(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】給水装置、制御盤、及び可動式制御盤装置
(51)【国際特許分類】
F04B 53/00 20060101AFI20231214BHJP
F04D 13/16 20060101ALI20231214BHJP
F04B 23/02 20060101ALI20231214BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F04B53/00 J
F04D13/16 B
F04B23/02 B
F04D29/00 B
(21)【出願番号】P 2021178206
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000133939
【氏名又は名称】テラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】松野 伸
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-25774(JP,A)
【文献】実開昭63-187507(JP,U)
【文献】特開2018-142585(JP,A)
【文献】特開2004-92088(JP,A)
【文献】特開平8-284830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 23/00-23/14、
53/00-53/22
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット型の給水装置であって、
キャビネットと、
前記キャビネット内に収納され、吸込口、吐出口、及びポンプを有する、配管装置と、
前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納された、制御盤と、
を備え、
前記制御盤は、
扉用開口を有する底板本体部、及び、前記底板本体部に取り付けられているとともに前記扉用開口を開閉するように構成された扉を、有する、底板と、
前記扉の上面からなる下段部品搭載面に取り付けられた、下段部品と、
前記扉用開口の上側において、前記下段部品よりも上側に位置するように前記底板本体部に取り付けられた、上段部品と、
を有し、
前記扉は、下側へ開いた開状態となることができるように構成されて
おり、
前記扉は、前記開状態において前記下段部品搭載面が前側を向くように構成されている、給水装置。
【請求項2】
前記制御盤を前記キャビネットに対して移動可能に支持するように構成された、制御盤支持装置を、さらに備え、
前記制御盤は、前記制御盤支持装置により、前記制御盤が前記キャビネットの内部に収納された収納状態となった後、前記制御盤が前側へ引き出された引出状態となることができるようにされている、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御盤は、前記上段部品として、前記ポンプを制御するように構成された、制御基板を有する、請求項1
又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御盤は、前記下段部品として、前記制御基板から制御情報を取得するように構成されているとともに、前記制御情報を無線通信により送信できるように構成された、無線通信基板を有する、請求項
3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記無線通信基板は、メモリーカードを収容するように構成されたメモリーカード収容部を有する、請求項
4に記載の給水装置。
【請求項6】
前記制御盤は、前記下段部品として、前記無線通信基板に電源を供給するように構成された、電源装置を、さらに有する、請求項
4又は
5に記載の給水装置。
【請求項7】
前記扉は、前記扉の取付側端部が、蝶番を介して前記底板本体部に取り付けられている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項8】
前記下段部品に繋がった各配線のうちの1つ又は複数の配線は、前記扉の前記取付側端部の上側を延在するように、前記底板本体部の上に設けられたワイヤーサドルによって保持されている、請求項
7に記載の給水装置。
【請求項9】
前記制御盤は、前記扉が所定開度以上開くのを規制するように構成された、扉規制部材を、さらに有する、請求項1~
8のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項10】
前記扉は、板状部材から構成されている、請求項1~
9のいずれか一項に記載の給水装置。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の給水装置に用いられるように構成された、前記制御盤であって、
前記制御盤は、前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納されるように構成されており、
前記制御盤は、
前記扉用開口を有する前記底板本体部、及び、前記底板本体部に取り付けられているとともに前記扉用開口を開閉するように構成された前記扉を、有する、前記底板と、
前記扉の上面からなる前記下段部品搭載面に取り付けられた、前記下段部品と、
前記扉用開口の上側において、前記下段部品よりも上側に位置するように前記底板本体部に取り付けられた、前記上段部品と、
を有し、
前記扉は、下側へ開いた開状態となることができるように構成されている、制御盤。
【請求項12】
請求項2に記載の給水装置に用いられるように構成された、可動式制御盤装置であって、
前記可動式制御盤装置は、
前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納されるように構成された、前記制御盤と、
前記制御盤を前記キャビネットに対して移動可能に支持するように構成された、前記制御盤支持装置と、
を有しており、
前記制御盤は、
前記扉用開口を有する前記底板本体部、及び、前記底板本体部に取り付けられているとともに前記扉用開口を開閉するように構成された前記扉を、有する、前記底板と、
前記扉の上面からなる前記下段部品搭載面に取り付けられた、前記下段部品と、
前記扉用開口の上側において、前記下段部品よりも上側に位置するように前記底板本体部に取り付けられた、前記上段部品と、
を有し、
前記扉は、下側へ開いた開状態となることができるように構成されており、
