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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】記録管理システムおよび入力端末
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20231214BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G16H10/00
A61G12/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020004871
(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公開番号】P2021114007
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】前田 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】海野 剛靖
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016137(JP,A)
【文献】特開2018-037952(JP,A)
【文献】国際公開第2019/142566(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61G 9/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の部屋ごとに設置され、スタッフが介護記録または看護記録を入力するために使用する入力端末と、
上記入力端末に通信ネットワークを介して接続され、上記入力端末から送られてくる介護記録または看護記録を履歴として保存する管理装置とを備え、
上記入力端末は、
上記介護記録または看護記録の一部の情報を入力する操作が行われたときに、経過時間の計測を開始する計時部と、
上記介護記録または看護記録の登録を指示する操作が行われた場合に、その時点までに入力された記録情報を上記管理装置に送信して登録することを要求する登録要求部と、
上記介護記録または看護記録の一部の情報を入力する操作が行われたときに録音を開始した後、上記介護記録または看護記録の登録を指示する操作が行われた場合は、録音を停止して音声データを削除する一方、上記介護記録または看護記録の登録を指示する操作が行われることなく上記計時部により計測された経過時間がタイムアウト時間に達してタイムアウトが検出された場合は、録音を停止して音声データを上記入力端末に保存または外部装置に送信して保存する録音部とを備え、
上記管理装置は、
上記登録要求部により登録が要求された記録情報を上記介護記録または看護記録の履歴として保存する記録保存部を備えた
ことを特徴とする記録管理システム。
【請求項2】
上記介護記録または看護記録の一部の情報は、上記スタッフを識別可能なスタッフ情報であり、
上記録音部は、録音した音声データを、上記スタッフ情報と、上記スタッフ情報を入力する操作が行われた日時を示す日時情報とを関連付けて保存する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録管理システム。
【請求項3】
上記入力端末は、上記スタッフ情報および上記日時情報を含む録音リストを通じて選択された音声データを再生する再生部を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の記録管理システム。
【請求項4】
スタッフが介護記録または看護記録を入力するために使用する入力端末であって、
上記介護記録または看護記録の一部の情報を入力する操作が行われたときに、経過時間の計測を開始する計時部と、
上記介護記録または看護記録の登録を指示する操作が行われた場合に、その時点までに入力された記録情報を管理装置に送信して登録することを要求する登録要求部と、
上記介護記録または看護記録の一部の情報を入力する操作が行われたときに録音を開始した後、上記介護記録または看護記録の登録を指示する操作が行われた場合は、録音を停止して音声データを削除する一方、上記介護記録または看護記録の登録を指示する操作が行われることなく上記計時部により計測された経過時間がタイムアウト時間に達してタイムアウトが検出された場合は、録音を停止して音声データを内部に保存または外部装置に送信して保存する録音部とを備えた
ことを特徴とする入力端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録管理システムおよび入力端末に関し、特に、介護記録または看護記録を登録して管理するシステムおよびこれに用いる入力端末に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、病気や怪我、あるいは高齢等の理由により介護を必要とする要介護者が増えている。要介護者は、介護施設に入所し、必要な介護を受けることが可能である。介護施設において介護士等のスタッフは、要介護者(施設利用者)の部屋を定期的に巡視することによって要介護者の安否や様子を確認したり、あらかじめ作成した介護計画あるいは要介護者からの呼び出しに従って必要な介助を行ったりする。そして、スタッフは、実際に行った介護行為の内容を介護記録として記録する。介護記録には、介護行為を行ったスタッフの氏名、要介護者の氏名、介護行為の内容、介護行為の開始日時および終了日時などの情報が含まれる。
