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特許7402314医用画像処理システム、医用画像処理システムの作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】医用画像処理システム、医用画像処理システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20231213BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A61B1/045 618
A61B1/045 619
A61B1/045 614
A61B5/00 G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022511709
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2021008739
(87)【国際公開番号】W WO2021199910
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2020066912
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】弁理士法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻本 尭之
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-131371(JP,A)
【文献】特開2007-330764(JP,A)
【文献】特開2013-013569(JP,A)
【文献】特開2008-006188(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235195(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/123986(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/216617(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 6/14
A61B 8/00-10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラム命令を記憶するメモリと、前記プログラム命令を実行させるプロセッサと、を備えた医用画像処理システムにおいて、
前記プロセッサは、
観察対象を連続して撮像することにより生成された複数の医用画像を順次取得し、
前記複数の医用画像の各々に対して認識処理を行うことにより、前記医用画像から注目領域を検出し、
前記複数の医用画像のうちの特定の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を、前記特定の医用画像の前後の少なくとも一方に撮像された比較用の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を用いて補正し、
前記補正は、前記特定の医用画像に対して行われた認識処理の結果の確信度が所定の閾値を下回る場合に行われる、医用画像処理システム。
【請求項2】
前記補正は、ユーザーが指示した場合に行われる請求項に記載の医用画像処理システム。
【請求項3】
前記補正では、前記比較用の医用画像の注目領域の位置情報の線形和を用いる請求項1または2に記載の医用画像処理システム。
【請求項4】
前記補正では、前記比較用の医用画像の注目領域のうち、前記特定の医用画像の注目領域から所定範囲内に位置する注目領域の位置情報を用いる請求項1~のいずれか1項に記載の医用画像処理システム。
【請求項5】
前記認識処理には、前記注目領域を鑑別する鑑別処理が含まれる請求項1~のいずれか1項に記載の医用画像処理システム。
【請求項6】
前記補正では、前記鑑別の結果の補正が行われる請求項に記載の医用画像処理システム。
【請求項7】
前記鑑別の結果の補正では、前記比較用の医用画像の前記鑑別の結果の種類毎の数を用いる請求項6に記載の医用画像処理システム。
【請求項8】
前記認識処理では、Convolutional Neural Networkを用いる請求項1~のいずれか1項に記載の医用画像処理システム。
【請求項9】
前記医用画像は、内視鏡から得られた画像である請求項1~のいずれか1項に記載の医用画像処理システム。
【請求項10】
プログラム命令を記憶するメモリと、前記プログラム命令を実行させるプロセッサと、を備えた医用画像処理システムの作動方法において、
前記プロセッサは、
観察対象を連続して撮像することにより生成された複数の医用画像を順次取得し、
前記複数の医用画像の各々に対して認識処理を行うことにより、前記医用画像から注目領域を検出し、
前記複数の医用画像のうちの特定の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を、前記特定の医用画像の前後の少なくとも一方に撮像された比較用の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を用いて補正し、
前記補正は、前記特定の医用画像に対して行われた認識処理の結果の確信度が所定の閾値を下回る場合に行われる、医用画像処理システムの作動方法。
【請求項11】
プログラム命令を記憶するメモリと、前記プログラム命令を実行させるプロセッサと、を備えた医用画像処理システムにおいて、
前記プロセッサは、
観察対象を連続して撮像することにより生成された複数の医用画像を順次取得し、
前記複数の医用画像の各々に対して認識処理を行うことにより、前記医用画像から注目領域を検出し、
