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  • 特許-構造体 図1
  • 特許-構造体 図2
  • 特許-構造体 図3A
  • 特許-構造体 図3B
  • 特許-構造体 図3C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/36 20060101AFI20231213BHJP
   A63H 3/46 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A63H3/36 D
A63H3/36 C
A63H3/36 L
A63H3/46 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021156046
(22)【出願日】2021-09-24
(62)【分割の表示】P 2020008995の分割
【原出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021191556
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中元 悠太
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-066171(JP,A)
【文献】特開2009-189498(JP,A)
【文献】米国特許第06579143(US,B1)
【文献】特開2009-011421(JP,A)
【文献】特開2009-160238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0227932(US,A1)
【文献】特開2017-109048(JP,A)
【文献】特開2020-000949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形体の胴体部と首部と肩部とを備える構造体であって、
前記胴体部は、前記首部および前記肩部をそれぞれ前記胴体部に対して回動可能に保持する回動部材を含み、
前記回動部材は、前記首部の側方に配置された延出部を含み、
前記首部を前記胴体部に対して回動させることにより、前記首部が前記延出部と干渉して前記肩部が前記胴体部に対して回動可能に構成された、構造体。
【請求項2】
前記回動部材は、前記胴体部本体に対して回動可能であり、
前記首部を前記回動部材に対して回動させて前記首部が前記延出部と干渉することにより、前記首部の前記回動部材に対する回動の方向に前記回動部材が前記胴体部に対して回動し、当該回動に伴って前記肩部が前記胴体部に対して回動する、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記首部は、前記回動部材に対して少なくとも前記肩部に向かう方向に回動可能に接続されている
請求項1または2に記載の構造体。
【請求項4】
前記肩部は、前記回動部材に対して少なくとも前記人形体の前記首部の側及び前記胴体部の側へ回動可能に接続されている
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
前記延出部は、前記首部の両側方から前記首部の先端側に延出した左右一対の延出部を含む
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の構造体。
【請求項6】
前記肩部は、前記胴体部の一方の側に設けられた第1肩部と、前記胴体部の前記一方の側の反対側に設けられた第2肩部とを有する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の構造体。
【請求項7】
前記首部が前記第1肩部の側に回動すると、前記第2肩部は前記首部側に回動し、前記第1肩部は前記胴体部側に回動し、
前記首部が前記第2肩部の側に回動すると、前記第1肩部は前記首部側に回動し、前記第2肩部は前記胴体部側に回動する、請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
前記人形体は、四足歩行の動物を模した模型玩具である
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形体の構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人形体の各部位に設けられた関節構造について記載されている。ユーザは、このような人形体を所望の姿勢にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-17264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人形体のなかには、より自然な変形を実現可能に構成されることが求められるものもある。
【0005】
本発明は、より自然な変形を実現可能な人形体を構成するのに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は、人形体の胴体部と首部と肩部とを備える構造体に係り、前記構造体は、前記胴体部は、前記首部および前記肩部を保持すると共に前記胴体部本体に対して左右方向に回動可能な回動部材を含む。
