いたネガティブゲーティングコントロールを示す。Cytostimは、CytoStim(登録商標)刺激剤を示す。刺激なしFMO:抗-PD-L1 APC 29E.23抗体存在せず;刺激なし-薬物:抗PD-L1 APC 29E.23抗体が存在した;刺激なし+薬物:抗PD-L1 APC 29E.23抗体及びアテゾリズマブが存在した;Cytostim FMO:抗PD-L1 APC 29E.23抗体存在せず;Cytostim-薬物:抗PD-L1 APC 29E.23抗体が存在した;ならびにCytostim+薬物:抗PD-L1 APC 29E.23抗体及びアテゾリズマブが存在した。
図17】フローサイトメトリーによって測定された、抗PDL-1 14D3抗体で染色されたヘパリン化された骨髄及び全血中の多発性骨髄腫(MM)におけるPD-L1の発現を示すグラフである。PCは、形質細胞を示す。BMは、骨髄を示す。具体的な細胞集団は、括弧内に明記する。白抜き記号は、同じ患者を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley&Sons(New York,N.Y.1994)、及びMarch,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 4th ed.,John Wiley&Sons(New York,N.Y.1992)は、本出願に使用される多くの用語に対する一般的指針を当業者に提供する。特許出願及び刊行物を含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により組み込まれている。
【0019】
本発明の実施は、別段の指示がない限り、当技術分野の範囲内である、分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来の技法が用いられる。そのような技法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds 1987,and periodic updates);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,ed.,1994);A Practical Guide to Molecular Cloning(Perbal Bernard V.,1988);Phage Display:A Laboratory Manual(Barbas et al.,2001)などの文献に十分に説明されている。
【0020】
本明細書を解釈する目的において、以下の定義が適用され、適正な場合はいつでも、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆も同様である。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことを理解するべきである。以下に記載されるいずれかの定義が、参照により本明細書に組み込まれているいずれかの文献と矛盾する場合には、以下に記載される定義が優先するものとする。
【0021】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の、合計の非共有性相互作用の強度を指す。別途の指示がない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原との)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(K)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための特定の例証的かつ例示的な実施形態が、本明細書に記載される。
【0022】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含めた(これらに限定されない)、様々な抗体構造を包含する。
【0023】
「抗体断片」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体の一部分を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例として、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);二重特異性抗体;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。抗体をパパイン消化すると、単一の抗原結合部位を各々有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一な抗原結合断片と、名称が容易に結晶化するその能力を反映する、残りの「Fc」断片とが生成される。ペプシンで処理すると、F(ab’)断片が得られ、これは、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋する能力を有する。
【0024】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり及び/または同じエピトープに結合するが、存在し得る変異体抗体、例えば天然に存在する突然変異を含有するかまたはモノクローナル抗体調製物の生成の間に生じる、一般に少量存在する変異体は除外する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。よって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られるものとしての抗体の特徴を示しており、何らかの特定の方法による抗体の生成を必要とするものとして解釈するべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含めた(これらに限定されない)多様な技法によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載されている。
【0025】
「裸の抗体」とは、異種部分(例えば、細胞毒性部分)または放射性標識にコンジュゲートされていない抗体を指す。裸の抗体は、医薬製剤中に存在してもよい。
【0026】
「天然抗体」とは、天然に存在する様々な構造を有する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、続いて定常軽(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。
【0027】
抗体の「クラス」とは、その重鎖によって保有される定常ドメインまたは定常領域のタイプを指す。抗体には5つの主なクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAにさらに分類することができる。免役グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、σ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0028】
「抗PD-L1抗体」、「抗PD-L1」、「PD-L1抗体」、または「PD-L1に結合する抗体」という用語は、抗体が、PD-L1を標的とする上で診断剤及び/または治療剤として有用になるように、十分な親和性でPD-L1に結合することができる抗体を指す。一実施形態では、抗PD-L1抗体の、無関係の非PD-L1タンパク質への結合の程度は、例えば放射免疫アッセイ(RIA)により測定されたときに、抗体のPD-L1への結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、PD-L1に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。ある特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、異なる種由来のPD-L1の間で保存されているPD-L1のエピトープに結合する。ある特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1に結合する。
【0029】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞により産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を保有するものである。ヒト抗体のこの定義は、詳細には非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。
【0030】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部分が特定の源または種に由来する一方で、重鎖及び/または軽鎖の残りの部分が異なる源または種に由来する抗体を指す。
【0031】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3にあるようなサブグループである。一実施形態では、VLに関して、サブグループは、上記のKabat et alにあるようなサブグループカッパIである。一実施形態では、VHに関して、サブグループは、上記のKabat et alにあるようなサブグループカッパIIIである。
【0032】
「ヒト化」抗体とは、非ヒトHVRからのアミノ酸残基及びヒトFRからのアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むものであり、それにおいて、HVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに相当し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに相当する。ヒト化抗体は、場合によって、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化型」とは、ヒト化を経た抗体を指す。
【0033】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する、抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般に、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域 (FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む、類似の構造を有する。(例えば、Kindt et al.,Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい)。抗原結合特異性を与えるには、単一のVHまたはVLドメインで十分であり得る。さらに、ある特定の抗原に結合する抗体は、その抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使用して相補的VLまたはVHドメインのライブラリをそれぞれスクリーニングして、単離されてもよい。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993)、Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照されたい。
【0034】
「超可変領域」または「HVR」という用語は、本明細書で使用される場合、配列が超可変であり、及び/または構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体の可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、天然4本鎖抗体は、6つのHVRを含み、3つがVHにあり(H1、H2、H3)、3つがVLにある(L1、L2、L3)。HVRは一般に、超可変ループ及び/または「相補性決定領域」(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は、最も高い配列可変性を有し、及び/または抗原認識に関与する。例示的な超可変ループは、アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)に生じる。(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。例示的なCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)は、L1の24~34、L2の50~56、L3の89~97、H1の31~35B、H2の50~65、及びH3の95~102のアミノ酸残基に生じる。(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991))。VH内のCDR1を除いて、CDRは一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRはまた、抗原に接触する残基である、「特異性決定残基」または「SDR」も含む。SDRは、短縮型CDR、またはa-CDRと呼ばれるCDRの領域内に含有される。例示的なa-CDR(a-CDR-L1、a-CDR-L2、a-CDR-L3、a-CDR-H1、a-CDR-H2、及びa-CDR-H3)は、L1の31~34、L2の50~55、L3の89~96、H1の31~35B、H2の50~58、及びH3の95~102のアミノ酸残基に生じる(Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい)。別段の指示がない限り、HVR残基及び可変ドメイン内の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上記のKabat et al.に従って番号付けされる。
【0035】
「Fab」断片は、重鎖及び軽鎖可変ドメインを含有し、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端への数個の残基の付加の分だけFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が、遊離チオール基を持つFab’の本明細書での呼称である。F(ab’)抗体断片は、元々、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成されたものであった。抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
【0036】
「Fc領域」という用語は、本明細書では定常領域の少なくとも一部分を含有する免役グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む。ある特定の実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端に及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端のリジン(Lys447)は、存在する場合もあれば、しない場合もある。本明細書で別段明記されない限り、Fc領域または定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0037】
「フレームワーク」または「FR」とは、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は一般に、VH(またはVL)に、FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4の順序で出現する。
【0038】
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では相互に交換可能に使用され、天然抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0039】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、相互に交換可能に使用され、外来核酸が導入された細胞(そのような細胞の子孫を含む)を指す。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞及び継代の数にかかわらずそれに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含量が細親胞と完全に同一ではない場合があるが、突然変異を含有することがある。元々の形質転換された細胞にあった、スクリーニングまたは選択された機能及び生物活性と同じものを有する突然変異体子孫は、本明細書に含まれる。ある特定の実施形態では、宿主細胞は「単離された」宿主細胞であり、「単離された」宿主細胞とは、その自然環境の構成成分から分離された宿主細胞を指す。
【0040】
「単離された」抗体は、その自然環境の構成成分から分離された抗体である。一部の実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定される、95%超または99%超の純度まで精製される。抗体の純度を評価するための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0041】
「単離された」核酸とは、その自然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、核酸分子を通常含有する細胞内に含有される核酸分子が含まれるが、その核酸分子は、染色体外に存在するか、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0042】
