IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国石油化工股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 中石化(大連)石油化工研究院有限公司の特許一覧

特許7402326SO2吸着材料、その製造方法及び使用、並びにSO2含有煙道ガス中のSO2の除去方法
<>
  • 特許-SO2吸着材料、その製造方法及び使用、並びにSO2含有煙道ガス中のSO2の除去方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】SO2吸着材料、その製造方法及び使用、並びにSO2含有煙道ガス中のSO2の除去方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20231213BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20231213BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20231213BHJP
   B01D 53/81 20060101ALI20231213BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20231213BHJP
【FI】
B01J20/20 D ZAB
B01J20/30
B01D53/50 110
B01D53/81
C01B32/05
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022525662
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2020123882
(87)【国際公開番号】W WO2021083109
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】201911048429.7
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】汪鵬
(72)【発明者】
【氏名】趙磊
(72)【発明者】
【氏名】劉志禹
(72)【発明者】
【氏名】劉忠生
(72)【発明者】
【氏名】王学海
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0104668(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0256851(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0250618(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0088549(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0320294(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0302479(US,A1)
【文献】米国特許第04075282(US,A)
【文献】国際公開第2017/135405(WO,A1)
【文献】特開昭51-017191(JP,A)
【文献】WANG ANI,ET AL,N-Doped Porous Carbon Derived by Direct Carbonization of Metal-Organic Complexes Crystal Materials for SO2 Adsorption,Crystal Growth & Design,Vol.19,No.3,米国,2019年02月05日,1973-1984
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00 - 20/28
20/30 - 20/34
B01D 53/34 - 53/73
53/74 - 53/85
53/92
53/96
C01B 32/00 - 32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化金属有機構造体材料と、前記炭化金属有機構造体材料上に担持された亜硫酸塩が含有されており、前記炭化金属有機構造体材料は金属有機構造体材料を炭化処理した炭化材料であり、
SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が10重量%以下であり、
前記金属有機構造体材料は、MOF-5、MOF-74、ZIF-8から選ばれる少なくとも1種であり、
前記亜硫酸塩は亜硫酸ナトリウムである、ことを特徴とするSO吸着材料。
【請求項2】
前記SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が2~7重量%である、請求項1に記載のSO吸着材料。
【請求項3】
前記炭化金属有機構造体材料は規則的な多孔質ケージトポロジー構造を有し、かさ密度が0.2~0.35g/cm、比表面積が1000~2700m/g、細孔容積が1~3.8cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.16~3.5である、請求項1又は2に記載のSO吸着材料。
【請求項4】
前記炭化金属有機構造体材料は規則的な多孔質ケージトポロジー構造を有し、かさ密度が0.22~0.33g/cm 、比表面積が1025~2650m /g、細孔容積が1.06~3.7cm /g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=2.3~3.5である、請求項3に記載のSO 吸着材料。
【請求項5】
