(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】光脱毛装置
(51)【国際特許分類】
A45D 26/00 20060101AFI20231213BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A45D26/00 Z
A61N5/06 D
(21)【出願番号】P 2022571662
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2021048086
(87)【国際公開番号】W WO2022138889
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2020217257
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 隆秀
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-532141(JP,A)
【文献】特表2010-507401(JP,A)
【文献】特開2010-075426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 26/00
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水構造の筐体と、
肌面に照射する光を発光する発光体と、前記発光体の後方から前方までを覆い前記発光体からの光を反射する反射板と、前記反射板の前方端に設けられ前記発光体および前記反射板からの光の少なくとも一部を透過する光学フィルタとを有する発光部と、
少なくとも一部が前記筐体内に設けられ、
前記光学フィルタの前面によって外面の一部が構成された、前記発光部を囲うハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジング内の空気を循環させるファンと、
前記ファンによって生じた気流が前記光学フィルタの背面および側面に沿って流れるように誘導するためのスリット構造体と
を備えた光脱毛装置。
【請求項2】
前記スリット構造体は、前記反射板の外表面に形成される
請求項1に記載の光脱毛装置。
【請求項3】
前記スリット構造体は、前記発光部を前記ハウジング内で支持する支持部材に形成される
請求項1または2に記載の光脱毛装置。
【請求項4】
前記光学フィルタは平板状部材であり、
前記スリット構造体は、前記平板状部材の一つの長辺に対応して3つ設けられる
請求項1ないし3のいずれか一つ記載の光脱毛装置。
【請求項5】
前記ハウジングの前記光学フィルタを含む少なくとも一部分は、前記筐体外に露出して設けられ、前記ハウジングの当該露出した一部分は防水構造である請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項6】
前記ハウジングの外周部に設けられ、前記ハウジング内部の熱を外部へ放熱する第1の放熱部材を備え、
前記筐体は、第1の放熱部材が設けられた位置に対応する位置に通気孔を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項7】
第1の放熱部材と前記通気孔の周囲を囲うように設けられ、囲われた空間を前記筐体と前記ハウジングとの間の空間に対して密閉する密閉部材を備える請求項6に記載の光脱毛装置。
【請求項8】
前記ハウジングの外周部に設けられ、前記ハウジング内部の熱を外部へ放熱する第1の放熱部材を備え、
前記筐体は、前記ハウジングの前記外周部に向けて凹んだ凹部を有し、当該凹部の底面において前記第1の放熱部材が露出している請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項9】
前記第1の放熱部材はヒートシンクであり、前記筐体の内周面側へ突出して形成された複数のフィンを有する請求項6乃至8のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項10】
前記第1の放熱部材が設けられた位置に対応する前記ハウジングの内周部の位置に設けられ、前記ハウジング内部の熱を外部へ放熱する第2の放熱部材を備える請求項6乃至9のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項11】
前記第2の放熱部材はヒートシンクであり、前記ハウジングの内側方向へ突出して形成された複数のフィンを有する請求項10に記載の光脱毛装置。
【請求項12】
前記第1の放熱部材と前記第2の放熱部材とは一体的に形成された部材である請求項10又は11に記載の光脱毛装置。
【請求項13】
各フィンの間には、断面の形状が土台側に凸となる溝が形成される請求項9乃至12のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌面への光の照射により脱毛を行う光脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肌面に光を照射して、脱毛を行う脱毛装置が提供されている。これらの脱毛装置においては、肌面に対してレーザ光やフラッシュ光を照射することにより脱毛処理を行うが、光源が発熱することによって、装置の筐体内の温度が上昇する。発熱が、筐体の外周面に伝わることにより、装置を把持している利用者が手に熱さを感じることがある。また、装置の筐体内の温度の上昇は、部品の劣化等による故障や、装置の寿命を縮める原因となる場合がある。
【0003】
特許文献1には、その対策として、冷却のためのファンを設けて筐体内の空気を循環させ、筐体に空気循環孔を設けて外部の空気を筐体内に供給し筐体内を冷却することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脱毛を行う場合、肌を露出する必要があるため、脱毛装置は浴室での使用が好まれることがある。浴室は、水を使用する場所であり、浴槽には水(湯)があり、浴室内は湿気も多い。そこで、脱毛装置は、防水構造とすることが要望される。しかしながら、特許文献1のように、脱毛装置の筐体内の冷却のため筐体に孔を設ける構成では、防水構造とすることは困難である。
上記の背景に鑑み、本発明は、防水と発光部の高温化への対応とを行う手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、一の態様において、防水構造の筐体と、肌面に照射する光を発光する発光体と、前記発光体の後方から前方までを覆い前記発光体からの光を反射する反射板と、前記反射板の前方端に設けられ前記発光体および前記反射板からの光の少なくとも一部を透過する光学フィルタとを有する発光部と、少なくとも一部が前記筐体内に設けられ、前記発光部を囲うハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジング内の空気を対流させるファンとを備える光脱毛装置を提供する。
