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  • 特許-ラベル検査方法及びラベル検査システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ラベル検査方法及びラベル検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20231214BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01N21/90 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019226515
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021096116
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391051485
【氏名又は名称】高嶋技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊弘
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143951(JP,A)
【文献】特開2018-066660(JP,A)
【文献】特開2009-128261(JP,A)
【文献】特開平01-270985(JP,A)
【文献】特開2013-178191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-G01N21/958
G06T 1/00-G06T 1/40
G06T 3/00-G06T 7/90
G06V10/00-G06V20/90
G06V30/418
G06V40/16
G06V40/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のラベルのうちの1種以上のラベルがランダムに取り付けられる検査対象物のラベル画像データを取得する取得工程と、
前記ラベルの種類毎に異なる位置に判別領域を設定する設定工程と、
前記検査対象物の検査表面を撮像する撮像工程と、
撮像された前記検査表面の外面画像を、前記判別領域に基づいてラベルを判別する判別工程と、
前記外面画像により前記ラベルの検査を行う検査工程と
を有することを特徴とするラベル検査方法。
【請求項2】
前記判別領域は、前記ラベルの種類毎に異なる高さ位置であって、前記検査対象物の全周を含む範囲に設定されることを特徴とする請求項1記載のラベル検査方法。
【請求項3】
前記判別工程は、前記判別領域における色面積を算出することによりラベルを特定することを特徴とする請求項1または2記載のラベル検査方法。
【請求項4】
前記判別工程は、前記判別領域におけるマークを検出することによりラベルを特定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のラベル検査方法。
【請求項5】
複数種類のラベルのうちの1種以上のラベルがランダムに取り付けられる検査対象物の検査表面を撮像する撮像手段と、
前記ラベルの種類毎に異なる位置に設定された判別領域に基づいて、撮像された前記検査表面の外面画像からラベルの種類を判別する判別手段と、
前記外面画像により前記ラベルの検査を行う検査手段と、
を備えることを特徴とするラベル検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル検査方法及びラベル検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1においては、容器の外観を検査する外観検査装置が開示されている。このような外観検査装置においては、検査対象物の外観を複数のカメラにより撮像し、撮像された画像を、予め記憶された画像とを比較する等の解析を行うことにより外観の検査を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-128261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の外観検査装置においては、検査対象物が搬送されるコンベア上において画像を撮像して外観を検査している。ところで、近年、それぞれ異なるラベルが取り付けられた容器等をランダムに流通させることが行われている。このような異なるラベルが取り付けられた容器をコンベア等によってランダムに搬送する場合、ラベルが複数種類あるため、ラベルの詳細な検査を行うことが難しい。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、複数種類のラベルについて、高い精度で検査を行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、ラベル検査方法に係る第1の解決手段として、複数種類のラベルのうちの1種以上のラベルがランダムに取り付けられる検査対象物のラベル画像データを取得する取得工程と、各種のラベルにおいて、それぞれ特定の位置に判別領域を設定する設定工程と、前記検査対象物の検査表面を撮像する撮像工程と、撮像された前記検査表面の外面画像を、前記判別領域に基づいてラベルを判別する判別工程と、前記外面画像により前記ラベルの検査を行う検査工程とを有する、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、ラベル検査方法に係る第2の解決手段として、上記第1の手段において、前記判別領域は、各種のラベルにおいてそれぞれ特定の高さ位置であって、前記検査対象物の全周を含む範囲に設定される、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、ラベル検査方法に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の手段において、前記判別工程は、前記判別領域における色面積を算出することによりラベルを特定する、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、ラベル検査方法に係る第4の解決手段として、上記第1~3の何れかの手段において、前記判別工程は、前記判別領域におけるマークを検出することによりラベルを特定する、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、ラベル検査システムに係る第1の解決手段として、複数種類のラベルのうちの1種以上のラベルがランダムに取り付けられる検査対象物の検査表面を撮像する撮像手段と、予め記憶された各種のラベルの特定の位置に設定された判別領域に基づいて、撮像された前記検査表面の外面画像からラベルの種類を判別する判別手段と、前記外面画像により前記ラベルの検査を行う検査手段と、を備える、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、判別工程において、予め記憶された判別領域に基づいてラベルを判別する。