(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】空気分配装置
(51)【国際特許分類】
G02B 23/24 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2020015486
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2019104233
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】眞野 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】石川 龍太郎
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-155830(JP,U)
【文献】特開2012-081129(JP,A)
【文献】特開2003-097744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を供給及び排気することにより膨張、収縮するアクチュエータが3つ以上連結され、前記アクチュエータに所定の順序で空気を分配する空気分配装置であって、
前記複数のアクチュエータと個別に連通する複数の孔を有するアクチュエータ連通部と、
モーターの駆動により回転され、前記複数の孔のうち2以上の孔と連通し、空気供給手段からの圧縮空気を前記アクチュエータに給気する給気部と、
前記複数の孔のうち前記給気部に連通する孔を除く孔の全て、又は一部と連通し、該連通する孔を介して前記アクチュエータから空気を排気する排気
部を有する流路切替部と、を備え、
前記アクチュエータ連通部は、断面円形の内周面を有する筒体からなり、
前記複数の孔は、一端側が前記アクチュエータに連通し、他端側が前記内周面に開口するように前記アクチュエータ連通部に設けられ、
前記流路切替部は、前記アクチュエータ連通部の内周側に設けられ、前記アクチュエータ連通部の内周面に対向する断面円形の外周面を有し、
前記給気部及び前記排気部は、一端が前記外周面に開口し、前記流路切替部が回転することにより、前記アクチュエータ連通部の内周に開口する前記複数の孔に一致可能に設けられ、蠕動運動を模すように前記アクチュエータを膨張、収縮させることを特徴とする空気分配装置。
【請求項2】
前記モーターは、該モーターの回転により回転する回転板を備え、
前記回転板は、回転中心から離れた位置に、前記モーターの回転軸と平行に延長する突起を備え、
前記流路切替部は、半径方向に放射状に延長し、前記突起が係合する複数の溝を備え、
前記複数の溝は、前記回転板が1回転する毎に隣接する溝に係合可能に設けられたことを特徴とする請求項
1に記載の空気分配装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、空気の供給により径方向外向きに膨張するとともに軸方向に収縮し、空気の排出により径方向内向きに収縮するとともに軸方向に伸長することを特徴とする請求項1に記載の空気分配装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、空気の供給により径方向内向きに膨張し、空気の排出により径方向内向きに収縮することを特徴とする請求項1に記載の空気分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気分配装置に関し、特に、繰り返し所定の順序で空気を給排することにより動作するアクチュエータの制御に好適な空気分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気の供給することにより径方向に膨張するとともに軸方向に収縮し、空気を排出することにより径方向に収縮するとともに軸方向に伸長する膨縮ユニットを複数直列に連結し、連結された膨縮ユニットをミミズの蠕動運動を模倣するように所定の順序で個別に膨張、収縮させることでガス管や水道管等の管内を進行させる推進装置が知られている。この推進装置では、電気的な信号により開閉する弁を各膨縮ユニットに設けるとともに各膨縮ユニットの弁の開閉を制御する制御装置が最後尾の膨縮ユニットに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のように膨縮ユニットの膨張や収縮させる場合、膨縮ユニットの膨張や収縮に、電磁弁のノズル径が、電磁弁を開閉するための制御速度や、膨縮ユニットへの給気流量や膨縮ユニットからの排気流量の増加に制限を与えるため、膨縮ユニットを膨張、収縮させる速度が頭打ちとなり、その結果、推進装置としての移動速度の向上も頭打ちとなってしまう。この問題を解決するには、ノズル径の大きな電磁弁を適用することも考えられるが、電磁弁を推進装置とともに管内を移動させる場合には、利用できる電磁弁の大きさにも限界がある。
