(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】給水装置及び可動式制御盤装置
(51)【国際特許分類】
F04B 23/02 20060101AFI20231214BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20231214BHJP
F04D 13/16 20060101ALI20231214BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F04B23/02 B
F04B53/00 J
F04D13/16 B
F04D29/00 B
(21)【出願番号】P 2021178199
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000133939
【氏名又は名称】テラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】松野 伸
(72)【発明者】
【氏名】繁田 浩志
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-25774(JP,A)
【文献】実開昭48-112940(JP,U)
【文献】特開2004-92088(JP,A)
【文献】特開2005-133645(JP,A)
【文献】特開平9-261807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 23/00-23/14、
53/00-53/22
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット型の給水装置であって、
キャビネットと、
前記キャビネット内に収納され、吸込口、吐出口、及びポンプを有する、配管装置と、
可動式制御盤装置と、
を備え、
前記可動式制御盤装置は、
前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納可能に構成された、制御盤と、
前記制御盤を前記キャビネットに対して移動可能に支持するように構成された、制御盤支持装置と、
を有し、
前記制御盤は、前記制御盤支持装置により、前記制御盤が前記キャビネットの内部に収納され前記制御盤の底板の内部部品搭載面が上側を向いた収納状態となった後、前記制御盤が前側へ引き出された引出状態となり、その後、前記制御盤が下側へ回転されることによって前記制御盤の前記底板の前記内部部品搭載面が前側を向いた展開状態となることができるようにされて
おり、
前記制御盤支持装置は、前記制御盤の左右両側に設けられた一対の制御盤支持部を有しており、
各前記制御盤支持部は、それぞれ、
前記キャビネットの側壁に固定され、前後方向に延在する、被摺動部材と、
回転軸用挿通穴を有する、中間板と、
前記中間板に固定され、前記被摺動部材に対して前後方向に摺動可能に構成された、摺動部材と、
前記制御盤に固定され、左右方向に延在し、前記中間板の前記回転軸用挿通穴に挿通された、回転軸と、
を有している、給水装置。
【請求項2】
各前記制御盤支持部は、それぞれ、
前記制御盤が前記引出状態から前記展開状態までの間の状態にあるときにおいて、前記被摺動部材に対する前記摺動部材の後方への移動を規制できるように構成された、後方移動規制部材
をさらに有している、請求項
1に記載の給水装置。
【請求項3】
各前記制御盤支持部は、それぞれ、
前記制御盤に固定され、左右方向に延在する、突起部材
をさらに有し、
各前記制御盤支持部の前記中間板は、それぞれ、上側が開放された突起部材用挿通穴を有しており、
各前記突起部材用挿通穴は、それぞれ、前記中間板の上端から下方へ延在し前記中間板の下端に至る手前で終端する縦穴部と、前記縦穴部の下端部から前方へ延在し前記中間板の前端に至る手前で終端する横穴部と、を有し、
各前記制御盤支持部は、前記制御盤が前記収納状態から前記引出状態までの間の状態にあるとき、前記突起部材が前記突起部材用挿通穴の前記横穴部内に位置するように構成されており、
前記制御盤は、前記制御盤支持装置により、前記引出状態になった後、各前記制御盤支持部において前記突起部材が前記突起部材用挿通穴の外部において前記中間板の前端よりも前側へ移動された後に、前記回転軸の周りで下側へ回転されることができるように構成されている、請求項
1又は
2に記載の給水装置。
【請求項4】
各前記制御盤支持部の前記中間板のうちの少なくとも一方は、左右方向内側へ延在する上側回転規制部材を有しており、
前記上側回転規制部材は、前記制御盤が前記引出状態になった後に前記突起部材が前記突起部材用挿通穴の外部に位置するまで前記制御盤が前記回転軸の周りで上側へ回転されたときに、前記制御盤と干渉し、それにより、前記制御盤が前記回転軸の周りでさらに上側へ回転されるのを規制するように構成されている、請求項
3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御盤が前記展開状態にあるとき、前記制御盤と少なくとも一方の前記中間板とは、締結部材によって、互いに固定されることができるように構成されている、請求項
1~
4のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記制御盤は、前記制御盤の前板の下側に、取っ手を有している、請求項1~
5のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の給水装置に用いられるように構成された、前記可動式制御盤装置であって、
前記可動式制御盤装置は、
前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納可能に構成された、前記制御盤と、
