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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】開口構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/00 20060101AFI20231213BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20231213BHJP
   E04F 19/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
E06B3/00 D
E04F13/08 E
E04F19/02 U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023023786
(22)【出願日】2023-02-17
【審査請求日】2023-09-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成4年10月に刊行物「公共・商業施設向け Wall&Door」パンフレットにて発表。 〔刊行物等〕 平成4年10月に大建工業株式会社のウェブサイト「https://www.daiken.jp/img/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=DKK00001&catalogId=74387780000&pageGroupId=&designID=PUBLIC&catalogCategoryId=&designConfirmFlg=」にて発表。 〔刊行物等〕 平成4年10月26日に東京ビッグサイトで開催された「医療・福祉施設のための設備・機器の総合展示会 HOSPEX Japan 2022」にて発表。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 学
(72)【発明者】
【氏名】秋山 明功
(72)【発明者】
【氏名】小西 俊行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康雄
(72)【発明者】
【氏名】川島 歩
(72)【発明者】
【氏名】駒倉 昌和
(72)【発明者】
【氏名】船渡 まなみ
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実公平6-13996(JP,Y2)
【文献】特開2005-336933(JP,A)
【文献】特開2020-51073(JP,A)
【文献】特開2016-130399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/00
E04F 13/08
E04F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部の開口に三方枠からなる戸枠が設けられ、該戸枠に戸枠と同一の化粧面を有するドアが壁部から露出するように支持され、
上記ドアの少なくとも上側の壁部にパネル領域が設けられ、
上記パネル領域の少なくとも左右端部には見切り部材が設けられており、
上記パネル領域には、上記ドア及び戸枠と同一の化粧面を有する少なくとも1枚のパネルがパネル領域を覆うように貼り付けられており、
上記パネルは、基材の表面ないし四周端面に上記化粧面となる化粧層が設けられた矩形状の基準パネルを切断することによって、四周端部の少なくとも一部に、端面に化粧層がなくて基材が露出した基材露出端部を有していて、該基材露出端部が常に上記見切り部材で覆われるように配置されていることを特徴とする開口構造。
【請求項2】
請求項1の開口構造において、
パネル領域は、ドアの上側に位置する上領域と、ドアの左右両側の少なくとも一方に位置し、床部から上記上領域の上端までの高さを有する側領域とからなることを特徴とする開口構造。
【請求項3】
請求項1の開口構造において、
パネル領域には、複数枚のパネルが並べられて貼り付けられており、
パネル領域の中間部で隣接するパネルは、端面に化粧層のある化粧端部同士が突き合わされて配置されていることを特徴とする開口構造。
【請求項4】
壁部の開口に三方枠からなる戸枠が設けられ、該戸枠に戸枠と同一の化粧面を有するドアが壁部から露出するように支持され、
上記ドアの上側及び左右両側の壁部にパネル領域が設けられ、
上記パネル領域の少なくとも左右端部には見切り部材が設けられており、
上記パネル領域には、上記ドア及び戸枠と同一の化粧面を有する2枚のL字状のパネルが並べられてパネル領域を覆うように貼り付けられており、
上記各パネルは、基材の表面ないし四周端面に上記化粧面となる化粧層が設けられた矩形状の基準パネルの1つの角部を矩形状に切除することによって、ドア周囲側の端部に、端面に化粧層がなくて基材が露出した基材露出端部を有しており、
上記2枚のパネルは、上記基材露出端部が常に上記ドア周囲側の見切り部材で覆われるように配置されていることを特徴とする開口構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの開口構造において、
見切り部材は、パネルの基材露出端部を収容して覆うパネル収容部を有することを特徴とする開口構造。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つの開口構造において、
パネル領域の上端は天井部に接していることを特徴とする開口構造。
【請求項7】
請求項1又は4の開口構造を施工する施工方法であって、
基準パネルをパネル領域に対応するように切断して、基材露出端部を有するパネルを形成し、
その基材露出端部を有するパネルをパネル領域の壁部に貼り付けて固定した後、
パネル領域の上端部及び左右端部並びにドア周囲側の端部に見切り部材を固定して、該見切り部材で上記パネルの基材露出端部を覆うことを特徴とする開口構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口構造及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、壁部にある開口を開閉するための開き戸や引戸等のドアとして、意匠性を向上させるために、上端が天井部近くに達する背の高いわゆるハイドアを設置することは知られている。
【0003】
しかし、ハイドアは、通常サイズのドアと比較して、高さが高い分だけ全体の強度が低くなるのは避けられず、製造コストも増大し、施工手間も大きいという問題がある。
【0004】
そこで、通常サイズのドアを壁部の開口に設置するとともに、そのドアの上側を含む壁部に、ドアと一体感のある化粧面を施すことにより、その壁部の化粧面がドアの一部となるように見せて、見掛け上のドアの高さを擬似的に高くしたハイドア風に仕上げることがある。
【0005】
このようなハイドア風の開口構造として、従来、例えば特許文献1に示されるように、戸枠に支持され、カバー部を有するドアと、施工されたドアの周囲の壁部にドア表面と面一に施工されるパネルとを備えるドアパネルセットが提案されている。このものでは、ドアの閉じ状態で戸枠がドアのカバー部で隠れるようになっており、ドア及びパネルの表面デザインも同じにすることで、一体感のあるデザインに仕上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-130399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1のもののように、ドアの上側を含む壁部にパネルを貼り付けてハイドア風にする場合、パネルは、天井高さやドアのサイズに合わせて種々の形状にする必要がある。その際、製造工場から施工現場に供給されるパネルは、基材の表面だけでなく四周の端面も化粧層(表皮層)で覆われた巻き込み化粧仕上げのものであり、その基準パネルを施工現場のパネル施工領域の形状に合わせて切断加工する必要がある。その切断面は化粧層がなくて基材が露出した基材露出端部となり、基材露出端部のままでパネルを設置すると、例えば目地において基材が露出するようになり、本来意図していた意匠性が損なわれる虞れがある。