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべく、膨縮ユニットの膨縮動作を向上可能な空気分配装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための空気分配装置の構成として、空気を供給及び排気することにより膨張、収縮するアクチュエータが3つ以上連結され、アクチュエータに所定の順序で空気を分配する空気分配装置であって、複数のアクチュエータと個別に連通する複数の孔を有するアクチュエータ連通部と、モーターの駆動により回転され、複数の孔のうち2以上の孔と連通し、空気供給手段からの圧縮空気を給気する給気部と、複数の孔のうち給気部に連通する孔を除く孔の全て、又は一部と連通し、該連通する孔を介して前記アクチュエータから空気を排気する排気部を有する流路切替部と、を備え、前記アクチュエータ連通部は、断面円形の内周面を有する筒体からなり、前記複数の孔は、一端側が前記アクチュエータに連通し、他端側が前記内周面に開口するように前記アクチュエータ連通部に設けられ、前記流路切替部は、前記アクチュエータ連通部の内周側に設けられ、前記アクチュエータ連通部の内周面に対向する断面円形の外周面を有し、前記給気部及び前記排気部は、一端が前記外周面に開口し、前記流路切替部が回転することにより、前記アクチュエータ連通部の内周に開口する前記複数の孔に一致可能に設けられ、蠕動運動を模すように前記アクチュエータを膨張、収縮させる構成とした。
本構成によれば、簡単な構成で連結された複数のアクチュエータを動作させることができる。
また、本構成によれば、流路切替部からアクチュエータに供給される圧縮空気が、流路切替部からアクチュエータ連通部に半径方向に供給されるため、効率良く流路切替部からアクチュエータ連通部に圧縮空気を供給することができる。これにより、膨縮ユニットの膨縮動作をより向上させることができる。
また、空気分配装置の他の構成として、モーターは、該モーターの回転により回転する回転板を備え、回転板は、回転中心から離れた位置に、モーターの回転軸と平行に延長する突起を備え、流路切替部は、半径方向に放射状に延長し、突起が係合する複数の溝を備え、複数の溝は、回転板が1回転する毎に隣接する溝に係合可能に設けられたことにより、モーターの回転数(回転速度)を変化させることで膨縮ユニットの膨縮動作の動作速度を向上させることができる。
アクチュエータは、空気の供給により径方向外向きに膨張するとともに軸方向に収縮し、空気の排出により径方向内向きに収縮するとともに軸方向に伸長するものや、空気の供給により径方向内向きに膨張し、空気の排出により径方向内向きに収縮するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】空気分配装置が取り付けられた推進装置の構成図である。
【
図5】空気分配装置の透視図及び分解斜視図である。
【
図6】流路切替ギアの平面図及び軸方向断面図である。
【
図11】空気分配装置の他の実施形態に係る外観斜視図及び分解斜視図である。
【
図12】ステーターの平面図及び軸方向断面図である。
【
図13】ローターの平面図、軸方向断面図及び径方向断面図である。
【
図14】ローターに設けられた溝と回転板に取り付けられた突起の関係を示す図である。
【
図15】モーターの回転とローターの回転の関係、及び給排路に対する給気路及び排気路の関係を示す図である。
【
図16】ローターの移動とオリフィスの給排路への開閉動作を示す図である。
【
図17】オリフィス面積の時間変化を示すグラフである。
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態に係る空気分配装置1が適用された管内推進装置の構成図である。同図に示すように、空気分配装置1は、管Z内を移動可能に構成された推進装置2の最後尾に設けられる。
【0009】
以下、推進装置2の一例について説明する。推進装置2は、管Z内に設けられる移動部8と、管Z外に設けられ、移動部8の動作を制御する制御部70とで構成される。
図1に示すように、移動部8は、概略、複数(本例では7つ)の膨縮ユニット80を連結して構成される。なお、連結される膨縮ユニット80の数量は、7つに限定されず、少なくとも3つ以上であるとよい。移動部8が蠕動運動を模した動作により推進力を得るには、少なくとも2つの膨縮ユニット80の膨張収縮運動と、1つの膨縮ユニット80の伸長収縮運動とがなされればよいことから、移動部8は3つの膨縮ユニット80を連結した編成が最小構成となる。
【0010】
図2は、膨縮ユニット80が膨張状態及び収縮状態にあるときの軸方向断面図である。
図3は、外筒83を半径方向に切断した切断面を誇張して示した図である。
図2に示すように、膨縮ユニット80は、軸線方向に伸縮可能な筒状の内筒81の外周に二重管を形成するように筒状の外筒83を設け、内筒81及び外筒83の端部を気密を有するようにフランジ82;82を取り付けることにより、内筒81に外周と外筒83の内周及びフランジ82;82とで囲まれる閉空間としての気室Vが形成される。
【0011】
図3に示すように、外筒83は、弾性体より形成される円筒状の筒本体83Aと、当該筒本体83Aの内部において密に内挿された複数の規制繊維83Bとから構成される。規制繊維83Bは、筒本体83Aの軸線方向に沿って延長し、外筒83の軸方向への伸長を拘束する。これにより、膨縮ユニット80は、気室Vに空気を供給することにより、
図2(a)に示す状態から、
図2(b)に示すように、外径がD1からD2へと半径方向に膨張するとともに軸方向の長さがL1からL2へと収縮する(以下この状態を単に膨張という)。また、気室Vから空気を排気することにより、
図2(a)に示すように、外径がD2からD1へと半径方向に収縮するとともに軸方向の長さがL2からL1へとに伸長する(以下この状態を単に収縮という)アクチュエータとして機能する。