前記制御盤を前記キャビネットに対して移動可能に支持するように構成された、前記制御盤支持装置と、
を有している、可動式制御盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給水装置及び可動式制御盤装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、キャビネット型の給水装置において、キャビネット内に、配管装置と、制御盤と、を備えたものがある(例えば、特許文献1)。配管装置は、吸込配管に接続される吸込口と、吐出配管に接続される吐出口と、ポンプと、を有している。制御盤は、配管装置よりも上側に配置され、キャビネットから引き出し可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来の給水装置においては、メンテナンス時において、制御盤を引き出した状態で制御盤を上側からメンテナンスする必要があるが、制御盤から天井までのスペースが狭い場合に、制御盤のメンテナンス作業がしにくいおそれがあった。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためのものであり、制御盤のメンテナンス作業性を向上できる、給水装置及び可動式制御盤装置を、提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給水装置は、
キャビネット型の給水装置であって、
キャビネットと、
前記キャビネット内に収納され、吸込口、吐出口、及びポンプを有する、配管装置と、
可動式制御盤装置と、
を備え、
前記可動式制御盤装置は、
前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納可能に構成された、制御盤と、
前記制御盤を前記キャビネットに対して移動可能に支持するように構成された、制御盤支持装置と、
を有し、
前記制御盤は、前記制御盤支持装置により、前記制御盤が前記キャビネットの内部に収納され前記制御盤の底板の内部部品搭載面が上側を向いた収納状態となった後、前記制御盤が前側へ引き出された引出状態となり、その後、前記制御盤が下側へ回転されることによって前記制御盤の前記底板の前記内部部品搭載面が前側を向いた展開状態となることができるようにされている。
【0007】
本発明の給水装置において、
前記制御盤支持装置は、前記制御盤の左右両側に設けられた一対の制御盤支持部を有しており、
各前記制御盤支持部は、それぞれ、
前記キャビネットの側壁に固定され、前後方向に延在する、被摺動部材と、
回転軸用挿通穴を有する、中間板と、
前記中間板に固定され、前記被摺動部材に対して前後方向に摺動可能に構成された、摺動部材と、
前記制御盤に固定され、左右方向に延在し、前記中間板の前記回転軸用挿通穴に挿通された、回転軸と、
を有していると、好適である。
【0008】
本発明の給水装置において、
各前記制御盤支持部は、それぞれ、
前記制御盤が前記引出状態から前記展開状態までの間の状態にあるときにおいて、前記被摺動部材に対する前記摺動部材の後方への移動を規制できるように構成された、後方移動規制部材
をさらに有していると、好適である。
【0009】
本発明の給水装置において、
各前記制御盤支持部は、それぞれ、
前記制御盤に固定され、左右方向に延在する、突起部材
をさらに有し、
各前記制御盤支持部の前記中間板は、それぞれ、上側が開放された突起部材用挿通穴を有しており、
各前記突起部材用挿通穴は、それぞれ、前記中間板の上端から下方へ延在し前記中間板の下端に至る手前で終端する縦穴部と、前記縦穴部の下端部から前方へ延在し前記中間板の前端に至る手前で終端する横穴部と、を有し、
各前記制御盤支持部は、前記制御盤が前記収納状態から前記引出状態までの間の状態にあるとき、前記突起部材が前記突起部材用挿通穴の前記横穴部内に位置するように構成されており、
前記制御盤は、前記制御盤支持装置により、前記引出状態になった後、各前記制御盤支持部において前記突起部材が前記突起部材用挿通穴の外部において前記中間板の前端よりも前側へ移動された後に、前記回転軸の周りで下側へ回転されることができるように構成されていると、好適である。
【0010】
本発明の給水装置において、
各前記制御盤支持部の前記中間板のうちの少なくとも一方は、左右方向内側へ延在する上側回転規制部材を有しており、
前記上側回転規制部材は、前記制御盤が前記引出状態になった後に前記突起部材が前記突起部材用挿通穴の外部に位置するまで前記制御盤が前記回転軸の周りで上側へ回転されたときに、前記制御盤と干渉し、それにより、前記制御盤が前記回転軸の周りでさらに上側へ回転されるのを規制するように構成されていると、好適である。
【0011】
本発明の給水装置において、
前記制御盤が前記展開状態にあるとき、前記制御盤と少なくとも一方の前記中間板とは、締結部材によって、互いに固定されることができるように構成されていると、好適である。
【0012】
本発明の給水装置において、
前記制御盤は、前記制御盤の前板の下側に、取っ手を有していると、好適である。
【0013】
本発明の可動式制御盤装置は、
上記の給水装置に用いられるように構成された、前記可動式制御盤装置であって、
前記可動式制御盤装置は、
前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納可能に構成された、前記制御盤と、
前記制御盤を前記キャビネットに対して移動可能に支持するように構成された、前記制御盤支持装置と、
を有している。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、制御盤のメンテナンス作業性を向上できる、給水装置及び可動式制御盤装置を、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給水装置を、制御盤が収納状態にあるときの状態で示す、正面図である。
