(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】自動クランプ型バイス
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20231214BHJP
B25B 1/18 20060101ALI20231214BHJP
B25B 1/10 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B23Q3/06 301B
B23Q3/06 301D
B25B1/18 Z
B25B1/10 Z
(21)【出願番号】P 2020043082
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】592063401
【氏名又は名称】株式会社ナベヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】林 武男
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-196917(JP,A)
【文献】特開昭62-251083(JP,A)
【文献】特開昭62-255072(JP,A)
【文献】特開平10-076472(JP,A)
【文献】特開昭48-042274(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第00955888(GB,A)
【文献】特開2007-064339(JP,A)
【文献】特開平10-296644(JP,A)
【文献】特開昭63-041711(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03388197(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/00-3/154
B25B 1/00-11/02
F16L 59/00-59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手の矩形形状を呈し、その長手の方向に互いに平行に延びる2本の案内レールを有すると共に、それら2本の案内レールの間の間隙を通じて開口する内部凹所を備えたバイス本体と;かかるバイス本体の長手方向における一方の端部側に位置固定に設けられた固定ジョーと;該バイス本体の前記2本の案内レール上を該バイス本体の長手方向に移動せしめられる一方、該2本の案内レール間の間隙から前記内部凹所内に入り込む部位に、該バイス本体の長手方向に貫通するネジ孔が設けられてなる可動ジョーと;前記バイス本体の内部凹所内に軸回りに回転可能に収容されて、該可動ジョーのネジ孔に螺合せしめられ、軸回りの回転によって、該可動ジョーを前記固定ジョーに対して接近/離隔移動せしめ、それら可動ジョーと固定ジョーとの間において、所定のワークのクランプを可能ならしめるスピンドルと;該スピンドルの一方の端部に取り付けられて、該スピンドルを軸回りに回転せしめることにより、前記可動ジョーを所定位置に移動せしめる電動モータと;該スピンドルを、それに螺合されている前記可動ジョーと共に、その軸方向に所定距離だけ移動可能とする軸方向移動許容機構と;エアシリンダと液圧シリンダとを直列に連結して組み合わせ、該エアシリンダへの圧力エアの供給によるエアピストンの前進にて、該液圧シリンダの液室の加圧を行なうことにより、該液圧シリンダの液圧ピストンの作動部を突出させて、その突出力を前記スピンドルの他方の端部に作用せしめることによって、該スピンドルを、前記可動ジョーと共に、軸方向に移動せしめ、該可動ジョーと前記固定ジョーとの間に挟持されるワークに対して所定の締付け力を作用せしめ得るようにした複合倍力機構と
を備えると共に、
前記軸方向移動許容機構が、前記スピンドルの前記一方の端部の外周部に配設されたバネ部材を有し、該バネ部材の付勢力によって、前記可動ジョーが前記固定ジョーから離隔する方向に、前記スピンドルを付勢していることを特徴とする自動クランプ型バイス。
【請求項2】
前記複合倍力機構が、前記エアシリンダにおけるシリンダ部の前端部に、前記液圧シリンダにおけるシリンダ部の後端部が取り付けられて、かかる前端部と該液圧シリンダの液圧ピストンとの間に液室が形成され、更に該液室内に該エアシリンダにおけるエアピストンの作動部が突入せしめられるようになっている一方、該液圧シリンダにおけるシリンダ部から、前記液圧ピストンの作動部が突出せしめられて、その突出力が前記スピンドルの他方の端部に作用せしめられるように構成されていることを特徴とする請求項
1に記載の自動クランプ型バイス。
【請求項3】
前記液圧ピストンの作動部の前端部に、頭部が球状凸面形状とされたレストボルトが取り付けられて、該レストボルトの頭部を介して、該液圧ピストンの作動部が、前記スピンドルの他方の端部の端面に当接せしめられるようになっていることを特徴とする請求項
2に記載の自動クランプ型バイス。
【請求項4】
