IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-部品装着機 図1
  • 特許-部品装着機 図2
  • 特許-部品装着機 図3
  • 特許-部品装着機 図4
  • 特許-部品装着機 図5
  • 特許-部品装着機 図6
  • 特許-部品装着機 図7
  • 特許-部品装着機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】部品装着機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023035447
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2021545037の分割
【原出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2023060274
(43)【公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩島 賢史
(72)【発明者】
【氏名】河口 浩二
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-72066(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199241(WO,A1)
【文献】特開2007-281312(JP,A)
【文献】特開平11-177296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に移動可能な移動台と、
採取した部品を保持する保持部材をそれぞれ取り付けられる複数のホルダと、
前記移動台に設けられ、複数の前記ホルダを昇降可能に支持する装着ヘッドと、
前記部品の装着位置および装着順序を示す制御プログラムに基づいて、前記装着ヘッドによる前記部品の装着動作を制御して装着処理を実行する装着制御部と、を備え、
前記装着制御部は、装着動作のエラーが生じた場合に当該装着動作に係る前記装着位置を対象位置として再度の前記部品の装着を試行するリカバリ処理において、複数の前記ホルダのうち前記装着処理において前記対象位置に割り当てられていた一つを指定ホルダとし、前記指定ホルダを用いて前記部品の装着動作を実行し、
前記装着制御部は、前記リカバリ処理において前記指定ホルダを用いて前記部品の装着動作を実行する精度優先モードと、前記リカバリ処理において所要時間に基づいて複数の前記ホルダから前記部品の装着動作に用いる前記ホルダを選択する生産優先モードとを、前記対象位置、前記対象位置に装着される前記部品の種類、および生産される基板製品の種類の少なくとも一つに基づいて切り換える、部品装着機。
【請求項2】
前記装着制御部は、前記リカバリ処理において、
前記制御プログラムにおける装着順序が前記対象位置の直前である前記装着位置に、前記装着処理において当該装着位置に割り当てられた前記ホルダを位置決めし、
前記対象位置に前記指定ホルダを位置決めするように前記装着ヘッドを移動させる、請求項1に記載の部品装着機。
【請求項3】
前記装着ヘッドは、複数の前記ホルダをそれぞれの軸線周りに回転させる回転装置を有し、
前記制御プログラムにおける装着順序が前記対象位置の直前である前記装着位置での装着角度に応じた前記ホルダの角度を直前ホルダ角度とし、
前記リカバリ処理において前記対象位置での装着角度に応じた前記ホルダの角度をリカバリホルダ角度とし、
前記装着制御部は、前記リカバリ処理において前記対象位置に前記指定ホルダを角度決めする際に、前記直前ホルダ角度および前記リカバリホルダ角度により規定される回転方向に前記指定ホルダを回転させるように前記回転装置を回転させる、請求項1または2に記載の部品装着機。
【請求項4】
前記制御プログラムには、前記装着処理において複数の前記装着位置ごとに使用する前記ホルダの割り当てが含まれる、請求項1-3の何れか一項に記載の部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品装着機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品装着機は、基板に部品を装着する装着処理を実行する。上記の装着処理において、部品を採取する採取動作と部品を基板に装着する装着動作とが含まれるPPサイクル(ピックアンドプレースサイクル)が繰り返し実行される。所定のPPサイクルにおいて採取動作が不良であると、対応する装着動作が実行不能となり装着動作のエラーが発生する。このような場合に、部品装着機は、例えば次回以降のPPサイクルにおいて、装着動作のエラーによりスキップした装着位置への装着を再試行するリカバリ処理を実行する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-10496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品装着機には、吸着動作や装着動作を実行する装着ヘッドの構成機器に固有の動作誤差を低減するために、例えば構成機器ごとの校正値が設定されることがある。しかしながら、リカバリ処理において、例えば所要時間が短くなるように装着ヘッドを動作させると、エラーが発生しなかった場合の動作と異なることから上記の校正値が適切に作用せずに装着精度が低下するおそれがある。また、部品装着機には、装着処理の精度のさらなる向上が望まれている。
