(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】洗濯処理液タンク及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
(21)【出願番号】P 2022054746
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2019194844の分割
【原出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】下口 浩二
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207760581(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110158278(CN,A)
【文献】特開2019-107310(JP,A)
【文献】特開2017-158600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機に着脱可能に設けられ、洗濯を複数回行える量の洗濯処理液を保持する容量を有した洗濯処理液タンクであって、
前記洗濯処理液タンクは、上部が開口して前記洗濯処理液を収納する本体と、前記開口を閉じるための蓋体と、前記本体と前記蓋体とが接触する部分に設けられる第1密閉部と、を備え、
前記蓋体には、前記洗濯処理液を投入するための投入部が設けられ、
前記投入部は、開閉式の蓋と、前記蓋を閉めた際に前記蓋と前記蓋体とを密着させる第2密閉部と、を備え
、
前記第1密閉部及び前記第2密閉部の少なくとも1つは基部と引き込み部とを有し、
前記基部は、前記蓋体及び前記蓋の少なくとも1つの下面の外縁近傍に全周にわたって設けられた溝部に固定されており、
前記引き込み部は、前記基部から外周方向へ延びて形成されており、
前記引き込み部は、前記基部よりも上下方向の厚さが薄くなるように構成されている、
洗濯処理液タンク。
【請求項2】
前記本体は前記洗濯機と接続するための接続部を有し、
前記接続部には、前記洗濯処理液タンクを前記洗濯機に取り付けた際には前記本体の内部と前記洗濯機の配管とを連通させ、前記洗濯処理液タンクを前記洗濯機から取り外した際には前記本体の内部と前記洗濯機の配管とを遮断する、逆止弁が設けられている、
請求項
1に記載の洗濯処理液タンク。
【請求項3】
前記蓋体及び前記蓋の少なくとも1つには、前記洗濯処理液タンクの内外を連通する小孔が設けられている、請求項
1又は2に記載の洗濯処理液タンク。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれかに記載の洗濯処理液タンクを収容し、
前記洗濯処理液タンクの上方に、開閉可能な蓋が設けられた、
洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯処理液タンク及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、洗剤、柔軟剤等の洗濯処理液を収納するタンクから、洗濯処理液を洗濯槽に自動的に供給する洗濯機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1に記載の洗濯機におけるタンクは、密閉されていないため、タンク内の洗濯処理液が外部の空気と常時接触して洗濯処理液が酸化による硬化等の経時劣化を起こす可能性がある。そこで、本発明の一形態は、例えば、洗剤、柔軟剤等の洗濯処理液の経時劣化を抑制することができる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態の洗濯機は、洗濯機本体と、前記洗濯機本体に設けられ、洗濯物を洗濯する洗濯槽と、前記洗濯機本体に設置され、洗濯処理液を収納する少なくとも1つのタンクと、前記タンクに収納された前記洗濯処理液を前記洗濯槽に供給する供給部と、前記タンクの内部の圧力の低下を抑制する圧力調整機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係る洗濯機の一例の斜視図である。
【
図2】
図1の洗濯機における内部構成の一例を示す縦断面図である。
【
図3】
