(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】広告を提供するための方法とシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20231213BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20231213BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2022504555
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 SG2019050359
(87)【国際公開番号】W WO2021015665
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】522029741
【氏名又は名称】ヌーギ プライベート リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ケック シュー チン
(72)【発明者】
【氏名】ケック トイ ミエン
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-067017(JP,A)
【文献】特開2010-157162(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0039963(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0133909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバによって実行される方法であって、
前記方法は、
ユーザの装置に、実行時間を有し、前記装置上で連続して再生されるように構成されている
少なくとも1つの広告を備えている広告バンドルを提供するステップと、
前記広告バンドルが前記実行時間の最後まで再生されたことを検出するステップと、
前記広告バンドルに基づいて報償値を計算するステップと、
サブスクリプションアカウント番号と関連付けられている未払いの定期的なサブスクリプションに対する支払額を相殺するためにサブスクリプションサーバが前記報償値を直接利用するように、前記報償値と前記サブスクリプションアカウント番号を前記サブスクリプションサーバに自動的に送信するステップ
であって、前記報償値が前記未払いの定期的なサブスクリプションの支払額を超過すると、前記超過した報償値は所定の回数だけ繰り越すことができ、次の定期的なサブスクリプションの支払額のために利用される
ステップと、
を備えている方法。
【請求項2】
前記サブスクリプションサーバまたは支払ゲートウェイから、前記未払いの定期的なサブスクリプションに対する支払額が、前記報償値により相殺されたという確認を受信するステップを更に備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記未払いの定期的なサブスクリプションに対する支払額が、前記報償値により相殺されたという前記確認と、前記相殺後の前記未払いの定期的なサブスクリプションに対する支払額の残高を前記装置に提供するステップを更に備えている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記報償値は、前記広告バンドルが前記装置上で再生される前に計算され、前記報償値と、前記相殺後の前記未払いの定期的なサブスクリプションに対する支払額の前記残高が、前記ユーザが前記広告バンドルを見ることを誘発するために前記ユーザに示される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
他の広告バンドルを前記装置に提供するステップと、
前記他の広告バンドルが前記実行時間の前記最後まで再生されたことを検出するステップと、
前記他の広告バンドルに基づいて他の報償値を計算するステップを更に備え、
前記サブスクリプションアカウント番号と関連付けられている前記未払いの定期的なサブスクリプションに対する支払額を相殺するために前記サブスクリプションサーバが前記報償値と前記他の報償値の両者を直接利用できるように、前記他の報償値は、前記報償値と前記サブスクリプションアカウント番号と共に前記サブスクリプションサーバに自動的に転送される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記サブスクリプションアカウント番号は前記ユーザと関連付けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記サブスクリプションアカウント番号は他のユーザと関連付けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記広告バンドルと
他の広告バンドルを集めるためにユーザが指定したフィルタを適用するステップと、
後続する広告バンドルを集めるために予測人工知能を適用するステップを更に備えている、請求項5から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
重複するアカウントを検出するためにアカウントの登録の間に、生物測定学認証技術を使用するステップを更に備えている、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記広告バンドルに基づいて前記報償値を計算する前に、前記広告バンドルの前記実行時間の間の複数のチェックポイントにおいて前記ユーザを検出するために、前記生物測定学認証技術を使用するステップを更に備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記生物測定学認証技術は顔認識技術を含んでいる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
ある時間期間に前記装置に提供される広告バンドルの数を制限するステップを更に備えている、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
アドチャレンジを前記広告バンドルの前記少なくとも1つの広告に統合するステップと、
前記少なくとも1つの広告の再生を一時的に停止している間に、前記アドチャレンジを前記装置上に表示するステップと、
前記アドチャレンジを完了し、前記少なくとも1つの広告の前記装置上で再生を再開させるユーザ
による前記装置への相互作用を
