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特許7402487搬送装置、搬送アセンブリ及び搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】搬送装置、搬送アセンブリ及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 35/00 20060101AFI20231214BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20231214BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20231214BHJP
   B61B 13/06 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B65G35/00 A
B65G1/00 501C
B61B13/00 V
B61B13/06 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019178939
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054588
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591212408
【氏名又は名称】中洲電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 強
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-131702(JP,A)
【文献】特開2019-099310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 35/00-37/02
B65G 1/00- 1/20
H01L 21/67-21/687
B66C 1/00- 3/20
B61B 13/00
B61B 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に略水平方向に延びる搬送レールに沿って物品を搬送する搬送装置であって、
前記搬送レールを走行可能に前記搬送レールに支持されるベース部材と、
前記ベース部材に可動式に連結され、略垂直方向に沿って駆動されるアーム部、及び、前記アーム部の端部に形成され、物品を把持するためのハンド部を備えるハンドリング部材と、
物品を下方から支承可能に略水平方向に延在する支持部と、前記ベース部材に可動式に連結され、前記ハンドリング部材に対して近接又は離隔するように略水平方向に沿って駆動される被駆動部とを有する支持部材と、
前記搬送装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
初期形態において、前記支持部が前記ハンド部から水平方向に離隔した位置に配置され、前記ハンド部で物品を把持した後、前記ハンドリング部材が上方に駆動され、前記支持部が物品の直下に位置するまで前記支持部材が前記ハンドリング部材に対して近接駆動され、 前記ハンド部で物品を把持するとともに前記支持部が物品の直下に位置する状態で、前記ベース部材が前記搬送レールを走行するように構成され、
前記ベース部材の内部には、前記ハンドリング部材を駆動するための第1駆動部が設けられ、前記第1駆動部は、垂直方向に長手状に延びる無端ベルトと、前記無端ベルトを回転駆動するための1又は複数のプーリと、前記無端ベルトに併設されて垂直方向に延びる駆動レールとを備え、前記無端ベルトに前記アーム部が連結されることにより、前記ハンドリング部材が前記駆動レール上を走行することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
少なくとも部分的に略水平方向に延びる搬送レールに沿って物品を搬送する搬送装置であって、
前記搬送レールを走行可能に前記搬送レールに支持されるベース部材と、
前記ベース部材に可動式に連結され、略垂直方向に沿って駆動されるアーム部、及び、前記アーム部の端部に形成され、物品を把持するためのハンド部を備えるハンドリング部材と、
物品を下方から支承可能に略水平方向に延在する支持部と、前記ベース部材に可動式に連結され、前記ハンドリング部材に対して近接又は離隔するように略水平方向に沿って駆動される被駆動部とを有する支持部材と、
前記搬送装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
