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特許7402374時刻表示機構及び当該時刻表示機構を備えた時計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】時刻表示機構及び当該時刻表示機構を備えた時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/34 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
G04B19/34 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023107369
(22)【出願日】2023-06-29
(62)【分割の表示】P 2023021199の分割
【原出願日】2023-02-14
【審査請求日】2023-06-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523053288
【氏名又は名称】安部 省吾
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】安部 省吾
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-39926(JP,A)
【文献】特公昭50-16949(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0084790(US,A1)
【文献】特開2019-86501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
G03B 21/00 - 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計の文字盤の時刻を指す指針を回転させる駆動部の回転軸へ前記指針を設けるのに代え、前記回転軸へ設けられて前記回転軸の回転にて回転する光源を可動光源として備え、前記可動光源の回転径の外側にて前記駆動部を収容する基体に対し前記回転軸を中心として環状に並べて固定された12個の光源を固定光源として備え、前記固定光源は、時刻の時として夜空の霧等の遠隔の投影対象へ12個の環状に並べられたスポットライトを当てることにて時計の文字盤に代えて時刻表示とするものであり、前記可動光源は、前記時刻表示のスボットライトの呈する環に沿って移動するスポットライトを、前記時刻表示を基準として、前記投影対象の現在時刻を示す位置へ当てるものであり、
前記夜空の霧等の遠隔の投影対象とは、不透明な大気、建物の外壁、建物の内壁、建物の天井、建造物の天井面、屋内に設置された映画のスクリーン、屋外に設置された映画のスクリーンの、少なくとも何れか1つである時刻表示機構。
【請求項2】
請求項1に記載の時刻表示機構を備えた時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻を表示する時計に関し、詳しくは腕時計や懐中時計などの携帯する時計や、置時計、掛け時計、設備時計などの建物や屋外に設置される時計とその時刻表示機構に関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計や懐中時計、置時計、掛け時計、更にはスタジアムといった公共施設などに設置される時計(設備時計)については、何れも文字盤上に時針や分針、秒針を配して現在時刻を表示するものが旧来より一般的である。
上記の時針や分針、秒針とされる、長針や短針など物理的な指針を備えた上記旧来の時計では、衝撃で針が文字盤から脱落してしまうこと、正確には針を支持し針を回転させる軸や筒カナといった回転軸から針が脱落してしまうことがある。
【0003】
近年、腕時計や置時計、一部の設備時計について、液晶表示や電光表示といったデジタル表示を行う、物理的な指針を備えないものも広く普及しており、当該デジタル表示を行う時計によって、上記指針の脱落の問題は解消されたと言える。
しかし指針で数字を指すのではなく、アラビア数自体を直接描写して時刻を示すデジタル表示は味気なく、また予定時刻までの残り時間を直感的に把握し難い。このため、長針や短針によるアナログ表示が好まれ、現在でも長針や短針などの物理的な指針を備えたものは、流通する時計の一角を担っている。
【0004】
更に上記従来のアラビア数のデジタル表示の時計では、外観上他のアラビア数のデジタル表示の時計との差別化を図り難い上安っぽく感じられ、物理的な指針を備えた旧来の時計のような需要者の所有欲を喚起する趣向性も乏しい。また上記アラビア数の描写によるデジタル表示は、上記趣向性の乏しさに加え現在では当初の目新しさも無く陳腐なものとなっている。
最近では液晶表示の画面に長針や短針などの画像を表示し疑似的にアナログ表示を演出したものもあるが、文字盤の正面視では旧来のアナログ時計と同じように見えても、文字盤を斜めから眺めれば、長針や短針が背景の文字盤と同じ液晶画面上の平面的な画像であることが伺い知れる。
【0005】
一方、指針の上記脱落の問題もさることながら、長針や短針などの物理的な指針を備えた上記旧来の時計についても、趣向性を有する反面、基本的なデザインの古臭ささを感じさせるものであることは否めない。この基本デザインの古臭さについては液晶表示の画面へ長針や短針などの画像を表示し上記疑似的なアナログ表示の時計についても同様である。
スマートフォンが普及した現在では腕時計を着けない人も珍しくなく、上記の各問題は時計の需要の低迷に拍車を掛けている。
【0006】
ここで物理的な指針の上記脱落の問題に焦点を当てると、当該指針を備えた時計は、細長い指針の一端(基端)を上記軸や筒カナといった回転軸で支持し当該指針の先端側を文字盤へ接触させることなく一方向に向けて伸ばす構造を採り、細長い指針の当該先端側に重力によるモーメントが作用した状態となることから、上記軸や筒カナに対し指針の伸びる側に偏って負荷を掛けるものとなり衝撃を受けた際の指針の上記脱落し易さの一つの要因となっている。
【0007】
