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特許7402607流体処理用ビーズを収容するためのフィルター付き筒状容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】流体処理用ビーズを収容するためのフィルター付き筒状容器
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20231214BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61M1/02 130
A61M1/36 163
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018241841
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020099644
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】森田 直喜
(72)【発明者】
【氏名】田島 洋
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058033(JP,A)
【文献】特開2008-104843(JP,A)
【文献】特開2011-224142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体処理用ビーズを収納するためのフィルター付き熱可塑性樹脂製筒状容器(1)であって、該筒状容器(1)は、その側面に該ビーズを充填するための充填口(20)を有する略円形断面の筒状容器本体(2)、該ビーズを該容器内に保持するためのフィルター付きリング(4)、及び該筒状容器本体(2)の両端に配置され、流体出入口(50)を有するヘッダー(5)から構成され、該ヘッダー(5)は、該筒状容器本体(2)の中心軸(P)断面において、該筒状容器本体(2)に向かって突出する略矩形状のヘッダー突出部(52)を有し、かつ、該筒状容器本体(2)は、該ヘッダー突出部(52)を受容し、これと嵌合する陥凹部を有するか、又は、該筒状容器本体(2)は、該中心軸(P)断面において、該ヘッダー(5)に向かって突出する略矩形状の筒状容器本体突出部を有し、かつ、該ヘッダー(5)は、該筒状容器本体突出部を受容し、これと嵌合する陥凹部を有するかのいずれかであり、そして該ヘッダー(5)と該筒状容器本体(2)とが、該フィルター付きリング(4)を保持しつつ、気密又は液密状態で該熱可塑性樹脂の溶融により、少なくとも、該ヘッダー突出部(52)又は該筒状容器本体突出部の内周面の周方向全体(A)及び外周面の周方向全体(B)において、溶着されていることを特徴とする前記筒状容器。
【請求項2】
前記ヘッダー(5)は、前記中心軸(P)断面において、前記筒状容器本体(2)に向けて突出する略矩形状のヘッダー突出部(52)を有し、かつ、該筒状容器本体(2)は、該ヘッダー突出部(52)を受容し、これと嵌合する陥凹部を有し、該陥凹部は、該中心軸(P)断面において、該ヘッダー突出部(52)の内側に配置される略矩形状の筒状容器本体突出部(23)と該ヘッダー突出部(52)の外側に配置される略矩形状の容器本体突出部(22)とで構成される、請求項1に記載の筒状容器。
【請求項3】
前記ヘッダー(5)と前記筒状容器本体(2)とを、前記フィルター付きリング(4)を保持しつつ、該ヘッダーの径方向に広がる板状の天面部(51)に超音波ホーン(100)を押し当てる超音波溶着により、気密又は液密状態で、前記熱可塑性樹脂の溶融により溶着する工程を含む、請求項1又は2に記載の筒状容器の製造方法。
【請求項4】
前記ヘッダー(5)、及び/又は前記筒状容器本体(2)を射出成形により製造する工程を含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の筒状容器(1)又は請求項若しくはに記載の方法により製造された筒状容器(1)の筒状容器本体(2)の側面にある充填口(20)から、分散媒に分散された血液浄化処理用ビーズを注入し、ヘッダー(5)の流体出入口(50)から、該分散媒を排出する工程、該流体出入口(50)を仮封止した後、該充填口(20)から封入液を注入し、該筒状容器本体(2)の内周面(26)と該充填口(20)の内壁とで画される空間に弾性体(31)を詰めて、該筒状容器本体(2)の内周面(26)を面一にした後に、該充填口(20)をキャップ(3)で封止する工程、次いで、これを包装した後、ガンマ線で滅菌処理する工程を含む、血液浄化処理用ビーズが充填された血液浄化処理モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体処理用ビーズを収容するためのフィルター付き筒状容器に関する。より詳しくは、本発明は、血液浄化用ビーズを収容するための熱可塑性樹脂製フィルター付き筒状容器であって、該筒状容器を構成するヘッダーと筒状容器本体が該熱可塑性樹脂の溶融により所定の2箇所以上で気密又は液密状態で溶着されている筒状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析、血液透析濾過、血液濾過、血漿分離などの体外循環式の血液浄化処理、腹水などの体腔液処理、血液製剤のウィルス除去・処理などにおいて、リン酸、凝集物、白血球などの好ましくない成分、すなわち、被除去成分を吸着・除去することができる粒状成形体(ビーズ)を充填したモジュールが用いられている。特に、輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などから副作用の原因となる微小凝集物や白血球を除去する目的で、使い捨てのビーズ充填モジュールが用いられている。
