(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】個別の接触面および真空面を有する真空ホイール
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231214BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 G
(21)【出願番号】P 2020508451
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(86)【国際出願番号】 IL2018050755
(87)【国際公開番号】W WO2019035115
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-07-09
(32)【優先日】2017-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518327073
【氏名又は名称】コア フロー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーガル アロン
(72)【発明者】
【氏名】レゲルバウム ヤーコヴ
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-116248(JP,A)
【文献】特開2010-116220(JP,A)
【文献】特開平09-132338(JP,A)
【文献】特開2012-229085(JP,A)
【文献】特開2010-126295(JP,A)
【文献】特開2010-245336(JP,A)
【文献】特開2000-198576(JP,A)
【文献】特開2003-261212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送するための真空ホイールであって、前記真空ホイールが、
吸引源に接続可能である固定導管と、
前記真空ホイールの周囲における少なくとも1つの真空面であって、前記真空面が、前記周囲に沿って分布している複数の真空開口部を含み、したがって、前記吸引源によって前記固定導管に吸引力が印加されるとき、前記複数の真空開口部のうち、前記固定導管にその時点で流体的に接続されている1つまたは複数の真空開口部に吸引力が印加されるように、前記真空ホイールの回転に起因して、前記複数の真空開口部の真空開口部が前記固定導管に連続して流体的に接続される、前記少なくとも1つの真空面と、
前記真空ホイールの前記周囲における少なくとも1つの接触面であって、前記少なくとも1つの接触面が、前記真空面に隣接しており、かつ前記真空面より外向きに突き出しており、前記真空面から距離を保持し、したがって、前記複数の真空開口部のうちの前記1つまたは複数の真空開口部に前記吸引力が印加されるとき、前記基板が、前記少なくとも1つの接触面に接触するように、かつ、前記真空ホイールが回転するときに前記基板を搬送するための摩擦力が前記少なくとも1つの接触面と前記基板との間に印加されるように、前記真空面の方に引っ張られ、前記距離は、前記基板が前記真空面に接触するのを妨げるのに十分な大きさである、前記少なくとも1つの接触面と、
を備えている、真空ホイール。
【請求項2】
前記複数の真空開口部が、1列に配置されている、請求項1に記載の真空ホイール。
【請求項3】
前記複数の真空開口部の一対の隣り合う真空開口部の間の距離が、実質的に一定である、請求項2に記載の真空ホイール。
【請求項4】
前記複数の真空開口部それぞれが、真空導管を介して前記真空ホイールのリム部の内面に接続されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の真空ホイール。
【請求項5】
前記固定導管の方位角範囲が、軸方向における前記固定導管の幅より長い、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の真空ホイール。
【請求項6】
前記固定導管の前記方位角範囲が、前記真空ホイールが回転するときに前記複数の真空開口部の少なくとも1つが前記固定導管につねに流体的に接続されているような十分な大きさである、請求項5に記載の真空ホイール。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接触面が2つの接触面を備えており、前記2つの接触面が前記真空面の両側に位置している、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の真空ホイール。
【請求項8】
前記2つの接触面が、前記真空面の前記真空開口部から等距離にある、請求項7に記載の真空ホイール。
【請求項9】
前記複数の接触面の接触面が、交換可能である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の真空ホイール。
【請求項10】
前記交換可能な接触面が、Oリングを備えている、請求項9に記載の真空ホイール。
【請求項11】
前記真空ホイールのリム部が、前記交換可能な接触面を所定の位置に保持する保持構造を含む、請求項9または請求項10に記載の真空ホイール。
【請求項12】
前記保持構造が溝を備えている、請求項11に記載の真空ホイール。
【請求項13】
前記真空ホイールを回転させるモータ、をさらに備えている、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の真空ホイール。
【請求項14】
基板を支持および搬送する非接触の支持テーブルであって、前記支持テーブルが、
前記支持テーブルの表面全体にわたり分布している複数の圧力孔と、
複数の真空ホイールであって、前記真空ホイールそれぞれが、前記真空ホイールそれぞれの端部が前記支持テーブルの表面より突き出すように前記支持テーブルに取り付けられている、前記複数の真空ホイールと、
を備えており、前記真空ホイールそれぞれが、
吸引源に接続可能である固定導管と、
前記真空ホイールの周囲における少なくとも1つの真空面であって、前記真空面が、前記周囲に沿って分布している複数の真空開口部を含み、したがって、前記吸引源によって前記固定導管に吸引力が印加されるとき、前記複数の真空開口部のうち、前記固定導管にその時点で流体的に接続されている1つまたは複数の真空開口部に記吸引力が印加されるように、前記真空ホイールの回転に起因して、前記複数の真空開口部の真空開口部が前記固定導管に連続して流体的に接続される、前記少なくとも1つの真空面と、
前記真空ホイールの前記周囲における少なくとも1つの接触面であって、前記少なくとも1つの接触面が、前記真空面に隣接しており、かつ前記真空面より外向きに突き出しており、前記真空面から距離を保持し、したがって、前記複数の真空開口部のうちの前記1つまたは複数の真空開口部に前記吸引力が印加されるとき、前記基板が、前記少なくとも1つの接触面に接触するように、かつ、前記真空ホイールが回転するときに前記基板を搬送するための摩擦力が前記少なくとも1つの接触面と前記基板との間に印加されるように、前記基板が前記真空面の方に引っ張られ、前記距離は、前記基板が前記真空面に接触するのを妨げるのに十分な大きさである、前記少なくとも1つの接触面と、
を備えている、
非接触の支持テーブル。
【請求項15】
前記支持テーブルが、複数のホイール開口部を備えており、前記真空ホイールそれぞれの前記端部が、前記複数のホイール開口部の1つのホイール開口部を通じて前記支持テーブルの表面より突き出している、請求項14に記載の非接触の支持テーブル。
【請求項16】
前記複数の真空ホイールの
各真空ホイールが、前記支持テーブルの表面に隣接して配置されている、請求項14または請求項15に記載の非接触の支持テーブル。
【請求項17】
複数のアイドラーホイールをさらに備えている、請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の非接触の支持テーブル。
【請求項18】
前記複数の
真空ホイールの
各真空ホイールの回転方向が、互いに平行である、請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の非接触の支持テーブル。
【請求項19】
前記複数の真空ホイー
ルの配置編成において、前記配置編成の各真空ホイールが、前記配置編成の、隣接する真空ホイールに対して横方向に回転されている、請求項14から請求項18のいずれか1項に記載の非接触の支持テーブル。
【請求項20】