検出したことを受信するステップを更に備えている、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記アドチャレンジの間に、または、前記アドチャレンジが前記完了したときに製品の
広告に関連する要素を前記装置上に表示するステップを更に備えている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記広告バンドルの前記実行時間の間、および前記ユーザの
前記装置との相互作用の間に生物測定学を使用して前記ユーザの感情解析データを取得するステップと、
前記ユーザの
前記装置との相互作用の間の前記ユーザの応答時間を追尾するステップと、
新しい広告バンドルと新しいアドチャレンジのカスタマイズのために、前記ユーザの前記感情解析データと前記ユーザの前記応答時間を、自己適応アルゴリズムに適用するステップを更に備えている、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザは、異なるサブスクリプションプロバイダにわたって複数のサブスクリプションアカウントを有している、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
システムであって、
請求項1から16のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている少なくとも1つのサーバを備えている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに広告を提供するための方法とシステムに関する。発明はまた、ユーザのサブスクリプションに対する支払額を自動的に相殺することにより、ユーザが広告を見ることに対して報償を与えることにも関する。
【背景技術】
【0002】
ユーチューブ(YouTube(登録商標))などのようなビデオ共有プラットフォームにおいては、ユーザのそのプラットフォームへのアクセスは無料であり、これはプラットフォームの所有者は広告を介して利益を得るからである。しかし、今日の高度に接続されたデジタル世界においては、ユーザは典型的には毎日、4,000から10,000の広告に晒されているという欠点がある。ほとんどのユーザは、強制的に表示される広告を無視する傾向にあるということにまでなっている。ユーザは、ポップアップ表示された広告を単に無視するか、または、広告が終了し、コンテンツが再開するまで自身の作業を続けるかのいずれかである。従って、何らかの形状の恩典または誘発要因を提供することにより広告を見るようにユーザを誘発する必要性が存在する。
【0003】
視聴者が実際に広告を見ることを確実にする何らかの方法もあるべきである。既知の技術は、視聴者が広告を「早送り」することを防止すること、または、視聴者がクリックするボタンを定期的に表示することを含んでいる。しかし、そのような方法は高圧的で、見る気をなくさせ、更には、押しつけがましいとさえ思われる可能性が高い。ブランドおよび広告機関に対する反発という結果になり得る広告の有効性を正当化することも難しい。従って、視聴者の注意を保つための新しいアプローチに対する必要性がある。
【0004】
そのため、必要とされているのは、ユーザが自身の都合で広告を見ることを可能にし、広告を見たことに対する報償として、サブスクリプションに対する支払額を自動的に相殺することを可能にするプラットフォームを提供することにより上記の問題に対処する新しい方法である。発明の他の目的は、ユーザを引き付けておくためのアドチャレンジ(ゲームやクイズなど)を広告に統合することである。発明の更なる目的は、広告を見て、アドチャレンジと相互作用するユーザから収集した感情解析データに基づいて、ユーザに特定的な広告バンドルとアドチャレンジをカスタマイズすることである。更に、他の望ましい特徴と特性は、付随する図面と開示のこの背景と連携しての、後続する詳細な記述と付随する請求項から明白になるであろう。
【発明の概要】
【0005】
発明の第1態様によれば、広告を提供するための方法が開示される。方法は、ユーザの装置に、実行時間を有し、装置上で再生されるように構成されている少なくとも1つの広告を備えている広告バンドルを提供するステップを備えている。方法は更に、広告バンドルが実行時間の最後まで再生されたことを検出するステップと、広告バンドルに基づいて報償値を計算するステップと、サブスクリプションアカウント番号と関連付けられている未払いのサブスクリプションに対する支払額を相殺するためにサブスクリプションサーバが報償値を利用できるように、報償値とサブスクリプションアカウント番号をサブスクリプションサーバに自動的に送信するステップを備えている。
【0006】
好ましくは、方法は更に、サブスクリプションサーバまたは支払ゲートウェイから、未払いのサブスクリプションに対する支払額が、報償値により相殺されたという確認を受信するステップを備えている。
【0007】
好ましくは、方法は更に、未払いのサブスクリプションに対する支払額が、報償値により相殺されたという確認と、相殺後の未払いのサブスクリプションに対する支払額の残高を装置に提供するステップを備えている。
【0008】
好ましくは、報償値は、広告バンドルが装置上で再生される前に計算され、報償値と、相殺後の未払いのサブスクリプションに対する支払額の残高が、ユーザが広告バンドルを見ることを誘発するためにユーザに示される。
【0009】
好ましくは、方法は更に、他の広告バンドルを装置に提供するステップと、他の広告バンドルが実行時間の最後まで再生されたことを検出するステップと、他の広告バンドルに基づいて他の報償値を計算するステップを備え、サブスクリプションアカウント番号と関連付けられている未払いの支払額を相殺するためにサブスクリプションサーバが報償値と他の報償値の両者を利用できるように、他の報償値は、報償値とサブスクリプションアカウント番号と共にサブスクリプションサーバに自動的に転送される。
【0010】
好ましくは、サブスクリプションアカウント番号はユーザと関連付けられている。
【0011】
好ましくは、サブスクリプションアカウント番号は他のユーザと関連付けられている。
【0012】
好ましくは、方法は更に、広告バンドルと他の広告バンドルを集めるためにユーザが指定したフィルタを適用するステップと、後続する広告バンドルを集めるために予測人工知能を適用するステップを備えている。
【0013】
好ましくは、方法は更に、重複するアカウントを検出するために、アカウントの登録の間に、生物測定学認証技術を使用するステップを備えている。
【0014】