前記複数の医用画像のうちの特定の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を、前記特定の医用画像の前後の少なくとも一方に撮像された比較用の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を用いて補正し、
前記補正では、前記比較用の医用画像の注目領域の位置情報の線形和を用いる、医用画像処理システム。
【請求項12】
プログラム命令を記憶するメモリと、前記プログラム命令を実行させるプロセッサと、を備えた医用画像処理システムにおいて、
前記プロセッサは、
観察対象を連続して撮像することにより生成された複数の医用画像を順次取得し、
前記複数の医用画像の各々に対して認識処理を行うことにより、前記医用画像から注目領域を検出し、
前記複数の医用画像のうちの特定の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を、前記特定の医用画像の前後の少なくとも一方に撮像された比較用の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を用いて補正し、
前記補正では、前記比較用の医用画像の注目領域のうち、前記特定の医用画像の注目領域から所定範囲内に位置する注目領域の位置情報を用いる、医用画像処理システム。
【請求項13】
プログラム命令を記憶するメモリと、前記プログラム命令を実行させるプロセッサと、を備えた医用画像処理システムにおいて、
前記プロセッサは、
観察対象を連続して撮像することにより生成された複数の医用画像を順次取得し、
前記複数の医用画像の各々に対して認識処理を行うことにより、前記医用画像から注目領域を検出し、
前記複数の医用画像のうちの特定の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を、前記特定の医用画像の前後の少なくとも一方に撮像された比較用の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を用いて補正し、
前記認識処理には、前記注目領域を鑑別する鑑別処理が含まれる、医用画像処理システム。
【請求項14】
前記補正では、前記鑑別の結果の補正が行われる請求項13に記載の医用画像処理システム。
【請求項15】
前記鑑別の結果の補正では、前記比較用の医用画像の前記鑑別の結果の種類毎の数を用いる請求項14に記載の医用画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理システム、医用画像処理システムの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、内視鏡画像、X線画像、CT(Computed Tomography)画像、MR(Magnetic Resonance)画像などの医用画像を用いて、患者の病状の診断や経過観察などの画像診断が行われている。このような画像診断に基づいて、医師などは治療方針の決定などを行っている。
【0003】
近年、医用画像を用いた画像診断においては、臓器内の病変や腫瘍など注意して観察すべき注目領域を、医用画像処理装置によって認識処理することが行われつつある。特に、ディープラーニングなどの機械学習の手法は、認識処理の能力や効率の向上に寄与している。
【0004】
一方、医用画像処理装置によって行われた認識処理の結果は必ずしも完全なものではない。このため、下記特許文献1では、連続した撮影により順次取得された複数の医用画像の各々について認識処理を行って画像の特徴量を算出するとともに、認識処理を行った画像の前後に撮影された医用画像を用いて、認識処理において算出した特徴量の補正をし、補正した特徴量を用いて再度認識処理を行う方法開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5825886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、特徴量の補正と再認識処理とを行うことで、より精度の高い認識結果を得られる反面、認識結果を得るための処理負荷が大きいといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、処理負荷を軽減しながらより精度の高い認識結果を得ることが可能な医用画像処理システム、医用画像処理システムの作動方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の医用画像処理システムは、プログラム命令を記憶するメモリと、プログラム命令を実行させるプロセッサと、を備えた医用画像処理システムにおいて、プロセッサは、観察対象を連続して撮像することにより生成された複数の医用画像を順次取得し、複数の医用画像の各々に対して認識処理を行うことにより、医用画像から注目領域を検出し、複数の医用画像のうちの特定の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を、特定の医用画像の前後の少なくとも一方に撮像された比較用の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を用いて補正する。
【0009】
補正は、認識処理の結果の確信度が所定の閾値を下回る場合に行われるものでもよい。
【0010】
補正は、ユーザーが指示した場合に行われるものでもよい。
【0011】
補正では、比較用の医用画像の注目領域の位置情報の線形和を用いてもよい。
【0012】
補正では、比較用の医用画像の注目領域のうち、特定の医用画像の注目領域から所定範囲内に位置する注目領域の位置情報を用いてもよい。
【0013】
認識処理には、注目領域を鑑別する鑑別処理が含まれていてもよい。
【0014】
