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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】気相分配制御装置及び分離壁型精留塔
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/42 20060101AFI20231213BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B01D3/42
B01D3/14 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022535142
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 CN2020135148
(87)【国際公開番号】W WO2021115363
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】201911255201.5
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳建兵
(72)【発明者】
【氏名】薄徳臣
(72)【発明者】
【氏名】張英
(72)【発明者】
【氏名】高明
(72)【発明者】
【氏名】王▲ル▼瑤
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼兵
(72)【発明者】
【氏名】胡▲ジュン▼
(72)【発明者】
【氏名】李明一
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207822549(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106139627(CN,A)
【文献】特表2016-533875(JP,A)
【文献】中国実用新案第205145640(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108619752(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D1/00-8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相中の液体を除去するための充填層と、
前記充填層の上方に位置し、互いに独立している少なくとも2つの気相チャネルが設けられる分配層であって、前記少なくとも2つの気相チャネルは、それぞれ前記充填層及び前記分配層の上方に連通し、各前記気相チャネルは、前記充填層に近い入口と、前記分配層の上方に近い出口とを有し、少なくとも2つの前記入口は、予め設定された気相分配比に基づいて気相分配機構によって開口サイズが調整可能に構成される分配層とを有し、
前記分配層に2つの前記気相チャネルが設けられ、前記気相分配機構は、
前記充填層の上方に固定され、その周方向に順次設けられた3つのセグメントを含む中空リングであって、このうちの1つのセグメントの底部に2つの前記入口が開けられ、2つの前記入口が前記中空リングの周方向に間隔を空けて設けられるか、又は互いに貫通しており、他の2つのセグメントがそれぞれ前記の1つのセグメントの両端に位置し、かつそれぞれの頂部に前記出口が開けられる中空リングと、
前記中空リングのキャビティに適合して設けられ、かつ前記中空リングの周方向に沿って前記1つのセグメント内を摺動可能である摺動部材とを含み、
前記気相分配機構は、前記摺動部材の位置変化によって2つの前記入口の開口サイズを調整するように構成される、
ことを特徴とする気相分配制御装置。
【請求項2】
気相中の液体を除去するための充填層と、
前記充填層の上方に位置し、互いに独立している少なくとも2つの気相チャネルが設けられる分配層であって、前記少なくとも2つの気相チャネルは、それぞれ前記充填層及び前記分配層の上方に連通し、各前記気相チャネルは、前記充填層に近い入口と、前記分配層の上方に近い出口とを有し、少なくとも2つの前記入口は、予め設定された気相分配比に基づいて気相分配機構によって開口サイズが調整可能に構成される分配層とを有し、
記気相分配機構は、
前記充填層の上方に固定され、その周方向に順次設けられた少なくとも4つのセグメントを含む中空リングであって、前記少なくとも4つのセグメントのうちの少なくとも2つのセグメントのそれぞれの底部に前記入口が開けられ、他の少なくとも2つのセグメントのそれぞれの頂部に前記出口が開けられ、前記入口及び前記出口は前記中空リングの周方向に交互に設けられる中空リングと、
前記中空リングのキャビティに適合して設けられ、かつ前記中空リングの周方向に摺動可能である少なくとも2つの摺動部材とを含み、