長手の矩形形状を呈し、その長手の方向に互いに平行に延びる2本の案内レールを有すると共に、それら2本の案内レールの間の間隙を通じて開口する内部凹所を備えたバイス本体と;かかるバイス本体の長手方向における一方の端部側に位置固定に設けられた固定ジョーと;該バイス本体の前記2本の案内レール上を該バイス本体の長手方向に移動せしめられる一方、該2本の案内レール間の間隙から前記内部凹所内に入り込む部位に、該バイス本体の長手方向に貫通するネジ孔が設けられてなる可動ジョーと;前記バイス本体の内部凹所内に軸回りに回転可能に収容されて、該可動ジョーのネジ孔に螺合せしめられ、軸回りの回転によって、該可動ジョーを前記固定ジョーに対して接近/離隔移動せしめ、それら可動ジョーと固定ジョーとの間において、所定のワークのクランプを可能ならしめるスピンドルと;該スピンドルの一方の端部に取り付けられて、該スピンドルを軸回りに回転せしめることにより、前記可動ジョーを所定位置に移動せしめる電動モータと;該スピンドルを、それに螺合されている前記可動ジョーと共に、その軸方向に所定距離だけ移動可能とする軸方向移動許容機構と;エアシリンダと液圧シリンダとを直列に連結して組み合わせ、該エアシリンダへの圧力エアの供給によるエアピストンの前進にて、該液圧シリンダの液室の加圧を行なうことにより、該液圧シリンダの液圧ピストンの作動部を突出させて、その突出力を前記スピンドルの他方の端部に作用せしめることによって、該スピンドルを、前記可動ジョーと共に、軸方向に移動せしめ、該可動ジョーと前記固定ジョーとの間に挟持されるワークに対して所定の締付け力を作用せしめ得るようにした複合倍力機構と
を備えると共に、
前記複合倍力機構が、前記エアシリンダにおけるシリンダ部の前端部に、前記液圧シリンダにおけるシリンダ部の後端部が取り付けられて、かかる前端部と該液圧シリンダの液圧ピストンとの間に液室が形成され、更に該液室内に該エアシリンダにおけるエアピストンの作動部が突入せしめられるようになっている一方、該液圧シリンダにおけるシリンダ部から、前記液圧ピストンの作動部が突出せしめられて、その突出力が前記スピンドルの他方の端部に作用せしめられるように構成されていることを特徴とする自動クランプ型バイス。
【請求項5】
前記液圧ピストンの作動部の前端部に、頭部が球状凸面形状とされたレストボルトが取り付けられて、該レストボルトの頭部を介して、該液圧ピストンの作動部が、前記スピンドルの他方の端部の端面に当接せしめられるようになっていることを特徴とする請求項
4に記載の自動クランプ型バイス。
【請求項6】
前記電動モータの回転駆動を制御し、前記スピンドルの軸回りの回転によって前記可動ジョーを前進させて、前記固定ジョーとの間において前記ワークが挟持されたときに、該電動モータの作動を自動的に停止せしめる制御装置が、更に設けられていることを特徴とする請求項1
乃至請求項5の何れか1項に記載の自動クランプ型バイス。
【請求項7】
前記制御装置が、前記エアシリンダへの圧力エアの供給を制御し、前記電動モータの作動停止に伴って、該圧力エアを該エアシリンダ内に供給し得るようになっていることを特徴とする請求項
6に記載の自動クランプ型バイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動クランプ型バイスに係り、特に、工作機械のマシニングセンタ等において、各種のワーク(被加工物)をクランプして固定するために好適に用いられる、自動化対応のマシンバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、マシニングセンタにおいて各種のワーク(被加工物)を加工する際に、かかるワークをクランプして、固定するための装置として、マシンバイスと称される各種構造のバイス(万力装置)が、用いられてきている。そして、そのようなバイスは、一般に、固定ジョーと、この固定ジョーに対して接近/離隔可能な可動ジョーとを含み、かかる可動ジョーに螺合せしめられたスピンドルを、ハンドル等によって、軸回りに回転せしめることにより、可動ジョーを移動させて、それら可動ジョーと固定ジョーとの間に所定のワークをクランプし得るようにした構造とされており、そこでは、スピンドルの回転、ひいては可動ジョーの移動が、ハンドル等の手動操作によって、行なわれ得るようになっているのである(例えば、実公昭61-3586号公報参照)。
【0003】
また、かかるバイスにおけるスピンドルの回転を、手動操作ではなく、電動操作にて行なうべく、実公昭47-16478号公報においては、電動モータの回転を、減速機、駆動歯車、中間歯車、及び従動歯車を介して、スピンドルに伝達せしめることにより、可動ジョーを進退させ得るようにした構造の電動バイスが、提案されているのであるが、そのような電動モータを用いたスピンドルの回転作動によって、可動ジョーの送り操作と締付け操作を行なう場合において、標準的なマシンバイスに必要とされる締付け力10kN~40kNを得るためには、50Nm~250Nmのトルクが必要とされ、そして、そのような大きなトルクを得るためには、バイスよりも大きな形状の電動モータの設置が必要となるところから、実用上において、製品化され難いものであった。
【0004】