この光脱毛装置によれば、筐体内に発光部を囲うハウジングを設けることにより、発光部から発せられる熱が、ユーザの手に触れる筐体に伝わるのを防ぐとともに、ファンによりハウジング内の空気を循環させることにより、発光部から発せられる熱をハウジング内に分散させることができる。すなわち、防水性と冷却性とが両立する。
【0007】
好ましい態様において、前記ファンによる気流が前記光学フィルタの前記発光体および前記反射板からの光が入射する側の面に沿って流れるように、前記反射板の前方側にスリットを設けてもよい。
この光脱毛装置によれば、光学フィルタと反射板とで囲まれた空間内の高温となった空気をハウジング内の空間へ逃がすことができ、光学フィルタの温度が上昇するのを抑えることができる。
【0008】
好ましい態様において、第1又は第2の態様の光脱毛装置において、前記発光部を前記ハウジング内で支持する支持部材を備え、前記ファンによる気流が前記光学フィルタの側面に沿って流れるように前記支持部材にスリットが設けられる。
この光脱毛装置によれば、光学フィルタの側面近傍の高温となった空気をハウジング内の空間へ逃がすことができ、光学フィルタの温度が上昇するのを抑えることができる。
【0009】
好ましい態様において、前記筐体は前記発光部からの光を照射するための照射窓部を有し、前記ハウジングの前記光学フィルタが設けられた側の面の一部は、前記筐体の外部の空間に対する前記筐体と前記ハウジングとの間の空間の密閉状態を保って前記照射窓部と接触してもよい。
この光脱毛装置によれば、光学フィルタを外気に対して露出させた状態で防水性を保つことができる。
【0010】
好ましい態様において、前記ハウジングの前記光学フィルタを含む少なくとも一部分は、前記筐体外に露出して設けられ、前記ハウジングの当該露出した一部分は防水構造であるものとしてもよい。
この光脱毛装置によれば、ハウジングの一部を露出させた状態で防水性を保つことができる。また、ハウジング内の空気を循環させることにより、発光部から発せられる熱をハウジング内に分散させることができ、ハウジングの露出した部分の表面の温度が上昇するのを抑えることができる。
【0011】
好ましい態様において、前記ハウジングの外周部に設けられ、前記ハウジング内部の熱を外部へ放熱する第1の放熱部材を備え、前記筐体は、第1の放熱部材が設けられた位置に対応する位置に通気孔をさらに有してもよい。
この光脱毛装置によれば、ハウジング内の発光部から発せられる熱を筐体の外部へ放熱することができ、筐体の温度が上昇するのを防ぐことができる。
【0012】
好ましい態様において、第1の放熱部材と前記筐体の通気孔の周囲を囲うように設けられ、囲われた空間を前記筐体と前記ハウジングとの間の空間に対して密閉する密閉部材をさらに備えてもよい。
この光脱毛装置によれば、通気孔から筐体内に入る水が、筐体内の他の空間に入るのを防ぐことができ、防水性を保つことができる。
【0013】
好ましい態様において、前記ハウジングの外周部に設けられ、前記ハウジング内部の熱を外部へ放熱する第1の放熱部材を備え、前記筐体は、前記ハウジングの前記外周部に向けて凹んだ凹部を有し、当該凹部の底面において前記第1の放熱部材が露出していてもよい。
この光脱毛装置によれば、ハウジング内の発光部から発せられる熱を筐体の外部へ放熱することができ、筐体の温度が上昇するのを防ぐことができる。
【0014】
好ましい態様において、前記第1の放熱部材はヒートシンクであり、前記筐体の内周面側へ突出して形成されたフィンを有してもよい。
この光脱毛装置によれば、ハウジング内の発光部から発せられる熱を、効率よく筐体の外部へ放熱することができる。
【0015】
好ましい態様において、前記第1の放熱部材が設けられた位置に対応する前記ハウジングの内周部の位置に設けられ、前記ハウジング内部の熱を外部へ放熱する第2の放熱部材を備えてもよい。
この光脱毛装置によれば、ハウジング内の発光部から発せられる熱を、効率よく吸熱して筐体の外部へ放熱することができる。
【0016】
好ましい態様において、前記第2の放熱部材はヒートシンクであり、前記ハウジングの内側方向へ突出して形成されたフィンを有してもよい。
この光脱毛装置によれば、ハウジング内の発光部から発せられる熱を、効率よく吸熱して筐体の外部へ放熱することができる。
【0017】
好ましい態様において、前記第1の放熱部材と前記第2の放熱部材とは一体的に形成された部材である。
この光脱毛装置によれば、ハウジング内の発光部から発せられる熱を、効率よく吸熱して筐体の外部へ放熱することができる。
【0018】
好ましい態様において、各フィンの間には、断面の形状が土台側に凸となる溝が形成される。これにより、該凹部内部に侵入した液体の排出性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態に係る光脱毛装置の外観を示した図。
【
図2】第1の実施形態に係る光脱毛装置の内部構造を示した図。
【
図3】第1の実施形態に係る光脱毛装置のハウジングの外観を示した図。
【
図4】第1の実施形態に係る光脱毛装置の発光部の構成を示した図。
【
図5】第1の実施形態に係る光脱毛装置のハウジング内の空気の流れを説明するための断面図。
【
図6】第1の実施形態に係る光脱毛装置の光学フィルタ周辺の空気の流れを説明するための図。
【
図7】第2の実施形態に係る光脱毛装置の外観を示した図。
【
図8】第2の実施形態に係る光脱毛装置の筐体内の構成を示した断面図。
【
図9】第2の実施形態に係る光脱毛装置のヒートシンクの構成を示した斜視図。
【
図10】第1の変形例に係る光脱毛装置の筐体内の構成を示した断面図。
【
図11】第2の変形例に係る光脱毛装置の筐体内の構成を示した断面図。
【
図12】第2の変形例に係る光脱毛装置のヒートシンクの構成を示した斜視図。
【
図13】第2の変形例に係る光脱毛装置のヒートシンクの構成を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下に本発明の第1の実施形態に係る光脱毛装置1を説明する。
図1は光脱毛装置1の外観を示す図である。筐体11は、防水構造であり、外部から筐体11内部へ水が入り込まない構造となっている。筐体11の上側には肌ガイド面12が形成されており、使用者は、光脱毛装置1を把持した状態で処理対象部位に肌ガイド面12を接触させて使用する。
【0021】
肌ガイド面12には、照射窓部13が開口部として形成されている。照射窓部13は、後述する発光部からの光が筐体11の外部へと照射されるために設けられている。照射窓部13は、後述するように、筐体11内部側で光学フィルタと接触しており、筐体11内部の防水性は保たれている。
