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特許7402544バルブ装置、流体制御装置及びバルブ装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】バルブ装置、流体制御装置及びバルブ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/12 20060101AFI20231214BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F16K7/12 Z
F16K27/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021536647
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2020022873
(87)【国際公開番号】W WO2021019922
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2019141073
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 章弘
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 尊
(72)【発明者】
【氏名】山路 道雄
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】石橋 圭介
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-161022(JP,A)
【文献】特開2019-100525(JP,A)
【文献】特開平08-159308(JP,A)
【文献】国際公開第2011/067891(WO,A1)
【文献】特開2014-190387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/12
F16K 27/00
F16K 31/122
F16L 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路が形成される流路ブロックと、
前記流路を開閉するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムを押さえるダイヤフラム押さえと、
前記ダイヤフラム押さえを介して前記ダイヤフラムを押下するアクチュエータと、
内周面に雌ねじが形成されるとともに、前記流路ブロックと前記アクチュエータとを連結する筒状のボンネットと、
前記雌ねじに螺合され、前記ダイヤフラム押さえに当接することで前記ダイヤフラムの開弁位置を調整する筒状の位置調整部材と、
前記雌ねじにねじ込まれることで前記位置調整部材をロックする環状のロックナットと、を備える、バルブ装置。
【請求項2】
前記ロックナットと重ならない前記位置調整部材の領域には、第1回転治具が係合する第1係合部が形成され、
前記ロックナットには、第2回転治具が係合する第2係合部が形成される、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記第1係合部は、前記第2係合部よりも内径側に位置する、請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、ケースを有し、
前記ケースは、
前記流路ブロック側に延伸するように設けられ、外周面に前記雌ねじに螺合する雄ねじが形成される筒状の延伸部と、
前記延伸部よりも外周側に位置し前記ボンネットに対向する環状の当接面と、を有し、
前記ボンネットには、前記当接面に対向する環状の位置決め面が形成され、
前記当接面と前記位置決め面とが、前記雄ねじと前記雌ねじとの螺合によって当接した状態において、前記延伸部と前記ロックナットとの間にクリアランスが形成される、請求項1から3のいずれか1項に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記ボンネットの前記流路ブロック側に位置する端部には、前記雌ねじの内径よりも小さい内径を有する環状部が形成され、
前記端部と前記流路ブロックとの間には、前記環状部の内径よりも小さい内径を有する環状のスペーサが設けられ、
前記ダイヤフラム押さえは、
前記スペーサに対向する移動規制面を有するとともに、前記環状部によってガイドされる被ガイド部と、
前記スペーサの内周側に挿入され前記被ガイド部よりも前記流路ブロック側に位置する挿入部と、を有し、
前記ダイヤフラム押さえの前記流路ブロック側への移動は、前記被ガイド部の前記移動規制面と前記スペーサとの当接によって規制される、請求項1から4のいずれか1項に記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記ボンネットの前記流路ブロック側に位置する端部には、前記雌ねじの内径よりも小さい内径を有する環状部が形成され、
前記位置調整部材は、
前記雌ねじに螺合する螺合部と、
前記環状部に対向するように前記螺合部よりも前記流路ブロック側に位置するねじ込み量規制部と、を有し、
前記位置調整部材のねじ込み量は、前記ねじ込み量規制部と前記環状部との当接によって規制される、請求項1から4のいずれか1項に記載のバルブ装置。
【請求項7】
上流側から下流側に向かって複数の流体機器が配列される流体制御装置であって、
複数の前記流体機器は、請求項1から6のいずれか1項に記載のバルブ装置を含む、流体制御装置。
【請求項8】
バルブ装置の製造方法であって、
流路が形成される流路ブロックに、前記流路を開閉するダイヤフラムを設置するダイヤフラム設置工程と、
内周面に雌ねじが形成される筒状のボンネットを、前記流路ブロックに取り付けるボンネット取付工程と、