かさ密度が0.2~0.39g/cm、比表面積が1000~2700m/g、細孔容積が1~3.7cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.21~3.5である、請求項1又は2に記載のSO吸着材料。
【請求項6】
かさ密度が0.21~0.35g/cm 、比表面積が2000~2650m /g、細孔容積が2.8~3.7cm /g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=2.3~3.5である、請求項5に記載のSO 吸着材料。
【請求項7】
記金属有機構造体材料は、比表面積が1500~1700m/g、細孔容積が1~1.15cm/gのMOF-5である、請求項1~4のいずれか1項に記載のSO吸着材料。
【請求項8】
金属有機構造体材料を炭化処理して、金属有機構造体材料中の少なくとも一部の金属元素を構造体から除去し、炭化金属有機構造体材料を得るステップ(1)と、
前記炭化金属有機構造体材料上に亜硫酸塩を担持して、S吸着材料を得るステップ(2)とを含み、
前記炭化金属有機構造体材料及び前記亜硫酸塩は、得られた前記SO吸着材料中、前記SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が10重量%以下である量で使用され、
前記金属有機構造体材料はMOF-5、MOF-74、ZIF-8から選ばれる少なくとも1種であり、
前記亜硫酸塩は亜硫酸ナトリウムである、ことを特徴とするSO吸着材料の製造方法。
【請求項9】
前記炭化金属有機構造体材料及び前記亜硫酸塩は、得られた前記SO 吸着材料中、前記SO 吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が2~7重量%である量で使用される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
ステップ(1)において、前記炭化処理は、保護雰囲気、900~1150℃の炭化温度で、5~10h行われ、前記保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、及びネオンガスから選ばれる少なくとも1種の物質により提供される、請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
ステップ(2)において、前記炭化金属有機構造体材料上に亜硫酸塩を担持する手段は、亜硫酸塩溶液を用いて前記炭化金属有機構造体材料を浸漬し、その後、乾燥させて溶剤を除去することを含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記亜硫酸塩溶液の濃度が6質量%未満である、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記乾燥は、不活性雰囲気、100~120℃の乾燥温度で、6~10h行われる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
記金属有機構造体材料は、比表面積が1500~1700m/g、細孔容積が1~1.15cm/gのMOF-5である、請求項~10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1~のいずれか1項に記載のSO吸着材料の脱硫分野における使用。
【請求項16】
処理対象のSO含有煙道ガスを、請求項1~のいずれか1項に記載のSO吸着材料と接触させて、吸着処理を行うステップを含む、ことを特徴とするSO含有煙道ガス中のSOの除去方法。
【請求項17】
前記吸着処理の条件は、吸着温度5~25℃、吸着体積空間速度100~1000h-1、吸着圧力0~0.3MPaを含む、請求項16に記載のSO 含有煙道ガス中のSO の除去方法。
【請求項18】
前記処理対象のSO 含有煙道ガス中、SO の含有量は1~5体積%、水蒸気の含有量は1~4体積%である、請求項17に記載のSO 含有煙道ガス中のSO の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は2019年10月31日に提出された中国特許出願201911048429.7の利益を主張しており、この出願の内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は脱硫分野に関し、具体的には、SO吸着材料、SO吸着材料の製造方法、前記方法によって製造されたSO吸着材料、前記SO吸着材料の脱硫分野における使用、SO含有煙道ガス中のSOの除去方法に関する。
【0003】
〔背景技術〕
化石燃料(石炭、石油など)は硫黄を多く含んでおり、直接燃焼すると、煙道ガスからSOが多く生成される。SOの過剰排出は一連の環境問題を引き起こし、これにより生じた酸性雨や光化学スモッグが人間の生産や生活に深刻な危害をもたらした。
【0004】
現在、広く採用されているSO除去方法は湿式脱硫技術と乾式脱硫技術に分けられる。このうち、湿式脱硫は、主として、アルカリ液と煙道ガスとを接触させ、化学反応によりSOを亜硫酸塩と硫酸塩とに転化して水に溶解させ、さらに硫酸塩を含む溶液を処理して脱硫の目的を達成する。工業的に利用されている湿式脱硫技術では、亜硫酸ナトリウム溶液を用いてSOを吸収し、排ガスからSOを除去することを実現する。一方、乾式脱硫は、主として、多孔質材料の吸着性能を利用して排ガスからSOを分離し、飽和まで吸着した後脱着再生又は酸化してSOに転化して溶出する。工業的に広く利用されている煙道ガスの乾式脱硫方式は、活性炭材料を吸着酸化剤とし、吸着-酸化-硫酸化-アルカリ洗浄などのプロセスによりSOを除去する。
【0005】