【0012】
フランジ82;82には、連結体を介して膨縮ユニット80同士を連結するための連結部87が設けられる。連結部87は、フランジ82;82の内周面を円周方向に沿って窪む内周溝87Aと、円周方向に沿って所定間隔を空けて端面82b;82bから内周溝87Aに到達するように円弧状に窪む複数の切欠き87Bとにより構成される。
【0013】
また、一方のフランジ82には、気室Vへの空気の供給、気室Vからの空気の排気を可能にする給排孔90が設けられる。
図2に示すように、給排孔90は、一端がフランジ82に固定された内筒81及び外筒83との間のフランジ82の表面に開口し、他端がフランジ82の内周側に開口する貫通孔として設けられる。給排孔90には、後述の空気分配装置1から延長するチューブが接続される。
【0014】
図4は、膨縮ユニット80を連結する連結体の斜視図である。膨縮ユニット80は、例えば、連結体105により連結される。連結体105は、例えば樹脂や硬質のゴムにより構成された円筒体であって、両端側の外周に、フランジ82;82の内周に形成された複数の切欠き87Bに対応する複数の係合片106が設けられる。係合片106は、連結体105の円周方向に沿って所定長さの円弧状に延在するように外周面に突設される。連結体105は、係合片106を連結部87の切欠き87Bに一致させて押し込み、内周溝87Aに沿って回転させることで、膨縮ユニット80同士を連結する。
なお、各膨縮ユニット80は、給排孔90を有するフランジ82が進行方向後側に位置するように連結体105を介して連結すると良い。
【0015】
図1に示すように、制御部70は、概略、膨縮ユニット80に供給する圧縮空気を生成する圧縮空気供給手段73と、圧縮空気供給手段73により生成された圧縮空気を連結された膨縮ユニット80に分配する空気分配装置1と、圧縮空気供給手段73及び空気分配装置1を制御する推進制御手段75とで構成される。
【0016】
圧縮空気供給手段73は、例えば、コンプレッサーを利用することができ、コンプレッサーにより所定圧力に調圧された空気を空気分配装置1に供給する。
【0017】
図5は、本実施形態に係る空気分配装置1の概略構成図である。
空気分配装置1は、例えば、
図1に示すように、移動部8の進行方向の最後尾に配置され、圧縮空気供給手段73から供給される圧縮空気を、前述の膨縮ユニット80に所定の順序で供給し、膨張、収縮を繰り返すように制御するための装置である。ここでいう所定の順序とは、移動部8を構成する膨縮ユニット80の膨張・収縮が蠕動運動を模した動作をいう。
【0018】
図5に示すように、空気分配装置1は、概略、ケース10と、流路切替ギア30と、モーター40とで構成されている。
ケース10は、例えば、円筒状に形成され、流路切替ギア30及びモーター40を収容するための収容空間を有する本体部11と、本体部11に収容された流路切替ギア30及びモーター40へのアクセスを可能にする蓋部12とで構成される。
なお、ケース10の外形の形状は、円筒状に限定されず適宜変更すれば良い。
【0019】
本体部11には、膨縮ユニット80に延長するチューブの一端が接続されるチューブ接続部14が設けられている。チューブ接続部14は、例えば、本体部11の一端側に設けられ、中心軸がケース10の軸線に対してオフセットする円板状に形成される。チューブ接続部14は、本実施形態では、本体部11と一体的に形成されている。チューブ接続部14の他端側を向く端面14aは、ケース10の軸線と直交する平面状に形成される。
【0020】
チューブ接続部14には、板厚方向に貫通する複数の孔17が形成される。複数の孔17は、例えば、前述の膨縮ユニット80の数量分(本実施形態では
図1に示すように7つ)設けられる。複数の孔17は、例えば、チューブ接続部14の中心線を中心とする一つのピッチ円上に位置し、円周方向に均等な間隔で配置される。一つの孔17には、一つの膨縮ユニット80がチューブを介して接続される。なお、チューブは、図示していないが、チューブ接続部14と膨縮ユニット80との空気の流通を可能とする可撓性を有する管であって、孔17と膨縮ユニット80の気室Vとを連通する。つまり、チューブ接続部14は、アクチュエータ連通部として機能する。
【0021】
図6は、流路切替ギア30の平面図及び軸方向断面図である。詳細には、
図6(a)は、流路切替ギア30におけるギア部32方向の平面図、
図6(b)は、
図6(a)に矢印k-kで示す軸方向断面図である。流路切替ギア30は、チューブ接続部14に接続された膨縮ユニット80への空気の供給及び膨縮ユニット80に供給した空気の排気を制御する流路切替部として機能する。
【0022】
図6に示すように、流路切替ギア30は、該流路切替ギア30の回転軸となる軸部31と、軸部31の一端側に設けられ、モーター40の回転が入力されるギア部32とを備え、ギア部32をチューブ接続部14に対向させてケース10内に配置される。
【0023】
軸部31は、中空の例えば円筒状の筒体により構成され、本体部11に設けられた流路切替ギア支持部15に回転可能に支持される。流路切替ギア支持部15は、前述のチューブ接続部14の端面14aと対向する位置に設けられ、チューブ接続部14の中心線を軸線として延長する貫通孔18を備える。貫通孔18は、流路切替ギア30の軸部31が挿入され、流路切替ギア30を回転可能に支持する。
【0024】
