(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】被締結部材の締結構造
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
F16B5/02 T
(21)【出願番号】P 2020112364
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 親智紀
(72)【発明者】
【氏名】木下 直
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-110270(JP,U)
【文献】実開昭47-008946(JP,U)
【文献】特開2012-020616(JP,A)
【文献】実開昭60-152558(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂部材に対し、ねじによって締結された被締結部材の締結構造であって、
前記樹脂部材は、
板状の本体部と、
前記本体部から立ち上がり、前記ねじが締結されたボス部と、
前記本体部から立ち上がり、前記ボス部の周囲から前記ボス部の径方向における外側に向かって延在した複数のリブと、を備え、
前記ボス部は、前記ねじの頭部に対向する面をなす対向面において、突状をなす突部を備え、
前記突部は、その先端に向かうほど先細る形をなしており、その前記先端が、前記リブに対し前記径方向における内側に配され、
前記被締結部材は、前記ねじの頭部と前記ボス部の前記対向面との間に挟まれ、前記突部に当接する形で前記樹脂部材に締結されていることを特徴とする被締結部材の締結構造。
【請求項2】
前記樹脂部材は、前記本体部から立ち上がった壁をなす壁部であって、前記複数のリブのうちの一部を、コの字状に囲む壁部を備えることを特徴とする請求項1に記載の被締結部材の締結構造。
【請求項3】
前記ボス部は、前記ねじのねじ部が挿入される孔部を備え、
前記対向面は、前記孔部を囲む環状をなし、
前記突部は、前記ねじの螺合方向とは反対側の方向に向かうほど突出高さが高くなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被締結部材の締結構造。
【請求項4】
前記ボス部は、前記ねじのねじ部が挿入される孔部を備え、
前記対向面は、前記孔部を囲む環状をなし、
前記突部は、前記対向面における外周側に向かうほど突出高さが高くなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被締結部材の締結構造。
【請求項5】
前記樹脂部材は、車両の転倒時に突出するARBを覆うARBカバーであり、前記ARBに押圧されることで前記車両に設けられた他部材から分離可能な構成とされ、
前記被締結部材は、長尺状をなし、一方の端部が前記樹脂部材に締結され、他方の端部が前記他部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の被締結部材の締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被締結部材の締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被締結部材の締結構造として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の被締結部材の締結構造(部材の取付構造)では、ドアトリムボード等の車両用内装部品に突設されたボスに取付ねじをねじ込んで、オーナメント等の取付部品(被締結部材)を車両用内装部品に一体的に固定すること、が開示されている。取付部品は、取付ねじの頭部により車両用内装部品に押圧されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、ボスに取付ねじを螺合する(ねじ込む)際に、取付ねじの回転に伴って取付部材が回転してしまうことがある。その場合、例えば製造の際の作業者が、取付部材を支持しつつ取付ねじを螺合したり、回転した取付部材を正しい向きに直したりする必要があり煩雑である。