(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】燃料電池用加湿器及びそのためのパッキング部材
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20231213BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20231213BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20231213BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20231213BHJP
H01M 8/04119 20160101ALI20231213BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20231213BHJP
【FI】
H01M8/04 N
B01D53/22
B01D63/00 500
B01D63/02
H01M8/04119
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2021558792
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2020005168
(87)【国際公開番号】W WO2020213990
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0044732
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0123588
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】アン ウンジョン
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522556(JP,A)
【文献】特開2014-208317(JP,A)
【文献】特開平11-151431(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0316028(US,A1)
【文献】国際公開第2013/137313(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0108476(US,A1)
【文献】特開平06-226062(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03312923(EP,A1)
【文献】特表2021-508917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0193975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 63/00 - 63/04
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池用加湿器であって、
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス(off-gas)内の水分(moisture)で加湿する加湿モジュール(humidifying module)を有し、該加湿モジュールは、
前記加湿モジュールの両端にそれぞれ結合された第1及び第2のキャップ(cap)を有し、前記第1のキャップは、前記空気を前記加湿モジュールに伝達するように構成され、前記第2のキャップは、前記加湿モジュールにより加湿された前記空気を燃料電池に伝達するように構成され、
前記加湿モジュールは、更に、
ミッドケース(mid-case)と、
前記ミッドケース内に、前記ミッドケースの内壁から空間的に離れて配置された
複数のカートリッジ(cartridge)と、を有し、
前記
各カートリッジは、
複数の中空糸膜と、
該複数の中空糸膜の端部がポッティングされた固定層と、を有し、
前記燃料電池用加湿器は、第1及び第2のパッキング部材を有し、
前記第1のパッキング部材は、前記第1のキャップの内部空間が、前記中空糸膜の中空と流体的に連通する一方で、前記ミッドケースの内部空間から遮断されるように、機械的組立によって前記加湿モジュールの一端に気密に、また機械的に分離可能に結合されており、
前記第2のパッキング部材は、前記第2のキャップの内部空間が、前記中空糸膜の中空と流体的に連通する一方で、前記ミッドケースの内部空間から遮断されるように、機械的組立によって前記加湿モジュールの他端に気密に、また機械的に分離可能に結合されており、
前記第1及び第2のパッキング部材のそれぞれは、前記
カートリッジがそれぞれ挿入される
複数のホールを有するパッキング部を有し、該パッキング部は、前記カートリッジと前記ミッドケース間に介在されており、
更に前記第1及び第2のパッキング部材のそれぞれは、前記パッキング部を囲むエッジ部を
有し、
前記パッキング部は、周辺部(peripheral part)と、前記ホールの間の少なくとも一つのリブ(rib)と、を含むメインボディーと、前記ホールをそれぞれ取り囲み、前記カートリッジにそれぞれ密着する2個以上の羽部を含み、
前記メインボディー、前記羽部、前記各第1及び第2のパッキング部材の前記エッジ部は、10~100ShoreAの第1硬度を有する同一の弾性物質から作られている、
燃料電池用加湿器。
【請求項2】
前記パッキング部が前記メインボディーと前記羽部
のそれぞれとの間に第1溝を有するように、前記羽部
のそれぞれは前記メインボディーに対して所定角度に傾いている、請求項
1記載の燃料電池用加湿器。
【請求項3】
前記パッキング部は、該パッキング部に対応するキャップに向いた第1面及び該第1面の反対側の第2面を含み、
前記第1溝は前記第1面に形成される、請求項
2に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項4】
前記羽部
のそれぞれは前記メインボディーから
対応する前記ホールの中心に向かって突出する、請求項
1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項5】
前記羽部
のそれぞれは、前記ホールの中心軸の方向に平行に配列された第1及び第2副羽部を含む、請求項
1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項6】
前記第1及び第2副羽部のそれぞれは前記メインボディーから
対応する前記ホールの中心に向かって突出する、請求項
5に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項7】
前記第1及び第2副羽部の一方は前記メインボディーから
対応する前記ホールの中心に向かって突出し、
