(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】端子部品および端子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/566 20210101AFI20231213BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20231213BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20231213BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20231213BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20231213BHJP
【FI】
H01M50/566
H01M50/55 101
H01M50/567
H01M50/557
H01G11/74
(21)【出願番号】P 2021117092
(22)【出願日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴宏
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107473(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105371(WO,A1)
【文献】特開2013-073745(JP,A)
【文献】特開2017-228418(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103874(WO,A1)
【文献】特開2020-087702(JP,A)
【文献】特開2022-139371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/566
H01M 50/55
H01M 50/564
H01G 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用端子に用いられる端子部品であって、
第1金属と、
凹部を有する第2金属と
を備え、
前記第1金属は、
一対の平坦面を備える軸部と、
前記軸部の長軸方向の一端に形成された嵌入部と
を有し、
前記第1金属および前記第2金属は、互いに異なる種類の金属であり、
前記第1金属と前記第2金属との境界には、
超音波接合によって接合された接合部と、
前記第1金属の前記嵌入部が前記第2金属の前記凹部に入り込んだカシメ部と
が形成されており、
ここで、前記凹部と前記嵌入部の間には、平面視において、前記平坦面と対向する対向方向に隙間が形成されて
おり、
前記第2金属には、前記対向方向に沿って前記超音波接合の振動が付与された接合痕が形成されている、端子部品。
【請求項2】
前記隙間は、前記対向方向の両側に形成されている、請求項1に記載の端子部品。
【請求項3】
前記嵌入部は、前記軸部の長軸方向の一端から外径方向に延びている、請求項
1または2に記載の端子部品。
【請求項4】
正極および負極を含む電極体と、
前記電極体を内部に収容した電池ケースと、
前記電極体における前記正極および前記負極それぞれと電気的に接続された正極端子および負極端子とを備えた二次電池であって、
前記正極端子および前記負極端子の少なくとも一方は、請求項1~
3のいずれか一項に記載の端子部品を含む、二次電池。
【請求項5】
二次電池に用いられる端子部品の製造方法であって、
第1金属および第2金属を用意する用意工程、ここで、
前記第1金属および前記第2金属は、互いに異なる種類の金属であり、前記第2金属は、開口よりも内部が広い凹部を有し、前記第1金属は、一対の平坦面を備える軸部と、前記軸部の長軸方向の一端に形成され前記第2金属の前記凹部に嵌入する嵌入部とを有する;
前記第2金属の前記凹部に前記第1金属の前記嵌入部を圧入することによって前記第1金属と前記第2金属とをかしめるカシメ工程、ここで、前記凹部と前記嵌入部の間に、平面視において、前記平坦面と対向する対向方向に隙間が形成されるようにかしめる;および
前記第1金属と前記第2金属とを超音波接合によって接合する接合工程、ここで、前記超音波接合の振動を前記対向方向に沿って付与する、
を包含する、端子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子部品および端子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池を構成する端子として、異種金属からなる端子に関する技術が提案されている。
特開2011-124024号公報には、複数の単電池をバスバで接続してなる組電池が開示されている。かかる組電池に用いられる正極端子を作製する方法として、銅の正極外部端子をアルミニウムの基部に超音波接合し、超音波接合で発生した異物を洗浄し、さらにかしめ成型を行うことが開示されている。ここでのかしめ成型は、凸型のパンチ工具と凹型のダイ工具とによって押圧することによって行われる。同公報によると、かかる正極端子は、銅製のバスバとの溶接性が良好であり、また、基部と外部端子の接合強度が十分に確保されるとされている。