図1の洗濯機における洗濯処理液供給部の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図1の洗濯処理液供給部の一例を示す図である。
【
図5】第1の変形例の洗濯処理液供給部の一例を示す図である。
【
図6】
図5の洗剤タンクの空間における圧力による変化を示す図である。
【
図7】第2の変形例の洗濯処理液供給部の一例を示す図である。
【
図8】
図7の洗剤タンクの空間における圧力による変化を示す図である。
【
図9】第3の変形例の洗濯処理液供給部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の洗濯機の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す洗濯乾燥機の内部構成を示す縦断面図である。
【0009】
図1、
図2に示すように、洗濯機100は、例えば、洗濯機本体101の内部に洗濯槽102を備える。
【0010】
洗濯槽102は、例えば、一方の端部全面に開口121を有する大径の有底円筒体120、有底円筒体120に収容された回転ドラム103、有底円筒体120に設けられ、洗濯槽102内の水を排水するための排水口122を備える。また、洗濯槽102は、例えば、洗濯機本体101の底面に設けられた複数本の支持脚123(一本のみ図示)により、開口121の側を上向きとし、水平面に対して軸心を傾けた傾斜姿勢を保って弾性支持されている。
【0011】
回転ドラム103は、例えば、洗濯槽102よりもやや小径であり、一方の端部全面に開口130を有する有底円筒体である。回転ドラム103の開口130は、例えば、洗濯槽102の開口121と略同心になるように、洗濯槽102の底部中央に設けられたドラムモータ104の出力軸140の端部に連結されている。そして、回転ドラム103は、ドラムモータ104の駆動により、洗濯槽102の内部で出力軸140を中心に、回転するようになっている。回転ドラム103の周壁には、例えば、多数の小孔132が前面に亘って貫通形成されている。さらに、回転ドラム103の周壁内面には、例えば、周方向に等間隔で、軸長方向に延びる複数のバッフル133が突設されている。なお、
図2中には、図面の煩雑化を避けるべく、小孔132の一部と、1つのバッフル133のみを図示している。
【0012】
排水口122は、排水管124を介して、排水ホース127に接続されている。そして、洗濯槽102における洗濯後の洗濯水等を排水管124および排水ホース127を介して外部に排水するようになっている。また、排水管124と排水ホース127との間には、排水弁126が設けられている。この排水弁126の開閉により、洗濯槽102における貯水および排水が制御される。
【0013】
洗濯機本体101は、例えば、前面に洗濯物を投入するための扉110、前面の上部に操作パネル115、上部に洗濯処理液供給部160、上面後部に水道等の給水源と接続される水源接続口150を備える。
【0014】
操作パネル115は、例えば、各種の操作のための操作部及び各種の表示のための表示部を備える。洗濯機100では、操作パネル115の操作に応じた運転制御部の動作により、洗濯運転、脱水運転等の一連の処理が実行される。
【0015】
洗濯処理液供給部160は、例えば、上面に開閉式の蓋161を備える。蓋161の下部には、少なくとも1つ以上の洗濯処理液タンクが設けられている。
図1においては、一例として、洗剤タンク162、柔軟剤タンク163が洗濯処理液タンクとして設けられている。洗剤タンク162は、洗濯を複数回できる量の液体洗剤を保持する容量を有する。柔軟剤タンク163は、洗濯を複数回できる量の液体柔軟剤を保持する容量を有する。さらに、洗剤タンク162、柔軟剤タンク163は、洗濯機本体101に着脱可能に設けられている。なお、洗濯処理液供給部160の詳細については後述する。
【0016】
水源接続口150は、例えば、給水弁151および主配水管152を介して洗濯槽102に接続されている。給水弁151は、例えば、複数の給水出口を有する多連形の電磁弁である。そして、水源接続口150を介して給水源から供給された水は、給水弁151により給水出口が切り替えられることにより、例えば、洗剤タンク162、柔軟剤タンク163から供給された洗濯物処理液とともに主配水管152を介して洗濯槽102に供給される。
【0017】
洗濯機本体101の前面(