ダイヤフラム押さえを前記ダイヤフラムに当接するように前記ボンネットに設置するダイヤフラム押さえ設置工程と、
筒状の位置調整部材を前記雌ねじに螺合させることで前記ダイヤフラム押さえを介して前記ダイヤフラムの開弁位置を調整する開弁位置調整工程と、
環状のロックナットを前記雌ねじにねじ込むことで前記位置調整部材をロックするロック工程と、
前記ダイヤフラム押さえを介して前記ダイヤフラムを押下するためのアクチュエータを、前記ボンネットに取り付けるアクチュエータ取付工程と、を含む、バルブ装置の製造方法。
【請求項9】
前記ロック工程において、前記位置調整部材の回転が規制された状態において、前記ロックナットを前記雌ねじにねじ込むことで前記位置調整部材をロックする、請求項に記載のバルブ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置、流体制御装置及びバルブ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
JP2016-161022Aには、流路が形成される流路ブロックと、流路を開閉するダイヤフラムと、ダイヤフラム押さえを介してダイヤフラムを押下するアクチュエータと、流路ブロックとアクチュエータとを連結するボンネットと、を備えるバルブ装置が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、JP2016-161022Aのバルブ装置では、バルブ装置を構成する各部材の寸法のばらつきによって、ダイヤフラムの全開時に流路を流れる流体の流量にばらつきが生じるという問題点があった。そこで、バルブ装置の組み付け時に、この流量に関連するCv値を調整することが求められている。なお、Cv値とは、JIS規格では、特定の動作範囲において、圧力差が1Psiとして華氏60度の水を流した時の流量をUSガロン/minで表す流量数値である。
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、組み付け時にCv値を調整することができるバルブ装置、流体制御装置及びバルブ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明に係る一方の態様によれば、流路が形成される流路ブロックと、前記流路を開閉するダイヤフラムと、前記ダイヤフラムを押さえるダイヤフラム押さえと、前記ダイヤフラム押さえを介して前記ダイヤフラムを押下するアクチュエータと、内周面に雌ねじが形成されるとともに、前記流路ブロックと前記アクチュエータとを連結する筒状のボンネットと、前記雌ねじに螺合され、前記ダイヤフラム押さえに当接することで前記ダイヤフラムの開弁位置を調整する筒状の位置調整部材と、前記雌ねじにねじ込まれることで前記位置調整部材をロックする環状のロックナットと、を備える、バルブ装置が提供される。
【0006】
本発明に係る他方の態様によれば、バルブ装置の製造方法であって、流路が形成される流路ブロックに、前記流路を開閉するダイヤフラムを設置するダイヤフラム設置工程と、内周面に雌ねじが形成される筒状のボンネットを、前記流路ブロックに取り付けるボンネット取付工程と、ダイヤフラム押さえを前記ダイヤフラムに当接するように前記ボンネットに設置するダイヤフラム押さえ設置工程と、筒状の位置調整部材を前記雌ねじに螺合させることで前記ダイヤフラム押さえを介して前記ダイヤフラムの開弁位置を調整する開弁位置調整工程と、環状のロックナットを前記雌ねじにねじ込むことで前記位置調整部材をロックするロック工程と、前記ダイヤフラム押さえを介して前記ダイヤフラムを押下するためのアクチュエータを、前記ボンネットに取り付けるアクチュエータ取付工程と、を含む、バルブ装置の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の態様によれば、組み付け時にCv値を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るバルブ装置を示す断面図である。
図2】調整ねじ及び調整ねじを回転させる第1回転治具を示す上面図である。
図3】ロックナットを示す上面図である。
図4】ロックナットを回転させる第2回転治具を示す概略図であり、(a)第2回転治具の概略上面図であり、(b)第2回転治具の概略断面図である。
図5バルブ装置の製造方法を示すフローチャートである。
図6】調整ねじの回転が第1回転治具によって規制された状態において、ロックナットを第2回転治具によってねじ込むことで調整ねじをロックする状態を示す概略図である。
図7】バルブ装置が適用される流体制御装置の一例を示す斜視図である。
図8】第1変形例に係るバルブ装置の要部を示す断面図である。
図9】第2変形例に係るバルブ装置の要部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する。)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0010】
まず、図1から図4を参照しながら本実施形態に係るバルブ装置1について説明する。
【0011】
図1は、バルブ装置1を示す断面図である。図2は、調整ねじ8及び調整ねじ8を回転させる第1回転治具10を示す上面図である。図3は、ロックナット9を示す上面図である。図4は、ロックナット9を回転させる第2回転治具11を示す概略図であり、(a)第2回転治具11の概略上面図であり、(b)第2回転治具11の概略断面図である。
【0012】
本実施形態に係るバルブ装置1は、半導体の製造に用いられる流体制御装置(図示しない)に設けられる。流体制御装置は、ALD(Atomic Layer Deposition/すなわち、原子層堆積)法によって半導体ウェハ等の基板に所定の薄膜を形成する薄膜生成工程に用いられる。
【0013】
