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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ウイルス核酸を解析する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/70 20060101AFI20231213BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20231213BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20231213BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C12Q1/70
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C12N15/09 Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020538714
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 US2019013241
(87)【国際公開番号】W WO2019140226
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】62/617,079
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/718,290
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522105894
【氏名又は名称】グレイル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロ,ユク-ミン デニス
(72)【発明者】
【氏名】チャン,クワン チー
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ウェン イン
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/127944(WO,A1)
【文献】Oncotarget,2016年,Vol. 7, No. 13,pp.16806-16817
【文献】PLOS ONE,2017年,Vol. 12, Issue 7, e0180841
【文献】J. Infect. Dis.,2003年,Vol. 187, Issue 10,pp.1571-1580
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象からのサンプルを、がん細胞由来のエプスタイン・バーウイルス(EBV)細胞フリー核酸の存在について分析する方法であって、
a)前記対象からの生物学的サンプル中のエプスタイン・バーウイルス(EBV)由来の細胞フリー核酸の量を決定すること、及び
b)前記EBV由来の細胞フリー核酸の前記量を、あらかじめ決められたベースライン閾値よりも高い調整された閾値と比較し、
ここで、
(i)前記対象は、ベースライン年齢を上回る年齢を有する、
(ii)前記対象は、喫煙者である、又は
(iii)前記生物学的サンプルが取得された日における、取得位置から50km以内の位置における平均周囲温度が、ベースライン温度を下回り、
ここで、前記あらかじめ決められたベースライン閾値は、(i)前記ベースライン年齢以下の年齢を有する、(ii)非喫煙者である、(iii)参照生物学的サンプルを提供した、及び(iv)知られているがん状態を有する、参照対象を含む参照集団についてのサンプルにおける前記がん細胞からのEBV細胞フリー核酸の存在の指標である、EBV細胞フリー核酸の閾値量であり、
ここで、1つ以上の参照生物学的サンプルが取得された日における、それぞれ1つ以上の参照生物学的サンプルの取得位置から50km以内の位置における平均周囲温度は、ベースライン温度以上の温度であり、
前記がん細胞が、鼻咽頭がん細胞であり、
前記知られているがん状態を有する参照対象が、鼻咽頭がんを有する第1の参照対象と、鼻咽頭がんを有していない第2の参照対象を含み、
それにより前記がん細胞由来のEBV細胞フリー核酸の存在について前記サンプルを分析すること
を含む方法。
【請求項2】
前記対象は、喫煙者である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整された閾値は、対象が喫煙者でなかった場合よりも高く設定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象の前記年齢が、ベースライン年齢を上回る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記調整された閾値は、対象年齢との正の相関を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記生物学的サンプルが取得された日における、取得位置から50km以内の位置における前記平均周囲温度が、ベースライン温度を下回る、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記調整された閾値は、平均周囲温度と負に相関される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ベースライン温度は、30℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ベースライン年齢は、45歳である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記対象の前記年齢は、ベースライン年齢を上回り、前記対象は、喫煙者である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記対象の前記年齢は、ベースライン年齢を上回り、前記生物学的サンプルが取得された日における、取得位置から50km以内の位置における前記平均周囲温度は、ベースライン温度を下回る、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記対象は、喫煙者であり、前記生物学的サンプルが取得された日における、取得位置から50km以内の位置における前記平均周囲温度は、ベースライン温度を下回る、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記対象の年齢は、ベースライン年齢を上回り、前記対象は、喫煙者であり、前記生物学的サンプルが取得された日における、取得位置から50km以内の位置における前記平均周囲温度は、ベースライン温度を下回る、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記調整された閾値は、前記対象が糖尿病を有するか、アルコールを摂取するか、運動するか、高血圧症を有するか、高脂血症を有するか又は虚血性心疾患を有するかどうかに基づいて決定されない、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記EBV由来の細胞フリー核酸の前記量を、前記調整された閾値と比較することは、細胞フリー核酸の前記量を、前記ベースライン閾値と比較することと比べてスクリーンの偽陽性率を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記量は、1ミリリットル当たりの前記EBV由来の細胞フリー核酸のコピー数(コピー/mL)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記生物学的サンプル中の前記EBV由来の細胞フリー核酸の前記量が前記調整された閾値を上回る場合、前記がん細胞由来のEBV細胞フリー核酸の存在を検出するための第2の分析を実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の分析は、第2の生物学的サンプル中の前記EBV由来の細胞フリー核酸のサイズを決定することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の生物学的サンプルは、前記生物学的サンプルと同一である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の生物学的サンプルは、前記生物学的サンプルと異なる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の分析は、前記EBVに由来し、且つ所与の範囲内のサイズを有する細胞フリー核酸の量を、前記対象からの前記第2の生物学的サンプルから決定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記EBVに由来し、且つ所与の範囲内のサイズを有する前記細胞フリー核酸の前記量を決定することは、前記第2の生物学的サンプル中の前記細胞フリー核酸の大規模並列シーケンシングを行って、配列リードを生成することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記生物学的サンプルは、血漿又は血清を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記量を決定することは、前記細胞フリー核酸の増幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記PCRは、定量PCR(qPCR)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載の方法の操作を実施するようにコンピューターシステムを制御するための複数の命令を記憶するコンピューター可読媒体を含むコンピューター製品。
【請求項28】
請求項27に記載のコンピューター製品と、前記コンピューター可読媒体に記憶された命令を実行するための1つ以上のプロセッサーとを含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[001] 本願は、2018年1月12日出願の米国仮特許出願第62/617,079号及び2018年8月13日出願の米国仮特許出願第62/718,290号(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
[002] 鼻咽頭がん(NPC)は、中国南部及び東南アジアで最も一般的ながんの1つである(Tang et al. Cancer Lett 2016;374:22-30)。NPCの病理発生は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染に密接に関連し得る。エンデミック地域では、ほとんどすべての患者のNPCがん細胞でEBVゲノムを検出可能である。血漿中の循環細胞フリーEBV DNAは、NPCのバイオマーカーであり得る(Lo et al. Cancer Res 1999;59:1188-91)。血漿中EBV DNA解析は、NPCの検出、モニタリング及び予後予測に有用であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[003] しかしながら、サンプル中のEBV細胞フリーDNA(cfDNA)の量は、各種の対象依存因子(例えば、現在の喫煙習慣)及び対象非依存因子(例えば、周囲温度)に依存して変化する可能性がある。NPC検出の偽陽性率を低減するために、EBV cfDNAレベルに影響を及ぼす因子を説明し得るとともに、この情報をNPCの存在についてのスクリーニングに組み込み得る、改善された方法、システム及びコンピューター可読媒体の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[004] 本明細書に開示されるのは、対象における腫瘍の存在についてスクリーニングする方法であり、本方法は、a)対象からの生物学的サンプル中のウイルス由来の細胞フリー核酸の量を決定すること、b)対象の年齢、対象の喫煙状態及び周囲温度からなる群から選択される属性に基づいて細胞フリー核酸の閾値を決定すること、及びc)ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を閾値と比較し、それにより腫瘍について対象をスクリーニングすることを含む。