上述の背景の下、特許文献1に提案された時計は、中心を上記回転軸に取付けられた円盤の縁へ指針となる指針3aやマーク4aを表示することで、指針を表示する回転部分は上記軸や筒カナに対する負荷を特定の方向に偏らさずバランスの取れたものとなっており、デジタル表示と異なる物理的構成を採りつつも、指針に相当する表示の脱落の危惧を低減させ、尚且つ、従来の物理的な長針や短針を備えた時計にはない斬新なデザインを付与したものに見える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-142354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし特許文献1に示す時計のように、時分秒の間において表示のさせ方が余りに異なると、斬新で趣向性は高くとも一瞥して現在時刻を正確に知ることは困難となり、実用面では問題である。
【0010】
そこで本発明は、指針脱落の危惧を回避して時計の需要を喚起する新たな時刻の表示手段を備えると共に、少なくとも時・分間の表示のルールを把握し易い統一したものとできる時刻表示機構を提案し、一瞥して現在時刻を認識できる斬新な時計を提供可能とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、時計の文字盤の時刻を指す指針を回転させる駆動部の回転軸へ、前記指針に代え環状のリング部材を設けるものであって、前記回転軸から放射状に伸びる細長で薄板状の複数のアームを前記回転軸へ取り付け、前記アーム先端へ前記リング部材を固定することにて各アームに前記リング部材を支持させ、前記リング部材の周方向の1箇所へ文字盤の時刻を指す印を指標として設け、前記回転軸にて前記リング部材を回転させることにより、前記指標にて現在時刻に対応する前記文字盤の位置を指し示す時刻表示機構を提供する。
また本発明は、時計の文字盤の時刻を指す指針を回転させる駆動部の回転軸へ、前記指針に代え環状のリング部材を設けるものであって、前記回転軸から放射状に伸びる細長で複数の薄板状のアームを前記回転軸へ取り付け、前記アーム先端へ前記リング部材を固定することにて各アームに前記リング部材を支持させ、前記リング部材において前記リング部材の周方向に沿って時刻を示す数字等の表示を配列し、前記文字盤側へ時刻の表示に代え、現在時刻に対応する前記リング部材中の前記表示を指す指標となる印を設けた時刻表示機構を提供する。
時刻を示す数字等の表示には、数字の他、数字以外の時刻を示す、文字や目盛り、印を含む。
更に本発明は、時計の文字盤の時刻を指す指針を回転させる駆動部の回転軸へ前記指針を設けるのに代え、前記回転軸の突出する前記文字盤の中央部分を最深部として後退させるすり鉢状に前記文字盤を形成し、当該すり鉢の前記文字盤の内周面へ数字等の時刻の表示を配列し、前記回転軸へ光源を設けて前記光源の向きを回転させることにより現在時刻に対応する文字盤の前記表示を照らす時刻表示機構を提供する。
また更に本発明は、時計の文字盤の時刻を指す指針を回転させる駆動部の回転軸へ前記指針を設けるのに代え、前記回転軸へ設けられて前記回転軸の回転にて回転する光源を可動光源として備え、前記可動光源の回転径の外側にて前記駆動部を収容する基体に対し前記回転軸を中心として環状に並べて固定された12個の光源を固定光源として備え、前記固定光源は、時刻の時として夜空の霧等の遠隔の投影対象へ12個の環状に並べられたスポットライトを当てることにて時計の文字盤に代えて時刻表示とするものであり、前記可動光源は、前記時刻表示のスボットライトの呈する環に沿って移動するスポットライトを、前記時刻表示を基準として、前記投影対象の現在時刻を示す位置へ当てるものである時刻表示機構を提供する。
上記の夜空の霧等の遠隔の投影対象には、夜空の霧や夜空の雲といった不透明な大気、建物の外壁、建物の内壁、建物の天井、スタジアムといった建造物の天井面、屋内外に設置された映画のスクリーンを含むものであり、上記基体の固定光源や可動光源から遠隔に位置してスポットライトを当てることが可能な他のものも含む。
更にまた本発明は、上記何れかの時刻表示機構を備えた時計を提供できた。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、指針脱落の危惧を回避しつつ、特許文献1に示された時計と異なる、斬新で現在時刻の把握のし易さを損なわない時刻表示機構を提供できた。
即ち本発明は、従来の長針や短針を排除し長針や短針が脱落するという問題を解決して上記効果を得ることができた。
また、本発明では、上記の長針や短針を排除し長針や短針が脱落するという問題を解決すると共に時計の駆動の負担を抑え、斬新で液晶表示の時計では得られない趣向性の高い時計の提供を可能としたものである。
上記駆動の負担の軽減について具体的には、特許文献1へ示された時計のように上記の回転軸へ円盤を取り付けるのは回転軸に掛かる荷重について偏りなくバランスを取れるとしても、従来の軽量な指針即ち細い針状の部材を取り付けるのに比して、上記回転軸へ掛かる荷重は著しく大きなものとなり寸法や円盤の素材の選択も制約され、上記荷重の増大は、回転軸をモータで駆動する時計では、電気の消耗を加速させる要因ともなるが、特に請求項1及び2へ記載の本発明では、上記円盤に比して回転軸に掛かる荷重を低減させて上記課題の解決を図り、更に現在時刻の把握の容易な時刻表示手段を備えた時計を提供することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る時刻表示機構の正面図、(B)は(A)の略縦断面図。
図2】(A)は図1へ示す時刻表示機構の変更例を示す正面図、(B)は(A)の略縦断面図。
図3】本発明の第2の実施の形態に係る時刻表示機構の正面図。
図4】(A)は本発明の第3の実施の形態に係る時刻表示機構の正面図、(B)は(A)の略縦断面図。
図5図4へ示す時刻表示機構の要部拡大略断面図。
図6】発明の第4の実施の形態に係る時刻表示機構を備えた時計のシステム構成を示す説明図。
図7】(A)は図6へ示す時計の投光器の要部正面図、(B)は(A)の略縦断面図。
図8】(A)は図6へ示す時計の投影対象へ投影される画像の説明図、(B)は(A)の画像へ本発明の時刻表示機構の備える投光器からの光を当てた画像の説明図。
図9図6の時計において図8(A)へ示す画像を投影対象に投影した状態を示す説明図。
図10図9の投影対象へ投影された画像に、図6図7の投光器から光を当てて図8(B)の画像を表示する状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。尚図面の煩雑を避けるため、一部のハッチングは省略する。
