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特許7402475骨材表面水率推定装置、モデル生成プログラム、骨材表面水率推定プログラム、及び学習済みモデルの生成方法
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  • 特許-骨材表面水率推定装置、モデル生成プログラム、骨材表面水率推定プログラム、及び学習済みモデルの生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】骨材表面水率推定装置、モデル生成プログラム、骨材表面水率推定プログラム、及び学習済みモデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/38 20060101AFI20231214BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20231214BHJP
【FI】
G01N33/38
G06Q50/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023071066
(22)【出願日】2023-04-24
【審査請求日】2023-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592131663
【氏名又は名称】井上商事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597132849
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 彪
(72)【発明者】
【氏名】井上 繁
(72)【発明者】
【氏名】小川 直也
(72)【発明者】
【氏名】樽角 政樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 達成
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-135199(JP,A)
【文献】特開2023-031937(JP,A)
【文献】特開2002-131208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/38
G06Q 50/08
B28C 1/00-9/04
C04B 2/00-32/02
40/00-40/06
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習用データを用いた機械学習によって生成される学習済みモデルに入力データを入力し、前記学習済みモデルから出力される出力データが示す値を骨材の表面水率の推定値として取得する表面水率推定部を備え、
前記学習用データは、学習用として用いる前記骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す学習画像データ、前記学習用骨材の密度を示す学習密度データ、及び前記学習用骨材の表面水率を示す学習表面水率データを含み、
前記入力データは、推定対象の前記骨材である推定対象骨材を撮影した撮影画像を示す入力画像データを含
前記学習密度データにより前記骨材の前記表面水率の推定精度を向上させる、骨材表面水率推定装置。
【請求項2】
前記入力データは、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データを含まない、請求項1に記載の骨材表面水率推定装置。
【請求項3】
前記入力データは、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データを更に含む、請求項1に記載の骨材表面水率推定装置。
【請求項4】
前記推定対象骨材は、ベルトコンベアで搬送される前記骨材である、請求項1~3のいずれか1項に記載の骨材表面水率推定装置。
【請求項5】
前記密度は、表面乾燥飽水状態における前記骨材の密度を示す、請求項1~3のいずれか1項に記載の骨材表面水率推定装置。
【請求項6】
前記入力画像データは、出荷に備えて梱包される直前の前記推定対象骨材を撮影した前記撮影画像のデータである、請求項1~3のいずれか1項に記載の骨材表面水率推定装置。
【請求項7】
コンピュータに、
学習用データを用いた機械学習によって学習済みモデルを生成するモデル生成部として機能させ、
前記学習用データは、学習用として用いる骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す学習画像データ、前記学習用骨材の密度を示す学習密度データ、及び前記学習用骨材の表面水率を示す学習表面水率データを含
前記学習密度データにより前記骨材の前記表面水率の推定精度を向上させる、モデル生成プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
学習用データを用いた機械学習によって生成される学習済みモデルに入力データを入力し、前記学習済みモデルから出力される出力データが示す値を骨材の表面水率の推定値として取得する表面水率推定部として機能させ、
前記学習用データは、学習用として用いる前記骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す学習画像データ、前記学習用骨材の密度を示す学習密度データ、及び前記学習用骨材の表面水率を示す学習表面水率データを含み、
前記入力データは、推定対象の前記骨材である推定対象骨材を撮影した撮影画像を示す入力画像データを含
前記学習密度データにより前記骨材の前記表面水率の推定精度を向上させる、骨材表面水率推定プログラム。
【請求項9】