図2の左側面)には、例えば、開閉自在に扉110が設けられている。さらに、扉110が開けられた際に、洗濯槽102(回転ドラム103)に洗濯物を投入するための投入口111が設けられている。また、扉110は、閉じられた際に、洗濯槽102の開口121を閉鎖するようになっている。
【0018】
洗濯機100における洗濯運転は、例えば、洗濯物が投入された洗濯槽102(回転ドラム103)の内部に洗濯水を供給し、ドラムモータ104を駆動して回転ドラム103をタンブリングさせることにより行われる。回転ドラム103内の洗濯物は、小孔132を介して回転ドラム103内に侵入した洗濯水中に浸され、バッフル133による持ち上げ及び落下を繰り返し、落下時に回転ドラム103の内壁に叩き付けられることにより洗濯される。なお、洗濯機100についての洗濯運転について説明したが、この洗濯機100がヒーター、送風ファン等を備え、洗濯槽の洗濯物を乾燥させる乾燥機としての機能を有していてもよい。
【0019】
次いで、上記洗濯処理液供給部160の詳細ついて説明する。
図3は、本実施形態の洗濯機における洗濯処理液供給部160の一例を概念的に説明するための図である。
【0020】
洗濯処理液供給部160は、例えば、
図3に示すように、洗剤タンク162、柔軟剤タンク163、ポンプ301、弁302を含む。洗剤タンク162の洗剤および柔軟剤タンク163の柔軟剤は、ポンプ301を介して、洗濯槽102に供給される。ポンプ301は、例えば、洗剤タンク162から洗剤、または柔軟剤タンク163から柔軟剤を吸引して、洗濯槽102に供給する。このポンプ301は、各タンクから所定量の洗濯処理液を吸引するように構成することが好ましい。例えば、ポンプ301の駆動時間により洗濯処理液の量を調整することができる。
【0021】
洗濯槽102に供給される洗濯処理液の種類は、弁302により切り替えられる。また、本実施形態においては、洗濯処理液の種類を切り替える弁として弁302を有する例を挙げたが、これに限らず、タンク毎に対応する弁を設け、これらの弁の開閉で洗濯処理液を切り替えるように構成してもよい。
【0022】
さらに、洗濯槽102に供給される洗濯処理液は、例えば、ポンプ301から洗濯槽102に至る経路にて、水源から水源接続口150および給水弁151を介して供給される水と混合されるようになっている。これにより、洗濯処理液が希釈された状態で、洗濯槽102に供給される。なお、本実施例においては、ポンプ301の下流に水源接続口150を介して水が供給されるように構成しているが、これに限らず、例えば、ポンプ301の上流や弁302の上流に水を供給するように構成してもよい。この場合、ポンプ301、弁302を水で洗い流すことができる。
【0023】
また、本実施形態においては、洗濯処理液を収納するタンクとして洗剤タンク162および柔軟剤タンク163を有する例を挙げたが、これに限らず、タンクは1つまたは複数であってもよい。例えば、洗剤および/または柔軟剤の複数の種類を異なるタンクに保持して、ユーザーの好みにより使用される洗剤、柔軟剤の種類を選択できるように構成してもよい。
【0024】
なお、ポンプ301、弁302、給水弁151等の動作は、例えば、図示しない制御部により制御される。
【0025】
次いで、洗剤タンク162について、より詳細に説明する。なお、柔軟剤タンク163については、洗剤タンク162と同様の構成であるため説明を省略する。
【0026】
図4は、洗濯処理液供給部の一例を示す図である。
図4に示すように、洗濯処理液供給部における洗剤タンク162は、例えば、上部が開口する本体401、開口を閉じるための蓋体402を備える。蓋体402における本体401と接触する部分の全周に、例えば密閉ゴム(密閉部)403が設けられており、本体401の内部(洗剤タンク162内部)が密閉されるようになっている。本体401には、洗剤404が収納され、収納されている洗剤404の上部には、空間405が形成されている。この洗剤404は、例えば、ユーザーが蓋体402を開けて本体401に供給したものである。なお、ユーザーが洗剤を本体401に供給する際の最大量を示すリブを本体401の内壁に設けてもよい。
【0027】