【0008】
切断により生じたパネルの基材露出端部を見切り部材で隠すようにしてもよいが、そうすると、基材露出端部の位置に合わせて見切り部材が設けられることになり、見切り部材が位置によっては目立つようになって、その存在により却って意匠性を低下させるという問題が生じる。
【0009】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドアの少なくとも上側の壁部にパネルを貼り付けて形成されるハイドア風の開口構造において、パネルの基材露出端部を隠す目的のための見切り部材の位置を特定することで、施工現場に合わせて切断されたパネルを意匠性良く納めることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的の達成のため、この発明では、ドア上側を含む壁部にパネル領域がある場合に、切断により生じたパネルの基材露出端部に合わせて見切り部材をパネル領域に配置するのではなく、逆に予めパネル領域の所定位置に見切り部材の配置位置を決めておき、その見切り部材に合わせてパネルの基材露出端部を配置して、パネルを基材露出端部が常にその定位置の見切り部材で隠されるように配置することとした。
【0011】
具体的には、第1の発明は、壁部の開口に三方枠からなる戸枠が設けられ、該戸枠に戸枠と同一の化粧面を有するドアが壁部から露出するように支持され、上記ドアの少なくとも上側の壁部にパネル領域が設けられ、該パネル領域の少なくとも左右端部には見切り部材が設けられており、パネル領域には、上記ドア及び戸枠と同一の化粧面を有する少なくとも1枚のパネルがパネル領域を覆うように貼り付けられている。そして、上記パネルは、基材の表面ないし四周端面に上記化粧面となる化粧層が設けられた矩形状の基準パネルを切断することによって、四周端部の少なくとも一部に、端面に化粧層がなくて基材が露出した基材露出端部を有していて、該基材露出端部が常に上記見切り部材で覆われるように配置されていることを特徴とする。上記「ドア」は、戸枠内で又は戸枠に沿って移動して開口を開閉する機能を有し、壁部から露出しているものを意味することとする。
【0012】
この第1の発明では、壁部の開口に位置するドアの少なくとも上側の壁部のパネル領域に、ドア及び戸枠と同一の化粧面を有するパネルが貼り付けられているので、そのパネルが実際のドアや戸枠と一体化されたように見え、このことで、見掛け上のドアの高さが高くなり、ドア及びパネル領域で一体感のあるハイドア風の仕上げとすることができる。
【0013】
そして、パネル領域の少なくとも左右端部に見切り部材が設けられ、この見切り部材に、パネルの四周端部の少なくとも一部にある化粧層のない基材露出端部が覆われている。このことで、基準パネルを施工現場で切断することによって形成されたパネルであっても、そのパネルの基材露出端部は必ず見切り部材に覆われて外部から隠されるようになり、ハイドア風の仕上げの良好な意匠性が得られる。
【0014】
しかも、見切り部材の位置は、予めパネル領域の少なくとも左右端部に決まっているので、パネルの切断に伴って生じた基材露出端部の位置に合わせて見切り部材を配置する場合のようにパネル領域で見切り部材が目立つようなことはなく、パネル領域において見切り部材がパネルと共に整然と配置されて高い意匠性を達成することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明の開口構造において、パネル領域は、ドアの上側に位置する上領域と、ドアの左右両側の少なくとも一方に位置し、床部から上記上領域の上端までの高さを有する側領域とからなることを特徴とする。
【0016】
この第2の発明では、戸枠の上側に位置する上領域と、戸枠の左右両側の少なくとも一方に位置する側領域とにパネルが貼り付けられることで、ドアの上側のみならず左右両側の少なくとも一方にもパネルが拡がって配置され、ドアの高さのみならば幅も広いハイドア風の開口構造とすることができる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明の開口構造において、パネル領域には、複数枚のパネルが並べられて貼り付けられており、パネル領域の中間部で隣接するパネルは、端面に化粧層のある化粧端部同士が突き合わされて配置されていることを特徴とする。
【0018】
この第3の発明では、パネル領域にその中間部で隣接して貼り付けられたパネルは、端面に化粧層のある化粧端部同士が突き合わされて配置されており、この突き合わせ位置には見切り部材がなく、各パネルの化粧層のある化粧端部が剥き出しで突き合わされている。このように端面に表面と同じように化粧層のある化粧端部は、化粧層のない基材露出端部のように目立つことがなく、パネル領域の中間部に見切り部材で隠されていない剥き出し状態であっても意匠性は低下しない。そのため、換言すると、見切り部材は、パネル領域の上端部及び左右端部並びにドア周囲側の端部のみに配置され、パネル領域の中間部に見切り部材を配置することは不要となり、すっきりとして見映えを得ることができる。
【0019】
第4の発明の開口構造は、壁部の開口に三方枠からなる戸枠が設けられ、該戸枠に戸枠と同一の化粧面を有するドアが壁部から露出するように支持され、ドアの上側及び左右両側の壁部にパネル領域が設けられ、このパネル領域の少なくとも左右端部には見切り部材が設けられ、上記パネル領域には、上記ドア及び戸枠と同一の化粧面を有する2枚のL字状のパネルが並べられてパネル領域を覆うように貼り付けられている。そして、上記各パネルは、基材の表面ないし四周端面に上記化粧面となる化粧層が設けられた矩形状の基準パネルの1つの角部を矩形状に切除することによって、ドア周囲側の端部に、端面に化粧層がなくて基材が露出した基材露出端部を有しており、これら2枚のパネルは、上記基材露出端部が常に上記ドア周囲側の見切り部材で覆われるように配置されていることを特徴とする。この発明でも、「ドア」は、戸枠内で又は戸枠に沿って移動して開口を開閉する機能を有し、壁部から露出しているものを意味する。
【0020】
この第4の発明でも、第1の発明と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、この発明では、壁部の開口に位置するドアの上側及び左右両側の壁部のパネル領域に、ドア及び戸枠と同一の化粧面を有する2枚のL字状パネルが貼り付けられているので、両パネルが実際のドアや戸枠と一体化されたように見え、このことで、見掛け上のドアの高さが高くなって左右幅も広がり、一体感のある幅の広いハイドア風の仕上げとすることができる。
【0021】
また、パネル領域の少なくとも左右端部に見切り部材が設けられ、この見切り部材に、各パネルの内周端部にある化粧層のない基材露出端部が覆われている。このことで、基準パネルの1つの角部を施工現場で矩形状に切除することによって、ドア周囲側の端部に基材露出端部を有するパネルであっても、そのパネルの基材露出端部は必ず見切り部材に覆われて外部から隠されるようになり、ハイドア風の仕上げの意匠性が得られる。
【0022】
さらに、見切り部材の位置は、予めパネル領域の少なくとも左右端部に決まっているので、パネルの切断に伴って生じた基材露出端部の位置に合わせて見切り部材を配置する場合のようにパネル領域で見切り部材が目立つようなことはなく、パネル領域において見切り部材がパネルと共に整然と配置されて高い意匠性を達成することができる。
【0023】
第5の発明は、第1~第4の発明のいずれか1つの開口構造において、見切り部材は、パネルの基材露出端部を収容して覆うパネル収容部を有することを特徴とする。
【0024】
この第5の発明では、壁部に固定された見切り部材のパネル収容部にパネルの基材露出端部が収容されるので、その基材露出端部を見切り部材で覆うことができる。
【0025】
第6の発明は、第1~第4の発明のいずれか1つの開口構造において、パネル領域の上端は天井部に接していることを特徴とする。このことで、パネル領域の上端が天井部に達して、ドアは見掛け上、天井部まで届く高さの高いドアとなり、高いハイドア風のデザインが得られる。