【0005】
[005] 閾値は、対象の喫煙状態に基づいて決定され得る。対象の喫煙状態が喫煙者である場合、閾値は、対象の喫煙状態が喫煙者でない場合よりも高く設定され得る。閾値は、対象の年齢に基づいて決定され得る。閾値は、対象の年齢との正の相関を含み得る。閾値は、周囲温度に基づいて決定され得る。閾値は、周囲温度と負に相関され得る。周囲温度は、対象からサンプルが取得された位置から50km以内の位置で測定された温度であり得る。周囲温度は、対象からサンプルが取得された日の平均周囲温度であり得る。閾値は、対象の年齢及び対象の喫煙状態に基づいて決定され得る。閾値は、対象の年齢及び周囲温度に基づいて決定され得る。閾値は、対象の喫煙状態及び周囲温度に基づいて決定され得る。閾値は、対象の年齢、対象の喫煙状態及び周囲温度に基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、閾値は、対象が糖尿病を有するか、アルコールを摂取するか、運動するか、高血圧を有するか、高脂血症を有するか又は虚血性心疾患を有するかどうかに基づいて決定されない。
【0006】
[006] ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を、属性に基づく閾値と比較することは、細胞フリー核酸の量を、属性に基づかない閾値と比較することと比べてスクリーンの偽陽性率を低減し得る。量は、1ミリリットル当たりのウイルス由来の細胞フリー核酸のコピー数(コピー/mL)を含み得る。本方法は、生物学的サンプル中のウイルス由来の細胞フリー核酸の量が閾値を上回る場合、腫瘍の存在について第2のスクリーンを実施することをさらに含み得る。第2のスクリーンは、第2の生物学的サンプル中のウイルス由来の細胞フリー核酸のサイズを決定することを含み得る。第2の生物学的サンプルは、その生物学的サンプルと同一であり得る。第2の生物学的サンプルは、その生物学的サンプルと異なり得る。第2のスクリーンは、ウイルスに由来し、且つ所与の範囲内のサイズを有する細胞フリー核酸の量を、対象からの第2の生物学的サンプルから決定することを含み得る。ウイルスに由来し、且つ所与の範囲内のサイズを有する細胞フリー核酸の量を決定することは、第2の生物学的サンプル中の細胞フリー核酸の大規模並列シーケンシングを行って、配列リードを生成することを含み得る。
【0007】
[007] 生物学的サンプルは、血漿又は血清を含み得る。量を決定することは、細胞フリー核酸の増幅を含み得る。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含み得る。PCRは、定量PCR(qPCR)を含み得る。腫瘍は、鼻咽頭がんであり得る。ウイルスは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)であり得る。本方法は、スクリーンが、対象に腫瘍が存在することを示すとき、腫瘍について対象を治療することをさらに含み得る。
【0008】
[008] 本明細書にさらに開示されるのは、本明細書に記載の方法のいずれかの操作を実施するようにコンピューターシステムを制御するための複数の命令を記憶するコンピューター可読媒体を含むコンピューター製品である。
【0009】
[009] 加えて、本明細書にさらに開示されるのは、本明細書に記載のコンピューター製品のいずれかと、コンピューター可読媒体に記憶された命令を実行するための1つ以上のプロセッサーとを含むシステムである。
【0010】
参照による組込み
[0010] 本明細書に挙げた刊行物、特許及び特許出願のすべては、あたかも個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的且つ個別的に明示されて参照により組み込まれたのと同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
図面の簡単な説明
[0011] 本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に特定的に示される。本発明の原理が利用される例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明及び添付の図面を参照すれば、本発明の特徴及び利点のよりよい理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]非NPC対象における年齢と、血漿中エプスタイン・バーウイルス(EBV)DNAの検出率との間の相関を例示する。
図2】[0013]非NPC対象におけるスクリーニング日の平均周囲温度と、血漿中EBV DNAの検出率との間の相関を例示する。
図3】[0014]本明細書に提供される方法を実現するようにプログラムされた又は他に構成されたコンピューターシステムを例示する。
図4】[0015]サンプルから検出されたEBV細胞フリー核酸のレベルに基づいてNPCを検出する方法のフローチャートを例示する。
図5】[0016]第1のqPCRアッセイを実施すること、及び場合により第2の次世代シーケンシング(NGS)ベースアッセイを実施することを含む本開示の例示的方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
[0017] 概要
[0018] 本明細書に開示されるのは、対象からの生物学的サンプル、例えば血漿中のウイルス、例えばエプスタイン・バーウイルス(EBV)由来の細胞フリー核酸、例えばDNAの量を決定すること、対象の年齢、対象の喫煙状態及び周囲温度からなる群から選択される属性に基づいて細胞フリー核酸の閾値を決定すること、及びウイルス由来の細胞フリー核酸の量を閾値と比較し、それにより腫瘍について対象をスクリーニングすることを含む、腫瘍、例えば鼻咽頭がんの存在のスクリーニングの方法、システム及びコンピューター可読媒体である。
【0014】
[0019] 本明細書に記載の方法は、1つ以上の属性に基づいて細胞フリー核酸の閾値を決定又は調整することが可能である。1つ以上の属性(本明細書では特徴ともいう)に基づいて閾値を決定又は調整することは、1つ以上の属性に基づいて閾値を決定又は調整しないことと比べてスクリーンの偽陽性率を低減し得る。偽陽性とは、病態(例えば、腫瘍)を有していないが、本開示のスクリーン若しくは方法又は他のアッセイにより病態を有すると同定される対象を意味し得る。
【0015】
[0020] 閾値の決定
[0021] 本明細書に提供される方法、システム及びコンピューター可読媒体では、閾値は、対象における腫瘍又は腫瘍のリスクの指標となるウイルス起源の細胞フリー核酸の量であり得る。閾値は、部分的には、PCT国際公開第2018081130号又は米国特許出願公開第20180237863号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように決定可能である。閾値は、腫瘍、例えば鼻咽頭がんを有することが知られる1名以上の対象からの生物学的サンプルのセットと、腫瘍、例えば鼻咽頭がんを有していないことが知られる1名以上の対象からの生物学的サンプルのセットとを含むトレーニングセットを解析することにより決定可能である。閾値は、腫瘍、例えば鼻咽頭がんを有することが知られる対象からの生物学的サンプルの100%、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%又は少なくとも50%が、閾値を超えるウイルス(例えば、EBV)起源の細胞フリー核酸の量を有するように設定され得る。対象の年齢、対象の喫煙状態及び周囲温度からなる群から選択される属性に基づいて、ベースライン閾値を確立することができるとともに、ベースライン閾値を調整することができる。
【0016】
[0022] 閾値は、細胞フリー核酸の量であり得る。細胞フリー核酸の量は、米国特許出願公開第20180237863号に記載の核酸(例えば、ウイルス核酸、EBV核酸)の量であり得る。例えば、閾値は、血漿中EBV DNA濃度などの血漿中EBV DNAの量であり得る。量は、サンプルから決定可能である。細胞フリー核酸は、ウイルス起源の細胞フリー核酸であり得る。ウイルス起源の細胞フリー核酸の量は、サンプルのウイルスロードの指標となり得る。ウイルス起源の細胞フリー核酸の量は、対象における腫瘍又は腫瘍のリスクの指標となり得る。ウイルス起源の細胞フリー核酸の量は、腫瘍の存在の指標となる量であり得る。
【0017】
[0023] 量は、単位体積(例えば、ミリリットル(コピー/mL))当たりのウイルス起源の細胞フリー核酸のコピー数、単位体積(例えば、ミリリットル)当たりのウイルス起源の細胞フリー核酸の特異的配列のコピー数、非ウイルス起源の全細胞フリー核酸に対するウイルス起源の全細胞フリー核酸の割合又は非ウイルス起源の全細胞フリー核酸に対するウイルス起源の細胞フリー核酸の特異的配列の割合であり得る。細胞フリー核酸の量は、細胞フリー核酸の数量、質量(例えば、グラム、ナノグラム)、分子数(例えば、1、2、3、4個)、レベル、規格化量、濃度(例えば、コピー/mL)、パーセント又は比であり得る。細胞フリー核酸の量は、例えば、サンプル中のウイルス細胞フリー核酸と非ウイルス細胞フリー核酸との比、サンプル中の特定のサイズ範囲内のウイルス細胞フリー核酸と同一又は異なるサイズ比の非ウイルス細胞フリー核酸との比であり得る。サイズ比の例は、例えば、米国特許出願公開第20180237863号に見出され得る。
【0018】
[0024] 量は、サンプル中のウイルス起源の細胞フリー核酸の割合であり得る。ウイルス起源の細胞フリー核酸の割合は、あるサイズ範囲内のウイルス起源のcfDNAの割合であり得る。割合は、細胞フリー核酸のサイズ比の決定に使用可能である。サイズ比は、あるサイズ範囲内の常染色体細胞フリー核酸の割合に対する、そのサイズ範囲内のウイルス起源の細胞フリー核酸の割合であり得る。一例では、EBV DNAサイズ比は、80~110bpのサイズを有する常染色体細胞フリーDNAの割合に対する、80~110bpのサイズを有するEBV DNAの割合である。他の一例では、EBV DNAサイズ比は、180bp未満の常染色体細胞フリーDNAの割合に対する、180bp未満のEBV DNAの割合である。一例では、EBV DNAサイズ比は、150bp未満の常染色体細胞フリーDNAの割合に対する、150bp未満のEBV DNAの割合である。
【0019】
[0025] ウイルス起源の特異的配列は、潜在的膜タンパク質(LMP)、エプスタイン・バーウイルス核抗原(EBNA)、エプスタイン・バーウイルスコード低分子RNA(EBER)、EBVポリメラーゼ(Pol)、EBVポリメラーゼアクセサリータンパク質、BamHI断片又はそれらの組合せをコードする配列であり得る。
【0020】
[0026] 閾値は、約1コピー/mL、5コピー/mL、10コピー/mL、50コピー/mL、100コピー/mL、200コピー/mL、300コピー/mL、500コピー/mL、1000コピー/mL、10,000コピー/mL又は100,000コピー/mLであり得る。閾値は、0~4000コピー/mLであり得る。閾値は、少なくとも50コピー/mLであり得る。閾値は、50~500コピー/mLであり得る。閾値は、100~500コピー/mLであり得る。閾値は、200~500コピー/mLであり得る。閾値は、50~200コピー/mLであり得る。閾値は、500コピー/mLまでであり得る。代替的に、閾値は、20,000~50,000コピー/mLであり得る。
【0021】
[0027] いくつかの場合、閾値は、調整されたベースライン閾値又は初期閾値であり得る。その場合、あらかじめ決められたベースライン閾値は、1つ以上の対象依存属性又は対象非依存属性に基づいて調整される。一例では、ベースライン閾値は、対象の年齢、対象の喫煙状態、サンプル採取時の温度又はそれらの組合せに基づいて調整される。いくつかの場合、閾値は、例えば、アルゴリズムを用いて、少なくとも1つの対象依存属性又は対象非依存属性に基づいて決定可能である。
