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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】乾溜炉
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/00 20060101AFI20231214BHJP
   F23G 5/027 20060101ALI20231214BHJP
   C10B 53/07 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F23G5/00 119F
F23G5/027 Z
C10B53/07
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020136357
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032511
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391060281
【氏名又は名称】株式会社キンセイ産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 正元
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-025485(JP,A)
【文献】特開2018-169131(JP,A)
【文献】特開平06-018014(JP,A)
【文献】特開平09-031553(JP,A)
【文献】特開2010-132503(JP,A)
【文献】特開平08-104879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00 - 7/14
C10B 53/00 - 53/08
F23L 1/00 - 1/02
F23M 7/00 - 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納された廃棄物の一部を燃焼させつつその燃焼熱により該廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉において、
該乾溜炉の底部を開閉自在とする底扉と、該底扉を貫通するノズルと、該ノズルを介して該乾溜炉内に導入される酸素を供給する乾溜酸素供給手段と、該ノズルと該乾溜酸素供給手段とを接続する可撓性導管とを備え、
該可撓性導管と該乾溜酸素供給手段との接続部に隣接する位置に該乾溜炉内の圧力が所定の圧力を超えたときに開放される背圧弁を備えることを特徴とする乾溜炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾溜炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物を焼却処理する焼却処理装置として、例えば、収納された廃棄物の一部を燃焼させ、その燃焼熱により該廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉と、該乾溜炉から導入される可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉とを備える乾溜ガス化焼却処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記乾溜ガス化焼却処理装置の乾溜炉は、前記廃棄物が灰化されて灰化物となったときに該灰化物の払い出しのために、底部に開閉自在の底扉を備えており、エアダクト等の酸素供給手段から供給される酸素は該底扉を貫通する給気ノズルを介して該乾溜炉内に導入される。前記乾溜炉では、前記給気ノズルから供給される酸素を用いて、まず前記底扉付近の廃棄物の燃焼が開始され、その燃焼熱により、燃焼を開始した廃棄物より上方の廃棄物が乾溜される。