補正では、鑑別の結果の補正を行ってもよい。
【0015】
鑑別の結果の補正では、比較用の医用画像の鑑別の結果の種類毎の数を用いてもよい。
【0016】
認識処理では、Convolutional Neural Networkを用いてもよい。
【0017】
医用画像は、内視鏡から得られた画像であってもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明の医用画像処理システムの作動方法は、プログラム命令を記憶するメモリと、プログラム命令を実行させるプロセッサと、を備えた医用画像処理システムの作動方法において、プロセッサは、観察対象を連続して撮像することにより生成された複数の医用画像を順次取得し、複数の医用画像の各々に対して認識処理を行うことにより、医用画像から注目領域を検出し、複数の医用画像のうちの特定の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を、特定の医用画像の前後の少なくとも一方に撮像された比較用の医用画像に対して行われた認識処理で検出した注目領域の位置情報を用いて補正する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、処理負荷を軽減しながらより精度の高い認識結果を得ることが可能な医用画像処理システム、医用画像処理システムの作動方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】内視鏡システムの外観図である。
図2】内視鏡システムの機能を示すブロック図である。
図3】紫色光V、青色光B、青色光Bx、緑色光G、赤色光Rの分光スペクトルを示すグラフである。
図4】通常光の分光スペクトルを示すグラフである。
図5】特殊光の分光スペクトルを示すグラフである。
図6】注目領域モード画像処理部の機能を示すブロック図である。
図7】注目領域モードの一連の流れを示すフローチャートである。
図8】認識結果補正処理の説明図である。
図9】認識結果補正処理の説明図である。
図10】認識結果補正処理の説明図である。
図11】認識結果補正処理の説明図である。
図12】注目領域モードの一連の流れを示すフローチャートである。
図13】注目領域モードの一連の流れを示すフローチャートである。
図14】画像処理装置の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1に示すように、内視鏡システム10(医用画像処理システム)は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ装置16と、モニタ18と、コンソール19とを有する。内視鏡12は、光源装置14と光学的に接続し、かつ、プロセッサ装置16と電気的に接続する。内視鏡12は、被検体内に挿入する挿入部12aと、挿入部12aの基端部分に設けた操作部12bと、挿入部12aの先端側に設けた湾曲部12c及び先端部12dを有している。操作部12bのアングルノブ13aを操作することにより、湾曲部12cが湾曲動作する。この湾曲動作によって、先端部12dが所望の方向に向けられる。
【0022】
また、操作部12bには、アングルノブ13aの他、静止画像の取得操作に用いる静止画像取得部13b、観察モードの切り替え操作に用いるモード切替部13c、ズーム倍率の変更操作に用いるズーム操作部13dを設けている。静止画像取得部13bは、モニタ18に観察対象の静止画像を表示するフリーズ操作と、ストレージに静止画像を保存するレリーズ操作が可能である。
【0023】
内視鏡システム10は、観察モードとして、通常モードと、特殊モードと、注目領域モードとを有している。観察モードが通常モードである場合、複数色の光を通常モード用の光量比Lcで合波した通常光を発光する。また、観察モードが特殊モードである場合、複数色の光を特殊モード用の光量比Lsで合波した特殊光を発光する。
【0024】
また、観察モードが注目領域モードである場合、注目領域モード用照明光を発光する。本実施形態では、注目領域モード用照明光として、通常光を発光するが、特殊光を発光するようにしてもよい。
【0025】
プロセッサ装置16は、モニタ18及びコンソール19と電気的に接続する。モニタ18は、観察対象の画像や、画像に付帯する情報等を出力表示する。コンソール19は、注目領域(ROI:Region Of Interest)の指定、認識処理を行う画像の指定、認識結果補正処理を行う画像または認識処理結果の指定、機能設定などの入力操作を受け付けるユーザインタフェースとして機能する。
【0026】
図2に示すように、光源装置14は、観察対象の照明に用いる照明光を発する光源部20と、光源部20を制御する光源制御部22とを備えている。光源部20は、複数色の光を発するLED(Light Emitting Diode)等の半導体光源である。光源制御部22は、LED等のオン/オフや、LED等の駆動電流や駆動電圧の調整によって、照明光の発光量を制御する。また、光源制御部22は、光学フィルタの変更等によって、照明光の波長帯域を制御する。
【0027】
第1実施形態では、光源部20は、V-LED(Violet Light Emitting Diode)20a、B-LED(Blue Light Emitting Diode)20b、G-LED(Green Light Emitting Diode)20c、及びR-LED(Red Light Emitting Diode)20dの4色のLEDと、波長カットフィルタ23とを有している。図3に示すように、V-LED20aは、波長帯域380nm~420nmの紫色光Vを発する。
【0028】