石油精製業界のS-Zorb煙道ガス中のSOの濃度は1体積%より高く、SO含有量が高いため、SOを吸着した後に脱着して回収し硫黄を製造することにより、SOの回収や再利用を実現することにより適している。しかし、従来の脱硫プロセスに応用された吸着材料の多くは酸化性能を持ち、SOをSOに酸化しやすく、S-Zorb煙道ガス中のSOの吸着-脱着や回収利用には適さない。また、S-Zorb煙道ガス中のSO含有量は低く(一般的には濃度は0.1体積%未満)、SOをSOに酸化する処理方式も適切ではない。また、水蒸気を含むS-Zorb煙道ガスに対しては、従来の吸着材料は、SO物理吸着能力が低く、実用のニーズを満たすことができなかった。
【0006】
したがって、SOに対して高い物理的吸着能力を有する新規なSO吸着材料を提供することは、極めて現実的な意義がある。
【0007】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、従来技術において、水蒸気の存在下、SO吸着材料の吸着量が低下しやすく、物理吸着能力が劣るという欠陥を解決することである。
【0008】
本発明の発明者は、金属有機構造体材料(MOFs)が多くのマイクロポア構造及び高比表面積を有するものの、金属を中心点として、金属酸化物を含有するので、SOを吸着するとともに化学反応が起こりやすく、このため、SOに対する物理吸着能力が劣り、SOの吸着脱着や回収利用に不利であることを見出した。一方、炭化により得られた炭化金属有機構造体材料はSOに対して物理吸着脱着を行うことができるが、水蒸気の存在下、特に水蒸気を含むS-Zorb煙道ガスに対しては、そのSO吸着量が低下し、物理吸着能力が劣る。
【0009】
本発明の発明者は、創造的な検討を大量行った結果、炭化金属有機構造体材料上に亜硫酸塩(例えば亜硫酸ナトリウム)を担持した複合材料は、亜硫酸塩と炭化金属有機構造体材料との連携により、SOを高容量で物理吸着することができ、水蒸気の存在下、SO吸着量が低下しやすいという欠陥を解決し、しかも、得られた吸着材料は脱着再生により再利用することができ、優れたリサイクル性を有することを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成させるために、本発明の第1態様は、
炭化金属有機構造体材料と、前記炭化金属有機構造体材料上に担持された亜硫酸塩が含有されており、前記炭化金属有機構造体材料は金属有機構造体材料を炭化処理した炭化材料であり、
前記SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が10重量%以下である、SO吸着材料を提供する。
【0011】
本発明の第2態様は、
金属有機構造体材料を炭化処理して、金属有機構造体材料中の少なくとも一部の金属元素を構造体から除去し、炭化金属有機構造体材料を得るステップ(1)と、
前記炭化金属有機構造体材料上に亜硫酸塩を担持して、前記SO吸着材料を得るステップ(2)と、を含み、
前記炭化金属有機構造体材料及び前記亜硫酸塩は、得られた前記SO吸着材料中、前記SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が10重量%以下である量で使用される、SO吸着材料の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の第3態様は、前記第2態様に記載の方法によって製造されたSO吸着材料を提供する。
【0013】
本発明の第4態様は、前記第1態様又は第3態様に記載のSO吸着材料の脱硫分野における使用を提供する。
【0014】
本発明の第5態様は、
処理対象のSO含有煙道ガスを、前記第1態様又は第3態様に記載のSO吸着材料と接触させて、吸着処理を行うステップを含む、SO含有煙道ガス中のSOの除去方法を提供する。
【0015】
〔発明の効果〕
従来技術に比べて、本発明は、少なくとも、下記利点を有する。
【0016】
(1)本発明で提供されるSO吸着材料は、優れたSO吸着能力を有し、破過時間内で、同じ吸着条件では、SO吸着量が市販の活性炭やMOFs材料よりも高い。
【0017】
(2)本発明で提供されるSO吸着材料は、水蒸気の存在下でも、優れた物理吸着能力を有し、水蒸気の存在下でもその吸着量には明らかな低下が認められず、また、本発明で提供されるSO吸着材料は、脱着再生によりリサイクル可能であり、且つ、吸着-脱着を複数回繰り返してもSO吸着量を高く維持し、石油精製業界の煙道ガス中のSOの吸着や回収利用において重要な意義がある。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態の部分において詳細に説明する。
【0019】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕MOF-5、実施例1で製造されたSO吸着材料L1、及び比較例1で製造されたSO吸着材料D1の吸着-脱着を30回繰り返した測定結果の比較図である。
【0020】
〔発明を実施するための形態〕
本明細書で開示された範囲の端点及びいずれの値もこの精確な範囲又は値に限定されるものではなく、これらの範囲又は値はこれらの範囲又は値に近い値を含むものとして理解すべきである。数値の範囲の場合、各範囲の端点値同士、各範囲の端点値と個別の点値、及び個別の点値同士は組み合わせられて1つ又は複数の新しい数値範囲を構成することができ、これらの数値の範囲は本明細書において具体的に開示されたものとみなすべきである。
【0021】
前記のとおり、本発明の第1態様は、
炭化金属有機構造体材料と、前記炭化金属有機構造体材料上に担持された亜硫酸塩とが含有されており、前記炭化金属有機構造体材料は、金属有機構造体材料を炭化処理した炭化材料であり、
前記SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩的担持量が10重量%以下である、SO吸着材料を提供する。