【0003】
従来、スタッフによる持ち運びが可能なタブレット端末に介護記録を入力したり、施設に設置された端末に介護記録を入力したりすることで、介護記録の入力作業を支援するシステムが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。また、病室の出入口付近に設置された液晶廊下灯に看護情報を入力するようにしたシステムも知られている(例えば、特許文献3,4参照)。部屋ごとに設置された端末から介護記録を入力するようにすることで、スタッフの一人ひとりにタブレット端末を支給する場合に比べて端末の所在などを管理するコストを削減でき、また、スタッフはタブレット端末を一々持ち運ばなくても済むというメリットを有する。
【0004】
部屋内に設置された端末から介護記録を入力する場合、スタッフは、入室した際に、端末を操作して介護行為の開始日時を入力する。また、介護行為が終わって退室する際に、介護行為の内容および介護行為の終了日時を入力する。スタッフの氏名および要介護者の氏名は、開始日時を入力する際または終了日時を入力する際に併せて入力する。こうして端末から入力された介護記録は、入力内容の確定または保存を指示する操作を行うと、通信ネットワークを介して接続された管理装置に送信されて保存される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-147104号公報
【文献】特開2018-120385号公報
【文献】特開2005-339327号公報
【文献】特開2006-19841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
部屋内に設置された端末から介護記録を入力する場合、スタッフは、入室した際に介護行為の開始日時を入力した後、介護行為が終わって退室する際に、介護行為の内容および終了日時を入力し忘れてしまうことがある。この場合、スタッフが入室した際に介護記録の入力を途中まで行っていても、管理装置に送信されて保存されることがなく、そのスタッフの介護記録が履歴として全く残らなくなってしまうという問題があった。このような問題は、病院において看護師が患者に対して行った看護行為を看護記録として記録する際にも同様に生じる。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、スタッフが入室した際に介護記録または看護記録の一部を部屋設置の端末に入力した後、介護行為または看護行為が終わって退室する際にスタッフが残りの介護記録または看護記録を入力して登録する操作を忘れてしまった場合でも、管理装置に介護記録または看護記録を履歴として保存できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、施設の部屋ごとに設置された入力端末において介護記録または看護記録の一部の情報を入力する操作が行われたときに、経過時間の計測を開始するとともに録音を開始する。その後、介護記録または看護記録の登録を指示する操作が行われた場合は、その時点までに入力された記録情報を管理装置に送信して履歴として保存するとともに、録音を停止して音声データを削除する。一方、当該操作が行われることなく経過時間がタイムアウト時間に達してタイムアウトが検出された場合は、録音を停止して音声データを保存するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、スタッフが入室した際に介護記録または看護記録の一部を入力端末に入力すると、録音が開始され、その後、介護記録または看護記録の登録を指示する操作が行われることなくタイムアウトが検出されると、録音が停止して音声データが保存される。このため、介護行為または看護行為が終わって退室する際に、スタッフが残りの介護記録または看護記録を入力して登録する操作を忘れてしまった場合でも、スタッフが介護行為または看護行為を行っているときの音声が録音されて保存されているので、後から再生して介護行為または看護行為の内容を確認し、介護記録または看護記録を入力して登録する操作を行うことができる。これにより、スタッフが退室する際に残りの介護記録または看護記録を入力して登録する操作を忘れてしまった場合でも、管理装置に介護記録または看護記録を履歴として保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態による記録管理システムの全体構成例を示す図である。
図2】スタッフが入力端末から介護記録を入力して管理装置に登録する際の操作手順の一例を説明するための図である。