B-LED20bは、波長帯域420nm~500nmの青色光Bを発する。B-LED23bから出射した青色光Bのうち少なくともピーク波長の450nmよりも長波長側は、波長カットフィルタ23によりカットされる。これにより、波長カットフィルタ23を透過した後の青色光Bxは、420~460nmの波長範囲になる。このように、460nmよりも長波長側の波長域の光をカットしているのは、この460nmよりも長波長側の波長域の光は、観察対象である血管の血管コントラストを低下させる要因であるためである。なお、波長カットフィルタ23は、460nmよりも長波長側の波長域の光をカットする代わりに、460nmよりも長波長側の波長域の光を減光させてもよい。
【0029】
G-LED20cは、波長帯域が480nm~600nmに及ぶ緑色光Gを発する。R-LED20dは、波長帯域が600nm~650nmに及び赤色光Rを発する。なお、各LED20a~20dから発せられる光は、それぞれの中心波長とピーク波長とが同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0030】
光源制御部22は、各LED20a~20dの点灯や消灯、及び点灯時の発光量等を独立に制御することによって、照明光の発光タイミング、発光期間、光量、及び分光スペクトルの調節を行う。光源制御部22における点灯及び消灯の制御は、観察モードごとに異なっている。なお、基準の明るさは光源装置14の明るさ設定部又はコンソール19等によって設定可能である。
【0031】
通常モード又は注目領域モードの場合、光源制御部22は、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、及びR-LED20dを全て点灯させる。その際、図4に示すように、紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光R間の光量比Lcは、青色光Bxの光強度のピークが、紫色光V、緑色光G、及び赤色光Rのいずれの光強度のピークよりも大きくなるように、設定されている。これにより、通常モード又は注目領域モードでは、光源装置14から、紫色光V、青色光Bx、緑色光G、及び赤色光Rを含む通常モード用又は注目領域モード用の多色光が、通常光として、が発せられる。通常光は、青色波長帯域から赤色波長帯域まで一定以上の強度を有しているため、ほぼ白色となっている。
【0032】
特殊モードの場合、光源制御部22は、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、及びR-LED20dを全て点灯させる。その際、図5に示すように、紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光R間の光量比Lsは、紫色光Vの光強度のピークが、青色光Bx、緑色光G、及び赤色光Rのいずれの光強度のピークよりも大きくなるように、設定されている。また、緑色光G及び赤色光Rの光強度のピークは、紫色光V及び青色光Bxの光強度のピークよりも小さくなるように、設定されている。これにより、特殊モードでは、光源装置14から、紫色光V、青色光Bx、緑色光G、及び赤色光Rを含む特殊モード用の多色光が、特殊光として発せられる。特殊光は、紫色光Vが占める割合が大きいことから、青みを帯びた光となっている。なお、特殊光は、4色全ての光が含まれていなくてもよく、4色のLED20a~20dのうち少なくとも1色のLEDからの光が含まれていればよい。また、特殊光は、450nm以下に主な波長域、例えばピーク波長又は中心波長を有することが好ましい。
【0033】
図2に戻り、光源部20が発した照明光は、ミラーやレンズ等で形成される光路結合部(図示しない)を介して、挿入部12a内に挿通したライトガイド24に入射する。ライトガイド24は、内視鏡12及びユニバーサルコードに内蔵され、照明光を内視鏡12の先端部12dまで伝搬する。ユニバーサルコードは、内視鏡12と光源装置14及びプロセッサ装置16とを接続するコードである。なお、ライトガイド24としては、マルチモードファイバを使用することができる。一例として、ライトガイド24には、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた径がφ0.3mm~φ0.5mmの細径なファイバケーブルを使用することができる。
【0034】
内視鏡12の先端部12dには、照明光学系30aと撮像光学系30bとを設けている。照明光学系30aは、照明レンズ32を有している。この照明レンズ32を介して、ライトガイド24を伝搬した照明光によって観察対象を照明する。撮像光学系30bは、対物レンズ34と、拡大光学系36と、撮像センサ38とを有している。これら対物レンズ34及び拡大光学系36を介して、観察対象からの反射光、散乱光、及び蛍光等の各種の光が撮像センサ38に入射する。これにより、撮像センサ38に観察対象の像が結像する。
【0035】
拡大光学系36は、観察対象を拡大するズームレンズ36aと、ズームレンズ36aを光軸方向CLに移動させるレンズ駆動部36bとを備えている。ズームレンズ36aは、レンズ駆動部36bによるズーム制御に従って、テレ端とワイド端の間で自在に移動させることで、撮像センサ38に結像する観察対象を拡大又は縮小させる。
【0036】
撮像センサ38は、照明光が照射された観察対象を撮像するカラー撮像センサである。撮像センサ38の各画素には、R(赤色)カラーフィルタ、G(緑色)カラーフィルタ、B(青色)カラーフィルタのいずれかが設けられている。撮像センサ38は、Bカラーフィルタが設けられているB画素で紫色から青色の光を受光し、Gカラーフィルタが設けられているG画素で緑色の光を受光し、Rカラーフィルタが設けられているR画素で赤色の光を受光する。そして、各色の画素から、RGB各色の画像信号を出力する。撮像センサ38は、出力した画像信号を、CDS回路40に送信する。
【0037】
