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特許7402181放射性同位体および他のマーカーを含有するマイクロスフェア、ならびに関連する方法
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  • 特許-放射性同位体および他のマーカーを含有するマイクロスフェア、ならびに関連する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】放射性同位体および他のマーカーを含有するマイクロスフェア、ならびに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 51/12 20060101AFI20231213BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231213BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231213BHJP
   A61K 47/30 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A61K51/12 100
A61P35/00
A61K9/14
A61K47/30
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2020564533
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019032986
(87)【国際公開番号】W WO2019222700
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/673,632
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/673,628
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】ドロブニク,クリストファー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】クルーズ,テリー
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0092677(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0189569(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0274945(US,A1)
【文献】特表2017-537152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0169471(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0053830(US,A1)
【文献】特表2015-512422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0117039(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0092547(US,A1)
【文献】特表2016-516707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/
A61K51/
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII),
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線塞栓療法のための多相マイクロスフェアであって、
第1の硬化された樹脂を含む一次相と、
第1の二次相であって、当該第1の二次相は前記一次相によって覆われ、前記第1の二次相は第2の硬化された樹脂を含み、前記第1の二次相は、放射性同位体と、少なくとも1つの放射性元素を含む化合物と、のうち少なくともどちらか一方を含む、第1の二次相と、
を含む多相マイクロスフェア。
【請求項2】
請求項1に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記第1の硬化された樹脂が生体吸収性樹脂または生分解性樹脂である、多相マイクロスフェア。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記第1の硬化された樹脂が水膨潤性ポリマーである、多相マイクロスフェア。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記第1の硬化された樹脂および前記第2の硬化された樹脂が同一である、多相マイクロスフェア。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記放射性同位体がベータ放出同位体またはガンマ放出同位体を含む、多相マイクロスフェア。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の多相マイクロスフェアであって、
治療剤をさらに含む、多相マイクロスフェア。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記一次相、前記二次相、またはそれらの両方が蛍光色素をさらに含む、多相マイクロスフェア。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記第1の硬化された樹脂がガンマ照射に対して安定である、多相マイクロスフェア。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記第1の硬化された樹脂が水に対して不透過性である、多相マイクロスフェア。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記一次相によって覆われる第2の二次相をさらに含み、前記第2の二次相が気体を含む、多相マイクロスフェア。
【請求項11】
請求項10に記載の多相マイクロスフェアであって、
前記気体が空気である、多相マイクロスフェア。
【請求項12】
請求項10または11に記載の多相マイクロスフェアであって、
水の中で中性浮力を有する、多相マイクロスフェア。
【請求項13】
請求項10または11に記載の多相マイクロスフェアであって、
ヒト血液の中で中性浮力を有する、多相マイクロスフェア。
【請求項14】
2相マイクロスフェアを形成する方法であって、
第1の流体を、第1の長軸方向の導管を通して、前記第1の長軸方向の導管の第1の出口開口部に向かって流すステップであって、前記第1の出口開口部は、第1の接触ゾーンと流体連通にある、ステップと、
第2の流体を、第1の横軸方向の導管を通して流すステップであって、前記第1の横軸方向の導管は、前記第1の長軸方向の導管と前記第1の接触ゾーンで交差し、前記第1の出口開口部と前記第1の横軸方向の導管の第2の出口開口部と流体連通にあり、前記第2の出口開口部は、第2の長軸方向の導管と流体連通にあり、それによって、2相流が、前記第2の長軸方向の導管に入り、前記第2の長軸方向の導管の第3の出口開口部に向かって流れ、前記第3の出口開口部は、第2の接触ゾーンと流体連通にあり、前記2相流は、前記第2の流体の連続相によって覆われる前記第1の流体の液滴を含む、ステップと、
第3の流体を、第2の横軸方向の導管を通して流すステップであって、前記第2の横軸方向の導管は、前記第2の長軸方向の導管と前記第2の接触ゾーンで交差し、前記第3の出口開口部と前記第2の横軸方向の導管の第4の出口開口部とに流体連通しており、前記第4の出口開口部は、第3の長軸方向の導管と流体連通にあり、それによって、3相流が、前記第3の長軸方向の導管に入り、前記第3の長軸方向の導管の第5の出口開口部に向かって流れ、前記3相流は、前記第3の流体を含む連続相によって覆われる2相液滴を含み、前記2相液滴は、前記第2の流体を含む外相によって覆われる前記第1の流体を含む内相を含む、ステップと、
前記2相液滴を、前記第5の出口開口部から硬化用容器に流すステップと、
前記2相液滴を硬化して2相マイクロスフェアを形成するステップと、を含み、
前記第1の流体は未硬化の第1の樹脂を含み、前記第1の流体は、放射性同位体と、中性子照射に際して放射性に作製することができる化合物と、のうち少なくともどちらか一方を含み、
前記第2の流体は、未硬化の第2の樹脂を含み、