ギア部32は、外周にモーター40に取り付けられたギアに噛み合うギア歯34を有する歯車であって、回転軸が軸部31の中心軸と同軸となるように、軸部31の一端側に設けられている。
【0025】
ギア部32のチューブ接続部14に対向する対向面32aは、チューブ接続部14の端面14aと平行な平面状に形成される。ギア部32は、対向面32aに扇状に窪む凹部36と、他側面からギア部32の板厚方向に円弧状に貫通する弧状孔38を備える。凹部36は、中心側に軸部31の中空空間31sと連通する孔36hを有し、チューブ接続部14に設けられた複数の孔(本例では2つの孔)を含むように、中心側から半径方向外側に向けて扇状に広がるように形成される(
図7参照)。
【0026】
軸部31の他端側には、ロータリー継手33が取り付けられ、ロータリー継手33を介して圧縮空気供給手段73から延長するチューブ167が接続される。これにより、ギア部32とともに回転する軸部31とのチューブ167の供回りが防止される。そして、チューブ167から軸部31の中空空間31sに流れた圧縮空気は、回転するギア部32の凹部36を経て、凹部36に重なる位置にある孔17に供給される。つまり、凹部36は、膨縮ユニット80への給気部として機能するとともに、軸部31の中空空間31s及び凹部36が、圧縮空気の給気通路として機能する。
【0027】
弧状孔38は、凹部36に重なる孔17を除く、チューブ接続部14に設けられた残りの複数の孔17(本例では5つの孔)を含むように、円周方向に沿う円弧状に形成される(
図7参照)。弧状孔38は、大気圧状態にあるケース10内に連通するため、弧状孔38に重なる孔17にチューブを介して接続された膨縮ユニット80の気室Vから空気を大気中に排気する排気部として機能する。換言すれば、本例における弧状孔38は、膨縮ユニット80の気室Vを大気開放する大気開放部ともいうことができる。なお、膨縮ユニット80の気室Vは、必ずしも大気に開放される必要はない。
流路切替ギア30は、凹部36や弧状孔38に連通する膨縮ユニット80に対して、圧縮空気を供給したときの高圧状態や、空気を排出したときの低圧状態が隔離されるように凹部36や弧状孔38が構成されていれば良い。
【0028】
モーター40は、ギア部32の外周に設けられた歯車と噛み合う歯車41を回転軸に備え、ケース10に設けられたモーター収容部16に収容される。モーター収容部16は、モーター40を収容したときに、モーター40の回転軸が流路切替ギア30の軸部31と平行となるように、流路切替ギア支持部15に隣接して設けられる。モーター40には、例えば、ステッピングモーターやサーボモーター等のように回転角度が制御可能なものや回転速度を制御可能なものや減速ギアを有するギアードモーター等を用いることができる。モーター40は、推進制御手段75と電気的に接続され、回転速度などが制御される。
【0029】
推進制御手段75は、モーター40及び圧縮空気供給手段73に接続される。
推進制御手段75は、例えば、移動の開始及び停止等を指示するオン・オフスイッチや、モーター40の回転速度を制御するボリュームスイッチなどにより構成することができる。そして、移動を開始するときには、スイッチをオンにすることにより、圧縮空気供給手段73から空気分配装置1に圧縮空気が供給され、モーター40を回転させる。これにより、流路切替ギア30の凹部36に重なる孔17を介して、該重なる孔17にチューブが接続された膨縮ユニット80を膨張させることができ、弧状孔38に重なる孔17にチューブが接続された膨縮ユニット80を収縮させることができる。
【0030】
なお、推進制御手段75によるモーター40の回転の制御は、連続的に回転させるようにしたり、簡単なタイマー機能等により断続的に回転させるように構成しても良い。
【0031】
図7乃至
図9は、空気分配装置1を動作させたときのチューブ接続部14の孔17と、流路切替ギア30の凹部36及び弧状孔38との関係を模式的に示すとともに、移動部8における膨縮ユニット80の動作を示す図である。なお、同図では、
図1に示した管Zは省略してある。また、以下の説明では、連結された膨縮ユニット80の位置を特定するために、80A,80B,・・・,80G等として説明する。また、各膨縮ユニット80A~80Gと接続される孔17についても、孔17A,孔17B,・・・,17G等として特定する。
【0032】
図7(a)に示すように、凹部36が孔17A;17Bに連通し、弧状孔38が孔17C~17Gに連通すると、推進装置は、膨縮ユニット80A;80Bに圧縮空気供給手段73から圧縮空気が供給され、膨縮ユニット80A;80Bが膨張する。また、膨縮ユニット80C~80Gは、大気圧状態となり収縮状態にある。
【0033】
次に、
図8に示すように、モーター40の駆動により流路切替ギア30が回転し、凹部が孔17B;17Cに連通し、弧状孔が孔17D~17G;17Aに連通すると、推進装置は、膨縮ユニット80Bの膨張状態が維持され、80Cに圧縮空気供給手段73から圧縮空気が供給され、膨縮ユニット80Cが膨張する。また、膨縮ユニット80D~80Gは、収縮状態が維持され、膨縮ユニット80Aは供給された圧縮空気が弧状孔から排出され、収縮する。
【0034】
さらに、
図9に示すように、モーター40の駆動により流路切替ギア30が回転し、凹部が孔17C;17Dに連通し、弧状孔が孔17E~17G;17A;17Bに連通すると、推進装置は、膨縮ユニット80Cの膨張状態が維持され、80Dに圧縮空気供給手段73から圧縮空気が供給され、膨縮ユニット80Dが膨張する。また、膨縮ユニット80E~80G;80Aは、収縮状態が維持され、膨縮ユニット80Bは供給された圧縮空気が弧状孔から排出され、収縮する。