また、このような取付部材の回転を防ぐために、例えば、取付部材に引っ掛かってその回転を止める引掛部のような構造体をボスの付近に設けることも考えられるが、その場合、車両用内装部品の構造が複雑になることがあり、製造コストが増加する可能性がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、製造の際の作業効率を向上できる被締結部材の締結構造を提供することを目的の一つとする。また、構造の簡素化を実現可能な被締結部材の締結構造を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、樹脂部材に対し、ねじによって締結された被締結部材の締結構造であって、前記樹脂部材は、板状の本体部と、前記本体部から立ち上がり、前記ねじが締結されたボス部と、を備え、前記ボス部は、前記ねじの頭部に対向する面をなす対向面において、突状をなす突部を備え、前記被締結部材は、前記ねじの頭部と前記ボス部の前記対向面との間に挟まれ、前記突部に当接する形で前記樹脂部材に締結されていることに特徴を有する。
【0007】
このような被締結部材の締結構造によると、製造の際の作業者がねじをボス部に螺合して締結するときに、被締結部材がねじの頭部によってボス部の対向面側に押圧され、当該対向面に設けられた突部が被締結部材に食い込むことで、被締結部材がねじの螺合に伴って回転してしまうことを防ぐことができる。これにより、製造の際の作業者の作業効率を向上させることができる。また、このような被締結部材の回転を防ぐために、例えば、被締結部材に引っ掛かってその回転を止める引掛部のような構造体をボス部の付近に設ける必要が無くなるため、樹脂部材の構造の簡素化や製造コストの削減を図ることができる。
【0008】
また、上記構成において、前記突部は、その先端に向かうほど先細る形をなしていることとすることができる。このような被締結部材の締結構造によると、先細る形をなす突部が、被締結部材に食い込みやすくなり、ねじの螺合に伴う被締結部材の回転を止めやすくなる。
【0009】
また、上記構成において、前記ボス部は、前記ねじのねじ部が挿入される孔部を備え、前記対向面は、前記孔部を囲む環状をなし、前記突部は、前記ねじの螺合方向とは反対側の方向に向かうほど突出高さが高くなることとすることができる。このような被締結部材の締結構造によると、孔部を囲む環状をなす対向面に設けられた突部が、被締結部材にさらに食い込みやすくなり、ねじの螺合に伴う被締結部材の回転を止めやすくなる。
【0010】
また、上記構成において、前記ボス部は、前記ねじのねじ部が挿入される孔部を備え、前記対向面は、前記孔部を囲む環状をなし、前記突部は、前記対向面における外周側に向かうほど突出高さが高くなることとすることができる。このような被締結部材の締結構造によると、孔部を囲む環状をなす対向面に設けられた突部が、被締結部材により食い込みやすくなり、ねじの螺合に伴う被締結部材の回転を止めやすくなる。
【0011】
また、上記構成において、前記樹脂部材は、車両の転倒時に突出するARBを覆うARBカバーであり、前記ARBに押圧されることで前記車両に設けられた他部材から分離可能な構成とされ、前記被締結部材は、長尺状をなし、一方の端部が前記樹脂部材に締結され、他方の端部が前記他部材に取り付けられていることとすることができる。ARBカバーには、例えば、突出するARBに当接する当接部がボス部の付近に設けられている場合があり、上述した引掛部のような構造体を設けて被締結部材の回転を防止することが難しい。しかしながら、上記のような被締結部材の締結構造によると、ボス部の付近に当接部のような構造体が設けられていた場合であっても、上述した引掛部を設けることなく、ねじの螺合に伴った被締結部材の回転を好適に抑制して、ARBカバーに対し被締結部材を精確に締結することができる。なお、ARBは、Active Roll Barの略であり、オープンカー等の車両に搭載され、転倒時に突出することで乗員を保護するものである。また、ARBカバーとしての樹脂部材が被締結部材を介して車両の他部材に繋がっているため、車両の転倒時であっても、ARBカバーが飛散することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造の際の作業効率を向上できる被締結部材の締結構造を提供することが可能となる。また、構造の簡素化を実現できる被締結部材の締結構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】ARBカバー付近の断面図(
図2のIII-III線断面)
【