さらに、本体401は、例えば、洗濯機本体101に設けられた弁302を介してポンプ301等に接続するための接続部406を有する。接続部406は、例えば、洗濯機本体101に設けられた接続部と接続される。接続部406には、例えば、逆止弁が設けられており、洗濯機本体101側の接続部と接続された際に、洗剤タンク162と弁302およびポンプ301に至る配管409と連通する。さらに、接続部406と洗濯機本体101側の接続部との接続が解除され、洗剤タンク162が洗濯機本体101から取り外された際には、接続部406の逆止弁が閉まることにより洗剤タンク162から洗剤404が漏れることを防止される。
【0028】
そして、接続部406が洗濯機本体101側の接続部と接続された状態で、弁302を開き、ポンプ301を動作させることにより、洗剤タンク162に収納されている洗剤404が洗濯槽102に供給される。上記では、ポンプ301により洗剤タンク162の洗剤404を供給する場合について説明したが、これに限らず、例えば、ポンプ301を設けず、洗剤タンク162を洗濯槽102に上方に設け、弁302の開いた際に、洗剤404を自重により洗濯槽102に供給するように構成してもよい。
【0029】
洗剤タンク162内の洗剤404が洗濯槽102に供給された場合、洗剤タンク162が密閉された状態で洗剤404が減少するため、洗剤タンク162内の圧力が低下する(負圧になる)。そこで、例えば、蓋体402には、洗剤タンク162の外部と洗剤タンク162内の空間405と連通する連通孔(流路)407、この連通孔407を開閉する逆止弁(圧力調整機構)408が形成されている。この逆止弁408は、通常は閉じて洗剤タンク162内を密閉しているが、洗剤タンク162の内圧が外圧より低い場合に開くようになっている。
【0030】
このように、逆止弁408により、通常は洗剤タンク162を密閉状態にして洗剤404に新鮮な空気が空間405に流入することを防止して、洗剤404の酸化による硬化等の経時劣化を抑制することができる。さらに。逆止弁408が洗剤タンク162の内圧が低い場合のみに開くため、洗剤404が洗剤タンク162の内圧により洗剤タンク162方向に引き戻されることが抑制され、洗濯槽102への洗剤404の供給をスムーズに行うことができる。
【0031】
なお、上記では、連通孔407および逆止弁408を蓋体402に設けた例を挙げたが、これに限らず、例えば本体401に、連通孔407および逆止弁408を設けてもよい。この場合、連通孔407は、本体401に収納される洗剤404の液面よりも上部、例えば蓋体402の近傍に設けられることが好ましい。また、場合によっては、蓋体402または本体401に小孔を開けて本体401内部の圧力を調整してもよい。このような小孔では、例えば、空間405が常圧時は空間405への空気の流入がほぼなく、空間405が負圧時にのみ空間405へ空気が流入するようになっている。
【0032】
本実施形態の洗濯機によれば、洗剤タンク内が密閉されるため、洗剤の酸化による硬化等の経時劣化を抑制することができる。さらに、洗剤タンク内の洗剤が洗濯槽に供給されることにより洗剤タンク内の圧力が低下し、負圧になったとしても、蓋体に設けた逆止弁により洗剤タンク内の圧力がほぼ常圧に調整される、つまり、洗剤タンク内の圧力が低下することを抑制することができる。そのため、洗剤タンクから洗濯槽に洗剤を供給する際に、上記の負圧により洗剤が洗剤タンク側に戻されることを抑制することができ、スムーズに洗濯槽に洗剤を供給することができる。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。例えば、下記変形例のように構成してもよい。
【0034】
例えば、第1の変形例のように構成してもよい。
図5、
図6は、第1の変形例の洗濯処理液供給部を説明するための図である。本変形例にかかる洗剤タンク162は、上記実施形態において、逆止弁408を第1密閉パッキン(圧力調整機構)501に変更したものである。
【0035】
例えば、第1密閉パッキン501は、
図5、
図6に示すように、洗剤タンク162内の空間405の圧力によって、例えば、移動または変形して、空間405の圧力を調節する。より具体的には、第1密閉パッキン501は、例えば、半球状のゴム体である。空間405の圧力が常圧の場合(常圧時)、第1密閉パッキン501は、例えば、上方への付勢力により蓋体402に設けられた連通孔407において蓋体402と密着して、連通孔407を閉じて、空間405を密閉する。
【0036】
