(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】セリウム酸化物粒子の製造方法、研磨粒子及びそれを含む研磨用スラリー組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20231214BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20231214BHJP
C01F 17/32 20200101ALI20231214BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231214BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20231214BHJP
C01F 17/235 20200101ALI20231214BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
C01F17/32
H01L21/304 622B
B24B37/00 H
C01F17/235
(21)【出願番号】P 2022526487
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 KR2020015391
(87)【国際公開番号】W WO2021096160
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2019-0143231
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522179725
【氏名又は名称】キェムトン カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHEMTON CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】322, 50-3, Gwangdeok 2-ro, Danwon-gu, Ansan-si, Gyeonggi-do 15445 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ソクキュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、ソヒョン
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-509725(JP,A)
【文献】特表2017-507893(JP,A)
【文献】特表2012-500764(JP,A)
【文献】特表2010-505735(JP,A)
【文献】特開2002-151448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 1/00 -17/38
B24B 3/00 - 3/60
B24B21/00 -39/06
C09G 1/02
C09K 3/14
H01L21/304
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下であるセリウム酸化物粒子を含
み、
前記セリウム酸化物粒子は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)によるO-Ceピーク面積:O-Cピーク面積の比率が1:1.15~1.40である、研磨粒子。
式(1):粒度分布=(D
90-D
10)/D
50
前記式(1)において、
前記D
10は、粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径を意味し、
前記D
50は、粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径を意味し、
前記D
90は、粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径を意味する。
【請求項2】
前記セリウム酸化物粒子は、一次粒子の平均粒子サイズが28nm以下であり、
前記セリウム酸化物粒子は、二次粒子の平均粒子サイズが140nm以下である、請求項1に記載の研磨粒子。
【請求項3】
Zn、Co、Ni、Fe、Al、Ti、Ba及びMnのうちの少なくともいずれか1つの金属原子でドープされたセリウム酸化物粒子を含む、請求項1に記載の研磨粒子。
【請求項4】
請求項1に記載の研磨粒子及び分散剤を含む、研磨用スラリー組成物。
【請求項5】
前記分散剤は、分子内にカルボキシル基を含む、
請求項4に記載の研磨用スラリー組成物。
【請求項6】
セリウム前駆体及びアンモニア前駆体を含む反応用組成物を設ける準備ステップと、
前記反応用組成物を超臨界流体又は亜臨界流体で反応させてセリウム酸化物粒子を得る合成ステップとを含み、
前記アンモニア前駆体は、80℃以上の雰囲気でアンモニアを含む熱分解物を形成するものであり、
前記セリウム酸化物粒子は、下記式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下である、セリウム酸化物粒子の製造方法。
式(1):粒度分布=(D
90-D
10)/D
50
前記式(1)において、
前記D
10は、粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径を意味し、
前記D
50は、粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径を意味し、