前記第1及び第2副羽部の他方は前記メインボディーに対して所定角度に傾いている、請求項
5に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項8】
前記エッジ部は、前記ミッドケースの一端の少なくとも一部が挿入される第2溝(groove)を有する、請求項
1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項9】
前記メインボディーは、前記パッキング部に対応するキャップに向かう第1面及び該第1面の反対側の第2面を含み、
前記メインボディーは、前記第1及び第2面の少なくとも一面に形成された第3溝を有する、請求項
8に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項10】
前記第1及び第2の各パッキング部材は、前記各パッキング部材に対応するキャップに向かう第1面及び該第1面の反対側の第2面を有し、
前記エッジ部は、前記第2面に形成され、前記ミッドケースの一端の少なくとも一部が挿入される第2溝を有し、
前記リブは、前記第1及び第2面の少なくとも一面に形成された第3溝を有する、請求項
1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項11】
前記第1及び第2の各パッキング部材は、前記メインボディーの少なくとも一部に挿入され、前記第1硬度より高い第2硬度を有する補強材をさらに含む、請求項
1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項12】
前記補強材は前記リブ内に
埋め込まれる、請求項
11に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項13】
前記カートリッジ
のそれぞれは、
その対向する両端に開口(opening)を有し、前記多数の中空糸膜が入っているインナーケース(inner case)及び、前記インナーケースの前記各開口を閉鎖する固定層を有する、
請求項
1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項14】
前記固定層の少なくとも一部は前記インナーケースの外に位置し、
前記羽部は前記固定層に密着する、請求項
13に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項15】
前記固定層全体が前記インナーケース内に位置し、
前記羽部は前記インナーケースに密着する、請求項
13に記載の燃料電池用加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池用加湿器及びそのためのパッキング部材に関するもので、より詳しくは、向上した生産性で製造することができるだけでなく維持補修費用を画期的に節減することができる燃料電池用加湿器及びそのためのパッキング部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池と違い、水素と酸素が供給される限り、電気を継続して生産することができ、熱損失がなくて内燃機関より効率が2倍ほど高いという利点がある。
【0003】
また、水素と酸素の結合によって発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するから、公害物質の排出が少ない。したがって、燃料電池は環境に優しいだけでなくエネルギー消費増加による資源枯渇に対するおそれを減らすことができるという利点がある。
【0004】
このような燃料電池は、使用電解質の種類によって、大別して高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類することができる。
【0005】
これらのそれぞれの燃料電池は根本的に同じ原理で作動するが、使用燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が高くて小型化が可能であるから小規模据置型発電装備だけではなく、輸送システムでも最も有望なものであると知られている。
【0006】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるのに最も重要な要因の一つは、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane又はProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥すれば発電効率が急激に低下するからである。
【0007】
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な水分供給量を計算し、ソレノイドバルブを通してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
【0008】
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみ選択的に透過させる膜を用いて水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化することができるという点で有利である。
【0009】
膜加湿方式に使われる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であって小容量でも燃料電池の加湿を充分になすことができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分及び熱を回収して加湿器を介して再使用することができるという利点を有する。
【0010】
図1に例示するように、通常の膜加湿方式の加湿器100は、外部から供給される空気と燃料電池スタック(図示せず)から排出される排ガスとの間の水分交換が起こる加湿モジュール110及び前記加湿モジュール110の両端に結合されたキャップ120を含む。
【0011】
前記キャップ120のいずれか一つは外部から供給される空気を前記加湿モジュール110に伝達し、他の一つは前記加湿モジュール110によって加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
【0012】
前記加湿モジュール110は、排ガス流入口(off-gas inlet)111a及び排ガス排出口(off-gas outlet)111bを有するミッドケース(mid-case)111と、前記ミッドケース111内の多数の中空糸膜112とを含む。前記中空糸膜112の束の両端は固定層113にポッティングされている。前記固定層113は一般的にキャスティング(casting)方式で液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることによって形成される。
【0013】
