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特許7402280動画像復号装置、動画像復号方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】動画像復号装置、動画像復号方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/117 20140101AFI20231213BHJP
   H04N 19/186 20140101ALI20231213BHJP
   H04N 19/593 20140101ALI20231213BHJP
【FI】
H04N19/117
H04N19/186
H04N19/593
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022118548
(22)【出願日】2022-07-26
(62)【分割の表示】P 2018245882の分割
【原出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2022140573
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭
(72)【発明者】
【氏名】内藤 整
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174567(JP,A)
【文献】Benjamin Bross et al.,Versatile Video Coding (Draft 3),JVET-L1001-v7.docx[online],2018年12月20日,http://phenix.it-sudparis.eu/jvet/doc_end_user/documents/12_Macao/wg11/JVET-L1001-v11.zip
【文献】Kei Kawamura et al.,Bit-width reduction of multiplier in CCLM derivation and prediction,JVET-M0799.docx[online],2019年01月10日,http://phenix.it-sudparis.eu/jvet/doc_end_user/documents/13_Marrakech/wg11/JVET-M0799-v1.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/117
H04N 19/186
H04N 19/593
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化データを復号するように構成されている動画像復号装置であって、
前記符号化データを復号して色差残差信号を取得するように構成されている復号部と、
予測対象ブロックの復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を生成するように構成されている変換部と、
前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定し、特定された前記輝度の画素における輝度画素値及び前記輝度の画素に対応する色差の画素における色差画素値を出力するように構成されている特定部と、
前記輝度画素値と前記色差画素値と線形予測モデルとから線形予測パラメータを導出するように構成されている導出部と、
前記輝度参照信号に前記線形予測パラメータに基づく前記線形予測モデルを適用して色差予測信号を取得するように構成されている色差線形予測部と、
前記色差予測信号と前記色差残差信号とを加算して再構成色差信号を生成するように構成されている加算部とを備え、
前記導出部は、前記色差画素値の最大値と最小値との差の最大値を予め定めた範囲にクリップするように構成されており、
前記特定部は、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定するように構成されており、
前記導出部は、前記線形予測パラメータに対してシフト処理を適用するように構成されていることを特徴とする動画像復号装置。
【請求項2】
符号化データを復号する動画像復号方法であって、
前記符号化データを復号して色差残差信号を取得する工程Aと、
予測対象ブロックの復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を生成する工程Bと、
前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定する特定し、特定された前記輝度の画素における輝度画素値及び前記輝度の画素に対応する色差の画素における色差画素値を出力する工程Cと、
前記輝度画素値と前記色差画素値と線形予測モデルとから線形予測パラメータを導出する工程Dと、
前記輝度参照信号に前記線形予測パラメータに基づく前記線形予測モデルを適用して色差予測信号を取得する工程Eと、
前記色差予測信号と前記色差残差信号とを加算して再構成色差信号を生成する工程Fと、
前記色差画素値の最大値と最小値との差の最大値を予め定めた範囲にクリップする工程Gとを有し、
前記工程Cにおいて、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定し、
前記工程Dにおいて、前記線形予測パラメータに対してシフト処理を適用することを特徴とする動画像復号方法。
【請求項3】
符号化データを復号するように構成されている動画像復号装置で用いるプログラムであって、コンピュータに、
前記符号化データを復号して色差残差信号を取得する工程Aと、