前記D
90は、粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径を意味する。
【請求項7】
前記アンモニア前駆体はウレアを含む、
請求項6に記載のセリウム酸化物粒子の製造方法。
【請求項8】
前記セリウム前駆体は、分子内に窒素元素を含む、
請求項6に記載のセリウム酸化物粒子の製造方法。
【請求項9】
前記合成ステップの反応は、250℃以上の雰囲気で行われる、
請求項6に記載のセリウム酸化物粒子の製造方法。
【請求項10】
前記反応用組成物は、前記セリウム前駆体と前記アンモニア前駆体が分散された溶液の形態である、
請求項6に記載のセリウム酸化物粒子の製造方法。
【請求項11】
前記反応用組成物は、前記窒素元素と前記アンモニアのモル比が0.7~1.5のモル比となるように前記アンモニア前駆体を含む、
請求項8に記載のセリウム酸化物粒子の製造方法。
【請求項12】
前記反応用組成物は、ドーピング用金属前駆体を前記セリウム前駆体100重量部を基準として0.5~1重量部含む、
請求項6に記載のセリウム酸化物粒子の製造方法。
【請求項13】
前記反応用組成物は、前記セリウム前駆体100重量部を基準として、前記アンモニア前駆体を15~60重量部含む、
請求項6に記載のセリウム酸化物粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年11月11日に出願された韓国特許出願第10-2019-0143231号に基づく優先権を主張しており、前記韓国特許出願の文献の内容は、参照のために本発明にすべて組み込まれる。
【0002】
具現例は、セリウム酸化物粒子を含む研磨粒子などに関する。具体的には、粒子サイズの均一度が向上して、CMP(Chemical Mechanical Polishing)用スラリーに含まれて研磨時にウエハ上のスクラッチの発生を抑制し、高研磨率を実現できるセリウム酸化物粒子を含む研磨粒子、それを含む研磨用スラリー組成物、及びセリウム酸化物粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
セリア(ceria)とも呼ばれるセリウム酸化物粒子は、触媒、研磨剤などの多方面で使用される機能性セラミック物質であって、特に、半導体製造工程の一つであるCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程に使用される研磨用スラリー組成物の主成分として使用されている。
【0004】
セリウム酸化物粒子は、一般に気相法、液相法、または固相法によって合成されてもよい。気相法は、セリウム前駆体を気化させた後、酸素などと共に反応させてセリウム酸化物粒子を合成する方法である。気相法は、製造装置が高価であり、大量生産が難しいことがある。液相法は、溶液相でセリウム前駆体にpH調節剤などを添加し、酸化反応を行ってセリウム酸化物粒子を合成する方法である。液相法は、粒子サイズ及び粒子間の分散の調節が難しいことがある。固相法は、セリウム前駆体を高温で熱処理して結晶化した後、微細な粒子に破砕してセリウム酸化物粒子を製造する方法である。固相法は、不純物混入の可能性があり、反応速度が相対的に低いことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許第10-0460102号(登録日:2004.11.25、金属酸化物超微粒子の製造方法)
【文献】韓国登録特許第10-1492234号(登録日:2015.2.4、酸化セリウム粒子の製造方法、これによる酸化セリウム粒子及びこれを含む研磨スラリー)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
具現例の目的は、セリウム酸化物粒子の粒度分布が調節されることで、研磨用スラリー組成物に適用時に研磨過程で発生し得るスクラッチの発生頻度を抑制し、高研磨率を実現できるセリウム酸化物粒子が含まれた研磨粒子などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本明細書で開示する一実施形態に係る研磨粒子は、下記式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下であるセリウム酸化物粒子を含む。
【0008】
式(1):粒度分布=(D90-D10)/D50
【0009】
前記式(1)において、前記D10は、粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径を意味し、前記D50は、粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径を意味し、前記D90は、粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径を意味する。
【0010】
前記研磨粒子において前記セリウム酸化物粒子は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)によるO-Ceピーク面積:O-Cピーク面積の比率が1:1.15~1.40であってもよい。
【0011】
前記研磨粒子において前記セリウム酸化物粒子は、一次粒子の平均粒子サイズが28nm以下であってもよい。
【0012】
前記研磨粒子において前記セリウム酸化物粒子は、二次粒子の平均粒子サイズが140nm以下であってもよい。
【0013】
前記研磨粒子は、Zn、Co、Ni、Fe、Al、Ti、Ba及びMnのうちの少なくとも1つの金属原子でドープされたセリウム酸化物粒子を含むことができる。