前記入力データは、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データを含まない、請求項8に記載の骨材表面水率推定プログラム。
【請求項10】
前記入力データは、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データを更に含む、請求項8に記載の骨材表面水率推定プログラム。
【請求項11】
骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す学習画像データ、前記学習用骨材の密度を示す学習密度データ、及び前記学習用骨材の表面水率を示す学習表面水率データを含む学習用データを取得し、
前記学習用データを用いて学習済みモデルを生成し、
前記学習済みモデルは、推定対象の前記骨材である推定対象骨材を撮影した撮影画像を示す入力画像データが入力されると、前記推定対象骨材の前記表面水率の推定値を出力
前記学習密度データにより前記骨材の前記表面水率の推定精度を向上させる、学習済みモデルの生成方法。
【請求項12】
前記学習済みモデルには、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データが入力されない、請求項11に記載の学習済みモデルの生成方法。
【請求項13】
前記学習済みモデルは、前記入力画像データに加え、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データが入力されると、前記推定対象骨材の前記表面水率の推定値を出力する、請求項11に記載の学習済みモデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨材表面水率推定装置、モデル生成プログラム、骨材表面水率推定プログラム、及び学習済みモデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの材料として用いられるセメント、水、砂、砂利、砕石等は、その混合割合(特にセメントに対する水の割合)がコンクリートの品質に影響を及ぼすことが知られている。砂、砂利、砕石等の骨材の表面には、水分が付着し、その付着する水分の量(表面水率)は、骨材の保存環境等によって異なる。このため、コンクリートの混練時には、混練に用いる骨材の表面水率を把握することが必要である。
【0003】
骨材の表面水率を把握するための技術として、例えば、特許文献1には、表面水率測定方法が開示されている。この表面水率測定方法は、所定の表面水率を有する細骨材を加熱乾燥して質量の変化を測定することによって、乾燥時間と乾燥水分率との関係及び乾燥時間と水分乾燥速度との関係を測定するキャリブレーションを行い、キャリブレーションと同様の条件で加熱した試料細骨材の水分乾燥速度が、キャリブレーションで算出された水分乾燥速度と一致する点における試料骨材の乾燥水分率の測定値を試料細骨材の表面水率の推定値とする方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-104710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の方法では、試料骨材を加熱して水分乾燥速度を求める必要があり、骨材(試料細骨材)の表面水率を推定するための作業が煩雑である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、骨材の表面水率を簡便に推定することができる骨材表面水率推定装置、モデル生成プログラム、骨材表面水率推定プログラム、及び学習済みモデルの生成方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る骨材表面水率推定装置の特徴構成は、学習用データを用いた機械学習によって生成される学習済みモデルに入力データを入力し、前記学習済みモデルから出力される出力データが示す値を骨材の表面水率の推定値として取得する表面水率推定部を備え、前記学習用データは、学習用として用いる前記骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す学習画像データ、前記学習用骨材の密度を示す学習密度データ、及び前記学習用骨材の表面水率を示す学習表面水率データを含み、前記入力データは、推定対象の前記骨材である推定対象骨材を撮影した撮影画像を示す入力画像データを含む点にある。
【0008】
この特徴構成によると、入力画像データを含む入力データを学習済みモデルに入力することにより、推定対象骨材の表面水率の推定値を取得することができる。したがって、骨材の表面水率を簡便に推定することができる。
【0009】
他の構成として、前記入力データは、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データを更に含んでもよい。
【0010】
この特徴構成によると、入力データが入力密度データを更に含むため、骨材の表面水率をより正確に推定することができる。
【0011】
他の構成として、前記推定対象骨材は、ベルトコンベアで搬送される前記骨材であってもよい。
【0012】
この特徴構成によると、骨材をベルトコンベアで搬送しつつ、表面水率を推定することができる。これにより、骨材の表面水率の推定作業の効率化を図ることができる。
【0013】
他の構成として、前記密度は、表面乾燥飽水状態における前記骨材の密度を示してもよい。
【0014】
この特徴構成によると、骨材の表面水率をより正確に推定することができる。
【0015】
他の構成として、前記入力画像データは、出荷に備えて梱包される直前の前記推定対象骨材を撮影した前記撮影画像のデータであってもよい。
【0016】