【0003】
かかる使い捨てモジュールのハウジング(容器)としては、被充填物がビーズではなく中空糸膜であるものの、筒状容器(ケーシング)本体の両端にOリングを介してヘッダー(血液導出入部材)を、螺合、接着剤、超音波溶着などの手段により取り付け(締め付け)密閉性を確保するものが知られている(以下の特許文献1参照)。
しかしながら、使い捨てビーズ充填モジュールの容器として、かかるOリングの使用は比較的高価であり、また、容器本体にヘッダーを取り付け、密閉するという容器の組立プロセスにおいて変形しやすいOリングの取り付けは、手間がかかるだけでなく、密閉性を確保するための締め付け圧力の管理なども必要になる。さらに、中空糸膜に代えてビーズを充填する場合には、充填されたビーズがヘッダーの血液導出入口から漏れ出すことを防止するためのフィルターを容器内部に保持する必要があるため、組立プロセスにさらに手間がかかるものとなっている。
【0004】
以下の特許文献2には、被充填物がビーズではなく中空糸膜であるものの、筒状容器本体の両端にOリングを介さずにヘッダーを超音波溶着により溶着して密閉性を確保するものが開示されている。しかしながら、特許文献2には、ヘッダーを筒状容器本体に対して相対的に押し込みながら超音波溶着するシェアジョイントにおいて、押し込み止めを形成することにより、中空糸膜のポッティング部の破損を防止する技術が開示されているにすぎない。
また、特許文献3には、溶着部がシェアジョイント構造であると、ヘッダー押し込み時にヘッダーが広がり、容器本体側面が滑り、一定の圧力で加圧力が低下し、一定の位置で超音波エネルギーを集中することができず、溶融量が低下し、耐圧強度が低下するという問題があるところ、ヘッダーと筒状容器本体との超音波溶着において少なくとも2箇所の領域を順次溶着して、ヘッダーと筒状容器本体との接合強度を向上し、液漏れや耐圧強度不足を解決する技術が開示されている。しかしながら、特許文献3では、上記少なくとも2箇所の領域は、ヘッダー突出部の同一面に存在し、また、充填物が中空糸膜であるため、容器内部のどの位置でフィルターを保持しているかの開示はなく、超音波溶着のために適用される超音波エネルギーがフィルター部材の破損に及ぼす影響についても全く検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-231965号公報
【文献】特開2018-58033号公報
【文献】特開2018-58034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、血液浄化等に用いるビーズを収容するためのフィルター付き使い捨て筒状容器において、比較的高価なOリングを用いず低コストであり、かつ、締め付け等の管理が不要であり、容器内部に保持されるフィルターを破損せず(例えば、ヘッダーと筒状容器本体との間の溶着時にフィルターが脱落し、剥がれてしまうということ回避しつつ)、十分な密閉性を有し、組み立てに手間がかからず、さらに組み立てを自動化することができる熱可塑性樹脂製筒状容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、ヘッダーと筒状容器本体との接合において、ヘッダー又は筒状容器本体のいずれかに中心軸(P)断面において略矩形の突出部を設け、該突出部内周面の周方向全体及び外周面の周方向全体において、気密又は液密状態で熱可塑性樹脂の溶融により溶着することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]流体処理用ビーズを収納するためのフィルター付き熱可塑性樹脂製筒状容器(1)であって、該筒状容器(1)は、その側面に該ビーズを充填するための充填口(20)を有する略円形断面の筒状容器本体(2)、該ビーズを該容器内に保持するためのフィルター付きリング(4)、及び該筒状容器本体(2)の両端に配置され、流体出入口(50)を有するヘッダー(5)から構成され、該ヘッダー(5)は、該筒状容器本体(2)に向かって突出する中心軸(P)断面において略矩形状のヘッダー突出部(52)を有し、かつ、該筒状容器本体(2)は、該ヘッダー突出部(52)を受容し、これと嵌合する陥凹部を有するか、又は、該筒状容器本体(2)は、該ヘッダー(5)に向かって突出する中心軸(P)断面において略矩形状の筒状容器本体突出部を有し、かつ、該ヘッダー(5)は、該筒状容器本体突出部を受容し、これと嵌合する陥凹部を有するかのいずれかであり、そして少なくとも、該ヘッダー突出部(52)又は該筒状容器本体突出部の内周面の周方向全体(A)及び外周面の周方向全体(B)において、該ヘッダー(5)と該筒状容器本体(2)とが、該フィルター付きリング(4)を保持しつつ、気密又は液密状態で該熱可塑性樹脂の溶融により溶着されていることを特徴とする前記筒状容器。