【0026】
第7の発明は、第1又は第4の発明の開口構造を施工する施工方法であって、この施工方法は、まず、基準パネルをパネル領域に対応するように切断して、基材露出端部を有するパネルを形成する。次いで、その基材露出端部を有するパネルをパネル領域の壁部に貼り付けて固定した後、パネル領域の上端部及び左右端部並びにドア周囲側の端部に見切り部材を固定して、該見切り部材で上記パネルの基材露出端部を覆うことを特徴とする。この方法によると、ハイドア風のデザインを容易に施工することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によると、壁部の開口を開閉するドアの少なくとも上側の壁部にパネル領域を設け、このパネル領域の少なくとも左右端部に見切り部材を配置し、パネル領域には、ドア及び戸枠と同一の化粧面を有する少なくとも1枚のパネルを貼り付け、このパネルの四周の一部にある化粧層のない基材露出端部を見切り部材で覆うようにした。このことで、壁部のパネル領域に貼り付けられたパネルが実際のドアや戸枠と一体化されているようになり、ドアの位置を見掛け上高くして、ドア及びパネル領域で一体感のあるハイドア風の仕上げとすることができる。また、予めパネル領域の少なくとも左右端部に限定して見切り部材が設けられ、この見切り部材にパネルの基材露出端部が覆われているので、基材露出端部を有するパネルであっても、その基材露出端部は必ず見切り部材に覆われて外部から隠されるとともに、見切り部材は常にパネル領域の所定位置に決まっていて、基材露出端部の位置に合わせて見切り部材を配置する場合のようにパネル領域で見切り部材が目立つようなことはなく、見切り部材がパネルと共に整然と配置されて、ハイドア風の仕上げの高い意匠性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る開口構造を示す正面図である。
図2図2は、パネル領域の上領域で水平に切断したときの開口構造を示す拡大断面図である。
図3図3は、ドアの高さ位置で水平に切断したときの開口構造を拡大断面図である。
図4図4は、パネル領域の上領域で上パネルの左端部が縦見切り部材で覆われている状態を示す拡大断面図である。
図5図5は、パネル領域における側領域の上部で横パネルの右端部が縦見切り部材で覆われている状態を示す拡大断面図である。
図6図6は、パネル領域の上領域及び側領域の間で上パネルの右端部と横パネルの左端部とが突き合わされている状態を示す拡大断面図である。
図7図7は、パネル領域における側領域の上下中間部で横パネルの左右端部がそれぞれ縦見切り部材で覆われている状態を示す拡大断面図である。
図8図8は、実施形態2に係る開口構造を示す正面図である。
図9図9は、実施形態2の開口構造を示す図2相当図である。
図10図10は、実施形態2の開口構造を示す図3相当図である。
図11図11は、実施形態3に係る開口構造を示す正面図である。
図12図12は、実施形態3の開口構造を示す図2相当図である。
図13図13は、実施形態3の開口構造を示す図3相当図である。
図14図14は、実施形態4に係る開口構造を示す正面図である。
図15図15は、実施形態4の開口構造を示す図2相当図である。
図16図16は、実施形態4の開口構造を示す図3相当図である。
図17図17は、実施形態5に係る開口構造を示す正面図である。
図18図18は、実施形態5の開口構造を示す図2相当図である。
図19図19は、実施形態5の開口構造を示す図3相当図である。
図20図20は、壁部に取り付けられる見切り部材の変形例としてのコーキング材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0030】
(実施形態1)
図1図3は本発明の実施形態1に係る開口構造を示し、片開き扉を有する開き戸に適用したものである。図1は開口構造を正面から見たものであり、図1の手前方向を前側とし、奥方向を後側とし、左右方向を左右方向とする。図1において、1は空間の床部、2は天井部、3は床部1と天井部2との間に設けられた壁部であり、この壁部3により空間は、図2及び図3で下側に位置する前側空間と、同上側に位置する後側空間との2つに区画され、前側空間は例えば廊下であり、後側空間は例えば室とされている。図2及び図3に示すように、壁部3は、左右方向に一定のピッチで並んで配置された上下方向に延びる間柱としての複数のスタッド4,4,…を備え、各スタッド4は断面コ字状の軽量形鋼の軽鉄スタッドからなり、後述する戸枠8が配置される開口部分は、断面コ字状の大小のスタッド材が抱き合わされた構造となっている(図3参照)。スタッド4の前後両側に壁下地材5,5が複数のスタッド4,4,…に亘って固定され、各壁下地材5の表面に石膏ボード等の遮音下地材6が重なって貼り付けられている。
【0031】
図3に示すように、壁部3内の一部には、大小のスタッド材が抱き合わされた左右1対のスタッド4,4が配置され、これらスタッド4,4間の前後の壁下地材5及び遮音下地材6は床部1から所定高さに亘り矩形状に除去され、この除去部分により壁部3両側の前側空間及び後側空間を往来するための開口が形成され、この壁部3の開口の周縁部に戸枠8が固定されている。図1にも示すように、戸枠8は、上下方向に延びる左右の縦枠9,10と、両縦枠9,10の上端部間に連結されて水平方向に延びる上枠12との三方枠からなり、縦枠9,10は、壁部3の開口の左右両側に、また上枠12は開口の上側の壁部3にそれぞれ固定されている。各縦枠9,10の左右厚さは例えば25mm、両縦枠9,10の内面間の幅は例えば730mmである。両縦枠9,10の奥行きは壁部3の厚さよりも大きくて、両縦枠9,10は壁部3の表裏面よりも少し突出している。
【0032】
上記戸枠8の例えば左縦枠9には、ドアとしての片開きタイプの開き戸14(扉)の左端部が蝶番15,15,…によって上下方向の揺動軸心回りに回動可能に支持されており、この開き戸14により壁部3の開口(詳しくは戸枠8内部の開口)が開閉されるようになっている。開き戸14は戸枠8と共に壁部3から露出している。図3中、16は戸枠8の内周面に取り付けられた戸当たり、17は開き戸14を開閉操作するためのハンドルである。以上までは公知の構造である。
【0033】
上記戸枠8の縦枠9,10及び上枠12において、前側空間に臨む前面(表面ないし側面)と、開き戸14の前面とは互いに同一の化粧面となるように化粧されている。この同一の化粧面とは、戸枠8及び開き戸14の模様や色等が同じであり、壁部3を前側空間から見たときに、戸枠8及び開き戸14の間で形状のみが異なり、その他は同じとなる程度のものをいう。戸枠8及び開き戸14の模様や色等としては、例えば種々の木目模様や木質色等が採用される。戸枠8及び開き戸14は、化粧面として例えばオレフィンシート、塩ビシート、突板、塗装で仕上げることができる。
【0034】
図1に示すように、上記開き戸14(戸枠8)の上側及び右側にある壁部3の前面に略L字状のパネル領域Aが設けられ、このパネル領域Aの上端は天井部2に接していて、パネル領域Aは天井高さの範囲に形成されている。床部1から天井部2までの天井高さは例えば2730mmである。パネル領域Aは、開き戸14(戸枠8の上枠12)の上側に位置する少し横長の長方形状の上領域A1と、戸枠8の右縦枠10の右側に位置する縦長の長方形状の側領域A2とからなる。上領域A1は、下端が戸枠8の上枠12に、また上端が天井部2にそれぞれ接し、左端が左縦枠9の左右位置に、また右端が右縦枠10の左右位置にそれぞれ位置しており、左右の幅は例えば780mmである。側領域A2は、戸枠8の右縦枠10の右側から上領域A1の右側に至る範囲に配置されて、床部1から上領域A1の上端(天井部2)までの高さを有し、左右の幅は例えば290mmである。尚、側領域A2は、上記とは逆に左縦枠9の左側にあってもよく、右縦枠10の右側と左縦枠9の左側との両方にあってもよい。
【0035】
