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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】粉体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/68 20060101AFI20231214BHJP
   B65D 83/06 20060101ALI20231214BHJP
   B65G 65/48 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B65D88/68 B
B65D83/06 E
B65G65/48 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020054316
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021155047
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591147786
【氏名又は名称】赤武エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 忍
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-206742(JP,A)
【文献】特開2019-006438(JP,A)
【文献】特開2001-208220(JP,A)
【文献】特開2013-193747(JP,A)
【文献】特開2006-170361(JP,A)
【文献】実開平05-064576(JP,U)
【文献】実開昭58-076590(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/06
B65G 65/48
B65D 88/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体収容容器から粉体を排出する粉体排出装置であって、
粉体収容容器の排出口を開閉するための弁体を含むバタフライバルブと、
前記バタフライバルブに連結し前記弁体を回転可能な前進位置と前記バタフライバルブに連結しない後退位置との間で進退自在に配置された駆動手段と、
前記前進位置と前記後退位置との間で前記駆動手段を進退させる進退手段と、を備え、
前記駆動手段は、前記弁体を回転させるためのアクチュエータと、前記アクチュエータから延びる第1の駆動軸と、第1のばねカップリングを介して前記第1の駆動軸の先端に接続された第2の駆動軸と、第2のばねカップリングを介して前記第2の駆動軸の先端に接続された駆動側カップリングとを含み、
前記バタフライバルブは、前記弁体の周縁から延びる回転軸と、前記回転軸に接続された従動側カップリングとを含み、
前記駆動側カップリングは、軸方向に延びるロケートピンと、周方向に間隔をおいて前記ロケートピンの周囲に配置された複数の駆動側篏合片とを有し、
前記従動側カップリングは、前記ロケートピンが挿入される位置決め穴が形成された主部と、前記複数の駆動側篏合片と噛み合う複数の従動側篏合片とを有し、
前記駆動手段が前記前進位置に位置づけられると前記駆動側カップリングと前記従動側カップリングとが連結し、
前記バタフライバルブと前記駆動手段とが連結した際に前記駆動手段は、前記排出口を閉塞する閉塞位置から第1の開度だけ前記弁体を回転させて前記排出口を開放すると共に、前記第1の開度よりも小さい第2の開度または前記第1の開度よりも大きい第3の開度と前記第1の開度との間で前記弁体を往復揺動させる粉体排出装置。
【請求項2】
前記ロケートピンの先端側部分は先端に向かって直径が次第に小さくなる円錐状に形成されている、請求項に記載の粉体排出装置。
【請求項3】
前記従動側カップリングの前記主部の前記位置決め穴には、円筒形状内周面を有する合成樹脂製ガイドブシュが配置されている、請求項またはに記載の粉体排出装置。
【請求項4】
前記駆動側カップリングと前記従動側カップリングとのいずれか一方には合成樹脂製スリーブが装着されており、
前記合成樹脂製スリーブは、前記駆動側カップリングと前記従動側カップリングとが連結した際に、周方向において前記複数の駆動側篏合片と前記複数の従動側篏合片との間に位置する複数の補助篏合片を有する、請求項からまでのいずれかに記載の粉体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体収容容器から粉体を排出する粉体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には粉体排出装置としての振動バタフライバルブが記載されている。この振動バタフライバルブは、ケーシングと、ケーシングに回転自在に装着され粉体収容容器の排出口を開閉する弁体と、閉位置と任意の開位置とに弁体を位置づけるアクチュエータと、弁体を振動させるバイブレータとを備える。