【0022】
[0028] 属性は、対象依存属性又は対象非依存属性であり得る。対象依存属性の例としては、年齢、現在の喫煙状態、現在の飲酒状態、運動習慣及び併存症状態が挙げられる。対象非依存属性の例としては、周囲温度が挙げられる。
【0023】
[0029] いくつかの場合、閾値は、対象の年齢に基づいて決定される。いくつかの場合、血漿中EBV DNA濃度の閾値は、対象の年齢に基づいて決定される。例えば、若年者では老年者よりも低いカットオフ(閾値)を使用可能である。他の一例では、老年者では、若年者よりも高いカットオフ(閾値)を使用可能である。対象の年齢は、生物学的サンプルが採取されたときの対象の年齢であり得る。対象の年齢は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、1060、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119又は120歳であり得る。対象の年齢は、12歳以下、13歳~19歳、20歳~35歳、36歳~45歳、46歳~59歳、60歳~79歳又は80歳超であり得る。閾値は、年齢による正の補正を含み得る(例えば、図1を参照されたい)。いくつかの場合、老年対象(例えば、NPCでない老年対象)は、若年対象(例えば、NPCでない若年対象)よりも生物学的サンプル中のEBV由来のcfDNAを多量に有し得る。例えば、5歳の年齢増加は、NPCでない対象間で血漿中EBV DNAの陽性率の0.6%増加に関連し得る(例えば、図1を参照されたい)。いくつかの場合、対象の年齢は、ベースライン年齢と比較される。ベースライン年齢は、何らかの後続の調整が行われるあらかじめ決められた年齢であり得る。いくつかの場合、対象の年齢がベースライン年齢を上回る場合、対象がベースライン年齢を上回る各年齢に対して閾値を少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%又は10%上昇させる。いくつかの場合、対象の年齢がベースライン年齢を下回る場合、対象がベースライン年齢を下回る各年齢に対して閾値を少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%又は10%低下させる。いくつかの場合、対象の年齢がベースライン年齢を上回る場合、対象がベースライン年齢を上回る5又は10歳の各ブロックに対して閾値を少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%又は10%上昇させる。例えば、ベースライン年齢が50歳であり、対象の年齢が62歳であり、且つ5歳ごとに閾値を2%上昇させる場合、対象に対する閾値を50歳の閾値と比較して6%上昇させることが可能である。いくつかの場合、対象の年齢がベースライン年齢を下回る場合、対象がベースライン年齢を下回る5又は10歳の各ブロックに対して閾値を少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%又は10%低下させる。
【0024】
[0030] いくつかの場合、閾値は、対象の喫煙状態に基づいて決定される。いくつかの場合、血漿中EBV DNA濃度の閾値は、対象の喫煙状態に基づいて決定される。対象の喫煙状態は、喫煙者又は非喫煙者であり得る。対象が喫煙者である場合、対象が喫煙者でない場合よりも閾値を高く設定し得る。いくつかの場合、喫煙状態は、対象が現喫煙者であるか又は現喫煙者でないかの指標となる。現喫煙者は、過去1日間、1週間、1ヶ月間又は1年間以内に喫煙に関与した(例えば、少なくとも1、10又は100本のシガレットを喫煙した)対象であり得る。喫煙は、いずれかのタバコ製品又はマリファナ製品の喫煙であり得る。タバコ製品又はマリファナ製品は、例えば、シガー、ブラント、シガリロ、リトルシガー、シガレット又はクレテックであり得る。喫煙は、電子シガレットなどのハンドヘルド電子デバイスにより助長され得る。電子デバイスは、ニコチンを含むエアロゾル又は蒸気を生成し得る。いくつかの場合、現喫煙者又は元喫煙者は、平均で1日約1、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70又は約75本のシガレットを喫煙する/喫煙した。いくつかの場合、現喫煙者/元喫煙者は、1日約1~約10、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60又は約60~約75本のシガレットを喫煙する/喫煙した。いくつかの場合、現喫煙者又は元喫煙者は、1日75本超のシガレットを喫煙する/喫煙した。いくつかの場合、対象が喫煙者である場合、閾値を少なくとも約1%、2%、5%、10%、20%又は25%上昇させる。いくつかの場合、対象が非喫煙者である場合、閾値を少なくとも約1%、2%、5%、10%、20%又は25%低下させる。非喫煙者は、過去1日間、1週間、1ヶ月間又は1年間以内に喫煙(例えば、少なくとも1、10又は100本のシガレットの喫煙)に関与しなかった対象であり得る。
【0025】
[0031] いくつかの場合、閾値は、周囲温度に基づいて決定される。いくつかの場合、血漿中EBV DNA濃度の閾値は、周囲温度に基づいて決定される。例えば、より寒い日に採取されたサンプルでは、より暖かい日に採取されたサンプルに使用される閾値よりも高い閾値を使用可能である。他の一例では、より暖かい日に採取されたサンプルでは、より寒い日に採取されたサンプルに使用される閾値よりも低い閾値を使用可能である。周囲温度は、対象から生物学的サンプルが採取されたときの温度であり得る。周囲温度は、サンプル採取位置又はそれに近い位置で決定可能である。サンプル採取位置に近い位置は、サンプル採取位置から1キロメートル(km)、10km、100km、200km、300km、400km又は500km以内の位置であり得る。周囲温度は、サンプル採取日のサンプル採取位置又はその近くの環境の温度であり得る。周囲温度は、平均周囲温度であり得る。平均周囲温度は、サンプル採取日の平均周囲温度、サンプル採取時の直前の24時間にわたる平均周囲温度又はサンプル採取時の直前の1週間の平均周囲温度であり得る。周囲温度は、サンプル採取日のサンプル採取位置又はそれに近い位置の高温又は低温であり得る。周囲温度は、サンプル採取日の特定の時間(例えば、午前、正午、午後、夕方)のサンプル採取位置又はそれに近い位置の温度であり得る。周囲温度は、サンプルが採取される地方自治体又は国の公的気象観測所で決定可能である。周囲温度は、米国国立気象局(U.S. National Weather Service)又は香港観測所(Hong Kong Observatory)により決定可能である。周囲温度は、アナログ又はディジタル温度計を用いて決定可能である。
【0026】
[0032] 閾値は、周囲温度との負の相関を含み得る(例えば、図2を参照されたい)。いくつかの場合、周囲温度は、ベースライン温度と比較される。ベースライン温度は、何らかの後続の調整が行われるあらかじめ決められた温度であり得る。いくつかの場合、周囲温度がベースライン温度を上回る場合、周囲温度がベースライン温度を上回る各(摂氏)度に対して閾値を少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%低下させる。いくつかの場合、周囲温度がベースライン温度を下回る場合、周囲温度がベースライン温度を上回る各(摂氏)度に対して閾値を少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%上昇させる。いくつかの場合、周囲温度がベースライン温度を下回る場合、周囲温度がベースライン温度を上回る2、3、4又は5度の各ブロックに対して閾値を少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%上昇させる。例えば、ベースライン温度が24℃であり、対象からサンプルを採取する日の平均周囲温度が19℃であり、且つ3度ごとに閾値を1%低下させ得る場合、対象に対する閾値を24℃の温度の閾値と比較して2%低下させることが可能である。いくつかの場合、周囲温度がベースライン温度を上回る場合、温度がベースライン温度を上回る2、3、4又は5度の各ブロックに対して閾値を少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%上昇させることが可能である。
【0027】
[0033] いくつかの場合、閾値は、対象の年齢及び対象の喫煙状態に基づいて決定される。いくつかの場合、閾値は、対象の年齢及び周囲温度に基づいて決定される。いくつかの場合、閾値は、対象の喫煙状態及び周囲温度に基づいて決定される。いくつかの場合、閾値は、対象の年齢、対象の喫煙状態及び周囲温度に基づいて決定される。
【0028】
[0034] いくつかの場合、閾値は、対象の併存症状態、対象の現在の飲酒状態、対象の運動習慣又はそれらのいずれかの組合せに基づいて決定されない。
【0029】
[0035] いくつかの場合、対象の現在の飲酒状態は、対象が現アルコール飲酒者であるか又は現アルコール飲酒者でないかの指標となる。現飲酒者は、過去1日間、1週間、1ヶ月間又は1年間以内にアルコール飲酒に関与した(例えば、アルコールを摂取した)対象であり得る。
【0030】
[0036] いくつかの場合、対象の運動習慣は、対象が運動のレギュラー参加者であるかの指標となる。運動のレギュラー参加者は、少なくとも1、2又は3日間/週で少なくとも15分間(min)、30分間、45分間又は60分間の適度な運動に取り組む対象であり得る。いくつかの場合、運動のレギュラー参加者は、少なくとも2日間/週で少なくとも30分間の適度な運動に取り組む対象であり得る。
【0031】
[0037] いくつかの場合、対象の併存症状態は、対象における1つ以上の併存症の存在又は不在である。1つ以上の併存症は、糖尿病、高血圧症、高脂血症、虚血性心疾患又はそれらの組合せを含み得る。
【0032】
[0038] 本明細書に提供される腫瘍の存在についてスクリーニングする方法は、ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を閾値と比較することをさらに含み得る。ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を閾値と比較することは、腫瘍について対象をスクリーニングするために使用可能である。
【0033】
[0039] 決定された閾値、例えばトレーニングセットを用いて決定された閾値は、未知の腫瘍状態を有する1名以上の対象からの1つ以上の生物学的サンプルからのウイルス起源の細胞フリー核酸の量と比較され得る。一例では、対象が閾値を上回る量のEBV血漿中cfDNAを有する場合、その対象は、NPCを有するか又はそれを有するリスクがあると判定される。他の一例では、対象が閾値を下回る量のEBV血漿中cfDNAを有する場合、その対象は、NPCを有していないか又はそれを有するリスクがないと判定される。EBV細胞フリー核酸の検出量を閾値と比較して対象がNPCを有するかを判定する例示的ワークフローは、図4に例示される。
【0034】
[0040] ウイルス由来の細胞フリー核酸の量の決定