この特徴構成によると、コンクリートの混練作業により近い段階である出荷直前で、保存環境等に応じて変化しやすい骨材の表面水率を推定することができる。この結果、セメント、水及び骨材が適切な割合で混練されたコンクリートを得ることができる。
【0017】
本発明に係るモデル生成プログラムの特徴構成は、コンピュータに、学習用データを用いた機械学習によって学習済みモデルを生成するモデル生成部として機能させ、前記学習用データは、学習用として用いる骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す学習画像データ、前記学習用骨材の密度を示す学習密度データ、及び前記学習用骨材の表面水率を示す学習表面水率データを含む点にある。
【0018】
この特徴構成によると、学習用データを用いて学習済みモデルを生成するモデル生成部としてコンピュータを機能させることができるため、骨材の表面水率を推定する学習済みモデルを簡便に生成することができ、結果、骨材の表面水率を簡便に推定することができる。
【0019】
本発明に係る骨材表面水率推定プログラムの特徴構成は、コンピュータに、学習用データを用いた機械学習によって生成される学習済みモデルに入力データを入力し、前記学習済みモデルから出力される出力データが示す値を骨材の表面水率の推定値として取得する表面水率推定部として機能させ、前記学習用データは、学習用として用いる前記骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す学習画像データ、前記学習用骨材の密度を示す学習密度データ、及び前記学習用骨材の表面水率を示す学習表面水率データを含み、前記入力データは、推定対象の前記骨材である推定対象骨材を撮影した撮影画像を示す入力画像データを含む点にある。
【0020】
この特徴構成によると、学習済みモデルから出力される出力データが示す値を骨材の表面水率の推定値として取得する表面水率推定部としてコンピュータを機能させることができるため、骨材の表面水率を簡便に推定することができる。
【0021】
他の構成として、前記入力データは、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データを更に含んでもよい。
【0022】
この特徴構成によると、入力データが入力密度データを更に含むため、骨材の表面水率をより正確に推定することができる。
【0023】
本発明に係る学習済みモデルの生成方法の特徴構成は、骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す学習画像データ、前記学習用骨材の密度を示す学習密度データ、及び前記学習用骨材の表面水率を示す学習表面水率データを含む学習用データを取得し、前記学習用データを用いて学習済みモデルを生成し、前記学習済みモデルは、推定対象の前記骨材である推定対象骨材を撮影した撮影画像を示す入力画像データが入力されると、前記推定対象骨材の前記表面水率の推定値を出力する点にある。
【0024】
この特徴構成によると、入力画像データが入力されることにより推定対象骨材の表面水率の推定値を出力する学習済みモデルを生成することができ、骨材の表面水率を簡便に推定することができる。
【0025】
他の構成として、前記学習済みモデルは、前記入力画像データに加え、前記推定対象骨材の密度を示す入力密度データが入力されると、前記推定対象骨材の前記表面水率の推定値を出力してもよい。
【0026】
この特徴構成によると、学習済みモデルに入力画像データに加え入力密度データが入力されるため、骨材の表面水率をより正確に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る骨材表面水率推定システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る学習装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る推定装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施例と比較例とで使用する骨材の属性を示す図である。
図5】実施例と比較例とに係る推定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る骨材表面水率推定装置、モデル生成プログラム、骨材表面水率推定プログラム、及び学習済みモデルの生成方法を図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0029】
〔骨材表面水率推定システム〕
図1は、骨材表面水率推定システム100の構成を示す図である。骨材表面水率推定システム100は、AI(Artificial Intelligence)の技術を利用して、骨材10の表面水率を推定する。なお、骨材10は、細骨材及び粗骨材の少なくとも一方を含む。細骨材としては、例えば砂が挙げられ、粗骨材としては、例えば砂利、砕石等が挙げられる。また、骨材10の表面水率は、骨材10の表面に付着する水量を表面乾燥飽水状態の骨材10の質量で除した比率である。
【0030】
図1に示すように、骨材表面水率推定システム100は、骨材10を撮影する撮像装置1と、学習フェーズで用いられる学習装置2と、運用フェーズで用いられる推定装置3(骨材表面水率推定装置の一例)とを備える。撮像装置1と学習装置2と推定装置3とは、ネットワーク等を介して互いに通信可能に接続される。
【0031】
〔撮像装置〕
撮像装置1は、骨材10を撮影可能なカメラであり、撮像装置1は、骨材10を撮影した撮影画像の画像データを出力する。撮像装置1は、レンズ、レンズから入った光を電気信号に変換して出力する撮像素子、撮像素子から出力された電気信号に基づく画像データを出力する出力部等を有する。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOSイメージセンサ等である。本実施形態において、撮像装置1は、ベルトコンベア20によって搬送される骨材10を撮影可能な位置に設けられ、ベルトコンベア20によって搬送される骨材10を撮影する。