前記第3の流体は、前記第2の流体とは不混和性である、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1の樹脂が生体吸収性樹脂または生分解性樹脂である、方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の方法であって、
前記第1の樹脂が水膨潤性ポリマーである、方法。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂が同一である、方法。
【請求項18】
請求項14から17のいずれか1項に記載の方法であって、
前記放射性同位体がイットリウム-90を含む、方法。
【請求項19】
請求項14から17のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の流体が、前記未硬化の第1の樹脂と、中性子照射に際して放射性に作製することができる化合物と、を含み、前記2相マイクロスフェアに中性子照射するステップをさらに含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記化合物がイットリウム-89を含み、前記中性子照射がイットリウム-89をイットリウム-90に転換する、方法。
【請求項21】
請求項14から20のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の流体、前記第2の流体、またはそれらの両方が治療剤をさらに含む、方法。
【請求項22】
請求項14から21のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の流体、前記第2の流体、またはそれらの両方が、蛍光色素をさらに含む、方法
【請求項23】
3相マイクロスフェアを形成する方法であって、
第1の流体を、第1の長軸方向の導管を通して、第1の長軸方向の導管の第1の出口開口部に向かって流すステップであって、前記第1の出口開口部は、第1の接触ゾーンと流体連通にある、ステップと、
第2の流体を、第1の横軸方向の導管を通して流すステップであって、前記第1の横軸方向の導管は、前記第1の長軸方向の導管と前記第1の接触ゾーンで交差し、前記第1の出口開口部と前記第1の横軸方向の導管の第2の出口開口部とに流体連通しており、前記第2の出口開口部は第2の長軸方向の導管に流体連通しており、それによって、2相流が、前記第2の長軸方向の導管に入り、前記第2の長軸方向の導管の第3の出口開口部に向かって流れ、前記第3の出口開口部は第2の接触ゾーンに流体連通しており、前記2相流は、前記第2の流体の連続相によって覆われる前記第1の流体の液滴を含む、ステップと、
第3の流体を、第2の横軸方向の導管を通して流すステップであって、前記第2の横軸方向の導管は、前記第2の長軸方向の導管と前記第2の接触ゾーンで交差し、前記第3の出口開口部と前記第2の横軸方向の導管の第4の出口開口部とに流体連通しており、前記第4の出口開口部は第3の長軸方向の導管に流体連通しており、それによって、3相流が、前記第3の長軸方向の導管に入り、前記第3の長軸方向の導管の第5の出口開口部に向かって流れ、前記第5の出口開口部は第3の接触ゾーンに流体連通しており、前記3相流は、第3の流体を含む連続相によって覆われる2相液滴を含み、前記2相液滴は、前記第2の流体を含む外相によって覆われる前記第1の流体を含む内相を含む、ステップと、
第4の流体を、第3の横軸方向の導管を通して流すステップであって、前記第3の横軸方向の導管は、前記第3の長軸方向の導管と前記第3の接触ゾーンで交差し、前記第5の出口開口部と前記第3の横軸方向の導管の第6の出口開口部とに流体連通しており、前記第6の出口開口部は第4の長軸方向の導管に流体連通しており、それによって、4相流が、前記第4の長軸方向の導管に入り、前記第4の長軸方向の導管の第7の出口開口部に向かって流れ、前記4相流が、前記第4の流体を含む連続相によって覆われる3相液滴を含み、前記3相液滴が、前記第1の流体を含む第1の内相、前記第2の流体を含む第2の内相、および前記第3の流体を含む外相を含み、前記第1の内相および前記第2の内相が、前記外相によって覆われる、ステップと、
前記3相液滴を、前記第7の出口開口部から硬化用容器に流すステップと、
前記3相液滴を硬化して3相マイクロスフェアを形成するステップと、を含み:
前記第1の流体が、気体または未硬化の第1の樹脂を含み、
前記第2の流体が、未硬化の第2の樹脂を含み、
少なくとも1つの前記第1の流体、前記第2の流体、またはそれらの両方が、放射性同位体、または、中性子照射に際して放射性に作製することができる化合物を含み、
前記第3の流体が、未硬化の第3の樹脂を含み、
前記第4の流体が、前記第3の流体とは不混和性である、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
前記第1の樹脂が、生体吸収性樹脂または生分解性樹脂である、方法。
【請求項25】
請求項23または24に記載の方法であって、
前記第1の樹脂が、水膨潤性ポリマーである、方法。
【請求項26】
請求項23から25のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の未硬化の樹脂および前記第2の未硬化の樹脂が、同一である、方法。
【請求項27】
請求項23から26のいずれか1項に記載の方法であって、
前記放射性同位体が、ベータ放出同位体またはガンマ放出同位体を含む、方法。
【請求項28】
請求項23から27のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の流体が、前記未硬化の第1の樹脂と、中性子照射に際して放射性に作製することができる化合物と、を含み、前記相マイクロスフェアに中性子照射するステップをさらに含む、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、
前記化合物がイットリウム-89を含み、前記中性子照射がイットリウム-89をイットリウム-90に転換する、方法。
【請求項30】
請求項23から29のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の流体、前記第2の流体、またはそれらの両方が治療剤をさらに含む、方法。
【請求項31】
請求項23から30のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の流体、前記第2の流体、またはそれらの両方が蛍光色素をさらに含む、方法。
【請求項32】
請求項23から31のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の流体が気体である、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、
前記気体が空気である、方法
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年5月18日に出願され、「放射線塞栓送達装置」と題する米国仮特許出願第62/673,632号;および、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年5月18日に出願され、「ロック機構を有する二段階シリンジ」と題する米国仮特許出願第62/673,628号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示は、全般には、放射線塞栓マイクロスフェアおよび上記マイクロスフェアを調製する方法に関し、より具体的には、放射線塞栓療法のための多相マイクロスフェアおよび上記マイクロスフェアを調製するマイクロ流体法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]塞栓療法は、介入放射線技師によって実行される低侵襲手術である。典型的な処置には、脈管構造に、例えば、腕または脚における微小切開部を介して導入すること、および任意選択でイメージング技術、例えば、蛍光透視によって補助される、ガイドワイヤーおよびカテーテルの使用によって処置部位へのアクセスを得ることが含まれ得る。処置部位で塞栓剤が、脈管に塞栓形成し、処置部位から下流の腫瘍への血液の流れを遮断し、ネクローシスおよび/または腫瘍の収縮をもたらす。
【0004】
[0004]放射能は、放射性物質を塞栓剤に含ませることによって塞栓療法に加えられ得る。例えば、経動脈的な放射線塞栓療法は、一般に悪性腫瘍の処置に利用にされる経カテーテル動脈内手技である。この手技の間にマイクロカテーテルが患者の肝臓にナビゲートにされ、放射性化合物(例えば、イットリウム-90(90Y))を充填された放射線塞栓性マイクロスフェアが標的腫瘍に送達される。マイクロスフェアは、腫瘍に供給する血管に塞栓形成し、一方で、腫瘍細胞を死滅させる放射線も送達する。一般に、マイクロスフェアは、中性子照射によってイットリウム-90に転換されるイットリウム(ytttium)-89を含有する固体または多孔性ガラスまたはポリマー性球体、またはイットリウム-90が直接充填された陽イオン交換樹脂である。