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性の割合(%)」は、最大の配列同一性の割合(%)を達成するように配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部としてみなさないときの、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の百分率として定義される。アミノ酸配列同一性の割合(%)を決定するためのアラインメントは、当技術分野の範囲内の様々な方式で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較される配列の全長にわたる最大のアラインメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含めた、配列を整列させるのに適正なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性(%)の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.の著作であり、ソースコードは、ユーザ文書と共に米国著作権庁(U.S.Copyright Office,Washington D.C.,20559)に提出されて、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に利用可能であり、またはソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含めたUNIXオペレーティングシステムで使用する場合はコンパイルするべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。
【0043】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況下では、所与のアミノ酸配列Bに対する、それとの、またはそれと対比した所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性(%)(あるいは、所与のアミノ酸配列B対する、それとの、またはそれと対比した、ある特定のアミノ酸配列同一性(%)を有するまたは含む所与のアミノ酸配列Aと表現することができる)は、以下のように算出される:
分率X/Y×100
式中、Xは、配列整列プログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBとのアラインメントにおいて完全な一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性(%)は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性(%)と等しくはならないことが理解されるだろう。別段特に明示しない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性(%)の値は、直前の段落に記載されるようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
【0044】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、連結している別の核酸を増殖することができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製核酸構造としてのベクター、ならびに導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターが含まれる。ある特定のベクターは、作動的に連結された核酸の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。
【0045】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段の指示がない限り、複数への言及を含む。
【0046】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、当業者であれば容易に理解するそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書での「約」の値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
【0047】
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態には、態様及び実施形態「を含むこと」、それら「からなること」、及びそれら「から本質的になること」が含まれることが理解される。
【0048】
II.PD-L1を検出するための抗PD-L1抗体
一態様では、本発明は、例えば、生体試料中の細胞の表面上のPD-L1タンパク質の検出及び/または定量化に有用な、抗PD-L1抗体を提供する。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、モノクローナル、キメラ、またはヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗PD-L1は、生体試料中の生細胞の表面上のPD-L1タンパク質の検出及び/または定量化に有用である。一部の実施形態では、生体試料は、末梢血試料またはがん試料である。一部の実施形態では、生体試料は骨髄試料である。一部の実施形態では、生体試料は、免疫細胞または腫瘍細胞を含む。一部の実施形態では、試料は、ヒト対象からのものである。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、フローサイトメトリーを使用するPD-L1タンパク質の検出及び/または定量化に使用される。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、PD-L1の抗PD-L1参照用抗体との結合に関して交差競合しない。一部の実施形態では、抗PD-L1参照用抗体は、アテゾリズマブである。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブでの治療を受けた対象においてPD-L1の存在を検出するのに有用である。
【0049】
A.PD-L1を検出するための例示的な抗PD-L1抗体
一般に、本開示の抗体は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1)に免疫特異的に結合する。本開示の抗体は、好ましくはモノクローナル抗体であり、多重特異性、ヒト、ヒト化、マウスまたはキメラ、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリによって生産された断片、及び上のいずれかのPD-L1結合断片であってもよい。本開示の免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、またはサブクラスの免疫グロブリン分子であることができる。
【0050】
本開示のある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗原結合断片として、Fab、Fab’及びF(ab’)、Fd、一本鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、ならびにVまたはVドメインのいずれかを含む断片が挙げられるが、これらに限定されない。抗原結合断片は(一本鎖抗体を含めて)、可変領域(複数可)を単独で含んでも、または、ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3、及びCLドメインの全体または一部分を組み合わせて含んでもよい。同様に本開示に含まれるのは、可変領域(複数可)を、ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3、及びCLドメインと任意に組み合わせて含む抗原結合断片である。好ましくは、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト、ネズミ科(例えば、マウス及びラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ科、ウマ、またはニワトリのものである。
【0051】
本開示の抗体は、それらが含む特定のHVRの観点から説明または特定することができる。
【0052】
ある特定の実施形態では、本発明は、(a)以下を含む重鎖可変領域:アミノ酸配列TSWMN(配列番号1)を含むHVR-H1、アミノ酸配列RIYPRDGDTYYNGKFKD(配列番号2)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列NPGGYYFDY(配列番号3)を含むHVR-H3;ならびに(b)以下を含む軽鎖可変領域:アミノ酸配列RASQDIHTYLN(配列番号4)を含むHVR-L1、アミノ酸配列YTSRLHS(配列番号5)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列QQVSSLPPWT(配列番号6)を含むHVR-L3、を含む抗PD-L1抗体を提供する。
【0053】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、例えば図1A及び図1Bに示されるように、抗体14D3の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVR(Kabat)を含む。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、例えば図1A及び図1Bに示されるように、抗体14D3のVH及び/またはVLを含む。
【0054】
一部の実施形態では、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む、抗PD-L1抗体が提供される。ある特定の実施形態では、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、そのVH配列を含む抗PD-L1抗体は、PD-L1に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号7において置換、挿入及び/または欠失されている。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。場合によって、抗PD-L1抗体は、配列番号7のVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施形態では、VHは、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
【0055】
一部の実施形態では、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、抗PD-L1抗体が提供される。ある特定の実施形態では、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、そのVL配列を含む抗PD-L1抗体は、PD-L1抗体に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号8において置換、挿入及び/または欠失されている。ある特定の実施形態では、その置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。場合によって、抗PD-L1抗体は、配列番号8のVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。特定の実施形態では、VLは、(a)配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(c)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
【0056】
別の態様では、上に示した実施形態のいずれかにおけるVHと、上に示した実施形態のいずれかにおけるVLとを含む、抗PD-L1抗体が提供される。一実施形態では、抗体は、配列番号7のVH配列と配列番号8のVL配列とを含み、それらの配列の翻訳後修飾を含む。
【0057】
別の態様では、上に示した実施形態のいずれかにおける重鎖と、上に示した実施形態のいずれかにおける軽鎖とを含む、抗PD-L1抗体が提供される。一実施形態では、抗体は、配列番号9の重鎖配列と配列番号10の軽鎖配列とを含み、それらは、これらの配列の翻訳後修飾を含む。
【0058】
本開示の抗体はまた、それらのPD-L1(例えばヒトPD-L1)への結合親和性の観点から説明または特定することができる。好ましい結合親和性には、5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、または10-15M未満の解離定数もしくはKdを有するものが含まれる。
【0059】
本発明のさらなる態様では、上の実施形態のいずれかによる抗PD-L1抗体は、キメラ、ヒト化、またはマウス抗体を含めた、モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗PD-L1抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、二重特異性抗体、またはF(ab’)断片である。別の実施形態では、抗PD-L1抗体は、全長抗体、例えば、インタクトなIgG1抗体または本明細書において定義される他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。
【0060】
本発明のさらなる態様では、上の実施形態のいずれかによるまたは本明細書に記載される抗PD-L1抗体は、異種部分または検出可能な部分に連結またはコンジュゲートされる。一部の実施形態では、検出可能な部分は、標識またはビオチンである。一部の実施形態では、検出可能な部分は、標識である。一部の実施形態では、検出可能な部分は、ビオチンである。一部の実施形態では、検出可能な部分は、フルオロフォアである。一部の実施形態では、フルオロフォアは、R-フィコエリトリン(PE)、PE-Cy7、Alexa Fluor 488、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)、BV421、BV510、APC-H7、Alexa Fluor 647、またはアロフィコシアニン(APC)である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、R-フィコエリトリン(PE)である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、アロフィコシアニン(APC)である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、Alexa Fluor 647である。
【0061】
抗PD-L1抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列:
QVQLQQSGPELVNPGASVKISCKASGYAFSTSWMNWVKQRPGKGLEWIGRIYPRDGDTYYNGKFKDKATLTADKSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYFCTKNPGGYYFDYWGQGTTLTVSS(配列番号7)
【0062】
抗PD-L1抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列:
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTINCRASQDIHTYLNWYQQKPDGTVKLLIFYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQVSSLPPWTFGGGTKVEIK(配列番号8)
【0063】
抗PD-L1抗体の重鎖のアミノ酸配列:
QVQLQQSGPELVNPGASVKISCKASGYAFSTSWMNWVKQRPGKGLEWIGRIYPRDGDTYYNGKFKDKATLTADKSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYFCTKNPGGYYFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVYPLAPVCGDTTGSSVTLGCLVKGYFPEPVTLTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVTSSTWPSQSITCNVAHPASSTKVDKKIEPRGPTIKPCPPCKCPAPNLLGGPSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPG(配列番号9)
【0064】
抗PD-L1抗体の軽鎖のアミノ酸配列:
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTINCRASQDIHTYLNWYQQKPDGTVKLLIFYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQVSSLPPWTFGGGTKVEIKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC(配列番号10)
【0065】
B.参照用または治療用抗PD-L1抗体
別の態様では、本明細書に記載の抗PD-L1抗体は、PD-L1への結合に関して参照用抗PD-L1抗体または治療用抗PD-L1抗体と交差競合しない。「参照用抗PD-L1抗体」及び「治療用抗PD-L1抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、本開示の抗PD-L1以外の抗PD-L1抗体を指す。「参照用抗PD-L1抗体」及び「治療用抗PD-L1抗体」という用語は、相互に交換可能に使用することができるが、「治療用抗PD-L1抗体」という用語は一般に、該抗体が対象に投与されるときに使用される。
【0066】