【0032】
〔学習装置〕
次に、図2を参照して、学習装置2の構成について説明する。図2は、学習装置2の構成を示すブロック図である。学習装置2は、コンピュータ等の情報処理装置で構成される。学習装置2は、学習データを用いた機械学習によって学習済みモデルM2を生成する。
【0033】
図2に示すように、学習装置2は、第1通信部21、第1操作部22、第1表示部23、第1記憶部24、及び第1制御部25を有する。
【0034】
第1通信部21は、データの送受信を行う。第1通信部21は、例えばネットワークインターフェースカード(NIC)であって、撮像装置1及び推定装置3との間の通信の規格(例えばイーサネット)に準拠する通信が可能な通信デバイスである。第1通信部21は、ネットワークを介して撮像装置1及び推定装置3と通信可能に接続される。第1通信部21は、学習済みモデルM2のデータ、後述の学習用データ等の送受信を行う。
【0035】
第1操作部22は、学習装置2に対する操作を受け付ける。第1操作部22は、タッチセンサ、キーボード等で構成される。
【0036】
第1表示部23は、文字、画像等を含む各種情報を表示する。第1表示部23は、液晶ディスプレー、有機ELディスプレー等である。
【0037】
第1記憶部24は、各種データを記憶する。第1記憶部24は、補助記憶装置であって、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、SSDH(Solid State Hybrid Drive)等で構成される。第1記憶部24には、学習装置制御プログラムPG1(モデル生成プログラムの一例)及び学習モデルM1を示すデータ、学習用データ等が記憶される。
【0038】
第1制御部25は、学習装置2の動作を制御する。第1制御部25は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ、及び、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置を含む。
【0039】
第1制御部25は、学習装置制御プログラムPG1を実行することによりモデル生成部251として機能する。モデル生成部251は、学習用データを取得し、学習用データを用いて学習モデルM1を機械学習(深層学習)させることによって学習済みモデルM2を生成する。つまり、第1制御部25は、学習済みモデルM2の生成方法を実行する。
【0040】
学習用データは、学習モデルM1の学習用のデータであって、学習用として用いる骨材10(以下、「学習用骨材10S」という;図1参照)に関するデータである。詳しくは、学習用データは、複数の学習用データセットを含む。学習用データセットは、学習用骨材10Sを撮影した撮影画像を示す学習画像データと、学習用骨材10Sの密度を示す学習密度データと、学習用骨材10Sの表面水率を示す学習表面水率データとで構成される。なお、学習用骨材10Sの表面水率は、正解データに相当し、学習用骨材10Sの画像と学習用骨材10Sの密度と学習用骨材10Sの表面水率とは、技術熟練者、専門家等によって予め関連付けられる。学習用骨材10Sの密度及び表面水率は、それぞれ正規化されて学習用データとして用いられる。
【0041】
なお、骨材10(学習用骨材10S)の密度は、表面乾燥飽水状態における骨材10の密度であり、日本工業規格に定められる方法(JIS A 1109)に準じて予め測定されている。
【0042】
本実施形態において、学習用データセットに含まれる学習画像データは、撮像装置1による撮影画像のデータである。詳しくは、学習画像データは、動画から切り出された静止画(以下、「第1静止画」という)を示すデータであって、動画は、ベルトコンベア20によって搬送される骨材10を撮像装置1によって撮影した動画である。
【0043】
本実施形態では、第1静止画は、学習用骨材10Sの撮影が開始されてから所定時間(例えば10秒)が経過した以降の動画から切り出された静止画である。これにより、第1静止画(学習画像データが示す画像)の明度が安定し、推定精度の高い学習済みモデルM2を生成することができる。
【0044】
また、第1静止画に対しては、画像的特徴が類似する画像を除去する除去処理、学習用骨材10S以外の映像(例えばベルトコンベア20の映像)が含まれないように画像の周囲が切り取られるトリミング処理等が施される。
【0045】
また、学習画像データは、第1静止画に対して、明るさを変更する明度変更処理及び画像の左右を反転させる左右反転処理の少なくとも一方の処理が施された拡張画像を含む。これにより、学習用データとして使用される学習用データセット(画像)の数を増大させることができ、推定精度の高い学習済みモデルM2を生成することができる。
【0046】
学習モデルM1は、入力データ(学習用データセット)が入力される入力層と、入力データ(学習用データセットの学習画像データ)から特徴量を抽出する中間層と、特徴量から推定される推定結果を出力データとして出力する出力層とを含むネットワーク構成(アーキテクチャ)にパラメータが設定されて構成される。本実施形態では、学習済みモデルM2は、EfficientNet等の畳み込みニューラルネットワークのモデルであって、マルチモーダル手法による(学習用骨材10Sの学習画像データと学習密度データと学習表面水率データとの関連性の)学習が可能である。
【0047】
