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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電子天びん用の風防
(51)【国際特許分類】
   G01G 21/28 20060101AFI20231214BHJP
   G01G 21/30 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G01G21/28
G01G21/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022566591
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045121
(87)【国際公開番号】W WO2022118447
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 久則
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-215318(JP,A)
【文献】特開2010-266436(JP,A)
【文献】特開2011-161531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0279788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面ガラス、
左右側壁を構成して、前後方向にスライドして自動開閉なドア、
上面ドア、
および前記前面ガラスの対向に配置され、前記前面ガラス、前記ドアおよび前記上面ドアと協働して秤量室を画成するハウジング、
とを備え、
前記ハウジングの上面の左右の側縁部から前記秤量室の左右の側縁部に跨って、前記ドアをスライド可能に懸吊する懸吊機構、および前記ドアを進退動作させる駆動手段を備えた筐体が配設され、
前記ハウジング内に、前記駆動手段の駆動源が収容されており、
前記ハウジングと前記筐体とは別体として構成され、前記筐体を長さの異なる別の筐体に置き換えることで、長さの異なる秤量室を備える別の風防に適応できる、
ことを特徴とする電子天びん用の風防。
【請求項2】
前記筐体および前記ハウジングにはそれぞれ、前記筐体が前記ハウジングに配設された状態で、前記駆動手段の配置空間と前記駆動源の配置空間とを連通させる孔が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子天びん用の風防。
【請求項3】
前記筐体は、前記ハウジングの上面の左右の側縁部から前記秤量室の上面の左右の側縁部に沿って延出し、前記ドアをスライド可能に懸吊するガイドレールと、前記ドアを進退動作させるエアシリンダとを備え、
前記ハウジング内には、前記エアシリンダの駆動源であるエアポンプが収容され、前記エアシリンダとエアチューブで接続されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子天びん用の風防。
【請求項4】
前記ドア、前記前面ガラス、および前記上面ドアは、前記筐体に取外し自在に支持される、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかの請求項に記載の電子天びん用の風防。
【請求項5】
前記懸吊機構に組付けられて、前記懸吊機構に沿って進退動作可能なスライダと、
前記スライダと前記ドアの間に設けられ、連結/連結解除が可能な連結部材と、
を備え、
前記駆動手段は、前記スライダを進退移動させることで、前記スライダに連結された前記ドアを進退移動させる、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかの請求項に記載の電子天びん用の風防。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアが自動開閉可能であり、異なる大きさの秤量室を、低コストで構成し得る電子天びん用の風防に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動で開閉する扉を有する風防が、秤量精度の高い電子天びんに用いられている。風防で秤量皿を覆うことで、精度低下の要因の一つである秤量皿周囲の空気の流動を防ぐことができ、また自動で扉を開閉させることで、秤量作業の作業性を向上させている。
【0003】
試料を秤量皿に載置するために扉を開閉した際には、秤量室内には空気の流動が発生し、扉を閉めた後に空気の流動が許容可能な範囲まで弱まるのを待つ必要がある。この空気の流動は、秤量室の容積が大きい程強くなるとともに、弱まるのには長時間かかる傾向にある。したがって、秤量に関して、最良の秤量精度と動作速度を達成するために、秤量室の容積は、秤量作業や試料に合わせて、適切なものであることが好ましい(例えば特許文献1)。ここで、秤量室の容積、即ち大きさは、ドアが開いた時の秤量室の空気の流入出量に比例するため、秤量室の大きさが適切であることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-184592号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、扉を自動開閉させる機構は複雑であり、機構やその駆動源は、ハウジング内部に配置されて一体化している。このため、自動開閉する扉を備える風防は、それぞれの秤量室の大きさごとに設計、生産されておりコストが高い。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、扉の自動開閉機構を備え、異なる大きさの秤量室を、低コストで構成し得る風防を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本開示のある態様においては、前面ガラス、左右側壁を構成して、前後方向にスライドして自動開閉なドア、上面ドア、および前記前面ガラスの対向に配置され、前記前面ガラス、前記ドアおよび前記上面ドアと協働して秤量室を画成するハウジングとを備え、前記ハウジングの上面の左右の側縁部から前記秤量室の左右の側縁部に跨って、前記ドアをスライド可能に懸吊する懸吊機構、および前記ドアを進退動作させる駆動手段を備えた筐体が配設され、前記ハウジング内に、前記駆動手段の駆動源が収容されており、前記ハウジングと前記筐体とは別体として構成され、前記筐体を長さの異なる別の筐体に置き換えることで、長さの異なる秤量室を備える別の風防に適応できるように風防を構成した。