一方、空間405の圧力が負圧の場合(負圧時)、第1密閉パッキン501は、上方への付勢力に抗して空間405の負圧に引かれて下方に移動するか、または変形する。これにより、第1密閉パッキン501は、連通孔407における蓋体402との密着が解除されるため、洗剤タンク162の外部の空気が矢印Aで示すように空間405に流入する。そして、空間405の圧力が常圧になった場合、第1密閉パッキン501は、再び常圧時の状態、つまり、蓋体402に設けられた連通孔407において蓋体402と密着して、連通孔407を閉じて、空間405を密閉する。
【0037】
このように、逆止弁408よりも簡素な構成である第1密閉パッキン501によって、空間405の圧力を調整することができ、上記実施形態と同様に、洗剤タンク162に収納された洗剤の経時劣化を抑制するとともに、洗剤タンク162から洗濯槽102にスムーズに洗剤404を供給することができる。
【0038】
また、例えば、第2の変形例のように構成してもよい。
図7、
図8は、第2の変形例の洗濯処理液供給部を説明するための図である。本変形例にかかる洗濯処理液供給部における洗剤タンク162は、上記実施形態において、連通孔407および逆止弁408を削除し、密閉ゴム403を第2密閉パッキン(圧力調整機構、密閉部)701に変更したものである。
【0039】
例えば、第2密閉パッキン701は、
図7、
図8に示すように、洗剤タンク162内の空間405の圧力によって変形して、空間405の圧力を調整する。より具体的には、第2密閉パッキン701は、例えば、基部801、引き込み部802からなり、蓋体402の全周にわたって設けられた溝部803に設けられている。基部801は、蓋体402の溝部803に固定されている。そして、引き込み部802は、本体401を蓋体402で閉めた際に、基部801から本体401の方向に延びるように設けられている。さらに、引き込み部802は、本体401に延びる方向において上下方向の厚さが薄くなるように構成されている。なお、第2密閉パッキン701は、例えば、ゴム状の材質等で形成され、蓋体402で本体401を閉めた際に、第2密閉パッキン701自体の弾性力で引き込み部802が本体401と密着するようになっている。
【0040】
空間405の圧力が常圧の場合(常圧時)、引き込み部802は、例えば、第2密閉パッキン701自体の弾性力により、本体401と密着し、空間405を密閉する。なお、本体401と蓋体402とが直接接触する部分は、隙間があるため、空気が空間405に通過するようになっており、第2密閉パッキン701がない場合は、空間405を密閉することは困難である。また、上記引き込み部802は、例えば、基部801と同様に溝部803の全周に設けてもよいし、溝部803を埋めるように設けた基部801の一部に少なくとも1つ設けてもよい。
【0041】
一方、空間405の圧力が負圧の場合(負圧時)、第2密閉パッキン701における引き込み部802が、上記弾性力に抗して空間405の負圧に引かれて下方に変形する。これにより、引き込み部802と本体401との密着が解除され、矢印Bで示すように、洗剤タンク162の外部の空気が空間405に流入する。そして、空間405の圧力が常圧になった場合に、第2密閉パッキン701における引き込み部802は、再び常圧時の状態、つまり、本体401と密着して、空間405を密閉する。
【0042】
このように、逆止弁408よりも簡素な構成である第2密閉パッキン701によって、空間405の圧力を調整する、つまり、空間405の圧力が低下することを抑制することができ、上記実施形態と同様に、洗剤タンク162に収納された洗剤の経時劣化を抑制するとともに、洗剤タンク162から洗濯槽102にスムーズに洗剤404を供給することができる。
【0043】
さらに、例えば、第3の変形例のように構成してもよい。
図9は、第3の変形例の洗濯処理液供給部を説明するための図である。本変形例にかかる洗濯処理液供給部における洗剤タンク162は、上記実施形態において、連通孔407および逆止弁408を削除し、本体401から洗濯機本体101に設けた逆止弁(圧力調整機構)902に接続するように変更したものである。
【0044】