[2]前記ヘッダー(5)は、前記筒状容器本体(2)に向けて突出する中心軸(P)断面において略矩形状のヘッダー突出部(52)を有し、かつ、該筒状容器本体(2)は、該ヘッダー突出部(52)を受容し、これと嵌合する陥凹部を有し、該陥凹部は、該ヘッダー突出部(52)の内側に配置される中心軸(P)断面において略矩形状の筒状容器本体突出部(23)と外側に配置される中心軸(P)断面において略矩形状の容器本体突出部(22)とで構成される、前記[1]に記載の筒状容器。
[3]前記内側の筒状容器本体突出部(23)の先端が、前記ヘッダー突出部(52)の内側にある、該筒状容器(1)の中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(53)に当接し、及び/又は、前記外側の筒状容器本体突出部(22)の先端が、前記ヘッダー突出部(52)の外側にある、該筒状容器(1)の中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(54)に当接し、及び/又は前記ヘッダー突出部(52)の先端が、前記外側の筒状容器本体突出部(22)と前記内側の筒状容器本体突出部(23)の間にある中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(24)に当接する、前記[2]に記載の筒状容器。
[4]前記フィルター付きリング(4)は、フィルター(40)が、中心軸(P)断面において略矩形の熱可塑性樹脂製環状リング(41)に該リング(41)の筒状容器本体(2)側面で、該熱可塑性樹脂の溶融により溶着されたものであり、該リング(41)の外周面(41b)は、前記内側の筒状容器本体突出部(23)の内周面(23a)に対向し、該環状リング(41)のヘッダー側の中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(41c)は、前記ヘッダー突出部(52)の内側にある中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(53)と対向し、該平坦面(53)の内側からフィルター付きリング(4)側に向かって突出するヘッダー突出部(55)の外周面(55b)は、該リングの内周面(41a)に対向し、さらに該リングの平坦面(41c)と反対側の略平坦面が、前記内側の筒状容器本体突出部の内側にある中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(25)に対向して、配置されることにより、該ヘッダー(5)と該筒状容器本体(2)との間で、保持されている、前記[2]又は[3]に記載の筒状容器。
[5]前記筒状容器本体(2)、前記ヘッダー(5)、及び前記フィルター付きリング(4)のリング(41)を構成する熱可塑性樹脂が、同種のポリプロピレン系樹脂である、前記[2]~[4]のいずれかに記載の筒状容器。
[6]前記フィルター付きリング(4)を構成するフィルター(40)が、ポリエステル系樹脂のメッシュであり、該フィルター付きリング(4)のリング(41)を構成するポリプロピレン系樹脂の溶融により埋め込まれて溶着され、該筒状容器本体(2)側に略平坦面が形成されている、前記[4]又は[5]に記載の筒状容器。
[7]前記ヘッダー(5)と前記筒状容器本体(2)とを、前記フィルター付きリング(4)を保持しつつ、該ヘッダーの径方向に広がる板状の天面部(51)に超音波ホーン(100)を押し当てる超音波溶着により、気密又は液密状態で、前記熱可塑性樹脂の溶融により溶着する工程を含む、前記[1]~[6]のいずれかに記載の筒状容器の製造方法。
[8]前記ヘッダー(5)、及び/又は前記筒状容器本体(2)を射出成形により製造する工程を含む、前記[7]に記載の方法。
[9]前記[1]~[6]のいずれかに記載の筒状容器(1)又は前記[7]若しくは[8]に記載の方法により製造された筒状容器(1)の筒状容器本体(2)の側面にある充填口(20)から、分散媒に分散された血液浄化処理用ビーズを注入し、ヘッダー(5)の流体出入口(50)から、該分散媒を排出する工程、該流体出入口(50)を仮封止した後、該充填口(20)から封入液を注入し、該筒状容器本体(2)の内周面(26)と該充填口(20)の内壁とで画される空間に弾性体(31)を詰めて、該筒状容器本体(2)の内周面(26)を面一にした後に、該充填口(20)をキャップ(3)で封止する工程、次いで、これを包装した後、ガンマ線で滅菌処理する工程を含む、血液浄化処理用ビーズが充填された血液浄化処理モジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る流体処理用ビーズを収納するためのフィルター付き熱可塑性樹脂製筒状容器は、ヘッダーと筒状容器本体との接合において、ヘッダー又は筒状容器本体のいずれかに中心軸(P)断面において略矩形の突出部を設け、該突出部内周面の周方向全体及び外周面の周方向全体において(すなわち、少なくとも2箇所の領域)で気密又は液密状態で熱可塑性樹脂の溶融により溶着されており、かつ、適用する超音波エネルギーを制御して、例えば、過度なエネルギーによる超音波ホーン接触面への傷の発生や溶着機の出力不足によるオーバーロード発生を回避しつつ、容器内部に保持されるフィルターを破損せずに、例えば、ヘッダーと筒状容器本体との間の溶着時にフィルターが脱落し、剥がれてしまうということ回避しつつ、十分な密閉性を確保することができ、また、比較的高価なOリングを用いず低コストであり、かつ、締め付け等の管理が不要であり、組み立てに手間がかからず、さらに組み立てを自動化することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の流体処理用ビーズを収納するためのフィルター付き筒状容器のビーズ収納後の状態を示す斜視図である。