【0008】
上記態様においては、ハウジングと筐体とが別体であるため、筐体を別の長さに置き換えることで、秤量室が別の大きさの風防に適用できる。大部分を共通化できるため、低コストで他の大きさの風防を構築できる。
【0009】
またある態様では、前記筐体および前記ハウジングにはそれぞれ、前記筐体が前記ハウジングに配設された状態で、前記駆動手段の配置空間と前記駆動源の配置空間とを連通させる孔が設けられているよう構成した。この態様では、孔を通して、駆動手段と駆動源を結ぶことができる。両者の連結が容易で、異なる大きさの風防でも低コストで構築できる。
【0010】
またある態様では、前記筐体は、前記ハウジングの上面の左右の側縁部から前記秤量室の上面の左右の側縁部に沿って延出し、前記ドアをスライド可能に懸吊するガイドレールと、前記ドアを進退動作させるエアシリンダとを備え、前記ハウジング内には、前記エアシリンダの駆動源であるエアポンプが収容され、前記エアシリンダとエアチューブで接続されているよう構成した。この態様では、エアシリンダを用いてドアを自動で開閉できる。移動軌跡が直線であり、ドアの進退移動に好適となっている。ストロークを短くすることで、小さい風防に流用しやすい。
【0011】
またある態様では、前記ドア、前記前面ガラス、および前記上面ドアは、前記筐体に取外し自在に支持されるように構成した。この態様により、異なる秤量室をより構成しやすくなる。
【0012】
またある態様では、前記懸吊機構に組付けられて、前記懸吊機構に沿って進退動作可能なスライダと、前記スライダと前記ドアの間に設けられ、連結/連結解除が可能な連結部材とを備え、前記駆動手段は、前記スライダを進退移動させることで、前記スライダに連結された前記ドアを進退移動させるよう構築した。ドアと駆動機構の間にスライドを介装させることで、ドアの取り外しを容易にした。これにより、大きさの異なるドアの付け外しも容易にした。
【発明の効果】
【0013】
上記構成によれば、ドアが自動開閉可能であり、異なる大きさの秤量室を、低コストで構成し得る電子天びん用の風防を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の好適な実施形態に係る風防を備える電子天びんの部分透過斜視図である。
図2】同電子天びんの右側面図である。
図3】同電子天びんの背面図である。
図4】ドアの構造を説明するための説明図であり、図3のIV-IV線で、一部を破断した部分断面斜視図である。
図5】風防の制御系のブロック図である。
図6】ドア開閉機構のブロック図である。
図7】ドア開閉機構の動作表である。
図8図1に示す電子天びんの分解斜視図である。
図9】前面ガラスの接続機構を示す説明図である。
図10】左右のドアの接続機構を示す説明図である。
図11】メインケースとシリンダボックスの構成を示す分解斜視図である。
図12図2のXII-XII線に沿った断面図である。ポートの部分で切断している。
図13図2のXIII-XIII線に沿った断面図である。ボスの部分で切断している。
図14】作用効果を説明するための説明図であり、別の実施形態に係る電子天びんの部分透過斜視図である。
図15図14に示す電子天びんの側面図である。
図16図14に示す電子天びんの変形例である。
図17】作用効果を説明するための説明図であり、さらに別の実施形態に係る電子天びんの部分透過斜視図である。
図18図17に示す電子天びんの側面図である。
図19】変形例である。
図20】変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(風防付き電子天びんの構成)
以下、本開示の構成に係る好ましい実施形態を図面に従って説明する。図1は、本発明の好適な実施形態に係る風防10を備える電子天びん1の部分透過斜視図である。
【0016】
図1に示すように、電子天びん1は、天びん本体30と、風防10とを備える。天びん本体30は、その上面に試料を載置するための秤量皿31を備える。秤量皿31の下部には、秤量機構が備えられている。秤量機構には従来周知の構成が用いられているため、説明は省略する。
【0017】
風防10は、秤量皿31の周囲を囲うように天びん本体30の上面に配置され、秤量皿31の周囲の空気の流動、たとえばエアコンの風、秤量時の人の息、人が歩くときに発生する空気の流れなど、秤量皿31を中心とした荷重負荷部分に風圧として作用して、計量に影響を与えるのを防ぐ。
【0018】
風防10は電子天びん30に着脱可能に構成されても好ましい。着脱機構には従来周知に構成、例えば特開2008-216047号公開の構成を適用できる。また風防10と電子天びん30とが分離不可に一体化して構成されていても構わない。
【0019】
風防10は無底箱型で、前面に前面ガラス12、背面には箱型のメインケース18、左右の側壁の一部にドア11、上面に上面ドア13を有し、これらによって画成された空間として、内部に直方体形状の秤量室S1が形成される。
【0020】
メインケース18の上面の左右の側縁部から前記秤量室S1の左右の側縁部に跨って、風防10の左右の上辺を構成するように、シリンダボックス20が配置されている。シリンダボックス20は、中空の筐体であり、内部にはドア11を開閉させる駆動手段であるエアシリンダ40が納められている。シリンダボックス20は、メインケース18との係合側に、側縁部に沿って伸び、風防10の上部の枠部材となる上部フレーム17を有する。上部フレーム17はシリンダボックス20に固定され、シリンダボックス20の一部と成る。
【0021】
エアシリンダ40は複動型であり、内部のピストンの往復運動は、往きと帰りの両方がエア圧力によってなされるため、エアシリンダ40内にエアを送るポートは二箇所に設けられている。エアシリンダ40の前方側には送られたエアによりピストンを後方へと進ませるための後進側ポート46が、後方側にはピストンを前方へと送るための前進側ポート44が、それぞれ設けられている。前進側ポート44,後進側ポート46には図示しないエアチューブが接続され、メインケース18内へと繋がっている。
