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特許7402358ランキンサイクルに従って動作する閉回路の一部材の回転軸を受け入れる軸受を潤滑する装置およびそのような装置を使用する方法
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  • 特許-ランキンサイクルに従って動作する閉回路の一部材の回転軸を受け入れる軸受を潤滑する装置およびそのような装置を使用する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ランキンサイクルに従って動作する閉回路の一部材の回転軸を受け入れる軸受を潤滑する装置およびそのような装置を使用する方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/22 20060101AFI20231213BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20231213BHJP
   F01D 25/18 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F01D25/22
F01K25/10 H
F01K25/10 E
F01D25/18 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023003460
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2021087436の分割
【原出願日】2016-09-15
(65)【公開番号】P2023052373
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】1559607
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(73)【特許権者】
【識別番号】518120496
【氏名又は名称】エノジア
【氏名又は名称原語表記】ENOGIA
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】グベ、 ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ルル、 アルチュル
(72)【発明者】
【氏名】ホシェ アントナン
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-097222(JP,A)
【文献】特表2008-542629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/22
F01K 25/10
F01D 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランキンサイクルに従って動作する閉ループ(10)の一部材の回転軸を受ける少なくとも1つの軸受を潤滑する装置であって、
前記ループが、
液体形態の作動流体用の圧縮/循環ポンプ(12)と、
前記流体を蒸発させるように高温源(24)が内部に流される熱交換器(18)と、
蒸気形態の前記流体用の膨張手段(30)と、
前記作動流体を凝縮させるように低温源(F)が内部に流される冷却用熱交換器(40)と、
作動流体タンク(46)と、
前記軸受を潤滑する複数の作動流体循環管(50,52,54,56,58,60)および潤滑回路(62)とを有し、
前記潤滑回路は、前記閉ループ(10)に連結され、前記軸受への注入後の流体の気体状態への遷移を遅らせるために潤滑管自体の内部を循環する前記流体を過冷却する手段(66)を含む潤滑管(64)を有し、
前記圧縮/循環ポンプ(12)は、前記タンク(46)と前記熱交換器(18)との間に配置され、
前記潤滑回路は、前記閉ループの作動流体の一部を前記軸受に分流し、
前記潤滑管(64)は、前記複数の作動流体循環管のうち、前記タンク(46)と前記圧縮/循環ポンプ(12)との間に配置された1つの循環管(60)から延び、
前記膨張手段は、タービン(30)を有し、前記回転軸を受ける前記軸受はタービン軸受であることを特徴とする潤滑装置。
【請求項2】
潤滑管(64)は、圧力調整器と流量調整器とリミッターのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項1に記載の潤滑装置。
【請求項3】
潤滑管(64)は循環ポンプ(68)を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の潤滑装置。
【請求項4】
潤滑管(64)は温度センサを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑装置。
【請求項5】
潤滑管(64)は圧力センサを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の潤滑装置。
【請求項6】
過冷却手段(66)はペルティエ効果装置を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑装置。
【請求項7】
前記軸受は、周方向作動流体ディヒューザ(77)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の潤滑装置。
【請求項8】