図3】本実施形態による入力端末の機能構成例を示すブロック図である。
図4】本実施形態による管理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図5】音声データ記憶部に記録された音声データを再生する際の操作手順の一例を説明するための図である。
図6】本実施形態による入力端末の動作例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態による管理装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による記録管理システムの全体構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の記録管理システムは、複数の入力端末1と、管理装置2とを備えて構成される。本実施形態の記録管理システムは、例えば介護施設または病院において利用されるものである。
【0012】
複数の入力端末1は、施設の部屋RM1,RM2,・・・(以下、特に区別しないときは単にRMと記す)ごとに設置され、介護施設または病院のスタッフが介護記録または看護記録を入力するために使用する。入力端末1は、例えば、各部屋RMの出入口DWの近傍の部屋壁に設置されたタッチパネル付きのタブレット端末である。なお、入力端末1は部屋RM内に設置可能であればよく、タブレット端末であることや、出入口DWの近傍の部屋壁に設置することを必須とするものではない。
【0013】
管理装置2は、入力端末1に通信ネットワーク100を介して接続され、入力端末1から送られてくる介護記録または看護記録を履歴として保存する。管理装置2が履歴として保存する介護記録には、介護行為を行ったスタッフの氏名、介護行為を受けた要介護者(各部屋RMの入居者)の氏名、介護行為の内容、介護行為の開始日時および終了日時などの情報が含まれる。また、管理装置2が履歴として保存する看護記録には、看護行為を行ったスタッフの氏名、看護行為を受けた患者(各病室RMの入院患者)の氏名、看護行為の内容、看護行為の開始日時および終了日時などの情報が含まれる。以下では、本実施形態の記録管理システムを介護施設で使用する場合について説明する。
【0014】
図2は、スタッフが入力端末1から介護記録を入力して管理装置2に登録する際の操作手順の一例を説明するための図である。ここでは、入力端末1に表示される画面の遷移を示している。
【0015】
図2(1)に示す待機画面では、部屋RMの識別情報である部屋番号と、その部屋RMに入居している要介護者の氏名とが表示されている。なお、部屋RMの待機画面に何を表示するかは任意であるが、部屋番号および要介護者の氏名を表示しておくことにより、スタッフがこれから介護行為を行おうとする要介護者の部屋RMで間違いがないかどうかを確認できる点で好ましい。
【0016】
スタッフが待機画面をタッチすると、図2(2)に示す「スタッフ選択画面」が表示される。スタッフ選択画面には、入力端末1にあらかじめ登録されている複数のスタッフの氏名が、タッチして選択可能な名前ボタン201として表示される。スタッフは、自分の氏名が表示された名前ボタン201をタッチする。
【0017】
何れかの名前ボタン201がタッチされると、図2(3)のように、タッチされた名前ボタン201のスタッフが介護行為に対応中であることを示す情報と、介護行為を行っている間の経過時間を示す情報とを含む「対応中画面」が表示される。なお、対応中画面の左上には戻るボタン202が表示されており、名前ボタン201を間違ってタッチしてしまった場合は、戻るボタン202をタッチすれば、図2(2)のスタッフ選択画面に戻ることが可能である。
【0018】
スタッフは、名前ボタン201をタッチした後、要介護者に対して必要な介護行為を行う。そして、介護行為が終わった後、スタッフが対応中画面をタッチすると、図2(4)に示す「大項目選択画面」が表示される。大項目選択画面は、介護行為の内容を表す情報として大項目を選択するための画面である。ここでは一例として、身体介助1、身体介助2、生活補助、その他の4つが、タッチして選択可能な大項目ボタン203として表示されている。
【0019】
スタッフが何れかの大項目ボタン203をタッチして選択すると、図2(5)に示す「小項目選択画面」が表示される。小項目選択画面は、介護行為の内容を表す情報として小項目を選択するための画面であり、選択された大項目に属する複数の具体的な介護行為の名称が、タッチして選択可能な小項目ボタン205として表示されている。スタッフは、自分が実際に行った介護行為に対する小項目ボタン205を選んでタッチする。
【0020】
図2(4)に示す大項目選択画面には、大項目ボタン203の他に、キー入力ボタン204も表示されている。スタッフがこのキー入力ボタン204をタッチすると、図2(6)に示す「キー入力画面」が表示される。キー入力画面には、ソフトウェアキーボード206、当該ソフトウェアキーボード206により入力された文字列を表示するための表示欄207、文字列の入力完了を指示するための完了ボタン208が表示されている。スタッフは、自分が実際に行った介護行為の文字列をソフトウェアキーボード206により入力した後、完了ボタン208をタッチする。