通常モード又は注目領域モードにおいては、撮像センサ38は、通常光が照明された観察対象を撮像することにより、B画素からBc画像信号を出力し、G画素からGc画像信号を出力し、R画素からRc画像信号を出力する。また、特殊モードにおいては、撮像センサ38は、特殊光が照明された観察対象を撮像することにより、B画素からBs画像信号を出力し、G画素からGs画像信号を出力し、R画素からRs画像信号を出力する。
【0038】
撮像センサ38としては、CCD(Charge Coupled Device)撮像センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)撮像センサ等を利用可能である。また、RGBの原色のカラーフィルタを設けた撮像センサ38の代わりに、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びG(緑)の補色フィルタを備えた補色撮像センサを用いても良い。補色撮像センサを用いる場合には、CMYGの4色の画像信号を出力する。このため、補色-原色色変換によって、CMYGの4色の画像信号をRGBの3色の画像信号に変換することにより、撮像センサ38と同様のRGB各色の画像信号を得ることができる。また、撮像センサ38の代わりに、カラーフィルタを設けていないモノクロセンサを用いても良い。
【0039】
CDS回路40は、撮像センサ38から受信したアナログの画像信号に、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)を行う。CDS回路40を経た画像信号はAGC回路42に入力される。AGC回路42は、入力された画像信号に対して、自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)を行う。A/D(Analog to Digital)変換回路44は、AGC回路42を経たアナログ画像信号を、デジタルの画像信号に変換する。A/D変換回路44は、A/D変換後のデジタル画像信号を、プロセッサ装置16に入力する。
【0040】
図2に示すように、プロセッサ装置16は、本発明のプロセッサを構成する制御部46を備えている。制御部46は、メモリ48に記憶されたプログラム命令を実行させるためのハードウェア資源であり、内視鏡システム10の各部を駆動制御してプログラム命令を実行させる。プログラム命令の実行に伴う制御部46の駆動制御により、プロセッサ装置16は、画像信号取得部50と、DSP(Digital Signal Processor)52と、ノイズ低減部54と、画像処理部56と、表示制御部58として機能する。
【0041】
画像信号取得部50は、内視鏡12(撮像センサ38など)を駆動制御して撮像を行い、内視鏡画像(医用画像)を取得する。画像信号取得部50は、観察対象を連続して撮像することにより、複数の内視鏡画像を順次取得する。画像信号取得部50は、観察モードに対応したデジタル画像信号として内視鏡画像を取得する。具体的には、通常モード又は注目領域モードの場合には、Bc画像信号、Gc画像信号、Rc画像信号を取得する。特殊モードの場合には、Bs画像信号、Gs画像信号、Rs画像信号を取得する。注目領域モードの場合には、通常光の照明時に1フレーム分のBc画像信号、Gc画像信号、Rc画像信号を取得し、特殊光の照明時に1フレーム分のBs画像信号、Gs画像信号、Rs画像信号を取得する。
【0042】
DSP52は、画像信号取得部50が取得した画像信号に対して、欠陥補正処理、オフセット処理、DSP用ゲイン補正処理、リニアマトリクス処理、ガンマ変換処理、及びデモザイク処理等の各種信号処理を施す。欠陥補正処理は、撮像センサ38の欠陥画素の信号を補正する。オフセット処理は、欠陥補正処理した画像信号から暗電流成分を除き、正確なゼロレベルを設定する。DSP用ゲイン補正処理は、オフセット処理した画像信号に特定のDSP用ゲインを乗じることにより信号レベルを整える。
【0043】
リニアマトリクス処理は、DSP用ゲイン補正処理した画像信号の色再現性を高める。ガンマ変換処理は、リニアマトリクス処理した画像信号の明るさや彩度を整える。ガンマ変換処理した画像信号には、デモザイク処理(等方化処理、又は同時化処理とも言う)を施すことによって、各画素で不足した色の信号を補間によって生成する。このデモザイク処理によって、全画素がRGB各色の信号を有するようになる。ノイズ低減部54は、DSP52でデモザイク処理等を施した画像信号に対して、例えば、移動平均法やメディアンフィルタ法等によるノイズ低減処理を施し、ノイズを低減する。ノイズ低減後の画像信号は画像処理部56に入力される。
【0044】
画像処理部56は、通常モード画像処理部60と、特殊モード画像処理部62と、注目領域モード画像処理部64を備えている。通常モード画像処理部60は、通常モードに設定されている場合に作動し、受信したBc画像信号、Gc画像信号、Rc画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行う。色変換処理では、RGB画像信号に対して3×3のマトリックス処理、階調変換処理、及び3次元LUT(Look Up Table)処理などにより色変換処理を行う。
【0045】
色彩強調処理は、色変換処理済みのRGB画像信号に対して行われる。構造強調処理は、観察対象の構造を強調する処理であり、色彩強調処理後のRGB画像信号に対して行われる。上記のような各種画像処理等を行うことによって、通常画像が得られる。通常画像は、紫色光V、青色光Bx、緑色光G、赤色光Rがバランス良く発せられた通常光に基づいて得られた画像であるため、自然な色合いの画像となっている。
【0046】