さらに、可動ジョーの進退を、油圧や空気圧等の流体圧を用いて作動せしめる流体圧シリンダにて行なう方式の採用も、考えられるのであるが、そこには、各種の問題が内在しているのである。例えば、マシンバイスの口開き寸法に相当する作動ストロークが可能な複動油圧シリンダを用いて、この油圧シリンダへの圧油の供給によって、バイスの締付け操作や緩め操作を行なう構造を採用する場合において、所望の圧油を供給するには、油圧ポンプや配管系統等が必要となるところから、必然的に装置全体のコストが高くなることに加えて、油圧シリンダのストロークは、可動ジョーの口開きストローク以上となるために、装置の全長が長くなって、使用される工作機械における設置許容範囲を超える恐れも高くなるのであり、更に、配管系統からの油漏れの恐れがあり、それによって、加工作業に支障を来たす問題も内在し、実用上において、採用し難いものであった。また、そのような圧油にて作動せしめられる油圧シリンダに代えて、圧縮空気の如き圧力エアにて作動せしめられるエアシリンダを採用する場合にあっては、油圧シリンダに比べて、作動圧力が1/10~1/100程度の圧力となり、可動ジョーと固定ジョーとの間のワークの締付け力が目標値に達しない問題を内在し、実用上において採用し難いものであった。
【0005】
なお、特公昭63-41711号公報や特開平6-285732号公報等においては、可動ジョーに螺合したスピンドルを、ハンドル等の手動操作によって回転せしめることにより可動ジョーを進退せしめて、固定ジョーとの間において、所定のワークをクランプするようにしたバイスが、提案されているが、そこでは、スピンドルの回転が、あくまでも手動によって行なわれるものであるところから、マシニングセンタにおけるワークの加工工程の自動化には適していないことに加えて、可動ジョーに更なる締付け力を作用せしめる液圧式倍力機構の構成部材たるピストン部材が、スピンドルを貫通するように同軸的に配されてなると共に、スピンドルの回転をピストン部材の軸方向への移動に切り換えるためのクラッチ手段が設けられているために、バイス構造も複雑となり、製造コストを高める一つの要因ともなっている。
【0006】
ところで、マシニングセンタにおいて、ワークの加工を自動化するシステムを構築するには、ワークの搬入搬出の自動化と、加工の自動化と、ワークの位置決め及び固定の自動化(ワークの脱着の自動化)とを実現する必要があるところ、前二者は、ロボットや加工プログラムにて対応することで可能となるものの、ワークの位置決め・固定、更には取外しの自動化に、上述の如きバイスは使用することが出来ず、このため、可動ジョーを自動的に進退せしめて、固定ジョーとの間でクランプして締め付ける一方、ワークの加工後において、クランプ状態から可動ジョーを後退せしめることによって、加工済みのワークが容易に取り出し得るようにしたバイスの提供が、要請されているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実公昭61-3586号公報
【文献】実公昭47-16478号公報
【文献】特公昭63-41711号公報
【文献】特開平6-285732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、マシニングセンタにおける加工の自動化に対応可能な自動クランプ型バイスを提供することにあり、また、他の課題とするところは、ワークの挟持、締付けを自動的に行ない得る構造の簡単なマシンバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいて、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されるものではなく、明細書全体の記載や図面から把握される発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0010】
そこで、本発明は、先ず、前記した課題を解決すべく、(a)長手の矩形形状を呈し、その長手の方向に互いに平行に延びる2本の案内レールを有すると共に、それら2本の案内レールの間の間隙を通じて開口する内部凹所を備えたバイス本体と、(b)かかるバイス本体の長手方向における一方の端部側に位置固定に設けられた固定ジョーと、(c)該バイス本体の前記2本の案内レール上を該バイス本体の長手方向に移動せしめられる一方、該2本の案内レール間の間隙から前記内部凹所内に入り込む部位に、該バイス本体の長手方向に貫通するネジ孔が設けられてなる可動ジョーと、(d)前記バイス本体の内部凹所内に軸回りに回転可能に収容されて、該可動ジョーのネジ孔に螺合せしめられ、軸回りの回転によって、該可動ジョーを前記固定ジョーに対して接近/離隔移動せしめ、それら可動ジョーと固定ジョーとの間において、所定のワークのクランプを可能ならしめるスピンドルと、(e)該スピンドルの一方の端部に取り付けられて、該スピンドルを軸回りに回転せしめることにより、前記可動ジョーを所定位置に移動せしめる電動モータと、(f)該スピンドルを、それに螺合されている前記可動ジョーと共に、その軸方向に所定距離だけ移動可能とする軸方向移動許容機構と、(g)エアシリンダと液圧シリンダとを直列に連結して組み合わせ、該エアシリンダへの圧力エアの供給によるエアピストンの前進にて、該液圧シリンダの液室の加圧を行なうことにより、該液圧シリンダの液圧ピストンの作動部を突出させて、その突出力を前記スピンドルの他方の端部に作用せしめることによって、該スピンドルを、前記可動ジョーと共に、軸方向に移動せしめ、該可動ジョーと前記固定ジョーとの間に挟持されるワークに対して所定の締付け力を作用せしめ得るようにした複合倍力機構と、を備えることを特徴とする自動クランプ型バイスを、その要旨とするものである。
