(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】センサシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20231213BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20231213BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/931
(21)【出願番号】P 2020555719
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2019044330
(87)【国際公開番号】W WO2020100892
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2018213126
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018213127
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019048514
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 宙
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048896(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0115357(US,A1)
【文献】実公平03-028269(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0293532(US,A1)
【文献】特開2011-244417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるセンサシステムであって、
光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記センサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記光の通過を許容するカバーと、
前記カバー上に配置されており、前記カバーに生じた
ひずみ分布の変化に対応する信号を出力する変位センサと、
前記信号の変化に基づいて前記カバーに付着した異物を検出するプロセッサと、
を備えている、
センサシステム。
【請求項2】
前記変位センサは、ひずみゲージである、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記変位センサは、加速度センサである、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記カバーを振動させるアクチュエータを備えている、
請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記変位センサは、光ファイバセンサである、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記変位センサの少なくとも一部は、前記カバーの周縁部に配置されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項7】
車両に搭載されるセンサシステムであって、
光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記センサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記光の通過を許容するカバーと、
前記カバー上に配置されており、前記カバーに生じた変位に対応する信号を出力する変位センサと、
前記信号の変化に基づいて前記カバーに付着した異物を検出するプロセッサと、
を備えており、
前記変位センサの少なくとも一部は、前記カバーの厚みが変化している部分に配置されている
、
センサシステム。
【請求項8】
液体を噴射可能なノズルを備えており、
前記プロセッサは、前記異物の付着が検出されると、前記ノズルに前記カバーへ向けて前記液体を噴射させる、
請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサシステム。
【請求項9】
車両に搭載されるセンサシステムであって、
光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記センサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記光の通過を許容するカバーと、
前記カバー上に配置されており、前記カバーに生じた変位に対応する信号を出力する変位センサと、
前記信号の変化に基づいて前記カバーに付着した異物を検出するプロセッサと、
液体を噴射可能なノズル
と、
を備えており、
前記プロセッサは、検出された前記異物の前記カバーにおける位置を特定し、前記ノズルに当該位置へ向けて前記液体を噴射させる
、
センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されるセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転支援を行なうために、当該車両の外部の情報を検出するためのセンサユニットが車体に搭載される。特許文献1は、そのようなセンサユニットとしてのレーダを開示している。レーダは、車両の外部を照明するランプ装置の灯室内に配置されている。すなわち、レーダは、灯室を区画するとともに照明光の通過を許容するカバーによって覆われている。カバーは、車両の外面の一部を形成するとともに、レーダが外部の情報を検出するための検出光の通過も許容する。
【0003】
本明細書において用いられる「運転支援」という語は、運転操作(ハンドル操作、加速、減速など)、走行環境の監視、および運転操作のバックアップの少なくとも一つを少なくとも部分的に行なう制御処理を意味する。すなわち、衝突被害軽減ブレーキ機能やレーンキープアシスト機能のような部分的な運転支援から完全自動運転動作までを含む意味である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特許出願公開2007-106199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下を抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の要求に応えるための第一態様は、車両に搭載されるセンサシステムであって、
光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記センサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記光の通過を許容するカバーと、
前記カバー上に配置されており、前記カバーに生じた変位に対応する信号を出力する変位センサと、
前記信号の変化に基づいて前記カバーに付着した異物を検出するプロセッサと、
を備えている。
【0007】
カバーに生じるひずみの分布は一様ではないが、同じ箇所において検出されるひずみのモードは同じ変位傾向を示す。したがって、同じ変位センサにより繰り返し得られる検出結果同士は、同じ傾向を示す。しかしながら、カバーに異物が付着することにより、カバーのひずみの分布に変化が生じる。したがって、同じ変位センサによる検出結果にも変化が生じる。すなわち、変位センサによる検出結果の変化をモニタすることによって、カバーに付着した異物を検出できる。
【0008】
センサユニットが情報検出に用いる光の進行経路上に位置するカバーの一部に異物が付着すると、センサユニットによる車両の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のように構成された変位センサによってそのような異物の付着が検出されるので、検出結果に応じた適切な処理をとることができる。よって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下を抑制できる。
【0009】
上記の変位センサとしては、例えば、ひずみゲージ、加速度センサ、および光ファイバセンサの少なくとも一つが使用されうる。
【0010】
特に上記の変位センサとして光ファイバセンサが使用される場合、光ファイバは、軽量かつ柔軟であるので、カバーに対する配置自由度が高い。また、非常に細いので、カバーの表面に配置しても外観や意匠に与える影響が小さい。さらに、一つの光ファイバ内に複数のひずみ検出点を設定できる。したがって、センサユニットによる情報検出能力の低下を抑制するためのセンサシステムの設計自由度を高めることができる。
【0011】
特に上記の変位センサとして加速度センサが使用される場合、上記のセンサシステムは、前記カバーを振動させるアクチュエータを備えうる。
【0012】
このような構成によれば、カバーを能動的に振動させることによって、加速度センサによって検出される振動モードの変化をより顕著にできる。したがって、ノイズの影響が抑制され、除去を要する異物の検出精度を高めることができる。よって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0013】
第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記変位センサの少なくとも一部は、前記カバーの周縁部に配置されている。
【0014】
カバーの周縁部は、カバーの剛性あるいは撓み性に有意な変化が生じやすい。このような箇所は、ひずみが生じやすい。したがって、変位センサをカバーの周縁部に配置することにより、ひずみの検出感度を向上できる。よって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0015】
第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記変位センサの少なくとも一部は、前記カバーの厚みが変化している部分に配置されている。
【0016】
カバーの厚みが変化している部分は、カバーの剛性あるいは撓み性に有意な変化が生じやすい。このような箇所は、ひずみが生じやすい。したがって、変位センサを当該部分に配置することにより、ひずみの検出感度を向上できる。よって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0017】