【0005】
[0005]放射線塞栓性マイクロスフェアには、特に再現性および一貫した信頼性が治療方法において必要とされる場合に、それらの調製および取扱いに多数の難題が提起されている。例えば、放射性同位元素、例えば、イットリウム-90は、時間経過につれてマイクロスフェアから浸出することがあり、腫瘍部位での放射線量の不一致が導かれる。マイクロスフェアを一定の直径に生産することは難題であり、それらをサイズで選別するために篩にかける複雑なプロセスを必要とする。マイクロスフェアは、流体培地、例えば、水、生理食塩水、または血液よりも高密度の場合があり、したがって、沈降する傾向がある。一般に、マイクロスフェアの生産は、医学従事者からの特注の要件を満足させるために高価で、特殊な設備および時間がかかるプロセスを必要とし得、それらのマイクロスフェアを調製するステップ全てで有害な放射線に曝露するとの絶えざる懸念を伴う。
【0006】
[0006]したがって、塞栓剤の調製のより高い効率性および再現性を可能にし、以前に同定された難題のいくつかまたは全てに対処する塞栓剤および調製方法に関して継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
[0007]複数の実施形態によれば、2相マイクロスフェアには、一次相および上記一次相によって覆われる第1の二次相が含まれる。一次相には、第1の樹脂が含まれる。第1の二次相は第2の樹脂を含み、また、この第1の二次相は、放射性同位体と、少なくとも1つの放射性元素を含む化合物と、のうち少なくとも一方含む。2相マイクロスフェアは、マイクロ流体プロセスによって形成され得る。
【0008】
[0008]複数の実施形態によれば、3相マイクロスフェアには、一次相、上記一次相によって覆われる第1の二次相、および上記一次相によって覆われかつ上記第1の二次相と別の第2の二次相が含まれる。一次相には、第1の樹脂が含まれる。第1の二次相は第2の樹脂を含み、また、第1の二次相は、放射性同位体と、少なくとも1つの放射性元素を含む化合物と、のうち少なくとも一方を含む。第2の二次相には、気泡が含まれる。3相マイクロスフェアは、マイクロ流体プロセスによって形成され得る。
【0009】
[0009]本発明のこれらのおよび他の特性、態様、ならびに利点は、以下の記載および添付の特許請求の範囲を参照して、より良く理解されよう。
[0010]本明細書に記載される実施形態の追加の特性および利点は、以下の詳細な説明に示され、部分的に、その記載から当業者には容易に明らかとなり、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲ならびに添付の図面を含む、本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0010】
[0011]前述の一般的な記載および以下の詳細な説明の両方は、様々な実施形態を記載し、特許請求の範囲に記載された主題の性質および特徴を理解するための概要またはフレームワークの提供を意図することを理解されたい。添付の図面は、様々な実施形態のさらなる理解を提供するため含められ、本明細書に組み込まれ、および一部を構成する。図面は、本明細書に記載される様々な実施形態および特許請求の範囲に記載された主題の原理および操作を説明するために貢献する記載と一緒に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0012]図1は、本開示の実施形態による2相マイクロスフェアを示す図である。
図2】[0013]図2は、本開示の実施形態による3相マイクロスフェアを示す図である。
図3】[0014]図3は、本開示の実施形態による2相マイクロスフェアを調製するマイクロ流体プロセスの模式図を示す図である。
図4】[0015]図4は、本開示の実施形態による3相マイクロスフェアを調製するマイクロ流体プロセスの模式図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0016]以下、多相マイクロスフェアおよび、特に、放射線塞栓療法のための多相マイクロスフェアの実施形態に関する詳細の参照を作成することとなる。多相マイクロスフェアの例示的な実施形態として、2相マイクロスフェアは図1を参照して記載され、3相マイクロスフェアは図2を参照して記載されることとなる。3相よりも多くを有するマイクロスフェアが、2相マイクロスフェアおよび3相マイクロスフェアを調製するものと類似する技術による、さらなる実施形態として調製され得ることが理解されるべきである。マイクロ流体プロセスによる多相マイクロスフェアを調製する方法が、続いて記載されることとなる。
【0013】
[0017]図1を参照すると、2相マイクロスフェア1には、一次相10と、上記一次相によって覆われる第1の二次相20と、が含まれる。一次相10には、第1の樹脂が含まれる。第1の二次相20は第2の樹脂を含み、また、第1の二次相20は、放射性同位体と、少なくとも1つの放射性元素を含む化合物と、のうち少なくともどちらか一方を含む。2相マイクロスフェア1のいくつかの実施形態では、一次相10、第1の二次相20、またはそれらの両方には、1つまたは複数の追加の化合物、例えば、治療剤、治療剤の複合体、蛍光色素、キレート剤、またはこれらの任意の組合せがさらに含まれ得る。
【0014】
[0018]図2を参照すると、3相マイクロスフェア2には、一次相10、上記一次相10によって覆われる第1の二次相20、および上記一次相10によって覆われかつ上記第1の二次相20と別の第2の二次相30が含まれる。一次相10には、第1の樹脂が含まれる。第1の二次相20は第2の樹脂と含み、また、第1の二次相20は、放射性同位体と、少なくとも1つの放射性元素を含む化合物とのうち少なくともどちらか一方を含む。第2の二次相30は、第3の樹脂または気体から選択され得る。第2の二次相30が気体である実施形態では、気体は、空気、窒素、または第1の樹脂および第2の樹脂と一般的に非反応性である任意の気体であり得る。第2の二次相30は3相マイクロスフェア内に存在してもよく、第2の二次相30の量または体積の割合は、3相マイクロスフェア2が、選択された流体、例えば、水、生理食塩水、血液、または、放射線塞栓療法手技の間に塞栓マイクロビーズを投与することに適切な任意の他の担体流体の中で中性浮力を有するにするように調節されている。3相マイクロスフェア2のいくつかの実施形態では、一次相10、第1の二次相20、第2の二次相30、またはこれらの任意の組合せには、1つまたは複数の追加の化合物、例えば、治療剤、治療剤の複合体、蛍光色素、キレート剤、またはこれらの任意の組合せがさらに含まれ得る。
【0015】
[0019]2相マイクロスフェア1および3相マイクロスフェア2の両方において、一次相10は、マイクロスフェアが放射線塞栓療法手技の間に毛細管内に塞栓形成することが可能になるようなマイクロスフェアのかさ容積を構成する。2相マイクロスフェア(または3相マイクロスフェアの第1の二次相20)の二次相20は、マイクロスフェアからの放射性物質の浸出の発生率および蓋然性(可能性)を減少させる様式でマイクロスフェアの放射性同位体または化合物を含有するまたは封入する機能を有する。特に、放射性同位体または化合物は二次相20内に捕捉されたままで、一次相10は塞栓機能を実行する。対照的に、放射性化合物が単一ポリマーまたは樹脂のマトリックス中に分散される単相のマイクロスフェアでは、若干量の放射性化合物が、マイクロスフェアの外側表面にまで存在し、したがって、マイクロスフェアから外に逸出または浸出することができる。この性質の浸出は、例えば、腫瘍部位での放射線量における不確定性および信頼性の欠如をもたらしうる。3相マイクロスフェア2の第2の二次相30は、気体または第3の樹脂であり得る。3相マイクロスフェアの第2の二次相30が気体、例えば、空気である場合、例えば、この相の封入、特に、特定の体積分率に関しては、マイクロビーズの全体の密度を全体として調整することができる。マイクロビーズの密度は液体溶液、例えば、水、担体、または血液における浮力に関係するので、気相の封入は、例えば、液体溶液の底へのマイクロビーズの沈降を予防することによってマイクロビーズの流れ特性を最適にすることができる。3相マイクロスフェアの第2の二次相30が第3の樹脂である場合、第3の樹脂は、例えば、マイクロビーズにさらに含まれ得る追加の化合物、例えば、治療剤と特に適合するために選択され得る。