【0022】
より高いSO吸着量を得るために、好ましくは、前記SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が2~7重量%である。
【0023】
本発明では、前記金属有機構造体材料は、有機リガンドと金属イオンが配位結合を介して配位結合された、規則的な無限トポロジー細孔構造を有する有機-無機ハイブリッド材料である。
【0024】
本発明によれば、好ましくは、前記金属有機構造体材料は亜鉛ベース金属有機構造体材料であり、前記亜鉛ベース金属有機構造体材料とは、金属有機構造体材料中の金属元素が亜鉛元素であるものを指す。
【0025】
好ましくは、前記金属有機構造体材料は、MOF-5、MOF-74、ZIF-8、ZIF-7、ZIF-20から選ばれる少なくとも1種であり、比表面積が800~1800m/g、細孔容積が0.8~1.2cm/gである。これにより、得られた炭化金属有機構造体材料と亜硫酸塩の連携により、より優れたSO物理吸着脱着効果が得られ、SOの吸着や回収利用が達成される。
【0026】
好ましくは、前記金属有機構造体材料は、比表面積が1500~1700m/g、細孔容積が1~1.15cm/gのMOF-5である。
【0027】
好ましくは、前記金属有機構造体材料に含有される金属元素の含有量が20~35重量%である。
【0028】
本発明では、前記金属有機構造体材料の由来について特に限定がなく、市販品として入手してもよく、本分野の従来の金属有機構造体材料の製造方法を参照して自作してもよい。
【0029】
本発明では、前記炭化金属有機構造体材料は金属有機構造体材料を炭化処理した炭化材料であり、前記炭化処理の役割として、1つは、金属有機構造体材料中の金属元素の含有量を低下させることであり、もう1つは、材料の比表面積及び細孔容積を増大することである。炭化処理した前記炭化金属有機構造体材料は有金属有機構造体材料の規則的な多孔質ケージトポロジー構造を維持し、比表面積が大きく、空孔構造が発達しているなどの利点がある。
【0030】
例えば、MOF-5材料は、金属Znとテレフタル酸とを集合してなる規則的な無限トポロジー構造の、空孔率70%~80%の多孔質三次元材料であり、二次構造単位が立方晶であり、a=25.6690Å、V=16913.2Å、内径15.2Å、ウィンドウサイズ7.8である。平均細孔径が1.45~1.5nmのMOF-5では、炭化後にもMOF-5の規則的な多孔質ケージトポロジー構造や高空孔率が維持され、且つ各細孔径の細孔の容積比は、マクロ孔(細孔径50nm超):メソ孔(細孔径2~50nm):マイクロ孔(細孔径2nm未満)=1:(13~15):(5~6)であり、空孔率は80%~85%である。
【0031】
また、ZIF-8は、Znとジメチルイミダゾールとを集合してなる多孔質三次元材料であり、トポロジー構造がSOD構成であり、ポアサイズ11.6Å、ウィンドウ3.4Å、空孔率35%~40%である。平均細孔径が1.07~1.15nmのZIF-8では、炭化後にもZIF-8の規則的な多孔質ケージトポロジー構造が維持され、各細孔径の細孔の容積比は、マクロ孔(細孔径50nm超):メソ孔(細孔径2~50nm):マイクロ孔(細孔径2nm未満)=1:(2~3):(16~18)であり、空孔率は50%~55%である。
【0032】
好ましくは、前記炭化金属有機構造体材料は、規則的な多孔質ケージトポロジー構造を有し、かさ密度が0.2~0.35g/cm、比表面積が1000~2700m/g、細孔容積が1~3.8cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.16~3.5である。
【0033】
より好ましくは、前記炭化金属有機構造体材料は、規則的な多孔質ケージトポロジー構造を有し、かさ密度が0.22~0.33g/cm、比表面積が1025~2650m/g、細孔容積が1.06~3.7cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=2.3~3.5である。
【0034】
本発明では、マクロ孔とは、細孔径が50nmを超える細孔、メソ孔とは、細孔径が2~50nmの細孔、マイクロ孔とは、細孔径が2nm未満の細孔を指す。
【0035】
好ましくは、前記炭化金属有機構造体材料中の金属元素の含有量は0~0.06重量%、好ましくは0~0.02重量%であり、より好ましくは、炭化処理により得られた前記炭化金属有機構造体材料には金属元素が含まれていないが、不可避的な測定誤差により、前記炭化金属有機構造体材料中の金属元素の含有量は分析検出下限よりも低い。
【0036】
本発明では、金属元素の含有量はICP分析により測定される。
【0037】
好ましくは、前記炭化処理は、保護雰囲気、900~1150℃の炭化温度で、5~10h行われる。
【0038】
好ましくは、前記SO吸着材料は、かさ密度が0.2~0.39g/cm、比表面積が1000~2700m/g、細孔容積が1~3.7cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.21~3.5である。
【0039】
より好ましくは、前記SO吸着材料は、かさ密度が0.21~0.35g/cm、比表面積が2000~2650m/g、細孔容積が2.8~3.7cm/g、より好ましくは2.86~3.62cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=2.3~3.5である。
【0040】
好ましくは、前記SO吸着材料中、前記SO吸着材料中の炭化金属有機構造体材料の重量を基準に、炭化金属有機構造体材料により導入された金属元素の含有量は0~0.06重量%、好ましくは0~0.02重量%であり、より好ましくは、前記SO吸着材料には金属有機構造体材料中の金属元素(例えば亜鉛ベース金属有機構造体材料中の亜鉛元素)が含有されていないが、不可避的な測定誤差により、金属元素の含有量は分析検出下限よりも低い。