【0015】
(第1の実施形態)
この時計は、環状の文字盤mと、薄板状である第1乃至第3の少なくとも3枚のリング部材1~3と、駆動部kと、基体cとを備える(図1(A)(B))。基体cは、少なくとも駆動部kを収容する。
文字盤m表面において、時分の時を示す数字等の複数の表示hが時表示部h1として文字盤mの呈する輪に沿って配列され、時分の分を示す数字等の複数の表示hが前記文字盤mの呈する環に沿って分表示部h2として時表示部h1と共に環状に配列されている。分表示部h2は、時刻の秒を表示する秒表示部を兼ねる。
【0016】
文字盤mは基体cへ設けられ、文字盤mの表面は基体cの正面視において視認できる。
この例では、基体cは正面をガラス又はプラスチック製の透明の閉鎖部材c1で閉鎖された筒状の筐体即ちケースであり、文字盤mと第1乃至第3のリング部材1~3とは、駆動部kと共に基体c内へ収容されている。文字盤mは、基体cへ固定され或いは基体cと一体に形成される。尚基体cの正面は開放されていてもよい。
【0017】
第1のリング部材1の外径は文字盤mの呈する環の内径よりも小さく、第1のリング部材1は文字盤mの呈する環の内側へ文字盤mと同心に配される環状の部材である。
第1のリング部材1の表面において第1のリング部材1の周方向の一箇所に、文字盤mを指し示す指標が第1指標s1として設けられている。
【0018】
第2のリング部材2の外径は第1のリング部材1の呈する環の内径よりも小さく、第2のリング部材2は第1のリング部材1の呈する環の内側へ第1のリング部材1と同心に配される環状の部材である。第2のリング部材2の表面において第2のリング部材2の周方向の一箇所に、第1のリング部材1の径内側から第1のリング部材1を挟んで文字盤mを指し示す指標が第2指標s2として設けられている。
【0019】
第3のリング部材3の外径は第2のリング部材2の呈する環の内径よりも小さく、第3のリング部材3は第2のリング部材2の呈する環の内側へ第1及び第2のリング部材1,2と同心に配される環状又は円盤状の部材である。第3のリング部材3の表面において第3のリング部材3の周方向の一箇所に、第2のリング部材2の径内側から第1及び第2のリング部材1,2を挟んで前記文字盤mを指し示す指標が第3指標s3として設けられている。
【0020】
各リング部材1~3の表面は、基体cの正面視において、文字盤mの表面と共に視認できる。
駆動部kは、一定速度の回転力を発生させる動力源と、当該動力源から直接又は間接的に回転力を受けて回転する第1回転軸kl乃至第3回転軸k3の少なくとも3つの回転軸とを備える。
上記第1乃至3回転軸kl~k3の夫々は、基体cの前後方向を軸方向とする。
【0021】
第1回転軸klは、管状に形成されて第2回転軸k2の軸方向の一部を内包する。
第2回転軸k2は、管状に形成されて第3回転軸k3の軸方向の一部を内包すると共に先端部を第1回転軸k1の先端から突出させる。
第3回転軸k3は、先端部を第2回転軸k2の先端から突出させる。
【0022】
駆動部kは、第1乃至第3回転軸の何れか一つを12時間又は24時間かけて1回転させると共に第1乃至第3回転軸k1~k3の何れか他の一つを60分かけて1回転させ、更に駆動部kは第1乃至第3回転軸k1~k3の残りの一つを60秒かけて1回転させるものである。
【0023】
第1のリング部材1は第1連結部11を介して第1回転軸klへ第1回転軸klと同心となるよう固定され、第2のリング部材2は第2連結部21を介して第2回転軸k2へ第2回転軸k2と同心となるよう固定され、第3の回転文字盤mは第3連結部31を介して第3回転軸k3へ第3回転軸k3と同心となるよう固定される。
【0024】
第1連結部11は、第1回転軸klへ嵌合される環状の第1嵌合部12と、第1支持部13とを備える。第1支持部13は、基端側を第1嵌合部12へ連結され先端側を第1のリング部材klの裏面側へ結合された部材である。
詳しくは、第1支持部13は、細長で薄板状の複数の第1アーム13aにて構成され各第1アーム13aの基端側を第1嵌合部12へ結合され各第1アーム13aの先端側を第1のリング部材1の裏面側へ結合される。第1アーム13a同士の間において、間隔を開けて隣り合う第1アーム13a間の各間隔を略等しいものとするのが好ましい。
【0025】
この例では、第1支持部13は、第1回転軸k1側から放射状に伸びる、3本の第1アーム13aにて構成されている。従って隣り合う第1アーム13a間の挟角は60度とするのが好ましい。
第1支持部13は、2本或いは4本以上の第1ア―ム13aにて構成されたものであってもよいが、重量を増加させずに確実に三点支持を行うことができるため、上記の通り3本の第1アーム13aにて構成するのが好ましい。
【0026】
第1のリング部材1の外径と内径の間の幅(第1のリング部材1の径方向の幅1a)は、第1のリング部材1の直径の1/3以下とするのが好ましく、第1のリング部材1の直径の1/3~1/10とするのがより好ましい。また、第1のリング部材1の厚さは、上記幅1aの1/2以下とするのが好ましい。
細長の第1アーム13aの長手方向と直交する幅方向の大きさ(幅)は、第1のリング部材1の径方向の幅1aを超えないものとする。
但し、本発明の効果を得ることができる限り、第1のリング部材1や第1アーム13aは上記寸法範囲を逸脱するものであってもよい。
【0027】
第1アーム13aは、この例では、屈曲しており当該屈曲部分を挟む、第1回転軸k1から第1回転軸k1の径外方向に伸びる基部13bと、基部13bの先端から第1回転軸k1の軸方向へ伸びて第1のリング部材1へ結合される先部13cとからなる。この他、第1アーム13aは、屈曲せずに真っすぐ第1回転軸k1から第1のリング部材1へ伸びるものとしてもよいし、第1回転軸k1から第1のリング部材1へカーブ(湾曲)しながら伸びるものとしてもよい。
【0028】
第2連結部21は、第2回転軸k2へ嵌合される環状の第2嵌合部22と、第1のリング部材1の径方向について第1支持部13の内側へ配された第2支持部23とを備える。
第2支持部23は、基端側を第2嵌合部22へ連結され先端側を第2のリング部材k2の裏面側へ結合された部材である。