前記制御盤は、前記制御盤支持装置により、前記制御盤が前記キャビネットの内部に収納された収納状態となった後、前記制御盤が前側へ引き出された引出状態となることができるようにされている、可動式制御盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給水装置、制御盤、及び可動式制御盤装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、キャビネット型の給水装置において、キャビネット内に、配管装置と、制御盤と、を備えたものがある(例えば、特許文献1)。配管装置は、吸込配管に接続される吸込口と、吐出配管に接続される吐出口と、ポンプと、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなキャビネット型の給水装置においては、コンパクト性への要求が高いため、コンパクト化の観点から、制御盤内において内部部品を2段に重ねて配置することが考えられる。しかし、その場合、制御盤のメンテナンス時において、2段に重ねて配置された内部部品のうち、下段に配置された内部部品のメンテナンス作業がしにくいおそれがある。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためのものであり、制御盤のメンテナンス作業性を向上できる、給水装置、制御盤、及び可動式制御盤装置を、提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給水装置は、
キャビネット型の給水装置であって、
キャビネットと、
前記キャビネット内に収納され、吸込口、吐出口、及びポンプを有する、配管装置と、
前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納された、制御盤と、
を備え、
前記制御盤は、
扉用開口を有する底板本体部、及び、前記底板本体部に取り付けられているとともに前記扉用開口を開閉するように構成された扉を、有する、底板と、
前記扉の上面からなる下段部品搭載面に取り付けられた、下段部品と、
前記扉用開口の上側において、前記下段部品よりも上側に位置するように前記底板本体部に取り付けられた、上段部品と、
を有し、
前記扉は、下側へ開いた開状態となることができるように構成されている。
【0007】
本発明の給水装置において、
前記制御盤を前記キャビネットに対して移動可能に支持するように構成された、制御盤支持装置を、さらに備え、
前記制御盤は、前記制御盤支持装置により、前記制御盤が前記キャビネットの内部に収納された収納状態となった後、前記制御盤が前側へ引き出された引出状態となることができるようにされていると、好適である。
【0008】
本発明の給水装置において、
前記扉は、前記開状態において前記下段部品搭載面が前側を向くように構成されていると、好適である。
【0009】
本発明の給水装置において、
前記制御盤は、前記上段部品として、前記ポンプを制御するように構成された、制御基板を有すると、好適である。
【0010】
本発明の給水装置において、
前記制御盤は、前記下段部品として、前記制御基板から制御情報を取得するように構成されているとともに、前記制御情報を無線通信により送信できるように構成された、無線通信基板を有すると、好適である。
【0011】
本発明の給水装置において、
前記無線通信基板は、メモリーカードを収容するように構成されたメモリーカード収容部を有すると、好適である。
【0012】
本発明の給水装置において、
前記制御盤は、前記下段部品として、前記無線通信基板に電源を供給するように構成された、電源装置を、さらに有すると、好適である。
【0013】
本発明の給水装置において、
前記扉は、前記扉の取付側端部が、蝶番を介して前記底板本体部に取り付けられていると、好適である。
【0014】
本発明の給水装置において、
前記下段部品に繋がった各配線のうちの1つ又は複数の配線は、前記扉の前記取付側端部の上側を延在するように、前記底板本体部の上に設けられたワイヤーサドルによって保持されていると、好適である。
【0015】
本発明の給水装置において、
前記制御盤は、前記扉が所定開度以上開くのを規制するように構成された、扉規制部材を、さらに有すると、好適である。
【0016】
本発明の給水装置において、
前記扉は、板状部材から構成されていると、好適である。
【0017】
本発明の制御盤は、
上記の給水装置に用いられるように構成された、前記制御盤であって、
前記制御盤は、前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納されるように構成されており、
前記制御盤は、
前記扉用開口を有する前記底板本体部、及び、前記底板本体部に取り付けられているとともに前記扉用開口を開閉するように構成された前記扉を、有する、前記底板と、
前記扉の上面からなる前記下段部品搭載面に取り付けられた、前記下段部品と、
前記扉用開口の上側において、前記下段部品よりも上側に位置するように前記底板本体部に取り付けられた、前記上段部品と、
を有し、
前記扉は、下側へ開いた開状態となることができるように構成されている。
【0018】
本発明の可動式制御盤装置は、
上記の給水装置に用いられるように構成された、可動式制御盤装置であって、
前記可動式制御盤装置は、
前記配管装置よりも上側において、前記キャビネット内に収納されるように構成された、前記制御盤と、
前記制御盤を前記キャビネットに対して移動可能に支持するように構成された、前記制御盤支持装置と、
を有しており、
前記制御盤は、
前記扉用開口を有する前記底板本体部、及び、前記底板本体部に取り付けられているとともに前記扉用開口を開閉するように構成された前記扉を、有する、前記底板と、
前記扉の上面からなる前記下段部品搭載面に取り付けられた、前記下段部品と、
前記扉用開口の上側において、前記下段部品よりも上側に位置するように前記底板本体部に取り付けられた、前記上段部品と、
を有し、
前記扉は、下側へ開いた開状態となることができるように構成されており、
前記制御盤は、前記制御盤支持装置により、前記制御盤が前記キャビネットの内部に収納された収納状態となった後、前記制御盤が前側へ引き出された引出状態となることができるようにされている。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、制御盤のメンテナンス作業性を向上できる、給水装置、制御盤、及び可動式制御盤装置を、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給水装置を、制御盤が収納状態にあるときの状態で示す、正面図である。