【0022】
筐体11には、表示部14とスイッチ15が設けられている。表示部14は、液晶画面等であって、現在の動作状態やその他の情報を表示する。スイッチ15はユーザによって操作されるスイッチであって、電源のオン・オフ、動作内容の指定、その他の指示を入力する。
【0023】
筐体11は、
図1に示すように下方側が上方側に比べて外周が短い(すなわち細い)形状となっている。使用者は、この下方側の部位である把持部16を手で握ることにより光脱毛装置1を把持する。そして、使用者は、肌ガイド面12を肌面に接触させることにより照射窓部13を肌面に向けるように光脱毛装置1を把持して使用する。
【0024】
なお、本明細書での「防水」とは、水の浸入を完全に防ぐ「完全防水」である必要はなく、「生活防水」又は「日常生活防止」等の簡易な防水機能であってもよいが、例えば、JIS防水保護等級での4等級以上の防水機能であることが好ましい。
【0025】
図2は光脱毛装置1の内部構造を示した図である。光脱毛装置1の筐体11の内部には、ハウジング21、電子部品部22、電源部23が設けられている。
【0026】
ハウジング21は、内部に発光部31とファン32とを含み、密閉空間を形成する箱状体である。発光部31は、照射窓部13を介して外部へ出射する光を発生させる部材であり、光が出射する側には、光学フィルタ311が設けられている。光学フィルタ311の面の少なくとも一部は、照射窓部13を介して外部に露出しており、光学フィルタ311は、ハウジング21の外面の一部を形成している。
【0027】
電子部品部22は、電源部23から電力の供給を受け、スイッチ15による操作に基づいて、発光部31をフラッシュ発光させる制御を行う。また、フラッシュ発光の制御と並行して、発光中にハウジング21内のファン32を作動させる制御を行う。
電源部23は、充電池が設けられており、電子部品部22に対して電力の供給を行う。筐体11の下端面には、充電のために必要な電源ポートが設けられている。
【0028】
ハウジング21、電子部品部22、電源部23の各々は、ネジ止め等により数カ所において筐体11の内側に結合され固定されている。それらの結合部分以外では筐体11とは接触しておらず、ハウジング21、電子部品部22、電源部23の各々の外側面と筐体11の内側面との間には空間S1が形成されている。
【0029】
筐体11に設けられている照射窓部13には、四角形状の開口部を囲うように筐体11の内側方向へと延在する導光板131が設けられている。導光板131により、光学フィルタ311から肌ガイド面12までの間隔は保たれ、光学フィルタ311に直接肌が接触するのを防ぐことができる。
【0030】
ハウジング21の光学フィルタ311が設けられている側の前面は、導光板131と接触して固定されている。ハウジング21の前面と導光板131の筐体11内部側端部との間には、接触部分に生じる隙間を密封するためのシール部材であるパッキンが挿入されている。
【0031】
導光板131とハウジング21の前面との間はパッキンにより密封されているため、筐体11内の空間S1は、筐体11の外部空間に対して密閉状態が保たれ、筐体11の防水構造が維持されている。
【0032】
図3は、ハウジング21の外観を示した図である。ハウジング21の前面側は、発光部31を形成する光学フィルタ311が露出している。光学フィルタ311を含む発光部31を囲うように上側に上部カバー211、下側に下部カバー212、側面に側部カバー213が設けられている。
【0033】
図4は、発光部31の構成を示した図である。発光部31は、光学フィルタ311と発光体312と反射板313とから構成されている。
【0034】
発光体312は、例えばキセノン管が用いられ、肌面に照射する光を発光する。反射板313は、半円弧状の板状の部材であり、内周側に発光体312が設けられ、発光体312の後方側(光学フィルタ311が設けられている側と反対側)から前方側(光学フィルタ311が設けられる側であり光を出射する側)までを覆っている。反射板313の内周側は鏡面仕上げがなされており、発光体312から出射されて反射板313の内周面で受光された光を反射する。反射板313の左右の側面は平面状の側板314より覆われており、これらの側板314の内周側も鏡面仕上げがなされており、発光体312から出射されて側板314の内周面で受光された光を反射する。
【0035】
光学フィルタ311は、反射板313の前方端に設けられている。光学フィルタ311には、発光体312から出射された光、および発光体312から出射し反射板313の内周面で反射された光が入射する。光学フィルタ311に入射された光は一部がカットされて残りが透過する。光学フィルタ311は、ガラスで形成されたフィルタであり、発光体312からの光のうち脱毛に適した波長の光のみを透過させる機能(例えば、肌に有害な紫外線をカットするUVカット機能等)を有している。
【0036】
なお、光学フィルタ311は、UVカット機能等の特定の波長のみを透過させる(あるいは透過させない)機能を有していることが好ましいが、そのような機能は有さず、発光体312、反射板313を保護する目的で設けられてもよい。
【0037】
反射板313の上側前端部には、3箇所に切り欠き部が設けられており、光学フィルタ311との間に3つのスリット313a、313b、313cが形成されている。また、反射板313の下側前端部にも3箇所に切り欠き部が設けられており、光学フィルタ311との間に3つのスリット313d、313e、313fが形成されている。また、左右各々の側板314にも切り欠き部が設けられており、光学フィルタ311との間にスリット314a、314bが形成されている。
【0038】
これらのスリットは、発光部31内部の空気と発光部31外部の空間(ハウジング21内の空間)内の空気とを循環させるために設けられており、発光中における発光体312からの発熱により、発光部31内部の空間の温度が高温となるのを抑えることができる。
【0039】
図5は、ハウジング21内の空気の流れを説明するための断面図である。ハウジング21内の発光部31の後方(光が出射される側とは反対側の位置)に、ファン32が設けられている。ファン32は、発光体312が発光中に回転することにより送風を行い、ハウジング21内の空気を循環させる。
【0040】
発光部31をハウジング21内に固定するために、発光部31を支持する支持部材41が設けられている。支持部材41は、発光部31の上側、下側、左右側を覆うようにして発光部31を支持している。
図5においては、支持部材41の上側、下側の断面のみを示している。
【0041】
発光部31の前方側に設けられた光学フィルタ311の表面は、ハウジング21の前方面の内周側との間はパッキン51により密封されている。パッキン51は、光学フィルタ311の表面の外周側を囲うような矩形状を形成している。パッキン51の断面は、
