(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤を用いて関節障害を処置するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7068 20060101AFI20231213BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231213BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20231213BHJP
【FI】
A61K31/7068
A61P19/02
C12N15/09 Z ZNA
(21)【出願番号】P 2021513767
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019032054
(87)【国際公開番号】W WO2019217973
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-12
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500430718
【氏名又は名称】ロード アイランド ホスピタル
(73)【特許権者】
【識別番号】520441028
【氏名又は名称】ブラウン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チェン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ユン
(72)【発明者】
【氏名】セディヴィ ジョン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ディ チェコ マルコ
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-520144(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0172956(US,A1)
【文献】特表2018-506558(JP,A)
【文献】Photo-crosslinked HAMA hydrogelwith cordycepin encapsulated chitosan microspheres for osteoarthritis treatment,Oncotarget,2017年,Vol. 8, No. 2,p. 2835-2849
【文献】ZHANG, Wei et al.,miR‐373 regulatesinflammatory cytokine‐mediated chondrocyteproliferation in osteoarthritis,FEBS Open Bio,2018年02月10日,vol. 8,p.325-331
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エムトリシタビン(FTC)を含む、対象における
変形性関節症を処置するための薬学的組成物であって、
該組成物が対象に全身投与するための
ものであり、エムトリシタビンが対象におけるLINE-1発現を阻害する、前記組成物。
【請求項2】
対象が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を含まない、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
対象が少なくとも50歳である、請求項
1記載の薬学的組成物。
【請求項4】
対象がヒトである、請求項
1記載の薬学的組成物。
【請求項5】
エムトリシタビンが、変形性関節症マーカーの発現を阻害する、請求項
1記載の薬学的組成物。
【請求項6】
変形性関節症マーカーが、X型コラーゲンα1鎖(COL10A1)、トロンボスポンジンモチーフ5を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(A Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin Motifs 5)(ADAMTS5)、マトリックスメタロエプチダーゼ(matrix metallloeptidase)13(MMP13)、細胞老化関連分泌現象(senescence-associated secretory phenotype)インターロイキン-6(SASP IL-6)、インディアンヘッジホッグ(Ihh)、または1型インターフェロン(IFN)を含む、請求項
5記載の薬学的組成物。
【請求項7】
エムトリシタビンが、同化マーカーの発現を促進する、請求項
1記載の薬学的組成物。
【請求項8】
同化マーカーが、アグリカン(ACAN)およびII型コラーゲンα1(COL2A1)を含む、請求項
7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
エムトリシタビン(FTC)を含む、外傷後変形性関節症(PTOA)損傷を処置するための薬学的組成物であって、
該組成物が対象に全身投与するための
ものであり、エムトリシタビンが対象におけるLINE-1発現を阻害する、前記組成物。
【請求項10】
対象が、変形性関節症を含むと診断されている、請求項
9記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、国立衛生研究所によって授与されたP20 GM104937、P30 GM122732の下、政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2018年5月11日に出願された米国仮特許出願第62/670,705号および2018年5月14日に出願された米国仮特許出願第62/671,356号の優先権の恩典を主張し、そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0003】
配列表の参照による組み込み
2019年5月10日に作成されたサイズ131,072バイトの「21486-641001WO_Sequence_Listing_ST25.txt」という名称の配列表テキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0004】
発明の分野
本発明は、整形外科的障害に関する。
【背景技術】
【0005】
背景
米国では、毎年数千万人の患者に関節炎が発症している。2040年までに、18歳以上の米国成人の推定7,800万人(26%)が、医師によって関節炎と診断されると予測されている。変形性関節症(OA)は、関節炎の最も一般的な形態である。
【0006】
膝OAの場合、特に高齢者では、人工膝関節全置換術または人工膝関節半置換術(half knee replacement)が典型的な転帰である。一部の患者は二次修復を受けなければならないことも少なくない。患者が共有するリスクには、髄内感染(Intra-medullar infection)、致死的な脂肪塞栓症、手術関連骨折、予測不能な予後、および終わりのない術後理学療法がある。さらに、通常、対側の膝上、さらには両股関節上で、患者の前述の苦痛は2倍にならざるを得ない。
【0007】
変形性関節症、骨粗鬆症、神経変性および腫瘍形成などの変性障害は、多くの場合、炎症誘発性サイトカインおよびマトリックスプロテイナーゼを誘導し、組織変性を引き起こす加齢および損傷に関連する。例えば、OAは、合併した慢性かつ高頻度の変性関節疾患である。最も一般的な筋骨格障害として、OAは、関節軟骨の分解と関節の炎症とを特徴とする。世界中で、多数のOA患者が膝および股関節の疼痛に最も苦しんでいる。現在の処置は、行動介入および最終的には関節置換術に限定されている。OAの予防および処置のための効果的な薬理学的方法は未だ存在しない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、50歳を超えるような老化した関節の変形性関節症の状態、および例えば、靭帯裂傷/断裂、または軟骨、例えば関節内の半月板損傷などの損傷に続く、外傷誘発性関節OAを処置するという長期にわたる問題に対する解決策を提供する。
【0009】
したがって、関節障害を処置するための方法は、対象にヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を全身投与する工程を含む。例えば、対象、例えば、ヒト対象は、変形性関節症(OA)を含むと診断されている。いくつかの態様では、対象は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV、例えば、HIV-1またはHIV-2)感染を含まない。処置のための例示的な化合物には、3TC(ラミブジン)、FTC(Emtriva)、ABC(アバカビル)、TDF(テノホビル)、ZDV(アジドチミジン)、またはDDl(ジダノシン)などのNRTIが含まれる。ペット、例えば、イヌ、ネコ、およびパフォーマンスアニマル(performance animal)、例えば、ウマなどの動物対象は、本発明の範囲内である。関節障害には、加齢性および外傷性のOAが含まれる。
【0010】
したがって、上記のように、本発明の目的は、抗炎症、特に抗慢性炎症および/または抗軟骨変性疾患活性を示す化合物および薬学的組成物、ならびに、あらゆる種類の関節炎および骨格障害を含む軟骨変性疾患の処置のための、および軟骨変性疾患の処置のための薬学的組成物を提供することである。
【0011】
本発明のこれらおよび/または他の目的のうちのいずれか1つまたは複数は、以下の本発明の説明の概説から容易に収集することができる。本明細書において開示される各態様は、他の開示される態様のそれぞれに適用可能であると考えられる。したがって、本明細書において記載される様々な要素のあらゆる組合せは、本発明の範囲内である。
【0012】
変形性関節症の背景因子および有病率にもかかわらず、OAなどの組織変性障害の予防および処置のための効果的な薬理学的方法は未だほとんどまたは全く存在しない。NRTIは、現在、ウイルス性疾患(HIVなど)の処置に使用されており、本明細書において記載されるデータは、これらのNRTIがOAの処置に効果的であることを示している。本明細書において記載される組成物および方法は、治療のための手術または侵襲的手段を必要とせず、例えば、方法は手術を除外し、および/または外科的介入と連携して使用される。本発明の利点は、手術などの侵襲的措置の回避、ならびに使いやすさ、低コスト、および高い患者コンプライアンスを含む。さらに、方法は、組織損傷も疼痛も引き起こさず、患者を監督する必要性を低下させ、ケアのコストを削減する。
【0013】
局面では、本明細書において提供されるのは、対象にヌクレオシドヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を全身投与する工程を含む、加齢関連関節障害を処置するための方法である。態様では、対象は、少なくとも30歳、少なくとも40歳、少なくとも50歳、少なくとも60歳、少なくとも70歳、少なくとも80歳またはそれ以上である。他の態様では、対象は、加齢関連関節障害(例えば、変形性関節症(OA))と診断されている。外傷後OAは、あらゆる年齢の個体に発生し得る。態様では、加齢関連関節障害(OA)を処置するための方法は、NRTI、例えば、3TC、FTC、ABC、TDF、ZDV、またはDDlを投与する工程を含む。
【0014】
他の例では、関節障害は、外傷(外傷後OA)、例えば、関節の損傷または関節の手術から生じるか、それらに関連する。いくつかの態様では、対象は、自己免疫障害である関節リウマチを有しない。他の態様では、対象は、自己免疫障害である関節リウマチを有する。
【0015】
態様では、関節障害または加齢関連関節障害を処置するためのNRTIは、変形性関節症マーカーの発現を阻害する。態様では、変形性関節症マーカーは、X型コラーゲンα1鎖(COL10A1)、トロンボスポンジンモチーフ5を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(A Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin Motifs 5)(ADAMTS5)、マトリックスメタロエプチダーゼ(matrix metallloeptidase)13(MMP13)、細胞老化関連分泌現象(senescence-associated secretory phenotype)インターロイキン-6(SASP IL-6)、インディアンヘッジホッグ(Ihh)、または1型インターフェロン(IFN)を含む。
【0016】
他の態様では、関節障害または加齢関連関節障害を処置するためのNRTIは、同化マーカーの発現を促進し、同化マーカーは、アグリカン(ACAN)およびII型コラーゲンα1(COL2A1)を含む。
【0017】
また、局面では、本明細書において提供されるのは、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を全身投与する工程を含む、対象の外傷後変形性関節症(PTOA)損傷を処置するための方法である。態様では、対象は、変形性関節症を含むと診断されている。他の態様では、NRTIは、3TC、FTC、ABC、TDF、ZDV、またはDDlを含む。態様では、方法は、3MCを投与する工程をさらに含む。
【0018】
態様では、PTOAは、関節表面に対する高速衝撃ねじれもしくは圧力誘発性外傷、関節内骨折、または関節を不安定にする軟組織裂傷に起因する。態様では、PTOA損傷は関節にある。いくつかの例では、関節は、足首、膝、または股関節を含む。
【0019】
態様では、関節障害を処置するための方法、加齢関連関節障害を処置するための方法、または外傷後変形性関節症損傷を処置するための方法は、NRTIを投与する工程を含む。態様では、NRTIはヌクレオシド類似体を含む。他の態様では、NRTIは、アデノシン類似体を含む。態様では、NRTIは、シチジン類似体を含む。
【0020】
NTRIは、ヌクレオシド類似体を含む。ヌクレオシドは、リン酸基を有しないヌクレオチドとして特徴付けられ得るグリコシルアミンである。ヌクレオシドは、核酸塩基(窒素塩基とも呼ばれる)と五炭糖(リボースまたはデオキシリボース)からなり、ヌクレオチドは、核酸塩基、五炭糖および1つまたは複数のリン酸基から構成される。ヌクレオシドでは、アノマー炭素が、グリコシド結合を介してプリンのN9またはピリミジンのN1に結合している。ヌクレオシドの例には、シチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、チミジンおよびイノシンが挙げられる。
【0021】
[本発明1001]
対象にヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を全身投与する工程を含む、関節障害を処置するための方法。
[本発明1002]
対象が、変形性関節症を含むと診断されている、本発明1001の方法。
[本発明1003]
NRTIが、3TC、FTC、ABC、TDF、ZDV、またはDDlを含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
関節障害が変形性関節症(OA)を含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
対象が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を含まない、本発明1001の方法。
[本発明1006]
3MCを投与する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
対象にヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を全身投与する工程を含む、加齢関連関節障害を処置するための方法。
[本発明1008]
対象が少なくとも50歳である、本発明1007の方法。
[本発明1009]
NRTIが、3TC、FTC、ABC、TDF、ZDV、またはDDlを含む、本発明1007の方法。
[本発明1010]
関節障害が変形性関節症を含む、本発明1007の方法。
[本発明1011]
対象がヒトである、本発明1007の方法。
[本発明1012]
NRTIが、変形性関節症マーカーの発現を阻害する、本発明1001または1007の方法。
[本発明1013]
変形性関節症マーカーが、X型コラーゲンα1鎖(COL10A1)、トロンボスポンジンモチーフ5を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(A Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin Motifs 5)(ADAMTS5)、マトリックスメタロエプチダーゼ(matrix metallloeptidase)13(MMP13)、細胞老化関連分泌現象(senescence-associated secretory phenotype)インターロイキン-6(SASP IL-6)、インディアンヘッジホッグ(Ihh)、または1型インターフェロン(IFN)を含む、本発明1012の方法。
[本発明1014]
NRTIが、同化マーカーの発現を促進する、本発明1001または1007の方法。
[本発明1015]
同化マーカーが、アグリカン(ACAN)およびII型コラーゲンα1(COL2A1)を含む、本発明1014の方法。
[本発明1016]
対象にヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を全身投与する工程を含む、外傷後変形性関節症(PTOA)損傷を処置するための方法。
[本発明1017]
対象が、変形性関節症を含むと診断されている、本発明1016の方法。
[本発明1018]
NRTIが、3TC、FTC、ABC、TDF、ZDV、またはDDlを含む、本発明1016の方法。
[本発明1019]
PTOAが、関節表面に対する高速衝撃外傷、関節内骨折、または関節を不安定にする軟組織裂傷に起因する、本発明1016の方法。
[本発明1020]
3MCを投与する工程をさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1021]
PTOA損傷が関節内にある、本発明1016の方法。
[本発明1022]
関節が、足首、膝、または股関節を含む、本発明1021の方法。
[本発明1023]
NRTIがヌクレオシド類似体を含む、本発明1001、1007、または1016の方法。
[本発明1024]
NRTIがアデノシン類似体を含む、本発明1001、1007、または1016の方法。
[本発明1025]
NRTIがシチジン類似体を含む、本発明1001、1007、または1016の方法。
本発明の他の特徴および利点は、その好ましい態様の以下の説明から、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと同様または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1-1】
図1A~
図1Xは、MiR-365の過剰発現がヒトOA病変およびマウスOAモデルにおいてLine-1遺伝子発現を促進することを示す一連の図である。
図1Aは、RT-qPCRによって評価されたヒトOA軟骨試料中のRNAレベルでのLINE-1の遺伝子発現を示すグラフである。
図1Bは、RT-qPCRによって評価されたヒトOA軟骨試料中のRNAレベルでのALUの遺伝子発現を示すグラフである。
図1Cは、RT-qPCRによって評価されたヒトOA軟骨試料中のRNAレベルでのmiR-365の遺伝子発現を示すグラフである。LINE-1レベルは、7/12(58.33%)の患者では有意に上昇した(
図1A)。ALUレベルは、3/12(25.00%)の患者では有意に上昇したが、3/12(25.00%)の患者では有意に減少した(
図1B)。MiR-365レベルは、5/8(62.50%)の患者では有意に上昇した(
図1C)。nは、ヒト検体のサイズによって1~3まで変化する。n≧3の試料に対して統計を計算する。*p≦0.05、それぞれ適切な非病変(対照)群と比較。
図1Dは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)、およびmiR-365を同時トランスフェクトされたマウス軟骨細胞内のRNAレベルでのLine-1-ORF2の遺伝子発現を示すグラフである。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図1Eは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)、およびmiR-365を同時トランスフェクトされたマウス軟骨細胞内のRNAレベルでのAdamts5の遺伝子発現を示すグラフである。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図1Fは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)、およびmiR-365を同時トランスフェクトされたマウス軟骨細胞内のRNAレベルでのMmp3の遺伝子発現を示すグラフである。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図1Gは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)、およびmiR-365を同時トランスフェクトされたマウス軟骨細胞内のRNAレベルでのIhhの遺伝子発現を示すグラフである。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図1Hは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)、およびmiR-365を同時トランスフェクトされたマウス軟骨細胞内のRNAレベルでのCol2a1の遺伝子発現を示すグラフである。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図1Iは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)、およびmiR-365を同時トランスフェクトされたマウス軟骨細胞内のRNAレベルでのAcanの遺伝子発現を示すグラフである。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図1Jは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるmiR-365の遺伝子発現を示すグラフである。n≧4。*p≦0.05、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図1Kは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるLine-1 mRNAの遺伝子発現を示すグラフである。n≧4。*p≦0.05、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図1Lは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるIhhの遺伝子発現を示すグラフである。n≧4。*p≦0.05、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図1Mは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるX型コラーゲンα1鎖(Col10a1)の遺伝子発現を示すグラフである。n≧4。*p≦0.05、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図1Nは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるAdamts5の遺伝子発現を示すグラフである。n≧4。*p≦0.05、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図1Oは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるRNAレベルでのMmp13の遺伝子発現を示すグラフである。n≧4。*p≦0.05、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図1Pは、6カ月齢のCre単独およびmiR-365 Tgマウスから得られた関節切片上のタンパク質レベルでのCol10a1およびIhh発現のIHC染色画像である。miR-365 Tgマウスの関節表面では、Col10a1およびIhhの両タンパク質の発現がアップレギュレートされた。
図1Qは、2~12カ月齢のmiR-365 Tgおよび年齢適合対照(Cre単独)マウスから採取したマウス膝の一連のサフラニンO染色画像であり、6カ月齢からのmiR-365 Tgマウスの膝の明らかな関節軟骨の分解を示している。
図1Rは、2~12カ月齢のmiR-365 Tgおよび年齢適合対照(Cre単独)マウスから採取したマウス膝のOARSI定量の結果を示す棒グラフであり、6カ月齢からのmiR-365 Tgマウスの明らかな関節軟骨の分解を示している。
図1Sは、動物に対する手順の概略図である。129S6/SvEvマウスに対して、2カ月齢の時点で右脚に対する内側半月の不安定化(DMM)手術または偽手術を行い、3カ月齢(術後1カ月)の時点で殺処分した。
図1Tは、RT-qPCRによって評価された、129S6/SvEvバックグラウンドマウスの関節軟骨におけるRNAレベルでのLine-1-ORF2の遺伝子発現を示す棒グラフである。Line-1レベルおよびmiR-365レベルは、非手術(左)膝に正規化した場合、術後1カ月の時点でDMM(右)膝の軟骨で有意に上昇した。各群にマウス6匹とした。
図1Uは、RT-qPCRによって評価された、129S6/SvEvバックグラウンドマウスの関節軟骨におけるRNAレベルでのmiR-365の遺伝子発現を示すグラフである。Line-1レベルおよびmiR-365レベルは、非手術(左)膝に正規化した場合、術後1カ月の時点でDMM(右)膝の軟骨で有意に上昇した。各群にマウス6匹とした。
図1Vは、動物に対する手順の概略図である。C57BL/6マウスに対して、2カ月齢の時点で右脚にDMMまたは偽手術を行い、4カ月齢(術後2カ月)5.5カ月齢(術後3.5カ月)および7カ月齢(術後5カ月)の時点で殺処分した。
図1Wは、RT-qPCRによって評価された、WT C57BL/6バックグラウンドマウスの関節軟骨におけるRNAレベルでのLine-1-ORF2の遺伝子発現を示す棒グラフである。Line-1-ORF2レベルおよびmiR-365レベルは、術後2カ月と比較した場合、DMM手術後3.5カ月および5カ月の時点でDMM膝の軟骨で有意に増加した。各群にマウス3匹とした。統計にはスチューデントのt検定を使用した。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図1Xは、RT-qPCRによって評価された、WT C57BL/6バックグラウンドマウスの関節軟骨におけるRNAレベルでのmiR-365の遺伝子発現を示す棒グラフである。Line-1-ORF2レベルおよびmiR-365レベルは、術後2カ月と比較した場合、DMM手術後3.5カ月および5カ月の時点でDMM(内側半月の不安定化)膝の軟骨で有意に増加した。各群にマウス3匹とした。統計にはスチューデントのt検定を使用した。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
【
図2-1】
図2A~
図2Qは、MiR-365が、Prkdc(タンパク質キナーゼDNA活性化触媒サブユニット)、DicerおよびSqstm1(セクエストソーム1)の転写後抑制を介してLine-1遺伝子発現を誘導したことを示す一連の画像である。