【
図2】
図1の可動式制御盤装置を示す、正面図である。
【
図3】
図1の可動式制御盤装置を示す、斜視図である。
【
図4】
図1の可動式制御盤装置を、制御盤が引出状態にあるとともに扉が閉状態にあるときの状態で示す、斜視図である。
【
図5】
図4の可動式制御盤装置を上側から見た様子を示す、斜視図である。
【
図6】
図5の可動式制御盤装置の一部を拡大して示す、斜視図である。
【
図7】
図5の可動式制御盤装置を、上段部品を外した状態で示す、斜視図である。
【
図8】
図5の可動式制御盤装置を、
図5のA-A線に沿う断面により示す、A-A断面図である。
【
図9】
図5の可動式制御盤装置を下側から見た様子を示す、斜視図である。
【
図10】
図9の可動式制御盤装置の一部を拡大して示す、斜視図である。
【
図11】
図10の制御盤の一部を拡大して示す、斜視図である。
【
図12】
図1の可動式制御盤装置を、制御盤が引出状態にあるとともに扉が開状態にあるときの状態で示す、斜視図である。
【
図13】
図12の可動式制御盤装置を、
図12のB-B線に沿う断面により示す、B-B断面図である。
【
図14】
図7の制御盤の一変形例を示す、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る給水装置は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するために、好適に利用することができる。
以下に、図面を参照しつつ、この発明に係る給水装置、制御盤、及び可動式制御盤装置の実施形態を例示説明する。
【0022】
図1~
図13は、本発明の一実施形態に係る給水装置1を説明するための図面である。
図1は、本発明の一実施形態に係る給水装置1の外観を示している。
給水装置1は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するために好適に利用できるものである。給水装置1は、キャビネット型の給水装置として構成されている。キャビネット型の給水装置は、コンパクト性への要求が高いものである。
図1に示すように、本実施形態において、給水装置1は、キャビネット2と、配管装置3と、本発明の一実施形態に係る制御盤4と、制御盤支持装置6と、を備えている。
本発明の一実施形態に係る制御盤4と、制御盤支持装置6とは、本発明の一実施形態に係る可動式制御盤装置5を構成している。すなわち、本発明の一実施形態に係る可動式制御盤装置5は、本発明の一実施形態に係る制御盤4と、制御盤支持装置6と、を有している。
【0023】
キャビネット2は、下側が開放された直方体形状の箱型に構成されており、配管装置3等を内部に収納するように構成されている。
本実施形態において、キャビネット2は、左右両側一対の側壁2aと、上壁2dと、前壁2f(図示せず)と、前壁2f(図示せず)に対向する後壁2eと、を有している。
図1では、キャビネット2の内部を示すため、前壁2fを省略している。本実施形態において、キャビネット2は、下側が開放されており、すなわち、上壁2dに対向する下壁を有していないが、キャビネット2は、下側が閉鎖されていてもよく、すなわち、上壁2dに対向する下壁を有してもよい。
【0024】
なお、本明細書では、各図において矢印で示すように、鉛直方向の上及び下をそれぞれ「上」及び「下」といい、給水装置1の正面に近い方を「前」といい、給水装置1の正面から遠い方を「後」といい、
図1のように給水装置1を正面から見たときの左及び右をそれぞれ「左」及び「右」という。
なお、本明細書において、「左右方向外側」とは、左右方向において給水装置1の左右方向中心から遠い側を指す。一方、「左右方向内側」とは、左右方向において給水装置1の左右方向中心に近い側を指す。
【0025】
本実施形態において、キャビネット2は、前後方向に薄い薄型に構成されている。すなわち、キャビネット2の前後方向の寸法は、キャビネット2の左右方向の寸法や上下方向の寸法よりも小さくされている。
【0026】
図1に示すように、本実施形態において、キャビネット2は、上下方向に2分割された分割型に構成されているが、キャビネット2は、上下方向に2分割されていない、一体型に構成されてもよい。
【0027】
配管装置3は、キャビネット2内に収納されている。
配管装置3は、吸込口3aと、吐出口3bと、吸込口3a及び吐出口3bどうしの間に接続された1つ又は複数(本実施形態では、2つ)のポンプPと、を有している。配管装置3は、吸込口3aから吸い込んだ水を、ポンプPにより昇圧して、吐出口3bから吐き出すように構成されている。吸込口3aは、上水道配水管や高置水槽等に繋がる吸込配管に接続されるように構成されている。吐出口3bは、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先の配管に繋がる吐出配管に接続されるように構成されている。ポンプPは、縦型に構成されている。
本実施形態において、配管装置3は、さらに、逆流防止器BP、圧力タンクDPT等を有している。
配管装置3は、吸込口3aと、吐出口3bと、ポンプPと、を有する限り、その構成は、任意でよい。
なお、
図2~
図14では、配管装置3の図示を省略している。
【0028】
図1~
図13は、可動式制御盤装置5を、様々な状態で示している。可動式制御盤装置5は、制御盤4と、制御盤支持装置6と、を有している。
【0029】
制御盤支持装置6は、制御盤4をキャビネット2に対して移動可能に支持するように構成されている。
制御盤4は、制御盤支持装置6により、制御盤4がキャビネット2の内部に収納された状態(以下、「収納状態」という。)(
図1~
図3)となった後、制御盤4が前側へ引き出された状態(以下、「引出状態」という。)(
図4~
図13)となることができるようにされている。また、制御盤4は、制御盤支持装置6により、引出状態となった後、収納状態に戻ることができるようにされている。
制御盤4の移動は、作業者が制御盤4に対して引張力等の外力を加えることにより、行われる。
引出状態において、制御盤4は、その大部分又は全体が、キャビネット2よりも前側に位置している(
図8、
図13)。
制御盤支持装置6の詳しい構成例については後述する。
【0030】
以下の構成の説明において、各部材の向きや方向について言及するときは、特に断りが無い限り、制御盤4が収納状態(
図1~
図3)にあるときの向きや方向を指しているものとする。