【0022】
メインケース18は、内部に風防10の構成部品を収納するハウジングであり、メインケース18の内部には、エアシリンダ40の動力源(ポンプ)やエアの流止を制御する電磁弁、さらにこれらを制御する風防制御部34などの制御機構7が納められている。
【0023】
ドア11は風防10の下部の枠部材であるベース部材14に設けられたレール14aに沿って、前後方向に移動可能となっている。上面ドア13は風防10の上部の左右辺にあるシリンダボックス20に設けられたレール溝20aに沿って、前後方向に移動可能となっている。
【0024】
前面ガラス12、上面ドア13、及び左右のドア11は、内部の状態が観察可能なように透明なガラス又は樹脂で構成されている。上面ドア13およびドア11には、それぞれスライドを補助する取手が取付けられている。上面ドア13は手動にて開閉可能であり、左右側面のドア11は、自動および手動にて開閉可能に構成されている。
【0025】
コントロールパネル35は、天びん本体30及び風防10を操作するためのものであり、天びん本体30および風防10とは別体で設けられている。これは、スイッチを押すなど操作の振動が秤量に影響を与えることを防ぐためである。別体であるため、ユーザーは操作し易い位置に自由に配置することができる。信号送受信のための無線通信機能を備えるが、有線にて信号を送受信しても構わない。
【0026】
コントロールパネル35は、その上面に、秤量結果や状態を表示する表示部38、操作用の入力部37、赤外線センサ36を備える。赤外線センサ36は、ドア11の開閉スイッチであり、上部に手をかざすだけでドア11を自動で開閉させることができる。赤外線センサ36の代わりに押圧スイッチを設けても良く、また押圧スイッチと赤外線センサ36の両方を備えるよう構成しても好ましい。赤外線センサ36に、ドア11開閉機能以外の天びん操作機能を割り当てても良い。赤外線センサ36を左右二つ設け、それぞれが対応するドア11を開閉させるように構成してもよい。
【0027】
(ドアの構造)
まずはドア11の構造およびドア11の開閉機構について説明する。図2は電子天びん1の右側面図である。図3は風防10の背面図である。図4はドア11の形状や構成を説明するための説明図であり、ドア11、シリンダボックス20のみを示し、シリンダボックス20を図3のIV-IV線に沿って切断した部分断面斜視図である。
【0028】
図2に示すように、ドア11の上部前端の角部には、連結部材90が配置されている。連結部材90は第1係止部材91を有し、ドア11は、第1係止部材91によって連結部材90に着脱自在に連結されている。ドア11と連結部材90が連結された状態では、両者は一体となって移動する。連結部材90の上部はシリンダボックス20内でドア11の駆動手段であるエアシリンダ40と連結されており、ドア11は連結部材90を介してエアシリンダ40と接続され、エアシリンダ40の駆動により開閉する。まずは、ドア11と連結部材90とが連結された状態であり一体となって移動するものとして説明する。連結部材90の機構については後述する。
【0029】
シリンダボックス20の内壁にはエアシリンダ40の形状に合わせて凹部が形成されており、ここにエアシリンダ40が係合して固定される。
【0030】
図3に示すように、一対の上部フレーム17は、一方向に長い略直方体形状で、メインケース18の上部の左右の縁部に設けられた凹部18aに沿って配置され、風防10の上部の枠部材を構成する。シリンダボックス20は背面視して逆L字型を押し出した外形を有し、上辺部分が上部フレーム17の上面に載置され、内側面が上部フレーム17の側面に当接して、逆L字の直角部分が上部フレーム17の角部に係合し、上部フレーム17と長手方向を合わせて固定されている。上部フレーム17はシリンダボックス20と一体化し、シリンダボックス20の一部と成る。
【0031】
シリンダボックス20は底面を有さず(図3参照)、ドア11の上部がシリンダボックス20内部に入り込んで配置されている。シリンダボックス外側面20bの下端部には内側に向けて内フランジ部20cが長手方向の全長にわたって形成されている。また、上部フレーム17の外側面17gの下部には、内フランジ部20cに対向して長手方向(前後方向)の全長にわたって伸びる凸部17hが形成されている。
【0032】
ドア11は全体の外縁部に備えられるホルダー16に保持される。ホルダー16の上部の前後二箇所には、ドア11のスライド方向(前後方向)に直交して、ドア11の厚み方向(左右方向)に突き出た保持部5が形成されている。ドア11の上部が内フランジ部20cと凸部17hとの間に形成されたスリット(以下、ガイド孔20dと呼ぶ)に入り込み、ホルダー16の保持部5が、内フランジ部20cと凸部17hとに係合し、ドア11を懸吊保持している。これにより、ドア11はベース部材14に形成されたレール14a底面からは離間して配置され、ガイド孔20dに沿ってスライド可能に保持される。レール14aにゴミや砂等が侵入すると、ドア11開閉時の摺動抵抗が大きくなって開閉が困難になる問題があるが、ドア11自体を上部から吊るすことでこれを防止している。
【0033】
内フランジ部20cと凸部17hは、正対せずに上下方向に僅かにオフセットされて形成されており、内側である凸部17hの方が内フランジ部20cよりも僅かに高い位置にある。これは、保持部5がドア11の上部から左右同じ高さに突き出して、ドア11が左右どちらにも振れ易い状態にするよりも、僅かに内側を高くしてドア11を内側に傾けさせて、ドア11の下部をレール14a側面に当接させて、ドア11の姿勢を安定して保持するためである。このように構成することで、移動させてもドア11が振れることがなく、ドア11の開閉の際にも、同じ姿勢を維持した状態で移動させることができ、不用意なドア11の摺動を防止することができる。
【0034】
ドア11の保持部5は、内フランジ部20cと凸部17hに合わせて形成されており、外側配置された内フランジ部20c側に向かって突出して形成される第1係合部16b、内側配置された凸部17h側に向かって突出して形成される第2係合部16c、さらに第2係合部16cの下方にオフセットされて形成される第3係合部16dからなる。
【0035】