初期形態において、前記支持部が前記ハンド部から水平方向に離隔した位置に配置され、前記ハンド部で物品を把持した後、前記ハンドリング部材が上方に駆動され、前記支持部が物品の直下に位置するまで前記支持部材が前記ハンドリング部材に対して近接駆動され、 前記ハンド部で物品を把持するとともに前記支持部が物品の直下に位置する状態で、前記ベース部材が前記搬送レールを走行するように構成され、
前記ハンド部には、把持する物品を傾動するように構成された回転駆動部が設けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
前記ハンド部は、物品を挟み込んで挟持する一対の挟圧板と、駆動軸を有するモータと、前記駆動軸と前記一対の挟圧板とを連結するリンク機構とをさらに備え、
前記一対の挟圧板は、互いに平行に対向する挟圧面を有し、
前記リンク機構は、前記駆動軸の回動に従って、前記一対の挟圧板の挟圧面を互いに平行に維持しつつ前記一対の挟圧板を近接及び離隔させることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記各挟圧板の挟圧面は、弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ベース部材の内部には、前記ハンドリング部材を駆動するための第1駆動部が設けられ、前記第1駆動部は、垂直方向に長手状に延びる無端ベルトと、前記無端ベルトを回転駆動するための1又は複数のプーリと、前記無端ベルトに併設されて垂直方向に延びる駆動レールとを備え、前記無端ベルトに前記アーム部が連結されることにより、前記ハンドリング部材が前記駆動レール上を走行することを特徴とする請求項に記載の搬送装置。
【請求項6】
複数のステーションと、
前記複数のステーションを連結する1又は複数の搬送レールと、
前記搬送レールを走行可能に支持された、請求項1から5のいずれか一項に記載の1又は複数の搬送装置と、を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項7】
搬送路に沿って延設された搬送レールと、
前記搬送レールを走行可能に前記搬送レールに吊下げ支持された搬送体と、
前記搬送体に連結された、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送装置と、を備えることを特徴とする搬送アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送レールに沿って搬送する搬送装置に関する。さらに、本発明は、該搬送装置による搬送アセンブリ及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品(ワーク材)に対して複数の工程を施すために、一の工程を施す第1の工程実施場所から他の工程を施す第2の工程実施場所へと対象を搬送する種々の搬送ユニットが用いられている。
【0003】
特許文献1は、物品を搬送するための搬送ラインシステムを開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。搬送ラインシステムは、複数の主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)と、待避レール部材(5a、5b、5c)と、サブ基幹レール部材(6a、6b、6c)と、支持部材(3)と、ベルト部材(103)とを備える。支持部材(3)は、主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)、待避レール部材(5a、5b、5c)又はサブ基幹レール部材(6a、6b、6c)に沿って移動可能に配設され、且つ、ワーク材を含有するための容器体(2)を支持する。そして、ベルト部材(103)を電気的に駆動することによって、支持部材(3)が各レールに沿って移動する。また、複数の主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)は、所定のワーク材を搬送するために、一の工程実施場所と他の工程実施場所との間に配設されている。そして、待避レール部材(5a、5b、5c)は、複数の主幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)のうちの一の主基幹レール部材と他の主基幹レール部材との間に位置する工程実施場所に配設されており、所定のワーク材を用いて工程を実施する場合に一及び他の主基幹レール部材と連続する位置から断絶する位置へと、移動部材によって移動可能であり、又は、一及び他の主基幹レール部材と断絶する位置から連続する位置へと移動部材によって移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5004377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような従来の搬送装置では、容器体(物品)が支持部材に一体的に連結されているので、容器体を支持体から分離して台の上に置くことや、容器体を支持体から他の支持体へと受け渡すことができない。