モデル生成部251は、学習用データセットを学習モデルM1に入力し、学習画像データに関連付けられた表面水率(学習表面水率データ)と、学習モデルM1からの出力データが示す推定結果との損失関数を最小化させるように終了条件を満たすまでパラメータを更新する。パラメータの更新は、パラメータの更新回数が規定値以上、又は、損失関数が規定値以下といった終了条件が満たされると終了される。この結果、学習済みモデルM2が生成される。なお、終了条件は、システムの管理者、設計者等によって予め設定される。本実施形態では、モデル生成部251は、ミニバッチ学習によって機械学習するが、モデル生成部251は、オンライン学習、バッチ学習等によって機械学習してもよい。
【0048】
生成された学習済みモデルM2は、モデル生成部251によって第1記憶部24に記憶される。本実施形態では、学習済みモデルM2は、モデル生成部251によって第1通信部21を介して推定装置3へ提供(送信)される。なお、学習済みモデルM2は、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体を介して推定装置3に提供されてもよい。
【0049】
〔推定装置〕
続いて、図3を参照して、推定装置3の構成について説明する。図3は、推定装置3の構成を示すブロック図である。推定装置3は、コンピュータ等の情報処理装置で構成され、学習済みモデルM2を用いて表面水率の推定対象の骨材10(以下、「推定対象骨材10T」という;図1参照)の表面水率を推定する。
【0050】
図3に示すように、推定装置3は、第2通信部31、第2操作部32、第2表示部33、第2記憶部34、及び第2制御部35を有する。
【0051】
第2通信部31は、データの送受信を行う。第2通信部31は、例えばネットワークインターフェースカード(NIC)であって、撮像装置1及び学習装置2との間の通信の規格(例えばイーサネット)に準拠する通信が可能な通信デバイスである。第2通信部31は、ネットワークを介して撮像装置1及び学習装置2と通信可能に接続される。第2通信部31は、学習済みモデルM2のデータ、後述の推定用データ(入力データの一例)等の送受信を行う。
【0052】
第2操作部32は、推定装置3に対する操作を受け付ける。第2操作部32は、タッチセンサ、キーボード等で構成される。
【0053】
第2表示部33は、文字、画像等を含む各種情報を表示する。第2表示部33は、液晶ディスプレー、有機ELディスプレー等である。
【0054】
第2記憶部34は、各種データを記憶する。第2記憶部34は、補助記憶装置であって、HDD、SSD、SSDH等で構成される。第2記憶部34には、推定装置制御プログラムPG2(骨材表面水率推定プログラムの一例)及び学習済みモデルM2のデータ、推定用データ等が記憶される。
【0055】
第2制御部35は、推定装置3の動作を制御する。第2制御部35は、CPU、GPU等のプロセッサ、及び、ROM、RAM等の主記憶装置を含む。
【0056】
第2制御部35は、推定装置制御プログラムPG2を実行することにより表面水率推定部351として機能する。表面水率推定部351は、学習済みモデルM2に推定用データを入力し、推定対象骨材10Tの表面水率の推定値(推定値を示すデータ)を取得する。
【0057】
推定用データは、推定対象の骨材10である推定対象骨材10Tに関するデータである。詳しくは、推定用データは、推定対象骨材10Tを撮影した撮影画像を示す推定画像データ(入力画像データの一例)で構成される推定用データセットを含む。つまり、推定用データは、推定対象骨材10Tを撮影した撮影画像を示す推定画像データのみであり、推定対象骨材10Tの密度を示す推定密度データを含んでいない。
【0058】
推定用データセットに含まれる推定画像データは、撮像装置1による撮影画像のデータである。本実施形態では、推定画像データは、動画から切り出された静止画(以下、「第2静止画」という)を示すデータであって、動画は、ベルトコンベア20によって搬送される骨材10を撮影した動画である。つまり、推定対象骨材10Tは、ベルトコンベア20で搬送される骨材10である。また、本実施形態では、推定対象骨材10Tは、出荷に備えて梱包される直前の推定対象骨材10Tであり、撮影画像データは、出荷に備えて梱包される直前の推定対象骨材10Tを撮影した撮影画像のデータである。
【0059】
本実施形態では、第2静止画は、第1静止画と同様に、骨材10の撮影が開始されてから所定時間(本実施形態では10秒)が経過した以降の動画から切り出された静止画である。これにより、静止画の明度が安定し、推定対象骨材10Tの表面水率を高い精度で推定することができる。
【0060】
第2静止画に対しては、画像的特徴が類似する画像を除去する除去処理、推定対象骨材10T以外の映像が含まれないように画像の周囲が切り取られるトリミング処理等が施されてもよい。
【0061】
推定画像データは、撮像装置1による撮影が開始されると、撮像装置1から推定装置3へ送信される。
【0062】
表面水率推定部351は、推定画像データを取得すると、推定画像データを推定用データセットとして学習済みモデルM2に入力する。
【0063】
学習済みモデルM2は、推定用データセットが入力されると、推定対象骨材10Tの表面水率の推定値に相当するデータ(以下、「出力データ」という)を出力する。表面水率推定部351は、学習済みモデルM2から出力される出力データが示す値を推定対象骨材10Tの表面水率の推定値として取得する。表面水率推定部351は、取得した推定値を第2表示部33に表示させる。
【0064】
表面水率の推定値は、推定対象骨材10Tを梱包する梱包材(例えばフレキシブルコンテナバッグ)に付される。詳しくは、表面水率の推定値は、その値が記載されたタグが梱包材に取付けられるといった手段により梱包材に付される。なお、タグに表面水率の推定値を記載する代わりに、表面水率の推定値を表すバーコードや二次元コードをタグに貼付してもよい。