第3係合部16dは、第2係合部16cと併せて凸部17hを挟むように形成されるが、第3係合部16dは、凸部17h底面とは離間するよう隙を持たせて形成されている。
【0036】
本実施形態においては、ドア11の懸吊支持形態をこのように構成したが、平板に形成されたスリットにT字に形成された保持部5が係合する形態や、保持部5をフック状として凸状レールに係合させる形態など、他の従来周知の構成を用いても構わない。
【0037】
図4に示すように、ドア11の前端上部に配置された連結部材90にも、保持部5が形成されており、連結部材90もドア11と同様にガイド孔20dにスライド可能に懸吊支持される。連結部材90の上部には、ホルダー16の上面よりも上方に突出した駆動機構結合部90aが形成されており、さらに駆動機構結合部90aの中央にはドア11のスライド方向に沿った結合孔90bが形成されている。エアシリンダ40内のピストンから延在するピストンロッド40aの先端が、この結合孔90bに嵌合して固定されている。ピストン(ピストンロッド40a)が連結部材90を介してドア11と接続され、ピストンがエアにより前後に移動することで、連結部材90及びこれに連結されたドア11が、ガイド孔20dに沿ってスライドする。このようにして、ドア11はエアシリンダ40を駆動手段として開閉する。
【0038】
ここで、ホルダー16が内フランジ部20cと係合した状態においても、エアシリンダ40はホルダー16の上面とは接触せず、ホルダー16とは離間して固定されているため(図3参照)、エアシリンダ40はドア11の動きを邪魔しない。また、駆動機構結合部90aはホルダー16上面よりも上方に突出しているが、駆動機構結合部90aはピストンロッド40aの先端に固定されているため、エアシリンダ40下方に入り込むことはなく、またシリンダボックス20内の駆動機構結合部90aの経路も確保されているため、シリンダボックス20と駆動機構結合部90aが干渉することはない。
【0039】
ドア11の駆動手段であるエアシリンダ40は、ドア11のほぼ真上に、ドア11のスライド方向と平行に配置されている。連結部材90はホルダー16と一体化しており、また連結部材90でエアシリンダ40に連結されている。本実施形態においては、駆動手段として、モータではなくエアシリンダ40を用いることで、プーリーやゴムベルト等を介さずに直接ドア11を移動させることができる。このため、力の伝達率がよく、僅かな力でドア11を開閉させることができ、ドア11をスムーズに開閉させることができる。
【0040】
(ブロック図)
ドア11の自動開閉機構について詳しく説明する。図5は風防10の制御系のブロック図である。図6は、ドア11を開閉させる開閉機構60のブロック図である。
【0041】
図5に示すように、風防10は、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66B、およびこれらを全て制御する風防制御部34を制御機構7として備える。これらは全てメインケース18に収納される。
【0042】
風防制御部34は、入力された信号を基に各種命令信号を生成する。本実施形態では風防制御部34は風防10のみを制御するが、天びん本体30と風防10の両方を制御する制御部を用いて、風防10と天びん本体30の両方を制御する構成としても良い。また開閉信号を生成する赤外線センサ36を風防10に直接設けても良い。
【0043】
図6に示す開閉機構60はドア11を開閉させるための機構であり、左右のドア11はそれぞれ開閉機構60を備え、接続された開閉機構60により独立して制御される。本実施形態では、エアシリンダ40の内部のピストン(さらにはピストンから延在するピストンロッド40a)を前方へ移動(前進)させるポンプと後方へ移動(後進)させるためのポンプは、別々に存在する。
【0044】
開閉機構60は、制御機構7として第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66B、および駆動手段としてエアシリンダ40を備える。エアシリンダ40はピストンロッド40aを介してドア11に接続される。
【0045】
第1加圧ポンプ62A,第2加圧ポンプ62Bは、共にエアポンプである。エアシリンダ40の駆動源であり、エアを圧縮してエアシリンダ40に送り、エア圧力によりピストンを動かしてドア11を移動させる。
【0046】
第1一方電磁弁66A,第2一方電磁弁66Bは、弁の出口側は大気に開放されており、弁の開閉によりエアの流止を制御する。
【0047】
第1圧力センサ64Aは第1加圧ポンプ62Aから吐出されたエアの圧力を、第2圧力センサ64Bは、第2加圧ポンプ62Bから吐出されたエアの圧力を、それぞれ監視する。第1圧力センサ64Aおよび第2圧力センサ64Bは、それぞれエアシリンダ40に接続されているため、換言すれば圧力センサは、エアシリンダ40に供給されるエアの圧力、エアシリンダ内のエアの圧力を監視している。
【0048】
エアを伝達させるために、エアチューブ55でそれぞれの要素は接続されている。エアシリンダ40の後方に設けられた前進側ポート44には、第1加圧ポンプ62Aが接続されている。途中分岐があり、さらに第1圧力センサ64Aと第1一方電磁弁66Aが接続されている。エアシリンダ40の前方に設けられた後進側ポート46には、第2加圧ポンプ62Bが接続されている。途中分岐があり、こちらには第2圧力センサ64Bと第2一方電磁弁66Bが接続されている。
【0049】
ドア11の駆動源であるエアシリンダ40はシリンダボックス20内に配置され、その他の制御系の構成要素、即ち、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64B、第1一方電磁弁66A、第2一方電磁弁66B、およびこれらを制御する風防制御部34は、全てをメインケース18に配置される。
【0050】
(ドア開閉時の動作)
次にドア11自動開閉時における各構成要素の動作を説明する。図7は、開閉機構60の動作表である。
【0051】
まず、使用者が手動でドア11を開閉可能な「標準状態」では、第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62B共に作動せず、第1一方電磁弁66Aおよび第2一方電磁弁66Bは、開かれている。両加圧ポンプ(62A,62B)が動作せず、両一方電磁弁(66A,66B)が開いて大気と連通しているため、全くエアシリンダ40からの負荷はなく、ドア11を手動でスムーズに開閉させることができる。