前記ディヒューザは、周方向に均等に分散された注入点(80)を備えるスペーサ(78)を有することを特徴とする、請求項7に記載の潤滑装置。
【請求項9】
前記作動流体は、有機流体または有機流体混合物であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の潤滑装置。
【請求項10】
ランキンサイクルに従って動作する閉ループ(10)の一部材の回転軸を受ける少なくとも1つの軸受を潤滑する方法であって、
前記ループが、
液体形態の作動流体用の圧縮/循環ポンプ(12)と、
前記流体を蒸発させるように高温源(24)が内部に流される熱交換器(18)と、
蒸気形態の前記流体用の膨張手段(30)と、
前記作動流体を凝縮させるように低温源(F)が内部に流される冷却用熱交換器(40)と、
作動流体タンク(46)と、
前記軸受を潤滑する複数の作動流体循環管(50,52,54,56,58,60)および潤滑回路(62)とを有し、
前記圧縮/循環ポンプ(12)は、前記タンク(46)と前記熱交換器(18)との間に配置され、
前記閉ループの前記作動流体の一部が、前記閉ループ(10)に連結され、前記軸受への注入後の流体の気体状態への遷移を遅らせるために潤滑管自体の内部を循環する前記流体を過冷却する手段(66)を含む潤滑管(64)内の前記軸受に流され、この流体部分が、前記軸受に導入される前に過冷却され、
前記潤滑管(64)は、前記複数の作動流体循環管のうち、前記タンク(46)と前記圧縮/循環ポンプ(12)との間に配置された1つの循環管(60)から延び、
前記膨張手段は、タービン(30)を有し、前記回転軸を受ける前記軸受はタービン軸受であることを特徴とする潤滑方法。
【請求項11】
前記軸受に導入される流体の量を調節するために前記圧力と前記流量の少なくとも一方についての調整と制限の少なくとも一方が行われることを特徴とする、請求項10に記載の潤滑方法。
【請求項12】
前記軸受潤滑管に設けられた循環ポンプ(68)が始動され、前記軸受を確実に潤滑するように前記圧縮/循環ポンプを始動する前に過冷却手段(66)が作動させられることを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の潤滑方法。
【請求項13】
前記流体を前記軸受の全周にわたって分散させることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載の潤滑方法。
【請求項14】
ランキンサイクルに従って動作する閉ループ(10)であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の潤滑装置を有し、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法を使用することを特徴とする閉ループ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランキンサイクルに従って動作する閉ループの一部材の回転軸を受ける軸受を循環する装置、およびこの装置を使用する方法に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、限定はしないが、ループに含まれるタービンの軸を支持する玉軸受軸を潤滑する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
広く知られているように、ランキンサイクルは、外部の熱源からの熱が作動流体を含む閉ループに伝達される熱力学サイクルである。
【0004】
このサイクルは概して、使用される低凝固点作動流体が等エントロピー的に圧縮される段階と、その後に続く、この圧縮された流体が熱源に接触して加熱され気化される段階とに分割される。この蒸気は次に、別の段階において膨張機内で等エントロピー的に膨張させられ、次いで、最後の段階において、この膨張した蒸気が低温源に接触して冷却され凝縮される。
【0005】
これらの様々な段階を実施するために、ループは、液体形態の作動流体を圧縮してループ内を循環させるポンプと、圧縮流体を少なくとも部分的に気化させるように高温の流体が内部に流される熱交換器(または気化器)と、この蒸気のエネルギーを機械的エネルギーまたは電気的エネルギーなどの別のエネルギーに変換する、タービンなどの、蒸気を膨張させる膨張機と、別の熱交換器(または凝縮器)であって、蒸気に含まれる熱を低温源、一般的には、この凝縮器の内部に流される冷却流体または外気に奪わせ、この蒸気を液体に変換する別の熱交換器とを含む。
【0006】
特にフランス特許第2884555号によって、内燃機関の排気ガスによって伝達される熱エネルギー、特に自動車に使用される熱エネルギーを、気化器を通って流れる流体を加熱し気化させる熱源として使用することも公知である。
【0007】
これによって、排気において失われるエネルギーの大部分を回収して、ランキンサイクルループを介して自動車に使用できるエネルギーに変換することによってこのエネルギーのエネルギー効率を向上させることが可能になる。
【0008】
公知のように、膨張機の軸受には、これらの軸受において膨張機の軸を自由に回転させるために潤滑が必要である。
【0009】
概して、この潤滑を実施する場合、通常の慣例では潤滑油が使用される。
【0010】
しかし、潤滑油をこのように使用することにはかなり重大な欠点を伴う。
【0011】
すなわち、膨張機内の様々な回路間(ここでは作動流体回路と潤滑回路との間)の密封が完全になることはない。したがって、一般に潤滑油によって作動流体の汚染が進行する。