【0021】
図2(5)に示す小項目選択画面において何れかの小項目ボタン205をタッチするか、図2(6)に示すキー入力画面において所望の文字列を入力して完了ボタン208をタッチすると、図2(7)に示す「対応記録確認画面」が表示される。この対応記録確認画面には、介護行為を行ったスタッフの氏名、介護行為の開始時刻から終了時刻までを示す対応時間、小項目選択画面またはキー入力画面において入力された介護行為を示す対応内容が表示されている。
【0022】
また、この対応記録確認画面には、介護行為の追加入力を指示するための追加ボタン209,210と、入力した介護記録を管理装置2に送信して登録することを指示するための登録ボタン211とが表示されている。追加ボタン209,210には、大項目および小項目を選択して介護行為を追加入力することを指示する第1の追加ボタン209と、ソフトウェアキーボード206により介護行為を追加入力することを指示する第2の追加ボタン210とがある。第1の追加ボタン209がタッチされた場合は、図2(4)の大項目選択画面に戻る。第2の追加ボタン210がタッチされた場合は、図2(6)のキー入力画面に戻る。
【0023】
スタッフが登録ボタン211をタッチすると、図2(1)の待機画面に表示されている要介護者の氏名(入力端末1にあらかじめ設定されている)、図2(2)のスタッフ選択画面で選択したスタッフの氏名、図2(4)~(6)の各画面において入力した介護行為の内容、介護行為の開始日時および終了日時を含む介護記録の情報が通信ネットワーク100を介して管理装置2に送信され、登録される。そして、入力端末1の画面は図2(1)の待機画面に戻る。
【0024】
図3は、本実施形態による入力端末1の機能構成例を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の入力端末1は、機能構成として、操作検出部11、計時部12、情報入力部13、録音部14、登録操作検出部15、タイムアウト検出部16、登録要求部17、再生部18および画面制御部19を備えている。また、入力端末1は、記憶媒体として、記録情報一時記憶部101および音声データ記憶部102を備えている。
【0025】
上記各機能ブロック11~19は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~19は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現される。なお、当該プログラムは、ハードディスクや半導体メモリ等の他の記録媒体に記憶されていてもよい。
【0026】
操作検出部11は、スタッフによる入力端末1のタッチパネルに対する操作を検出する。すなわち、操作検出部11は、図2で説明した一連の操作の1つ1つを検出し、どのような操作が行われたかの操作内容を検出する。また、操作検出部11は、録音された音声データの再生に関する操作(これについては後述する)も検出する。
【0027】
画面制御部19は、操作検出部11による各種操作の検出結果およびタイムアウト検出部16によるタイムアウトの検出結果に基づいて、図2に示した各種画面の表示を制御する。また、画面制御部19は、録音された音声データの再生に関する操作を行うための画面の表示も制御する。なお、タイムアウト検出部16によるタイムアウトの検出結果に基づく画面の遷移と、音声データの再生に関する操作を行うための画面については後述する。
【0028】
計時部12は、介護記録の一部の情報を入力する操作が行われたときに、その時点からの経過時間を計測する。本実施形態では、計時部12は、図2(2)のスタッフ選択画面で何れかの名前ボタン201のタッチが操作検出部11により検出されたとき、すなわち、介護記録の一部の情報としてスタッフの氏名(スタッフを識別可能なスタッフ情報の一例)が入力されたときに、経過時間の計測を開始する。なお、戻るボタン202がタッチされた場合、計時部12は経過時間をゼロにリセットし、何れかの名前ボタン201が再びタッチされたときに経過時間の計測を再開する。計時部12は、経過時間の計測を開始した後、図2(3)の対応中画面(戻るボタン202以外の領域)のタッチが操作検出部11により検出されたとき、または、対応中画面のタッチが操作検出部11により検出されることなくタイムアウト検出部16によりタイムアウトが検出されたときに、経過時間の計測を終了する。
【0029】
情報入力部13は、操作検出部11により検出される操作内容に応じて、介護記録に関する情報(以下、記録情報という)を入力し、入力した記録情報を記録情報一時記憶部101に逐次記憶していく。
【0030】