【0052】
コントロールパネル35の赤外線センサ36より、「ドアを開ける/閉じる」の命令信号が入力されると、風防制御部34は各要素に動作を命令する。
【0053】
ドア11を開ける「自動開操作」の場合、即ち、エアシリンダ40のピストンを後方へ移動させる場合、第2一方電磁弁66Bは閉じられ、第2加圧ポンプ62Bの加圧が開始される。このとき、第1加圧ポンプ62Aは作動せず、第1一方電磁弁66Aは開かれているため、エア圧力によりピストンは後方へ移動し、ドア11が開かれる。
【0054】
ドア11が開ききると、エア圧力が急激に上昇するため、この変化を第2圧力センサ64Bが検知すると、第2加圧ポンプ62Bは停止させられ、第2一方電磁弁66Bが開かれ、エアシリンダ40内の圧縮されたエアが大気に開放され、標準状態に戻る。
【0055】
ドア11を閉じる「自動閉操作」の場合、即ち、エアシリンダ40内のピストンを前方へ移動させる場合、第1一方電磁弁66Aは閉じられ、第1加圧ポンプ62Aの加圧が開始される。このとき、第2加圧ポンプ62Bは動作せず、第2一方電磁弁66Bは開かれているため、エア圧力によりピストンは前方へ移動し、ドア11が閉じられる。
【0056】
ドア11が閉じきると、やはりエア圧力が急激に上昇するため、この変化を第1圧力センサ64Aが検知すると、第1加圧ポンプ62Aは停止させられ、第1一方電磁弁66Aが開かれ、エアシリンダ内の圧縮されたエアが大気に開放され、標準状態に戻る。
【0057】
また、校正作業時には自動でドア11がロックされる。赤外線センサ36からの命令でドア11がロックされるように構成してもよい。校正時に限らず、運搬時にも、ドア11をロックすることができる。
【0058】
一方の加圧ポンプが可動時にはもう一方の加圧ポンプは可動せず、一方の電磁弁のみ閉じられ、もう一方の電磁弁は開いて大気と連通している。可動していたポンプが停止すると、閉じていた電磁弁は開いて大気に連通する。即ち、加圧ポンプが停止した際には、全一方電磁弁が開かれて大気に連通するように構成されている。ドア11が自動で開閉された後には、エアは大気に開放され、ドア11にかかる負荷が無くなり、ドア11を手動でスムーズに移動させることが可能となる。ドア11は自動開閉可能でありながら、自動開閉された後には、特別な操作なしに即座に手動開閉が可能となる。
【0059】
エアシリンダ40のエア圧力は、第1圧力センサ64A、第2圧力センサ64Bに監視されており、エア圧力が所定値を超えると、風防制御部34は第1加圧ポンプ62A、第2加圧ポンプ62Bを止めるように構成されている。例えば、ドア11の自動閉動作によりドア11が前面ガラス12に当接すると、ピストンが移動できなくなり、急激にエア圧力が上昇する。あるいはドア11の自動開動作によりエアシリンダ40のエアチューブ端部にピストンが当接すると、同様にエアシリンダ40内のエア圧力が急上昇する。このような場合、加圧ポンプは停止して一方電磁弁が開かれる。指挟みや誤作動もこの構成により担保される。
【0060】
(着脱機構)
次に、風防10の構成と構造について説明する。図8は電子天びん1の分解斜視図である。
【0061】
図8に示すように、ベース部材14は矩形平板状に形成されており、前方領域FRと後方領域RRから構成される。前方領域FRは枠形状となっており、中央部分は秤量皿31に触れることなく天びん本体30の上面に載置されるように大きく開口した窓部となっている。天びん本体30の上面にベース部材14が載置され、ベース部材14の後方領域RRに、メインケース18が載置される。
【0062】
風防10に備えられた前面ガラス12、左右のドア11、上面ドア13は、全て取外し可能に構成されている。さらに、シリンダボックス20もメインケース18とは別体として構成されている。
【0063】
図9は前面ガラス12が風防10から取外された状態を示す。前面ガラス12の上部左右の角には、被係止部材93が設けられている。被係止部材93は前面ガラス12を前後から挟持して強固に固定されており、前面ガラス12から脱落することはない。
【0064】
シリンダボックス20の側面前方には、前面ガラス12を係止するために設けられた第2係止部材95が、シリンダボックス20の側面前方に形成された凹部内に、シリンダボックス20の前面より前端部である係止部95bが突出した状態で配置されている。
【0065】
第2係止部材95は、前端側を作用点、後端側を力点とした平板状のクリップ構造体であって、長手方向(前後方向)中央で鉛直方向に伸びる軸95aにより回動可能に支持され、図示しない弾性部材により、係止部95bが内方向に向かって付勢されている。
【0066】
係止部95bは前方に向かって薄くなるように内側が面取りされており、さらに係止部95b内側には嵌合凹部95cが形成されている。
【0067】
被係止部材93の側面には、第2係止部材95の配置位置に合わせて案内溝93aが設けられており、案内溝93a底面には嵌合凹部95cに係合する嵌合凸部93bが形成されている。
【0068】
前面ガラス12を取付けの際は、まず前面ガラス12の底面をベース部材14の前方縁部に形成された溝14j(図8参照)に嵌め込み、上部をシリンダボックス20に向けて押しつけるだけで、第2係止部材95は案内溝93aに案内され、嵌合凹部95cが嵌合凸部93bに嵌合して、前面ガラス12を固定する。
【0069】
嵌合凸部93bは第2係止部材95がスムーズに案内されるように端部から続く傾斜面を有し、また第2係止部材95の前端部である係止部95bも内側が面取りされており、ワンタッチで簡単に前面ガラス12を係止できるように構成されている。
【0070】
また被係止部材93の背面に設けられた突起93cも、シリンダボックス20前面に設けられた窪み20g(図8参照)に係合し、前面ガラス12の位置決めを助ける。
【0071】
前面ガラス12を取り外す際には、第2係止部材95の係止部95bとは逆の端部である端部95dを押すことで、係止部95bが外れて嵌合が解かれる。
【0072】