図2Aは、Line-1の生合成と阻害の宿主機構との概略図である。nは、ヒト検体のサイズによって1~3まで変化する。n≧3の試料に対して統計を計算する。*p≦0.05、それぞれ非病変(対照)群と比較。
図2Bは、RT-qPCRによって評価された、ヒトOA軟骨におけるRNAレベルでのDICERの遺伝子発現を示すグラフである。3/8(37.50%)の検体では、DICERレベルは有意にダウンレギュレートされた。nは、ヒト検体のサイズによって1~3まで変化する。n≧3の試料に対して統計を計算する。*p≦0.05、それぞれ非病変(対照)群と比較。
図2Cは、RT-qPCRによって評価された、ヒトOA軟骨におけるRNAレベルでのPRKDCの遺伝子発現を示すグラフである。3/8(37.50%)の検体では、PRKDCレベルは有意にダウンレギュレートされた。nは、ヒト検体のサイズによって1~3まで変化する。n≧3の試料に対して統計を計算する。*p≦0.05、それぞれ非病変(対照)群と比較。
図2Dは、RT-qPCRによって評価された、ヒトOA軟骨におけるRNAレベルでのSQSTM1の遺伝子発現を示すグラフである。4/8(50.00%)の検体では、SQSTM1レベルは有意にダウンレギュレートされた。nは、ヒト検体のサイズによって1~3まで変化する。n≧3の試料に対して統計を計算する。*p≦0.05、それぞれ非病変(対照)群と比較。
図2Eは、RT-qPCRによって評価された、ヒトOA軟骨におけるRNAレベルでのZC3HAV1(ジンクフィンガーCCCH型含有、抗ウイルス1)の遺伝子発現を示すグラフである。3/8(37.50%)の検体では、ZC3HAV1レベルは有意にダウンレギュレートされた。nは、ヒト検体のサイズによって1~3まで変化する。n≧3の試料に対して統計を計算する。*p≦0.05、それぞれ非病変(対照)群と比較。
図2Fは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるRNAレベルでのLine-1抑制因子(Dicer)の遺伝子発現を示す棒グラフである。n≧3。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図2Gは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるRNAレベルでのLine-1抑制因子(Prkdc)の遺伝子発現を示す棒グラフである。n≧3。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図2Hは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるRNAレベルでのLine-1抑制因子(SQSTM1)の遺伝子発現を示す棒グラフである。n≧3。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図2Iは、RT-qPCRによって評価された、2、6、9および12カ月齢の時点でのCre単独およびmiR-365 Tgマウス軟骨におけるRNAレベルでのLine-1抑制因子(Zc3hav1)の遺伝子発現を示す棒グラフである。n≧3。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ年齢適合対照(Cre単独)群と比較。
図2Jは、RT-qPCRによって評価された、miR-365模倣物をトランスフェクトされたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのLine-1抑制因子の遺伝子発現を示す棒グラフである。miR-365を一過性に過剰発現するマウス初代軟骨細胞では、Dicer、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1レベルは有意にダウンレギュレートされた。n=3。*p≦0.05、それぞれ模倣物対照群と比較。
図2Kは、RT-qPCRによって評価された、miR-365模倣物をトランスフェクトされたヒト軟骨細胞細胞株-C28内のRNAレベルでのLine-1抑制因子の遺伝子発現を示すグラフである。miR-365を一過性に過剰発現するマウス初代軟骨細胞では、Dicer、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1レベルは有意にダウンレギュレートされた。n≧3。*p≦0.05、それぞれ模倣物対照群と比較。
図2Lは、ルシフェラーゼレポーターアッセイによって評価された、miR-365模倣物、ならびにAicda、Dicer、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1由来のWTまたは変異(Mut)3'UTR応答要素(RE)を同時トランスフェクトされたATDC5細胞内のルシフェラーゼ遺伝子活性の定量を示すグラフである。Dicer1、PrkdcおよびSqstm1の3'UTRにおけるWT REが、miR-365を一過性に過剰発現するATDC5細胞内でルシフェラーゼ遺伝子の下流にある場合、ルシフェラーゼ活性は有意にダウンレギュレートされたが、Dicer1、PrkdcおよびSqstm1 3'UTRにおけるREの変異は、miR-365を一過性に過剰発現するATDC5細胞内でルシフェラーゼ活性抑制を完全に消失させた。n≧3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図2Mは、RT-qPCRによって評価された、miR-365模倣物またはmiR-365阻害物質を一過性に過剰発現したマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのLine-1-ORF2の遺伝子発現を示すグラフである。miR-365を一過性に過剰発現したマウス初代軟骨細胞では、Line-1-ORF2の発現は有意にアップレギュレートされたが、miR-365の阻害物質はLine-1-ORF2の発現を有意にダウンレギュレートした。
図2Nは、ウエスタンブロット分析によって評価された、miR-365模倣物またはmiR-365阻害物質を一過性に過剰発現したヒト軟骨細胞細胞株-C28内のLine-1-ORF1のタンパク質発現を示す免疫ブロットの画像である。miR-365を一過性に過剰発現したC28では、Line-1-ORF1の発現は有意にアップレギュレートされたが、miR-365の阻害物質はLine-1-ORF1タンパク質の発現を変化させなかった。これは、合計3回の反復実験からの代表的なブロットである。これは、合計2回の反復実験からの代表的なブロットである。
図2Oは、ウエスタンブロット分析によって評価された、miR-365模倣物またはmiR-365阻害物質を一過性に過剰発現したヒト軟骨細胞細胞株-C28内のDicerのタンパク質発現を示す免疫ブロットの画像である。miR-365を一過性に過剰発現したC28では、Dicerタンパク質の発現はダウンレギュレートされたが、miR-365の阻害物質はDicerタンパク質の発現をアップレギュレートした。これは、合計2回の反復実験からの代表的なブロットである。
図2Pは、ウエスタンブロット分析によって評価された、Sqstm1を一過性に過剰発現したC28内のLine-1-ORF1のタンパク質発現を示す免疫ブロットの画像である。miR-365を一過性に過剰発現したヒト軟骨細胞では、Line-1-ORF1タンパク質の発現はアップレギュレートされた。
図2Qは、miR-365模倣物およびSqstm1を一過性に共過剰発現したC28内のLine-1-ORF1タンパク質発現のタンパク質発現を示す免疫ブロットの画像である。Sqstm1 cDNAの付加により、miR-365の過剰発現によって誘導されたLine-1-ORF1タンパク質が救済された。これは、合計3回の反復実験からの代表的なブロットである。
【
図3-1】
図3A~
図3ACは、3TCがLine-1遺伝子発現を抑制し、マウスの原発性OA発症を予防したことを示す一連の画像である。
図3Aは、様々な投与量で3TCにより処置されたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのLine-1の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Bは、様々な投与量で3TCにより処置されたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのIfn-αの遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Cは、様々な投与量で3TCにより処置されたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのAdamts5の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Dは、様々な投与量で3TCにより処置されたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのMmp3の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Eは、様々な投与量で3TCにより処置されたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのCol10a1の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Fは、様々な投与量で3TCにより処置されたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのCol2a1の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Gは、様々な投与量で3TCにより処置されたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのAcanの遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Hは、ウエスタンブロット分析によって評価された、3TCにより処理されたC28内のLine-1-ORF1のタンパク質発現を示す免疫ブロットの画像である。これは、合計3回の反復実験からの代表的なブロットである。
図3Iは、様々な投与量で3TCにより処理されたC28内のRNAレベルでのLINE-1の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Jは、様々な投与量の3TCにより処理されたC28内のRNAレベルでのIHHの遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Kは、様々な投与量で3TCにより処理されたC28内のRNAレベルでのCOL10A1の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Lは、様々な投与量の3TCにより処理されたC28内のRNAレベルでのMMP13の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Mは、様々な投与量で3TCにより処理されたC28内のRNAレベルでのADAMTS5の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Nは、様々な投与量の3TCにより処理されたC28内のRNAレベルでのACANの遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図3Oは、様々な投与量の3TCにより処理された、miR-365を一過性に過剰発現するC28内のRNAレベルでのLINE-1の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(模倣物対照)群と比較。
図3Pは、様々な投与量の3TCにより処理された、miR-365を一過性に過剰発現するC28内のRNAレベルでのADAMTS5の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(模倣物対照)群と比較。
図3Qは、様々な投与量の3TCにより処理された、miR-365を一過性に過剰発現するC28内のRNAレベルでのCOL10A1の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(模倣物対照)群と比較。
図3Rは、様々な投与量の3TCにより処理された、miR-365を一過性に過剰発現するC28内のRNAレベルでのMMP13の遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(模倣物対照)群と比較。
図3Sは、様々な投与量の3TCにより処理された、miR-365を一過性に過剰発現するC28内のRNAレベルでのIHHの遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(模倣物対照)群と比較。
図3Tは、様々な投与量の3TCにより処理された、miR-365を一過性に過剰発現するC28内のRNAレベルでのACANの遺伝子発現を示す棒グラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(模倣物対照)群と比較。
図3Uは、動物に対する手順の概略図である。2カ月齢から4カ月間にわたり、年齢を適合させたmiR-365 Tgおよび対照マウス(Cre単独)を3TC希釈水により処置し、6カ月齢の時点で殺処分した。
図3Vは、それぞれ3TCまたは生理食塩水により処置した6カ月齢のmiR-365 TgおよびCre単独マウスから採取されたマウス膝の一連のサフラニンO染色画像である。3TC処置は、miR-365 TgマウスのOAの早期発症を予防した。
図3Wは、それぞれ3TCまたは生理食塩水により処置した6カ月齢のmiR-365 TgおよびCre単独マウスから採取されたマウス膝のOARSI定量のグラフである。3TC処置は、miR-365 TgマウスのOAの早期発症を予防した。
図3Xは、RT-qPCRによって評価された、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのLine-1-ORF2の遺伝子発現を示すグラフである。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図3Yは、RT-qPCRによって評価された、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのAluの遺伝子発現を示すグラフである。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図3Zは、RT-qPCRによって評価された、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのIL-6の遺伝子発現を示すグラフである。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図3AAは、RT-qPCRによって評価された、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのCol10a1の遺伝子発現を示すグラフである。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図3ABは、RT-qPCRによって評価された、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのAdamts5の遺伝子発現を示すグラフである。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図3ACは、RT-qPCRによって評価された、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのmiR-365の遺伝子発現を示すグラフである。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
【
図4-1】
図4A~
図4Wは、3TCおよびFTCがDMM誘発性OAを予防したことを示す一連の画像である。
図4Aは、RT-qPCRによって評価された、様々な投与量でFTCにより処置されたマウスPC内のRNAレベルでのLine-1の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Bは、RT-qPCRによって評価された、様々な投与量のFTCにより処置されたマウスPC内のRNAレベルでのIfn-αの遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Cは、RT-qPCRによって評価された、様々な投与量のFTCにより処置されたマウスPC内のRNAレベルでのP2rx7の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Dは、RT-qPCRによって評価された、様々な投与量のFTCにより処置されたマウスPC内のRNAレベルでのNlrp3の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Eは、RT-qPCRによって評価された、様々な投与量のFTCにより処置されたマウスPC内のRNAレベルでのCol2a1の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Fは、RT-qPCRによって評価された、様々な投与量のFTCにより処置されたマウスPC内のRNAレベルでのAcanの遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn=3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Gは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのLine-1の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Hは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのMmp3の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Iは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのMmp13の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Jは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのAdamts5の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Kは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのCol10a1の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Lは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのCol2a1の遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Mは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのAcanの遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Nは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのIhhの遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Oは、RT-qPCRによって評価された、3TCまたはFTCにより48時間処置されたマウス大腿骨におけるRNAレベルでのIfn-αの遺伝子発現を示すグラフである。全群についてn≧3。*:p値≦0.05、それぞれ対照(生理食塩水)群と比較。
図4Pは、動物に対する手順の概略図である。2カ月齢から1カ月間にわたり、生理食塩水、または水に希釈した3TCもしくはFTCを用いて、DMMまたは偽手術を行った129S6/SvEvマウスを処置し、3カ月齢の時点で殺処分した。
図4Qは、DMMまたは偽手術を行い、その後、2カ月齢から1カ月間にわたり生理食塩水または3TCもしくはFTC希釈水により処置した3カ月齢の129S6/SvEvマウスから採取したマウス膝の一連のサフラニンO染色画像である。3TCおよびFTC処置は、129S6/SvEvマウスのDMM誘発性OAを有意に予防した。
図4Rは、DMMまたは偽手術を行い、その後、2カ月齢から1カ月間にわたり生理食塩水または3TCもしくはFTC希釈水により処置した3カ月齢の129S6/SvEvマウスから採取されたマウス膝のOARSI定量を示すグラフである。3TCおよびFTC処置は、129S6/SvEvマウスのDMM誘発性OAを有意に予防した。
図4Sは、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスにおけるRNAレベルでのLine-1 mRNAの遺伝子発現を示すグラフである。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(s-w)を使用した。各群にマウス6匹とした。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図4Tは、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスにおけるRNAレベルでのCol10a1の遺伝子発現を示すグラフである。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(s-w)を使用した。各群にマウス6匹とした。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図4Uは、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスにおけるRNAレベルでのAdamts5 mRNAの遺伝子発現を示すグラフである。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(s-w)を使用した。各群にマウス6匹とした。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図4Vは、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスにおけるRNAレベルでのMmp13の遺伝子発現を示すグラフである。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(s-w)を使用した。各群にマウス6匹とした。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図4Wは、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスにおけるRNAレベルでのmiR-365の遺伝子発現を示すグラフである。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(s-w)を使用した。各群にマウス6匹とした。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
【
図5A】
図5A~
図5Fは、ヒトOA検体の特性評価を示す一連の画像である。
図5Aは、OA検体が採取されたヒトOA患者の性別および年齢の情報を示す棒グラフである。女性患者(n=8)の平均年齢は合わせて69歳であったが、男性患者(n=4)の平均年齢は74歳であった。統計にはスチューデントのt検定を使用した。
図5Bは、ヒトOA検体の全体的な形態の代表的な写真である。赤い四角は病変(OA)領域を示し、緑の四角は非病変(健常)領域を示す。
図5Cは、(
図5B)の検体から分離された非病変(健常)領域および病変(OA)領域からの切片のH&E染色の画像である。
図5Dは、(
図5B)の検体から分離された非病変(健常)領域および病変(OA)領域からの切片のサフラニンO/ファストグリーン染色の画像である。
図5Eは、(
図5B)の検体から分離された非病変(健常)領域および病変(OA)領域からの切片の老化β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)染色を示す一連の画像である。矢印は、軟骨細胞内の陽性のβ-Gal染色を示している。
図5Fは、実験に対して盲検化された複数の研究者によって手動で計数された、検体から分離された非病変(健常)領域および病変(OA)領域からの、β-Galによって陽性に染色された軟骨細胞の数をフィールド内の全細胞に対する比率に関して示す棒グラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
【
図6-1】
図6A~
図6Gは、Line-1に対するsiRNA(siLine-1)のスクリーニングを示す一連の画像である。
図6Aは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNAをトランスフェクトされたマウス初代軟骨細胞内のLine-1発現の遺伝子発現を示す棒グラフである。siLine-1CおよびDおよびEは、マウス初代軟骨細胞内のLine-1発現を有意に抑制した。次いで、その後の実験のためにsiLine-1Dを選択した。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照(スクランブルsiRNA)群と比較。この実験は一度実施した。
図6Bは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)をトランスフェクトされたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのAcanの遺伝子発現を示す棒グラフである。各処置群についてn=2。
図6Cは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)をトランスフェクトされたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのAdamts5の遺伝子発現を示す棒グラフである。各処置群についてn=2。
図6Dは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)をトランスフェクトされたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのCol10a1の遺伝子発現を示す棒グラフである。各処置群についてn=2。
図6Eは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)をトランスフェクトされたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのIL-6の遺伝子発現を示す棒グラフである。各処置群についてn=2。
図6Fは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)をトランスフェクトされたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのMmp13の遺伝子発現を示す棒グラフである。各処置群についてn=2。
図6Gは、RT-qPCRによって評価された、Line-1に対するsiRNA(siLine-1D)をトランスフェクトされたマウス初代軟骨細胞内のRNAレベルでのTnf-αの遺伝子発現を示す棒グラフである。各処置群についてn=2。
【