特許第6216368号には、電極体と、電極体を収容するケースと、ケースの隔壁に固定され、一端に挿通部を備えるリベット部材と、被挿通部を備え、リベット部材と電気的に接続される導電性部材とを備える蓄電素子が開示されている。リベットの挿通部のビッカース硬さは、導電性部材における被挿通部の周辺領域のビッカース硬さよりも大きい。挿通部は、導電性部材に挿通された状態でかしめられる。それによって、被挿通部の周辺領域の厚みが減り、導電性部材の厚みの増加が抑えられるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-124024号公報
【文献】特許第6216368号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外部端子を構成する異種金属間を、超音波接合等の方法で接合することによって、異種金属間の導通性を向上させることができる。また、異種金属間をかしめ等の方法で機械的に締結させることによって、異種金属間の接合強度を向上させることができる。本発明者は、これらの方法を組み合わせた端子を二次電池に用いることを検討している。しかしながら、異種金属をかしめた状態で超音波振動を行う場合、かしめ構造が超音波接合時に与えられる超音波振動を阻害する懸念がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される端子部品は、二次電池用端子に用いられる端子部品である。端子部品は、第1金属と、凹部を有する第2金属とを備えている。第1金属は、一対の平坦面を備える軸部と、軸部の長軸方向の一端に形成された嵌入部とを有している。第1金属と第2金属との境界には、超音波接合によって接合された接合部と、第1金属の嵌入部が第2金属の凹部に入り込んだカシメ部とが形成されている。ここで、凹部と嵌入部の間には、平面視において、平坦面と対向する対向方向に隙間が形成されている。
かかる構成を備える端子部品は、超音波接合によって接合された接合部の接合強度が向上されている。
【0006】
隙間は、対向方向の両側に形成されていてもよい。かかる構成によって、接合部の接合強度がより向上されうる。
第2金属には、対向方向に沿って超音波接合の振動が付与された接合痕が形成されうる。嵌入部は、軸部の長軸方向の一端から外径方向に延びていてもよい。
【0007】
ここに開示される技術の他の側面として、正極および負極を含む電極体と、電極体を内部に収容した電池ケースと、電極体における正極および負極それぞれと電気的に接続された正極端子および負極端子とを備えた二次電池が提供される。二次電池の正極端子および負極端子の少なくとも一方は、ここで開示される端子部品を含んでいるとよい。
【0008】
ここに開示される技術の他の側面として、二次電池に用いられる端子部品の製造方法が提供される。端子部品の製造方法は、第1金属および第2金属を用意する用意工程、ここで、第2金属は、開口よりも内部が広い凹部を有し、第1金属は、一対の平坦面を備える軸部と、軸部の長軸方向の一端に形成され第2金属の凹部に嵌入する嵌入部とを有する;第2金属の凹部に第1金属の嵌入部を圧入することによって第1金属と第2金属とをかしめるカシメ工程、ここで、凹部と嵌入部の間に、平面視において、平坦面と対向する対向方向に隙間が形成されるようにかしめる;および第1金属と第2金属とを超音波接合によって接合する接合工程、ここで、超音波接合の振動を対向方向に沿って付与する、を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
【
図4】
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、端子部品200を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、凹部202aと嵌入部201bの形状を模式的に示す模式図である。
【
図7】
図7は、他の実施形態にかかる端子部品200の凹部202aと嵌入部201bの形状を模式的に示す模式図である。
【
図8】
図8は、他の実施形態にかかる端子部品200の凹部202aと嵌入部201bの形状を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ここで開示される端子部品および二次電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、数値範囲を示す「A~B」などの表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味する。なお、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、本明細書において参照する各図における符号Xは「幅方向」を示し、符号Yは「長さ方向」を示し、符号Zは「高さ方向」を示し、符号Uは「超音波振動の振動方向」を示す。
【0011】