図5】ARBカバーに対するストラップの締結構造を示す断面図(
図4のV-V線断面)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の実施形態を
図1から
図8によって説明する。本実施形態では、2シーターのオープンカーである車両10に設けられたARBカバー(樹脂部材)21に対してねじにより締結されるストラップ(被締結部材)の締結構造について説明する。尚、矢印方向FRを前方、矢印方向RRを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方として各図を説明する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、車両10は、左右方向に並んだ2つのシート11,11と、車両後側に設けられ左右方向を長手とする半月板状のパッケージトレイ(他部材)12と、当該車両10の転倒時に上方に突出して乗員を保護する柱状の2つのARB14,14と、を備える。パッケージトレイ12は、各シート11の後側であってARB14の上側部分を凹状に切り欠いた形をなす2つの切欠部23,23を備える。2つの切欠部23,23の前側には、ARB14を上方から覆う樹脂製の板状体である2つのARBカバー21,21が取り付けられている。2つのARBカバー21,21は、それぞれが左右対称となる形でパッケージトレイ12の左右側に設けられている。パッケージトレイ12と2つのARBカバー21,21は、上面(表面)が面一となるように配されており、一体的な意匠を構成している。
【0016】
図3及び
図4に示すように、右側に設けられたARBカバー21は、その外形がパッケージトレイ12の切欠部23に倣う長板状の本体部40と、本体部40の裏面側(下面側)に重畳する形で固定されて本体部40を補強する補強部30と、を備える。補強部30は、ARB14の上方に位置し、車両10の転倒時に上方に突出するARB14が当接する部分となる当接部34と、当接部34の左後側において後方に凹状に窪んだ凹部35と、を備える。補強部30において、当接部34の後側の部分、当接部34と凹部35との間の部分、及び凹部35の左側の部分は、複数のねじ33が螺合することで本体部40に対し固定されている。ねじ33は、時計回りに回ると本体部40側(上側)に前進しながら螺合する右ねじとされる。
【0017】
ARBカバー21は、パッケージトレイ12に対し着脱可能に係止した複数の係止部41と、本体部40から下方に立ち上がった筒状のボス部42R,42Lと、を備える。係止部41は、上方に突出したARB14が当接部34に当接し、ARBカバー21を上方に押し上げることで、パッケージトレイ12から外れる構成とされている。これにより、ARBカバー21は、パッケージトレイ12から分離可能とされる。
【0018】
ボス部42R,42Lは、補強部30の当接部34の後方に配された右ボス部42Rと、補強部30の凹部35の左後側に配され、右ボス部42Rの左方に位置した左ボス部42Lと、からなる。右ボス部42Rには、帯状(長尺状)の樹脂織物であるストラップ(被締結部材)50の一方の端部50Aが、ねじ33の螺合によって締結されている(ストラップ50は、その一方の端部50Aが、ねじ33の螺合によって右ボス部42Rに対し共締めされることで、ARBカバー21に締結されているともいえる)。
図3に示すように、ストラップ50の他方の端部50Bは、パッケージトレイ12の切欠部23からARBカバー21の裏面側に延在した延在部23Bに対しねじ33の螺合によって締結されている。尚、
図4に示すように、左ボス部42Lには、ストラップ50と補強部30の凹部35とが、ねじ33の螺合によって締結されている。尚、本実施形態では、被締結部材として帯状(長尺状)の樹脂織物であるストラップを例示するが、これに限られない。例えば、被締結部材としては、織布、不織布等の比較的柔らかい素材からなり、紐状やシート状の形をなしたものを採用することができる。他にも、被締結部材としては、例えば、剛性を有する板状の樹脂成形部材を採用することができる。
【0019】
以降は、右ボス部42Rを単にボス部42Rと記載して説明する。尚、左ボス部42Lについても、右ボス部42Rと同様の構成とする。