【0011】
なお、かかる本発明に従う自動クランプ型バイスの好ましい態様の一つによれば、前記電動モータの回転駆動を制御し、前記スピンドルの軸回りの回転によって前記可動ジョーを前進させて、前記固定ジョーとの間において前記ワークが挟持されたときに、該電動モータの作動を自動的に停止せしめる制御装置が、更に設けられており、そして、そこにおいて、前記制御装置は、有利には、前記エアシリンダへの圧力エアの供給を制御し、前記電動モータの作動停止に伴って、該圧力エアを該エアシリンダ内に供給し得る機能を、更に有している。
【0012】
また、本発明に従う自動クランプ型バイスの好ましい態様の他の一つによれば、前記軸方向移動許容機構が、前記スピンドルの前記一方の端部の外周部に配設されたバネ部材を有し、該バネ部材の付勢力によって、前記可動ジョーが前記固定ジョーから離隔する方向に、前記スピンドルを付勢している。
【0013】
さらに、本発明においては、有利には、前記複合倍力機構が、前記エアシリンダにおけるシリンダ部の前端部に、前記液圧シリンダにおけるシリンダ部の後端部が取り付けられて、かかる前端部と該液圧シリンダの液圧ピストンとの間に液室が形成され、更に該液室内に該エアシリンダにおけるエアピストンの作動部が突入せしめられるようになっている一方、該液圧シリンダにおけるシリンダ部から、前記液圧ピストンの作動部が突出せしめられて、その突出力が前記スピンドルの他方の端部に作用せしめられるように構成されている。
【0014】
加えて、本発明に従う自動クランプ型バイスの望ましい態様の別の一つによれば、前記液圧ピストンの作動部の前端部に、頭部が球状凸面形状とされたレストボルトが取り付けられて、該レストボルトの頭部を介して、該液圧ピストンの作動部が、前記スピンドルの他方の端部の端面に当接せしめられるようになっている。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明に従う自動クランプ型バイスにあっては、固定ジョーとの間においてワークをクランプする可動ジョーの移動、更にはそれによる締付け作動が、電動モータと、エアシリンダ及び液圧シリンダの直列連結構造とからなる複合倍力機構とにて、実現されるものであるところから、可動ジョーの送り操作や締付け操作が、電動モータの制御や複合倍力機構におけるエアシリンダへの圧力エアの供給制御を行なうことによって、容易に行なわれ得ることとなるのであり、これによって、可動ジョーと固定ジョーによるワークのクランプ操作の自動化が有利に行なわれ得ることとなるのである。
【0016】
また、可動ジョーを移動せしめるスピンドルを回転させる電動モータは、可動ジョーの送りのみに用いられるものであるところから、締付け力の発生のために、大出力の電動モータが必要とされることがなく、そのために、小型のモータの採用が可能となったことに加えて、締付け操作を行なう複合倍力機構が、エアシリンダへの圧力エアの供給によって作動せしめられ、圧油の供給は必要とされるものではないために、圧力ポンプは勿論、油圧回路の配設も必要がなくなり、以て油漏れによる汚れ等の問題も、全く惹起されることはないのである。
【0017】
従って、マシニングセンタにおいて、本発明に従う自動クランプ型バイスを用いて、ワークの位置決めと固定の自動化を行なうことに加えて、ワークの搬入搬出の自動化をロボットにて対応し、更に、加工の自動化を端物加工プログラムにて対応するようにすれば、ワーク加工の自動化システムが有利に構築され得ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に従う自動クランプ型バイスの代表的な実施形態の一例を示す正面説明図である。
【
図2】
図1に示される自動クランプ型バイスの平面説明図である。
【
図5】
図1に示される自動クランプ型バイスによるワークのクランプ形態の一例を示す、
図3に対応する断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の構成を更に具体的に明らかにするために、本発明に従う自動クランプ型バイスの代表的な実施の形態の一例について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0020】
先ず、
図1乃至