図2】本実施形態の筒状容器の構成要素の配置を説明する斜視図である。
図3】本実施形態の筒状容器の上面図である。
図4】本実施形態の筒状容器の中心軸(P)断面図である。便宜上、キャップ(3)、弾性体(31)の断面も示す。
図5】本実施形態の筒状容器を構成するフィルター付きリングの中心軸(P)断面図及び上面図である。
図6】本実施形態の筒状容器を構成するヘッダーと筒状容器本体の溶着前の状態を説明するための中心軸(P)拡大断面図である。
図7】ヘッダーと筒状容器本体の超音波ホーンによる溶着を説明するための中心軸(P)拡大断面図である。
図8】ヘッダーと筒状容器本体の溶着後の状態を説明するための中心軸(P)拡大断面図である。
図9】ヘッダーと筒状容器本体の溶着後の状態の中心軸(P)断面のX線CT画像である。
図10】ヘッダーと筒状容器本体の溶着後の状態の径方向断面のX線CT画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本実施形態の筒状容器は、流体処理用ビーズを収納するためのフィルター付き熱可塑性樹脂製筒状容器(1)であって、該筒状容器(1)は、その側面に該ビーズを充填するための充填口(20)を有する略円形断面の筒状容器本体(2)、該ビーズを該容器内に保持するためのフィルター付きリング(4)、及び該筒状容器本体(2)の両端に配置され、流体出入口(50)を有するヘッダー(5)から構成され、該ヘッダー(5)は、該筒状容器本体(2)に向かって突出する中心軸(P)断面において略矩形状のヘッダー突出部(52)を有し、かつ、該筒状容器本体(2)は、該ヘッダー突出部(52)を受容し、これと嵌合する陥凹部を有するか、又は、該筒状容器本体(2)は、該ヘッダー(5)に向かって突出する中心軸(P)断面において略矩形状の筒状容器本体突出部を有し、かつ、該ヘッダー(5)は、該筒状容器本体突出部を受容し、これと嵌合する陥凹部を有するかのいずれかであり、そして少なくとも、該ヘッダー突出部(52)又は該筒状容器本体突出部の内周面の周方向全体(A)及び外周面の周方向全体(B)において、該ヘッダー(5)と該筒状容器本体(2)とが、該フィルター付きリング(4)を保持しつつ、気密又は液密状態で該熱可塑性樹脂の溶融により溶着されていることを特徴とする。
本実施形態の筒状容器に収納される流体処理用ビーズは、その用途、形状、大きさ等に関して特に制限されないが、例えば、リン、ホウ素、フッ素、ヒ素等を除去するための有機高分子樹脂及び無機イオン吸着体を含む、平均粒形100~2500μmの球状粒子形態の多孔性成形体であることができる。
【0013】
[筒状容器]
図1、2に示すように、本実施形態の筒状容器(1)は、流体処理用ビーズを収納するためのフィルター付き熱可塑性樹脂製筒状容器であって、該筒状容器(1)は、その側面に該ビーズを充填するための充填口(20)を有する略円形断面の筒状容器本体(2)、及び該筒状容器本体(2)の両端に配置され、流体出入口(50)を有するヘッダー(5)から構成され、その内部に流体処理用ビーズが充填され、その後、封入液で満たされ、筒状容器本体(2)の内周面(26)と充填口(20)の内壁とで画される空間に弾性体(31)を詰めて筒状容器本体(2)の内周面(26)を面一にした後に、充填口(20)がキャップ(3)で封止され(図2、4参照)、滅菌処理された流体処理用モジュールは、ネジ構造を有する流体出入口(50)に外部チューブ(配管)(図示せず)を接続することで、例えば、血液浄化モジュールとして使用される。
筒状容器(1)の内部には、流体処理用ビーズが充填されるため、図2に示すように、フィルター付きリング(4)(図5参照)をヘッダー(5)付近に配置して、モジュールの使用時に、ヘッダーの流体出入口(50)から流体処理用ビーズが漏れ出ないようにする必要がある。尚、ビーズ充填後におけるビーズ充填口(20)へのキャップ(3)の取り付け(封止)手段は、特に制限されず、筒状容器本体(2)とキャップ(3)を同素材である熱可塑性樹脂製として溶着することが、生産コスト、密封の確実性、汚染防止の観点等から好ましい。尚、筒状容器本体(2)の内周面(26)と充填口(20)の内壁とで画される空間に弾性体(31)を詰めて筒状容器本体(2)の内周面(26)を面一にする理由は、ビーズがこの空間に入り込み、流体が偏流することによる処理効率の低下や、処理流体の漏れを回避する等のためである(図4参照)。
【0014】
[筒状容器本体の構造]
