(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】浚渫用グラブバケットの架台
(51)【国際特許分類】
E02F 3/47 20060101AFI20231214BHJP
E02F 3/413 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
E02F3/47 Z
E02F3/413
(21)【出願番号】P 2021096745
(22)【出願日】2021-06-09
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】510303464
【氏名又は名称】株式会社若港
(73)【特許権者】
【識別番号】390031484
【氏名又は名称】株式会社光栄鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100085648
【氏名又は名称】田中 幹人
(72)【発明者】
【氏名】六田 啓二
(72)【発明者】
【氏名】大森 貴禎
(72)【発明者】
【氏名】大島 律
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 真志
(72)【発明者】
【氏名】吉原 到
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 優磨
(72)【発明者】
【氏名】光内 強伸
(72)【発明者】
【氏名】濱田 巧
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一平
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-124562(JP,A)
【文献】特開2015-055126(JP,A)
【文献】特開2016-118060(JP,A)
【文献】特表2018-529869(JP,A)
【文献】実公昭53-010247(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/47
E02F 3/413
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能に軸支した左右一対のシェルの刃先をツース無しとするとともに、
刃先の口幅方向の外面に亘って、
矩形状の基板と、基板に一定間隔で固定した複数のツースと、刃先に固定するための固定板を備えたツースカートリッジをシェル毎に着脱可能に固定することによって、
ツース無し又はツース有りの状態を選択して浚渫可能とした浚渫用グラブバケットを、
シェルの全閉状態、或いはシェルの全開状態のいずれにおいても載置して保持可能
な浚渫用グラブバケットの架台であって、
全閉状態のシェルを載置して保持可能な内側面と、全開状態のシェルを載置して保持可能な上面を有する載置部材を架設した架台本体を備えたことを特徴とする浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項2】
載置部材の上面に全開時のシェルを載置するための載置枕材を具備する請求項
1記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項3】
載置部材に載置した全閉状態
のシェル、或い
は全開状態の
シェルを固縛具を介して架台本体に固縛可能とした請求項1
又は2記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項4】
架台本体は、
一対の口幅側基材と一対の開幅側基材からなる矩形状の基枠と、
開幅側基材間に架設した一対の連結長材と、
口幅側基材と連結長材との間に架設した一対の支持基材と、
支持基材の略中間位置において支持基材間に架設した連結短材と、
上面を基枠の中心方向に傾斜させて支持基材の延長上の口幅側基材に立設した口幅側支柱と、
口幅側支柱の上面に架設した載置部材と、
上面を基枠の中心方向に傾斜させて支持基材の略中間部と連結短材上に立設した複数の中間支柱と、
支持基材と口幅側支柱との間に中間支柱の上面を介して架設した傾斜支柱と、
開幅側基材の上面に所定間隔で立設した複数の開幅側支柱と、
開幅側支柱の上面に架設した開幅側上材とからな
る請求項
1,2又は3記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項5】
連結短材から口幅側基材の間に、口幅側基材の長手方向と直交するとともに、先端を口幅側基材の上面に延長した内部レールを敷設
するとともに、内部レール上を走行可能で、刃先から取り外したツースカートリッジを載置して保持する台座を備えた請求項
4記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項6】
連結短材から口幅側基材の間に、内部レールを保持する内部枕木材を配置した請求項
5記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項7】
台座は、矩形状の台座枠に固定した座面と、
台座枠の下面に装備した車輪と、
台座枠に所定間隔で立設した吊支柱と、
吊支柱の上端に装備した回転吊支具とからなり、
回転吊支具に、刃先から取り外したツースカートリッジを吊支可能とした請求項
5又は6記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項8】
座面は、所定角度で傾斜させた傾斜座面と、傾斜座面から所定角度で起立させた起立座面からなり、
ツースカートリッジを傾斜座面に載置して保持するとともに、起立座面でツースカートリッジを所定角度で起立させて保持する請求項
7記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項9】
傾斜座面の先端にポケット部を形成し、ポケット部にツースカートリッジのツース先端を挿入して保持する請求項
8記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項10】
台座枠の下面に
、台座を架台本体に固定する固定用フックを装備した請求項
7,8又は
9記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項11】
外部枕木材の上に外部レールを敷設して、架台本体の口幅側基材に回動可能に連結した外部レール機構を備えた請求項
4,5,6,7,8,9又は10記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項12】
外部枕木材を
回動させ、口幅側基材の長手方向と直交する方向に拡開して固定することにより、外部レールと内部レールを直線上に配置する請求項
11記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項13】
外部枕木材の拡開時に、内部レールから外部レール上に、内部レールに載置した台座を走行させることにより、台座を架台本体の外方向に取出可能とした請求項
12記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項14】
外部枕木材の拡開時に、外部レールから内部レール上に、外部レールに載置した台座を走行させることにより、台座を架台本体の内方向に収納可能とした請求項
12記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項15】
外部レール機構の不使用時には、外部枕木材を
回動させて架台本体の口幅側基材の長手方向の外面と平行に折り畳み、固定具によって固定可能とした請求項
11,12,13又は14記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【請求項16】
外部枕木材の先端に車輪止めを突設した請求項
11,12,13,14又は15記載の浚渫用グラブバケットの架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能に軸支した左右一対のシェルの刃先を一括してツース無し又はツース有りの刃先に変更するために、複数のツースを備えたツースカートリッジをシェル毎に着脱可能とした浚渫用グラブバケットにおいて、その着脱作業を円滑に行うための浚渫用グラブバケットの架台に関する。
【背景技術】
【0002】
浚渫用グラブバケットは、港湾,河川,湖沼等の水底において、比重,硬さ,粘度,含水率等が様々に異なる土質の土砂やヘドロ等の掴み物を、浚渫目的に応じて掘削して掴み取る必要がある。そのため、土質に適応した掘削能力を有する浚渫用グラブバケットを選択することが肝要となる。一般的な浚渫用グラブバケットを、その用途の観点から大別すると、ヘドロ等の含水率が大きく柔らかな土質の掴み物を所定の切り取り深さで薄く広範囲に掴み取るための薄層ヘドロ用バケット,柔らかな土質の大容量の掴み物を掴み取るための軟土盤用バケット,硬い土質の掴み物を掴み取るための硬土盤用バケットに分けられる。
【0003】
また、掘削力の大小の観点からは、大きな掘削力を得るために、シェルの刃先に複数のツース(爪)を装備したツース有りのバケットと、掘削のためにツースを必要としないツース無しのバケットに分けることができる。掴み物がヘドロであり、あまり掘削力を必要としない薄層ヘドロ用バケットは、一般にツースを装備しておらず、硬い地盤を掘削するための大きな掘削力を必要とする硬土盤用バケットはツースを装備している。
【0004】
軟らかな地盤を掘削する軟土盤用バケットには、その掘削目的に応じて、ツース有りとツース無しの双方のバケットが使用されている。具体的には、大容量の掴み物を掴み取ったり、軟土盤とはいえ硬めの土質であったり、掘削地盤に硬質地盤が混在するような場合にはツース有りのバケットを使用し、一方、大きな掘削力を必要としない軟質地盤の掘削や、水底にツース跡を残さないことが要求される仕上げ用浚渫では平底のツース無しのバケットが使用されている。
【0005】
浚渫は、作業船のクレーンから吊支した浚渫用グラブバケットの「(空中での浚渫箇所への)旋回」→「(水底への)巻下」→「(水底での)掴み」→「(水底からの)巻上」→「(空中での土運船への)旋回」→「(土運船への)掴み降ろし」→「(土運船での)開口」→「(土運船からの)巻上」の各動作を1サイクルとして行う。近時の浚渫においては、前記したサイクルタイムを短縮して作業効率を向上させるとともに、浚渫目的を達成するために、所定の仕様に従って精度高く浚渫することが強く求められている。中でも、薄層ヘドロ浚渫や、仕上げ用浚渫では浚渫後の水底にツース跡を残さないことが求められており、浚渫後に超音波によって水底の状況を確認している。
【0006】