ある特定の実施形態では、参照用または治療用抗PD-L1抗体は、(a)以下を含む重鎖可変領域:アミノ酸配列GFTFSDSWIH(配列番号11)を含むHVR-H1、アミノ酸配列AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号12)を含むHVR-H2、及びアミノ酸配列RHWPGGFDY(配列番号13)を含むHVR-H3;ならびに(b)以下を含む軽鎖可変領域:アミノ酸配列RASQDVSTAVA(配列番号14)を含むHVR-L1、アミノ酸配列SASFLYS(配列番号15)を含むHVR-L2、及びアミノ酸配列QQYLYHPAT(配列番号16)を含むHVR-L3;を含む。
【0067】
一部の実施形態では、参照用または治療用抗PD-L1抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する重鎖可変領域、及び/または配列番号18のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
【0068】
一部の実施形態では、参照用または治療用抗PD-L1抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を有する重鎖に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を有する軽鎖に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する軽鎖とを含む。
【0069】
一部の実施形態では、参照用または治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))である。
【0070】
一部の実施形態では、参照用または治療用抗PD-L1抗体は、モノクローナル、キメラ、またはヒト化である。
【0071】
例示的な参照用または治療用抗PD-L1抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号17)
【0072】
例示的な参照用または治療用抗PD-L1抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIK(配列番号18)
【0073】
例示的な参照用または治療用抗PD-L1抗体の重鎖のアミノ酸配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号19)
【0074】
例示的な参照用または治療用抗PD-L1抗体の軽鎖のアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号20)
【0075】
C.生成方法
本発明によって使用される抗抗体を生成するための例示的な技法について以下に説明する。
【0076】
i.ポリクローナル抗体
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体を含んでもよい。ポリクローナル抗体を調製する方法は、当業者に公知である。ポリクローナル抗体は、哺乳動物において、例えば、免疫剤及び所望であればアジュバントの1回または複数回の注射によって産生され得る。典型的には、免疫剤及び/またはアジュバントは、複数回の皮下または腹腔内注射によって哺乳動物に注射されるものである。免疫剤は、抗PD-L1、その抗原結合断片、またはその融合タンパク質を含んでもよい。免疫される哺乳動物において免疫原性であることが知られているタンパク質に免疫剤をコンジュゲートさせることが有用であり得る。そのような免疫原性タンパク質の例として、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、及びダイズトリプシン抑制因子が挙げられるが、これらに限定されない。用いることができるアジュバントの例として、フロイント完全アジュバント、及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。免疫プロトコルは、当業者であれば過度な実験を行うことなく選択することができる。哺乳動物は次いで採血され、その血清を抗PD-L1抗体価について評価することができる。所望であれば、哺乳動物は、抗体価が増加するかまたはプラトーに達するまで追加免疫することができる。
【0077】
ii.モノクローナル抗体
本発明の抗体は、あるいはモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法により作製されてもよいし、または組換えDNA法によって作製されてもよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。
【0078】
ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適正な宿主動物、例えばハムスターが、上記のように免疫されて、免疫化に使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するまたは産生できるリンパ球が誘発される。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫されてもよい。免疫された後、リンパ球は単離され、次いでポリエチレングリコールなどの適した融剤を使用して骨髄腫細胞株に融合されて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。
【0079】
このように調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親骨髄腫細胞(融合パートナーとも称される)の増殖または生存を阻害する1種または複数の物質を含有する適切な培地に播種し、増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用選択培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含むことになり(HAT培地)、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する。
【0080】
融合パートナーである骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの産生を支援し、融合していない親細胞に対して選択する選択培地に対して感受性を示すものである。骨髄腫細胞株は、マウス骨髄腫株、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California USAから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍、ならびにAmerican Type Culture Collection,Manassas,Virginia,USAから入手可能なSP-2及び誘導体、例えばX63-Ag8-653細胞から誘導されるものである。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記載されている(Kozbor,J.Irnmunol.,133:3001(1984);及びBrodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0081】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培地は、抗原に対して指向されるモノクローナル抗体の産生に関してアッセイされる。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロ結合アッセイ、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定することができる。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al.,Anal.Biochem.,107:220(1980)に記載されるスキャチャード解析によって決定することができる。
【0082】
所望の特異性、親和性、及び/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を特定した後、クローンを限界希釈手順によりサブクローニングし、標準的な方法によって増殖させることができる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。この目的に適した培地として、例えば、D-MEMまたはRPMI-1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、例えば、この細胞をマウスに腹腔内注射することによって、動物内での腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
【0083】
サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、親和性クロマトグラフィ(例えば、タンパク質Aまたはタンパク質G-セファロースを使用するもの)またはイオン交換クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析などの従来の抗体精製手順によって、培地、腹水、または血清から適切に分離される。
【0084】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離及び配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの供給源として機能する。単離した後、該DNAを発現ベクター内に入れ、次いでそれを、宿主細胞、例えば、元来抗体タンパク質を産生しない、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞中にトランスフェクトして、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成物を得てもよい。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現に関する概説論文として、Skerra et al.,Curr.Opinion in Immunol.,5:256-262(1993)及びPliickthun,Immunol.Revs.130:151-188(1992)が挙げられる。
【0085】
さらなる実施形態では、モノクローナル抗体または抗体断片は、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)に記載される技法を使用して生成された抗体ファージライブラリから単離することができる。Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)は、ファージライブラリを使用したマウス及びヒト抗体の単離をそれぞれ記載している。その後の刊行物は、鎖シャッフリングによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marks et al.,Bio/Technology,10:779-783(1992))、ならびに極めて大きいファージライブラリを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染及びインビボ組換えを記載している(Waterhouse et al.,Nuc.Acids.Res.,21:2265-2266(1993))。よって、これらの技法は、モノクローナル抗体を単離するための伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ技法に代わる実行可能な別法である。
【0086】
原則として、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質に融合した抗体可変領域(Fv)の様々な断片をディスプレイするファージを含有するファージライブラリをスクリーニングすることによって選択される。そのようなファージライブラリは、所望の抗原に対してスクリーニングされる。所望の抗原に結合することができるFv断片を発現するクローンは、その抗原に吸着し、よってライブラリ内の結合していないクローンから分離される。次いで、結合クローンは、抗原から溶出され、追加の抗原吸着/溶出サイクルによってさらに富化することができる。
【0087】
可変ドメインは、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されるように、短いフレキシブルペプチドを介してVHとVLとが共有結合した一本鎖Fv(scFv)断片として、またはそれらが各々定常ドメインに融合し、非共有結合的に相互作用するFab断片としてのいずれかで、ファージ上に機能的にディスプレイすることができる。
【0088】
VH及びVL遺伝子のレパートリーは、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されるように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリにおいてランダムに組換えることができ、次いでこれらを抗原結合クローンについて検索することができる。免疫された供給源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)に記載されるように、ナイーブレパートリーをクローニングすれば、いかなる免疫化も行うことなく、広範囲の非自己抗原及びまた自己抗原に対する単一のヒト抗体供給源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリはまた、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されるように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して高度可変CDR3領域をコードし、インビトロで再配列を遂行することによって、合成的に作製することができる。
【0089】
ライブラリのスクリーニングは、当技術分野で公知の様々な技法によって遂行することができる。例えば、PD-L1を使用して、吸着プレートのウェルをコーティングすることができ、吸着プレートに付着された宿主細胞で発現されるか、または細胞選別に使用されるか、またはストレプトアビジンコーティングビーズで捕捉するためにビオチンにコンジュゲートされるか、またはファージディスプレイライブラリをパニングするための任意の他の方法に使用されてもよい。
【0090】
遅い解離速度(及び良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bass et al.,Proteins,8:309-314(1990)及びWO92/09690に記載されるような長時間の洗浄及び一価ファージディスプレイの使用、ならびにMarks et al.,Biotechnol.,10:779-783(1992)に記載されるような抗原の低コーティング密度の使用によって促進することができる。
【0091】
本発明の抗PD-L1抗体のいずれも、目的とするファージクローンを選択するのに適した抗原スクリーニング手順を設計し、続いて、目的とするファージクローンからのFv配列と、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda Md.(1991),vols.1-3に記載される適切な定常領域(Fc)配列とを使用して、全長の抗PD-L1抗体クローンを構築することによって得ることができる。
【0092】
iii.抗体変異体
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的性質を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製されてもよい。そのような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、及び/またはそこへ残基の挿入、及び/またはその内の残基の置換が含まれる。最終構築物に到達するために欠失、挿入、及び置換を任意に組み合わせることができるが、但し、その最終構築物が所望の特性、例えば、抗原結合を保有することを条件とする。
【0093】
1.置換、挿入、及び欠失変異体
ある特定の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換による変異誘発に関して目的とする部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換を表1に「保存的置換」という見出しの下に示す。より実質的な変化を表1に「例示的置換」の見出しの下に示し、またアミノ酸側鎖クラスに関して下にさらに記載する。目的とする抗体中にアミノ酸置換を導入し、その産物を、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、または改善されたADCCもしくはCDCについてスクリーニングすることができる。
【0094】
アミノ酸は、一般的な側鎖の性質に従ってグループ化することができる:
-疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
-中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
-酸性:Asp、Glu;
-塩基性:His、Lys、Arg;
-鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
-芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0095】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うことになる。
【0096】