【0014】
本明細書で開示する他の一実施形態に係る研磨用スラリー組成物は、前記研磨粒子及び分散剤を含む。
【0015】
前記研磨用スラリー組成物は、pH調節剤、粘度調節剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つをさらに含むことができる。
【0016】
前記研磨用スラリー組成物は、シリコン酸化膜の研磨率が2750~5500Å/minであってもよい。
【0017】
前記研磨用スラリー組成物は、沈殿剤としてアンモニアを適用したセリウム酸化物粒子と比較して、シリコン酸化膜を研磨する際に欠陥発生率が60%以下に減少することができる。
【0018】
本明細書で開示する更に他の一実施形態に係るセリウム酸化物粒子の用途は、半導体ウエハの研磨工程に適用される研磨粒子である。
【0019】
前記セリウム酸化物粒子の用途は、研磨用スラリーに含まれる研磨剤であってもよい。
【0020】
前記セリウム酸化物粒子は、下記式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下である。
【0021】
式(1):粒度分布=(D90-D10)/D50
【0022】
前記式(1)において、前記D10は、粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径を意味し、前記D50は、粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径を意味し、前記D90は、粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径を意味する。
【0023】
前記セリウム酸化物粒子は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)によるO-Ceピーク面積:O-Cピーク面積の比率が1:1.15~1.40であってもよい。
【0024】
前記セリウム酸化物粒子は、一次粒子の平均粒子サイズが28nm以下であってもよい。
【0025】
前記セリウム酸化物粒子は、二次粒子の平均粒子サイズが140nm以下であってもよい。
【0026】
前記セリウム酸化物粒子は、Zn、Co、Ni、Fe、Al、Ti、Ba及びMnのうちの少なくとも1つの金属原子でドープされてもよい。
【0027】
本明細書で開示する更に他の一実施形態に係る研磨方法は、前記セリウム酸化物粒子を含む研磨用スラリー組成物を適用して基板の表面を研磨する。
【0028】
前記基板は、例示的に半導体ウエハであってもよい。
【0029】
前記セリウム酸化物粒子、前記研磨用スラリー組成物などについての説明は、明細書の他の部分での説明と重複するので、その記載を省略する。
【0030】
本明細書で開示する更に他の一実施形態に係るセリウム酸化物粒子の製造方法は、セリウム前駆体及びアンモニア前駆体を含む反応用組成物を設ける準備ステップと;
前記反応用組成物を超臨界流体又は亜臨界流体で反応させてセリウム酸化物粒子を得る合成ステップと;を含む。
【0031】
前記アンモニア前駆体は、80℃以上の雰囲気でアンモニアを含む熱分解物を形成するものである。
【0032】
前記セリウム酸化物粒子は、下記式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下である。
【0033】
式(1):粒度分布=(D90-D10)/D50
【0034】
前記式(1)において、前記D10は、粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径を意味し、前記D50は、粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径を意味し、前記D90は、粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径を意味する。
【0035】
前記製造方法において、前記アンモニア前駆体はウレア(Urea)を含むことができる。
【0036】
前記製造方法において、前記セリウム前駆体は分子内に窒素元素を含むことができる。
【0037】
前記合成ステップにおいて、反応は250℃以上の雰囲気で行われてもよい。
【0038】
前記製造方法において、前記反応用組成物はドーピング用金属前駆体をさらに含むことができる。
【0039】
前記製造方法において、前記反応用組成物は、前記セリウム前駆体と前記アンモニア前駆体が分散された溶液の形態であってもよい。
【0040】
前記製造方法において、前記反応用組成物は、前記窒素元素と前記アンモニアが0.7~1.5のモル比となるように前記アンモニア前駆体を含むことができる。
【0041】
前記製造方法において、前記反応用組成物は、前記ドーピング用金属前駆体を前記セリウム前駆体100重量部を基準として0.5~1重量部含むことができる。
【0042】
前記製造方法において、前記反応用組成物は、前記セリウム前駆体100重量部を基準として、前記アンモニア前駆体を15~60重量部含むことができる。
【発明の効果】
【0043】
具現例のセリウム酸化物粒子が含まれた研磨粒子は、粒子サイズが相対的に小さく、粒度分布が相対的に均一であり、CMP(Chemical Mechanical Polishing)工程に使用する場合にスクラッチの発生を抑制すると共に、高研磨率を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、具現例の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本明細書の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0045】