前記気相分配機構は、前記少なくとも2つの摺動部材の位置変化によって少なくとも2つの前記入口の開口サイズを調整するように構成される、
ことを特徴とする気相分配制御装置。
【請求項3】
前記中空リングは、順次設けられた等弧長の4つのセグメントL1、L2、L3及びL4を含み、前記L1及び前記L3のそれぞれの底部に2つの前記入口を形成するように入口開放部が設けられ、前記L2及び前記L4のそれぞれの頂部に2つの前記出口を形成するように出口開放部が設けられ、
前記気相分配機構は2つの前記摺動部材を含み、2つの前記摺動部材はそれぞれ前記L1及び前記L3内に摺動可能に設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の気相分配制御装置。
【請求項4】
前記中空リングは、順次設けられた等弧長の4つのセグメントL1、L2、L3及びL4を含み、前記L1及び前記L2のそれぞれの底部に2つの前記入口を形成するように入口開放部が設けられ、前記L3及び前記L4のそれぞれの頂部に2つの前記出口を形成するように出口開放部が設けられ、
前記気相分配機構は2つの前記摺動部材を含み、2つの前記摺動部材はそれぞれ前記L1及び前記L2内に摺動可能に設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の気相分配制御装置。
【請求項5】
前記摺動部材は磁性部材であり、前記気相分配機構は電磁分配制御手段をさらに含み、該電磁分配制御手段は、
前記中空リング外に同軸で設けられる円弧状トラックと、
前記円弧状トラックに設けられ、かつ前記円弧状トラックに沿って移動可能な電磁石と、
前記予め設定された気相分配比に基づいて前記電磁石の移動を駆動して前記摺動部材を所望の位置に移動させるように構成される電磁コントローラとを含む、ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の気相分配制御装置。
【請求項6】
前記中空リングのキャビティの横断面が円形であり、前記摺動部材は中空鉄球である、ことを特徴とする請求項に記載の気相分配制御装置。
【請求項7】
前記気相分配制御装置は、前記分配層と前記充填層との間に設けられるバッフルを含み、前記バッフルは、前記充填層が前記気相チャネルのみを介して前記分配層の上方に連通するように構成される、及び/又は
前記充填層の底部に充填物グリルが設けられる、ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の気相分配制御装置。
【請求項8】
前記バッフルは前記中空リングの内側に密封して設けられ、前記中空リングの軸方向の中央位置に位置し、及び/又は
前記充填物グリルの開孔率が5%~15%である、ことを特徴とする請求項に記載の気相分配制御装置。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の気相分配制御装置を含み、分離壁型精留塔の分離壁が塔体内部の中段に位置し、かつ前記塔体の軸方向に延伸しており、前記分離壁は前記塔体の内部空間を前記分離壁の上方に位置する共通精留段、前記分離壁の左側に位置する供給段、前記分離壁の右側に位置する排出段及び前記分離壁の下方に位置する共通回収段に分け、前記気相分配制御装置は前記分離壁の下方に設けられ、少なくとも2つの前記出口はそれぞれ前記分離壁の両側に連通している、ことを特徴とする分離壁型精留塔。
【請求項10】
前記気相分配制御装置は、少なくとも2つの前記出口にそれぞれ連通している2つのガス上昇通路を含み、2つの前記ガス上昇通路はそれぞれ前記分離壁の両側に連通し、及び/又は
前記分離壁は多層中空構造であり、前記分離壁の中空部分に不活性ガス又は断熱材料が填充されている、ことを特徴とする請求項に記載の分離壁型精留塔。
【請求項11】
前記ガス上昇通路の横断面積は、前記塔体内の横断面積の0.1~0.4倍であり、及び/又は
前記ガス上昇通路の横断面の形状は、矩形、正方形又は円形である、ことを特徴とする請求項10に記載の分離壁型精留塔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学精留の分野に関し、特に気相分配制御装置及び該気相分配制御装置を含む分離壁型精留塔に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、製油所や化学プラントの精留は、主として従来の塔を用いて材料を分離するものであり、理輪的には、N種類の製品を得るにはN-1個の精留塔が必要であり、この結果、投資やエネルギー消費量が大きい。このため、投資やプロセスにかかるエネルギーを減少させるために、新型精留設備が最も最適な手段である。ここで、分離壁型精留塔(DWC)は、従来の精留塔よりも、エネルギー消費量を大幅に減少させ、投資を低下させ、代表的な新型省エネ型精留設備である。
【0003】