【0016】
[0020]2相マイクロスフェア1および3相マイクロスフェア2の両方において、第1の樹脂および第2の樹脂は、同一または異なり得る。本明細書で使用される用語「樹脂」は続いて、より多くの詳細が記載されることとなる、マイクロ流体システムを通して未硬化型で流出して導入され、次に追加のプロセス、例えば、加熱、UV照射、または他の重合反応によって硬化されて、固体の硬化材料を形成することが可能である、未硬化で存在できる任意の化合物を指す。いくつかの実施形態では、第1の樹脂、第2の樹脂、または両方は、水および/または生理的な流体、例えば、血液において不溶性であり得、水および/または生理的な流体、例えば、血液において可溶性であり得、生体吸収性であり得、または生分解性であり得る。いくつかの実施形態では、第1の樹脂、第2の樹脂、または両方は、水膨潤性ポリマー材料であり得る。いくつかの実施形態では、第1の樹脂、第2の樹脂、または両方は、ガンマ線照射に対して安定であり得る。いくつかの実施形態では、第1の樹脂、第2の樹脂、または両方は、水に対して不透過性であり得る。第1の樹脂または第2の樹脂として適切な例示的な化合物は、以下に記載されることとなる。
【0017】
[0021]生分解性および生体吸収性材料は、体内で安全に分解および/または再吸収される材料である。生分解性および生体吸収性材料の例には、限定されることなく、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシブチレート-co-ベータヒドロキシルバレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ナイロン-2-ナイロン-6、ポリ乳酸-ポリグリコール酸コポリマー、PLGA-ポリエチレングリコール(PEG)-PLGA(PLGA-PEG-PLGA)、カルボキシメチルセルロース-キトサン(CMC-CCN)、キトサン、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、鉄ベースの合金、マグネシウムベースの合金、およびその組合せが含まれ得る。
【0018】
[0022]第1の樹脂、第2の樹脂、または両方のさらなる例には、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、スルホン化ポリスチレン-co-ジビニルベンゼン(PSS-DVB)、乳酸グリコール酸コポリマー(PLGA)、PLGA-ポリエチレングリコール(PEG)-PLGA(PLGA-PEG-PLGA)、カルボキシメチルセルロース-キトサン(CMC-CCN)、キトサン、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)、ポリアクリルアミドおよびエラスチン様タンパク質、CMC(酸化型カルボキシメチルセルロース)/アルギネート/キトサン、メタクリル化ヒアルロン酸、架橋アルギネートベースのポリマー(例えば、アルギネートおよびポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、アルギネート-PVA、CMC-アルギネート、アルギネート-PCL)、官能基化ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、キトサン-アルギネート、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)-ポリ(エチレングリコール)-ポリカプロラクトン-アルギネートのコポリマー、ポリ(N-ビニルカプロラクタム-co-グリシジルメタクリレート)、ポリ(N,N-ジメタクリルアミド-co-グリシジルメタクリレート)、アクリレートベースのポリマー、ゼラチン-PVA、ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホネート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、置換セルロース(substituted cellulose)、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、多糖、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸コポリマー、およびその組合せが含まれる。
【0019】
[0023]様々な実施形態では、第1の樹脂、第2の樹脂、または両方には、例えば、天然ヒドロゲルポリマー、例えば、キトサンまたは多糖、または合成ヒドロゲルポリマー、例えば、ポリアクリラート、ポリアミド、ポリエステル、多糖、ポリ(メチルメタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール)を含む水膨潤性ポリマー材料が含まれ得る。いくつかの実施形態では、水膨潤性ポリマー材料は、生分解性であり得る。水膨潤性ポリマー材料の特定の例には、限定されることなく、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)、メタクリル化ヒアルロン酸(D-グルクロン酸およびN-アセチル-D-グルコサミンから構成される二糖類のポリマーであるヒアルロン酸)、キトサン-アルギネート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)コポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-アルギネート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-ペプチド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)-α-アクリロイルオキシ-β,β-ジメチル-γ-ブチロラクトン-親水性Jeffamine、またはポリ(N-イソプロピル-アクリルアミド)-ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート-ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプト-プロピオネート)が含まれる。樹脂には、任意の前述の材料の誘導体を含む水膨潤性ポリマー材料が含まれ得るまたは任意の前述の材料もしくはそれらの誘導体の組合せが含まれ得る。
【0020】
[0024]第1の樹脂、第2の樹脂、または両方として適切な生体適合性の樹脂の例には、限定されることなく、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、高密度ポリエチレン、またはその組合せが含まれる。
【0021】
[0025]第1の樹脂、第2の樹脂、または両方として適切な材料のさらなる例には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホネート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、置換セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、多糖、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸コポリマー(例えば、ポリ(d-乳酸-co-グリコール)酸)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ナイロン、シリコーン、直鎖または架橋ポリシリコーン、およびそれらのコポリマーまたは混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、樹脂の一方または両方は、高度に水不溶性の、高分子量ポリマーであり得る。そのようなポリマーの例は、アセチル化されている高分子量ポリビニルアルコール(PVA)である。
【0022】
[0026]第1の樹脂、第2の樹脂、または両方として適切な材料のさらに別の例には、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド-co-ε-カプロラクトン)およびポリ(D,L-ラクチド-co-エチレングリコール)、ポリ(L-ラクチド-co-エチレングリコール)、ポリ(D,L-ラクチド-bl-グリコリド)、ポリ(L-ラクチド-bl-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-bl-エチレングリコール)、ポリ(L-ラクチド-bl-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-bl-グリコリド-bl-カプロラクトン)、ポリ(L-ラクチド-bl-グリコリド-bl-エチレングリコール)、およびポリ(エステルアミド)が含まれる。
