(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/30 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A47K13/30 A
(21)【出願番号】P 2019235768
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】金子 義行
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-140259(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0113634(US,A1)
【文献】特開2010-043959(JP,A)
【文献】特開平09-173246(JP,A)
【文献】特開平10-071105(JP,A)
【文献】特開2009-261755(JP,A)
【文献】特開昭60-106424(JP,A)
【文献】特開平09-301119(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101721162(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-13/30
E03D 9/08
G01V 3/08
H01H 36/00-36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有するとともに、着座面と、前記内部空間内において前記着座面と反対側を向く内表面と、を有する便座と、
前記内部空間に設けられ、前記内表面を介して前記着座面を内側から暖めるヒータと、
前記内部空間に設けられた検出電極と、
前記検出電極と接続され、前記検出電極の静電容量を検出する検出回路と、
前記検出回路によって検出された前記静電容量に基づいて前記便座への着座を検出する制御部と、
前記検出電極と前記検出回路との間に
直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサの少なくとも2つのコンデンサと、
を備え
、
前記第1コンデンサは、前記便座の前記内部空間に設けられ、
前記第2コンデンサは、前記内部空間の外部に設けられたことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記便座を開閉可能に軸支するとともに、前記検出回路を内部に収納する本体部を備え、
前記第2コンデンサは、前記本体部の内部に設けられたことを特徴とする
請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記第1コンデンサは、前記ヒータと重ならない位置に配置されることを特徴とする
請求項1又は2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記検出電極は、前記ヒータよりも大きい面積を有し、前記ヒータの熱を前記内表面に拡散させる熱拡散部としても機能し、
前記第1コンデンサは、前記検出電極と重ならない位置に配置されることを特徴とする
請求項1~3のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項5】
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを直列に接続する配線部材を備え、
前記便座は、便座本体と、前記便座本体の後端に設けられた一対のヒンジ部と、を有し、
前記一対のヒンジ部の一方のヒンジ部は、前記内部空間と外部の空間とを連通させ、前記配線部材を通すための開口部を有し、
前記第1コンデンサは、前記一対のヒンジ部の他方のヒンジ部よりも前記一方のヒンジ部の近くに配置されることを特徴とする
請求項1~4のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記コンデンサの故障を検出することを特徴とする
請求項1~5のいずれか1つに記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便座への着座を検出する方法として、機械式のスイッチを用いることが知られている。機械式のスイッチは、安価であるが、検出には、便座の沈み込む動きが必要となる。このため、ガタツキによって使い勝手を低下させてしまったり、沈み込みの分の製品高さが増すためデザイン性を低下させたりしてしまう虞がある。
【0003】
例えば、便座内部に検出電極を設け、検出電極にパルス信号を送信出力し、その電流を測ることで、人体の着座にともなう静電容量の変化を検出する静電容量式の人体検出センサがある(例えば、特許文献1、2)。静電容量式の人体検出センサでは、便座を沈み込ませる必要が無く、機械式のスイッチと比べて動作上及びデザイン上の制約を少なくすることができる。特に、人体局部を洗浄する衛生洗浄装置などの便座装置では、デザイン性を優先する傾向にあり、静電容量式の人体検出センサの採用が求められている。
【0004】
また、着座面を暖めるためのヒータと、ヒータの熱を拡散するための熱拡散部とを便座内部に設ける場合に、熱拡散部を検出電極として利用し、検出電極と大地との間の静電容量の変化によって着座を検出する方法も提案されている(例えば、特許文献3)。この方式では、熱拡散部が便座全体に広く配置されるため、使用者が着座した際に検出される静電容量の信号自体が大きく、さらに、人の座り方や体格などのばらつきが人体の検出に与える影響も少ないという特長がある。また、熱拡散部を検出電極として利用するため、着座検出のために新たに検出電極を設けなくてもよいという利点もある。
【0005】
熱拡散部を検出電極として用いる場合、検出電極は、ヒータと重ねて配置される。また、熱拡散部とは別の検出電極を設ける場合でも、着座面を適切に暖めつつ人体を適切に検出するために、検出電極は、ヒータと近接させて配置する必要がある。このため、検出電極が、ヒータと短絡してしまう可能性がある。例えば、検出電極とヒータとがヒータの被覆のみで絶縁されている場合に、ヒータの被覆に不良が発生し、絶縁破壊を起こしてしまうと、検出電極がヒータと短絡してしまう。
【0006】