基板を支持および搬送する支持システムであって、前記支持システムが、
回転軸が互いに平行である複数のアイドラーホイールと、
回転軸が前記アイドラーホイールの前記回転軸に平行である複数の真空ホイールと、
を備えており、前記真空ホイールそれぞれが、
吸引源に接続可能である固定導管と、
前記真空ホイールの周囲における少なくとも1つの真空面であって、前記真空面が、前記周囲に沿って分布している複数の真空開口部を含み、したがって、前記吸引源によって前記固定導管に吸引力が印加されるとき、前記複数の真空開口部のうち、前記固定導管にその時点で流体的に接続されている1つまたは複数の真空開口部に前記吸引力が印加されるように、前記真空ホイールの回転に起因して、前記複数の真空開口部の真空開口部が前記固定導管に連続して流体的に接続される、前記少なくとも1つの真空面と、
前記真空ホイールの前記周囲における少なくとも1つの接触面であって、前記少なくとも1つの接触面が、前記真空面に隣接しており、かつ前記真空面より外向きに突き出しており、前記真空面から距離を保持し、したがって、前記複数の真空開口部のうちの前記1つまたは複数の真空開口部に前記吸引力が印加されるとき、前記基板が、前記少なくとも1つの接触面に接触するように、かつ、前記真空ホイールが回転するときに前記基板を搬送するための摩擦力が前記少なくとも1つの接触面と前記基板との間に印加されるように、前記基板が前記真空面の方に引っ張られ、前記距離は、前記基板が前記真空面に接触するのを妨げるのに十分な大きさである、前記少なくとも1つの接触面と、
を備えている、
支持システム。
【請求項21】
基板を搬送するための真空ホイールであって、前記真空ホイールが、
吸引源に連通する開口が形成された固定構造部と、
前記固定構造部に回転可能に支持され、前記開口を介して前記吸引源に連通する複数の貫通孔を有するホイールリム部と、を備え、
前記ホイールリム部は、前記複数の貫通孔の開口が配置された円筒面と、前記円筒面よりも径方向外側に配置された少なくとも1つの接触面とを備え、
前記少なくとも1つの接触面は、前記円筒面から距離を保持し、前記距離は、前記基板が前記円筒面に接触するのを妨げるのに十分な大きさである、
真空ホイール。
【請求項22】
前記少なくとも1つの接触面は、前記円筒面と同心のリング形状を有する、
請求項21に記載の真空ホイール。
【請求項23】
前記少なくとも1つの接触面は、前記ホイールリム部の軸方向に沿って前記円筒面の両側に配置された一対の接触面を備えている、
請求項21または22に記載の真空ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ホイールに関する。より詳細には、本発明は、個別の接触面および真空面を有する真空ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな製造工程および試験工程では、薄い基板を設備の1つの領域から別の領域に運ぶ必要がある。薄い基板としては、例えば、フラット画面ディスプレイに組み込まれる薄いガラスが挙げられる。
【0003】
基板は、壊れやすいことがあるため、非接触支持台(noncontact support platform)によって支持しながら処理および搬送されることがある。例えば、非接触支持テーブルでは、基板を上に支える空気または別の流体のクッションが形成されるような方法で、空気または別の流体を流すことがある。したがって、テーブルの何らかの物理的構造との接触を防止するために、非接触支持テーブルから十分な距離において基板を支持することができる。
【0004】
薄い基板は、反ったり歪んだりすることがある。さらに、薄い基板は、不均一に支持されたとき、あるいは不均一な力がかかったときに曲がるように、いくらか可撓性を持つこともある。
【0005】
薄い基板を非接触支持台に沿って搬送する目的で、基板を横方向に推進させる機構が提供されている。この推進機構は、例えば、基板に接した状態で接触するように構成されているホイールを含むことができる。ホイールと基板の間の摩擦は、ホイールの回転によって、接触点の移動方向に基板を進めるのに十分な大きさとすることができる。基板とホイールの間の十分な摩擦を確保するために、基板をホイールに保持するための吸引力を印加することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の実施形態によれば、基板を搬送するための真空ホイールであって、吸引源に接続可能である固定導管と、真空ホイールの周囲における少なくとも1つの真空面であって、真空面が、周囲に沿って分布している複数の真空開口部を含み、したがって、吸引源によって固定導管に吸引力が印加されるとき、複数の真空開口部のうち、固定導管にその時点で流体的に接続されている1つまたは複数の真空開口部に吸引力が印加されるように、ホイールの回転に起因して、複数の真空開口部の真空開口部が固定導管に連続して流体的に接続される、少なくとも1つの真空面と、真空ホイールの周囲における少なくとも1つの接触面であって、少なくとも1つの接触面が、真空面に隣接しており、かつ真空面より外向きに突き出しており、したがって、複数の真空開口部のうちの1つまたは複数の真空開口部に吸引力が印加されるとき、基板が真空面に接触することなく少なくとも1つの接触面に接触するように、かつ、ホイールが回転するときに基板を搬送するための摩擦力が少なくとも1つの接触面と基板との間に印加されるように、基板が真空面の方に引っ張られる、少なくとも1つの接触面と、を含む、真空ホイール、を提供する。
【0007】
さらに、本発明の一実施形態によれば、複数の真空開口部は、1列に配置されている。
【0008】
さらに、本発明の一実施形態によれば、複数の真空開口部の一対の隣り合う真空開口部の間の距離は、実質的に一定である。
【0009】
さらに、本発明の一実施形態によれば、真空開口部それぞれは、真空導管を介して真空ホイールのリム部の内面に接続されている。
【0010】
さらに、本発明の一実施形態によれば、固定導管の方位角範囲(azimuthal extent)は、軸方向における固定導管の幅より長い。
【0011】
さらに、本発明の一実施形態によれば、固定導管の方位角範囲は、真空ホイールが回転するときに真空開口部の少なくとも1つが固定導管につねに流体的に接続されているような十分な大きさである。
【0012】
さらに、本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの接触面が2つの接触面を含み、これら2つの接触面が真空面の両側に位置している。
【0013】
さらに、本発明の一実施形態によれば、2つの接触面は、真空面の真空開口部から等距離にある。
【0014】
さらに、本発明の一実施形態によれば、複数の接触面の接触面は、交換可能である。
【0015】
さらに、本発明の一実施形態によれば、交換可能な接触面は、Oリングを含む。
【0016】
さらに、本発明の一実施形態によれば、真空ホイールのリム部は、交換可能な接触面を所定の位置に保持する保持構造を含む。
【0017】
さらに、本発明の一実施形態によれば、保持構造は溝を含む。
【0018】
さらに、本発明の一実施形態によれば、真空ホイールは、真空ホイールを回転させるモータを含む。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、基板を支持および搬送する非接触支持テーブルであって、テーブルの表面全体にわたり分布している複数の圧力孔と、複数の真空ホイールであって、真空ホイールそれぞれが、真空ホイールそれぞれの端部がテーブル表面より突き出すようにテーブルに取り付けられている、複数の真空ホイールと、を含み、真空ホイールそれぞれが、吸引源に接続可能である固定導管と、真空ホイールの周囲における少なくとも1つの真空面であって、真空面が、周囲に沿って分布している複数の真空開口部を含み、したがって、吸引源によって固定導管に吸引力が印加されるとき、複数の真空開口部のうち、固定導管にその時点で流体的に接続されている1つまたは複数の真空開口部に吸引力が印加されるように、ホイールの回転に起因して、複数の真空開口部の真空開口部が固定導管に連続して流体的に接続される、少なくとも1つの真空面と、真空ホイールの周囲における少なくとも1つの接触面であって、少なくとも1つの接触面が、真空面に隣接しており、かつ真空面より外向きに突き出しており、したがって、複数の真空開口部のうちの1つまたは複数の真空開口部に吸引力が印加されるとき、基板が真空面に接触することなく少なくとも1つの接触面に接触するように、かつ、ホイールが回転するときに基板を搬送するための摩擦力が少なくとも1つの接触面と基板との間に印加されるように、基板が真空面の方に引っ張られる、少なくとも1つの接触面と、を含む、非接触支持テーブル、をさらに提供する。