【0012】
この汚染によって、作動回路の性能が低下し、作動流体の熱力学的特性が失われ、各熱交換器が汚染される。
【0013】
1つの公知の解決手段は、潤滑油を作動流体と交換して潤滑機能を実現することから成る。
【0014】
これによって、2つの回路間のシールの欠陥によって作動流体の汚染が生じることがなくなるが、「熱力学的目的を有する」作動流体と「潤滑目的を有する」同じ作動流体が混ざることになる。
【0015】
この解決手段には、一般に作動流体の潤滑性が不十分であるという欠点がある。
【0016】
特に、作動流体は、容易に気化する傾向があり、この物理的状態では潤滑機能を果たさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、作動流体がその軸受潤滑機能を果たす前に気化することがないように作動流体の状態を制御するのを可能にする潤滑装置を提供することによって前述の欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明は、ランキンサイクルに従って動作する閉ループの一部材の回転軸を受ける少なくとも1つの軸受を潤滑する装置であって、ループが、液体形態の作動流体用の圧縮/循環ポンプと、この流体を蒸発させるように高温源が内部に流される熱交換器と、蒸気形態の流体用の膨張手段と、作動流体を凝縮させるように低温源が内部に流される冷却用交換器と、作動流体タンクと、軸受を潤滑する複数の作動流体循環管および潤滑回路とを有し、潤滑回路が、閉ループに連結され、潤滑管自体の内部を循環する流体を過冷却する手段を含む潤滑管を有することを特徴とする潤滑装置に関する。
【0019】
潤滑管は、タンクと熱交換器との間に配置された循環管のうちの1つから延びることができる。
【0020】
潤滑管は、圧力調整器と流量調整器とリミッターのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0021】
潤滑管は、圧縮/循環ポンプから上流側の循環管から延びることができる。
【0022】
潤滑管は循環ポンプを有することができる。
【0023】
潤滑管は温度センサを有することができる。
【0024】
潤滑管は圧力センサを有することができる。
【0025】
過冷却手段はペルティエ効果装置を有することができる。
【0026】
軸受は、周方向作動流体ディヒューザを有することができる。
【0027】
ディヒューザは、周方向に均等に分散された注入点を備えるスペーサを有することができる。
【0028】
作動流体は、有機流体であってもよくあるいは有機流体混合物であってもよい。
【0029】
膨張手段は、タービン(30)を有することができ、回転軸を受ける軸受はタービン軸受である。
【0030】
本発明は、ランキンサイクルに従って動作する閉ループの一部材の回転軸を受ける少なくとも1つの軸受を潤滑する方法であって、ループが、液体形態の作動流体用の圧縮/循環ポンプと、この流体を蒸発させるように高温源が内部に流される熱交換器と、蒸気形態の流体用の膨張手段と、作動流体を凝縮させるように低温源が内部に流される冷却用交換器と、作動流体タンクと、軸受を潤滑する複数の作動流体循環管および潤滑回路とを有し、閉ループの作動流体の一部を軸受に流すことと、この流体を、軸受に導入する前に過冷却することとから成ることを特徴とする方法にも関する。
【0031】
この方法は、軸受に導入される流体の量を調節するために流体圧力と流量の少なくとも一方についての調整と制限の少なくとも一方を行うことから成ることができる。
【0032】
この方法は、軸受潤滑管上に設けられた循環ポンプを始動することから成ることができ、過冷却手段は、軸受を確実に潤滑させるように圧縮/循環ポンプを始動する前に作動させられる。
【0033】
この方法は、軸受の全周にわたって流体を分散させることから成ることができる。
【0034】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図を参照しながら非限定的な例を介して与えられる以下の説明を読むことによって明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明による潤滑装置を含む従来技術のランキンサイクルに従って動作する閉ループを示す図である。
図2図1の閉ループのタービン軸受のうちの1つの細部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1において、ランキンサイクル閉ループ10は有利なことに、ブタン、エタノール、ハイドロフルオロカーボン、二酸化炭素などの有機流体またはそれらの有機流体の混合物を使用するORC(有機ランキンサイクル)式の閉ループである。
【0037】
この閉ループが、アンモニアまたは水などの非有機流体によって動作することができることを理解されたい。
【0038】
このループは、以下の説明ではポンプと呼ばれ、液体形態の作動流体用の入口14と、同じく液体形態であるが高圧下で圧縮された作動流体用の出口16とを含む、作動流体用の循環・圧縮ポンプ12を有している。このポンプは有利なことに、電気モータ(不図示)などの任意の手段によって回転させられる。
【0039】
このループは、蒸発器と呼ばれる熱交換器18も有しており、圧縮された作動流体が、この液体流体用の入口20と作動流体が圧縮された蒸気の形で蒸発器から出る出口22との間において熱交換器18を横切って流れる。この蒸発器を液体または気体の形態の高温源24が横切って流れる。この高温源は、内燃機関28の排気配管26内を循環する排気ガス、内燃機関の冷却剤、工業用炉の冷却剤、あるいは火力発電所内で加熱されるかまたはバーナーによって加熱された熱媒流体から得ることができる。