第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
液体を噴射可能なノズルを備えており、
前記プロセッサは、前記異物が検出されると、前記ノズルに前記カバーへ向けて前記液体を噴射させる。
【0018】
このような構成によれば、カバーに付着した異物を除去するための処理を自動化できる。したがって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下の抑制効果が高まる。
【0019】
第一態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
液体を噴射可能なノズルを備えており、
前記プロセッサは、検出された前記異物の前記カバーにおける位置を特定し、前記ノズルに当該位置へ向けて前記液体を噴射させる。
【0020】
このような構成によれば、光通過領域に付着した異物に対して液体がより正確に噴射されるので、異物除去の可能性を高めることができる。したがって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0021】
上記の要求に応えるための第二態様は、車両に搭載されるセンサシステムであって、
光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記センサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記光の通過を許容するカバーと、
前記カバー上に配置されており、前記カバーを振動させるアクチュエータと、
を備えている。
【0022】
センサユニットが情報検出に用いる光の進行経路上に位置するカバーの一部に異物が付着すると、センサユニットによる車両の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のような構成によれば、超音波アクチュエータによって励起されたカバー自身の振動により、付着した異物の剥離や除去を促進できる。よって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下を抑制できる。
【0023】
この場合、第二態様に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記カバーへ向けて液体を噴射可能なノズルを備えている。
【0024】
このような構成によれば、ノズルから噴射された液体によるいわゆる超音波洗浄効果が得られ、カバーに付着した異物の剥離や除去をさらに促進できる。
【0025】
第一態様と第二態様の各々に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記車両の外部へ照明光を出射するランプユニットを備えており、
前記カバーは、前記照明光の通過を許容する。
【0026】
ランプユニットは、車両の外部に照明光を供給するという機能ゆえに、車両における遮蔽物の少ない場所に配置されることが一般的である。このような場所にセンサユニットも配置されることにより、車両の外部の情報を効率的に取得できる。
【0027】
上記の要求に応えるための第三態様は、車両に搭載されるセンサシステムであって、
光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記センサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記光の通過を許容するカバーと、
前記カバーにおける前記光が通過する領域の画像に対応する信号を出力するカメラと、
前記信号に基づいて前記光通過領域に付着した異物を検出するプロセッサと、
を備えており、
前記カメラの焦点面の少なくとも一部は、前記光通過領域と重なっている。
【0028】
上記の要求に応えるための第四態様は、車両に搭載されるセンサシステムであって、
光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記センサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記光の通過を許容するカバーと、
前記カバーにおける前記光が通過する領域の画像に対応する信号を出力するカメラと、
前記信号に基づいて前記光通過領域に付着した異物を検出するプロセッサと、
を備えており、
前記カメラの光軸は、前記センサユニットの検出基準方向と異なる方向に延びている。
【0029】
上記の要求に応えるための第五態様は、車両に搭載されるセンサシステムであって、
検出光を用いて前記車両の外部の情報を検出するLiDAR(Light Detection and Ranging)センサユニットと、
前記LiDARセンサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記検出光の通過を許容するカバーと、
前記カバーにおける前記検出光が通過する領域の画像に対応する信号を出力するカメラと、
前記信号に基づいて前記光通過領域に付着した異物を検出するプロセッサと、
を備えている。
【0030】
第三態様から第五態様の各々に係るカメラは、車両の外部の画像(厳密にはカバーの外面よりも外側の画像)を取得するための装置ではなく、センサユニットによる情報検出に用いられる光の進行経路上に位置するカバーの光通過領域の画像を取得するための装置である。したがって、カメラの焦点面の少なくとも一部は、光通過領域と重なっている。また、光通過領域に焦点面の少なくとも一部を重ねるカメラの配置が優先されるので、カメラの光軸は、センサユニットの検出基準方向と異なる方向に延びていてもよい。
【0031】
光通過領域に異物が付着すると、センサユニットによる車両の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のように構成されたカメラによってそのような異物の付着が検出されるので、検出結果に応じた適切な処理をとることができる。よって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下を抑制できる。
【0032】
LiDARセンサユニットによる光通過領域に付着した異物の検出は比較的難しいので、カメラによる当該領域の画像の取得を通じた異物検出は、LiDARセンサユニットとの組合せにおいてより有利となる。
【0033】
第三態様から第五態様の各々に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
液体を噴射可能なノズルを備えており、
前記プロセッサは、前記異物が検出されると、前記ノズルに前記光通過領域へ向けて前記液体を噴射させる。
【0034】
このような構成によれば、光通過領域に付着した異物を除去するための処理を自動化できる。したがって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下の抑制効果が高まる。
【0035】
第三態様から第五態様の各々に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
液体を噴射可能なノズルを備えており、
前記プロセッサは、検出された前記異物の位置を特定し、前記ノズルに当該位置へ向けて前記液体を噴射させる。
【0036】
このような構成によれば、光通過領域に付着した異物に対して液体がより正確に噴射されるので、異物除去の可能性を高めることができる。したがって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0037】
第三態様から第五態様の各々に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記カメラは、
撮像素子と、
前記撮像素子に結像するための樹脂レンズと、
前記撮像素子および前記樹脂レンズを支持している回路基板と、
を備えている。
【0038】
このような構成によれば、カメラの占有空間を大幅に小さくできるので、光通過領域の画像を取得するためのカメラの配置自由度が高まる。したがって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下の抑制が容易になる。
【0039】
第三態様から第五態様の各々に係るセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記車両の外部へ照明光を出射するランプユニットを備えており、
前記カバーは、前記照明光の通過を許容する。
【0040】
ランプユニットは、車両の外部に照明光を供給するという機能ゆえに、車両における遮蔽物の少ない場所に配置されることが一般的である。このような場所にセンサユニットも配置されることにより、車両の外部の情報を効率的に取得できる。
【0041】
本明細書で用いられる「光」という語は、可視光のみならず、紫外光や赤外光、マイクロ波やミリ波など任意の波長を有する電磁波を意味する。
【0042】
本明細書において用いられる「センサユニット」という語は、所望の情報検出機能を備えつつ、それ自身が単体で流通可能な部品の構成単位を意味する。
【0043】
本明細書において用いられる「ランプユニット」という語は、所望の照明機能を備えつつ、それ自身が単体で流通可能な部品の構成単位を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】第一実施形態に係るセンサシステムの構成を例示している。
【
図2】
図1のセンサシステムが搭載される車両の外観を例示している。
【
図3A】
図1のセンサシステムにおけるひずみゲージの配置の一例を示している。
【
図3B】
図1のセンサシステムにおけるひずみゲージの配置の別例を示している。
【
図4】
図1のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の一例を示している。
【
図5A】
図1のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の一例を示している。
【
図5B】
図1のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の別例を示している。
【
図6】第二実施形態に係るセンサシステムの構成を例示している。
【
図7A】