【0065】
その後、表面水率の推定値が付されて梱包された推定対象骨材10Tがコンクリートの混練現場へ向けて出荷される。これにより、コンクリートを混練する作業者は、推定対象骨材10Tの表面水率の推定値を容易に把握することができる。この結果、適切な割合でセメント、水及び骨材10が混練されたコンクリートを得ることができ、コンクリートの品質を安定させることができる。
【0066】
〔実施例〕
以下、実施例として、学習済みモデルの生成及び検証について、比較例と対比しながら説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。例えば、以下では、骨材として細骨材を用いた実施例について説明しているが、骨材は細骨材に限定されるものではない。骨材は粗骨材であってもよく、細骨材と粗骨材とが混合された骨材であってもよい。
【0067】
図5に示す実施例1~3及び比較例1~2では、畳み込みニューラルネットワークモデル(EfficientNet)を用いた機械学習により学習済みモデルを生成した。機械学習の損失関数としては平均二乗誤差を用いた。
【0068】
〔実施例1〕
実施例1では、図4に示す骨材A~Fのぞれぞれについてデータセット(学習用データセットと推定用データセットと)を作成した。なお、図4は、実施例1~3及び比較例1~2で用いた14種類の骨材A~Nの属性(種別、岩質、密度、産地、製造会社及び表面水率)を示す。
【0069】
学習用データセットは、骨材A~F(6種類)のそれぞれの表面水率の異なる(表面水率1~10の10種類)データ(つまり、6×10の60組)のうちの8種類の表面水率のデータ(6×8の48組)で構成した。学習用データセットは、骨材A~Fのいずれかであって表面水率が8種類のうちのいずれかを撮影した撮影画像の画像データと、撮影画像で示される骨材の密度を示す密度データと、撮影画像で示される骨材の表面水率を示す表面水率データとを含む。
【0070】
構成した学習用データセットを用いて、上記の畳み込みニューラルネットワークモデル(EfficientNet)を機械学習させて学習済みモデルを生成した。
【0071】
学習済みモデルの精度の検証に用いられる推定用データセットは、学習用として用いられる(学習用データセット)以外の表面水率のデータ、つまり、骨材A~Fのそれぞれについて表面水率の異なる2種類のデータ(6×2の12組)で構成した。推定用データセットは、検証に用いられる2種類の表面水率の骨材を撮影した撮影画像の画像データを含んでおり、密度データを含んでいない。すなわち、推定用データセットは、骨材を撮影した撮影画像の画像データのみである。なお、図4では、実施例1~2及び比較例1~2において、推定用データセットとして用いられたデータの表面水率に(※)を付している。
【0072】
生成した学習済みモデルに、上記の推定用データセットを入力し、学習済みモデルから骨材の表面水率の推定値に相当するデータ(出力データ)を得て、出力データの正解データ(表面水率を示すデータ)に対する誤差を求めた。図5に実施例1に係る学習済みモデルからの出力データの正解データに対する誤差を示す。
【0073】
〔実施例2〕
実施例2では、実施例1で使用した骨材A~Fに加え、図4に示す骨材G~Nのそれぞれについてデータセット(学習用データセットと推定用データセットと)を作成した。学習用データセットは、骨材A~N(14種類)のそれぞれの表面水率の異なる骨材(表面水率1~10の10種類)のデータ(14×8の112組)で構成し、実施例1と同様にして学習済みモデルを生成した。学習用データセットは、骨材A~Nのいずれかであって、表面水率が8種類のうちのいずれかを撮影した撮影画像の画像データと、撮影画像で示される骨材の密度を示す密度データと、撮影画像で示される骨材の表面水率を示す表面水率データとを含む。
【0074】
推定用データセットは、実施例1と同様に、学習用として用いられる(学習用データセット)以外の表面水率のデータ、つまり、骨材A~Nのそれぞれについて表面水率の異なる2種類のデータ(14×2の28組)で構成した。推定用データセットは、検証に用いられる2種類の表面水率の骨材を撮影した撮影画像の画像データを含んでおり、密度データを含んでいない。すなわち、推定用データセットは、骨材を撮影した撮影画像の画像データのみである。
【0075】
生成した学習済みモデルに、上記の推定用データセットを入力し、学習済みモデルから骨材の表面水率の推定値に相当するデータ(出力データ)を得て、出力データの正解データ(表面水率を示すデータ)に対する誤差を求めた。図5に実施例2に係る学習済みモデルからの出力データの正解データに対する誤差を示す。
【0076】
〔実施例3〕
実施例3では、クロスバリデーションを行って(本実施例では推定用データセットに用いる表面水率のデータがすべての組み合わせとなるように学習用セットを組み替えて)学習済みモデルを生成する以外は、実施例2と同様にして学習済みモデルを生成し、生成した学習済みモデルから骨材の表面水率の推定値に相当するデータ(出力データ)を得て、出力データの正解データ(表面水率を示すデータ)に対する誤差を求めた。図5に実施例3に係る学習済みモデルからの出力データの正解データに対する誤差を示す。
【0077】
〔比較例1〕
比較例1では、学習用データセットが密度を示す密度データを含まない以外は、実施例1と同様である。すなわち、骨材を撮影した撮影画像の画像データを用いて学習済みモデルを生成した。そして、生成した学習済みモデルに骨材を撮影した撮影画像の画像データを推定用データセットとして入力し、該骨材の表面水率の推定値に相当するデータ(出力データ)を得て、出力データの正解データ(表面水率を示すデータ)に対する誤差を求めた。図5に比較例1に係る学習済みモデルからの出力データの正解データに対する誤差を示す。