【0023】
[0027]第1の樹脂、第2の樹脂、または両方として適切な材料のさらに別の例には、限定されることなく、ポリカプロラクトン、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PEG)ブロックコポリマー、ポリ(D,L-ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、コポリ(エーテル-エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA-PEG、およびその組合せが含まれる。PHAには、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酸)、例えば、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-バレレート)(PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)(PHP)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHH)、またはポリ(4-ヒドロキシ酸)、例えば、ポリポリ(4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(4-ヒドロキシバレレート)、ポリ(4-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(チロシンカーボネート)、ポリ(チロシンアリーレート)、ポリ(エステルアミド)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)、例えば、ポリ(3-ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエート)およびポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(4-ヒドロキシアルカノエート)、例えば、ポリ(4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(4-ヒドロキシバレレート)、ポリ(4-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(4-ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(4-ヒドロキシオクタノエート)および本明細書に記載される任意の3-ヒドロキシアルカノエートまたは4-ヒドロキシアルカノエートモノマーいずれかを含むコポリマーまたはそのブレンド、ポリグリコリド、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(チロシンカーボネート)およびその誘導体、ポリ(チロシンエステル)およびその誘導体、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリリン酸エステル、ポリリン酸エステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリホスファゼン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンおよびエチレン-アルファオレフィンコポリマー、アクリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、例えば、ポリビニルメチルエーテル、ハロゲン化ポリビニリデン、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、芳香族ポリビニル(polyvinyl aromatics)、例えば、ポリスチレン、ポリビニルエステル、例えば、ポリ酢酸ビニル、ビニルモノマーの互いおよびオレフィンとのコポリマー、例えば、エチレン-メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、およびエチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド、例えば、Nylon 66およびポリカプロラクタム、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリ(グリセリルセバケート)、ポリ(プロピレンフマレート)、ポリ(n-ブチルメタクリレート)、ポリ(sec-ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(tert-ブチルメタクリレート)、ポリ(n-プロピルメタクリレート)、ポリ(イソプロピルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン-トリアセテート、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セロハン、セルロースニトレート、セルロースプロピオネート、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、ポリエーテル、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、コポリ(エーテル-エステル)(例えば、ポリ(エチレンオキシド-co-乳酸)(PEO/PLA))、ポリアルキレンオキシド、例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エーテルエステル)、ポリアルキレンオキサレート、ホスホリルコリン含有ポリマー、コリン、ポリ(アスピリン)、ヒドロキシル担持モノマーのポリマーおよびコポリマー、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、PEGアクリレート(PEGA)、PEGメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチル-ホスホリルコリン(MPC)およびn-ビニルピロリドン(VP)含有メタクリレートポリマー、カルボン酸担持モノマー、例えば、メタクリル酸(MA)、アクリル酸(AA)、アルコキシメタクリレート、アルコキシアクリレート、および3-トリメチルシリルプロピルメタクリレート(TMSPMA)、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)-PEG(SIS-PEG)、ポリスチレン-PEG、ポリイソブチレン-PEG、ポリカプロラクトン-PEG(PCL-PEG)、PLA-PEG、ポリ(メチルメタクリレート)-PEG(PMMA-PEG)、ポリジメチルシロキサン-co-PEG(PDMS-PEG)、ポリ(ビニリデンフルオリド)-PEG(PVDF-PEG)、PLURONIC(登録商標)界面活性剤(ポリプロピレンオキシド-co-ポリエチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ヒドロキシ官能性ポリ(ビニルピロリドン)、生体分子、例えば、コラーゲン、キトサン、アルギネート、フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、デンプン、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の断片および誘導体、ヘパリン、ヘパリンの断片および誘導体、グリコサミノグリカン(GAG)、GAG誘導体、多糖、エラスチン、エラスチンタンパク質模倣体、またはその組合せが含まれ得る。
【0024】
[0028]複数の実施形態による2相マイクロスフェアまたは3相マイクロスフェアは、放射線治療または放射線塞栓療法の医療処置に適切なサイズの直径を有し得る。マイクロビーズが毛細管に付着するようになることが意図され、必ずしも完全に塞栓形成することなく、それにより標的部位に治療性放射線を送達するいくつかの実施形態では、個々のマイクロスフェアは、例えば、約10マイクロメートル(μm)から約80μm、または約20μmから約60μm、または約30μmから約50μmの直径を有し得る。マイクロビーズが完全に塞栓性(「ブランドビーズ」)になることが意図され、かつ治療剤を含むいくつかの実施形態では、個々のマイクロスフェアは、約30マイクロメートル(μm)から約1500μmの直径を有し得る。他の実施形態では、マイクロスフェアは、約30μmから約1500μm、約30μmから約1000μm、約30μmから約500μm、約30μmから約100μm、約100μmから約1500μm、約100μmから約1000μm、約100μmから約500μm、約500μmから約1500μm、約500μmから約1000μm、または約1000μmから約1500μmの直径を有し得る。