【0005】
本明細書は、装着処理およびリカバリ処理における装着の精度向上を図ることができる部品装着機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、水平方向に移動可能な移動台と、採取した部品を保持する保持部材をそれぞれ取り付けられる複数のホルダと、前記移動台に設けられ、複数の前記ホルダを昇降可能に支持する装着ヘッドと、前記部品の装着位置および装着順序を示す制御プログラムに基づいて、前記装着ヘッドによる前記部品の装着動作を制御して装着処理を実行する装着制御部と、を備え、前記装着制御部は、装着動作のエラーが生じた場合に当該装着動作に係る前記装着位置を対象位置として再度の前記部品の装着を試行するリカバリ処理において、複数の前記ホルダのうち前記装着処理において前記対象位置に割り当てられていた一つを指定ホルダとし、前記指定ホルダを用いて前記部品の装着動作を実行する、第一の部品装着機を開示する。
【0007】
本明細書は、水平方向に移動可能な移動台と、採取した部品を保持する保持部材を取り付けられるホルダと、前記移動台に設けられ、前記ホルダを昇降可能に支持する装着ヘッドと、前記部品の装着位置および装着順序を示す制御プログラム、並びに前記装着位置ごとに予め設定された補正量を示す補正データに基づいて、前記装着ヘッドによる前記部品の装着動作を制御する装着制御部と、を備える第二の部品装着機を開示する。
【発明の効果】
【0008】
第一の部品装着機の構成によると、リカバリ処理において装着処理において装着位置ごとに割り当てられたホルダ(指定ホルダ)を用いて対象位置への装着動作が実行される。これにより、装着処理と同様の装着条件とすることができ、例えばホルダごとに補正量などが装着動作に適用される。結果として、リカバリ処理における装着の精度向上を図ることができる。
第二の部品装着機の構成によると、予め設定した補正量を複数の装着位置の個々に反映させることができる。結果として、装着の精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態における部品装着機の構成を示す模式図である。
図2】装着ヘッドの構成を模式的に示す平面図である。
図3】素着ヘッドの構成を模式的に示す側面図である。
図4】制御プログラムおよび補正データを示す図である。
図5】部品装着機による装着処理を示すフローチャートである。
図6】装着処理におけるリカバリ処理を示すフローチャートである。
図7】装着処理における装着動作のエラーの発生とリカバリ処理におけるPPサイクルの関係を示す図である。
図8】リカバリ処理における装着ヘッドの移動を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.部品装着機の概要および構成
以下、部品装着機を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。部品装着機は、例えば他の部品装着機を含む複数種類の対基板作業機とともに、基板製品を生産する生産ラインを構成する。上記の生産ラインを対基板作業機には、印刷機や検査装置、リフロー炉などが含まれ得る。部品装着機は、基板に部品を装着する装着処理を実行する。
【0011】
部品装着機1は、図1に示すように、基板搬送装置10を備える。基板搬送装置10は、基板90を搬送方向へと順次搬送するとともに、基板90を機内の所定位置に位置決めする。部品装着機1は、部品供給装置20を備える。部品供給装置20は、基板90に装着される部品を供給する。部品供給装置20は、複数のスロット21にフィーダ22をそれぞれセットされる。フィーダ22は、多数の部品が収納されたキャリアテープを送り移動させて、部品を採取可能に供給する。
【0012】
部品移載装置30は、部品供給装置20により供給された部品81を基板90上の所定の装着位置に移載する。部品移載装置30は、ヘッド駆動装置31、移動台32、および装着ヘッド40を備える。ヘッド駆動装置31は、直動機構により移動台32を水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。装着ヘッド40は、図示しないクランプ部材により移動台32に着脱可能に設けられている。
【0013】
装着ヘッド40は、図2および図3に示すように、複数のホルダ41を昇降可能に支持する。複数のホルダ41のそれぞれは、採取した部品81を保持する吸着ノズル42をそれぞれ取り付けられる。吸着ノズル42は、採取した部品81を保持する保持部材である。吸着ノズル42は、供給される負圧エアにより、フィーダ22により供給される部品81を吸着する。保持部材としては、部品81を把持することにより保持するチャックなどが採用され得る。
【0014】