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。以下では、上述した二次電池のうち、リチウムイオン二次電池を対象とした場合の実施形態について説明する。
【0012】
〈リチウムイオン二次電池10〉
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
図1では、略直方体の電池ケース41の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。
図1に示されたリチウムイオン二次電池10は、いわゆる密閉型電池である。
図2は、
図1のII-II断面を示す断面図である。
図2では、略直方体の電池ケース41の片側の幅狭面に沿って内部を露出させた状態の部分断面図が模式的に描かれている。
【0013】
リチウムイオン二次電池10は、
図1に示されているように、電極体20と、電池ケース41と、正極端子42,負極端子43とを備えている。
【0014】
〈電極体20〉
電極体20は、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、電池ケース41に収容されている。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、セパレータとしてのセパレータシート31,32とを備えている。正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長尺の帯状の部材である。
【0015】
正極シート21は、予め定められた幅および厚さの正極集電箔21a(例えば、アルミニウム箔)に、幅方向の片側の端部に一定の幅で設定された未形成部21a1を除いて、正極活物質を含む正極活物質層21bが両面に形成されている。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0016】
負極シート22は、予め定められた幅および厚さの負極集電箔22a(ここでは、銅箔)に、幅方向の片側の縁に一定の幅で設定された未形成部22a1を除いて、負極活物質を含む負極活物質層22bが両面に形成されている。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0017】
セパレータシート31,32には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータシート31,32についても種々提案されており、特に限定されない。
【0018】
ここで、負極活物質層22bの幅は、例えば、正極活物質層21bよりも広く形成されている。セパレータシート31,32の幅は、負極活物質層22bよりも広い。正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、幅方向において互いに反対側に向けられている。また、正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長さ方向に向きを揃え、順に重ねられて捲回されている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32を介在させた状態で正極活物質層21bを覆っている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32に覆われている。正極集電箔21aの未形成部21a1は、セパレータシート31,32の幅方向の片側からはみ出ている。負極集電箔22aの未形成部22a1は、幅方向の反対側においてセパレータシート31,32からはみ出ている。
【0019】
上述した電極体20は、
図1に示されているように、電池ケース41のケース本体41aに収容されうるように、捲回軸を含む一平面に沿った扁平な状態とされる。そして、電極体20の捲回軸に沿って、片側に正極集電箔21aの未形成部21a1が配置され、反対側に負極集電箔22aの未形成部22a1が配置されている。
【0020】
〈電池ケース41〉
電池ケース41は、
図1に示されているように、電極体20を収容している。電池ケース41は、一側面が開口した略直方体の角形形状を有するケース本体41aと、開口に装着された蓋41bとを有している。この実施形態では、ケース本体41aと蓋41bは、軽量化と所要の剛性を確保するとの観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主とするアルミニウム合金で形成されている。
【0021】
〈ケース本体41a〉
ケース本体41aは、一側面が開口した略直方体の角形形状を有している。ケース本体41aは、略矩形の底面部61と、一対の幅広面部62,63(
図2参照)と、一対の幅狭面部64,65とを有している。一対の幅広面部62,63は、それぞれ底面部61のうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面部64,65は、それぞれ底面部61のうち短辺から立ち上がっている。ケース本体41aの一側面には、一対の幅広面部62,63と一対の幅狭面部64,65で囲まれた開口41a1が形成されている。