ヒータには、商用電源の交流電圧などの比較的高い電圧が印加される。一方、検出電極、及び検出電極の静電容量を検出する検出回路には、商用電源の交流電圧などを降圧した比較的低い電圧が印加される。このため、検出電極がヒータと短絡してしまうと、検出電極及び検出回路にヒータの高い電圧が入力され、検出回路が故障してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5029483号公報
【文献】特許第4645989号公報
【文献】特開平6-138247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、検出電極がヒータと短絡した際にも、検出回路の故障を抑制できる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、内部空間を有するとともに、着座面と、前記内部空間内において前記着座面と反対側を向く内表面と、を有する便座と、前記内部空間に設けられ、前記内表面を介して前記着座面を内側から暖めるヒータと、前記内部空間に設けられた検出電極と、前記検出電極と接続され、前記検出電極の静電容量を検出する検出回路と、前記検出回路によって検出された前記静電容量に基づいて前記便座への着座を検出する制御部と、前記検出電極と前記検出回路との間に設けられたコンデンサと、を備えたことを特徴とする便座装置である。
【0010】
この便座装置によれば、検出電極と検出回路との間にコンデンサを設けることにより、検出電極がヒータと短絡した際にも、コンデンサによるインピーダンス成分が途中に介在するため、ヒータの高い電圧が検出回路に直接的に入力されてしまうことを抑制することができる。これにより、検出電極がヒータと短絡した際にも、検出回路の故障を抑制することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記検出電極と前記検出回路との間に直列に接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサの少なくとも2つの前記コンデンサを備え、前記第1コンデンサは、前記便座の前記内部空間に設けられ、前記第2コンデンサは、前記内部空間の外部に設けられたことを特徴とする便座装置である。
【0012】
この便座装置によれば、環境が異なる2つのエリアに第1コンデンサ及び第2コンデンサを配置することで、検出回路の故障をより確実に抑制することができる。例えば、便座の内部空間に外部から水が浸入したり、便座の清掃時に洗剤などが内部空間に浸入したりし、便座の内部空間に配置した第1コンデンサが故障した状態で万が一検出電極がヒータと短絡した場合でも、第2コンデンサによって検出回路の故障を抑制することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、前記便座を開閉可能に軸支するとともに、前記検出回路を内部に収納する本体部を備え、前記第2コンデンサは、前記本体部の内部に設けられたことを特徴とする便座装置である。
【0014】
この便座装置によれば、ノイズの侵入による検出回路の誤動作を抑制することができる。例えば、第1コンデンサと第2コンデンサとの間にノイズが侵入したとしても、第2コンデンサによってノイズの影響を抑制することができる。一方、第2コンデンサと検出回路との間にノイズが侵入した場合には、ノイズの影響を抑制することが難しく、検出回路がノイズによって誤動作を起こしてしまう可能性がある。このため、第2コンデンサは、なるべく検出回路の近くに配置することが好ましい。従って、第2コンデンサを本体部の内部に設け、第2コンデンサと検出回路との間の距離を短くすることで、ノイズの侵入による検出回路の誤動作を抑制することができる。
【0015】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記第1コンデンサは、前記ヒータと重ならない位置に配置されることを特徴とする便座装置である。
【0016】
この便座装置によれば、熱の発生源であるヒータからなるべく第1コンデンサを遠ざけることで、ヒータを駆動した場合でも熱の影響を受け難くすることができ、温度による第1コンデンサの容量変化のばらつきの影響を受け難くすることができる。
【0017】
第5の発明は、第2~第4のいずれか1つの発明において、前記検出電極は、前記ヒータよりも大きい面積を有し、前記ヒータの熱を前記内表面に拡散させる熱拡散部としても機能し、前記第1コンデンサは、前記検出電極と重ならない位置に配置されることを特徴とする便座装置である。
【0018】
この便座装置によれば、熱の発生源であるヒータ及びヒータの熱を拡散させる検出電極からなるべく第1コンデンサを遠ざけることで、ヒータを駆動した場合でも熱の影響を受け難くすることができ、温度による第1コンデンサの容量変化のばらつきの影響を受け難くすることができる。
【0019】
第6の発明は、第2~第5のいずれか1つの発明において、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを直列に接続する配線部材を備え、前記便座は、便座本体と、前記便座本体の後端に設けられた一対のヒンジ部と、を有し、前記一対のヒンジ部の一方のヒンジ部は、前記内部空間と外部の空間とを連通させ、前記配線部材を通すための開口部を有し、前記第1コンデンサは、前記一対のヒンジ部の他方のヒンジ部よりも前記一方のヒンジ部の近くに配置されることを特徴とする便座装置である。
【0020】
この便座装置によれば、配線部材を通すための開口部を有するヒンジ部の近くに第1コンデンサを配置することで、第1コンデンサを検出電極及び配線部材と接続し易くすることができる。また、例えば、開口部の近くに第1コンデンサを配置することで、配線部材が検出電極と重なり、配線部材が検出電極やヒータ線と短絡してしまうことなども抑制し易くすることができる。このため、配線部材の絶縁対策などを簡易にすることができ、便座の内部空間に第1コンデンサを配置する場合に、部品点数の増加や製造コストの増加などを抑制することができる。
【0021】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記コンデンサの故障を検出することを特徴とする便座装置である。