この結果、前記乾溜により発生した前記可燃性ガスを前記燃焼炉に導入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-169131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記乾溜炉では、前記底扉の開閉を妨げることがないように、前記給気ノズルと、前記酸素供給手段とを、フレキシブルホース等の可撓性導管を介して接続することが考えられる。ところが、前記給気ノズルと前記酸素供給手段とを前記可撓性導管を介して接続すると、前記乾溜炉内で前記廃棄物の異常燃焼が発生して該乾溜炉内部が高圧になったときに、該可撓性導管が接続部から脱落したり、該可撓性導管自体が破損したりするという問題がある。このとき、前記乾溜炉内での前記廃棄物の燃焼及び乾溜を継続するためには、前記乾溜炉の底扉の下方で、前記接続部から脱落した前記可撓性導管を再接続したり、破損した該可撓性導管を交換したりする修復作業が必要になる。
【0006】
しかしながら、前記乾溜炉の底扉の下方での前記修復作業は、万一底扉が開いた場合には重大な事故に繋がりかねないという不都合がある。
【0007】
そこで、本発明は、前記乾溜炉内で前記廃棄物の異常燃焼が発生して該乾溜炉内部が高圧になったときにも、前記可撓性導管が接続部から脱落したり、該可撓性導管自体が破損したりすることを防止することができる乾溜炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の乾溜炉は、収納された廃棄物の一部を燃焼させつつその燃焼熱により該廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉において、該乾溜炉の底部を開閉自在とする底扉と、該底扉を貫通する給気ノズルと、該給気ノズルを介して該乾溜炉内に導入される酸素を供給する乾溜酸素供給手段と、該給気ノズルと該乾溜酸素供給手段とを接続する可撓性導管とを備え、該可撓性導管と該乾溜酸素供給手段との接続部に隣接する位置に該乾溜炉内の圧力が所定の圧力を超えたときに開放される背圧弁を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の乾溜炉は、前記乾溜酸素供給手段から供給される酸素を、前記底扉を貫通する給気ノズルから該乾溜炉内に導入し、該酸素を用いて、収納された廃棄物の一部を燃焼させつつ該燃焼熱により該廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる。このとき、前記給気ノズルと前記乾溜酸素供給手段とは、可撓性導管を介して接続されているので、前記底扉の開閉を妨げることがない。一方、前記乾溜炉内で前記廃棄物の異常燃焼が発生して該乾溜炉内部が高圧になったときには、前記可撓性導管が接続部から脱落したり、該可撓性導管自体が破損したりすることがある。
【0010】
しかし、本発明の乾溜炉は前記可撓性導管と前記乾溜酸素供給手段との接続部に、該乾溜炉内の圧力が所定の圧力を超えたときに開放される背圧弁を備えるので、前記廃棄物の異常燃焼により該乾溜炉内部が高圧になったときには、該背圧弁が開放され圧を逃がすことができる。この結果、本発明の乾溜炉によれば、該乾溜炉内で前記廃棄物の異常燃焼が発生して該乾溜炉内部が高圧になったときにも、前記可撓性導管が接続部から脱落したり、該可撓性導管自体が破損したりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の乾溜炉を備える乾溜ガス化焼却処理装置の構成例を示すシステム構成図。
図2図1に示す乾溜炉に対する酸素供給手段の一構成例を示す説明的断面図。
図3図2に示す背圧弁の一構成例を示す説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0013】
本実施形態の乾溜炉は、例えば、図1に示す乾溜ガス化焼却処理装置1に用いられる。
【0014】
乾溜ガス化焼却処理装置1は、例えば、廃タイヤ等の廃棄物Aを収納し、その乾溜ガス化及び灰化を行う2基の乾溜炉2a,2bと、乾溜炉2a,2bにガス通路3a,3bを介して接続される燃焼炉4とを備える。
【0015】