上記パネル領域Aの上端部及び左右端部並びにドア周囲側の端部、つまり上領域A1の上端部、左端部及び下端部と、側領域A2の上端部、右端部、及び右縦枠10に対応する範囲の左端部には見切り部材25~29が貼り付けられている。具体的には、上領域A1の上端部ないし側領域A2の上端部には連続する上側の横見切り部材25が配置されている。上領域A1の左端部には左側の縦見切り部材26が配置され、この縦見切り部材26は下側に延長されて戸枠8の左縦枠9に接した状態で該左縦枠9左側の壁部3に貼り付けられている。つまり、縦見切り部材26は、床部1から上領域A1の上端部(天井部2)まで延びるように配置されている。側領域A2の右端部には高さの全体に亘り右側の縦見切り部材27が配置され、この縦見切り部材27は、上記左側の縦見切り部材26に左右方向に対応している。上領域A1の下端部には下側の横見切り部材28が配置され、この横見切り部材28は戸枠8の上枠12に接した状態で該上枠12上側の壁部3に貼り付けられている。側領域A2の左端部のうち、戸枠8の右縦枠10の高さ範囲には縦見切り部材29が配置され、この縦見切り部材29は右縦枠10に接した状態で該右縦枠10右側の壁部3に貼り付けられている。尚、側領域A2の下端部には短い長さの幅木材50が壁部3に貼り付けられている。
【0036】
上記見切り部材25~29は、戸枠8及び開き戸14、後述するパネルと35,36と同じ化粧面を有する。幅木材50は、同様に同じ化粧面を有するものか或いは別の化粧面を有するものとしてもよい。見切り部材25~29及び幅木材50の壁部3への貼付けは、例えば酢酸ビニル樹脂、変性シリコーン樹脂等の接着剤が用いられる。
【0037】
図4図5及び図7に示すように、見切り部材25~29は、例えば厚さ6mm、幅20mmの断面略L字状の細長い板材であり、その裏面には幅方向一方の角部を切り欠いたパネル収容部32が形成されており、見切り部材25~29が裏面で壁部3に貼り付けられて固定された状態ではパネル収容部32が壁部3との間で溝状となり、このパネル収容部32に後述するパネル35,36の端部を収容することで、そのパネル35,36の端部、つまり後述する例えば基材露出端部42を覆って隠すようにしている。上記幅木材50は見切り部材25~29よりも厚さ及び幅が大きく、例えば厚さ7mm、幅50mmとされている。
【0038】
見切り部材25~29は、長さが例えば2730mmの長尺材を必要な長さに切断することで形成され、それら見切り部材25~29をそれぞれ上記所定位置の壁部3に貼り付けて固定する。左右水平方向に延びる横見切り部材25,28と、上下方向に延びる縦見切り部材26,27との直交部分は、縦見切り部材26,27の左右一方の側面に横見切り部材25,28の先端面が突き合わされて直角に配置されている。
【0039】
そして、上記パネル領域Aの壁部3には壁材として2枚のパネル35,36が並べられて接着剤により貼り付けられている。すなわち、パネル領域Aの上領域A1には、該上領域A1と同じ大きさ及び形状の上パネル35が、また側領域A2には、該側領域A2と同じ大きさ及び形状の横パネル36がそれぞれ貼り付けられており、壁部3と、その壁部3に貼り付けられたパネル35,36との間にはパネル35,36の厚さ分(例えば3~6mm)の段差が生じている。パネル35,36を壁部3に貼り付ける接着剤は、例えば酢酸ビニル樹脂、変性シリコーン樹脂等が用いられる。
【0040】
各パネル35,36は、例えば厚さが3mm、幅が910mm、長さが2730mmの長尺(3×9尺)の矩形状基準パネル(図示せず)を施工現場で目的の大きさに切断することで形成されている。基準パネルの長さ(2730mm)は天井高さと同じである。基準パネルは、表面の四周角部が例えば断面円弧状に面取りされた基材45と、その基材45の表面ないし四周の端面に連続して一体に形成された化粧層46(図4図6参照。図では太線にて示している)とからなり、巻き込み化粧仕上げとなっている。基材45は例えば火山性ガラス質複層板等の不燃材からなる。化粧層46は、基材45に一体的に貼り付けられた例えばオレフィンシート、塩ビシート、突板、或いは基材45に塗装された塗膜で仕上げられている。そして、化粧層46によってパネル35,36の化粧面が形成され、この化粧面は、上記開き戸14及び戸枠8と同一の化粧面とされている。
【0041】
尚、開き戸14、戸枠8及びパネル35,36の化粧面は互いに同一であるが、パネル領域A以外の他の壁部3の表面(前面)とは異なっている。このパネル領域Aを除く部分の壁部3には、開き戸14、戸枠8及びパネル35,36と異なる化粧面を有する壁紙(クロス)等が施工されている。本発明の各実施形態では壁紙等は示していない。
【0042】
このように各パネル35,36は、幅910mm及び長さ2730mmの上記基準パネルを施工現場で目的の大きさに切断することで形成されている。そのため、図4図6に示すように、各パネル35,36は四周端部の一部に、切断部として端面に化粧層46がなくて基材45が露出した基材露出端部42(基材剥き出し端部)を有し、基材露出端部42以外の残りの端部は、切断されていなくて端面に化粧層46が残っている非切断部としての化粧端部43とされている。
【0043】
具体的には、上パネル35は基準パネルを長さ方向及び幅方向にかつ該幅方向の一端部が残るように切断したものであり、その上端部、下端部及び左端部がいずれも基材露出端部42とされ、右端部のみが化粧端部43とされている。また、横パネル36は、基準パネルの幅方向にかつ該幅方向の一端部が残るように切断したものであり、右端部のみが基材露出端部42とされ、左端部、上端部及び下端部が化粧端部43とされている。
【0044】
そして、上記2枚のパネル35,36は、各パネル35,36の基材露出端部42が常に上記見切り部材25~29で覆われるように配置されている。具体的には、上パネル35の上端部は、横見切り部材25のパネル収容部32に収容されて基材露出端部42が該横見切り部材25で覆われている。図4に示すように、上パネル35の左端部は、縦見切り部材26に収容されて基材露出端部42が該横見切り部材26で覆われている。上パネル35の下端部は、横見切り部材28のパネル収容部32に収容されて基材露出端部42が該横見切り部材28で覆われている。
【0045】
図5及び図7に示すように、横パネル36の右端部は、縦見切り部材27に収容されて基材露出端部42が該縦見切り部材27で覆われている。
【0046】
尚、図7に示すように、横パネル36の左端部は化粧端部43を有するが、戸枠8の右縦枠10に対応する下半部が縦見切り部材29に収容されて化粧端部43が該縦見切り部材29で覆われている。また、横パネル36の上端部も化粧端部43を有するが、横見切り部材25のパネル収容部32に収容されて化粧端部43が該横見切り部材25で覆われている。また、上領域A1の左端部に配置されている左側の縦見切り部材26のうち、下側に延長されて戸枠8の左縦枠9に接した状態で壁部3に貼り付けられている部分はパネル端部を覆っておらず、この部分はダミーとなっている(図3参照)。
【0047】
図6に示すように、パネル領域Aの中間部、すなわち上領域A1及び側領域A2の間で隣接している上パネル35及び横パネル36の上部は、上パネル35の右端部及び横パネル36の左端部がいずれも化粧層46のある化粧端部43であり、両化粧端部43,43同士が突き合わされて、見切り部材により覆われていない露出した状態で配置されている。
【0048】
以上の構成は、開口構造の壁部3の前面について説明しているが、後側空間から見た壁部3の後面についても上記前側と同様にしてもよく、或いは後面は前面と別の構成としてもよい。
【0049】
このような開口構造を施工する場合、壁部3に戸枠8及び開き戸14を施工した後、施工現場に搬入された基準パネルを壁部3前面のパネル領域Aの上領域A1及び側領域A2に対応するように切断する。尚、施工現場への搬入前にパネル領域Aに対応するようにプレカットしてもよい。この基準パネルの切断に伴い、上端部、左端部及び下端部に基材露出端部42を有し、右端部に化粧端部43を有する上パネル35と、右端部に基材露出端部42を有し、上下端部及び左端部に化粧端部43を有する横パネル36とを形成する。次いで、その上パネル35をパネル領域Aの上領域A1の壁部3に、また横パネル36を側領域A2の壁部3にそれぞれ接着剤により貼り付けて固定する。しかる後、パネル領域Aの上記所定位置の壁部3に見切り部材25~29を貼り付けて固定し、その見切り部材25~29でパネル35,36の基材露出端部42又は化粧端部43を覆えばよく、開口構造の施工が終了する。