【0025】
[0029]複数の実施形態による2相マイクロスフェアまたは3相マイクロスフェアは、個々のマイクロスフェアの総重量に基づいて、約30重量%から約70重量%、または約35重量%から約65重量%、または約40%から約60重量%、または約45重量%から約55重量%、または約50%から約70重量%の樹脂を含み得る。さらなる実施形態では、個々のマイクロスフェアは、個々のマイクロスフェアの総重量に基づいて、約30重量%から約70重量%、または約35重量%から約65重量%、または約40%から約60重量%、または約45重量%から約55重量%、または約50%から約70重量%の樹脂を含み得、ここで、上記樹脂は水膨潤性ポリマー材料である。
【0026】
[0030]複数の実施形態による2相マイクロスフェアまたは3相マイクロスフェアは、治療剤または治療剤と担体の複合体が充填され得る。個々の薬物充填マイクロスフェアには、1つの治療剤または複数の治療剤が含まれ得る。
【0027】
[0031]複数の実施形態では、治療剤は、親水性治療剤、水溶性治療剤、または水性溶液中で少なくともいくらかの溶解性を有する治療剤であり得る。いくつかの実施形態では、治療剤は、疾患、例えば、癌を処置するための少なくともいくらかの有効性を有する化学療法剤であり得る。いくつかの実施形態では、治療剤は、癌、例えば、肝細胞がん、肝臓癌、前立腺癌、または乳癌を処置するための少なくともいくらかの有効性を有する化学療法剤であり得る。治療剤は、陽性または陰性電荷または親和性を有する1つまたは複数の化学的部分または原子中心を有し得る。特定の治療剤の例には、限定されることなく、ドキソルビシン、ソラフェニブ、バンデタニブ、ニボルマブ、イピリムマブ、レゴラフェニブ、イリノテカン、エピルビシン、ピラルビシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、フロクスウリジン、マイトマイシンC、任意の前述の誘導体、任意の前述のプロドラック、任意の前述の治療上許容される塩または結晶形態、または任意の前述の組合せが含まれ得る。適切な治療剤のさらなる例には、限定されることなく、ピラルビシン、ミトキサントロン、テポテカン(tepotecan)、パクリタキセル、カルボプラチン、ペメトレキセド、ペニスタチン(penistatin)、ペルツズマブ、トラスツズマブ、およびドセタキセルが含まれ得る。
【0028】
[0032]いくつかの実施形態では、治療剤は、マイクロビーズ材料のマイクロスフェアを全体的に覆い得るが、治療剤とマイクロビーズ材料の間の共有結合性の化学結合は欠如する。共有結合性の化学結合が欠如しているにもかかわらず、治療剤およびマイクロビーズ材料は、非共有結合性の分子間相互作用、例えば、イオン性相互作用またはファンデルワールス相互作用を有し得る。いくつかの実施形態では、薬物充填マイクロビーズの治療剤はマイクロビーズ材料を全体的に覆い、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格に対する共有結合性の化学結合が欠如し、さらに治療剤は水膨潤性ポリマー材料の官能基に対して化学的に結合し得る。いくつかの実施形態では、治療剤は、水膨潤性ポリマー材料に対して化学的に全く結合しない。
【0029】
[0033]マイクロスフェアには、マイクロスフェアについて意図される使用に基づいて、所望の治療効果または活性を有する治療剤の量が含まれ得る。個々の薬物充填マイクロスフェアにおける治療剤の量は、例えば、薬物充填の間に、例えば、充填時間、充填温度、または充填する溶液中の治療剤の濃度に関与する特定の技術によって調整され得る。個々の薬物充填マイクロスフェアにおける治療剤の量は、例えば、ポリマー分子量、ヒドロゲル架橋の度合、ポリマー密度、または水膨潤性ポリマー材料のポリマー空隙率を調整することによってマイクロスフェア自体を合成することに関与する合成技術によって調整され得る。例えば、ドキソルビシンが治療剤である場合、薬物充填マイクロスフェアにおける薬物充填の量は、水膨潤性ポリマー材料のポリマー骨格における陰性電荷の数に関して調整され得る。
【0030】
[0034]実例の実施形態では、マイクロスフェアには、個々のマイクロスフェアの総重量に基づいて、約1重量%から約25重量%、または約1重量%から約20重量%、または約1重量%から約15重量%、または約2重量%から約25重量%、または約5重量%から約25重量%、または約10重量%から約25重量%の治療剤が含まれ得る。
【0031】
[0035]いくつかの実施形態では、薬物充填マイクロビーズには、担体および治療剤の複合体が含まれ得る。複合体では、治療剤は、担体に対して化学的に結合し得るまたは非共有結合性の手段、例えば、封入またはファンデルワールス相互作用によって担体と相互作用し得る。複数の実施形態では、複合体は、マイクロビーズ材料内に包埋され得る。さらなる実施形態では、複合体は、水膨潤性ポリマー材料内に包埋され得る。複合体がマイクロビーズ材料内に包埋される場合、担体はマイクロビーズ材料に対して化学的に結合し得る一方で、治療剤はマイクロビーズ材料に対して化学的に結合しない。理論に縛られることを意図しないが、治療剤が担体に結合または相互作用するがマイクロビーズ材料に対して化学的に結合しない場合、薬物充填マイクロスフェアは、薬物充填の間に水分子が薬物分子で置き換えられる結果として、縮小の影響が低くなり得ると考えられる。したがって、薬物充填マイクロスフェアの最終的なサイズ分布は、治療剤が充填される前に、適切なマイクロビーズサイズを選択することによってより容易に制御され得る。
【0032】
[0036]マイクロビーズが担体および治療剤の複合体を含む実施形態では、担体は、治療剤を複合体にするまたは封入することができる任意の医薬上許容される化合物であり得る。いくつかの実施形態では、担体は、荷電した化学基または逆に荷電したもしくは逆の双極子モーメントを有する治療剤の対応する化学基と相互作用する双極子モーメントを有する化学基を有し得る。担体がポリマー材料である場合には、担体は、第1の樹脂または第2の樹脂と異なる材料であり得る。適切な担体の非限定的な例には、多糖、リポソーム、ポリマーミセル、プルロニック(登録商標)、ポリカプロラクトン-b-メトキシ-PEG、ポリ(アスパラギン酸)-b-PEG、ポリ(ベンジル-L-グルタミン酸)-b-PEG、ポリ(D,L-ラクチド)-b-メトキシ-PEG、ポリ(β-ベンジル-L-アスパラート(asparate))-b-PEG)が含まれる。多糖の非限定的な例には、デキストランおよびデキストラン硫酸、例えば、デキストラン硫酸ナトリウムが含まれる。一例の実施形態では、担体には、約40kDa(キロダルトン)から約500kDa、または約50kDaから約300kDa、または約100kDaから約300kDa、または約100kDaから約200kDaの重量平均分子量を有するデキストラン硫酸ナトリウムが含まれ得る。
【0033】
[0037]実例の実施形態では、マイクロスフェアには、個々のマイクロビーズの総重量に基づいて、約1重量%から約40重量%、または約1重量%から約30重量%、または約1重量%から約25重量%、または約1重量%から約20重量%、または約5重量%から約40重量%、または約10重量%から約40重量%、または約20重量%から約40重量%の担体が含まれ得る。
【0034】