好ましくは、方法は更に、広告バンドルに基づいて報償値を計算する前に、広告バンドルの実行時間の間の複数のチェックポイントにおいてユーザを検出するために、生物測定学認証技術を使用するステップを備えている。
【0015】
好ましくは、生物測定学認証技術は顔認識技術を含んでいる。
【0016】
好ましくは、方法は更に、ある時間期間に装置に提供される広告バンドルの数を制限するステップを備えている。
【0017】
好ましくは、方法は更に、アドチャレンジを広告バンドルの少なくとも1つの広告に統合するステップと、少なくとも1つの広告の再生を一時的に停止している間に、アドチャレンジを装置上に表示するステップと、アドチャレンジを完了し、少なくとも1つの広告を装置上で再開させるユーザの相互作用を受信するステップを備えている。
【0018】
好ましくは、方法は更に、アドチャレンジの間に、または、アドチャレンジが完了したときに製品の要素を装置上に表示するステップを備えている。
【0019】
好ましくは、方法は更に、広告バンドルの実行時間の間、およびユーザの相互作用の間に生物測定学を使用してユーザの感情解析データを取得するステップと、ユーザの相互作用の間のユーザの応答時間を追尾するステップと、新しい広告バンドルと新しいアドチャレンジのカスタマイズのために、ユーザの感情解析データとユーザの応答時間を、自己適応アルゴリズムに適用するステップを備えている。
【0020】
好ましくは、ユーザは、異なるサブスクリプションプロバイダにわたって複数のサブスクリプションアカウントを有している。発明の第2態様によれば、上記の方法のいずれか1つを実行するように構成されている少なくとも1つのサーバを備えているシステムが記述される。
【0021】
別個の図を通して、類似の参照番号は同一または機能的に類似している要素を示し、詳細な下記の記述と共に明細書に組み込まれ、その一部を形成している付随する図面は、例としてのみのための種々の実施形態を例示し、本実施形態に従う種々の原則と利点を説明する役割を有している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、発明の実施形態に従う、広告を提供するためのシステムを示している。
【0023】
【
図2】
図2は、発明の実施形態に従う、広告を提供するための方法を示しているフローチャートを示している。
【0024】
【
図3】
図3は、発明の実施形態に従う、ユーザに対する新しい広告バンドルとアドチャレンジをカスタマイズするために使用されている人工知能エンジンのフロー図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
技量を有する技術者は、図における要素は、簡潔性および明確性のために例示されており、必ずしも一定の比率で縮小/拡大されて示されていないということは認識するであろう。例えば、ブロック図における要素の幾つかの寸法、または、フローチャートにおけるステップは、本実施形態の理解を向上するために他の要素に関して誇張できる。
【0026】
下記の詳細な記述は本質的に例に過ぎず、発明または適用、および発明の使用法を制限することは意図されていない。更に、発明の先行する背景において、または下記の詳細な記述において提示されている如何なる理論によっても制限される意図はない。
【0027】
ある実施形態の意図は、実行時間を有し、装置上で再生されるように構成されている少なくとも1つの広告を備えている広告バンドルをユーザの装置に提供する方法を開示することである。方法は更に、広告バンドルが実行時間の最後まで再生されたことを検出するステップと、そして、広告バンドルに基づいて報償値を計算するステップを備えている。方法は更に、サブスクリプションアカウント番号と関連付けられている未払いのサブスクリプションに対する支払額を相殺するためにサブスクリプションサーバが報償値利用できるように、報償値とサブスクリプションアカウント番号をサブスクリプションサーバに自動的に送信するステップを備えている。
【0028】
未払いのサブスクリプションに対する支払額が報償値により相殺されたという確認はサブスクリプションサーバから、または、支払ゲートウェイなどのような媒介体から受信できる。そして、未払いのサブスクリプションに対する支払額が報償値により相殺されたという確認と、相殺後の未払いのサブスクリプションに対する支払額の残高を装置に提供できる。
【0029】
広告バンドルを見ることに対する「報償」として、未払いのサブスクリプションに対する支払額に対して広告バンドルの報償値が相殺されるので、ユーザはサブスクリプションサービス(例えば、ビデオオンデマンドサービス、オーディオストリーミングサービス、通信サービス、ユーティリティサービスなど)への自分のサブスクリプションに対する支払額の減少を得る。これは、ユーザが広告バンドルを見ようとする誘発要因を作りだす。広告バンドルの報償値は、ユーザに対する直接の「金銭的な報償」としては機能せず、報償値は、サブスクリプションに対する支払額を相殺するために使用されることが自動的に予定され、それだけにしか使用されないということを強調することは重要である。この規制の理由は、システムの如何なる乱用を防止または軽減するためであり、つまり、広告バンドルを見るユーザが過度に金銭を得ることを防止または軽減するためである。規制は、ユーザがシステムから得られる利益に対する自然な制限として働く。広告バンドルを見ることに対する報償は、サブスクリプションに対する支払額を相殺することのみに制限されるので、ユーザは支払った額以上の報償を得ることはない。これは、ユーザが得られる報償に制限があるので、広告バンドルを過度に見ることを思いとどまらせ、これは利点である。更にこの規制は、過度に見ることとは反対に、ユーザが、規則的および一貫性を有して(毎月のサブスクリプションに対する支払額を相殺するために)広告バンドルを見ることを促す。
【0030】
報償値はサブスクリプションに対する支払額を相殺することのみに制限されているが、サブスクリプションアカウント番号はユーザと関連付けられる必要はない。例えば、ユーザは、相殺が適用される他のユーザ(友達、または家族のメンバーなど)と関連付けられているサブスクリプションアカウント番号を選択できる。
【0031】
実施形態においては、方法は更に、アドチャレンジを少なくとも1つの広告に統合するステップと、少なくとも1つの広告の再生を一時的に停止している間にアドチャレンジを表示するステップと、アドチャレンジを完了し、その少なくとも1つの広告の装置上での再生を再開させるユーザの相互作用を受信するステップを備えている。実施形態においては、方法は更に、アドチャレンジの間、またはアドチャレンジの完了時に製品の要素を表示するステップを備えている。
【0032】