外部から供給される空気は前記中空糸膜112の中空に沿って流れる。前記排ガス流入口111aを通して前記ミッドケース111内に流入した排ガスは前記中空糸膜112の外表面と接触した後、前記排ガス排出口111bを通して前記ミッドケース111から排出される。前記排ガスが前記中空糸膜112の外表面と接触するとき、前記排ガス内に含有されていた水分が前記中空糸膜112を透過することにより、前記中空糸膜112の中空に沿って流れる空気を加湿する。
【0014】
前記キャップ120の内部空間は前記中空糸膜112の中空のみと流体連通するだけで、前記ミッドケース111の内部空間とは完全に遮断されていなければならない。そうではなければ、圧力差による空気漏出が発生し、燃料電池スタックに供給される加湿空気の量が減少して燃料電池の発電効率が低下する。
【0015】
一般に、
図1に例示するように、前記多数の中空糸膜112の末端がポッティングされている固定層113と、前記固定層113と前記ミッドケース111との間の樹脂層114とが前記キャップ120の内部空間を前記ミッドケース111の内部空間から遮断する。前記固定層113と同様に、前記樹脂層114は一般的にキャスティング方式で液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることによって形成される。
【0016】
しかし、前記樹脂層114の形成のためのキャスティング工程は相対的に多くの工程時間を要求するから加湿器100の生産性を低下させる。
【0017】
また、前記樹脂層114が前記固定層113だけでなく前記ミッドケース111の内壁にも接着されているから、前記中空糸膜112に問題が発生する場合、前記加湿モジュール110全体を交替しなければならないから、莫大な維持補修費用が発生する。
【0018】
さらに、燃料電池の反復的運転は前記樹脂層114と前記ミッドケース111との間にギャップ(gap)を発生させる可能性が高い。すなわち、燃料電池の運転及び停止が繰り返されることにより、前記樹脂層114の膨張及び収縮が交互に発生し、前記ミッドケース111と前記樹脂層114との熱膨張係数の差によって前記樹脂層114が前記ミッドケース111から分離される可能性が高い。前述したように、前記樹脂層114と前記ミッドケース111との間にギャップが発生すれば、圧力差による空気漏出が発生し、燃料電池スタックに供給される加湿空気の量が減少し、燃料電池の発電効率が低下する。
【0019】
前記樹脂層114と前記ミッドケース111との間のギャップ発生による空気漏出を防止するために、これらの間にシーラント塗布及び/又は外郭パッキング部材の装着のような付加的工程を遂行することを考慮して見ることもできるが、このような付加的工程自体も追加の工程時間を要求するから、加湿器100の生産性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は上のような関連技術の制限及び欠点に起因する問題点を防止することができる燃料電池用加湿器及びそのためのパッキング部材に関するものである。
【0021】
本発明の一観点は、向上した生産性で製造することができるだけでなく、維持補修費用を画期的に節減することができる燃料電池用加湿器を提供することである。
【0022】
本発明の他の観点は、燃料電池用加湿器を向上した生産性で製造することができるだけでなくその維持補修費用を画期的に節減することができるパッキング部材を提供することである。
【0023】
前述した本発明の観点の他にも、本発明の他の特徴及び利点は以下で説明され、その説明から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上のような本発明の一観点によって、燃料電池用加湿器であって、外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス(off-gas)内の水分(moisture)で加湿する加湿モジュール(humidifying module)と、前記加湿モジュールの一端に結合されたキャップ(cap)とを含み、前記加湿モジュールは、
ミッドケース(mid-case)と、前記ミッドケース内に配置され、多数の中空糸膜を含む少なくとも一つのカートリッジ(cartridge)とを含み、前記燃料電池用加湿器は、前記キャップが前記中空糸膜のみと流体連通することができるように、機械的組立によって前記加湿モジュールの一端に気密に結合された(air-tightly coupled)パッキング部材(packing member)をさらに含む燃料電池用加湿器が提供される。
【0025】
前記パッキング部材は、前記カートリッジの末端部が挿入されるホール(hole)を有し、前記ミッドケースと前記カートリッジとの間に介在される(interposed)パッキング部(packing part)と、前記パッキング部を取り囲むエッジ部(edge part)とを含むことができる。
【0026】
前記パッキング部は、メインボディー(main body)と、前記ホールを取り囲み、前記ホールに挿入された前記カートリッジの末端部に密着(cling to)する羽部(wing)とを含むことができる。
【0027】
前記パッキング部が前記メインボディーと前記羽部との間に第1溝を有するように、前記羽部は前記メインボディーに対して所定角度に傾くことができる。
【0028】
前記パッキング部は、前記キャップに向かう第1面及びその反対側の第2面を含むことができ、前記第1溝は前記第1面に形成されることができる。
【0029】
前記羽部は前記メインボディーから前記ホールの中心に向かって突出することができる。
【0030】
前記羽部は、前記ホールの中心軸の方向に平行に配列された第1及び第2副羽部を含むことができる。
【0031】
前記第1及び第2副羽部のそれぞれは前記メインボディーから前記ホールの中心に向かって突出することができる。
【0032】
前記第1及び第2副羽部の一方は前記メインボディーから前記ホールの中心に向かって突出することができ、前記第1及び第2副羽部の他方は前記メインボディーに対して所定角度に傾くことができる。
【0033】
前記ホール及び前記羽部のそれぞれは前記ホールに挿入された前記カートリッジの末端部の形態に対応する形態を有することができる。
【0034】
前記エッジ部は、前記ミッドケースの一端の少なくとも一部が挿入される第2溝(groove)を有することができる。
【0035】
前記メインボディーは、前記キャップに向かう第1面及びその反対側の第2面を含むことができ、前記メインボディーは、前記第1及び第2面の少なくとも一面に形成された第3溝を有することができる。
【0036】
前記パッキング部及び前記エッジ部のそれぞれは、10~100ShoreAの第1硬度を有することができ、前記パッキング部材は、前記メインボディーの少なくとも一部に挿入され、前記第1硬度より高い第2硬度を有する補強材をさらに含むことができる。
【0037】