そのため、薄層ヘドロ用バケットはもとより、軟土盤用バケットにおいても、ツース無しのバケットを選択することが多いが、土質によってはツース無しバケットでは掘削が困難となったり、所定の容量を掴むことができなかったり、場合によっては破損することさえあり、ツース有りバケットが必要となることがある。その逆に掘削力を高めるためにツース有りバケットを選択した場合に、土質によってはツースを必要としなかったり、仕上げ用浚渫のためにツースの存在が障害となってツース無しバケットを必要とする場合もある。
【0007】
その場合には、浚渫用グラブバケットそのものをツース無しバケットからツース有りバケットに交換したり、その逆にツース有りバケットからツース無しバケットに交換して浚渫する必要がある。また、浚渫用グラブバケットそのものを交換するのではなく、ツースの要否に応じて、その都度シェルの刃先にツースを1本ずつ溶接,溶断することや、ボルトとナットでツースをシェルの刃先に固着し、或いは固着したツースのボルトとナットを取り外すことによって、それぞれツース有りバケットやツース無しバケットとすることも行われている。
【0008】
更に、ツースに特化したものではないが、切り取り深さに適した浚渫用グラブバケットを選択可能とするため、シェルを吊支するためのA型フレームを共用化し、それ以外のシェルやシーブボックス等の部材をユニット化して複数装備し、浚渫船上で交換する手段も提供されている(特許文献1)。
【0009】
ツースの要否に応じて、浚渫船のクレーンに吊支した浚渫用グラブバケットそのものを交換するには、クレーンから支持ワイヤ及び開閉ワイヤを取り外し、新たに交換する浚渫用グラブバケットに支持ワイヤを取り付け、開閉ワイヤをシーブブロックに仕込み直す必要がある。これらの交換作業は煩雑であるとともに浚渫船上では困難であるため、浚渫海域から一度港に帰港して作業する必要があり、浚渫海域と港との往復が必要となる。また、浚渫船に交換用の浚渫用グラブバケットを常時装備しておくこともスペース上の制限や機材の効率的な使用の観点から困難である。
【0010】
ツースの要否に応じて、ツースを1本ずつシェルの刃先に溶接,溶断する手段は、ツースの確実な固定ができ、強度も維持することができるが、ツースの着脱の都度必要となるツースの溶接,溶断には多くの時間と労力を必要とする。同様に、ボルトとナットによってシェルの刃先にツースを着脱する手段は、前記したツースの溶接,溶断手段に比較して、その作業は簡便化されるものの、1本のツースに対して複数本のボルトとナットを必要とし、使用後の浚渫用グラブバケットからボルトを取り外す際には、ボルトやナットの錆による固着,ネジ山の破損等が避けられず、ボルトやナットの回動が困難となるため、結局、溶断する必要が生じることが多い。そのため、ボルトとナットが消耗品となってしまい、ツースの着脱の度にボルトとナットを新調する必要が生じる。
【0011】
また、前記した溶接,溶断作業やボルトとナットの着脱作業を浚渫作業員が行ったり、浚渫船上で行うことは煩雑であるとともに、専門的知識や技能を必要とし、浚渫用グラブバケットそのものの交換と同様に、浚渫海域から一度港に帰港して作業することもあり、その場合には浚渫海域と港との往復が必要となる。さらに、これらの手段は、シェルの刃先へのツースの着脱作業をツース毎に行う必要があるため、その作業には多くの時間と労力や専門的な技能を必要とする。
【0012】
更に、ボルトとナットを使用して着脱する場合は、ボルトがシェルの刃先を貫通するため、ボルトを取り除いたときに、シェルの刃先に貫通孔が残存する。そのため、ツース無しバケットとして使用する場合はボルトの貫通孔から掴み物が流出しないように、ツースを装着しない場合においてもボルトとナットで貫通孔を目隠しをする作業が必要となり、又ツース有りバケットとして使用する場合には、ツースを装着するために、その都度ボルトとナットを溶断等によって取り除いて貫通孔を露出させる作業が必要となる。
【0013】
これらの従来の手段は、いずれも作業に多くの時間と労力や専門知識と技能を必要とするため、作業効率や経済効率上著しく実効性に欠けている。そのため、従来、所定の仕様を満足するように精度高く、かつ、効率よく浚渫するために、土質や浚渫目的に応じて1台の浚渫用グラブバケットをツース無しとツース有りとして使い分けることは困難であり、そのような浚渫用グラブバケットは提供されていない。
【0014】
そこで、本発明者らは上記した問題点を解決し、土質や浚渫目的に応じた浚渫を、精度高く、かつ、作業効率よく行うために、本願に先立って特許出願を行った特願2021-80022号に示すツース無しの刃先を有するシェルを基本として、複数のツースを備えたツースカートリッジをシェル毎に一括して着脱可能とすることによって、ツース無し又はツース有りの状態を選択可能な浚渫用グラブバケットを発明した(以下、その発明を「先行出願発明」といい、そのバケットを「先行出願バケット」という)。先行出願発明の特徴である複数のツースを備えたツースカートリッジやシェルの刃先への着脱構造等の詳細は後述する。
【0015】
先行出願発明におけるツースカートリッジの着脱作業のためには、何らかの手段でシェルを全開状態で保持してシェルの刃先とツースカートリッジを着脱作業可能な状態に保持することが必要となる。従来より、専ら不使用時の浚渫用グラブバケットの保管のための架台が用いられており、洋上の作業船上でシェルを全閉状態で載置して固定することが行われている。また、架台としては、浚渫用グラブバケットを固定した架台に、水中捨石に対する圧密均し作業を行うことができる捨石均し用重錘としての機能を付加して架台を多用途に利用する手段も提供されている(特許文献2)。
【0016】
しかしながら、従来の架台は、特許文献2に示す多用途の架台を含めて、専ら浚渫用グラブバケットの不使用時や保管のためにシェルを全閉状態で載置するための専用の架台である。そのため、刃先での作業を行うことや、そのためにシェルを全開状態で載置して保持して作業スペースを刃先に確保することは何ら想定しておらず、又その必要性もなく、事実上も行えない。何より、ツースカートリッジは先行出願発明によって初めて提供されたものであり、その保持具等は存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2011-168364号公報
【文献】特開2015-055126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
シェルの刃先へのツースカートリッジの着脱によって、1台のバケットをツース無し又はツース有りの状態とすることが可能な先行出願発明の特徴を活かして、土質や浚渫目的,仕様等にあった適切な浚渫を効率よく行うためには、その必要条件としてシェルの刃先へのツースカートリッジの着脱作業を洋上の作業船上において、スムーズに素早く行う必要がある。浚渫用グラブバケットは重量物(例えば先行出願発明の実施品は、容量:30m3,重量:65トン)であり、ツースカートリッジ自体も重量物であるため(例えば先行出願発明の実施品の重量は、ツース4本のツースカートリッジ:1.3トン,ツース5本のツースカートリッジ:1.7トン)、勿論人力では操作できないし、両者をクレーン等で吊支するとしても単に吊支しただけでは揺動を来すこととなり、作業船上での両者の着脱作業は極めて困難であるばかりか、大きな危険性を伴うため、事実上行うことができない。
【0019】
そこで、先行出願発明におけるツースカートリッジの着脱作業のためには、何らかの手段でシェルの刃先とツースカートリッジを着脱作業可能な状態に保持することが必要である。
【0020】
浚渫水域における作業船の船上で、先行出願発明を実施して、ツース無し又はツース有りを自在に選択して浚渫作業を行うには、シェルの刃先へのツースカートリッジの着脱作業をスムーズに行うために何らかの手段でシェルの刃先とツースカートリッジを着脱作業可能な状態に保持することが必要である。具体的には以下に示す条件を充足する何らかの作業台やアシスト治具が必要不可欠である。
条件1:シェルの刃先へのツースカートリッジの着脱作業を行うために、シェルを全開状態として静止状態に保持すること。
条件2:ツースカートリッジを、シェルの刃先への着脱作業を可能な状態に保持すること。
条件3:シェルを全開状態で保持した際に、シェルの刃先にツースカートリッジを着脱作業するための作業スペースを確保すること。具体的には、シェルの刃先をツースカートリッジの着脱作業が可能な所定高さの中空状態に保持すること。
条件4:シェルの刃先へのツースカートリッジの着脱作業を円滑に行うためのアシスト治具が存在すること。
条件5:不使用時のアシスト治具を収納すること。
条件6:不使用時のツースカートリッジを収納できること。
【0021】
そこで、1台の浚渫用グラブバケットをツース無しとツース有りに容易に使い分けることが可能であるとともに、その作業を港に帰港することなく浚渫船上で容易に行うことが可能な汎用性の高い浚渫用グラブバケットを提供する先行出願発明を実施するために、本発明は前記条件1~条件6を充足する浚渫用グラブバケットの架台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは条件1~条件6を着眼点として、従来、全閉状態のバケットを保管するために使用している架台に着目し、架台を刃先へのツースカートリッジの着脱作業を行うための作業台やツースカートリッジの収納場所として利用することについて鋭意研究を行った結果、次の推論を立論した。
推論1:浚渫用グラブバケットを全開状態で架台に保持することができれば、ツースカートリッジの着脱作業のための作業スペースをシェルの刃先に確保できること。
推論2:浚渫用グラブバケットと併せて、ツースカートリッジも架台に保持できれば、架台上でシェルの刃先へのツースカートリッジの着脱作業が可能となるとともに完結すること。
推論3:架台上でシェルの刃先へのツースカートリッジの着脱作業を円滑に行うためには、ツースカートリッジを操作するアシスト治具を架台に装備することが望ましいこと。
推論4:前記アシスト治具としては、ツースカートリッジの保持手段,移動手段,位置合わせ手段,操作手段が必要であること。
推論5:ツースカートリッジを収納する構造を架台に組み込めば、不使用時におけるツースカートリッジの保管場所を確保できること。
【0023】
これらの推論1~推論5に基づき、本発明の課題を解決するために、請求項1により、開閉可能に軸支した左右一対のシェルの刃先をツース無しとするとともに、刃先の口幅方向の外面に亘って、矩形状の基板と、基板に一定間隔で固定した複数のツースと、刃先に固定するための固定板を備えたツースカートリッジをシェル毎に着脱可能に固定することによって、ツース無し又はツース有りの状態を選択して浚渫可能とした浚渫用グラブバケットを、シェルの全閉状態、或いはシェルの全開状態のいずれにおいても載置して保持可能な浚渫用グラブバケットの架台であって、全閉状態のシェルを載置して保持可能な内側面と、全開状態のシェルを載置して保持可能な上面を有する載置部材を架設した架台本体を備えた浚渫用グラブバケットの架台を基本として提供する。