アドチャレンジは、広告バンドルにおける広告を見ている間にユーザを引き付けておき、これは利点である。これは、ユーザを、より引き付けておく要因という結果になり、より高いクリックスルーレート(リンクのクリック率)(つまり、ユーザがベンダーウェブサイトへのリンクをクリックした率)およびコンバージョンレート(購入率)(ユーザがベンダーウェブサイト上で品物を購入した率)および広告の有効性を向上することに繋がる。アドチャレンジはまた、広告を停止している間に製品のブランドを強調することも目的としている。
【0033】
ある実施形態においては、方法は更に、実行時間の間と、ユーザの相互作用の間に生物測定学を使用してユーザの感情解析データを取得するステップと、ユーザの相互作用の間の応答時間を追尾するステップと、ユーザの感情解析データとユーザの応答時間を、将来の広告バンドルとアドチャレンジのカスタマイズのために自己適応アルゴリズムに適用するステップを備えている。そのため、発明の他の目的は感情解析データ(例えば、広告を見ていて、アドチャレンジと相互作用しているユーザから収集した顔解析データ)およびユーザの応答時間(アドチャレンジと相互作用しているとき)が、その特別なユーザに対する効果的な広告バンドルまたはアドチャレンジを生成することに関するアドバイスを提供するように、データから学習または訓練するために自己適応アルゴリズムに供給できるので満たされる。従って、将来の広告バンドルとアドチャレンジは、そのユーザに対して特定的にカスタマイズまたは適合させることができる。例えば、アドチャレンジの速度はユーザの年齢に合わせることができ、つまり、アドチャレンジの速度を若者に対してはより速くでき、一方、大人に対しては、アドチャレンジの速度を遅くできる。そうすることにより、対象視聴者の細分化が達成され、典型的なケースである、一般大衆に対して広告を提示することとは反対に、より効果的な広告を可能にする。
【0034】
本発明の実施形態が、例としてのみ図面を参照して記述される。図面における類似の参照番号と文字は類似の要素または等価物を指している。
【0035】
図1は、ある実施形態に従うシステム100を示している。システム100は、広告オンデマンド(AOD)プラットフォーム101とユーザアカウントデータベース102を備えることができる。AODプラットフォーム101は、任意のサーバ、コンピュータ、またはサーバのグループ、またはコンピュータのグループなどであることができ、ユーザアカウントデータベース102は、任意のデータベースまたはデータベースのグループであることができる。AODプラットフォーム101は、この技術において知られている任意の有線接続または任意の無線接続を介して、広告バンドルをユーザ装置103に提供するように構成できる。例えば、AODプラットフォーム101は、ユーザ装置103によりアクセス、またはダウンロード、またはストリーミングできる広告バンドルとのウェブユーザインタフェースまたはモバイルアプリケーションインタフェースを提供するように構成できる。広告バンドルがユーザ装置103にダウンロードされると、Wi-Fi、無線またはインターネットの何れも利用することなく広告バンドルをユーザ装置103で見ることができる。AODプラットフォーム101との接続が再確立されると、ユーザ装置103における情報はユーザ装置103からAODプラットフォーム101、感情解析エンジン105、および人工知能エンジン106に転送される。
【0036】
広告バンドルは、1つだけの広告を備えることができ、または、連続して配置されている複数の広告を備えることができる。広告バンドルは、広告のタイプと広告の数に基づいて、ある価値に値する広告を集めたものとして見ることができる。広告バンドルにおける広告は変えることができ、如何なる特別なカテゴリに加入する必要はない。広告バンドルにおける広告は、ランダムに集められたものであることができ、または、自動化された重み関数に基づいて、ユーザの好みまたはそれらの混合物のプロファイルを作成する、またはそれらを予測するビッグデータにより駆動されるアルゴリズムにより自動的に管理できる。広告は、製品、サービス、TVおよび映画の予告編などの幅広い範囲の広告を含むことができる。
【0037】
広告バンドルは、広告主または広告機関、広告集計者(例えば、グーグルアドセンス(Google AdSense))、またはブランドオーナー(例えば、ナイキ、ファーウェイ、ザラ)から直接、または、ユーザの視聴または購買履歴に基づいて独立して集めることができる。広告バンドルはまた、ユーザの個人データに基づいて集めることができる。例えば、ユーザの誕生日が近づいている場合、広告バンドルにおいて配置される広告を、誕生日パーティおよび誕生日ケーキに関連させることができる。そのため、ユーザに提供される広告バンドルは適時的および適切なものとなる。加えて、友達と家族もまたユーザの誕生日を、彼らの報償をユーザのサブスクリプションアカウント番号にリンクすることにより祝うことができる。
【0038】
広告バンドルは実行時間を有することができ、つまり、広告バンドルが最初から最後まで再生される持続時間を有することができる。広告バンドルにおける各広告もまた実行時間を有することができる。広告バンドルの実行時間は、広告バンドルにおける広告の累積実行時間であり、任意の遷移時間(前の広告から次の広告への遷移のための時間)を含むことができる。広告バンドルの実行時間は、例えば、1分と10分の間の範囲であってよい。
【0039】
実施形態においては、AODプラットフォーム101は、広告バンドルをユーザに配信および推奨できる。広告バンドルをユーザに配信および推奨する方法は、予測人工知能を介することができ、または、ユーザの履歴データと購買履歴によることができる。または、AODプラットフォーム101は、フィルタ処理機能を提供でき、ユーザは、自分が見たいと所望する広告のタイプについての好みを示すことができる。これらの実施形態においては、AODプラットフォーム101は広告バンドルを迅速に、およびユーザの指定したフィルタに基づいて集めることができる。開示されている他の機能は、より高い重みという結果になる、ある時間期間の間の製品の好みに対するユーザの指標を、人工知能により駆動および/または管理される広告バンドル内の広告バンドルの混合物に関心のある製品を組み込むときに考慮することである。
【0040】
しかし、好ましくは、ユーザが指定したフィルタは、短く、そして所定の持続時間の間だけしか適用されない。持続時間が終わると、ユーザに対して配信および推奨されている広告バンドルは、予測人工知能により決定されたものに戻る。例えば、ユーザに提供された第1広告バンドルにおける広告は、ユーザ指定のフィルタを適用することにより集めることができ、ユーザに提供された任意の後続の広告バンドルにおける広告は、予測人工知能を適用することにより集めることができる。