乾溜炉2a,2bは、その上面部にそれぞれ開閉自在な投入扉5a,5bを備える投入口6a,6bが形成され、投入口6a,6bから廃棄物Aを乾溜炉2a,2b内に投入可能とされている。また、乾溜炉2a,2bの下部は開閉自在の底扉7a,7bとなっている。そして、乾溜炉2a,2bは、投入扉5a,5b及び底扉7a,7bを閉じた状態では、その内部が実質的に外部と遮断されるようになっている。
【0016】
底扉7a,7bには複数の給気ノズル8a,8bが貫通しており、給気ノズル8a,8bは、それぞれ図示しないフレキシブルホース等の可撓性導管(図2参照)を介して、エアダクト等からなる乾溜酸素供給路9a,9b、及び、酸素供給路10を介して押込ファン等により構成された酸素供給源11に接続されている。
【0017】
乾溜酸素供給路9a,9bにはそれぞれ制御弁12a,12bが設けられ、制御弁12a,12bは弁駆動器13a,13bによりその開度が制御されるようになっている。この場合、弁駆動器13a,13bは、CPU等を含む電子回路により構成された制御装置14により制御される。
【0018】
さらに、乾溜炉2a,2bの下部には、それぞれ乾溜炉2a,2bに収容された廃棄物Aに着火するための着火装置15a,15bが取り付けられている。着火装置15a,15bは点火バーナ等により構成され、廃棄物Aに燃焼炎を供給する。
【0019】
燃焼炉4は、廃棄物Aの乾溜により生じる可燃性ガスとその完全燃焼に必要な酸素(空気)とを混合するバーナ部16と、酸素(空気)と混合された可燃性ガスを燃焼させる燃焼部17とからなり、燃焼部17はバーナ部16の下流側でバーナ部16に連通している。バーナ部16の上流側には、ガス通路3a,3bがそれぞれダンパ18a,18bを介して接続され、乾溜炉2a,2bにおける廃棄物Aの乾溜により生じた可燃性ガスがガス通路3a,3bを介してバーナ部16に導入される。
【0020】
バーナ部16の外周部には、その内部と隔離された空室(図示せず)が形成され、該空室はバーナ部16の内周部に穿設された複数のノズル孔(図示せず)を介してバーナ部16の内部に連通している。前記空室には、酸素供給路10から分岐する燃焼酸素供給路19が接続されている。
【0021】
燃焼酸素供給路19には制御弁20が設けられ、制御弁20は弁駆動器21によりその開度が制御されるようになっている。この場合、弁駆動器21は、制御装置14により制御される。
【0022】
バーナ部16の上流側には、燃焼装置22が取り付けられている。燃焼装置22は点火バーナ等により構成され、バーナ部16に導入された可燃性ガスに着火し、或いは燃焼炉4を加熱する。
【0023】
燃焼部17の下流側には、燃焼炉4内で燃焼された燃焼排気により加熱される温水ボイラ23が取り付けられている。温水ボイラ23の出口側には、温水ボイラ23から燃焼排気を排出するダクト24aが設けられており、ダクト24aは急冷塔25の上端部に接続されている。急冷塔25は、ダクト24aから導入される燃焼排気に散水して冷却するスプレー26を備えている。
【0024】
急冷塔25で冷却された燃焼排気は、急冷塔25の下部に接続されたダクト24bにより取出される。ダクト24bはバグフィルタ27の一方の端部に接続されており、ダクト24bからバグフィルタ27に導入される燃焼排気には薬剤サイロ28から供給される消石灰及び活性炭が混合され、硫黄酸化物(SO)の脱硫及び脱臭が行われる。バグフィルタ27の他方の端部には、ダクト24cが接続されており、ダクト24cは燃焼炉4内の燃焼排気を誘引する誘引ファン29を介して煙突30に接続されている。この結果、ダクト24cに流通される燃焼排気は、煙突30から大気中に放出される。
【0025】
乾溜ガス化焼却処理装置1において、廃棄物Aを焼却処理する際には、乾溜炉2aの場合を例として説明すると、まず、底扉7aが閉じた状態で乾溜炉2aの投入扉5aを開き、投入口6aから廃タイヤ等の廃棄物Aを乾溜炉2a内に投入する。次に、制御装置14により乾溜炉2aに対する廃棄物Aの投入が完了し、乾溜炉2aに廃棄物Aが収容されていることが検知されると、投入扉5aを閉じて乾溜炉2a内を密封状態としたのち、燃焼炉4の燃焼装置22を作動させることにより、燃焼炉4の予熱が開始される。
【0026】