装着ヘッド40は、所定位置の複数のホルダ41および複数の吸着ノズル42(本実施形態において4本の吸着ノズル42)をマトリックス状に配列される。装着ヘッド40は、回転装置43を備える。回転装置43は、複数のホルダ41をそれぞれの軸線周りに回転させる。本実施形態において、回転装置43は、複数のホルダ41の回転に共用される。つまり、複数のホルダ41のうち一つを対象として回転装置43が駆動すると、対象のホルダ41および他のホルダ41も連動して、同方向に同角度だけ回転する。
【0015】
装着ヘッド40は、複数の昇降装置44を備える。複数の昇降装置44のそれぞれは、複数のホルダ41ごとに設けられ、対応するホルダ41を独立して昇降させる。吸着ノズル42は、ホルダ41の昇降により、ホルダ41と一体的に昇降する。なお、装着ヘッド40には、ホルダ41を1つ支持するタイプ、複数のホルダ41を種々の態様により支持するタイプがある。装着ヘッド40が複数のホルダ41を支持する構成において、装着ヘッド40は、複数の回転装置43を備えてもよい。
【0016】
また、装着ヘッド40は、複数のホルダ41を例えば4本を1列として複数列に亘り配置するようにしてもよい。さらに、装着ヘッド40は、鉛直軸(Z軸)に平行なR軸周りに回転可能に設けられたロータリヘッドにより、複数のホルダ41を支持するようにしてもよい。ロータリヘッドには、複数のホルダ41が周方向に等間隔で配置される。ロータリヘッドを備える装着ヘッド40は、例えば昇降装置44を共用し、所定位置に割り出されたホルダ41を昇降させるようにしてもよい。
【0017】
部品装着機1は、部品カメラ51、および基板カメラ52を備える。部品カメラ51、および基板カメラ52は、CMOSなどの撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ51、および基板カメラ52は、制御信号に基づいて撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを送出する。部品カメラ51は、装着ヘッド40の吸着ノズル42に保持された部品81を下方から撮像可能に構成される。基板カメラ52は、装着ヘッド40と一体的に水平方向に移動可能に移動台32に設けられる。基板カメラ52は、基板90を上方から撮像可能に構成される。
【0018】
部品装着機1は、制御装置60を備える。制御装置60は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置60は、記憶装置61を備える。記憶装置61は、ハードディスク装置などの光学ドライブ装置、またはフラッシュメモリなどにより構成される。記憶装置61には、装着処理の制御に用いられる制御プログラムD1や補正データD2などの各種データが記憶される。
【0019】
制御プログラムD1は、図4に示すように、装着処理において基板90に装着される部品81の装着位置および装着順序(M11,M12,・・・)を示す。装着位置には、水平方向の座標値(X11Y11,X12Y12,・・・)と、装着角度(θ11,θ12,・・・)とが含まれる。また、制御プログラムD1には、装着位置に装着すべき部品81の種類(PA,PB,・・・)が含まれる。なお、制御プログラムD1に関連付けられるホルダ41の割り当て(H1-H4)、吸着ノズル42の割り当て(N1-N4)、および補正データD2の詳細については後述する。
【0020】
制御装置60は、状態認識部62を備える。状態認識部62は、複数の保持部材(吸着ノズル42)のそれぞれに保持された部品81の保持状態の認識処理を実行する。具体的には、状態認識部62は、部品カメラ51の撮像により取得された画像データを画像処理し、装着ヘッド40の基準位置に対する各部品81の位置および角度を認識する。なお、状態認識部62は、部品カメラ51の他に、例えば装着ヘッド40に一体的に設けられるヘッドカメラユニットなどが部品81を側方、下方、または上方から撮像して取得された画像データを画像処理するようにしてもよい。
【0021】
制御装置60は、装着制御部63を備える。装着制御部63は、制御プログラムD1に基づいて、装着ヘッド40による部品81の装着動作を制御して装着処理を実行する。ここで、装着処理には、部品供給装置20により供給された部品81を複数の吸着ノズル42により採取する採取動作と、採取した部品81を基板90における所定の装着位置に装着する装着動作とが含まれるピックアンドプレースサイクル(以下、「PPサイクル」と称する)を複数回に亘って繰り返す処理が含まれる。
【0022】
装着制御部63は、装着処理において、各種センサから出力される情報や画像処理の結果(状態認識部62による認識結果を含む)、制御プログラムD1などに基づき、装着ヘッド40の動作を制御する。これにより、装着ヘッド40に支持された複数のホルダ41および吸着ノズル42の位置および角度が制御される。
【0023】
ここで、状態認識部62による認識処理の結果によると、装着ヘッド40の基準位置に対する部品81の位置および角度の他に、採取動作により部品81が正常に採取されたか否かも判定することができる。例えば、制御装置60は、複数の吸着ノズル42のうち所定の吸着ノズル42が部品81を採取できなかった場合(部品81を認識できなかった場合)や、採取した部品81が正常でない場合(部品81の一部の欠損、変形、または部品81が裏返しの状態の場合)などに、今回のPPサイクルにおいて所定の吸着ノズル42に割り当てられた装着動作が実行不能であると判定する。