【0050】
したがって、上記実施形態では、壁部3の前面において、前面に露出している開き戸14(戸枠8)の上側及び右側にパネル領域Aが設定され、パネル領域Aは上端が天井部2に接していて、その高さは開き戸14よりもかなり高く、そのパネル領域Aに、開き戸14及び戸枠8と同一の化粧面を有する上パネル35及び横パネル36が同様の化粧面の見切り部材25~29と共に貼り付けられている。このことで、その2枚のパネル35,36が実際の開き戸14や戸枠8と一体化されたように見え、開き戸14の位置が見掛け上高くなり、開き戸14は恰も天井部2まで届く高さの高いドアに見えるようになり、開き戸14及びパネル領域Aで一体感のある高いハイドア風の仕上げとすることができる。
【0051】
また、上記パネル領域Aは、戸枠8の上側に位置する上領域A1と、戸枠8の右側に位置し、床部1から上領域A1の上端までの高さを有する側領域A2とからなり、上領域A1に上パネル35が、また側領域A2に横パネル36がそれぞれ貼り付けられている。このように、開き戸14の上側のみならず右側にもパネル36が拡がって配置されることにより、側領域A2にある横パネル36がいわゆる「袖壁」となって、開き戸14の高さのみならず幅も広いハイドア風の開口構造とすることができる。
【0052】
また、この開き戸14横の「袖壁」としてのパネル36に、例えば部屋名の掲示や解錠装置を設けてもよく、それらを開き戸14と一体感を持たせることができる。
【0053】
そして、パネル領域Aの上端部及び左右端部と開き戸14周囲側の端部(戸枠8に接する端部)とに見切り部材25~29が設けられ、この見切り部材25~29には、パネル35,36の四周端部の一部に形成されている、端面に化粧層46のない基材露出端部42が覆われている。そのため、パネル35,36が、基材45の表面ないし四周端面に化粧層46が積層された基準パネルを施工現場で切断することによって、基材露出端部42を有するものとなっても、そのパネル35,36の基材露出端部42は必ず上記見切り部材25~29に覆われて外部から隠されるようになり、ハイドア風の仕上げの良好な意匠性が得られる。
【0054】
しかも、上記見切り部材25~29の位置は、常にパネル領域Aの上端部及び左右端部と開き戸14周囲側の端部とに予め決まっているので、パネル35,36の切断に伴って生じた基材露出端部42の位置に合わせて見切り部材を配置する場合のようにパネル領域Aで見切り部材が目立つようなことはなく、見切り部材25~29がパネル35,36と共に整然と配置されて高い意匠性を達成することができる。
【0055】
また、パネル領域Aに2枚のパネル35,36が並べられて貼り付けられており、上領域A1に貼り付けられた上パネル35と、側領域A2に貼り付けられた横パネル36とはパネル領域Aの左右中間部で隣接し、両パネル35,36は化粧層46のある化粧端部43,43同士が見切り部材のない状態で突き合わされて配置されている。こうして、パネル35,36において、表面と同じように化粧層46のある化粧端部43は、化粧層46のない基材露出端部42のように目立つことがないので、パネル領域Aの中間部に見切り部材で隠されていない剥き出し状態であっても意匠性は低下しない。換言すると、見切り部材25~29は、パネル領域Aの周縁部ないし開き戸14(戸枠8)に接する端部のみに配置され、その中間部に見切り部材を配置することは不要となり、すっきりとして見映えを得ることができる。
【0056】
さらに、各見切り部材25~29は、パネル35,36の基材露出端部42をパネル収容部32で収容するように壁部3に固定された断面L字状のものであるので、その壁部3に固定された見切り部材25~29のパネル収容部32にパネル35,36の基材露出端部42を配置することで、その基材露出端部42を見切り部材25~29で確実かつ効率よく覆うことができる。
【0057】
(実施形態2)
図8図10は本発明の実施形態2に係る開口構造を示している。尚、この実施形態2及び続く実施形態3~5及び変形例においては、図1図7と同じ部分について同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0058】
この実施形態2は、本発明をインセットタイプの片引き吊戸(引戸)の開口構造に適用したものである。壁部3の開口の周縁部には、左右の縦枠9,10と、両縦枠9,10の上端部間に連結されて水平方向に延びる上枠12と、左右の縦枠9,10間にそれらと平行に配置され、上端が上枠12の左右中間部に固定された方立11との三方枠からなる。縦枠9,10は、壁部3の開口の左右両側に、また上枠12は開口の上側の壁部3にそれぞれ固定されている。
【0059】
図10に示すように、左縦枠9の左右厚さは例えば24mm、右縦枠10の左右厚さは左縦枠9よりも厚く、例えば36mmである。右縦枠10の奥行き(前後幅)は左縦枠9よりも大きく、両縦枠9,10の後面は互いに同じ前後位置にある一方、右縦枠10の前面は壁部3の前面に突出している一方、左縦枠9の前面は壁部3の前面よりも後側に位置していて、壁部3の前側に突出していない。上枠12は左右の前後方向の奥行き(前後幅)が段差状に異なり、方立11と右縦枠10との間の右側部分の奥行きが方立11と左縦枠9との間の左側部分の奥行きよりも大きく、この右側部分が方立11及び右縦枠10の前面と同じ前後位置となって壁部3よりも前側に突出している。このように右縦枠10及び方立11は壁部3の前側に突出し、それら右縦枠10及び方立11の内面間の幅は例えば770mmである。方立11の左側面と左縦枠9の前面との間に控え壁下地材7が固定され、その表面に壁下地材5が貼り付けられている。
【0060】
上枠12下面の後側寄り位置には、上枠12に沿って左右方向に延びる図外の吊戸レールが固定され、この吊戸レールにドアとしての吊戸19が吊車(図示せず)により左右方向にスライド移動可能に吊下げ支持されており、吊戸19をスライドさせることで開口を開閉し、吊戸19の左側移動により開き状態となり、右側移動により閉じ状態となるようにしている。図8中、20は上枠12の下面に吊戸レールの前後両側に固定された幕板、21は吊戸19の前後面に取り付けられた指掛けタイプの引手である。図10の22は方立11の後面に吊戸19に接するように取り付けられたモヘアである。
【0061】
図8に示すように、上記吊戸19の上側、具体的には戸枠8の右縦枠10と方立11との間の上枠12上側に位置する壁部3の前面に、上端が天井部2に接するパネル領域Aが設けられている。パネル領域Aは、戸枠8における右縦枠10と方立11との間の上枠12(壁部3から前側に突出した右側部分)の上側に位置する矩形状の上領域A1のみからなり、左右の幅は例えば790mmである。
【0062】
パネル領域Aの周縁部、つまり上領域A1の上端部、左右端部及び下端部には、実施形態1と同様の断面略L字状の細長い板材からなる見切り部材25~28が貼り付けられている。上領域A1の上端部には上側の横見切り部材25が配置されている。上領域A1の左端部には左側の縦見切り部材26が配置され、この縦見切り部材26は下側に延長されて戸枠8の方立11に接した状態で該方立11左側の壁部3に貼り付けられている。上領域A1の右端部には右側の縦見切り部材27が配置され、この縦見切り部材27も下側に延長されて戸枠8の右縦枠10に接した状態で該右縦枠10右側の壁部3に貼り付けられている。上領域A1の下端部には下側の横見切り部材28が配置され、この横見切り部材28は戸枠8の上枠12に接した状態で該上枠12上側の壁部3に貼り付けられている。
【0063】