図3には、本発明に従う構造を有する自動クランプ型バイスの一例であるマシンバイス10が、その正面形態と平面形態と断面形態とにおいて、それぞれ、概略的に示されている。それらの図において、マシンバイス10は、全体として長手の矩形平面形状を呈するブロック状のバイス本体12と、かかるバイス本体12の長手方向に形成される空間内に収容保持されるスピンドル14と、バイス本体12の長手方向の一方の端部側に一体的に設けられた位置固定の固定ジョー16と、スピンドル14の回転作動によって、固定ジョー16に対して接近/離隔移動せしめられる可動ジョー18とを含んで構成されている。
【0021】
そこにおいて、バイス本体12の上部部位には、所定の間隔を隔てて、バイス本体12の長手方向に沿って互いに平行に且つ所定幅で延びる二つの案内レール20,20が、一体的に形成されている。また、それら二つの案内レール20,20上に跨って載置された状態において、可動ジョー18が、固定ジョー16に対して対向配置せしめられて、それら2つの案内レール20,20上を、バイス本体12の長手方向に進退せしめられ得るようになっている。更に、バイス本体12における2つの案内レール20,20の間には、
図2乃至
図4から明らかな如く、上方に開口する凹溝22が、バイス本体12の長手方向に連続して延びるように形成されて、長手方向に延びる空間が形成されていると共に、この凹溝22内に、スピンドル14が、その軸回りに回転可能に収容、配置せしめられているのである。なお、固定ジョー16及び可動ジョー18には、それらの対向側部位に、ここでは、矩形板状を呈する口金16a,18aが、それぞれ、取り付けられており、それら口金16a,18a間において、加工されるべき所定のワークが、クランプされ得るようになっている(
図5参照)。
【0022】
また、
図1や
図2に示される如く、可動ジョー18を送り作動させるために、バイス本体12の固定ジョー16配設側の端部に、電動モータ24が配設されている一方、バイス本体12の可動ジョー18配置側の端部には、エアシリンダ26と油圧シリンダ28とが直列に連結されて組み合わされてなる形態の複合倍力機構30が配設されて、後述せるように、可動ジョー18に対して、所定の締付け力を作用せしめ得るようになっているのである。
【0023】
ところで、固定ジョー16に対して、接近/離隔移動するように進退せしめられる可動ジョー18は、先に先行技術文献の1つとして挙げた特公昭63-41711号公報等にも明らかにされているように、
図3に示される如き公知の移動機構において、移動させられ得るようになっているのである。即ち、
図3及び
図4から明らかな如く、可動ジョー18は、矩形の平面形状を呈する所定高さのジョー本体32と、バイス本体12の凹溝22内に位置する下部から、2つの案内レール20,20の間の間隙より上方に突出する上部を有するねじ部材34とを有しており、かかるねじ部材34の、2つの案内レール20,20の間隙から上方に向かって所定高さ突出する上部からなる頭部34aが、ジョー本体32の内部に形成された下方に開口する凹所32a内に突入位置せしめられて、可動ジョー18の前進方向に上傾する傾斜壁と半球状スラスト部を介して、ジョー本体32とねじ部材34とが組み付けられている。
【0024】
具体的には、
図3から明らかな如く、可動ジョー18の前進方向(固定ジョー16に接近移動する方向)において、ジョー本体32の凹所32aの内面と、ねじ部材34の頭部34aとの対向面が、それぞれ、それらの進行方向に向かって上傾する傾斜面を形成する傾斜壁にて構成されているのである。そして、それら対向する傾斜壁の一方(ここでは、頭部34a側の傾斜壁)に、半球形状において突出する半球状スラスト部36が、一体的に形成されている一方、他方の傾斜壁(ここでは、ジョー本体32の凹所32a側の傾斜壁)には、半球状スラスト部36の半球形状に対応して凹陥した半球状の座面38が、形成されている。従って、それら半球状の座面38に半球状スラスト部36が収容されるようにして、ジョー本体32とねじ部材34が組み付けられることによって、それらの取り付けが行なわれるようになっているのである。なお、ねじ部材34の頭部34aは、その背後から、ジョー本体32の凹所32a内に螺入せしめられる止めねじ40の当接により作用せしめられる押圧力によって、半球状スラスト部36が、半球状の座面38にしっかりと当接せしめられて、固定されるようになっている。
【0025】
また、かくの如く、ジョー本体32とねじ部材34とを組み付けて、可動ジョー18を構成してなる状態下において、バイス本体12の凹溝22内に位置するねじ部材34の下部をバイス本体12の長手方向に貫通するねじ孔34bに対して、スピンドル14の外周面に設けられたねじ部が螺合せしめられて、取り付けられるようになっている。そして、そのような状態下において、スピンドル14が軸回りに回転せしめられることにより、可動ジョー18が、固定ジョー16に対して接近/離隔移動せしめられて、それら固定ジョー16と可動ジョー18との間において、目的とするワークのクランプが行なわれ得ることとなるのである。
【0026】