【0003】
そして、この振動バタフライバルブによれば、アクチュエータによって弁体を任意の開度(たとえば10~15度)に位置づけると共に、任意の開度に位置づけた弁体をバイブレータで振動させることにより、粉体収容容器から粉体を排出することができる。すなわち、振動バタフライバルブにおいては、開度が比較的小さくても、バイブレータで弁体を振動させることにより粉体収容容器内の粉体を刺激して粉体の排出を促進し、弁体とケーシングとの僅かな隙間から粉体を定量的に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-50007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている振動バタフライバルブにおいては、粉体の性状によっては弁体の振動に起因して粉体の凝集や圧密等が発生し粉体収容容器からの粉体の排出が困難となる場合がある。
【0006】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、幅広い種類の粉体の排出を可能とする粉体排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために以下の粉体排出装置を提供する。すなわち、粉体収容容器から粉体を排出する粉体排出装置であって、粉体収容容器の排出口を開閉するための弁体を含むバタフライバルブと、前記バタフライバルブに連結し前記弁体を回転可能な前進位置と前記バタフライバルブに連結しない後退位置との間で進退自在に配置された駆動手段と、前記前進位置と前記後退位置との間で前記駆動手段を進退させる進退手段と、を備え、前記駆動手段は、前記弁体を回転させるためのアクチュエータと、前記アクチュエータから延びる第1の駆動軸と、第1のばねカップリングを介して前記第1の駆動軸の先端に接続された第2の駆動軸と、第2のばねカップリングを介して前記第2の駆動軸の先端に接続された駆動側カップリングとを含み、前記バタフライバルブは、前記弁体の周縁から延びる回転軸と、前記回転軸に接続された従動側カップリングとを含み、前記駆動側カップリングは、軸方向に延びるロケートピンと、周方向に間隔をおいて前記ロケートピンの周囲に配置された複数の駆動側篏合片とを有し、前記従動側カップリングは、前記ロケートピンが挿入される位置決め穴が形成された主部と、前記複数の駆動側篏合片と噛み合う複数の従動側篏合片とを有し、前記駆動手段が前記前進位置に位置づけられると前記駆動側カップリングと前記従動側カップリングとが連結し、前記バタフライバルブと前記駆動手段とが連結した際に前記駆動手段は、前記排出口を閉塞する閉塞位置から第1の開度だけ前記弁体を回転させて前記排出口を開放すると共に、前記第1の開度よりも小さい第2の開度または前記第1の開度よりも大きい第3の開度と前記第1の開度との間で前記弁体を往復揺動させる粉体排出装置を本発明は提供する。
【0009】
前記ロケートピンの先端側部分は先端に向かって直径が次第に小さくなる円錐状に形成されているのが好適である。前記従動側カップリングの前記主部の前記位置決め穴には、円筒形状内周面を有する合成樹脂製ガイドブシュが配置されているのが好都合である。前記駆動側カップリングと前記従動側カップリングとのいずれか一方には合成樹脂製スリーブが装着されており、前記合成樹脂製スリーブは、前記駆動側カップリングと前記従動側カップリングとが連結した際に、周方向において前記複数の駆動側篏合片と前記複数の従動側篏合片との間に位置する複数の補助篏合片を有するのが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粉体排出装置においては、第1の開度と第1の開度よりも小さい第2の開度との間でバタフライバルブの弁体を往復揺動させ、あるいは第1の開度と第1の開度よりも大きい第3の開度との間で弁体を往復揺動させることによって、粉体収容容器内の粉体に弁体から衝撃を加え、粉体の凝集や圧密等の発生を抑制しつつ粉体収容容器からの粉体の排出を促進するので、幅広い種類の粉体の排出が可能となる。
【0012】
また、本発明の粉体排出装置は、バタフライバルブに連結し弁体を回転可能な前進位置とバタフライバルブに連結しない後退位置との間で進退自在に配置された駆動手段と、前進位置と後退位置との間で駆動手段を進退させる進退手段と、を備えるので、粉体収容容器に駆動手段が装着されている必要はなく、任意の粉体排出位置に駆動手段が配置され得る。したがって、本発明の粉体排出装置によれば、任意の粉体排出位置において駆動手段の配線や配管がなされ得るので、粉体収容容器が移動式である場合にも容易に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に従って構成された粉体排出装置の正面図。