分離壁型精留塔は、従来の精留塔の中段に軸方向に延伸している垂直に設けられた分離壁を設けたものであり、該分離壁により塔内の空間が、分離壁左側(供給ゾーン)と、分離壁右側(排出ゾーン)と、分離壁頂端上側(共通精留段)と、分離壁底端下側(共通回収段)との4つの部分に分割される。分離壁型精留塔は、複数組の精留の場合では、優位性が大きい。DWCでは、逆混合がないため、一般的な精留塔よりも20%~50%のエネルギーが節約され、また、2つの塔及び1つのリボイラーが省略されるので、投資が約30%削減される。
【0004】
従来技術、例えばUS2011139604A1は分離壁型精留塔を開示し、該塔の内部の分離壁は非対称な形態とされており、供給材料と塔内の排出材料を非対称点として分離壁を調整することにより、供給側供給口の下端の空間を増大しながら、排出端の下側の空間を小さくすることで、塔内の気液相の負荷のバランスを取る目的を達成させる。
【0005】
従来技術、例えばCN102631791Aは、分離壁型精留塔の制御方法を開示し、該発明出願は、分離壁型精留塔の制御方法を開示しており、塔頂留出物の成分濃度によって塔頂の還流量を制御する塔頂留出物組成制御回路と、サイドライン留出物の成分濃度によってサイドライン流量を制御するサイドライン留出物組成制御回路と、塔釜留出物の成分濃度によって塔釜の熱負荷を制御する塔釜留出物組成制御回路と、予備分留段の頂部の気相重質成分の濃度によって分壁精留塔の内部の分液比を制御する予備分留段頂部気相組成制御回路との4つの制御回路が使用されている。この制御回路は全て、好ましくはPID制御回路である。この解決手段の制御方法では、供給流量又は供給成分の含有量が変化した場合、塔全体を安定的に制御することができ、製品の品質を確保しかつ、塔全体のエネルギー消費量を最適な範囲とする。
【0006】
本質的には、従来の分離壁型精留塔では、以下の2つの問題は徹底的に解決されていない。(1)分離壁型精留塔の塔内の分離壁の両側にある気相分配に対する制御の正確性が常に不十分であり、気相分配比の調整範囲が小さいという問題により、分離壁の両側では気液相の物質移動効果が劣化し、分離効果が悪くなる。(2)分離壁の両側の気液相の負荷、成分濃度、必要される熱が異なるので、分離壁段には熱の逆混合が発生し、その結果、分離壁型精留塔の製品の純度のさらなる向上ができない。
【0007】
このため、分離壁の両側の気相分配をより正確に制御し、熱の逆混合をできる限り回避し、製品の純度をさらに高めるために、気相分配制御装置が期待される。
【0008】
この背景技術に記載の情報は本発明の背景に対する理解を深めるために過ぎず、該情報が当業者に公知の従来技術であることを承認又は何らかの形態で示唆するものとして理解すべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、制御の正確性が不十分であり、気相分配比の調整範囲が小さいという欠点を解決するために、気相分配制御装置及び該気相分配制御装置を含む分離壁型精留塔を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成させるために、本発明の一態様は、
気相中の液体を除去するための充填層と、
前記充填層の上方に位置し、互いに独立している少なくとも2つの気相チャネルが設けられる分配層であって、前記少なくとも2つの気相チャネルは、それぞれ前記充填層及び前記分配層の上方に連通し、各前記気相チャネルは、前記充填層に近い入口と、前記分配層の上方に近い出口とを有し、少なくとも2つの前記入口は、予め設定された気相分配比に基づいて気相分配機構によって開口サイズが調整可能に構成される分配層とを含む、気相分配制御装置を提供する。
【0011】
任意に、前記分配層に2つの前記気相チャネルが設けられ、前記気相分配機構は、
前記充填層の上方に固定され、その周方向に順次設けられた3つのセグメントを含む中空リングであって、このうちの1つのセグメントの底部に2つの前記入口が開けられ、2つの前記入口が前記中空リングの周方向に間隔を空けて設けられるか、又は互いに貫通しており、他の2つのセグメントがそれぞれ前記の1つのセグメントの両端に位置し、かつそれぞれの頂部に前記出口が開けられる中空リングと、
前記中空リングのキャビティに適合して設けられ、かつ前記中空リングの周方向に沿って前記1つのセグメント内を摺動可能である摺動部材とを含み、
前記気相分配機構は、前記摺動部材の位置変化によって2つの前記入口の開口サイズを調整するように構成される。
【0012】
任意に、前記気相分配機構は、
前記充填層の上方に固定され、その周方向に順次設けられた少なくとも4つのセグメントを含む中空リングであって、前記少なくとも4つのセグメントのうちの少なくとも2つのセグメントのそれぞれの底部に前記入口が開けられ、他の少なくとも2つのセグメントのそれぞれの頂部に前記出口が開けられ、前記入口及び前記出口は前記中空リングの周方向に交互に設けられる中空リングと、