【0024】
装着制御部63は、上記のように所定の装着動作が実行不能である場合に、装着動作のエラーが発生したものとする。装着制御部63は、実行不能な装着動作を、制御プログラムD1により示される装着順序においてスキップすべきスキップ動作とする。なお、装着制御部63は、上記のように状態認識処理の結果に基づく他に、例えば装着動作を試行した後に当該装着動作が正常に終了しなかった装着不良の場合にも装着動作のエラーが発生したものとすることがある。
【0025】
具体的には、部品81が基板90上の装着位置に到達する前に吸着ノズル42から脱落したり、装着を試行した吸着ノズル42の先端に部品81が付着していたりする場合にも、装着制御部63は、装着動作のエラーとする。上記のような装着動作のエラーが発生した場合に、エラーの種別によっては自動的に、またはオペレータの処理再開の指示の後に、装着制御部63は、装着動作(スキップ動作、装着不良に係る動作)に係る装着位置に再度の部品81の装着を試行するリカバリ処理を実行する。装着制御部63によるリカバリ処理の詳細については後述する。
【0026】
2.制御プログラムD1および補正データD2
上記のように、制御プログラムD1には、図4に示すように、部品81の装着位置および装着順序が含まれる。このような制御プログラムD1を用いた装着処理において、それぞれの装着位置には、当該装着位置への部品81の装着動作に用いられるホルダ41が割り当てられる。この「ホルダ41の割り当て」とは、本実施形態のように装着ヘッド40が複数のホルダ41を支持する構成において、装着位置ごとにどのホルダ41を適用するかを示すものである。所定のホルダ41が割り当てられると、当該ホルダ41に取り付けられた吸着ノズル42により採取された部品81の装着が実行される。
【0027】
なお、上記のような装着位置ごとのホルダ41の割り当ては、予め設定された固定式であってもよいし、装着処理の環境等に応じて動的に設定する自動式であってもよい。ホルダ41の割り当ての固定式では、例えば図4に示すように、装着位置ごとに適用するホルダ41(L1-L4)の割り当てが制御プログラムD1に含められる。なお、複数のホルダ41のそれぞれには吸着ノズル42が取り付けられていることから、ホルダ41の割り当てに伴って、装着動作に用いられる吸着ノズル42(N1-N4)が同時に割り当てられる。
【0028】
また、ホルダ41の割り当ての自動式では、例えば装着ヘッド40の基準位置に対する4つのホルダ41の位置関係や、装着位置の相互の位置関係、部品供給装置20における必要な部品81の供給位置と装着ヘッド40との位置関係などによって、生産効率の観点から制御装置60が適宜設定する。これにより、現在の生産環境に応じて、例えば装着ヘッド40の移動距離が短くなるようにホルダ41が割り当てられ、生産の効率化が図られる。なお、このような自動式でホルダ41の割り当てがなされても、生産環境などの変更がない限りは、異なる回の装着処理において同一の装着位置に同一のホルダ41が原則的に割り当てられる。
【0029】
ここで、部品装着機1は、装着処理の実行前に校正処理が実行される。校正処理は、部品移載装置30の動作誤差などの動作誤差を吸収するために実行される。また、上記の校正処理は、一般的には、例えばテスト用のマスター基板に疑似部品を規定の動作で装着し、この疑似部品の位置誤差および角度誤差を算出する。そして、装着処理に使用予定の装着ヘッド40の動作を校正するようにXY方向、Z方向、およびθ方向の補正量が設定される。上記のような校正処理により取得した補正量を適用することにより装着処理により装着された部品の位置誤差および角度誤差をある許容範囲に収めることが期待される。
【0030】
しかしながら、基板製品における部品の高密度化や品質向上の要請に伴って上記の許容範囲が小さくなり、部品装着機1には、装着精度の向上の要請がある。これに対して、校正処理に基づく補正量を適用したとしても位置誤差が発生する要因として、部品移載装置30には、装着領域、より厳密には装着位置ごとに誤差量やずれ方向の指向性が異なるとの見識が見出された。そこで、本実施形態の部品装着機1は、実行予定の装着処理と同様の装着位置に部品81を装着し、当該装着の結果に基づく校正処理を実行する。
【0031】
上記のような校正処理によって、図4に示すように、装着位置ごとに予め設定された補正量を示す補正データD2が取得される。つまり、装着制御部63は、装着処理において、従来であれば一定の補正量を適用してそれぞれの装着位置に部品を装着するところ、補正データD2に従って装着位置ごとに設定された補正量を適用して部品を装着する。このような補正データD2は、基板製品の種類に対応する装着処理ごとに生成する必要があり、また校正処理においても誤差検出の対象点数が多くなる。
【0032】