【0024】
請求項2により、載置部材の上面に全開時のシェルを載置するための載置枕材を具備する構成を、請求項3により、載置部材に載置した全閉状態のシェル、或いは全開状態のシェルを固縛具を介して架台本体に固縛可能とした構成を提供する。
【0025】
また、請求項4により、架台本体は、一対の口幅側基材と一対の開幅側基材からなる矩形状の基枠と、開幅側基材間に架設した一対の連結長材と、口幅側基材と連結長材との間に架設した一対の支持基材と、支持基材の略中間位置において支持基材間に架設した連結短材と、上面を基枠の中心方向に傾斜させて支持基材の延長上の口幅側基材に立設した口幅側支柱と、口幅側支柱の上面に架設した載置部材と、上面を基枠の中心方向に傾斜させて支持基材の略中間部と連結短材上に立設した複数の中間支柱と、支持基材と口幅側支柱との間に中間支柱の上面を介して架設した傾斜支柱と、開幅側基材の上面に所定間隔で立設した複数の開幅側支柱と、開幅側支柱の上面に架設した開幅側上材とからなる構成を提供する。
【0026】
更に、請求項5により、連結短材から口幅側基材の間に、口幅側基材の長手方向と直交するとともに、先端を口幅側基材の上面に延長した内部レールを敷設するとともに、内部レール上を走行可能で、刃先から取り外したツースカートリッジを載置して保持する台座を備えた構成を、請求項6により、連結短材から口幅側基材の間に、内部レールを保持する内部枕木材を配置した構成を提供する。
【0027】
そして、請求項7により、台座は、矩形状の台座枠に固定した座面と、台座枠の下面に装備した車輪と、台座枠に所定間隔で立設した吊支柱と、吊支柱の上端に装備した回転吊支具とからなり、回転吊支具に、刃先から取り外したツースカートリッジを吊支可能とした構成を提供する。
【0028】
また、請求項8により、座面は、所定角度で傾斜させた傾斜座面と、傾斜座面から所定角度で起立させた起立座面からなり、ツースカートリッジを傾斜座面に載置して保持するとともに、起立座面でツースカートリッジを所定角度で起立させて保持する構成を提供する。
【0029】
更に、請求項9により、傾斜座面の先端にポケット部を形成し、ポケット部にツースカートリッジのツース先端を挿入して保持する構成を、請求項10により、台座枠の下面に、台座を架台本体に固定する固定用フックを装備した構成を提供する。
【0030】
請求項11により、外部枕木材の上に外部レールを敷設して、架台本体の口幅側基材に回動可能に連結した外部レール機構を備えた構成を、請求項12により、外部枕木材を回動させ、口幅側基材の長手方向と直交する方向に拡開して固定することにより、外部レールと内部レールを直線上に配置する構成を提供する。
【0031】
更に、請求項13により、外部枕木材の拡開時に、内部レールから外部レール上に、内部レールに載置した台座を走行させることにより、台座を架台本体の外方向に取出可能とした構成を、請求項14により、外部枕木材の拡開時に、外部レールから内部レール上に、外部レールに載置した台座を走行させることにより、台座を架台本体の内方向に収納可能とした構成を提供する。
【0032】
また、請求項15により、外部レール機構の不使用時には、外部枕木材を回動させて架台本体の口幅側基材の長手方向の外面と平行に折り畳み、固定具によって固定可能とした構成を、請求項16により、外部枕木材の先端に車輪止めを突設した構成を提供する。
【発明の効果】
【0033】
以上記載した本発明によれば、開閉可能に軸支した左右一対のシェルの刃先をツース無しとするとともに、刃先の口幅方向の外面に亘って、複数のツースを備えたツースカートリッジをシェル毎に着脱可能とした浚渫用グラブバケットのシェルを全開状態において載置して保持することができる。そのため、シェルの刃先を全開状態で所定高さの中空状態に保持できるため、シェルの刃先にツースカートリッジの着脱作業を行う作業スペースを確保することができる。また、浚渫用グラブバケットの保管のために、シェルを全閉状態としても載置して保持することができる。
【0034】
そして、浚渫用グラブバケットと併せて、ツースカートリッジを載置して保持した台座も架台内に移動可能に載置して保持することができ、必要に応じて架台本体内に敷設した内部レール及び架台本体に連結した外部レール機構を利用して、台座に保持したツースカートリッジを台座とともに架台の外方に取り出すことができ、更にシェルの刃先に応じた所定の高さにツースカートリッジを吊支することが可能となり、シェルの刃先への着脱作業を円滑に行うことができる。そのため、シェルの刃先へのツースカートリッジの着脱作業を行うのに必要なツースカートリッジ,台座,内部レール,外部レール機構等を全て架台内に組み込むことができる。
【0035】
本発明のシェルの刃先へのツースカートリッジの着脱によって、ツース無し又はツース有りのシェルを自在に選択して浚渫する浚渫用グラブバケットの実効性を担保することが可能となる。即ち、1台の浚渫用グラブバケットを、薄層ヘドロ浚渫や、大きな掘削力を必要としない軟土盤の浚渫、更には仕上げ用浚渫等のツースを必要としないか、ツースの存在が障害となるような浚渫に適したツース無しバケットと、大容量の掴み物を掴み取ったり、掘削地盤に硬質地盤が混在するような場合等のツースを必要とする浚渫を行うためのツース有りバケットの双方に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】浚渫用グラブバケットの全閉時の全体斜視図。
【
図2】浚渫用グラブバケットのツース無しの状態の全開時の全体斜視図。
【
図3】浚渫用グラブバケットのツース有りの状態の全開時の全体斜視図。
【
図4】左右一対のシェル毎のツースカートリッジの全体斜視図。
【
図5】一方のシェルのツースカートリッジの正面図。
【
図6】他方のシェルのツースカートリッジの正面図。
【
図14】上台座及び下台座を固定した開口領域の表面方向からの要部斜視図。
【
図15】上台座及び下台座を固定した開口領域の背面方向からの要部斜視図。
【
図16】ツースカートリッジのシェル刃先への装着説明図。
【
図17】ツースカートリッジのシェル刃先への装着説明図。
【
図18】ツースカートリッジのシェル刃先への装着状態を示す要部断面図。
【
図19】ツースカートリッジのシェル刃先への装着説明図。
【
図20】ツースカートリッジのシェル刃先への装着状態を示す要部斜視図。
【
図21】ツースカートリッジのシェル刃先への装着説明図。
【
図22】ツースカートリッジのシェル刃先への装着説明図。
【
図23】ツースカートリッジのシェル刃先への装着説明図。
【
図26】基板のシェル刃先への圧接状態を示す要部断面図。
【
図27】基板のシェル刃先への圧接状態を示す要部断面図。
【
図28】基板のシェル刃先への圧接状態を示す要部横断面図。
【
図31】圧接体の基板への遊嵌状態を示す要部斜視図。
【
図43】本発明にかかる架台に全閉状態のシェルを載置した全体斜視図。
【
図45】架台本体に全閉状態のシェルを載置した全体斜視図。
【
図46】架台本体に全開状態のツース無しのシェルを載置した全体斜視図。
【
図47】架台本体に全開状態のツース有りのシェルを載置した全体斜視図。
【
図53】外部レール機構の使用状態を示す全体斜視図。
【
図54】外部レール機構の使用状態を示す要部斜視図。
【
図55】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図56】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図57】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図58】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図59】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図60】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図61】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図62】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図63】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図64】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図65】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図66】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図67】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図68】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図69】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図70】シェルの刃先へのツースカートリッジの装着手順を示す説明図。
【
図71】全閉状態における架台への載置箇所を示すシェルの全体斜視図。
【
図72】全閉状態における架台への載置箇所を示す説明図。
【
図73】全開状態における架台への載置箇所を示すシェルの部分断面斜視図。
【
図74】全開状態における架台への載置箇所を示す説明図。
【
図75】全開状態における架台への載置箇所を示すシェルの内側斜視図。
【
図76】全閉状態における架台本体への固縛状態を示す説明図。
【
図77】全開状態における架台本体への固縛状態を示す説明図。
【
図81】台座におけるツースカートリッジの支持状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明にかかる架台150の説明に先立ち、先ず、架台150に載置して保持する浚渫用グラブバケット100の構成及びそのシェル5の刃先40に着脱するツースカートリッジ10及びその着脱構造について説明する。
図1は浚渫用グラブバケット100の全閉時の全体斜視図、
図2はそのツース無し状態の全開時の全体斜視図、
図3はそのツース有り状態の全開時の全体斜視図である。
【0038】