図6のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の一例を示している。
【
図7B】
図6のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の別例を示している。
【
図7C】
図6のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の別例を示している。
【
図8A】
図6のセンサシステムにおける加速度センサの配置の一例を示している。
【
図8B】
図6のセンサシステムにおける加速度センサの配置の別例を示している。
【
図9】第三実施形態に係るセンサシステムの構成を例示している。
【
図10A】
図9のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の一例を示している。
【
図10B】
図9のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の別例を示している。
【
図10C】
図9のセンサシステムにおけるプロセッサの動作の別例を示している。
【
図11A】
図9のセンサシステムにおける光ファイバの配置の一例を示している。
【
図11B】
図9のセンサシステムにおける光ファイバの配置の別例を示している。
【
図12】第四実施形態に係るセンサシステムの構成を例示している。
【
図13】第五実施形態に係るセンサシステムの構成の一例を示している。
【
図14A】
図13のセンサシステムにおけるプロセッサの動作を例示している。
【
図14B】
図13のセンサシステムにおけるプロセッサの動作を例示している。
【
図15】第五実施形態に係るセンサシステムの構成の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0046】
添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。以降の説明に用いる「左」および「右」は、運転席から見た左右の方向を示している。
【0047】
図1は、第一実施形態に係るセンサシステム1の構成を模式的に示している。センサシステム1は、
図2に例示される車両100に搭載される。車両100の車体の形状は、例示に過ぎない。
【0048】
センサシステム1は、ハウジング11とカバー12を備えている。ハウジング11は、カバー12とともに収容室13を区画している。
【0049】
センサシステム1は、LiDARセンサユニット14を備えている。LiDARセンサユニット14は、収容室13内に配置されている。カバー12は、LiDARセンサユニット14を覆うように車両100の外面の一部を形成している。
【0050】
図3Aに例示されるように、LiDARセンサユニット14は、車両100の外部における検出領域に向けて検出光14aを出射する構成、および検出光14aが検出領域内に存在する物体に反射した結果の戻り光(不図示)を検出する構成を備えている。検出光14aとしては、例えば波長905nmの赤外光が使用されうる。
【0051】
LiDARセンサユニット14は、例えば、ある方向へ検出光14aを出射したタイミングから戻り光を検出するまでの時間に基づいて、当該戻り光に関連付けられた物体までの距離を取得できる。また、そのような距離データを検出位置と関連付けて集積することにより、戻り光に関連付けられた物体の形状に係る情報を取得できる。これに加えてあるいは代えて、出射光と戻り光の波形の相違に基づいて、戻り光に関連付けられた物体の材質などの属性に係る情報を取得できる。すなわち、LiDARセンサユニット14は、光を用いて車両100の外部の情報を検出する装置である。
【0052】
検出光14aと戻り光は、カバー12における光通過領域12aを通過する。換言すると、カバー12は、少なくとも検出光14aと戻り光の通過を許容する材料により形成されている。
【0053】
センサシステム1は、ひずみゲージ15を備えている。ひずみゲージ15は、カバー12上に配置されている。より具体的には、ひずみゲージ15は、カバー12の光通過領域12aを避けた位置に配置されている。ひずみゲージ15は、配置された箇所におけるカバー12のひずみを検出する装置である。ひずみゲージ15は、変位センサの一例である。
図1に示されるように、ひずみゲージ15は、検出されたひずみに対応するひずみ信号S11を出力するように構成されている。ひずみ状態の検出は、例えば1秒ごとに100ミリ秒の期間行なわれる。
【0054】
センサシステム1は、複数のひずみゲージ15を備えうる。
図1に示される例では、三つのひずみゲージ15が設置されている。より多くのひずみゲージ15が設置されることにより、カバー12に生じるひずみの分布をより高い分解能で検出できる。
【0055】
センサシステム1は、制御装置16を備えている。制御装置16は、入力インターフェース161とプロセッサ162を備えている。制御装置16は、収容室13内に配置されてもよいし、収容室13外においてハウジング11に支持されてもよい。あるいは、制御装置16は、ハウジング11とは離れた車両100における適宜の位置に配置されうる。
【0056】
入力インターフェース161は、ひずみゲージ15から出力されたひずみ信号S11を受け付ける。プロセッサ162は、ひずみ信号S11に基づいて、カバー12に付着した異物を検出するように構成されている。異物としては、雨滴、雪片、汚泥、虫の死骸などが例示されうる。入力インターフェース161は、必要に応じてひずみ信号S11をプロセッサ162により行なわれる処理に適した形態に変換する信号処理回路を含みうる。
【0057】
図4は、プロセッサ162により行なわれる処理の流れの一例を示している。プロセッサ162は、ひずみ信号S11に基づいて、
図5Aに一例として示されるデータセットD11を生成する(STEP1)。データセットD11は、一度の検出期間内におけるひずみの大きさεの経時変化を示している。すなわち、データセットD11は、(ε1,t1)~(εn,tn)で表わされるn個のデータ対からなる(nは2以上の整数)。t1~tnは、検出期間内に含まれる時刻を表している。時刻tn-1と時刻tnの間隔は、サンプリング周期に対応している。
【0058】
図1に例示されるように、制御装置16は、ストレージ163を備えている。ストレージ163は、適宜の書き替え可能な半導体メモリにより実現されうる。
図4に例示されるように、プロセッサ162は、上記の手法に基づいて過去に生成されたデータセットD11がストレージ163に格納されているかを判定する(STEP2)。
【0059】
過去に生成されたデータセットD11がストレージ163に格納されていない場合(STEP2においてN)、プロセッサ162は、STEP1で生成されたデータセットD11をストレージ163に格納する(STEP3)。処理は、STEP1に戻る。
【0060】
過去に生成されたデータセットD11がストレージ163に格納されている場合(STEP2においてY)、プロセッサ162は、STEP1で生成されたデータセットD11をストレージ163に格納されているデータセットD11と比較する(STEP4)。
【0061】
例えば、プロセッサ162は、STEP1で生成されたデータセットD11における複数のデータ対(ε1,t1)~(εn,tn)の各々を、ストレージ163に格納されているデータセットD11における複数のデータ対(ε1,t1)~(εn,tn)の対応する一つと比較する。
【0062】
カバー12に生じるひずみの分布は一様ではないが、同じ箇所において検出されるひずみの経時変化は同じ傾向を示す。したがって、同じひずみゲージ15により繰り返し得られる検出結果同士は、同じ傾向を示す。しかしながら、カバー12に異物が付着することにより、カバー12のひずみの分布に変化が生じる。したがって、同じひずみゲージ15から出力されたひずみ信号S11に基づいていながらも、データセットD11に含まれるひずみの大きさに係る複数の値ε1~εnの少なくとも一つに変化が生じる。
図5Aにおいては、異物が付着した場合のデータセットD11を破線で示している。
【0063】
ひずみの大きさに係る複数の値ε1~εnの少なくとも一つに有意な変化が認められた場合、カバー12に異物が付着している蓋然性が高い。プロセッサ162は、データセットD11同士の比較結果に基づいて、カバー12に異物が付着しているかを判断する(STEP5)。
【0064】
ひずみの大きさに係る複数の値ε1~εnの少なくとも一つに有意な変化が認められない場合、プロセッサ162は、カバー12に異物が付着していないと判断する(STEP5においてN)。この場合、STEP1で生成されたデータセットD11が新たにストレージ163へ格納される(STEP3)。その後、処理はSTEP1へ戻る。ストレージ163に格納されたデータセットD11は、次に生成されるデータセットD11との比較に供される。
【0065】
ひずみの大きさに係る複数の値ε1~εnの少なくとも一つに有意な変化が認められた場合、プロセッサ162は、カバー12に異物が付着していると判断する(STEP5においてY)。この場合、プロセッサ162は、異物の付着を示す検出信号S12を生成する(STEP6)。
【0066】
なお、ひずみの大きさに有意な変化が認められたデータの数が所定の閾値を上回る場合に異物が付着していると判断するようにプロセッサ162が構成されることにより、ノイズの影響が抑制され、除去を要する異物の検出精度を高めることができる。
【0067】
プロセッサ162は、ひずみ信号S11に基づいて、
図5Bに一例として示されるデータセットD12を生成してもよい。データセットD12は、一度の検出期間に取得されたひずみ信号S11の周波数スペクトルを示している。周波数スペクトルは、ひずみ信号S11にフーリエ変換などを施すことにより得られる。すなわち、データセットD12は、(p1,f1)~(pn,fn)で表わされるn個のデータ対からなる(nは2以上の整数)。p1~pnは、スペクトル強度を示している。f1~fnは、スペクトルに含まれる周波数を表している。周波数fn-1と周波数fnの間隔は、フーリエ変換の分解能に対応している。
【0068】
この場合、プロセッサ162は、上記の手法に基づいて過去に生成されたデータセットD12がストレージ163に格納されているかを判定する(STEP2)。
【0069】
過去に生成されたデータセットD12がストレージ163に格納されていない場合(STEP2においてN)、プロセッサ162は、STEP1で生成されたデータセットD12をストレージ163に格納する(STEP3)。その後、処理はSTEP1に戻る。