【0020】
さらに、本発明の一実施形態によれば、テーブルは、複数のホイール開口部を含み、真空ホイールそれぞれの端部が、複数のホイール開口部の1つのホイール開口部を通じてテーブル表面より突き出している。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態によれば、複数の真空ホイールの真空ホイールは、テーブル表面に隣接して配置されている。
【0022】
さらに、本発明の一実施形態によれば、非接触支持テーブルは、複数のアイドラーホイールを含む。
【0023】
さらに、本発明の一実施形態によれば、複数の真空ホイールの真空ホイールの回転方向は、互いに平行である。
【0024】
さらに、本発明の一実施形態によれば、複数の真空ホイールの真空ホイールの配置編成において、配置編成の各真空ホイールは、配置編成の、隣接する真空ホイールに対して横方向に回転されている。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、基板を支持および搬送する支持システムであって、本システムは、回転軸が互いに平行である複数のアイドラーホイールと、回転軸がアイドラーホイールの回転軸に平行である複数の真空ホイールと、を含み、真空ホイールそれぞれが、吸引源に接続可能である固定導管と、真空ホイールの周囲における少なくとも1つの真空面であって、真空面が、周囲に沿って分布している複数の真空開口部を含み、したがって、吸引源によって固定導管に吸引力が印加されるとき、複数の真空開口部のうち、固定導管にその時点で流体的に接続されている1つまたは複数の真空開口部に吸引力が印加されるように、ホイールの回転に起因して、複数の真空開口部の真空開口部が固定導管に連続して流体的に接続される、少なくとも1つの真空面と、真空ホイールの周囲における少なくとも1つの接触面であって、少なくとも1つの接触面が、真空面に隣接しており、かつ真空面より外向きに突き出しており、したがって、複数の真空開口部のうちの1つまたは複数の真空開口部に吸引力が印加されるとき、基板が真空面に接触することなく少なくとも1つの接触面に接触するように、かつ、ホイールが回転するときに基板を搬送するための摩擦力が少なくとも1つの接触面と基板との間に印加されるように、基板が真空面の方に引っ張られる、少なくとも1つの接触面と、を含む、支持システム、をさらに提供する。
【0026】
本発明が深く理解され、本発明の実用的な用途が理解されるようにする目的で、図が提供されており、以下の説明において参照する。これらの図は、例として提供されているにすぎず、本発明の範囲をいかようにも制限しないことに留意されたい。類似する要素は、類似する参照数字によって表してある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明の一実施形態による、個別の接触面および真空面を有する真空ホイールを概略的に示している。
【
図1B】
図1Aに示した真空ホイールの概略的な正面図である。
【
図2A】
図1Bに示した真空ホイールの概略的な断面図である。
【
図2B】
図1Aに示した真空ホイールの内部構造を概略的に示している。
【
図2C】固定真空導管に同時に流体的に接続されている、
図2Bに示した真空ホイールの2本の真空導管を概略的に示している。
【
図3】
図2Aに示した真空ホイールの断面の拡大図を、搬送される可撓性の基板とともに示している。
【
図4】
図1Aに示した真空ホイールを組み込んだ非接触支持テーブルを概略的に示している。
【
図5A】
図1Aに示した真空ホイールと、アイドラーホイールとを組み込んだ非接触支持テーブルを概略的に示している。
【
図5B】
図1Aに示した真空ホイールをテーブルの横に有する非接触支持テーブルを概略的に示している。
【
図5C】テーブルの片側にアイドラーホイールを有する、
図5Bに示した非接触支持テーブルを概略的に示している。
【
図6】基板を回転させるように配置されている、
図1Aに示した真空ホイールを有する非接触支持テーブルを概略的に示している。
【
図7】本発明の一実施形態による、真空ホイールおよびアイドラーホイールを有する基板搬送システムを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明には、本発明を完全に理解できるようにする目的で、膨大な具体的な細部を記載してある。しかしながら、この技術分野における通常の技術を有する者には、これらの具体的な細部を使用せずに本発明が実施され得ることが理解されるであろう。さらには、本発明が曖昧になることがないように、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット、および/または回路については、詳細には説明していない。
【0029】
本発明の実施形態は、以下の点において制限されることはないが、本明細書において使用されている語「複数」および「複数の」は、例えば、「多数」または「2つ以上」を含みうる。これらの語「複数」および「多数」は、本明細書全体を通じて、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータなどを記述するために使用されている。特に明記されていない限り、本明細書に記載されている方法の実施形態は、特定の順序または並びに制約されない。さらに、記載されている方法の実施形態またはその要素のいくつかが、同時に、または同じ時点において、または一斉に、起こるまたは実行されることができる。特に明記しない限り、本明細書において使用されている接続詞「または」は、包含的である(記載されているオプションのいずれか1つ以上またはすべて)ものと理解されたい。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、真空ホイールは、吸引力が印加される1つまたは複数の真空面を有するリム部を含む。この吸引力は、可撓性の基板をリム部の方に引っ張る。可撓性の基板に物理的に接触するように構成されている1つまたは複数の接触面は、リム部から真空面を超えて半径方向外側に突き出している。
【0031】
真空面は、真空ホイールのリム部に位置しており、リム部の周囲または外周に沿って延在している。真空面は複数の真空開口部を含み、これらの真空開口部に吸引力を印加することができる。真空開口部への吸引力の印加は、任意の時点において、真空面の周囲全体より小さい方位角範囲を有する1つの区画(section)内の真空開口部に吸引力が印加されるように、構成することができる。
【0032】
固定真空導管を、例えば、リム部の近くに配置することができる。外部の真空源からの吸引力をこの固定導管に印加することができる。真空ホイールが回転するとき、真空面の真空開口部のうち、その時点で固定導管に流体的に接続されている(例えばその容積が固定導管に開放されているかまたは隣接している)真空開口部のみに、吸引力が印加される。開口部が固定導管に同時に流体的に接続される、真空面の区画の方位角範囲(固定導管の方位角範囲または幅によって決まる)は、周囲全体より小さい。例えば、この区画の方位角範囲を、1つの真空開口部の方位角幅(azimuthal wadth)より広くすることができる。この方位角範囲は、わずか2つまたは3つの真空開口部が固定導管に同時に流体的に接続されるように十分に小さくてよい。場合によっては、この区画の方位角範囲を、3つまたは4つ以上の真空開口部が固定導管に同時に流体的に接続され得るような十分な大きさとすることができる。一般には、この区画および固定導管の方位角範囲は、接触面に同時に接触することが予期される可撓性基板の領域にほぼ等しい。真空開口部のサイズおよび分布は、真空ホイールが回転するときに、吸引力が印加される真空開口部の合計面積がほぼ一定のままであるように選択することができる。
【0033】