図1に示すように、バルブ装置1は、流路ブロック2、ダイヤフラム3、ダイヤフラム押さえ4、駆動部としてのアクチュエータ5、ボンネット6、スペーサ7、位置調整部材としての調整ねじ8及びロックナット9を備える。バルブ装置1は、駆動流体としての駆動エアをアクチュエータ5に導入することによりダイヤフラム3を開放するエアオペレートバルブである。
【0014】
流路ブロック2は、流路としての流体流入流路21、流体流出流路22及びボンネット6が収容される凹部23を有する。流体流入流路21の一端(図1の上端)及び流体流出流路22の一端(図1の上端)は、凹部23を介して連通する。流体流入流路21の一端の周縁には、円環状の弁座24が設けられる。流路ブロック2は、凹部23を形成する周壁231を備える。凹部23には、ボンネット6に螺合する雌ねじ232が形成される。
【0015】
ダイヤフラム3は、弁座24から離間又は弁座24に押圧されて流体流入流路21を開閉するための弁体である。ダイヤフラム3は、流路側とアクチュエータ5側とを隔てる隔膜部材である。また、ダイヤフラム3は、自然状態においてアクチュエータ5側(図1の上側)に向かって隆起する円弧状に形成され、例えば、ニッケル合金薄板等からなる。通常、ダイヤフラム3は、ダイヤフラム押さえ4によって弁座24に押さえられる。
【0016】
ダイヤフラム押さえ4は、ダイヤフラム3を弁座24に押さえるための押さえ部材である。ダイヤフラム押さえ4は、ボンネット6に収容される。また、ダイヤフラム押さえ4は、被ガイド部としての円板状の押さえ本体41と、押さえ本体41からアクチュエータ5側(図1の上側)に突出し、押さえ本体41よりも小径である円板状の上突部42と、押さえ本体41から流路ブロック2側(図1の下側)に突出し、押さえ本体41よりも小径であるとともに上突部42よりも大径である挿入部としての円板状の下突部43と、を有する。なお、押さえ本体41、上突部42及び下突部43は、同軸に形成される。
【0017】
押さえ本体41には、当接面としての上面411と、上面411とは反対である移動規制面としての下面412とが形成される。上面411は、上突部42よりも外側に位置するとともに調整ねじ8の流路ブロック2側の端面(図1の下端面)に対向するように形成される。下面412は、下突部43よりも外側に位置するとともにスペーサ7のアクチュエータ5側の端面(図1の上端面)に対向するように形成される。
【0018】
また、本実施形態では、下突部43は、嵌合により押さえ本体41に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、押さえ本体41と一体成形されてもよい。
【0019】
アクチュエータ5は、ボンネット6に収容されたダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3を弁座24に押圧又は離間させることにより、流体流入流路21と流体流出流路22とを遮断又は連通させる。アクチュエータ5は、ボンネット6の上方に設けられるケース51と、ケース51に摺動可能に収容されるピストン52と、ピストン52を流路ブロック2側に押し付ける付勢部材としてのコイルばね53と、ピストン52と連動して軸方向(図1の上下方向)に移動するステム54と、を有する。
【0020】
ケース51は、ピストン52及びコイルばね53を収容するための枠部材である。ケース51は、上ケースとしての有底円筒状の第1ケース511と、ねじ螺合によって第1ケース511に連結される下ケースとしての第2ケース512と、を有する。第1ケース511と第2ケース512との連結によって形成される収容空間513には、ピストン52が摺動可能に収容される。ピストン52の上方には、コイルばね53が収容される。
【0021】
第1ケース511は、円筒状の周壁511aと、周壁511aの一端(図1の上端)に設けられる円柱状の頂壁511bと、を有する。周壁511aの他端(図1の下端)の内周面には、第2ケース512に螺合する雌ねじ511cが形成される。頂壁511bの中央には、ステム54の軸方向(図1の上下方向)に貫通するステム案内孔511dが形成される。駆動エアは、ステム案内孔511dを介して駆動エア供給制御部(図示しない)からアクチュエータ5に導入される。
【0022】
頂壁511bには、ステム案内孔511dを取り囲むようにコイルばね53を収容するばね収容室としての円環溝511eが形成される。コイルばね53は、その一端(図1の上端)が円環溝511eの底部に当接するとともにその他端(図1の下端)がピストン52の後述する第1ピストン521に当接するように圧縮状態で円環溝511eに収容される。
【0023】
周壁511aには、雌ねじ511cと干渉しないように径方向に貫通するエア抜き用の貫通孔511f及び貫通孔511gが形成される。なお、貫通孔511gは、貫通孔511fよりも下方に位置する。頂壁511bには、ステム案内孔511dと干渉しないようにアクチュエータ5を回転させる第3回転治具が係合する一対の係合穴511hが形成される。
【0024】
第2ケース512は、円筒状の周壁512aと、周壁512aの一端(図1の下端)に設けられる円板状の底壁512bと、底壁512bから流路ブロック2側(図1の下側)に延伸する円筒状の延伸部514と、を有する。周壁512aの外周面には、雌ねじ511cに螺合する雄ねじ512cが形成される。周壁512aには、雄ねじ512cと干渉しないように径方向に貫通するエア抜き用の貫通孔512dが形成される。第1ケース511の貫通孔511gと第2ケース512の貫通孔512dとが連通する。
【0025】
底壁512b及び延伸部514には、ステム54が挿通する貫通孔512eが形成される。延伸部514の外周面には、ボンネット6に螺合する雄ねじ515が設けられる。底壁512bには、延伸部514よりも外周側に位置しボンネット6に対向する円環状の平坦な当接面512fが形成される。
【0026】