図7】Col2a1-Cre+/-;miR-365 fl+/-(miR-365 Tg)マウスに対する繁殖戦略を示す概略図である。マウス(miR-365 Tgマウス)を対象とした軟骨特異的miR-365過剰発現モデルを得るための繁殖戦略の概略図。要約すると、miR-365 fl半接合体(+/-)マウスをCol2a1-Cre半接合体(+/-)マウスと交配させたところ、子孫に4つの遺伝子型が得られた。二重陽性Col2a1-Cre+/-;miR-365 fl+/-マウスでは、軟骨組織にmiR-365が過剰発現していた。Cre陽性単独Col2a1-Cre+/-;miR-365 fl-/-マウス、flox単独Col2a1-Cre-/-;miR-365 fl+/-および野生型(WT)Col2a1-Cre-/-;miR-365 fl-/-マウスはmiR-365過剰発現を有しなかった。「緑」の円は緑色蛍光を示し、「赤」の円は赤色蛍光を示し、「黒」の円は蛍光がないことを示す。
【
図8A】
図8A~
図8Gは、宿主機構の最中にLine-1生合成阻害物質として機能する潜在的なmiR-365標的遺伝子の生体情報検索を示す一連の画像である。
図8Aは、潜在的なmiR-365標的の生体情報予測を示す一連の表である。ここに列挙される遺伝子は、宿主のLine-1阻害機構へのそれらの関与について以前に検証されている。ヒトおよびマウスにおける転写後調節のための保存された同時の潜在的なmiR-365播種部位を有する遺伝子は赤いボックス内に示されており、これらは、Aicda、Sqstm1、Zc3hav1(Zap)、Dicer1、Prkdcである。
図8Bは、公開されたLine-1抑制因子、Targetscanにより予測されたmiR-365標的、および本試験で検証されたmiR-365の交差を示す概略図である。
図8Cは、(
図8A)の赤いボックス内の遺伝子の3'UTRにおける潜在的なmiR-365播種部位および変異の実証を示す画像である。
図8Dは、評価された、Cre単独およびmiR-365 Tgマウスの関節軟骨におけるRNAレベルでのLine-1抑制因子(Prkdc mRNA)の遺伝子発現を示すグラフである。miR-365 Tgマウスの軟骨では、Prkdcの発現は有意にダウンレギュレートされた。統計にはスチューデントのt検定を使用した。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図8Eは、評価された、Cre単独およびmiR-365 Tgマウスの関節軟骨におけるRNAレベルでのLine-1抑制因子(Dicer mRNA)の遺伝子発現を示すグラフである。miR-365 Tgマウスの軟骨では、Prkdcの発現は有意にダウンレギュレートされた。統計にはスチューデントのt検定を使用した。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図8Fは、評価された、Cre単独およびmiR-365 Tgマウスの関節軟骨におけるRNAレベルでのLine-1抑制因子(Sqstm1 mRNA)の遺伝子発現を示すグラフである。miR-365 Tgマウスの軟骨では、Prkdcの発現は有意にダウンレギュレートされた。統計にはスチューデントのt検定を使用した。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
図8Gは、評価された、Cre単独およびmiR-365 Tgマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのLine-1抑制因子(Zc3hav1 mRNA)の遺伝子発現を示すグラフである。miR-365 Tgマウスの軟骨では、Prkdcの発現は有意にダウンレギュレートされた。統計にはスチューデントのt検定を使用した。n=3。*p≦0.05、それぞれ適切な対照群と比較。
【
図9-1】
図9A~
図9Fは、3TC処置がmiR-365 Tgマウスの軟骨下骨形態計測を変化させないことを示す一連の画像である。
図9Aは、生理食塩水または3TCを用いて4カ月間処置されたマウスの膝関節の3D再構成の画像である。
図9Bは、評価された、生理食塩水または3TCを用いて4カ月間処置されたマウスの膝関節内の軟骨下骨の骨体積(BV)/総体積(TV)の小柱骨形態計測分析のグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図9Cは、評価された、生理食塩水または3TCを用いて4カ月間処置されたマウスの膝関節内の軟骨下骨の小柱数のグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図9Dは、評価された、生理食塩水または3TCを用いて4カ月間処置されたマウスの膝関節内の軟骨下骨の小柱の厚さのグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図9Eは、評価された、生理食塩水または3TCを用いて4カ月間処置されたマウスの膝関節内の軟骨下骨の小柱分離のグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図9Fは、評価された、生理食塩水または3TCを用いて4カ月間処置されたマウスの膝関節内の軟骨下骨の接続密度のグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
【
図10-1】
図10A~
図10Iは、DMMも偽手術も生理食塩水も3TCもFTCも129S6/SvEvマウスの体重に影響を及ぼさなかったことを示す一連の画像である。
図10Aは、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスの膝関節の3D再構成の画像である。
図10Bは、骨体積(BV)/総体積(TV)の小柱骨形態計測分析のグラフである。
図10Cは、評価された、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスの膝関節内の軟骨下骨の小柱数のグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図10Dは、評価された、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスの膝関節内の軟骨下骨の小柱の厚さのグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図10Eは、評価された、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスの膝関節内の軟骨下骨の小柱分離のグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図10Fは、評価された、DMMまたは偽手術を行い、その後、それぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスの膝関節内の軟骨下骨の接続密度のグラフである。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
図10Gは、評価された、DMMまたは偽手術を行い、その後、様々な時点でそれぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスの体重のグラフである。異なる処置群間で感知できるほどの差は観察されなかった。各群にそれぞれマウス6匹とした。
図10Hは、評価された、DMMまたは偽手術を行い、その後、様々な時点でそれぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスの体重のグラフである。異なる処置群間で感知できるほどの差は観察されなかった。各群にそれぞれマウス6匹とした。
図10Iは、評価された、DMMまたは偽手術を行い、その後、様々な時点でそれぞれ生理食塩水またはFTCもしくは3TCにより処置した129S6/SvEvマウスの体重のグラフである。異なる処置群間で感知できるほどの差は観察されなかった。各群にそれぞれマウス6匹とした。
【
図11】軟骨内のMiR-365の過剰発現がLine-1抑制因子発現を阻害し、それにより、Line-1遺伝子発現およびその後のOA発症を促進することを示す画像である。加齢/老化または損傷によって誘導される機械的および炎症性因子によって引き起こされる軟骨内のmiR-365の増加が、Dicer、PrkdcおよびSqstm1を含むLine-1阻害物質の転写後抑制を介してLine-1遺伝子発現を促進し、IL-1βおよびIL-6分泌を含む細胞老化関連分泌現象(SASP)のアップレギュレーション、Mmp13、Adamts5およびCol10a1分泌を含むOAマーカーのアップレギュレーション、ならびにAcanおよびCol2a1合成を含む同化因子のダウンレギュレーションを介してOA発症を最終的に引き起こすLine-1発現増加につながるという仮説を示す概略図。OA発症は、miR-365の発現増加を相互に促進し、悪循環を形成する。Line-1に対するsiRNA、またはシチジン類似体(3TCおよびFTC)を使用すると、Line-1遺伝子発現とOAの発症とが抑制されるため、miR-365-Line-1-OAの悪循環を中断することができる。
【
図12A】
図12A~
図12Cは、OAに対するNRTIの概要データの画像を示す。緑(丸付き):OAを阻害、赤(影付き/丸なし):OAを刺激。
図12Aは、厳密なOAのみを阻害するクラスI NRTI(3TC、FTCまたはABC)の概要データの画像である。
図12Bは、拡大したOAを阻害するクラスII NRTI(ZDVまたはTDF)の概要データの画像である。
図12Cは、拡大したOAを阻害するクラスIII NRTI(DDL D4T)の概要データの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本明細書において記載されるように、レトロトランスポゾンおよび/またはその調節因子および作用因子、ならびにそれらの構造類似体を調節する、関節変性障害の処置は、組織変性を阻害し、関節組織の再生を促進するという目的を達成するのに有用である。本明細書において示すデータは、レトロトランスポゾンline-1のマイクロrnaアップレギュレーションを阻害することによる変性疾患の処置の使用および有効性、ならびにOAを処置し、Line-1活性を抑制し、原発性OAを予防するためのNTRIの使用を示す。Lineとは、長鎖散在反復配列(Long Interspersed Nuclear Element)の頭字語である。
【0024】
機械的ストレスは、変形性関節症(OA)の病因に極めて重要な役割を果たす。場合によっては、miR-365の発現は、軟骨細胞に対する機械的荷重によって刺激され、OA発症の間に増加する。さらに、Col2a1系列細胞内にmiR-365が特異的に過剰発現しているトランスジェニックマウスは、OAの早期発症を発現する。miR-365の過剰発現は、インビトロおよびインビボで軟骨内のLine-1発現を上昇させるのに十分であり、結果として生じるLine-1発現の増加は、miR-365の直接の標的であるDicer、PrkdcおよびSqstm1を含むその阻害物質の抑制に起因する。さらに、3TCおよびFTCならびにABC、TDF、ZDV、またはDDlなどのNRTIを使用してLine-1を阻害すると、マウスの原発性および続発性OAモデルが救済される。まとめると、データは、NRTIがOAの処置に有用であることを示している。
【0025】
レトロトランスポゾンおよびその調節経路を調節することによって組織変性ならびに関連する炎症およびマトリックス酵素分泌を阻害するための組成物および方法が開発された。
【0026】
OAの病因
機械的ストレスおよび炎症は、OAの病因に極めて重要な役割を果たす。関節リウマチとは対照的に、OAは自己免疫疾患ではない。変形性関節症の主要な構成要素は(自己免疫疾患である関節リウマチとは対照的に)免疫細胞ではなく、OAは摩耗および裂傷と関連する。miR-365発現は、軟骨細胞に対する機械的荷重および炎症によって刺激され、OA発症の間に増加する。Col2a1系列細胞にmiR-365が特異的に過剰発現しているトランスジェニックマウスは、OAの早期発症を発現する。レトロトランスポゾンの活性化は、いくつかの加齢関連および慢性疾患に関係しているが、OAの病因など、変性関節疾患に果たすその役割は、本発明以前には知られていなかった。
【0027】
変形性関節症は、加齢の結果としての関節に対する蓄積ストレスの結果として、または関節に対して行われた損傷もしくは外科的措置などの外傷の余波として生じ、すなわち、場合によっては、OAの発症は年齢と関係せず、例えば、45歳未満の対象に生じる。加齢性または外傷性のOAの処置では、臨床症状、例えば、疼痛、または可動性の低下の改善に対するNRTIの効果は、驚くべき観察結果であった。
【0028】
本明細書において開示されるのは、レトロトランスポゾンLine-1のレベルが、正常な軟骨と比較して、ヒトのOA軟骨病変では有意に高いことを示すデータである。MiR-365の過剰発現は、インビトロおよびインビボで軟骨内のレトロトランスポゾンLine-1発現を上昇させるのに十分であり、結果として生じるLine-1発現の増加は、miR-365の直接の標的であるDicer、PrkdcおよびSqstm1を含むその阻害物質の抑制に起因する。さらに、3TCおよびFTCを含むヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を使用してLine-1を阻害すると、当技術分野において認められているマウスのOAモデルでは、誘発される加齢および外傷が阻害される。OA細胞はエクソソーム(小胞)を分泌し、Line-1はそれらのエクソソームに存在する。エクソソームを含むこのようなLine-1は、非OA細胞に感染し得る。
【0029】
まとめると、データは、細胞内のレトロトランスポゾン含量とそれに関連する調節経路とを操作することによって、OAが緩和される、例えば、効果的に処置されることを示している。治療用組成物には、1)miR-365の阻害物質、2)Dicer、Prkdc、Sqstm1またはそれらのアゴニスト、3)Dicer、Prkdc、Sqstm1およびそれらのそれぞれの経路のアンタゴニストの阻害、4)siRNAおよびNRTI小分子を含むレトロトランスポゾンの阻害物質またはアンタゴニストが含まれる。例えば、ウイルスを阻害するために使用されてきた、かつ現在使用されているNRTIを再利用し、OAなどの関節疾患を処置するための治療薬として使用することができる。
【0030】
さらに、逆転写酵素に対する阻害特性を有しない場合でも、構造的相同体または修飾(例えばメチル化)NRTIをOA処置に使用することもできる。
【0031】
変形性関節症マーカー
例示的な変形性関節症マーカーは、X型コラーゲンα1鎖(COL10A1)、トロンボスポンジンモチーフ5を有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ(ADAMTS5)、マトリックスメタロエプチダーゼ13(MMP13)、細胞老化関連分泌現象インターロイキン-6(SASP IL-6)、インディアンヘッジホッグ(Ihh)、または1型インターフェロン(IFN)を含む。
【0032】
ヒトX型コラーゲンα1鎖(COL10A1)アミノ酸配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NP_000484.2;SEQ ID NO:(99);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0033】
COL10A1の例示的なランドマーク残基、ドメインおよび断片には、限定されることなく、残基1~18(シグナル配列)、残基19~680(成熟タンパク質)、残基57~519(非らせん領域)、残基155~202(コラーゲントリプルヘリックスリピート)または残基520~980(非らせん領域)が含まれる。COL10A1タンパク質の断片は、全長タンパク質の長さよりも短く、例えば、断片は、長さが少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200残基またはそれ以上であるが、例えば、上記のCOL10A1の場合COL10A1残基よりも短い。
【0034】
ヒトCOL10A1核酸配列を以下に示し、開始コドンおよび停止コドンに下線を付す。配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NM_000493.4;SEQ ID NO:(100);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0035】
トロンボスポンジンモチーフ5(ADAMTS5)アミノ酸配列を有するヒトディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼは公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NP_008969.2;SEQ ID NO:(101);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0036】
ADAMTS5の例示的なランドマーク残基、ドメインおよび断片には、限定されることなく、残基1~18(シグナル配列)、残基67~168(レプロリシンファミリープロペプチド)、残基207~214(システインスイッチ)または残基570~622(トロンボスポンジンタイプ1リピート)が含まれる。ADAMTS5タンパク質の断片は、全長タンパク質の長さよりも短く、例えば、断片は、長さが少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200残基またはそれ以上であるが、例えば、上記のADAMTS5の場合ADAMTS5残基よりも短い。
【0037】
ヒトADAMTS5核酸配列を以下に示し、開始コドンおよび停止コドンに下線を付す。配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NM_007038.5;SEQ ID NO:(102);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0038】
ヒトマトリックスメタロエプチダーゼ(matrix metalloeptidase)13(MMP13)アミノ酸配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NP_002418.1;SEQ ID NO:(103);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0039】
MMP13の例示的なランドマーク残基、ドメインおよび断片には、限定されることなく、残基1~19(シグナル配列)、残基32~91(推定上のペプチドグリカン結合ドメイン)または残基112~267(ペプチダーゼm10)が含まれる。MMP13タンパク質の断片は、全長タンパク質の長さよりも短く、例えば、断片は、長さが少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200残基またはそれ以上であるが、例えば、上記のMMP13の場合MMP13残基よりも短い。
【0040】
ヒトMMP13核酸配列を以下に示し、開始コドンおよび停止コドンに下線を付す。配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NM_002427.4;SEQ ID NO:(104);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0041】
ヒト細胞老化関連分泌現象インターロイキン-6(SASP IL-6)アミノ酸配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NP_000591.1;SEQ ID NO:(105);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0042】
SASP IL-6の例示的なランドマーク残基、ドメインおよび断片には、限定されることなく、残基30~212(インターロイキン6)または残基73(グリコシル化)が含まれる。SASP IL-6タンパク質の断片は、全長タンパク質の長さよりも短く、例えば、断片は、長さが少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200残基またはそれ以上であるが、例えば、上記のSASP IL-6の場合SASP IL-6残基よりも短い。
【0043】
ヒトSASP IL-6核酸配列を以下に示し、開始コドンおよび停止コドンに下線を付す。配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NM_000600.5;SEQ ID NO:(106);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0044】
ヒトインディアンヘッジホッグ(Ihh)アミノ酸配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NP_002172.2;SEQ ID NO:(107);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0045】
Ihhの例示的なランドマーク残基、ドメインおよび断片には、限定されることなく、残基1~27(シグナルペプチド)、残基28~441(成熟ペプチド)、残基28~202(IHH N産物)、残基44~189(ヘッジホッグアミノ末端シグナル伝達ドメイン)または残基203~411(IHHプロテインC産物)が含まれる。Ihhタンパク質の断片は、全長タンパク質の長さよりも短く、例えば、断片は、長さが少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200残基またはそれ以上であるが、例えば、上記のIhhの場合Ihh残基よりも短い。
【0046】
ヒトIhh核酸配列を以下に示し、開始コドンおよび停止コドンに下線を付す。配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NM_002181.4;SEQ ID NO:(108);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0047】
ヒト1型インターフェロン(IFN)アミノ酸配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NP_000407.1;SEQ ID NO:(109);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0048】
IFNの例示的なランドマーク残基、ドメインおよび断片には、限定されることなく、残基1~77(シグナルペプチド)、残基18~489(成熟ペプチド)または残基161~317(インターフェロンγ受容体(IFNGR1))が含まれる。IFNタンパク質の断片は、全長タンパク質の長さよりも短く、例えば、断片は、長さが少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200残基またはそれ以上であるが、例えば、上記のIFNの場合IFN残基よりも短い。
【0049】
ヒトIFN核酸配列を以下に示し、開始コドンおよび停止コドンに下線を付す。配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NM_000416.2;SEQ ID NO:(110);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0050】
同化マーカー
例示的な変形性関節症マーカーは、アグリカン(ACAN)およびII型コラーゲンα1(COL2A1)を含む。
【0051】
ヒトアグリカン(ACAN)アミノ酸配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NP_001126.3;SEQ ID NO:(111);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0052】
ACANの例示的なランドマーク残基、ドメインおよび断片には、限定されることなく、残基1~16(シグナル配列)、残基20~2431(成熟タンパク質)、残基43~154(IGアグリカン)、残基153~247(リンクドメイン)または残基579~674(リンクドメインCSPG)が含まれる。ACANタンパク質の断片は、全長タンパク質の長さよりも短く、例えば、断片は、長さが少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200残基またはそれ以上であるが、例えば、上記のACANの場合ACAN残基よりも短い。
【0053】
ヒトACAN核酸配列を以下に示し、開始コドンおよび停止コドンに下線を付す。配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NM_001135.3;SEQ ID NO:(112);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0054】
ヒトII型コラーゲンα1(COL2A1)アミノ酸配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NP_001835.3;SEQ ID NO:(113);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0055】
COL2A1の例示的なランドマーク残基、ドメインおよび断片には、限定されることなく、残基1~25(シグナル配列)、残基26~1487(成熟タンパク質)、残基201~1214(三重らせん領域)または残基1388(グリコシル化)が含まれる。COL2A1タンパク質の断片は、全長タンパク質の長さよりも短く、例えば、断片は、長さが少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200残基またはそれ以上であるが、例えば、上記のCOL2A1の場合COL2A1残基よりも短い。
【0056】
ヒトCOL2A1核酸配列を以下に示し、開始コドンおよび停止コドンに下線を付す。配列は公的に入手可能であり、参照により本明細書に組み入れられるGenBankアクセッション番号:NM_001844.5;SEQ ID NO:(114);GenBankアクセッションの下に見出すことができる。
【0057】
OAの処置のためのNTRI
ヌクレオシド類似体逆転写酵素阻害剤
ヌクレオシド類似体逆転写酵素阻害剤(NARTIまたはNRTI)は、抗レトロウイルス薬のクラスである。NRTIは、ウイルスDNAに組み込まれるためには、それらのデオキシリボース部分に3つのリン酸基が付加されることによって細胞内で活性化され、NRTIトリホスフェートを形成しなければならない。このリン酸化工程は、細胞キナーゼ酵素によって行われる。例示的なNRTIを以下に列挙する。
【0058】
ジドブジンは、AZT、ZDVおよびアジドチミジンとも呼ばれ、商品名はRetrovirである。ジドブジンは、HIVの処置のためにFDAによって承認された最初の抗レトロウイルス薬であった。
【0059】
ジダノシンは、ddlとも呼ばれ、商品名はVidexおよびVidex ECであり、FDAが承認した第2の抗レトロウイルス薬であった。ジダノシンはアデノシンの類似体である。
【0060】
ザルシタビンは、ddCおよびジデオキシシチジンとも呼ばれ、商品名はHividである。
【0061】
スタブジンは、d4Tとも呼ばれ、商品名はZeritおよびZerit XRである。
【0062】
ラミブジンは、3TCとも呼ばれ、商品名はZeffixおよびEpivirである。ラミブジンは、HIVおよびB型肝炎の両方の処置に承認されている。
【0063】
アバカビルは、ABCとも呼ばれ、商品名はZiagenであり、グアノシンの類似体である。