すなわち、従来の搬送装置では、搬送する物品のハンドリングにおける利便性が低いことが問題であった。また、利便性を追求するために支持体と容器体の分離を容易とすると、搬送途中で容器体が落下することが問題となることが考えられる。よって、本発明は、所定の位置で物品を自動的に保持及び載置することを可能とし、且つ、安全に物品を搬送可能とすることを課題とした。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、物品の搬送工程における利便性および安全性を改善した搬送装置、並びに、該搬送装置が備えられた搬送アセンブリ及び搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の搬送装置は、少なくとも部分的に略水平方向に延びる搬送レールに沿って物品を搬送する搬送装置であって、
前記搬送レールを走行可能に前記搬送レールに支持されるベース部材と、
前記ベース部材に可動式に連結され、略垂直方向に沿って駆動されるアーム部、及び、前記アーム部の端部に形成され、物品を把持するためのハンド部を備えるハンドリング部材と、
物品を下方から支承可能に略水平方向に延在する支持部と、前記ベース部材に可動式に連結され、前記ハンドリング部材に対して近接又は離隔するように略水平方向に沿って駆動される被駆動部とを有する支持部材と、
前記搬送装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
初期形態において、前記支持部が前記挟圧板から水平方向に離隔した位置に配置され、
前記ハンド部で物品を把持した後、前記ハンドリング部材が上方に駆動され、前記支持部が物品の下方に位置するまで前記支持部材が前記ハンドリング部材に対して近接駆動され、
前記ハンド部で物品を把持するとともに前記支持部が物品の直下に位置する状態で、前記ベース部材が前記搬送レールを走行することを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態の搬送装置によれば、ハンドリング部材で物品を保持して搬送レールに沿って搬送することができる。ハンドリング部材は、ハンド部で所定位置に載置された物品を把持し、且つ、所定位置に物品を載置することができる。また、ベース部材が搬送レールを走行する際、支持部材の支持部がハンドリング部材によって把持された物品の下方に位置することによって、ハンド部による物品の把持が緩んだとしても、支持部により物品が落下しないように支承される。これにより、本発明の搬送装置は、物品の搬送工程における利便性および安全性を改善したものである。
【0009】
本発明のさらなる形態の搬送装置は、前記ハンド部は、物品を挟み込んで挟持する一対の挟圧板と、駆動軸を有するモータと、前記駆動軸と前記一対の挟圧板とを連結するリンク機構とをさらに備え、前記一対の挟圧板は、互いに平行に対向する挟圧面を有し、前記リンク機構は、前記駆動軸の回動に従って、前記一対の挟圧板の挟圧面を互いに平行に維持しつつ前記一対の挟圧板を近接及び離隔させることを特徴としてもよい。すなわち、一対の挟圧板の近接及び離隔動作において、対向する挟圧面が常に平行な姿勢に維持されることから、ハンドリング部材は、例えば、容器体などの筐体型の物品を容易に把持することが可能である。
【0010】
本発明のさらなる形態の搬送装置は、前記各挟圧板の挟圧面は、弾性材料で形成されていることを特徴としてもよい。挟圧面が弾性材料であることにより、物品を挟圧面で挟圧したときに挟圧面が弾性変形て物品の外面に密着して確実に把持できる。また、挟圧の際、物品が傷付くことを防止することができる。
【0011】
本発明のさらなる形態の搬送装置は、前記ベース部材の内部には、前記ハンドリング部材を駆動するための第1駆動部が設けられ、前記第1駆動部は、垂直方向に長手状に延びる無端ベルトと、前記無端ベルトを回転駆動するための1又は複数のプーリと、前記無端ベルトに併設されて垂直方向に延びる駆動レールとを備え、前記無端ベルトに前記アーム部が連結されることにより、前記ハンドリング部材が前記駆動レール上を走行することを特徴としてもよい。すなわち、無端ベルトが回転駆動することによって、ハンドリング部材を簡単且つ正確に移動させることができる。
【0012】
本発明のさらなる形態の搬送装置は、前記ハンド部には、把持する物品を傾動するように構成された回転駆動部が設けられていることを特徴としてもよい。回転駆動部を駆動することにより、必要に応じて物品を傾動操作することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の搬送装置は、所定の位置で物品を自動的に保持及び載置することを可能とし、且つ、安全に物品を搬送可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の搬送装置の概略斜視図。