5は左右対称構成にかかる左右一対のシェル、101は下部フレーム、102は上部フレーム、103は左右一対のタイロッドである。シェル5は両側2ケ所で下部フレーム101に軸109を介し回動自在に軸支され、タイロッド103は、その下端部が軸111によってシェル5に、上端部が軸113によって上部フレーム102に回動自在に軸支されている。下部フレーム101と上部フレーム102の内部には、それぞれ所定数のシーブ(図示略)が回転自在に軸支されており、作業船のクレーンから吊支した2本の開閉ロープ(図示略)を上部フレーム102の上面に配置されたガイドローラ105を介して、下部フレーム101のシーブから上部フレーム102のシーブへと順番に所定回数を掛け回し、先端を所定の位置に固定している。また、上部フレーム102の上面には浚渫用グラブバケット100全体を浚渫船に装備したクレーンから昇降自在に吊支するための2本の支持ロープ(図示略)を吊環104を介して連結している。よって、浚渫用グラブバケット100は、開閉ロープの巻取,繰出動作によって、下部フレーム101が上下動するとともに、軸109を中心としてシェル5を開閉操作することができる。
【0039】
シェル5の全閉時における開放上端部には、所定容量を有する立体的形状のシェルカバー106をシェル5と一体となるように強固に固定して密接配置している。そのため、シェル5の全閉時において、掴み物はシェル5とシェルカバー106によって形成される空間に抱持されて巻上られる。実施形態に示す浚渫用グラブバケット100では、シェル5の口幅方向の両端をタイロッド103を超えて延長するとともに、シェル5の両端部がタイロッド103及び下部フレーム101並びに下部フレーム101とシェル5を軸支する軸109の外方に張り出すことにより口幅寸法115を、シェル5の全閉時の開幅寸法117(軸111間の寸法)よりも広くしたいわゆる幅広平底の構成としている。また、シェルの上部開口部をシェルカバー106で被覆した構造を採用しており、薄層ヘドロ浚渫に適している。この浚渫用グラブバケット100を使用することにより、土厚が一定に制限される薄層浚渫でもヘドロ等の掴み対象物の1回当たりの掴み量を多くすることができる。
【0040】
また、口幅寸法115の拡大によるシェル5のねじれや刃先の変形等については、下部フレーム101とともに、シェル5の開放上端部に密接配置したシェルカバー106によって、シェル5に必要な強度を付与している。即ち、シェルカバー106は、開幅寸法117に対して口幅寸法115を長くしたシェル5の強度を維持するための強度部材としても機能する。上記した浚渫用グラブバケット100の基本構造は従来より公知であり、又本発明は、左右一対のシェル5を開閉可能に軸支してなる浚渫用グラブバケット100であれば、シェルの口幅寸法115の大小や、シェルカバー106の有無等の構成に限定はなく、適用することが可能である。
【0041】
浚渫用グラブバケット100の特徴は、
図2に示すツース無しのシェル5の浚渫用グラブバケット100を基本として、そのシェル5の刃先40に、複数のツース20を備えたツースカートリッジ10をシェル5毎に着脱可能に固定することによって、
図3に示すツース有りの浚渫用グラブバケット100としても使用可能としたこと、即ち、1台の浚渫用グラブバケット100を、ツース無し(
図2参照)又はツース有り(
図3参照)の状態を選択して浚渫可能としたことにある。本発明はかかる浚渫用グラブバケット100において、ツースカートリッジ10の着脱作業を可能とした専用の架台150を提供するものである。そこで、ツースカートリッジ10の構成について、
図4~
図8に基づいて説明する。
【0042】
図4は左右一対のシェル5毎のツースカートリッジ10の全体斜視図であり、ツース20を4本装備したツースカートリッジ10の表面側と、ツース20を5本装備したツースカートリッジ10の背面側を示しており、
図5は4本のツース20を、
図6は5本のツース20を装備したツースカートリッジ10の正面図であり、
図7はツース20の組付図である。ツースカートリッジ10は、シェル5の口幅寸法115内の長手寸法Dを有し、ツース20を組み付ける所定位置に、ツース20の本数分の複数の挿通孔16を穿設した矩形状の基板15と、基板15に一定間隔で固定した複数(図示例では4本と5本)のツース20と、ツース20に固定したリブ35と、ツース20を基板15に固定するとともに、ツースカートリッジ10をシェル5の刃先40に固定するための固定板30を装備している。ツースカートリッジ10は全体として掘削力に耐え得る所定の強度を有している。なお、リブ35の側面には所定の位置に位置決めピン36が突設されている。この位置決めピン36の機能については後述する。
【0043】
ツース20は、
図7(A)に示す貫通孔21cを有するアダプタ21の下面に垂下させた突出部21aに、
図7(C)に示す所定形状のポイント22(爪)を嵌合し、ポイント22に穿設した連結孔22bと突出部21aに穿設した連結孔21bに、
図7(D)に示すウェッジ受け25とウェッジ26を挿通して一体として固定する。よって、ツース20は、アダプタ21,ポイント22,ウェッジ受け25及びウェッジ26とから構成されており、このツース20を基板15に固定する。
【0044】
図7(A)に示すように、ツース20のアダプタ21の貫通孔21cの表面側に対面して所定の鍔状のリブ35を固定し、
図7(B)に示すように、アダプタ21の背面を基板15の挿通孔16(
図4参照)に当接させた状態で、基板15の挿通孔16及びアダプタ21の貫通孔21cに、基板15の側から左右一対の所定の舌状の固定板30を挿通して、リブ35の両面を挟持して固定する。固定板30は、
図8の平面図に示すように、矩形状の本体部30aの基端部の上下両面に、本体部30aより鉛直方向に突出した突出片30bを突設してある。31は左右一対の固定板30の間に介挿するスペーサであり、リブ35と略同一の厚さを有しており、固定板30とリブ35を強固に固定する補強材として作用する。
【0045】
同様の構成で、基板15に所定数のツース20を固定することによって、
図4~
図7に示すツースカートリッジ10を構成する。ツースカートリッジ10は、
図4に示すように、基板15の表面側にリブ35を固定したツース20のアダプタ21が固定され、アダプタ21からポイント22が垂下している。一方、基板15の背面側には、基板15の挿通孔16及びアダプタ21の貫通孔21cに挿通されてリブ35を左右から挟持して固定している固定板30の突出片30b側が所定長さだけ突出している。17はツースカートリッジ10を吊支するための吊環である。なお、
図4~
図7において、65は圧接機構であり、シェル5の刃先40に挿入したツースカートリッジ10を、刃先40と一体として強固に固定する。その構成,作用は後述する。
【0046】
上記構成の4本又は5本のツース20を装備したツースカートリッジ10を、左右一対のシェル5の刃先40にそれぞれ着脱自在に一体として固定する。
図9はシェル5の刃先40の要部斜視図、
図10はその要部正面図、
図11は
図10のA-A断面図である。これらの図に示すように、シェル5の刃先40の口幅方向の外面に所定間隔でツース20の数に応じた断面カギ状の有底凹部50を形成し、この有底凹部50に固定板30を挿入して係合する。
【0047】
図7,
図8に示すように、固定板30は、矩形状の本体部30aと、本体部30aの基端部の上下両面に、本体部30aより鉛直方向に突出した突出片30bからなる。一方、有底凹部50は、
図9~
図11に示すように、固定板30の突出片30bが侵入可能な鉛直方向の寸法H1を有する長尺領域55と、突出片30bが侵入不可能、かつ、本体部30aが侵入可能な鉛直方向の寸法H2を有する短尺領域60とからなり、全体として断面カギ状である。なお、断面カギ状とは、
図11に示すように、短尺領域60と長尺領域55の鉛直方向における連接部の縦断面形状がカギ状であること(連接部の縦断面形状の角度が略90度であること)を意味している。
【0048】
有底凹部50の構造は次の通りである。先ず、ツースカートリッジ10を固定する刃先40の所定箇所に、
図12に示すように、刃先40を貫通するとともに鉛直方向の寸法が二段階に異なる開口領域52を穿設する。この開口領域52は、仮設長孔領域52aと仮設短孔領域52bが連接した構成を有している。この開口領域52の鉛直方向の寸法が大きい仮設長孔領域52aの上面に断面カギ状の上台座53を固定するとともに、その下面にも断面カギ状の下台座54を固定する。なお、仮設長孔領域52a及び仮設短孔領域52bとしたのは、仮設長孔領域52aに上台座53及び下台座54を固定することによって、仮設長孔領域52aから後述の長尺領域55と短尺領域60を形成するため、その結果、仮設短孔領域52bが長尺領域55の一部を占めることとなるためである。
【0049】
上台座53及び下台座54は、同一の形状であり、
図13の全体斜視図に示すとおり、立方体状の基礎台座53a,54aの一面の略半分の領域から突出台座53b,54bを突出させた縦断面L字状の形態である。なお、基礎台座53a,54aと突出台座53b,54bの連接部はアール形状として、掘削時における剪断力に対抗するようにしている。そして、基礎台座53a,54aの幅寸法W及び奥行寸法Lは、それぞれ仮設長孔領域52aの幅寸法及び奥行寸法と同一であり、突出台座53b,54bの幅寸法Wは仮設長孔領域52aの幅寸法と同一であるとともに、奥行寸法L2は仮設長孔領域52aの奥行寸法の略半分である。そのため、基礎台座53aを上面として上台座53を、開口領域52の仮設長孔領域52aの上部に密接して嵌合するとともに、基礎台座54aを下面として下台座54を、開口領域52の仮設長孔領域52aの下部に密接して嵌合させ、それぞれ溶接等によって強固に固定する。
【0050】
上台座53及び下台座54を固定した開口領域52の表面方向からの要部斜視図である
図14、及びその背面方向からの要部斜視図である
図15に示すように、仮設長孔領域52aは、上台座53及び下台座54を固定することによって、刃先40の表面方向の領域が基礎台座53a,54aに加えて突出台座53b,54bが存在するため、鉛直方向の寸法が両台座分だけ短縮されて短尺領域60として形成される。一方、刃先40の背面方向の領域には基礎台座53a,54aが存在するのみであるため、その分だけ鉛直方向の寸法が短縮され、仮設短孔領域52bと略同じ鉛直方向の寸法を有することとなり、両者が一体となって長尺領域55として形成される。
【0051】
前記したとおり、上台座53及び下台座54を固定した仮設長孔領域52aは、刃先40の表面40a側の鉛直方向の寸法より、背面40b側の鉛直方向の寸法が大きなカギ状となっており、表面40a側の領域が短尺領域60となり、背面40b側の領域が上台座53及び下台座54を固定しない仮設短孔領域52bと合わせて長尺領域55となる。よって、短尺領域60は断面矩形状の直方体の空間であり、長尺領域55は全体として断面カギ状(断面L型)の空間を形成している。