前記加湿モジュールは、2個以上のカートリッジを含むことができ、前記パッキング部は、前記カートリッジがそれぞれ挿入される2個以上のホールを有することができ、前記パッキング部は、前記ホールをそれぞれ取り囲む2個以上の羽部を含むことができ、前記メインボディーは、周辺部(peripheral part)と、前記ホールの間の少なくとも一つのリブ(rib)とを含むことができる。
【0038】
前記パッキング部材は、前記キャップに向かう第1面及びその反対側の第2面を有することができ、前記エッジ部は、前記第2面に形成され、前記ミッドケースの一端の少なくとも一部が挿入される第2溝を有することができ、前記リブは、前記第1及び第2面の少なくとも一面に形成された第3溝を有することができる。
【0039】
前記パッキング部及び前記エッジ部のそれぞれは、10~100ShoreAの第1硬度を有することができ、前記パッキング部材は、前記メインボディーの少なくとも一部に挿入され、前記第1硬度より高い第2硬度を有する補強材をさらに含むことができる。
【0040】
前記補強材は前記リブ内に挿入されることができる。
【0041】
前記カートリッジは、末端に開口(opening)を有し、前記多数の中空糸膜が入っているインナーケース(inner case)と、前記多数の中空糸膜の末端部がポッティングされており、前記インナーケースの開口を閉鎖させる固定層とをさらに含むことができる。
【0042】
前記固定層の少なくとも一部は前記インナーケースの外に位置することができ、前記羽部は前記固定層に密着することができる。
【0043】
前記固定層全体が前記インナーケース内に位置することができ、前記羽部は前記インナーケースに密着することができる。
【0044】
本発明の他の観点によって、ミッドケース及び前記ミッドケース内に配置され、多数の中空糸膜を含む少なくとも一つのカートリッジを含む加湿器のためのパッキング部材であって、前記カートリッジの末端部が挿入されるホールを有し、前記ミッドケースと前記カートリッジとの間に介在されるパッキング部と、前記パッキング部を取り囲むエッジ部とを含み、前記パッキング部は、メインボディーと、前記ホールを取り囲む羽部とを含み、前記羽部は、前記ホールに挿入される前記カートリッジの末端部に密着するように、(i)前記メインボディーから前記ホールの中心に向かって突出するか、(ii)前記パッキング部が前記メインボディーと前記羽部との間に第1溝を有するように前記メインボディーに対して所定角度に傾いているパッキング部材が提供される。
【0045】
前記羽部は前記メインボディーに対して所定角度に傾くことができ、前記第1溝において前記羽部と前記メインボディーが成す角度は5°以上90°未満である。
【0046】
前記羽部は、前記ホールの中心軸の方向に平行に配列された第1及び第2副羽部を含むことができる。
【0047】
前記第1及び第2副羽部のそれぞれは前記メインボディーから前記ホールの中心に向かって突出することができる。
【0048】
前記第1及び第2副羽部の一方は前記メインボディーから前記ホールの中心に向かって突出することができ、前記第1及び第2副羽部の他方は前記メインボディーに対して所定角度に傾くことができる。
【0049】
前記エッジ部は、前記ミッドケースの一端の少なくとも一部が挿入される第2溝を有することができる。
【0050】
前記羽部は前記メインボディーに対して所定角度に傾くことができ、前記パッキング部材は、第1面及びその反対側の第2面を有することができ、前記第1溝は前記第1面に形成されることができ、前記第2溝は前記第2面に形成されることができる。
【0051】
前記メインボディーは、前記第1及び第2面の少なくとも一面に形成された第3溝を有することができる。
【0052】
前記パッキング部及び前記エッジ部のそれぞれは、10~100ShoreAの第1硬度を有することができ、前記パッキング部材は、前記メインボディーの少なくとも一部に挿入され、前記第1硬度より高い第2硬度を有する補強材をさらに含むことができる。
【0053】
前記パッキング部は、2個以上の前記カートリッジがそれぞれ挿入される2個以上のホールを有することができ、前記パッキング部は、前記ホールをそれぞれ取り囲む2個以上の羽部を含むことができ、前記メインボディーは、周辺部と、前記ホールの間の少なくとも一つのリブとを含むことができる。
【0054】
前記パッキング部材は、前記第1溝が形成される第1面及びその反対側の第2面を有することができ、前記エッジ部は、前記第2面に形成され、前記ミッドケースの一端の少なくとも一部が挿入される第2溝を有することができ、前記リブは、前記第1及び第2面の少なくとも一面に形成された第3溝を有することができる。
【0055】
前記パッキング部及び前記エッジ部のそれぞれは、10~100ShoreAの第1硬度を有することができ、前記パッキング部材は、前記メインボディーの少なくとも一部に挿入され、前記第1硬度より高い第2硬度を有する補強材をさらに含むことができる。
【0056】
前記補強材は前記リブ内に挿入されることができる。
【0057】
以上のような本発明についての一般的な敍述は本発明を例示するか説明するためのものであるだけで、本発明の権利範囲を制限しない。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、パッキング部材の機械的組立によってミッドケースとキャップとの間の空気漏出を防止するから、従来技術のキャスティング工程(すなわち、液状ポリマーを鋳型に注入して硬化させる工程)及び追加的シーリング工程(すなわち、シーラントを塗布して硬化させる工程)などを省略することができる。よって、本発明によれば、ミッドケースとキャップとの間の空気漏出を防止しながらも燃料電池用加湿器の生産工程時間を縮めることによってその生産性を画期的に向上させることができる。
【0059】
また、ミッドケースとキャップとの間の空気漏出防止のための本発明のパッキング部材は機械的組立によって加湿モジュールに装着されるから、加湿モジュールの特定部分に異常が発生する場合、前記パッキング部材を機械的に簡単に分離した後、該当部分のみ修理又は交替することが可能である。よって、本発明によれば、燃料電池用加湿器の維持補修費用をかなり節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
添付図面は本発明の理解を助け、本明細書の一部を構成するためのものであり、本発明の実施例を例示し、発明の詳細な説明とともに本発明の原理を説明する。
【0061】
【
図1】通常の燃料電池用加湿器を概略的に示す分解斜視図(exploded perspective view)である。
【0062】
【
図2】
図2の(a)~(c)は、本発明の第1実施例によるパッキング部材を含む本発明の第1実施例による燃料電池用加湿器をそれぞれ概略的に示す分解斜視図、分解断面図、及び断面図である。
【0063】
【
図3】
図3の(a)及び(b)は、パッキング部材とミッドケースの多様な結合方式をそれぞれ示す図である。