【0031】
制御盤4は、配管装置3よりも上側において、キャビネット2内に収納されるように構成されている(
図1~
図3)。
制御盤4は、配管装置3におけるポンプPを制御するように構成されている。
【0032】
図1及び
図2に示すように、制御盤4は、キャビネット2の左右方向におけるほぼ全幅にわたって延在している。
図2~
図9に示すように、制御盤4は、底板41(
図2、
図5、
図8~
図9)と、縦板42~44と、複数の内部部品46(
図4~
図5)と、冷却装置47(
図2、
図4)と、を有している。縦板42~44は、底板41に対して垂直に延在している。制御盤4は、縦板42~44として、前板42と、左右一対の側板43(
図2、
図5)と、後板44(
図5)と、を有している。制御盤4が収納状態(
図1~
図3)にあるときにおいて、底板41は、水平方向に平行であり、縦板42~44は、それぞれ鉛直方向に平行である。底板41と、前板42と、左右一対の側板43と、後板44とは、上側が開放された箱型をなす筐体を構成している。底板41は、縦板42~44のそれぞれの下端部に位置している。前板42は、底板41の前端部に位置している。一対の側板43は、底板41の左右方向両端部に位置しており、互いに左右方向に対向している。制御盤4の一対の側板43は、キャビネット2の一対の側壁2aに対して平行である。後板44は、底板41の後端部に位置しており、前板42に対して前後方向に対向している。
本実施形態において、前板42の上端は、一対の側板43及び後板44のそれぞれの上端よりも上側に位置しているが、前板42の上端は、一対の側板43及び後板44のそれぞれの上端と同じ高さ又はそれらよりも下側に位置していてもよい。
制御盤4は、後板44を有していなくてもよい。
メンテナンス作業性の観点から、制御盤4は、本実施形態のように、底板41に対して上下方向に対向し、内部部品46を上側から覆う、上板を有していないと、好適である。
【0033】
図6~
図13に示すように、制御盤4の底板41は、扉用開口41Maを有する底板本体部41Mと、底板本体部41Mに取り付けられているとともに扉用開口41Maを開閉するように構成された扉41Dと、を有している。
扉41Dは、扉用開口41Maを閉じた閉状態(
図6~
図11)と、扉用開口41Maを開いた開状態(
図12~
図13)と、の間を移動可能に構成されている。
【0034】
図5~
図7に示すように、制御盤4の底板41の上面は、内部部品搭載面41sを構成している。内部部品搭載面41sには、制御盤4の複数の内部部品46が搭載(すなわち、固定)されている。
内部部品46は、それぞれ、電気を用いて動作するように構成された電気部品(電子部品を含む概念である。)からなる。
【0035】
図6~
図8に示すように、制御盤4の底板41の上面からなる内部部品搭載面41sは、底板本体部41Mの上面からなる本体部内部部品搭載面41Msと、扉41Dの上面からなる下段部品搭載面41Dsと、を有する。
制御盤4は、内部部品46として、下段部品搭載面41Dsに取り付けられた、1つ又は複数(本実施形態では2つ)の下段部品461と、扉用開口41Maの上側において、下段部品461よりも上側に位置するように底板本体部41Mに取り付けられた、1つ又は複数(本実施形態では1つ)の上段部品462aと、を有している。1つ又は複数の上段部品462aは、1つ又は複数の下段部品461の上側に配置されており、言い換えれば、下段部品461と上段部品462aとは、2段に重ねられて配置されている。
本実施形態において、上段部品462aは、上下方向に延在する1つ又は複数のスペーサ部材Kを介して、底板本体部41Mに取り付けられている。各スペーサ部材Kの下端部は、扉用開口41Maの近傍において、底板本体部41Mに取り付けられており、各スペーサ部材Kの上端部には、上段部品462aが、締結部材f1(
図6)によって固定されている。ただし、上段部品462aは、スペーサ部材K以外の任意の部材を介して、底板本体部41Mに取り付けられてよい。
図8に示すように、本実施形態において、各下段部品461は、上下方向に延在する1つ又は複数のスペーサ部材K’を介して、扉41Dに取り付けられている。各スペーサ部材K’の下端部は、扉41Dに取り付けられており、各スペーサ部材K’の上端部は、下段部品461に取り付けられている。これに伴い、各下段部品461は、扉41Dよりも上側へ離間した位置にある。ただし、下段部品461は、スペーサ部材K’以外の任意の部材を介して、扉41Dに取り付けられてもよい。あるいは、下段部品461は、他の部材を介さずに、直接、扉41Dに取り付けられてもよい。この場合、下段部品461は、扉41Dの上面(下段部品搭載面41Ds)と接触してもよい。
【0036】
図12~
図13に示すように、扉41Dは、開状態において、下側へ開いた状態となるようにされている。
本明細書においては、扉41Dのうち、底板本体部41Mに取り付けられた側の端部を、「取付側端部41Dp」(
図7~
図8)といい、扉41Dのうち、取付側端部41Dpとは反対側の端部を、「開放側端部41Dq」(
図7~
図8)という。扉41Dが開かれる際、扉41Dは、取付側端部41Dpが底板本体部41Mに連結されたまま、実質的に取付側端部41Dpの周りで下側へ回転される。この際、下段部品461は、扉41Dとともに変位される。一方、上段部品462aは、底板本体部41Mに取り付けられているので、扉41Dとともに変位せず、位置が維持される。
【0037】
本実施形態において、扉41Dは、その取付側端部41Dpが、蝶番Hを介して底板本体部41Mに取り付けられている(
図8、
図10~
図11)。
図11に示すように、蝶番Hは、一対の羽根HW1、HW2と、ピンHPと、を有している。一対の羽根HW1、HW2は、それぞれ、ピンHPの周りで回転自在なように、ピンHPに連結されている。一方の羽根HW1は、扉41D(本実施形態では、具体的には、扉41Dの下面)に対して締結部材f2によって連結されている。
図10に示すように、扉41Dは、底板本体部41Mの扉用開口41Maよりも大きな面積を有している。扉41Dの閉状態において、扉41Dは、底板本体部41Mの下面に下側から当接されている。他方の羽根HW2は、底板本体部41Mに対して(具体的には、底板本体部41Mに設けられた後述の扉規制部材48)に対して締結部材f3によって連結されている。ピンHPは、底板41の下側において、取付側端部41Dpの延在方向(本実施形態では、左右方向)に平行に延在している。このようにして、扉41Dは、閉状態と下側へ開いた開状態との間を、ピンHPの周りで回転可能にされている。