すなわち、スピンドル14を、その軸回りに回転せしめることによって、ねじ部材34を前進させて、可動ジョー18が固定ジョー16に対して接近移動するようにすると、ねじ部材34に設けられた半球状スラスト部36が、ジョー本体32の凹所32aの内面傾斜壁に形成された半球状の座面38に嵌合されているところから、ねじ部材34の前進による押圧力は、ジョー本体32、更には可動ジョー18の前進方向への力(分力)として作用せしめられると共に、下方向となる鉛直下方の押圧力(分力)としても、作用せしめられることとなるのである。そして、これによって、固定ジョー16と可動ジョー18との間でワークをクランプした状態下において、可動ジョー18の浮き上がりが、効果的に防止され得ることとなる。
【0027】
さらに、可動ジョー18におけるジョー本体32に対する下方向への押圧力(分力)の反力として、ねじ部材34には、上方向への力が作用することとなるのであるが、
図4に示される如く、バイス本体12に設けられた凹溝22の上部開口部の両側部の下面に、換言すれば、凹溝22の上側開口部を規定する案内レール20,20の下面に、ねじ部材34の両側部に設けられた段付面34cが当接し、前記上方への力の大きさに応じて、それら二本の案内レール20,20とねじ部材34との間に、所定の当接力が、惹起されることとなる。このため、そのような当接力によって、ねじ部材34は、バイス本体12に対して固定され、以て、スピンドル14のバイス本体12に対する位置固定が、有効に行なわれ得るようになっている。
【0028】
そして、本発明にあっては、かくの如き構造のマシンバイス10において、ワークの位置決めと固定の自動化に対応すべく、可動ジョー18の送り作動を、スピンドル14の一方の端部に取り付けられた電動モータ24にて行なう一方、可動ジョー18によるワークの締付け作動を、スピンドル14の他方の端部側に設けられた、エアシリンダ26と油圧シリンダ28との直列連結構造からなる複合倍力機構30にて、行なうように構成されているのである。
【0029】
具体的には、
図3に明らかにされているように、スピンドル14は、その長手方向における一方の端部が、バイス本体12の凹溝22の長手方向における一方の開口部を閉塞するようにバイス本体12に固設された支持プレート42を貫通して、自由回転可能な形態において支持されてなる状態下において、配設されており、そしてそのスピンドル14の端部に対して、ここでは、電動モータ24の回転軸が直接に連結せしめられている。そして、この電動モータ24の回転作動によって、スピンドル14が回転せしめられることにより、ねじ部材34を介して、ジョー本体32が前進/後退移動せしめられ得て、可動ジョー18として、固定ジョー16に対して接近若しくは離隔移動させられ得るようになっている。
【0030】
なお、ここで、電動モータ24としては、回転制御機能や電流制御機能を有するサーボモータやステッピングモータ等が好適に用いられ得、例えば、そのようなモータの回転制御機能を利用する場合にあっては、モータの回転数を制御して、スピンドル14の回転を規定することによって、可動ジョー18の移動量が設定され得ることとなるところから、加工されるべきワークの大きさに応じて、バイスの口開き寸法(固定ジョー16と可動ジョー18との間隙の大きさ)を任意に決定することが可能となるのである。また、電流制御機能は、モータにかかる負荷により変化する電流値を検出して、一定の負荷がかかると、モータを停止させるようにした機能であって、この機能を用いて、電動モータ24に対して、ワークをクランプすべく、バイス閉めの作動指令をすると、スピンドル14の回転によって、可動ジョー18が前進して、所定のワークが固定ジョー16との間において挟まれた状態(ワークに可動ジョー18の口金18aが当接した状態)において、モータにかかる負荷が増大することにより、電動モータ24の作動が停止されることとなる一方、バイス開きの作動指令をすることにより、ワークをクランプした状態から、可動ジョー18を後退せしめて、予め設定されたバイスの口開き寸法の最大位置で停止するように、電動モータ24が制御されるようになる。
【0031】
このように、電動モータ24は、固定ジョー16との間において、目的とするワークを挟み、ワークに当接するようになるまで、可動ジョー18を移動せしめるものであって、ワークに大きな締付け力が作用するようになるまで作動せしめられるものではないところから、単に可動ジョー18の送りに必要な出力があれば、充分となるものであって、それ故に、極めて小型のモータの使用でよいこととなる。
【0032】
また、ワークに対して所定の締付け力を作用せしめるべく、複合倍力機構30が、スピンドル14の他端側に位置するように、可動ジョー18が配置されるバイス本体12の他方の端部に対して、配設されている。具体的には、バイス本体12の端部に対して、複合倍力機構30を構成する油圧シリンダ28とエアシリンダ26とが順次取り付けられて、それらが直列に連結されてなる形態において、配設されているのである。
【0033】