各真空面の両側に、リム部の周りに周方向に2つの接触面を配置することができる。したがって接触面は、真空面と同軸とすることができる。接触面は、真空面よりもリム部から持ち上がっている。各接触面は、例えば、ホイールのリム部の周りに配置することのできる材料のリング(例:Oリングまたは別のタイプのガスケット、ウォッシャー、またはバンド)(例えば円、楕円、多角形、またはそれ以外の形の断面を有する)によって形成することができる。リム部は、リングを所定の位置に保持するように構成されている溝、窪み、または他の構造を含むことができる。例えば、リングの弾性によって、溝または他の構造内にリングを保持することができる。溝の深さは、特定のタイプのリングが溝に保持されるとき、リングの外面が真空面から所定の距離にあるように設定することができる。これに代えて、またはこれに加えて、リングの形式の接触面を、接着剤、ピン、ねじを使用してリム部に取り付ける、またはそれ以外の方法でリム部表面に取り付ける、またはリム部表面に接着させることができる。
【0034】
例えば、1つまたは複数の真空ホイールを、非接触支持台の非接触支持テーブルに配置することができる。真空ホイールのリム部の端部は、非接触支持テーブルにおける開口部から突き出していることができる。真空ホイールの軸、真空ホイールを回転させるモータ、真空面の真空開口部に吸引力を印加する真空源、または真空ホイールもしくは真空ホイールを含むシステムの他の構成要素は、(例えばこれらの構成要素が、非接触支持台によって支持される可撓性基板に接触することを防止するために)非接触支持テーブルの表面より下方に配置することができる。
【0035】
いくつかの場合には、本システムは、非真空型のアイドラーホイールを含むことができる。例えば、各アイドラーホイールを、軸を中心に自由に回転するように構成することができる。各アイドラーホイールのリム部は、可撓性基板とアイドラーホイールのリム部との間に摩擦を発生させる材料(例:ゴム、シリコーン、フルオロエラストマ、ウレタン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、または別のポリマもしくはエラストマ)を含む、またはそのような材料によって覆うことができる。複数のアイドラーホイールを、それらの回転軸が互いに平行であるように、縦方向の1列または(例えば搬送方向に平行な)複数列に配置することができる。したがって、(例えば基板の平坦度、真空ホイールの回転速度、高さ、または摩擦係数の小さな変動、あるいはその他の変動に起因して)真空ホイールによってかかりうる回転トルクに抗する逆トルクを、複数の平行なアイドラーホイールと可撓性基板との間の摩擦によってもたらすことができる。
【0036】
非接触支持テーブルの表面に分布している真空ホイールに代えて、またはこれに加えて、可撓性基板の幅(例:可撓性基板の搬送方向に垂直である基板寸法)の一部のみが非接触支持台によって支持されるように、非接触支持台を構成することができる。この場合、ホイールは、(例えば搬送方向および中心領域の長手方向軸に実質的に垂直な非接触支持テーブルの片側または両側の側面に配置することができる。非接触支持台より横方向に突き出している可撓性基板の一方または両方の側縁部を支持するように、ホイールを構成することができる。場合によっては、真空ホイールを非接触支持テーブル内に配置せずに、非接触支持テーブルの側面にのみ配置してもよい。
【0037】
場合によっては、非接触支持テーブルの1つまたは複数の領域が、可撓性基板を回転させるように動作させることのできる、真空ホイールの円形の配置、円弧状の配置、または他の非平行な配置、を含むことができる。例えば、非接触支持台の分岐部または角部、あるいは搬送方向が変更される他の領域において、可撓性基板を回転させることができる。別の例としては、可撓性基板に対する製造工程または検査工程を実施する前に、可撓性基板を回転させることができる。
【0038】
可撓性基板は、非接触支持台によって支持することができる。
【0039】
非接触支持台の非接触支持テーブルは、可撓性基板の上方または下方に位置していることができる。例えば、流体ばね効果(fluidic spring effect)を示す非接触支持台を、(非接触支持テーブルの上方であるか下方であるかにかかわらず)可撓性基板を非接触支持テーブルから一定の距離において支持するように、構成することができる。したがって、支持される可撓性基板が、非接触支持テーブルの上方で支持されるものとして本明細書において説明されているとき、この説明は、非接触支持テーブルが、支持される可撓性基板の上方であるときにも適用されるものと理解されたい。本明細書においては、非接触支持台によって支持される可撓性基板の側である非接触支持テーブルの面を、非接触支持テーブルの上面と称する。本明細書では、非接触支持テーブルと、支持される可撓性基板との間の空間が、非接触支持テーブルの上、かつ可撓性基板の下であるものと説明してある。非接触支持テーブルと、非接触支持台によって支持される可撓性基板を基準とする他の方向も、上方および下方の上記の定義に関連して理解されたい。
【0040】
非接触支持台に沿って、または別の方式で(例えば独力で可撓性基板を支持するように互いに十分近くに位置決めされている複数の真空ホイールの上を、または真空ホイールおよびアイドラーホイールの配置編成の上を)、可撓性基板が搬送されるときには、可撓性基板の下方に位置している1つまたは複数の真空ホイールを動作させることができる。真空ホイールそれぞれの真空面に、真空源によって吸引力を印加することができる。こうして真空面の真空開口部に印加される吸引力が、真空ホイールの上方に位置している可撓性基板の一部を真空面の方に引っ張る。可撓性基板が真空面の方に引っ張られるため、可撓性基板が、真空面に隣接する接触面に接触する。
【0041】
可撓性基板が接触面に接触しているとき、接触面と可撓性基板との間の接触の領域によって、真空面を部分的に囲む密封部が形成されうる。密封部は、例えば、可撓性基板が接触面にほぼ接している、リム部における接触領域に形成されうる。したがって、この領域(例:接触領域)における吸引力を高めることができる。接触領域からの真空ホイールのリム部に沿った距離が増すにつれて、可撓性基板と接触面との間の空間が徐々に増大する。
【0042】
接触領域における密封部に起因して、部分的に囲まれる領域内の吸引力が、この領域の外側よりもその領域内で高くなりうる。結果として、可撓性基板と真空ホイールとの間の摩擦を、接触領域において最大にすることができる。増大した摩擦によって、真空ホイールの回転による可撓性基板の推進が促進されうる。その一方で、接触領域の外側の低減した吸引力によって、可撓性基板の過度な曲がりや他の障害なしにホイールの回転が促進されうる。
【0043】
真空ホイールの直径は、1つまたは複数の考慮事項に従って選択することができる。例えば、各真空ホイールの直径を大きくすると、可撓性の基板と真空ホイールとの間の接触の近傍における局所的な曲率が小さくなる。したがって、接触領域の大きさを増大させることができ、接触領域付近の摩擦力の一様性を高めることができる。その一方で、より小さい真空ホイールの回転は、より小型のモータまたはより低出力のモータによってもたらすことができる。これに加えて、より小さい真空ホイールは、非接触支持テーブル上の、より少ない空間を占有する。各真空ホイールのサイズを低減することによって、非接触支持テーブルにおける真空ホイールの数および密度を増大させることが可能になりうる。真空ホイールの数または密度が増大する結果として、可撓性基板を搬送するときの精度が高まりうる。いくつかの場合、真空ホイールの一般的な直径は、約50mm~約250mmの範囲内とすることができる。
【0044】
真空ホイールのセットは、一般には、非接触支持テーブルに沿ったさまざまな位置に配置することができる。真空ホイールの配置の選択は、代表的な可撓性基板の予期されるサイズ、可撓性基板の剛性または可撓性(例えば基板の材料の弾性率によって決まる)、要求される移動の精度、移動速度などの要因、または他の要因に依拠することができる。
【0045】
真空ホイールの配置は、可撓性基板にかかる回転トルクが制限される、または最小になるように選択することができる。回転トルクを制限することによって、可撓性基板を正確に位置決めして動かすことが可能になりうる。例えば、真空ホイールの対を、可撓性基板の中心線に対して対称的に配置することができる。各真空ホイールを、対称的に(例えば2つの接触面が各真空面を中心に対称的に配置された状態で)構築することができる。したがって、対称的に配置された真空ホイールの動作によって、(例えば可撓性基板の1つまたは複数の縁部または対称軸に平行である)直線方向の力を、可撓性基板にかけることができる。したがって可撓性基板が一方向に搬送されるときに、明らかな旋回なしに、あるいは相当なトルクがかかることなく、可撓性基板を実質的に直線に沿って搬送することができる。場合によっては、例えば可撓性基板の搬送方向が変更される分岐部または角部において、制御可能な角度を通じて可撓性基板を回転させるために、真空ホイールの円形の配置、または他の非平行な配置を設けることができる。