ピストン52は、上ピストンとしての第1ピストン521と、第1ピストン521よりも図1の下方に位置する下ピストンとしての第2ピストン522と、を有する。
【0027】
第1ケース511の内周面には、第1ピストン521と第2ピストン522との間に位置するカウンタプレート55が固定される。カウンタプレート55の中央には、ステム54が挿通する貫通孔が形成される。
【0028】
第2ピストン522と第2ケース512との間には、第1エア導入室56が形成される。第1ピストン521とカウンタプレート55との間には、第2エア導入室57が形成される。
【0029】
ステム54は、その一端(図1の上端)が第1ケース511のステム案内孔511dに挿入される。ステム54には、第1エア導入室56及び第2エア導入室57に駆動エアを導入するための軸方向流路54a、第1径方向流路54b及び第2径方向流路54cが形成される。また、本実施形態では、ステム54は、第1ピストン521の中央部から上方に延伸する第1軸部と、第1軸部とは別体に形成され第2ピストン522の中央部から上下方向に延伸する第2軸部と、を有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1軸部と第2軸部とが一体に形成される軸部を有してもよい。
【0030】
軸方向流路54aは、ステム案内孔511dに連通する。第1径方向流路54bは、軸方向流路54aの先端(図1の下端)に形成され、軸方向流路54aと第1エア導入室56とを連通する。第2径方向流路54cは、軸方向流路54aの中央付近に形成され、軸方向流路54aと第2エア導入室57とを連通する。
【0031】
第1ピストン521と第1ケース511との間には、第1連通室58が形成される。第1連通室58は、貫通孔511fを介して外部に連通する。第2ピストン522とカウンタプレート55との間には、第2連通室59が形成される。第2連通室59は、貫通孔511g及び貫通孔512dを介して外部に連通する。
【0032】
ステム案内孔511dとステム54の一端との間には、Oリング12が介装される。第1ピストン521と第1ケース511との間には、Oリング13が介装される。カウンタプレート55と第1ケース511との間には、Oリング14が介装される。カウンタプレート55とステム54との間には、Oリング15が介装される。第2ピストン522と第2ケース512との間には、Oリング16が介装される。ステム54と貫通孔512eとの間には、Oリング17が介装される。
【0033】
ボンネット6は、流路ブロック2とアクチュエータ5とを連結する円筒状の連結部材である。ボンネット6には、ダイヤフラム押さえ4、調整ねじ8及びロックナット9が収容される。
【0034】
ボンネット6の外周面には、流路ブロック2の凹部23の雌ねじ232に螺合する雄ねじ61が形成される。これにより、ボンネット6は、雌ねじ232と雄ねじ61とのねじ螺合によって流路ブロック2に取り付けられる。また、ボンネット6の外周面には、モンキー等に係合可能な六角突出部62が設けられる。六角突出部62は、雄ねじ61よりもアクチュエータ5側(すなわち、雄ねじ61よりも上方)に位置する。
【0035】
ボンネット6のアクチュエータ5(図1の上方)側に位置する内周面には、雌ねじ63が形成される。雌ねじ63には、順に調整ねじ8、ロックナット9及びアクチュエータ5の延伸部514が螺合される。
【0036】
ボンネット6の上端には、アクチュエータ5の当接面512fに対向する円環状の平坦な位置決め面64が形成される。そして、延伸部514の雄ねじ515とボンネット6の雌ねじ63との螺合によって、当接面512fと位置決め面64とが当接するまでアクチュエータ5の延伸部514をボンネット6の内周面にねじ込むことができる。これにより、アクチュエータ5は、当接面512fと位置決め面64との当接によって位置決めされる。
【0037】
ボンネット6の流路ブロック2(図1の下方)側に位置する端部としての下端には、雌ねじ63の内径よりも小さい内径を有する円環状の環状部65が形成される。そして、ダイヤフラム押さえ4の押さえ本体41は、環状部65の内周面によって上下方向にガイドされる。なお、ボンネット6は、雌ねじ63と環状部65とが上下方向に沿って重ならないように形成される。
【0038】
ボンネット6の下端と流路ブロック2の凹部23の底面との間には、環状部65の内径よりも小さい内径を有する円環状のスペーサ7が設けられる。ダイヤフラム3の外周縁は、スペーサ7と凹部23の底面との間で保持され、ボンネット6を凹部23の雌ねじ232にねじ込むことにより固定される。スペーサ7の内周側には、ダイヤフラム3と接触するダイヤフラム押さえ4の下突部43が挿入される。
【0039】
調整ねじ8は、そのボンネット6の雌ねじ63に対するねじ込み量に応じてダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3の開弁位置を調整するための円筒状の位置調整部材である。ここでは、ダイヤフラム3の開弁位置とは、ダイヤフラム3の頂点の位置を指す。また、調整ねじ8は、上下方向に沿ってロックナット9とダイヤフラム押さえ4との間に設けられる。本実施形態では、調整ねじ8の内周側には、アクチュエータ5のステム54とダイヤフラム押さえ4の上突部42とが当接するように挿入されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ステム54及び上突部42のうちのいずれか一方が挿通されてもよい。
【0040】
調整ねじ8は、雌ねじ63に螺合する螺合部としての円筒状の大径部81と、大径部81よりも流路ブロック2(図1の下方)側に位置するとともに大径部81の外径よりも小さい外径を有する円筒状の小径部82と、を有する。なお、大径部81及び小径部82は、同軸に形成される。
【0041】