ただし、蝶番Hの構成は、本実施形態のものとは異なっていてもよい。
【0038】
制御盤4が収納状態又は引出状態にあるときにおいて、本体部内部部品搭載面41Msは、水平方向に平行であり、上側を向いている。
扉41Dの閉状態(
図6~
図11)において、下段部品搭載面41Dsは、本体部内部部品搭載面41Msと同様に、水平方向に平行であり、上側を向いている。扉41Dの開状態(
図12~
図13)において、下段部品搭載面41Dsは、鉛直方向にほぼ平行である。
【0039】
本実施形態において、扉41Dは、制御盤4が収納状態にあるときは、閉状態にされ、制御盤4が引出状態にあるときに、開状態にされると好適なように、構成されている(
図12~
図13)。具体的には、制御盤4が収納状態にあるときに扉41Dが下側へ開かれると、扉41Dが、その下にある配管装置3と干渉するおそれがある(
図1)。一方、制御盤4が引出状態にあるときに扉41Dが下側へ開かれると、扉41Dは、配管装置3よりも前側に位置し、配管装置3と干渉しないようにされている(
図13)。制御盤4が引出状態にあるとともに扉41Dが開状態にあるときにおいて(
図13)、扉41Dは、配管装置3と同じ高さに位置している(すなわち、高さ方向において配管装置3と重複している)とともに、配管装置3よりも前側に位置している。このとき、扉41Dは、
図13の例のように、キャビネット2よりも前側に位置していると、好適である。
【0040】
冷却装置47は、制御盤4の底板41の下面に取り付けられている(
図2)。冷却装置47は、例えば、放熱フィン、ファン等を含む。
ただし、制御盤4は、冷却装置47を有していなくてもよい。
【0041】
以上のように構成された給水装置1の動作例を説明する。
通常時において、制御盤4は、収納状態(
図1~
図3)にある。このとき、扉41Dは、閉状態にある。
一方、メンテンナンス時において、作業者は、給水装置1の前側に立った状態で、制御盤4を前方へ引き出して、制御盤4を引出状態(
図4~
図11)にする。制御盤4を引出状態にした状態において、作業者は、制御盤4のメンテナンス作業を行う。制御盤4のメンテナンスとしては、具体的に、例えば、内部部品46の交換、点検、修理等が行われる。この間、作業者は、上段部品462aを、制御盤4の上側からメンテナンスしてもよい。また、この間、作業者は、必要に応じて、扉41Dを開状態にして(
図12~
図13)、下段部品461を、制御盤4の下側からメンテナンスする。下段部品461のメンテナンス作業が完了した後、作業者は、扉41Dを閉状態に戻す。
制御盤4のメンテナンス作業が完了した後、作業者は、制御盤4を後方に押すことにより、制御盤4を収納状態に戻す。
【0042】
本実施形態によれば、制御盤4の内部において、下段部品461と上段部品462aとが、2段に重ねられて配置されているので、仮に下段部品461と上段部品462aとを1段で配置(すなわち、同じ面上に配置)した場合に比べて、制御盤4のコンパクト化(ひいては、給水装置1の設置面積のコンパクト化)が可能となる。また、仮に下段部品461と上段部品462aとのいずれか一方のみを設けた場合に比べて、制御盤4の大型化(ひいては、給水装置1の設置面積の大型化)を抑制しつつ内部部品46の増設が可能となる。
仮に制御盤4の底板41が扉41Dを有しない場合(言い換えれば、底板本体部41Mと扉41Dとが一体である場合)、作業者は、制御盤4の上側から下段部品461のメンテナンスをする際に、そのままだと上段部品462aによって下段部品461が遮られるので、事前に上段部品462aを底板41から取り外す必要がある。そのため、メンテナンス作業に掛かる時間が長くなる。また、上段部品462aの動作停止が必要となるため、例えば上段部品462aが制御基板である場合、配管装置3の停止が必要となる。その点、本実施形態によれば、下段部品461が扉41Dの上面からなる下段部品搭載面41Dsに取り付けられており、上段部品462aが底板本体部41Mに取り付けられており、扉41Dは、下側へ開いた開状態となることができるように構成されている。そのため、下段部品461をメンテナンスする際に、作業者は、上段部品462aが底板本体部41Mに取り付けられたまま、扉41Dを下側へ開いた開状態とした状態(
図12~
図13)で、制御盤4の下側から下段部品461をメンテナンスすることができる。したがって、下段部品461をメンテナンスする際に、作業者は、上段部品462aを底板本体部41Mから取り外す必要が無いので、制御盤4のメンテナンス作業性を向上できる。また、上段部品462aの動作停止も不要となる。また、下段部品461の目視による確認もし易くなる。
また、仮に制御盤4の底板41が扉41Dを有しない場合(言い換えれば、底板本体部41Mと扉41Dとが一体である場合)、作業者は、上段部品462aを用いた動作確認作業(交換、配線接続等)をする際に、下段部品461を当該動作確認作業に支障の無い場所へ移動させるために、下段部品461を取り外す必要がある。その場合、通常時における制御盤4の構成とは異なる構成において当該動作確認作業をすることとなるため、当該動作確認作業に質的な問題が生じ得る。また、その場合、取り外した下段部品461を一時的に置いておくためのスペースが必要となり、また、取り外した下段部品461に水が掛かる等して下段部品461を破損させるおそれがある。その点、本実施形態によれば、下段部品461が扉41Dの上面からなる下段部品搭載面41Dsに取り付けられており、上段部品462aが底板本体部41Mに取り付けられており、扉41Dは、下側へ開いた開状態となることができるように構成されている。そのため、下段部品461を取り外す必要無しに、扉41Dを開状態とすることで下段部品461を十分に移動させた状態で上記動作確認作業を行うことができるので、通常時における制御盤4の構成と同様の構成において当該動作確認作業をすることができる。また、この間、下段部品461は、扉41Dを介して制御盤4に取り付けられたままであるので、取り外した下段部品461を一時的に置いておくためのスペースは不要であり、また、取り外した下段部品461を破損させるおそれを低減できる。
【0043】