第2係止部材95は図示しない弾性部材により付勢されているため、前面ガラス12の係止は強固であり、風防10使用時に誤って嵌合が解かれ前面ガラス12が脱落する心配がない。前面ガラス12は溝14jに嵌り、上部を第2係止部材で二箇所係止されており、左右の第2係止部材95を両手で押さえてそのまま前面ガラス12を前方に傾けるだけで取り外すことができる。端部95dの表面には僅かに浮き出た目印95eが設けられており、手探りで作業しても簡単に端部95dを探り当てることができる。取外し作業中に誤って前面ガラス12が脱落する心配がなく、作業性もよい。
【0073】
図8に示すように、前面ガラス12を取り外すことで、上面ドア13を前方へスライドさせて取外しできるようになる。通常使用時における脱落防止のために、上面ドア13の移動を案内するレール溝20aの後端側は止めを有して開放されていない。レール溝20aの前端側は解放されているが、通常使用時には前面ガラス12が配置され、スライドした上面ドア13は前面ガラス12に当接するため脱落することはない。
【0074】
ドア11の着脱機構について説明する。図10はドア11と連結部材90の連結状態を示し、図10(A)がドア11と連結部材90との連結が解かれた状態、図10(B)がドア11と連結部材90とが連結された状態を示す。連結状態を明確とするため、図10ではシリンダボックス20の外形を破線で示している。
【0075】
図10(A)に示すように、ドア11の前方上方の角部には、連結機構99が設けられている。ドア11を保持するホルダー16において、その前側縁部は、ドア11の上端まで伸びずに上端手前で後方へ伸びて、さらに再び上方へ向かって上端まで伸びて上縁部と接続され、ドア11の上部前の角部11aを避けるようにして被連結部16eを形成している。ドア11は、被連結部16eによりホルダー16に覆われていない角部11aが連結部材90の後方側面に形成されたスリット90cに入り込んで、連結部材90と係合する。
【0076】
第1係止部材91は第2係止部材95と同等の構成を有し、第2係止部材95とは逆向きに取付けられている。即ち、同構成のクリップ構造体であり、前端部が力点となる端部91d、後端部が作用点となる係止部91bとなっている。第2係止部材95と同様、軸91aにより回動可能に支持され、図示しない弾性部材により係止部91bは内側に向かって付勢されている。係止部91bには内側に嵌合凹部91cが形成されており、ホルダー16の被連結部16eに形成された嵌合凸部16fに嵌合する。これにより、ドア11が連結部材90に連結され、これと一体として移動する。
【0077】
ドア11を取外す際は、第2係止部材95同様、目印91eのある端部91dを押すだけで係合を解くことができる。ガイド孔20dは後方端部が解放されているため、係合を解いた状態でドア11を後方にスライドさせることで、ドア11を風防10から取り外すことができる。
【0078】
取付けの際も、ドア11を前方にスライドさせるだけで、係止部91bが嵌合凸部16fを乗り越え、図示しない弾性体による付勢によって自然に係合する。ワンタッチで取付け可能で、取外しも簡単に行うことができる。
【0079】
前述の通り、連結部材90の上部の駆動機構結合部90aにはピストンロッド40aの先端が固定されており、これによりドア11は連結部材90を介してエアシリンダ40と連結して自動で開閉する。連結部材90も保持部5を備えており、保持部5から上部がシリンダボックス20内に入り込んで、連結部材90をガイド孔20dにスライド可能に懸吊支持しているが、保持部5から下部はガイド孔20dから外部に露出し、この露出部分に第1係止部材91が設けられ、ドア11と連結している。通常、故障防止に駆動機構は内部に設置されるため、これに連結されるドアは、取外しが困難であったが、このように構成することで、駆動機構に連結される連結部材90の一部を外部に露出して、露出部分でドア11と連結させることが可能になり、駆動機構との連結/連結解除を容易にした。
【0080】
ドア11はガイド孔20dに懸吊支持され、これに沿って移動するスライド機構であり、連結部材90との連結を解除すると、後方端部が開放されたガイド孔20dにより、簡単に取り外すことができる。
【0081】
(シリンダボックスの接続機構)
次に、シリンダボックス20とメインケース18の接続機構について説明する。図11は、シリンダボックス20、メインケース18の分解斜視図である。
【0082】
図11に示すように、メインケース18の上面の左右の側縁部には、凹部18aが設けられており、ここに上部フレーム17を含むシリンダボックス20が載置される。
【0083】
上部フレーム17には、外側面に二か所の切り欠き部17a,17bが設けられており、この切り欠き部17a,17bに、エアシリンダ40の後進側ポート46,前進側ポート44が係合する。
【0084】
メインケース18は無底の箱状に形成されており、内部空間に制御機構7の加圧ポンプや一方電磁弁等が配置される。凹部18aの水平面18bには、前方と後方の二か所に、内部空間に通じる挿通孔18c,18dが設けられている。
【0085】
上部フレーム17の切り欠き部17a,17bの底面には、エアチューブを挿通させるための挿通孔17c,17dが設けられている。上部フレーム17がメインケース18に固定された際には、挿通孔17cは挿通孔18cに、挿通孔17dは挿通孔18dに、それぞれ連通する。
【0086】
図12は、図2のXII-XII線に沿った断面図であり、後進側ポート46を通過する位置での断面図となっている。図12に示すように、ドア11は、ホルダー16でシリンダボックス20に懸吊支持されている。エアシリンダ40は、シリンダボックス20の内部に、ドア11の移動を邪魔しない位置で保持されている。シリンダボックス20は上部にカバー20eを備え、カバー20eを押さえとして、上面ドア13を保持し、案内するレール溝20aを形成している。
【0087】
前述の通り、ドア11をスライド可能に懸吊するガイド孔20dと、駆動機構であるエアシリンダ40は、シリンダボックス20に備えられている。エアシリンダ40の駆動源である加圧ポンプを含む制御機構7はメインケース18の内部空間に備えられている。
【0088】