【0064】
【
図4】本発明の第1実施例によるパッキング部材を含む本発明の第2実施例による燃料電池用加湿器を概略的に示す断面図である。
【0065】
【
図5】本発明の第1実施例によるパッキング部材を含む本発明の第3実施例による燃料電池用加湿器を概略的に示す断面図である。
【0066】
【
図6】
図6の(a)~(c)は、本発明の第2実施例によるパッキング部材を含む本発明の第4実施例による燃料電池用加湿器をそれぞれ概略的に示す分解斜視図、分解断面図、及び断面図である。
【0067】
【
図7】本発明の第2実施例によるパッキング部材を含む本発明の第5実施例による燃料電池用加湿器を概略的に示す断面図である。
【0068】
【
図8】
図8の(a)及び(b)は、本発明の第3及び第4実施例によるパッキング部材をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0069】
【
図9】
図9の(a)及び(b)は、本発明の第5及び第6実施例によるパッキング部材をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0070】
【
図10】
図10の(a)及び(b)は、本発明の第7及び第8実施例によるパッキング部材をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0071】
【
図11】
図11の(a)及び(b)は、本発明の第9及び第10実施例によるパッキング部材をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0072】
【
図12】
図12の(a)及び(b)は、本発明の第11及び第12実施例によるパッキング部材をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下では添付図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。ただ、以下で説明する実施例は本発明の明確な理解を助けるための例示的目的で提示するものであるだけで、本発明の範囲を制限しない。
【0074】
図2の(a)~(c)は本発明の第1実施例によるパッキング部材を含む本発明の第1実施例による燃料電池用加湿器をそれぞれ概略的に分解斜視図、分解断面図、及び断面図である。
【0075】
図2の(a)~(c)に例示するように、本発明の燃料電池用加湿器200は、外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュール210を含む。前記加湿モジュール210の両端のそれぞれはキャップ220と結合されている。
【0076】
前記キャップ220のいずれか一方は外部から供給される空気を前記加湿モジュール210に伝達し、他方は前記加湿モジュール210によって加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
【0077】
前記加湿モジュール210は外部から供給される空気と排ガスとの間の水分交換が起こる装置であり、排ガス流入口211a及び排ガス排出口211bを有するミッドケース211と、前記ミッドケース211内に配置される少なくとも一つのカートリッジ(cartridge)212とを含む。
【0078】
本発明のミッドケース211とキャップ220はそれぞれ独立的に硬質プラスチック(例えば、ポリカーボネート)又は金属から形成されることができ、円形又は多角形の幅方向断面を有することができる。前記円形は楕円形を含み、前記多角形は丸角(rounded corner)を有する多角形を含む。
【0079】
前記カートリッジ212は、多数の中空糸膜212aと、これらを互いに固定させる固定層212bとを含むことができる。例えば、前記中空糸膜212aの末端が前記固定層212bにポッティングされることができる。
【0080】
前記中空糸膜212aは、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、又はこれらの中で2種以上の混合物から形成された高分子膜を含むことができ、前記固定層212bはディープポッティング、遠心ポッティングなどのキャスティング方式で液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることによって形成することができる。
【0081】
外部から供給される空気は前記中空糸膜212aの中空に沿って流れる。前記排ガス流入口211aを通して前記ミッドケース211内に流入した排ガスは前記中空糸膜212aの外表面と接触した後、前記排ガス排出口211bを通して前記ミッドケース211から排出される。前記排ガスが前記中空糸膜212aの外表面と接触するとき、前記排ガス内に含有されていた水分が前記中空糸膜212aを透過することにより、前記中空糸膜212aの中空に沿って流れる空気を加湿する。
【0082】
前述したように、前記キャップ220は前記中空糸膜212aの中空のみと流体連通するだけで、前記ミッドケース211の内部空間Sとは完全に遮断されていなければならない。そうではなければ、圧力差による空気漏出が発生し、燃料電池スタックに供給される加湿空気量が減少して燃料電池の発電効率が低下する。
【0083】
したがって、本発明の燃料電池用加湿器200は、前記加湿モジュール210の各末端に機械的組立によって気密に結合されたパッキング部材230をさらに含む。
【0084】
本発明によれば、パッキング部材230の機械的組立によって前記ミッドケース211とキャップ220との間の空気漏出を防止するから、従来技術のキャスティング工程(すなわち、液状樹脂を鋳型に注入して硬化させる工程)及び追加的シーリング工程(すなわち、シーラントを塗布して硬化させる工程)などを省略することができる。よって、本発明によれば、ミッドケース211とキャップ220との間の空気漏出を防止しながらも燃料電池用加湿器200の生産工程時間を縮めることにより生産性を画期的に向上させることができる。
【0085】
また、ミッドケース211とキャップ220との間の空気漏出防止のための本発明のパッキング部材230は機械的組立によって加湿モジュール210に装着されるから、加湿モジュール210の特定部分(例えば、カートリッジ212)に異常が発生する場合、前記パッキング部材230を前記加湿モジュール210から機械的に簡単に分離した後、該当部分のみ修理又は交替することが可能である。よって、本発明によれば、燃料電池用加湿器200の維持補修費用をかなり節減することができる。
【0086】
本発明のパッキング部材230は、パッキング部231及びこれを取り囲むエッジ部232を含む。本発明のパッキング部材230、すなわち前記パッキング部231及び前記エッジ部232は、10~100ShoreA、より好ましくは30~70ShoreA、さらにより好ましくは40~60ShoreAの硬度を有する弾性物質(例えば、シリコン、ゴムなど)から形成することができる。