しかしながら、上記のような補正データD2を用いることによって、装着位置ごとの位置誤差および角度誤差を小さくでき、狭い許容範囲に対応することが可能となる。結果として、基板製品における部品の高密度化や品質向上を図ることができる。なお、本実施形態の部品装着機1は、装着ヘッド40が着脱可能な構成であることから、装着ヘッド40に固有の校正処理がなされることが好適である。このような態様において、補正データD2は、制御プログラムD1および装着ヘッド40の組み合わせに応じて生成される。
【0033】
また、本実施形態の装着ヘッド40は、複数のホルダ41を支持する構成である。よって、上記のように見出された見識によれば、複数のホルダ41ごとに誤差量やずれ方向の指向性が異なることが想定される。よって、装着処理においては、補正データD2を取得するためになされる校正処理における装着位置とホルダ41の組み合わせで実行されることが好ましい。そこで、装着位置ごとの補正量を示す補正データD2を用いた装着処理を実行する場合には、装着位置ごとにホルダ41が動的に割り当てられないように、制御プログラムD1にホルダ41の割り当てを含めた固定式とすることが有用である。
【0034】
なお、上記のように見出された見識によれば、ホルダ41に交換可能に取り付けられる吸着ノズル42についても同様に、校正処理で使用された吸着ノズル42が装着処理においても同一の装着位置に割り当てられるようにすることが好ましい。しかしながら、吸着ノズル42は、ホルダ41と比較して、メンテナンスを要するまでの期間が短く、またはメンテナンスを要するまでに装着動作に使用可能な回数が少ないため、基板製品の生産中に適宜交換される。そのため、吸着ノズル42を含めた構成機器の組み合わせごとに補正データD2を生成することは段取りの所要時間を長くする要因となり得る。よって、基板製品に対する要求精度と、許容される生産時間との関係により適切な校正処理を実行し、補正データD2を適宜生成することが好ましい。
【0035】
本実施形態において、補正データD2の補正量には、図4に示すように、理想の装着位置(設計上の装着位置に相当)に対する実際の装着位置(校正処理において実際に部品が装着された位置に相当)の位置誤差に基づいて算出された水平方向のXY校正値が含まれる。さらに、補正データD2の補正量には、装着位置における理想の装着角度(設計上の装着角度に相当)に対する実際の装着角度(校正処理において実際に部品が装着された角度に相当)の角度誤差に基づいて算出された鉛直軸周りのθ校正値が含まれる。
【0036】
また、補正データD2は、制御プログラムD1に含まれる装着位置の少なくとも一部ごとの補正量を示してもよいし、全ての装着位置ごとの補正量を示してもよい。装着精度の向上の観点からは、補正データD2に全ての装着位置ごとの補正量が含まれることが好ましい。しかしながら、実際には、基板90上において部品81の種類や装着領域などによっては要求精度が異なることがある。そこで、補正データD2は、特に要求精度が高い部品81の種類、または装着領域に対応する装着位置にのみ適用される個々の補正量を含み、加えてその他の装着位置に適用される一般的な補正量を含むようにしてもよい。
【0037】
なお、補正データD2は、例えば上記のように校正処理により生成される。そして、補正データD2は、その後にさらに実行される校正処理の結果を考慮して適宜編集され得る。また、補正データD2は、装着処理の実行後に、例えば基板カメラ52を用いた装着済みの部品81の撮像により取得された画像データを画像処理し、その画像処理の結果に基づいて解析された実際の装着状態により調整されるようにしてもよい。
【0038】
3.部品装着機1による装着処理
部品装着機1による装着処理について図4および図5を参照して説明する。先ず、部品装着機1の基板搬送装置10は、図5に示すように、基板90の搬入処理を実行する(S11)。これにより、機内に基板90が搬入されるとともに、機内の所定位置に位置決めされる。次に、装着制御部63は、PPサイクルを実行する。
【0039】
PPサイクルにおいて、装着制御部63は、複数の吸着ノズル42を用いて部品を採取する採取動作を繰り返し実行する(S12)。なお、この採取動作(S12)では、装着制御部63は、図4に示すように、制御プログラムD1にてそれぞれの装着位置に割り当てられたホルダ41(H1-H4)、およびそれぞれのホルダ41に取り付けられた吸着ノズル42(N1-N4)を用いて、部品81を吸着するように装着ヘッド40の動作を制御する。
【0040】
続いて、状態認識部62は、複数の吸着ノズル42にそれぞれ保持された部品の保持状態の認識処理を実行する(S13)。詳細には、制御装置60は、装着ヘッド40を部品カメラ51の上方に移動させ、部品カメラ51に撮像指令を送出する。状態認識部62は、部品カメラ51の撮像により取得された画像データを画像処理して、複数の吸着ノズル42のそれぞれに保持された部品の姿勢(位置および角度)を認識する。
【0041】
装着制御部63は、認識処理(S13)の結果に基づいて、スキップ動作を設定する(S14)。詳細には、装着制御部63は、複数の吸着ノズル42のうち部品の吸着を試行した1以上の吸着ノズル42のそれぞれが部品を適正に保持しているかを、認識処理(S13)の結果から判定する。具体的には、装着制御部63は、所定の吸着ノズル42が部品を採取していない場合、採取した部品が鉛直軸に対して傾斜している場合、部品が裏返した状態で保持されている場合などに、当該所定の吸着ノズル42による装着動作が実行不能であると判定する。