したがって、複数種類のラベルについて、それぞれを判別した上でラベルの検査を行うことが可能である。すなわち、複数種類のラベルについて、高い精度で検査を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るラベル検査システムの構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態におけるラベルの一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るラベル検査方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るラベル検査方法の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るラベル検査方法の一実施形態について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
本実施形態に係るラベル検査システム1は、検査対象物であるボトル容器Wのラベルの異常を検出する装置である。ボトル容器Wは、略有底円筒状の形状とされ、円筒面にラベルが取り付けられている。また、ボトル容器Wは、後述する第1ラベルR1(図2(a)参照)が取り付けられたものと、第2ラベルR2(図2(b)参照)が取り付けられたものとの2種類が存在している。ラベル検査システム1は、図1に示すように、入力部2と、複数のカメラ3(撮像手段)と、画像処理部4と、画像判定部5とを備えている。
【0015】
入力部2は、例えば作業者によって操作されるキーボード、マウスや、データの記憶された媒体を読み取るUSBポート等を含んでいる。そして、入力部2は、ラベルの基準画像データ(ラベル画像データ)及び判別領域を含む上記媒体及びキーボードからの入力を取得して、画像判定部5が有する記憶領域に記憶させる。なお、この入力部2は、作業者により操作可能とされている。また、入力部2には、カメラ3の撮像スイッチが含まれている。
【0016】
カメラ3は、本実施形態においては、検査対象物であるボトル容器Wを囲んで4台設置されている。このカメラ3の画角は、隣接するカメラ3の画角と一部が重複している。したがって、4台のカメラ3を用いてボトル容器Wの検査表面を撮像し、端部の重複部分を合成することにより、ボトル容器Wの外周を360°展開した外周画像(外面画像)を取得することが可能である。このようなカメラ3は、入力部2からの操作に基づいて同時にボトル容器Wを撮像する。なお、4台のカメラ3が配置される場所は、例えばベルトコンベアの搬送経路中とされる。上記ベルトコンベアには、特定の間隔でボトル容器Wが搬送される。
【0017】
画像処理部4は、4台のカメラ3によって撮像された画像を合成することで、360°のパノラマ状の外周画像を作成する。この外周画像は、幅方向に長い横長の画像とされ、ボトル容器Wの円筒面に取り付けられたラベルの全体を含んでいる。
【0018】
画像判定部5は、画像処理部4において作成された外周画像を、予め記憶された各ラベルの基準画像のデータと比較することにより、ラベルの種類を特定する。さらに、画像判定部5は、特定されたラベルの基準画像と外周画像とを比較することにより、ラベルの異常の有無を判定する。また、画像判定部5は、第1判別領域A及び第2判別領域Bを記憶している。第1判別領域Aは、図2(a)に示すように、例えば、第1ラベルR1において、第2ラベルR2と差別化を図り得る特徴的な色彩パターン(色面積)を有する部位を含んでいる。第2判別領域Bは、図2(b)に示すように、例えば、第2ラベルR2において、基準画像における第1判別領域Aの色彩パターンと大きく異なり、かつ第1ラベルR1と差別化を図り得る特徴的な色彩パターンを有する部位とされている。なお、第1判別領域A及び第2判別領域Bは、それぞれラベルの縦方向(ボトルにおける鉛直方向)において互いに重複しない特定の範囲とされ、ラベルの横方向(ボトルにおける展開方向)において360°全体を覆う、帯状の領域である。また、第1判別領域A及び第2判別領域Bは、画像判定部5において座標データとして管理される。
【0019】
なお、画像処理部4と画像判定部5は、コンピュータの一機能としてもよい。また、画像判定部5は、本発明における判別手段及び検査手段に相当する。
【0020】
続いて、このようなラベル検査システム1を用いたラベル検査方法について、図3、3を参照して説明する。
【0021】
初めに、作業者は、入力部2を用いて、画像判定部5へと全種類のラベルの基準画像を記憶させる(ステップS1)。この各種の基準画像には、それぞれ別個の第1判別領域A及び第2判別領域Bが設定されている。また、このとき、画像判定部5には、第1ラベルR1における第1判別領域Aの特定色の色面積許容値と、第2ラベルR2における第2判別領域Bの特定色の色面積許容値とが記憶される。なお、ステップS1は、本発明における取得工程及び設定工程に相当する。
【0022】
ボトル容器Wがベルトコンベアにより検査領域へと搬送されると、4台のカメラ3により、ボトル容器Wの円筒部が撮像される(ステップS2)。なお、ステップS2は、本発明における撮像工程に相当する。そして、入力部2を介して画像処理部4により、撮像された4枚の画像が重複部のパターンマッチング処理により合成され、図2(a)(b)に示すような外周画像が作成される(ステップS3)。