【0087】
前記パッキング部231は、前記カートリッジ212の末端部(本実施例の場合、固定層212b)が挿入されるホールHを有し、前記ミッドケース211と前記カートリッジ212との間に介在される。
【0088】
前記パッキング部231は、メインボディー231aと、前記ホールHを取り囲み、前記ホールHに挿入されたカートリッジ212の末端部に密着(cling to)する羽部231bとを含む。
【0089】
本発明の一実施例によれば、
図2(b)に例示するように、前記パッキング部231が前記メインボディー231aと前記羽部231bとの間に第1溝G1を有するように、前記羽部231bが前記メインボディー231aに対して所定角度に傾くことができる。
【0090】
図2(b)には前記羽部231bの一端が前記メインボディー231aの一端に連結されているパッキング部231が例示されているが、本発明がこれに制限されるものではなく、前記羽部231bの一端は前記メインボディー231aのどこにも連結することができる。
【0091】
前記第1溝G1は、前記パッキング部231の前記キャップ220に向かう第1面及びその反対側の第2面のいずれにも形成することができる。ただ、前記第1溝G1が前記第1面に形成されることが組立の便宜性の側面で好ましい。また、湿っている排ガスが中空糸膜212aの外側に流れ、外部から供給される空気が前記中空糸膜212aの中空に沿って流れる方式の場合(すなわち、前記キャップ220の内部圧力が前記ミッドケース211の内部圧力より一般的に高い場合)、前記第1溝G1が前記第1面に形成されている場合にのみ前記羽部231bが前記カートリッジ212の末端部に押圧密着することができるので、空気の漏出をより確かに防止することができる。一方、外部から供給される空気が前記中空糸膜212aの外側に流れ、湿っている排ガスが中空糸膜212aの中空に沿って流れる方式の場合(すなわち、前記ミッドケース211の内部圧力が前記キャップ220の内部圧力より一般的に高い場合)、前記第1溝G1が前記第2面に形成されている場合にのみ前記羽部231bが前記カートリッジ212の末端部に押圧密着することができるという点で前記第1溝G1が前記第2面に形成されることが好ましいであろう。
【0092】
また、
図2(b)に例示するように、本発明のパッキング部材230が前記加湿モジュール210に組み立てられる前に前記羽部231bが前記メインボディー231aに対して所定角度に傾いているので(すなわち、前記ホールHの中心に向かって傾いているので)、前記カートリッジ212の末端部が前記ホールHに挿入されるとき、前記羽部231bが前記カートリッジ212の末端部にもっと強力に密着することができる。
【0093】
本発明のパッキング部材230が前記加湿モジュール210に組み立てられる前、前記第1溝G1において前記羽部231bと前記メインボディー231aが成す角度θは、好ましくは5°以上90°未満、より好ましくは10°~75°、さらにより好ましくは15°~60°であることができる。前記カートリッジ212の末端部が前記ホールHに挿入されれば、弾性素材の前記羽部231bが押されて(pushed)前記角度θが小さくなり、前記羽部231bは弾性力によって前記カートリッジ212の末端部にもっと強く密着することができる。
【0094】
本発明の羽部231bは弾性を持っているから振動緩衝の機能を果たすことができ、よって加湿器200の振動による損傷を防止することができる。
【0095】
前記パッキング部材230とカートリッジ212との間にギャップが発生し、これを通して空気が漏出することを防止するため、前記パッキング部231のホールHと羽部231bのそれぞれは前記ホールHに挿入された前記カートリッジ212の末端部の形態に対応する形態を有することが好ましい。例えば、本実施例のように前記ホールHに挿入された前記カートリッジ212の末端部が前記固定層212bの場合、キャスティング工程に使われる鋳型によって決定される前記固定層212bの形態によって前記パッキング部231のホールH及び羽部231bをデザインしなければならない。
【0096】
前記パッキング部材230と前記ミッドケース211との間にギャップが発生し、これを通して空気が漏出することを防止するために、前記エッジ部232は前記ミッドケース211の一端の少なくとも一部が挿入される第2溝G2を有することができる。前記第2溝G2は前記第1溝G1が形成されたパッキング部材230の面の反対面に形成されることができる。
【0097】
例えば、
図2(c)に例示するように、前記エッジ部232の前記第2溝G2に前記ミッドケース211の一端全体が挿入されることができる。
【0098】
代案として、
図3(a)に例示するように、前記ミッドケース211の一端は溝MGを挟む外縁(outer rim)211d及び内縁(inner rim)211eを含むことができ、前記エッジ部232の前記第2溝G2に前記ミッドケース211の前記内縁211eのみ挿入されることができる。ここで、前記第2溝G2に隣接している前記エッジ部232の外縁232aが前記ミッドケース211の溝MGに挿入される。このような噛合構造(engagement structure)は、前記パッキング部材230と前記ミッドケース211との間を通しての空気漏出をより確かに防止することができるようにする。
【0099】
他の代案として、
図3(b)に例示するように、前記ミッドケース211の一端は溝MGを挟む外縁(outer rim)211d及び内縁(inner rim)211eを含むことができ、前記エッジ部232の外側突出部(outer projection)232bが前記ミッドケース211の溝MGに挿入されることができる。
【0100】
以下では、
図4を参照して本発明の第1実施例によるパッキング部材230を含む本発明の第2実施例による燃料電池用加湿器300を説明する。
【0101】
図4に例示するように、本発明の第2実施例による燃料電池用加湿器300は、(i)前記ミッドケース211の内部空間が隔壁(partitions)211cによって第1空間S1と第2空間S2とに区画され、(ii)前記カートリッジ212がインナーケース(inner case)212cをさらに含むことを除き、上述した第1実施例による燃料電池用加湿器200と実質的に同一である。
【0102】
前記インナーケース212cは各末端に開口(opening)を有し、前記中空糸膜212aがその内部に入っている。前記中空糸膜212aの末端部がポッティングされている前記固定層212bが前記インナーケース212cの開口を閉鎖させる。
【0103】
図4に示すように、前記固定層212bの少なくとも一部が前記インナーケース212cの外に位置することができ、前記パッキング部材230の羽部231bは前記固定層212bに密着することができる。
【0104】