【0070】
過去に生成されたデータセットD12がストレージ163に格納されている場合(STEP2においてY)、プロセッサ162は、STEP1で生成されたデータセットD12をストレージ163に格納されているデータセットD12と比較する(STEP4)。
【0071】
例えば、プロセッサ162は、STEP1で生成されたデータセットD12における複数のデータ対(p1,f1)~(pn,fn)の各々を、ストレージ163に格納されているデータセットD12における複数のデータ対(p1,f1)~(pn,fn)の対応する一つと比較する。
【0072】
カバー12に生じるひずみの分布は一様ではないが、同じ箇所において検出されるひずみの経時変化は同じ傾向を示す。したがって、同じひずみゲージ15により繰り返し得られる検出結果同士は、同じ傾向を示す。しかしながら、カバー12に異物が付着することにより、カバー12のひずみの分布に変化が生じる。したがって、同じひずみゲージ15から出力されたひずみ信号S11に基づいていながらも、データセットD12に含まれるスペクトル強度に係る複数の値p1~pnの少なくとも一つに変化が生じる。
【0073】
図5Bにおいては、異物が付着した場合のデータセットD12を破線で示している。本例では、顕著なピークを示す周波数におけるスペクトル強度のみが変化している。しかしながら、顕著なピークを示す周波数がシフトしてもよく、スペクトル強度の変化と周波数のシフトの双方が生じてもよい。
【0074】
スペクトル強度に係る複数の値p1~pnの少なくとも一つに有意な変化が認められた場合、カバー12に異物が付着している蓋然性が高い。プロセッサ162は、データセットD12同士の比較結果に基づいて、カバー12に異物が付着しているかを判断する(STEP5)。
【0075】
スペクトル強度に係る複数の値p1~pnの少なくとも一つに有意な変化が認められない場合、プロセッサ162は、カバー12に異物が付着していないと判断する(STEP5においてN)。この場合、STEP1で生成されたデータセットD12が新たにストレージ163へ格納される(STEP3)。その後、処理はSTEP1へ戻る。ストレージ163に格納されたデータセットD12は、次に生成されるデータセットD12との比較に供される。
【0076】
スペクトル強度に係る複数の値p1~pnの少なくとも一つに有意な変化が認められた場合、プロセッサ162は、カバー12に異物が付着していると判断する(STEP5においてY)。この場合、プロセッサ162は、異物の付着を示す検出信号S12を生成する(STEP6)。
【0077】
なお、スペクトル強度に有意な変化が認められたデータの数が所定の閾値を上回る場合に異物が付着していると判断するようにプロセッサ162が構成されることにより、ノイズの影響が抑制され、除去を要する異物の検出精度を高めることができる。
【0078】
図1に例示されるように、制御装置16は、出力インターフェース164を備えている。プロセッサ162は、出力インターフェース164に検出信号S12を出力させる。検出信号S12は、車両100における他の制御装置へ送信されうる。例えば、当該他の制御装置は、検出信号S12に基づいて、カバー12に異物が付着している旨の報知を車両100の乗員に対して行ないうる。報知は、視覚的報知、聴覚的報知、触覚的報知の少なくとも一つを通じて行なわれうる。
【0079】
報知を受けた乗員は、適宜の対応をとりうる。例えば、センサシステム1は、カバー12へ向けて液体を噴射するノズル17を備えうる。液体としては、水、湯、洗浄液などが例示されうる。乗員は、ノズル17に液体を噴射させる操作を行ないうる。これにより、カバー12に付着した異物の除去を図ることができる。
【0080】
LiDARセンサユニット14の検出光14aおよび戻り光の進行経路上に位置する光通過領域12aに異物が付着すると、LiDARセンサユニット14による車両100の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のように構成されたひずみゲージ15によってそのような異物の付着が検出されるので、検出結果に応じた適切な処理をとることができる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下を抑制できる。
【0081】
図1に例示されるように、プロセッサ162により生成された検出信号S12は、上記したノズル17を動作させるために使用されうる。すなわち、プロセッサ162は、カバー12に付着した異物が検出されると、ノズル17にカバー12へ向けて液体を噴射させうる。
【0082】
このような構成によれば、カバー12に付着した異物を除去するための処理を自動化できる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果が高まる。
【0083】
データセットD11またはデータセットD12は、生成元であるひずみ信号S11を出力したひずみゲージ15の位置に係る情報を含みうる。したがって、プロセッサ162は、有意なひずみを検出したひずみゲージ15の位置情報に基づいて、異物のカバー12上における位置も特定しうる。他方、
図1に示されるように、ノズル17は、液体の噴射方向を調節可能な機構を備えうる。この場合、プロセッサ162は、検出された異物の位置へ向けてノズル17に液体を噴射させるように、検出信号S12を構成しうる。
【0084】
このような構成によれば、カバー12に付着した異物に対して液体がより正確に噴射されるので、異物除去の可能性を高めることができる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0085】
図3Aに例示されるように、ひずみゲージ15は、カバー12の周縁部12bに配置されることが好ましい。本明細書において用いられる「カバーの周縁部」という語は、カバーの剛性あるいは撓み性に有意な変化が生じる部分を意味する。カバー12は、周縁部12bにおいてハウジング11と結合される。そのため、カバー12の周縁部12bは、カバー12の非周縁部12cよりも高い剛性あるいは低い撓み性を有する。このように剛性あるいは撓み性に有意な変化が生じる箇所は、ひずみが生じやすい。したがって、ひずみゲージ15を周縁部12bに配置することにより、ひずみの検出感度を向上できる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0086】
あるいは、
図3Bに例示されるように、カバー12の厚みが変化する厚み変化部12dが形成されうる。この場合、ひずみゲージ15は、厚み変化部12dに配置されることが好ましい。厚み変化部12dにおいては、カバー12の剛性あるいは撓み性に変化が生じる。このような箇所は、ひずみが生じやすい。したがって、ひずみゲージ15を厚み変化部12dに配置することにより、ひずみの検出感度を向上できる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0087】
図1に例示されるように、センサシステム1は、ランプユニット18を備えうる。ランプユニット18は、車両100の外部へ照明光を出射する装置である。ランプユニット18としては、前照灯ユニット、車幅灯ユニット、方向指示灯ユニット、霧灯ユニット、リアコンビネーションランプユニットなどが例示されうる。
【0088】
ランプユニット18は、収容室13内に配置される。したがって、ランプユニット18は、カバー12によって覆われる。カバー12は、ランプユニット18から出射された照明光の通過も許容する。この場合、カバー12は、可視光についても透明な材料によって形成される。
【0089】
ランプユニット18は、車両100の外部に照明光を供給するという機能ゆえに、車両100における遮蔽物の少ない場所に配置されることが一般的である。このような場所にLiDARセンサユニット14も配置されることにより、車両100の外部の情報を効率的に取得できる。
【0090】
上記の処理を実行可能なプロセッサ162は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサとして提供されてもよいし、専用集積回路素子の一部として提供されてもよい。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUなどが例示されうる。汎用メモリとしては、RAMやROMが例示されうる。書き替え可能な汎用メモリがストレージ163の機能を担ってもよい。専用集積回路素子としては、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどが例示されうる。プロセッサ162とストレージ163は、独立した素子として提供されてもよいし、単一の素子内にパッケージされていてもよい。
【0091】
図6は、第二実施形態に係るセンサシステム2の構成を模式的に例示している。第一実施形態に係るセンサシステム1と実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。センサシステム2は、
図2に例示される車両100に搭載される。
【0092】
センサシステム2は、加速度センサ25を備えている。加速度センサ25は、カバー12上に配置されている。より具体的には、加速度センサ25は、カバー12の光通過領域12aを避けた位置に配置されている。加速度センサ25は、配置された箇所におけるカバー12の振動を検出する装置である。加速度センサ25は、変位センサの一例である。加速度センサ25は、検出された振動に対応する振動信号S21を出力するように構成されている。振動の検出は、例えば1秒ごとに100ミリ秒の期間行なわれる。
【0093】
センサシステム2は、複数の加速度センサ25を備えうる。
図6に示される例では、三つの加速度センサ25が設置されている。より多くの加速度センサ25が設置されることにより、カバー12に生じる振動の分布をより高い分解能で検出できる。
【0094】
センサシステム2は、制御装置26を備えている。制御装置26は、入力インターフェース261とプロセッサ262を備えている。制御装置26は、収容室13内に配置されてもよいし、収容室13外においてハウジング11に支持されてもよい。あるいは、制御装置26は、ハウジング11とは離れた車両100における適宜の位置に配置されうる。
【0095】