【0064】
エムトリシタビンは、FTCとも呼ばれ、商品名はEmtriva(旧称Coviracil)である。エムトリシタビンは、ラミブジンと構造的に類似しており、HIVの処置に承認されており、B型肝炎の臨床試験が行われている。
【0065】
エンテカビルは、ETVとも呼ばれ、商品名Baracludeの下にB型肝炎に使用されるグアノシン類似体である。エンテカビルは、HIV処置には承認されていない。
【0066】
エムトリシタビンおよびフマル酸テノホビルジソプロキシルから作製されるツルバダは、HIVの処置および予防に使用される。米国ではHIV予防のために承認されており、Gileadによって製造されている。
【0067】
別の例示的なNRTIには、TDFとしても知られるテノホビルが含まれ、これは、人体に溶解し、低用量のテノホビルが所望の活性部位に到達することを可能にする分子側鎖によって不活化された活性化合物を有するプロドラッグである。
【0068】
厳密なOAの処置のためのNRTI
一例では、NRTIは、厳密な変形性関節症の処置に使用することができる(「カテゴリー1」または「クラス1」)。例示的なNRTIには、以下に示されるシチジン類似体である3TCが含まれる。3TCは、一般にラミブジンと呼ばれ、錠剤の形態(EpivirまたはZeffix)に製剤化することができる。
【0069】
別の例では、変形性関節症の処置は、以下に示すシチジン類似体であるFTCの投与を含むことができる。FTCは、エムトリシタビン、2',3'-ジデオキシ-5-フルオロ-3'-チアシチジン、EmtrivaまたはCoviracilとも呼ばれる。FTCは、テノホビルジソプロキシル(商品名Vireadの下に販売されている)とともに投与することもできる。
【0070】
別の例では、変形性関節症の処置は、グアノシン類似体であるABCの投与を含むことができる。ABCは、アバカビルまたは商品名Ziagenとも呼ばれる。ABCの構造を以下に示す。
【0071】
OAに対するNRTIの概要データを
図12Aに示す。HIV患者では、NRTIはいずれも、年齢(50歳超)依存性および用量依存性ならびに性別非依存性(男女ともに成功)に厳密なOAを阻害した。厳密なOAを阻害するNRTIは、3TC、FTCおよびABCであった。
【0072】
厳密なOAおよび拡大したOAの処置のためのNRTI
別の例では、NRTIは、厳密なOAおよび拡大したOAの処置に使用することができ、例えば、拡大したOAを部分的に阻害する(「カテゴリー2」または「クラス2」)。例示的なNRTIには、ZDV(チミジン類似体)が含まれる。例では、ZDVは女性患者に投与される。ZDVは、一般に、アジドチミジン、AZT、Retrovirまたはジドブジンとも呼ばれる。ZDVの構造を以下に示す。
【0073】
別の例では、厳密なOAおよび拡大したOAの処置は、TDF(アデノシン類似体)を投与する工程を含む。TDFは、テノホビル、9-(2-ホスホニル-メトキシプロピリ)アデニン(PMPA)、Viread(Gilead Sciences)とも呼ばれる。TDFおよびテノホビルジソプロキシルの構造を以下に示す。TDFは、エムトリシタビン、2',3'-ジデオキシ-5-フルオロ-3'-チアシチジン、EmtrivaまたはCoviracilとも呼ばれるFTCとともに投与することもできる。
【0074】
OAに対するNRTIの概要データを
図12Bに示す。HIV患者では、NRTIはいずれも、年齢(50歳超)依存性および用量依存性ならびに性別非依存性(男女ともに成功)に厳密なOAを阻害した。厳密なOAを阻害し、拡大したOAを部分的に阻害するNRTIはZDVおよびTDFであり、これはカテゴリー1よりも良好であった。
【0075】
厳密なOAおよび拡大したOAの処置のためのNRTI
他の例では、厳密なOAおよび拡大したOAの両方が、アデノシン類似体であるジダノシン(一般に、DDl、ddl、Videx、Videx EC、2',3'-ジデオキシイノシンと呼ばれる)の投与によって処置される(「カテゴリー3」または「クラス3」)。40歳未満の群では毒性は観察されなかった。ジダノシンの構造を以下に示す。
【0076】
他の例では、厳密なOAおよび拡大したOAの両方が、チミジン類似体であるスタブジン(一般に、d4T、Zerit、Zerit XR、2',3'-ジデヒドロ-2'、3'-ジデオキシチミジンと呼ばれる)の投与によって処置される。阻害の程度はスタブジンが最も高かった。スタブジンの構造を以下に示す。
【0077】
OAに対するNRTIの概要データを
図12Cに示す。HIV患者では、NRTIはいずれも、年齢(50歳超)依存性および用量依存性ならびに性別非依存性(男女ともに成功)に厳密なOAを阻害した。厳密なOAおよび拡大したOAの両方を阻害するNRTIはDDLおよびD4Tであり、これは上記のカテゴリー1およびカテゴリー2よりも良好であった。
【0078】
変形性関節症(OA)
変形性関節症は、1つまたは複数の関節内の軟骨の破壊と最終的な喪失とを特徴とする関節炎の一種である。OAは、手、足、足首、脊椎、ならびに大きな体重を支える関節、例えば、股関節および膝に発症し得る。
【0079】
多種多様な関節損傷に続発して発症するOAは、多くの場合、外傷後変形性関節症(PTOA)と呼ばれるOAのサブカテゴリーに分類される。PTOAにつながる可能性のある一般的な損傷には、限定されることなく、関節表面に対する高速衝撃外傷、関節内骨折、および関節を不安定にする軟組織裂傷が含まれる。PTOAの末期の病態生理は類似し得るが、疾患を開始および永続させる初期の生物学的および機械的事象は、様々な関節、損傷の種類、および患者集団間で異なることを示唆する証拠が存在する。PTOAでは、足首、膝および股関節が最も一般的に損傷する関節である。
【0080】
末期の足首OAを引き起こす最も一般的な損傷は重度の足首捻挫であり、足首の急速な内反により、遠位脛骨が距骨ドームの内側面に衝突し、多くの場合、骨軟骨病変を引き起こす。靭帯損傷は一般に重度の足首捻挫を伴い、関節の不安定性を引き起こし得る。足首のPTOAの発症では、初期の軟骨外傷の大きさは重要な因子である。
【0081】
関節変性およびOAを発症する可能性を伴う外傷を示唆する証拠が存在する。PTOAは、損傷に続発する変性関節疾患であり、数年後にOAにつながる可能性がある。PTOAは、特にスポーツに従事しているような若年で活動的な個体に多く、スポーツ中にこのような損傷を受けるリスクが高い。したがって、PTOAは、損傷前の正常な関節の存在、損傷時の構造的損傷、および全身性疾患によって損なわれていない関節と定義することができる。関節外傷はあらゆる関節組織に影響を及ぼし、生理学的、生体力学的および生化学的変化を引き起こし、関節変性とそれに続くOAの発症に向かって進行する可能性がある。
【0082】
処置には一般に、運動と、ライフスタイルの修正と、鎮痛剤との組合せが含まれる。疼痛による消耗が進行した場合、生活の質を改善するために関節置換術が必要になる場合がある。異常な関節の生体力学を是正し、二次的損傷のリスクを低下させ、理想的にはOAのリスクを低下させるために、関節損傷後に外科的介入が推奨される場合がある。残念ながら、外科的介入(例えば、AU(ゴールド)再建、半月板切除、半月板置換)は、正常な関節の生体力学を回復させず、膝OAを予防しない。したがって、これらの患者のうちいずれの患者が早期発症膝OAを発現するか、また膝OAの発症を予防または遅延させることができるかを理解することが重要である。疼痛管理および手術が現在の選択肢であるが、目下、外傷後関節炎およびその予防に対処するための承認された治療法はない。
【0083】
OAの病期
病期1:軽微
膝領域内で骨棘と呼ばれる小さな骨の塊が増殖する場合がある。軟骨にわずかな損傷がある場合がある。軟骨が破壊されていることを示すように、骨間の間隙が明らかに狭くなることはない。病期1のOAを有する人は、疼痛を感じたり不快感を経験したりする可能性はほとんどない。X線では関節は正常に見える。
【0084】
病期2:軽度
この病期の間に、人は症状に気づき始めることがあり、医師は摩耗の徴候を見ることができる。X線、および膝関節の他のスキャンでは、さらに多くの骨棘の増殖が明白に示され、軟骨が薄くなり始める。骨間の間隙は依然として正常に見えるが、骨と組織とが接する領域は硬化し始める。組織が硬化すると、骨が厚くなり、密度が高くなる。骨の薄い層も関節内の軟骨の下に発達する。人は、こわばりまたは関節痛を経験する場合がある。膝関節周辺は、長時間座っていると特にこわばりおよび不快感を感じ始める可能性がある。多少の損傷は存在し得るが、骨同士が擦れることも削れることもない。滑液が存在し、摩擦を減らし、膝の動きを補助するのに役立つ。
【0085】
病期3:中等度
軟骨の損傷が進行し、骨間の隙間が狭くなり、X線では軟骨の喪失が示される。ランニング、歩行、ひざまずく、および曲げるなどの日常的な活動を行うと、疼痛および不快感が生じることがある。関節炎症の初期の徴候が存在し得る。
【0086】
OAが進行するにつれて、軟骨は薄くなり、破壊され続ける。骨は、肥厚し、外側に増殖して塊を形成することにより反応する。関節の内側を覆う組織が炎症を起こし、余分な滑液を生成し、膨張を増加させる場合がある。これは滑膜炎と呼ばれ、膝上の水として一般に知られている。
【0087】
病期4-重度
膝のOAに対する人工膝関節置換術。人工膝関節置換術は、膝の後期OAの唯一の選択肢である場合がある。これはOAの最も進行した病期であり、症状は非常に明白である。関節内の骨間の間隙は狭くなり続けており、軟骨はさらに破壊されている。その結果、関節にこわばりが生じ、炎症が持続し、関節周囲の体液が減少する。関節内の摩擦が大きくなり、動いている間の疼痛および不快感が大きくなる。X線では骨が骨の上に見えるが、これは軟骨が完全に摩耗しているか、ほとんど残っていないことを意味する。個体は、さらに多くの骨の塊を生じ、歩行などの単純な活動中に多くの場合激しい疼痛を経験する可能性がある。重症の場合、軟骨の非対称的な喪失により、骨が変形し、角張る場合がある。この病期では、多くの場合、外科的処置が唯一の選択肢である。
【0088】
ICD-9-CM 715[変形性関節症および関連障害]の医療提供者の診断には、以下の定義が含まれる:1)厳密=ICD-9-CM 715;2)拡大=ICD-9-CM 715、716[その他および不特定の関節症]、または719[その他および不特定の関節障害]);および3)可能性=厳密または拡大 + OAの、または関節リウマチ(RA)を除く他の関節炎の、回答者が報告した事前診断。
【0089】
逆転写酵素阻害剤に対する耐性の機構
NRTIは、DNA合成およびHIV複製を終結させるのに有効であるが、HIVは薬剤に対するウイルス耐性を付与する機構を発達させることができ、最終的にはその機構を発達させる。HIV-1 RTはプルーフリーディング活性を有しない。これに薬物からの選択圧が加わると、逆転写酵素の変異が起こり、NRTIおよびNNRTIに対するウイルスの感受性が低下する。
【0090】
NRTI耐性
NRTI耐性には2つの主要な機構が存在する。第一は、正常なヌクレオチドよりもDNAへのヌクレオチド類似体の取り込みが減少することである。これは、薬物に対する酵素の親和性または結合能を低下させる、逆転写酵素のN末端ポリメラーゼドメインの変異に起因する。この機構の主要な例は、ラミブジン(3TC)およびエムトリシタビン(FTC)に対する耐性を付与することである。多剤耐性HIVでは、NRTIを取り込む際の逆転写酵素の効率を低下させるが、天然のヌクレオチドの取り込みには影響を及ぼさない、よく特徴付けられた変異の別の組合せが見出されている。変異を有するウイルスは、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(ddC)、スタブジン(d4T)に対して中程度の耐性があり、アバカビル(ABC)に対してわずかな耐性がある。他の4つの変異と複合した変異を有するウイルスは、上記の薬物に対して非常に耐性があり、さらにラミブジン(3TC)およびエムトリシタビン(FTC)に対して耐性がある。
【0091】
第二の機構は、取り込まれた薬物の切除または加水分解による除去、または加ピロリン酸分解である。これは、ヌクレオチド取り込み中に放出されたピロリン酸/PPIが、取り込まれた薬物(一リン酸)と反応して三リン酸薬物が放出されるポリメラーゼ反応の逆である。
【0092】
NTRI、およびOAの処置
変形性関節症(OA)は、関節軟骨の分解、慢性炎症、および骨リモデリングを伴う加齢性または外傷後の変性関節疾患である(Berenbaum,F.Osteoarthritis and cartilage/OARS,Osteoarthritis Research Society 21,16-21(2013))。加齢は主な原因であるが、外傷後関節損傷(PTOA)によっても引き起こされ得る(Gelber,A.C.,et al.Ann Intern Med 133,321-328(2000)and Lohmander,L.S.,et al.Am J Sports Med 35,1756-1769(2007))。OAは高齢者の障害の主な原因であるが、現在、FDAが承認した疾患修飾性変形性関節症薬(DMOAD)は存在しない。トランスポゾンは植物で最初に発見され、「ジャンピング遺伝子」として定義された(Mc,C.B.Proc Natl Acad Sci U S A 36,344-355(1950))。その後、トランスポゾンは、動物およびヒトを含むあらゆる真核生物で発見された(de Koning,A.P.,et al.PLoS Genet 7,e1002384(2011))。ヒトの機能的タンパク質をコードするエクソンは我々のゲノムの1%からなるに過ぎないが、トランスポゾンは我々のゲノムのほぼ半分を占めている(de Koning,A.P.,et al.PLoS Genet 7,e1002384(2011))。全ゲノムの17%を構成するL1は、唯一の活性なレトロトランスポゾンである(Ostertag,E.M.&Kazazian,H.H.,Annu Rev Genet 35,501-538(2001)、Hancks,D.C.&Kazazian,H.H.,Jr.Curr Opin Genet Dev 22,191-203(2012)、Levin,H.L.&Moran,J.V.Nat Rev Genet 12,615-627(2011)、Burns,K.H.&Boeke,J.D.Cell 149,740-752(2012)、およびRoman-Gomez,J.,et al Oncogene 24,7213-7223(2005))。生殖細胞系では124の遺伝性疾患を引き起こすL1が活性であるが、体細胞では通常抑制されているため、その機能はほとんど不明のままである(O'Donnell,K.A et al.Developmental cell 15,179-181(2008)、Metzner,M.,et al.PloS one 7,e49358(2012)、Faulkner,G.J.PLoS Genet 9,e1003944(2013)、Morrish,T.A.,et al.Nature 446,208-212(2007)、Morrish,T.A.,et al.Nature genetics 31,159-165(2002)、Guo,H.,et al.Nature communications 5,5276(2014)、およびMoldovan,J.B.et al.PLoS Genet 11,e1005121(2015))。近年、L1が細胞老化、生物の加齢、および異常増殖に何らかの役割を果たすことが提案されている(Hancks,D.C.&Kazazian,H.H.,Jr.Curr Opin Genet Dev 22,191-203(2012)、De Cecco,M.,et al.Aging Cell 12,247-256(2013)、De Cecco,M.,et al.Aging(Albany NY)5,867-883(2013)、Marco De Cecco,et al.Nature in press(2018)、およびHancks,D.C.&Kazazian,H.H.,Jr.Mob DNA 7,9(2016))。したがって、OAは、加齢関連疾患として、軟骨関節のL1活性化と相関していると仮定された。
【0093】
本発明は、軟骨変性疾患の予防および処置に関連する障害に対する解決策を提供する。したがって、本発明は、軟骨変性疾患を予防、緩和および処置するためにNRTIを使用する方法を含む。損傷誘発性OA(外傷後OAとしても知られる)の処置のためにNRTIを使用する方法も本明細書において提供される。
【0094】
したがって、いくつかの局面では、本明細書において提供されるのは、緩和OAマーカーおよび炎症マーカーに関する薬学的効果を特性評価するための方法である。例えば、個体は、OA、外傷後OA、関節リウマチ、軟骨腫症、肋軟骨炎、再発性多発軟骨炎、ヘルニア、軟骨溶解、軟骨無形成症、軟骨異形成症、軟骨腫、軟骨肉腫、成長板の骨折および変形、骨折、骨嚢胞、骨増殖体(骨棘)、骨腫瘍、頭蓋骨癒合症、進行性骨化性線維異形成症、線維性骨異形成症、低ホスファターゼ症、代謝性骨疾患、骨ページェット病、離断性骨軟骨炎、骨形成不全、骨軟化症、骨減少症、骨粗鬆症と診断されている。本明細書において記載される実験では、NRTIはオートクレーブ処理された再蒸留水を使用して溶解される。処置される個体はヒトである。ただし、マウス、ラット、イヌもしくはネコなどのペット、またはウマもしくはウシなどの作業/パフォーマンスアニマルなどの他の対象も、該方法を使用して処置される。RTIは、軟骨細胞内で長鎖散在反復配列1(LINE-1、LINE1)(同じくL1、Line1およびLine-1)、インターフェロン(Inf-α)およびインターロイキン-6(同じくIL6およびIL-6)を抑制する。
【0095】
ヒトOA試料、および当技術分野において認められているマウスOAモデルではともに、miR-365/Line-1系がOA発症と相関することから、3TCは、マウスに対してLine-1活性を抑制し、原発性OA発症を予防する。Line-1活性の阻害は、OA発症を予防および/または救済する。NRTIと呼ばれる薬物のクラスは、OA発症を処置するのに有用である。
【0096】
NRTIが軟骨細胞内でLine-1を抑制することによってOAマーカーを阻害することができるかどうかを試験するために、様々な濃度の3TCを用いてヒトおよびマウスの軟骨細胞を処理した。qPCR分析は、3TCがマウス軟骨細胞内でLine-1、Inf-α、Adamts5、Col10発現を抑制し、Col2発現を促進することを示す。ヒト軟骨細胞では、3TCはLINE-1、IHH、COL10およびADAMTS5発現を阻害するが、3TCはACAN発現を促進する。miR-365 Tgマウスの関節軟骨ではCol10、IhhおよびMmp13が誘導されるため、様々な濃度の3TCを用いて、miR-365をすでに過剰発現しているヒト軟骨細胞を処理した。トランスフェクション時に、3TCは、LINE-1、ADAMTS5、IHHおよびCOL10のmiR-365誘導性アップレギュレーションを完全に消失させ、miR-365によるACAN抑制を修正する。
【0097】
3TC処理がmiR-365誘導性Line-1 OAマーカーのアップレギュレーションを救済するかどうかを決定し、3TCがmiR-365 Tgマウスに観察される原発性OAモデルのOA表現型を救済することができるかどうかを決定するために実験を行った。2カ月齢から開始して、3TC希釈水または生理食塩水希釈水を用いて、miR-365 Tgマウスおよび年齢適合対照マウス(Cre単独)を4カ月間処置した後、殺処分した。生理食塩水により処置されたmiR-365の関節表面では、プロテオグリカン喪失が一定して観察されたが、3TC処置では観察されなかった。さらに、miR-365 Tgマウスでは、3TC処置によってLine-1、Inf-α、Col10およびAdamts5の発現が有意に阻害された。ただし、IL-6またはAcanのレベルは変化していない。特にmiR-365 Tgマウスでは、miR-365発現は、経口3TC処置によっても抑制される。まとめると、データは、Line-1活性を阻害することによる3TC処置が、Col10およびAdamts5を含むCol2系列細胞特異的miR-365過剰発現誘発性OAマーカーをインビボで逆転させることを明らかにしている。
【0098】
3TCおよびFTCはDMM(内側半月の不安定化)誘発性OAを予防する
別のシチジン類似体であるFTCを試験した。FTCは、マウスPCでは、Line-1およびInf-α、ならびにP2rx7およびNlrp3などのインフラマソーム経路を抑制するが、Mmp3、Mmp13、Adamts5およびCol10発現を誘導しながらCol2およびAcan発現を促進する。3TCは、好ましくはOAマーカーを阻害しながらECM合成を促進することが分かったが、FTCはインビトロでOAマーカーおよびECM合成の両方を同時に促進する。
【0099】
エクスビボで大腿骨器官培養を使用して、3TCおよびFTCの効果を試験した。21日齢のWTマウスから、3TCまたはFTCを含有する完全培地中にインタクトな大腿骨を分離し、48時間のインキュベーション後に大腿骨関節軟骨から剥離したRNAを使用してqPCR分析を行った。3TCはLine-1、Mmp13、Adamts5およびCol10を阻害するが、FTCはMmp13およびAdamts5発現を阻害する。FTCがAcanを誘導すると、3TCはCol2およびAcan発現を誘導した。まとめると、データは、3TCおよび/またはFTCがOAを処置するのに有用であることを示している。
【0100】
NRTIが続発性OAモデルを救済することができるかどうかを試験するために、8週齢から合計4週間にわたり、それぞれ3TCまたはFTC希釈水を用いて、129S6マウスに対してDMMまたは偽手術を行った。薬物処置群と対照処置群との間に、体重の感知できるほどの差は認められない。組織学的評価中、手術した膝では、3TCおよび/またはFTC処置による処置がDMM誘発性プロテオグリカン喪失を効果的に予防した。一方、qPCR分析により、3TCおよびFTCによって導入されたLine-1阻害が確認された。Mmp13、Adamts5および肥大マーカーCol10を含む軟骨溶解(chondrolytic)マーカーは、生理食塩水処置と比較して、3TCおよびFTC処置DMM群では有意に抑制された。3TCおよび/またはFTC処置ではともに、DMMによるmiR-365誘導が有意に妨げられ、NRTIがmiR-365の上流で作用することが示された。データは、3TCおよびFTCなどのNTRIが、Line-1のアップレギュレーションを阻害し、OAマーカーを抑制することにより、続発性OAの発症を予防することを示している。
【0101】
miR-365は、Dicer、PrkdcおよびSqstm1を含むレトロトランスポーザブルエレメント抑制因子を標的にすることが見出された。miR-365は、この回路を介して、Line-1発現を制御し、それによって軟骨の分解を促進する。NRTI、例えば、3TCおよびFTCを使用したLine-1発現の抑制は、それらの抗逆転写機能を介して軟骨の分解を予防し、OA表現型の救済をもたらす。
【0102】
以下の材料および方法を使用して、本明細書において記載されるデータおよび観察結果を生成した。
【0103】
動物
軟骨組織内でmiR-365を過剰発現させるために、C57BL/6バックグラウンドmiR-365fl/wtトランスジェニックマウスをCol2a1-Cre+/wt(Cre単独)マウスと交配させて、Col2a1-Cre+/wt;miR-365fl/wtマウス(miR-365 Tg)を作製する(Yang,K.,et al.Connect Tissue Res 58,103-115(2017))。
【0104】
7週齢の129S6/SvEv系統の雄マウスをTaconic(https://www.taconic.com/mouse-model/129s6)から購入する。少なくとも3日間(72時間)の順化期間をマウスに与えてから、その後の手順を行わなければならない。
【0105】
特に明記しない限り、餌と水とを自由に摂取させてあらゆる系統のマウスを飼育する。
【0106】
ジェノタイピング
生後7日以内にマウスの足指または尾からゲノムDNAを抽出し、miR-365挿入物またはCol2a1-Cre構築物に特異的に設計されたプライマーを使用して、Hot start Taqポリメラーゼ(New England BioLabs、カタログ番号M049S/L)を使用する従来のPCRによって行う。
【0107】
内側半月の不安定化(DMM)のマウスモデル
実験対象に8週齢の129S6/SvEv雄マウスを選択する。マウス損傷/外傷誘発性変形性関節症モデルを作成するために、前述の方法を使用して内側半月靭帯を切断する。ケタミン/デクスメデトミジンまたはイソフルランの腹腔内(IP)注射のいずれかを使用して8週齢の雄マウスを麻酔して、内側傍膝蓋関節切開を行う。スタブナイフ(Sharpoint(商標)、カタログ番号72-1551)を用いて切断を行う。12週目に、マウスを安楽死させ、組織学的検査および軟骨RNA抽出のために解剖する。各群/時点についてマウス12匹を使用する。
【0108】
ヒト検体
OAと診断され、人工膝関節全置換術を受けた個体から軟骨を得る。手術後に新たに試料を採取する。記録のために検体の写真を撮影する。整形外科医が直接観察に基づいて、OA病変領域および非病変領域を経験的に識別する。目的の各部位について、滅菌済みのRNaseフリーRib-Back(登録商標)外科用メス(Bard-Parker(登録商標)、カタログ番号371115)を使用して、4~8mmの範囲の深さを有する1×1mm2の組織を手動で採取する。いかなる軟骨下骨も避けるように注意しなければならない。最大の消化効果を得るために、350mLのQIAzol溶解試薬(Qiagen、カタログ番号/ID:79306)に浸漬する前に、外科用メスによって、切除した検体をさらに細かく刻む。検体は、-80℃で保存することも、多様な方法を使用してアクセスすることもできる。
【0109】
大腿骨外植片器官培養
21日齢のWT C57BL/6マウスから大腿骨を得る。インタクトな関節表面および骨膜を有する大腿骨を顕微鏡下で無菌的に解剖する。動物に対する手順はいずれも、IACUCによって再検討され、承認されている。大腿骨は、採取時、HBSS(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)を用いてリンスし、次いで、12ウェル培養皿内で10%ウシ胎児血清(FBS、Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)を添加したDMEM(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)培地に浸漬する。所望の濃度の3TCまたはFTCを培地に加える。5%CO2の雰囲気下で37℃で合計48時間インキュベートした後、HBSSを用いて大腿骨をリンスし、RNA抽出のために解剖顕微鏡下で外科用メスを使用して関節軟骨を剥離する。
【0110】
組織学的検査、免疫組織化学的検査(IHC)および免疫蛍光