【0035】
このように、モーター40が流路切替ギア30を回転させて、凹部36に連通する孔17の位置、及び弧状孔38に連通する孔17の位置を順次ずらし、移動部8を構成する膨縮ユニット80の膨張を進行方向に移動させることにより、移動部8に蠕動運動を模した進行波を生じさせ、管Z内を移動させることができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の空気分配装置1によれば、モーター40の回転により給気・排気の両方を一方向の回転だけで制御するという簡単な構成で移動部8の移動を制御することができる。つまり、モーター40の回転速度を制御することにより、膨縮ユニット80を膨張させたり収縮させたりする速度を制御でき、孔17及び孔17に連通する凹部36(給気部)や弧状孔38(排気部)の大きさを大きくしたり、小さくすることにより、膨縮ユニットへの給気流量や膨縮ユニットからの排気流量を制御できるため、膨縮ユニット80を膨張及び収縮させる速度の設定を自由、かつ容易に行うことができる。また、回転方向を逆向きにすることにより、進行方向を逆向きにすることができる。
【0037】
加えて、従来のように各膨縮ユニット80から電磁弁や制御装置等をなくすことができ、各膨縮ユニット80の構成を簡素化することができる。その結果、各膨縮ユニット80を軽量化し、移動速度を向上させることができる。また、電磁弁等を制御するための制御機能を不要とすることができる。そして、推進装置を構成する部品点数が減少するため、故障の発生を低減させることができる。
【0038】
図10は、流路切替ギア30の他の形態を示す図である。前述の説明では、流路切替ギア30のギア部32に、軸部31の中空空間31sに連通するように扇状に窪む凹部36を設けるものとして説明したがこれに限定されず、
図10に示すように構成しても良い。
即ち、扇状の凹部36に換えて、
図10(a)に示すように、複数の孔17を含むように、弧状に凹部を形成しても良い。このとき、ギア部32の内部には、弧状に窪む凹部36から中心に向けて延長する(本例では扇状の)中空部36iと、中空部36iと軸部31の中空空間31sに連通する穴36jにより給気部を形成しても良い。
【0039】
なお、本実施形態では、複数の孔17のうち円周方向に連続する2つを凹部36に連通させるものとしたが、これに限定されず、円周方向に一つ飛ばし等、蠕動運動の形態に応じて変更すれば良い。また、複数の凹部36に連通する孔17を除く残りの全てを弧状孔38により大気開放するものとして説明したが、これに限定されず、一部を大気開放するようにしても良い。
蠕動運動を満たす最小構成を考慮した場合、少なくとも2つの膨縮ユニット80を膨張させたときに、一つの膨縮ユニット80が収縮するように凹部36や弧状孔38を設ければよい。
【0040】
また、本実施形態では、一つのチューブ接続部14に対応して一つの流路切替ギア30により、膨縮ユニット80への空気の供給及び排気を制御するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、チューブ接続部14を供給用チューブ接続部及び排気用チューブ接続部に分けるとともに、流路切替ギア30を供給用流路切替ギア及び排気用流路切替ギアに分けて、一つのモーターにより供給用流路切替ギア及び排気用流路切替ギアを同期させて回転するようにしても良い。また、他のロータリー弁機構を用いても良い。
【0041】
図11は、空気分配装置1の他の実施形態に係る外観斜視図及び分解斜視図である。本実施形態における空気分配装置1は、概略、アクチュエータ連通部として機能するステーター100と、流路切替部として機能するローター200と、流路切替の駆動源となるモーター40とで構成される。
【0042】
図12は、ステーター100の平面図及び軸方向断面図である。
図12に示すように、ステーター100は、所定の肉厚を有する円筒体により構成され、膨縮ユニット80に供給される圧縮空気及び膨縮ユニット80に供給された圧縮空気を排出するときの流路となる給排路102を備える。
【0043】
給排路102は、一端が端面100tに開口し、軸C方向に沿って延長する軸方向延長部104と、ステーター100の肉厚部分の内部の途中において軸方向延長部104から半径方向方向に向けて延長し、内周面100aに開口する径方向延長部106とで形成される貫通孔として設けられる。
【0044】
図12(a)に示すように、給排路102は、円周方向に沿って均等な間隔で、例えば、連結される数量分設けられる。即ち、軸方向延長部104の端面100tに開口する開口部が、円周方向に均等な間隔で開口し、径方向延長部106の内周面100aに開口する開口部が円周方向に沿って均等な間隔で開口するように形成される。本実施形態では、給排路102は、
図1に示す膨縮ユニット80の数量に対応して、円周方向に7等分した位置に設けられている。
【0045】
図12(a)に示すように、軸方向延長部104は、例えば、チューブを接続するためのジョイントを装着可能なように、端面100tにおいて円形に開口する円孔として形成される。
図12(b)に示すように、径方向延長部106は、例えば、内周面100aに矩形状に開口するように形成される。