図2図1の搬送装置の正面図。
図3図1の搬送装置の側面図。
図4図1の搬送装置の底面図。
図5図3の搬送装置の側面図において、ベース部材の筐体部のカバーを省略した概略図。
図6図5の搬送装置のベース部材の筐体部の内部構造を示す断面図。
図7図1の搬送装置において、ベース部材に対するハンドリング部材の直線移動をガイドするガイド機構を示す概略図。
図8図5の搬送装置のベース部材の延設部の内部構造を示す断面図。
図9図1の搬送装置のハンドリング部材のハンド部の概略斜視図。
図10図9のハンドリング部材のハンド部の概略正面図。
図11図1の搬送装置が搬送体によって搬送レールに保持された搬送アセンブリを示す概略斜視図。
図12図11の搬送アセンブリの正面図。
図13図1の搬送アセンブリの搬送レールを示す側面図。
図14図12の搬送アセンブリの搬送レールと搬送体との連結機構を示す断面図。
図15図1の搬送装置によって物品を搬送する第1工程を示す概略図。
図16図1の搬送装置によって物品を搬送する第2工程を示す概略図。
図17図1の搬送装置によって物品を搬送する第3工程を示す概略図。
図18】本発明の搬送システムの概略斜視図。
図19図18の搬送システムの正面図。
図20図18の搬送システムの平面図。
図21】本発明の別実施形態の搬送装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。
【0016】
本実施形態の搬送装置100は、搬送対象である物品(本実施形態では、容器体W)を保持し、搬送体150を介して搬送レール160を走行することで、物品を所定位置に所定位置に搬送して載置するように構成されている。図1は、搬送装置100の概略斜視図である。図2は、搬送装置100の正面図である。図3は、搬送装置100の側面図である。図4は、搬送装置100の底面図である。図5は、搬送装置100の内部構造(カバー省略)を示す概略側面図である。
【0017】
図1乃至図4に示すように、搬送装置100は、ベース部材110と、該ベース部材110に可動式に保持されたハンドリング部材120と、該ベース部材110に可動式に保持された支持部材130と、該搬送装置100の動作を制御する制御部(図示せず)とを備える。
【0018】
ベース部材110は、垂直方向に延びる矩形状の筐体部111と、該筐体部111から水平方向に延びる長板状の延設部113とを組み合わせてなる。ベース部材110の筐体部111上面には、搬送体150の連結シャフト158を連結するための複数の孔からなる連結部116が設けられている。すなわち、ベース部材110は、搬送体150に連結され、搬送レール160上を走行可能に搬送レール160に吊下げ支持される。また、筐体部111は、ハンドリング部材120の一部(アーム部122の一部)を内部に収容可能に構成されている。延設部113は、支持部材130の一部(第2被駆動部132)を内部に収容可能に構成されている。
【0019】
図5に示すように、筐体部111の内部には、ハンドリング部材120を支持して垂直方向に駆動する第1駆動部112が設けられている。図6は、第1駆動部112の周囲を示す部分拡大断面図である。図5及び図6に示すように、第1駆動部112は、垂直方向に長手状に延びる無端ベルト112aと、該無端ベルト112aを回転駆動する一対のプーリ112bと、該無端ベルト112aに併設され、垂直方向に延びる駆動レール112cと、を備える。プーリ112bは、ベルトを介して筐体部111に外付けされたモータ114bによって駆動される。そして、無端ベルト112aの回転駆動によって、ハンドリング部材120が垂直方向に駆動される。図7に示すように、2つの駆動レール112cが対で構成され、筐体部111の内壁にそれぞれ固定されている。そして、各駆動レール112cは、断面視コ字状を有し、開口が互いに対向するように設置されている。
【0020】
図5に示すように、延設部113の内部には、支持部材130を支持して水平方向に駆動する第2駆動部114が設けられている。図8は、第2駆動部114の周囲を示す部分拡大断面図である。図8に示すように、第2駆動部114は、水平方向に延びるボルト軸114aと、ボルト軸114aを回転駆動するためのモータ114bとを備える。モータ114bは、延設部113に外付けされており、ベルト114cを介してボルト軸114aに回転力を伝達する。そして、ボルト軸114aの回転駆動によって、支持部材130が水平方向に駆動される。
【0021】
ハンドリング部材120は、垂直方向に延びる矩形状のアーム部121と、該アーム部121の下端に形成されたハンド部125とを備える。