そして、そこにおいて、エアシリンダ26は、そのシリンダ部26a内の空気室44内に、供給口26bを通じて、外部から、圧力エアとしての圧縮空気が供給されることによって、エアピストン46を前進させ、その作動部46aが油圧シリンダ28の油室48内に突入せしめられるようになっている。なお、エアピストン46は、空気室44内の圧力を受けて、シリンダ部26aの内周面を摺動する大径部と、シリンダ部26aから突出せしめられる円柱状の作動部46aからなる小径部とを有し、それら大径部と小径部との比によって、油圧シリンダ28において所定の大きさの倍力が形成されるようになっている。
【0034】
さらに、油圧シリンダ28は、そのシリンダ部28aの後方開口部(
図3における左側開口部)が、エアシリンダ26のシリンダ部26aにて閉塞されるように連結されていることにより、内部に所定のオイルが充填されてなる油室48が形成されている。そして、この油室48内に生じる油圧によって移動せしめられる油圧ピストン50の作動部50aが、油圧シリンダ28のシリンダ部28aから突出せしめられて、スピンドル14の端部に当接されるようになっている。即ち、ここでは、油圧ピストン50の先端部に螺着せしめられたレストボルト52の頭部の球状凸面において、スピンドル14の端面に当接せしめられており、これによって、油圧ピストン50の押圧力がスピンドル14に対して効果的に伝達されるようになるのである。
【0035】
なお、油圧シリンダ28における油室48には、油圧ピストン50の先端部を貫通して設けられた注油口54を通じて、所定量のオイルが注入されるようになっており、これにより、所定の油室が形成されるようになっている一方、かかる注油口54は、ボール56と止めねじ58とによってシールされて、油室48内に大きな油圧が発生せしめられても、油漏れが惹起されないようになっている。また、油圧ピストン50のフランジ部をエアシリンダ26側に付勢するコイルスプリング60が、シリンダ部28aと油圧ピストン50のフランジ部との間に配設されている。
【0036】
また、スピンドル14が、上述せる複合倍力機構30の作動によって、可動ジョー18(ジョー本体32+ねじ部材34)と共に、
図3において右方に所定距離移動せしめられ得るように、スピンドル14の電動モータ24取付け側の端部の外周面にコイルスプリング62を外挿してなる構造の付勢手段が、配設されている。即ち、かかるコイルスプリング62は、支持プレート42とスピンドル14の段付き部(ワッシャ64)との間に配設されて、スピンドル14を、
図3において左方に付勢している。これによって、スピンドル14を、可動ジョー18と共に、その軸方向に所定距離だけ移動可能とする軸方向移動許容機構が、構成されているのである。
【0037】
このような構成の複合倍力機構30において、固定ジョー16と可動ジョー18との間に挟持されたワークを更にしっかりと固定せしめてクランプすべく、可動ジョー18に所定の締付け力を発生するに際しては、エアシリンダ26の空気室44内に、圧縮空気が供給口26bを通じて導入されることにより、エアピストン46を前進、即ち油圧シリンダ28側に移動させて、その作動部46aの先端部が油圧シリンダ28の油室48内に更に深く突入せしめられるようにする。これにより、かかる油室48内は、空気室44よりも増圧されて、その増圧された圧力が、油圧シリンダ28の油圧ピストン50を前進作動せしめ、そしてこの油圧ピストン50の作動部の突出作用が、レストボルト52を介して、スピンドル14に伝達せしめられ、以てスピンドル14が、可動ジョー18と共に、
図3において右方に所定量移動せしめられることにより、固定ジョー16との間に挟持されたワークに対して、所定の締付け力が作用せしめられ得ることとなる。
【0038】
例えば、かかる複合倍力機構30における圧縮空気の供給圧と出力の関係の一例を示すならば、圧縮空気の圧力:0.7MPa、エアピストン46の大径部:80mm、エアピストン46の小径部:25mm、油圧ピストン50の径:80mmとした場合において、出力は、0.7×(40×40×3.14)×(40×40)/(12.5×12.5)/1000=36.0kNとなり、大きな出力が得られることとなる。
【0039】
そして、かくの如き構成のマシンバイス10を用いて、加工されるべき所定のワークのクランプを行なうに際しては、例えば、
図5に示される如く、制御装置70によって、電動モータ24と複合倍力機構30の作動が制御されて、ワーク68の位置決めと固定の自動化が図られ得ることとなるのである。即ち、制御装置70によって、電動モータ24の作動が回転制御又は電流制御されて、ワーク68が固定ジョー16と可動ジョー18との間に挟まれた形態において、電動モータ24が停止され、これによって、ワーク68が、所定位置に位置決めされることとなる。次いで、圧縮空気源72からエアシリンダ26の供給口26bに至る圧縮空気回路上に設けられた切換バルブ74が、制御装置70によって切換え制御されて、圧縮空気源72からの所定圧力の圧縮空気(圧力エア)が、エアシリンダ26の空気室44内に供給されることにより、エアピストン46は、その作動部46aが前進せしめられて、油圧シリンダ28の油室48内に更に突入せしめられて、かかる油室48が加圧される。これにより、油圧シリンダ28における油圧ピストン50を前進させて、その作動部50aを、