図2】(a)図1に示すバタフライバルブの平面図、(b)図1のA-A線断面図。
図3】(a)駆動手段が後退位置に位置している状態における粉体排出装置の平面図、(b)駆動手段が前進位置に位置している状態における粉体排出装置の平面図。
図4図1のB-B線矢視図。
図5】(a)図1に示す駆動側カップリングおよび従動側カップリングの斜視図、(b)図1に示す駆動側カップリングおよび従動側カップリングの断面斜視図。
図6】(a)図5に示す駆動側カップリングの斜視図、(b)図5に示す従動側カップリングの斜視図、(c)図5に示す合成樹脂製スリーブの斜視図。
図7】(a)ロケートピンの先端が合成樹脂製スリーブの円形開口内に位置している状態における駆動側カップリングおよび従動側カップリングの一部断面図、(b)(a)の位置よりも駆動手段が前進した状態における駆動側カップリングおよび従動側カップリングの一部断面図、(c)(b)の位置よりも駆動手段がさらに前進した状態における駆動側カップリングおよび従動側カップリングの一部断面図、(d)(c)の位置よりも駆動手段がさらに前進した状態における駆動側カップリングおよび従動側カップリングの一部断面図。
図8】(a)第1の開度と第2の開度との間で弁体が往復揺動している状態における図1に示すバタフライバルブの断面図、(b)第1の開度と第3の開度との間で弁体が往復揺動している状態における図1に示すバタフライバルブの断面図。
図9】(a)図1に示すバタフライバルブに排出促進片が付設された場合の平面図、(b)(a)におけるC-C線断面図、(c)(a)におけるD-D線断面図。
図10】(a)図1に示すバタフライバルブに他の排出促進片が付設された場合の図9(b)に相当する断面図、(b)(a)におけるE-E線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成された粉体排出装置の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1において全体を符号2で示す粉体排出装置は、バタフライバルブ4と、バタフライバルブ4を駆動する駆動手段6と、駆動手段6を進退させる進退手段8とを備える。
【0016】
図1および図2を参照して説明すると、バタフライバルブ4は、円筒状のケーシング10と、ケーシング10に回転自在に装着された円板状の弁体12とを含む。ケーシング10は、鋼材等の適宜の金属材料から形成され得る。弁体12は、鋼材等の適宜の金属材料またはウレタンゴム等の適宜の合成ゴム材料から形成され得る。
【0017】
弁体12の周縁には、互いに対向する位置から径方向外側に延びる一対の金属製の回転軸14が付設されており、弁体12は各回転軸14を介してケーシング10に回転自在に装着されている。図示の実施形態では図1に示すとおり、一方の回転軸14に接続具15を介して従動側カップリング16が接続されているが、一方の回転軸14に直接的に従動側カップリング16が接続されていてもよい。なお、従動側カップリング16については、従動側カップリング16に連結する駆動側カップリング54と共に後述する。
【0018】
図2に示すとおり、図示の実施形態のバタフライバルブ4のケーシング10には、適宜の合成ゴム(たとえばシリコンゴム、EPDMゴム、NBRゴム)等から形成され得るシート部材18が装着されている。シート部材18は、ケーシング10の内周面に沿って上下方向に延びる円筒部20と、円筒部20の上端から径方向外側に延びる上側環状部22と、円筒部20の下端から径方向外側に延びる下側環状部24とを有する。
【0019】
バタフライバルブ4の上端は、ボルトやクランプ等の適宜の締結部材を介して粉体収容容器26の円形の排出口28に接続され、バタフライバルブ4の下端には円筒状のシュート30が接続されている。図示の実施形態の粉体収容容器26は、ベルトコンベア等の適宜の搬送手段(図示していない。)によって搬送される移動式容器である。図1に示すとおり、粉体収容容器26は、上下方向に延びる円筒状または角筒状の上部側壁32と、上部側壁32の下端から下方に向かって次第に直径が小さくなる円錘状または角錐状の下部側壁34と、下部側壁34の外面から下方に延びる複数の支持部材36とを含む。排出口28は、下部側壁34の下端に形成されており、バタフライバルブ4の弁体12が回転することによって開閉される。
【0020】