【0046】
図13は、ローター200の平面図、軸方向断面図及び径方向断面図である。
図13(a),(b)に示すように、ローター200は、外観視において、ステーター100の内周空間に収容可能に形成された小径部202と、小径部202よりも外径が大径に形成された大径部204とを有する階段筒状体として形成される。
【0047】
ローター200は、小径部202側の端部が閉塞され、大径部204側の端部から小径部202の内部にかけて軸C方向に延長する中空部206を備える。
図13(c),(d)に示すように、中空部206は、大径部204の範囲内では円形状、小径部202の範囲内では円弧状に軸C方向に沿って延長するように形成されている。
【0048】
小径部202における中空部206は、例えば、円弧状に外周面202bと平行に延長する弧状面202aと、中心軸C側に膨出する膨出面202cにより形成される。膨出面202cは、ローター200における中心軸Cを超え、弧状面202aに近づくように弓なり山型に膨出し、小径部202の内周側において膨出部208を形成する。
【0049】
膨出部208には、圧縮空気が流入する流路を形成する圧縮空気流入部210が設けられる。
図13(e),(f)に示すように、圧縮空気流入部210は、膨出部208の端面208tから中心軸C方向に沿って延長し、小径部202における閉塞端を貫通せずに終端する流路として形成される。圧縮空気流入部210の端面208tに開口する開口部には、例えば、ロータリー継手が取り付けられ、圧縮空気供給手段から延長するチューブがこのロータリー継手に接続される。これにより、ローター200を回転させたときにチューブの供回りが防止される。
【0050】
また、
図13(d)に示すように、小径部202には、放射状に延長し、外周面202bから半径方向に延長し、中空部206に連通する流路212と、圧縮空気流入部210に連通する流路214とを備える。流路212は、膨縮ユニット80内の空気を排出するための排気路として機能する。また、流路214は、小径部202の外周面202bから膨出部208内を延長し、圧縮空気流入部210へと貫通するように形成され、圧縮空気流入部210とともに圧縮空気の給気路として機能する。本実施形態では、流路212は円周方向に連続するように5か所設けられ、流路214は、円周方向に連続するように2か所設けられている。
【0051】
外周面202bに開口する流路212の開口部及び流路214の開口部は、ローター200をステーター100に挿入し、駆動位置に配置したときに、ステーター100の内周面100aに開口する給排路102の開口部に一致可能に設けられる。流路212及び流路214が外周面202bに開口する形状は、例えば、ステーター100の内周面100aに開口する給排路102と同一の矩形状に形成される。
【0052】
小径部202は、ステーター100の内周側に挿入したときに、外周面202bがステーター100の内周面100aに摺接しつつ中心軸Cまわりを円周方向に回転可能な外径寸法に設定される。
【0053】
大径部204は、例えば、外径が小径部202の外径よりも大きく設定される。大径部204には、内周面204aから外周面204b側に向け、中心軸Cを中心とする放射状に延長する複数の溝216を備える。複数の溝216は、円周方向に均等な間隔で設けられ、各溝216が一定の幅を維持しつつ半径方向に延長し、大径部204の端面204tから軸C方向に沿って窪む凹部として形成される。本実施形態では、溝216は、膨縮ユニット80の数量に対応させて7本設けられている。この溝216には、モーター40に取り付けられた回転板300から突出する突起302が係合する。
【0054】
モーター40には、突起302を有する回転板300が取り付けられる。回転板300は、例えば、平板円板状に形成される。突起302は、例えば、溝216を移動可能な円柱状の軸体により構成され、モーター40の回転軸に沿って延長するように、回転板300に取り付けられる。突起302が回転板300に取り付けられる位置は、例えば、次のように設定される。
【0055】
図14は、ローター200に設けられた溝216と回転板300に取り付けられた突起302の関係を示す図である。同図に示すOmは、モーター40の回転軸の中心である回転板300の回転中心、Ojは突起302の中心を示している。
図14に示すように、回転板300は、例えば、回転中心Omが、隣接する各溝216;216の開口端216A;216Aを結ぶ仮想直線fの二等分点fc同士を結ぶ直線gの二等分点gcに、位置するように配置される。即ち、モーター40は、回転軸の中心が二等分点gcに位置するようにローター200に対して配置される。
【0056】
このように配置される回転板300において、突起302は、回転板300が回転したときに、該突起302の中心Ojの移動する軌跡が二等分点fc上を通過するように、回転板300に配置される。即ち、突起302は、モーター40の回転により回転板300が回転することにより、大径部に設けられた溝216に順次係合するように回転板300に取り付けられる。つまり、突起302が回転板300に取り付けられる位置は、円周方向に並ぶ溝216のピッチに応じて設定される。
【0057】