【0046】
図1Aは、本発明の一実施形態による、個別の接触面および真空面を有する真空ホイールを概略的に示している。
図1Bは、
図1Aに示した真空ホイールの概略的な正面図である。
【0047】
真空ホイールアセンブリ10は、真空ホイール12をその軸(シャフト孔32の、図に見えている外側端部によって示してある)を中心に回転させるように動作させることのできるホイールモータ20を含む。ホイールモータ20は、例えば、電気を動力とするモータまたは電気以外を動力とするモータを含むことができる。ホイールモータ20の回転速度は、真空ホイールアセンブリ10を含む非接触支持システムの制御装置によって制御することができる。
【0048】
真空ホイールアセンブリ10は、図示した例においては、ホイールモータ20を含む。真空ホイール12は、図示した例においては、ホイールモータ20によって直接回転される(例えば真空ホイール12のハブがホイールモータ20のシャフトに取り付けられている)。これに代えて、またはこれに加えて、1つまたは複数の真空ホイール12を、変速装置を介してホイールモータ20によって回転させることができる。変速装置は、例えば、1つまたは複数の歯車、ベルト、プーリー、または他の構成要素を含むことができる。場合によっては、2つ以上の真空ホイール12を、変速装置によって(例えばベルトによって)1つのホイールモータ20に接続することができる。
【0049】
真空ホイール12のホイールリム部27におけるホイールリム表面の上に非接触支持台によって支持されている可撓性基板に、真空ホイール12の回転によって横方向の力をかけることができる。この横方向の力は、搬送される可撓性基板がホイールリム表面14に接触する、ホイールリム表面14の部分における、ホイールリム表面14の回転方向にある。この例では、ホイールモータ20は、真空ホイール12を回転方向13に回転させる。接触領域17(
図1Bの概略的な正面図では1つの点として示してある)においてホイールリム表面14に接触する可撓性基板を、横方向の力によって搬送方向19に推進させることができる。
【0050】
ホイールリム表面14は、1つまたは複数の真空面15を含む。図示した例においては、1つの真空面15が、ホイールリム表面14の中心線またはその付近に位置している。
【0051】
真空面15は、複数の真空開口部16を含む。真空開口部16は、図示した例のように、1列に(例えば真空面15の中心線にほぼ沿って)配置することができる。これに代えて、またはこれに加えて、真空開口部を、別の方式で(例えば、同軸のいくつかの列に、または真空ホイール12の回転軸に平行である軸方向に向いた列に、または真空面15と同軸ではなくかつ真空ホイール12の回転軸に平行ではない斜めに向いた列に、またはそれ以外の方式で)、真空面15に配置することができる。一般には、真空開口部16の配置の分布は、真空面15の周囲に沿って均一である。例えば、図示したように真空開口部16が1列に配置されるとき、隣り合う真空開口部16の対の間の距離を、すべての隣り合う真空開口部16の対において実質的に一定とすることができる。
【0052】
真空開口部16に、吸引口26を介して吸引力を印加することができる。吸引口26は、例えば、真空ポンプ、送風機、または別の吸引源に、1本または複数のホース、管、パイプ、または他の導管を介して接続することができる。吸引源は、非接触支持テーブル内、または非接触支持テーブルの外側に配置することができる。場合によっては、非接触支持テーブルの真空ホイールアセンブリ10それぞれに、個別の吸引源を設けることができる。この場合、真空ホイールアセンブリ10それぞれにおける真空開口部16に印加される吸引力を制御する目的で、各吸引源を制御することができる。場合によっては、非接触支持台のいくつかの真空ホイールアセンブリ10またはすべての真空ホイールアセンブリ10を、例えばマニホールド導管を介して1つの吸引源に接続することができる。この場合、真空ホイールアセンブリ10それぞれの真空開口部16への吸引力を、マニホールド内の弁の配置によって個別に制御することができる。吸引源によって生成される真空の一般的な値は、約100mbar~約900mbarの範囲内、またはより一般的には約200mbar~約600mbarの範囲内とすることができる。別の真空レベルを提供してもよい。選択される真空レベルは、特定の真空ホイールアセンブリ10の特性に依拠することができる。
【0053】
接触面18は、ホイールリム表面14から真空面15よりも外向きに持ち上がっている。接触面18は、真空面15を中心に対称的に、かつ真空面15に隣接して配置することができる。例えば、一方の接触面18を、真空面15の一方の側に、真空面15と同軸に配置し、他方の接触面18を、真空面15の反対側に配置することができる。例えば、2つの接触面を、真空面15における1列の真空開口部16から軸方向に等距離とすることができる。
【0054】
ホイールリム表面14が2つ以上の真空面15を含む場合、各真空面15に隣接して一対の接触面18を配置することができる。
【0055】
接触面18は、ホイールリム表面14の周囲を囲む交換可能なリングを含むことができる。交換可能な接触面18は、例えば、汚染されたとき、汚れたとき、摩耗したとき、または損傷したときに、交換することができる。
【0056】
交換可能な接触面18としては、例えば、Oリング、ベルト、バンド、または類似する構造が挙げられる。接触面18を形成するために交換可能なリングを所定の位置に保持するための溝または別の保持構造を、ホイールリム表面14に設けることができる。これに代えて、またはこれに加えて、接触面18は、ホイールリム表面14に一体化された、または永久的に取り付けられた(例えば交換可能ではない)持ち上がった隆起部、を含むことができる。これに代えて、またはこれに加えて、リングの形式の接触面18を、接着剤、ピン、またはねじを使用して、ホイールリム表面14に取り付けることができ、または別の方法でホイールリム表面14に取り付けるかまたはホイールリム表面14に接着させる。
【0057】
各接触面18は、真空ホイール12が回転して真空面15の真空開口部16に吸引力が印加されるときに、可撓性基板に推進力をかけるように構成されている。接触面18は、この推進力をかけることを可能にするのに十分である摩擦係数を有する材料から作製することができる。この材料は、可撓性基板の種類に従って(例えば、傷が発生しないように、または他の損傷が発生しないように、または可撓性基板上に残留物が残らないように)、選択することができる。場合によっては、接触面18は、接触面18と可撓性基板との間に部分的な密封部が形成されるように(例えばその部分的な密封部の領域における吸引力の形成が促進されるように)十分に可撓性かつ弾性とすることもできる。可撓性材料としては、例えば、ゴム、シリコーン、フルオロエラストマ(合成ゴム)、ウレタン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または別のポリマもしくはエラストマ)が挙げられる。
【0058】
真空ホイールアセンブリ10は、取付け構造22に取り付けることができる。取付け構造22は、例えば、1つまたは複数の板、ブラケット、または他の構造を含むことができる。取付け構造22は、1つまたは複数のタイプの非接触支持テーブルに取り付けられるように、あるいは1つまたは複数の別のタイプのシステムに取り付けられるように、構成することができる。真空ホイールアセンブリ10は、1つまたは複数の取付け要素39によって取付け構造22に取り付けることができる。取付け要素39としては、例えば、ボルト、ねじ、リベット、クリップ、留め金、または真空ホイールアセンブリ10を取付け構造22に取り付けるのに適する他の要素、が挙げられる。
【0059】
真空ホイールアセンブリ10は、例えば、真空ホイールアセンブリ10の構造の大部分が非接触支持テーブルのテーブル表面11より下方に位置するように、非接触支持テーブル内に取り付けることができる。真空ホイール12のうち接触領域17を含む部分は、テーブル表面11から(例えば上方に)突き出していることができる。例えば、接触領域17は、真空ホイール12の回転による可撓性基板の搬送が促進されるような十分な距離だけ、テーブル表面11から突き出していることができる。
【0060】
図2Aは、
図1Bに示した真空ホイールの概略的な断面図である。
図2Aに示した概略的な断面図は、
図1Bにおいて断面IIとして示した断面に相当する。
【0061】