【0022】
アーム部121は、垂直方向に所定の長さを有し、ベース部材110の筐体部111に伸縮式又は入れ子式に収容されるように構成されている。図6に示すように、アーム部121の上端には、無端ベルト112aに固定される固定部122が形成されている。また、アーム部121は、駆動レール112c上に配置され、駆動部112c上を走行可能に構成されている。換言すれば、駆動レール112cは、アーム部121の垂直方向の直線移動をガイドする。図7(a),(b)は、アーム部121の直線移動をガイドするガイド機構を示している。図7に示すように、アーム部121の外面には、複数のベアリング123が取着されている。複数のベアリング123は、駆動レール112cの内面及び外面に摺接可能に設置されている。この構造により、ベース部材110に対するアーム部121の滑らかな相対移動が可能である。
【0023】
ハンド部122は、物品を把持可能に構成されている。図9は、ハンド部125の斜視図である。図10は、ハンド部125の概略正面図である。図9及び図10に示すように、ハンド部125は、アーム部121の先端に連結される基部126と、物品を挟持するための一対の挟圧板127と、該基部126及び該挟圧板127を可動式に連結するリンク機構128と、リンク機構128に動力を供給するモータ129とを備える。基部126の外面には、モータ129が固定されている。また、一対の挟圧板127,127は、それぞれ平板形状を有し、互いに対して略平行に対面する挟圧面127aを有する。本実施形態において、挟圧面127aは、例えば、スポンジやゴムなどの弾性材料によって形成されることが好ましい。そして、一対の挟圧板127,127は、リンク機構128を介して互いに近接又は離隔したときに平行な姿勢を常に維持するように構成されている。
【0024】
次に、図10を参照して、本実施形態のリンク機構128について説明する。リンク機構128は、それぞれ一対の第1リンク片128a、第2リンク片128b及び第3リンク片128cから構成されている。一方の第1リンク片128aは、その基端でモータ129の駆動軸129aを介して基部126に軸支されている。また、他方の第1リンク片128aは、従動軸128gを介して基部126に軸支されている。そして、一対の第1リンク片128a,128aの基端は、ギヤによって互いに噛合可能にそれぞれ構成されている。これにより、駆動軸129の回転によって一方の第1リンク片128aが回動すると、他方の第1リンク片128aが従動する。
【0025】
そして、各第1リンク片128aの先端には、第2リンク片128bが連結されている。第1リンク片128a及び第2リンク片128bは、第1回動軸128dを介して回動自在に接続されている。第2リンク片128bの先端には、挟圧板127が固定されている。一対の挟圧板127が互いに平行に対向する姿勢をとるように、各第2リンク片128bの先端部分が屈折している。そして、一対の第3リンク片128c,128cは、第2回動軸128eで基部126に回動自在に接続されている。第2回動軸128eは、第1回動軸128dの下方且つ内方に配置されている。各第3リンク片128cの先端は、各第2リンク片128bの先端近傍に第3回動軸128fを介して回動自在に接続されている。
【0026】
本実施形態では、リンク機構128は、平行四辺形のリンクを有する平行クランク機構を構成することにより、一対の挟圧板127,127を平行な姿勢に維持することが可能である。すなわち、駆動軸129a(従動軸128g)と第1回動軸128dの間の距離は、第2回動軸128eと第3回動軸128fの間の距離と等しく、且つ、駆動軸129a(従動軸128g)と第2回動軸128eの間の距離は、第1回動軸128dと第3回動軸128fの間の距離と等しい。そして、図10の仮想線に示すように、モータ129の駆動軸129aからの動力によって、一方の第1リンク片128aが外側に回動すると、他方の第1リンク片128aが同様に外側に回動する。そして、第2リンク片128bが第1リンク片128a及び第3リンク片128cの両方に対して回動するとともに、一対の挟圧板127,127が円弧を描きながら離隔方向に移動する。この動作において、一対の挟圧板127,127の挟圧面127a,127aは、互いに平行に維持される。
【0027】