【0078】
〔比較例2〕
比較例2では、学習用データセットが密度を示す密度データを含まない以外は、実施例2と同様である。すなわち、骨材を撮影した撮影画像の画像データを用いて学習済みモデルを生成した。そして、生成した学習済みモデルに骨材を撮影した撮影画像の画像データを推定用データセットとして入力し、該骨材の表面水率の推定値に相当するデータ(出力データ)を得て出力データの正解データ(表面水率を示すデータ)に対する誤差を求めた。図5に比較例2に係る学習済みモデルからの出力データの正解データに対する誤差を示す。
【0079】
図5に示すように、実施例1は、一部の骨材で誤差の値が比較例1よりも大きい値を示したものの、骨材A~Fの誤差の平均値である誤差平均値が比較例1の誤差平均値よりも小さいことが示された。また、骨材A~Fの誤差の標準偏差値(バラツキ)である誤差標準偏差値(小数点第三以下四捨五入)も比較例1の誤差標準偏差値よりも小さいことが示された。なお、誤差標準偏差値は、骨材A~Fを標本とした母集団の標準偏差を示す(以下、比較例1も同様)。
【0080】
また、実施例2も、一部の骨材で誤差の値が比較例2よりも大きい値を示したものの、骨材A~Nの誤差平均値が比較例2の誤差平均値よりも小さいことが示された。また、骨材A~Nの誤差標準偏差値も比較例2の誤差標準偏差値よりも小さいことが示された。なお、誤差標準偏差値は、骨材A~Nを標本とした母集団の標準偏差を示す(以下、実施例3及び比較例2も同様)。
【0081】
なお、実施例3は、一部の骨材で誤差の値が実施例2よりも大きい値を示したものの、骨材A~Nの誤差平均値が実施例2の誤差平均値よりも小さいことが示された。また、実施例3に係る標準偏差値も実施例1及び実施例2の誤差標準偏差値よりも小さいことが示された。
【0082】
以上のことから、実施例1~2と比較例1~2との結果から、骨材を撮影した撮影画像の画像データのみを推定用データセットとして用いて骨材の表面水率を推定する場合、学習用データセットに骨材を撮影した撮影画像の画像データに加えて密度データを含めることにより、骨材の表面水率をより高い精度で推定することが確認された。
【0083】
以上、実施例1~3で示されるように、本実施形態における骨材表面水率推定システム100によれば、学習済みモデルを利用して骨材の表面水率を推定できることが確認された。また、実施例1~3で示されるように、骨材の密度データを含む学習用データ(学習用データセット)を用いて生成された学習済みモデルでは、比較例1、2(骨材の密度を示すデータを含まない学習用データを用いて生成された学習済みモデルで骨材の表面水率を推定した場合)よりも高い精度で骨材の表面水率を推定できることが確認された。
【0084】
〔実施形態の作用効果〕
このように、骨材表面水率推定システム100によれば、骨材10(学習用骨材10S)の密度データ(学習密度データ)を含む学習用データを用いて生成された学習済みモデルM2に推定画像データを含む推定用データを入力することにより、推定対象骨材10Tの表面水率の推定値を取得することができる。つまり、本実施形態の骨材表面水率推定システム100によれば、推定用データセットが推定画像データのみを含み推定密度データを含んでいないので、表面水率の推定のために推定密度データセットを別途入力する必要がない。これにより、骨材の表面水率を簡便に推定することができる。また、推定用データを推定装置3に入力するだけでよいため、経験の浅い未熟練者であっても推定対象骨材10Tの表面水率の推定値を容易に取得することができる。また、推定対象骨材10Tの表面水率を推定する作業者の熟練度による推定値のバラツキを抑制することができる。この結果、推定対象骨材10Tを用いたコンクリートの品質を安定させることができる。
【0085】
また、推定用データセットが密度データを含むことにより、表面水率をより正確に推定することができる。
【0086】
本実施形態によれば、推定対象骨材10Tがベルトコンベア20で搬送される骨材10であるため、推定用データが推定密度データを含まない場合には、ベルトコンベア20で推定対象骨材10Tを搬送しつつ推定画像データを取得して、表面水率を推定することができる。これにより、骨材の表面水率の推定作業の効率化を図ることができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、密度が表面乾燥飽水状態における骨材10の密度であるため、骨材10の表面水率をより正確に推定することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、コンクリートの混練作業により近い段階である出荷直前で、保存環境等に応じて変化しやすい骨材10(10T)の表面水率を推定することができる。この結果、セメント、水及び骨材10が適切な割合で混練されたコンクリートを得ることができる。
【0089】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成してもよい(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0090】
(1)上記の実施形態では、入力データが推定対象骨材10Tを撮影した撮影画像を示す推定画像データのみを含む形態を説明したが、入力データは、推定画像データに加え、推定対象骨材10Tの密度を示す推定密度データ(入力密度データの一例)を更に含んでもよい。入力データが、推定密度データを含む場合、推定密度データは、例えば、撮像装置1による撮影の開始前に第2操作部32を介して推定装置3に入力され、第2記憶部34に記憶されている。
【0091】
(2)上記の実施形態では、学習装置2と推定装置3とをそれぞれ独立した情報処理装置で構成する場合を説明したが、学習装置2と推定装置3とは1つの情報処理装置で構成されてもよい。