図2、3、4、6に示すように、筒状容器本体(2)の端部は、径方向に広がる板状の天面部(21)を有し、ヘッダー(5)に向かって中心軸(P)断面において略矩形の2重に円筒状に突出する容器突出部としての内側突出部(23)と他の容器突出部としての外側突出部(22)とを有している。内側突出部(23)と外側突出部(22)は、それぞれ、中心軸(P)を軸心とする円筒形状を有し、同心円状に配置されている。中心軸(P)方向の内側突出部(23)の突出長さは、外側突出部(22)の突出長さと同じであることができる。内側突出部(23)外側突出部(22)の間には、中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦部(24)が存在し、内側突出部(23)の内側に、中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦部(25)が存在する。この平坦部(25)は、筒状容器本体(2)の内周面(26)と垂直に交わり、以下に説明するように、フィルター付きリング(4)の外周縁に接合されたリング(41)のフィルター側の略平坦面(41d)と接して配置されることができる。
図6に示すように、1の態様においては、ヘッダー(5)は、筒状容器本体(2)に向けて突出する中心軸(P)断面において略矩形状のヘッダー突出部(52)を有し、かつ、該筒状容器本体(2)は、該ヘッダー突出部(52)を受容し、これと嵌合する陥凹部を有し、該陥凹部は、該ヘッダー突出部(52)の内側に配置される中心軸(P)断面において略矩形状の筒状容器本体突出部(23)と外側に配置される径方向断面において略矩形状の容器本体突出部(22)とで構成されることができる。
【0015】
[ヘッダーの構造]
ヘッダー(5)は、筒状容器本体(2)の両端部に蓋材として配置される。ヘッダー(5)は、通常、中心軸(P)上に設けられ流体出入口(管状ノズル)(50)と、環状ノズル(50)から径方向に広がる板状の天面部(51)と、該天面部(51)の外周縁付近から筒状容器本体(2)側に向かって突出するヘッダー突出部(52)を有している。
図4に示すように、環状ノズル(50)は、外部チューブを接続するためのネジ構造を有している。ヘッダー突出部(52)の外側には、中心軸(P)に対して垂直の環状の外側平坦面(54)、内側には、中心軸(P)に対して垂直の環状の内側平坦面(53)が、それぞれ、存在する。図6に示す態様では、この内側平坦面(53)は、環状ノズル(50)から筒状容器本体(2)の端部に向かって次第に径が大きくなる内面と繋がっているが、内側平坦面(53)の内側からフィルター付きリング(4)側に向かって突出するヘッダー突出部(55)を設けている。
【0016】
[ヘッダーと筒状容器本体の接合構造]
図6、7に示すように、中心軸(P)断面において略矩形のヘッダー突出部(52)は、筒状容器本体の内側突出部(23)と外側突出部(22)の間に嵌合するように当接された後に、超音波ホーン(100)をヘッダー天面部(51)に押し付けることにより超音波溶着されることができる。ここで、筒状容器本体の外側突出部(22)と内側突出部(23)中心軸(P)方向の突出長さは略同じであることができ、外側突出部(22)の先端にある中心軸(P)に対して垂直な環状の平坦面(22c)が、ヘッダー突出部の外側の平坦面(54)に当接するか、又は、内側突出部(23)の先端にある中心軸(P)に対して垂直な環状の平坦面(23c)が、ヘッダー突出部の内側の平坦面(53)に当接するかのいずれでもよく、あるいは、ヘッダー突出部(52)の突出長さが、筒状容器本体の外側突出部(22)又は内側突出部(23)の突出長さよりも長く、ヘッダー突出部の先端にある中心軸(P)に対して垂直な環状の平坦面(52c)が、筒状容器本体の外側突出部(22)と内側突出部(23)の間にある中心軸(P)に対して垂直な環状の平坦面(24)に当接してもよい。いずれの場合でも、超音波溶着時には、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)とは、平坦面が向かい合うように当接されるため、溶着時におけるヘッダー(5)又は筒状容器本体(2)の変形は起こりにくい。
【0017】
本実施形態においては、ヘッダー突出部(52)の外周面(52b)と、筒状容器本体の外側突出部(22)の内周面(22a)とが近接し、及び、ヘッダー突出部(52)の内周面(52a)と、筒状容器本体の内側突出部(23)の外周面(23b)とが近接し、少なくともこれらの2箇所で、周方向全体で、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)とが、フィルター付きリング(4)を保持しつつ、気密又は液密状態で該熱可塑性樹脂の溶融により溶着されていることが必要である。本実施形態においては、このように、ヘッダー突出部(52)の内周面(52a)と外周面(52b)という、ヘッダー突出部(52)の先端にある中心軸(P)に対して垂直な環状の平坦面(52c)を隔てて分離された異なる2つの面において、周方向全体に溶着されていることで、モジュールの使用時における圧力に耐えうる気密・液密状態を確保することができる。また、以下に説明するように、フィルター(40)の外周縁に接合されたリング(41)は、筒状容器本体(2)の内側突出部(23)の内側に、すなわち、内側突出部(23)を隔てて、上記溶着面から離れて配置されるために、超音波溶着のエネルギーが大きすぎた場合にリング接合部が溶融し、フィルターが脱落し(剥がれてしまう)という問題が生じにくい。
【0018】
[フィルターの構造、配置]