【0041】
この規制の理由は、ユーザを、より多くの多様な製品とサービスに触れさせ、如何なる特定の製品またはサービスのカテゴリにとらわれないようにするためである。例えば、ユーザは、スニーカーの新しい1足に関心がある。AODプラットフォーム101が予測人工知能に基づいて広告バンドルを配信および推奨することに戻る前に、短い持続時間の間、スニーカー広告により高い重みが置かれる。実施形態においては、広告バンドルは「健康と美容」、「財政と投資」、「デザインとファッション」などのようなテーマに従って分類できる。ユーザはまた、テーマに基づいて検索および選別することにより好適な広告バンドルを検索できる。
【0042】
各ユーザは、ユーザアカウントデータベース102に格納されている固有のユーザIDを有することができる。各ユーザIDは、複数のサブスクリプションプロバイダとの1つ以上のサブスクリプションアカウント番号と関連付けることができ、これらの関連付けをユーザアカウントデータベース102に格納できる。サブスクリプションアカウント番号はユーザにより、例えば、ユーザ登録の間に前もって入力することができる。更に、ユーザアカウントデータベース102は、ユーザ間の関係を示すために、異なるユーザID間のリンクを格納できる。例えば、ユーザが家族の一員または友達である場合、ユーザが広告バンドルを見ることによる報償を、他のユーザのサブスクリプションアカウント番号に適用すること、または、受け取るユーザに、自身のサブスクリプションの中で受け取る報償の比を特定するオプションを提供することを選択するときにそのようなリンクを適用できる。
【0043】
実施形態においては、AODプラットフォーム101は、広告バンドルが、ユーザ装置103上でその実行時間の最後まで再生されたことを検出するように構成できる。実施形態においては、AODプラットフォーム101は、ユーザ装置103上でその実行時間の最後まで再生された広告バンドルの報償値を計算するように構成できる。実施形態においては、広告バンドルにおける個々の広告は報償値を有することができ、そのため、広告バンドルの報償値は、広告バンドルにおける広告のそれぞれの報償値の合計である。実施形態においては、広告バンドルの報償値はまちまちであってユーザには表示されない。この理由は、ユーザが広告バンドルを見る前に、ユーザに報償値を明確に知らせないことによりユーザの好奇心を引き起こすためであり、または、ユーザに、うれしいサプライズを提供するためである。ユーザが広告バンドルを見る前に報償値を知ってしまうと、純粋な製品への関心またはエンタテイメントとしての価値とは逆に、目的がより金銭的になってしまう。
【0044】
実施形態においては、ユーザが広告バンドルを見る前に、広告バンドルの報償値を計算でき、分類されてユーザに表示できる。相殺後の未払いのサブスクリプションに対する支払額の残高(つまり、ユーザが広告バンドルを見た場合の結果である未払いのサブスクリプションに対する支払額の残高)もまたユーザに表示できる。そのような方法で、広告バンドルを見ることによる利益を定量化することにより、ユーザが広告バンドルを見るように誘導または誘発する。幾つかの広告バンドルはまた、広告のタイプと、広告バンドル内の広告の数に依存する動的値を反映するための「浮動値」を有することができる。
【0045】
実施形態においては、AODプラットフォーム101は、サブスクリプションアカウント番号を取得するように構成できる。実施形態においては、このサブスクリプションアカウント番号は、ユーザが予め選択したデフォルトのサブスクリプションアカウント番号であることができる。実施形態においては、AODプラットフォーム101は、ユーザによる予め入力されたサブスクリプションアカウント番号を検索して、ユーザにその中から1つを選択させるように構成できる。
【0046】
実施形態においては、AODプラットフォーム101は、サブスクリプションアカウント番号と報償値を、サブスクリプションアカウント番号と関連付けられているサブスクリプションサーバ104に自動的に送信するように構成できる。「自動的」なため、ユーザは報償値を他の物と引き換えることができる方法を指定できず、報償値はサブスクリプションに対する支払額に適用できるだけである。実施形態においては、報償値はサブスクリプションサーバ104にすぐに送信される。実施形態においては、報償値はサブスクリプションサーバ104にすぐには送信されず、AODプラットフォーム101においてある時間期間の間に増大させることができる。そして、増大された報償値は、AODプラットフォーム101からサブスクリプションサーバ104に定期的な方法(例えば、月に1度)で送信できる。
【0047】
AODプラットフォーム101はまた、報償値をサブスクリプションサーバ104に送信するためにブロックチェーン技術を利用できる。
図1は1つのサブスクリプションサーバ104を示しているだけであるが、当業者は、これは例示の目的のみのためであり、ユーザは異なる、種々のサブスクリプションプラットフォームにわたる複数のサブスクリプションを有することができるということを認識するであろう。
【0048】
サブスクリプションサーバ104は、サブスクリプションアカウント番号と関連付けられている未払いのサブスクリプションに対する支払額(例えば、ユーザの毎月のビデオオンデマンドサービス、オーディオストリーミングサービス、通信サービス、ユーティリティサービスに対するサブスクリプション)を相殺するために報償値を利用できる。広告収入の取り分は当事者間で予め決められており、それによりサブスクリプションサーバ104が相殺を実行することを可能にする。相殺は部分的相殺か完全相殺のいずれかであることができる。報償値が現在の月の未払いのサブスクリプションに対する支払額を超過すると、「超過」報償値は「繰り越す」ことができ、次月の未払いのサブスクリプションに対する支払額を相殺するために利用できる。実施形態においては、繰り越しできる超過報償値に対して所定の制限を設けることができる。例えば、超過報償値は、3か月までしか繰り越すことができない。そして、何れの超過報償値も没収されてしまう。実施形態においては、ユーザがサブスクリプションアカウントをキャンセルした場合、繰り越した額は金銭的に返済または返還されない。これは、ユーザがサブスクリプションアカウントをキャンセルして、繰り越された額を金銭と交換することによる悪用を防止するためである。
【0049】