予測対象ブロックの復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を生成する工程Bと、
前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定する特定し、特定された前記輝度の画素における輝度画素値及び前記輝度の画素に対応する色差の画素における色差画素値を出力する工程Cと、
前記輝度画素値と前記色差画素値と線形予測モデルとから線形予測パラメータを導出する工程Dと、
前記輝度参照信号に前記線形予測パラメータに基づく前記線形予測モデルを適用して色差予測信号を取得する工程Eと、
前記色差予測信号と前記色差残差信号とを加算して再構成色差信号を生成する工程Fと、
前記色差画素値の最大値と最小値との差の最大値を予め定めた範囲にクリップする工程Gとを実行させ、
前記工程Cにおいて、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定し、
前記工程Dにおいて、前記線形予測パラメータに対してシフト処理を適用することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像復号装置、動画像復号方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、イントラ予測(フレーム内予測)又はインター予測(フレーム間予測)と予測残差信号の変換・量子化とエントロピー符号化とを用いた動画像符号化方式が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
かかる動画像符号化方式に対応する動画像符号化装置は、第1に、入力画像を複数のブロックに分割し、第2に、分割したブロック単位(1つ又は複数の変換ユニット)で、入力画像とイントラ予測画像又はインター予測画像との差分である残差信号に対して変換及び量子化を行うことでレベル値を生成し、第3に、生成したレベル値をサイド情報(画素値の再構成に必要な予測モードや動きベクトル等の関連情報)と共にエントロピー符号化して符号化データを生成する。
【0004】
一方、動画像復号方式に対応する動画像復号装置は、動画像符号化装置で行われる手順と逆の手順により、符号化データから出力画像を得る。
【0005】
具体的には、かかる動画像復号装置は、符号化データから得られたレベル値に対して逆量子化及び逆変換を施して残差信号を生成し、イントラ予測画像又はインター予測画像に加算してフィルタ前局所復号画像を生成し、イントラ予測に用いると同時に、インループフィルタ(例えば、デブロックフィルタ)を適用してフィルタ後局所復号画像を生成し、フレームバッファに蓄積する。フレームバッファは、適宜、インター予測にフィルタ後局所復号画像を供給する。
【0006】
なお、符号化データからサイド情報及びレベル値を得る処理のことは、パース処理と呼ばれ、これらのサイド情報及びレベル値を用いて画素値を再構成することは、復号処理と呼ばれる。
【0007】
ここで、非特許文献2に記載の次世代動画像符号化方式VVCにおけるイントラ予測のうち色差イントラ予測方式について述べる。
【0008】
色差イントラ予測方式には、輝度イントラ予測方式と同様の色成分内予測方式に加えて、再構成した輝度成分から色差成分を線形予測する成分間線形予測(CCLM:Cross-Component Linear Model)方式がある。輝度成分及び色差成分は、4:2:0色形式の場合に、サンプル数が異なるため、図6に示すように、色差画素に対応する輝度画素を平滑化によって導出する。
【0009】
ここで、平滑化に用いられる6タップフィルタは、以下の通りである。
【0010】
【数1】
【0011】
CCLM方式に用いられる線形予測パラメータa及びbは、予測対象ブロックに隣接する復号済みの輝度及び色差の画素値を対象に、輝度の最小及び最大の画素を用いて、輝度から色差に線形変換する線形予測モデルを適用して、以下のように導出する。ここで、パラメータkは、定数である。
【0012】
【数2】
【0013】
そして、輝度成分から、以下の線形予測モデルと導出した線形予測パラメータa及びbとに基づいて、予測対象ブロック内の色差成分を予測する。
【0014】
【数3】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【文献】ITU-T H.265 High Efficiency Video Coding
【文献】Versatile Video Coding (Draft 3)
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2014-195142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、次世代動画像符号化方式VVCでは、予測係数の導出における計算複雑度が高いという問題点があった。
【0018】
具体的には、次世代動画像符号化方式VVCでは、導出の一部を構成するルックアップテーブルの精度が高いため、演算に必要なビット数が他の処理ブロックのビット数よりも大きいという問題点があった。
【0019】
また、次世代動画像符号化方式VVCでは、予測係数の絶対値に制約がないため、得られた予測値が入力画素値の範囲を超える場合があるという問題点があった。
【0020】
さらに、次世代動画像符号化方式VVCでは、線形モデル導出時には最終的に2画素しか利用しないにも関わらず比較する全ての画素で平滑化演算を行っているという問題点があった。