図4、5、6、7に示すように、フィルター付きリング(4)は、フィルター(40)が、中心軸(P)断面において略矩形の熱可塑性樹脂製環状リング(41)に該リング(41)の筒状容器本体(2)側面で、該熱可塑性樹脂の溶融により溶着されたものであることができる。例えば、図2、5に示すように、フィルター付きリング(4)を構成するフィルター(40)は、ポリエステル系樹脂のメッシュであり、該リング(41)を構成するポリプロピレン系樹脂の溶融により埋め込まれて溶着され、該筒状容器本体(2)側に略平坦面(41d)が形成されたものであることができる。より低い溶融温度のポリプロピレン系樹脂にポリエステル系樹脂のメッシュが埋め込まれて溶着されていることにより、リング(41)からのフィルター(40)の脱落や、剥がれを防止することができる。
このようなフィルター付きリング(4)は、図6、7に示すように配置され、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)との間に保持されることができる。例えば、リング(41)の外周面(41b)は、内側の筒状容器本体突出部(23)の内周面(23a)に対向し、環状リング(41)のヘッダー側の中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(41c)は、ヘッダー突出部(52)の内側にある中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(53)と対向し、該平坦面(53)の内側からフィルター付きリング(4)側に向かって突出するヘッダー突出部(55)の外周面(55b)は、該リングの内周面(41a)に対向し、さらに該リングの平坦面(41c)と反対側の略平坦面(41d)は、前記内側の筒状容器本体突出部の内側にある中心軸(P)に対して垂直の環状の平坦面(25)に対向して配置されることができる。
【0019】
これらの4つの対向箇所においては、2つの対向する面同士が近接し、面間に処理流体のデッドスペースが生じないようにすることが好ましいが、筒状容器本体(2)とヘッダー(5)の溶着時における組立てプロセスに支障を来すことがない程度の僅かな隙間は必要である。
【0020】
また、前記したように、フィルター付きリング(4)のリング(41)の内周面(41a)は、ヘッダー突出部(55)の外周面(55b)に接することで、筒状容器本体の内周面(26)は、ヘッダー突出部(55)の内面に沿って、環状ノズル(50)の内面に繋がり、ビーズの隙間を通過した流体が、その流れが乱されずにフィルター(40)を通過することが可能となる。
【0021】
[ヘッダー(5)、及び筒状容器本体(5)の材質]
筒状容器本体(2)及びヘッダー(5)は、同種の熱可塑性樹脂を、例えば、射出成形して製造されたものであることができる。尚、フィルター付きリング(4)のリング(41)も同一素材であることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、例えば、結晶性樹脂として、エチレンとα-オレフィンとの共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、プロピレン単体の重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとエチレンと他のα―オレフィンとの共重合体などのポリプロピレン系樹脂が挙げられる。また、非晶性樹脂として、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン‐ブタジエン共重合体(SBS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の樹脂が挙げられ、これらは単体で用いられてもよく、混合物であってもよい。本実施形態の筒状容器を構成する筒状容器本体(2)及びヘッダー(5)の材質としては、剛性、耐熱性、コスト、生体適合性、成形容易性、超音波溶着性等の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、中でもプロピレンとエチレンのランダム共重合体が好ましく、エチレン含量が1~8質量%に調整されたプロピレンとエチレンのランダム共重合体がより好ましい。
【0022】
[ヘッダーと筒状容器本体の超音波溶着]
本実施形態の筒状容器は、図7に示すように、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)とを、フィルター付きリング(4)を保持しつつ、ヘッダーの径方向に広がる板状の天面部(51)に超音波ホーン(100)を押し当てる超音波溶着により、気密又は液密状態で、前記熱可塑性樹脂の溶融により溶着する工程を含む方法により製造することができる。超音波ホーン(100)が、ヘッダー(5)を中心軸(P)方向の外側から筒状容器本体(2)側に押圧しながら、ヘッダー(5)に向けて超音波振動を発振すると、超音波溶着(電気エネルギーを機械的振動エネルギーに変換し、加圧を同時に加えることによって、溶着される2つのパーツの接合面に強力な摩擦熱を発生させ、プラスチックを溶融し、接合させる技術)により、ヘッダー突出部(52)の外周面(52b)と筒状容器本体の外側突出部(22)の内周面(22a)との間、及び、ヘッダー突出部(52)の内周面(52a)と筒状容器本体の内側突出部(23)の外周面(23b)との間の少なくとも2箇所で、周方向全体で、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)とが、フィルター付きリング(4)を保持しつつ、気密又は液密状態で該熱可塑性樹脂の溶融により溶着されることができる。