詳しくは、第2支持部23は、細長で薄板状の複数の第2アーム23aにて構成され各第2アーム23aの基端側を第2嵌合部22へ結合され各第2アーム23aの先端側を第2のリング部材2の裏面側へ結合される。第2アーム23a同士の間において、間隔を開けて隣り合う第2アーム13a間の各間隔を略等しいものとするのが好ましい。
【0029】
この例では、第2支持部23は、第2回転軸k2側から放射状に伸びる3本の第2アーム23aにて構成されている。従って隣り合う第2アーム23a間の挟角は60度とするのが好ましい。
第2支持部23は、2本或いは4本以上の第2ア―ム23aにて構成されたものであってもよいが、重量を増加させずに確実に三点支持を行うことができるため、上記の通り3本の第2アーム23aにて構成するのが好ましい。
【0030】
第2のリング部材2の外径と内径の間の幅(第2のリング部材2の径方向の幅2a)は、第2のリング部材2の直径の1/3以下とするのが好ましく、第2のリング部材2の直径の1/3~1/10とするのがより好ましい。また、第2のリング部材2の厚さは、上記幅2aの1/2以下とするのが好ましい。
細長の第2アーム23aの長手方向と直交する幅方向の大きさ(幅)は、第2のリング部材2の径方向の幅2aを超えないものとする。
但し、本発明の効果を得ることができる限り、第2のリング部材2や第2アーム23aの上記寸法範囲を逸脱するものであってもよい。
【0031】
第2アーム23aは、この例では、屈曲しており当該屈曲部分を挟んで、第2回転軸k2から第2回転軸k2の径外方向に伸びる基部23bと、基部23bの先端から第2回転軸k2の軸方向へ伸びて第2のリング部材2へ結合される先部23cとからなる。この他、第2アーム23aは、屈曲せずに真っすぐ第2回転軸k2から第2のリング部材2へ伸びるものとしてもよいし、第2回転軸k2から第2のリング部材2へカーブ(湾曲)しながら伸びるものとしてもよい。
【0032】
第3連結部31は、第3回転軸k3へ嵌合される環状の第3嵌合部32と、第2のリング部材2の径方向について第2支持部23の内側へ配された第3支持部33とを備える。
第3支持部33は、基端側を第3嵌合部32へ連結され先端側を第3のリング部材k3の裏面側へ結合された部材である。
詳しくは、第3支持部33は、細長で薄板状の複数の第3アーム33aにて構成され各第3アーム33aの基端側を第3嵌合部32へ結合され各第3アーム33aの先端側を第3のリング部材3の裏面側へ結合される。第3アーム33a同士の間において、間隔を開けて隣り合う第3アーム33a間の各間隔を略等しいものとするのが好ましい。
【0033】
この例では、第3支持部33は、第3回転軸k3側から放射状に伸びる3本の第3アーム33aにて構成されている。従って隣り合う第3アーム33a間の挟角は60度とするのが好ましい。
第3支持部33は、2本或いは4本以上の第3ア―ム33aにて構成されたものであってもよいが、重量を増加させずに確実に三点支持を行うことができるため、上記の通り3本の第3アーム33aにて構成するのが好ましい。
【0034】
第3のリング部材3の外径と内径の間の幅(第3のリング部材3の径方向の幅3a)は、第3のリング部材3の直径の1/3以下とするのが好ましく、第3のリング部材3の直径の1/3~1/10とするのがより好ましい。また、第3のリング部材3の厚さは、上記幅3aの1/2以下とするのが好ましい。
細長の第3アーム33aの長手方向と直交する幅方向の大きさ(幅)は、第3のリング部材3の径方向の幅3aを超えないものとする。
但し、本発明の効果を得ることができる限り、第3のリング部材3や第3アーム33aの上記寸法範囲を逸脱するものであってもよい。
【0035】
第3アーム33aは、この例では、屈曲しており当該屈曲部分を挟んで、第3回転軸k3から第3回転軸k3の径外方向に伸びる基部33bと、基部33bの先端から第3回転軸k3の軸方向へ伸びて第3のリング部材3へ結合される先部33cとからなる。この他、第3アーム33aは、屈曲せずに真っすぐ第3回転軸k3から第3のリング部材3へ伸びるものとしてもよいし、第3回転軸k3から第3のリング部材3へカーブ(湾曲)しながら伸びるものとしてもよい。
第1乃至第3支持部13~33の先端夫々を接着剤で第1乃至第3のリング部材l~3の夫々へ結合することができる。第1乃至第3のリング部材l~3と第1乃至第3支持部13~33を金属製とする場合ロウ付けによって上記結合を行うものとしてもよい。この他微小なビスやネジで第1乃至第3支持部13~33の先端夫々を第1乃至第3のリング部材l~3の夫々へ結合して実施してもよい。
【0036】
第1乃至第3指標s1~s3のうち12時間又は24時間かけて1回転する上記回転軸に固定された上記リング部材の指標が、時指標として文字盤mの現在時刻に対応する時表示部h1を指し示し、第1乃至第3指標s1~s3のうち60分かけて1回転する前記回転軸に固定された上記リング部材の指標が、分指標として文字盤mの現在時刻に対応する分表示部h2を指し示し、第1乃至第3指標のうち60秒かけて1回転する上記回転軸に固定された上記リンク部材の指標が、秒指標として文字盤mの現在時刻に対応する秒表示部(分表示部h2)を指し示す。時表示部h1と時表示部h1を指す指標とを同じ色に着色し、当該色と異なる色で分表示部h2と分表示部h2とを同色に着色し、秒を指す指標も他の指標と異なる色に着色して、時刻の把握をよりし易いものとすることができる。また上記の色分けを行う場合、分表示部h2と別に秒指標h3と同色の、秒専用の数字や目盛を秒表示部として文字盤mに設けて実施すればよい。
【0037】
この例では、第1回転軸k1が12時間かけて1回転する回転軸であり、第2回転軸k2が60分かけて1回転する回転軸であり、第3回転軸k3が60秒かけて1回転する回転軸であり、第1のリング部材1の上記第1指標s1が上記時指標であり、第2のリング部材2の上記第2指標s2が上記分指標あり、第3のリング部材3の上記第3指標s3が上記秒指標ある。
但し、第1回転軸k1を60秒かけて1回転する回転軸とし、第3回転軸k3を12時間かけて1回転する回転軸とし、第1のリング部材1の上記第1指標s1を上記秒指標とし、第3のリング部材3の上記第3指標s3を上記時指標としてもよい。また、第1回転軸を60分かけて1回転する回転軸とし、第2回転軸k2を60秒かけて1回転する回転軸とし、第1のリング部材1の上記第1指標s1を上記分指標とし、第2のリング部材2の上記第2指標s3を上記秒指標としてもよい。