実施形態においては、AODプラットフォーム101はサブスクリプションサーバ104から、未払いのサブスクリプションに対する支払額が報償値により相殺されたという確認を受信するように構成できる。実施形態においては、この処理は支払ゲートウェイを介することができ、そのシナリオにおいては、AODプラットフォーム101は、未払いのサブスクリプションに対する支払額が報償値により相殺されたという確認を支払ゲートウェイから受信できる。
【0050】
実施形態においては、AODプラットフォーム101は、ユーザ装置103のインタフェース上に表示することにより、未払いのサブスクリプションに対する支払額が報償値により相殺されたという確認と、相殺後の未払いのサブスクリプションに対する支払額の残高をユーザに提供するように構成できる。
【0051】
従って、広告バンドルを見ることに対する報償として、ユーザは、サブスクリプションサービスに対する自分のサブスクリプションに対する支払いが減額される。これは、ユーザが広告バンドルを見るという誘発要因となる。また、報償値は、サブスクリプションに対する支払額の相殺を実行するために自動的にサブスクリプションサーバ104に送信されるので、ユーザは、如何なる他の目的のために報償値を利用することはできない。これは、ユーザがただお金を稼ぐために過度に広告バンドルを見ることによりシステムを悪用することを回避することを支援するので重要である。この規制はまた、ユーザがシステムから獲得できる利益に対する自然な制限として働く。広告バンドルを見ることに対する報償は、サブスクリプションに対する支払額の相殺のみに限られるので、ユーザは、自分が支払った額以上の報償を得ることはない。これは、ユーザが稼げる報償に制限があるので、広告バンドルを過剰に見ることを思いとどまらせるので利点がある。更に、これは、過度に見ることとは反対に、広告バンドルを規則的且つ一貫性を持って見ることを促す。
【0052】
図2は、ある実施形態に従う、広告を提供するための方法を示しているフローチャートである。
図2のステップ201において、AODプラットフォーム101は広告バンドルをユーザ装置103に提供する。広告バンドルは実行時間を有し、少なくとも1つの広告を備えている。
【0053】
図2のステップ202において、AODプラットフォーム101は、広告バンドルがユーザ装置103でその実行時間の最後まで再生されたことを検出する。
【0054】
図2のステップ203において、AODプラットフォーム101は広告バンドルに基づいて報償値を計算する。
【0055】
図2のステップ204において、AODプラットフォーム101はサブスクリプションアカウント番号を取得する。このサブスクリプションアカウント番号は、ユーザが予め選択したデフォルトのサブスクリプションアカウント番号であってよい。または、AODプラットフォーム101は、ユーザにより予め入力されたサブスクリプションアカウント番号を検索して、ユーザにその中の1つを選択させるように構成できる。または、ユーザは、家族の一員または友達などの他のユーザと関連付けられているサブスクリプションアカウント番号を指定でき、それにより、未払いのサブスクリプションに対する支払額の相殺を、贈り物またはプレゼントとして機能させることができる。
【0056】
図2のステップ205において、AODプラットフォーム101はサブスクリプションサーバ104に、サブスクリプションアカウント番号と報償値を自動的に送信する。サブスクリプションサーバ104は、サブスクリプションアカウント番号を関連付けられている未払いのサブスクリプションに対する支払額を相殺するために報償値を利用できる。実施形態においては、報償値はサブスクリプションサーバ104にすぐに送信される。実施形態においては、報償値はサブスクリプションサーバ104にすぐには送信されず、AODプラットフォーム101においてある時間期間の間に増大させることができる。そして増大された報償値は、AODプラットフォーム101からサブスクリプションサーバ104に定期的な方法(例えば、月に1度)で送信できる。
【0057】
そして、AODプラットフォーム101はサブスクリプションサーバ104から、未払いのサブスクリプションに対する支払額が報償値により相殺されたという確認を受信できる。または、この処理は、支払ゲートウェイを介することができる。そしてそのシナリオにおいては、AODプラットフォーム101は、未払いのサブスクリプションに対する支払額が報償値により相殺されたという確認を支払ゲートウェイから受信できる。
【0058】
AODプラットフォーム101は、未払いのサブスクリプションに対する支払額が報償値により相殺されたという確認と、相殺後の未払いのサブスクリプションに対する支払額の残高をユーザ装置103に提供する。この確認は、ユーザがより多くの広告バンドルを見ることを継続することに拍車をかけるある種の「効果指標」として働くことができる。
【0059】
実施形態においては、AODプラットフォーム101は、ユーザがある時間期間において見ることを可能とされる広告バンドルの数に対する制限(例えば、24時間以内で10個の広告バンドル)を実現できる。
【0060】
実施形態においては、広告バンドルは、1つ以上のアドチャレンジと統合された広告を備えることができる。アドチャレンジは、通信、教育的、および娯楽的な要素を、全体の広告体験の一部として提供できるゲーム、作業、またはパズルであってよい。アドチャレンジの例としてはジグゾーパズルを挙げることができる。アドチャレンジは、認知ドメイン(表1)、感情ドメイン(表2)、または精神運動ドメイン(表3)、またはこの3つのカテゴリの混合のいずれかに分類できる。
【表1】
【表2】
【表3】
【0061】
アドチャレンジはまた、下記の、(1)直接指示(例えば、短い提示、教示的質問、実演)、(2)相互作用的指示(例えば、ブレーンストーミング、ディスカッション/討論)、(3)実験的(例えば、ロールプレイ、技術実践、実験の実行)、(4)間接指示(例えば、問題解決、ケーススタディ、コンセプト形成(例えば、探索)、反映)、および(5)独立した研究(例えば、プロジェクト)のカテゴリの1つに分類できる。
【0062】
表4は例としてのアドチャレンジ形式を示している。
【表4】
【0063】
アドチャレンジは、広告の実行時間の間の任意の時点において統合できる。例えば、アドチャレンジは、広告の実行時間の間の中間時点において埋め込むことができる(例えば、広告の実行時間が2分のときに1分の時点)。広告バンドルがユーザ装置103上で1分の時点まで再生されたときに、アドチャレンジは自動的に起動し、ユーザ装置103上に表示される。この時点において、ユーザ装置103上の広告バンドルの広告の再生は一時的中止または停止される。アドチャレンジが完了したときのみ、広告バンドルにおける広告の再生が再開される。