すなわち、情報入力部13は、図2(1)に示す待機画面のタッチが操作検出部11により検出されたときに、要介護者の氏名の入力操作が行われたものとして、入力端末1にあらかじめ設定されている要介護者の氏名を入力し、これを記録情報一時記憶部101に記憶させる。また、情報入力部13は、図2(2)に示すスタッフ選択画面で何れかの名前ボタン201のタッチが操作検出部11により検出されたときに、タッチされた名前ボタン201に対応するスタッフの氏名を入力するとともに、計時部12が経過時間の計測を開始した日時を介護行為の開始日時として入力し、これらを記録情報一時記憶部101に記憶させる。
【0031】
また、情報入力部13は、図2(3)の対応中画面のタッチが操作検出部11により検出されたときに、計時部12が経過時間の計測を終了した日時を介護行為の終了日時として入力し、これを記録情報一時記憶部101に記憶させる。また、情報入力部13は、図2(5)に示す小項目選択画面で小項目ボタン205のタッチが操作検出部11により検出されたときに、選択された介護行為の内容を入力し、これを記録情報一時記憶部101に記憶させる。また、情報入力部13は、図2(6)に示すキー入力画面で完了ボタン208のタッチが操作検出部11により検出されたときに、表示欄207に表示されている文字列から成る介護行為の内容を入力し、これを記録情報一時記憶部101に記憶させる。
【0032】
登録操作検出部15は、操作検出部11による操作の検出結果に基づいて、介護記録の登録を指示する操作が行われたこと、すなわち、図2(7)に示す対応記録確認画面において登録ボタン211がタッチされたことを検出する。タイムアウト検出部16は、計時部12により計測された経過時間がタイムアウト時間に達してタイムアウトとなったことを検出する。タイムアウト時間は、例えば1時間とする。これは、最も長い時間を要すると想定される介護行為の所要時間よりも長い時間である。
【0033】
上述したように、計時部12は、図2(3)の対応中画面のタッチが操作検出部11により検出されたときに経過時間の計測を終了するが、スタッフが介護行為の終了後に対応中画面のタッチを忘れていると(つまり、介護行為の入力操作をし忘れていると)、経過時間の計測開始から1時間後にタイムアウトとなり、これがタイムアウト検出部16により検出される。タイムアウト検出部16によりタイムアウトが検出された場合、画面は図2(3)の対応中画面から図2(1)の待機画面に戻る。一方、スタッフが介護行為の終了後に介護行為の入力操作を忘れずに行うと、登録ボタン211のタッチにより介護記録の登録を指示する操作が行われたことが登録操作検出部15により検出される。
【0034】
登録要求部17は、介護記録の登録を指示する操作(登録ボタン211のタッチ)が行われたことが登録操作検出部15により検出された場合に、その時点までに入力された介護記録の情報、すなわち、その時点において記録情報一時記憶部101に記憶されている記録情報を管理装置2に送信して登録することを要求する。
【0035】
登録ボタン211のタッチが登録操作検出部15により検出された場合、その時点で記録情報一時記憶部101には、要介護者の氏名、スタッフの氏名、介護行為の内容、介護行為の開始日時および終了日時が記憶されている。登録要求部17は、この記録情報一時記憶部101に記憶されている情報を介護記録に関する情報として管理装置2に送信して登録することを要求する。
【0036】
録音部14は、介護記録の一部の情報を入力する操作が行われたとき、すなわち、図2(2)のスタッフ選択画面で何れかの名前ボタン201のタッチが操作検出部11により検出されたときに、録音を開始する。録音は、入力端末1が備えるマイクまたは入力端末1に接続されたマイク(図示せず)を用いて、部屋RM内において発生する音声を音声データとして音声データ記憶部102に記録する処理である。
【0037】
録音部14は、録音を開始した後、介護記録の登録を指示する操作(図2(7)の対応記録確認画面で登録ボタン211をタッチする操作)が行われた場合、録音を停止して音声データを音声データ記憶部102から削除する。一方、録音部14は、録音を開始した後、登録ボタン211をタッチする操作が行われることなく計時部12により計測された経過時間がタイムアウト時間に達してタイムアウトがタイムアウト検出部16により検出された場合、録音を停止して音声データを音声データ記憶部102にそのまま保存する。このとき録音部14は、録音した音声データを、スタッフ選択画面で何れかの名前ボタン201をタッチする操作が行われた日時を示す日時情報と、当該名前ボタン201のタッチにより選択されたスタッフの氏名とに関連付けて保存する。
【0038】
再生部18は、操作検出部11による操作の検出結果に基づいて、音声データ記憶部102に記録された音声データを再生し、入力端末1が備えるスピーカまたは入力端末1に接続されたスピーカ(図示せず)から再生音声を出力する。図5は、音声データ記憶部102に記録された音声データを再生する際の操作手順の一例を説明するための図である。ここでは、入力端末1に表示される画面の遷移を示している。
【0039】