【
図2】
図1の可動式制御盤装置を示す、正面図である。
【
図3】
図1の可動式制御盤装置を示す、斜視図である。
【
図4】
図2の可動式制御盤装置を、
図2のA-A線に沿う断面とともに示す、A-A断面斜視図である。
【
図5】
図1の可動式制御盤装置を、制御盤が引出状態にあるときの状態で示す、斜視図である。
【
図6】
図5の可動式制御盤装置を示す、側面図である。
【
図7】
図5の可動式制御盤装置の一部を拡大して示す、斜視図である。
【
図8】
図7の可動式制御盤装置において、後方移動規制部材を回転させた後の状態を示す、斜視図である。
【
図9】
図8の可動式制御盤装置において、突起部材が後方に移動された後の状態を示す、側面図である。
【
図10】
図9の可動式制御盤装置において、突起部材が上側へ移動された後の状態を示す、側面図である。
【
図11】
図10の可動式制御盤装置において、突起部材が中間板の前端よりも前側へ移動された後の状態を示す、側面図である。
【
図12】
図11の可動式制御盤装置において、制御盤が回転軸の周りで下側へ回転されている状態を示す、側面図である。
【
図13】
図12の可動式制御盤装置を、制御盤が展開状態にあるときの状態で示す、側面図である。
【
図15】
図2の可動式制御盤装置の一変形例を示す、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る給水装置は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するために、好適に利用することができる。
以下に、図面を参照しつつ、この発明に係る給水装置及び可動式制御盤装置の実施形態を例示説明する。
【0017】
図1~
図14は、本発明の一実施形態に係る給水装置1を説明するための図面である。
図1は、本発明の一実施形態に係る給水装置1の外観を示している。
給水装置1は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するために好適に利用できるものである。給水装置1は、キャビネット型の給水装置として構成されている。キャビネット型の給水装置は、コンパクト性への要求が高いものである。
図1に示すように、本実施形態において、給水装置1は、キャビネット2と、配管装置3と、可動式制御盤装置5と、を備えている。
【0018】
キャビネット2は、下側が開放された直方体形状の箱型に構成されており、配管装置3等を内部に収納するように構成されている。
本実施形態において、キャビネット2は、左右両側一対の側壁2aと、上壁2dと、前壁2f(図示せず)と、前壁2f(図示せず)に対向する後壁2eと、を有している。
図1では、キャビネット2の内部を示すため、前壁2fを省略している。本実施形態において、キャビネット2は、下側が開放されており、すなわち、上壁2dに対向する下壁を有していないが、キャビネット2は、下側が閉鎖されていてもよく、すなわち、上壁2dに対向する下壁を有してもよい。
【0019】
なお、本明細書では、各図において矢印で示すように、鉛直方向の上及び下をそれぞれ「上」及び「下」といい、給水装置1の正面に近い方を「前」といい、給水装置1の正面から遠い方を「後」といい、
図1のように給水装置1を正面から見たときの左及び右をそれぞれ「左」及び「右」という。
なお、本明細書において、「左右方向外側」とは、左右方向において給水装置1の左右方向中心から遠い側を指す。一方、「左右方向内側」とは、左右方向において給水装置1の左右方向中心に近い側を指す。
【0020】
本実施形態において、キャビネット2は、前後方向に薄い薄型に構成されている。すなわち、キャビネット2の前後方向の寸法は、キャビネット2の左右方向の寸法や上下方向の寸法よりも小さくされている。
【0021】
図1に示すように、本実施形態において、キャビネット2は、上下方向に2分割された分割型に構成されているが、キャビネット2は、上下方向に2分割されていない、一体型に構成されてもよい。
【0022】
配管装置3は、キャビネット2内に収納されている。
配管装置3は、吸込口3aと、吐出口3bと、吸込口3a及び吐出口3bどうしの間に接続された1つ又は複数(本実施形態では、2つ)のポンプPと、を有している。配管装置3は、吸込口3aから吸い込んだ水を、ポンプPにより昇圧して、吐出口3bから吐き出すように構成されている。吸込口3aは、上水道配水管や高置水槽等に繋がる吸込配管に接続されるように構成されている。吐出口3bは、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先の配管に繋がる吐出配管に接続されるように構成されている。ポンプPは、縦型に構成されている。
本実施形態において、配管装置3は、さらに、逆流防止器BP、圧力タンクDPT等を有している。
配管装置3は、吸込口3aと、吐出口3bと、ポンプPと、を有する限り、その構成は、任意でよい。
なお、
図2~
図15では、配管装置3の図示を省略している。
【0023】
図1~
図14は、可動式制御盤装置5を、様々な状態で示している。可動式制御盤装置5は、制御盤4と、制御盤支持装置6と、を有している。
【0024】
制御盤4は、配管装置3よりも上側において、キャビネット2内に収納可能に構成されている。
図1~
図4は、制御盤4がキャビネット2の内部に収納された状態(以下、「収納状態」という。)にある様子を示している。
制御盤4は、配管装置3におけるポンプPを制御するように構成されている。
【0025】
図1及び
図2に示すように、制御盤4は、キャビネット2の左右方向におけるほぼ全幅にわたって延在している。
図2~
図4に示すように、制御盤4は、底板41(