上記パネル領域A(上領域A1)には、該パネル領域Aと同じ大きさ及び形状の1枚の上パネル35(壁材)が接着剤により貼り付けられている。上パネル35は、実施形態1と同様に、厚さ3mm、幅910mm、長さ2730mmの長尺の基準パネルを施工現場で目的の大きさに切断することで形成されている。上パネル35は表面の化粧層46によって化粧面が形成され、この化粧面は、上記吊戸19及び戸枠8と同一の化粧面とされている。
【0064】
この実施形態では、基準パネルの切断によって上パネル35の四周端部の全てに化粧層46のない基材露出端部42が形成されている。尚、基準パネルの1辺を残して切断してもよく、その場合は四周端部のうちの3つに基材露出端部42が形成され、残りの1つの端部は化粧層46のある化粧端部43とされる。また、基準パネルの隣接する2辺を残して切断すれば、四周端部のうちの2つに基材露出端部42が形成され、残りの2つの端部は化粧層46のある化粧端部43とされる。
【0065】
そして、上記上パネル35は、その四周端部が全て上記見切り部材25~28で覆われるように配置されている。具体的には、上パネル35の上端部は、上側の横見切り部材25のパネル収容部32に収容されて該横見切り部材25で覆われ、上パネル35の左端部は、左側の縦見切り部材26に収容されて該横見切り部材26で覆われ、上パネル35の右端部は、右側の縦見切り部材27に収容されて該縦見切り部材27で覆われ、上パネル35の下端部は、下側の横見切り部材28のパネル収容部32に収容されて該横見切り部材28で覆われている。このことで、上パネル35の四周に基材露出端部42が形成されている場合には、その基材露出端部42は常に見切り部材25~28で覆われている。尚、上パネル35の四周端部のうちの1つに基材露出端部42が形成され、残りは化粧端部43である場合には、その基材露出端部42が見切り部材25~28で覆われ、化粧端部43も見切り部材25~28で覆われる。同様に、上パネル35の四周端部のうちの2つに基材露出端部42が形成され、残り2つが化粧端部43である場合には、その基材露出端部42が見切り部材25~28で覆われ、化粧端部43も見切り部材25~28で覆われる。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0066】
したがって、この実施形態でも実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。特に、吊戸19の上側のみにパネル領域A(上領域A1)が形成されてパネル35が貼り付けられているので、パネル35が実際の吊戸19や戸枠8(右縦枠10、方立11及び上枠12)と一体化されたように見え、それらにより天井部2までの高さの高い縦長の化粧面が形成され、ハイドア風の吊戸19を備えた開口構造とすることができる。
【0067】
(実施形態3)
図11図13は実施形態3を示し、実施形態2と同様のインセットタイプの片引き吊戸19を備えた開口構造において、その開口(吊戸19)の左右幅を大きくしたものである。
【0068】
この実施形態では、実施形態2と同様に、壁部3の開口の周縁部には、左右の縦枠9,10、上枠12及び方立11の三方枠からなる戸枠8が固定されている。両縦枠9,10の内面間の幅は例えば2165.5mmであり、実施形態2の構造よりも大きい。図13に示すように、方立11の左側面と左縦枠9の前面との間に控え壁下地材7が固定され、その表面に壁下地材5が貼り付けられている。
【0069】
上枠12下面の後側寄り位置に図外の吊戸レールが固定され、この吊戸レールにドアとしての吊戸19が左右方向にスライド移動可能に吊下げ支持されている。
【0070】
この実施形態でも、図11に示すように、吊戸19の上側、つまり戸枠8の右縦枠10と方立11との間の上枠12上側に位置する壁部3の前面に、上端が天井部2に接するパネル領域Aが設けられている。パネル領域Aは、実施形態2と同様に、戸枠8における右縦枠10と方立11との間の上枠12(壁部3から突出した右側部分)の上側に位置する上領域A1のみからなっているが、この実施形態の開口構造の開口の左右幅が実施形態2の構造よりも大きいので、上領域A1(パネル領域A)の左右の幅は例えば2225.5mmなっている。
【0071】
パネル領域Aの周縁部、つまり上領域A1の上端部、左右端部及び下端部には、断面略L字状の細長い板材からなる見切り部材25~28が貼り付けられている。上領域A1の上端部には上側の横見切り部材25が配置されている。上領域A1の左端部には左側の縦見切り部材26が配置され、この縦見切り部材26は下側に延長されて戸枠8の方立11に接した状態でその左側の壁部3に貼り付けられている。上領域A1の右端部には右側の縦見切り部材27が配置され、この縦見切り部材27も下側に延長されて戸枠8の右縦枠10に接した状態でその右側の壁部3に貼り付けられている。上領域A1の下端部には横見切り部材28が配置され、この横見切り部材28は戸枠8の上枠12に接した状態で該上枠12上側の壁部3に貼り付けられている。
【0072】
上記パネル領域A(上領域A1)には2枚のパネル37,38(壁材)が左右に並べられて接着剤により貼り付けられている。これらのパネル37,38は例えば互いに同じ大きさの略正方形状(パネル領域Aの高さによっては長方形であってもよい)であり、両パネル37,38の全体でパネル領域Aと同じ大きさ及び形状とされている。各パネル37,38は、実施形態1と同様に、厚さ3mm、幅910mm、長さ2730mmの長尺の基準パネルを施工現場で目的の大きさに切断することで形成されている。各パネル37,38は表面の化粧層46によって化粧面が形成され、この化粧面は、上記吊戸19(ドア)及び戸枠8(右縦枠10、方立11及び上枠12)と同一の化粧面とされている。
【0073】
基準パネルの切断によって各パネル37,38の四周端部のうちの例えば3つの端部に、端面に化粧層46のない基材露出端部42が形成され、残りの1つの端部は端面に化粧層46のある化粧端部43とされている。例えば左パネル37の上下端部及び左端部は基材露出端部42であり、右端部は化粧端部43とされている。逆に、右パネル38の上下端部及び右端部は基材露出端部42であり、左端部は化粧端部43とされている。
【0074】
上記各パネル37,38は、その3つの基材露出端部42,42,…が上記見切り部材25~28で覆われるように配置されている。左パネル37及び右パネル38の上端部にある基材露出端部42,42は、共に上側の横見切り部材25のパネル収容部32に収容されて該横見切り部材25で覆われている。左パネル37及び右パネル38の下端部にある基材露出端部42,42は、共に下側の横見切り部材28のパネル収容部32に収容されて該横見切り部材28で覆われている。左パネル37の左端部の基材露出端部42は、左側の縦見切り部材26に収容されて該横見切り部材26で覆われ、右パネル38の右端部の基材露出端部42は、右側の縦見切り部材27に収容されて該横見切り部材27で覆われている。
【0075】
左パネル37の右端部及び右パネル38の左端部は共に化粧端部43,43であり、これら化粧端部43,43同士がパネル領域Aの左右中央部で突き合わされ、両化粧端部43,43は見切り部材がない状態で露出している。
【0076】
この実施形態では、吊戸19に取り付けられた引手21はバータイプのものとされている。その他の構成は実施形態2と同じである。
【0077】
したがって、この実施形態でも実施形態2と同様の作用効果を奏することができる。特に、左右幅の大きい吊戸19の上側のみにパネル領域Aが形成されて2枚のパネル37,38が貼り付けられているので、パネル37,38、吊戸19及び戸枠8(右縦枠10、方立11及び上枠12)により天井部2までの高さの高い縦長で広い幅の化粧面が形成され、ハイドア風の吊戸19を備えた開口構造とすることができる。
【0078】
また、車椅子も出入り可能な大開口の開口部でも、汎用の基準パネルを切断したパネル37,38を用いて意匠性良くハイドア風に仕上げることができる。
【0079】
(実施形態4)
図14図16は実施形態4を示し、実施形態3と同様のインセットタイプの片引き吊戸19の開閉動作をアシストする開口構造において、吊戸19の左側にもパネル領域Aを設けたものである。