図5(1)に示す待機画面および図5(2)に示すスタッフ選択画面は、図2(1)および図2(2)に示したものと同じものである。図5(1)に示す待機画面をスタッフがタッチすると、図5(2)に示すスタッフ選択画面が表示される。スタッフ選択画面の右上には再生ボタン212が表示されており、スタッフがこの再生ボタン212をタッチすると、図5(3)の再生画面に遷移する。
【0040】
図5(3)に示すように、再生画面には、音声データ記憶部102に記録されている音声データの録音リスト213が表示される。当該録音リスト213には、レコードごとに、音声データに関連付けて記録されているスタッフの氏名と、名前ボタン201をタッチする操作が行われた日時(介護記録を最後まで入力することを忘れてしまった日における名前ボタン201の操作日時)とが含まれている。また、当該録音リスト213には、レコードごとに、音声データの再生を指示するための再生開始ボタン214も含まれている。
【0041】
スタッフは、所望の再生開始ボタン214をタッチすることにより、該当する音声データの再生を行うことができる。また、録音リスト213の外には再生停止ボタン215が存在する。スタッフは、所望の再生開始ボタン214をタッチして録音音声の再生を開始した後、任意のタイミングで再生停止ボタン215をタッチすることにより、再生を停止することが可能である。スタッフは、介護記録を最後まで入力することを忘れてしまった日に録音された音声データを再生することにより、そのときにどのような介護行為を行ったのかを再生音声から確認することが可能である。
【0042】
録音された音声データの再生が最後まで終了した場合、または、スタッフが再生停止ボタン215をタッチした場合、入力端末1の画面は図5(4)の大項目選択画面に遷移する。この後は、図5(4)~図5(7)に示す各操作画面に従って、図2(4)~図2(7)に示した手順と同様の要領で、音声データの再生により確認した介護行為に関する情報を入力していく。そして、登録ボタン211の操作に応じて、入力された介護記録に関する情報を管理装置2に送信して登録することを要求する。
【0043】
なお、スタッフ選択画面で再生ボタン212がタッチされた場合、情報入力部13は、以下のように介護記録に関する情報を記録情報一時記憶部101に記憶させる。まず、情報入力部13は、図5(1)に示す待機画面のタッチが操作検出部11により検出されたときに、入力端末1にあらかじめ設定されている要介護者の氏名を入力し、これを記録情報一時記憶部101に記憶させる。
【0044】
次に、図5(3)に示す再生画面において、何れかの再生開始ボタン214がタッチされたときに、タッチされた再生開始ボタン214に対応するスタッフの氏名と名前ボタン201の操作日時とを記録情報一時記憶部101に記憶させる。名前ボタン201の操作日時は、介護行為の開始日時として記録情報一時記憶部101に記憶させる。
【0045】
その後、情報入力部13は、図5(4)~図5(7)の各操作画面を通じて入力された介護行為の内容を記録情報一時記憶部101に記憶させる。そして、登録ボタン211がタッチされたときに、以上のようにして記録情報一時記憶部101に記憶された記録情報を管理装置2に送信して登録することを要求する。
【0046】
なお、図2の手順で介護記録に関する情報を入力する場合は、図2(3)の対応中画面のタッチが操作検出部11により検出されたときの日時を介護行為の終了日時として記録情報一時記憶部101に記憶させていたが、録音された音声データを再生して介護記録を入力する際にはこれができない。これに関して、音声再生に基づいて後から入力された介護記録であることを識別するために、介護行為の終了日時が欠損した状態で管理装置2に登録するようにしてもよい。あるいは、介護行為の終了日時を入力するための画面を用意し、音声データの再生によって想定されるおおよその終了日時を入力できるようにしてもよい。
【0047】
図4は、本実施形態による管理装置2の機能構成例を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態の管理装置2は、機能構成として、登録要求受信部21および記録保存部22を備えている。また、管理装置2は、記憶媒体として、介護記録記憶部20を備えている。
【0048】
上記各機能ブロック21~22は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック21~22は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現される。なお、当該プログラムは、ハードディスクや半導体メモリ等の他の記録媒体に記憶されていてもよい。
【0049】
登録要求受信部21は、入力端末1の登録要求部17により送信される介護記録の登録要求を受信する。記録保存部22は、入力端末1の登録要求部17により登録が要求された記録情報を介護記録の履歴として介護記録記憶部20に保存する。
【0050】
図6は、上記のように構成した入力端末1の動作例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、図2(1)(図5(1))に示す待機画面がタッチされたときに開始する。
【0051】