【0023】
超音波ホーン(100)が発振する超音波振動については、周波数、圧力、振幅、時間が重要である。例えば、周波数15kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、70kHz、振幅20~125μm、圧力50N~3000N、時間0.1~1秒であるが、溶着するに足りるものであれば特に制限はないが、状況に応じて比較的低い周波数(例えば、一般的に周波数20kHz程度の超音波が利用される場合における15kHz程度の低周波数)の超音波振動としてもよく、この場合、超音波ホーン(100)からより離れた位置にまで超音波振動が届きやすくなる。溶着をより強固にしたい場合、振幅、圧力、時間の一部又は全てを大きくすることができるが、超音波振動が強すぎて筒状容器本体(2)又はヘッダー(5)が損傷するおそれがある場合には、より高い周波数を採用してもよい。
【0024】
前記したように、超音波溶着時には、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)とは、平坦面が向かい合うように当接されるため、溶着時におけるヘッダー(5)又は筒状容器本体(2)の変形が起こりにくい。また、同様の理由により、超音波溶着におけるヘッダー(5)が筒状容器本体(2)に向かって押し込まれていく速度は、極めて遅いか又はゼロであるため、溶着部での摩擦熱による溶融量が増加して接合強度が増し、ヘッダー突出部(52)の外周面(52b)と筒状容器本体の外側突出部(22)の内周面(22a)との間、及び、ヘッダー突出部(52)の内周面(52a)と筒状容器本体の内側突出部(23)の外周面(23b)との間の少なくとも2箇所で、周方向全体で、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)とが、両者の間にフィルター付きリング(4)を保持しつつ、確実な気密又は液密状態での溶着が可能となる。但し、溶着に必要なエネルギーが過大であると、超音波ホーン接触面に傷が発生したり、溶着機の出力不足によるオーバーロードが発生したり、摩擦熱が過剰となって炭化が生じたり、フィルター付きリング(4)におけるフィルター(40)とリング(41)との間の溶着を破損したりするおそれがあるため、溶着に必要なエネルギーは適切に調整する必要がある。
以上のヘッダー(5)と筒状容器本体(2)の超音波溶着は、自動化された製造装置を用いて実施することができる。
【0025】
図8に、溶着箇所を示す。図中、Aは、ヘッダー突出部(52)の内周面(52a)と筒状容器本体の内側突出部(23)の外周面(23b)との間に形成された溶着部であり、Bは、ヘッダー突出部(52)の外周面(52b)と筒状容器本体の外側突出部(22)の内周面(22a)との間に形成された溶着部である。本実施形態の筒状容器においては、少なくともAとBの2箇所に気密・液密である確実な溶着部が形成されている。図中、Cは、超音波エネルギーが過大である場合に、フィルター付きリング(4)のリング(41)の外周面(41b)と筒状容器本体の内側突出部(23)の内周面(23a)との間に形成されうる溶着部である。また、図中、Dは、超音波エネルギーが過大である場合に、筒状容器本体の外側突出部(22)の先端にある中心軸(P)に対して垂直な環状平坦面(22c)とヘッダー突出部(52)の外側にある中心軸(P)に対して垂直な環状平坦面(54)との間に形成されうる溶着部である。C、Dの溶着部は気密・液密を保証できるものではない。
【0026】
図9は、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)の溶着後の状態の側面断面のX線CT画像であり、そして図10は、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)の溶着後の状態の径方向断面のX線CT画像である。図9と10に示すように、本実施形態の筒状容器においては、少なくともAとBの2箇所に気密・液密である確実な溶着部が形成されていることが分かる。
【0027】
[ビーズの充填、モジュールの製造]
上記のようにして製造した筒状容器(1)の筒状容器本体(2)の側面にある充填口(20)から、分散媒に分散された血液浄化処理用ビーズを注入し、ヘッダー(5)の流体出入口(50)から、該分散媒を排出する工程、該流体出入口(50)を仮封止した後、該充填口(20)から封入液を注入し、該筒状容器本体(2)の内周面(26)と該充填口(20)の内壁とで画される空間に弾性体(31)を詰めて、該筒状容器本体(2)の内周面(26)を面一にした後に、該充填口(20)をキャップ(3)で封止する工程、次いで、これを包装した後、ガンマ線で滅菌処理する工程を経ることで、例えば、血液浄化処理用ビーズが充填された血液浄化処理モジュールを製造することができる。上記封入液としては、特に制限はないが、生理食塩水であることができる。また、上記弾性体(31)も、特に制限はないが、シリリコーンゴムであることができる。
このようなビーズの充填、モジュールの製造は、ヘッダー(5)と筒状容器本体(2)の超音波溶着と同様に、自動化された製造装置を用いて実施することができる。尚、筒状容器(1)に、分散媒に分散された血液浄化処理用ビーズを注入する前に、該筒状容器(1)の内面を生体適合性材料でコーティングしておいてもよく、滅菌処理の方法や、仮封止の手段に特に制限はない。