上部フレーム17の切り欠き部17aに後進側ポート46が係合しているため、エアシリンダ40内のエアは、図示を省略するエアチューブにより、後進側ポート46から、上部フレーム17の挿通孔17c、メインケース18の挿通孔18cを順に通り、メインケース18の内部空間に配置された第2加圧ポンプ62Bへと接続される(図12の矢印および図6参照)。同様に、前進側ポート44では、エアシリンダ40のエアは、後進側ポート46から、上部フレーム17の挿通孔17d、メインケース18の挿通孔18dを通って、メインケース18の内部空間に配置された第1加圧ポンプ62Aへと接続される(図6参照)。
【0089】
図11に示すように、凹部18aの上面には、ボス18e,18fが設けられている。上部フレーム17の底面には、これに対応してボス17e,17fが形成されている。図13は、図2のXIII-XIII線に沿った断面図であり、ボス18eを通過する位置での断面図となっている。図13に示すように、メインケース18の凹部18aに上部フレーム17が係合すると、ボス17eとボス18eの孔が連通する。該孔同士が連通した状態で、ボス17eおよびボス18eの孔内径よりも太い径をもつタッピングネジNを下方からねじ込むことで、両者は固定される。
【0090】
本実施形態では、タッピングネジNによりメインケース18とシリンダボックス20とを強固に固定したが、凹凸係合やランス係合などにより、両者を着脱可能に構成してもよい。
【0091】
(作用効果)
上記のように構成された電子天びん1の作用効果を説明する。
【0092】
風防10を構成するメインケース18、シリンダボックス20は、別体として構成される。シリンダボックス20は、ドア11をガイド孔20dで懸吊支持し、なおかつドア11の駆動機手段であるエアシリンダ40を内部に保持している。メインケース18にはエアシリンダ40の駆動源である加圧ポンプを含む制御機構7が配置され、両者はエアチューブで接続される。
【0093】
即ち、風防10のドア11の開閉機構60のエアシリンダ40以外はメインケース18に集約されており、メインケース18からシリンダボックス20を取外し、別の長さのシリンダボックスを配置することで長さの異なる秤量室を有する風防を、容易に構成できる。本実施形態においては、秤量室S1を画成するドア11、前面ガラス12、および上面ドア13は、着脱可能にシリンダボックスに取付けられているため、秤量室を新たに構成することがより容易となっている。
【0094】
上記作用効果を、図14図20を用いて詳しく説明する。
【0095】
図14は、電子天びん1の別の形態である電子天びん101を示す。図15は電子天びん101の側面図である。同一構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
図14および図15に示すように、電子天びん101は、天びん本体130および風防110を備える。
【0097】
風防110においては、メインケース18の左右の上側方に設けられた凹部18aに、シリンダボックス120が配設され、シリンダボックス120にドア11がスライド可能に懸吊支持され、かつ前方に前面ガラス12が配置され、上方に上面ドア13が配置されて、秤量室S2を画成している。
【0098】
天びん本体130は、天びん本体30と比較して、前後方向の奥行長さが短くなっている。これに伴って、風防110も風防10よりも前後方向の奥行長さが短く、同様に、シリンダボックス120もシリンダボックス20より前後方向に短くなっている。風防110の秤量室S2は、風防10の秤量室S1に対して、幅と高さは同じままに、前後方向の奥行長さのみ2/3程度となっている。
【0099】
シリンダボックス120は、切り欠き部や挿通孔など、シリンダボックス20と同等の構成を備え、シリンダボックス20と比して、全体として前後方向に短く構成される。シリンダボックス120内にはストロークを短くしてエアシリンダ40が配置される。エアシリンダ40はメインケース18内の制御機構7に接続され、ドア11は連結部材90を介してエアシリンダ40に連結され、自動で開閉される。シリンダボックス20の側面前方には、第2係止部材95が設けられており、前面ガラス12を着脱可能に係止している。シリンダボックス120に設けられたレール溝120aは上面ドア13の開閉移動を案内している。
【0100】
天びん本体130に載置されたベース部材114は、後方領域RRと前方領域FR1とから構成される。メインケース18を載置する後方領域RRはベース部材14と同形のまま、秤量皿131を避けて秤量室S2に載置される前方領域FR1のみが前方領域FRより短く構成される。
【0101】
前述の通り、エアシリンダ40は、例えば何かに当接するなどしてエア圧力が上がると、第1圧力センサ64A/第2圧力センサ64Bが検知して、第1加圧ポンプ62A/第2加圧ポンプ62Bが停止して開閉動作が止まるように構成されている。エアシリンダ40のストロークを短くして配置しても、ドア11が前面ガラス12に背面側に当接してエア圧力が高まり、両加圧ポンプ(62A,62B)が停止する。このため、新たに構成される秤量室のドア自動開閉の設定が容易な構成となっている。
【0102】
従来は秤量室の大きさの異なる風防を構成する場合、都度設計と製造を行わなければならなかったが、本構成により、ドアの自動開閉機構を備えながら、異なる大きさ(特に奥行長さ)の秤量室を、低コストで構成し得る風防を提供できる。
【0103】
本実施形態においては、秤量室を構成するドア11、前面ガラス12、および上面ドア13は容易に取外し可能に構成されているため、異なる大きさの秤量室をより容易に構成できる。
【0104】
図16は、図15に示す電子天びん101の変形例である電子天びん101Aを示す。電子天びん101Aは、天びん本体130と風防110Aとを備える。風防110Aは、左右のドア111、メインケース18、上面ドア113、前面ガラス12(図示せず)から画成される秤量室S2を有する。
【0105】
ドア111は、連結機構99が設けられており、第2係止部材95により連結部材90を介してエアシリンダ40に接続される。上面ドア113は、シリンダボックス120のレール溝120aにスライド可能に支持される。ドア111,上面ドア113は、ドア11,上面ドア13と同等の要素を備えつつ、秤量室S2の大きさに合わせて、ドア11,上面ドア13よりも前後方向の長さが短い構成となっている。このように、外し可能な各ドアを、画成される秤量室S2の大きさに好適な長さのものとしても良い。
【0106】