【0022】
この便座装置によれば、コンデンサが故障した状態のまま使用が継続されてしまうことなどを抑制することができる。例えば、コンデンサが故障した状態で検出電極がヒータと短絡し、検出回路が故障してしまうことなどを抑制することができる。従って、検出回路の故障をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の態様によれば、検出電極がヒータと短絡した際にも、検出回路の故障を抑制できる便座装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態にかかる便座の一部を模式的に表す断面図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる便座を模式的に表す平面図である。
【
図4】第1の実施形態にかかる便座の一部を模式的に表す部分断面図である。
【
図5】第1の実施形態にかかる便座装置の電気的構成を模式的に表すブロック図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、第1の実施形態にかかる便座装置の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【
図7】第2の実施形態にかかる便座装置を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置2は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)4と、その上に設けられた便座装置10と、を備える。便座装置10は、本体部12と、便座14と、便蓋16と、を備える。
【0027】
以下の実施形態の説明では、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右側方」、及び「左側方」を用いるが、これらの方向は、
図1に表すように、便座14に座った使用者から見た方向である。
【0028】
便器4は、下方に向けて窪んだボウル部4aを有する。便器4は、ボウル部4aにおいて使用者の尿や便などの排泄物を受ける。便座装置10の本体部12は、便器4のボウル部4aよりも後方の上部に設けられる。本体部12は、便座14及び便蓋16を開閉可能に軸支する。
【0029】
便座14は、便座本体14aと、便座本体14aの後端に設けられた一対のヒンジ部14b、14cと、を有する。一対のヒンジ部14b、14cは、例えば、便座本体14aの後端の両側端部から後方に向かって延びる。本体部12は、一対のヒンジ部14b、14cを介して便座14を開閉可能に軸支する。
【0030】
便座本体14aは、開口部14dを有する。便座本体14aは、ボウル部4aの外縁を囲むように便器4の上に設けられ、開口部14dを介してボウル部4aを露呈させる。これにより、使用者は、便座14に座った状態でボウル部4aに排泄を行うことができる。この例では、貫通孔状の開口部14dが形成された、いわゆるO型の便座14を示している。便座14は、O型に限ることなく、U字型などでもよい。
【0031】
便座装置10は、便座14の着座面を暖める便座14の暖房機能を有する。また、便座装置10は、便座14に座った使用者の「おしり」などの局部を洗浄する衛生洗浄機能を有する。便座装置10は、換言すれば、衛生洗浄装置である。但し、便座装置10は、必ずしも衛生洗浄機能を有しなくてもよい。便座装置10は、少なくとも便座14の暖房機能を有していればよい。換言すれば、便座装置10は、暖房便座装置でもよい。
【0032】
便座装置10は、人体局部の洗浄を行うためのノズル20を有する。ノズル20は、本体部12に設けられ、本体部12内に収納された位置と、本体部12からボウル部4a内に進出した位置と、に進退移動する。なお、
図1では、ノズル20がボウル部4a内に進出した状態を表している。
【0033】
本体部12は、リモコンなどの操作部6と通信可能に構成されている。本体部12と操作部6との間の通信は、有線通信でもよいし、無線通信でもよい。本体部12は、例えば、操作部6からの操作指示の入力に応じてノズル20をボウル部4a内に進出させる。
【0034】
ノズル20は、人体局部に向けて水を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル20の先端部には、ビデ洗浄吐水口20a及びおしり洗浄吐水口20bが設けられている。ノズル20は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口20aから水を噴射して、便座14に座った女性の女性局部を洗浄することができる。あるいは、ノズル20は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口20bから水を噴射して、便座14に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0035】
「おしり」を洗浄するモードのなかには、例えば、「おしり洗浄」と、「おしり洗浄」よりもソフトな水流で優しく洗浄する「やわらか洗浄」と、が含まれる。ノズル20は、例えば、「ビデ洗浄」と、「おしり洗浄」と、「やわらか洗浄」と、を実行することができる。
【0036】
なお、
図1に表したノズル20では、ビデ洗浄吐水口20aがおしり洗浄吐水口20bよりもノズル20の先端側に設けられているが、ビデ洗浄吐水口20aおよびおしり洗浄吐水口20bの設置位置は、これだけに限定されるわけではない。ビデ洗浄吐水口20aは、おしり洗浄吐水口20bよりもノズル20の後端側に設けられていてもよい。また、
図1に表したノズル20では、2つの吐水口が設けられているが、3つ以上の吐水口が設けられていてもよい。
【0037】
図2は、第1の実施形態にかかる便座の一部を模式的に表す断面図である。
図2は、
図1のA1-A2線断面を模式的に表す。