支持部材130は、物品を下支え可能に水平方向に延びる支持部131と、該支持部131に連設され垂直方向に延びる立設部132と、該立設部132上端に形成され、ベース部材110の第2駆動部114に駆動される被駆動部133と、を備える。図5に示すように、支持部材130は、ハンドリング部材120に対して近接又は離隔するように水平方向に移動可能である。具体的には、搬送装置100の初期形態(支持部材130の初期位置)において、支持部131がハンドリング部材120のハンド部125から離隔している。この初期形態では、支持部材130は、ハンド部125及びこれに把持された物品と、支持部131とが平面視において重合しない位置に配置される。つまり、支持部材130が初期位置にあるとき、物品を把持するハンド部125が上下動しても、ハンド部125及び物品が支持部131に干渉しないようにハンド部125及び支持部131が水平方向において十分に離隔している。そして、支持部材130は、支持部131がハンド部125の真下に位置する支持位置まで移動可能である。より詳細には、図8に示すように、被駆動部133は、ボルト軸114aに螺合する螺子穴133aと、ボルト軸114bを内挿するガイド穴133bとを有する。ボルト軸114a及び螺子穴133aの螺合関係により、ボルト軸114aの回転に従ってボルト軸114aが螺子穴133aを螺進又は螺退し、その結果、支持部材130が水平方向に移動する。そして、被駆動部133のボルト軸114bに対する相対移動は、ガイド穴133bによってガイドされる。
【0028】
図11は、本実施形態の搬送装置100が搬送体150によって搬送レール160に保持された搬送アセンブリを示している。搬送装置100の筐体部111上面の連結部116に連結シャフト158が固定されることによって、搬送装置100が搬送体150に一体的に固定されている。搬送体150は、搬送レール160から吊下げられるとともに搬送レール160を走行可能に構成されている。すなわち、搬送アセンブリは、搬送路に沿って延設された搬送レール160と、該搬送レール160を走行可能に搬送レール160に吊下げ支持された搬送体150と、該搬送体150に連結された搬送装置100と、を備える。
【0029】
図12乃至図14を参照して、本実施形態の搬送装置100の搬送体150及び搬送レール160について説明する。図12及び図13は、搬送体150及び搬送レール160を示す概略正面図及び側面図である。また、図14は、搬送体150と搬送レール160の連結機構を示す断面図である。
【0030】
搬送レール160は、建造物又は構造体にブラケット167を介して空中で支持される。搬送レール160は、搬送方向に沿って長手状に延びる頂壁部162と、該頂壁部162の幅(短手)方向の両端縁から下方に垂下した一対の側壁部163と、該一対の側壁部163の間で下方に開口した開口部164とを備える。各側壁部163の開口端には、内側に張り出したレール部161がそれぞれ形成されている。この長手方向(搬送方向)に延びる一対のレール部161間の間隔は、搬送体150の搬送体本体151の幅よりも大きく、且つ、搬送体150の走行部153をなす一対の車輪の位置に対応している。他方、開口部164は、搬送体本体151を収容可能な幅を有している。
【0031】
また、搬送レール160の開口部164の反対側(奥側)には、コンベヤ部165が設けられている。該コンベヤ部165は、レール部161及び開口部164に併設されており、搬送体150をレール部161上で走行させるように駆動する。コンベヤ部165は、開口部164に亘って延びる無端ベルトと、該無端ベルトを回転駆動可能に巻架する複数のプーリとを備える。複数のプーリのうちの駆動プーリには、駆動用モータ166が接続され、該駆動用モータ166から動力が供給される。
【0032】
搬送体150は、ブロック状の搬送体本体151と、搬送体本体151の下方に連結され、搬送装置100を吊下げ支持するための搬送支持部152と、搬送体本体151が搬送レール160のレール部161を走行するための走行部153と、搬送体本体151に支持され、搬送レール160のコンベヤ部165に圧接可能に構成された圧接体155と、該圧接体155のコンベヤ部165への圧接を解除操作するための解除レバー156と、を備える。
【0033】
搬送体本体151は、平面視において搬送レール160の幅方向よりも長手方向(搬送方向)に長辺を有する矩形ブロック体である。図14に示すように、該搬送体本体151には、該搬送体本体151を高さ方向に貫通する複数(本実施形態では2つ)の貫通孔151aが穿設されている。各貫通孔151aは、圧接体155の軸部155aが軸方向に移動可能に、該軸部155aの径よりも大きい所定の径で構成されている。また、搬送支持部152は、搬送体本体151に吊下げられるように固定されている。さらに、走行部153は、搬送体本体151の側部に回転可能に軸支された複数対の車輪からなる。各車輪は、搬送体本体151の正面及び背面の両側に設けられている。
【0034】