[0041] ウイルス由来の細胞フリー核酸の量は、例えば、米国特許出願公開第20180237863号に記載のように決定可能である。いくつかの場合、ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を決定することは、ウイルス由来の細胞フリー核酸を増幅することを含む。増幅は、定量PCR(qPCR、リアルタイムPCRともいう)などのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含み得る。増幅は、逆転写PCR、リアルタイムPCR、定量リアルタイムPCR、ディジタルPCR(dPCR)、ディジタルエマルジョンPCR(dePCR)、クローンPCR、増幅断片長多型PCR(AFLP PCR)、対立遺伝子特異的PCR、アセンブリーPCR、非対称PCR(選択された鎖に対するプライマーを大過剰で使用可能である)、鎖置換増幅、多重置換増幅、ローリングサークル増幅、コロニーPCR、ヘリカーゼ依存増幅(HDA)、ホットスタートPCR、リガーゼ連鎖反応、逆PCR(IPCR)、インサイチューPCR、ロングPCR(約5キロ塩基超のDNAの伸長)、ヘリカーゼ依存増幅、分岐増幅法、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR(1対超のプライマーを使用する)、単一細胞PCR、タッチダウンPCR、ループ媒介等温PCR(LAMP)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)又は核酸配列ベース増幅(NASBA)を含み得る。増幅は、全ゲノム増幅又は標的増幅を含み得る。いくつかの場合、細胞フリー核酸は、増幅前に生物学的サンプルから単離される。細胞フリー核酸は、所与のサイズの細胞フリー核酸断片を選択することにより生物学的サンプルから単離可能である。150塩基対(bp)、200bp又は300bpよりも短い長さの細胞フリー核酸を生物学的サンプルから単離可能である。いくつかの場合、150bp~300bpの細胞フリー核酸が単離される。いくつかの場合、150bp~200bpの細胞フリー核酸が単離される。いくつかの場合、180bp~200bpの細胞フリー核酸が単離される。いくつかの場合、80bp~110bpの細胞フリー核酸が単離される。
【0035】
[0042] ウイルス由来の細胞フリー核酸の量は、例えば、分光測光(例えば、UV分光測光、例えばNANODROP)、蛍光測定(例えば、QUANTIFLUOR色素を用いたもの)、マイクロアレイ(例えば、DNAマイクロアレイ)、質量分析、シーケンシング、例えば次世代シーケンシングにより決定可能である。シーケンシングは、チェーンターミネーションシーケンシング、ハイブリダイゼーションシーケンシング、454シーケンス(ROCHE)、可逆ターミネーター色素を用いたシーケンシング(ILLUMINAシーケンシング)、半導体シーケンシング(THERMOFISHER ION TORRENT)、質量分光測光シーケンシング、大規模並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)、マキサム・ギルバートシーケンシング、ナノポアシーケンシング(例えば、OXFORD NANOPORE又はGENIAの技術を用いたもの)、単一分子電子検出シーケンシング(例えば、核酸(DNA/RNA)がナノギャップを通り抜けるときにナノ電極を介してトンネル電流を測定して電流差を計算するもの、例えばQUANTUM BIOSYSTEMS製のQUANTUM SEQUENCINGを用いたもの)、マイクロドロップレット単一分子シーケンス、例えば加ピロリン酸分解を用いたもの(例えば、BASE4の技術を用いたもの)、ポロニーシーケンシング、パイロシーケンシング、ショットガンシーケンシング、単一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング(PACIFIC BIOSCIENCES)、GENAPSYSのGenapSys Gene Electronic Nano-Integrated Ultra-Sensitive(GENIUS)技術、QIAGEN製のGENEREADER又はSOLiDシーケンシングを含み得る。
【0036】
[0043] 本方法は、シーケンシング前にサンプルからのウイルスから細胞フリー核酸を富化することを含み得る。富化は、ハイブリダイゼーションプローブを用いてウイルスから細胞フリー核酸をキャプチャーすることを含み得る。いくつかの場合、本方法は、シーケンシング前にサンプルからのウイルスから細胞フリー核酸を富化することを必要としない。本方法は、シーケンシングライブラリーをアセンブルすることを含み得る。例えば、シーケンシングライブラリーは、すでに記載のように構築可能である(例えば、Lam et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 May 29; 115(22): E5115-E5124を参照されたい)。
【0037】
[0044] 例えば、ROCHE製のSEQCAPを用いて1つ以上の標的を富化することが可能である。核酸、例えばDNA、例えばゲノミックDNAは、例えば、超音波処理により断片化可能である。断片化DNAは、キャプチャープローブにアニール可能である。キャプチャープローブは、標識可能である。プローブは、ストレプトアビジンで被覆された磁気ビーズなどの固形担体に結合可能である。キャプチャーされた標的は、放出、増幅及びシーケンスすることが可能である。
【0038】
[0045] 例えば、AGILIENT TECHNOLOGIES製のHALOPLEX Target Enrichment Systemを用いて、1つ以上の標的を富化することが可能である。核酸、例えばDNA、例えばゲノミックDNAは、例えば、制限酵素消化により断片化することが可能である。環化された、且つ1つ以上のインデックスが組み込まれた、且つILLUMINAシーケンシングなどのシーケンシングプラットフォームに有用な1つ以上のシーケンシングモチーフを任意選択的に有するDNA断片を生成するために、インデクシングプライマーカセットの存在下でプローブを使用することが可能である。プローブは、ビオチン化などにより付加可能なビオチンなどの標識を含み得る。標識プローブは、ストレプトアビジン被覆ビーズ(例えば、磁気ビーズ)などを用いてキャプチャー可能である。キャプチャーされた標的は、PCRなどにより増幅するとともに、例えば次世代シーケンシングなどのシーケンシングにより解析することが可能である。
【0039】
[0046] 1つ以上の標的は、1つ以上のキャプチャープローブを用いて、例えばAGILENT TECHNOLOGIES製のSURESELECT Target Enrichmentを用いて富化可能である。核酸、例えばDNA、例えばゲノミックDNAは、例えば、超音波処理により断片化可能である。1つ以上の標的は、約10~約200塩基、約20~約175塩基、約25~約150塩基又は約120塩基の1つ以上のプローブ、例えば1つ以上のcRNAプローブを用いて富化可能である。1つ以上のプローブ、例えば1つ以上のcRNAプローブは、ビオチンなどの標識で標識可能であるとともに、標識は、例えば、ストレプトアビジンなどの結合部分を介してビーズ(例えば、磁気ビーズ)などの固形担体に結合可能である。ビーズ、例えば磁気ビーズなどの固形担体は、例えば、磁石を用いてキャプチャー可能である。1つ以上のキャプチャーされた標的は、固形担体からの脱結合(例えば、cRNAプローブの消化により)、PCRなどによる増幅及び次世代シーケンシングなどのシーケンシングによる解析が可能である。
【0040】
[0047] 1つ以上の標的は、例えば、トランスポザーゼを用いて、例えばNEXTERAタグメンテーションを用いて富化可能である。1つ以上の標的は、転位によるアダプターの付加、次いでアダプターにアニールするプライマーを用いたPCRによる増幅により富化可能である。
【0041】
[0048] 1つ以上の標的は、NUGENのSingle Primer Enrichment Technology(SPET)を用いて富化可能である。アダプターは、核酸断片に装着可能である。3’アダプターを含むプライマーは、標的配列へのアニーリング及び伸長が可能である。伸長産物は、アダプター配列に対するプライマーを用いて増幅可能であり、且つ増幅産物は、次世代シーケンシングなどのシーケンシングにより解析可能である。
【0042】
[0049] ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を決定することは、ウイルス由来の細胞フリー核酸のコピー数を決定することを含み得る。例えば、生物学的サンプルの単位体積(例えば、mL)当たりの特定のウイルス細胞フリー核酸(例えば、cfDNA)配列のコピー数を決定可能である。ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を決定することは、生物学的サンプル(例えば、血漿)の単位体積(例えば、ミリリットル)当たりのウイルス(例えば、EBV)ゲノムのコピー数を決定することを含み得る。
【0043】
[0050] ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を決定することは、少なくとも1つのウイルス配列を増幅することを含み得る。ウイルス配列は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)から導出可能である。EBV配列は、潜在的膜タンパク質(LMP)、エプスタイン・バーウイルス核抗原(EBNA)、エプスタイン・バーウイルスコード低分子RNA(EBER)、EBVポリメラーゼ(Pol)、EBVポリメラーゼアクセサリータンパク質(例えば、BMRF1)、BamHI断片又はそれらの組合せをコードする配列であり得る。LMPの例としては、LMP-1、LMP-2A及びLMP-2Bが挙げられる。EBNAの例としては、EBNA-1、EBNA-2、EBNA-3a、EBNA-3b及びEBNA-3cが挙げられる。EBERの例としては、EBER-1及びEBER-2が挙げられる。BamHI断片の例としては、BamHI-A、BamHI-C及びBamHI-Wが挙げられる。いくつかの場合、ウイルス由来の細胞フリー核酸の量を決定することは、1、2、3、4、5つ又は5つ超のウイルス配列の量を決定することを含む。
【0044】
[0051] いくつかの場合、細胞フリー核酸の量を決定することは、ウイルス由来の細胞フリー核酸をシーケンスすることを含む。シーケンスすることにより配列リードを生成可能である。配列リードをヒトゲノム又はウイルスゲノムにアライメントすることにより、ヒトゲノム(例えば、対象のゲノム)を起源とする配列と、非ヒトゲノム(例えば、ウイルスのゲノム)を起源とする配列とを識別することが可能である。シーケンシングは、全ゲノムシーケンシング又は標的シーケンシングを含み得る。標的シーケンシングは、例えば、本明細書に記載のように、少なくとも1つのウイルス配列を増幅することを含み得る。シーケンシングは、大規模並列シーケンシングであり得る。シーケンシングは、核酸断片のクローン拡大分子又は非増幅単一分子のシーケンシングを含み得る。シーケンシングは、チェーンターミネーションシーケンシング、ハイブリダイゼーションシーケンシング、Illumina(登録商標)シーケンシング(例えば、可逆ターミネーティング色素を用いたもの)、Ion Torrent(商標)(例えば、半導体)シーケンシング、質量分光測光シーケンシング、大規模並列シグネチャーシーケンシング(MPSS)、マキサム・ギルバートシーケンシング、ナノポアシーケンシング、ポロニーシーケンシング、パイロシーケンシング、ショットガンシーケンシング、単一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、SOLiD(登録商標)シーケンシング(例えば、蛍光標識二塩基プローブを用いたもの)、ユニバーサルシーケンシング又はそれらのいずれかの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、増幅は、ディジタルPCRを含み得る。シーケンシングは、Illumina(登録商標)NextSeq 500プラットフォーム又はNextSeq 550プラットフォームを用いて行うことが可能である。
【0045】
[0052] ウイルス及び腫瘍
[0053] ウイルスは、がんに関連するウイルスであり得る。限定されるものではないが、対象においてがんの原因となり得る又はそれに関連し得るウイルスの例としては、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、カポジ肉腫、頸がん、非ホジキンリンパ腫、肛門がん、ホジキン病、肺がん、口腔がん、中咽頭がん、皮膚がん及び肝がんに関連するもの)、ヒトヘルペスウイルス8型(例えば、カポジ肉腫、血液がん、原発性滲出液リンパ腫及びキャッスルマン病に関連するもの)、ヒトTリンパ球向性ウイルス-1(例えば、リンパ球性白血病、非ホジキンリンパ腫及び成人T細胞白血病/リンパ腫に関連するもの)並びにメルケル細胞ポリオーマウイルス(例えば、メルケル細胞がんなどの皮膚がんに関連するもの)が挙げられる。ウイルスは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)であり得る。腫瘍は、ウイルスに起因するか又はウイルスに関連する腫瘍であり得る。腫瘍は、エプスタイン・バーウイルスに起因するか又はエプスタイン・バーウイルスに関連する腫瘍であり得る。EBVに起因するか又はEBVに関連する腫瘍の例としては、鼻咽頭がん、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫又はホジキンリンパ腫)及び胃がんが挙げられる。ある場合には、腫瘍は、鼻咽頭がん(NPC)である。