前記インナーケース212cは、前記第1空間S1との流体連通のためにメッシュ状に配列された多数のホール(以下、‘第1メッシュホール’)MH1及び前記第2空間S2との流体連通のためにメッシュ状に配列された多数のホール(以下、‘第2メッシュホール’)MH2を有する。
【0105】
前記排ガス流入口211aを通してミッドケース211の前記第1空間S1に流入した排ガスは前記第1メッシュホールMH1を通して前記インナーケース212c内に流入して前記中空糸膜212aの外表面と接触する。次いで、水分が除去された前記排ガスは前記第2メッシュホールMH2を通して前記第2空間S2に流出した後、前記排ガス排出口211cを通して前記ミッドケース211から排出される。
【0106】
このようなインナーケース212cを含むカートリッジ212は前記ミッドケース211に容易に組み立てることができるだけでなく容易に交替することができるという利点を有する。
【0107】
図5は本発明の第1実施例によるパッキング部材230を含む本発明の第3実施例による燃料電池用加湿器400を概略的に示す断面図である。
【0108】
図5に例示するように、本発明の第3実施例による燃料電池用加湿器400は、前記固定層212b全体が前記インナーケース212c内に位置し、前記パッキング部材230の羽部231bが前記固定層212bではない前記インナーケース212cに密着することを除き、上述した第2実施例による燃料電池用加湿器300と実質的に同一である。
【0109】
図6の(a)~(c)は本発明の第2実施例によるパッキング部材530を含む本発明の第4実施例による燃料電池用加湿器500をそれぞれ概略的に示す分解斜視図、分解断面図、及び断面図である。
【0110】
図6の(a)~(c)に例示するように、本発明の第4実施例による燃料電池用加湿器500は、(i)前記加湿モジュール210が2個以上のカートリッジ212を含み、(ii)前記パッキング部231が前記カートリッジ212がそれぞれ挿入される2個以上のホールHを有し、(iii)前記パッキング部231が前記ホールHをそれぞれ取り囲む2個以上の羽部231bを含み、(iv)前記メインボディー231aが周辺部231aa及び前記ホールHの間の少なくとも一つのリブ231abを含むことを除き、上述した第2実施例による燃料電池用加湿器300と実質的に同一である。
【0111】
前記インナーケース212cをそれぞれ含む複数のカートリッジ212が一定間隔を置いて前記ミッドケース211内に装着されることにより、前記ミッドケース211内に存在する全ての中空糸膜212aに排ガスが均一に分配されることができるだけでなく、問題が発生した特定のカートリッジ212のみ選別的に交替することができるので、燃料電池用加湿器500の維持補修費用をもっと節減することができる。
【0112】
図7は本発明の第2実施例によるパッキング部材530を含む本発明の第5実施例による燃料電池用加湿器600を概略的に示す断面図である。
【0113】
図7に例示するように、本発明の第5実施例による燃料電池用加湿器600は、カートリッジ212のそれぞれの前記固定層212b全体がそれに対応するインナーケース212c内に位置し、前記パッキング部材530の羽部231bが前記固定層212bではない前記インナーケース212cにそれぞれ密着することを除き、上述した第4実施例による燃料電池用加湿器500と実質的に同一である。
【0114】
図8の(a)及び(b)は本発明の第3及び第4実施例によるパッキング部材230a、530aをそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0115】
本発明の第3実施例によるパッキング部材230aは、前記メインボディー231aが前記キャップ220に向かう第1面及びその反対側の第2面の少なくとも一面に形成された第3溝G3を有することを除き、上述した第1実施例によるパッキング部材230と実質的に同一である。例えば、
図8(a)に示すように、前記第3溝G3は前記第1溝G1が形成されたパッキング部材230aの面の反対面(すなわち、第2面)に形成されることができる。
【0116】
これと同様に、本発明の第4実施例によるパッキング部材530aは、前記メインボディー231a(すなわち、前記周辺部231aa及び/又は前記リブ231ab)が前記キャップ220に向かう第1面及びその反対側の第2面の少なくとも一面に形成された第3溝G3を有することを除き、上述した第2実施例によるパッキング部材530と実質的に同一である。例えば、
図8(b)に示すように、前記第3溝G3は前記第1溝G1が形成されたパッキング部材530aの面の反対面(すなわち、第2面)に形成されることができる。
【0117】
前記パッキング部材230a、530aの前記第3溝G3は、(i)前記パッキング部材230a、530aと前記加湿モジュール210の機械的組立を容易にするだけでなく、(ii)前記機械的組立の際に前記パッキング部材230a、530aに弾性力を付与して気密性を向上させることができ、(iii)振動緩衝の機能を果たすことにより、振動による装置の損傷を防止することができる。
【0118】
図9の(a)及び(b)は本発明の第5及び第6実施例によるパッキング部材230b、530bをそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0119】
図9(a)に例示するように、本発明の第5実施例によるパッキング部材230bは前記メインボディー231aの少なくとも一部に挿入された補強材233をさらに含むことを除き、上述した第1実施例によるパッキング部材230と実質的に同一である。
【0120】
これと同様に、本発明の第6実施例によるパッキング部材530bは、前記メインボディー231aの少なくとも一部に挿入された補強材233をさらに含むことを除き、上述した第2実施例によるパッキング部材530と実質的に同一である。例えば、
図9(b)に示すように、前記補強材233は前記メインボディー231aのうちにも特に変形(deformation)に弱い前記リブ231abに挿入されることができる。また、図示されてはいないが、前記補強材233は前記リブ231abだけでなく前記メインボディー231aの周辺部231aa内にも埋め込まれることができる。
【0121】
前記パッキング部材230b、530bのパッキング部231及びエッジ部232は、10~100ShoreA、より好ましくは30~70ShoreA、さらにより好ましくは40~60ShoreAの第1硬度を有する弾性物質(例えば、シリコン、ゴムなど)から形成されることができ、前記補強材233は前記第1硬度より高い第2硬度を有することができる。例えば、前記補強材233は、金属、熱可塑性又は熱硬化性樹脂などから形成されることができる。
【0122】
前記パッキング部材230b、530bより高い硬度を有する前記補強材233は、前記パッキング部材230b、530bを前記加湿モジュール210に機械的に組み立てるとき又は加湿器の運転中に前記メインボディー231aが変形されることを防止することにより、空気漏出をより確かに防止することができる。