[0038]実施形態による2相マイクロスフェアまたは3相マイクロスフェアには、放射性同位体または少なくとも1つの放射性元素を含む化合物が含まれる。放射性同位体または化合物は、疾患、例えば、癌を処置するための少なくともいくらかの有効性を有する放射線療法剤であり得る。いくつかの実施形態では、放射性同位体または化合物は、癌、例えば、肝細胞がん、肝臓に転移をした癌、前立腺癌、または乳癌を処置するための少なくともいくらかの有効性を有し得る。放射性同位体または化合物には、放射性同位元素、例えば、ベータ-ガンマエミッタまたはガンマエミッタが含まれてもよく、それにより、十分なガンマ放射線が放出されてイメージングを可能にする。特定の放射性同位体の例には、限定されることなく、ビスマス-213、ホウ素-10、セシウム-131、セシウム-137、コバルト-60、ジスプロシウム-165、エルビウム-169、ホルミウム-166、ヨウ素-125、ヨウ素-131、イリジウム-192、鉄-59、鉛-212、ルテチウム-177、モリブデン-99、パラジウム-103、リン-32、カリウム-42、ラジウム-223、レニウム-186、レニウム-188、サマリウム-153、セレン-75、ナトリウム-24、ストロンチウム-89、テクネシウム99m、トリウム-227、キセノン-133、イッテルビウム-169、イッテルビウム-177、およびイットリウム-90が含まれる。いくつかの他の例には、アクチニウム-225、アスタチン-211、ビスマス-213、炭素-11、窒素-13、酸素-15、フッ素-18、コバルト-57、銅-64、銅-67、フッ素-18、ガリウム-67、ガリウム-68、ゲルマニウム-68、インジウム-111、ヨウ素-123、ヨウ素-124、クリプトン-81m、ルビジウム-82、ストロンチウム-82、およびタリウム-201が含まれる。本明細書の実施形態によるマイクロスフェアには、任意の前述の放射性同位体を含む化合物が含まれ得る。いくつかの特定の実施形態では、マイクロスフェアには、イットリウム-90またはイットリウム-90原子を含む化合物、例えば、リン酸イットリウム(90YPO)、硫酸イットリウム(90(SO)もしくは(8990Y(SO)、または炭酸イットリウム(90(CO)もしくは(8990Y(CO)が含まれ得る。
【0035】
[0039]実例の実施形態では、マイクロスフェアは、水を含む。実例の実施形態では、マイクロスフェアは、個々のマイクロスフェアの総重量に基づいて、低い含水量、例えば、1重量%未満、または0.5重量%未満、または0.1重量%未満、または0.05%(500ppm)重量%未満、または0.02%(200ppm)重量%未満、または0.01%(100ppm)重量%未満、または0.005(50ppm)重量%未満、または0.002%(20ppm)重量%未満、または0.001%(10ppm)重量%未満の水を有し得る。理論に縛られることを意図しないが、マイクロビーズの低い含水量が、マイクロビーズの貯蔵寿命および長期安定性を増加させると考えられる。さらに、マイクロビーズの総重量に基づいて、1重量%(例えば、2%、3%、5%、または10%)よりも有意に多い含水量は、治療剤の分解または加水分解、不安定性または水膨潤性ポリマーの破壊、またはこれらの組合せを、数日またはさらには数時間内にもたらし得ると考えられ、マイクロビーズが再水和されるとしても塞栓療法手技に使用することはできない。1重量%よりも有意に多い含水量を有するものの貯蔵寿命および長期安定性は、塞栓療法手技における使用にマイクロビーズの製造から規定時間を超えて治療剤の実行可能性を保証するのに十分に長くはないと考えられる。水膨潤性ポリマー材料の選択は、治療剤の分解を予防するのに十分な量で、凍結乾燥または他の乾燥技術または乾燥技術の組合せによって、マイクロスフェアから水を除去する性能と相関し得ると考えられる。
【0036】
[0040]マイクロビーズの低い含水量は、以前に記載されているような、乾燥技術によって達成され得る。この関連で、マイクロスフェアは包埋した治療剤または治療剤および担体の包埋した複合体を含有するマイクロスフェアの、乾燥したまたはほとんど脱水した組成物であり得る。マイクロスフェアは、粉末様の稠度を有し得る。したがって、マイクロスフェアは、マイクロスフェアが塞栓療法について適切であり得るように、マイクロスフェアを再水和することによって、処置されている対象への注射のために適切に作製され得る。それにかかわらず、マイクロスフェアは、医師が塞栓療法手技に使用するためのマイクロスフェアを調製するために、水または生理的な緩衝生理食塩水などの水性溶液をマイクロスフェアに加えることのみを必要とするような形式で提供され得る。
【0037】
[0041]多相マイクロスフェアは、2相マイクロスフェアおよび3相マイクロスフェアの実施形態に関して記載されている。マイクロ流体技術によってマイクロスフェアを調製する方法は、以下に図3および4を参照して記載されることとなる。
【0038】
[0042]図1の2相マイクロスフェア1を調製する実例の方法は、図3を参照して記載されることとなる。2相マイクロスフェア1は、第1の流体を、第1の長軸方向の導管110を通して、第1の長軸方向の導管110の第1の出口開口部112に向かって流すことによって、2トレーマイクロ流体装置100において調製されてもよく、上記第1の出口開口部112は、第1の接触ゾーン115と流体連通にある。同時に、第2の流体は、第1の横軸方向の導管を通して流れ、上記導管は、第1の長軸方向の導管110と第1の接触ゾーン115で交差する。実例の実施形態では、第2の流体は、第1の横軸方向の導管120a、120bを通って、対向する方向から第1の接触ゾーン115に向かって流れてもよい。第1の横軸方向の導管120a、120bは、第1の出口開口部112と、第1の横軸方向の導管120a、120bの第2の出口開口部125と、に流体連通している。第2の出口開口部125は、第2の長軸方向の導管130と流体連通にある。第1の流体の流れは、第2の流体の流れに入り、その様式は、第2の長軸方向の導管130に入り、第2の長軸方向の導管130の第3の出口開口部132に向かって流れる2相流を生じさせる様式である。第3の出口開口部132は、第2の接触ゾーン135と流体連通にある。2相流は、第2の流体の連続相によって覆われる第1の流体の液滴40から構成される。
【0039】
[0043]2相マイクロスフェア1を調製する実例の方法には、第3の流体を第2の横軸方向の導管140a、140bを通して流すことがさらに含まれる。第2の横軸方向の導管140a、140bは、第2の長軸方向の導管130と第2の接触ゾーン135で交差し、第3の出口開口部132と、第2の横軸方向の導管140a、140bの第4の出口開口部145と、に流体連通している。第4の出口開口部145は、第3の長軸方向の導管150と流体連通にある。2相流は、第3の流体の流れに入り、その様式は、第3の長軸方向の導管150の中に入り、第3の長軸方向の導管150の第5の出口開口部152に向かって流れる3相流を生じさせる様式である。3相流には、第3の流体を含む連続相によって覆われる2相液滴50が含まれる。2相液滴50は、第2の流体を含む外相によって覆われる第1の流体を含む内相を有する。2相液滴50を含む3相流は、次いで第5の出口開口部152を通して出る。2相液滴50は加工容器180中でさらに加工され得る。加工容器180には、2相液滴中の材料を硬化して回収容器190中に回収され得る硬化2相マイクロスフェア1を形成するための手段が含まれ得る。加工容器180には、2相液滴50を、例えば、中性子照射によって照射するための手段がさらに含まれ得る。
【0040】
[0044]例示的な方法では、第1の流体には、未硬化の第1の樹脂および少なくとも1つの放射性同位体または、中性子照射に際して放射性に作製することができる化合物が含まれ得る。未硬化の第1の樹脂は、本明細書の実施形態により以前に記載されるような、硬化に際して、重合または反応して第1の樹脂を形成する化合物であり得る。未硬化の第1の樹脂は、硬化に際して、重合または反応して生体吸収性、生分解性、または両方である第1の樹脂を形成する化合物であり得る。未硬化の第1の樹脂は、硬化に際して、重合または反応して水膨潤性である第1の樹脂を形成する化合物であり得る。放射性同位体は、本明細書に以前に記載されるような同位体であり得る。中性子照射に際して放射性に作製することができる化合物の例には、塩化イットリウム-89(89YCl)が含まれ、これは中性子照射によって塩化イットリウム-90(90YCl)に転換され得る。
【0041】
[0045]例示的な方法では、第2の流体には、未硬化の第2の樹脂が含まれる。未硬化の第2の樹脂は、本明細書の実施形態により以前に記載されるような、硬化に際して、重合または反応して第2の樹脂を形成する化合物であり得る。いくつかの実施形態では、第2の樹脂は、第1の樹脂と同一であるまたは物理的な特性、例えば、分子量においてのみ異なる、同一のポリマータイプである。他の実施形態では、第2の樹脂は、第1の樹脂と化学的に適合するが、異なる化合物である。
【0042】
[0046]第3の流体は、第2の流体とは不混和性の担体流体である。例の担体流体には、フルオロカーボンオイルが含まれる。