待機画面がタッチされると、まず、情報入力部13は、入力端末1に設定されている要介護者の氏名を入力し、これを記録情報一時記憶部101記憶させる(ステップS1)。次に、操作検出部11は、待機画面のタッチ後に、図2(2)(図5(2))に示すスタッフ選択画面において何れかの名前ボタン201がタッチされたか否かを判定する(ステップS2)。
【0052】
何れかの名前ボタン201のタッチが操作検出部11により検出された場合、計時部12は、経過時間の計測を開始する(ステップS3)。また、録音部14は、録音を開始する(ステップS4)。また、情報入力部13は、タッチされた名前ボタン201に対応するスタッフの氏名を入力するとともに、経過時間の計測の開始日時を介護行為の開始日時として入力し、これらを記録情報一時記憶部101に記憶させる(ステップS5)。
【0053】
次に、タイムアウト検出部16は、計時部12により計測された経過時間がタイムアウト時間に達してタイムアウトとなったか否かを判定する(ステップS6)。ここで、タイムアウト時間にまだ達していないとタイムアウト検出部16により判定された場合、操作検出部11は、図2(3)に示す対応中画面がタッチされたか否かを判定する(ステップS7)。対応中画面のタッチが操作検出部11により検出されていない場合、処理はステップS6に戻る。一方、対応中画面のタッチが操作検出部11により検出された場合、計時部12は、経過時間の計測を終了する(ステップS8)。また、情報入力部13は、経過時間の計測の終了日時を介護行為の終了日時として入力し、これを記録情報一時記憶部101に記憶させる(ステップS9)。
【0054】
その後、操作検出部11は、介護行為の内容を入力する操作、すなわち、図2(5)の小項目選択画面において何れかの小項目ボタン205をタッチする操作、または、図2(6)のキー入力画面において完了ボタン208をタッチする操作が行われたか否かを判定する(ステップS10)。これらの操作が操作検出部11により検出された場合、情報入力部13は、検出された操作に対応する介護行為の内容を入力し、これを記録情報一時記憶部101に記憶させる(ステップS11)。
【0055】
次いで、操作検出部11は、図2(7)の対応記録確認画面において登録ボタン211がタッチされたか否かを判定する(ステップS12)。登録ボタン211のタッチが操作検出部11により検出されない場合、処理はステップS10に戻る。ここで、介護行為の内容を追加入力する操作が行われると、その追加の介護行為の内容も情報入力部13により記録情報一時記憶部101に記憶される(ステップS11)。
【0056】
一方、ステップS12で登録ボタン211のタッチが操作検出部11により検出された場合、登録要求部17は、その時点において記録情報一時記憶部101に記憶されている記録情報を管理装置2に送信して登録することを要求する(ステップS13)。すなわち、登録要求部17は、その時点において記録情報一時記憶部101に記憶されている要介護者の氏名、スタッフの氏名、介護行為の内容、介護行為の開始日時および終了日時を管理装置2に送信して登録することを要求する。また、録音部14は、録音を停止して音声データを音声データ記憶部102から削除する(ステップS14)。これにより、図6に示す入力端末1の動作が終了する。
【0057】
上記ステップS6において、タイムアウト検出部16によりタイムアウトになったと判定された場合、録音部14は、録音を停止して音声データを音声データ記憶部102にそのまま保存する(ステップS15)。このとき録音部14は、録音した音声データを、ステップS2で名前ボタン201をタッチする操作が行われた日時と、操作された名前ボタン201に対応するスタッフの氏名とを関連付けて音声データ記憶部102に保存する。これにより、図6に示す入力端末1の動作が終了する。
【0058】
上記ステップS2において、スタッフ選択画面で名前ボタン201のタッチが操作検出部11により検出されていない場合、操作検出部11は、再生ボタン212がタッチされたか否かを判定する(ステップS16)。再生ボタン212のタッチが操作検出部11により検出されていない場合、処理はステップS2に戻る。一方、再生ボタン212のタッチが操作検出部11により検出された場合、図5(3)の再生画面に遷移し、再生部18による録音データの再生処理を実行する(ステップS17)。
【0059】
そして、再生部18は、音声データの再生が終了したか否か(再生が最後まで終了したか、または、再生停止ボタン215のタッチにより再生が停止されたか)を判定する(ステップS18)。音声データの再生が終了していない場合は、ステップS18の判定を継続する。一方、音声データの再生が終了したと再生部18により判定された場合、図5(4)~図5(7)に示す各操作画面に従って介護記録に関する情報を入力する処理を実行する(ステップS19)。
【0060】