特殊モード画像処理部62は、特殊モードに設定されている場合に作動する。特殊モード画像処理部62では、受信したBs画像信号、Gs画像信号、Rs画像信号に対して、色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理を行う。色変換処理、色彩強調処理、及び構造強調処理の処理内容は、通常モード画像処理部60と同様である。上記のような各種画像処理を行うことによって、特殊画像が得られる。特殊画像は、血管のヘモグロビンの吸収係数が高い紫色光Vが、他の色の青色光Bx、緑色光G、赤色光Rよりも大きい発光量となっている特殊光に基づいて得られた画像であるため、血管構造や腺管構造の解像度が他の構造よりも高くなっている。
【0047】
注目領域モード画像処理部64は、注目領域モード時に設定されている場合に作動する。注目領域モード画像処理部64では、受信したBc画像信号、Gc画像信号、Rc画像信号に対して、色変換処理など通常モード画像処理部60と同様の画像処理を行う。
【0048】
図6に示すように、注目領域モード画像処理部64は、前述したプログラム命令の実行に伴う制御部46(図2参照)の駆動制御により、認識処理部72と、認識結果補正部73として機能する。図7に示すように、認識処理部72は、通常モード画像処理部60と同様の画像処理により内視鏡画像を順次取得し、取得した内視鏡画像を画像解析し、認識処理を行う。認識処理部72が行う認識処理としては、認識用画像(本実施形態では、内視鏡画像)から注目領域を検出する検出処理と、認識用画像に含まれる病変の種類などを鑑別する鑑別処理とが含まれる。また、鑑別処理には、注目領域に対して行われる処理と、認識用画像全体に対して行われる処理とが含まれる。なお、本実施形態では、認識処理部72は、内視鏡画像から病変部を含む矩形の領域を注目領域として検出する検出処理を行う。
【0049】
認識処理部72は、認識処理において、先ず内視鏡画像を複数の小領域、例えば画素数個分の正方領域に分割する。次いで、分割した内視鏡画像から画像的な特徴量を算出する。続いて、算出した特徴量に基づき、各小領域が病変部であるか否かを判断する。最後に、同じ種類と特定された、ひとかたまりの小領域を1つの病変部として抽出し、抽出した病変部を含む矩形の領域を注目領域として検出する。なお、上記の判断手法としては、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)や、深層学習(Deep Learning)などの機械学習アルゴリズムであることが好ましい。
【0050】
また、認識処理部72により内視鏡画像から算出される特徴量としては、観察対象における所定部位の形状、色又はそれら形状や色などから得られる指標値であることが好ましい。例えば、特徴量として、血管密度、血管形状、血管の分岐数、血管の太さ、血管の長さ、血管の蛇行度、血管の深達度、腺管形状、腺管開口部形状、腺管の長さ、腺管の蛇行度、色情報の少なくともいずれか、もしくは、それらを2以上組み合わせた値であることが好ましい。
【0051】
図6図7において、認識結果補正部73は、認識処理部72によって得られた認識処理結果を補正する認識結果補正処理を行う。以下、認識結果補正処理についての説明を行うが、以下の説明では、認識結果補正処理の対象となる認識処理結果が得られた内視鏡画像を、特定画像80(特定の医用画像)(図8参照)と称する。
【0052】
図8に示すように、認識結果補正処理では、特定画像80よりも前に取得(撮像)された前画像82(比較用の医用画像)の注目領域82ROIの位置情報、及び、特定画像80よりも後に取得(撮像)された後画像84(比較用の医用画像)の注目領域84ROIの位置情報を用いて、特定画像80の注目領域80ROIの位置情報が補正される。
【0053】
前画像82は、特定画像80が取得(撮像)された時刻を「t」としたときに、時刻「t-Δ」に取得(撮像)された内視鏡画像である。なお、「Δ」の値は適宜設定できるが、本実施形態では、特定画像80の直前に取得(撮像)された画像が前画像82となるように「Δ」の値を設定している。すなわち、例えば、毎秒60回(フレーム)のサイクルで撮像を行って内視鏡画像を取得する場合、「Δ」を「1/60(秒)」としている。
【0054】
後画像84は、特定画像80が取得(撮像)された時刻を「t」としたときに、時刻「t+Δ」に取得(撮像)された内視鏡画像である。なお、「Δ」の値は適宜設定できるが、本実施形態では、特定画像80の直後に取得(撮像)された画像が後画像84となるように「Δ」の値を設定している。すなわち、例えば、毎秒60回(フレーム)のサイクルで撮像を行って内視鏡画像を取得する場合、「Δ」を「1/60(秒)」としている。
【0055】
そして、認識結果補正処理では、前画像82の注目領域82ROIの中心と後画像84の注目領域84ROIの中心との中間位置が、特定画像80の注目領域80ROIの中心と一致するように、特定画像80の注目領域80ROIの位置(位置情報)が変更(補正)される。すなわち、前画像82及び後画像84の注目領域82ROI、84ROIの位置情報の線形和を用いて、特定画像80の注目領域80ROIの位置情報が補正される。
【0056】
図2に戻り、通常モード画像処理部60により生成された通常画像、特殊モード画像処理部62により生成された特殊画像、及び、注目領域モード画像処理部64によって得られた処理結果(認識処理の結果並びに認識結果補正処理の結果)は、表示制御部58に入力される。表示制御部58は、入力された情報を用いて表示用画面を生成し、モニタ18に出力表示する。なお、通常画像、特殊画像、処理結果は、モニタ18に出力表示することに代えてまたは加えて、メモリ48などに記憶してもよい。
【0057】
以上のように、第1実施形態では、認識処理に用いる特徴量、及び/または、認識処理の処理アルゴリズムなどを変更したり、このような変更後に再度認識処理を行うといったことなく、前画像82の認識処理結果と後画像84の認識処理結果とを用いて特定画像80の認識処理結果を補正している。これにより、認識処理に用いる特徴量、及び/または、認識処理のアルゴリズムなどを変更したり、再認識処理を行う場合と比較して、処理負荷を軽減しながらより精度の高い認識処理結果を得ることができる。