【0021】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ルックアップテーブルの精度(ビット数)を削減し、予測係数の絶対値の最大値を定めることとで、必要な演算精度(演算に必要なビット数)を補間フィルタの演算精度と同程度に削減できる動画像復号装置、動画像符号化装置、動画像処理システム、動画像復号方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0022】
また、本発明は、輝度が最小値と最大値になる画素を平滑化することなく決定して、比較回数は2倍になるが、平滑化演算を完全に削減することができる動画像復号装置、動画像符号化装置、動画像処理システム、動画像復号方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の特徴は、符号化データを復号するように構成されている動画像復号装置であって、前記符号化データを復号して色差残差信号を取得するように構成されている復号部と、予測対象ブロックの復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を生成するように構成されている変換部と、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定し、特定された前記輝度の画素における輝度画素値及び前記輝度の画素に対応する色差の画素における色差画素値を出力するように構成されている特定部と、前記輝度画素値と前記色差画素値と線形予測モデルとから線形予測パラメータを導出するように構成されている導出部と、前記輝度参照信号に前記線形予測パラメータに基づく前記線形予測モデルを適用して色差予測信号を取得するように構成されている色差線形予測部と、前記色差予測信号と前記色差残差信号とを加算して再構成色差信号を生成するように構成されている加算部とを備え、前記導出部は、前記色差画素値の最大値と最小値との差の最大値を予め定めた範囲にクリップするように構成されており、前記特定部は、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定するように構成されており、前記導出部は、前記線形予測パラメータに対してシフト処理を適用するように構成されていることを要旨とする。
【0024】
本発明の第2の特徴は、符号化データを復号する動画像復号方法であって、前記符号化データを復号して色差残差信号を取得する工程Aと、予測対象ブロックの復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を生成する工程Bと、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定する特定し、特定された前記輝度の画素における輝度画素値及び前記輝度の画素に対応する色差の画素における色差画素値を出力する工程Cと、前記輝度画素値と前記色差画素値と線形予測モデルとから線形予測パラメータを導出する工程Dと、前記輝度参照信号に前記線形予測パラメータに基づく前記線形予測モデルを適用して色差予測信号を取得する工程Eと、前記色差予測信号と前記色差残差信号とを加算して再構成色差信号を生成する工程Fと、前記色差画素値の最大値と最小値との差の最大値を予め定めた範囲にクリップする工程Gとを有し、前記工程Cにおいて、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定し、前記工程Dにおいて、前記線形予測パラメータに対してシフト処理を適用することを要旨とする。
【0025】
本発明の第3の特徴は、符号化データを復号するように構成されている動画像復号装置で用いるプログラムであって、コンピュータに、前記符号化データを復号して色差残差信号を取得する工程Aと、予測対象ブロックの復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を生成する工程Bと、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定する特定し、特定された前記輝度の画素における輝度画素値及び前記輝度の画素に対応する色差の画素における色差画素値を出力する工程Cと、前記輝度画素値と前記色差画素値と線形予測モデルとから線形予測パラメータを導出する工程Dと、前記輝度参照信号に前記線形予測パラメータに基づく前記線形予測モデルを適用して色差予測信号を取得する工程Eと、前記色差予測信号と前記色差残差信号とを加算して再構成色差信号を生成する工程Fと、前記色差画素値の最大値と最小値との差の最大値を予め定めた範囲にクリップする工程Gとを実行させ、前記工程Cにおいて、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定し、前記工程Dにおいて、前記線形予測パラメータに対してシフト処理を適用することを要旨とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ルックアップテーブルの精度(ビット数)を削減し、予測係数の絶対値の最大値を定めることとで、必要な演算精度(演算に必要なビット数)を補間フィルタの演算精度と同程度に削減できる動画像復号装置、動画像復号方法及びプログラムを提供することができる。
【0027】
また、本発明によれば、輝度が最小値と最大値になる画素を平滑化することなく決定して、比較回数は2倍になるが、平滑化演算を完全に削減することができる動画像復号装置、動画像符号化装置、動画像処理システム、動画像復号方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態に係る動画像処理システム1の構成の一例を示す図である。
図2】一実施形態に係る動画像符号化装置10の機能ブロックの一例を示す図である。