【0046】
[0054] 生物学的サンプル及び核酸
[0055] 生物学的サンプルは、全血、血漿、血清、尿、胸水又はリンパ液であり得る。いくつかの場合、生物学的サンプルは、血漿である。生物学的サンプルは、末梢血リンパ球(PBL)、末梢血単核細胞(PBMC)を含み得る。生物学的サンプルは、生物学的サンプル中に見出されるが、インタクト細胞内に含まれないいずれかの核酸であり得る細胞フリー核酸を含み得る。細胞フリー核酸は、細胞フリーDNA(cfDNA)又は細胞フリーRNAであり得る。細胞フリー核酸は、循環核酸、例えば循環DNA又はRNAであり得る。生物学的サンプル中の細胞フリー核酸の少なくとも一部分は、ウイルス起源であり得、及び/又は腫瘍に由来し得る。血流中に見出される腫瘍に由来する細胞フリー核酸は、循環腫瘍核酸、例えば循環腫瘍DNA(ctDNA)と呼ばれ得る。細胞フリー核酸の例は、血漿中DNAであり得る。ウイルスに由来する細胞フリー核酸の例は、血漿中EBV DNAであり得る。
【0047】
[0056] 対象
[0057] 生物学的サンプルは、対象から採取可能である。対象は、ヒトであり得る。代替的に、対象は、非ヒト霊長動物(例えば、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、サル、オランウータン、キツネザル若しくはヒヒ)、イヌ、ネコ、ヤギ、モルモット、ハムスター、マウス、ブタ、ヤギ、ウシ、ラクダ又はゼブラフィッシュであり得る。対象は、腫瘍についてスクリーニングされる対象であり得る。サンプルは、侵襲的(例えば、外科的手段)又は非侵襲的(例えば、採血、スワブ又は排出サンプル採取)に対象から得ることが可能である。
【0048】
[0058] 追加のアッセイ
[0059] いくつかの実施形態では、本開示の方法は、2つ以上のアッセイ(例えば、第1のアッセイ及び第2のアッセイ)を実施することを含む。アッセイ(例えば、第1のアッセイ及び/又は第2のアッセイ)は、米国特許出願公開第20180237863号に記載のアッセイであり得る(例えば、図5を参照されたい)。例えば、血液サンプルは、対象から得ることが可能であり、且つ細胞は、例えば、遠心分離を連続して2回実施することにより、細胞フリーDNA(cfDNA)を含有する血漿から取り出すことが可能である5202。遠心分離は、血漿サンプルから血小板及び細胞を枯渇させるように2,000×gで10分間実施可能である。採取された2つの血液サンプルの一方からの約0.8ミリリットルの血漿は、サンプル中の腫瘍由来DNA(EBV DNA)のコピー数を検出するためにqPCR解析に使用可能である5203。cfDNA抽出は、cfDNAに関して血漿サンプルを富化するとともにqPCR解析のためのサンプルを準備するために血漿サンプルに対して実施可能である5204。qPCR解析のための変性、アニーリング及び伸長の温度は、(例えば、使用されるプライマーの長さ/GC含有率及び/又はサンプル中の全cfDNAの濃度に基づいて)決定可能であり5205、且つqPCR解析は、サンプル中の腫瘍由来cfDNAの量を検出するために実施可能である5206。EBV DNAを検出するために、ゲノムのBamHI配列にフランキングするプライマーを使用可能である。閾値は、対象からサンプルが採取されたときの対象の年齢及び/又は喫煙状態及び/又は周囲温度に基づいて確立可能である。検出されたEBV DNAの量が閾値を下回る場合5207、陰性の結果が提供され得るとともに、いくつかの場合には第2のアッセイが実施されない。検出されたcfDNAの量が閾値であるか又はそれを上回る場合5208、採取された第2の血液サンプルからの血漿を用いて第2のアッセイが実施され得る。例えば、サンプル中のcfDNAのサイズプロファイルを決定するために、約4ミリリットルの血漿が次世代シーケンシングに使用され得る5209。cfDNA抽出は、cfDNAに関して血漿サンプルを富化するとともに、次世代シーケンシング解析のためのサンプルを準備するために第2の血漿サンプルに対して実施可能である5210。ライブラリー作製は、シーケンスされるサンプル中のcfDNA断片にアダプターオリゴヌクレオチドをライゲートするために実施可能である5211。cfDNAは、下流プラットフォームに最適な長さに断片化可能である。いくつかの場合、DNA断片化は均一な平滑末端断片をもたらさないため、各分子がフリーな突出一本鎖であり、5‘一リン酸及び3’ヒドロキシル基を含有することを確かにするために末端修復を使用可能である。平滑末端DNA断片の3’末端への非鋳型デオキシアデノシン5’-一リン酸(dAMP)の組込み(dAテーリングとして知られるプロセス)を実施可能である。EBV DNAの標的富化を実施可能であり5212、EBV DNAの標的富化は、全ゲノムの代わりに対象の特定領域のシーケンシングを可能にし得る。次世代シーケンシングは、富化サンプルに対して実施可能である5213。富化血漿サンプル中のシーケンスされたcfDNAに対応する配列リードを得ることが可能であり、任意選択的に参照ゲノムにアライメントすることが可能である。解析を実施可能であり、例えばEBV量を評価可能であり、且つEBV DNA断片のサイズプロファイルを生成可能である5214。サンプルが得られた対象が鼻咽頭がんを有するかの指標となるレポートを出力可能である5215。
【0049】
[0060] 一例では、第1のアッセイは、療法の施行前に対象に対するウイルス起源の核酸のベースライン量を設定するために実施可能である一方、第2のアッセイは、療法の施行後に同一対象からのサンプルで実施可能である。他の一例では、第1のアッセイは、対象がウイルス由来の細胞フリー核酸を有するかを判定するための対象からのサンプルでの定性アッセイであり得る一方、第2のアッセイは、対象が検出される腫瘍に関して偽陽性であるかを判定するための同一対象からのサンプルでの定量アッセイであり得る(例えば、場合により本明細書に記載の対象非依存属性又は対象依存属性を考慮して閾値を調整した後、細胞フリー核酸の量は、閾値を下回る)。さらに他の一例では、第1のアッセイは、対象が検出される腫瘍に関して偽陽性であるかを判定するために対象からのサンプルで実施可能である(例えば、場合により本明細書に記載の対象非依存属性又は対象依存属性を考慮して閾値を調整した後、細胞フリー核酸の量は閾値を下回る)一方、第2のアッセイは、腫瘍の存在を確認するために対象からのサンプルで実施可能である。
【0050】
[0061] いくつかの場合、生物学的サンプルの第1の部分は、第1のアッセイに使用され、且つ生物学的サンプルの第2の部分は、第2のアッセイに使用される。他の場合、第1のアッセイに使用された生物学的サンプル及び第2の生物学的サンプルが第2のアッセイに使用され、この場合、第2の生物学的サンプルは、第1の生物学的サンプルと異なる時点で同一対象から採取される。第2の生物学的サンプルは、第1の生物学的サンプルの少なくとも1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、1年後、2年後、3年後、4年後又は5年後に採取可能である。
【0051】
[0062] いくつかの場合、本方法は、細胞フリー核酸の量が、対象が腫瘍を有するか又は有する疑いがあるかの指標となる場合、腫瘍について第2のスクリーンを実施することをさらに含む。例えば、対象は、血漿中EBV cfDNAの量が閾値を上回る場合、腫瘍を有する疑いがあり得る。第2のスクリーンは、例えば、ウイルス由来の細胞フリー核酸を増幅することにより、サンプル中のウイルス由来の細胞フリー核酸の量を決定するための第2のアッセイであり得る。第2のスクリーンは、内視鏡検査、鼻鏡検査、生検、X線検査、コンピュータートモグラフ(CT若しくはCAT)スキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)、超音波診断、骨スキャン、神経学的試験、聴力試験、ポジトロンエミッショントモグラフ(PET)又はPET-CTスキャン或いはそれらの組合せを対象で実施することを含み得る。第2のスクリーンは、対象において腫瘍の存在又は不在を確認可能である。
【0052】
[0063] 治療
[0064] いくつかの場合、本明細書に提供される方法は、スクリーン、第2のスクリーン又はそれらの組合せが、対象に腫瘍が存在することを示す場合、腫瘍について対象を治療することをさらに含む。腫瘍について対象を治療することは、療法の施行を含み得る。療法は、化学療法、放射線療法、手術、標的療法又はそれらの組合せであり得る。いくつかの場合、ブラキ療法を用いて放射線療法が施行される。いくつかの場合、手術は、鼻咽頭切除である。標的療法は、モノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、上皮成長因子レセプター(EGFR)を標的とする抗体であり得る。モノクローナル抗体は、ベバシズマブ、セツキシマブ又はニボルマブであり得る。標的療法は、チェックポイント阻害剤、例えば抗PDL1抗体又は抗PD1抗体であり得る。
【0053】
[0065] いくつかの場合、本明細書に提供される方法は、対象に予防療法を施行することをさらに含む。いくつかの場合、本明細書に提供される方法は、対象を、腫瘍に関する追加の調査に付すことをさらに含む。対象が腫瘍に関するリスク因子を有し、スクリーンが閾値を上回るEBV DNAの存在の指標となり、且つ第2のスクリーンが腫瘍の存在の指標とならない場合、予防療法を対象に施行可能であるか、又は対象を腫瘍に関する追加の調査に付すことが可能である。NPCに関するリスク因子は、アジア系、アルコール摂取、喫煙、NPCを有していた親族の存在及びそれらの組合せであり得る。腫瘍に関する追加の調査は、本明細書に記載の第2のスクリーンを含み得る。追加の調査は、対象に対して5年に1回、4年に1回、3年に1回、2年に1回、1年に1回、1年に2回、1年に3回、1年に4回、1年に5回又は1年に6回行うことが可能である。追加の調査は、本明細書に記載の腫瘍の存在のスクリーニングと組み合わせて行うことが可能である。
【0054】
[0066] 偽陽性率の低減
[0067] 腫瘍検出の偽陽性率は、本明細書に記載のように、対象依存属性又は対象非依存属性に基づいて、腫瘍の指標となるウイルス起源の細胞フリー核酸の閾値レベルを調整することにより減少させることが可能である。いくつかの場合、腫瘍は、鼻咽頭がんであり、且つ鼻咽頭がんは、閾値を上回る血漿中EBV DNAの存在に基づいてスクリーニング可能である。
【0055】
[0068] いくつかの場合、閾値を調整しないと約5.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整しないと5.5%超の偽陽性率をもたらす。
【0056】
[0069] いくつかの場合、閾値を調整すると、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、約3.0%、約3.1%、約3.2%、約3.3%、約3.4%、約3.5%、約3.6%、約3.7%、約3.8%、約3.9%、約4.0%、約4.1%、約4.2%、約4.3%、約4.4%、約4.5%、約4.6%、約4.7%、約4.8%、約4.9%、約5.0%、約5.1%、約5.2%、約5.3%又は約5.4%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると、0.5%未満、0.6%未満、0.7%未満、0.8%未満、0.9%未満、1.0%未満、1.1%未満、1.2%未満、1.3%未満、1.4%未満、1.5%未満、1.6%未満、1.7%未満、1.8%未満、1.9%未満、2.0%未満、2.1%未満、2.2%未満、2.3%未満、2.4%未満、2.5%未満、2.6%未満、2.7%未満、2.8%未満、2.9%未満、3.0%未満、3.1%未満、3.2%未満、3.3%未満、3.4%未満、3.5%未満、3.6%未満、3.7%未満、3.8%未満、3.9%未満、4.0%未満、4.1%未満、4.2%未満、4.3%未満、4.4%未満、4.5%未満、4.6%未満、4.7%未満、4.8%未満、4.9%未満、5.0%未満、5.1%未満、5.2%未満、5.3%未満又は5.4%未満の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると5.5%未満の偽陽性率をもたらす。