図9に示すように、本変形例における洗剤タンク162における本体401は、例えば、洗濯機本体101に設けられた逆止弁902に接続するための圧力調整接続部901を有する。圧力調整接続部901は、例えば、洗濯機本体101側に設けられた圧力調整接続部と接続される。圧力調整接続部901には、例えば、逆止弁が設けられており、洗濯機本体101側の圧力調整接続部と接続された際に、洗剤タンク162から逆止弁902に至る配管(流路)903と連通する。さらに、圧力調整接続部901と洗濯機本体101側の圧力調整接続部との接続が解除され、洗剤タンク162が洗濯機本体101から取り外された際には、圧力調整接続部901の逆止弁が閉まることにより洗剤タンク162における空間405の密閉が保たれる。この圧力調整接続部901は、例えば、本体401に収納される洗剤404の液面よりも上部、例えば蓋体402の近傍に設けられることが好ましい。
【0045】
そして、圧力調整接続部901が洗濯機本体101側の圧力調整接続部と接続された状態では、逆止弁902は、上記逆止弁408と同様に、空間405が負圧時に開き、空間405が常圧時に閉まる。なお、例えば、この逆止弁902に変えて、上記第1密閉パッキン501を設けてもよい。
【0046】
このように、洗剤タンク162ではなく、洗濯機本体101に逆止弁902を設けることにより、洗剤タンク162をより簡素な構成にすることができる。これにより、空間405の圧力を調整する、つまり、空間405の圧力が低下することを抑制することができ、上記実施形態と同様に、洗剤タンク162に収納された洗剤の経時劣化を抑制するとともに、洗剤タンク162から洗濯槽102にスムーズに洗剤404を供給することができる。さらに、例えば、複数のタンクを設けた場合には、例えば、各タンクから逆止弁902へ至る配管を接続することにより、1つの逆止弁902で各タンクの圧力を調整することもできる。なお、もちろん、各タンクに対応する逆止弁902を設けてもよい。
【0047】
なお、上記実施形態では、ユーザーが蓋体402を開けて本体401に洗剤404を供給する例について説明したが、例えば、蓋体402に洗剤404等を供給するための投入部を設けてもよい。例えば、この投入部は、開閉式の蓋であり、閉めた際に蓋と蓋体402と密着して洗剤タンク162内を密閉する密閉部を有するように構成する。この密閉部としては、上記密閉ゴム403、第2密閉パッキン701等を採用することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、洗剤タンクから供給される洗剤および柔軟剤タンクから供給される柔軟剤を洗濯槽に直接供給する場合について説明したが、これに限らず、例えば、洗剤および柔軟剤を別途設けた供給部に溜めた後、この供給部に水源から給水するとともに、洗濯槽に洗剤または柔軟剤を供給するように構成してもよい。また、供給部を洗剤用および柔軟剤用で別々に設けてもよい。この構成により、洗剤と柔軟剤との混ざることを抑制することができる。
【0049】
さらに、洗剤タンクから洗濯槽に洗剤を投入する経路と、柔軟剤タンクから洗濯槽に柔軟剤を投入する経路とを設け、別々の経路で洗濯槽に投入されるように構成してもよい。これにより、使用するタイミングが異なる洗剤と柔軟剤とが混ざることを抑制することができる。
【0050】
またさらに、例えば、逆止弁408、弁302、給水弁151、逆止弁902として、例えば電磁弁等の開閉を制御する開閉弁を採用し、制御部により、ポンプ301を動作させた際に各開閉弁を開く等、ポンプ301の動作に応じて各開閉弁の開閉を制御してもよい。
【0051】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0052】
100 洗濯機、101 洗濯機本体、102 洗濯槽、103 回転ドラム、104 ドラムモータ、110 扉、111 投入口、115 操作パネル、120 有底円筒体、121 開口、122 排水口、123 支持脚、124 排水管、126 排水弁、127 排水ホース、130 開口、132 小孔、133 バッフル、140 出力軸、150 水源接続口、151 給水弁、152 主配水管、160 洗濯処理液供給部、161 蓋、162 洗剤タンク、163 柔軟剤タンク、301 ポンプ、302 弁、401 本体、402 蓋体、403 密閉ゴム、404 洗剤、405 空間、406 接続部、407 連通孔、408 逆止弁、409 配管、501 第1密閉パッキン、701 第2密閉パッキン、801 基部、802 引き込み部、803 溝部、901 圧力調整接続部、902 逆止弁、903 配管