大径部81の外周面には、ボンネット6の雌ねじ63に螺合する雄ねじ811が形成される。大径部81のアクチュエータ5側の端面(図1の上端面)は、ロックナット9に当接する。
【0042】
小径部82は、その先端(図1の下端)がボンネット6の環状部65に挿入されるように設けられる。小径部82の流路ブロック2側の端面(図1の下端面)は、ダイヤフラム押さえ4の押さえ本体41の当接面としての上面411に当接する。
【0043】
図1及び図2に示すように、調整ねじ8の内周面には、調整ねじ8を回転させる第1回転治具10が係合する第1係合部83が形成される。図2に示すように、第1係合部83は、上面視において調整ねじ8の内周面に所定の間隔を空けて形成された六つの半円状の凹溝831からなる。第1回転治具10は、六角レンチからなる。六つの凹溝831にそれぞれ第1回転治具10の角部を収容させることができる。
【0044】
本実施形態では、凹溝831は、上下方向に沿って大径部81を貫通して小径部82まで延伸するように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、上下方向に沿って大径部81のみを貫通するように設けられてもよいし、上下方向に沿って大径部81の一部のみに設けられてもよい。
【0045】
調整ねじ8は、第1回転治具10によって一方向(例えば、時計回り方向)に回転されることで、ボンネット6の雌ねじ63にねじ込まれながら流路ブロック2(図1の下方)側に移動する。これにより、ダイヤフラム押さえ4は、調整ねじ8とともに流路ブロック2(図1の下方)側に移動する。そして、ダイヤフラム3は、ダイヤフラム押さえ4の移動によって流路ブロック2(図1の下方)側に押し付けられることで、ダイヤフラム3の頂点と弁座24との間に形成される隙間(すなわち、Cv値)が小さくなる。
【0046】
一方、調整ねじ8は、第1回転治具10によって他方向(例えば、反時計回り方向)に回転されることで、ボンネット6の雌ねじ63に対し緩められながらアクチュエータ5(図1の上方)側に移動する。これにより、ダイヤフラム押さえ4は、ダイヤフラム3の復元力によってアクチュエータ5(図1の上方)側に移動することで、ダイヤフラム3の頂点と弁座24との間に形成される隙間(すなわち、Cv値)が大きくなる。
【0047】
以上のように、調整ねじ8は、そのボンネット6の雌ねじ63に対するねじ込み量に応じてダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3の開弁位置を調整することにより、バルブ装置1の組み付け時にCv値を調整することができる。したがって、全開時に流体流入流路21及び流体流出流路22を流れる流体の流量ばらつきを抑制することができる。
【0048】
さらに、ダイヤフラム押さえ4の流路ブロック2(図1の下方)側への移動は、押さえ本体41の移動規制面としての下面412とスペーサ7の上面との当接によって規制される。これにより、ダイヤフラム3の頂点と弁座24との間に形成される隙間(すなわち、Cv値)が小さくなりすぎて調整ねじ8を雌ねじ63に過剰にねじ込むこと、及び閉弁時にダイヤフラム押さえ4がダイヤフラム3を弁座24に過剰に押圧することの両方を抑制することができる。
【0049】
ロックナット9は、ダイヤフラム3の開弁位置が調整された後に調整ねじ8をロックするための円環状のロック部材である。また、ロックナット9は、上下方向に沿ってアクチュエータ5の延伸部514と調整ねじ8との間に設けられる。本実施形態では、ロックナット9の内周側には、アクチュエータ5のステム54が挿通されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ダイヤフラム押さえ4の上突部42が挿通されてもよいし、ステム54と上突部42とが当接するように挿入されてもよい。
【0050】
ロックナット9の外周面には、ボンネット6の雌ねじ63に螺合する雄ねじ91が形成される。ロックナット9の流路ブロック2側の端面(図1の下端面)は、調整ねじ8の大径部81の端面に当接する。
【0051】
図1図3及び図4に示すように、ロックナット9のアクチュエータ5側の端面(図1の上端面)には、ロックナット9を回転させる第2回転治具11が係合する第2係合部92が形成される。図1及び図3に示すように、第2係合部92は、一対の係合孔921からなる。
【0052】
図4に示すように、第2回転治具11は、円筒状の治具本体111と、治具本体111の一端の外周面に設けられ六角レンチに係合可能な六角突出部112と、治具本体111の他端から突出し一対の係合孔921に係合可能な一対の突起113と、を有する。第2回転治具11の治具本体111には、第1回転治具10が挿通可能な貫通孔が形成されるため、第1回転治具10を第2回転治具11の治具本体111の内周側に挿通させて使用することができる。
【0053】
ロックナット9は、第2回転治具11によって一方向(例えば、時計回り方向)に回転されることで、ボンネット6の雌ねじ63にねじ込まれる。これにより、ロックナット9は、調整ねじ8をロックすることができるので、調整ねじ8の緩みによるCv値の変動を抑制することができる。したがって、全開時に流体流入流路21及び流体流出流路22を流れる流体の流量ばらつきをより抑制することができる。
【0054】
また、上面視においてロックナット9と重ならない調整ねじ8の領域には、第1回転治具10が係合する第1係合部83が形成され、上面視において調整ねじ8と重なるロックナット9の領域には、第2回転治具11が係合する第2係合部92が形成される。これにより、第1回転治具10は、ロックナット9と干渉することなく、調整ねじ8の第1係合部83に係合すると同時に、第1回転治具10が挿通される第2回転治具11は、ロックナット9の第2係合部92に係合することができる(図6参照)。
【0055】