そして、モーター40が回転板300を図中矢印z1に示す方向に回転させることにより、溝216の開口端側で係合した突起302が、溝216を半径方向外側に向けて移動しつつローター200を図中矢印z2に示す方向に回転させる。また、回転板300の回転角度が90°を過ぎることで、突起302は、溝216を半径方向内側に向けて移動しつつローター200を回転させる。さらに、回転板300が180°回転したところで、溝216から離脱する。そして、モーター40が180°空転することで、突起302が、隣接する溝216の開口端に到達し、係合する。このような工程を繰り返すことにより、ローター200は、モーター40の連続的な回転に対して間欠的に回転することになる。即ち、複数の溝216と突起302を有する回転板300とで間欠機構を構成し、ローター200に疑似的なステップ回転をさせることができる。
【0058】
次に、上述のように回転するローター200に設けられた給気路及び排気路と、ステーター100に設けられた給排路102との関係について説明する。なお、以下の説明では、給気路及び排気路を区別せずに、単にオリフィスという場合がある。
図15は、モーター40の回転とローター200の回転の関係、及び給排路102に対する給気路及び排気路の関係を示す図である。即ち、入力側のモーター40の回転とローター200関係、及びオリフィス開閉の挙動について説明する。
【0059】
以下の説明では、
図15(a),(b)に示すように、簡単のため、ローター200のカム構造体を、円形部品ではなく直線部品として近似して説明する。オリフィス面積の時間変化を考察するにあたり、簡単のために回転部品のカム構造体を円形部品ではなく直線部品に近似する。オリフィス面積の時間変化とは、ローター200の小径部202に開口する給気路及び排気路の開口部と、ステーター100の内周面100aに開口する給排路の重なり状態の時間変化を意味する。
ここで、モーター40の回転角・角速度をそれぞれθm、ωm、溝216に噛み合う突起(ピン)302の回転直径をrmとする。0<θm<πの範囲で、モーター40がθmだけ回転したときの様子を
図15(b)に示す。θm、ωmは、時間の変数tを用いてθm=ωm×t(式1)の関係にあり、また、ローター200の移動変位x(t)は、x(t)=(rm/2)cos(ωm×t)(式2)で算出される。ωmは、モーター40の回転角速度である。
【0060】
図16は、ローター200の移動とオリフィスの給排路102への開閉動作を示す図である。
次に、直線移動に近似したローター200の移動とオリフィスの給排路102への開閉挙動とについて考察する。
図13(a),(b)に示すように、大径部204において複数の溝216が開口する中空部206の直径をRとし、ローター200の小径部202においてオリフィス(給気路及び排気路)が開口する外周面202b(オリフィス面)の直径をR0とすると、ローター200のオリフィス面での移動変位x0(t)は、x0(t)=(R0/R)(rm/2)cos(ωm×t)(式3)で算出される。
【0061】
次に,ステーター100の内周面100aによりオリフィスが閉鎖された状態から、給排路102と重なり開放状態に変化するときについて考える。
オリフィスは、モーター40の回転により、
図16(a)乃至(d)に示すように移動し、
図16(d)に示すように、ステーター100の給排路102とローター200のオリフィスが重なった部分で空気が流れる。本実施形態では、給排路102の開口形状及びオリフィスの開口形状は、横2amm、縦bmmの長方形とした。オリフィスの開閉は、
図16(c)の状態を境に場合分けされる。
図16(c)に示す状態の時間(境界時間)をT0とすると、T0は、T0=(1/wm)cos-1((4aR/R0rm)-1)(式4)により算出される。
【0062】
図17は、オリフィス面積Soの時間変化を示すグラフである。これにより、オリフィス面積Soの時間変化は、
図17に示すように変化する。Tは、モーター40が半回転(180°回転)したときの時間である。0<t<T0のときに、オリフィスは閉塞状態にあり、So(t)=0である。T0<So(t)<Tのときに、オリフィスは、徐々に重なり合い、So(t)=(((-(rm×R0)/2R)+a)-(x0(t)-a))×b(式5)により算出される面積となる。
【0063】
なお、ローター200における小径部202及び大径部204は、一体的に形成しても良く、また、別々に形成したものを一体化して構成しても良い。
【0064】
図18乃至
図23は、本実施形態に係る空気分配装置1の動作を示す図である。なお、以下の説明では、流路212を排気路212といい、流路214を給気路214として説明する。また、膨縮ユニット80A~80Gに接続された各給排路102についても、給排路102A、102B、・・・、102G等として説明する。
図18は、
図18(c)に示すように、膨縮ユニット80A;80Bへの給気が完了し、膨縮ユニット80A;80Bが完全に膨張状態にあるときの、ステーター100、ローター200及び回転板300の関係を示している。
このとき、
図18(a)に示すように、突起302は、溝216の開口部にちょうど係合を開始した状態にあり、
図18(b)に示すように、ローター200の全ての排気路212及び給気路214が、ステーター100の内周面100aにより閉鎖された状態にある。この状態をモーター40の回転角度を0°、即ち回転板300の回転角度を0°とし、回転基準という。
【0065】
次に、
図19(a)に示すように、モーター40が回転板300を45°回転させると、突起302が、溝216の半径方向外側に向けて移動しながらローター200を回転させる。この回転では、