【0038】
また、上記時計(の時刻標示機構)は、時分のみ表示し秒を表示しないものであってもよい。時分のみ表示する場合、駆動部kは回転軸として12時間かけて1回転する回転軸と60分かけて1回転する回転軸の2本の回転軸のみ備えるものとし、リング部材も各回転軸に対応する大小2枚のみ備えるものとして、当該時計が時表示部と分表示部と時指標と分指標のみ備え秒指標を備えないものとして実施できる。
【0039】
本発明に係る時計を腕時計や懐中時計、置時計、掛け時計として実施する場合、上記駆動部の動力源としてモーター(ステップモーター)及び当該モーターの電源(電池又は商用電源)と、水晶振動子、ICを備えた周知の水晶式時計のムーブメントを採用し、上述の本発明の時刻表示機構を設けることができる。この他、本発明に係る時計を屋内外へ設置される設備時計としても実施できる。
特に本発明を置時計や掛け時計として実施する場合、購入後従来型で自作の時針・分針・秒針を取り付けて使用する手作り時計の動力源として流通している、「スタンダードムーブメント」と呼ばれるムーブメントを使用することができる。
上記スタンダードムーブメントには、時分秒に対応する3本の上記回転軸が互いに同心となるように設けられている。
【0040】
上記水晶式時計は、時間基準装置として水晶振動子を用いるものであって、電池等から得られる電気エネルギーにて上記水晶振動子を発振させるものであり、高精度で高い周波数例えば32,768Hzの振動を上記ICが分周して、1秒間隔等の周波数に変換し、変換した信号を使用して上記ステップモーターを駆動し時計を動かす。
また、駆動部kは、標準電波の送信局から送信される原子時計による時刻情報(タイムコード)の電波を受信する受信機(アンテナ)を備えて、自動的に時刻を合わせる電波時計(電波修正時計)として実施することも可能である。
【0041】
本発明に係る上記時計が、動力源の電源として電池を利用する場合は、乾電池や水銀電池、太陽電池(ソーラーパネル)を採用して実施することができる。動力源として回転錘を用い当該回転錘の動きから発電する自動巻発電ウォッチとして本発明を実施することも可能である。
また動力源の電源として商用電源を利用する場合、コンセントへ接続するコードとプラグを備えるものとする。
【0042】
また上記の駆動部kには、自動巻きや手巻きと言った周知の機械式時計のムーブメントを採用して実施することもできる。
周知の機械式時計のムーブメントは、巻かれたぜんまい(ひげぜんまい)の解ける力を利用して回転する香箱車(こうばこぐるま)と、香箱車に噛み合う2番車と、2番車に噛み合う3番車と、3番車に噛み合う4番車と、4番車に噛み合うガンキ車といった輪列にて構成され、更にぜんまいの解ける速度を一定とする、ガンギ車、アンクル、てんぷといった部材を備える(図示しない)。
【0043】
2番車は1時間(60分)に1回転、4番車は1分間(60秒)に1回転する。従って、図1に示す例では、2番車に第2回転軸k2が備えられ、4番車へ第3回転軸k3が備えられる。
動力源として上記のモーターを採用する駆動部kにあっても、各回転軸間の回転力の伝達には、上記輪列の歯車と同様の構成を採ることができる。
但し、歯車の構成を変更することによって、第1乃至第3回転軸k1~k3の何れを時分にあて或いは秒にあてるかを変更して実施することもできる。
【0044】
(変更例)
図1へ示す第1の実施の形態では、文字盤mは第1のリング部材1の径方向外側に配置されるものであったが、基体cの正面視において、第1のリング部材1と第2リング部材2の間へ文字盤mを配置するものとしてもよい(図2(A)(B))。具体的には、透明の閉鎖部材c1へ環状の薄板状の文字盤mを接着剤で固定する。図2(A)へ示す通り、第1指標s1は、第1のリング部材1の径方向の内側に位置する文字盤mの時表示部h1を指すのである。
図2へ示す変更例においても、特に言及しなかった事項については、上述してきた図1へ示す例と同様である。
【0045】
(第2の実施形態)
図1へ示す第1乃至第3のリング部材1~3の夫々へ、上記の第1乃至第3指標s1~s3を設ける代わりに、時表示部h1と分表示部h2と秒表示部h3の夫々を設け、図1の文字盤mとした環状の部位の周方向の一箇所(定位置)へ指標を設けるものとしてもよい(図3)。
【0046】
即ち、図3へ示す通り、当該時計は、板状の第1乃至第3の少なくとも3枚の回転文字盤(リング部材1~3。以下必要に応じて回転文字盤1~3と呼ぶ。)と、指標sと、駆動部kと、駆動部kを収容する基体cとを備える。第1乃至第3の回転文字盤1~3は夫々環状に形成されている。
第2の回転文字盤2の外径は第1の回転文字盤1の呈する環の内径よりも小さく、第2の回転文字盤2は第1の回転文字盤1の呈する環の内側へ前第1の回転文字盤1と同心に配され、第3の回転文字盤3の外径は第2の回転文字盤2の呈する環の内径よりも小さく、第3の回転文字盤3は第2の回転文字盤の呈する環の内側へ前記第2の回転文字盤2と同心に配される。
【0047】
第1乃至第3の回転文字盤1~3のうちの一つの表面には、時刻の時を示す数字等の複数の表示が時表示部h1として順に環状に配列され、第1乃至と第3の回転文字盤1~3のうちの他の一つの表面には、時刻の分を示す数字等の複数の表示が分表示部h2として順に環状に配列され、第1乃至第3の回転文字盤のうちの残りの一つの表面には、時刻の秒を示す数字等の複数の表示が秒表示部h3として順に環状に配列されている。
時表示部h1と分表示部h2と秒表示部h3は、夫々基体の正面視において視認できる。
上記の指標sは、基体cの正面視において視認できる箇所へ設けておけばよい。
【0048】
図3へ示す例においても、駆動部kの上記構成即ち第1乃至第3回転軸k1~k3を備える点は図1へ示す例と同様であり、また図3へ示すものも図1へ示すものと同様の構成の第1乃至第3連結部11~31を備える。
第1乃至第3の回転文字盤1~3のうち時表示部h1を設けられた回転文字盤が12時間又は24時間かけて1回転する上記回転軸へ固定され、第1乃至第3の回転文字盤1~3のうち分表示部h2を設けられた回転文字盤が60分かけて1回転する他の回転軸の一つへ固定され、第1乃至第3の回転文字盤1~3のうち秒表示部h3を設けられた回転文字盤が60秒かけて1回転する更に他の回転軸の一つへ固定される。