【0022】
〈蓋41b〉
蓋41bは、一対の幅広面部62,63(
図2参照)の長辺と、一対の幅狭面部64,65の短辺とで囲まれたケース本体41aの開口41a1に装着される。そして、蓋41bの周縁部が、ケース本体41aの開口41a1の縁に接合される。かかる接合は、例えば、隙間がない連続した溶接によるとよい。かかる溶接は、例えば、レーザ溶接によって実現されうる。
【0023】
この実施形態では、蓋41bには、正極端子42と、負極端子43とが取り付けられている。正極端子42は、内部端子42aと、外部端子42bとを備えている。負極端子43は、内部端子43aと、外部端子43bとを備えている。内部端子42a,43aは、それぞれインシュレータ72を介して蓋41bの内側に取り付けられている。外部端子42b,43bは、それぞれガスケット71を介して蓋41bの外側に取り付けられている。内部端子42a,43aは、それぞれケース本体41aの内部に延びている。正極の内部端子42aは、正極集電箔21aの未形成部21a1に接続されている。負極の内部端子43aは、負極集電箔22aの未形成部22a1に接続されている。
【0024】
電極体20の正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、
図1に示されているように、蓋41bの長手方向の両側部にそれぞれ取り付けられた内部端子42a,43aに取り付けられている。電極体20は、蓋41bに取り付けられた内部端子42a,43aに取付けられた状態で、電池ケース41に収容される。なお、ここでは、捲回型の電極体20が例示されている。電極体20の構造はかかる形態に限定されない。電極体20の構造は、例えば、正極シートと負極シートとが、セパレータシートとを介在させて交互に積層された積層構造でもよい。また、電池ケース41内には、複数の電極体20が収容されていてもよい。
【0025】
また、電池ケース41は、電極体20と一緒に、図示しない電解液を収容していてもよい。電解液としては、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液を使用できる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。
【0026】
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図3では、負極端子43が蓋41bに取り付けられた部位の断面が示されている。この実施形態では、負極の外部端子43bには、異種金属を接合した部材が用いられている。
図3では、外部端子43bを構成する異種金属の構造や異種金属の界面などは図示されず、外部端子43bの断面形状が模式的に示されている。
【0027】
蓋41bは、
図3に示されているように、負極の外部端子43bを取り付けるための取付孔41b1を有している。取付孔41b1は、蓋41bの予め定められた位置において蓋41bを貫通している。蓋41bの取付孔41b1には、ガスケット71とインシュレータ72を介在させて、負極の内部端子43aと外部端子43bとが取り付けられる。取付孔41b1の外側には、取付孔41b1の周りにガスケット71が装着される段差41b2が設けられている。段差41b2には、ガスケット71が配置される座面41b3が設けられている。座面41b3には、ガスケット71を位置決めするための突起41b4が設けられている。
【0028】
ここで、負極の外部端子43bは、
図3に示されているように、頭部43b1と、軸部43b2と、カシメ片43b3とを備えている。頭部43b1は、蓋41bの外側に配置される部位である。頭部43b1は、取付孔41b1よりも大きな略平板状の部位である。軸部43b2は、ガスケット71を介して取付孔41b1に装着される部位である。軸部43b2は、頭部43b1の略中央部から下方に突出している。カシメ片43b3は、
図3に示されているように、蓋41bの内部において、負極の内部端子43aにかしめられる部位である。カシメ片43b3は、軸部43b2から延びており、蓋41bに挿通された後で折曲げられて負極の内部端子43にかしめられる。
【0029】
〈ガスケット71〉
ガスケット71は、
図3に示されているように、蓋41bの取付孔41b1および座面41b3に取り付けられる部材である。この実施形態では、ガスケット71は、座部71aと、ボス部71bと、側壁71cとを備えている。座部71aは、蓋41bの取付孔41b1周りの外側面に設けられた座面41b3に装着される部位である。座部71aは、座面41b3に合わせて略平坦な面を有する。座部71aは、座面41b3の突起41b4に応じた凹みを備えている。ボス部71bは、座部71aの底面から突出している。ボス部71bは、蓋41bの取付孔41b1に装着されるように取付孔41b1の内側面に沿った外形形状を有している。ボス部71bの内側面は、外部端子43bの軸部43b2が装着される装着孔となる。側壁71cは、座部71aの周縁から上方に立ち上がっている。外部端子43bの頭部43b1は、ガスケット71の側壁71cで囲まれた部位に装着される。
【0030】