【0041】
本発明では、材料の比表面積、空孔率、細孔容積、及び細孔容積分布比は全てN吸着装置により測定された吸着脱着曲線を分析して測定するものである。
【0042】
好ましくは、前記亜硫酸塩は亜硫酸ナトリウム及び/又は亜硫酸カリウムであり、これにより、発明者は、前記炭化金属有機構造体材料上に亜硫酸ナトリウム及び/又は亜硫酸カリウムを担持して、両方の連携により、より優れたSO物理吸着効果が得られ、特に、水蒸気の存在下でも、得られた吸着材料は優れた吸着効果を有することを見出した。
【0043】
本発明で提供されるSO吸着材料は、脱着処理されて再利用されてもよく、本発明では、前記脱着処理の条件について特に限定がないが、脱着後のSO吸着材料が良好な吸着効果を有するために、好ましくは、前記脱着処理の条件としては、窒素ガス雰囲気下、110~120℃の条件で脱着が行われることを含む。
【0044】
本発明で提供されるSO吸着材料は、高いSO吸着量を有し、特に水蒸気の存在下でも、水蒸気含有煙道ガスに対して、優れた物理吸着脱着効果を有し、同じ吸着条件下では、破過時間内で、本発明で提供されるSO吸着材料のSO吸着量は市販活性炭やMOFs材料よりも高く、且つ、本発明で提供されるSO吸着材料は脱着再生によりリサイクル可能であり、且つ複数回の吸-脱着後にも吸着量を高く維持する。
【0045】
前記のとおり、本発明の第2態様は、
金属有機構造体材料を炭化処理して、金属有機構造体材料中の少なくとも一部の金属元素を構造体から除去し、炭化金属有機構造体材料を得るステップ(1)と、
(2)前記炭化金属有機構造体材料上に亜硫酸塩を担持して、前記SO吸着材料を得るステップ(2)とを含み、
前記炭化金属有機構造体材料及び前記亜硫酸塩は、得られた前記SO吸着材料中、前記SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が10重量%以下である量で使用される、SO吸着材料の製造方法を提供する。
【0046】
本発明の第2態様に記載の方法によれば、より高いSO吸着量を得るために、好ましくは、前記炭化金属有機構造体材料及び前記亜硫酸塩は、得られた前記SO吸着材料中、前記SO吸着材料の全重量を基準に、前記亜硫酸塩の担持量が1~7重量%である量で使用される。
【0047】
本発明によれば、好ましくは、亜硫酸塩の担持量は亜硫酸塩溶液の濃度を調整することにより変更される。
【0048】
本発明の第2態様に記載の方法によれば、好ましくは、ステップ(1)において、前記炭化処理は、保護雰囲気、900~1150℃炭化温度で、5~10h行われる。このような条件では、金属有機構造体材料中の99.94~100重量%の金属元素が除去され、より好ましくは、炭化処理後の前記炭化金属有機構造体材料には金属元素が含まれていない。
【0049】
本発明の第2態様に記載の方法によれば、前記炭化処理の役割は前記第1態様と同じであり、得られた前記炭化金属有機構造体材料の性質、例えば金属元素含有量、比表面積、細孔容積などは、それぞれ、前記の第1態様に記載の炭化金属有機構造体材料の性質と同様であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0050】
本発明の第2態様に記載の方法によれば、好ましくは、前記保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、及びネオンガスから選ばれる少なくとも1種の物質により提供される。
【0051】
本発明の好ましい特定の実施形態によれば、ステップ(2)において、前記炭化金属有機構造体材料上に亜硫酸塩を担持する手段は、亜硫酸塩溶液を用いて前記炭化金属有機構造体材料を浸漬し、その後、乾燥させて溶剤を除去することである。
【0052】
好ましくは、前記亜硫酸塩溶液の濃度は6質量%未満、より好ましくは1.2~4質量%であり、発明者は、この質量濃度の範囲内の亜硫酸塩溶液を用いて前記炭化金属有機構造体材料を担持処理することにより、より良好な担持効果が得られることを見出した。
【0053】
好ましくは、前記浸漬時間は1~5hである。
【0054】
吸着性能がより優れたSO吸着材料を得るために、好ましくは、前記浸漬は等体積浸漬である。
【0055】
好ましくは、前記乾燥は、不活性雰囲気、100~120℃の乾燥温度で、6~10h行われる。
【0056】
本発明によれば、前記不活性雰囲気は、窒素ガスと不活性ガスを含み、好ましくは、前記不活性雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、及びネオンガスから選ばれる少なくとも1種の物質により提供される。
【0057】
本発明の第2態様に記載の方法によれば、好ましくは、前記亜硫酸塩は亜硫酸ナトリウム及び/又は亜硫酸カリウムである。
【0058】
本発明の第2態様に記載の方法によれば、好ましくは、前記金属有機構造体材料は亜鉛ベース金属有機構造体材料から選ばれる。
【0059】
本発明の第2態様に記載の方法によれば、より好ましくは、前記金属有機構造体材料は、MOF-5、MOF-74、ZIF-8、ZIF-7、ZIF-20から選ばれる少なくとも1種であり、比表面積が800~1800m/g、細孔容積が0.8~1.2cm/gである。これにより、得られた炭化金属有機構造体材料と亜硫酸塩の連携により、より優れたSO物理吸着脱着効果が得られ、SOの吸着や回収利用が達成される。
【0060】
本発明の第2態様に記載の方法によれば、さらに好ましくは、前記金属有機構造体材料は、比表面積が1500~1700m/g、細孔容積が1~1.15cm/gのMOF-5である。
【0061】