図4)と、前板42と、左右一対の側板43(
図2)と、後板44(
図4)と、複数の内部部品46(
図4)と、冷却装置47と、を有している。制御盤4が収納状態(
図1~
図4)にあるときにおいて、底板41は、水平方向に平行であり、前板42、一対の側板43、及び後板44は、それぞれ鉛直方向に平行である。底板41と、前板42と、左右一対の側板43と、後板44とは、上側が開放された箱型をなす筐体を構成している。底板41は、前板42、一対の側板43、及び後板44のそれぞれの下端部に位置している。前板42は、底板41の前端部に位置している。一対の側板43は、底板41の左右方向両端部に位置しており、互いに左右方向に対向している。制御盤4の一対の側板43は、キャビネット2の一対の側壁2aに対して平行である。後板44は、底板41の後端部に位置しており、前板42に対して前後方向に対向している。
本実施形態において、前板42の上端は、一対の側板43及び後板44のそれぞれの上端よりも上側に位置しているが、前板42の上端は、一対の側板43及び後板44のそれぞれの上端と同じ高さ又はそれらよりも下側に位置していてもよい。
制御盤4は、後板44を有していなくてもよい。
メンテナンス作業性の観点から、制御盤4は、本実施形態のように、底板41に対して上下方向に対向し、内部部品46を上側から覆う、上板を有していないと、好適である。
【0026】
図4に示すように、制御盤4が収納状態にあるときにおける、制御盤4の底板41の上面は、内部部品搭載面41sを構成している。制御盤4が収納状態にあるときにおいて、内部部品搭載面41sは、上側を向いている。内部部品搭載面41sには、制御盤4の複数の内部部品46が搭載(すなわち、固定)されている。内部部品搭載面41sに搭載された複数の内部部品46は、例えば、1つ又は複数の基板46a、インバータ等を含み得る。制御盤4が収納状態にあるときにおいて、これら1つ又は複数の基板46aは、水平方向に平行に指向されており、上側を向いている。
【0027】
冷却装置47は、制御盤4の底板41の下面に取り付けられている(
図2)。冷却装置47は、例えば、放熱フィン、ファン等を含む。
ただし、制御盤4は、冷却装置47を有していなくてもよい。
【0028】
制御盤支持装置6は、
図1~
図14に示すように、制御盤4をキャビネット2に対して移動可能に支持するように構成されている。
制御盤4は、制御盤支持装置6により、制御盤4がキャビネット2の内部に収納され制御盤4の底板41の内部部品搭載面41sが上側を向いた収納状態(
図1~
図4)となった後、制御盤4が前側へ引き出された状態(以下、「引出状態」という。)(
図5~
図6)となり、その後、制御盤4が下側へ回転されることによって制御盤4の底板41の内部部品搭載面41sが前側を向いた状態(以下、「展開状態」という。)(
図13~
図14)となることができるようにされている。
引出状態(
図5~
図6)において、制御盤4は、その大部分又は全体が、キャビネット2よりも前側に位置している。引出状態において、制御盤4の内部部品搭載面41sは、収納状態(
図1~
図4)と同様に、上側を向いている。
展開状態(
図13~
図14)において、制御盤4は、その大部分又は全体が、キャビネット2よりも前側に位置している。展開状態において、制御盤4の内部部品搭載面41sは、鉛直方向にほぼ平行であり、前側を向いている。これに伴い、内部部品搭載面41sに搭載された1つ又は複数の基板46aは、鉛直方向にほぼ平行に指向されており、前側を向いている。展開状態において、制御盤4は、キャビネット2内の配管装置3と干渉しない。
【0029】
制御盤4の移動は、作業者が制御盤4に対して引張力等の外力を加えることにより、行われる。
作業者は、制御盤4を展開状態又は引出状態にした状態で、制御盤4のメンテナンスを行う。制御盤4のメンテナンスとしては、具体的に、例えば、内部部品46の交換、点検、修理等が行われる。
【0030】
このように、本実施形態によれば、制御盤4が、内部部品搭載面41sが前側を向いた展開状態(
図13~
図14)になることができるようにされているので、仮に制御盤4から天井までのスペースが狭い場合であっても、制御盤4のメンテンナンス時において、作業者は、制御盤4を展開状態にすることにより、給水装置1の前側のより広いスペースを使って正面から作業することができるので、制御盤4のメンテナンス作業性を向上できる。
また、制御盤4は、引出状態から実質的に下側へ回転されることによって展開状態になるようにされており、ひいては、展開状態において、制御盤4の大部分又は全体がキャビネット2よりも前側に位置することとなるので、制御盤4がキャビネット2内の配管装置3と干渉することを回避できる。
また、制御盤4を引出状態でメンテナンスすることもできるようにされているので、制御盤4から天井までのスペースが十分に広い場合や、展開状態よりも引出状態のほうが作業しやすいメンテナンス作業を行う場合等にも、対応できる。
【0031】
以下の構成の説明において、各部材の向きや方向について言及するときは、特に断りが無い限り、制御盤が収納状態(
図1~
図4)にあるときの向きや方向を指しているものとする。
【0032】
制御盤4は、1つ又は複数の取っ手4Hを有していると、好適である。これにより、作業者が、取っ手4Hを手で掴みながら制御盤4を動かすことができるので、制御盤4の移動操作がし易くなる。
図1~
図14に示す実施形態において、制御盤4は、一例に係る取っ手4Hを有している(
図4)。
図15は、可動式制御盤装置5の一変形例を示している。
図15の例において、制御盤4は、別の例に係る取っ手4Hを有している。
図4及び
図15の各例のように、取っ手4Hは、制御盤4の前板42の下側に設けられていると、好適である。これにより、制御盤4の移動操作がよりし易くなる。ただし、取っ手4Hは、制御盤4の任意の部分に設けられてよい。