図5の示すように円形状(あるいは楕円形状でもよい)である。このように、ハウジング21の前方面の内周側と光学フィルタ311の表面との間にパッキン51を装着することにより、ハウジング21の内部空間を外部空間から密閉することができる。
【0042】
ファン32による送風により、ハウジング21内には
図5において矢印で示すような気流が発生する。ファン32により発生してファン32の側面からハウジング21内を前方へと流れる気流は、発光部31あるいは支持部材41に当たることにより、上方へ向かう気流と下方へ向かう気流とに分かれる。さらに、上方へ向かう気流は、反射板313の上側外周面と支持部材41の上側内周面に沿って流れる気流AHIと、支持部材41の上面とハウジング21の上側内周面に沿って流れる気流AHSとに分かれる。下方へ向かう気流は、反射板313の下側外周面と支持部材41の下側内周面に沿って流れる気流ALIと、支持部材41の下面とハウジング21の下側内周面に沿って流れる気流ALSとに分かれる。
【0043】
気流AHS、ALSについては後述する。気流AHIは、発光部31の反射板313の上側のスリット313a~313cから発光部31内の空間に流れ込む。気流ALIは、反射板313の下側のスリット313d~313fから発光部31内の空間に流れ込む。気流AHIは、発光部31内を光学フィルタ311の裏面(発光体312および反射板313からの光が入射する側の面)に沿って
図5中の下方向に流れる。気流ALIは、発光部31内を光学フィルタ311の裏面に沿って
図5中の上方向に流れる。
【0044】
気流AHIと気流ALIは突き当たって混ざり合い、主に発光部31の空間内の後方(発光体312側)へ流れる気流と、左右方向(
図4における左右の側板314側)へ流れる気流が発生する。左右方向へ流れる気流は、側板314のスリット314a、314bから発光部31の外部へ流れ出て、ハウジング21内の空間をファン32方向へと流れる。
【0045】
ハウジング21内の空間は発光体312の発熱により温度が上昇する。さらに、発光体312からの光を入射する光学フィルタ311は高温となり、光学フィルタ311の近傍の空気の温度が上昇する。上述のように、スリット313a~313fから流れ込む気流AHI、ALIが光学フィルタ311の裏面を流れることにより、光学フィルタ311の裏面近傍の空気を循環させ、光学フィルタ311の温度上昇を抑えることができる。
【0046】
以上のようにして、ファン32による送風により、ハウジング21内の空間においては、発光部31の内部も含めて空気が循環する。ハウジング21内の空間は、筐体11内の空間S1に対して密閉状態となっている。そのため、ハウジング21内の空間が高温となっても、高温となった空気は、筐体11内の空間S1にはほとんど流れ出ることはなく、筐体11内の空間S1の温度は上昇しにくい。従って、筐体11の表面の温度も上昇しにくい。
【0047】
このようにして、発光部31内で発生した熱が筐体11まで伝導することを抑制し、筐体11の表面の温度が上昇するのを抑えることができる。そのため、使用者が光脱毛装置1を手に持った状態で発光部31からの発光動作をさせても筐体11表面が熱くなり過ぎることがなく、使用者が快適に使用することができる。
【0048】
また、ハウジング21内の空気は使用中に温度が上昇していくが、ハウジング21内の空間の空気をファン32による送風で循環させることにより、光学フィルタ311、発光体312、反射板313の温度上昇は抑えられ、使用者による使用時間(10分程度)内での発光部31を構成する部材への支障は起こりにくい。
【0049】
図6は、光学フィルタ311の周辺の空気の流れを説明するための図である。
図6は、
図3に示したハウジング21から上部カバー211、下部カバー212、側部カバー213を外した状態を示している。支持部材41は、発光部31の上側、下側、左右側を覆うようにして発光部31を支持している。支持部材41の外周側は、ハウジング21の内面に固定されている。
【0050】
支持部材41の上部には、突起壁411、412が設けられており、支持部材41の上面と上部カバー211との間に3つのスリット413a、413b、413cが形成されている。支持部材41の下部には、突起壁414、415が設けられており、支持部材41の下面と下部カバー212との間に3つのスリット416a、416b、416cが形成されている。また、支持部材41の左右の側部には、発光部31の側板314に形成されているスリット314a、314bの各々と通じる通気路417a、417bが形成されている。
【0051】
スリット413a、413b、413c、スリット416a、416b、416cが形成している空間、通気路417a、417bが形成している空間は、いずれも支持部材41の後方側へと延在し、ハウジング21内の空間に通じている。すなわち、ファン32の送風による気流は、スリット413a、413b、413c、スリット416a、416b、416c、通気路417a、417bに対しても出入りが行われる。
【0052】
図5に示したファン32の送風により流れ込む気流AHSは、支持部材41の上部の3つのスリット413a、413b、413cへと流れ込む。同様に、気流ALSは、支持部材41の下部の3つのスリット416a、416b、416cへと流れ込む。
【0053】
光学フィルタ311の前面(発光体312側と反対側の表面)は、ハウジング21の前面の内周側とパッキン51を介して接触しており、パッキン51により密封されている。従って、スリット413a、413b、413c、スリット416a、416b、416cから流れ込んだ気流は、光学フィルタ311の前面側へは流れない。
【0054】
図6において、支持部材41の上部、下部に形成されたスリットのうち、中央にあるスリット413b、スリット416bを通過した気流は、左右方向に分かれて流れる。
図6において、スリット413bを通過して左方向に流れた気流は、スリット413aを通過した気流と合流して、光学フィルタ311の側面に沿って流れ、気流AHSaとして、通気路417aから流れ出る。スリット413bを通過して右方向に流れた気流は、スリット413cを通過した気流と合流して、光学フィルタ311の側面に沿って流れ、気流AHSbとして、通気路417bから流れ出る。
【0055】
同様にして、スリット416bを通過して左方向に流れた気流は、スリット416aを通過した気流と合流して、光学フィルタ311の側面に沿って流れ、気流ALSaとして、通気路417aから流れ出る。スリット416bを通過して右方向に流れた気流は、スリット416cを通過した気流と合流して、光学フィルタ311の側面に沿って流れ、気流AHLbとして、通気路417bから流れ出る。
【0056】
図6において、気流AHIa、AHIb、ALIa、ALIbは、
図5で示した気流AHI、ALIが各々分かれて、