【0080】
この実施形態では、実施形態3と同様に、壁部3の開口の周縁部には、左右の縦枠9,10、上枠12及び方立11の三方枠からなる戸枠8が固定されている。実施形態3とは逆に、左縦枠9の奥行き(前後幅)が右縦枠10よりも大きく、両縦枠9,10の後面は互いに同じ前後位置にあり、左縦枠9の前面が壁部3の前面に突出し、右縦枠10の前面は壁部3の前面よりも後側に位置している。上枠12は、方立11と左縦枠9との間の左側部分の奥行き(前後幅)が方立11と右縦枠10との間の右側部分の奥行きよりも大きく、この左側部分が方立11及び左縦枠9の前面と同じ前後位置となって壁部3よりも前側に突出している。左縦枠9及び方立11の内面間の幅は例えば1180mmである。そして、方立11の右側面と右縦枠10の前面との間に控え壁下地材7が固定され、その表面に壁下地材5が貼り付けられている。
【0081】
上枠12下面の後側寄り位置に図外の吊戸レールが固定され、この吊戸レールにドアとしての吊戸19が吊車(図示せず)により左右方向にスライド移動可能に吊下げ支持されている。このことで、吊戸19は、実施形態3の左開きタイプとは逆の右開きタイプとされ、吊戸19の右側移動により開き状態となり、左側移動により閉じ状態となり、吊戸19の左側にバータイプの引手21が取り付けられている。
【0082】
また、図示しないが、吊戸レール内には、リニアモータ等からなる電動式アシスト装置が設けられており、このアシスト装置によって吊戸19の移動をアシストするようになっている。
【0083】
この実施形態では、図14に示すように、吊戸19の上側及び左側、つまり戸枠8の左縦枠9と方立11との間の上枠12上側に位置する上側の壁部3ないし左縦枠9左側の壁部3の前面に、上端が天井部2に接するパネル領域Aが設けられている。パネル領域Aは、実施形態1と同様に、戸枠8の左縦枠9と方立11との間の上枠12の上側に位置する上領域A1と、実施形態1とは反対の左縦枠9の左側に位置する側領域A2とからなっている。上領域A1は、下端が戸枠8の上枠12に、また上端が天井部2にそれぞれ接し、左端が左縦枠9の少し左側位置に、また右端が右縦枠10の少し右側位置にそれぞれ位置しており、左右の幅は例えば1180mmである。側領域A2は、戸枠8の左縦枠9の左側ないし上領域A1の左側に配置されて、床部1から上領域A1の上端(天井部2)までの高さを有し、左右の幅は例えば290mmである。
【0084】
パネル領域Aの上領域A1の上端部、右端部及び吊戸19側の下端部、側領域A2の上端部、左端部、及び右端部の左縦枠9に対応する下側部分には見切り部材25~29が貼り付けられている。上領域A1の上端部ないし側領域A2の上端部には上側の横見切り部材25が配置され、上領域A1の右端部には右側の縦見切り部材27が配置されている。この右側の縦見切り部材27は下側に延長されて戸枠8の方立11に接した状態で該方立11右側の壁部3に貼り付けられている。側領域A2の左端部には左側の縦見切り部材26が配置されている。上領域A1の下端部には横見切り部材28が配置され、この横見切り部材28は戸枠8の上枠12の左側部分(壁部3から突出した部分)に接した状態で該上枠12上側の壁部3に貼り付けられている。側領域A2において、戸枠8の左縦枠9に対応する範囲の下側部分の右端部には縦見切り部材29が配置され、この縦見切り部材29は戸枠8の左縦枠9に接した状態で該左縦枠9左側の壁部3に貼り付けられている。尚、側領域A2の下端部に幅木材50が壁部3に貼り付けられている。
【0085】
上記パネル領域Aには3枚のパネル36~38が左右に並べられて接着剤により貼り付けられている。パネル領域Aの上領域A1には2枚の左右パネル37,38が左右に並べられて貼り付けられ、両パネル37,38を合わせて上領域A1と同じ大きさ及び形状となっている。左パネル37は、上領域A1の左側に位置してその大半部を占め、右パネル38が上領域A1の残りの右側を占めている。また、側領域A2には、該側領域A2と同じ大きさ及び形状の横パネル36が貼り付けられている。横パネル36の左右幅は右パネル38の左右幅と略同じとなっている。
【0086】
この実施形態では、上記左パネル37は、左右方向の幅が基準パネルと同じであり、その上下端部のみが切断されて基材露出端部42とされ、左右端部は、切断されておらず、化粧端部43となっている。この左パネル37の上端部は上記上側の横見切り部材25の左右中間部に覆われ、下端部は下側の横見切り部材28の左側部分に覆われている。
【0087】
また、右パネル38は、左端部のみが化粧端部43とされ、残りの上下端部及び右端部は、切断による基材露出端部42とされている。この右パネル38の上端部は上側の横見切り部材25の右端部に、また下端部は下側の横見切り部材28の右側部分に、さらに右端部は右側の縦見切り部材27の上部にそれぞれ覆われている。
【0088】
横パネル36は、右端部が側領域A2の高さ全体に亘り化粧端部43とされ、上下端部も化粧端部43とされ、残りの左端部が切断による基材露出端部42とされている。この横パネル36の上端部は上側の横見切り部材25の左端部に覆われ、左端部は全体が左側の縦見切り部材26に覆われ、右端部は化粧端部43であるが、その下側部分が縦見切り部材29に覆われている。横パネル36の下端部には幅木材50が固定されている。
【0089】
そして、図15に示すように、左パネル37の右端部の化粧端部43と右パネル38の左端部の化粧端部43とは上領域A1の右側位置で突き合わされて、見切り部材により覆われていない露出した状態で配置されている。また、左パネル37の左端部及び横パネル36の右端部も共に化粧端部43であり、これら化粧端部43,43同士はパネル領域の中間部である上領域A1の左端位置で突き合わされて、見切り部材により覆われていない露出した状態で配置されている。
【0090】
尚、図14に示すように、左パネル37の左下角部には上記アシスト装置を点検するための点検口51が設けられている。また、左パネル37の下部の左右略中央位置(閉じ位置にある吊戸19の左右中間部に対応する位置)には、上記アシスト装置に電気的に接続される人感センサ52が取り付けられており、前側空間の吊戸19の前に人がいるときに、そのことを人感センサ52により検知して、アシスト装置に吊戸19の開き動作をアシストさせるようにしている。
【0091】
この実施形態の他の構成は実施形態3と同じである。よって、この実施形態でも実施形態3と同様の作用効果が得られる。
【0092】
(実施形態5)
図17図19は実施形態5を示す。この実施形態では、吊戸19の上側及び左右両側の壁部3にパネル領域Aを設け、そのパネル領域AにL字状に切断された2枚のパネル39,40を貼り付けるようにしている。
【0093】
すなわち、この実施形態は、実施形態2と同様の吊戸19を有する開口構造であり、壁部3の開口の周縁部には、左右の縦枠9,10、上枠12及び方立11の三方枠からなる戸枠8が固定されている。また、上枠12下面の後側寄り位置に吊戸レール(図示せず)が固定され、この吊戸レールにドアとしての吊戸19が吊車(図示せず)により左右方向にスライド移動可能に吊下げ支持されている。吊戸19は、実施形態2及び実施形態3と同じ左開きタイプとされ、吊戸19の左側移動により開き状態となり、右側移動により閉じ状態となる。
【0094】
そして、図17に示すように、吊戸19の上側及び左右両側、つまり戸枠8の右縦枠10と方立11との間の上枠12上側に位置する上側の壁部3、方立11左側の壁部3、ないし右縦枠10右側の壁部3の前面に、上端が天井部2に接するパネル領域Aが設けられている。パネル領域Aは、戸枠8における右縦枠10と方立11との間の上枠12(壁部3から突出した右側部分)の上側に位置する上領域A1と、右縦枠10右側の側領域A2と、方立11左側の側領域A2とからなる。換言すると、パネル領域Aは、上領域A1の左側半部及び左側の側領域A2の全体からなる略L字状の領域と、上領域A1の右側半部及び右側の側領域A2からなる略L字状の領域とに分けられ、これら左右2つの領域を吊戸19の周り(上側及び左右両側)に左右対称に配置したもので、全体として略コ字状となって、閉じ位置にある吊戸19に対して門型に配置されている。