図6に示すように、ボス部42Rの周囲には、本体部40から下方に立ち上がり、当該ボス部42Rから放射状に延在した複数のリブ43が設けられている。複数のリブ43の下側の面(裏面側の面)430は、後述するボス部42Rの対向面46と面一をなしている。複数のリブ43の前側には、本体部40から下方に立ち上がった壁をなす壁部44が設けられている。壁部44は、複数のリブ43のうち、ボス部42Rから左右方向に延在したリブ43A,43B、右前方向並びに左前方向に延在したリブ43C,43D、及び前方に延在したリブ43Eを囲み、下方から視た場合にコの字状をなす形で設けられている。壁部44は、ボス部42R及び複数のリブ43よりも下方に延在している。
【0020】
図5に示すように、ねじ33は、ドライバー等の工具が嵌合する部分である頭部33Aと、頭部33Aから柱状に立ち上がったねじ部33Bと、を備える。ねじ部33Bの外周側には、螺旋状の溝が上下方向に亘って設けられている。
図5及び
図6に示すように、ボス部42Rは、ねじ33のねじ部33Bが挿入される孔状の孔部45と、ボス部42Rにおいて下側(裏面側)の面であってねじ33の頭部33Aに対向する面を構成する対向面46と、を備える。対向面46は、孔部45を囲む円環状をなしている。対向面46と孔部45との間は、孔部45側に向かうほど径が小さくなるテーパ状をなしている。
【0021】
対向面46には、下方に突状をなす4つの突部47が設けられている。ストラップ50は、その一方の端部50Aが、ねじ33の頭部33Aとボス部42Rの対向面46との間に挟まれ、4つの突部47に当接する形でARBカバー21に対し締結されている。ねじ33のねじ部33Bがボス部42Rに螺合され、頭部33Aがストラップ50の一方の端部50Aをボス部42Rの対向面46側に押圧することで、4つの突部47が、ストラップ50の一方の端部50Aに食い込んでいる。これにより、ARBカバー21に対するストラップ50の締結構造1(
図5参照)を構成している。
【0022】
図6から
図8に示すように、4つの突部47は、対向面46において、左右側に配されたリブ43A,43B、及び前後側に配されたリブ43E,43Gに繋がる部分にそれぞれ位置している。突部47は、全体として三角錐形状をなしており、その先端(最も下側に位置する部分)に向かうほど先細る形をなしている。突部47は、下方視した場合にその底面(対向面46に接する面)が二等辺三角形状をなしている(
図7参照)。突部47は、対向面46における外周側に向かうほど突出高さ(対向面46から下方に突出した高さ)が高くなる。突部47は、ねじ33の螺合方向(ねじ部33Bが孔部45に挿入されるように回転する方向であって、時計回りの方向)とは反対側の方向(反時計回りの方向)に向かうほど突出高さが高くなる。従って、例えば、複数の突部47のうち、後側(リブ43G側)に位置する突部47Aでは、その左後部分としての頂点部(突部47Aにおける先端)47A1が、最も突出高さが高くなる部分とされる。
【0023】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、樹脂部材(ARBカバー)21に対し、樹脂部材21に螺合したねじ33によって締結されたストラップ50の締結構造であって、樹脂部材21は、板状の本体部40と、本体部40から立ち上がり、ねじ33が螺合されたボス部42Rと、を備え、ボス部42Rは、ねじ33の頭部33Aに対向する面をなす対向面46において、突状をなす突部47を備え、ストラップ50は、ねじ33の頭部33Aとボス部42Rの対向面46との間に挟まれ、突部47に当接する形で樹脂部材21に締結されている、ストラップ50の締結構造を示した。
【0024】
このようなストラップ50の締結構造によると、製造の際の作業者がねじ33をボス部42Rに螺合するときに、ストラップ50がねじ33の頭部33Aによってボス部42Rの対向面46側に押圧され、当該対向面46に設けられた突部47がストラップ50に食い込むことで、ストラップ50がねじ33の螺合に伴って回転してしまうことを防ぐことができる。これにより、製造の際の作業者の作業効率を向上させることができる。また、このようなストラップ50の回転を防ぐために、例えば、ストラップ50に引っ掛かってその回転を止める引掛部のような構造体をボス部42Rの付近に設ける必要が無くなるため、樹脂部材21の構造の簡素化や製造コストの削減を図ることができる。
【0025】