ガスケット71は、蓋41bと外部端子43bとの間に配置され、蓋41bと外部端子43bとの絶縁を確保している。また、ガスケット71は、蓋41bの取付孔41b1の気密性を確保している。かかる観点で、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。この実施形態では、ガスケット71には、PFAが用いられている。PFAは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(Tetrafluoroethylene-Perfluoroalkylvinylether Copolymer)である。なお、ガスケット71に用いられる材料は、PFAに限定されない。
【0031】
〈インシュレータ72〉
インシュレータ72は、蓋41bの取付孔41b1の周りにおいて、蓋41bの内側に装着される部材である。インシュレータ72は、ベース部72aと、孔72bと、側壁72cとを備えている。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置される部位である。この実施形態では、ベース部72aは、略平板状の部位である。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置され、ケース本体41aに収められるように、蓋41bからはみ出ない程度の大きさを有している。孔72bは、ガスケット71のボス部71b内側面に対応して設けられた穴である。この実施形態では、孔72bは、ベース部72aの略中央部に設けられている。蓋41bの内側面に対向する側面において、孔72bの周りには凹んだ段差72b1が設けられている。段差72b1には、取付孔41b1に装着されたガスケット71のボス部71bの先端が干渉しないように収められている。側壁72cは、ベース部72aの周縁部から下方に立ち上がっている。ベース部72aには、負極の内部端子43aの一端に設けられる基部43a1が収められる。インシュレータ72には、電池ケース41の内部に配置されるため、所要の耐薬品性を備えているとよい。この実施形態では、インシュレータ72には、PPSが用いられている。PPSは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin)である。なお、インシュレータ72に用いられる材料は、PPSに限定されない。
【0032】
負極の内部端子43aは、基部43a1と、接続片43a2(
図1および
図2参照)とを備えている。基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aに装着される部位である。この実施形態では、基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aの周りの側壁72cの内側に応じた形状を有している。接続片43a2は、基部43a1の一端から延びており、ケース本体41a内に延びて電極体20の負極の未形成部22a1に接続されている(
図1および
図2参照)。
【0033】
この実施形態では、取付孔41b1にボス部71bを装着しつつ、蓋41bの外側にガスケット71を取付ける。外部端子43bがガスケット71に装着される。この際、外部端子43bの軸部43b2がガスケット71のボス部71bに挿通され、かつ、ガスケット71の座部71aに外部端子43bの頭部43b1が配置される。蓋41bの内側は、インシュレータ72と負極端子43が取り付けられる。そして、
図3に示されているように、外部端子43bのカシメ片43b3が折曲げられて、負極端子43の基部43a1にかしめられる。外部端子43bのカシメ片43b3と負極端子43の基部43a1とは、導通性を向上させるために部分的に溶接や金属接合により接合されているとよい。
【0034】
ところで、リチウムイオン二次電池10の正極の内部端子42a(
図1参照)では、耐酸化還元性の要求レベルが負極に比べて高くない。そして、要求される耐酸化還元性と、軽量化の観点で、正極の内部端子42aにはアルミニウムが用いられうる。これに対して、負極の内部端子43aでは、耐酸化還元性の要求レベルが正極よりも高い。かかる観点で、負極の内部端子43aには、銅が用いられうる。他方で、外部端子43bが接続されるバスバでは、軽量化および低コスト化の観点で、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられうる。
【0035】
本発明者は、内部端子43aに接続される部位とバスバと接続される部位とで異なる種類の金属を用いることを検討している。すなわち、外部端子43bのうち、バスバと接続される部位と、内部端子43aと接続される部位とで、それぞれに対して溶接性の高い金属を用いることを検討している。しかしながら、本発明者の知見では、異種金属接合は、導通性や接合強度への課題がある。本発明者は、金属間の導通を確保するために冶金的に接合すること、金属間の接合強度を向上させるために、金属間をかしめることを検討している。以下、ここで開示される端子部品200について、端子部品200の製造方法と併せて説明する。
【0036】