あるタイプの置換変異体は、親抗体(例えば、マウス、ヒト化、またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなる研究のために選択される、得られた変異体(複数可)は、親抗体と比較して、ある特定の生物学的性質における修飾(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)を有し、及び/または実質的に保持された親抗体のある特定の生物学的性質を有することになる。例示的な置換変異体は、例えば、本明細書に記載されるものなどのファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して好都合に生成することができる、親和性成熟抗体である。簡潔には、1つまたは複数のHVR残基を変異させ、変異体抗体をファージ上にディスプレイし、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。
【0097】
改変(例えば、置換)は、HVR中で、例えば、抗体親和性を改善するために行われてもよい。そのような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセスの間に高頻度で変異が起こるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196 (2008)を参照されたい)、及び/またはSDR(a-CDR)において行われてもよく、得られた変異体VHまたはVLが、結合親和性について試験される。二次ライブラリからの構築及び再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.によりMethods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟の一部の実施形態では、多様性が、種々の方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリは、所望の親和性を有する任意の抗体変異体を特定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)をランダム化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデリングを使用して、具体的に特定されてもよい。HVR-H3及びHVR-L3が特に標的とされることが多い。
【0098】
ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低減させない限り、1つまたは複数のHVR中で生じてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低減させない保存的改変(例えば、本明細書に提供されるような保存的置換)が、HVR中で行われてもよい。そのような改変は、HVRの「ホットスポット」またはSDRの外側であってもよい。上に提供される変異体VH及びVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは、改変されていないか、または1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有するかのいずれかである。
【0099】
変異誘発のために標的とすることができる抗体の残基または領域を特定するのに有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085によって記載されるような「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれるものである。この方法では、一残基または一群の標的残基(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGluなどの荷電残基)が特定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられて、抗体の抗原との相互作用が影響を受けたかどうかが決定される。この最初の置換に対して機能的感受性を示したアミノ酸の場所に、さらなる置換が導入されてもよい。
【0100】
あるいは、または加えて、抗体と抗原との間の接点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び近隣の残基は、置換候補として標的とされても、または置換候補から除外されてもよい。変異体をスクリーニングして、それらが所望の性質を含有するかどうかを決定してもよい。
【0101】
アミノ酸配列挿入には、1残基から100残基以上を含有するポリペプチドの長さに及ぶアミノ末端及び/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列中への挿入が含まれる。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体には、N末端もしくはC末端に、酵素(例えば、ADEPTのための)または抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドを融合させたものが含まれる。
【0102】
iv.組換え法及び組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載される組換え法及び組成物を使用して生産されてもよい。一実施形態では、本明細書に記載の抗PD-L1抗体をコードする単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードすることができる。さらなる実施形態では、そのような核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施形態では、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。そのような一実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施形態では、宿主細胞は、真核性であり、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ球様細胞(例えば、YO、NSO、Sp20細胞)である。一実施形態では、上に提供される、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に適した条件下で培養すること、及び場合によって抗体を宿主細胞(または宿主細胞培地)から回収することを含む、抗PD-L1抗体を作製する方法が提供される。
【0103】
抗PD-L1抗体の組換え産生のために、例えば上記のような、抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/または発現のために1つまたは複数のベクターに挿入される。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離し、配列決定することができる。
【0104】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に適した宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合には、細菌で産生されてもよい。細菌での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(また、E.coliでの抗体断片の発現を記載している、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)。発現後、抗体は、細菌細胞ペーストから可溶性画分中に単離されてもよく、さらに精製することができる。
【0105】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、抗体をコードするベクターに適したクローニングまたは発現宿主であり、そうしたものには真菌及び酵母株が含まれ、それらのグリコシル化経路が「ヒト化」されていることによって、部分的または完全なヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の産生がもたらされる。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0106】
グリコシル化抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例として、植物及び昆虫細胞が挙げられる。昆虫細胞と併せて(特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションに)使用することができる、多数のバキュロウイルス株が特定されている。植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している)を参照されたい。
【0107】
脊椎動物細胞も、宿主として使用されてもよい。例えば、懸濁液中で増殖するように適合された哺乳動物細胞株が、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV 1株;ヒト胎児性腎株(例えば、Graham et al.,J Gen Viral.36:59(1977)に記載される293または293細胞);ベビーハムスター腎細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるTM4細胞;サル腎細胞(CV 1);アフリカミドリザル腎細胞(VER0-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep 02);マウス乳癌(MMT 060562);TRI細胞、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるもの;MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株として、DHFK CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含めた、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびに骨髄腫細胞株、例えば、YO、NSO、及びSp2/0が挙げられる。抗体産生に適したある特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0108】
III.アッセイ
本明細書に提供される抗PD-L1抗体は、当技術分野で公知の様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的性質及び/または生物活性について特定する、スクリーニングする、または特徴付けることができる。
【0109】
a.結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様では、本発明の抗体は、例えば、ELISA、ウエスタンブロットなどの公知の方法によって、その抗原結合活性について試験される。結合親和性は、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。一実施形態では、抗体のKは、以下のアッセイに説明するように、Fab型の抗体及び抗原分子を用いて行われる放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。すなわち、非標識抗原の滴定系列の存在下でFabを最小限の濃度の(125I)標識抗原と平衡化し、次いで結合した抗原を抗Fab抗体コーティングプレートで捕捉することによって、抗原に対するFabの溶液の結合親和性を測定する(Chen,et al.,(1999)J.Mol.Biol 293:865-881)。このアッセイの条件を確立するために、マイクロタイタープレート(Dynex)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中5ug/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間室温(およそ23℃)でブロッキングする。非吸着プレート(Nunc番号269620)において、100pMまたは26pMの[125I]抗原を、目的とするFabの段階希釈物と混合する(Presta et al.,(1997)Cancer Res.57:4593-4599における抗VEGF抗体、Fab-12の評価に準じる)。目的とするFabを次いで一晩インキュベートするが、インキュベーションは、確実に平衡に達するように、より長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、混合物を捕捉プレートに移して、室温で1時間インキュベートする。次いで溶液を除去し、プレートをPBS中0.1%Tween-20で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150ul/ウェルのシンチラント(MicroScint-20、Packard)を添加し、Topcountガンマ計数器(Packard)でプレートを10分間計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイに使用するために選択する。
【0110】
別の実施形態によれば、Kは、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000機器(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を約10応答単位(RU)で固定化された抗原CM5チップと共に25℃で使用する、表面プラズモン共鳴アッセイを使用することによって測定される。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore,Inc.)を、供給業者の使用説明書に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)を用いて抗原を5μg/mL(約0.2μM)に希釈した後、5μL/分の流量で注入して、およそ10応答単位(RU)のカップリングしたタンパク質を得る。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応の基をブロックする。速度論的測定のために、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、0.05%のTWEEN-20(商標)界面活性剤を含むPBS(PBST)中に25℃でおよそ25μL/分の流量で注入する。単純な1対1Langmuir結合モデル(BIAcore(登録商標)Evaluation Software第3.2版)を使用して、会合センサグラム及び解離センサグラムを同時にフィッティングすることによって、会合速度(kon)及び解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(K)は、koff/kon比として算出される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。オン速度が、上の表面プラズモン共鳴アッセイによって10-1-1を超える場合、オン速度は、蛍光消光技法を使用することによって決定することができる。該技法は、漸増濃度の抗原の存在下で、PBS(pH7.2)中20nMの抗抗原抗体(Fab型)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nmバンドパス)の増加または減少を測定するものであり、ストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計において測定される。
【0111】
別の態様では、競合アッセイを使用して、本明細書に記載の抗PD-L1抗体が、PD-L1への結合に関して、本明細書に記載される治療用または参照用抗体と競合するかどうかを決定することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗PD-L1抗体がPD-L1への結合に関して本明細書に記載される治療用または参照用抗体と競合するかどうかを決定するために使用される競合アッセイは、フローサイトメトリーである。ある特定の実施形態では、そのような競合抗体は、PD-L1の同じエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols”in Methods in Molecular Biology vol.Humana Press,Totowa,NJ)に示されている。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗PD-L1抗体は、PD-L1への結合に関して、本明細書に記載される治療用または参照用抗体と競合しない。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体が、競合アッセイにおいて、治療用または参照用抗体のPD-L1への結合を20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満ブロックするならば、抗PD-L1抗体は、PD-L1への結合に関して、本明細書に記載される治療用または参照用抗体と競合しない。一部の実施形態では、抗PD-L1抗体が、競合アッセイにおいて、治療用または参照用抗体のPD-L1への結合を20%より多く、25%より多く、30%より多く、35%より多く、40%より多く、45%より多く、50%より多く、55%より多く、60%より多く、65%より多く、70%より多く、75%より多く、80%より多く、85%より多く、90%より多く、95%より多くブロックするならば、抗PD-L1抗体は、PD-L1への結合に関して、本明細書に記載される治療用または参照用抗体と競合する。一部の実施形態では、PD-L1は、ヒトPD-L1である。
【0112】