本発明の一つの側面は更に、人形体の胴体部と首部と肩部とを備える構造体に係り、前記胴体部は、前記胴体部に対して前記首部および前記肩部をそれぞれ回動可能に保持する回動部材を含み、前記回動部材は、前記首部の側方に配置された延出部を含み、前記首部を前記胴体部に対して回動させることにより、前記首部が前記延出部と干渉して前記肩部が前記胴体部に対して回動可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より自然な変形を実現可能な人形体を構成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る人形体の斜視図。
図2】人形体の一部の構造体についての分解図。
図3A】回動部パーツの動作の一例を説明するための模式図。
図3B】回動部パーツの動作の一例を説明するための模式図。
図3C】回動部パーツの動作の一例を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る人形体1の一部についての斜視図を示す。人形体1は、胴体部パーツ2、首部パーツ3および左右一対の肩部パーツ4を備える。詳細については後述とするが、首部パーツ3および肩部パーツ4は、胴体部パーツ2に対して回動(或いは揺動)可能に接続される。本実施形態では、人形体1は、四足歩行の動物(例えば犬)を模した模型玩具とするが、例えば、二足歩行の動物(例えばヒト)等を模したものであってもよい。
【0011】
尚、本明細書においては、各部位の位置関係を説明するのに際して、前(前方)、後(後方)、左(左側方)、右(右側方)、上(上方)、下(下方)、内(内方)、外(外方)等と記載する場合があるが、これらの表現は人形体1を基準とした相対的なものである。例えば、前は人形体1正面側に対応し、後は人形体1背面側に対応する。
【0012】
また、本明細書では、人形体1の個々の構成要素を「パーツ」と表現するが、パーツの概念には、ユーザが分解可能な最小単位のものの他、それらを2以上組み合わせて成るものをも指す。よって、以下の説明における「パーツ」という表現は、「部品(component, piece)」、「部材(member)」、「構造体(structure)」、「組立体(assembly)」等に置換されてもよいし、或いは省略されてもよい。例えば、胴体部パーツ2は、胴体部部品、胴体部部材、胴体部構造体、胴体部組立体等と表現されてもよいし、或いは単に胴体部と表現されてもよい。前述の首部パーツ3および肩部パーツ4、並びに、後述の他のパーツについても同様とする。
【0013】
図2は、胴体部パーツ2、首部パーツ3および肩部パーツ4の分解斜視図である。尚、肩部パーツ4については、図を見易くするため、左右一対の肩部パーツ4のうち左側の肩部パーツ4を図示するが、右側の肩部パーツ4についても左側の肩部パーツ4同様の構造を有するものとする。
【0014】
胴体部パーツ2は、パーツ201~214を含み、これらパーツ201~214が直接的/間接的に相互に接続されることにより、及び、それらのうちの互いに隣り合う2つが固定的に又は回動可能に相互に接続されることにより、構成されうる。首部パーツ3は、パーツ301及び302を含み、また、肩部パーツ4は、パーツ401及び402を含む。理解の容易化のため、図中には、これらパーツ間の接続関係を破線で示す。
【0015】
尚、パーツ間の接続の概念には、一方のパーツを他方のパーツに対して取り付けること、連結すること、固定すること等、多様な接続態様が含まれうる。理解の容易化のため、本明細書では実施態様に則した表現が用いられるものとするが、本発明は、その表現に厳密に限定されるものではない(該表現は同様の表現に置換え可能とする。)。他の表現についても同様とする。
【0016】
パーツ201は、詳細については後述とするが、胴体部パーツ2本体に対して回動可能に設けられる(回動部パーツと称されてもよい。)。また、詳細については後述とするが、回動部パーツ201は、上側軸部201A、下側軸部201B、左右一対の側方軸部201C、及び、左右一対の延出部201Dを含む。
【0017】
パーツ202は、胸部から腹部に亘る部位を形成する(胸腹部パーツと称されてもよい。)。尚、胸腹部パーツ202には、付随的に、胸腹部外装部を形成する外装部パーツ(不図示)が下方から取り付けられてもよい。
【0018】
パーツ203は、胴体部の内部構造のうちの下方部を形成する(内部構造下方部パーツと称されてもよい。)。内部構造下方部パーツ203には、胸腹部パーツ202が下方から取り付けられる。
【0019】
パーツ204は、胴体部の内部構造のうちの上方部を形成する(内部構造上方部パーツと称されてもよい。)。内部構造上方部パーツ204は、内部構造下方部パーツ203に対して上方から取り付けられる。
【0020】
パーツ205は、背部を形成し、内部構造上方部パーツ204に対して上方から取り付けられる(背部パーツと称されてもよい。)。パーツ206は、背部外装部を形成し、背部パーツ205に対して上方から取り付けられる(外装部パーツと称されてもよい。)。
【0021】
本実施形態においては、パーツ202~206(及び、付随的に、後述のパーツ207~209)は胴体部パーツ2本体を形成する。ここで、回動部パーツ201は、上側軸部201Aにより背部パーツ205に対して下方から回動可能に保持され、また、下側軸部201Bにより胸腹部パーツ202に対して上方から回動可能に保持される。言い換えると、胸腹部パーツ202および背部パーツ205は、回動部パーツ201を左右方向に回動可能に挟持する。このような構造によれば、回動部パーツ201は、パーツ202~206により形成される胴体部パーツ2本体に対して、回動可能に保持されることとなる。