そして、調整ねじ8の回転が第1回転治具10によって規制された状態において、ロックナット9を第2回転治具11によってねじ込むことで調整ねじ8を確実に締め付けてロックする。これにより、ロックナット9のねじ込みによる調整ねじ8の回転(共回り)を抑制することができるので、一旦調整されたCv値の変化を無くすことができる。したがって、全開時に流体流入流路21及び流体流出流路22を流れる流体の流量ばらつきをさらに抑制することができる。
【0056】
調整ねじ8の第1係合部83は、ロックナット9の第2係合部92よりも内径側に位置する。これにより、第1回転治具10は、一対の係合孔921間にあるロックナット9の内周側を挿通して、第2係合部92よりも内径側に位置する第1係合部83に係合することができる(図6参照)。
【0057】
以上により、第1回転治具10及び第2回転治具11を、互いに干渉することなく、それぞれ同時に第1係合部83及び第2係合部92に係合させて使用することができる。
【0058】
本実施形態では、第1係合部83及び第2係合部92は、それぞれ上面視においてロックナット9と重ならない調整ねじ8の領域及び上面視において調整ねじ8と重なるロックナット9の領域に形成されている。しかしながら、第1係合部83及び第2係合部92は、これに限定されるものではなく、例えば、それぞれ上面視においてロックナット9と重なる調整ねじ8の領域及び上面視において調整ねじ8と重なるロックナット9の領域に形成されてもよい。
【0059】
さらに、アクチュエータ5の当接面512fとボンネット6の位置決め面64とが、アクチュエータ5の延伸部514の雄ねじ515とボンネット6の雌ねじ63との螺合によって当接した状態において、延伸部514とロックナット9との間にクリアランスが形成される。これにより、延伸部514とロックナット9との当接を回避することができるので、アクチュエータ5の位置決めを当接面512fと位置決め面64との当接によって精度良くすることができる。また、バルブ装置1の上下方向における寸法を一定にすることができる。
【0060】
次に、図5及び図6を参照しながらバルブ装置1の製造方法について説明する。
【0061】
図5は、バルブ装置1の製造方法を示すフローチャートである。図6は、調整ねじ8の回転が第1回転治具10によって規制された状態において、ロックナット9を第2回転治具11によってねじ込むことで調整ねじ8をロックする状態を示す概略図である。
【0062】
図5に示すように、まず、工程S1において、ダイヤフラム3を流路ブロック2に設置する。具体的には、工程S1において、ダイヤフラム3を、流体流入流路21及び流体流出流路22の両方を覆うように流路ブロック2の凹部23の底面に設置する。
【0063】
次に、工程S2において、ボンネット6を流路ブロック2に取り付ける。具体的には、工程S2は、スペーサ7を、ダイヤフラム3の外周縁を覆うようにダイヤフラム3上に載置するスペーサ載置工程と、ボンネット6を流路ブロック2の凹部23にねじ込むことによりスペーサ7及びダイヤフラム3の外周縁を固定するボンネットねじ込み工程と、を含む。
【0064】
次に、工程S3において、ダイヤフラム押さえ4をダイヤフラム3に当接するようにボンネット6に設置する。次に、工程S4において、調整ねじ8を第1回転治具10によってボンネット6の雌ねじ63に螺合させることで、ダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3の開弁位置を調整する。これにより、バルブ装置1の組み付け時にCv値を調整することができる。
【0065】
次に、工程S5において、ロックナット9を第2回転治具11によってボンネット6の雌ねじ63にねじ込むことで調整ねじ8をロックする。具体的には、工程S5において、図6に示すように、調整ねじ8の回転が第1回転治具10によって規制された状態において、ロックナット9を第2回転治具11によってねじ込むことで調整ねじ8を確実に締め付けてロックする。
【0066】
これにより、ロックナット9のねじ込みによる調整ねじ8の回転(共回り)を抑制することができるので、一旦調整されたCv値の変化を無くすことができる。したがって、全開時に流体流入流路21及び流体流出流路22を流れる流体の流量ばらつきをさらに抑制することができる。
【0067】
最後に、工程S6において、アクチュエータ5をボンネット6に取り付ける。具体的には、工程S6において、組み付け状態のアクチュエータ5の延伸部514をボンネット6の雌ねじ63にねじ込むことで、アクチュエータ5の当接面512fとボンネット6の位置決め面64とが当接し、アクチュエータ5の位置決めをすることができる。
【0068】
次に、バルブ装置1の動作について説明する。
【0069】
駆動エア供給制御部が駆動エアをステム案内孔511dを介してバルブ装置1のアクチュエータ5に供給する場合、駆動エアは、軸方向流路54a及び第1径方向流路54bを経由して第1エア導入室56に導入されるとともに、軸方向流路54a及び第2径方向流路54cを経由して第2エア導入室57に導入される。
【0070】
これにより、第1エア導入室56及び第2エア導入室57の容積が増大するように、ピストン52は、コイルばね53の付勢力に抗してステム54と一体に図1の上方に移動する。そして、ダイヤフラム3は、自身の復元力によってダイヤフラム押さえ4とともに上昇することで弁座24から離間する。すなわち、ダイヤフラム3は、ピストン52及びステム54の上昇によって流体流入流路21を開放する。このため、プロセスガス等の流体は、流体流入流路21から弁座24とダイヤフラム3との間に形成される隙間を経由して流体流出流路22に供給される。
【0071】
一方、駆動エア供給制御部が駆動エアをステム案内孔511dを介してバルブ装置1のアクチュエータ5に供給しない場合、ピストン52は、コイルばね53の付勢力によってステム54と一体に図1の下方に移動する。そして、ダイヤフラム3は、ステム54の下方移動によってダイヤフラム押さえ4を介して弁座24に押圧される。すなわち、ダイヤフラム3は、ピストン52、ステム54及びダイヤフラム押さえ4の移動によって流体流入流路21を閉塞する。このため、気化されたプロセスガス等の流体は、流体流入流路21から流体流出流路22に供給されない。