【0058】
上記第1実施形態では、認識結果補正処理において、特定画像80の注目領域80ROIの位置(中心の位置)の変更を行っている(図8参照)が、特定画像80の注目領域80ROIのサイズを変更してもよい。この場合、前画像82の注目領域82ROIのサイズ(面積)と後画像84の注目領域84ROIのサイズ(面積)とを平均したサイズ(面積)となるように、特定画像80の注目領域80ROIのサイズを変更(拡大または縮小)すればよい。
【0059】
また、前画像82の注目領域82ROIの右上の角と後画像84の注目領域84ROIの右上の角との中間位置が特定画像80の注目領域80ROIの右上の角となり、注目領域82ROIの右下の角と注目領域84ROIの右下の角との中間位置が注目領域80ROIの右下の角となり、注目領域82ROIの左上の角と注目領域84ROIの左上の角との中間位置が注目領域80ROIの左上の角となり、注目領域82ROIの左下の角と注目領域84ROIの左下の角との中間位置が注目領域80ROIの左下の角となるように、注目領域80ROIのサイズ及び中心位置を変更してもよい。このように、注目領域80ROIのサイズについても補正を行うことで、より精度の高い認識処理結果を得ることができる。
【0060】
なお、比較用の医用画像(上記第1実施形態では前画像82と後画像84)の中には、特定画像80には存在しない病変部が存在する場合などがあり、このような比較用の医用画像を用いて特定画像80の認識処理結果を補正しても適切な補正を行うことはできない。このため、注目領域の位置が、特定画像80の注目領域80ROIの位置から所定範囲内に存在する比較用の医用画像のみを用いて、特定画像80の認識結果を補正することが好ましい。こうすることで、適切な補正が行われて、より精度の高い認識処理結果を得ることができる。
【0061】
[第2実施形態]
第1実施形態では、認識処理結果補正処理において、特定画像80の注目領域80ROIの位置情報を補正する例で説明をしたが、認識処理結果補正処理において、特定画像80の鑑別結果を補正する構成としてもよい。この場合、認識処理部72が、第1実施形態と同様に特定画像80から病変部を検出し、さらに検出した病変部に対して病変の種類などを鑑別する鑑別処理を行う、あるいは、特定画像80全体に対して鑑別処理を行う。そして、認識結果補正部73が、前画像82の鑑別結果と、後画像84の鑑別結果とを用いて、特定画像80の鑑別結果を補正する。
【0062】
具体的には、図9に示すように、前画像82の注目領域82ROIの鑑別結果が「腫瘍」、特定画像80の注目領域80ROIの鑑別結果が「非腫瘍」、後画像84の注目領域84ROIの鑑別結果が「腫瘍」、であった場合、特定画像80の注目領域80ROIの鑑別結果を「腫瘍」へと変更(補正)する。すなわち、前画像82と後画像84の鑑別結果の種類毎の数のうち、最も数の多い鑑別結果へと特定画像80の鑑別結果を補正する(比較用の医用画像の鑑別結果の種類毎の数を用いて特定画像80の鑑別結果を補正する)。
【0063】
なお、認識処理部72による鑑別処理の方法としては、人工知能(AI(Artificial Intelligence))、深層学習、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)、テンプレートマッチング、テクスチャ解析、周波数解析等を用いることが好ましい。
【0064】
[第3実施形態]
上記実施形態では、1枚の前画像82の認識処理結果と1枚の後画像84の認識処理結果とを用いて、特定画像80の認識処理結果を補正しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10図11に示すように、複数枚の前画像82の認識処理結果と複数枚の後画像84の認識処理結果とを用いて、特定画像80の認識処理結果を補正してもよい。
【0065】
図10図11では、2枚の前画像82の認識処理結果と2枚の後画像84の認識処理結果とを用いて、特定画像80の認識処理結果を補正している。具体的には、図10では、2枚の前画像82の注目領域82ROIの中心位置と、2枚の後画像84の注目領域84ROIの中心位置との平均位置を算出し、算出した位置が、特定画像80の注目領域80ROIの中心位置となるように、注目領域80ROIの中心位置を補正している。また、図11では、2枚の前画像82の鑑別結果と2枚の後画像84の鑑別結果とのうち最も種類が多い鑑別結果である「腫瘍」へと特定画像80の鑑別結果を補正している。なお、3枚以上の前画像82及び後画像84を用いて特定画像80の認識処理結果を補正してもよい。
【0066】
また、前画像82と後画像84との両方を用いて特定画像80の認識処理結果を補正しているが、前画像82と後画像84とのいずれか一方のみを用いて特定画像80の認識処理結果を補正してもよい。例えば、図10において、前画像82のみを用いて特定画像80の認識結果を補正する場合、2枚の前画像82を比較して注目領域82ROIの中心の単位時間あたりの移動量及び移動方向を算出し、算出した移動量及び移動方向を用いて、特定画像80の注目領域80ROIの中心の位置を補正すればよい。また、図11において、前画像82のみを用いて特定画像80の認識結果を補正する場合、2枚の前画像82の鑑別結果の種類のうち、最も多い種類の鑑別結果へと特定画像80の鑑別結果を補正すればよい。
【0067】
[第4実施形態]
上述した実施形態では、注目領域モード画像処理部64が取得した全ての内視鏡画像に対して認識処理並びに認識結果補正処理を行う例で説明をしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、所定時間毎にまたは所定フレーム毎に認識処理並びに認識結果補正処理を行ってもよい。