【0040】
ループは、高圧レベルまで圧縮された蒸気の形態の作動流体を入口32を通して受ける膨張機30も有しており、この流体は、低圧レベルまで膨張した蒸気の形態で出口34を通って膨張機から出る。
【0041】
有利なことに、この膨張機は、ロータ軸が2つの軸受36a,36b上に配置され、連結軸37を回転駆動することによって蒸気形態の作動流体によって回転させられる膨張タービンの形態である。この軸は、回収されたエネルギーが、たとえば発電機38などの任意の変換装置に伝達されるのを可能にすることが好ましい。
【0042】
ループは、冷却用熱交換器40または凝縮器をさらに有しており、冷却用熱交換器40は、膨張した低圧蒸気用の入口42と、この凝縮器を通過した後に液体形態に変換される作動流体用の出口44とを含む。膨張した蒸気を冷却し、それによって凝縮して液体に変換するように、低温源、一般的には、通常周囲温度である低温空気流(矢印F)がこの凝縮器の内部に流される。もちろん、水などの任意の他の低温冷却源を使用して蒸気を確実に凝縮することができる。
【0043】
このループは、作動流体を液体状態に維持するのを可能にする密閉タンク46も有しており、好ましくは、ポンプ内に送られる前にタンクから出る作動流体を濾過するカートリッジフィルタなどのフィルタ48も有している。
【0044】
ループの様々な部材は、連続的にポンプを蒸発器に連結し(蒸発器管50)、蒸発器をタービンに連結し(タービン管52)、タービンを凝縮器に連結し(凝縮器管54)、凝縮器をタンクに連結し(タンク管56)、タンクをフィルタに連結し(フィルタ管58)、フィルタをポンプに連結する(ポンプ管60)のを可能にし、それによって作動流体を矢印Aによって示される方向に循環させる流体循環管50,52,54,56,58,60によって互いに連結される。
【0045】
図1を見るとよりよくわかるように、閉ループは、内部を循環する流体を使用して、閉ループの一部材の回転軸を受ける少なくとも1つの軸受、より具体的には軸受36a,36bを潤滑する潤滑回路62を有している。
【0046】
もちろん、本発明の範囲から逸脱せずに、この循環回路を使用して、ポンプ12などの閉ループの任意の他の回転部材の各軸受を潤滑することができる。
【0047】
この潤滑回路は、タンク46と蒸発器18との間に配置された複数の管のうちの1つから延び、タービン30の軸受36a,36bに至る潤滑管64を有している。
【0048】
図1における例によって例示されるように、この潤滑管は、フィルタとポンプ12との間のポンプ管60から延びている。
【0049】
潤滑管は、矢印A’によって示されている循環方向において、この流体を潤滑管内を循環させるのを可能にする循環ポンプ68または潤滑ポンプと、潤滑管内を循環する流体を過冷却する手段66とを保持している。
【0050】
有利なことに、この冷却手段は、電気的に駆動されるペルティエ効果装置を有している。
【0051】
潤滑管はまた、ポンプ68と各軸受との間に、潤滑管内を循環する流体用の温度センサTと圧縮センサPとを保持している。
【0052】
軸受36a,36bを確実に潤滑するために、液体相でタンク46から出た後でフィルタ48によって濾過された熱媒流体が、部分的に潤滑管に流され、潤滑ポンプ68の作用下で潤滑管内を循環する。このポンプはまた、各軸受を潤滑することを目的とした流体流を調整するのを可能にする。
【0053】
この循環の間、流体は、軸受36a,36bに送られる前にペルティエ効果装置によって過冷却される。
【0054】
過冷却装置が、必要に応じて、各センサによって、潤滑を目的とした流体の温度を調整するのを可能にすることだけでなく、過冷却装置の基本的な役割は、流体が液体状態で軸受内に注入された後、流体の気体状態への遷移を遅延させることである。
【0055】
有利なことに、各軸受潤滑することを目的とした潤滑ポンプ68およびペルティエ効果装置は、タービンを回転させる前に確実に潤滑するように閉ループのメインポンプ12を始動する前に始動される。
【0056】
したがって、各軸受の潤滑機能は確実に果たされる。
【0057】
もちろん、本発明の範囲から逸脱せずに、潤滑管内の循環ポンプを無くし、潤滑管内の流体を循環させるのにポンプ12を使用することを構想することができる。
【0058】
したがって、潤滑管は、流体の循環の方向Aを考慮してポンプ12から下流側に延び、タービン30の軸受36a,36bに至る。
【0059】
有利なことに、潤滑管は、各軸受に到達する流体の量を調節するために圧力調整器と流量調整器とリミッターのうちの少なくとも1つを保持している。
【0060】
一例として、図2に示されているように、タービンの軸70は、この軸と軸受36aの密閉されたケーシング74との間に収容された玉軸受72によって保持されている。このケーシングは、管64内の過冷却された流体用の吸入口76も有している。
【0061】
この図を見るとよりよくわかるように、吸入口と玉軸受との間に周方向流体ディヒューザ77が配置されている。
【0062】
このディヒューザは、ここでは、周方向に均等に分散されたいくつかの注入点80を備えるスペーサ78である。
【0063】
したがって、流体は軸受の全周にわたってより適当に分散され、潤滑がより一様でかつより有効になる。
図1
図2