【0057】
[0070] いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.0%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.5%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.0%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.5%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約3.0%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約3.5%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約4.0%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約4.5%~約5.0%の偽陽性率をもたらす。
【0058】
[0071] いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.0%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.5%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.0%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.5%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約3.0%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約3.5%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約4.0%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。
【0059】
[0072] いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約4.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.0%~約4.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.5%~約4.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.0%~約4.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.5%~約4.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約3.0%~約4.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約3.5%~約4.0%の偽陽性率をもたらす。
【0060】
[0073] いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約3.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.0%~約3.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.5%~約3.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.0%~約3.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.5%~約3.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約3.0%~約3.5%の偽陽性率をもたらす。
【0061】
[0074] いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約3.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.0%~約3.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.5%~約3.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.0%~約3.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.5%~約3.0%の偽陽性率をもたらす。
【0062】
[0075] いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約2.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.0%~約2.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.5%~約2.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約2.0%~約2.5%の偽陽性率をもたらす。
【0063】
[0076] いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約2.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.0%~約2.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.5%~約2.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約1.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約1.0%~約1.5%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約0.5%~約1.0%の偽陽性率をもたらす。いくつかの場合、閾値を調整すると約3.8%~約4.5%の偽陽性率をもたらす。
【0064】
[0077] 一例では、周囲温度に基づいて腫瘍の指標となるウイルス起源の細胞フリー核酸の閾値レベルを調整すると約4.5%の偽陽性率をもたらし得る。30℃超の温度の日にサンプルが採取された場合、約4.5%の偽陽性率を達成し得る。他の一例では、年齢に基づいて腫瘍の指標となるウイルス起源の細胞フリー核酸の閾値レベルを調整すると約3.8%の偽陽性率をもたらし得る。45歳以下の対象からサンプルが採取された場合、約3.8%の偽陽性率を達成し得る。
【0065】
[0078] 血漿中EBV DNAスクリーニングの偽陽性率を低減するために、異なるストラテジーを使用可能である。スクリーニングセッションは、夏などのより高い温度の日にスケジュールされることもある。周囲温度に起因する予測偽陽性率の差異に基づいて解析料金の調整を行うことが可能である。一実現形態は、冬に偽陽性率が高くなるため、それほど正確でない試験に対する冬のより低い需要を考慮して、より低い試験料金を冬に及びより高い試験料金を夏に課すことであり得る。代替実現形態は、より多くの人々が夏にスクリーニングを受けるように促して試験の全体的確度を向上させるために、より高い試験料金を冬に及びより低い試験料金を夏に課すことであり得る。スクリーニングを受ける対象には、スクリーニング試験を受ける前の数日にわたり温かく保つように又は低温への暴露を回避するように助言することが可能である。調整は、例えば、試験が行われる年若しくは月の時間又はその日若しくは週の実際の温度に対して行うことが可能である。また、例えば赤道に近い地域ではより低い試験料金を課すなど、試験場所の地理的位置に基づいて構成を調整することも可能である。定量閾値は、血漿中DNAのレベルに適用可能である。定量閾値は、周囲温度に応じて調整可能である。例えば、周囲温度がより低い場合、より高い閾値(例えば、陽性の結果を規定するためにより高い濃度の血漿中EBV DNAが必要とされる)を使用可能である一方、周囲温度がより高い場合、より低い閾値(例えば、陽性の結果を規定するためにより低い濃度の血漿中EBV DNAが必要とされる)を使用可能である。
【0066】
[0079] 対象の年齢と対象からの血漿中のEBV DNA濃度との間の正の関係を考慮して、スクリーニングプログラムの費用効果を向上させるようにストラテジーを開発可能である。例えば、試験料金の削減によりスクリーニングに参加するように若年群を促すことが可能である。この構成は、血漿中EBV DNAの試験で陽性を示した対象に経鼻内視鏡検査又は磁気共鳴イメージングなどのさらなる検査のコストを払い戻すことが可能な場合に有用であり得る。払戻しは、保険に結び付けることが可能である。定量閾値は、血漿中DNAのレベルに適用可能である。定量閾値は、スクリーニングされる対象の年齢に応じて調整可能である。例えば、老年群に対してより高い閾値(例えば、陽性の結果を規定するためにより高濃度の血漿中EBV DNAが必要とされる)を使用可能である一方、若年群に対してより低い閾値(例えば、陽性の結果を規定するためにより低濃度の血漿中EBV DNAが必要とされる)を使用可能である。
【0067】
[0080] 喫煙者と非喫煙者との間で試験料金を調整するように類似のストラテジーを使用可能である。より高い偽陽性率を考慮してより高い試験料金を喫煙者に課すことが可能である。この料金構成は、血漿中EBV DNAの試験で陽性を示す対象にさらなる検査のコストが払い戻される場合に有用であり得る。定量閾値は、血漿中DNAのレベルに適用可能である。定量閾値は、スクリーニングされる対象の喫煙習慣に応じて調整可能である。例えば、喫煙者に対してより高い閾値(例えば、陽性の結果を規定するためにより高濃度の血漿中EBV DNAが必要とされる)を使用可能である一方、非喫煙者に対してより低い閾値(例えば、陽性の結果を規定するためにより低濃度の血漿中EBV DNAが必要とされる)を使用可能である。
【0068】
[0081] コンピューターシステム
[0082] 本明細書に開示されるのは、特定の場合、本明細書に記載の方法のいずれか1つの操作を実施するようにコンピューターシステムを制御するための複数の命令を記憶するコンピューター可読媒体を含むコンピューター製品である。本明細書にさらに開示されるのは、特定の場合、本明細書に記載のコンピューター製品と、コンピューター可読媒体に記憶された命令を実行するための1つ以上のプロセッサーとを含むシステムである。
【0069】
[0083] 図3は、本開示のコンピューターシステムと通信してその各種の態様を制御するようにプログラムされた又は他に構成されたコンピューターシステム301を示す。
【0070】
[0084] コンピューターシステム301は、例えば、対象において腫瘍の指標となるウイルス起源のDNAの閾値を決定又は調整するなど、本開示の各種の態様を制御することが可能である。コンピューターシステム301は、ユーザーの電子デバイス又は電子デバイスに対して遠隔に位置するコンピューターシステムであり得る。電子デバイスは、モバイル電子デバイスであり得る。
【0071】