例示的な競合アッセイでは、PD-L1に結合する第1の標識抗体(例えば、第1の標識抗PD-L1抗体)及びPD-L1への結合に関して第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の非標識抗体(例えば、第2の非標識抗PD-L1抗体)を含む溶液中で、固定化PD-L1をインキュベートする。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中で、固定化PD-L1をインキュベートする。PD-L1への第1の抗体の結合を許容する条件下でのインキュベーション後に、結合していない過剰な抗体を除去し、固定化PD-L1と会合した標識の量を測定する。固定化PD-L1と会合している試験試料中の標識の量が対照試料に対して実質的に低減していれば、それは、第2の抗体がPD-L1への結合に関して第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。競合アッセイは、PD-L1をトランスフェクトし、表面上に発現させた細胞を使用するFACSで、上記のように行うこともできる。加えて、PD-L1を用いるELISAも、競合アッセイに使用することができる。一部の実施形態では、競合アッセイは、フローサイトメトリーである。
【0113】
Iv.抗PD-L1抗体を使用する方法
本開示のある特定の態様は、例えば、治療用抗PD-L1抗体治療に対する対象の応答性を評価するために、例えばがんを有する対象からの、生体試料中のヒトPD-L1の発現のレベルを検出または定量化する方法に関する。本明細書に開示されるように、理論に縛られることを望むものではないが、生体試料中のPD-L1の発現レベル、例えば、細胞の表面上に発現するヒトPD-L1のレベルは、がん(例えば、PD-L1を発現するがん)の診断に、またがん療法(例えば、治療用抗PD-L1抗体での治療)に対する応答性を評価するために使用することができる。本明細書に開示されるように、本開示の抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1への結合に関して、治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)と競合しない(実施例1及び2を参照されたい)。有利なことに、本開示の抗PD-L1抗体は、例えばフローサイトメトリーアッセイを使用して、アテゾリズマブなどの治療用抗PD-L1抗体の存在下で、免疫及び腫瘍細胞からのPD-L1発現を定量化するために使用することができる。これは、PD-L1クローン29E.23などの他の市販される抗PD-L1抗体とは対照的である。これらは、ヒト抗PD-L1への結合に関して治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)と競合し、それによって免疫及び腫瘍細胞の表面上のPD-L1発現を定量化する際にそれらを使用することができない。
【0114】
本開示の方法は、とりわけ、治療用抗PD-L1抗体で治療されることになる/治療された/治療されている、がんを有する対象の投薬を調節する/調整する/決定する/選択するために、治療用抗PD-L1抗体での治療のためにがんを有する対象を選択するために、治療用抗PD-L1抗体に対する対象の応答性を評価するために、治療用抗PD-L1抗体で治療された、がんを有する対象の無増悪生存期間を評価するために、治療用抗PD-L1抗体で治療された、がんを有する対象における腫瘍量を評価するために、治療用抗PD-L1抗体で治療された、がんを有する対象におけるがんの進行を予測するために、PD-L1を発現するがんを有する対象を診断するために、治療用抗PD-L1抗体での治療に応答するがんを有する対象を診断するために、及び治療用抗PD-L1抗体で治療された、がんを有する対象におけるがんの進行を診断するために、使用することができる。がんの例として、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、及び/または急性骨髄性白血病を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、がんは、PD-L1を発現するがんである。
【0115】
本明細書に提供される抗PD-L1抗体のいずれかは、生体試料中のPD-L1の存在を検出するのに有用である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗PD-L1抗体のいずれかは、生体試料中のPD-L1レベルを定量化するのに有用である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗PD-L1抗体のいずれかは、免疫細胞を含む生体試料中のPD-L1の存在を検出するのに有用である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗PD-L1抗体のいずれかは、腫瘍細胞を含む生体試料中のPD-L1の存在を検出するのに有用である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗PD-L1抗体のいずれかは、生細胞を含む生体試料中のPD-L1の存在を検出するのに有用である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗PD-L1抗体のいずれかは、生体試料中のPD-L1の存在を検出するのに有用であり、ここで、生体試料は、治療用抗PD-L1抗体で治療された対象からのものである。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗PD-L1抗体のいずれかは、例えば、フローサイトメトリー、イムノアッセイ(例えば、ELISAに基づくアッセイ及び近接伸長アッセイ)、ウエスタンブロット法、ペプチドマイクロアレイ、免疫組織化学的検査、及び/または質量分析を使用する、生体試料中のPD-L1の存在を検出するのに有用である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗PD-L1抗体のいずれかは、生体試料中のPD-L1の存在を検出するのに有用であり、ここで、生体試料は血液試料である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗PD-L1抗体のいずれかは、生体試料中のPD-L1の存在を検出するのに有用であり、ここで、生体試料は骨髄試料である。
【0116】
検出標識
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、反応性部分、活性化部分、または反応性システインチオール基を通して抗体に共有結合することができる任意の標識部分にコンジュゲートされる(Singh et al(2002)Anal.Biochem.304:147-15;Harlow E.and Lane,D.(1999)Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Lundblad R.L.(1991)Chemical Reagents for Protein Modification,2nd ed.CRC Press,Boca Raton,FL)。結合した標識は、以下のように機能することができる:(i)検出可能なシグナルを提供する、(ii)第2の標識と相互作用して、第1または第2の標識によって提供される検出可能な信号を改変して、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を生じる、(iii)抗原もしくはリガンドとの相互作用を安定化する、またはそれらとの結合の親和性を増大させる、(iv)電荷、疎水性、形状、もしくは他の物理的パラメータによって、移動性、例えば電気泳動移動度もしくは細胞透過性に影響を与える、または(v)捕捉部分を提供して、リガンド親和性、抗体/抗原結合、もしくはイオン性錯体形成を調節する。
【0117】
蛍光標識、例えば、希土類キレート(ユーロピウムキレート)、フルオレセイン型(FITC、5-カルボキシフルオロセイン、6-カルボキシフルオロセインが含まれる);ローダミン型(TAMRAが含まれる);ダンシル;リサミン;シアニン;フィコエリトリン;テキサスレッド;及びこれらの類似体。蛍光標識は、例えば、Current Protocols in Immunology(上記)に開示される技法を用いて抗体にコンジュゲートすることができる。蛍光染料及び蛍光標識試薬には、Invitrogen/Molecular Probes(Eugene,OR)及びPierce Biotechnology,Inc.(Rockford,IL)から市販されるものが含まれる。一部の実施形態では、フルオロフォアは、R-フィコエリトリン(PE)、PE-Cy7、Alexa Fluor 488、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)、BV421、BV510、APC-H7、Alexa Fluor 647、またはアロフィコシアニン(APC)である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、R-フィコエリトリン(PE)である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、PE-Cy7である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、Alexa Fluor 488である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、BV421である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、BV510である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、APC-H7である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、Alexa Fluor 647である。一部の実施形態では、フルオロフォアは、アロフィコシアニン(APC)である
【0118】
標識されたシステイン操作抗体は、診断アッセイにおいて、例えば、目的とする抗原の発現を特定の細胞、組織、または血清中に検出するのに有用であり得る。診断用途では、抗体は、典型的には検出可能な部分で標識されるであろう。多数の標識が利用可能であり、これらは一般に、以下のカテゴリーにグループ化することができる:
【0119】
放射性同位体(放射性核種)、例えば、H、11C、14C、18F、32P、35S、64Cu、68Ga、86Y、99Tc、111In、123I、124I、125I、131I、133Xe、177Lu、211At、または213Bi。放射性同位体標識抗体は、受容体を標的とするイメージング実験において有用である。抗体は、Current Protocols in Immunology,Volumes 1 and 2,Coligen et al,Ed.Wiley-Interscience,New York,NY,Pubs.(1991)に記載される技法を用いて、放射性同位体金属と結合、キレート化、または錯体形成するリガンド試薬(この試薬は抗体の操作システインチオールと反応する)で標識することができる。金属イオンと錯体形成することができるキレート化リガンドとして、DOTA、DOTP、DOTMA、DTPA、及びTETA(Macrocyclics,Dallas,TX)が挙げられる。放射性核種は、本発明の抗体-薬物コンジュゲートとの錯体形成を介して標的とすることができる(Wu et al(2005)Nature Biotechnology 23(9):1137-1146)。
【0120】
DOTA-マレイミド(4-マレイミドブチルアミドベンジル-DOTA)などのリンカー試薬は、Axworthy et al((2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97(4):1802-1807)の手順に従って、アミノベンジル-DOTAを、クロロギ酸イソプロピル(Aldrich)で活性化された4-マレイミド酪酸(Fluka)と反応させることによって調製することができる。DOTA-マレイミド試薬は、システイン操作抗体の遊離システインアミノ酸と反応し、抗体上に金属錯体形成リガンドをもたらす(Lewis et al(1998)Bioconj.Chem. 9:72-86)。キレート化リンカー標識試薬、例えばDOTA-NHS(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)は、市販されている(Macrocyclics,Dallas,TX)。放射性核種標識抗体を用いた受容体標的イメージングは、腫瘍組織での抗体の進行性蓄積を検出及び定量化することによって、経路活性化のマーカーを提供することができる(Albert et al(1998)Bioorg.Med.Chem.Lett.8:1207-1210)。コンジュゲートされた放射性金属は、リソソームの分解後に細胞内に残存し得る。
【0121】
イメージング実験の抗体標識として適した金属-キレート錯体は、以下に開示されている:US5,342,606;US5,428,155;US5,316,757;US5,480,990;US5,462,725;US5,428,139;US5,385,893;US5,739,294;US5,750,660;US5,834,456;Hnatowich et al(1983)J.Immunol.Methods 65:147-157;Meares et al(1984)Anal.Biochem.142:68-78;Mirzadeh et al(1990)Bioconjugate Chem.1:59-65;Meares et al(1990)J.Cancer1990,Suppl.10:21-26;Izard et al(1992)Bioconjugate Chem.3:346-350;Nikula et al(1995)Nucl.Med.Biol.22:387-90;Camera et al(1993)Nucl.Med.Biol.20:955-62;Kukis et al(1998)J.Nucl.Med.39:2105-2110;Verel et al(2003)J.Nucl.Med.44:1663-1670;Camera et al(1994)J.Nucl.Med.21:640-646;Ruegg et al(1990)Cancer Res.50:4221-4226;Verel et al(2003)J.Nucl.Med.44:1663-1670;Lee et al(2001) Cancer Res.61:4474-4482;Mitchell,et al(2003)J.Nucl.Med.44:1105-1112;Kobayashi et al(1999)Bioconjugate Chem.10:103-111;Miederer et al(2004)J.Nucl.Med.45:129-137;DeNardo et al(1998)Clinical Cancer Research 4:2483-90;Blend et al(2003)Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals 18:355-363;Nikula et al(1999)J.Nucl.Med.40:166-76;Kobayashi et al(1998)J.Nucl.Med.39:829-36;Mardirossian et al(1993)Nucl.Med.Biol.20:65-74;Roselli et al(1999)Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals,14:209-20。
【0122】
様々な酵素-基質標識が、入手可能であるか、または開示されている(US4275149)。酵素は、一般に、様々な技法を使用して測定することができる発色基質の化学変性を触媒する。例えば、酵素は、分光光度法により測定することができる基質の色の変化を触媒してもよい。あるいは、酵素は、基質の蛍光または化学発光を改変してもよい。蛍光の変化を定量化するための技法は、上に記載されている。化学発光基質は、化学反応により電子的に励起状態になり、次いで(例えば、化学発光計を用いて)測定することができる光を発するかまたは蛍光アクセプターにエネルギーを供与することができる。酵素標識の例として、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;US4,737,456)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ(AP)、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環式オキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼなどが挙げられる。酵素を抗体にコンジュゲートするための技法は、O’Sullivan et al(1981)“Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay”,in Methods in Enzym.(ed J.Langone&H.Van Vunakis),Academic Press,New York,73:147-166に記載されている。酵素-基質の組み合わせの例として、例えば:(i)基質として水素ペルオキシダーゼを有する西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ここで、水素ペルオキシダーゼは、染料前駆体(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)または3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する;(ii)発色基質としてパラ-ニトロフェニルホスフェートを有するアルカリホスファターゼ(AP);及び(iii)発色基質(例えば、p-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)または蛍光発生基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼを有するβ-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)が挙げられる。多数の他の酵素-基質の組み合わせが当業者に利用可能である。一般的な概説については、US4275149及びUS4318980を参照されたい。