[0047]図2の3相マイクロスフェア2を調製する実例の方法は、図4を参照して記載される。3相マイクロスフェア2は、第1の流体を、第1の長軸方向の導管110を通して、第1の長軸方向の導管110の第1の出口開口部112に向かって流すことによって、3トレーマイクロ流体装置200において調製されてもよく、上記第1の出口開口部112は、第1の接触ゾーン115と流体連通にある。同時に、第2の流体は、第1の横軸方向の導管を通して流れ、上記導管は、第1の長軸方向の導管110と第1の接触ゾーン115で交差する。例の実施形態では、第2の流体は、第1の横軸方向の導管120a、120bを通って、対向する方向から第1の接触ゾーン115に向かって流れてもよい。第1の横軸方向の導管120a、120bは、第1の出口開口部112と、第1の横軸方向の導管120a、120bの第2の出口開口部125と、に流体連通している。第2の出口開口部125は、第2の長軸方向の導管130と流体連通にある。第1の流体の流れは、第2の流体の流れに入り、その様式は、第2の長軸方向の導管130に第2の長軸方向の導管130の第3の出口開口部132に向かって流れる2相流を生じさせる様式である。第3の出口開口部132は、第2の接触ゾーン135と流体連通にある。2相流は、第2の流体の連続相によって覆われる第1の流体の液滴40から構成される。
【0043】
[0048]3相マイクロスフェア2を調製する実例の方法には、第3の流体を第2の横軸方向の導管140a、140bを通して流すことが、さらに含まれる。第2の横軸方向の導管140a、140bは、第2の長軸方向の導管130と第2の接触ゾーン135で交差し、第3の出口開口部132と、第2の横軸方向の導管140a、140bの第4の出口開口部145と、に流体連通している。第4の出口開口部145は、第3の長軸方向の導管150と流体連通にある。2相流は、第3の流体の流れに入り、その様式は、第3の長軸方向の導管150に入って第3の長軸方向の導管150の第5の出口開口部152に向かって流れる3相流を生じさせる様式である。3相流には、第3の流体を含む連続相によって覆われる2相液滴50が含まれる。2相液滴50は、第2の流体を含む外相によって覆われる第1の流体を含む内相を有する。2相液滴50を含む3相流は、次いで第5の出口開口部152を通して出る。
【0044】
[0049]3相マイクロスフェア2を調製する実例の方法には、第4の流体を第3の横軸方向の導管160a、160bを通して流すことが、さらに含まれる。第3の横軸方向の導管160a、160bは、第3の長軸方向の導管150と第3の接触ゾーン155で交差し、第5の出口開口部150と、第3の横軸方向の導管160a、160bの第6の出口開口部165と、に流体連通している。第6の出口開口部165は、第4の長軸方向の導管170と流体連通にある。2相流は、第4の流体の流れに入り、その様式は、第4の長軸方向の導管170に入って第4の長軸方向の導管170の第7の出口開口部175に向かって流れる4相流を生じさせる様式である。4相流は、第4の流体を含む連続相によって覆われる3相液滴60が含まれる。3相液滴は、第1の流体を含む第1の内相、第2の流体を含む第2の内相、および第3の流体を含む外相を含む。3相液滴60では、第1の内相および第2の内相は、互いに別々であり、外相によって覆われる。その上、3相液滴は、第7の出口開口部175から加工容器180に流れる。加工容器180には、3相液滴中の材料を硬化して回収容器190中に回収され得る硬化3相マイクロスフェア2を形成するための手段が含まれ得る。加工容器180には、3相液滴60を、例えば、中性子照射によって照射するための手段がさらに含まれ得る。
【0045】
[0050]例示的な方法では、第1の流体は、気体または未硬化の第1の樹脂を含む。未硬化の第1の樹脂は、本明細書の実施形態により以前に記載されるような、硬化に際して、重合または反応して第1の樹脂を形成する化合物であり得る。気体は、第1の樹脂または第2の樹脂と非反応性である任意の気体、例えば、空気または窒素であり得る。未硬化の第1の樹脂は、硬化に際して、重合または反応して生体吸収性、生分解性、または両方である第1の樹脂を形成する化合物であり得る。未硬化の第1の樹脂は、硬化に際して、重合または反応して水膨潤性である第1の樹脂を形成する化合物であり得る。第2の流体は、未硬化の第2の樹脂を含む。未硬化の第2の樹脂は、本明細書の実施形態により以前に記載されるような、硬化に際して、重合または反応して第2の樹脂を形成する化合物であり得る。未硬化の第2の樹脂は、硬化に際して、重合または反応して生体吸収性、生分解性、または両方である第2の樹脂を形成する化合物であり得る。未硬化の第2の樹脂は、硬化に際して、重合または反応して水膨潤性である第2の樹脂を形成する化合物であり得る。いくつかの実施形態では、第2の樹脂は、第1の樹脂と同一であるまたは物理的な特性、例えば、分子量においてのみ異なる、同一のポリマータイプである。他の実施形態では、第2の樹脂は、第1の樹脂と化学的に適合するが、異なる化合物である。
【0046】
[0051]少なくとも1つの第1の流体、第2の流体、または両方は、放射性同位体または中性子照射に際して放射性に作製することができる化合物を含む。放射性同位体は、本明細書に以前に記載されるような、同位体であり得る。中性子照射に際して放射性に作製することができる化合物の例には、塩化イットリウム-89(89YCl)が含まれ、これは中性子照射によって塩化イットリウム-90(90YCl)に転換され得る。
【0047】
[0052]第3の流体は未硬化の第3の樹脂を含み、この樹脂は未硬化の第1の樹脂、未硬化の第2の樹脂、または両方ともと同一または異なり得る。第4の流体は、担体流体、例えば、フルオロカーボンオイル、例えば、第3の流体とは不混和性のものである。
【0048】
[0053]2相マイクロスフェア1または3相マイクロスフェア2を調製する例示的な方法では、1つまたは複数の第1の流体、第2の流体、第3の流体、または第4の流体には、治療剤、治療剤の複合体、蛍光色素、キレート剤、界面活性剤、硬化剤、重合阻害剤、またはこれらの任意の組合せがさらに含まれ得る。治療剤は、以前に記載されている。蛍光色素には、蛍光化合物、例えば、フルオレセインが含まれ得る。色素化合物は、色素の樹脂への組み込みを補助するアクリル部分などの基で、任意選択で誘導体化され得る。キレート剤は、多相マイクロスフェアの第1の二次相内の放射性同位体の保持を全体的に保証し得るまたは放射性同位体の多相マイクロスフェアの一次相への浸出を予防し得る。界面活性剤、例えば、ポリソルベートは、例えば、マイクロ流体プロセスの間に液滴を安定化する。硬化剤、例えば、過硫酸アンモニウムは、特定の未硬化の樹脂材料の硬化を、それらを熱に曝露することで可能にする。他の硬化剤は、UV硬化または放射線硬化を可能にし得る。重合阻害剤は、マイクロ流体プロセスの間に、未硬化の樹脂の早すぎる重合を回避し得る、その理由は、いくつかの樹脂が、放射性同位体の放射能に対する曝露から硬化する傾向を有するからである。
【0049】
[0054]2相マイクロスフェア1または3相マイクロスフェア2を調製する例示的な方法では、マイクロ粒子のサイズ、第1の樹脂または気体、第2の樹脂、第3の樹脂、および放射性同位体または化合物の相対量は、プロセスパラメータ、例えば、第1の流体、および/または第2の流体、および/または第3の流体、および/または第4の流体の流速または圧力を調整することによって制御され得る。
【0050】
[0055]特に断りのない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の説明に使用される技術用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のものであり、制限であると意図されない。明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他の意味が示されない限り、複数形も含まれることが意図される。
【0051】
[0056]用語「実質的に(substantially)」および「約(about)」を本明細書に利用して、任意の定量的な比較、値、測定、または他の表現に起因し得る不確定度の固有の度合を表し得ることが留意されたい。これらの用語はまた、争点の主題の基礎の機能に変化をもたらすことなく、定量的な表現が、述べられた参照から変動し得る、度合を表すために本明細書に利用される。
【0052】
[0057]特定の実施形態が、本明細書に図示され、記載されているが、様々な他の変化および変更が、特許請求の範囲に記載された主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、なされ得ることを理解すべきである。さらに、特許請求の範囲に記載された主題の様々な態様が本明細書に記載されているが、そのような態様が必ずしも組合せて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲が、全てのそのような変化および変更を網羅し、これらが特許請求の範囲に記載された主題の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4