図19(b)に示すように、全ての排気路212及び給気路214が、ステーター100の内周面100aにより閉鎖された状態が維持され、膨縮ユニット80A;80Bの膨張状態及び膨縮ユニット80C~80Gの収縮状態が維持されている。
【0066】
次に、
図20(a)に示すように、モーター40が回転板300をさらに45°(回転基準から90°)回転させると、突起302が、溝216をさらに半径方向外側に向けて移動しながらローター200を回転させる。なお、このときの突起302の溝216の最も奥方向に侵入した状態にある。この回転により、
図20(b)に示すように、各排気路212が給排路102A;102D~102Gのいずれかに開口し、給気路214が給排路102B;102Cに開口した状態となり、
図20(c)に示すように、膨縮ユニット80A内の空気が排出されて収縮し、膨縮ユニット80C内に圧縮空気が供給されて膨張する。なお、排気路212及び給気路214は、モーター40の回転角度が90°に至る途中で、給排路102A~102Gに開口を開始する。
【0067】
次に、
図21(a)に示すように、モーター40が回転板300をさらに45°(回転基準から135°)回転させると、突起302が、溝216を半径方向内側に移動しながらローター200を回転させる。この回転では、
図21(b)に示すように、排気路212及び給排路102A;102D~102Gの開口状態、給気路214及び給排路102B;102Cの開口状態が維持されたままローター200が回転する。これにより、膨縮ユニット80A及び膨縮ユニット80Cは、
図20(c)に示した状態から
図21(c)に示すように、膨縮ユニット80A内の空気の排出が進んでより収縮し、膨縮ユニット80C内への圧縮空気の給気が進んでより膨張する。
【0068】
次に、
図22(a)に示すように、モーター40が回転板300をさらに45°(回転基準から180°)回転させると、突起302が溝216から離脱可能な位置へと移動しながらローター200を回転させる。この回転により、
図22(b)に示すように、排気路212及び給気路214がステーター100の内周面100aによって閉鎖され、膨縮ユニット80A,80D~80Gが収縮状態、膨縮ユニット80B,80Cが膨張状態となる。なお、詳細には、排気路212及び給気路214は、モーター40の回転角度が180°に至る途中で、ステーター100の内周面100aによる閉鎖が開始される。
【0069】
次に、
図23(a)に示すように、モーター40が回転板300をさらに45°(回転基準から360°)回転させると、突起302が、先の溝216と周方向に隣接する溝216に係合を開始する位置に移動する。これにより、膨縮ユニット80Aを収縮させ、膨縮ユニット80Cを膨張させる一つの工程が終了する。そして、上記工程を繰り返すことにより、常時、隣接する2つの膨縮ユニット80を順次進行方向前方に移動させる蠕動運動を模した動作をさせることができる。
【0070】
したがって、モーター40の回転数(回転速度)を制御することにより、移動部8の移動速度を速くしたり、遅くしたりすることができる。即ち、複雑な制御をすることなく、モーター40の回転数のみを制御するという簡単な制御により、移動部8の移動速度を制御することができる。
なお、ローター200の外周面に開口する排気路212及び給気路214は、必ずしも周方向に並んで開口することに限定されない。例えば、排気路212及び給気路214を外周面202bにおいて軸方向に位置ずれするように設けても良い。このとき、ローター200の回転により給排路102が排気路212及び給気路214に連通、閉鎖されるようにステーター100の内周面202bに給排路102の開口を設ければ良い。即ち、排気路212や給気路214を流れる空気が給排路102に対して半径方向に流れるように形成されていれば適宜変更すれば良い。
【0071】
本実施形態の空気分配装置1は、ステーター100、ローター200、回転板300という簡単な構成からなるので、
図1に示したように、移動部8の後方に連結したときに、軽量化することができ、移動部8の移動速度の向上に寄与することができる。
【0072】
また、モーター40を電気的な信号により回転するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、空気圧により回転する空気モーターを用いても良い。
【0073】
また、本実施形態では、空気分配装置1の制御対象に、空気を供給することにより径方向外向きに膨張するとともに軸方向に収縮し、空気を排出することにより径方向内向きに収縮するとともに軸方向に伸長する膨縮ユニット(アクチュエータ)として説明したが、これに限定されず、例えば、空気を供給することにより内筒が径方向内向きに膨張し、空気を排出することにより径方向内向きに収縮するアクチュエータを連結したポンプ等の制御にも好適である。
【符号の説明】
【0074】
1 空気分配装置、2 推進装置、8 移動部、10 ケース、11 本体部、
12 蓋部、14 チューブ接続部、17 孔、
30 流路切替ギア、31 軸部、31s 中空空間、32 ギア部、
33 ロータリー継手、36 凹部、38 弧状孔、40 モーター、
73 圧縮空気供給手段、75 推進制御手段、80 膨縮ユニット、
100 ステーター、200 ローター、300 回転板。