図2に表したように、便座14の便座本体14aは、内部空間SPを有する。換言すれば、便座本体14aは、中空状である。便座14は、例えば、上板30と下板32とを有し、上板30と下板32とを接合することにより、便座本体14a及び一対のヒンジ部14b、14cを形成するとともに、上板30と下板32との間に内部空間SPを形成する。上板30は、使用者が着座する着座面30aと、下板32と対向する内表面30bと、を有する。内表面30bは、換言すれば、内部空間SP内において着座面30aと反対側を向く面である。上板30と下板32との接合は、接着剤を用いた接着でもよいし、振動溶着などを用いた溶着などでもよい。但し、便座14の構成は、上記に限ることなく、少なくとも内部空間SPと着座面30aと内表面30bとを有する任意の構成でよい。
【0038】
図3は、第1の実施形態にかかる便座を模式的に表す平面図である。
図4は、第1の実施形態にかかる便座の一部を模式的に表す部分断面図である。
図4は、
図3のB1-B2線断面を模式的に表す。
図3及び
図4に表したように、便座装置10は、ヒータ40と、検出電極42と、をさらに備える。
【0039】
ヒータ40は、電流を流すことによって発熱する。ヒータ40は、例えば、コード状である。ヒータ40は、例えば、電熱線40aと、電熱線40aの周囲を覆う被覆40bと、を有する。被覆40bは、例えば、樹脂などからなる絶縁体である。ヒータ40は、内部空間SPに設けられ、外部からの交流電圧の印加により、内表面30bを介して着座面30aを内側から暖める。すなわち、ヒータ40は、便座14の暖房機能を提供する。
【0040】
検出電極42は、内部空間SP内に設けられる。検出電極42は、例えば、内表面30bに設けられる。検出電極42は、便座14への着座の検出に用いられる。検出電極42は、例えば、シート状である。検出電極42の面積は、ヒータ40の面積よりも大きい。これにより、検出電極42は、ヒータ40の熱を内表面30bに拡散させる。このように、検出電極42は、便座14への着座を検出するための電極として機能するとともに、ヒータ40よりも大きい面積を有し、ヒータ40の熱を内表面30bに拡散させる熱拡散部としても機能する。検出電極42は、換言すれば、熱拡散シートである。但し、検出電極42を設ける位置は、内表面30bに限ることなく、便座14への着座を検出可能な内部空間SP内の任意の位置でよい。検出電極42は、必ずしも熱拡散部としての機能を有していなくてもよい。
【0041】
ヒータ40は、検出電極42と重ねて設けられる。ヒータ40と検出電極42との間には、第1接着剤44が設けられている。第1接着剤44は、ヒータ40と検出電極42とを接合する。
【0042】
検出電極42と、上板30の内表面30bと、の間には、第2接着剤46が設けられている。第2接着剤46は、検出電極42と、上板30の内表面30bと、を接合する。これにより、検出電極42は、上板30の内表面30bに設けられる。このように、ヒータ40及び検出電極42は、第1接着剤44及び第2接着剤46を介して上板30の内表面30bに貼り付けられる。これにより、内表面30bを介して着座面30aを内側から暖めることができる。
【0043】
検出電極42は、導体である。検出電極42は、例えば、金属箔である。金属箔の熱伝導率は、上板30の熱伝導率よりも高い。検出電極42としては、例えばアルミニウム箔や銅箔などが挙げられる。
【0044】
図3に表したように、ヒータ40は、検出電極42において蛇行し、検出電極42の略全体にわたって配置される。また、
図2及び
図3に表したように、検出電極42は、上板30の内表面30bの略全体にわたって設けられている。ヒータ40は、上板30の内表面30bの下において蛇行し、内表面30bの略全体にわたって配置される。このように、コード状のヒータ40は、曲げながら内表面30bに設けられる。これにより、着座面30aの略全体を適切に暖めることができる。なお、ヒータ40は、コード状に限ることなく、シート状などでもよい。ヒータ40の構成は、着座面30aを内側から暖めることができる任意の構成でよい。
【0045】
図5は、第1の実施形態にかかる便座装置の電気的構成を模式的に表すブロック図である。
図5に表したように、便座装置10は、電源回路50と、制御部52と、検出回路54と、制御負荷56と、を備える。
【0046】
電源回路50、制御部52、検出回路54、及び制御負荷56の各部は、本体部12の内部に設けられる。換言すれば、本体部12は、電源回路50、制御部52、検出回路54、及び制御負荷56を内部に収納する。本体部12は、例えば、ケースプレートと、ケースプレートの上方を覆うケースカバーと、を有する。本体部12の内部とは、例えば、ケースプレートとケースカバーとで囲まれた空間の内部である。
【0047】
電源回路50は、交流電源PSと電気的に接続される。電源回路50は、交流電源PSから供給される交流電圧を直流電圧に変換し、変換後の直流電圧を制御部52、検出回路54、及び制御負荷56に供給する。電源回路50は、いわゆるAC-DCコンバータである。電源回路50は、例えば、一次側(交流側)と二次側(直流側)とを電気的に絶縁する絶縁型のAC-DCコンバータである。電源回路50は、例えば、絶縁型フライバックコンバータである。制御部52、検出回路54、及び制御負荷56は、電源回路50からの直流電圧の供給に応じて動作する。
【0048】
制御部52は、便座装置10の各部の動作を統括的に制御する。制御部52は、検出回路54及び制御負荷56と電気的に接続され、検出回路54及び制御負荷56の動作を制御する。
【0049】
便座装置10は、例えば、複数の制御負荷56を有する。制御負荷56は、例えば、ノズル20を進退移動させるためのモーターや、ノズル20への水の供給(ノズル20からの吐水)及びノズル20への水の供給の停止を切り替えるための電磁弁などである。制御負荷56は、例えば、ノズル20に供給する水を加熱する熱交換器、ビデ洗浄吐水口20a及びおしり洗浄吐水口20bの経路の切り替えを行う切替弁、及びボウル部4a内の空気を吸引して脱臭する脱臭装置などをさらに含んでもよい。制御負荷56は、電源回路50から供給される直流電圧によって動作するとともに、制御部52によって動作を制御される任意の機器でよい。
【0050】