バタフライバルブ4は、実質上水平な閉塞位置(図2(b)に示す位置)に弁体12が位置づけられると、弁体12の周縁とシート部材18の円筒部20の内周面とが密着して粉体収容容器26の排出口28を弁体12によって閉塞し、排出口28からの粉体の排出を遮断する。また、バタフライバルブ4は、弁体12が閉塞位置から回転されると、排出口28を開放して排出口28からの粉体の排出を許容する。なお、シート部材18の上側環状部22は、バタフライバルブ4の上端と粉体収容容器26の下端との間から外部に粉体が漏れるのを防止し、シート部材18の下側環状部24は、バタフライバルブ4の下端とシュート30の上端との間から外部へ粉体が漏れるのを防止する。
【0021】
図1および図3を参照して説明すると、駆動手段6は、バタフライバルブ4に連結し弁体12を回転可能な前進位置(図3(b)に示す位置)と、バタフライバルブ4に連結しない後退位置(図3(a)に示す位置)との間で進退自在に配置されている。
【0022】
駆動手段6は、図3に矢印Xで示すX軸方向に進退自在に設けられた矩形状の可動板38を含む。可動板38の下面には、X軸方向に延びる一対のスライダ40がY軸方向(図3に矢印Yで示す方向であってX軸方向に直交する方向)に間隔をおいて固定されている。各スライダ40は、Y軸方向に間隔をおいて固定されX軸方向に延びるガイドレール42に摺動自在に連結されている。なお、X軸方向およびY軸方向が規定する平面は実質上水平である。また、図1に矢印Zで示すZ軸方向は、X軸方向およびY軸方向に直交する上下方向である。
【0023】
図1および図3に示すとおり、駆動手段6は、弁体12を回転させるためのアクチュエータ44と、アクチュエータ44からX軸方向片側(図1および図3における左側)に延びる第1の駆動軸46と、第1のばねカップリング48を介して第1の駆動軸46の先端(図1および図3において左側端部)に接続された第2の駆動軸50と、第2のばねカップリング52を介して第2の駆動軸50の先端(図1および図3において左側端部)に接続された駆動側カップリング54とを含む。
【0024】
アクチュエータ44は可動板38の上面に固定されている。アクチュエータ44は電動アクチュエータでよく、たとえば、公知のサーボモータや、減速機構を介することなく被回転体(図示の実施形態では第1の駆動軸46)に回転を直接的に伝達するダイレクトドライブモータが用いられ得る。
【0025】
いずれも適宜の金属材料から形成され得る第1・第2の駆動軸46、50、第1・第2のばねカップリング48、52および駆動側カップリング54は、それぞれX軸方向に延びている。図示の実施形態の第1の駆動軸46は、アクチュエータ44からX軸方向他側(図1および図3における右側)にも延びており、アクチュエータ44のX軸方向片側およびX軸方向他側において可動板38の上面に固定された一対の軸受部材56によって支持されている。
【0026】
第1・第2のばねカップリング48、52は、X軸方向に間隔をおいて配置された円筒状の一対のハブ58と、一対のハブ58間に配置されたコイルばね60とを有する。第1のばねカップリング48は、コイルばね60が弾性変形することによって、第1の駆動軸46に対する第2の駆動軸50の所定角度までの傾き(偏角)を許容する。第2のばねカップリング52は、コイルばね60が弾性変形することによって、第2の駆動軸50に対する駆動側カップリング54の所定角度までの傾きを許容する。なお、第1・第2のばねカップリング48、52が許容する偏角は、同一の角度でもよく異なる角度であってもよい。
【0027】
図1に示すとおり、駆動手段6は、駆動側カップリング54の先端位置を所定位置に保持する保持手段62を含むのが好適である。図示の実施形態の保持手段62は、可動板38からX軸方向片側に延びるブラケット64と、ブラケット64の先端上面に配置されたアクチュエータ66と、アクチュエータ66の上端部に装着され且つ第2のばねカップリング52の下方に配置された矩形状の支持板68とを有する。
【0028】
アクチュエータ66は、第2のばねカップリング52を支持する上昇位置(図1に示す位置)と、第2のばねカップリング52の支持を解除する下降位置との間で支持板68を昇降させるエアシリンダまたは電動シリンダ等から構成され得る。支持板68は金属製でもよいが、金属製の第2のばねカップリング52との接触による金属粉塵の発生を抑制する観点から合成樹脂製であるのが好ましい。
【0029】
保持手段62は、アクチュエータ66によって支持板68を上昇位置に位置づけ、第2のばねカップリング52を支持することによって、駆動側カップリング54の先端位置を所定位置に保持する。また、保持手段62は、アクチュエータ66によって支持板68を下降位置に位置づけることによって、支持板68による第2のばねカップリング52の支持を解除する。なお、支持板68は駆動側カップリング54の下方に配置され、上昇位置において支持板68が駆動側カップリング54を支持するようになっていてもよい。