取っ手4Hの具体的な構成は、任意でよい。
【0033】
図1~
図14に示す実施形態において、取っ手4Hは、制御盤4の前板42の下端部(前板42のうち、底板41と連結された部分)から下側へ延在した後に後側かつ上側に延在する板状部材から構成されており、略レの字型の断面形状を有している(
図4)。これにより、作業者が取っ手4Hを後側から手で掴むことができるようにされている。
この場合、取っ手4Hは、前板42を構成する板状部材と同じ部材から構成されることができる。すなわち、前板42と取っ手4Hとを1つの部材から構成することができ、当該部材を折り曲げるだけで取っ手4Hを形成することができる。よって、部品点数を増やす必要が無く、簡単に形成でき、コストを低減できる、という利点がある。ただし、前板42と取っ手4Hとは、別々の部材から構成されてもよい。
なお、
図1~
図14の実施形態において、取っ手4Hは、制御盤4の左右方向のほぼ全幅にわたって延在しているが、取っ手4Hは、制御盤4の左右方向の一部のみにわたって延在していてもよい。
また、
図1~
図14の実施形態において、取っ手4Hは、1つのみ設けられているが、取っ手4Hは、複数設けられてもよい。
【0034】
図15に示す例において、取っ手4Hは、略U字型に構成されている。取っ手4Hにおいて上側を向いた両端部は、制御盤4の前板42の下端部又は底板41に固定されている。
なお、
図15の例において、取っ手4Hは、制御盤4における左右両端部の近傍に1つずつ(計2つ)設けられているが、取っ手4Hは、任意の位置に任意の数だけ設けられてよい。
【0035】
なお、制御盤4は、取っ手4Hを有していなくてもよい。
【0036】
以下、
図1~
図14を参照しつつ、制御盤支持装置6の好適な構成について説明する。制御盤支持装置6の好適な構成を説明した後、可動式制御盤装置5の動作をより詳しく説明する。
【0037】
図2に示すように、制御盤支持装置6は、制御盤4の左右両側に設けられた一対の制御盤支持部61を有している。制御盤4の左側に設けられた制御盤支持部61は、キャビネット2の左側の側壁2aと制御盤4の左側の側板43との間に位置しており、キャビネット2の左側の側壁2aと制御盤4の左側の側板43とに連結されている。制御盤4の右側に設けられた制御盤支持部61は、キャビネット2の右側の側壁2aと制御盤4の右側の側板43との間に位置しており、キャビネット2の右側の側壁2aと制御盤4の右側の側板43とに連結されている。
【0038】
各制御盤支持部61の構成は、互いに同様でよい。以下の説明において、単に「制御盤支持部61」というときは、各制御盤支持部61のそれぞれを指している。
また、以下の制御盤支持部61の説明において、「キャビネット2の側壁2a」、「制御盤4の側板43」というときは、キャビネット2の一対の側壁2a、制御盤4の一対の側板43のうち、それぞれの制御盤支持部61に連結された方のキャビネット2の側壁2a、制御盤4の側板43を指している。
【0039】
制御盤支持部61は、被摺動部材62と、中間板63と、摺動部材64と、回転軸65と、を有している(
図2、
図5)。
【0040】
被摺動部材62は、キャビネット2の側壁2aの内面(左右方向内側の面)に固定されており、前後方向に延在している(
図2及び
図5)。被摺動部材62は、摺動部材64を前後方向にガイドするように構成されている。
【0041】
中間板63は、左右方向において、制御盤4の側板43とキャビネット2の側壁2aとの間に、より具体的には、制御盤4の側板43と摺動部材64との間に、位置している(
図2及び
図5)。中間板63は、1つの板状部材から構成されていると好適である。中間板63は、中間板63の大部分を構成する本体部63M(
図6)を有している。中間板63の本体部63Mは、キャビネット2の側壁2aと制御盤4の側板43とに対して平行である。中間板63の本体部63Mは、回転軸用挿通穴631を有している。回転軸用挿通穴631は、中間板63の本体部63Mを中間板63の本体部63Mの板厚方向に貫通している。回転軸用挿通穴631には、回転軸65が挿通されている。回転軸用挿通穴631は、摺動部材64よりも下側に位置していると、好適である。
本実施形態において、回転軸用挿通穴631は、
図6に示すように、前後方向に延在する長穴である。
【0042】
摺動部材64は、中間板63の本体部63Mにおける左右方向外側の面に固定されている。これにより、中間板63は、摺動部材64及び被摺動部材62を介して、キャビネット2の側壁2aに対して、前後方向に移動可能に、取り付けられている。摺動部材64は、被摺動部材62よってガイドされながら、被摺動部材62に対して前後方向に摺動可能に構成されている。
摺動部材64は、例えば、レール式に構成される。
摺動部材64は、
図6に示すように、中間板63の本体部63Mにおける上側部分に固定されていると、好適である。
【0043】
被摺動部材62及び摺動部材64は、所定距離以上は摺動部材64が被摺動部材62に対して前方へ移動できないように構成されていると、好適である。これにより、作業者が制御盤4を引き出す際等において、制御盤4が意図せずにキャビネット2から外れるのを防止できる。
被摺動部材62及び摺動部材64は、制御盤4が引出状態(
図5~
図6)となったときに、それ以上は摺動部材64が被摺動部材62に対して前方へ移動できないように構成されていると、好適である。これにより、作業者は、制御盤4を簡単かつ安定的に引出状態に位置決めすることができる。
【0044】
回転軸65は、制御盤4に固定されており、左右方向に延在し、中間板63の回転軸用挿通穴631に挿通されている。より具体的に、本実施形態において、回転軸65は、制御盤4の側板43に対して固定されており、さらに具体的には、制御盤4の側板43の下端(側板43のうち、制御盤4の底板41と連結した部分)から下側へ延在する延長片45に固定されている(