前記中空リングのキャビティに適合して設けられ、かつ前記中空リングの周方向に摺動可能である少なくとも2つの摺動部材とを含み、
前記気相分配機構は、前記少なくとも2つの摺動部材の位置変化によって少なくとも2つの前記入口の開口サイズを調整するように構成される。
【0013】
任意に、前記中空リングは、順次設けられた等弧長の4つのセグメントL1、L2、L3及びL4を含み、前記L1及び前記L3のそれぞれの底部に2つの前記入口を形成するように入口開放部が設けられ、前記L2及び前記L4のそれぞれの頂部に2つの前記出口を形成するように出口開放部が設けられ、
前記気相分配機構は2つの前記摺動部材を含み、2つの前記摺動部材はそれぞれ前記L1及び前記L3内に摺動可能に設けられる。
【0014】
任意に、前記中空リングは、順次設けられた等弧長の4つのセグメントL1、L2、L3及びL4を含み、前記L1及び前記L2のそれぞれの底部に2つの前記入口を形成するように入口開放部が設けられ、前記L3及び前記L4のそれぞれの頂部に2つの前記出口を形成するように出口開放部が設けられ、
前記気相分配機構は2つの前記摺動部材を含み、2つの前記摺動部材はそれぞれ前記L1及び前記L2内に摺動可能に設けられる。
【0015】
任意に、前記摺動部材は磁性部材であり、前記気相分配機構は電磁分配制御手段をさらに含み、該電磁分配制御手段は、
前記中空リング外に同軸で設けられる円弧状トラックと、
前記円弧状トラックに設けられ、かつ前記円弧状トラックに沿って移動可能な電磁石と、
前記予め設定された気相分配比に基づいて前記電磁石の移動を駆動して前記摺動部材を所望の位置に移動させるように構成される電磁コントローラとを含む。
【0016】
任意に、前記中空リングのキャビティの横断面が円形であり、前記摺動部材は中空鉄球である。
【0017】
任意に、前記気相分配制御装置は、前記分配層と前記充填層との間に設けられるバッフルを含み、前記バッフルは、前記充填層が前記気相チャネルのみを介して前記分配層の上方に連通するように構成される。
【0018】
任意に、前記バッフルは前記中空リングの内側に密封して設けられ、前記中空リングの軸方向の中央位置に位置する。
【0019】
任意に、前記充填層の底部に充填物グリルが設けられる。
【0020】
任意に、前記充填物グリルの開孔率が5%~15%である。
【0021】
本発明の別の態様は、前記気相分配制御装置を含む分離壁型精留塔を提供し、前記分離壁型精留塔の分離壁が塔体内部の中段に位置し、かつ前記塔体の軸方向に延伸しており、前記分離壁は前記塔体の内部空間を前記分離壁の上方に位置する共通精留段、前記分離壁の左側に位置する供給段、前記分離壁の右側に位置する排出段及び前記分離壁の下方に位置する共通回収段に分け、前記気相分配制御装置は前記分離壁の下方に設けられ、少なくとも2つの前記出口はそれぞれ前記分離壁の両側に連通している。
【0022】
任意に、前記気相分配制御装置は、少なくとも2つの前記出口にそれぞれ連通している2つのガス上昇通路を含み、2つの前記ガス上昇通路はそれぞれ前記分離壁の両側に連通する。
【0023】
任意に、前記分離壁は多層中空構造であり、前記分離壁の中空部分に不活性ガス又は断熱材料が填充されている。
【0024】
任意に、前記ガス上昇通路の横断面積は、前記塔体内の横断面積の0.1~0.4倍である。
【0025】
任意に、前記ガス上昇通路の横断面の形状は、矩形、正方形又は円形である。
【発明の効果】
【0026】
従来技術に比べて、本発明は下記有益な効果がある。
【0027】
(1)気相分配制御には電磁式分配調整方式が使用されており、コンピュータ制御システムが信号を気相分配制御装置に伝達することにより、熱的に結合された精留塔の塔内の気体を個別且つ柔軟に分配・制御することが図られ、熱的に結合された精留塔の分離壁の両側にある気液両相の負荷の制御精度が向上し、製品の分離効果が高まり、分離壁型精留塔の制御が簡素化される。
【0028】
(2)熱的に結合された精留塔の中間分離壁が断熱式設計を用いることによって、分離壁の左右両側での熱伝達が回避される。実際に作動するときに、異なる材料の物性が異なるため、分離壁の左右両側での操作パラメータが異なり、予備分離段とサイドライン製品段は独立して操作され、熱の逆混合が効果的に抑制され、中間製品の純度が効果的に向上する。
【0029】
上記説明は本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術的手段を明確に理解して明細書の内容に従って実施するとともに、本発明の上記及び他の目的、技術的特徴及び利点をより理解しやすくするために、以下、1つ又は複数の好適な実施例をもって、図面と組み合わせて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の分離壁型精留塔の構造概略図である。