【0030】
図3および図4を参照して説明すると、駆動手段6は、停電等によりアクチュエータ44への電流の供給が停止した際に弁体12を閉塞位置に位置づける閉塞手段70を含むのが好都合である。図示の実施形態の閉塞手段70は、第1の駆動軸46の外周面から径方向外側に延びる金属製のレバー72と、停電時等にレバー72を押して第1の駆動軸46を回転させるエアシリンダ74と、エアシリンダ74に圧空を供給する圧空源76(図4参照。)と、エアシリンダ74と圧空源76との間に配置された電磁弁78(図4参照。)とを含む。
【0031】
エアシリンダ74は、可動板38の上面に設けられたブラケット80に支持されており、かつY軸方向に沿って配置されている。エアシリンダ74のロッド74aの先端には環状部材74bが回転自在に装着されている。環状部材74bは金属製でもよいが、金属製のレバー72との接触による金属粉塵の発生を抑制する観点から合成樹脂製であるのが好ましい。
【0032】
電磁弁78のソレノイド78aには電流が常時供給されていることによって、エアシリンダ74のロッド74aが後退位置(図4に実線で示す位置)に位置するように圧空源76からエアシリンダ74に圧空が供給されている。停電等によりアクチュエータ44への電流の供給が停止した際には、ソレノイド78aへの電流の供給も停止する。
【0033】
バタフライバルブ4と駆動手段6とが連結している状態において、アクチュエータ44およびソレノイド78aへの電流の供給が停止した際には、スプリング78bによって電磁弁78のポートが切り替わり、エアシリンダ74のロッド74aが前進位置(図4に二点鎖線で示す位置)に位置するように圧空源76からエアシリンダ74に圧空が供給される。これによって、エアシリンダ74のロッド74aがレバー72を押して第1の駆動軸46を回転させるので、バタフライバルブ4の弁体12が閉塞位置に位置づけられる。
【0034】
図5および図6を参照して、駆動手段6の駆動側カップリング54と共に、バタフライバルブ4の従動側カップリング16について説明する。
【0035】
鋼材等の適宜の金属材料から形成され得る駆動側カップリング54は、円形状プレート82と、プレート82の片面中央部からX軸方向(第1・第2の駆動軸46、50の軸方向)片側に延びる円柱状のロケートピン84と、第1・第2の駆動軸46、50の周方向に間隔をおいてロケートピン84の周囲に配置された複数(図示の実施形態では3個)の駆動側篏合片86と、プレート82の他面中央部からX軸方向他側に延びる円柱状の接続部88とを有する。
【0036】
ロケートピン84の先端側部分84aは先端に向かって直径が次第に小さくなる円錐状に形成されているのが好適である。複数の駆動側篏合片86は、プレート82の片面からX軸方向片側に延びており、かつ周方向に等間隔をおいて配置されている。図6(a)に示すとおり、駆動側篏合片86の先端側部分86aには面取りが施されている。接続部88には、第2のばねカップリング52のハブ58が接続される。
【0037】
鋼材等の適宜の金属材料から形成され得る従動側カップリング16は、ロケートピン84が挿入される位置決め穴90aが形成された円筒状の主部90と、複数の駆動側篏合片86と噛み合う複数(図示の実施形態では3個)の従動側篏合片92とを有する。図示の実施形態の主部90の軸方向両側端部には、径方向外側に延びる環状のフランジ94が付設されている。図6(b)に示すとおり、複数の従動側篏合片92は、一方のフランジ94の片面から主部90の軸方向に突出しており、かつ主部90の周方向に等間隔をおいて位置決め穴90aの周囲に配置されている。
【0038】
図5(b)に示すとおり、従動側カップリング16の主部90の位置決め穴90aには、円筒形状内周面を有する合成樹脂製ガイドブシュ96が配置されているのが好都合である。ガイドブシュ96の内周面には、軸方向片側端部(図5(b)における右側端部)から軸方向他端側(図5(b)における左側)に向かって内周面の直径が次第に小さくなる円錐台形状部分96aが設けられているのが好ましい。
【0039】
図5および図6を参照して説明を続けると、従動側カップリング16には合成樹脂製スリーブ98が装着されているのが望ましい。スリーブ98は、円形開口100aが形成された円筒部100と、円筒部100の外周面から径方向外側に向かって放射状に突出する複数(図示の実施形態では6個)の補助篏合片102とを有する。
【0040】