【0042】
装着制御部63は、所定の吸着ノズル42に割り当てられた装着動作が実行不能である場合に、後にリカバリ処理の実行が必要な装着動作のエラーが発生したと判定し、当該装着動作をスキップ動作とする。詳細には、例えば、図7に示すように、4個の吸着ノズル42のうち第三の吸着ノズル42(N3)による装着動作が実行不能である場合に、装着制御部63は、当該装着動作に係る装着位置(X13Y13)への装着動作をスキップ動作とする。なお、装着動作のエラーが発生していない場合には、装着制御部63は、今回のPPサイクルにおいてはスキップ動作に設定する装着動作を0とする。
【0043】
続いて、装着制御部63は、複数の吸着ノズル42を用いて部品を装着する装着動作を繰り返し実行する(S15)。なお、この装着動作(S15)では、装着制御部63は、制御プログラムD1にてそれぞれの装着位置に割り当てられたホルダ41(H1-H4)を用いて、部品81を装着するように装着ヘッド40の動作を制御する。さらに、装着ヘッド40は、装着位置に対して、認識処理(S13)の結果、および補正データD2にてそれぞれの装着位置ごとに設定された補正量に基づいて、ホルダ41および吸着ノズル42が位置決めおよび角度決めされるように装着ヘッド40の動作を制御する。
【0044】
また、装着制御部63は、上記のような補正データD2を用いた装着動作を実行する際に、さらなる装着の精度向上を図るために以下のような制御態様を採用し得る。具体的には、装着制御部63は、補正データD2により示される補正量を適用して部品81の装着動作を実行する際に、校正処理においてXY校正値を算出するために動作させた装着ヘッド40の移動速度で装着ヘッド40を移動させてもよい。これにより、ヘッド駆動装置31の直動機構における位置決め誤差の特性(例えば、バックラッシの発生特性)を加味した補正が可能となる。
【0045】
さらに、装着制御部63は、補正量を適用して部品81の装着動作を実行する際に、校正処理においてθ校正値を算出するために動作させたホルダ41の回転速度でホルダ41を回転させてもよい。これにより、装着ヘッド40の回転装置43における角度決め誤差の特性を加味した補正が可能となる。よって、上記のような制御態様の採用により、装着のさらなる精度向上を図ることができる。
【0046】
装着制御部63は、制御プログラムD1に基づいて、全てのPPサイクルが終了したか否かを判定する(S16)。全てのPPサイクルが終了していない場合には(S16:No)、装着制御部63は、PPサイクル(S12-S15)を繰り返し実行する。全てのPPサイクルが終了した場合に(S16:Yes)、装着制御部63は、実行されたPPサイクルにおいてスキップ動作があったか否かを判定する(S17)。1以上のスキップ動作があった場合には(S17:Yes)、装着制御部63は、スキップ動作を集約したリカバリ処理を実行する(S20)。リカバリ処理の詳細については後述する。
【0047】
リカバリ処理(S20)が終了した後に、または実行されたPPサイクルにおいてスキップ動作がなかった場合には(S17:No)、制御装置60は、基板90の搬出処理を実行する(S18)。基板90の搬出処理において、基板搬送装置10は、位置決めされていた基板90をアンクランプするとともに、部品装着機1の機外に基板90を搬出する。上記のような構成によると、複数の装着位置ごとに予め設定された補正量を個々に反映させることができる。結果として、装着の精度向上を図ることができる。
【0048】
4.部品装着機1によるリカバリ処理
部品装着機1による装着処理について図4図6図8を参照して説明する。装着制御部63は、装着動作のエラーが生じた場合に、装着処理においてリカバリ処理を実行する。ここでは、PPサイクルごとにリカバリ処理を実行するのではなく、全てのPPサイクルが終了した後に、1以上のスキップ動作(実行不能と判定された装着動作)を集約したリカバリ処理を実行するものとする。また、ここでは、装着処理において、図7に示すように、2つのスキップ動作(M13,M22)が生じたものとして説明する。
【0049】
装着制御部63は、図6に示すように、1以上のエラーとなった装着動作に係る装着位置を対象位置とする(S21)。具体的には、装着制御部63は、図7に示すように、制御プログラムD1におけるスキップ動作(M13,M22)に係るそれぞれの装着位置(X13Y13,X22Y22)を対象位置Mrとする。次に、装着制御部63は、複数のホルダ41(H1-H4)のうち装着処理において対象位置Mrに割り当てられていた一つ(H3,H2)を指定ホルダLsとする(S22)。
【0050】
続いて、装着制御部63は、リカバリ処理におけるPPサイクルに係るシーケンスを生成する(S23)。このとき、装着制御部63は、装着処理に設定された動作モードに応じたシーケンスを生成する。上記の動作モードには、精度優先モードと、生産優先モードとが含まれる。精度優先モードは、リカバリ処理において指定ホルダLsを用いて部品81の装着動作を実行する動作モードである。また、生産優先モードは、リカバリ処理において所要時間に基づいて複数のホルダ41(H1-H4)から部品81の装着動作に用いるホルダ41を選択する動作モードである。