〈端子部品200〉
図4および
図5は、端子部品200を模式的に示す模式図である。
図6は、凹部202aと嵌入部201bの形状を模式的に示す模式図である。端子部品200は、
図3に示された負極の外部端子43bとして用いられうる。
図4および
図5では、端子部品200を構成する第1金属201と第2金属202とが超音波接合によって接合される工程が模式的に示されている。
図4では、Y方向(すなわち、第2金属202の長さ方向)から見た端子部品200が示されている。
図5では、X方向(すなわち、第2金属202の幅方向)から見た端子部品200が示されている。
図4および
図5では、第2金属202は、断面が図示されている。
図4では、固定治具320の図示は省略されている。
【0037】
端子部品200は、
図4に示されているように、第1金属201と、凹部202aを有する第2金属202とを備えている。第1金属201と第2金属202との境界には、超音波接合によって接合された接合部204と、第1金属201の嵌入部201bが第2金属202の凹部202aに入り込んだカシメ部203とが形成されている。凹部202aと嵌入部201bの間には、平面視において、後述する平坦面201a1と対向する対向方向に隙間205が形成されている(
図5参照)。第1金属201は、端子部品200のうち電池ケース41(
図1および
図2参照)の内部に向けて配置され、負極の内部端子43a(
図3参照)に接続される部位を構成する。第2金属202は、端子部品200のうち電池ケース41(
図1参照)の外部に露出し、バスバ等の外部の接続部品と接続される部位を構成する。この実施形態では、第1金属201は、銅から構成されており、第2金属は、アルミニウムから構成されている。
【0038】
ここで開示される端子部品200を製造する方法は、以下の工程(a)~(c):
(a)第1金属201および第2金属202を用意する用意工程;
(b)第2金属202の凹部202aに第1金属201の嵌入部201bを圧入することによって第1金属201と第2金属202とをかしめるカシメ工程;
(c)第1金属201と第2金属202とを超音波接合によって接合する接合工程
を含んでいる。
【0039】
<工程(a):用意工程>
工程(a)では、第1金属201および第2金属202を用意する。ここで用意される第2金属202は、開口202a1よりも内部が広い凹部202aを有する。ここで用意される第1金属201は、一対の平坦面201a1を備える軸部201aと、軸部201aの長軸方向の一端に形成された嵌入部201bとを有する。嵌入部201bは、第2金属202の凹部202aに嵌入する部位である。
【0040】
この実施形態では、第1金属201の軸部201aは、一部に一対の平坦面201a1が形成された略円柱形状である。一対の平坦面201a1は、超音波接合の際に固定治具320(
図5参照)によってY方向の両側から押さえられる面である。嵌入部201bは、軸部201aの長軸方向の一端から外径方向に延びており、いわゆるフランジ形状である。嵌入部201bは、軸部201aの周方向に連続して形成されている。嵌入部201bの端部201b1は、楕円形状であり、X方向が長軸方向であり、Y方向が短軸方向である(
図6参照)。嵌入部201bの外縁201b2は、端部201b1から軸方向内側に向かって外径が徐々に小さくなるテーパ面である。また、第1金属201は、嵌入部201bが設けられた側とは反対側に、さらに内部端子43aにかしめられるカシメ片43b3(
図3参照)となる部位201cを備えている。
【0041】
第2金属202は、この実施形態では、平面視において角部にR加工が施された略矩形の板状である(
図6参照)。第2金属202の一方の面202f1の中央部には、第1金属201の嵌入部201bが収められる凹部202aが設けられている。第2金属202の凹部202aは、上述したように、開口202a1よりも内部が広くなっている。換言すると、凹部202aの内部には、開口202a1から拡径した空間が形成されている。この実施形態では、凹部202aの開口202a1および底部202a2は円形状である。つまり、凹部202aは、円錐台形状に形成された空間である。凹部202aの側周面202a3は、底部202a2から開口202a1からに向かって徐々に狭くなるテーパ面である。
【0042】
後の接合工程では、第2金属202の凹部202aが設けられた面202f1の反対側の面202f2に、超音波接合を実施するためのホーン300が当てられる。面202f2には、ホーン300が当てられる部分を位置決めするための凹部が設けられていてもよい。
【0043】
第1金属201の嵌入部201bと第2金属202の凹部202aの寸法関係は、後の工程で第1金属201と第2金属202とがかしめられて固定されるような寸法に設定されているとよい。この実施形態では、嵌入部201bの端部201b1の長径方向(すなわち、X方向)の両端にカシメ部203が形成されるよう、端部201b1の長径は、底部202a2の直径よりも少し長くなっている。このような形状を有する第1金属201および第2金属202は、それぞれの部材の材料となる金属(この実施形態では、銅およびアルミニウム)に対し、例えば、鍛造加工や切削加工等の公知の金属加工を行うことによって用意することができる。