制御部52は、例えば、図示を省略した通信回路などを介して操作部6と通信可能に接続される。制御部52には、例えば、ノズル20による局部洗浄の実行及び局部洗浄の停止など、操作部6の操作に応じた種々の操作指示が入力される。制御部52は、操作部6から入力された操作指示に応じて制御負荷56の動作を制御する。これにより、制御部52は、操作部6の操作に応じて、ノズル20による局部洗浄の実行及び局部洗浄の停止などを制御する。
【0051】
検出回路54は、便座14の内部空間SPに設けられた検出電極42と接続されている。検出回路54は、検出電極42の静電容量を検出する。より詳しくは、検出回路54は、便座14に着座している状態と、便座14に着座していない状態と、における検出電極42の大地との間の静電容量の変化を検出する、自己容量方式の静電容量検出回路である。
【0052】
検出回路54は、制御部52と接続されている。検出回路54は、例えば、制御部52の制御に基づいて検出電極42の静電容量の検出を行い、検出結果を制御部52に入力する。
【0053】
制御部52は、検出回路54による静電容量の検出を制御するとともに、検出回路54によって検出された静電容量に基づいて便座14への着座を検出する。制御部52は、例えば、操作部6から入力される操作指示及び検出回路54の検出結果に基づいて、複数の制御負荷56の動作を制御する。
【0054】
制御部52は、検出回路54の検出結果を基に便座14への着座を検出した場合に、操作部6からの操作指示に応じて所定の制御負荷56を動作させる。一方、制御部52は、便座14への着座を検出していない場合には、操作部6から操作指示が入力されたとしても、所定の制御負荷56を動作させない。制御部52は、例えば、着座を検出していない場合には、ノズル20による局部洗浄を行わないようにする。これにより、使用者などが便座14に着座していない状態においてノズル20から水が吐出されてしまうことを抑制することができる。
【0055】
また、例えば、脱臭装置を制御負荷56とする場合などには、制御部52は、便座14への着座の検出に応答して、制御負荷56を動作させる。このように、制御部52は、検出回路54の検出結果(便座14への着座の検出結果)に基づく制御負荷56の動作の状態を、制御負荷56の種類に応じて変化させる。制御部52は、検出回路54の検出結果に応じて制御負荷56を動作させたり、制御負荷56の動作を禁止したりする。
【0056】
なお、検出回路54による静電容量の検出動作の実行は、制御部52とは別の制御部の制御に基づいて行ってもよいし、検出回路54の独立した制御に基づいて行ってもよい。制御部52は、必ずしも検出回路54による静電容量の検出動作を制御しなくてもよい。
【0057】
電源回路50は、例えば、電源端子58と電気的に接続されている。電源回路50は、電源端子58を介して交流電源PSと電気的に接続される。交流電源PSは、例えば、AC100V(実効値)の商用電源である。電源端子58は、例えば、コンセントプラグである。
【0058】
ヒータ40は、電源端子58と接続されている。これにより、ヒータ40には、交流電源PSから供給された交流電圧が印加される。また、ヒータ40と電源端子58との間には、ヒータ40への交流電圧の印加及び印加の停止を切り替えるためのスイッチング素子60が設けられている。スイッチング素子60は、制御部52と接続されている。制御部52は、スイッチング素子60のオン・オフの切り替えを制御する。換言すれば、制御部52は、ヒータ40への通電(交流電圧の印加及び印加の停止)を制御する。スイッチング素子60は、例えば、双方向の光サイリスタである。これにより、電源回路50の二次側に接続される制御部52を一次側の交流電力と適切に電気的に絶縁することができる。
【0059】
便座14の一対のヒンジ部14b、14cの一方のヒンジ部14bは、便座14の内部空間SPと外部の空間とを連通させる開口部14pを有する(
図3参照)。開口部14pは、例えば、本体部12と対向するヒンジ部14bの内側の側面に設けられる。開口部14pは、例えば、便座14の内部空間SPと本体部12の内部の空間とを連通させる。
【0060】
ヒータ40と電源端子58とを電気的に接続するための一対の配線部材40c、40dは、
図3に表したように、ヒンジ部14bの開口部14pに通される。これにより、一対の配線部材40c、40dは、開口部14pを介して便座14の内部空間SPの外部に引き出されるとともに、本体部12の内部に挿通され、本体部12の内部において電源端子58及びスイッチング素子60と電気的に接続される。これにより、配線部材40c、40dが、外側に露出し、使用者などに視認されてしまうことを抑制することができる。
【0061】
なお、ヒータ40に供給する電力は、交流電源PSの交流電力に限ることなく、例えば、電源回路50によって変換された直流電力などでもよい。
【0062】
便座装置10は、検出電極42と検出回路54との間に設けられたコンデンサ80をさらに備える。コンデンサ80は、例えば、便座14の内部空間SP内に設けられる。本体部12の内部には、電源回路50、制御部52、検出回路54、及び制御負荷56などの多数の機器が設けられるため、本体部12の内部は、便座14の内部空間SPと比べて空いているスペースが少ない。従って、コンデンサ80を便座14の内部空間SP内に設けることにより、本体部12の内部と比べて、コンデンサ80を配置し易くすることができる。
【0063】
但し、コンデンサ80は、便座14の内部空間SP内に限ることなく、本体部12の内部などに設けてもよい。便座14の内部空間SPには、開口部14pなどから水などが浸入する可能性がある。従って、コンデンサ80を本体部12の内部に設けた場合には、便座14の内部空間SP内に設けた場合と比べて、被水によるコンデンサ80の故障などを抑制し易くすることができる。
【0064】
図6(a)及び
図6(b)は、第1の実施形態にかかる便座装置の動作の一例を模式的に表すグラフである。
検出回路54は、コンデンサ80を介して検出電極42と接続され、所定の周波数のパルス信号を検出電極42に送信することにより、検出電極42の静電容量の変化を検知する。パルス信号の周波数は、例えば、10kHz~20kHz程度である。このように、パルス信号は、比較的高周波の信号であり、コンデンサ80を通って検出電極42に入力される。このため、検出電極42と検出回路54との間にコンデンサ80を設けたとしても、コンデンサ80が着座の検出に影響を与えてしまうことを抑制することができる。