【0051】
装着制御部63は、精度優先モードの場合には、図7に示すように、リカバリ処理において装着処理と同じホルダ41を対象位置Mrに再度割り当て、指定ホルダLsを用いて部品81の採取動作および装着動作を実行するシーケンスKsを生成する。また、装着制御部63は、生産優先モードの場合には、図7に示すように、リカバリ処理の所要時間が短くなるようにホルダ41を対象位置Mrに割り当て、そのホルダ41を用いて部品81の採取動作および装着動作を実行するシーケンスKpを生成する。
【0052】
装着制御部63は、上記の精度優先モードと生産優先モードとを、種々の態様により切り換えることができる。例えば、装着制御部63は、対象位置Mr、対象位置Mrに装着される部品81の種類、および生産される基板製品の種類の少なくとも一つに基づいて切り換えるようにしてもよい。つまり、装着制御部63は、要求精度が高い装着領域や部品種類によって個々に動作モードを切り換えてもよい。また、基板製品のように対応する装着処理ごとに、または制御プログラムD1ごとに動作モードを切り換えてもよい。なお、以下では、精度優先モードが選択されているものとして説明する。
【0053】
装着制御部63は、S23にて生成されたシーケンスKsに基づいて、PPサイクルを実行する(S24)。このPPサイクルは、装着処理における通常のPPサイクル(図5のS12-S15)と同様である。ここで、リカバリ処理における対象位置Mrは、装着処理における通常のPPサイクルにおいて偶発的に発生した装着エラーに対応する装着値である。そのため、リカバリ処理では、当然ながら対象位置Mrの前後の装着位置が通常のPPサイクルとは異なる。
【0054】
ところで、上記の補正データD2は、校正処理において制御プログラムD1により示される装着位置に規定の装着順序で装着動作を行って取得された位置誤差などに基づいて生成される。そのため、リカバリ処理におけるPPサイクル(S24)において補正データD2を適用する場合に、通常のPPサイクル(S12-S15)において対象位置Mrに正常に装着動作がなされた状況と同様になるように装着動作を行うことがより精度向上を図ることができるとの見識が見出された。そこで、本実施形態の装着制御部63は、リカバリ処理における装着動作に、以下のような制御態様を採用する。
【0055】
具体的には、装着制御部63は、図8に示すように、リカバリ処理において対象位置Mrに指定ホルダLsを位置決めする際に、直前ヘッド位置Hpからリカバリヘッド位置Hrまでの移動軌跡Trのうち少なくともリカバリヘッド位置Hrを終端とする一部に沿って装着ヘッド40をリカバリヘッド位置Hrまで移動させる。上記の「直前ヘッド位置Hp」とは、制御プログラムD1における装着順序が対象位置Mrの直前である装着位置Mpに対して、装着動作を実行する装着ヘッド40の位置である。また、上記の「リカバリヘッド位置Hr」とは、リカバリ処理において対象位置Mrに対して装着動作を実行する装着ヘッド40の位置である。
【0056】
つまり、装着制御部63は、通常のPPサイクルにおいて装着動作のエラーが発生しなかった場合に対象位置Mrに対してなされた装着ヘッド40のアプローチ(図8の破線で示す移動軌跡Tc)の少なくとも一部と同様になるように、装着ヘッド40を移動させる。このとき、移動軌跡Trのうちどの程度の長さに沿って装着ヘッド40を移動させるかは任意に設定することができるが、長くなるほど精度向上の観点からは好適である。なお、移動軌跡Trの全長に亘って装着ヘッド40を移動軌跡Trに沿って移動させてもよい。
【0057】
換言すると、装着制御部63は、以下のような順で装着ヘッド40を移動させる。つまり、装着制御部63は、リカバリ処理において、先ず制御プログラムD1における装着順序が対象位置Mrの直前である装着位置Mpに、装着処理において当該装着位置に割り当てられたホルダ41を位置決めする。次に、装着制御部63は、対象位置Mrに指定ホルダLsを位置決めするように装着ヘッド40を移動させる。
【0058】
また、上記の他に、装着制御部63は、以下のようなホルダ41の回転に関する制御態様を採用し得る。具体的には、装着制御部63は、リカバリ処理において対象位置Mrに指定ホルダLsを角度決めする際に、直前ホルダ角度Apおよびリカバリホルダ角度Arにより規定される回転方向Crに指定ホルダLsを回転させるように回転装置43を回転させる。
【0059】
上記の「直前ホルダ角度Ap」とは、制御プログラムD1における装着順序が対象位置Mrの直前である装着位置Mpでの装着角度に応じたホルダ41の角度である。また、上記の「リカバリヘッド位置Hr」とは、リカバリ処理において対象位置Mrでの装着角度に応じたホルダ41の角度である。つまり、装着制御部63は、通常のPPサイクルにおいて装着動作のエラーが発生しなかった場合に対象位置Mrに対してなされたホルダ41の回転動作の少なくとも一部と同様になるように、回転装置43を回転させる。
【0060】