図2】本発明の分離壁型精留塔の分離壁における横断面概略図(分離壁の層構造が示されている)である。
図3】本発明の分離壁型精留塔における気相分配制御装置の構造概略図である。
図4】本発明の気相分配制御装置の気相チャネルの入口の概略図(中空リングの下面視)である。
図5】本発明の気相分配制御装置の気相チャネルの出口の概略図(中空リングの上面視)である。
図6】本発明の気相分配制御装置における電磁分配制御手段の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を詳細に説明するが、本発明の特許範囲は具体的な実施形態によって限定されない。
【0032】
特に明示していない限り、明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む」又はその変形、例えば「が含まれる」又は「を含んでいる」などの用語は記載される素子又は構成部分を含むが、他の素子又は他の構成部分を排除しないものとして理解すべきである。
【0033】
ここでは、説明の便宜上、相対空間の用語、例えば「よりも下」、「下方」、「下」、「よりも上」、「上方」、「上」などは、1つの素子又は特徴と別の素子又は特徴の図面での関係を示すものである。なお、相対空間の用語は、図に示される方向以外の、物品の使用又は操作の時のさまざまな方向を含むことを意図している。例えば、図中の物品が反転した場合、他の素子又は特徴の「下方」又は「下」にあると記載された素子が前記素子又は特徴の「上方」になる。このため、例示的な用語「下方」は下方と上方との2つの方向を含む。物品の方向には他のもの(90度回転又は他の方向)も含まれ、かつ本明細書に使用される相対空間の用語に応じて解釈されべきである。
【0034】
本明細書では、「第1」、「第2」などの用語は2つの異なる素子又は部位を区分するものではなく、特定の位置又は相対関係を限定するものではない。言い換えれば、いくつかの実施例では、「第1」、「第2」などの用語は互いに交換してもよい。
【0035】
図1に示すように、本発明の分離壁型精留塔Tにおいては、塔体の軸線に延伸している垂直分離壁(図1中の塔体の中央にある垂直線)が塔内に設けられ、塔内の空間は、該垂直分離壁によって、分離壁上方の共通精留段T1と、分離壁左側の供給段T2と、分離壁右側の排出段T3と、分離壁下方の共通回収段T4との4つの部分に仕切られる。処理対象原料1が分離壁型精留塔供給段T2に入り、液体を供給されて初期分離を行い、塔頂気相2が塔頂コンデンサC1で冷却され、凝縮液体3が塔頂分液タンクG2に入り、液体の一部(即ち塔頂還流液5)は塔頂に戻り、他の一部の液体は塔頂製品4として装置から排出される。塔頂還流液5は共通精留段T1を経て分離壁の上方トレイに収集され、収集された液体は中段采出6となり、中段バッファタンクG1に入り、中段還流ポンプP1及び中段還流加熱器(供給側中段還流加熱器H1及び排出側中段還流加熱器H2を含む)のそれぞれによって還流温度を制御されて分離壁の両側に入り、分離壁の両側に入った液相はそれぞれ供給側中段還流液体7及び排出側中段還流液体8となり、最後に、排出段T3でサイドライン製品9となる。分離壁の下方に気相分配制御装置30が設けられ、コンピュータ制御システムによって上昇ガス相に対して気相流量分配を行う。気相は上昇して、分離壁段から共通回収段に入った液相10は下方へ移動し、液体は共通回収段T4を経てから、塔底に流れて、塔底液相11となり、最後に塔底製品12となる。塔底リボイラーH3を経た液体は気相になり、リターン気相13は共通回収段T4を経てから、本発明の気相分配制御装置30の底部の充填物グリルを介して該気相分配制御装置30に入る。気相は該装置によって正確に制御・分配されて分離壁の両側に入り、このように、気体分配に対する制御プロセスが完了する。
【0036】
図1図3に示すように、本発明の気相分配制御装置30は分離壁型精留塔Tの分離壁の下方に設けられ、下部の充填層35と、上部の分配層とを含む。充填層の内部にある充填物としては、気液分離作用を有する一般的な形態の充填物、例えばワイヤ充填物、ランダム充填物又は規則的な波形充填物などの1種又は複数種が使用されてもよく、好ましくは、充填物にはワイヤ充填物が使用されるが、これに制限されるものではなく、充填層の高さは分離壁型精留塔T及び実際の適用に応じて設定されてもよく、通常10~50mm、好ましくは10~40mmである。充填層35は共通回収段からのリターン気相中の液体を除去するためのものである。充填層35の下部に充填物グリル34が設けられ、充填物グリル34の開孔率は5%~20%、好ましくは5%~15%であり、充填物グリル34は充填物を支持するものであり、充填物グリル34の開口は気相が充填層35に入るチャネルを構成するためである。分配層は充填層35の上方に位置し、互いに独立している少なくとも2つの気相チャネルが設けられ、各気相チャネルは、充填層35に近い入口と分配層の上方に近い出口とを有し、少なくとも2つの気相チャネルの少なくとも2つの入口は、予め設定された気相分配比に基づいて、気相分配機構によって開口サイズが調整可能に構成される。少なくとも2つの気相チャネルの少なくとも2つの出口はそれぞれ分離壁の両側に連通する2つのガス上昇通路31に連通している。