【0065】
検出回路54は、例えば、所定数のパルス信号を検出電極42に送信し、各パルスを検出電極42に印加した際に検出電極42に蓄積された電荷を検出する。すなわち、検出回路54は、パルス信号を送信した際の検出電極42の電圧の変化により、検出電極42の静電容量の変化を検知する。
【0066】
制御部52は、検出回路54による静電容量の検出を制御するとともに、検出された静電容量を基に、人体の有無を判定する。自己容量型のセンサでは、人体が無い状態よりも人体が有る状態において検出電極42の静電容量が大きくなる。この場合、パルス信号を送信した際の検出電極42の電圧は、人体が無い状態よりも人体が有る状態において大きくなる。
【0067】
制御部52は、
図6(a)及び
図6(b)に表したように、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が閾値Vthを超えた場合に、便座14への着座を検出し、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が閾値Vthを超えない場合に、便座14への非着座を検出する。換言すれば、制御部52は、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が閾値Vthを超えた場合に、使用者などが便座14に着座していると判定し、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が閾値Vthを超えない場合に、便座14に着座していないと判定する。
【0068】
また、コンデンサ80がショート故障を起こした場合には、
図6(a)に表したように、使用者などが便座14に着座していない状態であったとしても、パルス信号を送信した際の検出電極42の電圧が、上限値VUよりも大きくなる。従って、制御部52は、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が上限値VUを超えた場合には、コンデンサ80がショート故障を起こしていると判定する。換言すれば、制御部52は、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が上限値VU以上である場合に、コンデンサ80のショート故障を検出する。
【0069】
反対に、コンデンサ80がオープン故障を起こした場合には、パルス信号が検出電極42に入力されなくなるため、
図6(b)に表したように、使用者などが便座14に着座している状態であったとしても、パルス信号を送信した際の検出電極42の電圧が、下限値VLよりも小さくなる。従って、制御部52は、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が下限値VLを超えない場合には、コンデンサ80がオープン故障を起こしていると判定する。換言すれば、制御部52は、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が下限値VL以下である場合に、コンデンサ80のオープン故障を検出する。
【0070】
このように、制御部52は、コンデンサ80の故障を検出する。より具体的には、制御部52は、検出回路54の検出結果を基に、コンデンサ80のショート故障及びオープン故障を検出する。
【0071】
便座装置10は、コンデンサ80の故障を使用者などに報知するための報知部62を備える。制御部52は、コンデンサ80の故障を検出した場合、報知部62を動作させることにより、使用者などにコンデンサ80の故障を報知する。これにより、コンデンサ80が故障した状態のまま便座装置10の使用が継続されてしまうことを抑制することができる。
【0072】
報知部62は、例えば、光の点灯によって報知を行うLEDなどの発光素子である。報知部62は、音声によって報知を行うスピーカや、文字や記号などの表示によって報知を行う液晶ディスプレイなどの表示装置などでもよい。報知部62の構成は、コンデンサ80の故障を使用者などに適切に報知することができる任意の構成でよい。
【0073】
また、コンデンサ80の故障の報知は、操作部6などの外部の機器で行ってもよい。制御部52は、コンデンサ80の故障を検出した際に、コンデンサ80の故障の検出を外部の機器に送信する構成としてもよい。この場合、便座装置10は、報知部62を備えなくもよい。このように、報知部62は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0074】
前述のように、ヒータ40は、検出電極42と重ねて設けられる。この際、ヒータ40と検出電極42との間の絶縁は、ヒータ40の被覆40bによって担保される。このため、ヒータ40の被覆40bに不良が発生し、絶縁破壊を起こしてしまうと、検出電極42がヒータ40の電熱線40aと短絡してしまう可能性ある。
【0075】
ヒータ40には、電源回路50の一次側の電圧が印加される。一方、検出電極42及び検出回路54には、電源回路50の二次側の電圧が印加される。このため、仮に検出電極42がヒータ40と短絡し、検出電極42及び検出回路54に一次側の高い電圧が入力されたとすると、検出回路54が故障してしまう恐れがある。
【0076】
ヒータ40と検出電極42との間に絶縁体を設けることも考えられるが、比較的面積の大きい検出電極42の略全体に絶縁体を設けることは難しく、便座装置10の製造コストの増加などを招いてしまう。また、ヒータ40と検出電極42との間にさらに絶縁体を設けると、ヒータ40の熱が着座面30aに伝わり難くなってしまう可能性ある。
【0077】
これに対し、本実施形態に係る便座装置10では、検出電極42と検出回路54との間にコンデンサ80を設けている。ヒータ40に印加される電圧は、50Hz又は60Hzの比較的低い周波数の交流電圧、もしくは直流電圧である。コンデンサ80は、直流電圧及び低い周波数の交流電圧の通過を抑制する。従って、本実施形態に係る便座装置10では、検出電極42と検出回路54との間にコンデンサ80を設けることにより、検出電極42がヒータ40と短絡した際にも、コンデンサ80によるインピーダンス成分が途中に介在するため、ヒータ40の高い電圧が検出回路54に直接的に入力されてしまうことを抑制することができる。これにより、検出電極42がヒータ40と短絡した際にも、検出回路54の故障を抑制することができる。