[0085] コンピューターシステム301は、シングルコア若しくはマルチコアプロセッサー又は並列処理のための複数のプロセッサーであり得る中央処理ユニット(CPU、本明細書では「プロセッサー」及び「コンピュータープロセッサー」ともいう)305を含み得る。コンピューターシステム301は、メモリー又はメモリーロケーション310(例えば、ランダムアクセスメモリー、リードオンリーメモリー、フラッシュメモリー)、電子記憶ユニット315(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース320(例えば、ネットワークアダプター)並びに周辺デバイス325、例えばキャッシュ、他のメモリー、データ記憶装置及び/又は電子ディスプレイアダプターを含み得る。メモリー310、記憶ユニット315、インターフェース320及び周辺デバイス325は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU305と通信可能である。記憶ユニット315は、データを記憶するためのデータ記憶ユニット(又はデータリポジトリー)であり得る。コンピューターシステム301は、通信インターフェース320を利用してコンピューターネットワーク(「ネットワーク」)330に作動結合可能である。ネットワーク330は、インターネット、インターネット及び/又はエクストラネット或いはインターネットと通信するイントラネット及び/又はエクストラネットであり得る。ネットワーク330は、いくつかの場合、テレコミュニケーション及び/又はデータネットワークである。ネットワーク330は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にし得る1つ以上のコンピューターサーバーを含み得る。ネットワーク330は、コンピューターシステム301を利用するいくつかの場合、コンピューターシステム301に結合されたデバイスがクライアント又はサーバーとして動作できるようにし得るピアツーピアネットワークを実現可能である。
【0072】
[0086] CPU305は、プログラム又はソフトウェアで具現化可能な機械可読命令のシーケンスを実行可能である。命令は、メモリー310などのメモリーロケーションに記憶可能である。命令は、CPU305に方向付けることが可能であり、続いてCPU305が本開示の方法を実現するようにプログラムするか又は他に構成することが可能である。CPU305により実施される操作の例としては、フェッチ、デコード、実行及びライトバックが挙げられ得る。
【0073】
[0087] CPU305は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム301の1つ以上の他のコンポーネントは、回路に含まれ得る。いくつかの場合、回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0074】
[0088] 記憶ユニット315は、ドライバー、ライブラリー、保存プログラムなどのファイルを記憶可能である。記憶ユニット315は、ユーザー選好及びユーザープログラムなどのユーザーデータを記憶可能である。コンピューターシステム301は、いくつかの場合、イントラネット又はインターネットを介してコンピューターシステム301と通信するリモートサーバー上に位置するなど、コンピューターシステム301の外部にある1つ以上の追加のデータ記憶ユニットを含み得る。
【0075】
[0089] コンピューターシステム301は、ネットワーク330を介して1つ以上のリモートコンピューターシステムと通信が可能である。例えば、コンピューターシステム301は、ユーザーのリモートコンピューターシステムと通信可能である。リモートコンピューターシステムの例としては、パーソナルコンピューター(例えば、ポータブルPC)、スレートPC又はタブレットPCの(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話機、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))又はパーソナルディジタルアシスタントが挙げられる。ユーザーは、ネットワーク330を介してコンピューターシステム301にアクセス可能である。
【0076】
[0090] 本明細書に記載の方法は、コンピューターシステム301の電子記憶ロケーション、例えばメモリー310又は電子記憶ユニット315などに記憶された機械(例えば、コンピュータープロセッサー)実行可能コードを介して実現可能である。機械実行可能コード又は機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供可能である。使用時、コードは、プロセッサー305により実行可能である。いくつかの場合、コードは、記憶ユニット315を検索してプロセッサー305により即時アクセスされるメモリー310に記憶可能である。いくつかの状況では、電子記憶ユニット315は、排除可能であり、且つ機械実行可能命令は、メモリー310に記憶可能である。
【0077】
[0091] コードは、コードの実行に適合したプロセッサーを有するマシンで使用するようにプレコンパイル及び構成可能であるか又は実行時にコンパイル可能である。コードは、プレコンパイル方式又はアズコンパイル方式でコードが実行され得るように選択可能なプログラミング言語で供給可能である。
【0078】
[0092] コンピューターシステム301などの本明細書に提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングで具現化可能である。技術の各種の態様は、典型的には、あるタイプの機械可読媒体で保持又は具現化される機械(又はプロセッサー)実行可能コード及び/又は関連データの形態の「製品」又は「製造品」と見なすことが可能である。機械実行可能コードは、メモリー(例えば、リードオンリーメモリー、ランダムアクセスメモリー、フラッシュメモリー)又はハードディスクなどの電子記憶ユニットに記憶可能である。「記憶」型媒体としては、コンピューター、プロセッサーなど、又はそれらの関連モジュールのタンジブルメモリー、例えばソフトウェアプログラミングのいずれかの時点で非一時記憶を提供可能な各種の半導体メモリー、テープドライブ、ディスクドライブなどのいずれか又はすべてが挙げられ得る。ソフトウェアの全部又は一部は、ときに、インターネット又は各種の他のテレコミュニケーションネットワークを介して通信可能である。かかる通信は、例えば、一方のコンピューター又はプロセッサーから他方のものへの、例えば管理サーバー又はホストコンピューターからアプリケーションサーバーのコンピュータープラットフォームへのソフトウェアのローディングを可能にし得る。そのため、ソフトウェアエレメントを保持可能な他のタイプの媒体は、ローカルデバイス間の物理インターフェースを横切って、有線又は光地上通信線ネットワークを介して及び各種のエアリンクを介して使用されるような光波、電波及び電磁波を含む。かかる波を搬送する物理エレメント、例えば有線リンク又は無線リンク、光リンクなどもソフトウェアを保持する媒体とみなされ得る。本明細書で用いられる場合、非一時タンジブル「記憶」媒体に限定されない限り、コンピューター又は機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサーへの命令の提供に関与するいずれかの媒体を意味する。
【0079】
[0093] そのため、コンピューター実行可能コードなどの機械可読媒体は、限定されるものではないが、タンジブル記憶媒体、搬送波媒体又は物理伝送媒体を含めて多くの形態をとり得る。不揮発性記憶媒体としては、例えば、光学ディスク又は磁気ディスク、例えばいずれかのコンピューターなどの記憶デバイスのいずれか、例えば図面に示されるデータベースなどの実現に使用可能なものが挙げられる。揮発性記憶媒体としては、ダイナミックメモリー、例えばかかるコンピュータープラットフォームのメインメモリーが挙げられる。タンジブル伝送媒体としては、コンピューターシステム内のバスを含むワイヤーを含めて、同軸ケーブル、銅ワイヤー及び光ファイバーが挙げられる。搬送波伝送媒体は、電気信号若しくは電磁信号又は音波若しくは光波、例えば高周波(RF)及び赤外線(IR)データ通信時に生成されるものなどの形態をとり得る。したがって、コンピューター可読媒体の通常の形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、いずれかの他の磁気媒体、CD-ROM、DVD若しくはDVD-ROM、いずれかの他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、ホールのパターンを有するいずれかの他の物理記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、いずれかの他のメモリーチップ若しくはカートリッジ、データ若しくは命令を伝送する搬送波、かかる搬送波を伝送するケーブル若しくはリンク又はコンピューターがプログラムコード及び/又はデータを読み取り得るいずれかの他の媒体が挙げられる。これらの形態のコンピューター可読媒体の多くは、実行のためにプロセッサーへの1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスの搬送に関与し得る。
【0080】
[0094] コンピューターシステム301は、対象種及び対象種に由来する対象遺伝子を選択する能力などの使用を提供するためにユーザーインターフェース(UI)340を含む電子ディスプレイ335を含み得るか又はそれと通信し得る。UIの例としては、限定されるものではないが、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)及びウェブベースユーザーインターフェースが挙げられる。
【0081】
[0095] 本明細書に挙げられるコンピューターシステムはいずれも、いずれかの好適な数のサブシステムを利用可能である。いくつかの場合、コンピューターシステムは、サブシステムがコンピューター装置のコンポーネントであり得る単一コンピューター装置を含む。他の場合、コンピューターシステムは、各々が内部コンポーネントを有するサブシステムである複数のコンピューター装置を含み得る。コンピューターシステムは、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、タブレット、モバイルフォン、ウェアラブルデバイス又はそれらのいずれかの組合せを含み得る。
【0082】
[0096] サブシステムは、システムバスを介して相互接続可能である。追加のサブシステムは、ディスプレイアダプターに結合可能なプリンター、キーボード、記憶デバイス及びモニターを含み得る。I/Oコントローラーに結合可能な周辺及び入力/出力(I/O)デバイスは、入力/出力(I/O)ポート(例えば、USB、FireWire(登録商標))などの当技術分野で公知のいずれかの数の接続によりコンピューターシステムに接続可能である。例えば、I/Oポート又は外部インターフェース(例えば、Ethernet、Wi-Fiなど)は、インターネットなどの広域ネットワーク、マウス入力デバイス又はスキャナーにコンピューターシステムを接続するために使用可能である。システムバスを介する相互接続は、セントラルプロセッサーと各サブシステムとの通信を可能にしたり、システムメモリー又は記憶デバイス(例えば、ハードドライブ又は光ディスクなどの固定ディスク)からの複数の命令の実行、さらにサブシステム間の情報交換を制御したりし得る。システムメモリー及び/又は記憶デバイスは、コンピューター可読媒体を具現化可能である。他のサブシステムは、データ収集デバイス、例えばカメラ、マイクロフォン、加速度計などであり得る。本明細書に挙げられるデータはいずれも、一方のコンポーネントから他方のコンポーネントに出力可能であるとともにユーザーに出力可能である。
【0083】