本明細書において、"~"系は、化合物内に"~"に該当する化合物または"~"の誘導体を含むことを意味する。
【0046】
本明細書全体において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0047】
具現例の発明者らは、従来の固相法でセリウム酸化物粒子を製造する場合、製造された粒子のサイズが相対的に大きく示されるという点を発見した。また、超臨界流体又は亜臨界流体を用いてセリウム酸化物粒子を合成する過程で沈殿剤としてアンモニアを使用する場合、前記粒子のサイズは固相法に比べて小さくなるが、粒度分布が広くなる点を発見した。サイズが相対的に大きいか、または粒度分布が調節されていないセリウム酸化物粒子をCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程に使用する場合、研磨対象であるウエハ上にスクラッチが多数発生することがある。したがって、具現例の発明者らは、粒子のサイズが小さく、かつ粒度分布が相対的に均一なセリウム酸化物粒子の製造方法を探索する中で、超臨界流体又は亜臨界流体中でセリウム酸化物粒子を合成する際にアンモニア前駆体を適用する場合、製造されるセリウム酸化物粒子のサイズが相対的に小さくなり、粒度分布が相対的に均一になる効果を確認し、具現例を完成した。
【0048】
以下、具現例をより詳細に説明する。
【0049】
本明細書の一実施例に係る研磨粒子は、下記式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下であるセリウム酸化物粒子を含む。
【0050】
式(1):粒度分布=(D90-D10)/D50
【0051】
前記式(1)において、
前記D10は、粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径を意味し、
前記D50は、粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径を意味し、
前記D90は、粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径を意味する。
【0052】
研磨粒子は、サイズ、形状などにおいて粒子のそれぞれに微差がある複数個のセリウム酸化物粒子を含む。本明細書は、複数の研磨粒子、または研磨粒子の集合である研磨粒子組成物を指す意味で"研磨粒子"という用語を使用する。
【0053】
一次粒子とは、セリウム酸化物の合成反応直後に生成されたセリウム酸化物の結晶粒を意味する。二次粒子とは、一次粒子が時間の経過に伴って自然に互いに凝集して形成された一定範囲のサイズを有する粒子を意味する。
【0054】
D10、D50、及びD90値は、例示的に、マルバーン(Malvern)社のゼータサイザーナノZS(Zetasizer Nano ZS)装備を用いて測定することができる。
【0055】
研磨粒子は、式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下であるセリウム酸化物粒子を含むことができる。研磨粒子は、式(1)による二次粒子の粒度分布が1.41以下であるセリウム酸化物粒子を含むことができる。このような場合、セリウム酸化物粒子が含まれたCMP用スラリーで研磨時にウエハ上に発生するスクラッチの数を減少させることができる。
【0056】
セリウム酸化物粒子は、表面に炭素原子を含むことができる。前記セリウム酸化物粒子は、アンモニアを沈殿剤として適用して製造したセリウム酸化物粒子と比較して、粒子の炭素含量がさらに高くなり得る。これは、前記セリウム酸化物粒子を製造する際に使用されるアンモニア前駆体中に炭素原子が含まれているためであると推定される。発明者らは、セリウム酸化物粒子は、表面の炭素含量が高い場合、相対的に粒度分布の均一化度が高く示され得るという点を実験的に確認した。
【0057】
前記セリウム酸化物粒子と、沈殿剤としてアンモニアを適用して製造したセリウム酸化物粒子との表面の炭素含量の比較は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)によるO-Ceピーク面積:O-Cピーク面積を測定して判断することができる。XPSによるO-Ceピーク面積:O-Cピーク面積は、サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific.)社のK-ALPHA装置を用いて測定することができる。
【0058】
前記研磨粒子中に含まれた前記セリウム酸化物粒子をXPSにより測定したO-Ceピーク面積:O-Cピーク面積の比率は1:1.15~1.40であってもよい。前記比率は1:1.20~1.35であってもよい。このような場合、前記セリウム酸化物粒子が相対的に均一な粒度分布を示すことができる。
【0059】
セリウム酸化物粒子は、一次粒子の平均粒子サイズが28nm以下であってもよい。前記平均粒子サイズは25nm以下であってもよい。このような場合、CMP工程でウエハに発生するスクラッチの数が減少することができる。
【0060】
セリウム酸化物の一次粒子の平均粒子サイズの測定は、セリウム酸化物粒子のサンプルのXRD(X-Ray Diffraction)を分析して、メインピークのFWHM(full width half maximum)を測定し、これをシェラー(Scherrer)公式(下記式(2))に代入して計算する。