【0023】
続いて、画像判定部5は、作成された外周画像の第1判別領域A及び第2判別領域Bの特定色の色面積を算出する(ステップS4)。そして、画像判定部5は、外周画像の第1判別領域A及び第2判別領域Bのそれぞれの色面積と、第1判別領域A及び第2判別領域Bの色面積許容値とを比較する。これにより、外周画像の色面積が、第1判別領域Aの色面積許容値内の場合には第1ラベルR1と判別し、第2判別領域Bの色面積許容値内の場合には第2ラベルR2と判別する(ステップS5)。なお、ステップS4、S5は、本発明における判別工程に相当する。
【0024】
そして、画像判定部5は、ラベルが判別された外周画像からラベルの検査を行う(ステップS6)。具体的には、画像判定部5は、外周画像と基準画像とを比較して、ラベルの変色、ズレ、寸法の異常及び印字の異常の有無を検査する。なお、ステップS6は、本発明における検査工程に相当する。
【0025】
本実施形態に係るラベル検査方法によれば、第1判別領域A及び第2判別領域Bを設定し、ラベルを判別する。したがって、複数種類のラベルが取り付けられたボトル容器Wがランダムに検査される場合においても、ラベルを高精度で検査することが可能である。
【0026】
本実施形態に係るラベル検査方法によれば、ボトル容器Wの全周を覆うように第1判別領域A及び第2判別領域Bが設定されている。これにより、ボトル容器Wの向きに関わらず、ラベルの判別を行うことが可能である。
【0027】
また、本実施形態に係るラベル検査方法によれば、第1判別領域A及び第2判別領域Bのそれぞれについて色面積許容値を設定し、外周画像の色面積がどちらの色面積許容値内であるかによりラベルを判別している。これにより、類似する複数種類のラベルについても、ラベルの判別を行うことが可能である。
【0028】
[第2実施形態]
続いて、上記第1実施形態の変形例を第2実施形態として説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については符号を同一とし、説明を省略する。
【0029】
本実施形態においては、第1ラベルR1、第2ラベルR2に加えて、図2(c)に示す第3ラベルR3の3種類のラベルが取り付けられたボトル容器Wの検査について説明する。第3ラベルR3は、第1ラベルR1及び第2ラベルR2との差別化が可能なマーク(図2(c)に示す五角星状の印)が印刷されている。
【0030】
本実施形態における画像判定部5は、第3ラベルR3の判別領域である第3判別領域Cを記憶している。第3判別領域Cは、上記第1ラベルR1及び第2ラベルR2との差別化が可能なマークの全体を含んで設定されている。
【0031】
このようなラベル検査方法について、図2、4を参照して説明する。
初めに、作業者は、入力部2を用いて、画像判定部5へと全種類のラベルの基準画像を記憶させる(ステップS11)。そして、ボトル容器Wがベルトコンベアにより検査領域へと搬送されると、4台のカメラ3により、ボトル容器Wの円筒部が撮像される(ステップS12)。なお、ステップS12は、本発明における撮像工程に相当する。そして、入力部2を介して画像処理部4により、図2に示すような外周画像が作成される(ステップS13)。
【0032】
続いて、画像判定部5は、作成された外周の第3判別領域Cについて、「正規化相関マッチング」あるいは「幾何学形状マッチング」の手法により、マークが検出されるか判定する(ステップS14)。画像判定部5は、マークが検出された場合に、外周画像のラベルが第3ラベルR3であると判別する。この場合、ステップS15、S16を行わず、ステップS17を行う。
【0033】
外周画像が第3ラベルR3でないと判定された場合には、画像判定部5は、外周画像の第1判別領域A及び第2判別領域Bの特定色の色面積を算出する(ステップS15)。そして、画像判定部5は、外周画像の第1判別領域A及び第2判別領域Bのそれぞれの色面積と、第1判別領域A及び第2判別領域Bの色面積許容値とを比較する。これにより、外周画像の色面積が、第1判別領域Aの色面積許容値内の場合には第1ラベルR1と判別し、第2判別領域Bの色面積許容値内の場合には第2ラベルR2と判別する(ステップS16)。なお、ステップS14~S16は、本発明における判別工程に相当する。そして、画像判定部5は、ラベルが判別された外周画像に基づいて、ラベルの検査を行う(ステップS17)。
【0034】
本実施形態に係るラベル検査方法によれば、マークを検出することにより、ラベルを判別することが可能である。したがって、例えば、色の判別が困難となる特殊加工等が施されたラベルにおいても、判別が可能となる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
【0036】
上記第2実施形態においては、マークによる判別と、色面積による判別とを行うものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、マークのみによりラベルを判別することも可能である。
【0037】
また、上記実施形態においては、カメラ3を4台設けるものとしたが、本発明はこれに限定されない。カメラ3の数は、検査対象物の形状、大きさ等により変更可能である。また、カメラ以外の撮像手段を用いるものとしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、ボトル容器Wを検査対象物としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、検査対象物は、缶体等に貼付されたラベルを検査するものとしてもよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、外周画像と基準画像とを比較することにより、ラベルの検査を行うものとしたが、本発明はこれに限定されず、機械学習等を用いてラベルの異常を検出するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ラベル検査システム
2 入力部
3 カメラ
4 画像処理部
5 画像判定部
A 第1判別領域
B 第2判別領域
C 第3判別領域
R1 第1ラベル
R2 第2ラベル
R3 第3ラベル
図1
図2
図3
図4