【0049】
駆動部kは、文字盤の周方向について、指標を設けられた上記の所定の箇所と対応する位置に、現在時刻の時を表示する時表示部h1と現在時刻の分を表示する分表示部h2と現在時刻の分を表示する秒表示部h3とが最接近するよう両回転軸を回転させる。
【0050】
図3へ示す例では、第1の回転文字盤1へ時表示部h1が設けられ、第2の回転文字盤2へ分表示部h2が設けられ、第3の回転文字盤3へ秒表示部h3が設けられている。
但し、時分秒の各表示部h1~h3を上記と異なる回転文字盤へ設けるものとしてもよい。
尚、図3へ示す例においても、秒表示h3を設けないもの、即ち回転文字盤について時分を示す2枚のみ備え、60秒で1回転する回転軸と秒を示す回転文字盤を備えないものとしても実施できる。
【0051】
図3へ示す例においても、基体cの正面は、開放されるか、図1,2へ示すものと同様透明の閉鎖部材c1にて閉鎖される。但し、指標sに代え或いは上記指標sを設けると共に、基体cの正面を上記透明の閉鎖部材c1で覆い、閉鎖部材c1の、現在時刻を示す時表示部h1と分表示部h2と秒表示h3とが集合する集合位置へ、当該位置を囲う線を設けてもよいし、上記閉鎖部材c1を不透明な部材にて形成し上記集合位置に小窓を設けて集合した現在時刻を示す時表示部h1と分表示部h2と秒表示h3とを基体cの外部から視認できるものとしてもよい。
第2の実施の形態において特に言及しなかった事項については、上記第1の実施の形態と同様である。
【0052】
(第3の実施形態)
この例では、駆動部kを取り付ける基体cの正面側をすり鉢状の文字盤mとする(図4)。即ち、正面視における中央部分を最深部として後退するすり鉢状に、当該文字盤mを形成し、当該最深部から駆動部kの前述の第1乃至第3回転軸k1~k3を突出させる。すり鉢の文字盤mの内周面へ数字等の時刻の表示を配列する。第1乃至第3回転軸k1~k3へ指向性を有する光を発する第1乃至第3の光源b1~b3を設け、各光源b1~b3の向きを回転させることにより現在時刻に対応する前記表示を照らす。
【0053】
指向性を有する光源として、代表的なものはレーザー光を発する周知の光源である。この例では、小型化に有利なLED(発光素子)を第1乃至第3の光源b1~b3に採用した。
現在時刻の表示のみ照らすことができる光を発することができるものであれば、LEDや上記レーザー光を発する光源以外の周知の光源を第1乃至第3の光源b1~b3に採用してもよい。
【0054】
具体的には、この時刻表示機構は、上部(前部)を開放し底部を第1嵌合部12にて第1回転軸k1へ取り付けられることで第1回転軸k1へ第1光源b1を固定する円錐台状の第1連結部11と、上部(前部)を開放し底部を第2嵌合部22にて第2回転軸k2へ取り付けられることで第2回転軸k2へ第2光源b2を固定する円錐台状の第2連結部21と、底部を第3嵌合部32にて第3回転軸k3へ取り付けられることで第3回転軸k3へ第3光源b1を固定する円錐状の第3連結部31とを備える(図5)。
【0055】
第1乃至第3連結部11~31については、夫々樹脂成型により形成することができる。この他薄板状の金属板を加工して第1乃至第3連結部11~31を形成してもよい。
図4及び図5へ示す実施の形態の第1乃至第3連結部11~31について、図1図3の第1乃至第3連結部11~31のような放射状のアーム13a~33aを有するものに代えて、上記の通り、三角錐台や三角錐を呈する部材を第1乃至第3連結部11~31とする。
【0056】
駆動部kの構成は図1図3へ示す時刻表示機構と同様であるが、第1乃至第3回転軸k1~k3について、第1乃至第3連結部11~31を下段、中段、上段(基体cの正面を基準とすると、後段、中段、前段)に配置する上記三角錐の構造を採るため、第1回転軸k1の先端から第2回転軸k2が突出する突出幅は、円錐台状の第1連結部11の高さと同じか第1連結部11の高さよりも大きなものとし、第2回転軸k2の先端から第3回転軸k3が突出する突出幅は、円錐台状の第2連結部21の高さと同じか第2連結部21の高さよりも大きなものとする。
図4及び図5へ示す駆動部kは、第1回転軸k1を12時間かけて1回転させ第2回転軸k2を60分かけて1回転させ第3回転軸k3を60秒かけて1回転させる。
第1回転軸k1の上記回転にて第1連結部11が回転し第1光源b1が向きを変え文字盤mの照らす位置を順次変えて行く。第2回転軸k2の上記回転にて第2連結部21が回転し第2光源b2が向きを変え文字盤mの照らす位置を順次変えて行く。第3連結部31の上記回転にて第光源b3が向きを変え文字盤mに対し照らす位置を順次変えて行く。
【0057】
図4のk4は、駆動部kの動力源の電源となる電池を示している。
図5において、b10は第1光源b1と第1光源b1の電源となる電池b11(この例ではボタン電池)とを備えた基板を示し、b20は第2光源b2と第2光源b2の電源となる電池b21(この例ではボタン電池)とを備えた基板を示し、b30は第3光源b3と第3光源b3の電源となる電池b31(この例ではボタン電池)とを備えた基板を示す。
第1基板b10は、第1連結部11の内側面部へ取り付けられ第1光源b1のみ第1連結部11の外周面から露出させる。第2基板b20は、第2連結部21の内側面部へ取り付けられ第2光源b2のみ第2連結部21の外周面から露出させる。第3基板b30は、第3連結部31の内側面部へ取り付けられ第3光源b3のみ第3連結部31の外周面から露出させる。
【0058】
文字盤mの中央部分には駆動部kの動力源を覆い上部(前部)を開放する円錐台状の台部10が設けられている。台部10の上(前)に第1連結部11が配置され、第1連結部11の上(前)に第2連結部21が配置され、第2連結部21の上(前)に第3連結部31が配置されて、台部10と第1連結部11と第2連結部21と第3連結部31とが、第3連結部31を頂部とする1つの円錐を呈する。各回転軸k1~k3の回転にて、各連結部11,21,31が、台部10の上(前)で台部10に対し回転する。
【0059】