図3】一実施形態に係る動画像符号化装置10のイントラ予測部11内の色差イントラ予測を行う機能の一例を示す図である。
図4】一実施形態に係る動画像復号装置30の機能ブロックの一例を示す図である。
図5】一実施形態に係る動画像復号装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら、説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る動画像処理システム1の構成の一例を示す図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態に係る動画像処理システム1は、動画像を符号化して符号化データを生成する動画像符号化装置10と、動画像符号化装置10により生成された符号化データを復号する動画像復号装置30とを備える。動画像符号化装置10及び動画像復号装置30は、上述の符号化データを、例えば、伝送路を介して送受信するように構成されている。
【0032】
図2は、本実施形態に係る動画像符号化装置10の機能ブロックの一例を示す図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態に係る動画像符号化装置10は、インター予測部11と、イントラ予測部12と、変換・量子化部13と、エントロピー符号化部14と、逆変換・逆量子化部15と、減算部16と、加算部17と、インループフィルタ部18と、フレームバッファ部19とを備える。
【0034】
インター予測部11は、入力画像とフレームバッファ部17から供給される後述のフィルタ後局所復号画像とを入力とするように構成されている。インター予測部11は、入力画像及びフィルタ後局所復号画像を用いてインター予測を行ってインター予測画像を生成して出力するように構成されている。
【0035】
イントラ予測部12は、入力画像と後述のフィルタ前局所復号画像(再構成色差信号)とを入力とするように構成されている。イントラ予測部12は、入力画像及びフィルタ前局所復号画像を用いてイントラ予測を行ってイントラ予測画像を生成して出力するように構成されている。
【0036】
ここで、イントラ予測画像は、輝度予測信号と色差予測信号とから構成されている。なお、フィルタ前局所復号画像は、輝度成分と色差成分とから構成されている。
【0037】
変換・量子化部13は、入力された残差信号に対して直交変換処理を行い、かかる直交変換処理により得られた変換係数について量子化処理を行って、量子化されたレベル値として出力するように構成されている。
【0038】
エントロピー符号化部14は、量子化されたレベル値と変換ユニット(TU:Transform Unit)サイズと変換サイズとを入力とするように構成されている。エントロピー符号化部14は、入力された信号をエントロピー符号化して符号化データとして出力するように構成されている。
【0039】
逆変換・逆量子化部15は、量子化されたレベル値を入力とするように構成されている。逆変換・逆量子化部15は、量子化されたレベル値に対して逆量子化処理を行い、かかる逆量子化処理により得られた変換係数に対して逆直交変換処理を行って逆直交変換された残差信号として出力するように構成されている。
【0040】
減算部16は、入力画像とイントラ予測画像又はインター予測画像とを入力し、両者の差分である残差信号を出力するように構成されている。
【0041】
加算部17は、残差信号とイントラ予測画像又はインター予測画像とを入力し、両者を加算したフィルタ前局所復号画像を出力するように構成されている。
【0042】
インループフィルタ部18は、フィルタ前局所復号画像を入力とするように構成されている。ここで、フィルタ前局所復号画像とは、予測画像と、逆直交変換された残差信号とを合算した信号のことである。
【0043】
インループフィルタ部18は、フィルタ前局所復号画像に対してデブロッキングフィルタといったフィルタ処理を行って、フィルタ後局所復号画像を生成して出力するように構成されている。
【0044】
フレームバッファ部19は、フィルタ後局所復号画像を蓄積し、適宜、フィルタ後局所復号画像としてインター予測部11に供給するように構成されている。
【0045】
図3は、本実施形態に係る動画像符号化装置10のイントラ予測部11において再構成した輝度成分(予測対象ブロックの復号済み輝度成分及び予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分)から色差成分を予測するための機能の一例を示す図である。
【0046】
図3に示すように、かかる色差イントラ予測を行う機能は、変換部12aと、特定部12bと、導出部12cと、色差線形予測部12dと、加算部12eとを備える。ここで、色差イントラ予測を適用するかどうかについては、エントロピー復号された色差イントラ予測モードによって判定される。
【0047】
変換部12aは、予測対象ブロックの復号済み輝度成分(フィルタ前局所復号画像に含まれる)を、予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を出力するように構成されている。ここで、サンプル数の変換には、6タップフィルタを適用してもよい。
【0048】
また、変換部12aには、加算部17から、予測対象ブロックの復号済み輝度成分が入力される。
【0049】
特定部12bは、予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分(フィルタ前局所復号画像内に含まれる)の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定するように構成されている。また、特定部12bは、特定された輝度の画素における輝度画素値と、特定された輝度の画素に対応する色差の画素における色差画素値とを出力するように構成されている。
