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  • 特許-スマート歯ブラシシステム 図1
  • 特許-スマート歯ブラシシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】スマート歯ブラシシステム
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20231213BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20231213BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20231213BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20231213BHJP
   A61B 1/24 20060101ALI20231213BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20231213BHJP
   A46B 17/06 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A46B15/00 K
G01N33/483 C
G01N33/497 B
G01N33/569 B
A61B1/24
A61B1/00 731
A46B17/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021069552
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022164210
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-09-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322013786
【氏名又は名称】郭 若峰
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】程 茹秋
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-181812(JP,A)
【文献】特開2020-186998(JP,A)
【文献】特開2009-216497(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0113317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00~17/08
A61C 17/00~17/40
A61B 1/00~ 1/32
G01N 33/00~33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口内を照射する光源と、前記光源に照射された歯を撮像する画像センサと、前記口内の呼気を分析するガスセンサと、を有する、歯ブラシと、
前記歯ブラシのブラシの毛先が菌体センサに対向するように前記歯ブラシを保持し、前記ブラシに付着した菌体を前記菌体センサで計測した後、前記歯ブラシを洗浄する歯ブラシ洗浄台と、を備え
前記光源および前記画像センサは歯ブラシヘッド部に配置され、前記ガスセンサは歯ブラシネック部に配置されている、
ことを特徴とするスマート歯ブラシシステム。
【請求項2】
前記画像センサは、前記光源との間にカットフィルタが配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスマート歯ブラシシステム。
【請求項3】
前記ガスセンサは、ブタン、アセトンおよび酢酸を計測対象とする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスマート歯ブラシシステム。
【請求項4】
前記菌体センサは、抗原抗体反応、または菌の発光特性に基づいて計測を行う、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスマート歯ブラシシステム。
【請求項5】
前記歯ブラシ洗浄台は、前記ブラシに付着した唾液を希釈する機構を有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスマート歯ブラシシステム。
【請求項6】
前記歯ブラシ洗浄台は、軸方向の長さにおいて、前記歯ブラシよ短い
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスマート歯ブラシシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマート歯ブラシシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯垢や虫歯を自家蛍光によって計測できることが近年研究報告されている。また、歯周病菌が認知症や糖尿病に与える影響なども報告されており、それらの菌体を捉える抗体開発も進んでいる(例えば特許文献1)。さらに、呼気中の揮発性有機化合物を測定することで、肺癌マーカーとしての活用も期待されている。そういった口腔から得られる個々の情報を包括的に計測する試みはされていない。個々の情報を総合的に評価することで、口内環境が健康に与える影響、健康が口内環境に与える影響などを理解するだけでなく、管理することにも応用の活路を見いだすことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-181812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、口内の計測に基づいて健康計測を行い、それと同時に健康ケアを行う統合システムは、歯ブラシ本来の利便性やフットプリントをキープしながら実現するのが難しかった。