また、本実施形態によれば、制御盤4は、制御盤支持装置6により、収納状態となった後、引出状態となることができるようにされているので、扉41Dが開状態にあるときに扉41Dが配管装置3と同じ高さにある(高さ方向において重複する)場合であっても、制御盤4が引出状態となったときに扉41Dが開状態にされることで、扉41Dと配管装置3との干渉を回避することができる。また、制御盤4が引出状態となったときに扉41Dを開状態にして下段部品461のメンテナンスをすることができるので、下段部品461のメンテナンスを、狭いキャビネット2の内部空間内ではなく、より広いキャビネット2の外部で行うことができ、メンテナンス作業性を向上できる。また、この場合、制御盤4の収納状態において、制御盤4(ひいては扉41D)と配管装置3とを上下方向において互いに接近させて配置することができる(
図1)ので、給水装置1の上下方向の寸法の小型化が可能になる。
ただし、制御盤4と配管装置3との間の上下方向距離を十分に確保し、制御盤4の収納状態において扉41Dを開状態にしても扉41Dと配管装置3とが干渉しないようにされている場合、給水装置1は、制御盤支持装置6を有していなくてもよく、すなわち、制御盤4は、キャビネット2から引き出し可能に構成されていなくてもよい。
【0044】
本実施形態において、制御盤4は、上段部品462aとして、制御基板を有しており、より具体的には、制御基板(以下、「制御基板462a」と表記することがある。)のみを有している(
図5~
図6)。制御基板462aは、配管装置3の各ポンプPを制御するように構成されている。制御基板462aは、水平方向に平行に指向されており、上側を向いている。
また、本実施形態において、制御盤4は、それぞれ下段部品461として、無線通信基板461aと、電源装置461bと、を有している(
図6~
図7)。
無線通信基板461aは、制御基板462aから制御情報を取得するように構成されているとともに、当該制御情報を無線通信により所定端末に送信できるように構成されている。制御基板462aから取得される制御情報には、配管装置3の運転情報が含まれると好適である。前記所定端末とは、例えば、専用のアプリケーションが搭載された、携帯端末、スマートフォン、タブレット等である。当該所定端末は、例えば、制御盤4のメンテナンスを行う作業者によって、メンテナンス時に確認のために使用されることができる。無線通信基板461aは、メモリーカード(マイクロSDカード等)を収容するように構成されたメモリーカード収容部CC(
図7)を有すると、好適である。メモリーカード収容部CCに収容されたメモリーカードには、例えば、異常発報時の前後における配管装置3の種々の機器及び/又は制御盤4の内部部品46のデータが保存されるようにされていると、好適である。
電源装置461bは、無線通信基板461aに電源を供給するように構成されている。電源装置461bは、例えば、AC/DC変換して無線通信基板461aに電源を供給するように構成された、スイッチング電源から構成されると、好適である。
扉41Dが閉状態にあるとき、無線通信基板461aと電源装置461bとは、水平方向に平行に指向されており、上側を向いている。本実施形態において、無線通信基板461aは、電源装置461bよりも、扉41Dの取付側端部41Dpの近くに配置されている。
本実施形態において、制御盤4は、上段部品462a以外の本体部搭載内部部品462として、端子台462bと、1つ又は複数(本実施形態では、2つ)の漏電遮断器462cと、1つ又は複数(本実施形態では、2つ)のリアクトル462dと、1つ又は複数(本実施形態では、2つ)のインバータ462eと、を有している(
図5)。
制御盤4の各内部部品46どうしは、図示しない配線Wによって繋がれ得る。本体部内部部品搭載面41Msや下段部品搭載面Dsの上には、これらの配線Wを保持するためのワイヤーサドルSが設けられ得る(
図6~
図7)。
本実施形態では、比較的メンテナンスの必要性が高い制御基板を上段部品462aとして上段に配置し、比較的メンテナンスの必要性が低い無線通信基板461aや電源装置461bを下段部品461として下段に配置することにより、制御盤4のメンテナンス作業性を向上させている。
ただし、上段部品462aと下段部品461とは、それぞれ、任意の内部部品46から構成されてよい。例えば、1つ又は複数の上段部品462aを、端子台462bと、1つ又は複数の漏電遮断器462cと、1つ又は複数のリアクトル462dと、1つ又は複数のインバータ462eと、のうちいずれか1つとし、1つ又は複数の下段部品461を、無線通信基板461a及び/又は電源装置461bとした場合も、同様に、制御盤4のメンテナンス作業性を向上することができる。
【0045】
扉41Dは、
図8及び
図13に示すように、板状部材から構成されていると、好適である。これにより、扉41Dの製造にあたって、複雑な加工等が不要であり、また、扉41Dの構造が簡単となるため、コストを低減できる。また、制御盤4の軽量化が可能となる。
なお、本実施形態において、扉41Dの板厚は、底板本体部41Mの板厚と同じである。ただし、扉41Dの板厚は、下段部品461の重量や着脱にかかる荷重に耐えられる厚さである限り、底板本体部41Mの板厚とは異なっていてもよい。
【0046】
図12~
図13に示すように、本実施形態において、扉41Dは、開状態において下段部品搭載面41Dsが給水装置1の前側を向くように構成されている。これに伴い、扉41Dの取付側端部41Dpは、扉41Dの後側の端部であり、扉41Dの開放側端部41Dqは、扉41Dの前側の端部である。これにより、給水装置1の正面からの下段部品461のメンテナンス作業がさらにし易くなる。
ただし、扉41Dは、開状態において下段部品搭載面41Dsが任意の方向を向くように構成されてよく、例えば、開状態において下段部品搭載面41Dsが右側又は左側を向くように構成されてもよい。
【0047】
本実施形態において、制御盤4は、扉41Dが所定開度以上開くのを規制するように構成された、扉規制部材48(
図11)を、さらに有している。扉規制部材48は、底板本体部41Mに設けられており、底板本体部41Mの下面から下側へ延在している。扉規制部材48は、底板本体部41Mに対して垂直に延在していると、好適であるが、底板本体部41Mに対して非垂直に傾斜して延在していてもよい。
本実施形態において、扉41Dは、その取付側端部41Dpが、蝶番Hを介して、扉規制部材48に取り付けられている(
図11)。具体的に、蝶番Hの他方の羽根HW2は、扉規制部材48に対して締結部材f3によって固定されている。
これにより、扉41Dは、下側へ開く際に、締結部材f2、f3及び/若しくは蝶番Hを介して、又は直接、扉規制部材48に当たるまで、開くことができるようにされている。