次に、燃焼炉4内の温度が次第に上昇し、例えば760℃に達すると、制御装置14により弁駆動器13aが駆動されて制御弁12aの開度が所定の開度、例えば25%とされ、乾溜炉2aに酸素(空気)の供給が開始される。次に、制御装置14により、乾溜炉2aに対する廃棄物Aの投入の完了と、乾溜炉2aに廃棄物Aが収容されていること、ダンパ18aが開かれていることとが検知されると、乾溜炉2aの着火装置15aが作動されて廃棄物Aに着火され、廃棄物Aの部分的燃焼が開始される。
【0027】
次に、乾溜炉2aでは、制御装置14により弁駆動器13aが制御されて、制御弁12aの開度が段階的に増大される。これに伴って、乾溜炉2aにおける廃棄物Aの部分的燃焼は、次第に拡大して安定化し、廃棄物Aの底部に火床が形成される。
【0028】
前記火床が形成されると着火装置15aは停止され、廃棄物Aの部分的燃焼の熱により廃棄物Aの他の部分の乾溜が開始され、可燃性ガスの生成が始まり、該可燃性ガスはガス通路3aを介してバーナ部16に導入される。
【0029】
バーナ部16では、制御装置14により弁駆動器21が駆動されて制御弁20の開度が所定の開度とされ、酸素供給源11から酸素供給路10、燃焼酸素供給路19を介して酸素(空気)が供給されている。そこで、前記可燃性ガスは、燃焼酸素供給路19を介して供給される酸素(空気)と混合され、燃焼装置22から供給される燃焼炎により着火されて、燃焼部17における燃焼が開始される。
【0030】
乾溜炉2aにおける可燃性ガスの発生が活発になり、該可燃性ガスが燃焼炉4において自然燃焼を開始すると、燃焼炉4内の温度は次第に上昇し、予め設定された第1の温度(以下、第1の設定温度という)、例えば930℃に達する。
【0031】
前記可燃性ガスの燃焼により燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度に達すると、燃焼装置22が停止され、制御装置14は、前記可燃性ガスの燃焼により、燃焼炉4内の温度が該第1の設定温度に維持されるように制御弁12aの開度を調整し、乾溜炉2aにおける該可燃性ガスの生成をフィードバック制御する。
【0032】
このとき、乾溜炉2aでは、外気が侵入すると前記フィードバック制御の妨げとなるので、内部の圧力が大気圧に対して正圧となることが好ましいが、例えば、-0.1~0.0kPaの範囲の圧力であれば該フィードバック制御を妨げることなく、前記可燃性ガスの生成を行うことができる。
【0033】
燃焼部17における前記可燃性ガスの燃焼により発生する燃焼排気は、温水ボイラ23で冷却されてダクト24aに排出される。ダクト24aに排出された前記燃焼排気は、急冷塔25に導入されてさらに冷却され、ダクト24bに排出される。次に、ダクト24bに排出された前記燃焼排気は、薬剤サイロ28から供給される消石灰及び活性炭と混合されて脱硫及び脱臭され、バグフィルタ27に導入されて灰や塵埃等が除去された後、ダクト24cに排出され、さらに煙突30から大気中に放出される。
【0034】
乾溜炉2aにおける乾溜ガス化が進行し、乾溜炉2a内において可燃性ガスを生成させることができる廃棄物Aは殆ど失われると、第2の乾溜炉2bで生成した可燃性ガスが燃焼炉4に導入され、燃焼されるようになる。その後、乾溜炉2a内において乾溜により可燃性ガスを生成させることができる廃棄物Aは全く失われると、制御装置14は弁駆動器13aを介して制御弁12aの開度を所定の開度、例えば70%に維持し、乾溜炉2a内の廃棄物Aを灰化させる。そして、廃棄物Aが灰化した後は、制御装置14は弁駆動器13aを介して、制御弁12aが閉弁されるまでその開度を所定の割合で減少させる。
【0035】
乾溜炉2aでは、廃棄物Aの灰化が終了し、制御弁12aが閉弁されたならば、底扉7aを開いて灰化物の払い出し(灰出し)を行ったのち、底扉7aを閉じる。そして、投入扉5aを開き、投入口6aから廃タイヤ等の廃棄物Aを乾溜炉2a内に投入して、次回の処理を準備する。
【0036】
次に、図2を参照し、乾溜炉2aを例として、乾溜炉2aに対する酸素供給手段の構成について、説明する。
【0037】