【0078】
また、前述のように、検出回路54から検出電極42に入力するパルス信号は、比較的高周波の信号であり、パルス信号は、コンデンサ80を通って検出電極42に入力される。従って、便座装置10では、着座の検出に影響を与えてしまうことを抑制しつつ、検出回路54の故障を抑制することができる。
【0079】
また、ヒータ40と検出電極42との間に絶縁体を設ける場合と比べて、コンデンサ80は、便座14内又は本体部12内などに比較的簡単に配置することができ、より簡単な構成で検出回路54の故障を抑制することができる。さらには、ヒータ40の熱が着座面30aに伝わり難くなってしまうこともない。
【0080】
また、便座装置10では、制御部52が、コンデンサ80の故障を検出する。これにより、コンデンサ80が故障した状態のまま便座装置10の使用が継続されてしまうことなどを抑制することができる。例えば、コンデンサ80が故障した状態で検出電極42がヒータ40と短絡し、検出回路54が故障してしまうことなどを抑制することができる。従って、検出回路54の故障をより確実に抑制することができる。
【0081】
コンデンサ80には、例えば、セラミックコンデンサが用いられる。但し、コンデンサ80は、これに限ることなく、他の種類のコンデンサでもよい。コンデンサ80の容量は、パルス信号の周波数、ヒータ40に入力される電圧の電圧値、及びヒータ40に入力される交流電圧の周波数などに応じて適宜設定すればよい。
【0082】
図7は、第2の実施形態にかかる便座装置を模式的に表す説明図である。
図7に表したように、便座装置10aは、第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82の少なくとも2つのコンデンサ80を備える。なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82は、検出電極42と検出回路54との間に直列に接続される。換言すれば、第1コンデンサ81は、検出電極42と検出回路54との間に設けられ、第2コンデンサ82は、第1コンデンサ81と検出回路54との間に設けられる。
【0084】
第1コンデンサ81は、便座14の内部空間SP内に設けられる。第2コンデンサ82は、内部空間SPの外部に設けられる。第2コンデンサ82は、例えば、本体部12の内部に設けられる。
【0085】
便座装置10aは、第1コンデンサ81と第2コンデンサ82とを直列に接続する配線部材84を備える。配線部材84は、ヒンジ部14bに設けられた開口部14pに挿通されることにより、便座14の内部空間SPから内部空間SPの外部に引き出される。このように、ヒンジ部14bの開口部14pは、便座14の内部空間SPと外部の空間を連通させ、配線部材84を通すための開口部である。配線部材84の一端は、便座14の内部空間SP内に位置し、第1コンデンサ81と接続される。配線部材84の他端は、開口部14pを介して便座14の内部空間SPの外部に引き出されるとともに、本体部12の内部に挿通され、本体部12の内部において第2コンデンサ82と接続される。これにより、第1コンデンサ81と第2コンデンサ82とが直列に接続される。
【0086】
なお、第2コンデンサ82の位置は、本体部12の内部に限定されるものではない。第2コンデンサ82は、例えば、本体部12の外面などに設けてもよいし、便器4のボウル部4aの後方の空間などに設けてもよい。第2コンデンサ82の位置は、便座14の内部空間SPの外部の任意の位置でよい。但し、検出回路54が本体部12の内部に設けられている点などを考慮すると、第2コンデンサ82は、本体部12の内部に設けることが最も好適である。
【0087】
第1コンデンサ81は、便座14の内部空間SP内において、ヒータ40と重ならない位置に配置される。さらに、第1コンデンサ81は、内部空間SP内において、検出電極42と重ならない位置に配置される。より具体的には、第1コンデンサ81は、便座14を下げた状態(着座可能な状態)の上面視においてヒータ40及び検出電極42と重ならない位置に配置される。換言すれば、第1コンデンサ81は、着座面30aと直交する方向において、ヒータ40及び検出電極42と重ならない位置に配置される。
【0088】
また、第1コンデンサ81は、一対のヒンジ部14b、14cの他方のヒンジ部14cよりも開口部14pを有する一方のヒンジ部14bの近くに配置される。第1コンデンサ81とヒンジ部14bとの間の距離は、第1コンデンサ81とヒンジ部14cとの間の距離よりも短い。
【0089】
第1コンデンサ81は、便座14の内部空間SPの後方側に設けられる。第1コンデンサ81は、例えば、内部空間SP内において、開口部14dよりも後方に設けられる。第1コンデンサ81は、内部空間SPの後方側においてヒンジ部14bに寄せて配置される。
【0090】
但し、第1コンデンサ81の位置は、上記に限ることなく、便座14の内部空間SP内の任意の位置でよい。第1コンデンサ81は、例えば、検出電極42に重ねて配置してもよい。
【0091】
便座装置10aにおいても、制御部52は、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が閾値Vthを超えた場合に、便座14への着座を検出し、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が閾値Vthを超えない場合に、便座14への非着座を検出する。
【0092】
また、第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82の少なくとも一方がショート故障を起こした場合には、使用者などが便座14に着座していない状態であったとしても、パルス信号を送信した際の検出電極42の電圧が、上限値VUよりも大きくなる。従って、制御部52は、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が上限値VU以上である場合に、第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82の少なくとも一方のショート故障を検出する。