図2)。ただし、回転軸65は、制御盤4の側板43に直接固定されていてもよい。回転軸65は、制御盤4の側板43よりも左右方向外側(すなわち、制御盤4の外側)において、左右方向に延在している。
【0045】
本実施形態において、制御盤支持部61は、後方移動規制部材66をさらに有している。
後方移動規制部材66は、制御盤4が引出状態(
図5~
図6)から展開状態(
図13~
図14)までの間の状態(
図5~
図14)にあるときにおいて、被摺動部材62に対する摺動部材64の後方への移動を規制できるように構成されている。後方移動規制部材66により、制御盤4が引出状態から展開状態までの間の状態にあるときにおいて、制御盤4が意図せずに後方へ移動するのを防止できるので、作業者は、安定的に制御盤4の移動作業やメンテナンス作業を行うことができ、また、制御盤4がキャビネット2内の配管装置3と干渉することを回避できる。
【0046】
ここで、後方移動規制部材66及びその周辺の構成例について説明する。
図7に示すように、本実施形態において、中間板63は、本体部63Mの後端から左右方向外側へ延在する後片部63Bを有している。後片部63Bの左右方向外側の端は、キャビネット2の側壁2aよりも左右方向内側に位置しており、それにより、後片部63Bがキャビネット2の側壁2aに干渉しないようにされている。後片部63Bは、本体部63Mに対して垂直に延在していると好適である。また、後片部63Bは、本体部63Mに固定された摺動部材64と干渉しない位置に設けられると好適であり、
図7の例のように、摺動部材64よりも下側に設けられると好適である。
後方移動規制部材66は、中間板63の後片部63Bの後面に当接された本体部66Mと、中間板63の後片部63Bの後面には当接しないように構成された、摘み部66Gと、を有している。中間板63の後片部63Bと後方移動規制部材66の本体部66Mとは、それぞれ貫通穴63Bh、66Mhを有しており、これらの貫通穴63Bh、66Mhには、図示しない回転軸部材が挿通されている。これにより、後方移動規制部材66の本体部66Mは、この回転軸部材によって、中間板63の後片部63Bに対して、回転可能に軸支されている(
図7~
図8)。摘み部66Gは、作業者が摘み部66Gを摘むことによって、後方移動規制部材66を回転軸部材の周りに回転させることができるようにされている。摘み部66Gは、
図7~
図8の例のように、中間板63の後片部63Bよりも左右方向外側に位置していると、摘み部66Gが摘みやすくなるので、好適である。また、摘み部66Gは、
図7~
図8の例のように、後方移動規制部材66の本体部66Mから前側へ延在していると、摘み部66Gが摘みやすくなるので、好適である。
後方移動規制部材66は、被摺動部材62に対する摺動部材64の後方への移動を規制しない後方移動非規制状態(
図7)と、被摺動部材62に対する摺動部材64の後方への移動を規制する後方移動規制状態(
図8)との間を、回転軸部材の周りに回転できるようにされている。後方移動非規制状態(
図7)において、後方移動規制部材66は、その全体が、キャビネット2の側壁2aよりも左右方向内側に位置し、その結果、後方移動規制部材66がキャビネット2の側壁2aと係合しないようにされる。後方移動規制部材66は、制御盤4が収納状態にあるときから引出状態になるまでの間(
図1~
図6)、後方移動非規制状態にされる。後方移動規制部材66は、制御盤4が引出状態にあるときに、後方移動非規制状態(
図7)から、左右方向外側に向かって回転軸部材の周りに回転されることで、後方移動規制状態(
図8)に移動される。後方移動規制状態(
図8)において、後方移動規制部材66は、その本体部66Mが、キャビネット2の側壁2aの前側に位置し、その結果、後方移動規制部材66の本体部66Mがキャビネット2の側壁2aと係合するようにされる。これにより、後方移動規制部材66は、中間板63の後方への移動を規制し、それにより、中間板63に固定された摺動部材64の後方への移動を規制する。
【0047】
図7~
図8の例のように、後方移動規制部材66は、後方移動非規制状態(
図7)と後方移動規制状態(
図8)とのそれぞれにおいて、摘み部66Gが中間板63の後片部63Bと係合することで、後方移動規制部材66が位置決めされるようにされていると、好適である。これにより、作業者は、安定的に、後方移動非規制状態と後方移動規制状態との切り替えを行うことができる。
【0048】
なお、各制御盤支持部61は、それぞれ後方移動規制部材66を有していると好適であるが、いずれか一方の制御盤支持部61のみが、後方移動規制部材66を有していてもよい。
【0049】
制御盤支持部61は、突起部材67を有している(
図3、
図5~
図6)。突起部材67は、制御盤4に固定されており、左右方向に延在している。
より具体的に、本実施形態において、突起部材67は、制御盤4の側板43に固定されている。回転軸65は、制御盤4の側板43よりも左右方向外側(すなわち、制御盤4の外側)において、左右方向に延在している。突起部材67は、
図6に示すように、制御盤4の側板43における前側部分に固定されていると、好適である。また、突起部材67は、
図6に示すように、回転軸65よりも前側において、制御盤4に固定されていると、好適である。
また、制御盤支持部61の中間板63の本体部63Mは、上側が開放された突起部材用挿通穴632を有している。突起部材用挿通穴632は、中間板63の本体部63Mを中間板63の本体部63Mの板厚方向に貫通している。突起部材用挿通穴632は、突起部材67が挿通されるように構成されている。突起部材用挿通穴632は、