【0052】
そして、開口領域52の背面側の開口面を底板51で被覆することにより有底とする(
図11,
図18等参照)。この底板51によって、長尺領域55及び短尺領域60は、刃先40の表面方向において開口しているとともに、背面方向において閉塞されることとなり、有底凹部50が形成される。
【0053】
次に、上記した構成の長尺領域55及び短尺領域60からなる断面カギ状の有底凹部50に、吊環17を介して吊り上げたツースカートリッジ10の固定板30を挿入して係合することにより、ツースカートリッジ10をシェル5の刃先40に係脱自在に係合する。その工程を
図16~
図23に基づいて説明する。
【0054】
有底凹部50の上方における刃先40の外面には、
図9,
図16等に示すようにツースカートリッジ10の基板15の上端部を規制する所定厚さの上部規制板41を口幅方向に突設するとともに、有底凹部50の下方における刃先40の外面には、ツースカートリッジ10の基板15の下端部を規制する所定厚さの下部規制板42を口幅方向に突設する。上部規制板41及び下部規制板42の長手方向の寸法は、基板15の長手方向の寸法と略同じであり、又両者の鉛直方向の間隔は、基板15の短手方向の寸法と略同じであり、上部規制板41と下部規制板42の間に基板15を挟持することが可能な構成である。
【0055】
また、シェル5の刃先40の長手方向の両端に位置する有底凹部50のシェル5の口幅方向の外方には、それぞれ所定厚さを有するとともに、上部規制板41および下部規制板42の鉛直方向の間隔と略同様の長い方向の寸法を有する反力板43を突設している。
【0056】
シェル5の刃先40に穿設したそれぞれの有底凹部50の長尺領域55に、ツースカートリッジ10の基板15の背面から突出した固定板30の突出片30b及び本体部30aをそれぞれ挿入する(
図16参照)。それぞれの長尺領域55の鉛直方向の寸法は突出片30bの高さ方向の寸法より大きいため突出片30b及び本体部30aがそれぞれ侵入可能である。これにより、突出片30b及び本体部30aはともに長尺領域55に位置し、基板15は刃先40に密接している。
【0057】
次に、この状態で、
図17に示すように、相互に対面している反力板43の側面と基板15の側面の間にジャッキ57を介在させ、このジャッキ57で基板15の側面を押圧する。この押圧動作によって、
図22に示すように、固定板30の本体部30aを短尺領域60に挿入することにより、ツースカートリッジ10はシェル5の刃先40に係合する。なお、短尺領域60の背面方向には長尺領域55が存在するため、本体部30aの押圧動作に連動して、固定板30の突出片30bは長尺領域55を移動することとなる。
【0058】
上記した有底凹部50へ固定板30を挿入して係合する動作を、1枚の固定板30を使用して
図21~
図23に基づいて敷衍して説明する。なお、
図21~
図23では固定板30の動作を判りやすくするため、ツースカートリッジ10から1枚の固定板30のみを取り出すとともに、開口領域52の背面側の開口面を被覆する底板51を取り除いて図示している。
【0059】
図21に示すように、固定板30の突出片30bを長尺領域55の奥までに挿入し、
図21~
図23では図示を省略している底板51に当接させる。この状態で、固定板30の側面をジャッキ57で押圧すると、
図22に示すように本体部30aが短尺領域60に挿入されるとともに、突出片30bは長尺領域55内を移動する。これにより、
図23に示すように、突出片30bを長尺領域55で支持するとともに、本体部30aを短尺領域60で支持することとなり、突出片30bは上台座53及び下台座54の突出台座53b,54bによって刃先40の表面40a方向への移動が制限される。その結果、固定板30は有底凹部50に係合し、抜落不能となる。この状態において、開口領域52の背面側は底板51によって、被覆されるとともに、表面側は基板15が密接した状態となる。
【0060】
上部規制板41の上方における刃先40の外面には、所定の位置に位置決め孔46を穿設したリブ支持板45を突設してあり、このリブ支持板45は、ツースカートリッジ10に装備したリブ35と密接可能な形状を有している。そこで、ジャッキ57によって基板15を押圧すると、基板15は上部規制板41と下部規制板42の間に挟持されて摺動し、リブ35がリブ支持板45に接近して所定の位置で密接するとともに、
図19に示すようにリブ35に突設した位置決めピン36がリブ支持板45の位置決め孔46に侵入して所定の位置にツースカートリッジ10を固定する。
【0061】
このとき
図19(A)に示すように、位置決めピン36の先端部には縮径方向にテーパ面36aが形成されており、リブ支持板45とリブ35の中心が僅かにズレgが生じていたとしても、即ち、ツースカートリッジ10の刃先40への固定位置にズレgが生じたとしても、
図19(B)に示すように、テーパ面36aによってズレgを吸収して修正をして、
図19(C)に示すように位置決めピン36が位置決め孔46に精確に挿入することができ、ツースカートリッジ10を刃先40の所定の位置に精確に固定することができる。位置決め孔46に挿通した位置決めピン36には、
図20に示すように割ピン47を挿通して抜け止めを施す。これにより、浚渫中であってもリブ支持板45とリブ35は係合状態を保持する。
【0062】
上記したように、有底凹部50の短尺領域60に固定板30の本体部30aを挿入することにより、刃先40にツースカートリッジ10を抜落不能に係合することができるが、更にツースカートリッジ10と刃先40との一体性を高めて強固に固定するために、ツースカートリッジ10を圧接機構65を用いて刃先40に圧接して固定する。その構成を
図24~
図32に基づいて説明する。基板15の所定位置、例えばツース20の間に貫通した矩形状の窓部48(
図25~
図28参照)を開口する。窓部48の左右方向の両端の中間部には、水平方向に貫通したウェッジ支持環固定孔48aを開口している。窓部48内に圧接体66を遊嵌するとともに、基板15の表面側のウェッジ支持環固定孔48aに窓部48を横架するウェッジ支持環68を架設してある。
【0063】
圧接体66は、
図30に示すように中空直方体状であり、その表面にはウェッジ67と噛合するように立体的に形成されたウェッジ受け66aを装備している。ウェッジ支持環68は
図29に示すように、圧接体66及びウェッジ受け66aを跨座するアーチ状の部材であり、両端部をウェッジ支持環固定孔48aに挿通して固定する(
図4,
図28参照)。そのため、
図31に示すように、圧接体66は基板15の背面方向への移動は規制されていないが、正面方向への移動はウェッジ支持環68によって規制されている。
【0064】
そして、窓部48内に圧接体66を遊嵌させた状態で、ツースカートリッジ10を刃先40に固定した後に、
図24、
図32に示すように、ウェッジ支持環68と圧接体66との間に、上方又は下方からウェッジ67を打入し、圧接体66の表面に形成したウェッジ受け66aに抜落不能に噛合する(
図25,
図26参照)。この打入されたウェッジ67によって、圧接体66が刃先40方向に押圧されて刃先40に圧接されると同時に、ウェッジ67が打入されたウェッジ支持環68を介して、ツースカートリッジ10は刃先40から離反する方向に押圧されることとなる。その結果、固定板30の突出片30bが上台座53及び下台座54の突出台座53b,54bに上下均等に圧接されることとなり(
図23参照)、ツースカートリッジ10全体が刃先40と一体不可分に強固に固定される。
【0065】
この作業により、
図2に示すツース無しの刃先40のシェル5を有する浚渫用グラブバケット100を、
図3に示すツース有りの刃先40のシェル5を有する浚渫用グラブバケット100に変更して使用することができる。
【0066】
ツースカートリッジ10の基板15はシェル5の刃先40に、複数の固定板30で固定されるとともに、複数の圧接体66によって圧接されているため、浚渫時にツースカートリッジ10自体が刃先40から脱落することはない。また、個々のツース20も固定板30の本体部30aを有底凹部50の短尺領域60に圧入することによって、刃先40に固定されているものの、浚渫は目視できない水底での作業であり、浚渫土砂中に何が埋設されているかも不明である。
図33の矢印7に示す水底120を掘削する浚渫時の掴み動作時において、最も負荷が掛かるのはツース20であり、その負荷は矢印9に示すようにツース20を開く方向に生じる(
図34参照)。そのため、ツース20に想定外の過度の負荷が掛かると、場合によっては
図35に示すようにツース20の固定板30が破断することも考えられる。そのような場合でも、フェールセーフの観点からツース20に固定したリブ35が位置決めピン36によって刃先40に固定したリブ支持板45の位置決め孔46に係合しているため、この位置決めピン36によってリブ支持板45に吊支されるため、ツース20を失うことがない。
【0067】
図3に示すツース有りの刃先40のシェル5を有する浚渫用グラブバケット100から、ツースカートリッジ10を取り外して、
図2に示すツース無しの刃先40のシェル5を有する浚渫用グラブバケット100に変更するには、前記したツースカートリッジ10を固定する工程を逆に行う。即ち、ウェッジ67を打ち外した後、ツースカートリッジ10の圧入時に使用した反力板43とは異なる側の反力板にジャッキ57を取り付け、固定板30の本体部30aを短尺領域60から離脱する方向に基板15の側面を押圧して、固定板30を長尺領域55に押し出して、有底凹部50から解放して取り外せばよい。
【0068】
シェル5の刃先40から、ツースカートリッジ10を取り外した状態では、刃先40の有底凹部50の開口領域52が剥き出しの状態である。有底凹部50の底部は底板51で被覆しているため、開口領域52が剥き出しの状態でもシェル5としての機能に影響はなく、そのままの状態でツース無しの浚渫用グラブバケット100として使用可能ではある。しかしながら、浚渫中に剥き出しのままの有底凹部50に浚渫土砂が入り込むため、ツースカートリッジ10の装着時に有底凹部50の洗浄が必要となる。そのため、ツースカートリッジ10を取り外して、ツース無しとして使用する場合は、有底凹部50に覆蓋70を係合させて、被覆しておくことが好ましい。
【0069】
有底凹部50に覆蓋70を装着する構成を
図36~
図41に基づいて説明する。
