(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】根固め工法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/08 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
E02B3/08 301
(21)【出願番号】P 2020069867
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆男
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 利将
(72)【発明者】
【氏名】赤城 寿哉
(72)【発明者】
【氏名】高木 雄也
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-151434(JP,A)
【文献】実開平04-126926(JP,U)
【文献】特開2002-054140(JP,A)
【文献】特開昭55-098515(JP,A)
【文献】登録実用新案第3020166(JP,U)
【文献】特開2002-363946(JP,A)
【文献】登録実用新案第3019913(JP,U)
【文献】登録実用新案第3168942(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材を用いた護岸の根固め工法であって、
充填材を詰め込んだ石詰め籠を重機により現場まで運んで川底に降し、
川に沿い複数並べて据え付けたのち、石詰め籠上を重機が移動して新たな石詰め籠を先頭の石詰め籠に隣接させて据え付ける作業を繰り返すことを特徴とする根固め工法。
【請求項2】
充填材を用いた護岸の根固め工法であって、
充填材を詰めない空の石詰め籠を人手により或いは重機により現場まで運んで川底に降し、
川に沿
い複数の空石詰め籠を並べて設置したのち、重機を用いて空の各石詰め籠に充填材を投入する作業を行い、
複数の石詰め籠に充填材を投入したのち、重機を充填材投入後の石詰め籠上に移動させ、空の石詰め籠の据え付け及び充填材の投入作業を繰り返すこと特徴とする根固め工法。
【請求項3】
充填材を詰め込んだ石詰め籠上に敷パネルを敷いたのち、重機
を敷パネル
上に移動させることを特徴とする請求項1又は2記載の根固め工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砕石、栗石等の充填材を詰めたじゃ籠、ふとん籠よりなる石詰め籠を用いた護岸の根固め工法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、この種の根固め工法の1例を示すもので、川内に盛土等によって川1に沿い仮設道2を構築したのち、該仮設道2を行き来するバックホーやショベルカー等の重機3により前記充填材を詰め込んだ石詰め籠4を川内の現場まで持ち運び、仮設道2より石詰め籠4を川底に降して据え付けたのち、重機3を仮設道2に沿い一定量後退させ、石詰め籠4を仮設道に沿い並べて据え付ける作業を繰り返して行うか、又は空の石詰め籠4を現場まで運んで川底に降し、並べて設置した空の石詰め籠4に重機3により充填材を詰め込む作業を繰り返して行い、仮設道2は石詰め籠4に充填材を詰め込む作業を複数回繰り返すか、或いは充填材を詰め込んだ石詰め籠4を一定数据え付けたのちに撤去するか、又は石詰め籠4の据え付けを完了後に撤去していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
石詰め籠を用いて行われる従来の前記根固め工法では、仮設道2の構築→根固め工→仮設道の撤去等が行われる。
本発明は、仮設道の構築や撤去する作業を不要にした根固め工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、充填材を用いた護岸の根固め工法であって、充填材を詰め込んだ石詰め籠を重機により現場まで運んで川底に降し、川に沿い複数並べて据え付けたのち、石詰め籠上を重機が移動して新たな石詰め籠を先頭の石詰め籠に隣接させて据え付ける作業を繰り返すことを特徴とする。
【0005】
請求項2に係る発明は、充填材を用いた護岸の根固め工法であって、充填材を詰めない空の石詰め籠を人手により或いは重機により現場まで運んで川底に降し、川に沿い複数の空石詰め籠を並べて設置したのち、重機を用いて空の各石詰め籠に充填材を投入する作業を行い、複数の石詰め籠に充填材を投入したのち、重機を充填材投入後の石詰め籠上に移動させ、空の石詰め籠の据え付け及び充填材の投入作業を繰り返すことを特徴とする。
【0006】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、充填材を詰め込んだ石詰め籠上に敷パネルを敷いたのち、重機を敷パネル上に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及び2に係る発明の根固め工法によると、重機は石詰め籠上を移動して石詰め籠を敷設するため、重機を移動させるための仮設道が不要となり、仮設道の構築や撤去作業を不要にすることができる。
請求項3に係る発明の根固め工法によると、重機が移動する際の重機による荷重が敷パネル全体に分散され、石詰め籠への集中荷重が避けられて石詰め籠の破損が生じ難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る根固め工法を図面により説明する。
図2において、川底に降ろしたバックホーよりなる重機11の図示しないバケットで充填材、例えば栗石12を詰め込んだ石詰め籠13を川底に図示する例においては2列、各列に3個づつ計6個を据え付ける。その後、石詰め籠上に鉄板よりなる敷パネル14を図示する例においては計4枚並べて敷設する。前記敷パネル14の取付けは通常重機11によって行われる。
【0010】
敷パネル14及び傾斜板15の取付け後、
図3に示すように重機11を前記傾斜板15を経て敷パネル上に先頭石詰め籠13に達するまで移動させ、新たな石詰め籠13を運搬する。該重機11が石詰め籠13を担持して所要量移動したのち、持参した新たな石詰め籠13をバケットにより既設済みの石詰め籠の先頭に隣接するように降して据え付ける。この作業を複数回繰り返すして石詰め籠13を複数延設したのち、その上に敷パネル14を設置する。
【0011】
前記作業を繰り返し所定位置に達するまで行って川に沿う一定長さの石詰め籠13を据え付ける。所定位置まで据え付け、据え付けが完了すると、重機11を敷パネル14に沿い後退させるが、この際敷パネル14も撤去する。敷パネル14は豪雨時においても押し流されないように、例えばワイヤー等で縛り付けて固定しておけば、撤去しないでそのまま放置しておいてもよい。
【0012】
前記実施形態では、重機11は充填材を詰めた石詰め籠13を持ち運んで現場に据え付ているが、別の実施形態では充填材が詰め込まれない空の石詰め籠13が人手により、或いは重機11により川底に据え付けられ、1ないし複数の空の石詰め籠13を並べて設置したのち、重機11のバケットにより栗石等の充填材が石詰め籠13が投入され充填される。充填材充填後、石詰め籠上に敷パネル14が敷かれ、該敷パネル14上を重機11が移動して前記作業が繰り返される。石詰め籠13の据え付け完了後、敷パネル14が前記実施形態と同様、撤去されるが、敷パネル14を固定しておけば、撤去しないで、そのまま放置しておいてもよい。
【0013】
前記各実施形態では、石詰め籠13上に重機11を通すための敷パネル14を敷き、石詰め籠13に重機11による集中荷重が加わらないようにしているが、石詰め籠13に重機が移動できるような強度を持たせておけば、敷パネル14を敷かないで重機を直接石詰め籠13上に移動させるようにするこもできる。
【0014】
前記各実施形態によれば、石詰め籠を用いた護岸の根固め工法が行われるが、石詰め籠13の据え付けに際して行われる重機11の移動は石詰め籠上において行われるため、従来例のような仮設道が不要となる。
【符号の説明】
【0015】
11・・重機
12・・栗石
13・・石詰め籠
14・・敷パネル