図6に示すように、中間板63の本体部63Mにおける前側部分に設けられていると好適である。突起部材用挿通穴632は、
図6に示すように、本体部63Mに固定された摺動部材64の前側に設けられていると、好適である。また、突起部材用挿通穴632は、
図6に示すように、中間板63の本体部63Mにおいて、回転軸用挿通穴631よりも前側に設けられていると、好適である。
【0050】
図6に示すように、突起部材用挿通穴632は、中間板63の上端63pから下方へ延在し中間板63の下端63qに至る手前で終端する縦穴部632aと、縦穴部632aの下端部から前方へ延在し中間板63の前端63rに至る手前で終端する横穴部632bと、を有しており、中間板63の本体部63Mの平面視(
図6)において、略L字型をなしている。
制御盤支持部61は、制御盤4が収納状態(
図1~
図4)から引出状態(
図5~
図6)までの間の状態(
図1~
図6)にあるとき、突起部材67が突起部材用挿通穴632の横穴部632b内に位置するように構成されている。これにより、制御盤4が収納状態から引出状態までの間の状態にあるとき、制御盤4の荷重は、制御盤4に固定された回転軸65及び突起部材67を介して、中間板63に掛かった状態となる。このとき、突起部材67が突起部材用挿通穴632内で中間板63と係合することで、制御盤4が回転軸65の周りで下側へ回転するのが規制される。なお、
図3及び
図6に示すように、制御盤4が収納状態から引出状態までの間の状態にあるとき、突起部材67は、突起部材用挿通穴632の横穴部632bの前端部に位置していると、好適である。このとき、回転軸65は、
図6に示すように、回転軸用挿通穴631の後端の近傍において、回転軸用挿通穴631の後端よりも前側に位置していると、好適である。
【0051】
本実施形態において、制御盤4は、制御盤支持装置6により、引出状態(
図1~
図4)になった後、各制御盤支持部61において突起部材67が突起部材用挿通穴632の外部において中間板63の前端63rよりも前側へ移動された後に、回転軸65の周りで下側へ回転されることができるように構成されている。具体的に、制御盤4が引出状態(
図1~
図4)になった後、制御盤4が作業者によって動かされることによって、突起部材67は、突起部材用挿通穴632の横穴部632bの前端部から横穴部632bの後端部まで後方に移動され(
図9)、その後、突起部材用挿通穴632の縦穴部632a内を上方に移動されることで、突起部材用挿通穴632の外部(突起部材用挿通穴632の上側)へ移動される(
図10)。このとき、回転軸65は、回転軸用挿通穴631の前後方向の中間位置に位置している。その後、回転軸65が回転軸用挿通穴631の前端に位置するまで制御盤4が作業者によって前側へ引っ張られることによって、突起部材67の少なくとも一部は、前後方向において中間板63の前端63rよりも前側に来るように移動される(
図11)。この状態になると、制御盤4が回転軸65の周りで下側へ回転しても、突起部材67は、中間板63と干渉しなくなる。よって、制御盤4は、回転軸65の周りで下側へ回転されることができるようになる(
図12)。
【0052】
制御盤4が展開状態にあるとき、制御盤4の荷重は、制御盤4に固定された回転軸65を介して、中間板63に掛かった状態となる。
【0053】
上述のように、本実施形態では、制御盤4に突起部材67が固定されており、中間板63の本体部63Mが突起部材用挿通穴632を有しているので、制御盤4が引出状態にあるときに(
図5~
図6)、制御盤4が意図せず下側へ回転するのを防止することができ、制御盤4が安定的に引出状態に維持されることができる。
【0054】
本実施形態において、各制御盤支持部61の中間板63は、上側回転規制部材63Kを有している(
図7~
図10)。上側回転規制部材63Kは、中間板63の本体部63Mから左右方向内側へ延在している(
図7~
図8)。
図10に示すように、上側回転規制部材63Kは、制御盤4が引出状態になった後に突起部材67が突起部材用挿通穴632の外部(突起部材用挿通穴632の上側)に位置するまで制御盤4が回転軸65の周りで所定角度だけ上側へ回転されたときに(
図10の二点鎖線で示す状態)、制御盤4と干渉し、それにより、制御盤4が回転軸65の周りでさらに上側へ回転されるのを規制するように構成されている。制御盤4が引出状態にあるとき、突起部材67が突起部材用挿通穴632の内部にある状態から上側回転規制部材63Kが制御盤4と干渉した状態までの間の状態において、制御盤4(ひいては、内部部品46)は、キャビネット2と干渉しないようにされている。これにより、制御盤4が過度に上側へ回転されることによって制御盤4(ひいては、内部部品46)がキャビネット2と干渉するのを回避することができる。
上側回転規制部材63Kは、
図10に二点鎖線で示すように、制御盤4の底板41(具体的は、底板41の後端部)と干渉するように構成されていると、好適である。この観点から、上側回転規制部材63Kは、中間板63の本体部63Mにおける後側部分に連結されていると好適であり、
図10の例のように、回転軸用挿通穴631よりも後側に位置していると好適であり、また、後方移動規制部材66の上側に位置していると好適である。また、上側回転規制部材63Kは、
図10の例のように、制御盤4の引出状態において水平方向に平行であると、好適である。
上側回転規制部材63Kは、本体部63Mと一体に形成されていると好適であり、すなわち、上側回転規制部材63Kと本体部63Mとが同じ板状部材から構成されていると好適である。また、上述のように、中間板63は、1つの板状部材から構成されていると好適である。その場合、上側回転規制部材63Kは、当該板状部材を折り曲げることにより形成されると、好適である。
なお、各制御盤支持部61の中間板63のうちの一方のみが、上側回転規制部材63Kを有していてもよい。