【0037】
上記では、気相分配機構の実施形態がさまざまであり、本発明の一実施形態によれば、分配層には2つの気相チャネルが設けられ、気相分配機構は中空リング36と摺動部材とを含み、中空リング36は充填層35の上方に固定され、中空リング36はその周方向に順次設けられた3つのセグメントを含み、このうちの1つのセグメントの底部に2つの入口が開けられ、この2つの入口は中空リングの周方向に沿って間隔を空けて設けられるか(例えば2つの入口は円弧状に延伸している2つの長尺状開口)又は互いに貫通しており(例えば2つの入口は円弧状に延伸している1つの長尺状開口)、他の2つのセグメントはそれぞれ前記1つのセグメントの両端に位置し、かつそれぞれの頂部に出口が開けられ、摺動部材は、中空リング36のキャビティに適合して設けられ、中空リング36の周方向に沿って前記1つのセグメント内を摺動可能であり、気相分配機構は、摺動部材の位置変化によって2つの入口の開口サイズを調整するように構成される。なお、入口及び出口は開放部(即ち円弧状に延伸している長尺状開口)であってもよいし、複数の孔が集まったものであってもよく、これに対応する気相チャネルの連通面積が摺動部材の位置変化に応じて変化できればよい。2つの気相チャネルが互いに独立しているとは、2つの出口が互いに独立していることを意味し、つまり、2つの出口は連通しておらず、2つの出口はそれぞれ2つのガス上昇通路31に連通する。
【0038】
本発明の別の実施形態によれば、気相分配機構は、中空リング36と、少なくとも2つの摺動部材とを含み、中空リング36は、充填層35の上方に固定され、その周方向に順次設けられた少なくとも4つのセグメントを含み、この少なくとも4つのセグメントのうち、少なくとも2つのセグメントのそれぞれの底部に入口が開けられ、他の少なくとも2つのセグメントのそれぞれの頂部に出口が開けられ、入口及び出口は中空リング36の周方向に交互に設けられ、少なくとも2つの摺動部材は中空リング36のキャビティに適合して設けられ、中空リング36の周方向に沿って摺動可能であり、気相分配機構は、少なくとも2つの摺動部材の位置変化によって少なくとも2つの入口の開口サイズを調整するように構成される。
【0039】
なお、上記では、入口及び出口が中空リング36の周方向に交互に設けられるとは、入口が設けられた中空リング36のセグメントと出口が設けられた中空リング36のセグメントが交互に設けられ、隣接する2つのセグメントのうち、一方には入口、他方には出口が設けられることを意味する。中空リング36はその周方向に順次設けられた4つのセグメント、6つのセグメント、8つのセグメントなどを含んでもよく、中空リング36が4つのセグメントを含む場合、分配層には2つの気相チャネルが設けられ、2つの気相チャネルの2つの出口はそれぞれ2つのガス上昇通路31に連通し、中空リング36が6つのセグメントを含む場合、分配層には3つの気相チャネルが設けられ、これらのうち、2つの気相チャネルの2つの出口は1つのガス上昇通路31に連通し、残りの気相チャネルの出口は他のガス上昇通路31に連通し、中空リング36が8つのセグメントを含む場合、分配層には4つの気相チャネルが設けられ、これらのうち、2つの気相チャネルの2つの出口は1つのガス上昇通路31に連通し、残りの2つの気相チャネルの2つの出口は他のガス上昇通路31に連通している。
【0040】
上記では、各セグメントの弧長は等しくてもよいし、等しくなくてもよい。摺動部材の摺動制御を容易にするために、摺動部材は磁性部品、例えば摺動部材は中空又は中実鉄球であってもよく、このような場合、中空リング36のキャビティの横断面が円形となる。
【0041】
具体的には、例えば図3図5に示す実施形態では、前記気相分配機構は、分配層に設けられた中空リング36及び鉄球33を含む。中空リング36は、外径が分離壁型精留塔Tの塔体の内径に適合し、充填層35の上方に固定される。図4に示すように、中空リング36は、順次L1、L2、L3及びL4の等弧長の4つのセグメントを含み、L1及びL3のそれぞれの底部に入口開放部(図4には非網掛け部分)が設けられて2つの気相チャネルの2つの入口となる。図5に示すように、L2及びL4の頂部に出口開放部(図5には非網掛け部分)が設けられて2つの気相チャネルの2つの出口となる。開放部は中空リングに対て切り欠きを形成することによって構成されたものであってもよく、ただし、入口開放部は鉄球33を落下させないようなサイズに設けられるべきである。