ヒト軟骨組織を4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で4℃で24時間固定した後、検体が容器の底に沈むまで、30%DEPC‐スクロース(Sigma、カタログ番号S0289-500G、St.Louis,MO 63103 USA)により4℃で固定する。最適切断温度化合物(O.C.T.、SAKURA FINETEK USA INC、Tissue-Tek(登録商標)、O.C.T.化合物、カタログ番号4583)に組織を包埋する。凍結切片ミクロトーム(モデル:CM3050、Leica、Germany)を使用して、厚さ6μmの切片を切断する。H&E染色により切片を染色して、形態を評価する。組織サイズに応じて、マウス組織を10%ホルマリン中で24~48時間固定した後、DEPC脱灰試薬(エチレンジアミン四酢酸、Sigma、カタログ番号EDS-1KG、St.Louis,MO 63103 USA)を使用して室温で10~14日間にわたり脱灰プロセスを行う。脱灰後、エタノール中で組織を脱水した後、常用的な手順を用いてパラフィンに包埋する。ミクロトーム(モデル:FINESSE ME、Thermo Shandon、UK)を使用して、厚さ6μmの切片を切断する。80μm間隔ごとに、5つの姉妹切片を採取して、完全に成長したマウスの片方の膝から合計13~16スライスを作成する。片方の膝から得られるスライドの数は、検体のサイズが異なるために異なり得る。次いで、スライドを脱パラフィンし、アルシアンブルー(Sigma、カタログ番号A3157-10G)またはサフラニンO(Sigma、カタログ番号S8884-25G、St.Louis,MO 63103 USA)を用いてGAGを染色する。H&E染色によって形態を評価する。IHCの場合、Histostain(登録商標)Plus 3rd Gen IHC検出キット(Life Technologies、カタログ番号859673、Frederick,MD 21704 USA)によって指示された常用的な手順を用いて、パラフィン切片を処理する。目的の抗原に対する特異的なウサギまたはマウス抗体を使用した後、ウサギまたはマウスIgGに対するHRPコンジュゲート二次抗体(キットにより提供)とインキュベートする。一次抗体および二次抗体は本明細書において列挙されている。次いで、DAB-Plus Substrateキット(Life Technologies、カタログ番号002020、Frederick,MD 21704 USA)によってシグナルを視覚化する。
【0111】
サフラニンO染色
キシレン(2回交換)中でパラフィン切片を各10分間かけて脱パラフィンした後、100%アルコール(2回交換)中で各5分間、95%アルコール(2回交換)中で各5分間、70%アルコール中で5分間再水和する。次いで、切片を水道水で2分間リンスした後、0.4%ファストグリーン溶液(Sigma、カタログ番号F-7258、St.Louis,MO 63103 USA)により2分間染色するが、後者のタイミングは所望の着色を確実にするために経験的に制御されなければならない。次いで、1%酢酸溶液(Sigma、カタログ番号695092-500ML-GL、St.Louis,MO 63103 USA)を用いて、染色した切片を10~15秒以内で速やかにリンスする。プロテオグリカンの染色には0.1%サフラニンO溶液を使用するが、実際のタイミングは、最大10分間かけて、実際の発色条件に基づいて注意深く決定しなければならない。サフラニンO染色後、脱水のために、95%アルコール(2回交換)に各2分間、100%アルコール(2回交換)に各2分間、切片を浸漬する。最後に、キシレン(2回交換)中で各2分間かけて切片を洗浄し、樹脂製の封入剤(ACRYMOUNT(商標)、カタログ番号SL80-4、McKinney,TX 75069 USA)を使用して封入する。
【0112】
OARSIスコアリング
OAの重症度を組織学的に評価するために、前述のようにOARSI半定量システムに従ってサフラニンO染色膝切片を定量した(Sato,S.,et al.TheScientificWorldJournal 2014,685854(2014))。
【0113】
ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色
キシレン(2回交換)中でパラフィン切片を各10分間かけて脱パラフィンした後、100%アルコール(2回交換)中で各5分間、95%アルコール(2回交換)中で各5分間、70%アルコール中で5分間再水和する。次いで、切片を水道水で2分間リンスした後、Mayerのヘマトキシリン溶液(NovaUltra(商標)H&E染色キット、IHCWORLD、カタログ番号IW-3100)中で2分間染色するが、後者のタイミングは所望の着色を確実にするために経験的に制御されなければならない。次いで、染色した切片を水道水で5分間リンスした後、実行者の好みに基づいて95%アルコールに10回または30秒間浸漬する。対比染色にはエオシン溶液(NovaUltra(商標)H&E染色キット、IHCWORLD、カタログ番号IW-3100)を使用するが、実際のタイミングは実際の発色条件に基づいて注意深く決定しなければならない。対比染色後、95%アルコールに切片を2回浸漬した後、100%アルコール(2回交換)を各5分間用いて脱水する。最後に、キシレン(2回交換)中で各5分間かけて切片を洗浄し、樹脂製の封入剤を用いて封入する。
【0114】
凍結切片の場合、エオシン対比染色工程から95%アルコール浸漬工程までを除いて手順は同様である。代わりに、これらの2つの工程中に、凍結切片を室温で30分間風乾し、10%ホルマリン中で10分間固定しなければならない。次いで、切片を取り出し、さらに30分間室温で風乾した後、水でリンスする。
【0115】
ホモジナイゼーション
PowerGen 125(Fisher Scientific、カタログ番号03.349248)を使用して、RNA抽出のために試料をホモジナイズする。45秒のホモジナイゼーションのサイクルを速度5で行い、続いて15秒の冷却工程を5サイクル繰り返した後、同じサイクルのためにさらに細かいドリルに切り替える。ドリル/PowerGen Generator(Fisher Scientific、カタログ番号14-261-15)をDEPC水でリンスし、続いて異なる検体間で100%エタノールによりリンスして相互汚染を回避する。熱によるRNAの分解を回避するために、手順はいずれも氷上で行う。
【0116】
一次成長板/関節軟骨細胞(PC)培養
所望の遺伝子型の新生仔マウス(7日齢以内)から胸郭を無菌的に分離し、HBSSを用いて5回リンスする。非特異的組織を除去するために、コラゲナーゼD(3μg/mL、Roche、カタログ番号11088882001、Mannheim,Germany)中で2~4時間37℃で胸郭を消化し、HBSS(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)を用いて5回リンスして、分離した非特異的組織を除去する。胸郭から軟骨細胞を分離するために、試料を一定に撹拌(200rpm)しながら、コラゲナーゼD(3μg/mL)中で37℃で少なくとも4時間二次消化する。分離した軟骨細胞をペレット化して過剰なコラゲナーゼDを除去し、10%FBS、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)を含有するDMEM(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)の完全培地に再懸濁する。5%CO2の雰囲気下で37℃で成長板PCを増殖させる。翌日、培地を交換して残りのコラゲナーゼDを除去し、その後3日ごとに培地を交換する。
【0117】
同様に、解剖顕微鏡下で、所望の遺伝子型の新生仔マウス(7日齢以内)から関節軟骨を無菌的に分離し、HBSSを用いて5回リンスする。非特異的組織を除去するために、関節軟骨を細かく刻み、コラゲナーゼD(3μg/mL)中で37℃で2時間消化し、HBSSを用いて5回リンスして、分離した非特異的組織を除去する。軟骨基質から軟骨細胞を分離するために、試料を一定に撹拌(200rpm)しながら、コラゲナーゼD(3μg/mL)中で37℃で少なくとも4時間二次消化した。分離した軟骨細胞をペレット化して過剰なコラゲナーゼDを除去し、10%FBS、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含有するDMEMの完全培地に再懸濁する。5%CO2の雰囲気下で37℃で関節PCを増殖させる。翌日、培地を交換して残りのコラゲナーゼDを除去し、その後3日ごとに培地を交換する。
【0118】
一過性トランスフェクション
細胞を所望のサイズのプレートに播種して70~90%のコンフルエンスに到達させ、miR-365模倣物もしくはmiRNA模倣物陰性対照またはmiR-365阻害物質もしくは阻害物質陰性対照(Dharmacon(登録商標)、Lafayette,CO,USA)を細胞にトランスフェクトする。トランスフェクション試薬としてLipofectamine 3000(Invitrogen(登録商標)、Waltham,MA,USA)を使用する。トランスフェクションの24時間後に培地を交換する。トランスフェクションの48時間後、RNA精製およびリアルタイムPCR分析のためのQIAzol、またはウエスタンブロット分析のためのプロテアーゼ阻害物質およびホスファターゼ阻害物質を含有する氷冷溶解緩衝液のいずれかに細胞を溶解させる。特に明記しない限り、MiR-365模倣物、miRNA模倣物陰性対照、miR-365阻害物質および阻害物質陰性対照を典型的には25nMの最終濃度で使用する。
【0119】
定量的リアルタイムPCR(qPCR)
miRNAおよびmRNAの両方をmiRNeasy Miniキット(Qiagen(登録商標)、Germantown,MD,USA)を使用して抽出し、製造業者の指示に従ってmiScriptIIRTキット(Qiagen(登録商標)、Germantown,MD,USA)を使用して逆転写する。Bio-Rad CFX96リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad(登録商標)、Hercules,CA,USA)上でSYBR Green PCRマスターミックス(Qiagen(登録商標)、Germantown,MD,USA)を使用してqPCRを行う。増幅条件は以下の通りである:95℃で10分間;95℃で10秒間、55℃で30秒間および72℃で30秒間を40サイクル。センスおよびアンチセンスプライマーが本明細書において提供される。mRNAレベルを正規化するための内部対照遺伝子として、18SリボソームまたはGapdh RNAを使用する。miRNAレベルの内因性対照として、普遍的に発現するsnRNA U6を使用する。Integrated DNA Technologies(http://www.idtdna.com)によってプライマーを合成する。miR-365用のプライマーはQiagenから購入する。mRNAおよびmiRNAの変化倍率を2^(-ΔΔCt)法によって計算し、それぞれ18S/GapdhまたはU6 snRNAに正規化する。
【0120】
miR-E365標的遺伝子の予測
TargetScan(http://www.targetscan.org/)およびmiRanda/mirSVR(http://34.236.212.39/microrna/home.do)標的予測アルゴリズムを使用して、miR-365-5pおよびmiR-365-3pの標的を同定した。
【0121】
プラスミド構築
バックボーンプラスミドpmirGLO構築物(Promega、Madison,WI,USA)に従って理想的な制限酵素切断部位を導入するように設計されたプライマーを使用して、マウスゲノムDNA(50ng~250ng)から、microrna.orgによって予測されるmiR-365播種部位として機能する潜在的応答要素(RE)を有するWT Aicda、Dicer1、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1 3'UTRをクローニングする。詳細な熱サイクルは以下の通りである:98℃で30秒間;98℃で10秒間、55~60℃で30秒間および72℃で15秒間を25~35サイクル;最後に72℃で10分間伸長してから4℃で保持。設計されたプライマーが本明細書において提供される。粘着末端を切断するためにPmeIおよびXhoIを使用する。制限酵素の切断後、約500bpの3'UTR配列をpmirGLO構築物(1pg~10ng)にアニーリングする。QuikChange Lightning Multi Site-Directed Mutagenesisキットの指示(Agilent、カタログ番号210513/210515、Santa Clare,CA 95051 USA)に従ってREを変異させる。
【0122】
ルシフェラーゼアッセイ
24ウェルプレート内で2.5×104細胞/ウェルでATDC5細胞を培養する。miR-365模倣物(25nM)またはmiRNA模倣物陰性対照(25nM)および500ngのpmirGLO-Dicer1/Zap/Sqstm1/Prkdc/Aicda 3'-UTR WTまたはMutプラスミドを細胞に同時トランスフェクトする。Lipofectamine 3000(Invitrogen、カタログ番号L3000-008、Carlsbad,CA 92008 USA)試薬を使用してトランスフェクションを行う。特に明記しない限り、アッセイは3連で行う。トランスフェクションの24時間後、細胞を回収し、GLOMAX 20/20ルミノメーター(モデル:2031_000、Turner BioSystems、Sunnyvale,CA USA)を用いたデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega、Madison,WI,USA)を使用してルシフェラーゼ活性を決定する。要約すると、PBSを用いて細胞をリンスし、室温で一定に撹拌しながらPassive Lysis Buffer(キットにより提供)と15分間インキュベートする。1.5mLのエッペンチューブ内に溶解物を擦過する。50μlのルシフェラーゼアッセイ緩衝液IIを用いて20μlの溶解物を固定して、ホタルルシフェラーゼの発光を測定する。次いで、50μlのStop&Glo緩衝液を加えて、ウミシイタケの発光を測定する。ホタル/ウミシイタケ測定値の比率によってルシフェラーゼ活性を表す。
【0123】
ウエスタンブロット(WB)
前処理した全試料を氷冷PBSで洗浄し、氷上で一定に撹拌しながら、RIPA緩衝液(M-PER、Pierce,Illinois)+プロテアーゼ阻害物質フェニルメチルスルホニルフルオリド[Halt(商標)、Thermo Scientific、プロテアーゼ阻害物質単回使用カクテル(100X)カタログ番号78430]に30分間溶解させる。溶解物を12,000gで15分間、4℃で遠心分離する。上清を回収し、Pierce(商標)BCAアッセイ(Thermo Scientific、カタログ番号23225)を使用してタンパク質濃度を決定する。2-メルカプトエタノール(Bio-Rad、カタログ番号161-0710)を含有する等量の2×Laemmli試料緩衝液(Bio-Rad、カタログ番号161-0737)と試料を混合し、100℃で5分間加熱して変性させる。目的のタンパク質の大きさに応じて、8~12%SDSポリアクリルアミドゲルにより各試料の等量のタンパク質を分離し、次いで、100Vで70分間かけてニトロセルロースメンブレン(Bio-Rad、カタログ番号162-0112)に移す。5%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma、カタログ番号A7906-50G)の0.1%トリス緩衝食塩水-Tween20(TBS-T、BBP、カタログ番号IBB-581X)溶液を用いてメンブレンを室温で1時間ブロックし、続いて目的のタンパク質に対する一次抗体と4℃で一晩インキュベートする。翌日、TBS-Tを用いてメンブレンを10分間かけて合計5回リンスし、抗ウサギ-Alexa Fluor 680(Molecular Probes、Eugene,OR,USA)と1時間室温でインキュベートし、続いてTBS-Tを用いて10分間かけて合計5回リンスする。次いで、Odyssey蛍光スキャナー(LI-COR Biosciences、Lincoln,NE,USA)を使用してブロットをスキャンし、ImageJ(https://imagej.nih.gov/ij/index.html)によって定量的に分析する。
【0124】
統計分析
データは平均値±SD(エラーバー)を表す。統計的有意性は、スチューデントのt検定(対応のない)または一元配置分散分析検定を使用して計算する。特に明記しない限り、全群について最低n≧3とする。
【0125】
MiR-365の過剰発現はヒトOA病変およびマウスOAモデルにおいてLine-1活性化を促進する
ヒト長鎖散在反復配列-1(Line-1)は、多くのヒトの癌および慢性疾患の新たなバイオマーカーとなっている(Ostertag,E.M.&Kazazian,H.H.,Jr.Annu Rev Genet 35,501-538(2001)およびBirren,S.J.,Lo,L.&Anderson,D.J.S.Development 119,597-610(1993))。Line-1活性化は、細胞老化と関連している可能性がある(De Cecco,M.,et al.Aging Cell 12,247-256(2013)およびAli,M.,et al.Annals of the rheumatic diseases 62,663-666(2003))。OAは加齢関連慢性疾患であるため、OA発症がLine-1活性化を伴うかどうかを決定するために試験を行った。
【0126】
ヒト軟骨検体の病変領域および非病変領域の両方から抽出したRNAのqPCR分析は、OA患者の大部分ではLine-1活性がOA病変領域で有意にアップレギュレートされていることを示す。Line-1がコードする機構を利用して自身を転移する、ヒトゲノムに豊富に存在する別のトランスポーザブルエレメントAluは、ヒトOA検体の病変領域と非病変領域との間に一定の傾向を示さない。試料の50%ではmiR-365発現がアップレギュレートされ、OAにおけるLine-1とmiR-365アップレギュレーションとの間の関連が示された。
【0127】
miR-365がLine-1を誘導するのに十分であるかどうかを試験するために、マウス初代軟骨細胞(PC)にmiR-365模倣物をトランスフェクトした。トランスフェクション時に、Line-1と、軟骨細胞肥大マーカーであるIhhとの発現が有意に誘導される。Line-1に対するsiRNAは、miR-365により引き起こされるLine-1およびIhhの誘導を成功裏に救済し、miR-365がLine-1を誘導するのに十分であるだけでなく、IhhもmiR-365により誘導されたLine-1活性の下流で作用し得ることが示された。
【0128】
インビボでの軟骨内のmiR-365とLine-1との関係を試験するために、miR-365がCol2系列細胞内で特異的に過剰発現されるトランスジェニックマウス(miR-365 Tgマウス)を作成した(Yang,K.,et al.Connect Tissue Res 58,103-115(2017)))。miR-365 Tgマウスは、6カ月齢という早い時期にOAの進行した発症を示すことが観察された(Hug,B.A.Cell 119,448-449(2004))。このため、miR-365 TgマウスではLine-1が上昇しているかどうかを決定するために試験を行った。軟骨内のmiR-365の過剰発現と一致して、Line-1 RNAの発現は、4カ月齢および6カ月齢の時点で有意にアップレギュレートされる。miR-365 Tgマウスでは、miR-365軟骨過剰発現は、Line-1発現を促進することに加えて、Ihh、Col10およびMmp13の発現も誘導する(Hug,B.A.Cell 119,448-449(2004))。まとめると、インビボデータは、軟骨内のmiR-365の過剰発現が、OA表現型発症と一時的に関連する、長期のLine-1およびOAマーカーのアップレギュレーションを促進することを示している。
【0129】
miR-365のアップレギュレーションとLine-1活性化との間のこの因果関係が続発性OAモデルに存在するかどうかを試験するために、2カ月齢の129S6/SvEv雄マウスの右膝にDMM手術を行うことによって損傷誘発性OAモデルを構築した。DMM手術の1カ月後、不安定化した右膝では、偽手術膝と比較してLine-1活性が有意にアップレギュレートされる。同じ膝では、miR-365増加の同じパターンが観察される。DMM膝では、OARSIスコア(Sato,S.,et al.TheScientificWorldJournal 2014,685854(2014))を使用した盲検化グレードにより定量された有意なプロテオグリカン喪失が一定して観察され、Line-1活性化がmiR-365アップレギュレーションおよび軟骨分解と関連することを裏付けている。さらに、DMM手術を行ったC57BL/6バックグラウンドWTマウスでは、Line-1活性化はmiR-365増加と密接に関連しており、このような関連は術後のマウスの年齢とともにさらに増大する。したがって、マウスの続発性OAモデルでは、miR-365とLine-1アップレギュレーションとの関連は有効である。
【0130】
MiR-365はPrkdc、DicerおよびSqstm1の転写後抑制を介してLine-1発現を誘導する
生物情報学的検索により、種間で保存され、かつLine-1抑制に関与する潜在的なmiR-365標的の5つの候補(Aicda、Dicer、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1)が明らかにされた。Line-1活性化は軟骨内のmiR-365の過剰発現によって誘導され、そのような活性化はヒトおよびマウスの原発性OAおよび続発性OAと密接に関連していることから、本発明者らは、上記候補の発現がOA組織内で変化するかどうかに関心がある。ヒトOA軟骨RNAを使用したqPCR分析では、DICER、PRKDC、SQSTM1およびZAPの発現はOA検体の大部分で減少するが、AICDAはヒト軟骨では検出することができないことが示された。miR-365 Tgマウスの関節軟骨では、PrkdcのみがRNAレベルでダウンレギュレートされる。インビトロでさらに確認するために、マウスPC内でmiR-365を過剰発現させ、軟骨内のmiR-365の増加が、Line-1阻害物質の転写後抑制を介してLine-1活性化を誘導するかどうかを評価した。
【0131】
Aicda(Faulkner,G.J.PLoS Genet 9,e1003944(2013))、Dicer(Morrish,T.A.,et al.Nature genetics 31,159-165(2002)V)、Prkdc(Guo,H.,et al.Nature communications 5,5276(2014))、Sqstm1(Moldovan,J.B.&Moran,J.V.PLoS Genet 11,e1005121(2015))およびZc3hav1(Erwin,J.A.,et al.Nat Rev Neurosci 15,497-506(2014))は、様々な生合成段階でLine-1の阻害に関与することが示されている。miR-365模倣物およびSqstm1 cDNAをトランスフェクトされた初代マウス軟骨細胞から単離されたタンパク質を使用したWBは、Line-1がmiR-365の一過性過剰発現によって有意に誘導され、Sqstm1の過剰発現によって救済されることを示し、Sqstm1が、miR-365の過剰発現によって誘導される軟骨内のLine-1活性化に関与することを示している。さらに、WBは、Dicerタンパク質の発現は、miR-365トランスフェクションによって抑制されるのに対して、miR-365阻害物質によって誘導されることを示し、miR-365が転写後レベルでDicer発現に影響を与えることを示している。
【0132】
Prkdc、DicerおよびSqstm1がmiR-365の真の標的であるかどうかをさらに試験するために、3'末端にAicda、Dicer、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1のWT 3'UTRの予測結合部位、ならびにmiR-365模倣物または模倣物対照をそれぞれ有するルシフェラーゼ遺伝子をATDC5細胞に同時トランスフェクトした。Dicer、PrkdcおよびSqstm1 WT 3'UTRルシフェラーゼレポーター遺伝子は、miR-365の過剰発現に関する活性の有意な低下を示し、これらの低下は、予測される播種部位の部位特異的変異誘発によって完全に消失する。したがって、Dicer、PrkdcおよびSqstm1は、軟骨細胞内のmiR-365の真の標的である。
【0133】
3TCはマウスのLine-1活性を抑制し、原発性OA発症を予防する
miR-365/Line-1系は、ヒトOA試料およびマウスOAモデルの両方でOA発症と密接に相関しているため、Line-1活性の阻害がOA発症を予防または救済するかどうかを決定するために実験を行った。逆転写酵素阻害剤(NRTI)と呼ばれる薬物のクラスは、抗レトロウイルス機能に起因するHIV感染およびHBV感染を制御するために一般的に処方されており、様々なモデルのレトロトランスポーザブルエレメント活性を抑制することができる(Patnala,R.,et al.Breast Cancer Res Treat 143,239-253(2014)、Jones,R.B.,et al PloS one 3,e1547(2008)、およびGuilak,F.Best practice&research.Clinical rheumatology 25,815-823(2011))。しかし、本発明以前に、OA発症を救済するために使用されるNRTIは記載されていなかった。
【0134】
NRTIが軟骨細胞内でLine-1を抑制することによってOAマーカーを阻害することができるかどうかを試験するために、様々な濃度の3TCを用いてヒトおよびマウスの軟骨細胞を処理した。qPCR分析は、3TCがマウス軟骨細胞内でLine-1、Inf-α、Adamts5、Col10発現を抑制し、Col2発現を促進することを示す。ヒト軟骨細胞では、3TCはLINE-1、IHH、COL10およびADAMTS5発現を阻害するが、3TCはACAN発現を促進する。miR-365 Tgマウスの関節軟骨ではCol10、IhhおよびMmp13が誘導されるため、様々な濃度の3TCを用いて、miR-365をすでに過剰発現しているヒト軟骨細胞を処理した。トランスフェクション時に、3TCは、LINE-1、ADAMTS5、IHHおよびCOL10のmiR-365誘導性アップレギュレーションを完全に消失させ、miR-365によるACAN抑制を修正する。
【0135】
3TC処理はmiR-365誘導性Line-1 OAマーカーアップレギュレーションを救済するため、miR-365 Tgマウスに観察される原発性OAモデルに対して3TCがOA表現型を救済することができるかどうかを試験した。2カ月齢から開始して、3TC希釈水または生理食塩水希釈水を用いて、miR-365 Tgマウスおよび年齢適合対照マウス(Cre単独)を4カ月間処置した後、殺処分する。生理食塩水により処置されたmiR-365の関節表面では、プロテオグリカン喪失が一定して観察されるが、3TC処置では観察されない。さらに、miR-365 Tgマウスでは、3TC処置によってLine-1、Inf-α、Col10およびAdamts5の発現が有意に阻害される。ただし、IL-6またはAcanのレベルは変化していない。特にmiR-365 Tgマウスでは、miR-365発現は、経口3TC処置によっても抑制される。データは、Line-1活性を阻害することによる3TC処置が、Col10およびAdamts5を含むCol2系列細胞特異的miR-365過剰発現誘発性OAマーカーをインビボで大幅に逆転させることができることを明らかにしている。
【0136】
3TCおよびFTCはDMM誘発性OAを予防する
3TCの有望な抗OA活性に照らして、広く処方されている別のシチジン類似体であるFTCを評価した。FTCは、Line-1およびInf-αならびにインフラマソーム経路、例えば、P2rx7およびNlrp3を抑制するが、マウスPC内でMmp3、Mmp13、Adamts5およびCol10発現を誘導し、Col2およびAcan発現を促進する。まとめると、3TCは好ましくはOAマーカーを阻害し、ECM合成を促進するが、FTCはOAマーカーおよびECM合成の両方をインビトロで同時に促進する。
【0137】