【0095】
このパネル領域Aの上端部及び左右端部並びに吊戸19周囲側の端部には見切り部材25~29が設けられている。上領域A1の上端部ないし左右の側領域A2,A2の上端部に亘って上側の横見切り部材25が配置されている。左の側領域A2の左端部には左側の縦見切り部材26が、また右の側領域A2の右端部に右側の縦見切り部材27がそれぞれ配置されている。また、パネル領域Aの吊戸19周囲側の端部として、上領域A1(右縦枠10と方立11との間の上枠12上側)の下端部に下側の横見切り部材28が、また左の側領域A2において、方立11の高さ範囲の右端部(方立11の左側)に縦見切り部材29が、さらに右の側領域A2において、右縦枠10の高さ範囲の左端部(右縦枠10の右側)にも縦見切り部材29がそれぞれ配置されている。
【0096】
上記パネル領域Aには、2枚のL字パネル39,40が左右に対称に並べられて接着剤により貼り付けられている。各L字パネル39,40は、厚さ3mm、幅910mm、長さ2730mmの長尺の基準パネルを施工現場で目的の大きさのL字状に切断することで形成されている。例えば基準パネルの長さがパネル領域Aの左右領域の高さと同じであれば、長さ方向を縦にした2枚の基準パネルの各々の下側角部を矩形状に切除することで、その残りがL字状となり、いずれも左右のL字パネル39,40となる。L字パネル39,40は表面の化粧層46によって化粧面が形成され、この化粧面は、上記吊戸19及び戸枠8(方立11を含む)と同一の化粧面とされている。
【0097】
そして、左のL字パネル39は、その左右方向の幅が基準パネルと同じであれば、基準パネルにおいて上枠12の左側部分及び方立11と重なる下側角部を矩形状に切って除くことで、その切断された吊戸19周囲側の内端部が基材露出端部42であり、残りの端部は切断されておらず、化粧端部43となっている。この左L字パネル39の内端部(基材露出端部42)は上記下側の横見切り部材28の左側部と縦見切り部材29とに覆われている。左L字パネル39の上端部及び左端部は化粧端部43であるが、それぞれ上側の横見切り部材25の左半部及び左側の縦見切り部材26に覆われている。尚、仮に左L字パネル39の上端部及び左端部が切断による基材露出端部42になったとしても、同様に横見切り部材25及び縦見切り部材26に覆われている。
【0098】
同様に、右のL字パネル43についても、左右方向の幅が基準パネルと同じであれば、基準パネルにおいて上枠12の右側部分及び右縦枠10と重なる下側角部を矩形状に切除することで、その切断された吊戸19周囲側の内端部が基材露出端部42であり、残りの端部は切断されていない化粧端部43となっている。この右L字パネル40の内端部は上記横見切り部材28の右側部と縦見切り部材29とに覆われている。右L字パネル40の上端部及び右端部は化粧端部43であるが、それぞれ横見切り部材25の右半部及び右側の縦見切り部材27に覆われている。尚、右L字パネル40の上端部及び右端部が切断による基材露出端部42となっても、同様に横見切り部材25及び縦見切り部材27に覆われている。尚、左右L字パネル39,40の下端部はそれぞれ幅木材50,50で覆われている。
【0099】
また、パネル領域Aの上領域A1に位置する左L字パネル39上側の右端部及び右L字パネル40上側の左端部は共に化粧端部43であり、両化粧端部43,43が上領域A1の左右中間部で互いに突き合わされて、見切り部材により覆われていない露出した状態で配置されている。その他の構成は上記実施形態2と同じである。
【0100】
この実施形態でも実施形態2と同様の作用効果が得られる。特に、この実施形態の場合、吊戸19上側の壁部3に門型のパネル領域Aが設けられ、このパネル領域Aに左右のL字パネル39,40が左右対称に貼り付けられているので、吊戸19及びパネル39,40が整然と左右対称に配置された意匠性の高いハイドア風の開口構造とすることができる。
【0101】
尚、この実施形態のL字パネル39,40の門型配置を実施形態1のような開きドア、或いは他のタイプの吊戸19を有する開口構造に適用することができる。
【0102】
(変形例)
上記各実施形態では、パネル収容部32を有する断面L字状の見切り部材25~29を用い、パネル35~40の少なくとも基材露出端部42を見切り部材25~29のパネル収容部32に収容して覆うようになっているが、図20に示すように、パネル35~40のうちのあるものは、基材露出端部42を、壁部3との間に充填されるコーキング材33で覆うようにしてもよい。しかし、このコーキング材33は、パネル領域Aの外周以外の部分で特定して用いるのが好ましく、パネル35~40においてパネル領域Aの外周に位置する基材露出端部42を確実に隠して意匠性を高めるためには、上記各実施形態のようにパネル収容部32を有する見切り部材25~29を用いればよい。
【0103】
(その他の実施形態)
上記実施形態2~5は、吊戸19が戸枠8内(壁部3内)で移動するインセットタイプの開口構造であるが、本発明は、吊戸19が戸枠8外である壁部3の後側又は前側で移動するアウトセットタイプの開口構造にも適用することができる。
【0104】
また、上記各実施形態では、パネル領域Aの上端部に横見切り部材25を、また下端部に横見切り部材28をそれぞれ配置しているが、このパネル領域Aの上端部に配置される横見切り部材25又は下端部に配置される横見切り部材28の一方又は両方は省略してもよく、本発明では、パネル領域Aの少なくとも左右端部に見切り部材26~29が設けられていればよい。
【0105】
また、上記各実施形態のように、壁部3のパネル領域Aが天井高さに形成され、パネル領域Aに貼り付けられるために切断される基準パネルの長さも天井高さと同じとされている場合、パネル領域Aに施工するパネル35~40の一部は、基準パネルを長さ方向に切断していないが、施工するパネル35~40は、パネル領域Aの高さや基準パネルの長さとの関係で切断される。また、パネル領域Aは天井高さよりも低く形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、開き戸や吊戸等のドア上側の壁部にそれらと同一の化粧面のパネルを貼り付けてハイドア風の開口構造にする場合に、切断されたパネルの基材露出端部を意匠性良く納めることができ、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0107】
A パネル領域
A1 上領域
A2 側領域
2 天井部
3 壁部
5 壁下地材
8 戸枠
9 左縦枠
10 右縦枠
11 方立
12 上枠
14 開き戸(ドア)
19 吊戸(ドア)
25 横見切り部材
26 縦見切り部材
27 縦見切り部材
28 横見切り部材
29 縦見切り部材
32 パネル収容部
33 コーキング材
35 上パネル
36 横パネル
37 左パネル
38 右パネル
39 左L字パネル
40 右L字パネル
42 基材露出端部
43 化粧端部
45 基材
46 化粧層
【要約】
【課題】開き戸14や吊戸19の上側の壁部3にパネルを配置してハイドア風の開口構造とする場合に、施工現場に合わせて切断されたパネルの基材露出端部42を見切り部材により意匠性良く納めることができるようにする。
【解決手段】壁部3の開口の戸枠8に、戸枠8と同一の化粧面を有する開き戸14が支持されている。開き戸14の上側及び側部の壁部3にパネル領域Aが設けられ、パネル領域Aの上端部及び左右端部並びに開き戸14周囲側の端部に見切り部材25~29が設けられている。パネル領域Aに、開き戸14及び戸枠8と同一の化粧面を有するパネル35,36が貼り付けられ、各パネル35,36は、基材45の表面ないし四周端面に化粧層46が積層された基準パネルの切断によって、四周端部の一部に基材露出端部42を有し、この基材露出端部42は常に見切り部材25~29で覆われるように配置されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20