【0064】
アドチャレンジは、それが完了される前にユーザの相互作用を要求する。ユーザの相互作用とは、チャレンジを完了するために、ユーザからの何らかの認知入力が要求されるということを指している。例えば、アドチャレンジがジグゾーパズルである場合、アドチャレンジは、ユーザがジグゾーパズルを解くために混ぜ合わされているジグゾー片を再配置することを要求する。アドチャレンジが完了すると、アドチャレンジはもはや表示されず、広告は再生を再開する(例えば、1分の時点から)。実施形態においては、製品の要素もまたアドチャレンジの間に、またはアドチャレンジの完了時に表示できる。アドチャレンジは、それが統合される広告に関連するものであることもできる。例えば、広告がスポーツシューズを販売している会社に関連している場合、統合されたアドチャレンジの完了時に、組み合わされたジグゾーパズルは、スポーツシューズ製品の写真を示すことができる。これは、アドチャレンジが、宣伝されている製品に対するユーザの印象を強くするので利点である。第2の利点として、アドチャレンジはまた、リサイクルなどのような公共のメッセージまたはキャンペーンを広めることを支援すると共に、前兆解析における記憶力や認知症の発症などのような健康監視解析をサポートするためにも使用できる。アドチャレンジはランダムに寄せ集めたものであることも、または、自動化された重み関数に基づいて、ユーザの好みまたはそれらの混合物のプロファイルを作成する、またはそれらを予測する、ビッグデータにより駆動されるアルゴリズムにより自動的に管理できる。
【0065】
アドチャレンジの目的は、ユーザが広告バンドルを見ている間にユーザをそこに引き付けておくことである。アドチャレンジは、ユーザからの何らかの知的な応答を要求し、ユーザ側における何らかの認知的思考を刺激することが意図されている。アドチャレンジの目的は、ユーザが広告バンドルを見ている間にユーザを楽しんでいる状態に保つことであるので、単純な「これをクリック」ボタンとは対照的である。アドチャレンジの他の利点は、ユーザが実際に注意を払って広告を見ていることを確実にするということである。アドチャレンジの起動は、広告バンドルの再生を中断するので、ユーザは、広告バンドルをその実行時間の最後まで再生させて、ユーザが、広告バンドルの報償値の権利を得る前にアドチャレンジを完了しなければならない。アドチャレンジはまた、ユーザの認知、感情、および精神運動の側面がより良好に対象とされるように多元的に設計できる。
【0066】
実施形態においては、広告バンドルは、ベンダーサイト(例えば、小売業者のショッピングサイト)へのリンクを備えることができる。このリンクは、広告バンドルの実行時間の間に表示される。リンクは、広告バンドルにおける広告に統合できる。実施形態においては、AODプラットフォーム101は、クリックスルーイベントが発生した(つまり、ユーザがリンクをクリックし、ベンダーサイトに導かれた)ときを検出するように構成できる。実施形態においては、AODプラットフォーム101はまた、ベンダーサイトサーバから購入通知を受信できる。購入通知は、ベンダーサイトにおける製品/サービスが、クリックスルーイベントの結果としてユーザにより購入されたときに、ベンダーサイトサーバから送られる。それが起こると、ベンダーサイトはまた、AODプラットフォーム101に手数料を提供できる。
【0067】
図1において、感情解析エンジン105が示されている。感情解析エンジン105は、感情解析データを収集して格納できる。感情解析データは、顔認識データと脳波の活動データを含むことができる。感情解析エンジン105は、ユーザが広告バンドルを見ているときのユーザの、それに引き付けられているレベルを突き止めるために、顔認識技術などのような生物測定学を採用するように構成できる(例えば、ユーザのカメラから入力されたビデオを介して)。例えば、ユーザは広告を無視、または見なかったかどうか、または、ユーザは広告をちらっと見ただけかどうか、または、ユーザは広告を集中して見たからどうかを突き止めることができる。他の例においては、瞳孔の拡大もまた、感情反応のある側面を示すことができる。
【0068】
感情解析エンジン105はまた、ユーザがアカウントを登録するときに、重複するアカウントを検出し、それぞれのアカウントが唯一の個人に属していることを確実にするために、生物測定学的認証技術を採用およびデータベースを相互参照できる。これは、ある人間が、異なるEメールアカウントまたは複数の携帯電話番号を使用して複数のアカウントを作成することを防止するためであり、ユーザが架空の身元とアカウントを作成する問題に対処する。生物測定学的認証技術の例としては、顔認識技術、指紋認識技術、DNA認識技術、脳波パターン認識技術、および音声パターン認識技術が含まれる。
【0069】
感情解析エンジン105はまた、ユーザが広告を適切に見たかどうかを検証するために顔認識技術を採用できる。一般的な問題は、ユーザが、広告バンドルが再生されている間にコンピュータから離れ、ユーザが広告バンドルの全体を見ていない、または、広告バンドルにおける広告のほとんどを見ていないのに、不正に報償を受け取る(例えば、未払いのサブスクリプションに対する支払額を相殺する)可能性があるということである。感情解析エンジン105は、広告バンドルにおける種々のチェックポイント(例えば、第1広告の開始時、広告間の遷移時、および最後の広告の終了時)においてユーザの顔を検出するために顔認識技術を使用できる。閾値をチェックポイントに割り当てることができる。ユーザの顔がある数のチェックポイントにおいて検出されない場合、AODプラットフォーム101は、広告バンドルは適切に見られなかったと判断する。顔認識機能は、ユーザにも分かるようすることができる。更に、各チェックポイントにおいてユーザが検出されない場合、AODプラットフォーム101は、ユーザに広告バンドルを見るように注意する表示を行うことができる。
【0070】
図1において、人工知能エンジン106が示されている。人工知能エンジン106は、自己適応アルゴリズムを採用できる。人工知能エンジン106は、感情解析データを感情解析エンジン105から受信できる。感情解析データから人工知能エンジン106は、ユーザが広告を見ているときのユーザの感情状態を決定できる。例えば、ユーザは喜んでいるのか、悲しいのか、不安なのか、驚いているのか、混乱しているのかなどを決定できる。ユーザの応答時間(例えば、ユーザがアドチャレンジに応答する速度)もまた人工知能エンジン106に供給できる。
【0071】