圧接体155は、搬送体本体151に支持され、搬送レール160のコンベヤ部165の無端ベルト外面に圧接して搬送体本体151をコンベヤ部165に連結する連結部として機能する。図14に示すように、該圧接体155は、搬送体本体151の高さ方向に延びる2つの軸部155aと、各軸部155aの先端に固定された板状の圧接板155bとを備える。各軸部155aは、搬送体本体151の各貫通孔151a内に上下動可能に挿通(遊挿)されている。各軸部155aには、コイルバネ状の弾性体154が外挿されている。該弾性体154の上端が搬送体本体151の貫通孔151a周縁(下面)に当接し、且つ、該弾性体154の下端が圧接板155bの上面に当接している。そして、弾性体154は、搬送体本体151及び圧接体155の間に圧縮された状態で配置されており、搬送体本体151及び圧接体155を互いに離隔する方向に付勢している。つまり、弾性体154の弾性復帰力によって圧接体154がコンベヤ部165に対して付勢される。
【0035】
本実施形態の解除レバー156は、圧接体155のコンベヤ部165への圧接を解除操作するように機能する。すなわち、解除レバー156は、圧接体155を搬送体本体151の高さ方向に変位させる。具体的には、解除レバー156が回動することにより、レバー基端が搬送体本体151外面に係合して、圧接体155が搬送体本体151側に牽引される。
【0036】
すなわち、搬送装置100は、搬送体150を介して搬送レール160上を走行して物品を所定の搬送経路に沿って搬送することが可能である。
【0037】
続いて、図15乃至図17を参照して、本実施形態の搬送装置100によって、物品をハンドリングする工程について説明する。物品は、搬送レール160の軌道の下に設置された載置台に配置された箱状の容器体Wである。
【0038】
まず、搬送装置100を搬送レール160に沿って移動させ、対象の容器体Wの真上にハンド部125を移動させる。次に、図15に示すように、ハンド部125の一対の挟圧板127,127が容器体Wの側方に位置するまで、ハンドリング部材120のアーム部121をベース部材110に対して下降させる。そして、一対の挟圧板127、127を近接させるように、駆動軸129aを回転させ、挟圧面127aで容器体Wの側面を挟圧する。このとき、一対の挟圧板127,127が平行移動するので、平面状の挟圧面127aが容器体Wの外面にその表面全体で当接することができる。なお、容器体Wの幅が、一対の挟圧板127,127の距離よりも大きい場合、アーム部材121を下降させる前に、一対の挟圧板127,127を離隔させるように駆動してもよい。
【0039】
次に、図16に示すように、ハンド部125が容器体Wを挟持した状態で、容器体Wの底面が支持部131の上面よりも高くなるまで、アーム部121をベース部材110に対して上昇させる。このとき、挟圧面127aが弾性材料で形成されることにより、ハンド部125が容器体Wを確実に把持することができる。
【0040】
続いて、図17に示すように、容器体Wの真下に支持部131が位置するまで、支持部材130を近接方向に水平移動させる。これにより、ハンド部125で容器体Wを把持するとともに支持部131が容器体Wの下方に位置する状態で、ベース部材110が搬送レール160を走行することが可能になる。なお、図17の状態から、ハンド部125を下降させて、容器体Wの底面を支持部131の上面に当接させてもよい。
【0041】
容器体Wを載置台の上に載置するには、容器体Wを載置台の真上に移動させた後、図17の状態から、支持部材130をハンド部125から離隔させる方向に水平移動させる。次いで、アーム部121をベース部材110に対して下降させ、容器体Wの底面を台の上面に当接させる。そして、ハンド部125の一対の挟圧板127、127を互いに離隔させるように駆動することにより、容器体Wを載置台に載置することができる。
【0042】
続いて、図18乃至図20を参照して、搬送装置100を例示的に用いた搬送システム10について説明する。図18は、本発明の一実施形態の搬送システム10の概略斜視図である。図19は、該搬送システム10の正面図である。図20は、該搬送システム10の平面図である。
【0043】
図18乃至図20に示すように、搬送システム10は、複数のステーション11,12,13と、該複数のステーション11,12,13を連結する1又は複数の搬送レール160-1,160-2,160-3と、搬送レール160-2,160-3を走行可能に支持された搬送装置100と、を備える。本実施形態では、複数のステーションは、投入ステーション11、中継ステーション12及び最終ステーション13からなる。また、第1の搬送レール160-1及び第3の搬送レール160-3が平行に延びており、第2の搬送レール160-2がこれらに対して直交する方向に延びている。そして、第2の搬送レール160-2及び第3の搬送レール160-3を走行可能に、搬送装置100がそれぞれ吊下げ支持されている。第2の搬送レール160-2及び第3の搬送レール160-3の間には、搬送装置100を方向転換させるための方向転換器14が設置されている。
【0044】