図17は、電子天びん1のさらに別の形態である電子天びん201を示す部分透過斜視図である。図18は電子天びん201の右側面図である。
【0107】
電子天びん201は、電子天びん本体230および風防210を備える。風防210においては、メインケース18の左右の上側方に設けられた凹部18aに、シリンダボックス220が配設され、シリンダボックス220にスライド可能にドア211が懸吊支持され、前方に前面ガラス12が配置され、上方に上面ドア213が配置されて、秤量室S3を画成している。
【0108】
天びん本体230は、天びん本体30よりも大きく、前後方向の奥行寸法が長い。これに伴って、風防210も風防10よりも前後方向の奥行寸法が長くなっており、同様に、シリンダボックス220も、シリンダボックス20よりも前後方向の奥行寸法が長い構成となっている。風防210の秤量室S3は、風防10の秤量室S1に対して、幅と高さは同じままに、前後方向の奥行寸法だけが長い。
【0109】
シリンダボックス220においては、その内部にエアシリンダ40よりもストロークの長いエアシリンダ240を保持し、またエアチューブを挿通させる挿通孔などは、メインケース18に対応した位置に設けられ、全体として前後方向に長く構成される。
【0110】
ドア211および上面ドア213は、同様に、ドア11および上面ドア13より前後方向に長く構成される。シリンダボックス220の側面前方には、第2係止部材95が設けられており、前面ガラス12を着脱可能に係止している。シリンダボックス220の内部で前後方向に伸びるレール溝220aが上面ドア213の開閉移動を案内している。
【0111】
天びん本体230に載置されたベース部材214は、後方領域RRと前方領域FR2とから構成される。メインケース18を載置する後方領域RRはベース部材14と同形のまま、秤量皿を避けて秤量室S3に載置される前方領域FR2のみが前方領域FRより長く構成される。
【0112】
前述の通り、メインケース18内の制御機構7と、エアシリンダ240とがエアチューブで接続され、ドア211は連結部材90を介してエアシリンダ240に連結されることで、ドア211は自動で開閉される。このように、奥行方向に長い秤量室S3を備える風防も低コストで構成することができる。
【0113】
(変形例)
本実施形態においては、風防には下枠部材として、ベース部材14を用いる構成としたが、ベース部材14を用いず、メインケース18が天びん本体30に直接配置する構成としてもよい。ベース部材14は天びん本体30に載置されている状態であり、ドア11もメインケース18に備えられたシリンダボックス20に懸吊支持されており、前面ガラス12も第2係止部材95によりシリンダボックス20に係止されている。メインケース18が天びん本体30に直接載置されるのならば、ベース部材14は不要となる。このため、ベース部材14を用いらない構成にすることも可能である。この場合、天びん本体30にドア11の移動を案内する突起やレールが設けられていると好ましい。
【0114】
上記内容を、図19を用いて説明する。図19は、さらに別の実施形態として、ベース部材14を含まない電子天びん301を示す。同構成を持つものは、同符号を付して説明を省略する。
【0115】
図19に示すように、電子天びん301は、天びん本体330と風防310から構成される。風防310は、ベース部材14を備えない以外は、風防10と同等の構成を備え、メインケース18が天びん本体330の上面に直接載置される形態となっている。
【0116】
天びん本体330は、上面に前後方向にライン状に伸びて凸設された凸レール330aを備えており、風防310はこれに沿って載置される。ドア11は、凸レール330aに移動を案内され、凸レール330aに沿って開閉される。このように、ベース部材14を含まずに風防310が構成されてもよい。また、この場合、図示しない固定部材にて風防310が、天びん本体330に固定されていることが好ましい。
【0117】
また、風防10における制御機構7はメインケース18に収納されているため、メインケース18の下に底上げ部材を配置することで、より高い秤量室の風防も容易に構成し得る。
【0118】
上記内容を、図20を用いて説明する。図20は、さらに別の実施形態として、メインケース18とベース部材14の間に底上げ部材80が介装された電子天びん401を示す。
【0119】
図20に示すように、電子天びんは、天びん本体30と風防410から構成される。風防410は、メインケース18の下に底上げ部材80が配置され、追加された底上げ部材80分だけ、秤量室S4は秤量室S1より高く構成されている。秤量室S4は、底上げされた分だけより高く構成されるドア411、前面ガラス412、および上面ドア13により画成される。秤量室S4を画成するドア411、前面ガラス412、および上面ドア13は、シリンダボックス20に着脱可能に取付けられている。ドア411はシリンダボックス20に懸吊支持され、エアシリンダ40により自動開閉可能となっている。このように、本開示の風防は、底上げ部材80を用いることで、別の高さの秤量室にも適用が容易な構成となっている。
【0120】
上述の通り、本開示の風防は、別の高さおよび長さの秤量室を有する風防にも容易に適応できるように構成されており、所望の大きさの秤量室を有する別の風防も、低コストで構成し得る。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施形態および変形例を述べたが、当業者の知識に基づいて変形させることも可能であり、そのような形態は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
7 :制御機構
10 :風防
11 :ドア
12 :前面ガラス
13 :上面ドア
14 :ベース部材
17 :上部フレーム
17c :挿通孔
17d :挿通孔
18 :メインケース
18c :挿通孔
18d :挿通孔
20 :シリンダボックス
20d :ガイド孔
30 :天びん本体
31 :秤量皿
40 :エアシリンダ
60 :開閉機構
S1 :秤量室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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