図36は覆蓋70の表面側からと背面側からの全体斜視図である。71は蓋板であって、有底凹部50の開口領域52を被覆する所定の面積を有する矩形状の板材である。蓋板71の背面の中央から偏心させた位置に、蓋板71に直交するように縦控板72を立設している。そして、縦控板72の上下両端には上下一対のカギ状(L字状)の横控板73a,73bを固定している。縦控板72の先端部72aは蓋板71から僅かに突出するとともに、上端部72bは、上方に配置した横控板73aの上面から突出している。同様に、縦控板72の下端部(図示略)は、下方に配置した横控板73bの下面から突出している。また、縦控板72を偏心させた方向の蓋板71の一端部には表面側に突出した段差部74を形成するとともに、蓋板71の背面には段差部74の近傍に係合板75を貼設している。
【0070】
上記した構成の覆蓋70を刃先40の有底凹部50に係合させることにより、ツース無し状態における刃先40の有底凹部50を被覆する。覆蓋70を有底凹部50に係合させるには、
図37,
図38に示すように、有底凹部50に蓋板71を対面させ、
図39に示すように有底凹部50の長尺領域55に挿入する。そして、蓋板71から突出した縦控板72の先端部72aを利用して、
図40に示すように覆蓋70を短尺領域60側にスライドさせると、
図41に示すように横控板73a,73bが短尺領域60に隣接した長尺領域55に侵入して有底凹部50の断面カギ状の上下一対の上台座53及び下台座54に係合する。同時に蓋板71の背面に貼設した係合板75が有底凹部50の長尺領域55の壁面と係合する。これにより、覆蓋70は有底凹部50に固定される。
【0071】
ツース有りに変更するために、
図41に示す状態から覆蓋70を取り外すには、段差部74にマイナスドライバー等の適宜のジグを挿入して持ち上げれば、係合板75が有底凹部50の壁面から外れるため、蓋板71を長尺領域55にスライドさせることにより、覆蓋70を有底凹部50から取り外すことができる。
【0072】
上記した左右一対のシェル5を開閉可能に軸支してなる浚渫用グラブバケット100によれば、ツース無しの刃先40を有するシェル5を基本として、シェル5の刃先40をシェル毎にツース有りに変更することができる。よって、1台の浚渫用グラブバケット100を、薄層ヘドロ浚渫や、大きな掘削力を必要としない軟土盤の浚渫、更には仕上げ用浚渫等のツースを必要としないか、ツースの存在が障害となるような浚渫に適したツース無しバケットと、大容量の掴み物を掴み取ったり、掘削地盤に硬質地盤が混在するような場合等のツースを必要とする浚渫を行うためのツース有りバケットの双方に使用することが可能となる。
【0073】
シェル5の刃先40の交換は、刃先40の口幅方向の外面に亘って、複数のツース20を備えたツースカートリッジ10をシェル5毎に着脱可能に固定する構成であるため、ツース1本毎の作業が不要となり、しかも浚渫船上で作業可能であるため、交換作業のために港に帰港する必要もなくなり、効率的に交換作業を行うことができる。よって、土質の変化や浚渫目的に対応したシェルの刃先の交換を時宜に適って行うことができる。
【0074】
ツースカートリッジ10をシェル5の刃先40に装備する場合は、ボルトや溶接を必要とせず、シェル5の刃先40に形成した有底凹部50にツースカートリッジ10の固定板30を挿入して係合するとともに、圧接体66をウェッジ67を使用して刃先40に圧接して、ツースカートリッジ10を刃先40に固定することにより、シェル5の刃先40を一括してツース有りに変更することができ、ツース無しバケットからツース有りバケットに変更して使用することが可能となる。
【0075】
また、ツースカートリッジ10をシェル5の刃先から取り外す場合は、ボルトを使用していないため、シェル5の刃先に貫通したボルト孔が存在しておらず、又溶接もしていないため溶断も不要であり、ツース有りバケットから圧接体66を刃先40に圧接しているウェッジ67を取り除くとともに、複数のツース20を装備したツースカートリッジ10を取り外すことによって、シェル5の刃先40を一括してツース無しに変更することができ、ツース無しバケットとして使用することが可能となる。また、有底凹部50には覆蓋70を係合させるだけでワンタッチで被覆することが可能であり、従来のようにボルト孔をボルトとナットを使用して閉塞する煩雑な作業が不要となる。
【0076】
本発明は、上記した構成の浚渫用グラブバケット100のシェル5の刃先40へのツースカートリッジ10の着脱作業を円滑に行うための架台150に関する。
図42はツースカートリッジ10を収納した架台150の全体斜視図であり、架台本体170とツースカートリッジ10を載置して保持する台座300と外部レール機構400から構成されている。
図43は浚渫用グラブバケット100から全閉状態のシェル5を抽出して載置した全体斜視図である。架台150は
図1から
図3に示す浚渫用グラブバケット100全体を載置するものであるが、説明を判りやすくするため、以下の説明及び図面では、浚渫用グラブバケット100の上部フレーム102,下部フレーム101,タイロッド103等の部材を省略し、左右一対のシェル5のみを図示して説明する。以下に、架台150を構成する各部材について順次説明する。
【0077】
図44は架台本体170の全体斜視図であり、
図45は架台本体170に全閉状態のシェル5を載置した全体斜視図、
図46は架台本体170に全開状態のツース無しのシェル5を載置した全体斜視図、
図47は架台本体170に全開状態のツース有りのシェル5を載置した全体斜視図である。架台本体170の構成は以下のとおりである。先ず、それぞれ所定間隔離間させて配置した強度部材としての一対の口幅側基材175と一対の開幅側基材180を矩形状に連結して基枠185を構築する。そして、一対の開幅側基材180間に所定間隔で一対の連結長材190を架設し、連結長材190と口幅側基材175との間に一対の支持基材195を架設するとともに、支持基材195間の略中間位置に連結短材200を架設する。
【0078】
そして、支持基材195の延長上の口幅側基材175上に一対の口幅側支柱205を立設し、その上面を基枠185の中心方向に向けて下向きに傾斜させるとともに、上面間に載置部材210を架設する。そして、支持基材195の略中間部と連結短材200上に、上面を基枠185の中心方向に向けて下向きに傾斜させた複数の中間支柱215を立設する。この中間支柱215は口幅側支柱205よりも高さを低く形成してあり、支持基材195と口幅側支柱205との間に中間支柱215の上面を介して傾斜支柱220を架設する。また、開幅側基材180の上面に所定間隔で複数の開幅側支柱225を立設し、その上面に開幅側上材230を架設する。対面する一対の連結長材190の間には補強のために複数のリブ材285を架設し、同様に対面する連結長材190と連結短材200の間にも補強のために複数のリブ材290を架設している。また、口幅側支柱205と対面する開幅側支柱225の間には補強のため壁材295を立設して開口部を被覆している。
【0079】
上記した構成の架台本体170において、載置部材210は、口幅側支柱205上面の傾斜に沿って基枠185の中心方向に向けて下向きに傾斜している。そして、傾斜した載置部材210の内側面を全閉時載置部211として形成し、全閉時のシェル5を載置して保持可能としている。
図45は架台本体170にツース無し及びツース有りの全閉状態のシェル5を載置した全体斜視図であり、図に示すように、シェル5の外方に形成したタイロッド103の下端部を軸支するブラケット130の外側面を全閉時支持部133として載置部材210に支持させて載置している(
図71,
図72参照)。シェル5の全閉時において、ブラケット130の全閉時支持部133と全閉時載置部211はシェル5の載置時において相互に面接触して密接する。また、開幅側上材230の中央部上面には、架台150にそれぞれ全閉時のシェル5を載置する開幅側の位置を案内するための案内枕材280を突設している。
【0080】
このブラケット130は、タイロッド103の下端部を挟持して軸支するため、内ブラケット131と外ブラケット132を所定間隔離間させて構成されている。内ブラケット131はシェル主板140(
図75参照)の一部として突設され、外ブラケット132はシェル5の外面に突設されている。よって、架台150は従来と同様に浚渫用グラブバケット100の不使用時や保管時等において、シェル5をツース無し又はツース有りの双方において載置して保持することが可能である。
【0081】
一方、傾斜した載置部材210の上面を全開時載置部213とし(
図44参照)、所定の位置に載置枕材214を装備し、この載置枕材214に、ツース無しの状態(
図46参照)及びツース有りの状態(
図47参照)の双方における全開時のシェル5を載置して保持可能とする。
図75のシェル5の内側斜視図及び
図73の部分断面斜視図に示すように、シェル5の内側には左右のシェルそれぞれに一対(合計4枚)のシェル主板140がシェル5の内側面より突出して配置されており、このシェル主板140の内側中央部に位置する円弧部を全開時支持部143として、
図74に示すように載置枕材214に載置している。よって、架台150はツース無しの状態でも、ツース有りの状態においても浚渫用グラブバケット100のシェルを全開状態で載置して保持することが可能である。
【0082】
架台150に全閉状態又は全開状態で載置したシェル5は、万一にも波浪等によって架台150上で揺動することがないように、安定性を確保し、安全性を実現するため、架台本体170と固縛する。
図76は全閉状態のシェル5の架台本体170への固縛状態を示す説明図、
図77は全開状態のシェル5の架台本体170への固縛状態を示す説明図、
図78,
図79,
図80は、それぞれシェル5との固縛箇所を示す架台本体170の開口側側面図,平面説明図,斜視説明図である。
【0083】
全閉状態で架台150に載置したシェル5を固縛するには、架台本体170の口幅側基材175の両端近傍にそれぞれ突設した全閉用ブラケット235と、シェル5の開幅方向の外面の円弧部分に突設した固縛用ブラケット240をターンバックル245等の所定の固縛具で一体に固縛する。同様にして、全開状態のシェル5を固縛するには、架台本体170の連結長材190の両端近傍にそれぞれ突設した全開用ブラケット250と、シェル5の開幅方向の外面の上部に突設した固縛用ブラケット255をターンバックル260等の所定の固縛具で一体に固縛する。要すれば、シェル5の架台150への載置時において、架台本体170とシェル5が一体に固縛できればよく、固縛手段に限定はない。
【0084】
また、架台本体170の連結短材200の上面から口幅側基材175の上面の間に、口幅側基材175の長手方向と直交するとともに、先端を口幅側基材175の上面に延長した一対の内部レール270を敷設するとともに、連結短材200から口幅側基材175の間の下面に、内部レール270を敷設して支持する内部枕木材275を配置してある(
図42,
図43等参照)。この内部レール270は、後述するツースカートリッジ10を収納可能な台座を架台本体170に移動可能に収納するための部材である。
【0085】