図5において、右方に突出させ、そしてレストボルト52を介して、その突出力をスピンドル14の端面に作用せしめることにより、コイルスプリング62の付勢力に抗して、スピンドル14が可動ジョー18と共に、
図5において右方に移動せしめられるようになることにより、ワーク68には、可動ジョー18から所定の締付け力が作用せしめられることとなるのである。なお、ここで、油圧ピストン50の作動部50aの突出量は、エアシリンダ26や油圧シリンダ28の構造等により適宜に選択されることとなるが、一般に1mm~10mm程度とされることとなる。
【0040】
また、マシンバイス10にクランプされたワーク68に対して、所定の加工が終了した後、固定ジョー16と可動ジョー18によるクランプを解除して、それらの間からワーク68を取り外す場合にあっては、制御装置70からの指令によって、切換バルブ74を切り換えて、エアシリンダ26の空気室44から圧縮空気を放出せしめることにより、油圧シリンダ28における油室48に対する加圧作用は解除されることとなるところから、電動モータ24側のスピンドル14端部に設けたコイルスプリング62の付勢作用や、油圧シリンダ28内に配設されたコイルスプリング60の付勢作用によって、油圧ピストン50やエアピストン46は、元の位置に戻り、以て、スピンドル14に対して作用せしめられた締付け力が解除されて、固定ジョー16と可動ジョー18との間から、加工済のワーク68が取り外されることとなるのである。なお、固定ジョー16と可動ジョー18との間の口開きが更に大きくする必要がある場合にあっては、制御装置70にて電動モータ24が逆回転するように制御され、それによって、可動ジョー18は、固定ジョー16に対して大きく離隔せしめられることとなる。
【0041】
かくして、上述の如き構造のマシンバイス10を用いることにより、ワーク68の位置決めと固定が自動的に行ない得ることとなるのであって、これにより、ワークの搬入搬出の自動化と加工の自動化を組み合わせることにより、マシニングセンタにおける加工の自動化が有利に実現され得ることとなるのである。また、上述の如き構造のマシンバイス10にあっては、複合倍力機構30が、それを構成するエアシリンダ26への圧縮空気の供給のみによって、大きな出力を得ることが出来、以て、有効な締付け力を惹起せしめ得るのであり、更に、油圧シリンダ28への圧油の供給回路や油圧ポンプも必要ではないところから、コンパクトな形態において、スピンドル14に有効な締付け力を有利に作用せしめることが可能となるのである。
【0042】
以上、本発明の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0043】
例えば、上記した実施形態においては、可動ジョー18が、ジョー本体32とねじ部材34とを組み合わせて構成されていたが、それらジョー本体32とねじ部材34とを一体化してなる構造を採用することも可能である。
【0044】
また、スピンドル14と電動モータ24との接続においても、それらを、例示の如く、直接に接続せしめる場合の他、ギア等の公知の部材乃至は機構を介して、接続せしめるようにすることも可能であることは、言うまでもないところである。
【0045】
さらに、例示の実施形態においては、スピンドル14を、可動ジョー18と共に、軸方向に所定距離だけ移動可能とする軸方向移動許容機構として、コイルスプリング62が、スピンドル14と支持プレート42との間に配設されているが、そのようなコイルスプリング62は、皿ばねの如き他のばね部材に置換することも可能であり、更には、他の公知の軸方向移動許容機構を採用することも可能である。
【0046】
なお、そのような軸方向移動許容機構にて移動せしめられるスピンドル14の軸方向の移動量としては、一般に、複合倍力機構30における油圧シリンダ28の油圧ピストン50の出力ストローク以上となるように設定され、一般に1mm以上、好ましくは3mm以上の長さにおいて、スピンドル14が軸方向に移動せしめられるように構成されることとなる。また、そのようなスピンドル14の軸方向への移動量の上限としては、バイスの大きさ等に応じて適宜に設定されるところであるが、一般に10mm程度、好ましくは8mm程度が、採用されることとなる。
【0047】
また、複合倍力機構30におけるエアシリンダ26のエアピストン46の大径部や小径部の径としては、エアピストン46の作動部46aが、油圧シリンダ28における油室48内への突入によって惹起せしめられる出力(油圧)の大きさに応じて、適宜に選定されることとなる。
【0048】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0049】
10 マシンバイス 12 バイス本体 14 スピンドル 16 固定ジョー 18 可動ジョー 20 案内レール 22 凹溝 24 電動モータ 26 エアシリンダ 28 油圧シリンダ 30 複合倍力機構 32 ジョー本体 34 ねじ部材 36 半球状スラスト部 44 空気室 46 エアピストン 46 エアピストン 50 油圧ピストン 52 レストボルト 62 コイルスプリング 70 制御装置