【0068】
また、図12に示すように、認識処理の結果の確信度が所定の閾値を下回る場合に、認識結果補正処理を行う構成としてもよい。この場合、認識処理部72が、認識処理を実行するとともに実行した認識処理の確信度を算出して認識結果補正部73に通知する。そして、認識結果補正部73が、認識処理の結果の確信度が所定の閾値を下回る場合に認識結果補正処理を行う。
【0069】
さらに、図13に示すように、ユーザーが指定した場合に、認識処理結果を補正してもよい。この場合、注目領域モード画像処理部64が取得した内視鏡画像あるいは認識処理部72が行った認識処理結果をモニタ18に表示して、ユーザーがモニタ18を観察しながらコンソール19を操作することにより、認識結果補正処理を行う対象(内視鏡画像あるいは認識処理結果)を指定すればよい。また、静止画像取得部13bの操作があった場合にユーザーの指定があったとみなし、静止画像取得部13bの操作により取得された内視鏡画像について、認識結果補正処理を行う構成としてもよい。なお、ユーザーの指定で認識処理結果補正処理を行う構成の場合、認識処理結果補正処理で必要となるものは、前画像82及び/または後画像84の認識処理の結果である。このため、これ以外の内視鏡画像についての認識処理は省略してもよい。
【0070】
[第5実施形態]
上述した実施形態では、内視鏡システム10の一部であるプロセッサ装置16が本発明のプロセッサとして機能する例、すなわち、本発明のプロセッサである制御部46が内視鏡システム10(プロセッサ装置16)に内蔵され、内視鏡システム10(プロセッサ装置16)が、注目領域モード画像処理部64として機能する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されない。図14に示す医用画像処理システム90ように、内視鏡システム100とは別体に画像処理装置110を設け、この画像処理装置110に、制御部46及びメモリ48を設け、画像処理装置110を、注目領域モード画像処理部64として機能させる構成としてもよい。図14において、画像処理装置110は、内視鏡システム100と接続され、画像処理装置110には、内視鏡システム100から内視鏡画像が送信される。画像処理装置110では、注目領域モード画像処理部64において前述した認識処理及び認識結果補正処理を行い、認識処理及び認識結果補正処理の結果を、所定の通知先(図14の例では内視鏡システム100)に送信する。
【0071】
もちろん、上述の画像処理装置110を、内視鏡画像以外の医用画像を取得する装置またはシステムに接続し、内視鏡画像以外の医用画像に対して認識処理及び認識結果補正処理を行う医用画像処理システムとして構成してもよい。内視鏡画像以外の医用画像としては、超音波診断装置により得られる超音波画像、X線検査装置により得られるX線画像、CT(Computed Tomography)検査装置により得られるCT画像、MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査装置により得られるMRI検査画像などが挙げられる。
【0072】
なお、本発明の制御部46(プロセッサ)には、注目領域モード画像処理部64などの各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などが含まれる。また、本発明の制御部46(プロセッサ)には、CPU、GPU、FPGAなどのように製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)だけでなく、各種の処理を実行するために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路なども含まれる。
【0073】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ、またはCPUとGPUの組み合わせ等)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0074】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた形態の電気回路(circuitry)である。
【符号の説明】
【0075】
10 内視鏡システム(医用画像処理システム)
12 内視鏡
12a 挿入部
12b 操作部
12c 湾曲部
12d 先端部
13a アングルノブ
13b 静止画像取得部
13c モード切替部
13d ズーム操作部
14 光源装置
16 プロセッサ装置
18 モニタ
19 コンソール
20 光源部
20a V-LED
20b B-LED
20c G-LED
20d R-LED
22 光源制御部
23 波長カットフィルタ
24 ライトガイド
30a 照明光学系
30b 撮像光学系
32 照明レンズ
34 対物レンズ
36 拡大光学系
36a ズームレンズ
36b レンズ駆動部
38 撮像センサ
40 CDS回路
42 AGC回路
44 A/D変換回路
46 制御部(プロセッサ)
48 メモリ
50 画像信号取得部
52 DSP
54 ノイズ低減部
56 画像処理部
58 表示制御部
60 通常モード画像処理部
62 特殊モード画像処理部
64 注目領域モード画像処理部
72 認識処理部
73 認識結果補正部
80 特定画像(特定の医用画像)
80ROI 注目領域
82 前画像(比較用の医用画像)
82ROI 注目領域
84 後画像(比較用の医用画像)
84 ROI 注目領域
90 医用画像処理システム
100 内視鏡システム
110 画像処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14