円筒部100の内周面の軸方向片側端部100bには面取りが施され、補助篏合片102の軸方向片側端部102aにも面取りが施されている。図6(c)を参照することによって理解されるとおり、周方向において隣接する補助篏合片102の面取りが互いに対面するように、補助篏合片102の周方向片側に面取りが施されている。なお、スリーブ98は、駆動側カップリング54に装着されていてもよい。
【0041】
駆動手段6が前進位置に位置づけられると、スリーブ98の円形開口100aを通ってガイドブシュ96にロケートピン84が挿入されると共に、複数の駆動側篏合片86と複数の従動側篏合片92とがスリーブ98の補助篏合片102を介して噛み合うことによって、駆動手段6の駆動側カップリング54とバタフライバルブ4の従動側カップリング16とが連結する。
【0042】
駆動側カップリング54と従動側カップリング16とが連結した際には、周方向において複数の駆動側篏合片86と複数の従動側篏合片92との間にスリーブ98の補助篏合片102が位置する。また、駆動側カップリング54と従動側カップリング16とが連結した際には、駆動手段6は、弁体12を回転させて排出口28を開放すると共に弁体12を往復揺動させる。
【0043】
図1を参照して進退手段8について説明する。進退手段8は、可動板38をX軸方向に沿って移動させるアクチュエータ104を含む。図示の実施形態のアクチュエータ104は、接続部材106を介してスライダ40に接続されているが、可動板38に接続されていてもよい。アクチュエータ104は、中間停止機能付きのエアシリンダや電動シリンダ等から構成され得る。そして、進退手段8は、前進位置(図3(b)に示す位置)と後退位置(図3(a)に示す位置)との間で駆動手段6を進退させる。
【0044】
上述したとおりの粉体排出装置2を用いて、粉体収容容器26から粉体を排出する方法について説明する。
【0045】
粉体収容容器26から粉体を排出する際は、図1に示すとおり、まず、粉体が収容された粉体収容容器26を搬送手段によって移動させ、所定の粉体排出位置に設置された架台108に粉体収容容器26を載せる。粉体収容容器26を架台108に載せる際は、バタフライバルブ4の弁体12を閉塞位置に位置づけておくと共に、駆動手段6を後退位置に位置づけておく。
【0046】
また、粉体収容容器26を架台108に載せる際には、保持手段62の支持板68を上昇位置に位置づけ、支持板68で第2のばねカップリング52を支持させておき、駆動側カップリング54の先端位置を所定位置に保持する。これによって、粉体収容容器26を架台108に載せる際に、駆動側カップリング54の軸心L1と従動側カップリング16の軸心L2とのずれ量tを所定範囲に収める(図3参照。)。なお、図3においては、軸心L1と軸心L2とがずれ量tだけY軸方向にずれている例が示されているが、軸心L1と軸心L2とがZ軸方向にずれていてもよく、Y軸方向およびZ軸方向の双方にずれていてもよい。
【0047】
図7(a)ないし図7(d)を参照して説明すると、粉体収容容器26を架台108に載せた後、前進位置に向かって駆動手段6を進退手段8によって前進させる。駆動手段6を前進させてスリーブ98の円形開口100aにロケートピン84の先端側部分84aが挿入されたら(たとえば図7(a)に示す位置にロケートピン84の先端側部分84aが位置づけられたら)、進退手段8の作動を一旦停止させる。次いで、保持手段62のアクチュエータ66によって支持板68を下降させ、支持板68による第2のばねカップリング52の支持を解除する。
【0048】
なお、ロケートピン84の先端側部分84aがガイドブシュ96に挿入された後(たとえば図7(b)に示す位置にロケートピン84の先端側部分84aが位置づけられた後)に、進退手段8の作動を一旦停止させると共に、支持板68による第2のばねカップリング52の支持を解除するようにしてもよい。
【0049】
支持板68による第2のばねカップリング52の支持を解除した後、前進位置に向かって駆動手段6を進退手段8によって前進させる。そうすると、図7(c)および図7(d)に示すとおり、ロケートピン84がガイドブシュ96に挿入されると共に、複数の駆動側篏合片86と複数の従動側篏合片92とがスリーブ98の補助篏合片102を介して噛み合うことによって、駆動側カップリング54と従動側カップリング16とが連結する。
【0050】
図7(a)ないし図7(d)を参照することによって理解されるとおり、図示の実施形態では、ロケートピン84の先端側部分84aが円錐状に形成され、スリーブ98の円筒部100の内周面の軸方向片側端部100bに面取りが施され、ガイドブシュ96の内周面には円錐台形状部分96aが設けられていることによって、駆動手段6が前進位置に向かって前進すると、スリーブ98の円形開口100aおよびガイドブシュ96にロケートピン84が滑らかに挿入される。
【0051】