図4で示したスリット313a~313fを通過した気流を示している。これらの気流は、
図5で示したように、光学フィルタ311の裏面に沿って流れる。
【0057】
スリット313a~313fのうち、中央に設けられたスリット313b、313eを流れ出た気流は、各々光学フィルタ311の裏面に沿って下方、上方に流れる。2つの気流は互いに突き当たって、左右方向に分かれて流れる。
【0058】
スリット313b、313eを流れ出て左方向へ流れた気流は、各々、スリット313a、313dを通過して光学フィルタ311の裏面に沿って下方、上方へ流れた気流と合流して、気流AHIa、ALIaとしてスリット314aから通気路417aを通って流れ出る。
【0059】
スリット313b、313eを流れ出て右方向へ流れた気流は、各々、スリット313c、313fを通過して光学フィルタ311の裏面に沿って下方、上方へ流れた気流と合流して、気流AHIb、ALIbとしてスリット314bから通気路417bを通って流れ出る。
【0060】
通気路417aを流れ出た気流AHSa、ALSa、AHIa、ALIa、および通気路417bを流れ出た気流AHSb、ALSb、AHIb、ALIbは、
図6では図示されていない左右の側部カバー213(
図3)に当たってハウジング21内の後方の空間に流れる。
【0061】
以上のようにして、スリット413a、413b、413c、416a、416b、416cから流れ込んで光学フィルタ311の側面に沿って流れる気流と、スリット313a~313fから流れ込んで光学フィルタ311の裏面に沿って流れる気流は、通気路417a、417bを通って、発光部31の外部へ流れ出て、ハウジング21内の空間へと流れて循環する。
【0062】
このような気流を発生させることにより、光学フィルタ311の側面、裏面の近傍の空気を移動させることができ、光学フィルタ311の温度上昇を抑えることができる。光学フィルタ311は、導光板131により肌ガイド面12までの間隔が保たれているが、使用中に肌面までの距離が近づく部材である。従って、使用中の温度上昇を抑えることにより、使用者が肌に熱さを感じるのを防ぐことができる。
【0063】
本実施形態においては、反射板313の上側と下側の各々に3つのスリットを設けているため、気流AHI、ALIは、各々3つのスリットによって分割され、光学フィルタ311の裏面では気流が均一に流れやすくなる。ガラス製の光学フィルタ311は、温度分布が不均一となることにより破損する可能性があり、面内を気流が均一に流れるようにして均一に冷却されることが好ましい。本実施形態においては、上述のようなスリットの配置により気流が均一に流れやすくし、光学フィルタ311の破損を防ぐことができる。
【0064】
また、本実施形態においては、支持部材41の上部と下部の各々に3つのスリットを設けているため、気流AHS、ALSは、各々3つのスリットによって分割され、左右に均等に分かれやすくなるため、光学フィルタ311の側面には、気流が均一に流れやすくなる。従って、光学フィルタ311の側面における温度分布が不均一となることを防ぐことができ、光学フィルタ311の破損を防ぐことができる。
【0065】
また、ハウジング21内で空気を循環させて、発光部31から発生する熱をハウジング21の空間内で循環させることにより、発光部31内の空間の温度上昇を抑えることができる。ハウジング21内の空間の体積が大きいほど空間内の温度上昇を抑える効果があり、発光部31内の空間の体積に対してハウジング21内の空間の体積が大きいほど、発光部31内の空間の温度上昇を抑える効果が大きい。
【0066】
従って、発光部31内の空間の体積とハウジング21内の空間の体積との比は、1:10~1:15程度であることが好ましい。一方、装置の携帯性を考慮すれば小型化のためにハウジング21の体積はできる限り小さくすることが好ましいので、発光部31内の空間の体積とハウジング21内の空間の体積との比は、1:5~1:13程度であってもよい。
【0067】
また、発光部31内の空間の温度上昇を抑えるためには、上記の体積比以外に、ファン32とハウジング21内における気流の流速を考慮することが好ましい。従って、空間内における発熱量や体積に応じて、温度上昇を抑えられるようなファン32の風量と気流の流速が保たれるように調整することが好ましい。
【0068】
発光部31での発熱は、筐体11内の空間S1内の空気の温度にも影響する。筐体11は防水構造であり、外気に対しては密閉されており、筐体11内の空間S1に外気を取り入れることはできない。本実施形態のように、筐体11内にハウジング21を設けて、ハウジング21内に発光部31を設けることにより、発光部31による温度上昇の影響をハウジング21内に留まらせることができる。
【0069】
本実施形態によれば、発光部31での発熱の影響が筐体11内の空間S1に及びにくくなり、筐体11内の空間S1は温度が上昇しにくい。従って、筐体11の温度も上昇しにくく、筐体11を把持する使用者が熱さを感じにくい。また、発熱による筐体内の温度上昇の影響による部品の劣化を抑えることができ、製品の故障や寿命が縮まるのを防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、発光部31の発光体312(例えば、キセノン管)の出力を抑えることなく、発熱による温度上昇の影響を低減させることができる。発光体312の出力を抑えれば、発熱を抑えることはできるが、脱毛効果を得るためにはある程度の高出力で発光体312を発光させることが好ましい。本実施形態によれば、脱毛効果を低下させることなく、発熱による影響を抑えることができる。
【0071】
さらに、ファン32を密閉されたハウジング21内に設けることにより、ファン32の駆動により発生する音がハウジング21外に漏れにくくなり、装置の静音性を向上させることができる。
【0072】
なお、本実施形態において、ファン32による送風動作は、使用者によるスイッチ15の操作により発光体312の発光が開始される(脱毛処理が開始される)のと連動して開始され、スイッチ15の操作により発光体312の発光が停止される(脱毛処理が終了される)のに連動して停止されればよい。
【0073】
[第2の実施形態]
以下に本発明の第2の実施形態に係る光脱毛装置1Aを説明する。
図7は光脱毛装置1Aの外観を示す図である。本実施形態では、ハウジング21Aの一部分は、筐体11Aと連結されて外形状の一部を構成している。
図7は、筐体11Aからハウジング21Aを取り外した状態を示している。筐体11Aとハウジング21Aが連結されることにより、ハウジング21Aの
図7中における後方部分は筐体11A内に挿入された状態となり、前方部分は、筐体11Aの前方に露出した状態となる。以下、ハウジング21Aの前方部分の、露出して外形上を形成している部分をハウジング筐体部215、後方部分の筐体11A内にある部分をハウジング内挿部216という。ハウジング筐体部215は、第1の実施形態の筐体11と同様の肌ガイド面12、照射窓部13を有している。