人工知能エンジン106は、ユーザの共感を呼ぶ広告のタイプを効果的に予測するために、ユーザの応答時間と感情解析データを利用できる。例えば、人工知能エンジン106はAODプラットフォーム101に、ユーザに配信されている広告バンドルの一部であるべき広告についてのアドバイスを提供できる。詳細のレベルはまた、ユーザをつなぎ止める最良の機会を提供する、何れの色の組み合わせ、言葉の複雑さ、オブジェクトのタイプなどの広告の特定の側面を含むことができる。人工知能エンジン106はまた、ユーザの年齢、好みの色、応答時間、複雑さのレベルなどに合わせるために、アドチャレンジに対するユーザ特有の修正を提供できる。従って、AODプラットフォーム101によりユーザ装置103に配信される以降の広告バンドルとそこに統合されるアドチャレンジはユーザに対して特定的に適合させることができる。
【0072】
人工知能エンジン106はまた、広告の「口コミでの広がり易さ」または有効性を予測できる。人工知能エンジン106は、アドチャレンジおよび新しく生成された広告の、ユーザを引き付けること、および最終的なコンバージョン(つまり、ユーザがクリックスルーし、ベンダーのウェブサイト上の品物を購入すること)における有効性を理解するために回帰解析を適用できる。これは、その特別な広告とアドチャレンジの有効性がどのように影響されるかを知るための計算において、種々の独立変数が選択されて適用される感度解析において支援する。独立変数は、アドチャレンジを完了するためのユーザの応答時間、または、ユーザがアドチャレンジを完了することにおける容易さであることができ、一方、非独立変数は引き付けレベルの指標である。引き付けレベルの指標は、追従者のピーク数と興味を示した時間期間との和に基づいている。
【0073】
「口コミでの広がり易さ」または有効性を予測するために、下記の3つの微分方程式と共にあるアルゴリズムを採用できる。
(1)E’[t]=-betaE[t]U[t]
[コメント:ユーザとなり得る母集団の割合]
(2)U’[t]=betaE[t]U[t]-kapaU[t]+D(t=無限)
[コメント:実際に引き付けられたユーザとなった割合]
(3)B’[t]==kU[t]-D(t=無限)
[コメント:飽きてしまったユーザの率]
ここにおいて、E(t)は時間tにおける潜在的ユーザの数、U(t)は時間tにおける広告が面白いと思ったユーザの数、B(t)は時間tにおける飽きてしまったユーザの数、そして、D(t)は、定数であることもできる時間tにおける最後まで残るユーザの数である。
【0074】
「口コミでの広がり易さ」を決定するために、人工知能エンジン106は、まず感情解析エンジン105からの感情解析データと、アドチャレンジ応答時間を取得しなければならない。視覚的、聴覚的、または音声的などの身体的応答、脳と神経信号、皮膚の温度もまた、そのような応答を検出する利用可能なセンサまたは装置がある場合は、それらを人工知能エンジン106に供給できる。特別な広告に対するこれらの応答から収集されたデータは相関および分類される。このデータは、新しい広告の結果を予測するために、または、何が効果的な広告を産み出すのかについてのアドバイスを提供することにおいて支援するために使用される、転送関数または多変数関数を作成するために部分的または全体が使用される。このデータは、相関関係を分類に関して洗練するためのデータ収集のそれぞれのたびに順応および進化する。データ、ユーザ人口統計、応答の異なる側面は、広告の目的(口コミでの広がり易さ、引きつけ度ファクタ、所望されるユーザの応答など)の予測を作成するために、自己学習/適応アルゴリズムと連携しての解析のために使用される。
【0075】
図3は、ユーザに対するアドチャレンジを有する新しい広告バンドルをカスタマイズするために人工知能エンジン106をどのように使用できるかのフロー図を示している。301において、カメラ、スマートウォッチ、およびセンサなどの装置が、ユーザ応答データを取得するために使用される。ユーザ応答データは、視覚的応答、可聴的応答、および音声応答の領域における身体的応答であってよい。303において、ユーザ応答データは、データ解析を実行するために人工知能エンジン106に供給される。304において、人工知能エンジン106は、データ解析において規定または使用される異なるパラメータを取り込む多変数関数を使用するために回帰モデル化を実行する。305において、人工知能エンジン106は、i番目と(i+1)番目の反復を比較する。306において、意図されている製品の目標と条件(ユーザ人口統計、製品タイプ、価格)が入力され、人工知能エンジン106は、感情(例えば、興奮している/楽しんでいる/驚いている)の関数である予測されたユーザ応答を特定の比において出力する。307において、AODプラットフォーム101は、ユーザに対する新しい広告バンドルまたは新しいアドチャレンジをカスタマイズするために、予測されたユーザ応答を使用する。従って、将来の広告バンドルとアドチャレンジをカスタマイズでき、または、そのユーザに特定的に適合させることができる。例えば、アドチャレンジの速度はユーザの年齢に合わせることができ、つまり、アドチャレンジの速度は、若い人に対してはより速く、一方、アドチャレンジの速度は、大人に対してはより遅くできる。そうすることにより、対象の視聴者の細分化が達成され、より効果的な広告を可能にする。
【0076】
別途特定的に記述されない限り、そして、下記のことから明白なように、本明細書を通して、「受信する」、「識別する」、「開始する」、「標識を付ける」、「送信する」、「実行する」、「増加させる」、「決定する」、「割り当てる」、「承認する」、「選択する」、「送る」、「計算する」、「決定する」、「置き換える」、「生成する」、「初期化する」、「出力する」などのような用語を使用しての検討は、コンピュータシステム内の物理量として表現されているデータを、コンピュータシステムまたは、他の情報格納、送信、または表示装置内の物理量として同様に表現されている他のデータに処理または変換する、コンピュータシステム、または類似の電子装置の動作とプロセスを指しているということは認識されるであろう。
【0077】
適用においては、別途指定されない限り、「備えている」、「備える」という用語、およびそれらの文法的に同等の変形は、それらが詳述された要素を含み、更に、追加的な、明示的に詳述されていない要素も含むことを認めるように、「開かれた」または「包括的」な用語であることが意図されている。
【0078】
本願の種々の他の修正と適合は、前記の開示を読んだ後は、本願の精神と範囲から逸脱することなくこの技術における当業者には明白であること、そして、そのようなすべての修正と適合は、付随する請求項の範囲であるということは明白であろう。