図示の実施形態では、駆動側篏合片86の先端側部分86aには面取りが施され、かつスリーブ98の補助篏合片102の軸方向片側端部102aにも面取りが施されているので、駆動手段6が前進位置に向かって前進すると、駆動側篏合片86とスリーブ98の補助篏合片102とが滑らかに噛み合う。
【0052】
また、図示の実施形態の駆動手段6は、X軸方向に間隔をおいて配置された第1・第2のばねカップリング48、52を備えているので、駆動手段6が後退位置に位置している状態において、駆動側カップリング54の軸心L1と、従動側カップリング16の軸心L2とが整合していなくても、駆動側カップリング54と従動側カップリング16とが連結され得る。
【0053】
このように図示の実施形態では、第1・第2のばねカップリング48、52によって軸心L1と軸心L2とのズレが吸収されるので、駆動側篏合片86とスリーブ98の補助篏合片102との周方向における隙間を大きくすることによって軸心L1と軸心L2とのズレを吸収する必要がない。したがって、図示の実施形態では、駆動側篏合片86と補助篏合片102との周方向における隙間を小さくすることができるから、アクチュエータ44が微小角度(たとえば3~5度程度)の時計回りの回転と微小角度の反時計回りの回転とを交互に繰り返して、バタフライバルブ4の弁体12を往復揺動させた場合に、アクチュエータ44の回転をバタフライバルブ4の回転軸14に精密に伝達することができると共に、駆動側篏合片86と補助篏合片102との接触によって生じる騒音を低減することができる。
【0054】
駆動側カップリング54と従動側カップリング16とを連結した後、粉体収容容器26の排出口28を閉塞する閉塞位置から第1の開度だけ、駆動手段6のアクチュエータ44によって弁体12を回転させ、排出口28を開放する。
【0055】
排出口28を開放した後、第1の開度よりも小さい第2の開度または第1の開度よりも大きい第3の開度と第1の開度との間で弁体12をアクチュエータ44によって往復揺動させる。弁体12を往復揺動させる際は、図8(a)に示すとおり、一点鎖線で示す閉塞位置から第1の開度θ1まで弁体12を回転させた後、第1の開度θ1と第2の開度θ2(θ2<θ1)との間で弁体12を往復揺動させる。あるいは、図8(b)に示すとおり、閉塞位置から第1の開度θ1まで弁体12を回転させた後、第1の開度θ1と第3の開度θ3(θ3>θ1)との間で弁体12を往復揺動させてもよい。
【0056】
弁体12を往復揺動させることにより、粉体収容容器26の排出口28付近の粉体に弁体12から衝撃を加え、粉体の凝集や圧密等の発生を抑制しつつ粉体収容容器26からの粉体の排出を促進することができると共にフラッシングを抑制することができる。したがって、図示の実施形態の粉体排出装置2においては、幅広い粉体の排出が可能となると共に、粉体の排出が停滞することなく定量的な粉体の排出が可能となる。
【0057】
弁体12を往復揺動させる際は、弁体12の揺動範囲を段階的に変更してもよい。たとえば、最初に10度と15度との間で弁体12を往復揺動させ、次いで5度と10度との間で弁体12を往復揺動させた後、0度と5度との間で弁体12を往復揺動させ、弁体12の揺動範囲を3段階で変更するようにしてもよい。これによって、所定重量の粉体を粉体収容容器26から計量容器(図示していない。)等の適宜の容器に排出する場合に、排出時間を短縮しつつ排出重量精度の向上を図ることができる。弁体12の揺動範囲の段階的変更は、上記のような3段階でなくてもよく2段階あるいは4段階以上にしてもよく、揺動範囲も5度でなくてもよく任意に設定され得る。
【0058】
弁体12がアクチュエータ44によって往復揺動された際に弾性変形する材質(たとえばウレタンゴム)から形成されている場合には、弁体12の往復揺動のほか、弁体12の弾性変形(回転軸14を中心とした弁体12のしなり)によっても粉体に衝撃を加えることができ、粉体の排出を一層促進することができる。
【0059】
図示の実施形態では、従動側カップリング16の主部90の位置決め穴90aに合成樹脂製ガイドブシュ96が配置されていると共に、従動側カップリング16に合成樹脂製スリーブ98が装着されていることから、弁体12を往復揺動させた際に、駆動側カップリング54の金属製部材と従動側カップリング16の金属製部材とが擦れることによる金属粉塵の発生が抑制される。
【0060】
また、図示の実施形態では、駆動手段6が閉塞手段70を備えていることから、弁体12が開放されている状態において、停電等によりアクチュエータ44およびソレノイド78aへの電流の供給が停止した際には、閉塞手段70のエアシリンダ74によってレバー72が押されて第1の駆動軸46が回転し、弁体12が閉塞位置に位置づけられる。したがって、停電等の際に、弁体12が開放された状態が維持されることがなく、粉体収容容器26から粉体が排出されつづけてしまう事態が防止される。