この搬送システム10では、物品Wは、投入ステーション11から投入され、第1の搬送レール160-1を介して、中継ステーション12に搬送される。中継ステーション12に搬送された物品Wは、搬送装置100に把持されて、第2の搬送レール160-2を介して中継ステーション12から方向転換器14まで搬送される。搬送装置100は方向転換器14にて方向転換される。そして、物品Wは、第3の搬送レール160-3を介して、最終ステーション13へと搬送される。最終ステーション13において、物品Wは搬送装置100から載置台に移載される。
【0045】
以下、本発明の一実施形態の搬送装置100の作用効果について説明する。
【0046】
本実施形態の搬送装置100によれば、ハンドリング部材120で物品を保持して搬送レール160に沿って搬送することができる。ハンドリング部材120は、ハンド部125で所定位置に載置された物品Wを把持し、且つ、所定位置に物品Wを載置することができる。また、ベース部材110が搬送レール160を走行する際、支持部材130の支持部131がハンド部125によって把持された物品Wの直下に位置することによって、ハンド部125による物品Wの把持が緩んだとしても、支持部131により物品Wが落下しないように支承される。これにより、本実施形態の搬送装置100は、物品Wの搬送工程における利便性および安全性を改善したものである。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。
【0048】
(1)上記実施形態の搬送装置では、ハンド部は物品を把持するように機能するが、さらなる機能が追加されてもよい。例えば、図21は、別実施形態の搬送装置100’を示す。搬送装置100’は、追加の機能を有するハンドリング部材120’を有する。ハンドリング部材120’の挟圧面127a’は、挟圧板127’の外面に設置された第2のモータ129aによって、挟圧板127’に対して回動可能に構成されている。これにより、一対の挟圧板127間に把持された容器体Wを傾動させて、その中身を容器体Wから落下させることが可能となる。すなわち、本発明の搬送装置のハンド部には、種々の機能が追加されてもよい。
【0049】
(2)上記実施形態の搬送システムでは、搬送レールが直線状であるが、本発明はこれに限定されない。すなわち、搬送レールは、屈折又は湾曲したレールを組み合わせたものでもよい。
【0050】
(3)本発明の搬送装置において、第1駆動部によるアーム部の駆動機構は、上記実施形態に限定されず、任意に選択され得る。例えば、第2駆動部のように、ボルトと螺子穴を用いた機構や、搬送体のように、圧接板をベルト表面に圧接させる機構が採用されてもよい。同様に、第2駆動部による支持部材の駆動機構も、上記実施形態に限定されず、任意に選択され得る。
【0051】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0052】
10 搬送システム
11 投入ステーション
12 中継ステーション
13 最終ステーション
14 方向転換器
100 搬送装置
110 ベース部材
111 筐体部
112 第1駆動部
112a 無端ベルト
112b プーリ
112c 駆動レール
112d モータ
113 延設部
114 第2駆動部
114a ボルト軸
114b モータ
114c ベルト
116 連結部
120 ハンドリング部材
121 アーム部
122 固定部
123 ベアリング
125 ハンド部
126 基部
127 挟圧板
127a 挟圧面
128 リンク機構
128a 第1リンク片
128b 第2リンク片
128c 第3リンク片
128d 第1回動軸
128e 第2回動軸
128f 第3回動軸
128g 従動軸
129 モータ
129a 駆動軸
130 支持部材
131 支持部
132 立設部
133 被駆動部
133a 螺子穴
133b ガイド穴
150 搬送体
151 搬送体本体
151a 貫通孔
152 搬送支持部
153 走行部
154 弾性体
155 圧接部
155a 軸部
155b 圧接板
155c 連結軸
156 解除レバー
158 連結シャフト
160 搬送レール
161 レール部
162 頂壁部
163 側壁部
164 開口部
165 コンベヤ部
166 駆動用モータ
167 ブラケット
W 容器体(物品)
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
図11
図12
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図15
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図18
図19
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図21