次に、エクスビボで大腿骨器官培養を使用して、3TCおよびFTCの効果を試験した。21日齢のWTマウスから3TCまたはFTCを含有する完全培地中に分離したインタクトな大腿骨をインキュベートし、48時間のインキュベーション後に大腿骨関節軟骨から剥離したRNAを使用してqPCR分析を行った。3TCはLine-1、Mmp13、Adamts5およびCol10を阻害する点で一定して有望に作用するが、FTCはMmp13およびAdamts5発現を阻害する。FTCがAcanを誘導すると、3TCはCol2およびAcan発現を誘導する。まとめると、データは、3TCおよびFTCの潜在的な抗OAの役割をさらに示している。
【0138】
NRTIが続発性OAモデルを救済することができるかどうかを試験するために、8週齢から合計4週間にわたり、それぞれ3TCまたはFTC希釈水を用いてDMMまたは偽手術を行った129S6マウスを処置した。薬物処置群と対照処置群との間に、体重の感知できるほどの差は認められなかった。組織学的評価中、3TCおよびFTCの両処置が、手術した膝のDMM誘発性プロテオグリカン喪失を効果的に予防することが見出された。一方、qPCR分析により、3TCおよびFTCによって導入されたLine-1阻害が確認された。Mmp13、Adamts5および肥大マーカーCol10を含む軟骨溶解マーカーは、生理食塩水処置と比較して、3TCおよびFTC処置DMM群では有意に抑制される。3TCおよびFTC処置ではともに、DMMによるmiR-365誘導が有意に妨げられ、NRTIがmiR-365の上流で作用し得るという興味深い暗示がもたらされている。したがって、3TCおよびFTCは、Line-1のアップレギュレーションを阻害し、OAマーカーを抑制することにより、続発性OAの発症を予防する。
【0139】
データは、miR-365がDicer、PrkdcおよびSqstm1を含むレトロトランスポーザブルエレメント抑制因子を標的にすることを示している。miR-365は、この回路を介して、Line-1発現を制御し、それによって軟骨の分解を促進する。NRTI、例えば、3TCおよびFTCを使用したLine-1発現の抑制は、それらの抗逆転写機能を介して軟骨の分解を予防し、OA表現型の救済をもたらす。
【0140】
変形性関節症はレトロトランスポゾンLINE-1のマイクロRNAアップレギュレーションを阻害することによって処置される
本発明以前は、レトロトランスポーザブルエレメントの活性化は、OAの病因と関連付けられていなかった。本発明者らの結果は、ヒトOA検体およびマウスインビボモデルの両方で、OA発症とLine-1活性化との間の相関を初めて明らかにする。
【0141】
病因学がOAの病因の単一の原因が存在しないことを示しているように、OAは多因子および多遺伝子性疾患である(Birren,et al.Development 119,597-610(1993))。ヒトOA検体は、ヒトドナーの情報全体を追跡することが困難なため、病因が不均一である。miR-365のアップレギュレーションとLine-1の活性化とはヒトOA検体の大部分で一致しており、ほとんどのヒト症例では、これら2つの間に強い関連が存在することを示している。Line-1活性化は加齢とも相関し得ることから(De Cecco,M.,et al.Aging Cell 12,247-256(2013)、Ali,M.,et al.Annals of the rheumatic diseases 62,663-666(2003))、ヒトドナーが様々な年齢であることを考慮すると、Line-1の基礎レベルを統一することは困難である。もっとも、WTマウスではOA発症はほとんど生じない。miR-365 Tgマウスは、軟骨内で最も多くの集団を構成するCol2系列細胞内のmiR-365の過剰発現によって特異的に誘発される単因子OAモデルを代表する。さらに、マウス実験対象はいずれも年齢および性別を適合させているため、齧歯類の結果は均一性が高く、個々の対象間で一貫性が高い。本明細書において記載される当技術分野において認められているマウスモデルは、ヒトの疾患/障害を示している。
【0142】
3TCを用いて処置されたmiR-365 Tgマウスから得られたデータは、miR-365の下流遺伝子であるIL-6発現が変化しないままであるため、3TCがLine-1経路の抑制を介してCol10およびAdamts5の発現を特異的に阻害することを示している。特にmiR-365 Tgでは、miR-365およびLine-1の発現は、3TCによって有意に抑制される。DMM誘発性OAモデルでは、miR-365発現は3TCおよびFTCによって有意に抑制される。データは、NRTIがmiR-365発現に影響を与えることを示している。有害作用をもたらすことなく原発性OAおよび続発性OAの両方を処置する際の3TCおよびFTCの効果的な使用のための良好な指標である物理的miR-365発現が機械的シグナル伝達中に必要であるため、例えば、非損傷OAモデルでは、3TCおよびFTCの処置は前記物理的miR-365/Line-1発現を特異的に抑制する。
【0143】
siLine-1および3TCはいずれも、インビトロでLine-1だけでなくIhhを抑制するが、3TCはインビボでLine-1のみを抑制しIhhを抑制しない。この差は、インビトロ条件とインビボ環境との間の対比に起因し得る。例えば、PCは新生仔マウスから単離されるが、インビボ3TCは、qPCRが行われる2カ月齢から6カ月齢まで、ほぼ完全に発達したマウスに対して行われる。異なる段階の軟骨細胞内のLine-1阻害の効果は様々であり得る。さらに、前者の実験は一過性であるが、後者は長期的な処置である。最後になるが、少なくとも、3TC処置は、Line-1を特異的に阻害する以外に、他の経路を変化させる可能性がある。Ihh経路は、少なくとも長期の3TC処置中は、インビボでの軟骨内のLine-1経路と平行する可能性がある。同様の解釈が、miR-365によって誘導されたMmp13の結果の根底にある可能性もある。
【0144】
この試験では、OA発症を促進するためにレトロトランスポーザブルエレメントであるLine-1を誘導することにより、miR-365の調節的役割を実証した。OAの重症度を低減および/または予防するために、変形性関節症に対抗する治療アプローチとして、3TCおよびFTC、ならびにLine-1に対するsiRNAの投与を含め、Line-1を抑制するための実行可能な方法が有用である。
【0145】
薬学的組成物
本発明はまた、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)(例えば、3TCまたはFTC)および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体を含む薬学的組成物を提供する。例では、薬学的組成物は、本発明の方法に関連して本明細書において記載される有効量のNRTI(例えば、3TCまたはFTC)を含む。
【0146】
一態様では、組成物(例えば、NRTIを含む組成物)は、単一の剤形で少なくとも1つの追加の治療薬とさらに組み合わされる。
【0147】
用語「薬学的に許容される」は、穏当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、合理的な利益/リスク比に相応した、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物、担体および/または剤形を指す。
【0148】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、一般に安全で、毒性がなく、生物学的にも他の点でも望ましくないものではない薬学的組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、獣医用およびヒトの医薬用途に許容される賦形剤を含む。薬学的に許容される賦形剤の例には、限定されることなく、滅菌液体、水、緩衝食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、油、洗浄剤、懸濁剤、炭水化物(例えば、グルコース、ラクトース、スクロースまたはデキストラン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸またはグルタチオン)、キレート剤、低分子量タンパク質またはそれらの好適な混合物が挙げられる。
【0149】
薬学的組成物は、バルクまたは単位剤形で提供され得る。投与の容易さおよび投与量の均一性のために、単位剤形で薬学的組成物を製剤化することは特に有利である。本明細書において使用される用語「単位剤形」は、処置される対象に対する単一投与量として適した物理的に別個の単位を指す。各単位は、必要な薬学的担体と関連して所望の治療効果を生み出すように計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の仕様は、活性化合物の固有の特性、および達成されるべき特定の治療効果によって決定され、それらに直接依存する。単位剤形は、アンプル、バイアル、坐剤、糖衣錠、錠剤、カプセル、IVバッグ、またはエアロゾル吸入器上の単一ポンプであり得る。
【0150】
OA(またはRA関節リウマチ)などの関節障害の処置では、NRTIは、関節内(関節に直接)、静脈内、経口または経皮的に投与される。
【0151】
非経口および/または関節内調製物は、アンプル、使い捨て注射器、またはガラスもしくはプラスチック製の複数回投与バイアルに封入され得る。関節内投与は、疾患および再燃、例えば、関節の疼痛、変形性関節症、滑膜炎などの局所処置に有用である。本発明の複合体はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与され得る。例示的な投与には、関節内、関節周囲、嚢内、筋肉内、または軟組織-腱断裂が含まれる。成人に対する例示的な投与量を以下に示し、ヒトの小児については相対的にそれよりも少ない。
【0152】
治療用途では、投与量は、選択された投与量に影響を与える他の要因の中でも、薬剤、受容患者の年齢、体重および臨床状態、ならびに治療を行う臨床医または開業医の経験および判断に応じて変化する。一般に、用量は治療有効量であるべきである。投与量は、mg/kg/日の測定単位で提供することができる(患者の体重(kg)、体表面積(m2)および年齢(歳)に応じて用量が調節され得る)。本明細書において、筋肉の疾患または障害を処置する方法における組成物の例示的な用量および投薬レジメンが記載される。
【0153】
薬学的組成物は、任意の所望の経路(例えば、肺、吸入、鼻腔内、経口、口腔、舌下、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、髄腔内、経皮、経粘膜、直腸など)による投与に適した任意の形態(例えば、液体、エアロゾル、溶液、吸入剤、ミスト、スプレー;または固体、粉末、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、パッチなど)をとることができる。例えば、本発明の薬学的組成物は、吸入もしくは吹送(口または鼻のいずれかを介して)によるエアロゾル投与用の水溶液もしくは粉末の形態、経口投与用の錠剤もしくはカプセルの形態、直接注射による投与、もしくは静脈内注入用の無菌注入液への添加のいずれかによる投与に適した無菌水溶液もしくは無菌分散液の形態、または経皮もしくは経粘膜投与用のローション、クリーム、フォーム、パッチ、懸濁液、溶液もしくは坐剤の形態であり得る。
【0154】
態様では、薬学的組成物は注射可能な形態を含む。
【0155】
薬学的組成物は、限定されることなく、カプセル、錠剤、口腔形態、トローチ、ロゼンジ、およびエマルジョン、水性懸濁液、分散液または溶液の形態の経口液体を含む経口的に許容される剤形の形態であり得る。カプセルは、本発明の化合物と、不活性な増量剤および/または希釈剤、例えば、薬学的に許容されるデンプン(例えば、トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカのデンプン)、糖、人工甘味料、粉末セルロース、例えば、結晶セルロースおよび微結晶セルロース、穀粉、ゼラチン、ガムなどとの混合物を含有し得る。
【0156】
薬学的組成物は、全身投与に適した無菌水溶液または無菌分散液の形態であり得る。
【0157】
薬学的組成物は、直接注射による投与、または静脈内注入用の無菌注入液への添加のいずれかによる投与に適した無菌水溶液または無菌分散液の形態であり得、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物または1つもしくは複数の植物油を含有する溶媒または分散媒を含む。遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての、本発明の化合物の溶液または懸濁液は、界面活性剤と好適に混合された水中に調製することができる。好適な界面活性剤の例を以下に示す。分散液は、例えば、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中に調製することもできる。
【0158】
本発明の方法に使用するための薬学的組成物は、製剤中に存在する任意の担体または希釈剤(ラクトースまたはマンニトールなど)に加えて、1つまたは複数の添加剤をさらに含むことができる。1つまたは複数の添加剤は、1つまたは複数の界面活性剤を含むか、それらからなり得る。界面活性剤は、典型的には、1つまたは複数の長い脂肪族鎖、例えば脂肪酸を有し、それにより、それらが細胞の脂質構造内へ直接挿入されて薬物の透過および吸収を高めることができる。界面活性剤の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために一般に使用される経験的パラメータは、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。HLB値が低い界面活性剤は疎水性が高く、油への溶解度が高いのに対して、HLB値が高い界面活性剤は親水性が高く、水溶液への溶解度が高くなる。したがって、親水性界面活性剤は、一般に、約10超のHLB値を有する化合物であると考えられ、疎水性界面活性剤は、一般に、約10未満のHLB値を有する化合物である。ただし、多くの界面活性剤では、HLB値を決定するために選択された経験的方法に応じて、HLB値は約8HLB単位も異なる可能性があるため、これらのHLB値は目安に過ぎない。
【0159】
本明細書において使用されるあらゆるパーセンテージおよび比率は、特に明記しない限り、重量による。本発明の他の特徴および利点は、様々な例から明らかである。提供される例は、本発明を実施するのに有用な様々な構成要素および方法を示している。例は、主張された発明を限定するものではない。本開示に基づいて、当業者は、本発明を実施するのに有用な他の構成要素および方法を識別し、使用することができる。
【0160】
NRTIを含むキット
局面では、NRTI用のキットが提供される。態様では、キットは、NRTIおよび試薬を含む。
【0161】
態様では、キットの構成要素は、対象への送達(例えば、全身投与)に適している。
【0162】
本発明はまた、本発明の方法に使用するための薬学的組成物を含む包装およびキットを提供する。キットは、ボトル、バイアル、アンプル、ブリスターパックおよび注射器からなる群より選択される1つまたは複数の容器を含むことができる。キットは、本発明の疾患、状態または障害(例えば、変形性関節症などの関節疾患)の処置および/または予防に使用するための説明書、1つもしくは複数の注射器、1つもしくは複数のアプリケーター、または本発明の薬学的組成物を再構成するのに適した無菌溶液のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0163】
一般的な定義
特に別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学および生化学における)によって一般に理解されるのと同じ意味を有すると解釈されるものとする。
【0164】
本明細書において使用される場合、数値または範囲の文脈における用語「約」は、文脈がさらに限定された範囲を必要としない限り、列挙または主張される数値または範囲の±10%を意味する。
【0165】
上記の説明および特許請求の範囲において、「のうちの少なくとも1つ」または「のうちの1つまたは複数」などの句が出現し、その後に要素または特徴の接続的な列挙が続く場合がある。用語「および/または」はまた、2つ以上の要素または特徴の列挙に出現し得る。そのような句は、それが使用される文脈と黙示的または明示的に矛盾しない限り、列挙されている要素もしくは特徴のうちのいずれかを個別に、または列挙されている要素もしくは特徴のうちのいずれかと、他の列挙されている要素もしくは特徴のうちのいずれかとを組み合わせて意味するよう意図される。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つまたは複数」、および「Aおよび/またはB」という句はそれぞれ、「A単独、B単独、またはAとBとを一緒に」を意味するよう意図される。3つ以上の項目を含む列挙についても同様の解釈が意図される。例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」、「A、BおよびCのうちの1つまたは複数」および「A、Bおよび/またはC」という句はそれぞれ、「A単独、B単独、C単独、AとBとを一緒に、AとCとを一緒に、BとCとを一緒に、またはAとBとCとを一緒に」を意味するよう意図される。さらに、上記および特許請求の範囲における用語「に基づく」の使用は、列挙されていない特徴または要素も許容されるように、「に少なくとも部分的に基づく」を意味するよう意図される。
【0166】
パラメータ範囲が提供される場合、その範囲内のすべての整数、およびその10分の1もまた、本発明によって提供されることが理解される。例えば、「0.2~5mg」は、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、例えば5.0mg以下の開示である。
【0167】
小分子とは、質量が2000ダルトン未満の化合物である。小分子の分子質量は、好ましくは1000ダルトン未満、さらに好ましくは600ダルトン未満であり、例えば、化合物は、500ダルトン未満、400ダルトン未満、300ダルトン未満、200ダルトン未満または100ダルトン未満である。
【0168】
本明細書において使用される場合、「単離された」または「精製された」核酸分子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、組換え技術によって生成される場合、他の細胞材料もしくは培養培地、または化学的に合成される場合、化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。精製された化合物は、目的の化合物の少なくとも60重量%(乾燥重量)である。好ましくは、調製物は、目的の化合物の少なくとも75重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%である。例えば、精製された化合物は、所望の化合物の少なくとも90重量%、少なくとも91重量%、少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%または少なくとも100重量%(w/w)である化合物である。純度は、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、任意の適切な標準的な方法により測定される。精製または単離されたヌクレオシド、ヌクレオシド類似体、例えば、NRTI、その天然に存在する状態でそれに隣接するヌクレオチドまたはヌクレオシドのポリヌクレオチド(リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA))。精製または単離されたポリペプチドは、その天然に存在する状態でそれに隣接するアミノ酸配列を含まない。また、精製されたとは、例えば、感染性または毒性作用物質の欠如など、ヒト対象に投与するのに安全な無菌性の程度を定義する。
【0169】
同様に、「実質的に純粋」とは、それに天然に付随する成分から分離されたヌクレオチドまたはポリペプチドを意味する。典型的には、ヌクレオチドおよびポリペプチドは、それらが少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%であるか、少なくとも99重量%であっても、それらが天然に会合しているタンパク質および天然に存在する有機分子を含まない場合、実質的に純粋である。
【0170】
「含む(including)」、「含有する(containing)」または「によって特徴付けられる」と同義である移行用語「含む(comprising)」は、包括的またはオープンエンドであり、追加的な、列挙されていない要素または方法工程を除外しない。対照的に、移行句「からなる」は、特許請求の範囲において指定されていない、いかなる要素、工程または成分も除外する。移行句「から本質的になる」は、主張された発明の指定の材料または工程「ならびに基本的な特性および新規の特性に実質的に影響を及ぼさないもの」に特許請求の範囲を限定する。
【0171】
本明細書において使用される用語「対象」、「患者」、「個体」などは、限定することを意図するものではなく、一般に交換することができる。すなわち、「患者」として記載される個体は、必ずしも所定の疾患を有するとは限らず、単に医学的助言を求めている場合がある。
【0172】
本明細書において使用される用語「対象」は、変形性関節症障害と診断されたヒトまたは動物を含む。
【0173】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「疾患」、「疾患状態」または「核酸」への言及は、1つまたは複数のそのような態様への言及であり、当業者などに公知のそれらの同等物を含む。
【0174】
本明細書において使用される場合、「処置」は、例えば、障害の進行の阻害、退縮または停滞を包含する。処置はまた、障害のいずれかの単数または複数の症状の予防または改善を包含する。本明細書において使用される場合、対象の疾患進行または疾患合併症の「阻害」は、対象の疾患進行および/または疾患合併症を予防または低減することを意味する。
【0175】
本明細書において使用される場合、障害に関連する「症状」は、障害に関連するいずれかの臨床的または実験的症状を含み、対象が感知または観察できるものに限定されない。
【0176】
本明細書において使用される場合、治療用化合物の量を指す場合の「有効」は、本開示の方法で使用される場合の合理的な利益/リスク比に相応した、過度の有害副作用(毒性、刺激またはアレルギー反応など)を伴わずに所望の治療反応をもたらすのに十分な化合物の量を指す。
【0177】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される」担体または賦形剤とは、合理的な利益/リスク比に相応した、過度の有害副作用(毒性、刺激およびアレルギー反応など)を伴わずにヒトおよび/または動物に使用するのに適した担体または賦形剤を指す。それは、例えば、本発明の化合物を対象に送達するための薬学的に許容される溶媒、懸濁剤またはビヒクルであり得る。
【0178】
本発明のさらに完全な理解を容易にするために、以下に実施例を提供する。以下の実施例は、本発明を作成および実施する例示的な様式を示している。ただし、本発明の範囲は、これらの実施例に開示された特定の態様に限定されず、実施例は、同様の結果を得るために代替の方法が利用され得るため、例示のみを目的とする。
【0179】
「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって最適に整列させた2つの配列を比較することによって決定され、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアライメントのために、(付加または欠失を含まない)参照配列と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得て、一致した位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0180】
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈では、用語「同一の」またはパーセント「同一性」は、配列比較アルゴリズムを使用して、または手動アライメントおよび目視検査によって測定した場合に、比較ウィンドウまたは指定された領域にわたって、最大一致を目的として比較し、アライメントする際に、同じであるか、同じアミノ酸残基またはヌクレオチドの特定のパーセンテージ(例えば、ポリペプチド配列全体またはその個々のドメインなどの特定の領域にわたって、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性)を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。少なくとも約80%同一であるそのような配列は、「実質的に同一」であると言われる。いくつかの態様では、2つの配列は100%同一である。特定の態様では、2つの配列は、配列のうちの1つ(例えば、配列が異なる長さを有する2つの配列のうちの短い方)の全長にわたって100%同一である。様々な態様では、同一性は、試験配列の相補体を指し得る。いくつかの態様では、同一性は、少なくとも約10~約100、少なくとも約20~約75、少なくとも約30~約50のアミノ酸長またはヌクレオチド長である領域にわたって存在する。特定の態様では、同一性は、少なくとも約50のアミノ酸長である領域にわたって、またはさらに好ましくは、100~500、100~200、150~200、175~200、175~225、175~250、200~225、200~250もしくはそれ以上のアミノ酸長である領域にわたって存在する。
【0181】
配列比較では、典型的には、1つの配列が参照配列として機能し、参照配列に対して試験配列が比較される。様々な態様では、配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。好ましくは、デフォルトのプログラムパラメータを使用することができるか、代替パラメータを指定することができる。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0182】
「比較ウィンドウ」は、2つの配列が最適にアライメントされた後、配列が、同じ数の隣接する位置の参照配列と比較され得る隣接する位置の数(例えば、少なくとも約10~約100、少なくとも約20~約75、少なくとも約30~約50、少なくとも100~500、少なくとも100~200、少なくとも150~200、少なくとも175~200、少なくとも175~225、少なくとも175~250、少なくとも200~225、少なくとも200~250)のいずれか1つのセグメントを指す。様々な態様では、比較ウィンドウは、2つのアライメントされた配列の一方または両方の全長である。いくつかの態様では、比較される2つの配列は異なる長さを含み、比較ウィンドウは、2つの配列のうちの長い方または短い方の全長である。比較のための配列のアライメントの方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアライメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズムによって、Pearson&Lipman,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性に関する検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によって、または手動アライメントおよび目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.1995 supplement)を参照)によって行うことができる。
【0183】