【0123】
標識は、アミノ酸側鎖、活性化アミノ酸側鎖、システイン操作抗体などに間接的にコンジュゲートされてもよい。例えば、抗体をビオチンにコンジュゲートすることができ、上述の3つの広範なカテゴリーの標識のいずれかを、アビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートさせることができる。逆もまた同様である。ビオチンはストレプトアビジンに選択的に結合し、よって標識は、この間接的な様式で抗体にコンジュゲートすることができる。あるいは、標識とポリペプチド変異体との間接的なコンジュゲートを達成するために、ポリペプチド変異体を、低分子ハプテン(例えば、ジゴキシン)とコンジュゲートさせ、上述の様々なタイプの標識の1種を、抗ハプテンポリペプチド変異体(例えば、抗ジゴキシン抗体)にコンジュゲートさせる。このようにして、標識とポリペプチド変異体との間接的なコンジュゲーションを達成することができる(Hermanson,G.(1996)in Bioconjugate Techniques Academic Press,San Diego)。
【0124】
検出標識は、結合または認識事象を局所決定し、可視化し、及び定量化するのに有用であり得る。本発明の標識抗体は、細胞表面受容体を検出することができる。検出可能に標識した抗体の別の使用は、ビーズに基づく免疫捕捉法であり、この方法は、ビーズを蛍光標識抗体にコンジュゲートさせ、リガンドの結合時に蛍光シグナルを検出することを含む。同様の結合検出方法論は、表面プラズモン共鳴(SPR)作用を利用して、抗体-抗原の相互作用を測定し、検出する。
【0125】
蛍光染料及び化学発光染料などの検出標識(Briggs et al(1997)“Synthesis of Functionalised Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids,”J.Chem.Soc.,Perkin-Trans.1:1051-1058)は、検出可能なシグナルを提供し、一般に抗体を標識するのに適用可能であり、好ましくは以下の性質を有する:(i)少量の抗体を、無細胞アッセイと細胞に基づくアッセイのいずれにおいても高感度に検出することができるように、標識抗体は、低バックグラウンドを有する極めて高いシグナルを生じるべきである;ならびに(ii)相当な光退色を伴うことなく、蛍光シグナルを観察、監視、及び記録することができるように、標識抗体は光安定性であるべきである。標識抗体の、膜または細胞表面、特に生細胞への細胞表面結合を含む用途については、標識は、好ましくは(iii)良好な水溶性を有して、有効なコンジュゲート濃度及び検出感受性を達成する、ならびに(iv)細胞の正常な代謝プロセスを攪乱したり、未熟な細胞死を引き起こすことがないように、生細胞に対して非毒性である。
【0126】
細胞の蛍光強度の直接定量及び蛍光標識事象(例えば、ペプチド-染料コンジュゲートの細胞表面結合)の計数は、生細胞またはビーズを用いたミックスアンドリード非放射性アッセイを自動化するシステム(FMAT(登録商標)8100 HTSシステム、Applied Biosystems、Foster City、Calif.)上で行ってもよい(Miraglia,“Homogeneous cell-and bead-based assays for high throughput screening using fluorometric microvolume assay technology”,(1999)J.of Biomolecular Screening 4:193-204)。標識抗体の使用として、細胞表面受容体結合アッセイ、免疫捕捉アッセイ、蛍光結合免疫吸着アッセイ(FLISA)、カスパーゼ切断(Zheng,“Caspase-3 controls both cytoplasmic and nuclear events associated with Fas-mediated apoptosis in vivo”,(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:618-23;US6,372,907)、アポトーシス(Vermes,“A novel assay for apoptosis.Flow cytometric detection of phosphatidylserine expression on early apoptotic cells using fluorescein labelled Annexin V”(1995)J.Immunol.Methods 184:39-51)及び細胞毒性アッセイも挙げられる。蛍光定量的マイクロボリュームアッセイ技術は、細胞表面を標的とする分子による上方または下方制御を特定するために使用することができる(Swartzman“A homogeneous and multiplexed immunoassay for high-throughput screening using fluorometric microvolume assay technology”,(1999)Anal.Biochem.271:143-51)。
【0127】
本開示の標識抗PD-L1抗体は、(i)MRI(核磁気共鳴画像法);(ii)MicroCT(コンピュータ断層撮影法);(iii)SPECT(単光子放出断層撮影法);(iv)PET(陽電子放出断層撮影法)Chen et al(2004)Bioconjugate Chem.15:41-49;(v)生物発光;(vi)蛍光;及び(vii)超音波などの、生物医学及び分子イメージングの様々な方法及び技法によるイメージングバイオマーカー及びプローブとして有用であり得る。免疫シンチグラフィーは、放射性物質で標識した抗体を動物またはヒト患者に投与し、抗体が局在化する体内の部位の画像を撮影するイメージング手順である(US6528624)。イメージングバイオマーカーは、客観的に測定することができ、正常な生物学的プロセス、病態プロセス、または治療的介入に対する薬理学的応答の指標として評価することができる。バイオマーカーは、いくつかのタイプのものであり得る:0型は、疾患の自然経過のマーカーであり、公知の臨床指標(例えば、リウマチ性関節炎における滑膜炎症のMRI評価)と長期にわたって相関性がある;I型マーカーは、作用機序に従って(その作用機序が臨床転帰と関連付けられない場合であっても)介入の作用を捕捉する;II型マーカーは、標的とされる応答(CTによって測定されるリウマチ性関節炎における骨びらんなど)を「検証する」ための代替エンドポイントとして機能し、代替エンドポイントでは、バイオマーカーの変化またはバイオマーカーからのシグナルが、臨床的な利益を予測する。よって、イメージングバイオマーカーは、(i)標的タンパク質の発現、(ii)標的タンパク質への治療剤の結合、すなわち選択性、ならびに(iii)クリアランス及び半減期の薬物動態データに関する、薬力学的(PD)治療情報を提供することができる。研究室ベースのバイオマーカーに対するインビボでのイメージングバイオマーカーの利点として、非侵襲的治療、定量可能、全身評価、反復投薬及び評価(すなわち、複数時点)、ならびに前臨床結果(小動物)から臨床結果(ヒト)への潜在的に転換可能な効果が挙げられる。一部の用途では、生体イメージングにより、前臨床研究における動物実験が回避されるか、または動物実験の数が最小限に抑えられる。
【0128】
生体試料
ある特定の実施形態では、生体試料は、体液、例えば、全血または全血構成成分(赤血球、白血球、血小板、血清、及び血漿が含まれる)、腹水、硝子体液、リンパ液、関節液、卵胞液、精液、羊水、乳、唾液、痰、涙、汗、粘液、脳脊髄液、尿、及び体の他の構成物質である。ある特定の実施形態では、生体試料は、末梢血試料である。ある特定の実施形態では、生体試料は、骨髄試料である。ある特定の実施形態では、生体試料は、がん試料である。ある特定の実施形態では、生体試料は、腫瘍生検である。様々な実施形態では、試料は、任意の動物からの身体試料である。様々な実施形態では、試料は、ヒトからの試料である。ある特定の実施形態では、試料は、生細胞を含む。ある特定の実施形態では、試料は、免疫細胞を含む。ある特定の実施形態では、試料は、腫瘍細胞を含む。
【0129】
したがって、本開示のある特定の態様は、対象から得られた生体試料中のPD-L1を検出するための方法であって、生体試料を本明細書に記載される抗体または抗原結合断片に接触させるステップ、及び生体試料中のPD-L1への抗体または抗原結合断片の結合を検出し、それによって生体試料中のPD-L1を検出するステップを含む方法に関する。一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、フローサイトメトリー、イムノアッセイ(例えば、ELISAに基づくアッセイ及び近接伸長アッセイ)、ウエスタンブロット法、ペプチドマイクロアレイ、免疫組織化学的検査、及び/または質量分析を使用して検出される。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、フローサイトメトリーを使用して検出される。一部の実施形態では、生体試料は、血液試料である。一部の実施形態では、生体試料は、骨髄試料である。一部の実施形態では、生体試料は、細胞または組織である。一部の実施形態では、細胞または組織は、がん細胞またはがん組織である。一部の実施形態では、生体試料は、生細胞を含む。一部の実施形態では、対象は、がんを有する。一部の実施形態では、がんは、PD-L1を発現するがんである。一部の実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、及び/または急性骨髄性白血病である。一部の実施形態では、生体試料は、本開示の治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片を投与された対象から得られる。一部の実施形態では、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブの3つのHVR(HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、アテゾリズマブの3つのHVR(HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブの重鎖可変領域のアミノ酸配列と、アテゾリズマブの軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブの重鎖のアミノ酸配列と、アテゾリズマブの軽鎖のアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0130】
応答性の予測/監視/評価
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、第1の生体試料を本開示の抗PD-L1抗体または抗原結合断片に接触させること;第1の生体試料中のPD-L1への抗体または抗原結合断片の結合を検出すること;第1の生体試料中に存在するPD-L1の量を決定すること;治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片(例えば、アテゾリズマブ)での治療後に得られる第2の生体試料を本開示の抗PD-L1抗体または抗原結合断片に接触させること;第2の生体試料中のPD-L1への抗体または抗原結合断片の結合を検出すること;第2の生体試料中に存在するPD-L1の量を決定すること;第2の生体試料中に存在するPD-L1の量を決定すること;及び第1の生体試料中に存在するPD-L1の量を第2の生体試料中に存在するPD-L1の量と比較することによる、対象におけるがん治療を監視する方法に関する。
【0131】
一部の実施形態では、第1の生体試料と比較して第2の生体試料中に存在するPD-L1の量が増加していれば、対象が治療用抗PD-L1抗体での治療に応答していないことが示される。一部の実施形態では、第1の生体試料と比較して、第2の生体試料中に存在するPD-L1の量が、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%増加していれば、対象が治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)に非応答性であることが示される。
【0132】
一部の実施形態では、第1の生体試料と比較して第2の生体試料中に存在するPD-L1の量が減少していれば、患者が治療用抗PD-L1抗体での治療に応答していることが示される。一部の実施形態では、第1の生体試料と比較して、第2の生体試料中に存在するPD-L1の量が、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少していれば、対象が治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)での治療に応答していることが示される。
【0133】
一部の実施形態では、第1の生体試料は、対象から治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片での治療前に得られる。一部の実施形態では、第1の生体試料は、対象から治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片での治療後に得られる。一部の実施形態では、第1及び第2の生体試料は、血液試料である。一部の実施形態では、第1及び第2の生体試料は、骨髄試料である。一部の実施形態では、第1及び第2の生体試料は、細胞または組織である。一部の実施形態では、細胞または組織は、がん細胞またはがん組織である。一部の実施形態では、第1及び第2の生体試料は、生細胞を含む。一部の実施形態では、対象は、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、及び/または急性骨髄性白血病であるがんを有する。一部の実施形態では、対象は、がんを有する。一部の実施形態では、がんは、PD-L1を発現するがんである。一部の実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、及び/または急性骨髄性白血病である。一部の実施形態では、生体試料は、本開示の治療用抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片を投与された対象から得られる。一部の実施形態では、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブの3つのHVR(HVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、アテゾリズマブの3つのHVR(HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブの重鎖可変領域のアミノ酸配列と、アテゾリズマブの軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブの重鎖のアミノ酸配列と、アテゾリズマブの軽鎖のアミノ酸配列とを含む。一部の実施形態では、治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、フローサイトメトリー、イムノアッセイ(例えば、ELISAに基づくアッセイ及び近接伸長アッセイ)、ウエスタンブロット法、ペプチドマイクロアレイ、免疫組織化学的検査、及び/または質量分析を使用して検出される。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、フローサイトメトリーを使用して検出される。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0134】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、がん(例えば、PD-L1を発現するがん)を有する対象の、治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)での治療に対する応答性を評価、監視、または予測するための方法に関する。一部の実施形態では、該方法は、第1の時点で対象から得られる試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出すること、及び第2の時点で対象から得られる試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出することを含む。一部の実施形態では、第2の時点は、治療用抗PD-L1抗体の投与後である。一部の実施形態では、対象は、治療用抗PD-L1抗体を与えられたことがない。一部の実施形態では、対象は、治療用抗PD-L1抗体での治療を受けている最中である。
【0135】
一部の実施形態では、該方法は、第1の時点で対象から得られる試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出すること、治療的有効量の治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)を対象に投与すること、及び第2の時点で対象から得られる試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出することを含む。一部の実施形態では、第1の時点は、対象に治療用抗PD-L1抗体を投与する前である。一部の実施形態では、第2の時点は、治療用抗PD-L1抗体の投与後である。一部の実施形態では、対象は、治療用抗PD-L1抗体を与えられたことがない。一部の実施形態では、対象は、治療用抗PD-L1抗体での治療を受けている最中である。