[0097] 実施形態の態様は、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路又はフィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いて及び/又はモジュラー方式若しくはインテグレート方式の一般的プログラマブルプロセッサーによりコンピューターソフトウェアを用いて、制御ロジックの形態で実現可能である。本明細書で用いられる場合、プロセッサーは、シングルコアプロセッサー、同一インテグレートチップ上のマルチコアプロセッサー又はシングル回路ボード上の又はネットワーク接続の複数のプロセッシングユニットを含み得る。本明細書に提供される開示及び教示に基づいて、当業者であれば、ハードウェア及びハードウェアとソフトウェアとの組合せを用いて本明細書に記載の実施形態を実現する他の手段及び/又は方法を知って理解するであろう。
【0084】
[0098] 本願に記載のソフトウェアコンポーネント又は機能はいずれも、例えば、従来技術又はオブジェクト指向技術を用いたいずれかの好適なコンピューター言語、例えばJava、C、C++、C#、Objective-C、Swiftなど、又はPerl若しくはPythonなどのスクリプト言語を用いてプロセッサーにより実行されるソフトウェアコードとして実現可能である。ソフトウェアコードは、記憶用及び/又は伝送のためのコンピューター可読媒体に一連の命令又はコマンドとして記憶可能である。
【0085】
[0099] 特定の用語
[00100] 本明細書で用いられる用語は、特定の場合を説明することを目的としたものにすぎず、限定を意図したものではない。以下の用語は、当業者によるこうした用語の理解のために加えて、本明細書で用いられる用語の意味の例示のために考察される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、特に文脈上明確に規定されない限り複数の指示対象を含む。いずれの任意選択的要素も除外するように特許請求の範囲を起草し得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求要素の記述に関する「単独」、「のみ」などのような排他的用語の使用、又は「否定的」限定の使用のための先行詞として機能することが意図される。
【0086】
[00101] 特定の範囲は、本明細書では、「約」という用語を数値の前に付けて提示される。「約」という用語は、本明細書では、それが前に付いた厳密な数、さらにその用語が前に付いた数の近傍の数又は近似の数に対して事実に即した裏付けを提供するために用いられる。数が特定的に挙げられた数の近傍又は近似であるかを判定する場合、近傍又は近似の挙げられない数は、それが提供された文脈で特定的に挙げられた数に実質的に均等な数を提供する数であり得る。値の範囲が提供された場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値(文脈上明らかに異なる規定がない限り下限の1/10単位まで)及びその指定範囲内のいずれかの他の指定値又は介在値は、本明細書に記載の方法及び組成物の範囲内に包含されるものと理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、そのより小さい範囲に独立して含まれ得るとともに、その指定範囲内の任意の特定的に除外された限界の制約を受けて、本明細書に記載の方法及び組成物の範囲内に包含される。指定範囲が一方又は両方の限界を含む場合、それらの含まれる一方又は両方の限界を除外した範囲も本明細書に記載の方法及び組成物に含まれる。
【0087】
[00102] 「者」、「患者」又は「対象」という用語は、同義的に用いられ得る。これらの用語は、ヘルスケアワーカー(例えば、医師、正看護師、ナースプラクティショナー、医師助手、オーダリー又はホスピスワーカー)のスーパービジョン(例えば、定常的又は間欠的なもの)により特徴付けられる状況をまったく必要としないか又はそれに限定されない。さらに、これらの用語は、ヒト又は動物の対象を意味し得る。
【0088】
[00103] 「治療すること」又は「治療」とは、標的病理学的病態又は障害を予防又は遅延(軽減)することを目的とし得る治療処置及び予防手段の両方を意味し得る。治療を必要とする者としては、すでに障害を有する者、さらに障害を起こしやすい者又は障害を予防すべき者が挙げられ得る。例えば、対象(例えば、哺乳動物)は、療法を受けた後、対象が次の点、すなわちがん細胞の数の低減又はがん細胞の不在、腫瘍サイズの低減、軟組織及び骨へのがんの広がりをはじめとする末梢器官へのがん細胞の浸潤の阻害(すなわちある程度の遅延、好ましくは停止)、腫瘍転移の阻害(すなわちある程度の遅延、好ましくは停止)、腫瘍成長のある程度の阻害及び/又は特定のがんに関連する症状の1つ以上のある程度の軽減、罹患率及び/又は死亡率の低減並びに生活の質の問題の改善の1つ以上の観測可能及び/又は測定可能な低減又は不在を示す場合、腫瘍に関して成功裏に「治療」可能である。
【0089】
[00104] 以下の実施例は、限定されるものではないが本発明の特定の態様の例示を提供する。
【実施例
【0090】
実施例
実施例1.非NPC対象における血漿中EBV DNAの検出率に影響を及ぼす因子の決定
[00105] NPCでない参加者において血漿中EBV DNAの陽性率に影響を及ぼすおそれのある因子を調べた。この対象群は、さらなる検査を伴うフォローアップを受けることが可能であり、且つNPCスクリーニングとの関連で偽陽性スクリーニング事例を呈した。非NPC対象における検出可能な血漿中EBV DNAに関連した因子の同定は、偽陽性スクリーニング結果の数を低減するために使用可能である。
【0091】
[00106] この試験では、NPCスクリーニング試験に登録したが、スクリーニング後3年以内にNPCを有していなかった20,138名の参加者(年齢40~62歳の男性)を解析した。そのデモグラフィックデータ、併存症、さらにスクリーニング日の平均周囲温度を解析した。周囲温度は、香港観測所から入手した。最初に単変量解析を実施し、続いて多変量ロジスティック回帰を行って、検出可能な血漿中EBV DNAに独立して関連する因子を同定した。
【0092】
[00107] 単変量解析は、血漿中EBV DNAの検出率に及ぼす個々の因子の影響を調べるために行った。個別に試験された因子は、年齢、現在の喫煙状態、現在の飲酒状態、運動習慣、糖尿病状態、高血圧症状態、高脂血症状態及び虚血性心疾患であった。
【0093】
[00108] 年齢と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に正の相関が存在した(P<0.001、R=0.651、線形回帰、図1参照)。年齢が5歳増加するごとに、血漿中EBV DNAの陽性率の0.6%増加に関連付けられた。
【0094】
[00109] 現在の喫煙状態と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に統計的に有意な関係が存在した(P<0.001、χ検定、表1)。オッズ比は、1.48であった。
【0095】
【表1】
【0096】
[00110] アルコール摂取と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に統計的に有意な関係は存在しなかった(P=0.9086、χ検定、表2)。
【0097】
【表2】
【0098】
[00111] 運動習慣と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に相関は存在しなかった(P=0.7441、χ検定、表3)。レギュラー運動は、少なくとも2日/週で少なくとも30分間の適度な運動を行うこととして定義した。
【0099】
【表3】
【0100】
[00112] 糖尿病と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に統計的に有意な影響が存在した(P=0.012、χ検定、表4)。
【0101】
【表4】
【0102】
[00113] 高血圧症と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に統計的に有意な関係が存在した(P=0.009、χ検定、表5)。
【0103】
【表5】
【0104】
[00114] 高脂血症と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に統計的に有意な関係は存在しなかった(P=0.18、χ検定、表6)。
【0105】
【表6】
【0106】
[00115] 虚血性心疾患と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に統計的に有意な関係は存在しなかった(P=0.06、χ検定、表7)。
【0107】
【表7】
【0108】
[00116] 温度と検出可能な血漿中EBV DNAとの間に負の相関が存在した(P<0.001、R=0.651、線形回帰、図2)。平均周囲温度が5℃低下するごとに、血漿中EBV DNAの陽性率の0.85%増加に関連付けられた。
【0109】
[00117] これらの因子が、検出可能な血漿中EBV DNAに独立して関連付けられるかをさらに調べるために、多変量ロジスティック回帰分析を実施した。
【0110】
[00118] 多変量ロジスティック回帰分析では、年齢、現在の喫煙状態及び周囲温度のみが血漿中EBV DNAの検出率の増加に独立して関連付けられた(表8)。血漿中EBV DNAに及ぼす糖尿病及び高血圧症の影響は、これらの2つの状態が老年群でより多く見られるため、年齢により妨げられた可能性がある。多変量解析に基づいて、喫煙者は、検出可能な血漿中EBV DNAを有する可能性が非喫煙者の1.59倍であった。
【0111】
【表8】
【0112】
[00119] 非NPC対象における血漿中EBV DNAの陽性率の増加は、一過性ウイルス複製の存在に起因する可能性があった。NPCスクリーニングとの関連では、非NPC対象における検出可能な血漿中EBV DNAの存在は、偽陽性スクリーニング結果を呈し得るとともに、経鼻内視鏡検査及びMRIを用いた検査を必要とし得る。したがって、非NPC対象における血漿中EBV DNAの検出率の低減は、スクリーニングプログラムの費用効果を向上させ得る。Chan et al. (2018) Ambient Temperature and Screening for Nasopharyngeal Cancer. NEJM 378: 962-963)を参照されたい。
【0113】
実施例2.血漿中EBVの検出
[00120] 血漿サンプルは、鼻咽頭がん(NPC)を有する疑いのある喫煙習慣のある60歳の女性から採取される。血漿サンプル中のEBV DNAの濃度は、EBVゲノムのBamHI-W領域のリアルタイム定量PCR(qPCR)を用いて測定される。β-グロビン遺伝子のリアルタイム定量PCRも対照として行われる。各qPCR反応の3回のレプリケートが行われる。検量線は、標準としてEBV陽性細胞株由来のDNAを用いて、各qPCRに対して並行して求められる。血漿中EBV DNAの濃度は、決定されて、血漿1ミリリットル当たりのEBVゲノムのコピー数として表される。
【0114】
[00121] ベースライン閾値の血漿中EBV DNAレベルは、100,000コピー/mLに設定される。しかしながら、女性が喫煙者であることを考慮して、閾値は、110,000コピー/mLに対して10%高く設定される。女性で検出された血漿中EBV DNAの量は、100,500コピー/mLである。これが調整閾値未満であることを考慮して、この女性は、NPCを有する疑いがなく、さらなるスクリーニングは実施されない。
【0115】
[00122] 本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し且つ説明してきたが、かかる実施形態が例として提供されているにすぎないことが当業者に明らかであろう。現時点では、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多くの変形形態、変更形態及び置換形態が想到されるであろう。本発明を実施する際、本明細書に記載される本発明の実施形態の各種の代替形態を利用し得ることを理解すべきである。以下の請求項が本発明の範囲を規定すること、且つこれらの請求項及びそれらの均等物の範囲内の方法及び構造がそれらにより包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5