入力インターフェース261は、加速度センサ25から出力された振動信号S21を受け付ける。プロセッサ262は、振動信号S21に基づいて、カバー12に付着した異物を検出するように構成されている。異物としては、雨滴、雪片、汚泥、虫の死骸などが例示されうる。入力インターフェース261は、必要に応じて振動信号S21をプロセッサ262により行なわれる処理に適した形態に変換する信号処理回路を含みうる。
【0096】
図4を参照して、プロセッサ262により行なわれる処理の流れを説明する。プロセッサ262は、振動信号S21に基づいて、
図7Aに一例として示されるデータセットD21を生成する(STEP1)。プロセッサ262は、まず振動信号S21の周波数スペクトルを生成する。周波数スペクトルは、振動信号S21にフーリエ変換などを施すことにより得られる。続いてプロセッサ262は、生成された周波数スペクトルに基づいて、共振周波数frを特定する。すなわち、データセットD21は、(pr,fr)で表わされるデータ対からなる。prは、共振周波数frにおけるスペクトル強度を表す。
【0097】
図6に例示されるように、制御装置26は、ストレージ263を備えている。ストレージ263は、適宜の書き替え可能な半導体メモリにより実現されうる。続いて、プロセッサ262は、上記の手法に基づいて過去に生成されたデータセットD21がストレージ263に格納されているかを判定する(STEP2)。
【0098】
過去に生成されたデータセットD21がストレージ263に格納されていない場合(STEP2においてN)、プロセッサ262は、STEP1で生成されたデータセットD21をストレージ263に格納する(STEP3)。その後、処理はSTEP1に戻る。
【0099】
過去に生成されたデータセットD21がストレージ263に格納されている場合(STEP2においてY)、プロセッサ262は、STEP1で生成されたデータセットD21をストレージ263に格納されているデータセットD21と比較する(STEP4)。
【0100】
具体的には、プロセッサ262は、STEP1で生成されたデータセットD21におけるデータ対(pr,fr)を、ストレージ263に格納されているデータセットD21におけるデータ対(pr,fr)と比較する。
【0101】
カバー12に生じる振動の分布は一様ではないが、同じ箇所において検出される振動は同じ傾向を示す。したがって、同じ加速度センサ25により繰り返し得られる検出結果同士は、同じ傾向を示す。しかしながら、異物が付着することによってカバー12の重量が変化すると、カバー12における振動の分布に変化が生じる。したがって、同じ加速度センサ25から出力された振動信号S21に基づいていながらも、データセットD21に含まれるスペクトル強度pと共振周波数frの少なくとも一方に変化が生じる。
【0102】
図7Aにおいては、異物が付着した場合のデータセットD21を破線で例示している。本例においては、共振周波数frに変化が生じている。
図7Bと
図7Cにおいても、異物が付着した場合のデータセットD21を破線で示している。
図7Bに示される例においては、スペクトル強度prに変化が生じている。
図7Cに示される例においては、スペクトル強度prと共振周波数frの双方に変化が生じている。
【0103】
スペクトル強度prと共振周波数frの少なくとも一方に有意な変化が認められた場合、カバー12に異物が付着している蓋然性が高い。プロセッサ262は、データセットD21同士の比較結果に基づいて、カバー12に異物が付着しているかを判断する(STEP5)。
【0104】
スペクトル強度prと共振周波数frの少なくとも一方に有意な変化が認められない場合、プロセッサ262は、カバー12に異物が付着していないと判断する(STEP5においてN)。この場合、STEP1で生成されたデータセットD21が新たにストレージ263へ格納される(STEP3)。その後、処理はSTEP1へ戻る。ストレージ263に格納されたデータセットD21は、次に生成されるデータセットD21との比較に供される。
【0105】
スペクトル強度prと共振周波数frの少なくとも一方に有意な変化が認められた場合、プロセッサ262は、カバー12に異物が付着していると判断する(STEP5においてY)。この場合、プロセッサ262は、異物の付着を示す検出信号S22を生成する(STEP6)。
【0106】
異物の付着を検出するために、プロセッサ262は、
図5Bを参照して説明した手法を用いてカバー12への異物の付着を検出してもよい。すなわち、データセットD21は、周波数スペクトルを構成する(p1,f1)~(pn,fn)で表わされるn個のデータ対を含みうる(nは2以上の整数)。
【0107】
この場合、プロセッサ262は、STEP1で生成されたデータセットD21における複数のデータ対(p1,f1)~(pn,fn)の各々を、ストレージ263に格納されているデータセットD21における複数のデータ対(p1,f1)~(pn,fn)の対応する一つと比較する。スペクトル強度に係る複数の値p1~pnの少なくとも一つに有意な変化が認められた場合、プロセッサ262は、カバー12に異物が付着していると判断する。なお、スペクトル強度に有意な変化が認められたデータの数が所定の閾値を上回る場合に異物が付着していると判断するようにプロセッサ262が構成されることにより、ノイズの影響が抑制され、除去を要する異物の検出精度を高めることができる。
【0108】
図6に例示されるように、制御装置26は、出力インターフェース264を備えている。プロセッサ262は、出力インターフェース264に検出信号S22を出力させる。検出信号S22は、車両100における他の制御装置へ送信されうる。例えば、当該他の制御装置は、検出信号S22に基づいて、カバー12に異物が付着している旨の報知を車両100の乗員に対して行ないうる。報知は、視覚的報知、聴覚的報知、触覚的報知の少なくとも一つを通じて行なわれうる。
【0109】
報知を受けた乗員は、適宜の対応をとりうる。例えば、センサシステム2は、カバー12へ向けて液体を噴射するノズル27を備えうる。液体としては、水、湯、洗浄液などが例示されうる。乗員は、ノズル27に液体を噴射させる操作を行ないうる。これにより、カバー12に付着した異物の除去を図ることができる。
【0110】
LiDARセンサユニット14の検出光14aおよび戻り光の進行経路上に位置する光通過領域12aに異物が付着すると、LiDARセンサユニット14による車両100の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のように構成された加速度センサ25によってそのような異物の付着が検出されるので、検出結果に応じた適切な処理をとることができる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下を抑制できる。
【0111】
図6に例示されるように、プロセッサ262により生成された検出信号S22は、上記したノズル27を動作させるために使用されうる。すなわち、プロセッサ262は、カバー12に付着した異物が検出されると、ノズル27にカバー12へ向けて液体を噴射させうる。
【0112】
このような構成によれば、カバー12に付着した異物を除去するための処理を自動化できる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果が高まる。
【0113】
データセットD21は、生成元である振動信号S21を出力した加速度センサ25の位置に係る情報を含みうる。したがって、プロセッサ262は、有意な固有振動の変化を検出した加速度センサ25の位置情報に基づいて、異物のカバー12上における位置も特定しうる。他方、
図6に例示されるように、ノズル27は、液体の噴射方向を調節可能な機構を備えうる。この場合、プロセッサ262は、検出された異物の位置へ向けてノズル27に液体を噴射させるように、検出信号S22を構成しうる。
【0114】
このような構成によれば、カバー12に付着した異物に対して液体がより正確に噴射されるので、異物除去の可能性を高めることができる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0115】
図6に例示されるように、センサシステム2は、アクチュエータ28を備えうる。アクチュエータ28は、カバー12を振動させる装置である。アクチュエータ28は、圧電素子、ボイスコイル、超音波アクチュエータなどによって実現されうる。プロセッサ262は、アクチュエータ28の動作を制御するための制御信号S23を生成しうる。制御信号S23は、出力インターフェース264を経由してアクチュエータ28に入力される。アクチュエータ28は、カバー12に固有振動を励起するように動作することが好ましい。
【0116】
このような構成によれば、カバー12を能動的に振動させることによって、加速度センサ25によって検出される振動モードの変化をより顕著にできる。したがって、ノイズの影響が抑制され、除去を要する異物の検出精度を高めることができる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0117】
図8Aに例示されるように、加速度センサ25は、カバー12の周縁部12bに配置されることが好ましい。カバー12は、周縁部12bにおいてハウジング11と結合される。そのため、カバー12の周縁部12bは、カバー12の非周縁部12cよりも高い剛性あるいは低い撓み性を有する。このように剛性あるいは撓み性に有意な変化が生じる箇所は、振動モードの変化が生じやすい。したがって、加速度センサ25を周縁部12bに配置することにより、振動モードの変化の検出感度を向上できる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0118】
あるいは、
図8Bに例示されるように、カバー12の厚みが変化する厚み変化部12dが形成されうる。この場合、加速度センサ25は、厚み変化部12dに配置されることが好ましい。厚み変化部12dにおいては、カバー12の剛性あるいは撓み性に変化が生じる。このような箇所は、振動モードの変化が生じやすい。したがって、加速度センサ25を厚み変化部12dに配置することにより、振動モードの変化の検出感度を向上できる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0119】
図6に例示されるように、センサシステム2は、ランプユニット18を備えうる。ランプユニット18は、車両100の外部に照明光を供給するという機能ゆえに、車両100における遮蔽物の少ない場所に配置されることが一般的である。このような場所にLiDARセンサユニット14も配置されることにより、車両100の外部の情報を効率的に取得できる。