ホイールモータ20は、モータシャフト31を回転させるように構成されている。モータシャフト31は、真空ホイール12のホイールハブ35におけるシャフト孔32に挿入することができる。図示した例においては、シャフト孔32の外側端部は大気に開放されている。この開放によって、真空ホイールアセンブリ10を組み立てるときにモータシャフト31をシャフト孔32の中に挿入する、または真空ホイールアセンブリ10を分解するときにシャフト孔32からモータシャフト31を取り外すのが容易になりうる。
【0062】
ホイールハブ35におけるシャフト孔32は、真空ホイール12における1つまたは複数の止めねじ穴33を介して挿入することのできる1本または複数の止めねじによって、モータシャフト31に固定することができる。止めねじ穴33には、真空ホイール12内の1つまたは複数の孔(例えば
図2Aに示した断面図の平面の外側)を介してアクセスすることができる。
【0063】
これに代えて、またはこれに加えて、1つまたは複数の別の機構を利用して、真空ホイール12(例えば真空ホイール12のホイールハブ35)をホイールモータ20に固定することができる。例えば、真空ホイール12に、ホイールモータ20のソケットに挿入可能であるホイール軸(axle)を設けることができる、または、真空ホイール12およびホイールモータ20両方におけるソケットにホイール軸もしくはシャフトを挿入することができる。シャフトと、孔もしくはソケット、の一方または両方は、ねじ山部を含むことができる。シャフトと、孔もしくはソケットの形状は、協働する形で円筒形対称性(cylindrical symmetry)から逸脱してもよい(例えば多角形または楕円形とする、または協働する凸部および溝を含む、または別の形で円筒形対称性から逸脱することができる)。シャフトは、1つまたは複数のナット、ピン、クリップ、留め金、接着剤、または他の構造によって、孔に固定することができる。
【0064】
真空ホイール12は、真空ホイールの固定構造部23に対して回転するように構成されている。例えば、真空ホイールの固定構造部23の中央部が中空の空洞を形成しており、この空洞内で真空ホイール12のホイールハブ35が回転することができる。真空ホイール12のホイールリム部27は、真空ホイールの固定構造部23を囲んでおり、真空ホイールの固定構造部23の周りを回転することができる。
【0065】
真空ホイールの固定構造部23のうち、例えば一般には非接触支持テーブルの表面より下方に位置している部分は、取付け部29を含むことができる。取付け部29は、例えば、取付け要素39を使用して取付け構造22(例:金属板または他の適切な構造)に取り付けることができる。
【0066】
真空ホイールの固定構造部23の上側部分は、真空面15に吸引力を印加するための真空構造30を形成している。真空ホイール12が回転するとき、ホイールリム部27が真空構造30の周りを回転する。したがってホイールリム表面14上の真空面15の異なる領域が、真空構造30に隣接するように連続して運ばれる。真空面15のある領域が真空構造30に隣接するように運ばれたとき、真空面15のその領域における真空開口部16に真空構造30によって吸引力を印加することができる。
【0067】
図2Bは、
図1Aに示した真空ホイールの内部構造を概略的に示している。
【0068】
真空構造30は、吸引口26に流体的に接続されている吸引源導管36を含む。図示した例においては、吸引源導管36の端部(例:吸引源導管36を形成するための材料のブロックに孔が形成された端部)を、導管栓43によって閉じることができる。別の例(例えば吸引源導管36が他の方法によって形成されている場合)においては、吸引源導管36を別の方法で周囲大気から遮断することができる。吸引口26が吸引源に接続されているとき、吸引源によって生成される吸引力を、吸引口26を介して吸引源導管36に印加することができる。
【0069】
吸引源導管36は、真空構造30の固定真空導管34に流体的に接続されている。固定真空導管34は、可撓性基板に接触することが予期されるホイールリム表面14の領域における真空面15に吸引力を印加するように構成されている。固定真空導管34は、例えば、吸引源導管36を、(その時点で)最上部の真空面15の区画に接続することができる。
【0070】
真空開口部16は、真空面15の周囲に沿って分布させることができる。各真空開口部16は、ホイールリム部27における真空導管41に流体的に接続されている。各真空導管41は、ホイールリム部27の外面における真空開口部16から、ホイールリム部27の内面27aにおける内側端部41cまで延びている。ホイールリム部27が真空構造30の周りを回転することによって、ホイールリム部27における各真空導管41の各内側端部41cが、連続して固定真空導管34まで運ばれる。真空導管41の内側端部41cが固定真空導管34に隣接しているとき(図示した例における真空導管41aなど)、その真空導管41aと、その真空導管41aの外側端部における真空開口部16aとに吸引力を印加することができる。
【0071】
真空導管41の寸法および固定真空導管34の寸法は、2つ以上の真空導管41が固定真空導管34に同時に流体的に接続され得るように構成することができる。
【0072】
図2Cは、真空ホイールの固定真空導管に同時に流体的に接続されている、
図2Bに示した真空ホイールの2本の真空導管を概略的に示している。
【0073】
一般に、固定真空導管34は、各真空導管41の内側端部41cの方位角範囲より大きい(例えば真空ホイール12の回転方向に平行な)方位角方向42における方位角範囲を有することができる。固定真空導管34の断面の形状は、例えば、方位角方向42における方位角範囲が軸方向(例:方位角方向42に垂直でありかつ真空ホイール12の回転軸に平行)における幅よりも大きい細長い円、または(例えば図示した例のような)丸みを帯びた長方形の形とすることができる。固定真空導管34の方位角範囲は、ホイールリム部27および真空面15が回転している間つねに、少なくとも1本の真空導管41の内側端部41cの少なくとも一部が固定真空導管34につねに流体的に接続されているようにするのに十分な大きさとすることができる。少なくとも1本の真空導管41がつねに固定真空導管34に流体的に接続されているようにすることによって、真空ホイール12によって搬送される可撓性基板に印加される吸引力の変動を制限することができる。特に、少なくとも1本の真空導管41がつねに固定真空導管34に流体的に接続されているようにすることによって、真空面15と、可撓性基板と、接触面18とによって囲まれる体積中に、ほぼ均一かつ一定の吸引流(suction flow)を確保することができる。場合によっては、真空導管41の寸法および固定真空導管34の寸法は、真空ホイール12が回転するときに重なり領域41b(例:固定真空導管34にその時点で流体的に接続されている真空導管41の内側端部41cの合計領域を示している)がほぼ一定であるように、設定することができる。
【0074】
図示した例においては、真空導管41は円形断面を有するものとして示してあるが、真空導管41の断面の形状もしくは真空開口部16の断面の形状またはその両方を、楕円形、多角形、または円以外の他の形状とすることができる。
【0075】
場合によっては、固定真空導管34の軸方向の寸法を、真空導管41の軸方向の寸法より広くすることができる。場合によっては、2つ以上の真空開口部16を、共通の真空導管に流体的に接続することができる。
【0076】
場合によっては、真空構造30は、アクセス孔37を含むことができる。アクセス孔37は、例えば、固定真空導管34の中、または真空構造30内の他の部分の中の空気または別の流体の圧力もしくは他の特性を監視するセンサーを挿入するために利用することができる。アクセス孔37の中にセンサーが挿入されないときには、適切な栓、カバー、シーラント、または他の方法でアクセス孔37を閉じるかまたは密封することができる。
【0077】
図3は、
図2Aに示した真空ホイールの断面の拡大図を、搬送される可撓性基板とともに示している。
【0078】
図示した例においては、各接触面18は、Oリングの形式である。接触面18を形成している各Oリングは、Oリング溝48の中に保持されている。Oリング溝48の深さは、接触面18が真空面15から距離44だけ突き出すように設定することができる。距離44は、図示した例においては、真空面15の(および図示した例においてはリム部外面38の)半径方向位置を示す線46と、接触面18の上部との間で、測定される。これに代えて、またはこれに加えて、Oリングの形式または別の形式の交換可能な接触面18を保持するための別の保持構造を設けることができる。