扉規制部材48により、扉41Dを開状態において位置決めすることができるので、下段部品461のメンテナンス作業性を向上できる。また、扉規制部材48により、扉41Dが意図せずに開きすぎて他の部材(例えば、配管装置3やキャビネット2)と干渉するのを回避できる。仮に、扉規制部材48を設けずに、蝶番Hとして角度調整できるものを採用し、蝶番Hによって扉41D及び下段部品461からの荷重を受けようとすると、蝶番Hのサイズが大きくなりコストがかかるおそれがあるところ、扉規制部材48であれば、扉41D及び下段部品461からの荷重を受けるための面積を調整しやすい。
本実施形態において、扉規制部材48は、底板本体部41Mを構成する板状部材と同じ板部材から構成されている。これにより、扉規制部材48を設けるために別途部品を用意する必要がなく、部品点数の増大を抑えることができる。扉規制部材48は、例えば、当該板状部材の一部分を曲げ加工することにより、形成することができる。ただし、扉規制部材48は、底板本体部41Mとは異なる部材から構成されて、底板本体部41Mに固定されていてもよい。
なお、蝶番Hの他方の羽根HW2は、扉規制部材48に取り付けられる代わりに、底板本体部41Mに直接取り付けられてもよく、その場合でも、扉41Dは、扉規制部材48によって所定開度以上開くのが規制されるようにされてもよい。
また、扉規制部材48は、設けられなくてもよい。
【0048】
本実施形態において、扉41Dは、その開放側端部41Dqが、留め具Jによって、底板本体部41Mに対して取り外し可能に留められるように構成されている。
より具体的に、本実施形態においては、
図10に示すように、扉41Dの閉状態において、扉41Dの開放側端部41Dqの少なくとも一部は、底板本体部41Mの下面に下側から当接されており、扉41Dの開放側端部41Dqの当該部分と底板本体部41Mとに設けられた留め具用穴41Dh、41Mh(
図12)に、ネジからなる留め具Jが下側からねじ込まれることによって、扉41Dの開放側端部41Dqが底板本体部41Mに対して取り外し可能に留められるようにされている。作業者は、扉41Dを開く際、留め具Jを外してから、扉41Dを開く。
これにより、扉41Dが意図せずに開くのを回避できる。
なお、留め具Jは、本実施形態のようにネジから構成される場合に限られず、扉41Dを底板本体部41Mに対して取り外し可能に留められる限り、任意の構成を有してよい。
また、扉41Dは、その開放側端部41Dqが、留め具Jによって、底板本体部41Mに対して取り外し可能に留められるように構成されていなくてもよい。
【0049】
図14は、
図7の制御盤4の一変形例を示しており、制御盤4の内部部品46どうしを繋ぐ配線Wの一部やワイヤーサドルSの配置例を示している。
図14の例は、
図7の例とは、ワイヤーサドルSの位置及び角度が異なる。
図14に示すように、少なくともいずれか1つの下段部品461に繋がった各配線Wのうちの1つ又は複数(
図14の例では、2つ)の配線Wa(W)は、扉41Dの取付側端部41Dpの上側を延在するように、底板本体部41Mの上に設けられたワイヤーサドルSa(S)によって保持されていると、好適である。これにより、扉41Dが下側へ開かれるときに、当該1つ又は複数の配線Waが下段部品461によって引っ張られるのを抑制できる。
なお、当該1つ又は複数の配線Waは、
図14の例において、扉41Dの取付側端部41Dpの上側を延在し、さらに、下段部品461としての無線通信基板461aと扉41Dとの間の隙間を通った後、下段部品461としての電源装置461b(
図7)に接続されている。 上記ワイヤーサドルSaは、扉41Dの取付側端部41Dpの近傍に位置していると、好適である。上記ワイヤーサドルSaと扉41Dの取付側端部41Dpとの間の距離は、例えば、5cm以下であると好適であり、2cm以下であるとより好適である。
【0050】
上記ワイヤーサドルSaは、
図14に示すように、制御盤4の平面視において、縦板42~44のうちいずれか1つ(
図14の例では、後板44)から離間して配置されていると、好適である。これにより、当該ワイヤーサドルSaと制御盤4の当該縦板42~44(
図14の例では、後板44)との間の隙間Gを、他の配線Wb(W)のための配線経路として活用することができ、その分、ワイヤーサドルSの数を低減できる。また、この場合、仮に当該ワイヤーサドルSaによって上記の配線Waと他の配線Wbとの両方を保持する場合や、これらの配線Wa、WbをワイヤーサドルSによって保持しない場合に比べて、当該ワイヤーサドルSaによって保持された配線Waと上記他の配線Wbとの間の距離をより大きく確保することができるので、電磁結合による誘起電圧(ノイズ)の影響を低減できる。
図14の例において、当該他の配線Wbは、インバータ通信線及び漏電信号線であり、これらは、電気的に、上段部品462aとしての制御基板462a(
図6)に接続される。
【0051】
以下、制御盤支持装置6の構成例について、さらに詳しく説明する。
図2に示すように、制御盤支持装置6は、制御盤4の左右両側に設けられた一対の制御盤支持部61を有している。制御盤4の左側に設けられた制御盤支持部61は、キャビネット2の左側の側壁2aと制御盤4の左側の側板43との間に位置しており、キャビネット2の左側の側壁2aと制御盤4の左側の側板43とに連結されている。制御盤4の右側に設けられた制御盤支持部61は、キャビネット2の右側の側壁2aと制御盤4の右側の側板43との間に位置しており、キャビネット2の右側の側壁2aと制御盤4の右側の側板43とに連結されている。
【0052】
各制御盤支持部61の構成は、互いに同様でよい。以下の説明において、単に「制御盤支持部61」というときは、各制御盤支持部61のそれぞれを指している。
また、以下の制御盤支持部61の説明において、「キャビネット2の側壁2a」、「制御盤4の側板43」というときは、キャビネット2の一対の側壁2a、制御盤4の一対の側板43のうち、それぞれの制御盤支持部61に連結された方のキャビネット2の側壁2a、制御盤4の側板43を指している。
【0053】
本実施形態において、制御盤支持部61は、被摺動部材62と、中間板63と、摺動部材64と、回転軸65と、突起部材67と、を有している(
図2、
図4)。
【0054】
被摺動部材62は、キャビネット2の側壁2aの内面(左右方向内側の面)に固定されており、前後方向に延在している(
図2及び
図4)。被摺動部材62は、摺動部材64を前後方向にガイドするように構成されている。
【0055】
中間板63は、左右方向において、制御盤4の側板43とキャビネット2の側壁2aとの間に、より具体的には、制御盤4の側板43と摺動部材64との間に、位置している(