【0120】
上記の処理を実行可能なプロセッサ262は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサとして提供されてもよいし、専用集積回路素子の一部として提供されてもよい。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUなどが例示されうる。汎用メモリとしては、RAMやROMが例示されうる。書き替え可能な汎用メモリがストレージ263の機能を担ってもよい。専用集積回路素子としては、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどが例示されうる。プロセッサ262とストレージ263は、独立した素子として提供されてもよいし、単一の素子内にパッケージされていてもよい。
【0121】
図9は、第三実施形態に係るセンサシステム3の構成を模式的に例示している。第一実施形態に係るセンサシステム1と実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。センサシステム3は、
図2に例示される車両100に搭載される。
【0122】
センサシステム3は、光ファイバセンサ35と制御装置36を備えている。光ファイバセンサ35は、光ファイバ351と検出インターフェース352を備えている。
【0123】
光ファイバセンサ35は、光ファイバ351が配置された箇所におけるカバー12のひずみを検出する装置である。光ファイバセンサ35は、変位センサの一例である。光ファイバセンサ35は、光ファイバ351内に形成されたFBG(Fiber Bragg Grating)による反射光を検出する方式、光ファイバ351を形成しているガラス粒子により生じるレイリー散乱光あるいはブリルアン散乱光を検出する方式などが採用されうる。各方式に係る光ファイバセンサの構成自体は周知であるので、詳細な説明を省略する。
【0124】
光ファイバ351は、カバー12上に配置されている。より具体的には、光ファイバ351は、カバー12の光通過領域12aを避けた位置に配置されている。光ファイバ351は、カバー12の外面に接着あるいは蒸着される。光ファイバ351の外径は、例えば125μm~150μmである。光ファイバセンサ35は、複数の光ファイバ351を含みうる。
図9に示される例では、三つの光ファイバ351が設置されている。より多くの光ファイバ351が設置されることにより、カバー12に生じるひずみの分布をより高い分解能で検出できる。
【0125】
検出インターフェース352は、制御装置36の一部を構成しうる。制御装置36は、収容室13内に配置されてもよいし、収容室13外においてハウジング11に支持されてもよい。あるいは、制御装置36は、ハウジング11とは離れた車両100における適宜の位置に配置されうる。
【0126】
検出インターフェース352は、波長可変レーザ光源を備えている。波長可変レーザ光源から出射される光は、例えば1510nm~1570nmの範囲で可変とされうる。波長可変レーザ光源から出射された光は、光ファイバ351に入射する。
【0127】
検出インターフェース352は、光検出器を備えている。光ファイバ351に入射した光は、FBGによる反射光、あるいはレイリー散乱光およびブリルアン散乱光などの戻り光を生じながら光ファイバ351内を伝播する。この戻り光は、光検出器により検出される。光検出器は、戻り光の強度と波長に対応する検出信号S31を出力する。
【0128】
制御装置36は、プロセッサ362を備えている。プロセッサ362は、検出信号S31に基づいて、カバー12に付着した異物を検出するように構成されている。異物としては、雨滴、雪片、汚泥、虫の死骸などが例示されうる。検出インターフェース352は、必要に応じて検出信号S31をプロセッサ362により行なわれる処理に適した形態に変換する信号処理回路を含みうる。
【0129】
図4を参照して、プロセッサ362により行なわれる処理の流れを説明する。プロセッサ362は、検出信号S31に基づいて、
図10Aに一例として示されるデータセットD31を生成する(STEP1)。プロセッサ362は、まず検出信号S31の周波数スペクトルを生成する。周波数スペクトルは、検出信号S31にフーリエ変換などを施すことにより得られる。続いてプロセッサ362は、生成された周波数スペクトルに基づいて、共振周波数frを特定する。すなわち、データセットD31は、(pr,fr)で表わされるデータ対からなる。prは、共振周波数frにおけるスペクトル強度を表す。
【0130】
図9に例示されるように、制御装置36は、ストレージ363を備えている。ストレージ363は、適宜の書き替え可能な半導体メモリにより実現されうる。続いて、プロセッサ362は、上記の手法に基づいて過去に生成されたデータセットD31がストレージ363に格納されているかを判定する(STEP2)。
【0131】
過去に生成されたデータセットD31がストレージ363に格納されていない場合(STEP2においてN)、プロセッサ362は、STEP1で生成されたデータセットD31をストレージ363に格納する(STEP3)。その後、処理はSTEP1に戻る。
【0132】
過去に生成されたデータセットD31がストレージ363に格納されている場合(STEP2においてY)、プロセッサ362は、STEP1で生成されたデータセットD31をストレージ363に格納されているデータセットD31と比較する(STEP4)。
【0133】
具体的には、プロセッサ362は、STEP1で生成されたデータセットD31におけるデータ対(pr,fr)を、ストレージ363に格納されているデータセットD31におけるデータ対(pr,fr)と比較する。
【0134】
カバー12に生じるひずみの分布は一様ではないが、同じ箇所において検出されるひずみは同じ傾向を示す。したがって、同じ光ファイバ351からの戻り光により繰り返し得られる検出結果同士は、同じ傾向を示す。しかしながら、カバー12に異物が付着すると、カバー12のひずみの分布に変化が生じ、カバー12の表面に配置された光ファイバ351にもひずみが生じる。光ファイバ351にひずみが生じると、戻り光の強度と波長の少なくとも一方に変化が生じる。したがって、同じ光ファイバ351からの戻り光に対応する検出信号S31に基づいていながらも、データセットD31に含まれるスペクトル強度pと共振周波数frの少なくとも一方に変化が生じる。
【0135】
図10Aにおいては、異物が付着した場合のデータセットD31を破線で例示している。本例においては、共振周波数frに変化が生じている。
図10Bと
図10Cに示される例においても、異物が付着した場合のデータセットD31を破線で示している。
図10Bに示される例においては、スペクトル強度prに変化が生じている。
図10Cに示される例においては、スペクトル強度prと共振周波数frの双方に変化が生じている。
【0136】
スペクトル強度prと共振周波数frの少なくとも一方に有意な変化が認められた場合、カバー12に異物が付着している蓋然性が高い。プロセッサ362は、データセットD31同士の比較結果に基づいて、カバー12に異物が付着しているかを判断する(STEP5)。
【0137】
スペクトル強度prと共振周波数frの少なくとも一方に有意な変化が認められない場合、プロセッサ362は、カバー12に異物が付着していないと判断する(STEP5においてN)。この場合、STEP1で生成されたデータセットD31が新たにストレージ363へ格納される(STEP3)。その後、処理はSTEP1へ戻る。ストレージ363に格納されたデータセットD31は、次に生成されるデータセットD21との比較に供される。
【0138】
スペクトル強度prと共振周波数frの少なくとも一方に有意な変化が認められた場合、プロセッサ362は、カバー12に異物が付着していると判断する(STEP5においてY)。この場合、プロセッサ362は、異物の付着を示す検出信号S32を生成する(STEP6)。
【0139】
異物の付着を検出するために、プロセッサ362は、
図5Bを参照して説明した手法を用いてカバー12への異物の付着を検出してもよい。すなわち、データセットD31は、周波数スペクトルを構成する(p1,f1)~(pn,fn)で表わされるn個のデータ対を含みうる(nは2以上の整数)。
【0140】
この場合、プロセッサ362は、STEP1で生成されたデータセットD31における複数のデータ対(p1,f1)~(pn,fn)の各々を、ストレージ363に格納されているデータセットD31における複数のデータ対(p1,f1)~(pn,fn)の対応する一つと比較する。スペクトル強度に係る複数の値p1~pnの少なくとも一つに有意な変化が認められた場合、プロセッサ362は、カバー12に異物が付着していると判断する。なお、スペクトル強度に有意な変化が認められたデータの数が所定の閾値を上回る場合に異物が付着していると判断するようにプロセッサ362が構成されることにより、ノイズの影響が抑制され、除去を要する異物の検出精度を高めることができる。
【0141】
図9に例示されるように、制御装置36は、出力インターフェース364を備えている。プロセッサ362は、出力インターフェース364に検出信号S32を出力させる。検出信号S32は、車両100における他の制御装置へ送信されうる。例えば、当該他の制御装置は、検出信号S32に基づいて、カバー12に異物が付着している旨の報知を車両100の乗員に対して行ないうる。報知は、視覚的報知、聴覚的報知、触覚的報知の少なくとも一つを通じて行なわれうる。
【0142】
報知を受けた乗員は、適宜の対応をとりうる。例えば、センサシステム3は、カバー12へ向けて液体を噴射するノズル37を備えうる。液体としては、水、湯、洗浄液などが例示されうる。乗員は、ノズル37に液体を噴射させる操作を行ないうる。これにより、カバー12に付着した異物の除去を図ることができる。
【0143】
LiDARセンサユニット14の検出光14aおよび戻り光の進行経路上に位置する光通過領域12aに異物が付着すると、LiDARセンサユニット14による車両100の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のように構成された光ファイバセンサ35によってそのような異物の付着が検出されるので、検出結果に応じた適切な処理をとることができる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下を抑制できる。