【0061】
【0062】
前記式(2)において、
前記tは、粒子の平均サイズを意味し、
前記kは、定数値(0.94を代入する)を意味し、
前記λは、X-Rayの波長を意味し、
前記Bは、FWHMを意味し、
前記θBは、ブラッグ角(Bragg angle)(2θB)の1/2倍の値を意味する。
【0063】
例示的に、XRDは、Rigaku社のSmartLab SE装備を用いて測定することができる。
【0064】
セリウム酸化物粒子は、二次粒子の平均粒子サイズが140nm以下であってもよい。前記平均粒子サイズは138nm以下であってもよい。このような場合、CMP工程でウエハに発生するスクラッチの数が減少することができる。例示的に、セリウム酸化物の二次粒子の平均粒子サイズは、マルバーン(Malvern)社のゼータサイザーナノZS(Zetasizer Nano ZS)装備を通じて測定することができる。二次粒子の平均粒子サイズを計算する方法は、下記式(3)に代入して粒子サイズのZ平均値を算出する方法を適用する。
【0065】
【0066】
前記式(3)において、
前記Dzは、前記セリウム酸化物の二次粒子の平均サイズを意味し、
前記Siは、粒子の散乱強度を意味し、
前記Diは、粒子のサイズを意味する。
【0067】
前記研磨粒子は、Zn、Co、Ni、Fe、Al、Ti、Ba及びMnのうちの少なくともいずれか1つの金属原子でドープされたセリウム酸化物粒子を含むことができるが、これに限定されない。
【0068】
セリウム酸化物粒子が前記金属原子でドープされる場合、セリウム酸化物粒子を含むスラリー組成物が高研磨率の特性を有することができる。セリウム酸化物粒子が前記金属原子でドープされる場合、セリウム酸化物粒子の表面に酸素空孔(oxygen vacancy)が発生し、これにより、セリウム酸化物粒子の表面内のCe3+の濃度が高くなる。Ce3+は他の化合物を還元させる特性があり、表面内のCe3+の濃度が高いセリウム酸化物粒子は、このような特性を用いて、ウエハの表面に存在するSiO2薄膜と反応してウエハの表面をより効率的に化学的研磨することができる。
【0069】
本明細書の他の実施例に係る研磨用スラリー組成物は前記研磨粒子を含む。研磨粒子についての説明は、上述した内容と重複するので省略する。
【0070】
研磨用スラリー組成物は、前記研磨粒子間の分散安定化及び化学的安定化のために研磨添加剤を含むことができる。研磨添加剤は、分散剤、pH調節剤、粘度調節剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくともいずれか1つをさらに含むことができる。
【0071】
分散剤は、凝集している研磨粒子を分散させて前記研磨用スラリー組成物の分散を安定化させる機能を行う。分散剤として、カルボキシル基を含むアニオン系高分子化合物が使用されてもよい。カルボキシル基を含むアニオン系高分子化合物は、常温で水に対する適正な溶解度を有することができる。水系(water media)であるスラリーにおいてカルボキシル基を含むアニオン系高分子化合物は、適正な溶解度をもってスラリー組成物の分散を安定化させることができる。
【0072】
カルボキシル基を含むアニオン性高分子は、例えば、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、ポリスチレンスルホン酸(poly styrene sulfonic acid)、ポリメタクリル酸メチル(polymethyl methacrylate)、ポリカルボン酸アンモニウム(ammonium polycarboxylate)、カルボキシルアクリルポリマー(carboxylic acrylpolymer)及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された少なくともいずれか1つを使用することができるが、これに限定されない。
【0073】
研磨用スラリー組成物は、セリウム酸化物粒子を100重量部として、分散剤を0.5重量部~10重量部含むことができる。研磨用スラリー組成物は、セリウム酸化物粒子を100重量部として、分散剤を1重量部~5重量部含むことができる。このような場合、研磨用スラリー組成物中に含まれた研磨粒子は十分に分散し得、研磨工程でウエハのスクラッチの発生を抑制することができる。
【0074】
pH調節剤は、ウエハの研磨時に高研磨率を発揮できるように、研磨用スラリー組成物のpHを調節することができる。研磨粒子がセリウム酸化物粒子を含む場合、高研磨率を示し得る研磨用スラリー組成物のpHは2~11であってもよい。前記研磨用スラリー組成物のpHは4~10であってもよい。pH調節剤としては、例えば、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、酢酸、ギ酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含むものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0075】
粘度調節剤は、研磨用スラリー組成物の粘度を調節して、CMP工程上でウエハの研磨均一度を向上させることができる。研磨用スラリー組成物の粘度は0.5~3.2cps(centi poise)であってもよい。前記粘度は1.2~2.4cpsであってもよい。粘度調節剤は、例えば、多価アルコール(polyhydric alcohol)を含む脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyethylene sorbitan)を含む脂肪酸エステルなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0076】