具体的には、以下の2つの切り欠き手段を利用してもよい。手段1:図4に示すように、中空リングのL1、L3セグメントの底端をカットし(気相が入る分配入口として)、カット長さに関しては、好ましくはL1、L3セグメントの底端全体がカットされ、リングの周長がLである場合、L1、L3セグメントのカット長さはいずれもL/4である。図5に示すように、中空リングL2、L4セグメントの頂端をカットし(気相分配出口として)、カット長さに関しては、L/8~L/4であってもよく、好ましくは、円心に近い側でカットし、カット長さはL/5である。図4に示すように、鉄球33はL1、L3リングセグメント内の中心箇所に設けられ、鉄球33の直径が中空リングの内径よりも僅かに小さく(合計2つの鉄球があり、それぞれ33A及び33Bとする)、即ち、鉄球は、L1リングセグメント内を転動できるように中空リングに隙間嵌めし、鉄球33AによってリングセグメントL1の開口面積は2つの部分(それぞれS1及びS2とする)に分割され、鉄球33BはリングセグメントL3内を転動し、鉄球33BによってリングセグメントL3の開口面積は2つの部分(それぞれS3及びS4)に分割され、S1+S3及びS2+S4に入る気相量の比が分離壁の両側に入った気相の分配比となる。本発明の気相分配制御装置を取り付ける際には、分配層内の中間分離壁32はL1、L3弧長の中点の接続線(即ち、鉄球33A及び33Bの初期位置での両球心の接続線)上にあり、かつ分離壁型精留塔T内の分離壁と同一平面にある。鉄球の位置変化によって前記気相チャネル入口の開口サイズが調整可能になり、2つの鉄球がそれぞれ移動するに伴い、S1+S3及びS2+S4に入る気相量の比が正確に制御できる。手段2(未図未):中空リングのL1、L2セグメントの底端をカットし(気相が入る分配入口として)、カット長さはL/2であり、中空リングのL3、L4セグメントの頂端をカットし(気相分配出口として)、好ましくは、円心に近い側でカットし、カット長さは2L/5であり、L1とL2セグメントの接続部位に1つの鉄球が設けられ、この鉄球によって中空リングL1+L2セグメントの開口面積は2つの部分に分けられ、この鉄球の位置変化によっても気相チャネル入口の開口サイズが調整可能であり、この両部分の開口に入った気相量の比が分離壁の両側に入った気相の分配比となる。以上の2つの開口カット手段はいずれも例示的な手段に過ぎず、この設計の構想に基づいて手段を変更したものも本発明の特許範囲内である。鉄球33は中実又は中空のものとしてもよく、好ましくは中空のものとする。
【0042】
図6に示すように、必要に応じて前述鉄球33の位置を精度よく制御するために、本発明の気相分配機構は電磁分配制御手段40をさらに含み、該電磁分配制御手段40は、円弧状トラック41と、電磁石42と、電磁コントローラ43とを含んでもよく、円弧状トラック41は分離壁型精留塔Tの塔体の外部の周方向に設けられ、中空リング36と同一水平面にある。電磁コントローラ43は、予め設定された気相分配比のデータに従って命令を受信して電磁石42を円弧状トラック41に沿って移動するように駆動し、移動している電磁石42による吸引力の作用によって鉄球33は駆動されて所望の位置に移動する。
【0043】
さらに、図3に示すように、気相分配制御装置30は、分配層と充填層との間に設けられるバッフルを含み、バッフルは、上昇した気相が中空リングの下端のノッチ(即ち前述気相分配入口)からしか分配層に入られず、また、中空リングの上端のノッチ(即ち前述気相分配出口)からしか分離壁の両側のガス上昇通路31に入られないようにするために設けられるものである。ここで、バッフルは鋼板37であってもよく、該鋼板37は中空リング36の内側に(例えば密封溶接によって)密封して設けられ、中空リングの軸方向の中央位置に位置する。
【0044】
さらに、図3に示すように、好ましくは、ガス上昇通路31の横断面積は分離壁型精留塔Tの塔体内の横断面積の0.1~0.4倍であり、ガス上昇通路31の横断面の形状は矩形、正方形又は円形であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本発明の気相分配制御装置では、上昇ガスは分配層の中空リング36の底部の開口(気体入口)に入り、電磁コントローラ43(図6参照)の制御システムによって中空リングの内部の鉄球33の位置が制御され、即ち気体が入る入口の面積が制御される(入口の面積は入る気体の流量を決定する)。鉄球33の位置は電磁コントローラ43が塔外壁に設けられた電磁石を制御して塔外壁に沿って移動させる位置によって決定される。鉄球33によって仕切られた気体は中空リングの上部の開口(気体出口)を介して分配層内の中間分離壁32の両側の分配層キャビティにそれぞれ入り、次に、ガス上昇通路31を介して分離壁型精留塔Tの分離壁の両側に入り、このように、気体分配制御のプロセスが完了する。本発明の気相分配制御装置は、塔内の分離壁の両側にある気体の分配比を個別且つ柔軟に調整し、好適な製品分離効果を得ることができる。