【0144】
特に光ファイバ351は、軽量かつ柔軟であるので、カバー12に対する配置自由度が高い。また、非常に細いので、カバー12の表面に配置しても外観や意匠に与える影響が小さい。さらに、一つの光ファイバ351内に複数のひずみ検出点を設定できる。したがって、LiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下を抑制するためのセンサシステム3の設計自由度を高めることができる。
【0145】
図9に例示されるように、プロセッサ362により生成された検出信号S32は、上記したノズル37を動作させるために使用されうる。すなわち、プロセッサ362は、カバー12に付着した異物が検出されると、ノズル37にカバー12へ向けて液体を噴射させうる。
【0146】
このような構成によれば、カバー12に付着した異物を除去するための処理を自動化できる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果が高まる。
【0147】
データセットD31は、検出信号S31を生成するための戻り光を出力した光ファイバ351の位置に係る情報を含みうる。一つの光ファイバ351内に複数の検出点が設けられている場合、データセットD31は、各検出点の位置に係る情報も含みうる。したがって、プロセッサ362は、有意なひずみを検出した光ファイバ351の位置情報に基づいて、異物のカバー12上における位置も特定しうる。
【0148】
他方、
図9に例示されるように、ノズル37は、液体の噴射方向を調節可能な機構を備えうる。この場合、プロセッサ362は、検出された異物の位置へ向けてノズル37に液体を噴射させるように、検出信号S32を構成しうる。
【0149】
このような構成によれば、カバー12に付着した異物に対して液体がより正確に噴射されるので、異物除去の可能性を高めることができる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0150】
図11Aに例示されるように、光ファイバ351は、カバー12の周縁部12bに配置されることが好ましい。光ファイバ351は、変位センサの一部の一例である。カバー12は、周縁部12bにおいてハウジング11と結合される。そのため、カバー12の周縁部12bは、カバー12の非周縁部12cよりも高い剛性あるいは低い撓み性を有する。このように剛性あるいは撓み性に有意な変化が生じる箇所は、ひずみが生じやすい。したがって、光ファイバ351を周縁部12bに配置することにより、ひずみの検出感度を向上できる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0151】
あるいは、
図11Bに示されるように、カバー12の厚みが変化する厚み変化部12dが形成されうる。この場合、光ファイバ351は、厚み変化部12dに配置されることが好ましい。厚み変化部12dにおいては、カバー12の剛性あるいは撓み性に変化が生じる。このような箇所は、ひずみが生じやすい。したがって、光ファイバ351を厚み変化部12dに配置することにより、ひずみの検出感度を向上できる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0152】
図9に例示されるように、センサシステム3は、ランプユニット18を備えうる。ランプユニット18は、車両100の外部に照明光を供給するという機能ゆえに、車両100における遮蔽物の少ない場所に配置されることが一般的である。このような場所にLiDARセンサユニット14も配置されることにより、車両100の外部の情報を効率的に取得できる。
【0153】
上記の処理を実行可能なプロセッサ362は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサとして提供されてもよいし、専用集積回路素子の一部として提供されてもよい。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUなどが例示されうる。汎用メモリとしては、RAMやROMが例示されうる。書き替え可能な汎用メモリがストレージ363の機能を担ってもよい。専用集積回路素子としては、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどが例示されうる。プロセッサ362とストレージ363は、独立した素子として提供されてもよいし、単一の素子内にパッケージされていてもよい。
【0154】
図12は、第四実施形態に係るセンサシステム4の構成を模式的に例示している。第一実施形態に係るセンサシステム1と実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。センサシステム4は、
図2に例示される車両100に搭載される。
【0155】
センサシステム4は、超音波アクチュエータ48を備えている。超音波アクチュエータ48は、超音波帯域の周波数で振動し、カバー12に固有振動を励起する装置である。
【0156】
センサシステム4は、制御装置46を備えている。制御装置46は、プロセッサ462と出力インターフェース464を備えている。プロセッサ462は、超音波アクチュエータ48の動作を制御するための制御信号S41を生成しうる。制御信号S41は、出力インターフェース464を経由して超音波アクチュエータ48に入力される。
【0157】
LiDARセンサユニット14の検出光14aおよび戻り光の進行経路上に位置する光通過領域12aに異物が付着すると、LiDARセンサユニット14による車両100の外部の情報の検出の妨げになりうる。異物としては、雨滴、雪片、汚泥、虫の死骸などが例示されうる。しかしながら、上記のような構成によれば、超音波アクチュエータ48によって励起されたカバー12自身の振動により、付着した異物の剥離や除去を促進できる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下を抑制できる。
【0158】
センサシステム4は、カバー12へ向けて液体を噴射するノズル47を備えうる。液体としては、水、湯、洗浄液などが例示されうる。この場合、プロセッサ462は、ノズル47に液体を噴射させるための制御信号S42を、出力インターフェース464に出力させる。液体の噴射は、超音波アクチュエータ48によりカバー12に振動が励起される前に行なわれてもよいし、振動が励起されている間に行なわれてもよい。
【0159】
このような構成によれば、ノズル47から噴射された液体によるいわゆる超音波洗浄効果が得られ、カバー12に付着した異物の剥離や除去をさらに促進できる。
【0160】
上記の処理を実行可能なプロセッサ462は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサとして提供されてもよいし、専用集積回路素子の一部として提供されてもよい。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUなどが例示されうる。汎用メモリとしては、RAMやROMが例示されうる。専用集積回路素子としては、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどが例示されうる。
【0161】
図13は、第五実施形態に係るセンサシステム5の構成の一例を模式的に示している。第一実施形態に係るセンサシステム1と実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。センサシステム5は、
図2に例示される車両100に搭載される。
【0162】
センサシステム5は、カメラ55を備えている。カメラ55は、収容室13内に配置されている。したがって、カメラ55もまた、カバー12に覆われている。
【0163】
カメラ55は、カバー12における光通過領域12aの画像を取得する装置である。すなわち、カメラ55は、一対の一点鎖線55aの間の領域として表される視野内に光通過領域12aが位置するように配置されている。カメラ55は、取得された画像に対応する画像信号S51を出力するように構成されている。画像の取得は、例えば1秒ごとに繰り返し行なわれる。
【0164】
図14Aは、画像信号S51に基づいて再現可能な画像I1の一例を示している。画像I1は、複数の画素P1~Pnを含んでいる(nは2以上の整数)。画像I1は、カバー12における光通過領域12aの画像を含んでいる。本例においては、光通過領域12aに異物O1、O2が付着している。異物としては、雨滴、雪片、汚泥、虫の死骸などが例示されうる。
【0165】
図13に示されるように、センサシステム5は、制御装置56を備えている。制御装置56は、入力インターフェース561とプロセッサ562を備えている。制御装置56は、収容室13内に配置されてもよいし、収容室13外においてハウジング11に支持されてもよい。あるいは、制御装置56は、ハウジング11とは離れた車両100における適宜の位置に配置されうる。
【0166】
入力インターフェース561は、カメラ55から出力された画像信号S51を受け付ける。プロセッサ562は、画像信号S51に基づいて、カバー12の光通過領域12aに付着した異物を検出するように構成されている。入力インターフェース561は、必要に応じて画像信号S51をプロセッサ562により行なわれる処理に適した形態に変換する信号処理回路を含みうる。
【0167】
図4を参照して、プロセッサ562により行なわれる処理の流れを説明する。プロセッサ562は、画像信号S51に基づいて、
図14Bに例示されるデータセットD51を生成する(STEP1)。具体的には、プロセッサ562は、複数の画素P1~Pnの各々について二値化処理を適用することによって、複数の画素データPD1~PDnを含むデータセットD51を生成する。したがって、複数の画素データPD1~PDnは、複数の画素P1~Pnと一対一に対応している。
【0168】
複数の画素P1~Pnの各々は、画像I1における位置情報と明るさ情報(受光強度情報)を含んでいる。プロセッサ562は、ある画素Pmの明るさが所定の閾値を上回る場合、明るさ値として「1」を有する画素データPDmを生成する。mは、1からnより任意に選ばれた整数である。プロセッサ562は、ある画素Pmの明るさが所定の閾値以下である場合、明るさ値として「0」をもつ画素データPDmを生成する。したがって、複数の画素データPD1~PDnの各々は、画像I1における位置情報に加えて、「1」か「0」の明るさ値を有する。
【0169】