研磨用スラリー組成物は、CMP工程に適用する場合、ウエハのシリコン酸化膜に対する研磨率が2750~5500Å/minであってもよい。前記研磨率は3000~5000Å/minであってもよい。研磨率の測定条件及び測定データは、下記の実施例で詳述する。
【0077】
前記研磨用スラリー組成物は、沈殿剤としてアンモニアを適用したセリウム酸化物粒子が含まれた研磨用スラリー組成物と比較して、ウエハ上に発生した欠陥発生率が60%以下に減少することができる。前記欠陥発生率は50%以下に減少することができる。欠陥発生率の測定条件及び測定データは、下記の実施例で詳述する。
【0078】
本明細書で開示する更に他の一実施形態に係るセリウム酸化物粒子の用途は、半導体ウエハの研磨工程に適用される研磨粒子である。セリウム酸化物粒子の用途は、研磨用スラリーに含まれる研磨剤であってもよい。セリウム酸化物粒子についての説明は、上述した内容と重複するので省略する。
【0079】
本明細書で開示する更に他の一実施形態に係る研磨方法は、前記セリウム酸化物粒子を含む研磨用スラリー組成物を適用して基板の表面を研磨する。前記基板は、例示的に半導体ウエハであってもよい。セリウム酸化物粒子及び研磨用スラリー組成物についての説明は、上述した内容と重複するので省略する。
【0080】
本明細書の更に他の実施例に係るセリウム酸化物粒子の製造方法は、セリウム前駆体及びアンモニア前駆体を含む反応用組成物を設ける準備ステップと;前記反応用組成物を超臨界流体又は亜臨界流体で反応させてセリウム酸化物粒子を得る合成ステップと;を含む。
【0081】
準備ステップにおいて、セリウム前駆体は、例えば、セリウムの硝酸塩、硝酸アンモニウム塩、硫酸塩、塩化塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つであってもよいが、これに限定されない。
【0082】
準備ステップにおいて、反応用組成物は、セリウム前駆体とアンモニア前駆体が分散された形態の組成物であってもよい。アンモニア前駆体は、凝集剤として適用可能な他の化合物(例示:アンモニア)に比べて反応性が相対的に低い特性を有する。これにより、準備ステップでアンモニア前駆体とセリウム前駆体との凝集反応が速い速度で進行する前に反応用組成物中にアンモニア前駆体が均一に分布することができる。以降、合成ステップで超臨界流体又は亜臨界流体中でアンモニア前駆体がアンモニアに熱分解され、前記アンモニアがセリウム前駆体と凝集反応してセリウム酸化物粒子の粒度分布を相対的に均一に調節することができる。
【0083】
アンモニア前駆体は、80℃以上の雰囲気で熱分解してアンモニア又はアンモニウム基を含む化合物を形成する窒素化合物であってもよい。アンモニア前駆体は、180℃以上の雰囲気で熱分解してアンモニア又はアンモニウム基を含む化合物を形成する窒素化合物であってもよい。アンモニア前駆体は、例えば、ウレア(Urea)、炭酸アンモニウム(ammonium carbonate)、カルバミン酸アンモニウム(ammonium carbamate)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つであってもよい。
【0084】
セリウム前駆体は、分子内に窒素元素を含むことができる。セリウム前駆体に窒素原子が含まれている場合、合成ステップで副産物として窒素化合物(例示:NO3
-)が発生し得る。超臨界流体又は亜臨界流体中で合成ステップを行う場合、副産物である窒素化合物とアンモニアとの反応を通じて前記窒素酸化物が分解され、副産物の排出量を減少させることができる。
【0085】
反応用組成物に含まれるアンモニア前駆体の含量は、セリウム前駆体の分子内に含まれる窒素元素の量に応じて変わり得る。反応用組成物は、セリウム前駆体の分子内に含まれた窒素元素とアンモニアとのモル比が1:0.7~1.5になるようにアンモニア前駆体を含むことができる。反応用組成物は、セリウム前駆体の分子内に含まれた窒素元素とアンモニアとのモル比が1:0.9~1.2になるようにアンモニア前駆体を含むことができる。反応用組成物は、セリウム前駆体100重量部を基準として、アンモニア前駆体を15~60重量部含むことができる。反応用組成物は、セリウム前駆体100重量部を基準として、アンモニア前駆体を30~55重量部含むことができる。このような場合、セリウム酸化物粒子の生産性が向上することができ、副産物である窒素酸化物の分解が円滑に行われ得、排出液中に残留するアンモニアの濃度が過度に高くならないようにすることができる。
【0086】
合成ステップにおいて、超臨界流体又は亜臨界流体の低密度特性及び誘電定数が低い特性を用いて、セリウム酸化物粒子の核形成反応速度を高めることができる。
【0087】
合成ステップは、超臨界流体又は亜臨界流体中でセリウム前駆体が水和して水酸化セリウムが形成される過程と、水酸化セリウムが超臨界流体又は亜臨界流体中で過飽和されて核を形成する過程と、前記核からセリウム酸化物粒子が成長する過程と、以降、脱水過程を経てセリウム酸化物粒子を獲得するようになる過程とを含む。
【0088】
超臨界流体又は亜臨界流体は、例えば、超臨界水、超臨界アルコール、超臨界二酸化炭素、超臨界アルカンなどがあるが、これに限定されない。