【0136】
一部の実施形態では、該方法は、第1の時点との比較したときの、第2の時点で対象から得られた試料中のPD-L1の発現のレベルに基づいて、対象を治療用抗PD-L1抗での治療に対して応答性または非応答性に分類することを含み、この場合、第2の時点でのPD-L1の発現のレベルが減少していれば、対象が治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)での治療に応答性であるかまたはその可能性があることが示される。
【0137】
一部の実施形態では、第1の時点から第2の時点までにPD-L1発現のレベルが、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満減少しているか、減少していないか、または1%超、2%超、3%超、4%超、5%超、10%超、5%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、もしくは100%超増加していれば、対象が治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)に対して非応答性であることが示される。一部の実施形態では、第1の時点から第2の時点までにPD-L1発現のレベルが減少していなければ、対象が治療用抗PD-L1抗体に対して非応答性であることが示される。一部の実施形態では、第1の時点から第2の時点までにPD-L1発現のレベルが増加していれば、対象が治療用抗PD-L1抗体に対して非応答性であることが示される。
【0138】
一部の実施形態では、第1の時点から第2の時点までにPD-L1発現のレベルが、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少していれば、対象が治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)に対して応答性であることが示される。
【0139】
一部の実施形態では、応答性は、治療有効性を指すことができる。当業者であれば、治療有効性の多くの尺度、及びそれらの組み合わせが有用であり得ることを理解するであろう。一部の実施形態では、治療有効性には、腫瘍応答(例えば、腫瘍サイズ、増殖、または組織学的ステージの安定化または低減)が含まれてもよい。一部の実施形態では、治療有効性には、生存の延長(例えば、1年、5年、無再発生存、または全生存)、生活の質の向上、進行するまでの時間の延長、または病的状態の減少が含まれてもよい。そのような因子は、例えば、ロジスティック回帰分析、コックスの比例ハザード回帰、またはカプラン・マイヤー推定値などの統計手段を使用することによって評価されてもよい。
【0140】
治療の継続/中断/調節
本明細書に開示されるように、治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)の投与後の対象からの試料中のPD-L1の発現のレベルの測定値を使用して、その後の治療、例えば、治療用抗PD-L1抗体治療を継続するか、治療用抗PD-L1抗体治療を中断するか、または治療用抗PD-L1抗体治療を調節するかを案内することができる。したがって、ある特定の実施形態では、本開示の方法は、がん(例えば、PD-L1を発現するがん)を有する対象において治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)での治療を調節するための方法に関する。一部の実施形態では、該方法は、第1の時点で対象から得られた試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出すること、治療的有効量の治療用抗PD-L1抗体を対象に投与すること、第2の時点で対象から得られた試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出すること、及び第1の時点と第2の時点とのPD-L1の発現のレベルの変化に基づいて、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体の量を調節することを含む。一部の実施形態では、第1の時点は、対象に治療用抗PD-L1抗体を投与する前である。一部の実施形態では、第2の時点は、治療用抗PD-L1抗体の投与後である。
【0141】
一部の実施形態では、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体の量を調節することは、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体のレベルを同じに維持することを含む。
【0142】
一部の実施形態では、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体の量を調節することは、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体のレベルを増加させることを含む。対象に投与される治療用抗PD-L1抗体のレベルを増加させるとは、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体の量、投薬量、投薬回数もしくは投薬頻度、または濃度を増加させること(これらに限らない)のうちの1つまたは複数を指すことができる。
【0143】
一部の実施形態では、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体の量を調節することは、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体のレベルを減少させることを含む。対象に投与される治療用抗PD-L1抗体のレベルを減少させるとは、対象に投与される治療用抗PD-L1抗体の量、投薬量、投薬回数もしくは投薬頻度、または濃度を減少させること(これらに限らない)のうちの1つまたは複数を指すことができる。
【0144】
がんの進行の予測
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、がん(例えば、PD-L1を発現するがん)を有する対象において無増悪生存期間を評価するための方法に関する。一部の実施形態では、該方法は、第1の時点で対象から得られる試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出すること、治療的有効量の治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)を対象に投与すること、及び第2の時点で対象から得られる試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出することを含む。一部の実施形態では、第1の時点は、対象に治療用抗PD-L1抗体を投与する前である。一部の実施形態では、第2の時点は、治療用抗PD-L1抗体の投与後である。
【0145】
一部の実施形態では、第1の時点から第2の時点までにPD-L1の発現のレベルが少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少していれば、治療用抗PD-L1抗体が無増悪生存期間を増加させることが示される。
【0146】
本明細書ではまた、PD-L1を発現するがんを有する対象においてがんの進行を予測するための方法が提供される。一部の実施形態では、該方法は、第1の時点で対象から得られる試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出すること、治療的有効量の治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)を対象に投与すること、及び第2の時点で対象から得られる試料中のPD-L1の発現のレベルを測定または検出することを含む。一部の実施形態では、第1の時点は、対象に治療用抗PD-L1抗体を投与する前である。一部の実施形態では、第2の時点は、治療用抗PD-L1抗体の投与後である。
【0147】
一部の実施形態では、第1の時点から第2の時点までにPD-L1の発現のレベルが、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満減少しているか、減少していないか、または1%超、2%超、3%超、4%超、5%超、10%超、5%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、もしくは100%超増加していれば、対象が、進行する可能性が高いがんを有することが示される。
【0148】
時点測定
本開示の方法では、がん(例えば、PD-L1を発現するがん)を有する対象において、PD-L1の発現レベルを第1の時点(例えば、ベースライン)と第2の時点との間で比較する。一部の実施形態では、対象は、PD-L1を発現するがんを有する。
【0149】
一部の実施形態では、第1の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)治療前に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。例えば、対象におけるPD-L1の発現レベルは、治療用抗PD-L1抗体治療前に測定されてもよく、治療用抗PD-L1抗体での治療に続いて採取した1つまたは複数の試料を使用して、とりわけ、治療の有効性の監視、治療を継続するかまたは中断するかの決定、治療の調節、治療に対する応答性の監視、維持治療に対する応答性の予測、及びがん進行の予測などを行うことができる。
【0150】
一部の実施形態では、第1の時点を使用して、抗PD-L1抗体治療の直前、またはその約10秒前、約30秒前、約1分前、約5分前、約10分前、約15分前、約30分前、約45分前、約1時間前、約1.5時間前、約2時間前、約2.5時間前、約3時間前、約3.5時間前、約4時間前、約4.5時間前、約5時間前、約5.5時間前、約6時間前、約7時間前、約8時間前、約9時間前、約10時間前、約11時間前、約12時間前、約18時間前、約1日前、約2日前、約3日前、約4日前、約5日前、約6日前、約1週間前、約2週間前、約3週間前、もしくは約4週間前に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第1の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1時間前に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第1の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約4時間前に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第1の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1日前に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第1の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約3日前に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。特定の実施形態では、治療に使用される治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
【0151】
一部の実施形態では、第1の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療前に対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出し、第2の時点でのPD-L1の発現のレベルと比較することができる。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体での治療後に対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する(例えば、第1の時点は、治療的有効量の治療用抗PD-L1抗体の最初の投薬の前に採取して、治療用抗PD-L1抗体の1回目、2回目、3回目、4回目、またはそれ以降の投薬後に、第2の時点で採取した試料と比較することができる)。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1時間後、約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約7時間後、約8時間後、約9時間後、約10時間後、約11時間後、約12時間後、約18時間後、約1日後、約1.5日後、約2日後、約2.5日後、約3日後、約3.5日後、約4日後、約4.5日後、約5日後、約5.5日後、約6日後、約6.5日後、約1週間後、約1.5週間後、約2週間後、約2.5週間後、約3週間後、約3.5週間後、約4週間後、約1ヶ月後、約1.5ヶ月後、約2ヶ月後、約2.5ヶ月後、約3ヶ月後、約3.5ヶ月後、約4ヶ月後、約4.5ヶ月後、約5ヶ月後、約5.5ヶ月後、約6ヶ月後、約6.5ヶ月後、約7ヶ月後、約7.5ヶ月後、約8ヶ月後、約8.5ヶ月後、約9ヶ月後、約9.5ヶ月後、約10ヶ月後、約10.5ヶ月後、約11ヶ月後、約11.5ヶ月後、または約12ヶ月後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1時間後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約4時間後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約8時間後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約12時間後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約18時間後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1.5日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約2日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約2.5日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約3日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約3.5日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約4日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約4.5日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約5日後に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを検出する。特定の実施形態では、治療に使用される治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
【0152】
一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体での治療後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する(例えば、第1の時点は、治療用抗PD-L1抗体の1回目の投薬後に採取して、治療用抗PD-L1抗体の2回目または3回目の投薬後に採取した試料と比較することができる)。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1時間後、約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約7時間後、約8時間後、約9時間後、約10時間後、約11時間後、約12時間後、約18時間後、約1日後、約1.5日後、約2日後、約2.5日後、約3日後、約3.5日後、約4日後、約4.5日後、約5日後、約5.5日後、約6日後、約6.5日後、約1週間後、約1.5週間後、約2週間後、約2.5週間後、約3週間後、約3.5週間後、約4週間後、約1ヶ月後、約1.5ヶ月後、約2ヶ月後、約2.5ヶ月後、約3ヶ月後、約3.5ヶ月後、約4ヶ月後、約4.5ヶ月後、約5ヶ月後、約5.5ヶ月後、約6ヶ月後、約6.5ヶ月後、約7ヶ月後、約7.5ヶ月後、約8ヶ月後、約8.5ヶ月後、約9ヶ月後、約9.5ヶ月後、約10ヶ月後、約10.5ヶ月後、約11ヶ月後、約11.5ヶ月後、または約12ヶ月後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1時間後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約4時間後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約8時間後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約12時間後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約18時間後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約1.5日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約2日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約2.5日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約3日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約3.5日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約4日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約4.5日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。一部の実施形態では、第2の時点を使用して、治療用抗PD-L1抗体治療の約5日後またはそれ以降に、対象におけるPD-L1の発現のレベルを測定または検出する。特定の実施形態では、治療に使用される治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