図14Bに示される例においては、明るさ値「1」を有する画素データが白い矩形で表わされており、明るさ値「0」を有する画素データが斜線付きの矩形で表わされている。画像I1における異物O1、O2に対応する位置の画素データが明るさ値「0」を有していることが判る。
【0170】
図13に示されるように、制御装置56は、ストレージ563を備えている。
図4に例示されるように、プロセッサ562は、上記の手法に基づいて過去に生成されたデータセットD51がストレージ563に格納されているかを判定する(STEP2)。
【0171】
過去に生成されたデータセットD51がストレージ563に格納されていない場合(STEP2においてN)、プロセッサ562は、STEP1で生成されたデータセットD51をストレージ563に格納する(STEP3)。処理は、STEP1に戻る。
【0172】
過去に生成されたデータセットD51がストレージ563に格納されている場合(STEP2においてY)、プロセッサ562は、STEP1で生成されたデータセットD51をストレージ563に格納されているデータセットD51と比較する(STEP4)。
【0173】
具体的には、複数の画素データPD1~PDnの各々について、明るさ値が「1」から「0」へ変化しているかの判断がなされる。ある画素データPDmについてそのような変化が生じた場合、当該画素データPDmに対応する位置に異物が付着している蓋然性が高い。プロセッサ562は、当該比較に基づいて、カバー12の光通過領域12aに異物が付着しているかを判断する(STEP5)。
【0174】
複数の画素データPD1~PDnのいずれにおいても明るさ値が「1」から「0」へ変化していない場合、プロセッサ562は、カバー12の光通過領域12aに異物が付着していないと判断する(STEP5においてN)。この場合、STEP1で生成されたデータセットD51が新たにストレージ563へ格納される(STEP3)。その後、処理はSTEP1へ戻る。ストレージ563に格納されたデータセットD51は、次に生成されるデータセットD51との比較に供される。
【0175】
複数の画素データPD1~PDnの少なくとも一つにおいて明るさ値が「1」から「0」への変化が生じている場合、プロセッサ562は、カバー12の光通過領域12aに異物が付着していると判断する(STEP5においてY)。この場合、プロセッサ562は、異物の付着を示す検出信号S2を生成する(STEP6)。
【0176】
なお、明るさ値が「1」から「0」へ変化した画素の数が所定の閾値を上回る場合に異物が付着していると判断するようにプロセッサ562が構成されることにより、情報検出の妨げにならない程度の微小な異物の検出が回避されるとともに、除去を要する異物の検出精度を高めることができる。
【0177】
図13に例示されるように、制御装置56は、出力インターフェース564を備えている。プロセッサ562は、出力インターフェース564に検出信号S52を出力させる。検出信号S52は、車両100における他の制御装置へ送信されうる。例えば、当該他の制御装置は、検出信号S52に基づいて、カバー12の光通過領域12aに異物が付着している旨の報知を車両100の乗員に対して行ないうる。報知は、視覚的報知、聴覚的報知、触覚的報知の少なくとも一つを通じて行なわれうる。
【0178】
報知を受けた乗員は、適宜の対応をとりうる。例えば、センサシステム5は、カバー12へ向けて液体を噴射するノズル17を備えうる。液体としては、水、湯、洗浄液などが例示されうる。乗員は、ノズル17に液体を噴射させる操作を行ないうる。これにより、光通過領域12aに付着した異物の除去を図ることができる。
【0179】
本実施形態に係るカメラ55は、車両100の外部の画像(厳密にはカバー12の外面よりも外側の画像)を取得するための装置ではなく、LiDARセンサユニット14の検出光14aおよび戻り光の進行経路上に位置する光通過領域12aの画像を取得するための装置である。したがって、カメラ55の焦点面55bの少なくとも一部は、光通過領域12aと重なっている。また、光通過領域12aに焦点面55bの少なくとも一部を重ねるカメラ55の配置が優先されるので、
図13に例示されるように、カメラ55の光軸55cは、LiDARセンサユニット14の検出基準方向14bと異なる方向に延びていてもよい。
【0180】
LiDARセンサユニット14の検出光14aおよび戻り光の進行経路上に位置する光通過領域12aに異物が付着すると、LiDARセンサユニット14による車両100の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のように構成されたカメラ55によってそのような異物の付着が検出されるので、検出結果に応じた適切な処理をとることができる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下を抑制できる。
【0181】
LiDARセンサユニット14は、車両100の外部の情報を検出するために光を用いる適宜のセンサユニットで置き換えられうる。そのようなセンサユニットとしては、可視光を用いるカメラユニット、赤外光を用いるTOF(Time of Flight)カメラユニット、ミリ波を用いるレーダユニットなどが例示されうる。しかしながら、LiDARセンサユニット14による光通過領域12aに付着した異物の検出は比較的難しいので、カメラ55による光通過領域12aの画像の取得を通じた異物検出は、LiDARセンサユニット14との組合せにおいてより有利となる。
【0182】
図13に例示されるように、プロセッサ562により生成された検出信号S52は、上記のノズル17を動作させるために使用されうる。すなわち、プロセッサ562は、カバー12の光通過領域12aに付着した異物が検出されると、ノズル17に光通過領域12aに向けて液体を噴射させうる。
【0183】
このような構成によれば、光通過領域12aに付着した異物を除去するための処理を自動化できる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果が高まる。
【0184】
前述のように、データセットD51に含まれる複数の画素データPD1~PDnの各々は、光通過領域12aにおける位置に対応する情報を有している。したがって、プロセッサ562は、明るさ値が「1」から「0」へ変化した画素データが有する位置情報に基づいて、異物の光通過領域12a内における位置も特定しうる。他方、
図13に例示されるように、ノズル17は、液体の噴射方向を調節可能な機構を備えうる。この場合、プロセッサ562は、検出された異物の位置へ向けてノズル17に液体を噴射させるように、検出信号S52を構成しうる。
【0185】
このような構成によれば、光通過領域12aに付着した異物に対して液体がより正確に噴射されるので、異物除去の可能性を高めることができる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制効果がさらに高まる。
【0186】
図13に例示されるように、カメラ55は、撮像素子551、樹脂レンズ552、および回路基板553を備えたマイクロカメラモジュールとして実現されうる。撮像素子551としては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが例示されうる。樹脂レンズ552は、撮像素子551に結像するためのレンズである。視野を広げる観点からは、樹脂レンズ552として広角レンズが用いられることが好ましい。回路基板553は、撮像素子551と樹脂レンズ552を支持している。画像信号S51を出力するための信号線は、回路基板553を介して撮像素子551と電気的に接続される。
【0187】
このような構成によれば、収容室13内におけるカメラ55の占有空間を大幅に小さくできるので、光通過領域12aの画像を取得するためのカメラ55の配置自由度が高まる。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下の抑制が容易になる。
【0188】
図13に例示されるように、センサシステム5は、ランプユニット18を備えうる。ランプユニット18は、車両100の外部に照明光を供給するという機能ゆえに、車両100における遮蔽物の少ない場所に配置されることが一般的である。このような場所にLiDARセンサユニット14も配置されることにより、車両100の外部の情報を効率的に取得できる。
【0189】
上記の処理を実行可能なプロセッサ562は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより提供されてもよいし、専用集積回路素子の一部として提供されてもよい。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUなどが例示されうる。汎用メモリとしては、RAMやROMが例示されうる。専用集積回路素子としては、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどが例示されうる。プロセッサ562とストレージ563は、独立した素子として提供されてもよいし、単一の素子内にパッケージされていてもよい。
【0190】
本実施形態においては、単一のカメラ55によってカバー12における光通過領域12aの画像が取得されている。しかしながら、
図15に例示されるように、光通過領域12aにおける任意の箇所が複数のカメラ55の視野のいずれかに含まれるような構成も採用されうる。
【0191】
上記の各実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本開示の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更、改良、あるいは組合せがなされうる。
【0192】
上記の各実施形態に係るLiDARセンサユニット14に加えてあるいは代えて、車両100の外部の情報を検出するために光を用いる適宜のセンサユニットが、収容室13内に配置されうる。そのようなセンサユニットとしては、可視光を用いるカメラユニット、赤外光を用いるTOF(Time of Flight)カメラユニット、ミリ波を用いるレーダユニットなどが例示されうる。
【0193】
本開示の一部を構成するものとして、2018年11月13日に提出された日本国特許出願2018-213126号、2018年11月13日に提出された日本国特許出願2018-213127号、および2019年3月15日に提出された日本国特許出願2019-048514号の内容が援用される。