【0079】
距離44は、例えば、可撓性基板40を接触面18に保持するために過度な吸引力が必要とされないように、十分に小さく選択することができる。同様に、距離44は、(例えば、可撓性基板40が真空開口部16に接触することに起因する不均一な吸引力を防止するために、または可撓性基板40に生じうる損傷を防止するために、または可撓性基板40の搬送の正確な制御を可能にするために)、可撓性基板40(真空面15の方に内向きに曲がりうる)と真空面15とが直接接触することを防止するために、十分に大きくすることができる。例えば、距離44は、約50μm~約1000μmの範囲内、または場合によっては、約100μm~約500μmの範囲内とすることができる。距離44は別の値を有してもよい。
【0080】
真空導管41が固定真空導管34まで回転すると、その真空導管41に流体的に接続されている真空開口部16に吸引力を印加することができる。可撓性基板40は、例えば、真空ホイール12を完全に、または部分的に囲んでいる非接触支持台によって支持することができる。真空開口部16に印加される吸引力によって、可撓性基板40が真空面15の方に引っ張られうる。
【0081】
可撓性基板40が真空面15の方に引っ張られるとき、可撓性基板40は、接触点50において接触面18に接触しうる。(図示した例においては、可撓性基板40は平坦として示してあるが、一般的な可撓性基板40は、吸引力に応えて曲がりうる、または事前に存在する曲がりを有しうる、または別の力に応えて曲がりうる) 空気の流入を低減する不完全な密封部が、接触点50に形成されうる。したがって、接触点50の間の吸引領域52において吸引力を高めることができる。ホイールリム部27の幅および吸引領域52の幅は、可撓性基板40が真空面15に物理的に直接接触しないように、接触面18の間での可撓性基板40の内向きの張り出しが十分に小さいようにするため、十分に小さく選択することができる。その一方で、吸引力、したがって可撓性基板40の内側の空気圧と外側の空気圧の差に起因して可撓性基板40にかかる内向きの法線力(この力は、圧力差と、圧力差がかかる面積の積に等しい)が印加される面積が、可撓性基板40を接触面18に接触した状態に保持するうえで十分であるように、吸引領域52の幅を十分に大きいように設定することができる。例えば、吸引領域52の幅は、約5mm~約50mmの範囲内とすることができる。吸引領域52の幅は別の値を有してもよい。
【0082】
非接触支持台を形成するように構成されている非接触支持テーブルに、複数の真空ホイールアセンブリ10を組み込むことができる。これに代えて、またはこれに加えて、非接触支持台が存在しないとき、真空ホイール、または真空ホイールおよびアイドラーホイールの配置編成(例:この場合に真空ホイールおよび/またはアイドラーホイールは互いに十分に近くに配置されている)を、可撓性基板を支持するように構成することができる。
【0083】
図4は、
図1Aに示した真空ホイールを組み込んだ非接触支持テーブルを概略的に示している。
【0084】
非接触支持台システム60は、可撓性基板40を最小限の物理的接触で支持および搬送するように構成されている。
【0085】
非接触支持台システム60の非接触支持テーブル62は、非接触支持台を形成するように構成されている。例えば、非接触支持テーブル62の表面に、複数の圧力孔を分布させることができる。例えば、各圧力孔を圧力源に(例:圧力源に接続されているマニホールドに)接続することができる。複数の圧力孔の間に真空孔を分布させることができる。例えば、各真空孔を真空源に(例:真空源に接続されているマニホールドに)接続することができる。場合によっては、圧力孔および真空孔を、流体ばね効果を発生させるように構成することができる。流体ばね効果は、非接触支持テーブル62の表面から一定の距離に可撓性基板40を支持するように構成することができる。
【0086】
非接触支持テーブル62は、複数のホイール開口部64を含む。ホイール開口部64のいくつかまたはすべての中に、真空ホイール12を取り付けることができる。例えば、真空ホイールアセンブリ10を、その真空ホイール12の上側部分がホイール開口部64から突き出すように、例えば取付け構造22を使用して非接触支持テーブル62に取り付けることができる。
【0087】
図示した例においては、すべてのホイール開口部64および真空ホイール12が、互いに平行な向きにある。したがって、真空ホイール12の動作によって、両方向矢印66によって示した方向に可撓性基板40を搬送することができる。動作している真空ホイール12それぞれの真空面15における真空開口部16には、その真空ホイール12が(両方向矢印66に垂直な)自身の軸を中心に回転しているとき、吸引力を印加することができる。印加される吸引力によって、可撓性基板40が接触面18の方に引っ張られうる。可撓性基板40と接触面18との間の、結果として増大する摩擦によって、真空ホイール12の回転による可撓性基板40の搬送が促進されうる。
【0088】
別の配置編成においては、真空ホイール12のいくつかを、別の真空ホイール12に垂直な向きにする、または斜角の向きにすることができる。例えば、異なる向きの真空ホイール12を動作させて、可撓性基板40を異なる方向に搬送することができる。場合によっては、非接触支持テーブル62への真空ホイールアセンブリ10の取り付けによって、真空ホイール12の上げ下げを可能にすることができる。例えば、可撓性基板40の意図される搬送方向に平行な向きにある(例えば回転方向が平行な向きにある)真空ホイール12を、上げることができる。真空ホイール12が上がっているときには、真空面15における真空開口部16への吸引力の印加によって、可撓性基板40と接触面18との間の摩擦が増大し、可撓性基板40の搬送を促進することができる。意図される搬送方向に平行な向きにない真空ホイール12は、下げることができる。搬送方向に平行な向きにない真空ホイール12を下げることによって、それらの真空ホイール12が可撓性基板40の搬送と干渉することを防ぐことができる。
【0089】
図示した例においては、真空ホイール12の対が、列68に配置されている。場合によっては、3つ以上の平行な真空ホイール12を、1つの列68に配置することができる。列68における真空ホイール12は、(例:例えば両方向矢印66によって示される搬送方向に実質的に垂直である方向における)予期される横方向位置に関して横方向に対称的に配置されるように、配置することができる。例えば、可撓性基板40の(例えば両方向矢印66によって示される搬送方向に平行である)中心線70の異なる側にある真空ホイール12の対が、中心線70から等距離であるように、1つの列68における真空ホイール12を配置することができる。
【0090】
一般には、1つの列68における真空ホイール12を、互いに実質的に同じにすることができ、かつ協力して動作させることができる。協力して動作させるときには、例えば、1つの列68におけるすべての真空ホイール12を実質的に同じ回転速度で回転させることができ、その列68におけるすべての真空ホイール12の真空開口部16に、実質的に同じ吸引力を印加することができる。
【0091】
一例においては、1対の真空ホイール12によって可撓性基板40に印加される搬送力は(例えば、材料、動作のパラメータ、および他の要因に依拠して)、約100グラム重~約2000グラム重の範囲内とすることができる。各列68における真空ホイール12の数を増やすことによって、力の範囲を増大させることが可能である。同様に、可撓性基板40に印加される総搬送力は、その可撓性基板40によって同時に覆われる列68の数に依拠しうる。例えば、図示した例におけるように、可撓性基板40が2つの列68を覆うときには、可撓性基板40に印加される搬送力を、1つの列68を覆う類似して構築されている基板に印加される力より大きくすることができる。同様に、図示したように2つの列68を覆う可撓性基板40に印加される搬送力は、3つ以上の列68を覆う類似して構築されている基板に印加される力より小さくすることができる。
【0092】
可撓性基板40の中心線70に対して、少なくとも2つの真空ホイール12を対称的に配置するとともに、これら対称的に配置された真空ホイール12を協力して動作させることによって、可撓性基板40への回転トルク(例:ヨー)の印加を低減または排除することができる。したがって、可撓性基板40の搬送を正確に制御することができる。