また、上側回転規制部材63Kは、設けられなくてもよい。
【0055】
本実施形態においては、制御盤4が展開状態(
図13~
図14)にあるとき、制御盤4と少なくとも一方の中間板63とは、締結部材fによって、互いに固定されることができるように構成されている。これにより、制御盤4が展開状態にあるときに、制御盤4の回転位置を固定できるので、作業者が安定的にメンテナンス作業をすることができ、また、意図せずに制御盤4が後側へ回転して配管装置3と干渉することを回避できる。
より具体的に、本実施形態において、少なくとも一方(好適には、両方)の制御盤支持部61において、中間板63の本体部63Mは、締結用穴633(
図6、
図13)を有しており、制御盤4の側板43も、図示しない締結用穴を有している。そして、制御盤4が展開状態にあるときに、中間板63の本体部63Mの締結用穴633と制御盤4の側板43の締結用穴とが重なり合うようにされており、これらに締結部材fが左右方向外側から挿入されることによって、中間板63の本体部63Mと制御盤4の側板43とが締結により固定されることができるようにされている。
【0056】
本実施形態では、少なくとも一方(好適には、両方)の制御盤支持部61において、中間板63の本体部63Mは、保管用穴634(
図6、
図13)を有している。保管用穴634は、締結部材fが制御盤4と中間板63とを固定することなく、締結部材fが挿入されることができるように構成されている。制御盤4が展開状態以外の状態にある間、締結部材fは、保管用穴634に挿入された状態で保管されると、好適である。この場合、作業者は、制御盤4を展開状態に移動した後、締結部材fを、保管用穴634から抜き取って、中間板63の本体部63Mの締結用穴633と制御盤4の側板43の締結用穴とに挿入し、中間板63の本体部63Mと制御盤4の側板43とを固定することができる。よって、作業者は、締結部材fを、必要なときに簡単に取り出すことができる。
【0057】
以上のように構成された可動式制御盤装置5の動作例を説明する。
通常時において、制御盤4は、収納状態(
図1~
図4)にある。
一方、メンテンナンス時において、作業者は、給水装置1の前側に立った状態で、例えば取っ手4Hを掴みながら、制御盤4を前方へ引き出して、制御盤4を引出状態(
図5~
図6)にする。作業者は、必要に応じて、引出状態において、制御盤4のメンテナンス作業を行ってもよい。
その後、作業者は、後方移動規制部材66の摘み部66Gを摘みながら、後方移動規制部材66を、後方移動非規制状態(
図7)から後方移動規制状態(
図8)に移動させる。これにより、後方移動規制部材66の本体部66Mがキャビネット2の側壁2aと係合し、摺動部材64の後方への移動が規制される。
その後、作業者は、制御盤4を後方に押すことによって、突起部材67を、突起部材用挿通穴632の横穴部632bの前端部から横穴部632bの後端部まで後方に移動させ(
図9)、その後、制御盤4を上方に持ち上げることによって、突起部材用挿通穴632の縦穴部632a内を上方に移動させることで、突起部材用挿通穴632の外部へ移動させる(
図10)。その後、作業者は、回転軸65が回転軸用挿通穴631の前端に位置するまで制御盤4を前側へ引っ張る。それにより、突起部材67の少なくとも一部が、前後方向において中間板63の前端63rよりも前側に来るように移動される(
図11)。これにより、制御盤4の下側への回転が可能になる。
その後、作業者は、制御盤4を、回転軸65の周りで下側へ回転させて(
図12)、制御盤4を展開状態にする(
図13~
図14)。
その後、作業者は、例えば保管用穴634から、締結部材fを取り出し、中間板63の本体部63Mの締結用穴633と制御盤4の側板43の締結用穴とに挿入し、中間板63の本体部63Mと制御盤4の側板43とを固定する(
図13~
図14)。
作業者は、展開状態において、制御盤4のメンテナンス作業を行う。
メンテナンス作業の後は、これまでの手順とは逆の手順で、制御盤4を展開状態から引出状態、さらには収納状態に、順次移動させる。
【0058】
なお、制御盤支持装置6は、制御盤4を収納状態と引出状態と展開状態との間を移動可能にする限り、上記の実施形態に限られず、任意の構成を有してよい。
【0059】
例えば、突起部材用挿通穴632(
図6)は、上側が開放されている限り、任意の形状を有してよく、例えば、横穴部632bを有さずに、縦穴部632aのみを有してもよい。
また、中間板63は、保管用穴634(
図13)を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る給水装置は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するために、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 給水装置
2 キャビネット
2a 側壁
2d 上壁
2e 後壁
3 配管装置
3a 吸込口
3b 吐出口
BP 逆流防止器
DPT 圧力タンク
P ポンプ
4 制御盤
41 底板
41s 内部部品搭載面
42 前板
43 側板
44 後板
45 延長片
46 内部部品
46a 基板
47 冷却装置
4H 取っ手
5 可動式制御盤装置
6 制御盤支持装置
61 制御盤支持部
62 被摺動部材
63 中間板
63p 上端
63q 下端
63r 前端
63M 本体部
631 回転軸用挿通穴
632 突起部材用挿通穴
632a 縦穴部
632b 横穴部
633 締結用穴
634 保管用穴
63B 後片部
63Bh 貫通穴
63K 上側回転規制部材
64 摺動部材
65 回転軸
66 後方移動規制部材
66M 本体部
66Mh 貫通穴
66G 摘み部
67 突起部材
f 締結部材