【0074】
ハウジング内挿部216の外周面には、放熱部材であるヒートシンク61が設けられている。ヒートシンク61の周囲には、溝部が形成されており、その溝部には、密閉部材であるパッキン62が取り付けられている。パッキン62は、ヒートシンク61の周囲を囲い、筐体11Aの内周面方向へ突出するような形状となっている。
【0075】
筐体11Aには、通気孔18が設けられている。また、筐体11Aは、第1の実施形態の筐体11と同様に、把持部16を有しており、
図7には図示していないが、通気孔18が設けられた面と反対側の面には、表示部14、スイッチ15が設けられている。通気孔18は、例えば、筐体11Aの長手方向に沿って形成された細長い開口部が短手方向に複数並べて設けられて構成されている。
【0076】
図8は、光脱毛装置1Aの筐体11A、ハウジング21Aの内部の構成を示した断面図である。
図8中において、
図5と同一符号を付した部材は、
図5に記載された部材と同等の部材であるので、説明を省略する。
図8は、
図7において筐体11Aがハウジング21Aに取り付けられてハウジング21Aのハウジング内挿部216を覆った状態、すなわち通常の使用状態を示している。
図8に示すように、筐体11Aの通気孔18の位置は、ハウジング内挿部216の外周面に設けられたヒートシンク61の位置に対応する位置となる。すなわち、通気孔18とヒートシンク61とは互いに対向する位置となる。
【0077】
パッキン62は、ヒートシンク61の放熱部を囲うように設けられる。そして、パッキン62は、ヒートシンク61側から筐体11Aの内周面側へと延在して設けられ、筐体11A側の端部は、筐体11Aの内周面に密着し、筐体11A内の他の空間S1に対して、パッキン62の内側空間を密閉している。そして、パッキン62の筐体11Aの内周面と密着した端部は、筐体11Aの内周面の通気孔18が設けられた領域を囲う。
【0078】
筐体11Aとハウジング21Aとの連結部分には、パッキン71が設けられている。連結部分では、筐体11Aの先端部分がハウジング21Aのハウジング筐体部215の後端部分を覆うようになっており、筐体11Aの内周面とハウジング筐体部215の外周面との間の隙間にパッキン71が装着され、密封されている。パッキン71は、ハウジング筐体部215の外周、筐体11Aの内周を囲うような楕円形状に形成されている。パッキン71の断面形状は、
図8に示すように円形状(あるいは楕円形状でもよい)である。このように、連結部分にパッキン71が装着されることにより、筐体11A内の空間S1を光脱毛装置1Aの外部空間に対して密閉している。
【0079】
筐体11Aは防水構造であり、光脱毛装置1Aが浴室等において使用された場合であっても、外部から筐体11A内部へ水が入り込まない構造となっている。しかしながら、筐体11Aの通気孔18からは筐体11Aの内部へと水が入り込んでしまう。そのため、パッキン62によりヒートシンク61と通気孔18を含む空間を密閉し、通気孔18から入り込んだ水が筐体11A内の他の空間S1へ入り込まないようにしている。
【0080】
また、本実施形態では、ハウジング21Aのハウジング筐体部215は、光脱毛装置1Aの外形状の一部を構成している、すなわち、外部に露出しているため、ハウジング21Aの少なくともハウジング筐体部215は、筐体11Aと同様に防水構造としている。光学フィルタ311とハウジング21Aの前面の内周側との間には、パッキン51が設けられているため、外部に対して密閉されており、防水性が保たれている。
【0081】
ヒートシンク61は、ハウジング21A内で発生した熱を吸収し、ハウジング21の外部へと放熱することによりハウジング21A内を冷却するための放熱部材である。ヒートシンク61は、熱伝導性が高い銅、鉄、アルミニウム等により形成されている。
【0082】
図9は、ヒートシンク61の構成を示した斜視図である。ヒートシンク61は、平板上の本体部611と、本体部611から突起して設けられる複数のフィン612とから構成されている。本体部611の周囲には、パッキン62を取り付けるための溝部613が設けられている。
【0083】
本体部611は、ハウジング21Aの外周面に取り付けられる。フィン612は、ハウジング21Aに取り付けられた本体部611から筐体11Aの内周面に向けて突出するように複数設けられた突起部である。フィン612は、放熱の効率を向上させるために表面積が広くなるような形状とするために設けられている。
【0084】
ヒートシンク61は、このような構成により、本体部611のハウジング21側の面において、ハウジング21A内で発生した熱を吸収し、フィン612を介してパッキン62で囲まれた空間へと放熱することができる。そして、放熱された熱を、通気孔18から筐体11Aの外部へと逃がすことができる。
【0085】
ヒートシンク61は、ハウジング21Aの外周面上に設けてもよいが、ハウジング21Aにヒートシンク61の本体部611が取り付けられるような開口部を形成し、その開口部にヒートシンク61の本体部611を取り付けることとしてもよい。この場合、ハウジング21Aの開口部の縁部とヒートシンク61の本体部611との間の隙間にはパッキンが取り付けられ、開口部と本体部611との間の隙間は密閉される。このような構成とすることにより、ヒートシンク61の本体部611はハウジング21A内の空気と接することになり、ハウジング21A内で発生した熱の放熱の効率を向上させることができる。
【0086】
フィン612の付け根の部分、すなわち本体部611との境界部分は、本体部611側に(土台側に)凸である曲面612aが形成されている。換言すると、各フィンの間には断面が曲線(例えば、U字状、放物線など)である溝が形成されている。ここで、上述の通り、
図8におけるパッキン62で囲まれた空間には、通気孔18から水が入り込む場合があり、パッキンで保護されているとはいえ、筐体内に水その他の液体が入り込むことは衛生上や機器の動作保証の観点から好ましくない。この観点から、このような曲面612aを形成することにより、この空間に水などの液体が入り込んだとしても、溝が液体の排出を促すことで、フィン612の間に溜まりにくくなるようにしている。
さらに、溝部613は、溝が伸びる方向に沿って、中央部よりも端部が低くなるように傾斜してもよい。これにより、更に、液体の排出効果が高まる。
【0087】
以上のような第2の実施形態の光脱毛装置によれば、上述の第1の実施形態の光脱毛装置と同様の効果が得られる。第1の実施形態での、筐体11内の空間S1の温度が上昇しにくく、筐体11の温度が上昇しにくいという効果に関しては、第2の実施形態においては、通気孔、ヒートシンクを設けたことにより、さらに筐体11の温度が上昇しにくくなるという効果が得られる。