【0028】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に制限されず、特許請求の範囲に記載された技術思想の範疇における各種の変更例又は修正例も、当然に本発明の技術的範囲に属するものである。
【0029】
例えば、上記実施形態においては、ヘッダー(5)は、筒状容器本体(2)に向けて突出する中心軸(P)断面において略矩形状のヘッダー突出部(52)を有し、かつ、筒状容器本体(2)は、ヘッダー突出部(52)を受容し、これと嵌合する陥凹部を有し、陥凹部は、ヘッダー突出部(52)の内側に配置される中心軸(P)断面において略矩形状の筒状容器本体突出部(23)と外側に配置される中心軸(P)断面において略矩形状の容器本体突出部(22)とで構成されるものに限定されているが、本発明は、筒状容器本体(2)は、ヘッダー(5)に向かって突出する中心軸(P)断面において略矩形状の筒状容器本体突出部を有し、かつ、ヘッダー(5)は、筒状容器本体突出部を受容し、これと嵌合する陥凹部を有するもの、すなわち、本実施形態と凹凸構造が逆転したものをも包含する。また、以上の実施形態においては、ヘッダー(5)の天面部(51)に超音波ホーン(100)を押し当て、ヘッダー(5)を筒状容器本体(2)側に動かして溶着しているが、逆に、筒状容器本体(2)をヘッダー(5)側に動かして溶着してもよい。
また、モジュールの用途は、血液などの液体処理に限られず、気体の処理であって構わない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る流体処理用ビーズを収納するためのフィルター付き熱可塑性樹脂製筒状容器は、ヘッダーと筒状容器本体との接合において、ヘッダー又は筒状容器本体のいずれかに中心軸(P)断面において略矩形の突出部を設け、該突出部内周面の周方向全体及び外周面の周方向全体において(すなわち、少なくとも2箇所の領域)で気密又は液密状態で熱可塑性樹脂の溶融により溶着されており、かつ、適用する超音波エネルギーを制御して、例えば、過度なエネルギーによる超音波ホーン接触面への傷の発生や溶着機の出力不足によるオーバーロード発生を回避しつつ、容器内部に保持されるフィルターを破損せずに、例えば、ヘッダーと筒状容器本体との間の溶着時にフィルターが脱落し、剥がれてしまうということ回避しつつ、十分な密閉性を確保することができ、また、比較的高価なOリングを用いず低コストであり、かつ、締め付け等の管理が不要であり、組み立てに手間がかからず、さらに組み立てを自動化することができる。よって、本発明は、血液透析、血液透析濾過、血液濾過、血漿分離などの体外循環式の血液浄化処理、腹水などの体腔液処理、血液製剤のウィルス除去・処理などにおいて、リン酸、凝集物、白血球などの好ましくない成分、すなわち、被除去成分を吸着・除去することができる粒状成形体(ビーズ)を充填した使い捨てモジュールの容器として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 流体処理用ビーズを収納するためのフィルター付き筒状容器
2 筒状容器本体
20 流体処理用ビーズの充填口
21 径方向に広がる板状の天面部
22 天面部21の外周縁からヘッダー5側に向けて突出する筒状容器本体突出部(外側)
22a 筒状容器本体突出部(外側)22の内周面
22c 筒状容器本体突出部(外側)22の先端にある中心軸Pに対して垂直の環状の平坦面
23 天面部21のヘッダー5側に向けて突出する筒状容器本体突出部(内側)
23a 筒状容器本体突出部(内側)23の内周面
23b 筒状容器本体突出部(内側)23の外周面
23c 筒状容器本体突出部(内側)23の先端にある中心軸Pに対して垂直の環状の平坦面
24 中心軸Pに対して垂直の環状の平坦面(筒状容器本体突出部(外側)22と筒状容器本体突出部(内側)23の間)
25 中心軸Pに対して垂直の環状の平坦面(筒状容器本体突出部(内側)の内側)
26 筒状容器本体2の内周面
3 流体処理用ビーズの充填口20の封止キャップ
31 弾性体
4 フィルター付きリング
40 フィルター
41 フィルター40の外周縁に接合されたリング
41a リング41の内周面
41b リング41の外周面
41c リング41の先端にある中心軸Pに対して垂直の環状の平坦面
41d 平坦面41cの反対側(フィルター側)の略平坦面
5 ヘッダー
50 流体出入口(管状ノズル)
51 径方向に広がる板状の天面部
52 天面部51の外周縁付近から筒状容器本体2側に向けて突出するヘッダー突出部
52a ヘッダー突出部52の内周面
52b ヘッダー突出部52の外周面
52c ヘッダー突出部52の先端にある中心軸Pに対して垂直の環状の平坦面
53 中心軸Pに対して垂直の環状の平坦面(ヘッダー突出部52の内側)
54 中心軸Pに対して垂直の環状の平坦面(ヘッダー突出部52の外側)
55 平坦面53の内側からフィルター付きリング4側に向けて突出するヘッダー突出部
55b ヘッダー突出部55の外周面
100 超音波ホーン
A 溶着部(23bと52aの間)
B 溶着部(22aと52bの間)
C 溶着部(23aと41bの間)
D 溶着部(22cと54の間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10