【0050】
ここで、輝度成分のサンプル数及び色差成分のサンプル数が異なる場合には、輝度の画素及び色差の画素は1対1で対応しない場合がある。しかしながら、輝度成分のサンプル数が色差成分のサンプル数よりも多いことを仮定できるため、輝度の画素に対応する色差の画素は一意に決定可能である。
【0051】
なお、特定部12bには、加算部17から、予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分及び予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み色差成分が入力される。
【0052】
導出部12cは、輝度成分の最小と最大の画素値と、対応する色差の画素値と、線形予測モデルとを入力する線形予測パラメータを導出するように構成されている。
【0053】
色差線形予測部12dは、輝度参照信号に線形予測パラメータに基づく線形予測モデルを適用して色差予測信号を出力するように構成されている。
【0054】
加算部12eは、色差予測信号と色差残差信号とを加算して再構成色差信号を生成するように構成されている。
【0055】
図4は、本実施形態に係る動画像復号装置30の機能ブロックの一例を示す図である。
【0056】
図4に示すように、本実施形態に係る動画像復号装置30は、エントロピー復号部31と、逆変換・逆量子化部32と、インター予測部33と、イントラ予測部34と、加算部35と、インループフィルタ部36と、フレームバッファ部37とを備える。
エントロピー復号部31は、符号化データを入力とするように構成されている。エントロピー復号部31は、符号化データをエントロピー復号し、量子化係数レベル値及び動画像符号化装置10で生成された色差イントラ予測モードを導出して出力するように構成されている。
【0057】
逆変換・逆量子化部32は、量子化係数レベル値を入力とするように構成されている。逆変換・逆量子化部32は、量子化係数レベル値に対して逆量子化処理を行い、かかる逆量子化処理により得られた結果に対して逆直交変換処理を行って残差信号(輝度残差信号と色差残差信号から構成される)として出力するように構成されている。
【0058】
インター予測部33は、フレームバッファ部37から供給される後述のフィルタ後局所復号画像を入力とするように構成されている。インター予測部33は、フィルタ後局所復号画像を用いてインター予測を行ってインター予測画像を生成して出力するように構成されている。
【0059】
イントラ予測部34は、フィルタ前局所復号画像を入力とするように構成されている。ここで、フィルタ前局所復号画像とは、残差信号と予測画像とを合算した信号のことであり、予測画像とは、インター予測画像及びイントラ予測画像のうち、エントロピー復号により得られた最も高い符号化性能の期待される予測方法により算出された予測画像のことである。
【0060】
なお、イントラ予測部34は、フィルタ前局所復号画像を用いてイントラ予測を行ってイントラ予測画像を生成して出力するように構成されている。
加算部35は、残差信号とイントラ予測画像又はインター予測画像とを入力し、両者を加算したフィルタ前局所復号画像を出力するように構成されている。
【0061】
インループフィルタ部36は、フィルタ前局所復号画像を入力とするように構成されている。インループフィルタ部36は、フィルタ前局所復号画像に対してデブロックフィルタといったインループフィルタを適用して、フィルタ後局所復号画像として出力するように構成されている。
【0062】
フレームバッファ部37は、フィルタ後局所復号画像を蓄積し、適宜、フィルタ後局所復号画像としてインター予測部33に供給するとともに、復号済み画像として出力するように構成されている。
【0063】
図3は、本実施形態に係る動画像復号装置30のイントラ予測部34において再構成した輝度成分から色差成分を予測するための機能の一例を示す図である。
【0064】
図3に示すように、かかる色差イントラ予測を行う機能は、変換部34aと、特定部34bと、導出部34cと、色差線形予測部34dと、加算部34eとを備える。なお、各機能は、動画像符号化装置10における機能と同一であるため、詳細な説明については省略する。
【0065】
以下、図5を参照して、本実施形態に係る動画像復号装置30において、再構成した輝度成分から色差成分を予測する動作について説明する。
【0066】
図5に示すように、動画像復号装置30は、ステップS101において、符号化データを復号し、ステップS102において、色差イントラ予測モード及び色差残差信号を取得する。
【0067】
ステップS103において、動画像復号装置30は、予測対象ブロックの復号済み輝度成分を、前記予測対象ブロックの復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を生成する。
【0068】
ステップS104において、動画像復号装置30は、予測対象ブロックの復号済み輝度成分に隣接する復号済み輝度成分の画素値が最小と最大になる輝度の画素をそれぞれ特定する特定し、特定された前記輝度の画素における輝度画素値及び前記輝度の画素に対応する色差の画素における色差画素値を出力する。
【0069】
ステップS105において、動画像復号装置30は、輝度画素値と色差画素値と線形予測モデルとから線形予測パラメータを導出する。
【0070】
ステップS106において、動画像復号装置30は、輝度参照信号に線形予測パラメータに基づく線形予測モデルを適用して色差予測信号を取得する。
【0071】