様々な態様では、パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムは、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschul et al.,Nuc.Acids Res.25:3389-3402(1977)およびAltschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されている。本明細書において記載されるパラメータとともにBLASTおよびBLAST 2.0を使用して、核酸およびタンパク質のパーセント配列同一性を決定してもよい。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、当技術分野で公知であるように、国立バイオテクノロジー情報センターを通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、クエリ配列中の長さWの短い文字列を識別することによって、高スコアの配列ペア(HSP)を識別することを伴い、これは、データベース配列中の同じ長さの文字列とアライメントした際に、何らかの正の値の閾値スコアTと一致するか、それを満たす。Tとは、近傍文字列スコア閾値を指す(Altschul et al.,前記)。これらの初期の近傍文字列ヒットは、これらを含むさらに長いHSPを見出す検索を開始するためのシードとして機能する。文字列ヒットは、累積アライメントスコアが増加し得る限り、各配列に沿って両方向に延長される。ヌクレオチド配列の場合、累積スコアは、パラメータM(一対の一致残基の報酬スコア値;常に>0)およびN(不一致残基のペナルティスコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列の場合、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアを計算する。累積アライメントスコアが、その最大達成値から量Xだけ減少した場合、1つもしくは複数の負のスコアの残基アライメントの蓄積のために累積スコアがゼロもしくはそれ以下になった場合、またはいずれかの配列の末端に到達した場合、各方向における文字列ヒットの延長が停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、11の文字列長さ(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、および両方の鎖の比較をデフォルトとして使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、3の文字列長さ、および10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照)50のアライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、および両方の鎖の比較をデフォルトとして使用する。
【実施例】
【0184】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を示しており、本発明の範囲を限定することを意味するものではない。
【0185】
本明細書の態様は、以下の実施例および詳細なプロトコルによってさらに説明される。ただし、実施例は、態様を説明することを意図するに過ぎず、本明細書の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本出願を通して引用されたすべての参考文献ならびに公開された特許および特許出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0186】
以下の実施例の例示的な非限定的方法は、他の方法と比較して、3つの市販の培地を使用して、大部分が血清/異物を含まないベージュ脂肪細胞を生成し、これにより、さらに一定した結果をもたらした。これらのベージュ脂肪細胞は、褐色脂肪細胞と機能的には類似していたが、発達上は異なっている。態様では、血清特性はロットごとに変化し得、高度に品質管理された培地が使用されることが好ましい。
【0187】
実施例1: OAでのL1の活性化、およびmiR-365へのその依存
OA関節でL1レベルが上昇したかどうかを決定するために、高齢患者(女性:68
+12;男性73
+5)の関節置換術から採取した同じヒトOA軟骨検体のOA病変および非病変領域(
図5B)からRNAを抽出した(
図5A)。これにより、様々な患者のL1レベルの個人差を排除した。OA病変は、亀裂(
図5C)、プロテオグリカンの比較的顕著な喪失(
図5D)、および非病変と比較して老化細胞のパーセンテージの有意な増加(
図5E)を示した。
【0188】
L1レベルは、OA患者の大部分では、非病変領域よりもOA病変領域で有意にアップレギュレートされた(
図1A)。対照的に、ヒトゲノム内の別の豊富なトランスポゾンであるアルスロバクター・ルテウス(
Arthrobacter
luteus)エレメント(Alu)は、ヒトOA病変では均一なアップレギュレーションを示さなかった(
図1B)。機械的および炎症感受性マイクロRNAであるMiRNA-365(Yang,X.,et al.Int J Mol Sci 17,436(2016)、およびGuan,Y.J.,et al.FASEB journal 25,4457-4466(2011))はOA患者の大部分でアップレギュレートされ(
図1C)、OA軟骨内のL1とmiR-365との間の関連が示唆された。
【0189】
この関連を試験するために、マウス初代軟骨細胞にmiR-365模倣物をトランスフェクトした。MiR-365は、L1(
図1D)、OAマーカーであるインディアンヘッジホッグ(Ihh)およびADAMTS-5(
図1Eおよび1G)、ならびに細胞老化関連分泌現象(SASP)マーカーMMP-3(
図1F)を有意に誘導した。MiR-365はまた、同化細胞外マトリックス(ECM)(anabolic extracellular matrix)Col2a1およびAcanを有意に減少させた(
図1Hおよび
図1I)。miR-365によって誘発される遺伝子発現の変化がL1に依存するかどうかを決定するために、L1に対してsiRNAをスクリーニングした(
図6A)。L1 siRNA(siLine-1D)によりL1をノックダウンすると、miR-365によって誘発される遺伝子発現の変化が消失した(
図1D~
図1I)。したがって、L1活性化はインビトロでmiR-365に依存していた。
【0190】
L1活性化がインビボでもmiR-365に依存するかどうかを決定するために、染色体4の遺伝子間領域にmiR-365-Flox導入遺伝子を有するマウスを作成した(Yang,K.,et al.Connect Tissue Res 58,103-115(2017))。miR-356-FloxマウスとCol2a1 Creマウスとの交配により、miR-365導入遺伝子が軟骨内に特異的に発現するトランスジェニックマウス(miR-365 Tg)を作成した(
図7)(Yang,K.,et al.Connect Tissue Res 58,103-115(2017))。これらのマウスでは、それらの同腹仔のCre単独と比較して、軟骨内のmiR-365レベルが最大6倍増加した(
図1J)。L1 RNAレベルは、成体期を通して軟骨内の最大3倍の増加に対して一定してアップレギュレートされた(
図1K)。これらのマウスの軟骨は、関節軟骨の菲薄化および喪失(
図1Qおよび1R)と、OAマーカーCol10a1およびMmp13の発現(
図1P)とを特徴とするOAの早期発症を発現した6カ月齢まで表現型的に正常であった。リアルタイムPCR分析は、軟骨ではOAマーカーIhh、Col10a1、Adamts5およびMmp13のmRNAレベルがアップレギュレートされたことを示した(
図11O)。したがって、miR-365はL1を活性化し、インビボでOAの早期発症を引き起こした。
【0191】
L1活性化が損傷誘発性PTOAにも関連したかどうかを決定するために、異なるOA発症期間を有する2つの遺伝子系統のマウス(129s6/SvEvおよびC57BL/6)に対して内側半月の不安定化(DMM)手術を行うことにより、関節損傷を発生させた(
図1Sおよび
図1V)。関節損傷は、129s6/SvEvマウスの非損傷膝と比較して、PTOA発症中(3カ月齢)に損傷膝のL1およびmiR-365の両レベルを有意に増加させた(
図1Tおよび
図1U)。したがって、関節損傷は軟骨内のL1レベルおよびmiR-365レベルを誘導した。
【0192】
加齢プロセスがL1レベルに及ぼす影響を決定するために、C57BL/6マウスに対してDMM手術を行い、さらに5カ月間老化させた(
図1V)。L1レベルは4カ月齢の時点で、OAの発症後の最初の1.5カ月の期間(4~5.5カ月)中にほぼ2倍になったが、その後の1.5カ月の期間(5.5~7カ月)中にほぼ200倍に増加した(
図1W)。これは、これらの2つの期間中に線形蓄積を有したmiR-365とは対照的であった(
図1X)。これにより、L1がOAの進行中に増幅されたことが示された。したがって、L1は損傷によって活性化され、加齢中に増幅される。
【0193】
実施例2: miR依存性L1活性化の機構
MiR365は、機械的ストレスおよび炎症性サイトカインによって誘発され得るが(Yang,X.,et al.Int J Mol Sci 17,436(2016)、およびGuan,Y.J.,et al.FASEB journal 25,4457-4466(2011))、MiR365がどのようにL1を活性化し得るかは分かっていなかった。miR-365は、宿主防御経路でL1阻害物質を標的とすることにより、転写後の様式でL1を活性化すると仮定した。公開された文献(Goodier,J.L.Mob DNA 7,16(2016))に基づく40のL1阻害物質の生物情報学分析を通じて、ヒトおよびマウスの両方のmRNAの3'UTRに潜在的なmiR-365結合部位を有する5つのL1阻害物質を同定した(
図8A)。それらは、DNA修復のPrkdc(Morrish,T.A.,et al.Nature 446,208-212(2007)およびMorrish,T.A.,et al.Nature genetics 31,159-165(2002))、DNA編集のAicda(Metzner,M.,et al.PloS one 7,e49358(2012))、RNA干渉のDicer(Faulkner,G.J.PLoS Genet 9,e1003944(2013))、オートファジーのSqstm1(Guo,H.,et al.Nature communications 5,5276(2014))およびウイルス阻害のZc3hav1(Moldovan,J.B.et al.PLoS Genet 11,e1005121(2015))である(
図2A)。
【0194】
これらの標的をさらに3つの方法でスクリーニングした(
図8B)。最初に、ヒトおよびマウスのOA軟骨内のそれらの発現を定量した。ヒトOA軟骨病変では、DICER、PRKDC、SQSTM1およびZC3HAV1のmRNAが均一にダウンレギュレートされ(
図2B~
図2E)、miR-365 Tgマウス軟骨では、Dicer、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1がダウンレギュレートされた(
図2F~
図2I)。しかし、AICDAはヒト軟骨では検出されず、マウス軟骨細胞では非常に低レベルで発現した(
図2J)。したがって、宿主防御経路では、DICER、PRKDC、SQSTM1およびZC3HAV1を含む複数のL1阻害物質がOA軟骨内で抑制された。第二に、マウスおよびヒトの両軟骨細胞にmiR-365をトランスフェクトした。MiR-365は、マウス細胞およびヒト細胞の両方でDICER、PRKDC、SQSTM1およびZC3HAV1のmRNAを阻害したが、いずれの種でもAICDA mRNAを阻害しなかった(
図2Jおよび
図2K)。したがって、miR-365誘導は、DICER、PRKDC、SQSTM1およびZC3HAV1を含む複数のL1阻害物質を同時に抑制するのに十分であった。第三に、これら5つのmRNAの3'UTRに推定上のmiR-365結合部位を有するルシフェラーゼレポーター構築物を作成した。miR-365のトランスフェクションは、Dicer、PrkdcおよびSqstm1の3'UTRレポーター活性を阻害したが、AicdaおよびZc3hav1の活性は阻害しなかった(
図2L)。Dicer、PrkdcおよびSqstm1の3'UTR領域内のmiR-365結合部位の変異により、レポーター活性のmiR-365阻害が消失した(
図2L)。したがって、miR-365は、転写後機構を通じて、DICER、PRKDC、SQSTM1を含む複数のL1阻害物質を阻害した。これらのデータに基づいて、1)L1阻害物質のうち、DICER、PRKDC、SQSTM1およびZC3HAV1がmiR-365の標的であり、2)miR-365が、mRNAの3'UTR内の結合部位を介して、DICER、PRKDC、SQSTM1を阻害するとの結論を下した。
【0195】
miR-365は、DicerおよびSqstm1を阻害することによりL1を活性化した。miR-365模倣物のトランスフェクションはRNAレベルおよびタンパク質レベルの両方でL1を刺激したが(
図2Mおよび
図2N)、Dicerタンパク質を阻害した(
図2O)。逆に、miR-365阻害物質のトランスフェクションはL1を抑制したが(
図2Mおよび
図2N)、Dicerタンパク質レベルを増加させた(
図2O)。したがって、miR-365はL1タンパク質レベルおよびDicerタンパク質レベルを調節した。Sqstm1 cDNAのトランスフェクションはL1タンパク質(ORF1)を阻害し(
図2P)、L1が軟骨細胞内のSqstm1の標的であることが示された。さらに、Sqstm1のトランスフェクションはmiR-365によるL1 ORF1タンパク質レベルの増加を減弱させ(
図2Q)、L1のmiR-365刺激がSqstm1の阻害によることが示された。これらのデータは、miR-365が、軟骨細胞の転写後機構を介して複数の宿主防御分子を阻害することによりL1を活性化したことをまとめて示唆している。
【0196】
実施例3: L1の抑制はOAの早期発症を阻害する
L1は、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)によって抑制され得る(Dai,L.,Huang,Q.&Boeke,J.D.BMC Biochem 12,18(2011)、Patnala,R.,et al.Breast Cancer Res Treat 143,239-253(2014)、およびJones,R.B.,et al.PLoS One 3,e1547(2008))。NRTIによるL1の抑制がOA遺伝子発現を阻害するのに十分であるかどうかを決定するために、一連の濃度のラミブジン(3TC)を用いて軟骨細胞を処理した(
図3A~
図3AC)。3TCは、マウス(
図3Aおよび
図3H)およびヒト(
図3I)の軟骨細胞内で、RNAおよびタンパク質レベルの両方でL1発現を阻害した。マウス(
図3B~
図3G)およびヒト(
図3J~
図3N)の軟骨細胞では、3TCによりL1を抑制すると、COL10A1、ADAMTS5およびMMP13を含むOAマーカーの発現が阻害され、ACANおよびCOL2A1を含む同化マーカーが刺激された。3TCが軟骨細胞に対するmiR-365の作用を消失させ得るかどうかを決定するために、3TCをトランスフェクトしたヒト軟骨細胞を用いてmiR-365を処理した。miR-365のトランスフェクションは、L1ならびにOAマーカーADAMTS5、IHHおよびCOL10A1を有意に増加させ、ACANレベルを減少させた(
図3O~
図3T)。3TC処理は、miR-365の作用を消失させ、場合によっては逆転させた(
図3O~
図3T)。したがって、3TC処理はインビトロでOA遺伝子発現を抑制するのに十分であった。
【0197】
RT-qPCRによって、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのPrkdcの遺伝子発現を評価した。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
【0198】
また、RT-qPCRによって、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのDicerの遺伝子発現を評価した。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
【0199】
RT-qPCRによって、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのSqstm1の遺伝子発現を評価した。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
【0200】
RT-qPCRによって、3TCにより4カ月間処置されたマウス関節軟骨におけるRNAレベルでのZc3hav1の遺伝子発現を評価した。3TCにより処置したmiR-365 Tgマウスでは、Line-1-ORF2、Alu、IL-6、Col10a1、Adamts5およびmiR-365の発現は、生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスでのLine-1発現の上昇と比較して有意に抑制された。miR-365 Tgマウスでは、3TC処置は、Sqstm1およびZac3hav1の発現を有意にアップレギュレートした。統計には、スチューデントのt検定および一元配置分散分析検定(x-ac)を使用した。n≧4。*p≦0.05、**p≦0.01、それぞれ適切な対照群と比較。
【0201】
3TCがインビボでOA発症を抑制するのに十分であるかどうかを決定するために、2カ月齢から4カ月間にわたり、3TCの経口投与によりmiR-365 Tgマウスを処置した(
図3U)。生理食塩水により処置したmiR-365 TgマウスではL1レベルが上昇し(
図3X)、6カ月齢の時点でOAの早期発症が発現したが(
図3Vおよび
図3W)、3TC処置は、L1上昇(
図3X)およびOA発症(
図3Vおよび
図3W)を消失させた。3TC処置は、OAマーカーCol10a1およびAdamts5(
図3AAおよび
図3AB)ならびにSASP IL-6(
図3Z)の発現を阻害した。3TC処置はまた、OA軟骨内のmiR-365レベルの上昇を消失させ(
図3AC)、OA発症を引き起こし、ひいては軟骨内でmiR-365を刺激するmiR-365誘導性L1の悪循環を破壊することによって、NRTI処置がOA発症を阻害したことが示唆された(
図11)。
【0202】
3TC処置がL1阻害物質のmiR-365阻害を消失させたかどうかを決定するために、4カ月間にわたる3TC処置後のmiR-365 Tgマウスに対してDicer、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1のmRNAレベルを定量した。6カ月齢のmiR-365 Tgマウスでは、これらの阻害物質の発現レベルが阻害されたが(
図2F~
図2I)、そのような阻害は3TC処置によって消失した(
図8D)。したがって、3TCは、miR-365の作用を克服することにより、L1に対する複数の宿主防御分子を刺激した(
図11)。
【0203】
NRTIは、ヒトHIV患者の骨塩量(BMD)を減少させ得る(Hoy,J.F.,et al.J Bone Miner Res 32,1945-1955(2017))。OA発症は、軟骨下骨のBMDの増加と関連している可能性がある(Hochberg,M.C.,Osteoarthritis and cartilage/OARS,Osteoarthritis Research Society 12 Suppl A,S45-48(2004)およびHardcastle,S.A.,et al.,Bonekey Rep 4,624(2015))。3TCがmiR-365 TgマウスのBMDに影響を与えたかどうかを決定するために、microCTを行って軟骨下骨の特性を定量した。miR-365 Tgマウスでは脛骨軟骨下BV/TVが増加したが(
図9B)、3TC処置は、Cre対照マウスまたはmiR-365 Tgマウスのいずれに対してもBV/TVを有意に変化させなかった(
図9B)。3TC処置は、Creマウスでは小柱数(
図9C)および接続密度(
図9F)を増加させ、小柱分離(
図9E)を減少させたが、miR-365 Tgマウス(
図9B~
図9Cおよび
図9E~
図9F)には影響を与えなかった。したがって、3TCは、miR-365 Tgマウスの軟骨下BMDを減少させることなく軟骨変性を阻害した。
【0204】
実施例4: NRTIはマウスのOA発症を阻害する
他のNRTIもOA遺伝子発現を阻害したかどうかを決定するために、一連の濃度のエムトリシタビン(FTC)を用いてマウス軟骨細胞を処理した(
図4A~
図4F)。FTC処理は、L1レベル(
図4A)、ならびにインフラマソームNlrp3、P2rx7およびIfn-α mRNAの発現(
図4B~
図4D)を有意に阻害した。100μM未満の濃度でのFTC処理はまた、軟骨細胞内の同化ECM Col2a1およびAcanのレベルを増加させた(
図4Eおよび
図4F)。異なるNRTIの効果を比較するために、骨器官培養で10μMの3TCまたは25μMのFTCのいずれかを用いて脛骨軟骨を処理した(
図4G~
図4O)。3TCまたはFTC処理は、L1レベル(
図4G)、OAマーカーAdamts5、Col10a1、IhhおよびMmp13ならびにSASP Mmp3およびIfn-a mRNAのレベル(
図4H~
図4M)を有意に阻害した。3TCまたはFTC処理はまた、Col 2a1およびAcan mRNAのレベルを増加させた(
図4Nおよび
図4O)。したがって、NRTIは、軟骨内でOA遺伝子発現を阻害し、同化遺伝子発現を促進した。
【0205】
NRTIがPTOAを阻害したかどうかを決定するために、DMM手術を行って129s6/SvEvマウスにPTOAを誘発した(
図4P)。3TCまたはFTCの1カ月間の経口投与は、軟骨関節変性を有意に阻害した(
図4Qおよび
図4R)。NRTIは、軟骨内でL1レベルおよびADAMTS-5、Col 10a1、Mmp13 mRNAのレベルを阻害した(
図4S~
図4V)。NRTIはまた、OA軟骨内で上昇したmiR-365を阻害した(
図4W)。
【0206】
NRTIがPTOAマウスの軟骨下骨塩量を阻害したかどうかも決定した。DMMマウスの軟骨OA病変の下に、局所的な骨硬化症を認めることができた(
図10A)。DMMマウスでは、BV/TV、小柱の数および厚さ、ならびに接続密度が増加し(
図10B~
図10Dおよび
図10F)、小柱分離が減少した(
図10E)。NRTI処置は、DMMマウスの骨硬化症、ならびにBV/TV、小柱の数および厚さ、および接続密度の増加を消失させた(
図10A~
図10F)。したがって、NRTIは、PTOA中に軟骨変性および軟骨下骨硬化症の両方を阻害した。
【0207】
本明細書において開示されるように、軟骨病変内の内因性L1の抑制解除は、一般的なヒトの変性関節疾患であるOAの開始および進行に関与する機構である(Berenbaum,F.Osteoarthritis and cartilage / OARS,Osteoarthritis Research Society 21,16-21(2013)、およびHelmick,C.G.,et al.Arthritis and rheumatism 58,15-25(2008)、Lawrence,R.C.,et al.Arthritis and rheumatism 58,26-35(2008)、Michaud,C.M.,et al.Popul Health Metr 4,11(2006)、Andrianakos,A.A.,et al.The Journal of rheumatology 33,2507-2513(2006)、およびD'Ambrosia,R.D.Orthopedics 28,s201-205(2005))。データは、それが少なくとも2段階の発症プロセスであることを示唆した。唯一の細胞自律的なレトロトランスポゾンであるL1は、関節損傷による組織創傷の機械的および/または炎症ストレスシグナルによって最初に活性化され得る(
図11S)。加齢の間のように、細胞のL1含有量(
図1V)を増幅し、SASP IL-6およびIL-1β(Coppe,J.P.,et al.Annu Rev Pathol 5,99-118(2010)、Meyer,P.,et al.PLoS Comput Biol 13,e1005741(2017)、およびOrtiz-Montero,P.,et al.Cell Commun Signal 15,17(2017))ならびにインターフェロンα(Marco De Cecco,et al.Nature Medicine(2018))を含む炎症応答を誘発するためには時間が重要であると思われる。そのような加齢に依存する「無菌性炎症」(Freund,A.,et al.Trends Mol Med 16,238-246(2010)およびLopez-Otin,C.,et al.The hallmarks of aging.Cell 153,1194-1217(2013))は、マトリックス分解プロテアーゼMMP-13およびADMTS-5の活性化、同化ECM COL IIおよびACANの抑制、ならびに軟骨関節の分解を含むOA症状を進行させる(Lotz,M.&Loeser,R.F.Bone 51,241-248(2012))。L1の生合成および増幅に必要な逆転写酵素を遮断する抗レトロウイルス薬NRTIを使用したL1の抑制(Dai,L.,Huang,Q.&Boeke,J.D.BMC Biochem 12,18(2011)、Patnala,R.,et al.Breast Cancer Res Treat 143,239-253(2014)、およびJones,R.B.,et al.PLoS One 3,e1547(2008))は、マトリックス分解プロテアーゼを抑制し、ECM合成を刺激し、関節分解を阻害することにより、組織変性プロセスを逆転させた(
図3A~
図3AC)。
【0208】
関節変性の処置に対するNRTIの有効性は、インビトロおよびインビボで、OAおよびPTOAに対して、マウスおよびヒトの細胞および組織レベルで、ならびに本試験での基礎および臨床研究アプローチ(
図4A~
図4W)によって実証されている。
【0209】
加齢中の老化細胞内のL1の活性化は最近の発見であり、加齢関連疾患を引き起こすその機構はほとんど分かっていなかった(Belancio,V.P.,et al.Nucleic acids research 38,3909-3922(2010)、Erichsen,L.,et al.Saudi J Biol Sci 25,1220-1226(2018)、Shi,X.,Seluanov,A.&Gorbunova,V.Molecular and cellular biology 27,1264-1270(2007)、Cho,Y.H.,et al PloS one 10,e0133909(2015)、St Laurent,G.,3rd,Hammell,N.&McCaffrey,Mech Ageing Dev 131,299-305(2010)、Carlini,F.,et al.PloS one 5,e14221(2010)、Ogino,S.,et al.J Natl Cancer Inst 100,1734-1738(2008)、およびOgino,S.,et al.Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 18,2513-2521(2009))。本明細書において、miR-365は、インビボでの組織損傷中に機械的および炎症性ストレスシグナルに応答する、L1の活性化因子である可能性があることが示された(
図1A~
図1X)。MiR-365は、軟骨細胞内で同定された最初の機械感受性マイクロRNAであった(Guan,Y.J.,et al.FASEB journal 25,4457-4466(2011))。その発現は、IL-6(Xu,Z.,et al.The Journal of biological chemistry 286,21401-21412(2011))およびIL-1(Yang,X.,et al.Int J Mol Sci 17,436(2016))を含む炎症性サイトカインに極めて感受性であり、細胞肥大