【0089】
超臨界流体又は亜臨界流体の温度は250℃~600℃であってもよい。超臨界流体又は亜臨界流体の温度は300℃~500℃であってもよい。超臨界流体又は亜臨界流体の圧力は50bar~500barであってもよい。超臨界流体又は亜臨界流体の圧力は100bar~400barであってもよい。このような場合、合成されるセリウム酸化物粒子の粒度分布の均一化度が向上することができ、副産物の含量が減少することができ、生産コストを最適化することができ、セリウム酸化物粒子の再溶解が抑制され得る。
【0090】
合成ステップにおいて、反応用組成物は250℃以上の雰囲気で投入されてもよい。合成ステップにおいて、反応用組成物は300℃以上の雰囲気で投入されてもよい。このような場合、相対的に均一な粒度分布を示すセリウム酸化物粒子を獲得することができ、副産物である窒素化合物が十分に分解され得る。
【0091】
合成ステップにおいて、セリウム酸化物粒子の合成反応時間は30秒~10分であってもよい。前記合成反応時間は40秒~5分であってもよい。このような場合、セリウム酸化物粒子が相対的に均一な粒度分布を示すことができる。
【0092】
準備ステップ及び合成ステップを経て獲得したセリウム酸化物粒子は、下記式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下であってもよい。
【0093】
式(1):粒度分布=(D90-D10)/D50
【0094】
前記式(1)において、
前記D10は、粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径を意味し、
前記D50は、粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径を意味し、
前記D90は、粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径を意味する。
【0095】
一次粒子及び二次粒子についての説明、及びD10、D50、D90の測定装備についての説明は、上述した内容と重複するので省略する。
【0096】
準備ステップ及び合成ステップを経て獲得したセリウム酸化物粒子は、式(1)による二次粒子の粒度分布が1.42以下であってもよい。準備ステップ及び合成ステップを経て獲得したセリウム酸化物粒子は、式(1)による二次粒子の粒度分布が1.41以下であってもよい。このような場合、前記セリウム酸化物粒子が含まれた研磨用スラリーをCMP工程に適用する際に、被研磨材の損傷を抑制することができる。
【0097】
セリウム酸化物粒子の製造方法中の前記準備ステップにおいて前記反応用組成物にドーピング用金属前駆体(metal precursor for doping)をさらに含むことによって、ドープされたセリウム酸化物粒子を製造することができる。セリウム酸化物粒子の表面をドープすることによってセリウム酸化物粒子の還元力が向上して、前記セリウム酸化物粒子が含まれたスラリーの研磨率が高くなり得る。
【0098】
前記準備ステップにおいて、前記ドーピング用金属前駆体は、前記セリウム前駆体100重量部を基準として0.5~1重量部含まれてもよい。前記ドーピング用金属前駆体は0.7~0.8重量部含まれてもよい。このような場合、セリウム酸化物粒子が含まれたスラリーの研磨率が高くなる。
【0099】
以下、具体的な実施例を通じて具現例をより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0100】
製造例:粒子の合成
[比較例1]
固相法でセリウム酸化物を製造した。具体的には、不溶性前駆体である炭酸セリウムを乾燥させて水分を除去し、700℃でか焼して結晶水及び二酸化炭素を除去してセリウム酸化物粒子を得た。
【0101】
[比較例2]
硝酸セリウムを脱イオン水に溶かして20重量%の硝酸セリウム水溶液である反応用組成物を準備した。アンモニア水は、25重量%の濃度で準備した。
【0102】
反応用組成物及びアンモニア水を、それぞれ20ml/minの流量で超臨界反応器に導入し、400℃及び250barの超臨界水100ml/minと混合して超臨界水熱合成反応を行った。以降、冷却及び遠心分離などの方法によりセリウム酸化物粒子を回収した。
【0103】
[比較例3]
比較例2の方法と同様にセリウム酸化物粒子を製造するが、反応用組成物として、脱イオン水に硝酸セリウム及びドーピング用金属前駆体である硝酸アルミニウムを溶解して製造した20重量%の硝酸セリウム及び0.073重量%の硝酸アルミニウムを含有する水溶液を適用した。
【0104】
[実施例1]
硝酸セリウム及びウレアを脱イオン水に溶かして20重量%の硝酸セリウムと4.8重量%のウレアを含有する水溶液である反応用組成物を準備した。
【0105】
反応用組成物を40ml/minの流量で超臨界反応器に導入し、400℃及び250barの超臨界水100ml/minと混合して超臨界水熱合成反応を行った。以降、冷却及び遠心分離などの方法によりセリウム酸化物粒子を回収した。
【0106】
[実施例2]
実施例1の方法と同様にセリウム酸化物粒子を製造するが、反応用組成物として、脱イオン水に硝酸セリウム及びドーピング用金属前駆体である硝酸アルミニウムを溶解して製造した20重量%の硝酸セリウム及び0.073重量%の硝酸アルミニウムを含有する水溶液を適用した。
【0107】
評価例:粒子の物性評価
[透過電子顕微鏡観察]
実施例1、実施例2、比較例2、及び比較例3で合成したセリウム酸化物粒子の電子顕微鏡写真を、Philips社のCM200装備を用いて測定した。