【0093】
別の場合においては(例えば、幅の狭い可撓性基板40を搬送するとき、または回転トルクがかかりうることが問題とみなされないときには)、各列68が、1つの真空ホイール12を含むことができる。このような場合、例えば、複数の異なる列68における真空ホイール12を、互いに直線状に(例えば可撓性基板40の中心線70に実質的に沿って)整列させることができる。別の例においては、複数の異なる列68における真空ホイール12を、1つの真空ホイール12によってかかる回転トルクが、別の真空ホイール12によってかかる実質的に等しい逆の回転トルクによって対抗されうるように、配置することができる。
【0094】
真空ホイール12は、それ以外の方式において、非接触支持テーブル上に配置してもよい。
【0095】
図5Aは、
図1Aに示した真空ホイールと、アイドラーホイールとを組み込んだ非接触支持テーブルを概略的に示している。
【0096】
非接触支持台システム70においては、ホイール開口部64のいくつかがアイドラーホイール72を含む。アイドラーホイール72は、例えば、駆動されないでよく、ベアリング(リム部に接線方向の力が印加されたときにアイドラーホイール72が自身の軸を中心に自由に回転することを可能にする)に取り付けることができる。その一方で、可撓性基板40とアイドラーホイール72との間に摩擦が発生するように、アイドラーホイール72のリム部を構成することができる。この摩擦によって、可撓性基板40がアイドラーホイール72に対して横方向に摺動することが防止されうる。したがって可撓性基板40を、アイドラーホイール72が回転可能な(例:両方向矢印66によって示した方向に平行な)方向にのみ動くように、制限することができる。したがって、アイドラーホイール72を組み込んだ非接触支持台システム70では、アイドラーホイール72を含まないシステム(例:非接触支持台システム60)よりも必要な真空ホイール12が少ない。
【0097】
図示した例においては、アイドラーホイール72は、真空ホイール12の別の1列に平行である1つの列に配置されている。これに代えて、またはこれに加えて、真空ホイール12およびアイドラーホイール72を、別の方式で配置することができる。このような代替の配置または追加の配置では、真空ホイール12およびアイドラーホイール72の回転方向は、互いに平行であり、かつ、両方向矢印66によって示した可撓性基板40の搬送方向に平行とすることができる。
【0098】
場合によっては、真空ホイール12を、非接触支持テーブル62の表面内のホイール開口部64の中ではなく、非接触支持テーブル62の横に配置することができる。
【0099】
図5Bは、
図1Aに示した真空ホイールをテーブルの横に有する非接触支持テーブルを概略的に示している。
【0100】
非接触支持台システム80においては、真空ホイール12は、非接触支持テーブル62に隣接して配置されている。真空ホイール12は、各真空ホイール12のホイールリム部27が非接触支持テーブル62の上方に(例:表面を超えて可撓性基板40の方に)突き出しているように、配置されている。
【0101】
真空ホイール12は、非接触支持テーブル62の片側に1列に示してあるが、代替の非接触支持台システム80は、別の方式で配置されている真空ホイール12を含むことができる。例えば、真空ホイール12を、非接触支持テーブル62の両側に(例えば対称的に、または別の方式で)2つ以上の列に配置する、または(例えば真空ホイール12の回転方向が、互いに平行であり、かつ両方向矢印66によって示した可撓性基板40の搬送方向に平行である)別の方式で、配置することができる。
【0102】
図5Cは、テーブルの片側にアイドラーホイールを有する、
図5Bに示した非接触支持テーブルを概略的に示している。
【0103】
非接触支持台システム82においては、真空ホイール12に加えて、アイドラーホイール72が非接触支持テーブル62に隣接して配置されている。図示した例においては、アイドラーホイール72は、真空ホイール12の別の1列に平行である1つの列に配置されている。これに代えて、またはこれに加えて、真空ホイール12およびアイドラーホイール72を、別の方式で配置することができる。このような代替の配置または追加の配置では、真空ホイール12およびアイドラーホイール72の回転方向を、互いに平行であり、かつ、両方向矢印66によって示した可撓性基板40の搬送方向に平行とすることができる。
【0104】
場合によっては、非接触支持テーブル62の一部分に、可撓性基板40を回転させるための真空ホイール12を配置することができる。
【0105】
図6は、基板を回転させるように配置されている、
図1Aに示した真空ホイールを有する非接触支持テーブルを概略的に示している。
【0106】
非接触支持台システム84においては、真空ホイール12は、可撓性基板40を横方向に回転させるように構成されているホイール配置編成88に配置されている。ホイール配置編成88においては、各真空ホイール12が配置編成88内の自身に隣接する真空ホイール12に対してある角度に回転しているように、複数の真空ホイール12が配置されている。場合によっては、ホイール配置編成88の隣り合う真空ホイール12の各対の間の角度を、このような隣り合う真空ホイール12のすべての対において同じとすることができる。例えば、ホイール配置編成88は、8つの真空ホイール12の場合には、図示した例のように、ほぼ八角形とすることができ、または(例えば9つ以上または7つ以下である複数の真空ホイール12のホイール配置編成88の場合に)別の配置編成を有することができる。場合によっては、すべての真空ホイール12の回転軸が、ほぼ1点において交差することができる。
【0107】
可撓性基板40を回転させる目的で、すべての真空ホイール12を、1つの回転方向(例えばホイール配置編成88の中心からの半径に対して、かつホイール配置編成88内の各真空ホイール12の半径を通じて定義される回転方向)に、同時に回転させることができる。(場合によっては、例えばホイール配置編成88が多数の真空ホイール12を含むとき、真空ホイール12の一部またはアイドラーホイール72を自由に回転できるようにすることができる) ホイール配置編成88の真空ホイール12が一方向に回転するとき、可撓性基板40を回転方向86に回転させることができる。
【0108】
場合によっては、可撓性基板40を、非接触支持テーブル62なしに、真空ホイール12およびアイドラーホイール72の配置編成によって支持および搬送することができる。
【0109】
図7は、本発明の一実施形態による、真空ホイールおよびアイドラーホイールを有する基板搬送システムを概略的に示している。
【0110】
支持システム90においては、可撓性基板40は、アイドラーホイール72および真空ホイール12の配置編成によって支持される。図示した例においては、アイドラーホイール72の複数の平行な列の間に、真空ホイール12の1列が配置されている。これに代えて、またはこれに加えて、真空ホイール12およびアイドラーホイール72を、別の方式で配置することができる。このような代替または追加の配置編成においては、真空ホイール12およびアイドラーホイール72の回転方向と、それらの回転軸は、互いに平行であり、かつ、両方向矢印66によって示した可撓性基板40の搬送方向に平行とすることができる。
【0111】
本明細書にはさまざまな実施形態が開示されている。特定の実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴と組み合わせることができ、したがって特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組合せとすることができる。本発明の実施形態のここまでの説明は、実例および説明を目的として提示してある。あらゆるケースを網羅することを意図しておらず、開示されている正確な形態に本発明を制限することも意図していない。当業者には、上記の教示内容に照らして、多数の修正形態、変形形態、置き換え、変更、および等価形態が可能であることが理解されるであろう。したがって、添付の請求項は、本発明の正確な趣旨の範囲に入る修正および変更すべてを包含するように意図されていることを理解されたい。
【0112】
ここまで本発明の特定の特徴を図解および説明してきたが、この技術分野における通常の技術を有する者には、数多くの修正、置き換え、変更、および等価物が明らかであろう。したがって、添付の請求項は、本発明の正確な趣旨の範囲に入る修正および変更すべてを包含するように意図されていることを理解されたい。