【0123】
図10の(a)及び(b)は本発明の第7及び第8実施例によるパッキング部材をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0124】
本発明の第7実施例によるパッキング部材230cは、羽部231bが前記メインボディー231aから前記ホールHの中心に向かって突出していることを除き、上述した第1実施例によるパッキング部材230と実質的に同一である。すなわち、
図10(a)に示すように、本発明の第7実施例による羽部231bは前記メインボディー231aの内周面に対して垂直方向に前記ホールHの中心に向かって突出している。
【0125】
これと同様に、
図10(b)に示すように、本発明の第8実施例によるパッキング部材530cは、羽部231bが前記メインボディー231a(すなわち、周辺部231aa及びリブ231ab)から前記ホールHの中心に向かって突出していることを除き、上述した第2実施例によるパッキング部材530と実質的に同一である。すなわち、本発明の第8実施例による羽部231bのそれぞれは前記周辺部231aa及び/又は前記リブ231abの内周面に対して垂直方向に対応するホールHの中心に向かって突出している。
【0126】
前記羽部(等)231bが前記メインボディー231aから前記ホールHの中心に向かって突出していることにより、前記カートリッジ212の末端部が前記ホールHに挿入されれば、弾性素材の前記羽部231bの形態が変形されてその体積が小さくなり、前記羽部231bは弾性力によって前記カートリッジ212の末端部にもっと強く密着することができる。
【0127】
図11の(a)及び(b)は本発明の第9及び第10実施例によるパッキング部材をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0128】
本発明の第9実施例によるパッキング部材230dは、
図11(a)に示すように、羽部231bが前記ホールHの中心軸の方向に平行に配列された第1及び第2副羽部231ba、231bbを含み、前記第1及び第2副羽部231ba、231bbの全てが前記ホールHの中心に向かって突出していることを除き、上述した第1実施例によるパッキング部材230cと実質的に同一である。前記羽部231bは、前記ホールHの中心軸の方向に前記第1及び第2副羽部231ba、231bbに平行に配列され、前記ホールHの中心に向かって突出している少なくとも一つの第3副羽部(図示せず)をさらに含むこともできる。
【0129】
これと同様に、本発明の第10実施例によるパッキング部材530dは、
図11(b)に示すように、羽部231bのそれぞれがそれ対応するホールHの中心軸の方向に平行に配列された第1及び第2副羽部231ba、231bbを含み、前記第1及び第2副羽部231ba、231bbの全てが前記メインボディー231a(すなわち、周辺部231aa及びリブ231ab)から前記ホールHの中心に向かって突出していることを除き、上述した第2実施例によるパッキング部材530と実質的に同一である。本発明の第10実施例による前記羽部231bのそれぞれも、それに対応するホールHの中心軸の方向に前記第1及び第2副羽部231ba、231bbに平行に配列され、前記ホールHの中心に向かって突出している少なくとも一つの第3副羽部(図示せず)をさらに含むこともできる。
【0130】
図12の(a)及び(b)は本発明の第11及び第12実施例によるパッキング部材をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0131】
本発明の第11実施例によるパッキング部材230eは、
図12(a)に示すように、羽部231bが前記ホールHの中心軸の方向に平行に配列された第1及び第2副羽部231ba、231bbを含むが、その一方(
図12(a)では第1副羽部231ba)は前記メインボディー231aから前記ホールHの中心に向かって突出し、他方(
図12(a)では第2副羽部231bb)は前記メインボディー231aに対して所定角度(例えば、5°以上90°未満)に傾いていることを除き、上述した第1実施例によるパッキング部材230cと実質的に同一である。前記羽部231bは、それに対応するホールHの中心軸の方向に前記第1及び第2副羽部231ba、231bbに平行に配列され、前記ホールHの中心に向かって突出しているか前記メインボディー231aに対して所定角度に傾いている少なくとも一つの第3副羽部(図示せず)をさらに含むこともできる。
【0132】
これと同様に、本発明の第12実施例によるパッキング部材530eは、
図12(b)に示すように、羽部231bのそれぞれがそれに対応するホールHの中心軸の方向に平行に配列された第1及び第2副羽部231ba、231bbを含むが、その一方(
図12(b)では第1副羽部231ba)は前記メインボディー231aから前記ホールHの中心に向かって突出し、他方(
図12(b)では第2副羽部231bb)は前記メインボディー231aに対して所定角度(例えば、5°以上90°未満)に傾いていることを除き、上述した第2実施例によるパッキング部材530と実質的に同一である。本発明の第12実施例による前記羽部231bのそれぞれも、それに対応するホールHの中心軸の方向に前記第1及び第2副羽部231ba、231bbに平行に配列され、前記ホールHの中心に向かって突出しているか前記メインボディー231aに対して所定角度に傾いている少なくとも一つの第3副羽部(図示せず)をさらに含むこともできる。
【0133】
前記第11及び第12実施例において、前記メインボディー231aから前記ホールHの中心に向かって突出している第1副羽部231baは、
図11の(a)及び(b)に例示するように、前記第2副羽部231bbと前記メインボディー231aとの間の第1溝G1に向かうように配置されることができるが、前記第1及び第2副羽部231ba、231bbの位置が互いに替わることもできる。
【0134】
本発明の第9~第12実施例によれば、所定間隔で離隔している前記第1及び第2副羽部231ba、231bbによって二重パッキング(double packing)が可能となることにより、ガス漏出をより確かに防止することができる。
【0135】
上述した本発明の多様な実施例の特徴を任意の方法で組み合わせて前記実施例の多様な変形を創出することができ、このように創出される前記変形もやはり本発明の権利範囲に属するというのを理解しなければならない。例えば、上述した本発明の第3及び第4実施例によるパッキング部材230a、530aも前記第5及び第6実施例の補強材233を含むことができ、上述した本発明の第7~第12実施例によるパッキング部材230c、530c、230d、530d、230e、530eも前記第3~第6実施例の第3溝G3及び/又は補強材233を含むことができる。