図2及び
図4)。中間板63は、キャビネット2の側壁2aと制御盤4の側板43とに対して平行に延在している。中間板63は、回転軸用挿通穴631を有している。回転軸用挿通穴631には、回転軸65が挿通されている。
本実施形態において、回転軸用挿通穴631は、
図4に示すように、前後方向に延在する長穴である。
【0056】
摺動部材64は、中間板63における左右方向外側の面に固定されている。これにより、中間板63は、摺動部材64及び被摺動部材62を介して、キャビネット2の側壁2aに対して、前後方向に移動可能に、取り付けられている。摺動部材64は、被摺動部材62よってガイドされながら、被摺動部材62に対して前後方向に摺動可能に構成されている。
摺動部材64は、例えば、レール式に構成される。
【0057】
被摺動部材62及び摺動部材64は、所定距離以上は摺動部材64が被摺動部材62に対して前方へ移動できないように構成されていると、好適である。これにより、作業者が制御盤4を引き出す際等において、制御盤4が意図せずにキャビネット2から外れるのを防止できる。
被摺動部材62及び摺動部材64は、制御盤4が引出状態(
図4~
図13)となったときに、それ以上は摺動部材64が被摺動部材62に対して前方へ移動できないように構成されていると、好適である。これにより、作業者は、制御盤4を簡単かつ安定的に引出状態に位置決めすることができる。
【0058】
回転軸65は、制御盤4に固定されており、左右方向に延在し、中間板63の回転軸用挿通穴631に挿通されている。より具体的に、本実施形態において、回転軸65は、制御盤4の側板43に対して固定されており、さらに具体的には、制御盤4の側板43の下端(側板43のうち、制御盤4の底板41と連結した部分)から下側へ延在する延長片45に固定されている(
図2)。ただし、回転軸65は、制御盤4の側板43に直接固定されていてもよい。回転軸65は、制御盤4の側板43よりも左右方向外側(すなわち、制御盤4の外側)において、左右方向に延在している。
【0059】
突起部材67は、制御盤4に固定されており、左右方向に延在している。
より具体的に、本実施形態において、突起部材67は、制御盤4の側板43に固定されている。回転軸65は、制御盤4の側板43よりも左右方向外側(すなわち、制御盤4の外側)において、左右方向に延在している。突起部材67は、
図4に示すように、回転軸65よりも前側において、制御盤4に固定されていると、好適である。
また、制御盤支持部61の中間板63は、
図4に示すように、上側が開放された突起部材用挿通穴632を有している。突起部材用挿通穴632は、突起部材67が挿通されるように構成されている。突起部材用挿通穴632は、
図4に示すように、回転軸用挿通穴631よりも前側に設けられていると、好適である。
【0060】
このように、本実施形態において、制御盤4は、回転軸65及び突起部材67を介して、摺動部材64が固定された中間板63と連結されており、言い換えれば、回転軸65、突起部材67、及び中間板63を介して、摺動部材64と連結されている。これにより、制御盤4は、引出状態となった後、制御盤4の底板41の内部部品搭載面41sが前側を向いた状態(以下、「展開状態」という。)(図示せず)となることができるようにされている。この場合、作業者は、制御盤4を展開状態にした状態でも、制御盤4のメンテナンスを行うことができる
展開状態(図示せず)において、制御盤4は、その大部分又は全体が、キャビネット2よりも前側に位置している。展開状態において、制御盤4の内部部品搭載面41sは、鉛直方向にほぼ平行であり、前側を向いている。展開状態において、制御盤4は、キャビネット2内の配管装置3と干渉しない。
制御盤4を引出状態から展開状態へ移動させる手順としては、まず、制御盤4が引出状態(扉41Dは閉状態にされる。)にある時に、作業者は、制御盤4を上側に持ち上げることによって、突起部材67を突起部材用挿通穴632の外部へ移動させ、その後、制御盤4を前側へ引っ張ることにより、突起部材67の少なくとも一部が、前後方向において中間板63の前端よりも前側に来るように移動させ、その後、制御盤4を、回転軸65の周りで下側へ回転させて、制御盤4を展開状態に至らせる。
メンテナンス作業の後は、これまでの手順とは逆の手順で、制御盤4を展開状態から引出状態、さらには収納状態に、順次移動させる。
【0061】
ただし、制御盤4は、回転軸65、突起部材67、及び中間板63を介さずに、直接、摺動部材64と連結されていてもよい。この場合、摺動部材64は、例えば、制御盤4の側板43の左右方向外側の面に固定される。また、制御盤支持部61は、回転軸65、突起部材67、及び中間板63を有さず、被摺動部材62と、摺動部材64と、を有することとなる。この場合、制御盤4は、制御盤支持装置6により、収納状態と引出状態との間を移動できるようにされるが、展開状態へは移動できないようにされる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る給水装置は、例えば商業建造物や集合住宅等の需要先に給水するために、好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 給水装置
2 キャビネット
2a 側壁
2d 上壁
2e 後壁
3 配管装置
3a 吸込口
3b 吐出口
BP 逆流防止器
DPT 圧力タンク
P ポンプ
4 制御盤
41 底板
41s 内部部品搭載面
41M 底板本体部
41Ma 扉用開口
41Ms 本体部内部部品搭載面
41Mh 留め具用穴
41D 扉
41Ds 下段部品搭載面
41Dp 取付側端部
41Dq 開放側端部
41Dh 留め具用穴
42 前板(縦板)
43 側板(縦板)
44 後板(縦板)
45 延長片
46 内部部品
461 下段部品
461a 無線通信基板
461b 電源装置
462 本体部搭載内部部品
462a 上段部品(制御基板)
462b 端子台
462c 漏電遮断器
462d リアクトル
462e インバータ
47 冷却装置
48 扉規制部材
CC メモリーカード収容部
H 蝶番
HW1、HW2 羽根
HP ピン
W、Wa、Wb 配線
S、Sa ワイヤーサドル
K、K’ スペーサ部材
f1、f2、f3 締結部材
J 留め具
G 隙間
5 可動式制御盤装置
6 制御盤支持装置
61 制御盤支持部
62 被摺動部材
63 中間板
631 回転軸用挿通穴
632 突起部材用挿通穴
64 摺動部材
65 回転軸
67 突起部材