【0044】
<工程(b):カシメ工程>
工程(b)では、第2金属202の凹部202aに第1金属201の嵌入部201bを圧入することによって第1金属201と第2金属202とをかしめる。ここでは、凹部202aと嵌入部201bの間に、平面視において、平坦面201a1と対向する対向方向に隙間205が形成されるようにかしめる。
【0045】
まず、第1金属201の嵌入部201bの端部201b1と、第2金属202の凹部202aの底部202a2とを対向させ、第1金属201と第2金属202を重ねる。この実施形態では、第1金属201の軸部201aの平坦面201a1の対向方向と、第2金属202の長さ方向Yとが一致した状態で重ねる(
図6参照)。次に、プレス機等を用いて、所要のプレス圧で第1金属201と第2金属202とを相互に加圧する。それによって、第1金属201と第2金属202は、一方が他方に対して塑性変形する。第1金属201の嵌入部201bは凹部202aに入り込み、カシメ部203が形成される。カシメ部203では、嵌入部201bの外縁201b2と凹部202aの側周面202a3とは、圧入された状態になっている。このようなカシメ部203が形成されるよう、第1金属201と第2金属202の寸法は適宜調整されるとよい。プレス圧は、第1金属201と第2金属202の形状や金属種によって適宜設定されうる。
【0046】
この実施形態では、上述したように、第2金属202の凹部202aの底部202a2は円形状であり、第1金属201の嵌入部201bの端部201b1は楕円形状である。そのため、カシメ部203は、端部201b1の長径方向の両側に形成される。第1金属201と第2金属202は、カシメ部203によって相互に固定されている。この実施形態では、アルミニウム製の第2金属202が銅製の第1金属201に対して塑性変形し、カシメ部203が形成されている。このように、第1金属201と第2金属202とがかしめられ、機械的に締結されていることにより、第1金属201と第2金属202との間の接合強度が確保されている。
【0047】
また、
図5に示されているように、第2金属202の凹部202aの直径に対して第1金属201の嵌入部201bの径が短い部分には、隙間205が形成される。この実施形態では、隙間205は、嵌入部201bの端部201b1の短径方向(すなわち、平面視において、平坦面201a1と対向する対向方向)の両側に形成されている。
【0048】
<工程(c):接合工程>
工程(c)では、第1金属201と第2金属202とを超音波接合によって接合する。ここでは、超音波接合の振動を上記対向方向に沿って付与する。これによって、接合部204が形成される。なお、超音波接合の接合条件は、第1金属201と第2金属202の金属種、寸法等に応じて適宜設定される。これに限定されないが、例えば、振幅20μm~80μm程度、周波数15kHz~150kHz程度、被接合物に与えられるエネルギー量は50J~500J程度に設定されうる。
【0049】
超音波接合は、ホーン300と、アンビル310と、固定治具320とを用いて行う。まず、第2金属202が重ねられた第1金属201をアンビル310に配置する。次に、
図5に示されているように、固定治具320を用いて、第1金属201を一対の平坦面201a1の両側から挟んで固定する。第1金属201を固定した状態で、ホーン300を第2金属202に当て、加圧しながら超音波振動を付与する。この実施形態では、ホーン300は、第2金属202の中心部206(
図6参照)に当てられる。超音波振動の振動方向Uは、一対の平坦面201a1が固定治具320によって固定される方向(Y方向)と平行である。これによって、超音波振動を付与する際のエネルギーの損失を低減することができる。
【0050】
図6に示されているように、振動方向Uは、平面視において、平坦面201a1と隙間205とが対向した方向と一致している。つまり、振動方向Uは、中心部206から見て隙間205が形成されている方向と一致している。ところで、本発明者の知見では、超音波接合によって2つの部材を接合する際には、ホーンが当てられる接合界面に付与される超音波振動に合わせて、接合される部材全体にも振動が伝わる。2つの部材が隙間なく締結されている場合は、部材全体として振動が伝わりにくくなりうる。その結果、接合界面の振動が阻害され、超音波接合による接合界面の接合強度が低下する懸念がある。この実施形態では、上述したように、振動方向Uと隙間205が形成されている方向が一致している。それによって、振動が阻害されにくくなり、接合強度の高い接合部204が形成される。また、隙間205が形成されていることによって、超音波接合時に第1金属201と第2金属202に大きなエネルギーが与えられる場合にも、変形が隙間205内に抑えられうる。それによって、第1金属201と第2金属202の外形の変形を低減することができる。
【0051】