ステップS107において、動画像復号装置30は、色差予測信号と色差残差信号とを加算して再構成色差信号を生成する。
【0072】
本実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30によれば、特定部12b/34bにおいて隣接する復号済み輝度成分を平滑化することなく最小と最大になる画素値を特定するため、シフト演算の回数を削減でき、また、隣接する復号済み輝度成分を従来の6タップフィルタを全く適用せずに特定するため、さらに加算演算の回数を削減できる。
【0073】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30について、上述の第1実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30との相違点に着目して説明する。
【0074】
本実施形態において、導出部12c/34cは、動画像復号装置30のインター予測部33内の動き補償予測における補間演算と同じビット数に揃えるために、出力する線形予測パラメータのビット数に対してシフト処理を適用するように構成されている。
【0075】
具体的には、導出部12c/34cは、輝度値の最大値と最小値の差で除算をルックアップテーブルで実現する際に、ルックアップテーブルの固定小数点表現のビット数を削減するように構成されている。例えば、ルックアップテーブル値のビット数を8ビットとしてもよい。
【0076】
また、導出部12c/34cは、色差値の最大値と最小値との差を除算するが、その差の最大値を予め定めた範囲にクリップする。例えば、導出部12c/34cは、符号付き9ビット整数の範囲である-256から255に丸めてもよい。
【0077】
本実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30によれば、特定部12b/34bにおいて隣接する復号済み輝度成分を平滑化することなく最小と最大になる画素値を特定するため、シフト演算の回数を削減でき、また、隣接する復号済み輝度成分を従来の6タップフィルタを全く適用せずに特定するため、さらに加算演算の回数を削減できる。さらに、インター予測における補間演算と同様に、乗算器のビット数が17ビットとなり、乗算器の設計コストを削減できる。
【0078】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30について、上述の第1及び第2実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30との相違点に着目して説明する。
【0079】
本実施形態において、導出部12c/34cは、線形予測パラメータの大きさに上限値を設定するように構成されている。
【0080】
例えば、導出部12c/34cは、線形予測パラメータに対してクリップ演算とシフト演算を適用するように構成されていてもよい。
【0081】
例えば、線形予測パラメータは、符号付き12ビット固定小数点となるように、符号1ビット、整数部3ビット、少数部8ビットとによって構成される。その結果、色差線形予測部12d、33dは、補間演算の積和演算器のビット数と同様に、積和演算器のビット数が17ビットとなるように構成されていてもよい。
【0082】
また、線形予測パラメータは、符号付き7ビット固定小数点となるように構成されていてもよい。その結果、色差線形予測部12d、33dは、補間演算の乗算器のビット数と同様に、乗算器のビット数が17ビットとなるように構成されていてもよい。
【0083】
また、線形予測パラメータは、符号付き7ビット浮動小数点となるように構成されていてもよい。その結果、色差線形予測部12d、33dは、補間演算の乗算器のビット数と同様に、乗算器のビット数が17ビットとシフト演算の組合せとなるように構成されていてもよい。
【0084】
本実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30によれば、輝度成分の変動が小さい場合にも、線形予測パラメータを一定の値以下に抑えるため、入力信号の範囲を超えて色差信号が線形予測されることを抑制できる。
【0085】
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30について、上述の第1~第3実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30との相違点に着目して説明する。
【0086】
本実施形態において、特定部12b/34bは、復号済み輝度成分を、かかる復号済み輝度成分に対応する色差成分と同じサンプル数にして、輝度参照信号を生成するように構成されている。
【0087】
具体的には、特定部12b/34bは、上部参照輝度成分においては水平3タップの平滑フィルタを適用し、左部隣接参照輝度成分においては垂直2タップの平滑化フィルタを適用するように構成されていてもよい。
【0088】
本実施形態に係る動画像符号化装置10及び動画像復号装置30によれば、隣接参照輝度成分におけるノイズを抑制して、予測精度を高められる。
【符号の説明】
【0089】
1…動画像処理システム
10…動画像符号化装置
11、33…インター予測部
12、34…イントラ予測部
12a、33a…変換部
121b、33b…特定部
12c、33c…導出部
12d、33d…色差線形予測部
12e、17、33e、35…加算部
13…変換・量子化部
14…エントロピー符号化部
15、32…逆変換・逆量子化部
16…減算部
18、36…インループフィルタ部
19、37…フレームバッファ部
30…動画像復号装置
31…エントロピー復号部
図1
図2
図3
図4
図5
図6