【0005】
そこで、本発明では、光による歯垢計測に、呼気ガス計測を行うブラシネックと歯周病菌計測を実現する歯ブラシ台によって歯を磨く行動習慣を変えずに、歯の磨き残しや歯周病菌の計測を行うとともに、呼気ガス計測に基づく内臓機能の計測を実現する。さらに歯ブラシを置く台が持つ固有の機能により選択的に菌体を評価し、認知症や心筋梗塞に係る危険因子を検出し、食習慣を含む日々の生活習慣、家族間での口内感染のチェックを知らせることが可能であり、定期的に生活習慣見直しから口内環境を見直す機会を与えることを特徴としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
つまり、本発明に係るスマート歯ブラシシステムは、
口内を照射する光源と、前記光源に照射された歯を撮像する画像センサと、前記口内の呼気を分析するガスセンサと、を有する、歯ブラシと、
前記歯ブラシのブラシの毛先が菌体センサに対向するように前記歯ブラシを保持し、前記ブラシに付着した菌体を前記菌体センサで計測した後、前記歯ブラシを洗浄する歯ブラシ洗浄台と、を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、口内の計測に基づいて健康計測を行い、それと同時に健康ケアを、歯ブラシ本来の利便性やフットプリントをキープしながら実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は、本発明の実施形態に係るスマート歯ブラシの構成を示す正面図、(b)は、(a)のスマート歯ブラシの側面図である。
図2】(a)は、本発明の実施形態に係るスマート歯ブラシシステムのスマート歯ブラシと歯ブラシ台の使用状態を示す側面図、(b)は、歯ブラシ台の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のスマート歯ブラシおよびスマート歯ブラシシステムについて、以下、添付図面を参照して説明する。なお、説明におけるxyz方向は、各図の矢印に従う。
【0010】
図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に本発明の実施形態を示す。歯ブラシヘッド部に、光源(LED(Light Emitting Diode)等)・画像センサとからなる自家蛍光センサと、歯ブラシネック部に複数の酸化物半導体の組み合わせから成る呼気ガスセンサ(ガスセンサ)を有している歯ブラシとする。歯ブラシを置く台(歯ブラシ洗浄台)は、毛先がセンサ側に向くような構造を有するとともに、そのセンサが抗原抗体反応あるいはその他の菌体計測を行う機能を有した菌体センサとする。
【0011】
自家蛍光センサの光源には、励起波長が405nm近傍の青色光を用いる。光源からの光が直接センサに入らないよう、間にロングパスフィルタなどのカットフィルタを用いても良い。その際のカットオフ波長は500nm以上とする。
【0012】
呼気ガスセンサに用いる酸化物半導体は、ブタン、アセトン、酢酸を計測対象としたセンサを用いる。それ以外の有機化合物を計測するセンサを用いてもよい。それぞれのセンサで得られた強度の比と健康状態を照合するため、各センサの信号情報と健康状態のモデルを組み合わせて機械学習解析を行っても良い。
【0013】
菌体センサには、抗原抗体反応に基づき選択的に菌体を捕捉し計測する技術を用いる。あるいは菌を蛍光団によって修飾し、その発光特性に基づいて計測を行っても良い。また、ATP(Adenosine triphosphate)など菌体の代謝に基づいた生成物の発光量を計測し、菌体をカウントしても良い。その際の菌体識別の選択性は菌を分離する前処理によって実現する。
【0014】
菌体センサを備えた歯ブラシ台は、歯ブラシの毛先がセンサ側に向くような構造を有するとともに、唾液から対象菌体を原液に近い形で抽出するための希釈機構を有し、その先に抗原抗体反応あるいは分光学的に測定対象分子を計測する機構を有したものとする。上記の希釈機構とは、歯ブラシの毛先が台に接触することを開始のタイミングとして起動し、歯ブラシの毛先が振動しながら微量の溶媒が毛先を浸す機構を有しているものを指す。歯ブラシの毛先と台が接触する部分に唾液が流れ込む溝を設け、そこを介して検体が計測部に導入される構造を持っている。
【0015】
なお、本発明による計測を行う際には、歯磨き粉を使用しない。
【0016】
上記の実施形態に係るスマート歯ブラシシステムによれば、歯ブラシが、口内を照射する光源と、光源に照射された歯を撮像する画像センサと、口内の呼気を分析するガスセンサと、を有し、歯ブラシ洗浄台が、歯ブラシのブラシに付着した菌体を計測する菌体センサを有し、ブラシの毛先が対向するように配置されるので、口内の計測に基づいて健康計測を行い、それと同時に健康ケアを行いつつ、歯ブラシ本来の利便性やフットプリントをキープしながら実現することができる。
【0017】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされているものである。また、上述した実施形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記実施例及び変形例は任意に組み合わせることができる。さらに、必要に応じて実施形態の構成要件の一部を除いても本発明の技術的思想の範囲内となる。
図1
図2