次に、ツースカートリッジ10の不使用時、即ちシェル5の刃先40をツース無しとして使用する場合に、ツースカートリッジ10を載置して収納するとともに、浚渫水域における作業船の船上等で、シェル5の刃先40へのツースカートリッジ10の着脱作業を行う場合には、シェル5の刃先40に対してツースカートリッジ10を着脱作業可能な状態に保持するための作業台やアシスト治具として機能する台座300の構成について説明する。
【0086】
図48,
図49は一対の台座300の全体斜視図であり、矩形状の台座枠305に、ツースカートリッジ10を載置して所定の角度で起立させて保持する座面330を固定している。座面330は、所定角度で傾斜させた傾斜座面331と、傾斜座面331から所定角度で起立する起立座面332からなり、傾斜座面331の先端を水平方向に延長させた水平部331aと、その先端を鉛直方向に立ち上げた鉛直部331bからなる袋状のポケット部334として形成している(
図60,
図81等参照)。この座面330にツースカートリッジ10を載置すると、ツースカートリッジ10の先端のツース20がポケット部334の鉛直部331bに衝接して停止するとともに、起立座面332に支持されて、所定角度で起立した状態に保持される(
図60等参照)。なお、傾斜座面331や起立座面332の傾斜角度は特に限定はなく、ツースカートリッジ10を安定して保持できる構成であればよい。
【0087】
台座枠305は、ツースカートリッジ10のサイズに応じた長さを有する前枠材310と後枠材315を所定間隔離間させて、両端を側枠材320で連結した中空の矩形状とし、中空部に所定間隔で複数の桟材325を側枠材320と平行に架設してなる。この台座枠305に、桟材325を傾斜座面331から貫通させて固定している。そして、側枠材320と桟材325と起立座面332の背面との間に起立座面332を保持するための控材335を連結している。また、台座枠305の前枠材310及び後枠材315の下面には台座枠305を内部レール270上や後述する外部レール405上で走行させるための車輪340を付設している。
【0088】
更に、台座枠305の前枠材310と後枠材315の下面の所定の位置には台座300を架台本体170に固定するための固定用フック345を装備している。この固定用フック345には操作リング345aを連結しており、その操作によって上下方向に摺動可能である。また、
図57に示すように、操作リング345aにはナット345bが螺合しており、その緊締によって所定の位置に固定することができる。一方、架台本体170を構成する口幅側基材175と連結短材200の所定の位置には、固定用フック345を係止するための固定用リング350を所定数付設しており、この固定用リング350に固定用フック345を係止することによって、台座300を架台本体170に固定することが可能である。
【0089】
台座枠の後枠材315の所定の位置には、ツースカートリッジ10のシェル5の刃先40への着脱操作をおこなうための所定高さを有する一対の中空の吊支柱355を立設している。吊支柱355の上端にはそれぞれ回転吊支具360を所定角度で回転可能に装備している。
図50は回転吊支具360の要部斜視図、
図51はその要部分解組立図である。回転吊支具360は、所定長さを有して両端部に軸孔365を穿設した一対の回動板370を対面させて配置し、回動板370の両端間に一対の吊支用滑車375を滑車軸380で回動可能に軸支するとともに円柱状の回動杆385の上面に固定してなる。390は滑車用プレートであり、回動板370の外面において滑車軸380の両端を軸支している。前記した構成を有する回転吊支具360の回動杆385を吊支柱355の中空の上端に回動可能、かつ、固定可能に挿入している。なお、377は所定形状の連結板であり、一対の回動板370の上面を連結するとともに、後述するツースカートリッジ10を吊支した吊支ワイヤ480(
図60,
図61参照)を案内する。
【0090】
吊支柱355の上端部近傍の外周面に、回転吊支具360の回動範囲を規制するための吊支柱ストッパ356を突設するとともに、回転吊支具360の回動杆385の上端部近傍の外周面に回動杆ストッパ386を突設し、回動杆385を回動させた際に回動杆ストッパ386が吊支柱ストッパ356に衝突することによって回動杆385の回動範囲を規制する。なお、吊支柱355の上端部近傍の外周面にボルト孔(図示略)を穿設するとともに、その外周面にナット358を固定している。このボルト孔にナット358を介して、ハンドル359aを装備した停止ボルト359を螺合し、停止ボルト359の先端を回動杆385の外周面に圧接することにより、回転吊支具360を所定の位置で固定できる。
【0091】
よって、回転吊支具360は不使用時には
図48に示すように後枠材315と平行な位置に固定され、ツースカートリッジ10の着脱のために吊支する場合は、
図49に示すように後枠材315と直交する方向に回転させて固定する。この吊支柱355及び回転吊支具360の使用方法については後述する。392は台座300を固定するためのアウトリガーであって後枠材315の所定の箇所に回動可能に付設している。このアウトリガー392は不使用時は、台座300の移動の障害とならないように
図48に示す後枠材315と平行に水平方向に回動した状態で固定されて収納されている。一方、ツースカートリッジ10の着脱時には台座300を固定する必要があるため、
図49に示す後枠材315と直交する方向に回動するとともに、延長されて地面や作業船の甲板等の支持面に圧接している。
【0092】
図42に示すように架台本体170には、外部レール405を敷設した一対の外部レール機構400を外方に向けて拡開可能及び折り畳み可能に連結している。この外部レール機構400を拡開させ、その外部レール405を内部レール270に連設し、台座300に装備した車輪340を介して、台座300を内部レール270から外部レール405に走行させることによって、ツースカートリッジ10を載置した台座300を架台本体170から外部レール機構400に取り出し可能としている(
図55~
図58等参照)。この外部レール機構400の構成について説明する。
【0093】
図52は外部レール機構400の全体斜視図、
図53はその使用状態を示す全体斜視図、
図54はその使用状態を示す要部斜視図である。外部レール機構400は、外方に向けて拡開可能及び折り畳み可能に架台本体170に連結されており、矩形状の外部枕木材410の基端部に外部ボス415aを装備した蝶番415をボルト420で固定するとともに、口幅側基材175の長手方向の外面175aに固定した上下一対の口幅側ボス177(
図54参照)の間に外部ボス415aを介挿した後、連結ピン440で一体に連結した外部枕木材410の上に敷設した外部レール405からなる。よって、外部レール機構400を口幅側基材175の長手方向に直交する位置まで回動させることにより、外部レール405は内部レール270と一直線上となり、内部レール270上の台座300は、車輪340によって外部レール405に乗り移って走行することが可能となり、台座300を架台本体170の外方に取り出すことが可能となる。なお、外部枕木材410の基端部には、その回動範囲を前記した内部レール270と一直線上の位置となるように規制するための蝶番ストッパ415bを突設している。
【0094】
外部レール機構400の折り畳み時は、口幅側基材175の長手方向の外面175aに突設した外部レール固定ブラケット178の固定孔の直下に、外部枕木材410の先端部近傍に突設した外部レール固定ボス425を位置させて外部レール固定ピン430を挿通して揺動不能に固定しておく(
図44,
図55等参照)。また、基端部にボス435aを装備した高さ調節板435が外部枕木材410の両側面に所定間隔で複数付設したボス410bに連結ピン440を介して回動可能に連結されている。また、高さ調節板435の先端には伸縮可能で高さ調節可能なアジャスター445が固定されている。同様に外部枕木材410の先端にもアジャスター445が固定されている。よって、外部レール機構400の拡開時には、高さ調節板435を外部枕木材410に直交する位置まで回動させ、アジャスター445を操作して、地面や作業船の甲板等に圧接させることにより、外部レール機構400を固定できる。なお、高さ調節板435の基端部には、その回動範囲を前記した外部枕木材410と直交する位置となるように規制するための高さ調節板ストッパ435bを突設している。
【0095】
外部レール機構400の折り畳み時における外部枕木材410の開放側面に装備した高さ調節板435が回動することがないように、
図52に示すように外部枕木材410と平行に回動させた高さ調節板の直上に庇状に張り出した庇板450を装備し、高さ調節板435のアジャスター445を庇板450に圧接することによって、高さ調節板435が不用意に回動することがないように固定している。また、外部枕木材410の先端上面には車輪止め455を突設しており、台座300の走行を規制し、台座300が外部レール機構400から飛び出すことはない。
【0096】
上記した構成の架台150を使用して、ツース無しの状態のシェル5の刃先40に、ツースカートリッジ10を装着する手順について、装着手順を示す説明図である
図55から
図70に基づいて説明する。
図55に示すように、架台150にはツースカートリッジ10を載置した2台の台座300が所定の位置に固定されており、この状態でツース無しの状態のシェルを全閉状態又は全開状態で載置して固縛することが可能な状態である。ツースカートリッジ10をシェルの刃先40に装着するには、手順1として、浚渫用グラブバケット100を作業船のクレーンで吊支し、架台150から撤去した状態とし(
図55参照)、外部レール機構400を固定している外部レール固定ピン430を外部レール固定ボス425及び外部レール固定ブラケット178から引き抜き、矢印αに示すように外部レール機構400を蝶番415を中心として口幅側基材175の長手方向と直交する位置まで拡開させる(
図56参照)。
【0097】
手順2として、
図56に示すように、拡開させた外部レール機構400から、外部枕木材410と直交する位置、即ち口幅側基材175と平行な位置まで高さ調節板435を拡開させるとともに、高さ調節具であるアジャスター445を伸縮操作して、外部レール機構400の外部レール405と架台本体170に敷設した内部レール270を同じ高さとなるように調整するとともに、外部レール機構400を地面や作業船の甲板等に水平に保持した状態に固定する。
【0098】
手順3として、
図57に示すように、台座300を架台本体170に固定している固定用フック345を取り外し、台座300を内部レール270から外部レール405上を走行させて、
図58に示すように架台本体170の外方に取り出す。そして、