【0022】
パーツ207は、腰部左側方部を形成する(腰部左側方部パーツと称されてもよい。)。パーツ208は、腰部右側方部を形成する(腰部右側方部パーツと称されてもよい。)。パーツ207及び208は、相互に連結されることにより腰部を形成する(これらは纏めて腰部パーツと称されてもよい。)。パーツ209は、パーツ202~206により形成される胴体部パーツ2本体に対して、パーツ207及び208により形成される腰部パーツを左右方向に回動可能に連結する(連結部パーツと称されてもよい。)。
【0023】
パーツ210~211は、首部パーツ3を回動可能に連結する(いずれも連結部パーツと称されてもよい。)。連結部パーツ210は、回動部パーツ201に対して上下方向に回動可能に連結される。連結部パーツ211は、連結部パーツ210に対して左右方向に回動可能に連結される。
【0024】
ここで、パーツ301は、首部左側方部を形成する(首部左側方部パーツと称されてもよい。)。パーツ302は、首部右側方部を形成する(首部右側方部パーツと称されてもよい。)。パーツ301及び302は、直接的に及び連結部パーツ211を介して相互に連結され、それにより首部を形成する(これらは纏めて首部パーツと称されてもよい。)。よって、パーツ301及び302により形成される首部パーツは、パーツ210~211により、胴体部パーツ2に対して左右方向および上下方向の何れにも回動可能に保持されることとなる。
【0025】
パーツ212~214は、肩部パーツ4を回動可能に連結する(いずれも連結部パーツと称されてもよい。)。連結部パーツ212は、回動部パーツ201の側方軸部201Cに取り付けられることにより、回動部パーツ201に対して水平方向に回動可能に連結される。連結部パーツ213は、連結部パーツ212に対して上下方向に回動可能に連結される。また、連結部パーツ214は、連結部パーツ213に対して上下方向に回動可能に連結される。
【0026】
ここで、パーツ401は、肩部前方部を形成する(肩部前方部パーツと称されてもよい。)。パーツ402は、肩部後方部を形成する(肩部後方部パーツと称されてもよい。)。パーツ401及び402は、連結部パーツ214を介して相互に連結され、それにより肩部を形成する(これらは纏めて肩部パーツと称されてもよい。)。よって、パーツ401及び402により形成される肩部パーツは、パーツ212~214により、胴体部パーツ2に対して左右方向および上下方向の何れにも回動可能に保持されることとなる。
【0027】
尚、首部パーツ3の前方部には不図示の頭部パーツが首部パーツ3に対して回動可能に接続されうる。また、肩部パーツ4の外方には不図示の前脚部パーツ(或いは腕部パーツ)が肩部パーツ4に対して回動可能に接続されうる。また、パーツ207及び208により形成される腰部パーツの後方部両側方には、後脚部パーツ(或いは脚部パーツ)が回動可能に接続されうる。
【0028】
また、人形体1を構成する個々のパーツには、本実施形態ではポリスチレン等の樹脂が用いられるものとするが、それらの一部または全部には、木材、金属等、所望の強度を有する他の材料が用いられてもよい。
【0029】
ここで、再び回動部パーツ201に着目すると、左右一対の延出部201Dは、首部パーツ3の両側方から前方に延出するように設けられる。このような構造によれば、首部パーツ3を回動部パーツ201に対して左右方向に回動させた場合、この首部パーツ3は延出部201Dと干渉し、それに伴い、回動部パーツ201は胴体部パーツ2本体に対して回動することとなる。
【0030】
図3A図3Cは、回動部パーツ201の動作態様の幾つかの例を説明するための模式図である。図3Aは、首部パーツ3を正面姿勢とした場合を示す。図3Bは、首部パーツ3を左向き姿勢とした場合を示す。図3Cは、首部パーツ3を右向き姿勢とした場合を示す。
【0031】
首部パーツ3を正面姿勢(図3A参照)から左向き姿勢(図3B参照)とした場合、首部パーツ3は、一点鎖線の矢印で図示されるように左側方に移動することにより、左側の延出部201Dと干渉する。それに伴い、回動部パーツ201は、胴体部パーツ2本体に対して左側方に回動することとなる。その結果、二点鎖線の矢印で図示されるように、左側の肩部パーツ4は後方に移動し、右側の肩部パーツ4は前方に移動することとなる。
【0032】
次に、首部パーツ3を左向き姿勢(図3B参照)から右向き姿勢(図3C参照)とした場合、首部パーツ3は、一点鎖線の矢印で図示されるように左側方に移動することにより、右側の延出部201Dと干渉する。それに伴い、回動部パーツ201は、胴体部パーツ2本体に対して右側方に回動することとなる。その結果、二点鎖線の矢印で図示されるように、左側の肩部パーツ4は前方に移動し、右側の肩部パーツ4は後方に移動することとなる。
【0033】
即ち、上記構造によれば、首部パーツ3(或いは、首部パーツ3に接続された不図示の頭部パーツ)を胴体部パーツ2に対して左右方向に回動させた場合、回動部パーツ201により左右一対の肩部パーツ4が交互に前後方向に移動することとなる。よって、本実施形態によれば、人形体1における自然な変形を適切に実現可能となり、本実施形態においては動物らしい歩行動作を適切に表現可能となる。尚、上記回動は、代替的に揺動、移動等と表現されてもよい。
【0034】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1:人形体、2:胴体部パーツ、201:回動部パーツ、3:首部パーツ、4:肩部パーツ。
図1
図2
図3A
図3B
図3C