本発明で提供される方法では、前記炭化金属有機構造体材料上に亜硫酸塩を担持することにより、得られたSO吸着材料は、優れたSO物理吸着効果を有し、且つ製造方法は、操作されやすく、石油精製業界の煙道ガス中のSOの吸着や回収利用に対して重要な意義がある。
【0062】
前記のとおり、本発明の第3態様は、前記第2態様に記載の方法によって製造されたSO吸着材料を提供する。
【0063】
本発明の方法で得られたSO吸着材料は、高いSO吸着量を有し、特に水蒸気存在下、水蒸気を含むSO含有煙道ガスに対して優れたSO吸着能力を有し、破過時間内で、同じ吸着条件では、SO吸着量は市販の活性炭やMOFs材料よりも高く、且つ、本発明で提供されるSO吸着材料は加熱により脱着再生することができ、且つ吸着-脱着を複数回繰り返しても吸着量を高く維持する。
【0064】
前記のとおり、本発明の第4態様は、前記第1態様又は第3態様に記載のSO吸着材料の脱硫分野における使用を提供する。
【0065】
本発明では、前記の使用される具体的な操作について限定がなく、本分野の従来のSO除去の操作を使用して実施することができ、当業者は、本発明を制限するものとして理解できない。
【0066】
前記のとおり、本発明の第5態様は、処理対象のSO含有煙道ガスを、前記第1態様又は第3態様に記載のSO吸着材料と接触させて、吸着処理を行うステップを含むSO含有煙道ガス中のSOの除去方法を提供する。
【0067】
本発明の第5態様において、前記SO吸着材料は、前記SO吸着材料と同じ性質を有し、ここでは、本発明は、前記SO吸着材料の性質、例えば比表面積、細孔容積などについて詳しく説明しない。
【0068】
好ましくは、前記吸着処理の条件として、吸着温度は5~25℃、吸着体積空間速度は100~1000h-1、吸着圧力は0~0.3MPa、より好ましくは0.1~0.3MPaであることを含む。
【0069】
本発明では、吸着体積空間速度とは、単位体積あたりの吸着剤を単位時間あたり通過する吸着ガス(SO含有煙道ガス)の量(体積)を指す。
【0070】
好ましくは、前記処理対象のSO含有煙道ガス中のSOの含有量は1体積%よりも大きく、より好ましくは1~5体積%であり、水蒸気の含有量は1~4体積%である。
【0071】
好ましくは、前記SO含有煙道ガスは、石油精製業界のS-Zorb煙道ガスである。
【0072】
本発明で提供される脱硫方法は、本発明のSO吸着材料を使用することで、煙道ガス中のSOに対して高吸着量を有し、煙道ガス中のSOを物理的に除去することができ、且つ吸着脱着を繰り返すことができ、石油精製業界の煙道ガス中のSOの吸着や回収利用に対して重要な意義がある。
【0073】
本発明では、特に断らない限り、前記圧力とはゲージ圧を指し、常圧は0MPaである。
【0074】
以下、例を通じて本発明を詳細に説明する。
【0075】
以下の例では、特に断らない限り、使用される原料は全て市販品である。
【0076】
MOF-5、ZIF-8、MOF-74金属有機構造体材料は全て従来の文献(Microporous Mesoporous Mater. 84 (2005) 97-104;ACS Catal. 2011, 1, 120-127;J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 5, 1504-1518)で開示された方法に従って自作されたものである。
【0077】
以下の例では、関連する性能は下記の方法によって得られる。
【0078】
(1)材料の比表面積、細孔容積、細孔容積比:N吸着装置により測定された吸着脱着曲線を分析して得る。
【0079】
(2)金属元素含有量:ICP分析により測定する。
【0080】
(3)ガス中のSO含有量:Emerson X-STREAM装置により分析して測定する。
【0081】
(4)担持量の測定:ICP分析により吸着材料中のNa元素の含有量を測定してから換算する。
【0082】
(5)以下の例では、吸着出口でのSOの濃度が50mg/mとなると破過時間に達するとし、SO吸着量は下記の式により算出される。
【0083】
【数1】
【0084】
式中:Qは硫黄容量(SO吸着量)(mg/g)、qは入口での混合ガスの全流量(L/min)、Cは入口でのSO濃度(mg/L)、Cはi回目のサンプリングにおける出口でのSO濃度(mg/L)、tはi回目のサンプリングの時間(min)、nは飽和に吸着するまで、又は所定の破過時間内のサンプリング回数、mは吸着材料の充填量(g)である。
【0085】
(6)かさ密度:単位質量あたりの吸着材料の体積を測定し算出する。
【0086】
<実施例1>
比表面積1655m/g、細孔容積1.13cm/g、Zn元素含有量31.2重量%のMOF-5を基体とした。
【0087】
(1)窒素ガス存在下、MOF-5基体を1000℃で6h炭化し、かさ密度0.22g/cm、比表面積2650m/g、細孔容積3.7cm/g、Zn元素含有量0重量%、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=3.2の炭化金属有機構造体材料を得た。
【0088】
(2)濃度3質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に炭化金属有機構造体材料を加えて、1h等体積浸漬し、浸漬終了後、窒素ガス雰囲気、120℃で6h乾燥させ、SO吸着材料L1を得た。
【0089】
測定した結果、得られたSO吸着材料L1は、亜硫酸ナトリウム担持量が5重量%、かさ密度が0.231g/cm、比表面積が2426m/g、細孔容積が3.27cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=3.1、Zn元素含有量が0重量%であった。
【0090】
<実施例2>