【0088】
[変形例]
上述した実施形態(第1の実施形態、第2の実施形態)は様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。なお、上述した実施形態および以下に示す変形例は適宜組み合わされてもよい。
【0089】
(1)上述した実施形態においては、光脱毛装置1の電源は充電池を用いるものとしたが、電源供給の方式は、充電池に限定されず、外部電源や乾電池によるものでもよい。ただし、浴室での利用等を考慮すると、充電池、乾電池等の電池を用いる方式が好ましい。
【0090】
(2)上述した実施形態においては、肌に照射する光は、発光体を用いてフラッシュ発光する方式としたが、レーザ光源を用いてレーザ光を照射する方式、あるいはLED(発光ダイオード)を光源とする方式としてもよい。
【0091】
(3)上述の実施形態においては、筐体11に設けられている照射窓部13の開口部は四角形状であるものとしたが、他の形状でもよく、例えば、四角形状以外の多角形状や、円形状、楕円形状等の周囲が曲線で構成された形状であってもよい。
【0092】
(4)上述の実施形態においては、発光部31の反射板313は半円弧状の板状の部材であるものとしたが、発光体312からの光を光学フィルタ311側に反射することができれば、他の形状で構成されていてもよい。
【0093】
(5)上述の実施形態においては、
図5に示したように、ハウジング21内においてファン32は、発光部31の後方(光が出射される側とは反対側の位置)に設けるものとしたが、ハウジング21内および発光部31内の空気を循環させることができれば、これに限定されない。例えば、発光部31の上方や下方に設置してもよい。
【0094】
(6)上述の実施形態においては、光学フィルタ311の表面の少なくとも一部は、筐体11の照射窓部13を介して外部に露出しているものとしたが、光学フィルタ311の表面に透明ガラスや耐熱性の透明な材料を重ねて設け、光学フィルタ311の表面が外部に露出しない構成としてもよい。この場合においても、光脱毛装置1の使用中の光学フィルタ311の温度上昇を抑えるために、上述の実施形態における気流を発生させる構成は有効に機能する。
【0095】
(7)上述の実施形態においては、光学フィルタ311近傍での気流が均一に流れやすくするために、反射板313の上側と下側に各々3つのスリットを設け、支持部材41の上部と下部に各々3つのスリットを設ける構成としてが、スリットの数や配置は限定されない。
【0096】
スリットの数や配置は、照射窓部13、反射板313の大きさや形状によって、適宜変更してもよい。例えば、照射窓部13の開口が大きい場合、光学フィルタ311も表面の面積が大きいものが採用されるので、それに応じてスリットを反射板313、支持部材41の上下に各々4つ以上設けてもよい。また、設けるスリットの大きさ(幅)に応じて、スリットの数や配置を適宜変更してもよい。例えば、スリットの幅を小さくする場合、配置するスリットの数を各々4つ以上としてもよい。
【0097】
(8)上述した第2の実施形態においては、筐体11Aに通気孔18を設けることにより、ハウジング21A内に発生した熱を、ヒートシンク61を介して外部へ放熱するものとしたが、通気孔18に代えて、筐体11Aに筐体11Aの表面から凹んだ凹部を設け、凹部の底面からヒートシンク61を露出させる構成としてもよい。
【0098】
図10は、第1の変形例に係る光脱毛装置1Aの筐体11B内の構成を示した断面図である。
図10中において、
図8と同一符号を付した部材は、
図8に記載された部材と同等の部材であるので、説明を省略する。
【0099】
図10における筐体11Bと
図8における筐体11Aとの違いは、
図8の筐体11Aにおいて通気孔18が設けられた位置に、筐体11Bでは凹部19が設けられていることである。凹部19は、
図7における筐体11Aの通気孔18が設けられた領域と同様の領域に、例えば長方形状や円形状の凹んだ領域を形成したものである。
【0100】
図10において、筐体11Bに形成された凹部19は、側部19aがハウジング21Aに設けられたヒートシンク61側へと延在している。凹部19の底面は開口しており、ヒートシンク61の放熱面が露出している。側部19aのヒートシンク61側の端部には、パッキン69が取り付けられている。パッキン69は、ヒートシンク61の溝部613(
図9)に取り付けられる。パッキン69により、側部19aの端部とヒートシンク61の表面との間を密閉している。すなわち、凹部19の内部空間は、筐体11Bの内部の空間S1に対して密閉されている。
【0101】
筐体11Bは防水構造であり、外部から筐体11B内部へ水が入り込まない構造となっている。筐体11Bの凹部19内へは水が入り込んでしまうが、パッキン69によりヒートシンク61と凹部19を含む空間を密閉し、凹部19内へ入り込んだ水が筐体11B内の空間S1へ入り込まないようにしている。
【0102】
(9)上述の第2の実施形態においては、ヒートシンク61をハウジング21Aの外周面に設けるものとしたが、ヒートシンクをハウジング21Aの外周面に加えてハウジング21Aの内側にも設けてもよい。
図11は、第2の変形例に係る光脱毛装置1Aの筐体11A内の構成を示した断面図である。
図11中において、
図8と同一符号を付した部材は、
図8に記載された部材と同等の部材であるので、説明を省略する。
【0103】
図11においては、
図8における構成に対してヒートシンク65が付加されている。ヒートシンク65は、ハウジング21Aの内周面に設けられている。ヒートシンク65が設けられる内周面の位置は、ヒートシンク61が設けられる外周面の位置に対応する位置である。すなわち、ヒートシンク65は、ヒートシンク61が設けられたハウジング21Aの外周面の位置の裏側の位置に設けられている。
【0104】
図12は、ヒートシンク65の構成を示した斜視図である。ヒートシンク65は、平板上の本体部651と、本体部651から突起して設けられる複数のフィン652とから構成されている。
【0105】
本体部651は、ハウジング21Aの内周面に取り付けられる。フィン652は、ハウジング21に取り付けられた本体部651からハウジング21Aの内側に向けて突出するように設けられる。フィン652は、ハウジング21Aの内部で発生する熱を吸収する。フィン652が設けられていることにより表面積が広くなり、熱を吸収する効率を向上させることができる。
【0106】
フィン652は、長手方向が矢印B方向に沿った方向となるように設けられる。矢印B方向は、
図11に示すように、ファン32によって発生するハウジング21A内の空気の流れに沿った方向である。すなわち、フィン652の溝の方向に沿って空気が流れるような向きにヒートシンク65を配置する。このような構成とすることにより、フィン652による放熱性を高めることができる。