図77に示すように、ツース無しのシェル5を全開状態で、載置部材210の上面の全開時載置部213に載置させて、全開用ブラケット250と、シェル5の開幅方向の外面の上部に突設した固縛用ブラケット255をターンバックル260等の所定の固縛具で一体に固縛する。
【0099】
手順4として、
図59に示すように、架台150からツースカートリッジ10を載置した台座300を外部レール405上に取り出した後、ツース無しの全開状態で全開時載置部213に載置したシェル5の刃先40から、有底凹部50を被覆している覆蓋70の段差部74にマイナスドライバー等の適宜のジグを挿入して持ち上げ、係合板75を有底凹部50の壁面から外し、蓋板71を長尺領域55にスライドさせて、覆蓋70を有底凹部50から取り外す(
図37~
図41参照)。
【0100】
次に、手順5として、
図50,
図60に示すように、台座300の吊支柱355の停止ボルト359を緩めて、回転吊支具360の先端をシェル5側に向けて略90度回転させ、座面330に載置しているツースカートリッジ10の上空に位置させて、停止ボルト359を締め付けて回転吊支具360を再び固定する。そして、座面330に載置したツースカートリッジ10の基板15に付設した吊環17に基板シャックル465を装着し、同様に台座300の吊支柱355の基部に付設した台座吊環470(
図57参照)に台座シャックル475を装着する。そして、回転吊支具360の回動板370の両端に軸着した吊支用滑車375に吊支ワイヤ480を掛け回し、その両端を基板シャックル465と台座シャックル475に連結するとともに、台座シャックル475と回転吊支具360との間に、吊支ワイヤ480をレバー動作によって緊結して固定する荷締め機485を装備する(
図60参照)。
【0101】
そして、手順6として荷締め機485を操作して吊支ワイヤ480を巻き締めることにより、
図61に示すように、ツースカートリッジ10を鉛直方向に垂下させる所定の高さまで吊り上げるとともに、吊支柱355に装備したターンバックル495をツースカートリッジ10の基板15に係合させて保持する(
図61参照)。
【0102】
次に、手順7として吊支柱355の停止ボルト359を緩めて、
図63に示すように回動杆ストッパ386が吊支柱ストッパ356に衝突するまで回転させ、再び停止ボルト359を締め付けてその位置に固定する。これにより、回転吊支具360に吊支されたツースカートリッジ10は、固定板30が有底凹部50の長尺領域55に挿通可能な位置となる(
図65参照)。
【0103】
そして、手順8として
図65の矢印βに示すように、台座300を人力で刃先40方向へ押すことにより、台座300を外部レール405上から内部レール270上を走行させて、ツースカートリッジ10の固定板30の突出片30b及び本体部30aを有底凹部50の長尺領域55に収納させて底板51に衝接させる。このときツースカートリッジ10は台座300の回転吊支具360に吊支されたまま、固定板30が有底凹部50の長尺領域55に侵入して、刃先40に密接した状態となる(
図66参照)。
【0104】
次に、手順9として
図67(A)に示すようにアウトリガー392の止めピン393を抜いて、略90度回転させ、再び止めピン393を挿入して回動不能に固定した後、ハンドル394を操作して、
図67(B)に示すように脚部を延長させて地面や作業船の甲板等に圧接させて、
図66に示すように台座300を固定する。
【0105】
次に、手順10として
図68に示すように、吊支柱355の停止ボルト359を緩めるとともに、固定板30の側面をジャッキ57で押圧すると、
図22に示すように本体部30aが短尺領域60に挿入されるとともに、突出片30bは長尺領域55内を移動する。その結果、前記したとおり、固定板30は有底凹部50に係合し、抜落不能となる。
【0106】
そして、手順11として、ツースカートリッジ10を吊支している吊支ワイヤ480及びターンバックル495を取り外し、アウトリガー392を下の位置に収納し、
図69の矢印γに示すように、台座300を内部レール270から外部レール405方向に走行させ台座300を退避させる。
【0107】
この状態において、ツースカートリッジ10は刃先40に抜落不能に係合しているが、更にツースカートリッジ10と刃先40との一体性を高めて強固に固定するために、手順12として
図70に示すように、ツースカートリッジ10を圧接機構65とウェッジ67等を用いて刃先40に圧接して固定する。その具体的構成は先に
図24~
図32に基づいて説明したとおりである。これにより、ツース無しの刃先40にツースカートリッジ10を一体に装着してツース有りの刃先40とすることができる。
【0108】
その後、手順13としてツース有りの刃先40となった浚渫用グラブバケット100をクレーンで吊支し、前記した手順を逆にたどって台座300を架台本体170に収納するとともに、外部レール機構400を折りたたんで、収納する。また、ツース有りの刃先からツースカートリッジ10を取り外してツース無しの刃先40を得るには、前記した手順を逆にたどることにより、架台150を使用してツースカートリッジ10を取り外し、架台本体170内に収納することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上記載した本発明によれば、開閉可能に軸支した左右一対のシェルの刃先をツース無しとするとともに、刃先の口幅方向の外面に亘って、複数のツースを備えたツースカートリッジをシェル毎に着脱可能とした浚渫用グラブバケットのシェルを全開状態において載置して保持することができる。そのため、シェルの刃先を全開状態で所定高さの中空状態に保持できるため、シェルの刃先にツースカートリッジの着脱作業を行う作業スペースを確保することができる。また、浚渫用グラブバケットの保管のために、シェルを全閉状態としても載置して保持することができる。
【0110】
そして、浚渫用グラブバケットと併せて、ツースカートリッジを載置して保持した台座も架台内に移動可能に載置して保持することができ、必要に応じて台座内に敷設した内部レール及び台座に装備した外部レール機構を利用して、台座に保持したツースカートリッジを台座とともに架台の外方に取り出すことができ、更にシェルの刃先に応じた所定の高さにツースカートリッジを吊支することが可能となり、シェルの刃先への着脱作業を円滑に行うことができる。そのため、シェルの刃先へのツースカートリッジの着脱作業を行うのに必要なツースカートリッジ,台座,内部レール,外部レール機構等を全て架台内に組み込むことができる。
【0111】
本発明のシェルの刃先へのツースカートリッジの着脱によって、ツース無し又はツース有りのシェルを自在に選択して浚渫する浚渫用グラブバケットの実効性を担保することが可能となる。即ち、1台の浚渫用グラブバケットを、薄層ヘドロ浚渫や、大きな掘削力を必要としない軟土盤の浚渫、更には仕上げ用浚渫等のツースを必要としないか、ツースの存在が障害となるような浚渫に適したツース無しバケットと、大容量の掴み物を掴み取ったり、掘削地盤に硬質地盤が混在するような場合等のツースを必要とする浚渫を行うためのツース有りバケットの双方に使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0112】
5…シェル
10…ツースカートリッジ
15…基板
16…挿通孔
17…吊環
20…ツース
21…アダプタ
21a…突出部
21b…連結孔
21c…貫通孔
22…ポイント
22b…連結孔
25…ウェッジ受け
26,67…ウェッジ
30…固定板
30a…本体部
30b…突出片
31…スペーサ
35…リブ
36…位置決めピン
36a…テーパ面
40…刃先
40a…表面
40b…背面
41…上部規制板
42…下部規制板
43…反力板
45…リブ支持板
46…位置決め孔
47…割ピン
48…窓部
48a…ウェッジ支持環固定孔
50…有底凹部
51…底板
52…開口領域
52a…仮設長孔領域
52b…仮設短孔領域
53…上台座
53a,54a…基礎台座
53b,54b…突出台座
54…下台座
55…長尺領域
57…ジャッキ
60…短尺領域
65…圧接機構
66…圧接体
66a…ウェッジ受け
68…ウェッジ支持環
70…覆蓋
71…蓋板
72…縦控板
72a…先端部
72b…上端部
73a,73b…横控板
74…段差部
75…係合板
100…浚渫用グラブバケット
101…下部フレーム
102…上部フレーム
103…タイロッド
104…吊環
105…ガイドローラ
106…シェルカバー
109,111,113…軸
115…口幅寸法
117…開幅寸法
120…水底
130…ブラケット
131…内ブラケット
132…外ブラケット
133…全閉時支持部
140…シェル主板
143…全開時支持部
150…架台
170…架台本体
175…口幅側基材
175a…外面
177…口幅側ボス
178…外部レール固定ブラケット
180…開幅側基材
185…基枠
190…連結長材
195…支持基材
200…連結短材
205…口幅側支柱
210…載置部材
211…全閉時載置部
213…全開時載置部
214…載置枕材
215…中間支柱
220…傾斜支柱
225…開幅側支柱
230…開幅側上材
235…全閉用ブラケット
240…固縛用ブラケット
245…ターンバックル
250…全開用ブラケット
255…固縛用ブラケット
260…ターンバックル
270…内部レール
275…内部枕木材
280…案内枕材
285,290…リブ材
295…壁材
300…台座
305…台座枠
310…前枠材
315…後枠材
320…側枠材
325…桟材
330…座面
331…傾斜座面
331a…水平部
331b…鉛直部
332…起立座面
334…ポケット部
335…控材
340…車輪
345…固定用フック
345a…操作リング
345b…ナット
350…固定用リング
355…吊支柱
356…吊支柱ストッパ
358…ナット
359…停止ボルト
359a…ハンドル
360…回転吊支具
365…軸孔
370…回動板
375…吊支用滑車
377…連結板
380…滑車軸
385…回動杆
386…回動杆ストッパ
390…滑車用プレート
392…アウトリガー
393…止めピン
394…ハンドル
400…外部レール機構
405…外部レール
410…外部枕木材
410b…ボス
415…蝶番
415a…外部ボス
415b…蝶番ストッパ
420…ボルト
425…外部レール固定ボス
430…外部レール固定ピン
435…高さ調節板
435a…ボス
435b…高さ調節板ストッパ
440…連結ピン
445…アジャスター
450…庇板
455…車輪止め
465…基板シャックル
470…台座吊環
475…台座シャックル
480…吊支用ワイヤ
485…荷締め機
495…ターンバックル
D…長手寸法
W…幅寸法
H1,H2…鉛直方向の寸法
L,L2…奥行寸法
g…ズレ
α,β,γ…矢印