ステップ(2)において、濃度1.2質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に炭化金属有機構造体材料置を加えて等体積浸漬し、SO吸着材料L2を得た以外、実施例1と同様な方式を採用した。
【0091】
測定した結果、得られた吸着材料L2は、亜硫酸ナトリウム担持量が1重量%、かさ密度が0.222g/cm、比表面積が2615m/g、細孔容積が3.62cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=3.2、Zn元素含有量が0重量%であった。
【0092】
<実施例3>
ステップ(2)において、濃度4質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に炭化金属有機構造体材料を加えて等体積浸漬し、SO吸着材料L3を得た以外、実施例1と同様な方式を採用した。
【0093】
測定した結果、得られた吸着材料L3は、亜硫酸ナトリウム担持量が7重量%、かさ密度が0.235g/cm、比表面積が2320m/g、細孔容積が3.05cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=3.35、Zn元素含有量が0重量%であった。
【0094】
<実施例4>
ステップ(2)において、濃度5.8質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に炭化金属有機構造体材料を加えて等体積浸漬し、SO吸着材料L4を得た以外、実施例1と同様な方式を採用した。
【0095】
測定した結果、得られた吸着材料L4は、亜硫酸ナトリウム担持量が10重量%、かさ密度が0.242g/cm、比表面積が2110m/g、細孔容積が2.86cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=3.4、Zn元素含有量が0重量%であった。
【0096】
<実施例5>
比表面積1150m/g、細孔容積0.82cm/g、Zn元素含有量30.7重量%のZIF-8を基体とした。
【0097】
(1)窒素ガス存在下、ZIF-8基体を1150℃で5h炭化し、かさ密度0.28g/cm、比表面積1290m/g、細孔容積1.27cm/g、Zn元素含有量0重量%、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.25の炭化金属有機構造体材料を得た。
【0098】
(2)濃度3質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に炭化金属有機構造体材料を加えて、1h等体積浸漬し、浸漬終了後、窒素ガス雰囲気、120℃で6h乾燥させ、SO吸着材料L5を得た。
【0099】
測定した結果、得られた吸着材料L5は、亜硫酸ナトリウム担持量が5重量%、かさ密度が0.294g/cm、比表面積が1225m/g、細孔容積が1.24cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.255、Zn元素含有量が0重量%であった。
【0100】
<実施例6>
比表面積852m/g、細孔容積1.02cm/g、Zn元素含有量29.2重量%のMOF-74を基体とした。
【0101】
(1)窒素ガス存在下、MOF-74基体を900℃で10h炭化し、かさ密度0.33g/cm、比表面積1080m/g、細孔容積1.06cm/g、Zn元素含有量0重量%、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.22の炭化金属有機構造体材料を得た。
【0102】
(2)濃度3質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に炭化金属有機構造体材料を加えて、1h等体積浸漬し、浸漬終了後、窒素ガス存在下、120℃で6h乾燥させ、SO吸着材料L6を得た。
【0103】
測定した結果、得られた吸着材料L6は、亜硫酸ナトリウム担持量が5重量%、かさ密度が0.346g/cm、比表面積が1025m/g、細孔容積が1cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.226、Zn元素含有量が0重量%であった。
【0104】
<比較例1>
比表面積1655m/g、細孔容積1.13cm/g、Zn元素含有量31.2重量%のMOF-5を基体とした。
【0105】
窒素ガス存在下、MOF-5基体を1000℃で6h炭化し、SO吸着材料D1を得た。
【0106】
測定した結果、得られた材料D1は、かさ密度が0.22g/cm、比表面積が2650m/g、細孔容積が3.7cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=3.2、Zn元素含有量が0重量%であった。
【0107】
<比較例2>
濃度3質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に市販活性炭材料(かさ密度0.62g/cm、比表面積865m/g、細孔容積0.52cm/g)を加えて、1h等体積浸漬し、浸漬終了後、窒素ガス存在下、120℃で6h乾燥させ、SO吸着材料D2を得た。
【0108】
測定した結果、吸着材料D2は、亜硫酸ナトリウム担持量が5重量%、かさ密度が0.65g/cm、比表面積が820m/g、細孔容積が0.5cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=0.2であった。
【0109】
<比較例3>
ステップ(2)において、濃度6.5質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に炭化金属有機構造体材料を加えて等体積浸漬し、SO吸着材料D3を得た以外、実施例1と同様な方式を採用した。