前述のように、乾溜炉2aの下部は開閉自在の底扉7aとなっており、底扉7aは例えば中央で底扉7a、7aに別れ、観音開きのように開閉される。底扉7aには、複数の給気ノズル8aが貫通しており、給気ノズル8aは、フレキシブルホース等の可撓性導管31aを介して、エアダクト等からなる乾溜酸素供給路9aに接続されている。また、乾溜酸素供給路9aは、酸素供給路10を介して押込ファン等により構成された酸素供給源11に接続されている。
【0038】
可撓性導管31aは、両端に継手等からなる接続部32a、33aを備えており、接続部32aにより吸気ノズル8aに接続される一方、接続部33aにより乾溜酸素供給路9aに接続される。ここで、可撓性導管31aは、接続部32a、33aにより、吸気ノズル8a、乾溜酸素供給路9aに接続されるだけでは、乾溜炉2a内で廃棄物Aの異常燃焼が発生して乾溜炉2a内部が高圧になったときに、図2に仮想線示するように可撓性導管31aが接続部22aから脱落したり、可撓性導管31a自体が破裂する等して破損したりすることがある。
【0039】
そこで、本実施形態の乾溜炉2aでは、可撓性導管31aと乾溜酸素供給手段9aとを接続する接続部33aに隣接する位置、例えば、乾溜酸素供給手段9aの接続部33aに対向する位置に、乾溜炉2a内の圧力が所定の圧力、例えば5~6kPaを超えたときに開放される背圧弁34aを備える。背圧弁34aの数は多いほど好ましく、例えば、1つのフレキシブルホース等の可撓性導管31aに背圧弁34aを1つ、可撓性導管31aが複数あるときは、それぞれの可撓性導管31aに背圧弁34aを1つ設けることが好ましい。
【0040】
尚、前記所定の圧力は、乾溜酸素供給路9a及び酸素供給路10を介して乾溜炉2aに酸素(空気)を供給する酸素供給源11としての押込ファンの最大静圧よりも高い圧力に設定されている。
【0041】
背圧弁34aは、例えば、図3に示すように、L字管35と、L字管35の鉛直上方に開口する開口端部36を閉蓋する蓋部材37とを備え、開口端部36と反対側の端部で接続部33aに隣接する位置に接続される。蓋部材37は、軸38により揺動自在とされる一方、開口端部36方向に付勢する付勢部材39を備えている。
【0042】
この結果、背圧弁34aは、乾溜炉2a内の圧力が所定の圧力、例えば5~6kPaを超えたときに、蓋部材37が付勢部材39の付勢力に抗して開口端部36から離間する方向に揺動することにより、機械的に開放される。尚、背圧弁34aは、乾溜炉2a内の圧力が前記所定の圧力未満になると、再び付勢部材39の付勢力により蓋部材37が開口端部36方向に付勢され、開口端部36を閉蓋することにより閉鎖される。
【0043】
付勢部材39は、乾溜炉2a内の圧力が前記所定の圧力未満であるときに、蓋部材37を開口端部36方向に付勢することができればよく、錘であってもよく、バネ等の弾性部材であってもよい。
【0044】
乾溜炉2aでは、停電時でも廃棄物Aの異常燃焼が発生して乾溜炉2a内部が高圧になることがあるが、本実施形態の背圧弁34aは、上述のように乾溜炉2a内の圧力が所定の圧力を超えたときに、蓋部材37が機械的に開放されるので、停電時にも作動することができる。
【0045】
背圧弁34aは、可撓性導管31aと給気ノズル8aとを接続する接続部32a側に設けると、底扉7aの開閉時に開放され、他方の乾溜炉2b又は燃焼炉4に対する酸素の供給に支障を来す虞がある。
【0046】
尚、本実施形態では、乾溜炉2aの投入扉5aも、乾溜炉2a内部が高圧になったときに開いて乾溜炉2a内部の圧を逃がす機能を備えている。投入扉5aは、例えば、乾溜炉2a内の圧力が、例えば7~15kPaになったときに開くように設定されている。
【0047】
また、本実施形態では、乾溜炉2aを例として説明しているが、乾溜炉2bに対する酸素供給手段の構成も乾溜炉2aの場合と全く同一である。また、本実施形態では2基の乾溜炉2a、2bを備えるものとして説明しているが、乾溜炉は1基のみでもよく、3基以上であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…乾溜ガス化焼却処理装置、 2a,2b…乾溜炉、 4…燃焼炉、 7a、7b…底扉、 8a、8b…給気ノズル、 9a、9b…乾溜酸素供給手段、 31a、31b…可撓性導管、 34a、34b…背圧弁。
図1
図2
図3