【0108】
測定の結果、比較例2の一次粒子のうち大きいもののサイズが、実施例1のものよりも遥かに大きく、全体的に一次粒子のサイズの分布が一定でないということが確認できた。
【0109】
また、比較例3の一次粒子のうち大きいもののサイズが、実施例2のものよりも遥かに大きく、全体的に粒子サイズの分布が一定でないということが確認できた。
【0110】
[XRDを用いた平均粒子サイズ]
実施例1、2及び比較例1~3の粒子サンプルのそれぞれのXRDを、Rigaku社のSmartLab SE装備を用いて測定し、メインピークのFWHM(full width half maximum)から一次粒子の平均サイズを計算して、その結果を下記の表1に示した。メインピークのFWHMから一次粒子の平均サイズを計算する方法は、シェラー(Scherrer)公式(下記式(2))を適用した。
【0111】
【0112】
前記式(2)において、前記tは、粒子の平均サイズを意味し、前記kは、定数値(0.94を代入する)を意味し、前記λは、X-Rayの波長を意味し、前記Bは、FWHMを意味し、前記θBは、ブラッグ角(Bragg angle)(2θB)の1/2倍の値を意味する。
【0113】
測定の結果、超臨界水を用いてセリウム酸化物粒子を合成した実施例1、実施例2及び比較例2、3は、一次粒子のサイズが20~22nmに過ぎないが、従来の固相法を用いてセリウム酸化物粒子を合成した比較例1の場合、一次粒子のサイズが30nmに達し、製造方法によって一次粒子のサイズ値に大きな差があることが確認できた。
【0114】
[粒度分布の測定]
実施例1、2及び比較例2、3の二次粒子サンプルのそれぞれの粒度分布を、マルバーン(Malvern)社のゼータサイザーナノZS(Zetasizer Nano ZS)装備を用いて測定し、D10、D50、及びD90値をそれぞれ下記の表2に示した。前記装備は、コロイド粒子のゼータ電位(Zeta Potential)を光散乱法で測定して粒子のサイズ及び粒度分布を導出した。
【0115】
測定の結果、同一にドーピング用金属前駆体を適用しなかった実施例1と比較例2を比較すると、たとえ、二次粒子の平均サイズにおいて大きな差を示しはしなくても、粒度分布においてウレアを適用した実施例1が、アンモニアを適用した比較例2に比べて粒度分布がさらに低いことが観察された。
【0116】
同一にドーピング用金属前駆体を適用した実施例2と比較例3を比較すると、同様に、二次粒子の平均サイズにおいて大きな差を示しはしなくても、粒度分布においてウレアを適用した実施例2が、アンモニアを適用した比較例3に比べて粒度分布がさらに低いことが観察された。
【0117】
[XPS分析]
実施例1、2及び比較例2、3の粒子サンプルをサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific.)社のK-ALPHAモデルを用いてXPS(X-ray photoelectron spectroscopy)分析を行った。X線(X-ray)源としては、単色性アルミニウムX線源が12kV及び10mAとして適用され、直径400μmをサンプリングした。測定された結果から、それぞれO-Cピーク面積とO-Ceピーク面積を計算し、これらの比を求めて、下記の表2に示した。
【0118】
測定の結果、同一にドーピング用金属前駆体を適用しなかった実施例1と比較例2を比較すると、ウレアを適用した実施例1が、アンモニアを適用した比較例2に比べてピーク面積の比率がさらに高く示された。これは、実施例1のセリウム酸化物粒子の炭素含量が、比較例2の粒子に比べてさらに高いということを意味する。
【0119】
同一にドーピング用金属前駆体を適用した実施例2と比較例3を比較すると、ウレアを適用した実施例2が、アンモニアを適用した比較例3に比べてピーク面積の比率がさらに高く示された。これは、実施例2のセリウム酸化物粒子の炭素含量が、比較例3の粒子に比べてさらに高いということを意味する。
【0120】
[研磨率の測定]
シリコン(Si)上にCVD蒸着法により13,000Åの厚さの酸化膜を形成したウエハの厚さを、非接触式光学反射量測定原理を用いた厚さ測定装備で測定して初期のウエハの厚さとした。
【0121】
上で製造したセリウム酸化物粒子を含有するスラリー組成物を製造し、下記の表3に示された研磨条件を適用して、全て同じ条件でCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程を行い、前記CMP工程後の酸化膜の研磨率、欠陥数及び欠陥発生率を測定し、その結果を下記の表3に示した。
【0122】
スラリー組成物は、酸化セリウム研磨粒子5重量%、分散剤としてアニオン性高分子、ポリアクリル酸(PAA)を酸化セリウム研磨粒子に対して1.7重量%混合し、pH8.5になるようにpH調節剤を添加して製造した。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
測定の結果、同一にドーピング用金属前駆体を適用しなかった実施例1と比較例2を比較すると、ウレアを適用した実施例1の欠陥発生数は、アンモニアを適用した比較例2の欠陥発生数の55%に過ぎなかった。
【0127】
同一にドーピング用金属前駆体を適用した実施例2と比較例3を比較すると、ウレアを適用した実施例2の欠陥発生数は、アンモニアを適用した比較例3の欠陥発生数の56%に過ぎなかった。
【0128】
以上、本明細書の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。