【0153】
ある特定の実施形態では、第1の時点と第2の時点との間のPD-L1の発現のレベルの変化を使用して、治療用抗PD-L1抗体療法に応答した疾患の進行を評価する。ある特定の実施形態では、第1の時点と第2の時点との間のPD-L1の発現のレベルの変化を使用して、治療用抗PD-L1抗体療法に応答した疾患の安定性を評価する。ある特定の実施形態では、第1の時点と第2の時点との間のPD-L1の発現のレベルの変化を使用して、治療用抗PD-L1抗体療法の投薬の継続を決定する。ある特定の実施形態では、第1の時点と第2の時点との間のPD-L1の発現のレベルの変化を使用して、治療用抗PD-L1抗体での療法のコースを決定する(例えば、投薬の継続、投薬の中断、第2または第3の化学療法薬と併用した投薬、投薬の増加、投薬の減少、投薬の維持など)。特定の実施形態では、治療に使用される治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。
【0154】
ベースラインの追加的な実施形態は、以下の通りである:ある特定の実施形態では、ベースラインとは、治療用抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)での治療前に対象から採取される試料を指す;特定の実施形態では、治療に使用される治療用抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである;特定の実施形態では、ベースラインは、治療用抗PD-L1抗体での任意の治療の前に採取された試料であり、治療用抗PD-L1抗体での治療後に採取された試料との比較に使用することができる(例えば、ベースラインは、治療用抗PD-L1抗体の1回目の投薬前に採取され、治療用抗PD-L1抗体の1回目、2回目、3回目、4回目、またはそれ以降の投薬後に採取された試料と比較することができる);また特定の実施形態では、ベースラインは、治療用抗PD-L1抗体での任意の所与の治療前に採取された試料であり、治療用抗PD-L1抗体での治療以降に採取された試料との比較に使用することができる(例えば、ベースラインは、治療用抗PD-L1抗体の1回目の投薬後に採取され、治療用抗PD-L1抗体の2回目または3回目の投薬後に採取された試料と比較することができる)。
【0155】
V.キット
本発明のアッセイ方法は、キットの形態で提供することができる。一実施形態では、そのようなキットは、本明細書に記載される抗PD-L1抗体または抗PD-L1抗体を含む組成物を含む。一部の実施形態では、そのようなキットは、抗PD-L1抗体及びこれらの試薬を使用してアッセイを行う方法についての使用説明書からなる基本的な要素を含む組み合わせを包装したものである。これらの基本的な要素は、上文に定義されている。
【0156】
キットは、抗PD-L1抗体用の固体支持体をさらに含んでもよく、それは、別々の要素として提供されても、またはその上に抗PD-L1抗体が既に固定化されていてもよい。
【0157】
キットは、他の添加剤、例えば、安定剤、洗浄及びインキュベーション緩衝液なども含有してもよい。
【0158】
キットの構成成分は、様々な試薬の相対量を適切に変えて試薬の溶液中濃度がアッセイの感度を実質的に最大限にするようにした、所定の比率で提供されてもよい。特に、試薬は、賦形剤を含む乾燥粉末(通常、凍結乾燥されたもの)として提供されてもよく、それは、溶解時に、試験しようとする試料と合わせるのに適した濃度を有する試薬溶液をもたらす。
【実施例
【0159】
以下の実施例は、例証のみを目的として含まれており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0160】
実施例1:抗PD-L1抗体クローン14D3の特性の評価
クローン14D3は、アテゾリズマブとして公知のモノクローナル抗PD-L1抗体に非競合的な、特異的なクローンである。14D3は、IgG1アイソタイプ及びカッパ軽鎖を有するマウス抗体である。14D3を生成する免疫源はMOLM-1巨核球細胞株であり、ヒトPD-L1だけでなくカニクイザルPD-L1とも交差反応性である。抗ヒトPD-L1抗体である抗体14D3の競合及び非競合特性を、市販される抗ヒトPD-L1抗体に対して評価した。
【0161】
方法
抗体
2つの市販される抗ヒトPD-L1抗体のPD-L1結合特性を、抗PD-L1 14D3抗体のPD-L1結合特性と比較した。2つのバージョンの14D3抗体を比較研究で使用した。一方のバージョンは、本明細書では抗PD-L1 PE 14D3と呼ぶ、フィコエリトリン(PE)で標識されたものであり、他方のバージョンは、本明細書では抗PD-L1 AF647 14D3と呼ぶ、Alexa Fluor 647(登録商標)(AF647)で標識されたものであった。市販の抗体は、本明細書では抗PD-L1 PE 29E.23と呼ぶ、PEで標識された抗PD-L1抗体クローン29E.23(Biolegend)、及び本明細書では抗PD-L1 APC 29E.23と呼ぶ、アロフィコシアニン(APC)で標識された抗PD-L1抗体クローン29E.23(Biolegend)であった。
【0162】
血液刺激
約4mL~5mLの全血を健常なヒト対象から得て、抗凝固薬としてヘパリンナトリウムを有するバキュテナーチューブに入れた。2本の15mLのコニカルチューブを用意し、次のようにラベルを付けた:1)刺激していない血液;及び2)刺激した血液。各チューブに3mLの健常な血液を充填した。Miltenyi Biotecによれば、全血1mL当たり20uLを使用することが推奨されている。したがって、3mLの全血を含有するチューブに、60μlのリン酸緩衝食塩水(PBS)をチューブ1(本発明者らの非刺激チューブ)に添加し、60μlのCytoStim(登録商標)(Miltenyi Biotec)をチューブ2に添加した。チューブ上のキャップを緩く締めて、酸素及びCOがチューブへ流入及び流出できるようにした。チューブを37℃のCOインキュベーターに24時間入れた。
【0163】
アテゾリズマブでのブロッキング
5mLの丸底試験管を4組用意し、以下のようにグループ化した:1)刺激及び薬物なし;2)刺激+薬物;3)非刺激及び薬物なし;ならびに4)非刺激+薬物。刺激ステップ中で血液試料を24時間インキュベートした後、刺激した血液100μLをグループ1及びグループ2の各試験管に添加し、一方、刺激していない血液100μLをグループ3及びグループ4の各試験管に添加した。
【0164】
アテゾリズマブは、アッセイのブロッキング部分のための薬物として機能する。この薬物を調製するために、100μg/mLの濃度のアテゾリズマブ2μLを18μLのPBSに添加して1:10に希釈した。「+薬物」(すなわち、グループ2及びグループ4)とラベルを付けた試験管については、希釈したアテゾリズマブ1.6μlを各試験管に添加した。「薬物なし」(すなわち、グループ1及びグループ3)とラベルを付けた試験管には、1.6μLのPBSを与えた。試験管をボルテックスによってよく混合し、次いで暗所中室温で30分間インキュベートした。
【0165】
表面マーカー染色
5種の表面マーカーのカクテルを調製した(表2)。
【0166】
薬物(すなわち、アテゾリズマブ)またはPBSとのインキュベーション後に、表面マーカーのカクテルを、抗PD-L1を含むまたは含まない、刺激したまたは刺激していない血液を含有する各試験管に添加した(表2)。指示量のカクテルを添加した後、指示量のPBSを添加して、カクテルの総量を100μLにした(表3)。次いで試験管を暗所中室温で30分間インキュベートした。
【0167】
生細胞または死細胞の染色
Live Dead Kit(Invitrogen)を室温にした。このキットは、近赤外線蛍光反応染料及びDMSOを含んでいた。1×のPharm Lyseは、10mLの10× Pharm Lyse(BD Biosciences)を90mLの蒸留水中に混合することによって作製した。細胞を試験管中で表面染色した後、試験管をボルテックスし、3mLの1× Pharm Lyseを各試験管に添加した。試験管を再びボルテックスして、Pharm Lyseの存在下での細胞の溶解を強化した。次いで試験管を暗所中室温で15分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、試験管を300RCF/1500~1600RPMで5分間遠心分離した。遠心分離後、細胞ペレットを乱さずに上清をできる限り吸引した。次いで各試験管の底を軽くたたいて細胞ペレットを壊し、その後細胞を3mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)中で洗浄した。試験管を300RCF/1500~1600RPMで5分間、もう一回遠心分離した。次いで上清を前回と同じように細胞ペレットを乱さずに吸引した。各試験管の底を軽くたたいて細胞ペレットを壊し、1mLのPBSを各試験管に添加した。試験管を選択して、BioRad TC20セルカウンターを使用して細胞計数を行った。細胞計数が試験管中でPBS1mL当たり生細胞200万個を上回った場合、濃度を1mL当たり生細胞100万個に調整し、PBSを使用して適宜希釈した。キットからのLive/Dead染料は、50μLのDMSOを近赤外線蛍光反応染料チューブに添加し、続いて混合することによって調製した。1μLの量のLive-Dead染料を各試験管に添加し、よく混合した。試験管を暗所中室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、細胞を2mLのBD Pharmigen FBS中で洗浄し、続いて300RCF/1500~1600RPMで5分間遠心分離した。細胞ペレットを乱さずに上清をできる限り吸引した。1%パラホルムアルデヒドの溶液は、3mLの16%パラホルムアルデヒドを45mLのPBSに添加することによって調製した。各試験管の底を軽くたたいて細胞ペレットを壊し、250μLの1%パラホルムアルデヒドを各試験管に添加した後、試験管をボルテックスした。調製を終了してから4時間以内に試験管試料からBD FACSCanto(商標)II(BD Biosciences)でシグナルを取得した。
【0168】
コンペンセーションコントロールを作製した(表4)。コンペンセーションコントロールを作製するために、以下を含有するように9本の5mL丸底チューブを作製した:1)対照チューブ-染色なし;2)AF488/FITC;3)PE;4)PerCP;5)PE-Cy7;6)AF647/APC;7)BV421;8)BV510;及び9)APC-H7。一滴のUltraComp eBeads(Invitrogen)を各チューブに添加した。示した抗体を示した容量で添加した(表3)。コンペンセーションコントロールを暗所中室温で15~20分間インキュベートした。次いでチューブを3mLのBD FBSで洗浄した後、300RCF/1500~1600RPMで5分間遠心分離した。ビーズペレットを乱さずに上清をできる限り吸引した。BD FACSCanto(商標)IIで取得するための準備として、100μLの量のBD FBSを各コンペンセーションコントロールチューブに添加した。
【0169】
結果
アテゾリズマブが存在したとき、市販の抗PD-L1 PE 29E.23抗体で染色された細胞ではPD-L1の表面発現検出のレベルが減少したことが観察された。具体的には、フローサイトメトリーによる結合分析から、健常なドナーからの刺激された血液中のCD4+T細胞(図2A及び図3A)、CD8+T細胞(図4A及び図5A)、及びCD19B細胞(図6A及び図7A)によって発現されるPD-L1への結合に関して、市販の抗PD-L1 PE 29E.23抗体が、アテゾリズマブと競合することが判明した。同様の結合結果が、CD4+T細胞(図8A及び図9A)、CD8+T細胞(図10A及び図11A)、及びCD19B細胞(図12A及び図13A)において市販の抗PD-L1 APC 29E.23抗体を利用するアッセイで観察された。
【0170】
対照的に、抗PD-L1 PE 14D3抗体は、健常なドナーからの刺激された血液中のCD4+T細胞(図2B及び図3B)、CD8+T細胞(図4B及び図5B)、及びCD19B細胞(図6B及び図7B)によって発現されるPD-L1への結合に関して、アテゾリズマブと競合しなかった。これらの結果は、CD4+T細胞(図8B及び図9B)、CD8+T細胞(図10B及び図11B)、及びCD19B細胞(図12B及び図13B)におけるAF647標識抗PD-L1 14D3抗体(すなわち、抗PD-L1 AF647 14D3抗体)にも及んだ。
【0171】
PE(図14)またはAF647(図15)で標識された抗PD-L1 14D3抗体が、アテゾリズマブの存在下で、CD4+T細胞、CD8+T細胞、及びCD19B細胞上のPD-L1に結合する能力が、刺激されていない健常な血液での結合と比較して、刺激された健常な血液で観察される。CD4+T細胞、CD8+T細胞、及びCD19B細胞上のPD-L1への結合に関する、APCで標識された抗PD-L1 29E.23抗体(図16)とアテゾリズマブとの競合が、刺激されていない健常な血液での結合と比較して、刺激された健常な血液で見ることができる。
【0172】
結論
これらの結果から、14D3抗体は、アテゾリズマブの飽和濃度であると予想されるレベルであっても、アテゾリズマブと競合しないことが示される。標識された14D3抗体を使用すれば、アテゾリズマブが存在していても、免疫及び腫瘍細胞(例えば、生きている免疫及び腫瘍細胞)の表面上のPD-L1発現を定量化できることが、フローサイトメトリーアッセイなどの検出アッセイにおいて判明した。しかしながら、PD-L1クローン29E.23などの他の市販される抗体は、アテゾリズマブと競合し、それによって免疫及び腫瘍細胞におけるPD-L1の定量化に最適な試薬としてのそれらの使用が妨げられる。
【0173】
実施例2:抗PD-L1 14D3抗体を使用する、多発性骨髄腫におけるPD-L1発現の評価
14D3を、血液悪性腫瘍、特に、多発性骨髄腫を有する患者におけるPD-L1の発現を検出するその能力について評価した。
【0174】
方法
多発性骨髄腫(MM)を有する患者から新鮮な骨髄及び新鮮な全血を収集した。試料は、健常な対象からも収集した。実施例1に記載されるように、骨髄及び全血をヘパリン化し、抗PD-L1 14D3抗体を含めて表面マーカーを染色した。
【0175】
結果
抗PD-L1 14D3抗体は、PD-1チェックポイント阻害剤で治療されていない多発性骨髄腫を有する患者から収集された骨髄及び全血中のPD-L1の存在を検出することができた(図17)。
【0176】
結論
14D3抗体は、多発性骨髄腫などの血液悪性腫瘍と診断された患者の末梢血を循環する免疫細胞ならびに血液及び骨髄からの悪性細胞によって発現されるPD-L1のベースライン検出に使用することができる。
【0177】
実施例3:抗PD-L1 14D3抗体を使用する、急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群におけるPD-L1発現の評価
14D3を、血液悪性腫瘍、特に、急性骨髄性白血病(AML)または骨髄異形成症候群(MDS)を有する患者におけるPD-L1の発現を検出するその能力について評価した。
【0178】
方法
急性骨髄性白血病(AML)または骨髄異形成症候群(MDS)を有する患者から新鮮な骨髄及び新鮮な全血を収集する。試料は、健常な対象からも収集する。実施例1に記載されるように、骨髄及び全血をヘパリン化し、抗PD-L1 14D3抗体を含めて表面マーカーを染色する。
【0179】
実施例4:血液悪性腫瘍を有し、アテゾリズマブで治療された対象におけるPD-L1発現の評価
14D3抗体はアテゾリズマブのエピトープと競合しないので、14D3抗体は、治療的処置の有効性を監視するために、アテゾリズマブを投薬された患者においてPD-L1発現を検出するその能力について評価される。
【0180】
方法
多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、または骨髄異形成症候群(MSD)を含めた血液悪性腫瘍を有する患者を、骨髄及び血液試料中のPD-L1のベースライン発現について評価する。実施例2に記載されるように、試料を収集し、処理する。PD-L1発現は、PEなどの検出可能な標識に連結された抗PD-L1 14D3抗体での染色によって決定される。試料をフローサイトメトリーに供して、患者におけるPD-L1のベースライン発現を決定する。患者は、血液悪性腫瘍の治療に適した投与計画でアテゾリズマブを用いて治療される。血液及び骨髄試料は、アテゾリズマブでの治療後の一時点または様々な時点で収集される。試料は上記のように処理され、検出可能な標識(例えば、PE)に連結された抗PD-L1 14D3抗体で染色される。生きている免疫細胞及び/または腫瘍細胞などの細胞におけるPD-L1の発現は、フローサイトメトリーによって標識された抗PD-L1 14D3抗体を検出することによって決定されたときに、治療された患者から決定される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
【配列表】
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