【0072】
第1エア導入室56及び第2エア導入室57の容積は、ピストン52及びステム54の移動によって減少する。このとき、第1エア導入室56のエアは、第1径方向流路54b、軸方向流路54a及びステム案内孔511dを経由して駆動エア供給制御部に導出されるとともに、第2エア導入室57のエアは、第2径方向流路54c、軸方向流路54a及びステム案内孔511dを経由して駆動エア供給制御部に導出される。
【0073】
このように、駆動エア供給制御部は、バルブ装置1のアクチュエータ5への駆動エアの供給を制御することにより、弁座24に対するダイヤフラム3の開閉を切り替えることができる。したがって、このようなバルブ装置1によれば、流体流入流路21から流体流出流路22への流体供給の制御が可能となる。なお、本実施形態では、バルブ装置1は、常時閉(ノーマル・クローズ)のバルブ装置からなっているが、これに限定されるものではなく、例えば、常時開(ノーマル・オープン)のバルブ装置からなってもよい。
【0074】
次に、図7を参照しながら、本実施形態に係るバルブ装置1が適用される流体制御装置の一例を説明する。
【0075】
図7は、バルブ装置1が適用される流体制御装置の一例を示す斜視図である。
【0076】
図7に示す流体制御装置には、幅方向W1,W2に沿って配列され長手方向G1,G2に延伸する金属製のベースプレートBSが設けられる。なお、W1は正面側、W2は背面側、G1は上流側、G2は下流側の方向を示している。ベースプレートBSには、複数の流路ブロック992を介して各種流体機器991A~991Eが設置され、複数の流路ブロック992によって、上流側G1から下流側G2に向かって流体が流通する図示しない流路がそれぞれ形成される。
【0077】
ここで、「流体機器」とは、流体の流れを制御する流体制御装置に使用される機器であって、流体流路を画定するボディを備え、このボディの表面で開口する少なくとも2つの流路口を有する機器である。具体的には、開閉弁(2方弁)991A、レギュレータ991B、プレッシャーゲージ991C、開閉弁(3方弁)991D、マスフローコントローラ991E等が含まれるが、これらに限定されるものではない。なお、導入管993は、上記した図示しない流路の上流側の流路口に接続されている。
【0078】
本実施形態に係るバルブ装置1は、上記した開閉弁991A、991D、レギュレータ991B等の種々のバルブ装置に適用可能である。
【0079】
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0080】
本実施形態に係るバルブ装置1は、流体流入流路21が形成される流路ブロック2と、流体流入流路21を開閉するダイヤフラム3と、ダイヤフラム3を押さえるダイヤフラム押さえ4と、ダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3を押下するアクチュエータ5と、内周面に雌ねじ63が形成されるとともに、流路ブロック2とアクチュエータ5とを連結する円筒状のボンネット6と、雌ねじ63に螺合され、ダイヤフラム押さえ4に当接することでダイヤフラム3の開弁位置を調整する円筒状の調整ねじ8と、雌ねじ63にねじ込まれることで調整ねじ8をロックする環状のロックナット9と、を備える。
【0081】
本実施形態に係る流体制御装置は、上流側から下流側に向かって複数の流体機器が配列される流体制御装置であって、複数の流体機器は、上述したバルブ装置1を含む。
【0082】
本実施形態に係るバルブ装置1の製造方法は、流体流入流路21が形成される流路ブロック2に、流体流入流路21を開閉するダイヤフラム3を設置するダイヤフラム設置工程と、内周面に雌ねじ63が形成される円筒状のボンネット6を、流路ブロック2に取り付けるボンネット取付工程と、ダイヤフラム押さえ4をダイヤフラム3に当接するようにボンネット6に設置するダイヤフラム押さえ設置工程と、円筒状の調整ねじ8を雌ねじ63に螺合させることでダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3の開弁位置を調整する開弁位置調整工程と、円環状のロックナット9を雌ねじ63にねじ込むことで調整ねじをロックするロック工程と、ダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3を押下するためのアクチュエータ5を、ボンネット6に取り付けるアクチュエータ取付工程と、を含む。
【0083】
これらの構成によれば、調整ねじ8は、そのボンネット6の雌ねじ63に対するねじ込み量に応じてダイヤフラム押さえ4を介してダイヤフラム3の開弁位置を調整することで、バルブ装置1の組み付け時にCv値を調整することができる。また、ロックナット9をねじ込むことで調整ねじ8を締め付けてロックすることができるので、調整ねじ8の緩みによるCv値の変動を抑制することができる。したがって、全開時に流体流入流路21及び流体流出流路22を流れる流体の流量ばらつきをより抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態では、ロックナット9と重ならない調整ねじ8の領域には、第1回転治具10が係合する第1係合部83が形成され、ロックナット9には、第2回転治具11が係合する第2係合部92が形成される。
【0085】
この構成によれば、第1回転治具10は、ロックナット9と干渉することなく、調整ねじ8の第1係合部83に係合すると同時に、第2回転治具11は、ロックナット9の第2係合部92に係合することができる。
【0086】
また、本実施形態では、第1係合部83は、第2係合部92よりも内径側に位置する。