【0061】
粉体収容容器26の排出口28から所定重量の粉体を排出した後、アクチュエータ44によって弁体12を回転させて閉塞位置に位置づけ、排出口28を閉塞する。次いで、後退位置に向かって駆動手段6を進退手段8によって後退させる。そうすると、ロケートピン84がガイドブシュ96およびスリーブ98の円形開口100aから抜き出されると共に、駆動側篏合片86がスリーブ98の補助篏合片102から離れ、駆動側カップリング54と従動側カップリング16との連結が解除される。
【0062】
駆動側カップリング54と従動側カップリング16との連結が解除されたら、進退手段8の作動を一旦停止させる。次いで、保持手段62のアクチュエータ66によって支持板68を上昇位置に位置づけ、支持板68で第2のばねカップリング52を支持させ、駆動側カップリング54の先端位置を所定位置に保持する。次いで、進退手段8によって駆動手段6を後退位置に位置づける。そして、粉体収容容器26を搬送手段によって架台108から移動させる。
【0063】
以上のとおりであり、図示の実施形態の粉体排出装置2においては、第1の開度θ1と第1の開度θ1よりも小さい第2の開度θ2との間でバタフライバルブ4の弁体12を往復揺動させ、あるいは第1の開度θ1と第1の開度θ1よりも大きい第3の開度θ3との間で弁体12を往復揺動させることによって、粉体収容容器26の排出口28付近の粉体に弁体12から衝撃を加え、粉体の凝集や圧密等の発生を抑制しつつ粉体収容容器26からの粉体の排出を促進することができると共にフラッシングを抑制することができる。したがって、図示の実施形態の粉体排出装置2においては、幅広い粉体の排出が可能となると共に、粉体の排出が停滞することなく定量的な粉体の排出が可能となる。
【0064】
また、図示の実施形態の粉体排出装置2においては、バタフライバルブ4に連結し弁体12を回転可能な前進位置とバタフライバルブ4に連結しない後退位置との間で進退自在に配置された駆動手段6と、前進位置と後退位置との間で駆動手段6を進退させる進退手段8と、を備えるので、粉体収容容器26に駆動手段6が装着されている必要はなく、任意の粉体排出位置に駆動手段6が配置され得る。したがって、図示の実施形態の粉体排出装置2によれば、任意の粉体排出位置において駆動手段6の配線や配管がなされ得るので、粉体収容容器26が移動式である場合にも容易に適用され得る。
【0065】
なお、上述のバタフライバルブ4の弁体12の上面には上方に延びる1個以上の排出促進片が付設されていてもよく、弁体12の上面に排出促進片が付設されている場合について図9および図10を参照して説明する。
【0066】
図9に示すバタフライバルブ4の弁体12の上面には、回転軸14同士の間において径方向に間隔をおいて弁体12の上方に延びる3個の排出促進片110a、110b、110cが付設されている。両側の排出促進片110a、110cの長さは中央の排出促進片110bの長さよりも短く、各排出促進片110a、110b、110cの先端が弁体12の周縁の軌跡から突出しないようになっている。また、図10に示すバタフライバルブ4の弁体12の上面には、弁体12の径方向中心から上方に向かって径方向外側(回転軸14側)に傾斜して延びる一対の排出促進片112が付設されている。
【0067】
図9および図10に示すバタフライバルブ4においては、弁体12が回転または往復揺動した際に弁体12の上方に位置する粉体を排出促進片110a、110b、110c、112で撹拌することができるので、粉体収容容器26からの粉体の排出を一層促進することができる。なお、排出促進片110a、110b、110c、112の形状については、円柱状や角柱状、板状等の任意の形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0068】
2:粉体排出装置
4:バタフライバルブ
6:駆動手段
8:進退手段
12:弁体
14:回転軸
16:従動側カップリング
26:粉体収容容器
28:排出口
44:アクチュエータ
46:第1の駆動軸
48:第1のばねカップリング
50:第2の駆動軸
52:第2のばねカップリング
54:駆動側カップリング
62:保持手段
70:閉塞手段
84:ロケートピン
84a:ロケートピンの先端側部分
86:駆動側篏合片
90:主部
90a:位置決め穴
92:従動側篏合片
96:合成樹脂製ガイドブシュ
96a:ガイドブシュの円錐台形状部分
98:合成樹脂製スリーブ
110a、110b、110c、112:排出促進片
θ1:第1の開度
θ2:第2の開度
θ3:第3の開度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10