24、ならびに静止状態および老化と相関していた(Maes,O.C.,JBCJournal of cellular physiology 221,109-119(2009))。MiR-365は、クロマチン修飾および発癌に重要な役割を果たすことが特定された上位のマイクロRNAのうちの1つであった(Moss,T.J.,et al.NPJ Syst Biol Appl 1,15001(2015))。
【0210】
本明細書において、miR-365は、転写後の細胞防御経路でL1を抑制することに関与する複数の細胞監視分子(cellular surveillance molecule)を標的とすることによってL1を誘導した(
図2A~
図2Q)。それらには、DNA修復におけるPRKDC(Morrish,T.A.,et al.Nature 446,208-212(2007)およびMorrish,T.A.,et al.Nature genetics 31,159-165(2002))、RNA干渉におけるDICER(Faulkner,G.J.PLoS Genet 9,e1003944(2013))、およびオートファジーにおけるSQSTM1(Guo,H.,et al.Nature communications 5,5276(2014))が含まれた。近年発表された文献は、これらの経路が軟骨の健康を維持し、OA発症を予防するために重要であるという概念を裏付けている(Chen,A.F.et al Journal of cellular physiology 217,828-833(2008)、Davies,C.M.,et al.Osteoarthritis and cartilage/OARS,Osteoarthritis Research Society 16,624-630(2008)、Botter,S.M.,et al.Age(Dordr)33,247-260(2011)、Kobayashi,T.,et al.PNAS 105,1949-1954(2008)、Kobayashi,T.,et al.Osteoarthritis and cartilage / OARS,Osteoarthritis Research Society 23,1214-1220(2015)、Lotz,M.K.&Carames,B.Nature reviews.Rheumatology 7,579-587(2011))。OA患者試料ではDNA損傷が特定されている(Duarte,J.H.Nature reviews.Rheumatology 11,260(2015)、Loeser,R.F.,et al.Nature reviews.Rheumatology 12,412-420(2016)、Onuora,S.Nature reviews.Rheumatology 8,502(2012)およびLepetsos,P.&Papavassiliou,A.G.Biochim Biophys Acta 1862,576-591(2016))。DICERヌルマウスは、発育中および成体期に軟骨欠損を有する(Kobayashi,T.,et al.PNAS 105,1949-1954(2008))。オートファジーは軟骨および骨の変性を阻害する重要な機構であるように思われ、SQSTM1の変異はページェット病、炎症性骨疾患および変形性関節症を引き起こす(Hiruma,Y.,et al.Hum Mol Genet 17,3708-3719(2008)、Hocking,L.J.,et al.Hum Mol Genet 11,2735-2739(2002)およびLaurin,N.,et al.Am J Hum Genet 70,1582-1588(2002))。
【0211】
したがって、本試験は、L1レトロトランスポゾンがストレスシグナルによって活性化され、加齢中に増幅され、組織変性をもたらす分子機構を明らかにした。OAは、L1活性化に関連する最初の変性疾患である。
【0212】
以下の材料および方法を使用して、本明細書において記載されるデータを生成した。
【0213】
動物
動物の使用はLifespan IACUC動物試験委員会によって承認されており、動物試験はいずれも施設のガイドラインに従って行った。軟骨組織内でmiR-365を過剰発現させるために、C57BL/6バックグラウンドmiR-365fl+/-トランスジェニックマウスをmiR-365 fl -/-;Col2a1-cre+/-(Cre単独)マウスと交配させて、miR-365 fl+/-;Col2a1-cre+/-マウス(miR-365 Tg)1を作製した。OAは性特異的疾患ではないため、Cre単独マウスおよびmiR-365 Tgマウスをそれらの性別に関係なく試験に使用した。
【0214】
7週齢の129S6/SvEv系統の雄マウスをTaconic(https://www.taconic.com/mouse-model/129s6)から購入した。少なくとも3日間(72時間)の順化期間をマウスに与えてから、その後の手順を行わなければならない。試験全体を通して、129S6/SvEv系統のマウスはいずれも雄であった。
【0215】
特に明記しない限り、餌と水とを自由に摂取させてあらゆる系統のマウスを飼育した。
【0216】
ジェノタイピング
生後7日以内にマウスの足指または尾からゲノムDNAを抽出し、miR-365挿入物またはCol2a1-Cre構築物に特異的に設計されたプライマー(下記表1)を使用して、Hot start Taqポリメラーゼ(New England BioLabs、カタログ番号M049S/L)を使用する従来のPCRを行った(Berenbaum,F.Osteoarthritis and cartilage / OARS,Osteoarthritis Research Society 21,16-21(2013))。
【0217】
【0218】
(表2)siRNA配列
SILINE-1S配列の表。配列は、AからFまで設計されており、任意に名称が決められている。
【0219】
内側半月の不安定化(DMM)のマウスモデル
実験対象に8週齢の129S6/SvEv雄マウスを選択した。マウス損傷/外傷誘発性OAモデルを作成するために、前述の方法を使用して内側半月靭帯を切断した(Lohmander,L.S.,et al.Am J Sports Med 35,1756-1769(2007))。要約すると、ケタミン/デクスメデトミジンまたはイソフルランの腹腔内(IP)注射のいずれかを使用して8週齢の雄マウスを麻酔して、内側傍膝蓋関節切開を行った。スタブナイフ(Sharpoint(商標)、カタログ番号72-1551)を用いて切断を行った。12週目に、マウスを安楽死させ、組織学的検査および軟骨RNA抽出のために解剖した。各群/時点についてマウス12匹を使用した。
【0220】
ヒト検体
OAと診断され、人工膝関節全置換術を受けた同意者から軟骨を前向き研究として収集した。手順はいずれも、IRBによって事前に承認された。患者の身元保護のため、性別および年齢など、実験に関連する情報を除いて、あらゆる情報を機密とした。手術直後に試料を採取した。記録のために検体の写真を撮影した(
図7)。整形外科医が直接観察に基づいて、OA病変領域および非病変領域を経験的に識別した。目的の各部位について、滅菌済みのRNaseフリーRib-Back(登録商標)外科用メス(Bard-Parker(登録商標)、カタログ番号371115)を使用して、4~8mmの範囲の深さを有する1×1mm
2の組織を手動で採取した。いかなる軟骨下骨も避けるように注意しなければならない。最大の消化効果を得るために、350mLのQIAzol溶解試薬(Qiagen、カタログ番号/ID:79306)に浸漬する前に、外科用メスによって、切除した検体をさらに細かく刻んだ。検体は、-80℃で保存することも、多様な方法を使用してアクセスすることもできる。
【0221】
大腿骨外植片器官培養
21日齢のWT C57BL/6マウスから大腿骨を得た。インタクトな関節表面および骨膜を有する大腿骨を顕微鏡下で無菌的に解剖した。大腿骨は、採取時、HBSS(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)を用いてリンスし、次いで、12ウェル培養皿内で10%ウシ胎児血清(FBS、Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)を添加したDMEM(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)培地に浸漬した。第一世代のシチジン類似体/NRTI-3TCまたは最新世代のシチジン類似体/NRTI-FTCを所望の濃度で培地に加えた。5%CO2の雰囲気下で37℃で合計48時間インキュベートした後、HBSSを用いて大腿骨をリンスし、RNA抽出のために解剖顕微鏡下で外科用メスを使用して関節軟骨を剥離した。
【0222】
組織学的検査、免疫組織化学的検査(IHC)および免疫蛍光
ヒト軟骨組織を4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で4℃で24時間固定した後、検体が容器の底に沈むまで、30%ジエチルピロカーボネート(DEPC)‐スクロース(Sigma、カタログ番号S0289-500G、St.Louis,MO 63103 USA)により4℃で固定した。最適切断温度化合物(O.C.T.、SAKURA FINETEK USA INC、Tissue-Tek(登録商標)、O.C.T.化合物、カタログ番号4583)に組織を包埋した。凍結切片ミクロトーム(モデル:CM3050、Leica、Germany)を使用して、厚さ6μmの切片を切断した。H&E染色により切片を染色して、形態を評価した。組織サイズに応じて、マウス組織を10%ホルマリン中で24~48時間固定した後、DEPC脱灰試薬(エチレンジアミン四酢酸、Sigma、カタログ番号EDS-1KG、St.Louis,MO 63103 USA)を使用して室温で10~14日間にわたり脱灰プロセスを行った。脱灰後、エタノール中で組織を脱水した後、常用的な手順を用いてパラフィンに包埋した。ミクロトーム(モデル:FINESSE ME、Thermo Shandon、UK)を使用して、厚さ6μmの切片を切断した。80μm間隔ごとに、5つの姉妹切片を採取して、完全に成長したマウスの片方の膝から合計13~16スライスを作成した。片方の膝から得られるスライドの数は、検体のサイズが異なるために異なり得る。次いで、スライドを脱パラフィンし、アルシアンブルー(Sigma、カタログ番号A3157-10G)またはサフラニンO(Sigma、カタログ番号S8884-25G、St.Louis,MO 63103 USA)を用いてGAGを染色した。H&E染色によって形態を評価する。IHCの場合、Histostain(登録商標)Plus 3rd Gen IHC検出キット(Life Technologies、カタログ番号859673、Frederick,MD 21704 USA)によって指示された常用的な手順を用いて、パラフィン切片を処理した。目的の抗原に対する特異的なウサギまたはマウス抗体を使用した後、ウサギまたはマウスIgGに対するHRPコンジュゲート二次抗体(キットにより提供)とインキュベートした。一次抗体および二次抗体を以下の表3に列挙する。次いで、DAB-Plus Substrateキット(Life Technologies、カタログ番号002020、Frederick,MD 21704 USA)によってシグナルを視覚化する。
【0223】
【0224】
サフラニンO染色
キシレン(2回交換)中でパラフィン切片を各10分間かけて脱パラフィンした後、100%アルコール(2回交換)中で各5分間、95%アルコール(2回交換)中で各5分間、70%アルコール中で5分間再水和した。次いで、切片を水道水で2分間リンスした後、0.4%ファストグリーン溶液(Sigma、カタログ番号F-7258、St.Louis,MO 63103 USA)により2分間染色したが、後者のタイミングは所望の着色を確実にするために経験的に制御されなければならない。次いで、1%酢酸溶液(Sigma、カタログ番号695092-500ML-GL、St.Louis,MO 63103 USA)を用いて、染色した切片を10~15秒以内で速やかにリンスした。プロテオグリカンの染色には0.1%サフラニンO溶液を使用したが、実際のタイミングは、最大10分間かけて、実際の発色条件に基づいて注意深く決定しなければならない。サフラニンO染色後、脱水のために、95%アルコール(2回交換)に各2分間、100%アルコール(2回交換)に各2分間、切片を浸漬した。最後に、キシレン(2回交換)中で各2分間かけて切片を洗浄し、樹脂製の封入剤(ACRYMOUNT(商標)、カタログ番号SL80-4、McKinney,TX 75069 USA)を使用して封入した。
【0225】
OARSIスコアリング
OAの重症度を組織学的に評価するために、前述のようにOARSI半定量システムに従ってサフラニンO染色膝切片を定量した3。詳細なスコアリング基準を以下の表4に要約する。
【0226】
【0227】
ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色
キシレン(2回交換)中でパラフィン切片を各10分間かけて脱パラフィンした後、100%アルコール(2回交換)中で各5分間、95%アルコール(2回交換)中で各5分間、70%アルコール中で5分間再水和した。次いで、切片を水道水で2分間リンスした後、Mayerのヘマトキシリン溶液(NovaUltra(商標)H&E染色キット、IHCWORLD、カタログ番号IW-3100)中で2分間染色したが、後者のタイミングは所望の着色を確実にするために経験的に制御されなければならない。次いで、染色した切片を水道水で5分間リンスした後、実行者の好みに基づいて95%アルコールに10回または30秒間浸漬した。対比染色にはエオシン溶液(NovaUltra(商標)H&E染色キット、IHCWORLD、カタログ番号IW-3100)を使用したが、実際のタイミングは実際の発色条件に基づいて注意深く決定しなければならない。対比染色後、95%アルコールに切片を2回浸漬した後、100%アルコール(2回交換)を各5分間用いて脱水した。最後に、キシレン(2回交換)中で各5分間かけて切片を洗浄し、樹脂製の封入剤を用いて封入する。
【0228】
凍結切片の場合、エオシン対比染色工程から95%アルコール浸漬工程までを除いて手順は同様であった。代わりに、これらの2つの工程中に、凍結切片を室温で30分間風乾し、10%ホルマリン中で10分間固定しなければならない。次いで、切片を取り出し、さらに30分間室温で風乾した後、水でリンスした。
【0229】
ホモジナイゼーション
PowerGen 125(Fisher Scientific、カタログ番号03.349248)を使用して、RNA抽出のために試料をホモジナイズした。45秒のホモジナイゼーションのサイクルを速度5で行い、続いて15秒の冷却工程を5サイクル繰り返した後、同じサイクルのためにさらに細かいドリルに切り替えた。ドリル/PowerGen Generator(Fisher Scientific、カタログ番号14-261-15)をDEPC水でリンスし、続いて異なる検体間で100%エタノールによりリンスして相互汚染を回避した。熱によるRNAの分解を回避するために、手順はいずれも氷上で行った。
【0230】
一次成長板/関節軟骨細胞(PC)培養
所望の遺伝子型の新生仔マウス(7日齢以内)から胸郭を無菌的に分離し、HBSSを用いて5回リンスした。非特異的組織を除去するために、コラゲナーゼD(3μg/mL、Roche、カタログ番号11088882001、Mannheim,Germany)中で2~4時間37℃で胸郭を消化し、HBSS(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)を用いて5回リンスして、分離した非特異的組織を除去した。胸郭から軟骨細胞を分離するために、試料を一定に撹拌(200rpm)しながら、コラゲナーゼD(3μg/mL)中で37℃で少なくとも4時間二次消化した。分離した軟骨細胞をペレット化して過剰なコラゲナーゼDを除去し、10%FBS、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)を含有するDMEM(Gibco(登録商標)、Grand Island,NY 14072 USA)の完全培地に再懸濁した。5%CO2の雰囲気下で37℃で成長板PCを増殖させた。翌日、培地を交換して残りのコラゲナーゼDを除去し、その後3日ごとに培地を交換した。
【0231】
同様に、解剖顕微鏡下で、所望の遺伝子型の新生仔マウス(7日齢以内)から関節軟骨を無菌的に分離し、HBSSを用いて5回リンスした。要約すると、後肢の皮膚を取り除き、腸骨と、股関節周辺の筋肉とを切断して、後肢を胴から切り離し、次いでペトリ皿に移した。細胞培養フード内に配置された解剖顕微鏡下で、膝および股関節を露出させている間に軟組織を取り除いた。大腿骨頭は容易に剥離することができたが、血管新生に基づく骨端の微細な切断を行って、二次骨化中心から関節軟骨を分離した。その後、分離した組織をさらに微細な断片に細かく刻んでから一緒にし、その後HBSSリンスおよびそれに続くコラゲナーゼD消化を行った。非特異的組織を除去するために、関節軟骨を細かく刻み、コラゲナーゼD(3μg/mL)中で37℃で2時間消化し、HBSSを用いて5回リンスして、分離した非特異的組織を除去した。軟骨基質から軟骨細胞を分離するために、試料を一定に撹拌(200rpm)しながら、コラゲナーゼD(3μg/mL)中で37℃で少なくとも4時間二次消化した。分離した軟骨細胞をペレット化して過剰なコラゲナーゼDを除去し、10%FBS、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含有するDMEMの完全培地に再懸濁した。5%CO2の雰囲気下で37℃で関節PCを増殖させた。翌日、培地を交換して残りのコラゲナーゼDを除去し、その後3日ごとに培地を交換した。
【0232】
一過性トランスフェクション
細胞を所望のサイズのプレートに播種して70~90%のコンフルエンスに到達させ、miR-365模倣物もしくはmiRNA模倣物陰性対照またはmiR-365阻害物質もしくは阻害物質陰性対照(Dharmacon(登録商標)、Lafayette,CO,USA)を細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション試薬としてLipofectamine 3000(Invitrogen(登録商標)、Waltham,MA,USA)を使用した。トランスフェクションの24時間後に培地を交換する。トランスフェクションの48時間後、RNA精製およびリアルタイムPCR分析のためのQIAzol、またはウエスタンブロット分析のためのプロテアーゼ阻害物質およびホスファターゼ阻害物質を含有する氷冷溶解緩衝液のいずれかに細胞を溶解させた。特に明記しない限り、MiR-365模倣物、miRNA模倣物陰性対照、miR-365阻害物質および阻害物質陰性対照を典型的には25nMの最終濃度で使用した。
【0233】
定量的リアルタイムPCR(qPCR)
miRNAおよびmRNAの両方をmiRNeasy Miniキット(Qiagen(登録商標)、Germantown,MD,USA)を使用して抽出し、製造業者の指示に従ってmiScriptIIRTキット(Qiagen(登録商標)、Germantown,MD,USA)を使用して逆転写した。Bio-Rad CFX96リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad(登録商標)、Hercules,CA,USA)上でSYBR Green PCRマスターミックス(Qiagen(登録商標)、Germantown,MD,USA)を使用してqPCRを行った。増幅条件は以下の通りである:95℃で10分間;95℃で10秒間、55℃で30秒間および72℃で30秒間を40サイクル。センスおよびアンチセンスプライマーは表2に列挙されている。mRNAレベルを正規化するための内部対照遺伝子として、18SリボソームまたはGAPDH RNAを使用した。miRNAレベルの内因性対照として、普遍的に発現するsnRNA U6を使用した。Integrated DNA Technologies(http://www.idtdna.com)によってプライマーを合成した。miR-365用のプライマーはQiagenから購入した。mRNAおよびmiRNAの変化倍率を2^(-ΔΔCt)法によって計算し、それぞれ18S/GAPDHまたはU6 snRNAに正規化した。
【0234】
miR-365標的遺伝子の予測
TargetScan(http://www.targetscan.org/)およびmiRanda/mirSVR(http://34.236.212.39/microrna/home.do)標的予測アルゴリズムを使用して、miR-365-5pおよびmiR-365-3pの潜在的な標的を同定した。
【0235】
プラスミド構築
バックボーンプラスミドpmirGLO構築物(Promega、Madison,WI,USA)に従って理想的な制限酵素切断部位を導入するように設計されたプライマーを使用して、マウスゲノムDNA(50ng~250ng)から、microrna.orgによって予測されるmiR-365播種部位として機能する潜在的応答要素(RE)を有するWT Aicda、Dicer1、Prkdc、Sqstm1およびZc3hav1 3'UTRをクローニングした。詳細な熱サイクルは以下の通りである:98℃で30秒間;98℃で10秒間、55~60℃で30秒間および72℃で15秒間を25~35サイクル;最後に72℃で10分間伸長してから4℃で保持。設計されたプライマーは上記の表1に要約されている。粘着末端を切断するためにPmeIおよびXhoIを使用した。制限酵素の切断後、約500bpの3'UTR配列をpmirGLO構築物(1pg~10ng)にアニーリングした。QuikChange Lightning Multi Site-Directed Mutagenesisキットの指示(Agilent、カタログ番号210513/210515、Santa Clare,CA 95051 USA)に従ってREを変異させた。
【0236】
ルシフェラーゼアッセイ
24ウェルプレート内で2.5×104細胞/ウェルでATDC5細胞を培養した。miR-365模倣物(25nM)またはmiRNA模倣物陰性対照(25nM)および500ngのpmirGLO-Dicer1/Zap/Sqstm1/Prkdc/Aicda 3'-UTR WTまたはMutプラスミドを細胞に同時トランスフェクトした。Lipofectamine 3000(Invitrogen、カタログ番号L3000-008、Carlsbad,CA 92008 USA)試薬を使用してトランスフェクションを行った。特に明記しない限り、アッセイは3連で行った。トランスフェクションの24時間後、細胞を回収し、GLOMAX 20/20ルミノメーター(モデル:2031_000、Turner BioSystems、Sunnyvale,CA USA)を用いたデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega、Madison,WI,USA)を使用してルシフェラーゼ活性を決定した。要約すると、PBSを用いて細胞をリンスし、室温で一定に撹拌しながらPassive Lysis Buffer(キットにより提供)と15分間インキュベートした。1.5mLのエッペンチューブ内に溶解物を擦過した。50μlのルシフェラーゼアッセイ緩衝液IIを用いて20μlの溶解物を固定して、ホタルルシフェラーゼの発光を測定した。次いで、50μlのStop&Glo緩衝液を加えて、ウミシイタケの発光を測定した。ホタル/ウミシイタケ測定値の比率によってルシフェラーゼ活性を表した。
【0237】
ウエスタンブロット(WB)
前処理した全試料を氷冷PBSで洗浄し、氷上で一定に撹拌しながら、RIPA緩衝液(M-PER、Pierce,Illinois)+プロテアーゼ阻害物質フェニルメチルスルホニルフルオリド[Halt(商標)、Thermo Scientific、プロテアーゼ阻害物質単回使用カクテル(100X)カタログ番号78430]に30分間溶解させた。溶解物を12,000gで15分間、4℃で遠心分離した。上清を回収し、Pierce(商標)BCAアッセイ(Thermo Scientific、カタログ番号23225)を使用してタンパク質濃度を決定した。2-メルカプトエタノール(Bio-Rad、カタログ番号161-0710)を含有する等量の2×Laemmli試料緩衝液(Bio-Rad、カタログ番号161-0737)と試料を混合し、100℃で5分間加熱して変性させた。目的のタンパク質の大きさに応じて、8~12%SDSポリアクリルアミドゲルにより各試料の等量のタンパク質を分離し、次いで、100Vで70分間かけてニトロセルロースメンブレン(Bio-Rad、カタログ番号162-0112)に移した。5%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma、カタログ番号A7906-50G)の0.1%トリス緩衝食塩水-Tween20(TBS-T、BBP、カタログ番号IBB-581X)溶液を用いてメンブレンを室温で1時間ブロックし、続いて目的のタンパク質に対する一次抗体(抗体は、上記に提供される表3に列挙されている)と4℃で一晩インキュベートした。翌日、TBS-Tを用いてメンブレンを10分間かけて合計5回リンスし、抗ウサギ-Alexa Fluor 680(Molecular Probes、Eugene,OR,USA)と1時間室温でインキュベートし、続いてTBS-Tを用いて10分間かけて合計5回リンスした。次いで、Odyssey蛍光スキャナー(LI-COR Biosciences、Lincoln,NE,USA)を使用してブロットをスキャンし、ImageJ(https://imagej.nih.gov/ij/index.html)によって定量的に分析した。
【0238】
統計分析
データは平均値±SD(エラーバー)を表す。統計的有意性は、スチューデントのt検定(対応のない)または一元配置分散分析検定を使用して計算した。p値≦0.05が統計的に有意であると考えられた。特に明記しない限り、全群について最低n≧3とする。
【0239】
他の態様
その詳細な説明と併せて本発明を説明してきたが、前述の説明は、例示することを意図しており、添付の特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。他の局面、利点および変更は、添付の特許請求の範囲内にある。
【0240】
本明細書において言及される特許および科学文献は、当業者が利用できる知識を確立する。本明細書において引用されるすべての米国特許および公開されたまたは未公開の米国特許出願は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において引用されるすべての公開された外国特許および特許出願は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において引用されるアクセッション番号によって示されるGenbankおよびNCBIの提出物は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において引用される他のすべての公開された参考文献、文書、原稿および科学文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0241】
本発明は、その好ましい態様を参照して特に示され、説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細に様々な変更を加えることができることが当業者によって理解されるであろう。
【配列表】