【0110】
測定した結果、得られた材料D3は、亜硫酸ナトリウム担持量が13.2重量%、かさ密度が0.25g/cm、比表面積が1245m/g、細孔容積が1.08cm/g、(マクロ細孔容積+メソ細孔容積)/マイクロ細孔容積=3.55、Zn元素含有量が0重量%であった。
【0111】
<比較例4>
炭化処理を行わずに、MOF-5をそのままで濃度3質量%の亜硫酸ナトリウム溶液に加えて1h等体積浸漬したが、MOF-5材料は亜硫酸ナトリウム溶液に加えると構造が崩壊して分解し、吸着材料が得られず、後続の操作ができなかった。
【0112】
<測定例1>
以上の例で製造されたSO吸着材料の吸着性能をそれぞれ測定した。
【0113】
処理対象のSO含有煙道ガスは、SOの含有量が3体積%、水蒸気の含有量が3体積%の、水蒸気を含むS-Zorb煙道ガスとした。
【0114】
MOF-5、ZIF-8、MOF-74、活性炭、及び以上の例で製造されたSO吸着材料をそれぞれ用いて、上記の処理対象のSO含有煙道ガスを吸着処理した。
【0115】
吸着処理の条件としては、吸着温度は20℃、吸着空間速度は800h-1、吸着圧力はそれぞれ常圧及び0.2MPaとした。
【0116】
吸着出口での濃度が50mg/mになると破過時間に達するとし、具体的な測定結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
表1から分かるように、本発明で提供されるSO吸着材料は、高いSO吸着量を有し、破過時間内で、同じ吸着条件では、SO吸着量が全て市販活性炭やMOFs材料よりも高く、中でも、一部の吸着材料のSO吸着量は市販活性炭の2.3倍以上、MOFs材料の2倍以上に達する。
【0119】
特に、実施例1~4と比較例3の比較から分かるように、亜硫酸塩の担持量が10重量%により高い場合、SO吸着量は明らかに低下し、特に、好ましくは亜硫酸塩(例えば亜硫酸ナトリウム)の担持量は2~7重量%であり、この場合、得られたSO吸着材料はより高い吸着量を有する。
【0120】
<測定例2>
以上の例で製造された吸着材料の、さまざまな圧力及び温度の条件での吸着性能をそれぞれ測定した。
【0121】
処理対象のSO含有煙道ガスは、SOの含有量が2体積%、水蒸気の含有量が4体積%の、水蒸気を含むS-Zorb煙道ガスとした。
【0122】
吸着条件:吸着空間速度は1000h-1、吸着温度及び圧力は具体的には以下の表2に示される。
【0123】
吸着出口での濃度が50mg/mになると破過時間に達するとした。本発明では、実施例1及び比較例2で製造された吸着材料の測定結果は、例示的に提供されており、具体的には、それぞれ、表2及び表3に示される。
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
表2及び表3の結果の比較から分かるように、本発明で提供されるSO吸着材料は、高いSO吸着量を有する。
【0127】
また、表2から分かるように、同じ温度、加圧の条件では、本発明で提供される吸着材料のSO吸着量は1.7~3.5倍向上し、同じ圧力の条件、5~25℃の範囲では、温度は吸着材料のSO吸着量に対して明らかな影響を与えることはない。
【0128】
<測定例3>
以上の例で製造された吸着材料の繰り返し吸着-脱着性能を測定した。
【0129】
処理対象のSO含有煙道ガスは、SOの含有量が5体積%、水蒸気の含有量が4体積%の、水蒸気を含むS-Zorb煙道ガスとした。
【0130】
吸着条件:吸着温度は20℃、吸着空間速度は400h-1、吸着圧力は0.2MPaであり、
吸着出口での濃度が50mg/mになると破過時間に達するとした。
【0131】
吸着後、窒素ガスの条件、120℃で脱着処理を行い、すなわち、吸着-脱着測定を30回繰り返した。
【0132】
本発明では、MOF-5、実施例1で製造された吸着材料L1、及び比較例で製造された吸着材料D1の繰り返し吸着-脱着測定の結果は、例示的に提供されており、具体的な結果は図1に示される。
【0133】
図1から分かるように、本発明で提供されるSO吸着材料は、優れたSO吸着能力を有し、水蒸気の存在下でも、その吸着量には明らかな低下が認められず、且つ、優れたリサイクル性があり、吸着-脱着測定を30回繰り返しても、SO吸着量を初期吸着量の85重量%以上に維持できる。MOF-5であっても、比較例1で製造された吸着材料D1であっても、測定を繰り返して行う過程において、SO吸着量には明らかな低下が認められた。
【0134】
以上のように、本発明で提供されるSO吸着材料は、優れたSO吸着能力を有し、特に水蒸気を含む条件では、水蒸気の存在下、その吸着量には明らかな低下が認めらず、水蒸気を含む煙道ガス中のSOに対して優れた物理吸着効果があり、破過時間内で、同じ吸着条件では、SO吸着量は全て市販活性炭やMOFs材料よりも高く、且つ、本発明で提供されるSO吸着材料は、加熱により脱着・再生することができ、且つ吸着-脱着を複数回繰り返しても吸着量を高く維持し、例えば吸着-脱着を30回繰り返しても、吸着量を初期吸着量の85重量%以上に維持することができ、応用の将来性が期待できる。
【0135】
以上は、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の技術的構想を逸脱することなく、本発明の技術的解決手段に対して、各技術的特徴を任意の他の適切な方式で組み合わせるなど、さまざまな簡単な変形を加えることができ、これらの簡単な変形や組み合わせも本発明で開示された内容とみなすべきであり、全て本発明の特許範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1】MOF-5、実施例1で製造されたSO吸着材料L1、及び比較例1で製造されたSO吸着材料D1の吸着-脱着を30回繰り返した測定結果の比較図である。
図1