そして、登録ボタン211のタッチが操作検出部11により検出されたことに応じて、登録要求部17は、その時点において記録情報一時記憶部101に記憶されている記録情報を管理装置2に送信して登録することを要求する(ステップS20)。ここでは、登録要求部17は、その時点において記録情報一時記憶部101に記憶されている要介護者の氏名、スタッフの氏名、介護行為の内容および介護行為の開始日時を管理装置2に送信して登録することを要求する。これにより、図6に示す入力端末1の動作が終了する。
【0061】
図7は、本実施形態による管理装置2の動作例を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートの処理は、管理装置2の電源がオンの間は常時実行されている。
【0062】
まず、登録要求受信部21は、入力端末1から送信されてくる介護記録の登録要求を受信したか否かを判定する(ステップS21)。登録要求受信部21が介護記録の登録要求を受信していない場合、ステップS21の判定を継続する。そして、登録要求受信部21が介護記録の登録要求を受信した場合、記録保存部22は、登録要求受信部21が登録要求と共に受信した記録情報を介護記録の履歴として介護記録記憶部20に保存する(ステップS22)。その後、処理はステップS21に戻る。
【0063】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、施設の部屋ごとに設置された入力端末1において介護記録の一部の情報を入力する操作が行われたときに、経過時間の計測を開始するとともに録音を開始する。その後、介護記録の登録を指示する操作が行われた場合は、その時点までに入力された記録情報を管理装置2に送信して履歴として保存するとともに、録音を停止して音声データを削除する。一方、当該操作が行われることなく経過時間がタイムアウト時間に達してタイムアウトが検出された場合は、録音を停止して音声データを保存するようにしている。
【0064】
このように構成した本実施形態によれば、介護行為が終わって退室する際に、スタッフが介護記録を入力して登録する操作を忘れてしまった場合でも、スタッフが介護行為を行っているときの音声が録音されて保存されているので、後から再生して介護行為の内容を確認し、介護記録を入力して登録する操作を行うことができる。これにより、スタッフが退室する際に残りの介護記録を入力して登録する操作を忘れてしまった場合でも、管理装置2に介護記録を履歴として保存することができる。
【0065】
なお、上記実施形態では、図2(2)のスタッフ選択画面で何れかの名前ボタン201がタッチされたときに経過時間の計測と録音を開始する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図2(1)の待機画面がタッチされたときに経過時間の計測と録音を開始するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、入力端末1に保存した音声データを入力端末1にて再生して残りの介護記録を入力するようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、録音部14が、タイムアウト検出部16によりタイムアウトが検出されて録音を停止したときに、管理装置2またはスタッフ詰所に設置された情報端末等(これらは特許請求の範囲の「外部装置」に相当する)に音声データを送信して保存することにより、外部装置において音声データの再生および残りの介護記録の入力を可能とするようにしてもよい。
【0067】
この場合、外部装置には、入力端末1の操作検出部11、情報入力部13、登録操作検出部15、登録要求部17、再生部18および画面制御部19と同等の機能を持たせる。ただし、図5(1)の画面を表示せず、図5(2)のスタッフ選択画面または図5(3)の再生画面を最初に表示する。また、図5(3)の再生画面に表示されている録音リスト213のスタッフの氏名、介護開始日時、再生開始ボタン214に加えて、部屋RMに入居している要介護者の氏名およびその部屋RMの部屋番号の少なくとも一方を表示する。
【0068】
このような構成とすることにより、音声データに基づいて残りの介護記録を行う際に、スタッフが要介護者の部屋RMを訪れる必要がなくなるので、要介護者に余計な気を使わせることがなくなるとともに、スタッフも残りの介護記録の入力を容易に行うことができる。
【0069】
なお、録音した音声データを入力端末1に保存して、入力端末1にて音声データを再生して残りの介護記録を入力する機能と、録音した音声データを外部装置に送信して保存する機能とを入力端末1に実装するようにしてもよい。
【0070】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 入力端末
2 管理装置
11 操作検出部
12 計時部
13 情報入力部
14 録音部
15 登録操作検出部
16 タイムアウト検出部
17 登録要求部
18 再生部
19 画面制御部
20 介護記録記憶部
21 登録要求受信部
22 記録保存部
101 記録情報一時記憶部
102 音声データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7