【0107】
フィン652によって吸収された熱は、本体部651からハウジング21Aの内周面へと放熱される。ハウジング21Aの内周面から外周面へと伝わった熱は、ヒートシンク61の本体部611で吸収され、フィン612から放熱される。そして、放熱された熱を通気孔18から筐体11Aの外部へと逃がすことができる。
【0108】
以上のように、ハウジング21の内周面にヒートシンク65を設けることにより、ハウジング21Aの内部で発生する熱の筐体11A外部への放熱の効率を向上させることができる。
【0109】
(10)上述の第2の変形例においては、2つのヒートシンク61、65を設けるものとしたが、2つのヒートシンク61、65は、一体的に形成した1つの部材としてもよい。
図13は、第3の変形例に係るヒートシンク67の構成を示した斜視図である。
【0110】
ヒートシンク67は、本体部671と、本体部671から下方に突起して設けられたフィン672と、本体部671から上方(フィン672が設けられた側と反対側)に突起して設けられたフィン673とから構成されている。
【0111】
フィン672は、
図9に示したフィン612と同等のものであり、
図13には示していないが、フィン672の付け根の部分、すなわち本体部671との境界部分は、
図9の曲面612aと同様の曲面が形成されている。フィン673は、
図12に示したフィン652と同等のものである。
【0112】
本体部671の周囲の側面には、溝部674が形成されている。溝部674には、密閉用のパッキンが取り付けられる。本体部671の底面(フィン672が設けられている面)の周囲には
図9で示した溝部613と同様の溝部が形成されている。
【0113】
ヒートシンク67は、ヒートシンク61、65と同様の位置に取り付けられる。具体的には、フィン672がハウジング21の外側に、フィン673がハウジング21の内側となるように取り付けられる。ヒートシンク67をこのように取り付けるために、ハウジング21には、ヒートシンク67の本体部671が取り付けられるような開口部が形成される。
【0114】
ハウジング21の開口部の縁部とヒートシンク67の本体部671の溝部674との間にパッキンが取り付けられ、開口部と本体部671との間の隙間は密閉される。ヒートシンク67の本体部671の底面(フィン672が設けられている面)と筐体11Aの内周面との間は、
図11で示した構成と同様にパッキン62によって密閉される。
【0115】
以上のような構成により、ハウジング21の内側に設けられたヒートシンク67のフィン673により、ハウジング21内で発生する熱を吸収し、ハウジング21の外側に設けられたヒートシンク67のフィン672から放熱される。そして、放熱された熱を通気孔18から筐体11Aの外部へと逃がすことができる。なお、ヒートシンク67のうちすくなくともフィン672については、耐腐食性の高い素材を用いる、あるいは錆止めのための表面加工を施すことが好ましい。
【0116】
ヒートシンク67は、本体部671、フィン672、フィン673が一体的に形成された部材であるため、上述の第2の変形例のように、ハウジング21の外周面、内周面を介して2つの部材で構成されているヒートシンク61、67と比べて、ハウジング21の内側から外側への熱伝導の効率が向上し、ハウジング21内部で発生する熱を効率よく外部へ放熱させることができる。
【0117】
(11)上述の第2の実施形態、第1の変形例、第2の変形例においては、
図8、
図10、
図11に示すように、ファン32をハウジング21内の上方の内周面近傍に設け、ヒートシンクをハウジング21の下方の内周面(すなわち、ファン32を設けた側に近い内周面と対向する内周面)あるいは外周面に設けるものとしたが、ファン32とヒートシンクの位置関係はこれに限定されない。
【0118】
第2の実施形態(
図8)、第1の変形例(
図10)においては、例えば、ファン32をハウジング21の下方の内周面(すなわち、ヒートシンク61が設けられた外周面の裏側に対応する内周面)の近傍に設けるものとしてもよい。第2の変形例(
図11)においては、ファン32をヒートシンク65の上方近傍(すなわち、ヒートシンク65のフィン652の先端側の近傍)に設けるものとしてもよい。このように、ファン32をヒートシンクの近傍に設けることにより、ハウジング21内で発生する熱の外部への放熱の効率を向上させることができる。
【0119】
(12)上述した実施形態においては、
図5、
図8に示すように、ファン32により発生する気流は、ファン32の側面からハウジング21内前方へと流れ出るものとしたが、ファン32から他の方向へ気流が流れ出るものとしてもよい。ファン32を構成する羽の向きや空気の取り込み口や取り出し口の形状を適宜変更することで、ハウジング21内の空気の流れを制御することができる。例えば、
図5、
図8におけるファン32の下方へ気流が流れ出るものとした場合、ファン32から下方で向かう気流のうち、図中の右方向に流れる気流も発生するが、それらの気流の多くはハウジング21の右側の面に当たって前方へと流れ出るので、結局ファン32からの気流の大半は、ハウジング21の前方へと流れることとなる。
【0120】
(13)上述の第2の実施形態においては、ハウジング21Aの前方側を筐体11Aの外部へ露出させる構成としたが、第1の実施形態と同様に、ハウジング21A全体が筐体11Aの内側に入るような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1、1A・・光脱毛装置、11、11A、11B・・筐体、12・・肌ガイド面、13・・照射窓部、14・・表示部、15・・スイッチ、16・・把持部、18・・通気孔、19・・凹部、19a・・側部、21、21A・・ハウジング、22・・電子部品部、23・・電源部、31・・発光部、32・・ファン、41・・支持部材、51・・パッキン、61・・ヒートシンク、62・・パッキン、65、67・・ヒートシンク、69・・パッキン、71・・パッキン、215・・ハウジング筐体部、216・・ハウジング内挿部、131・・導光板、211・・上部カバー、212・・下部カバー、213・・側部カバー、311・・光学フィルタ、312・・発光体、313・・反射板、313a~313f・・スリット、314・・側板、314a、314b・・スリット、411、412・・突起壁、413a、413b、413c・・スリット、414、415・・突起壁、416a、416b、416c・・スリット、417a、417b・・通気路、611・・本体部、612・・フィン、612a・・曲面、613・・溝部、651・・本体部、652・・フィン、671・・本体部、672、673・・フィン、674・・溝部、AHS、AHSa、AHSb、ALS、ALSa、ALSb、AHI、AHIa、AHIb、ALIa、ALIb・・気流。