接合部204は、ホーン100が当てられる中心部206と対応する位置に形成される。また、第2金属202には、中心部206に接合痕が形成されうる。接合痕は、上記対向方向に沿って超音波接合の振動が付与される際に形成されうる。そのため、接合痕は、振動方向Uと垂直な方向と比較して、振動方向Uの両側に大きなバリが形成されうる。
【0052】
以上のようにして、端子部品200を製造することができる。端子部品200は、第1金属201と第2金属202との境界に、カシメ部203と、超音波接合によって接合された接合部204が形成されている。カシメ部203では、第1金属201と第2金属202の接合強度が確保されている。接合部204では、超音波接合によって固相接合されており、低い電気抵抗による導通性が確保されている。端子部品200は、二次電池の正極端子や負極端子として利用可能である。
【0053】
上述した端子部品200は、凹部202aと嵌入部201bの間に、平面視において、平坦面201a1と対向する対向方向に隙間205が形成されている。それによって、超音波接合によって接合された接合部204の接合強度が向上されている。接合部204の接合強度が向上することによって、第1金属201と第2金属202の導通性が長期にわたって維持される。また、超音波接合でエネルギーが与えられたことによる変形も低減される。
【0054】
上述した実施形態では、隙間205は、上記対向方向の両側に形成されている。かかる構成によって、第1金属201と第2金属202の相対的な振動がより阻害されにくくなる。それによって、接合部204の接合強度が向上しうる。
【0055】
上述した実施形態では、第2金属202の凹部202aの底部202a2が円形状であり、第1金属201の嵌入部201bの端部201b1が楕円形状であったが、かかる形態に限定されない。例えば、嵌入部201bの端部201b1が、部分的にカットされた円形状であってもよい。
【0056】
図7は、他の実施形態にかかる端子部品200の凹部202aと嵌入部201bの形状を模式的に示す模式図である。
図7に示されている実施形態では、凹部202aは、円錐台形状に形成された空間である。嵌入部201bは、Y方向の両端を除いて凹部202aの形状と一致している。嵌入部201bは、Y方向の両端が直線状にカット(いわゆる、Dカット)されたような形状である。
【0057】
図8は、他の実施形態にかかる端子部品200の凹部202aと嵌入部201bの形状を模式的に示す模式図である。
図8に示されている実施形態では、凹部202aは、円錐台形状に形成された空間である。嵌入部201bは、Y方向の両端を除いて凹部202aの形状と一致している。嵌入部201bは、Y方向の両端が円弧状にカットされたような形状である。
【0058】
図7および
図8に示されている実施形態では、周方向において、カットされた部分には隙間205が形成されており、カットされた部分を除いた部分においてはカシメ部203が形成されている。隙間205が形成されている方向と振動方向Uを合わせることによって、超音波接合によって接合される接合部の接合強度を向上させることができる。
【0059】
図6~
図8に示された実施形態では、Y方向の両端に隙間205が形成されていたが、かかる形態に限定されない。例えば、隙間205は、平坦面201a1の上記対向方向のうち一方のみに形成されていてもよい。また、平坦面201a1の上記対向方向以外の部分にも隙間が形成されていてもよい。
図6~
図8に示された実施形態では、第2金属202の凹部202aが円錐台形状に形成された空間であり、その円錐台形状の内側に、凹部202aと嵌入部201bの間に隙間205が形成されていたが、かかる形態に限定されない。例えば、嵌入部が円錐台形状であり、その円錐台形状の外側に隙間が形成されるよう、凹部の一部に当該嵌入部に対して広がった部分が設けられていてもよい。
【0060】
以上、ここで開示される端子部品、二次電池および端子部品の製造方法について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた端子部品および電池の実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される電池は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0061】
10 リチウムイオン二次電池
20 電極体
21 正極シート
22 負極シート
31,32 セパレータシート
41 電池ケース
41a ケース本体
41b 蓋
42 正極端子
42a 正極の内部端子
42b 正極の外部端子
43 負極端子
43a 負極の内部端子
43a1 基部
43a2 接続片
43b 負極の外部端子
43b1 頭部
43b2 軸部
43b3 カシメ片
71 ガスケット
72 インシュレータ
200 端子部品
201 第1金属
201a 軸部
201a1 平坦面
201b 嵌入部
201b1 端部
201b2 外縁
201c カシメ片となる部位
202 第2金属
202a 凹部
202a1 開口
202a2 底部
202a3 側周面
202f1,202f2 面
203 カシメ部
204 接合部
205 隙間
206 中心部
300 ホーン
310 アンビル
320 固定治具