すり鉢状の文字盤mは、第1乃至第3光源b1~b3の夫々と同じ高さに正面視環状の目盛が時刻を示す表示としてふられている。環状の上記目盛のうち最下段に位置する目盛の現在時刻の時を示す位置が第1光源b1に照らされ、環状の上記目盛のうち中段に位置する目盛の現在時刻の分を示す位置が第2光源b2に照らされ、環状の上記目盛のうち最上段に位置するものが第3光源b3に照らされる。図4へ示す例では、最上段の上記目盛と中段の上記目盛との間に時表示部h1として時分の時を示す12個の数字が等間隔で環状に配列されている。
【0060】
また、上記中段の目盛において、文字盤mの周方向の上記12の数字と対応する5分おきの位置(0分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分を示す夫々の位置)に装飾物を設けて分表示部h2とすればよい。また上記最下段の目盛についても、文字盤mの周方向の上記12の数字と対応する5秒おきの位置(0秒、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒を示す夫々の位置)に装飾物を設けて秒表示h3とすればよい。また時表示とした上記数字に代えて或いは当該数字と共に装飾物を設けて時表示部h1とすればよい。
上記装飾物には、宝石やクリスタル・ガラスなどのガラス玉、金や銀などの貴金属の装飾品を採用することができる。
【0061】
例えば、上記の装飾物には、1912年にアメリカ宝石同業組合により統一された誕生石に因んだ宝石を採用することができる。具体的には、1時を示す装飾物として1月の誕生石であるガーネット、2時を示す装飾物として2月の誕生石であるアメジスト、3時を示す装飾物として3月の誕生石であるアクアマリーン又はブラットストーン、4時を示す装飾物として4月の誕生石であるダイヤモンド、5時を示す装飾物として5月の誕生石であるエメラルド、6時を示す装飾物として6月の誕生石である真珠又はムーンストーン、7時を示す装飾物として7月の誕生石であるルビー、8時を示す装飾物として8月の誕生石であるサードニクッス又はペリドット、9時を示す装飾物として9月の誕生石であるサファイア、10時を示す装飾物として10月の誕生石であるオパール又はトルマリン、11時を示す装飾物として11月の誕生石であるトパース、12時を示す装飾物として12月の誕生石であるトルコ石又はラビスラズリを採用することができる。
【0062】
上記例では、第1回転軸k1を12時間かけて1回転するものとし、第3回転軸k3を60秒かけて1回転するものとしたが、第1回転軸k1を60秒かけて1回転するものとし、第3回転軸k3を12時間かけて1回転するものとすることによって、第3光源b3が直接上記時表示h1となる数字や装飾物を照らすことができ、時刻をより把握し易いものとすることができる。
【0063】
また、この例では、上記時表示部h1と分表示部h2の間のスペースへ文字盤mを上下(前後)に貫通する窓t1を設けて図柄を施された透明のプラスチック製のフィルムを嵌め込み、同様に上記分表示部h2と秒表示部h2の間のスペースへ同様の窓t2を設けて上記と同様の透明のプラスチック製のフィルムを嵌め込み、環状に配された上記秒表示部h3の内側へも同様の窓t3を設けて上記同様の透明のプラスチック製のフィルムを嵌めこみ、装飾性を向上させることができる。上記各フィルム同士は異なる図柄を付されたものとすることで、表示時刻の識別もより行い易いものとすることができる。例えば葛飾北斎の富嶽三十六景の一部の絵画をプリントしたフィルムを上記窓t1~t3へ嵌めこみ、上記第1乃至第3光源b1~b3と別途の光源(図示しない。)を文字盤mと基体c(ケースの底)との間に設けて上記フィルムを照らし上記図柄を文字盤m上にて透かし見せるものとしてもよい。
【0064】
図4及び図5へ示す第3の実施形態においても、特に言及しなかった事項については図1乃至図3へ示す第1の実施の形態と同様である。
【0065】
(第4の実施形態)
この時刻表示機構は、投光器100と投影機200とにて構成される(図6)。
この例では、投影機200は周知のプロジェクタであり、コンピュータ300に接続されている。当該コンピュータ300の記憶部へ文字盤mの環状の目盛を描写した静止画像(図8(A))のデータを格納しておき、投影機200から夜霧などの画像を投影可能な大気を投影対象として当該静止画像を大気へ投影する。上記静止画像は、同心に配置された大中小の3つの環状の目盛h10~h30を描写するものである。図中xは環状の目盛h10~h30の中心を示す。
上記のプロジェクタには、プロジェクションマッピングに利用するものを採用することができる。即ち、コンピュータ300へ市販の或いはプロジェクタへ付属している、プロジェクションマッピング用のプログラム(アプリケーション)を導入し、当該プログラムとコンピュータ300と投影機200との協動により、上記画像の投影を行うものとすればよい。但し、動画を扱わないのであれば、コンピュータ300を用いずに単体で静止画像を投影することができる周知のプロジェクタを投影機200に採用して実施してもよい。
但し、コンピュータ300と上記プログラムを利用することによって、プロジェクタから投影する環状の目盛りを、後述する12個のスポットライトh201~h212と同心となるよう補正を行うことができる。
上記環状の目盛の投影が不要であれば、投影機200やコンピュータ300を備えないものとしても実施できる。
【0066】
投光器100は、筒状のケースである基体cと、地面や床に接地する金属製の接地部101と、接地部から上方へ突出して基体cを支持する支持腕102とを備える。基体cは、支持腕102へ軸支され、仰角を変更することができる(図6図9及び図10)。
投光器100は、上記基体c内に環状に形成された第1乃至第3の3枚のリング部材1~3と、駆動部kと、基体cとを備える(図7(A)(B))。駆動部kには、商用電源を電源とする周知の設備時計の駆動部と同様の構成を採るものを採用することができる。駆動部kは、図1及び図2へ示す時刻表示機構と同様の構造の第1乃至第3回転軸k1~k3を備えるものとすればよい。第1乃至第3回転軸k1~k3の夫々に対し、寸法や強度は図1及び図2へ示すものよりも大きなものとなるが、図1及び図2へ示すものと同様の構造の第1乃至第3連結部11~31を介して上記第1乃至第3のリング部材1~3を連結する。
但し、図1及び図2へ示す第1乃至第3回転軸k1~3は右回りとするが、この図6~10に示す例では、第1乃至第3回転軸k1~3は左回りとする。
【0067】