【0092】
(3)上記の実施形態では、学習装置2と推定装置3とが互いに通信可能に接続される場合を説明したが、学習済みモデルM2が記録媒体を介して推定装置3に提供される場合等は、学習装置2と推定装置3とは通信可能に接続されていなくてもよい。
【0093】
(4)上記の実施形態では、生成された学習済みモデルM2が推定装置3の第2記憶部34に記憶される場合を説明したが、学習済みモデルM2が記憶される場所は、推定装置3の第2記憶部34に限定されない。学習済みモデルM2は、例えば学習装置2の第1記憶部24に記憶されてもよい。あるいは、学習済みモデルM2は、骨材表面水率推定システム100が更に備えるサーバ(情報処理装置)の記憶領域に記憶されてもよい。この場合、学習済みモデルM2を記憶するサーバは、推定装置3と通信可能に接続される。表面水率推定部351は、第2通信部31を介して、第1記憶部24、又は、サーバの記憶領域に記憶された学習済みモデルM2に推定用データセットを入力して推定値を示すデータを取得してもよい。
【0094】
(5)上記の実施形態では、推定値が推定装置3の第2表示部33に表示される場合を説明したが、推定値は、学習装置2の第1表示部23、あるいは、骨材表面水率推定システム100が更に備える学習装置2及び推定装置3とは異なる情報端末(タブレット端末、コンピュータ等)であって、推定装置3と通信可能に接続された情報端末に表示されてもよい。なお、この場合、推定値を示すデータは、第2通信部31を介して、学習装置2又は情報端末に送信される。また、推定値は、第2表示部33に表示されて出力される場合に限定されず、例えば推定装置3が更に有するスピーカを介して出力されてもよい。
【0095】
(6)上記の実施形態では、第2静止画がベルトコンベア20によって搬送される推定対象骨材10Tの動画から切り出された静止画である場合を説明したが、第2静止画は、動画から切り出された静止画に限定されない。第2静止画は、ベルトコンベア20によって搬送される推定対象骨材10Tを静止画で撮影したものであってもよい。また、第2静止画は、出荷に備えて梱包される直前の推定対象骨材10Tを撮影した撮影画像(静止画)でなくてもよく、ベルトコンベア20で搬送される以外の骨材(例えば保存容器に保存される骨材)を撮影した静止画であってもよい。第1静止画についても同様に、動画から切り出された静止画に限定されない。第1静止画は、ベルトコンベア20によって搬送される推定対象骨材10Tを静止画で撮影したものであってもよいし、ベルトコンベア20で搬送される以外の骨材(例えば保存容器に保存される骨材)を撮影した静止画であってもよい。
【0096】
(7)上記の実施形態では、学習用骨材10Sの密度及び表面水率が正規化される場合を説明したが、学習用骨材10Sの密度及び表面水率の少なくとも一方は、正規化されなくてもよい。
【0097】
(8)上記の実施形態において、拡張画像は、複数の第1静止画を合成した合成画像を更に含んでもよい。合成画像の正解データ(表面水率を示すデータ)は、例えば、合成元の画像によって示される骨材10の表面水率の平均値が利用される。
【0098】
(9)また、第1制御部25によって実行される学習装置制御プログラムPG1は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納されてもよい。記録媒体に格納された学習装置制御プログラムPG1がコンピュータ等の情報処理装置にインストールされることによって、上記処理を実行する装置を構成してもよい。同様に、第2制御部35によって実行される推定装置制御プログラムPG2は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納されてもよい。記録媒体に格納された推定装置制御プログラムPG2がコンピュータ等の情報処理装置にインストールされることによって、上記処理を実行する装置を構成してもよい。
【0099】
(10)学習済みモデルM2は、畳み込みニューラルネットワーク以外(再帰型ニューラルネットワーク等)のニューラルネットワークを用いて生成されてもよい。あるいは、ニューラルネットワーク以外のアルゴリズムを用いて生成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、骨材表面水率推定装置、モデル生成プログラム、骨材表面水率推定プログラム、及び学習済みモデルの生成方法に利用できる。
【符号の説明】
【0101】
2 :学習装置(コンピュータ)
3 :推定装置(コンピュータ;骨材表面水率推定装置)
10 :骨材
10S :学習用骨材
10T :推定対象骨材
20 :ベルトコンベア
251 :モデル生成部
351 :表面水率推定部
M1 :学習モデル
M2 :学習済みモデル
PG1 :学習装置制御プログラム(モデル生成プログラム)
PG2 :推定装置制御プログラム(骨材表面水率推定プログラム)
【要約】
【課題】骨材の表面水率を簡便に推定することができる骨材表面水率推定装置、モデル生成プログラム、骨材表面水率推定プログラム、及び学習済みモデルの生成方法を提供する。
【解決手段】表面水率推定装置3は、学習用データを用いた機械学習によって生成される学習済みモデルM2に、入力データを入力し、学習済みモデルM2から出力される出力データが示す値を骨材の表面水率の推定値として取得する表面水率推定部351を備え、学習用データは、学習用として用いる骨材である学習用骨材を撮影した撮影画像を示す画像データ、学習用骨材の密度を示す密度データ、及び学習用骨材の表面水率を示す表面水率データを含み、入力データは、推定対象の骨材である推定対象骨材を撮影した撮影画像を示す画像データを含む。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5