また、突部47は、その先端に向かうほど先細る形をなしている。このようなストラップ50の締結構造によると、先細る形をなす突部47が、ストラップ50に食い込みやすくなり、ねじ33の螺合に伴うストラップ50の回転を止めやすくなる。
【0026】
また、ボス部42Rは、ねじ33のねじ部33Bが挿入される孔部45を備え、対向面46は、孔部45を囲む環状をなし、突部47は、ねじ33の螺合方向とは反対側の方向に向かうほど突出高さが高くなる。このようなストラップ50の締結構造によると、孔部45を囲む環状をなす対向面46に設けられた突部47が、ストラップ50にさらに食い込みやすくなり、ねじ33の螺合に伴うストラップ50の回転を止めやすくなる。
【0027】
また、ボス部42Rは、ねじ33のねじ部33Bが挿入される孔部45を備え、対向面46は、孔部45を囲む環状をなし、突部47は、対向面46における外周側に向かうほど突出高さが高くなる。このようなストラップ50の締結構造によると、孔部45を囲む環状をなす対向面46に設けられた突部47が、ストラップ50により食い込みやすくなり、ねじ33の螺合に伴うストラップ50の回転を止めやすくなる。
【0028】
また、樹脂部材21は、車両10の転倒時に突出するARB14を覆うARBカバーであり、ARB14に押圧されることで車両10に設けられたパッケージトレイ12から分離可能な構成とされ、ストラップ50は、長尺状をなし、一方の端部50Aが樹脂部材21に締結され、他方の端部50Bがパッケージトレイ12に取り付けられている。ARBカバーには、突出するARB14に当接する当接部34を有する補強部30がボス部42Rの付近に設けられており、上述した引掛部のような構造体を設けてストラップ50の回転を防止することが難しい。しかしながら、上記のようなストラップ50の締結構造によると、ボス部42Rの付近に当接部34を有する補強部30が設けられていた場合であっても、上述した引掛部を設けることなく、ねじ33の螺合に伴ったストラップ50の回転を好適に抑制して、ARBカバーに対しストラップ50を精確に締結することができる。また、ARBカバーとしての樹脂部材21がストラップ50を介して車両10のパッケージトレイ12に繋がっているため、車両10の転倒時であっても、ARBカバーが飛散することを防ぐことができる。
【0029】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0030】
(1)上記実施形態以外にも、突部の形状は適宜変更可能である。例えば、突部は、円錐状、四角推状、又は柱状であってもよい。また、突部は、対向面の全域に対し例えばシボ加工がなされて構成される微細な凹凸であってもよい。
【0031】
(2)上記実施形態では、ねじは、右ねじとしたが、これに限られない。例えば、ねじは、反時計回り回ると樹脂部材側に前進しながら螺合する左ねじであってもよい。その場合、突部は、当該左ねじの螺合方向(反時計回りの方向)とは反対側の方向(時計回りの方向)に向かうほど突出高さが高くなるものとする。
【0032】
(3)上記実施形態以外にも被締結部材の締結構造を構成するボス部は適宜変更可能である。例えば、左ボス部においても、上記のような被締結部材の締結構造を採用してもよい。
【0033】
(4)上記実施形態では、他部材は、パッケージトレイとしたが、これに限られない。例えば、他部材は、シート等の他の内装材やボデーパネルであってもよい。
【0034】
(5)上記実施形態では、ストラップの締結構造は、2シーターのオープンカーに配されたパッケージトレイに採用されるものとしたが、4シーターのオープンカーにおいて後部座席の後方に配されるパッケージトレイに採用されるものとしてもよい。
【0035】
(6)上記実施形態で例示した被締結部材の締結構造は、車両用に提供されるもの限られず、種々の乗物において提供されるものであってもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記被締結部材の締結構造を適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…ストラップの締結構造、10…車両、12…パッケージトレイ(他部材)、14…ARB、21…ARBカバー(樹脂部材)、33…ねじ、33A…頭部、33B…ねじ部、40…本体部、42R…ボス部、45…孔部、46…対向面、47…突部、50…ストラップ(被締結部材)、50A…一方の端部、50B…他方の端部