【0046】
本発明の分離壁型精留塔Tは、段塔、充填塔、好ましくは段塔である。分離壁型精留塔Tでは、分離壁は塔内部の中央位置に位置し、径方向の位置が0.1~0.8D(Dは塔体径)の範囲に制御されるが、0.4~0.6Dが好ましい。分離壁の高さが0.1~0.8L(Lは塔高さ)の範囲に制御されるが、好ましくは0.4~0.6Lである。さらに、図2に示すように、分離壁型精留塔Tの塔内壁20には断熱材料を内部に充填している断熱層が設けられ、熱が塔壁を通じて伝達されることが回避される。断熱層の厚さは1~10mm、好ましくは3~6mmである。塔内壁の断熱層はケイ酸アルミニウム耐火繊維又は真空断熱板を用いてもよく、好ましくは真空断熱板である。分離壁は多層中空のものとし、第1断熱層21、第2断熱層22及びこれらに介在する中空層23を含む。熱が分離壁を通じて伝達されないように、中空層23の内部には断熱材料又は不活性ガスが充填されてもよい。多層分離壁の層数は1~5層、好ましくは2~3層である。中間分離壁内に充填されている断熱材料はケイ酸アルミニウム耐火繊維としてもよい。分離壁内に3層又は5層の断熱層がある場合、中間にある層の空間に不活性ガスが充填されてもよく、不活性ガスは窒素ガス、アルゴンガス、メタンなどを利用できるが、好ましくは窒素ガスである。
【実施例
【0047】
A成分とB成分とC成分とを含む処理対象原料1は分離壁型精留塔Tの供給段T2に入り、液体を供給されて初期分離を行い、軽質成分は上昇し、重質成分は降下した。塔内の気相物質は共通精留段T1を経て塔頂気相2となり、塔頂気相2は塔頂コンデンサC1を経て液相となり、塔頂分離タンクG2に入り、液相の一部は塔頂製品4(主成分はAであり、微量の成分Bは含まれていた)として装置から排出され、液相の残りは塔頂還流液5として分離壁型精留塔Tの塔頂に戻った。塔頂還流液5は共通精留段T1を経て中段バッファタンクG1に入り、中段還流ポンプP1、供給側中段還流加熱器H1及び排出側中段還流加熱器H2によって2つの材料流れに分けられ、一方の流れは供給側中段還流液体7、他方の流れは排出側中段還流液体8(分離壁の左右両側の温度の差は15~30℃に制御されてもよい)であった。分離壁右側の物質移動を経たと、中間サイドライン製品9(主成分はBであり、微量の成分A及びCは含まれていた)が得られて、装置から排出された。分離壁段から共通回収段に入った液相10は、次に共通回収段に入り、最後に分離壁型精留塔Tの塔底に入った。塔底液相11は両部分に分けられ、一方の部分は塔底製品12(主成分はCであり、微量の成分Bは含まれていた)として装置から排出され、他方の部分は塔底リボイラーH3で気化されて、リターン気相13として分離壁型精留塔Tに戻った。リターン気相13は共通回収段を経た後、本発明の気相分配制御装置によって気相分配を行われ、分離壁の左右両側に入る気相の流量を制御された(分離壁の右側のガス量と左側のガス量との比の範囲は0:1~8に制御されてもよい)。
【0048】
本発明の具体的な実施形態の例に関する以上の説明は説明及び例示のためのものである。これらの説明は本発明を開示された特定の形態に限定することを意図しておらず、また、明らかに、上記教示に基づいて、様々な変更や変化が可能である。実施例の例示を選択して説明するのは本発明の特定の原理及び実際の適用を解釈するためのものであり、これによって、当業者は本発明の各種のさまざまな例示的な実施形態及びさまざまな選択や変化を行うことができる。上記例示的な実施形態について行われる全ての簡単な修正、等同置換や修飾は、本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0049】
T-分離壁型精留塔、T1-共通精留段、T2-供給段、T3-排出段、T4-共通回収段、C1-塔頂コンデンサ、G1-中段バッファタンク、G2-塔頂分液タンク、H1-供給側中段還流加熱器、H2-排出側中段還流加熱器、P1-中段還流ポンプ、H3-リボイラー
1-処理対象原料、2-塔頂気相、3-凝縮后液体、4-塔頂製品、5-塔頂還流液、6-中段采出、7-供給側中段還流液体、8-排出側中段還流液体、9-サイドライン製品、10-分離壁段から共通回収段に入った液相、11-塔底液相、12-塔底製品、13-リターン気相
20-塔壁、21-第1断熱層、22-第2断熱層、23-中空層
30-気相分配制御装置、31-ガス上昇通路、32-分配層内中間分離壁、33-鉄球(33A及び33B)、34-充填物グリル、35-充填層、36-中空リング、37-鋼板
S1-第1入口ゾーン、S2-第2入口ゾーン、S3-第3入口ゾーン、S4-第4入口ゾーン、E1-第1出口ゾーン、E2-第2出口ゾーン
40-電磁分配制御手段、41-円弧状トラック、42-電磁石、43-電磁コントローラ

図1
図2
図3
図4
図5
図6