さらに、装着制御部63は、リカバリ処理において指定ホルダLsを用いて部品81の装着動作を実行する際に、補正データD2により対象位置Mrに設定された補正量を適用する。つまり、装着制御部63は、精度優先モードのシーケンスKsに基づいて、PPサイクルの実行の際に指定ホルダLsを用いた装着動作を実行する。このとき、装着制御部63は、装着位置ごとの補正量を示す補正データD2を適用し、対象位置Mrに設定された補正量を装着動作に反映させる。
【0061】
装着制御部63は、上記のような制御態様により装着の精度向上を図っている。なお、装着制御部63は、通常のPPサイクルにおいて採用した装着ヘッド40の移動およびホルダ41の回転に係る制御態様を、リカバリ処理に適用してもよい。具体的には、装着制御部63は、補正データD2により示される補正量を適用して部品81の装着動作を実行する際に、校正処理においてXY校正値を算出するために動作させた装着ヘッド40の移動速度で装着ヘッド40を移動させる。さらに、装着制御部63は、補正量を適用して部品81の装着動作を実行する際に、校正処理においてθ校正値を算出するために動作させたホルダ41の回転速度でホルダ41を回転させる。
【0062】
装着制御部63は、シーケンスKsに基づいて、全てのPPサイクルが終了したか否かを判定する(S25)。全てのPPサイクルが終了していない場合には(S25:No)、装着制御部63は、PPサイクル(S24)を繰り返し実行する。全てのPPサイクルが終了した場合に(S25:Yes)、装着制御部63は、実行されたPPサイクルにおいて装着動作のエラーがあったか否かを判定する(S26)。つまり、リカバリ処理のPPサイクル(S24)において、例えば一部の装着動作が実行不能であるとしてスキップ動作が設定されるなどした場合に、装着制御部63は、装着動作のエラーがあったものとする。
【0063】
装着制御部63は、装着動作のエラーがあった場合に(S26:Yes)、エラー処理を実行する(S27)。具体的には、装着制御部63は、エラー処理として、例えば再度のリカバリ処理を実行してもよい。また、装着制御部63は、エラー処理として、例えば同一の装着位置に対するリカバリ処理の実行回数が規定回数に達している場合にはオペレータに対して、メンテナンスが必要である旨を通知してもよい。装着制御部63は、エラー処理(S27)の実行後、またはPPサイクルにおいて装着動作のエラーがなかった場合に(S26:No)、リカバリ処理を終了する。
【0064】
上記のような構成によると、リカバリ処理(S20)において装着処理において装着位置ごとに割り当てられたホルダ41(指定ホルダLs)を用いて対象位置Mrへの装着動作が実行される。これにより、装着処理と同様の装着条件とすることができ、例えばホルダ41ごとに設定された補正量などが装着動作に適用される。結果として、リカバリ処理における装着の精度向上を図ることができる。
【0065】
5.実施形態の変形態様
実施形態において、リカバリ処理のPPサイクル(S24)における制御態様として、装着動作のエラーが発生しなかった場合と同様に装着ヘッド40を移動させたり、回転装置43を回転させたりする構成とした。上記のような制御態様を、通常のPPサイクルにおいてスキップ動作を設定した際に同様に適用してもよい。
【0066】
詳細には、例えば通常のPPサイクルにおいて、部品81の状態認識の結果により所定の装着動作が実行不能であると判定され、装着制御部63は、当該装着動作をスキップ動作に設定したとする。このとき、スキップ動作の設定に伴って、スキップ動作の直前の装着動作に係る装着位置(以下、第一位置)から、スキップ動作の直後の装着動作に係る装着位置(以下、第二位置)へと装着ヘッド40が移動されることになる。
【0067】
このとき、第一位置から第二位置への装着ヘッド40の移動軌跡は、スキップ動作に係る装着位置(対象位置)を経由しないならば、校正処理における装着ヘッド40の移動軌跡と相違する。そこで、通常のPPサイクルにおいてスキップ動作が設定された場合に、装着制御部63は、例えば対象位置での装着動作は実行しないが、対象位置を経由して第二位置へとアプローチし、回転装置43を規定の回転方向に回転させるようにしてもよい。
【0068】
これにより、PPサイクルにおける装着ヘッド40の動作、および回転装置43の回転が補正データD2を生成するために実行された校正処理の実行時と同様になる。よって、補正データD2がより好適に装着動作に反映される。結果として装着の精度向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0069】
1:部品装着機、 30:部品移載装置、 31:ヘッド駆動装置、 32:移動台、 40:装着ヘッド、 41:ホルダ、 42:吸着ノズル(保持部材)、 43:回転装置、 44:昇降装置、 60:制御装置、 61:記憶装置、 62:状態認識部、 63:装着制御部、 81:部品、 90:基板、 D1:制御プログラム、 D2:補正データ、 FH1:XY校正値、 FR1:θ校正値、 Hp:直前ヘッド位置、 Hr:リカバリヘッド位置、 Ls:指定ホルダ、 Mp:直前の装着位置、 Mr:対象位置、 Tc,Tr:移動軌跡、 Cr:回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8