【0087】
この構成によれば、第1回転治具10は、一対の係合孔921間にあるロックナット9の内周側を挿通して、第2係合部92よりも内径側に位置する第1係合部83に係合することができる。
【0088】
また、本実施形態では、アクチュエータ5は、ケース51を有し、ケース51は、流路ブロック2側に延伸するように設けられ、外周面に雌ねじ63に螺合する雄ねじ515が形成される円筒状の延伸部514と、延伸部514よりも外周側に位置しボンネット6に対向する円環状の当接面512fと、を有し、ボンネット6には、当接面512fに対向する円環状の位置決め面64が形成され、当接面512fと位置決め面64とが、雄ねじ515と雌ねじ63との螺合によって当接した状態において、延伸部514とロックナット9との間にクリアランスが形成される。
【0089】
この構成によれば、延伸部514とロックナット9との当接を回避することができるので、アクチュエータ5の位置決めを当接面512fと位置決め面64との当接によって精度良くすることができる。また、バルブ装置1の上下方向における寸法を一定にすることができる。
【0090】
また、本実施形態では、ボンネット6の流路ブロック2側に位置する下端には、雌ねじ63の内径よりも小さい内径を有する環状部65が形成され、下端と流路ブロック2との間には、環状部65の内径よりも小さい内径を有する円環状のスペーサ7が設けられ、ダイヤフラム押さえ4は、スペーサ7に対向する下面412を有するとともに、環状部65によってガイドされる押さえ本体41と、スペーサ7の内周側に挿入され押さえ本体41よりも流路ブロック2側に位置する下突部43と、を有し、ダイヤフラム押さえ4の流路ブロック2側への移動は、押さえ本体41の下面412とスペーサ7との当接によって規制される。
【0091】
この構成によれば、ダイヤフラム3の頂点と弁座24との間に形成される隙間(すなわち、Cv値)が小さくなりすぎて調整ねじ8を雌ねじ63に過剰にねじ込むことを抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態では、ロック工程において、調整ねじ8の回転が規制された状態において、ロックナット9を雌ねじ63に螺合させることで調整ねじ8をロックする。
【0093】
この構成によれば、ロックナット9のねじ込みによる調整ねじ8の回転(共回り)を抑制することができるので、一旦調整されたCv値の変化を無くすことができる。したがって、全開時に流体流入流路21及び流体流出流路22を流れる流体の流量ばらつきをより抑制することができる。
【0094】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0095】
(第1変形例)
次に、図8を参照しながら第1変形例に係るバルブ装置1aについて説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と異なる点について説明する。
【0096】
図8は、第1変形例に係るバルブ装置1aの要部を示す断面図である。
【0097】
上述した実施形態では、調整ねじ8のねじ込み量は、押さえ本体41の下面412とスペーサ7との当接によって規制されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示すように調整ねじ8のねじ込み量規制部としての中径部84と環状部65との当接によって規制されてもよい。
【0098】
図8に示すように、本変形例では、調整ねじ8は、大径部81及び小径部82に加え、大径部81の外径よりも小さく、かつ小径部82の外径よりも大きい外径を有する円環状の中径部84を有する。中径部84は、ボンネット6の環状部65に対向するように上下方向に沿って大径部81と小径部82との間に設けられる。
【0099】
本変形例に係るバルブ装置1aによれば、上述した実施形態と同様に調整ねじ8を雌ねじ63に過剰にねじ込むことを抑制することができる。くわえて、円環状のスペーサ7の内径を環状部65の内径と同じ大きさにすることができるとともに、上述した実施形態におけるダイヤフラム押さえ4の下突部43を廃止してダイヤフラム押さえ4の構造の簡易化を図ることができる(図8参照)。
【0100】
(第2変形例)
次に、図9を参照しながら第2変形例に係るバルブ装置1bについて説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と異なる点について説明する。
【0101】
図9は、第2変形例に係るバルブ装置1bの要部を示す断面図である。
【0102】
上述した実施形態では、調整ねじ8とロックナット9とは、上下方向に沿って重ならないように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、図9に示すように上下方向に沿って重なるように設けられてもよい。
【0103】
図9に示すように、本変形例では、第1係合部83は、調整ねじ8のアクチュエータ5側の端面に形成される一対の係合孔831aからなる。第2係合部92は、上面視においてロックナット9の内周面に所定の間隔を空けて形成された六つの半円状の凹溝921aからなる。このように、第1係合部83及び第2係合部92は、それぞれ六つの半円状の凹溝831及び一対の係合孔921からなるとは限らない。
【0104】
本変形例に係るバルブ装置1bによれば、調整ねじ8とロックナット9とを上下方向に沿って重なるように設けることで、調整ねじ8及びロックナット9を収容するボンネット6の上下方向における寸法を小さくすることができる。したがって、バルブ装置1の小型化を図ることできる。
【0105】
本願は2019年7月31日に日本国特許庁に出願された特願2019-141073に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9