投光器100は後述する通り図1の文字盤mに相当する構成を持たず、また第1乃至第3のリング部材1~3の夫々は、前述の第1乃至第3指標s1~s3に代え各リング部材1~3の周方向の一箇所に可動光源として第1乃至第3光源b101~b103を備える。
第1乃至第3光源b101~b103には、乾電池にてクラス1~3に分類される光強度のレーザー光線を発する市販のレーザーポインタを採用することができる。
第1乃至第3光源b101~b103の夫々の各リング部材1~3への固定は螺子留めや接着剤などの周知の固定手段を採用すればよい。上記の螺子留めを行う場合、各リング部材1~3の表面へろう付け或いは成形などにより板状の治具を立設し、当該治具へ第1乃至第3光源b101~b103の夫々を螺子留めすればよい。
【0068】
この他、第1乃至第3光源b101~b103の夫々には、乾電池を内蔵した小型のLED懐中電灯と同様の構成を採るものを採用してもよい。上記レーザーポインタを利用する場合、発するレーザー光線の色が、取り付ける上記リング部材によって異なるものとすればよい。
また、LED懐中電灯を使用する場合、取り付ける上記リング部材ごとに、フィルタやレンズに色の異なるものを採用して実施すればよい。
【0069】
尚図示は省略するが上記光源とのバランスをとるため、各リング部材1~3の夫々には、リング部材の周方向について上記光源から中心角60度離れた二箇所へ上記光源とほぼ同じ重さの錘を設けて実施するのが好ましい。
第1乃至第3光源b101~b103にLED懐中電灯を利用する場合、夫々300ルーメン望ましくは400ルーメン以上の明るさを持つLED懐中電灯が好ましい。登山で夜間遠方までルートを照らすことができる懐中電灯或いは当該懐中電灯に類する光源を第1乃至第3光源b101~b103に採用すればよい。
【0070】
この実施の形態において、第1リング部材1の径外側即ち図1へ示す基体cの文字盤mを配置された部位に相当する部位に、文字盤mに代え固定光源支持部dが設けられている。
固定光源支持部dは基体cの正面視において環状に形成された棚状の部位である。
固定光源支持部dの表面には、環状の固定光源支持部dに沿って等間隔に、12個の固定光源b201~b212が設けられている。
固定光源b201~b212には、第1乃至第3光源b101~b103と同様、乾電池にてクラス1~3に分類される光強度のレーザー光線を発する市販のレーザーポインタを採用することができる。この他固定光源b201~b212には、夫々300ルーメン望ましくは400ルーメン以上の明るさを持つLED懐中電灯を採用することもできる。
【0071】
投影機200にて、同心に配された、大中小と径の異なる3つ環状の目盛h10~h30(図8(A))を夜霧等の投影対象へ投影する(図9)。環状の目盛h10~h30同士は、互いに異なる色の画像である。
投光器100の固定光源b201~b212から光線を照射いることにて、投影対象へ投影された3つ目盛h10~h30(図8(A))のうち最も外側に位置する大目盛h30へ、目盛の中心角30度の間隔を開けた12個のスポットライトh201~h212(固定スポットライトh201~h212)を当てて、時計の文字盤の1~12の数字の代わりとする(図8(B)、図10)。但し、上記固定スポットライトh201~h212と共に或いは固定スポットライトh201~h212に代え、投影機200から投影する画像自身が1~12の数字を含むものとしてもよい。
【0072】
この例において、上記の大目盛h30自体は時刻の秒を示す目盛であり、中目盛h20は時刻の分を示す目盛であり、小目盛りh10は時刻の時を示す目盛である。
またこの例では、投光器100の第1回転軸k1は60秒で1回転し、第2回転軸k2は60分で1回転し、第3回転軸k3は12時間で1回転する。第1リング部材1へ設けられた第1光源b101は、固定スポットライトh201~h212と異なる色のスポットライトを秒指標s101として大目盛h30の現在時刻の秒を示す位置に当てる。第2リング部材2へ設けられた第2光源b102は、分指標s102として中目盛h20の現在時刻の分を示す位置にスポットライトを当てる。第3リング部材3へ設けられた第3光源b103は、時指標s103として小目盛h10の現在時刻の時を示す位置にスポットライトを当てる。
上記指標となる各スポットライトは、可動スポットライトとして経時に移動してゆき、固定スポットライト201~h212や投影された上記目盛に対する位置で現在時刻を知らせるのである。
【0073】
図6乃至図10へ示す第4の実施形態においても、特に言及しなかった事項については図1乃至図3へ示す第1の実施の形態と同様である。
【符号の説明】
【0074】
1 第1のリング部材
1a(第1のリング部材1の径方向の幅)
2 第2のリング部材
2a(第2のリング部材2の径方向の幅)
3 第3のリング部材
3a(第3のリング部材3の径方向の幅)
11 第1連結部
12 第1嵌合部
13 第1支持部
13a 第1アーム
13b(第1アーム13aの)基部
13c(第1アーム13aの)先部
21 第2連結部
22 第2嵌合部
23 第2支持部
23a 第2アーム
23b(第2アーム23aの)基部
23c(第1アーム23aの)先部
31 第3連結部
32 第3嵌合部
33 第3支持部
33a 第3アーム
33b(第3アーム33aの)基部
33c(第3アーム33aの)先部
c 基体
c1 閉鎖部材
h (時刻の)表示
h1 時表示部
h2 分表示部(秒表示部)
h3 秒表示部
k 駆動部
k1 第1回転軸
k2 第2回転軸
k3 第3回転軸
m 文字盤
s1 第1指標
s2 第2指標
s3 第3指標
【要約】
【課題】 斬新で現在時刻の把握のし易さを損なわない時刻表示機構を提供する。
【解決手段】
本発明に係る時刻表示機構は、時計の文字盤mの時刻を指す指針を回転させる駆動部kの回転軸へ前記指針を設けるのに代え、前記回転軸の突出する前記文字盤mの中央部分を最深部として後退させるすり鉢状に前記文字盤mを形成し、当該すり鉢の前記文字盤mの内周面へ数字等の時刻の表示hを配列し、前記回転軸へ光源b1,b2,b3を設けて前記光源b1,b2,b3の向きを回転させることにより現在時刻に対応する文字盤mの前記表示hを照らす。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10