【0093】
反対に、第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82の少なくとも一方がオープン故障を起こした場合には、パルス信号が検出電極42に入力されなくなるため、使用者などが便座14に着座している状態であったとしても、パルス信号を送信した際の検出電極42の電圧が、下限値VLよりも小さくなる。従って、制御部52は、検出回路54によって検出された検出電極42の電圧が下限値VL以下である場合に、第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82の少なくとも一方のオープン故障を検出する。
【0094】
このように、第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82を設けた場合であっても、検出回路54の検出結果を基に、第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82のショート故障及びオープン故障を検出することができる。
【0095】
以上、説明したように、本実施形態に係る便座装置10aでは、検出電極42と検出回路54との間に直列に接続された第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82の少なくとも2つのコンデンサ80を備え、第1コンデンサ81が、便座14の内部空間SPに設けられ、第2コンデンサ82が、内部空間SPの外部に設けられる。このように、環境が異なる2つのエリアに第1コンデンサ81及び第2コンデンサ82を配置することで、検出回路54の故障をより確実に抑制することができる。例えば、便座14の内部空間SPに外部から水が浸入したり、便座14の清掃時に洗剤などが内部空間SPに浸入したりし、便座14の内部空間SPに配置した第1コンデンサ81が故障した状態で万が一検出電極42がヒータ40と短絡した場合でも、第2コンデンサ82によって検出回路54の故障を抑制することができる。
【0096】
また、便座装置10aでは、第2コンデンサ82が、本体部12の内部に設けられる。これにより、ノイズの侵入による検出回路54の誤動作を抑制することができる。例えば、第1コンデンサ81と第2コンデンサ82との間にノイズが侵入したとしても、第2コンデンサ82によってノイズの影響を抑制することができる。一方、第2コンデンサ82と検出回路54との間にノイズが侵入した場合には、ノイズの影響を抑制することが難しく、検出回路54がノイズによって誤動作を起こしてしまう可能性がある。例えば、制御部52が、着座・非着座の誤検出を起こしてしまう可能性がある。このため、第2コンデンサ82は、なるべく検出回路54の近くに配置することが好ましい。従って、第2コンデンサ82を本体部12の内部に設け、第2コンデンサ82と検出回路54との間の距離を短くすることで、ノイズの侵入による検出回路54の誤動作を抑制することができる。
【0097】
第2コンデンサ82は、例えば、検出回路54と一体的に設けてもよい。例えば、検出回路54が設けられた回路基板上に第2コンデンサ82を実装してもよい。これにより、第2コンデンサ82と検出回路54との間の距離をより短くし、ノイズの侵入による検出回路54の誤動作をより確実に抑制することができる。
【0098】
また、便座装置10aでは、第1コンデンサ81が、ヒータ40と重ならない位置に配置される。このように、熱の発生源であるヒータ40からなるべく第1コンデンサ81を遠ざけることで、ヒータ40を駆動した場合でも熱の影響を受け難くすることができ、温度による第1コンデンサ81の容量変化のばらつきの影響を受け難くすることができる。
【0099】
また、便座装置10aでは、第1コンデンサ81が、検出電極42と重ならない位置に配置される。このように、熱の発生源であるヒータ40及びヒータ40の熱を拡散させる検出電極42からなるべく第1コンデンサ81を遠ざけることで、ヒータ40を駆動した場合でも熱の影響を受け難くすることができ、温度による第1コンデンサ81の容量変化のばらつきの影響を受け難くすることができる。
【0100】
また、便座装置10aでは、第1コンデンサ81が、一対のヒンジ部14b、14cの他方のヒンジ部14cよりも一方のヒンジ部14bの近くに配置される。このように、配線部材84を通すための開口部14pを有するヒンジ部14bの近くに第1コンデンサ81を配置することで、第1コンデンサ81を検出電極42及び配線部材84と接続し易くすることができる。また、例えば、開口部14pの近くに第1コンデンサ81を配置することで、配線部材84が検出電極42と重なり、配線部材84が検出電極42やヒータ40と短絡してしまうことなども抑制し易くすることができる。このため、配線部材84の絶縁対策などを簡易にすることができ、便座14の内部空間SPに第1コンデンサ81を配置する場合に、部品点数の増加や製造コストの増加などを抑制することができる。
【0101】
なお、検出電極42と検出回路54との間に設けられるコンデンサ80の数は、2つに限ることなく、第1の実施形態で示したように1つでもよいし、3つ以上でもよい。検出電極42と検出回路54との間に3つ以上のコンデンサ80を直列に接続してもよい。
【0102】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置2や便座装置10、10aなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0103】
2 トイレ装置、 4 便器、 6 操作部、 10、10a 便座装置、 12 本体部、 14 便座、 16 便蓋、 20 ノズル、 30 上板、 32 下板、 40 ヒータ、 42 検出電極、 44 第1接着剤、 46 第2接着剤、 50 電源回路、 52 制御部、 54 検出回路、 56 制御負荷、 58 電源端子、 60 スイッチング素子、 62 報知部、 80 コンデンサ、 81 第1コンデンサ、 82 第2コンデンサ、 84 配線部材